説明

シリンジポンプ

【課題】 シリンジの破損を防止しつつ、所望の量を正確かつ容易に吐出することができるシリンジポンプを提供する。
【解決手段】 ピストン70を有するシリンジ6が保持される保持部93を備えた本体2と、ピストン70を軸方向へ押圧する押圧体5と、押圧体5を駆動するモーター20と、モーター20の作動を制御する制御部21と、ピストン70の軸方向へ移動可能なように押圧体5に取り付けられたストローク調整棒60と、本体2に固定され、ストローク調整棒60の先端に接触する端子部8と、ストローク調整棒60の先端と端子部8とが接触したことを検知する検知部9とを備え、制御部21は、検知部9の検知に基づいてモーター20の作動を停止させるシリンジポンプ1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジ内の試料を吐出するためのシリンジポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
薬液等の試料を用いた実験に使用するシリンジポンプとして、図6に示すようなシリンジポンプ100が知られている。
【0003】
このシリンジポンプ100は、ピストン170を有するシリンジ106が保持される保持部130を備えた本体102と、ピストン170を軸方向へ押圧する押圧体105と、押圧体105を駆動するモーター120と、モーター120の作動を制御する制御部121と、押圧体105に固定された移動端子部111と、本体102に固定され、移動端子部111に接触する固定端子部110と、移動端子部111と固定端子部110とが接触したことを検知する検知部109とを備えている。
【0004】
このようなシリンジポンプ100によれば、まず、シリンジ106に所望の量の試料を収容する。次に、モーター120を作動させて、押圧体105を駆動させる。これにより、ピストン170が押圧体105によって軸方向へ押圧され、シリンジ106から試料が吐出される。その後、押圧体105の移動に従って、移動端子部111が固定端子部110に接近してゆく。移動端子部111と固定端子部110とが接触すると、検知部109がこの接触を検知する。制御部121は、検知部109の検知に基づいてモーター120の作動を停止させる。こうして、シリンジ106からの試料の吐出が止まる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のようなシリンジポンプ100では、移動端子部111及び固定端子部110が、それぞれ押圧体105及び本体102に固定されており、両者が接触しなければ試料の吐出が止まらないので、試料の吐出量を設定する場合は、シリンジ106に試料を収容する時に行わなければならなかった。したがって、吐出量の微調整が困難であった。
【0006】
また、シリンジ106を保持部130に保持した状態で、シリンジ106の先端までピストン170を押し込む場合のストロークは、シリンジ106の大きさ等によって異なっている。しかし、上述の理由から、押圧体105の移動距離は調整することができないので、例えば、押圧体105の移動距離がピストン170のストロークより短い場合には、シリンジ106内の試料を全て吐出することができない。一方、長い場合には、試料を全て吐出した後も押圧体105がピストン170を押圧し続けるので、シリンジ106が破損するおそれがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、シリンジの破損を防止しつつ、所望の量を正確かつ容易に吐出することができるシリンジポンプの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の前記目的は、ピストンを有するシリンジが保持される保持部を備えた本体と、前記ピストンを軸方向へ押圧する押圧体と、前記押圧体を駆動する駆動手段と、前記駆動手段の作動を制御する制御手段と、前記ピストンの軸方向へ移動可能なように前記押圧体に取り付けられたストローク調整棒と、前記本体に固定され、前記ストローク調整棒の先端に接触する端子部と、前記ストローク調整棒の先端と前記端子部とが接触したことを検知する検知手段とを備え、前記制御手段は、前記検知手段の検知に基づいて前記駆動手段の作動を停止させるシリンジポンプにより達成される。
【0009】
また、前記ストローク調整棒は、前記押圧体に形成された貫通孔に挿入され、該貫通孔に対して略直交するように前記押圧体に螺入された固定ねじにより固定されることが好ましい。
【0010】
また、本発明の前記目的は、ピストンを有するシリンジが保持される保持部を備えた本体と、前記ピストンを軸方向へ押圧する押圧体と、前記押圧体を駆動する駆動手段と、前記駆動手段の作動を制御する制御手段と、前記ピストンの軸方向へ移動可能なように前記本体に取り付けられたストローク調整棒と、前記押圧体に固定され、前記ストローク調整棒の先端に接触する端子部と、前記ストローク調整棒の先端と前記端子部とが接触したことを検知する検知手段とを備え、前記制御手段は、前記検知手段の検知に基づいて前記駆動手段の作動を停止させるシリンジポンプにより達成される。
【0011】
また、上記各シリンジポンプは、前記駆動手段の作動を指示する入力部をさらに備え、前記制御手段は、前記入力部での入力に基づいて前記駆動手段を通常の作動状態での作動速度よりも速い速度で作動させることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシリンジポンプによれば、シリンジの破損を防止しつつ、所望の量を正確かつ容易に吐出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るシリンジポンプ1の側面断面図であり、図2は、シリンジポンプ1の上面図、図3は、シリンジポンプ1の部分側面図である。
【0014】
図1に示すように、このシリンジポンプ1は、筐体状の本体2と、本体2に備えられた保持部93に保持されるシリンジ6と、シリンジ6のピストン70を軸方向へ押圧する押圧体5と、押圧体5を駆動するモーター20とを備えている。また、シリンジポンプ1は、検知部9と、モーター20の作動を指示する入力部7と、モーター20の作動を制御する制御部21とを備えている。
【0015】
本体2は、上部にスペーサー33とスペーサー33上に設置された保持部93とを備えている。スペーサー33は、保持部93の設置高さを確保すると共に、保持部93と本体2とを絶縁するものであり、絶縁材で形成されている。保持部93は、シリンジホルダー34とクランプ36とを備えている。シリンジホルダー34は、電気伝導性に優れた金属から形成されており、側壁面により端子部8が構成されている。また、シリンジホルダー34の側壁面には、図3に示すように、シリンジ6を保持するためのV字状の切欠30が形成されている。また、シリンジホルダー34の底面には、ねじ受け37が立設されており、ねじ受け37には、固定ボルト35が螺合している。固定ボルト35のボルトヘッドとシリンジホルダー34との間には、クランプ36及びコイルばね38が設置されている。クランプ36は、切欠30との間でシリンジ6を固定するために、切欠30の上方を覆っている。
【0016】
本体2の上面には、図2に示すように、シリンジ6の軸方向に延びるスリット28が形成されており、スリット28には、押圧体5が挿入されている。
【0017】
また、本体2の内部には、支持板27及び保持台22が設置されている。支持板27には、モーター20が取り付けられており、モーター20の軸には、後述する鍔部32と係合する軸継手31が取り付けられている。本実施形態では、モーター20は、パルスモーターを用いており、与えるパルスを制御することにより回転速度を所望の値に設定できる構成になっている。
【0018】
保持台22は、側壁40、40を有しており、側壁40、40には、軸孔23、23が形成されている。軸孔23、23には、回転ねじ軸24が挿入されており、回転ねじ軸24の両端は、側壁40、40に固定された軸受25、25によって回転可能に支持されている。回転ねじ軸24は、外周面にねじが切られており、一端側には、鍔部32が設けられている。鍔部32は、軸継手31と係合しており、これにより、モーター20の軸と回転ねじ軸24とが連結され、モーター20の回転を回転ねじ軸24に伝達可能になっている。また、側壁40、40間には、押圧体5を案内するための案内棒39がシリンジ6の軸方向と平行に設けられている。
【0019】
シリンジ6は、ピストン70が押圧されることにより内部に収容された試料を先端から吐出する公知のものを使用することができ、図3に示すように、シリンジホルダー34の切欠30に保持され、クランプ36により固定される。また、ピストン70は、軸方向の一端側に端面88を有している。
【0020】
押圧体5は、ピストン70の端面に当接する押圧面91を有している。図4は、押圧体5の詳細図である。図4に示すように、押圧体5は、本体2の上方に位置する押圧部51、本体2の内部に位置するスライド部52及びスリット28に挿入された狭窄部53を有しており、スリット28に沿って摺動可能なように構成されている。
【0021】
押圧部51には、ねじ穴62がシリンジ6の軸方向に対して略直角に形成されており、ねじ穴62には接続ボルト57が螺合している。
【0022】
スライド部52には、案内孔58が形成されており、案内孔58には、案内棒39が挿入されている。スライド部52の内部は、連通孔63を介してねじ穴62と連通している。また、スライド部52の内部には、接続体50及び、接続体50を支持する支持ばね54が設置されている。
【0023】
接続体50には、押圧棒55が設けられており、この押圧棒55は、連通孔63に挿入され、先端がねじ穴62の下面から突出している。また、接続体50には、接続孔56が形成されており、接続孔56には回転ねじ軸24が挿入されている。接続孔56は、内周面の下方側半分にねじが切られており、支持ばね54により接続体50が上方へ押圧された時に回転ねじ軸24と螺合する構成になっている。また、接続ボルト57により押圧棒55を介して接続体50が下方へ押圧された時には、接続孔56と回転ねじ軸24との螺合が解放される構成になっている。
【0024】
本実施形態のシリンジポンプ1では、図2に示すように、本体2の上面に、スケール42がシリンジ6の軸方向に沿って設けられている。スケール42は、目盛を有しており、端子部8から目盛までの距離によって、シリンジ6からの試料の吐出量を設定するものである。スケール42の目盛は、シリンジ6の長さに対応していることが好ましい。
【0025】
また、図4に示すように、押圧部51には、シリンジ6の軸方向に貫通する貫通孔61が形成されている。貫通孔61には金属のストローク調整棒60が摺動可能に挿入されており、ストローク調整棒60の先端と端子部8との距離dを、スケール42の目盛に合わせて調整できる構成になっている(図2参照)。また、押圧部51には、貫通孔61に対して略直交するように固定ねじ60aが螺入されており、固定ねじ60aによってストローク調整棒60を押圧部51に固定できる構成になっている。
【0026】
検知部9は、端子部8とストローク調整棒60の先端とが接触することによって閉じる回路95に接続されており、この回路95の通電を検知するものである。本実施形態では、回路95は、シリンジホルダー34、ストローク調整棒60、押圧体5、回転ねじ軸24、軸受25、保持台22、本体2及び支持板27によって構成されている。
【0027】
入力部7は、図2に示すように、固定ねじ81により本体2に固定されており、スタートボタン85、ストップボタン86、コントロールボタン84、設定ダイアル83及び換算表82を備えている。また、入力部7は、図示しないケーブル等により制御部21に接続されており、上記各ボタンやダイアルを操作することにより、モーター20の作動を指示できる構成になっている。コントロールボタン84は、モーター20を通常の作動状態での作動速度よりも速い速度で作動させるように指示するものである。また、設定ダイアル83は、モーター20の回転速度を設定するものである。換算表82は、シリンジ6の容量と、設定ダイアル83の値すなわちモーター20の回転速度とから、単位時間あたりにおけるシリンジ6からの試料の流量、及びモーター20の作動時間を求めるものである。
【0028】
制御部21は、入力部7で入力された指示又は、検知部9による通電の検知に基づいてモーター20の作動を制御するものである。
【0029】
次に、以上のように構成されたシリンジポンプ1を用いて試料を吐出する方法を説明する。
【0030】
まず、接続ボルト57をねじ穴62に螺入してゆく。これにより、押圧棒55及び接続体50が支持ばね54に抗して下方へ押圧され、接続体50の接続孔56と回転ねじ軸24との螺合が解かれる。こうして、押圧体5は、回転ねじ軸24から独立して摺動可能になる。
【0031】
続いて、試料を収容したシリンジ6を、切欠30に設置して、固定ボルト35をコイルばね38に抗して螺入してゆく。これにより、シリンジ6は、クランプ36によって押圧され、シリンジホルダー34に固定される。
【0032】
次に、押圧体5を回転ねじ軸24に沿ってスライドさせる。こうして、押圧面91をピストン70の端面88に当接させる。その後、接続ボルト57を緩める。これにより、接続体50が支持ばね54により上方へ押圧されて、接続孔56と回転ねじ軸24とが螺合する。こうして、押圧体5は、回転ねじ軸24の回転に従って摺動するようになる。
【0033】
その後、ストローク調整棒60をシリンジ6の軸方向へ摺動させて、先端をスケール42の所望の目盛に合わせる。また、固定ねじ60aを押圧部51に螺入して、ストローク調整棒60を押圧体5に固定する。これにより、端子部8と、ストローク調整棒60の先端との距離dが設定される。こうして、押圧体5の移動距離が設定され、シリンジ6からの試料の吐出量が設定される。例えば、シリンジ6の容量が10ml、長さが10cmであって、距離dを3cmに設定した場合、試料の吐出量は3mlとなる。また、設定ダイアル83を回して、モーター20の回転速度を設定する。
【0034】
その後、スタートボタン85を押して、モーター20を作動させる。モーター20の回転により回転ねじ軸24が軸回転し、回転ねじ軸24の回転に従い押圧体5が回転ねじ軸24に沿って摺動する。摺動する押圧体5は、案内棒39によりシリンジ6の軸方向へ案内され、ピストン70を押圧する。こうして、シリンジ6から試料が吐出される。その後、押圧体5の摺動に伴い、ストローク調整棒60の先端が端子部8に接近してゆく。ストローク調整棒60の先端と端子部8とが接触すると、回路95が閉じて通電する。この時、検知部9が通電を検知する。制御部21は、検知部9による検知に基づいてモーター20の作動を停止する。これにより、押圧体5は距離dを移動した時点で停止し、シリンジ6からの試料の吐出が止まる。こうして、距離dにより設定した量の試料がシリンジ6から吐出される。
【0035】
以上のように、端子部8とストローク調整棒60の先端との距離dを調整することにより、押圧体5の移動距離を調整して吐出量を設定するので、所望の吐出量を容易に設定することができる。また、ストローク調整棒60で吐出量を設定して、端子部8とストローク調整棒60の先端とが接触した時点で吐出を止めるので、所望の量を正確に吐出することができる。また、設定量を吐出した時点で、モーター20の作動を停止するので、シリンジ6の破損を防止することができる。
【0036】
モーター20が停止した後、再度試料を吐出する場合には、上記と同様の手順で、ストローク調整棒60の先端をスケール42の所望の目盛に合わせ、モーター20を作動させる。このように、所望の吐出量を設定することができるので、シリンジ6内の試料を分割して吐出することができる。
【0037】
本実施形態において、シリンジ6に収容された試料に気泡が混入している場合には、接続孔56と回転ねじ軸24とを螺合させた時点で、コントロールボタン84を押す。これにより、モーター20が通常の作動状態での作動速度よりも速い速度で作動し、押圧体5がピストン70を連続的に押圧する。こうして、シリンジ6の内部から気泡が除去される。この際、本体2を傾斜させてシリンジ6の先端を斜め上方へ向けておくことが好ましい。このように、モーター20の作動に基づいてピストン70を押圧するので、シリンジ6から気泡を容易に除去することができる。また、モーター20を通常の作動速度よりも速く作動させるので、気泡を迅速に除去することができる。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。
【0039】
端子部8及びストローク調整棒60は、端子部8とストローク調整棒60の先端との距離dを調整することができ、押圧体5の摺動に従ってストローク調整棒60の先端が端子部8に接触する構成であれば、その設置位置は特に限定されない。例えば、本実施形態では、端子部8はシリンジホルダー34の側壁面により構成されていたが、シリンジホルダー34とは別体で設けられていてもよい。この場合、図5に示すように、端子部8はスペーサー33に設置されており、ストローク調整棒60と接触する部分が露出している構成であってもよい。
【0040】
また、本実施形態では、ストローク調整棒60は、押圧部51の貫通孔61に挿入されていたが、押圧部51に螺入されている構成であってもよい。このような構成によれば、ストローク調整棒60を押圧部51に螺入してゆき、先端をスケール42の所望の目盛に合わせる。こうして、押圧体5の移動距離を設定し、シリンジ6からの試料の吐出量を設定する。
【0041】
また、本実施形態では、端子部8が本体2に固定され、ストローク調整棒60が押圧体5に取り付けられていたが、端子部8が押圧体5に固定され、ストローク調整棒60が本体2に取り付けられている構成であってもよい。この場合、図7に示すように、端子部8は、押圧体5の押圧面91によって構成されている。また、スケール42は、押圧体5に設けられており、シリンジ6の軸方向に沿って延びている。また、本体2には、取付部75が設けられており、取付部75にストローク調整棒60がシリンジ6の軸方向へ摺動可能なように挿入されている。これにより、ストローク調整棒60の先端と端子部8との距離dを、スケール42の目盛に合わせて調整できる構成になっている。
【0042】
また、入力部7は制御部21に接続されていれば、その設置位置は特に限定されず、本体2から離れた位置に設置されていてもよい。このような構成によれば、本体2と入力部7とが離れているので、例えば、本体2は温度等が設定された環境試験室内に設置し、入力部7は環境試験室の外部に設置して実験を行うことができる。したがって、環境試験室内で入力部7を操作することがないので、環境試験室内の温度等を乱さずに実験を行うことができる。また、本体2を試料の供給先付近に設置することができる。これにより、試料をシリンジ6から液送する距離を短くすることができ、デッドボリュームを小さくすることができる。
【0043】
また、シリンジ6の数は適宜変更可能である。この場合、シリンジホルダー34の側壁面には、複数の切欠30が形成されている。
【実施例】
【0044】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明が本実施例に限定されるものではない。
【0045】
図1に示すシリンジポンプ1を用いて、シリンジ6から試料を吐出した。本実施例の試験条件としては、試料の吐出量を5ml、単位時間あたりにおける試料の流量を50μl/minとした。また、シリンジ6は、全容量が10ml、長さが60mmのものを使用した。また、モーター20は、回転速度を16段階で設定できる構成とした。
【0046】
図8は、スケール42の詳細図である。スケール42には、長さ60mmを10等分した目盛が刻まれている。すなはち、目盛の値が1.0の時は、端子部8からの距離が60mmであり、目盛の値が0.5の時は、その距離が30mmとなる。
【0047】
本実施例では、図8に示すように、ストローク調整棒60の先端をスケール42の目盛0.5に合わせた。これにより、距離dが30mmに設定され、シリンジ6からの試料の吐出量が、10ml×0.5(=30mm/60mm)=5mlに設定された。
【0048】
図9は、換算表82の詳細図である。本実施例では、設定ダイアル83の値を11に合わせて、モーター20の回転速度を設定した。これにより、図9に示すように、シリンジ6の全容量及び設定ダイアル83の値から、単位時間あたりにおける試料の流量が50μl/minに設定された。また、この時のモーター20の作動時間は、200分×0.5=100分に設定された。
【0049】
以上の設定により、押圧体5は、30mmを100分で移動して停止した。これにより、50μl/minの流量で5mlの試料が吐出された。
【0050】
このように、ストローク調整棒60で吐出量を設定することにより、所望の量の試料を正確に吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係るシリンジポンプの側面断面図である。
【図2】図1に示すシリンジポンプの上面図である。
【図3】図1に示すシリンジポンプの部分側面図である。
【図4】押圧体の詳細図である。
【図5】他の実施形態に係るシリンジポンプの側面断面図である。
【図6】従来のシリンジポンプの側面断面図である。
【図7】さらに他の実施形態に係るシリンジポンプの上面図である。
【図8】スケールの詳細図である。
【図9】換算表の詳細図である。
【符号の説明】
【0052】
1 シリンジポンプ
2 本体
5 押圧体
6 シリンジ
7 入力部
8 端子部
9 検知部
20 モーター
21 制御部
24 回転ねじ軸
34 シリンジホルダー
84 コントロールボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンを有するシリンジが保持される保持部を備えた本体と、
前記ピストンを軸方向へ押圧する押圧体と、
前記押圧体を駆動する駆動手段と、
前記駆動手段の作動を制御する制御手段と、
前記ピストンの軸方向へ移動可能なように前記押圧体に取り付けられたストローク調整棒と、
前記本体に固定され、前記ストローク調整棒の先端に接触する端子部と、
前記ストローク調整棒の先端と前記端子部とが接触したことを検知する検知手段とを備え、
前記制御手段は、前記検知手段の検知に基づいて前記駆動手段の作動を停止させるシリンジポンプ。
【請求項2】
前記ストローク調整棒は、前記押圧体に形成された貫通孔に挿入され、該貫通孔に対して略直交するように前記押圧体に螺入された固定ねじにより固定される請求項1に記載のシリンジポンプ。
【請求項3】
ピストンを有するシリンジが保持される保持部を備えた本体と、
前記ピストンを軸方向へ押圧する押圧体と、
前記押圧体を駆動する駆動手段と、
前記駆動手段の作動を制御する制御手段と、
前記ピストンの軸方向へ移動可能なように前記本体に取り付けられたストローク調整棒と、
前記押圧体に固定され、前記ストローク調整棒の先端に接触する端子部と、
前記ストローク調整棒の先端と前記端子部とが接触したことを検知する検知手段とを備え、
前記制御手段は、前記検知手段の検知に基づいて前記駆動手段の作動を停止させるシリンジポンプ。
【請求項4】
前記駆動手段の作動を指示する入力部をさらに備え、
前記制御手段は、前記入力部での入力に基づいて前記駆動手段を通常の作動状態での作動速度よりも速い速度で作動させる請求項1から3のいずれかに記載のシリンジポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−77848(P2007−77848A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264992(P2005−264992)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(505345864)有限会社ワールドエンジニアリングシステム (2)
【出願人】(397069868)アズワン株式会社 (23)
【Fターム(参考)】