説明

シリーズハイブリッド車両の制御装置

【課題】エンジンと発電機とバッテリと駆動モータとを備えたシリーズハイブリッド車両の制御装置において、高燃費を維持しつつ、アクセル開度に応じてエンジン回転数を上げて運転者にエンジン音上昇による加速感を与えることにある。
【解決手段】制御手段(10)は、アクセル開度検出手段(11)により検出されたアクセル開度に基づいて目標エンジン回転数を決定し、アクセル開度検出手段(11)により検出されたアクセル開度が最小である時に発電効率が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数とするとともに、アクセル開度検出手段(11)により検出されたアクセル開度が最大である時には出力が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シリーズハイブリッド車両の制御装置に係り、特にモータで車輪を駆動し、エンジンを発電のみに用いるシリーズハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両としてのシリーズハイブリッド車両においては、エンジンと、このエンジンにより駆動される発電機と、この発電機により充電されるバッテリと、発電機の発電電力又はバッテリの放電電力により車輪を駆動するモータとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−55997号公報
【0004】
特許文献1に係るハイブリッド車両の制御装置は、急加速時に、エンジンの出力制御が、発電機への発電負荷を低減させるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来、車両の加速に必要な瞬時電力をエンジンによる発電で常に補うシリーズハイブリッド車では、車両の加速性や反応性がエンジンの出力と反応性に大きく依存するため、高出力・高レスポンスのエンジンが必要となり、また、エンジンと発電機とからなるエンジン発電システム全体の効率が良い動作曲線上を必ずしも移動できるわけではなく、燃費向上に不利な場合があり、更に、エンジンの振動や騒音が激しい回転域で運転しなければならない場合があり、更にまた、低速度走行中にエンジンの停止を行っている場合、歩行者が車両の走行に気づかない場合があった。
また、エンジンによる発電電力を常に一定としたシリーズハイブリッド車両では、エンジンからの騒音や振動が車両の加速変化と一致しないため、運転者に違和感を与えてしまう不都合があった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、高燃費を維持しつつ、アクセル開度に応じてエンジン回転数を上げ、運転者にエンジン音上昇による加速感を与えるシリーズハイブリッド車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、エンジンと、このエンジンにより駆動される発電機と、この発電機により充電されるバッテリと、前記発電機の発電電力又は前記バッテリの放電電力により車輪を駆動するモータとを備えるシリーズハイブリッド車両の制御装置において、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段を設け、このアクセル開度検出手段により検出されたアクセル開度に基づいて目標エンジン回転数を決定する制御手段を設け、この制御手段は、前記アクセル開度検出手段により検出されたアクセル開度が最小である時に発電効率が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数とするとともに、前記アクセル開度検出手段により検出されたアクセル開度が最大である時には出力が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明のシリーズハイブリッド車両の制御装置は、高燃費を維持しつつ、アクセル開度に応じてエンジン回転数を上げ、運転者にエンジン音上昇による加速感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1はハイブリッド車両の制御装置のシステム構成図である。(実施例)
【図2】図2はハイブリッド車両の制御装置のブロック図である。(実施例)
【図3】図3はアクセル開度に応じたエンジン回転数の変化を説明するタイムチャートである。(実施例)
【図4】図4はエンジン回転数とトルクとによる動作曲線を示す図である。(実施例)
【図5】図5は各モード間における遷移条件を示す図である。(実施例)
【図6】図6は制御手段による制御のフローチャートである。(実施例)
【図7】図7は制御手段による制御のタイムチャートである。(実施例)
【図8】図8はモード遷移のフローチャートである。(実施例)
【図9】図9はハイブリッドモードのフローチャートである。(実施例)
【図10】図10は各モードにおいてエンジン回転数に対する出力、効率、振動、騒音を示す図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、高燃費を維持しつつ、アクセル開度に応じてエンジン回転数を上げ、運転者にエンジン音上昇による加速感を与える目的を、アクセル開度が最小である時に発電効率が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数とするとともに、アクセル開度が最大である時には出力が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数として実現するものである。
【実施例】
【0011】
図1〜図10は、この発明の実施例を示すものである。
図1において、1はシリーズハイブリッド車両(以下「車両」という)、2・2は車輪、3は車軸、4はディファレンシャル装置である。
車両1は、エンジン5と、このエンジン5により駆動される発電機6と、この発電機6により充電される高電圧のバッテリ7と、発電機6の発電電力又はバッテリ7の放電電力により車輪2・2を駆動するモータとしての駆動モータ8とを備える。この駆動モータ8は、発電機6とバッテリ7とに電気的に連絡し、車軸3へ駆動力を出力して車輪2・2を駆動する。
エンジン5と発電機6とバッテリ7と駆動モータ9とは、車両1の制御装置9を構成する制御手段(ハイブリッドコントローラ)10に連絡している。この制御手段10は、バッテリ7の蓄電量(充電残量、充電状態:SOC(%))を検出可能なものである。
また、この制御手段10には、図2に示すように、入力側で、前記バッテリ7の他に、アクセルペダルの踏み込み量としてのアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段11と、ブレーキペダルの踏み込み量としてのブレーキ開度を検出するブレーキ開度検出手段12と、シフトポジションを検出するシフトポジション検出手段13と、車速を検出する車速検出手段14と、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段15とが連絡している。
更に、この制御手段10には、図2に示すように、出力側で、駆動モータ9へ駆動トルクを出力する駆動モータコントローラ16と、発電機6への発電トルクを出力する発電機コントローラ17と、スロットル開度等を調整してエンジン5を制御するエンジンコントローラ18とが連絡している。
【0012】
制御手段10は、アクセル開度検出手段11により検出されたアクセル開度に基づいて目標エンジン回転数を決定する。
例えば、図3に示すように、従来は、アクセルペダルが踏み込まれてアクセル開度が0%から100%になってアクセル全開になると(時間t1)、設定前では、エンジン回転数(図3の実線E1で示す)及び車速(図4の一点鎖線S1で示す)が共に上昇し始め、そして、所定時間T1が経過し、エンジン回転数が最大(Max)領域になると(スロットル開度上昇時間がTn−1(sec))(時間t2)、エンジン回転数が頭打ちとなるが、車速は、所定時間T2が経過したスロットル開度上昇時間がTn(sec)(時間t3)を越えても上昇し続ける。
一方で、この発明では、エンジン回転数(図4の実線E2で示す)及び車速(図4の一点鎖線S2で示す)は、共に、スロットル開度上昇時間がTn(sec)(時間t3)まで上昇し続ける。
【0013】
制御手段10は、アクセル開度検出手段11により検出されたアクセル開度が最小である時に発電効率が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数とするとともに、アクセル開度検出手段11により検出されたアクセル開度が最大である時には出力が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数とする。
【0014】
即ち、図4に示すように、エンジン回転数が零(0)では(時間t0)、静音モードであり、エンジン回転数が増加すると(時間t1)、徐行モードとなり、さらに、エンジン回転数が増加すると(時間t2)、効率最大点で、ハイブリッドモード(アクセル開度が0%〜100%)になり始め、さらに、エンジン回転数が増加すると(時間t3)、出力最大点で、ハイブリッドモードが終了する。この時間t3から時間t4までの間では、エンジン効率最大の動作曲線が描出される。
具体的に説明すると、エンジン回転数を上げる分、トルクも上がるように、その動作曲線を設定することで、エンジン回転数の高低により、効率・騒音・出力を上下させることが可能となる。
エンジン回転数が最小で効率最大点(効率最大、騒音最小、出力最小)となり、エンジン回転数が最大で出力最大点(効率最小、騒音最大、出力最大)となり、この効率最大点と出力最大点との間では、エンジン回転数−トルクは、上記の動作曲線上を推移する。この場合、振動では、エンジン本体の共振箇所が、効率最大点−出力最大点の間に現れないように、エンジンマウントの減衰力を設定する。
これにより、効率では、エンジン回転数の最小=効率最大点と設定することにより、エンジン回転数を上げるとエンジン効率が下がっていく。騒音では、エンジン回転数とエンジン騒音とが比例するため、エンジン回転数が最小=騒音最小で、エンジン回転数の上昇により騒音も上昇する。出力では、エンジン回転数が最大値=出力最大点であり、エンジン回転数とトルクとに比例するエンジン出力が効率最大点から次第に上昇するように設定するために、エンジン回転数に従ってエンジン出力が上昇する。振動では、エンジン本体の共振箇所が、効率最大点−出力最大点の間に現れないようにエンジンマウントの減衰力を設定する。
【0015】
この実施例に係る各種モードは、図5に示すように、それぞれ遷移する。
図5に示すように、第1のモード部と第2のモード部とが存在する。
第1のモード部においては、静音モードと徐行モードとがある。静音モードは、エンジン5の停止の場合である。徐行モードは、最小発電、無負荷でエンジン5がアイドル運転状態の場合である。静音モードから徐行モードへの遷移は、ブレーキペダルを離し且つシフトポジションが「N」レンジ以外の場合である。一方、徐行モードから静音モードへの遷移は、ブレーキペダルを踏み込み且つ車速が零(0)km/h又はシフトポジションが「N」レンジの場合である。
第2のモード部においては、ハイブリッドモードとEV(電気車両)モードとがある。ハイブリッドモードは、エンジン5を運転する場合である。アクセル開度は零(0)%〜100%の範囲内で、アクセル開度が零(0)%では効率最大発電、アクセル開度が100%では出力最大発電となる。EVモードは、エンジン5を停止する場合である。一方、ハイブリッドモードからEVモードへの遷移は、ハイブリッド上限SOC以上である。EVモードからハイブリッドモードへの遷移は、ハイブリッド上限SOC以下である。この場合、ハイブリッドモードからEVモードへの遷移、及びEVモードからハイブリッドモードへの遷移では、頻繁な状態遷移を防止するために、ヒステリシス特性幅を持たせている(図7参照)。
また、第1のモード部から第2のモード部への遷移は、車速が15km/h以上又は制限開始SOC以下の場合である。第2のモード部から第1のモード部への遷移は、車速が10km/h以下且つ制限開始SOC以上の場合である。この場合、第1のモード部から第2のモードへの遷移、及び第2のモードから第1のモードへの遷移においては、頻繁な状態遷移を防止するために、ヒステリシス特性幅を持たせている。
【0016】
制御手段10は、図3に示すように、アクセル全開時に、エンジン回転数が最大になるまでの時間を車速が最高速に到達するまでの時間に一致させるように目標エンジン回転数を決定する。
また、制御手段10は、図4、図5に示すように、車速検出手段14により検出された車速が予め設定された値よりも低い時にアクセル開度検出手段11により検出されたアクセル開度に関係なく、発電効率が最大となるエンジン回転数よりも目標エンジン回転数を低くする。
更に、制御手段10は、図5、図7に示すように、車速検出手段14により検出された車速が予め設定された値よりも低く、かつ、バッテリ7の蓄電量(SOC)が予め設定された蓄電量(SOC)よりも多い時には、エンジン5を無負荷アイドル運転状態とする。
更にまた、制御手段10は、図7に示すように、バッテリ7の蓄電量(SOC)が予め設定された蓄電量(SOC)よりも少ない時には、出力が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数とする。
【0017】
次に、この実施例に係る制御を、図6のフローチャートに基づいて説明する。
図6に示すように、制御手段10においてプログラムがスタートすると(ステップA01)、アクセル開度を入力し(ステップA02)、SOCとアクセル開度とから目標スロットル開度を設定し(ステップA03)、目標スロットル開度までスロットル開度上昇率以下で上昇させる(ステップA04)。
そして、アクセル全開、エンジン回転数が最大(Max)領域、且つ車速が最大(Max)領域でないか否かを判断する(ステップA05)。ここで、エンジン回転数が最大(Max)領域とは、例えば、最高エンジン回転数−1000rpm以上の領域である。車速が最大(Max)領域とは、例えば、最高車速−10km/hに満たない領域である。
このステップA05がYESの場合には、スロットル開度上昇時間をインクリメント(増加)し(ステップA06)、そして、修正後のスロットル開度上昇時間からスロットル開度上昇率を変更する(ステップA07)。
このステップA07の処理後、又は前記ステップA05がNOの場合には、プログラムをリターンする(ステップA08)。
【0018】
次いで、アクセル開度が零(0)のSOCに対する制御を、図7のタイムチャートに基づいて説明する。
図7に示すように、SOCが零(0)%で、エンジン5が始動している状態においては(時間t0)、徐行モード・静音モードの禁止のハイブリッドモードとなり、駆動出力が零(0)%で、エンジン回転数が出力最大点となる。
そして、SOCが20%になると(時間t1)、駆動出力が上昇し始め、その後、駆動出力が100%になると(時間t2)、エンジン回転数が出力最大点から減少し始め、その後、SOCが30%で、制限開始SOCとなって、エンジン回転数が効率最大点になると(時間t3)、徐行モード・静音モードの禁止が解除される。
その後、SOCが50%で、ハイブリッド上限SOCになるまで(時間t4)の所定時間Mは、徐行モード・静音モードが有るハイブリッドモードとなり、ハイブリッドモードの通常での使用域となる。この時間t4では、エンジンが停止される。
そして、時間t4の後は、徐行モード・静音モードが有るEVモードとなる。
なお、この図7においては、エンジンの始動停止においては、SOCが50%で(時間t4)、SOCの少ない側でのヒステリシス特性幅H1が設定されている。また、徐行モード・静音モードの禁止解除においては、SOCが30%で(時間t3)、SOCの多い側でのヒステリシス特性幅H2が設定されている。
【0019】
次いで、モード遷移について、図8のフローチャートに基づいて説明する。
図8に示すように、制御手段10のプログラムがスタートすると(ステップB01)、先ず、車速が15km/h以上か否かを判断する(ステップB02)。この場合、車速には、所定のヒステリシス特性幅が設定されている。
このステップB02がNOの場合には、ハイブリッド上限SOC以下か否かを判断する(ステップB03)。
このステップB03がYESの場合には、最小発電の徐行モードとする(ステップB04)。なお、この場合、徐行モードでなくても、ハイブリッドモードとすることも可能である。
このステップB03がNOの場合には、無負荷のアイドル運転の徐行モードとする(ステップB05)。
前記ステップB04の処理後、又は前記ステップB05の処理後は、ブレーキが踏み込まれ且つ車速が零(0)km/hか否かを判断する(ステップB06)。
このステップB06がNOの場合には、シフトポジションが「N」レンジか否かを判断する(ステップB07)。
このステップB07がYES又は前記ステップB06がYESの場合には、エンジンを停止した静音モードとする(ステップB08)。シフトポジションを「N」レンジに入れることにより、徐行モードから静音モードへ切り変わる。このため、新規スイッチ等を追加することなく、運転者は徐行モードから静音モードへ切り変えることができる。
一方、前記ステップB02がYESの場合には、ハイブリッド上限SOC(例えば、50%)以下か否かを判断する(ステップB09)。
このステップB09がYESの場合には、ハイブリッドモードとする(ステップB10)。このハイブリッドモードでは、アクセル開度が零(0)%での効率最大発電、アクセル開度が100%での出力最大発電となる。
前記ステップB09がNOの場合には、エンジン5を停止したEVモードとする(ステップB11)。
前記ステップB10の処理後、前記ステップB11の処理後、前記ステップB08の処理後、又は、前記ステップB07がNOの場合には、プログラムをリターンする(ステップB12)。
【0020】
上記のハイブリッドモードについては、図9のフローチャートに基づいて説明する。
図9に示すように、制御手段10のプログラムがスタートすると(ステップC01)、SOCとアクセル開度を入力し(ステップC02)、そして、アクセル開度が0%〜100%に応じて効率最大点から出力最大点まで発電量を増加し(ステップC03)、制限開始SOC以上か否かを判断する(ステップC04)。
このステップC04がNOの場合には、SOCの低下度合いによって効率最大点から出力最大点まで発電量をさらに増加する(ステップC05)。
前記ステップC04がYESの場合、又は前記ステップC05の処理後は、出力最大点を越えた発電量をカットし(ステップC06)、プログラムをリターンする(ステップC07)。
【0021】
そして、この場合、図10に示すように、エンジン回転数に対する出力・効率・振動・騒音においては、エンジン回転数の範囲と共振回転数とが重ならないように設定し、そして、効率最大点と出力最大点との間で、アクセル開度(0〜100%)に応じたハイブリッドモードを用いる。
【0022】
即ち、ガソリン車両では、アクセル開度が大=スロットル開度が大で、エンジン回転数の上昇が早く、燃料消費量が多く、アクセル開度が小=スロットル開度が小で、エンジン回転数の上昇が遅く、燃料消費量が少ない。
一方、シリーズハイブリッド車両では、加速とエンジン回転数は無関係に動作させることが可能であり、たとえ、一定加速中であっても、エンジン回転数の変化速度や上昇下降の向きを、ある程度自由に設定できる。
エンジン負荷(発電機トルク)が一定の場合は、制御手段10に要求するスロットル開度に応じて、エンジン回転数の上昇速度が大きくなるのと同様に、エンジン回転数=エンジン負荷(発電機トルク)の高効率曲線上を変化させる場合でも、制御手段10に要求するスロットル開度に応じて、エンジン回転数の上昇速度を変更できる。
つまり、この実施例に係る発明では、エンジン回転数の変化は運転者への加速感の向上を目的としているため、車両の全開加速での車速の上昇速度以上のエンジン回転数の上昇速度は不要となり、燃料消費量を増加させないためには、エンジン回転数の上昇速度を遅く設定することが、効果的となる。
【0023】
以上、この発明の実施例について説明してきたが、上述の実施例の構成を請求項毎に当てはめて説明する。
先ず、請求項1に記載の発明において、制御手段10は、アクセル開度検出手段11により検出されたアクセル開度が最小である時に発電効率が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数とするとともに、アクセル開度検出手段11により検出されたアクセル開度が最大である時には出力が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数とする。
これにより、高燃費を維持しつつ、アクセル開度に応じてエンジン回転数を上げるため、運転者にエンジン音上昇による加速感を与えることができる。
請求項2に記載の発明において、制御手段10は、アクセル全開時にエンジン回転数が最大になるまでの時間を車速が最高速に到達するまでの時間に一致させるように目標エンジン回転数を決定する。
これにより、エンジン回転数の上昇速度を必要以上に早くしないため、燃料消費量を抑えることができる。また、車速の上昇に従ってエンジン回転数を上昇させるため、運転者に違和感を与えないようにすることができる。
請求項3に記載の発明において、制御手段10は、車速を検出する車速検出手段14に連絡し、この車速検出手段14により検出された車速が予め設定された値よりも低い時にアクセル開度検出手段11により検出されたアクセル開度に関係なく、発電効率が最大となるエンジン回転数よりも目標エンジン回転数を低くする。
これにより、燃料消費量を抑えつつ、車両1が徐行中でもエンジン5を駆動させるため、歩行者に車両1の接近を知らせることができる。
請求項4に記載の発明において、制御手段10は、車速検出手段14により検出された車速が予め設定された値よりも低く、且つバッテリ7の蓄電量が予め設定された蓄電量よりも多い時には、エンジン5を無負荷アイドル運転状態とする。
これにより、車両1が徐行中でもエンジン5を駆動させるため、歩行者に車両の接近を知らせることができる。さらに、バッテリ7の蓄電量が多い時には発電の必要が無いため、無負荷のアイドル運転状態にすることにより、燃料消費量を抑えることができる。
請求項5に記載の発明において、制御手段10は、バッテリ7の蓄電量が予め設定された蓄電量よりも少ない時には、出力が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数とする。
これにより、バッテリ7の蓄電量が少ない場合に蓄電量を減らさないようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明に係る制御装置は、プラグイン型の有無に限らず、各種シリーズハイブリッド車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 車両
5 エンジン
6 発電機
7 バッテリ
8 駆動モータ
9 制御装置
10 制御手段
11 アクセル開度検出手段
12 ブレーキ開度検出手段
13 シフトポジション検出手段
14 車速検出手段
15 エンジン回転数検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、このエンジンにより駆動される発電機と、この発電機により充電されるバッテリと、前記発電機の発電電力又は前記バッテリの放電電力により車輪を駆動するモータとを備えるシリーズハイブリッド車両の制御装置において、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段を設け、このアクセル開度検出手段により検出されたアクセル開度に基づいて目標エンジン回転数を決定する制御手段を設け、この制御手段は、前記アクセル開度検出手段により検出されたアクセル開度が最小である時に発電効率が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数とするとともに、前記アクセル開度検出手段により検出されたアクセル開度が最大である時には出力が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数とすることを特徴とするシリーズハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
エンジンと、このエンジンにより駆動される発電機と、この発電機により充電されるバッテリと、前記発電機の発電電力又は前記バッテリの放電電力により車輪を駆動するモータとを備えるシリーズハイブリッド車両の制御装置において、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段を設け、このアクセル開度検出手段により検出されたアクセル開度に基づいて目標エンジン回転数を決定する制御手段を設け、この制御手段は、アクセル全開時にエンジン回転数が最大になるまでの時間を車速が最高速に到達するまでの時間に一致させるように目標エンジン回転数を決定することを特徴とするシリーズハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、車速を検出する車速検出手段に連絡し、この車速検出手段により検出された車速が予め設定された値よりも低い時に前記アクセル開度検出手段により検出されたアクセル開度に関係なく、発電効率が最大となるエンジン回転数よりも目標エンジン回転数を低くすることを特徴とする請求項1に記載のシリーズハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記車速検出手段により検出された車速が予め設定された値よりも低く、かつ、前記バッテリの蓄電量が予め設定された蓄電量よりも多い時には、前記エンジンを無負荷アイドル運転状態とすることを特徴とする請求項3に記載のシリーズハイブリッド車両の制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記バッテリの蓄電量が予め設定された蓄電量よりも少ない時には、出力が最大となるエンジン回転数を目標エンジン回転数とすることを特徴とする請求項1、請求項3又は請求項4のいずれか1項に記載のシリーズハイブリッド車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−148732(P2012−148732A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10629(P2011−10629)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】