説明

シンチレータおよびその作製方法

【課題】プラスチックマトリックスに埋め込まれたシンチレーション化合物のナノスケール粒子を含むシンチレーション検出器を提供する。
【解決手段】ナノスケール粒子は、金属酸化物、金属オキシハライド、金属オキシサルファイド、または金属ハロゲン化物から作製してよい。ナノスケール粒子の調製方法を提供する。粒子は、プラスチックマトリックスに組み込む前に、有機化合物またはポリマーでコーティングしてもよい。二酸化チタンのナノスケール粒子を組み込むことによって、プラスチックマトリックスとナノスケール粒子の屈折率を一致させるための技法も提供する。シンチレータを1個または複数の光検出器に結合して、シンチレーション検出システムを形成してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、シンチレーション検出器を作製するためのシンチレーション材料に関する。本発明の一実施形態は、金属酸化物、金属オキシハライド、金属オキシサルファイド、または金属ハロゲン化物のナノスケール粒子を含むシンチレーション材料と、その調製方法とに関する。本発明の別の実施形態は、金属ハロゲン化物のナノスケール粒子を含むシンチレーション材料と、その調製方法とに関する。本発明のさらに別の実施形態は、金属オキシハライドまたは金属オキシサルファイドのナノスケール粒子を含むシンチレーション材料と、その調製方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
シンチレータは、X線やγ線などの高エネルギー放射線を、可視光に変換する材料である。シンチレータは、検出および非侵襲的撮像技術において、例えば医療用およびスクリーニング用の撮像システムにおいて、広く使用されている。そのようなシステムでは、高エネルギー光子は、典型的には撮像される人体または物体を通過し、撮像ボリュームの反対側では、光検出装置に接続されているシンチレータに衝突する。シンチレータは、典型的には、高エネルギー光子の衝撃に応答して光学的光子を発生させる。次いで光学的光子を、光検出装置によって測定し定量することができ、それによって、検出器に入射する高エネルギー放射線の量および位置の代替的測定値が提供される。さらに、シンチレータは、通常なら検出するのが難しいと考えられる密輸品または汚染物質などの放射性物質を検出するのに使用されるシステムで、役立てることができる。
【0003】
非侵襲的撮像技法に関し、シンチレータの最も重要な適用例の1つは、デジタル式の検出および記憶システムを使用してX線画像を生成する医療機器である。例えば、CTスキャナなどの現行のデジタル式X線撮像システムでは、光源からの放射線を被験体に、典型的には医療診断適用例における患者に向ける。放射線の一部は患者を通過し、検出器に衝突する。検出器の表面は、放射線を、感知される光量子に変換する。検出器は、マトリックス状の個別の画像素子または画素に分かれており、各画素に衝突する放射線の量または強度に基づいて、出力信号をコード化する。放射線強度は、放射線が患者を通過するにつれて変化するので、出力信号に基づいて再構成される画像は、従来の写真用フィルム技法を通して入手可能なものと同様の、患者の組織の投影図を提供する。
【0004】
別の高エネルギー放射線をベースにした撮像システムは、典型的には円形アレイに配列された、複数の画素を有するシンチレータをベースにした検出器を一般に用いる、陽電子放出トモグラフィ(PET)である。そのような画素のそれぞれは、光電子増倍管に結合されたシンチレータセルを含む。PETでは、所望の生物活性または親和性を有する化学的トレーサ化合物を、陽電子放出によって減衰する放射性同位体で標識する。その後、放出された陽電子は電子と相互に作用して、2個の511keV光子(γ線)を放出する。2つのγ線は同時に放出され、反対方向に移動し、周囲の組織に浸透し、患者の身体から出て、検出器に吸収され記録されるようになる。検出器内の2点で、2個の光子の到着時間の僅かな差を測定することによって、標的内部の陽電子の位置を計算することができる。この時間差測定の限界は、シンチレータ材料の阻止能、光出力、および減衰時間に非常に依存する。
【0005】
CTおよびPETでは共に、正確な画像を生成するのに、即ち良好な空間分解能のために、小さな画素サイズを必要とする。各ルミネセンスモジュールで生成された光の画素間汚染を避けるために、シンチレータは、単結晶、または小さなセグメントに切断されまたはさいの目に切られた透明なセラミック製イメージングプレートから作製される。より小さなセグメントは、個々の検出器に向かう光を物理的に可能なかぎり多く維持するために、個々の素子間のコリメート反射器とともに使用される。画素サイズがより微細になるにつれて、製造コストおよびプロセス上の問題の両方が増大するので、ダイシングプロセスは個々の画素のサイズを制限する。
【0006】
デジタル式X線写真システムなど、さらにより小さい画素ピッチが必要とされるシステムでは、CsIの針および光ファイバシンチレータ(FOS)面板などの蛍光体が使用されてきた。しかし、これらのシンチレータは、CTシステムのより厳密なルミネセンス要件を満たさない。CsIをベースにしたシンチレータは、長い減衰時間を有し、画像を不鮮明にする傾向がある残光をもたらす。さらに、FOS板をベースにした検出器は、精密な撮像に必要な高い変換効率を持たない。
【0007】
撮像の適用例で使用される複合シンチレータとは対照的に、放射性の密輸品または汚染物質の検出に使用されるシンチレータは、しばしばポリチオフェンまたはポリアナリンのような材料から作製された単純なプラスチックフィルムである。しかし、これらのシステムは、関係する放射線のタイプにまったく特異的ではなく、しばしば誤った警告を発する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US2006/054863A1公報
【特許文献2】US2002/079455A1公報
【特許文献3】WO2006/063409A公報
【特許文献4】WO2007/016193A公報
【特許文献5】US2006/231797A1公報
【特許文献6】US6036886A公報
【特許文献7】WO2006/038449A公報
【特許文献8】US2005/029495A1公報
【特許文献9】US2008/241041A1公報
【特許文献10】US2008/241040A1公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、透明性および調整されたルミネセンス特性を与えながら、CTおよびPETでの適用に必要とされる小さな画素サイズを有する材料に容易に形成することができる、新しいシンチレータが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態では、本発明の技法は、埋め込まれたシンチレーション材料のナノスケール粒子を含むプラスチックマトリックスを含むシンチレータを提供する。様々な態様において、ナノスケール粒子は、金属酸化物、金属オキシハライド、金属オキシサルファイド、金属ハロゲン化物、またはこれらの組合せから作製してもよい。
【0011】
別の実施形態では、本発明の技法は、埋め込まれたシンチレーション材料のナノスケール粒子を含有するプラスチックマトリックスを含む、シンチレーション検出システムを提供する。1つまたは複数の光検出器が、前記プラスチックマトリックスに取着され、前記プラスチックマトリックス内で発生する光子を検出するように構成される。
【0012】
別の実施形態では、本発明の技法は、シンチレーション検出システムおよび信号処理システムを含む、シンチレーション検出システムから発生した信号を分析するように構成された、放射線検出および分析システムを提供する。シンチレーション検出システムは、埋め込まれたシンチレーション材料のナノスケール粒子を含有しているプラスチックマトリックス、およびシンチレータから発生した光子に応答して信号を発生するよう構成された取着光検出装置を含む、シンチレータで作製される。
【0013】
さらに別の実施形態では、本発明の技法は、シンチレーション検出器の製造方法を提供する。この方法は、シンチレーション材料のナノスケール粒子をプラスチックマトリックスに埋め込むステップと、光検出器システムを前記プラスチックマトリックスに取着するステップとを含む。光検出器システムは、前記プラスチックマトリックスで発生した光子を電気信号に変換するよう構成された、1個または複数の素子を含む。
【0014】
一実施形態では、本発明の技法は、ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子の作製方法を提供する。この方法は、1種または複数の金属塩を含む第1の溶液、および1種または複数のハロゲン化物前駆体を含む第2の溶液を合わせて、ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を形成するステップと、前記合わせた第1および第2の溶液から前記ナノスケール粒子を単離するステップとを含む。一態様では、これらの溶液は、イオン液体を含む。
【0015】
別の実施形態では、本発明の技法は、ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を作製するための、別の方法を提供する。この方法は、マイクロエマルジョンを作製するステップと、前記マイクロエマルジョン中で、前記ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を形成するステップと、前記粒子を前記マイクロエマルジョンから単離するステップとを含む。一態様では、前記ナノスケール粒子を形成するステップは、前記マイクロエマルジョンを通して水素ハロゲン化物ガスをバブリングするステップを含む。別の態様では、これらの溶液は、イオン液体を含む。
【0016】
別の実施形態では、本発明の技法は、ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を作製するための、別の方法を提供する。この方法は、第1のマイクロエマルジョンを作製するステップと、1種または複数の金属有機塩を含む溶液を前記第1のマイクロエマルジョンに添加して、第2のマイクロエマルジョンを形成するステップと、前記ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を、前記第2のマイクロエマルジョンから単離するステップとを含む。一態様では、前記第1のマイクロエマルジョンは、前駆体としての陰イオン源を含む。別の態様では、これらの溶液は、イオン液体を含む。
【0017】
別の実施形態では、本発明の技法は、ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を作製するための、さらに別の方法を提供する。この方法は、第1のマイクロエマルジョンを形成するステップと、第2のマイクロエマルジョンを形成するステップと、前記第1のマイクロエマルジョンおよび前記第2のマイクロエマルジョンを合わせて、合わせたマイクロエマルジョンを形成するステップと、前記ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を前記合わせたマイクロエマルジョンから単離するステップとを含む。一態様では、マイクロエマルジョンは、イオン液体を使用して作製される。
【0018】
さらに別の実施形態では、本発明の技法は、サイズが約100nm未満である金属ハロゲン化物のナノスケール粒子を含む、結晶性シンチレータを提供する。一態様では、金属ハロゲン化物は、MX:Y(式中、Mは、La、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;Xは、F、Cl、Br、I、およびこれらの組合せの少なくとも1種を含み;Yは、Tl、Tb、Na、Ce、Pr、Eu、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;nは、1〜4の整数である。)の一般式を有する蛍光体を含む。別の態様では、金属ハロゲン化物は、一般式[La(1−x)Ce][Cl(l−y−z)Br(y−z)(式中、x、z、(1−y−z)、および(y−z)はすべて、0から1の範囲である。)を有する蛍光体を含む。
【0019】
別の実施形態では、本発明の技法は、サイズが約100nm未満である金属ハロゲン化物のナノスケール粒子を含む、結晶性シンチレータを提供する。
【0020】
一実施形態では、本発明の技法は、酸化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子の作製方法を提供する。この方法は、第1のマイクロエマルジョンを形成するステップと、第2のマイクロエマルジョンを形成するステップと、前記第1および前記第2のマイクロエマルジョンを混合して、溶液を形成するステップと、前記溶液から前駆体粒子を単離するステップと、前記酸化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を前駆体粒子から形成するステップとを含む。
【0021】
別の実施形態では、本発明の技法は、酸化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を作製するための、別の方法を提供する。この方法は、有機金属溶液を形成するステップと、第1のマイクロエマルジョンを形成するステップと、前記有機金属溶液を加熱するステップと、前記有機金属溶液を前記第1のマイクロエマルジョンにゆっくりと添加して、第2のマイクロエマルジョンを形成するステップとを含む。前記前駆体粒子は、前記第2のマイクロエマルジョン溶液から単離され、前記酸化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子は、前記前駆体粒子から形成される。
【0022】
別の実施形態では、本発明の技法は、オキシハライドまたはオキシサルファイド系シンチレーション材料のナノスケール粒子の、作製方法を提供する。この方法は、1種または複数の金属塩を含む水溶液に、水性塩基を添加して、前記1種または複数の金属塩を含有するゲルを沈殿させるステップと、前記ゲルから遊離イオンを除去するステップとを含む。前記ゲルを加熱し乾燥して、前記オキシハライドまたはオキシサルファイドタイプのシンチレーション材料のナノスケール粒子を形成する。
【0023】
別の実施形態では、本発明の技法は、オキシハライドまたはオキシサルファイド系シンチレーション材料のナノスケール粒子を作製するための、別の方法を提供する。この方法は、第1のマイクロエマルジョンを形成するステップと、溶液を前記第1のマイクロエマルジョンに添加しながら、前記溶液を加熱して、第2のマイクロエマルジョンを形成するステップとを含む。前駆体粒子は、前記第2のエマルジョンから形成され、前記オキシハライドまたはオキシサルファイドタイプのシンチレーション材料のナノスケール粒子は、前記前駆体粒子から形成される。
【0024】
さらに別の実施形態では、本発明の技法は、サイズが100nm未満である金属酸化物系蛍光体の結晶性シンチレータナノスケール粒子を提供する。
【0025】
別の実施形態では、本発明の技法は、サイズが100nm未満であるオキシハライドまたはオキシサルファイドの結晶性シンチレータナノスケール粒子を提供する。
【0026】
本発明の、これらおよびその他の特徴、態様、および利点は、図面全体を通して同様の文字が同様の部分を表している添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読んだときに、より良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の技法の実施形態を使用することができる、コンピュータトモグラフィスキャナや陽電子放出スキャナなどの、医療用撮像ユニットを示す図である。
【図2】本発明の技法の実施形態を使用することができる、CTやPETなどの、デジタル式撮像システムに使用される検出器アセンブリを示す図である。
【図3】本発明の技法の実施形態を使用することができる、撮像システムを示す断面図である。
【図4】本発明の技法の実施形態による、シンチレーション検出器システムを示す拡大図である。
【図5】本発明の技法の実施形態による、粒子の周りにポリマーコーティングが形成されるように重合反応を開始するための吸着開始部位を有する、シンチレータ粒子を示す概略図である。
【図6】本発明の技法の実施形態による、ポリマーでコーティングされたシンチレータ粒子の概略図である。
【図7】本発明の技法の実施形態による、酸化物系ナノスケールシンチレータ粒子を作製するプロセスを示す、ブロック図である。
【図8】本発明の技法の実施形態による、酸化物系ナノスケールシンチレータ粒子を作製する別のプロセスを示す、ブロック図である。
【図9】本発明の技法の実施形態による、オキシハライドまたはオキシサルファイド系ナノスケールシンチレータ粒子を作製するプロセスを示す、ブロック図である。
【図10】本発明の技法の実施形態による、オキシハライドまたはオキシサルファイド系ナノスケールシンチレータ粒子を作製する別のプロセスを示す、ブロック図である。
【図11】本発明の技法の実施形態による、ハロゲン化物系ナノスケールシンチレータ粒子を作製するプロセスを示す、ブロック図である。
【図12】本発明の技法の実施形態による、ハロゲン化物系ナノスケールシンチレータ粒子を作製する別のプロセスを示す、ブロック図である。
【図13】本発明の技法の実施形態による、ハロゲン化物系ナノスケールシンチレータ粒子を作製する、さらに別のプロセスを示すブロック図である。
【図14】本発明の技法の実施形態による、ハロゲン化物系ナノスケールシンチレータ粒子を作製する、さらに別のプロセスを示すブロック図である。
【図15】本発明の技法の実施形態による、放射性の密輸品を検出するのに使用される、セキュリティアーチを示す図である。
【図16】本発明の技法の実施形態による、地下放射性材料を検出するための放射線検出器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
I.シンチレータを使用する撮像システム
本発明の技法の実施形態は、撮像システム、セキュリティシステム、およびその他の機器で放射線を検出するのに使用することができる、新しいシンチレーション検出器を含む。例えば図1は、本発明の技法の実施形態による医療用撮像システム10を示す。このシステムは、例えば、とりわけ陽電子放出トモグラフィ(PET)撮像装置、コンピュータ支援トモグラフィ(CT)撮像装置、単陽電子放出コンピュータトモグラフィ(SPECT)システム、マンモグラフィシステム、トモシンセシスシステム、または一般X線ベースのX線写真システムでよい。例示的なシステムは、少なくとも放射線検出器を収容するフレーム14を有し、X線源および検出器を患者の周りで移動させる旋回ガントリーなどのその他の装置を含んでよい。ある実施形態では、患者は、スライドテーブル12上に配置され、フレーム14のアパーチャ16内を移動する。そのような実施形態では、患者がアパーチャ16内を移動するにつれ、患者の断面画像がデータ解析および制御システム13で生成される。データ解析システム13は、計算、ネットワーク、およびディスプレイユニットを含めた多数のユニットを含んでよい。CTスキャナの場合、画像は、フレーム14に収容されているX線源および検出器を、患者の周りに旋回させることによって、能動的に生成することができる。あるいは、PET、SPECT、またはその他の技法では、画像は、患者に予め摂取された放射線源からの放出を検出することによって、受動的に生成することができる。どちらの場合も検出器システムは、典型的には、X線またはγ線の形の高エネルギー光子を吸収し、かつこのエネルギーを可視光子の形で再放出するシンチレータを含む。
【0029】
医療用撮像システムに使用してもよいシンチレータの例を、図2に示す。シンチレータ18は、シンチレーション化合物を含有する透明なセラミック材料から作製してもよい。あるいはシンチレータは、ヨウ化セシウムなどの放射線感受性の金属ハロゲン化物、または別の放射線感受性材料の、大きな結晶から作製してもよい。シンチレータアセンブリ20は、典型的には、ダイシングと呼ばれる操作で透明なセラミックまたは結晶性シンチレーション材料のブロックから切断することができる、個々の画素22の一群を含む。材料が、画素に対応する個々のブロックに切断されると、各画素は、反射器によって他の画素から光学的に単離することができる。次いで、さらに各画素を、フォトダイオード、フォトトランジスタ、光電子増倍管、電荷結合素子、またはその他の光能動的なデバイスなどの、個々の光検出器に接合してもよい。
【0030】
そのようなシンチレータの使用を、図3によってさらに示すが、例示的な撮像システム、この場合はCTシステム、のシンチレーションアセンブリ24が示されている。この図に示されるように、X線源26は、患者28を通してX線の平行ビーム30を投影する。検出器アセンブリ18、34、および光源26が患者の周りを回転27するにつれて、X線は、シンチレータ18に衝突する前に、患者28内の構造物によって弱まるまたは散乱する。シンチレータ18では、X線ビーム30の高エネルギー光子の多くが吸収され、より低いエネルギーの可視光子に変換される。次いで可視光子は、光源26に対してシンチレータ18の反対側に取着された、光検出器アレイ34によって検出される。光検出器アレイ34は、光子を電気信号に変換し、この信号が導電性構造36を通して解析電子機器に伝達される。画像の質は、光検出器に到達し得る光の量を制御する、シンチレータ18を通した光透過率を含めた因子の数に依存する可能性がある。シンチレータ材料に特異的な、その他の重要な因子は、阻止能と呼ばれるシンチレータ18によって吸収される高エネルギー放射線の量、およびシンチレータ18の変換効率または量子収量である。物理的因子は、とりわけ画素サイズおよび交差画素分離を含めた画像品質も制御する。
【0031】
II.プラスチックマトリックス内にナノスケール粒子を有するシンチレータ
図4は、本発明の技法の実施形態による、シンチレーション検出器アセンブリで使用することができるシンチレータ18を示す。このシンチレータ18では、プラスチックマトリックス38が、シンチレーション材料のナノスケール粒子40を含有する。プラスチックマトリックス38は、以下にさらに論じるような、屈折率を一致させるための材料のナノスケール粒子42など、その他の材料を含有してもよい。シンチレーション材料のナノスケール粒子40は、高エネルギー光子44を吸収し、吸収されたエネルギーをより低いエネルギーの光子46として再放出する。次いでより低いエネルギー光子46を、光検出器34で捕獲し、電気信号に変換し、導電性構造36を介して元の解析システム13に伝送することができる。上記にて論じたように、エネルギーのすべてが捕獲されるわけではなく、高エネルギー光子48の一部は、シンチレータ18および光検出器アセンブリ34を通過する。
【0032】
A.プラスチックマトリックス材料
プラスチックマトリックス38は、熱可塑性および熱硬化性材料の両方を含めた、より低いエネルギーの光子46の周波数で光を透過させる多数の材料を含んでよい。本発明の技法の実施形態では、マトリックスは、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリメチルペンテン(PMP)、セルロース系ポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、またはこれらの組合せなどの材料から作製してよい。その他の実施形態では、プラスチックマトリックス38は、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリN−ビニルカルバゾール、液晶ポリマー(LCP)、ポリシロキサン、ポリホスファゼン、ポリイミド、エポキシド、フェノール樹脂、またはこれらの組合せなどの材料を含んでよい。
【0033】
これらの材料は、かなり多くの加工技法によって、特定の実施形態に必要とされる可能性がある非常に小さな画素サイズに形成してもよい。そのような技法には、とりわけ射出成形、溶媒流延、熱成形、または反応性射出成形を含めてよい。当業者なら、本発明の開示の範囲内にある限り、任意のその他のプラスチック加工技法を使用してよいことが理解されよう。さらに、プラスチックマトリックス38は、現在使用されている材料に比べ、切断による損傷に対してより耐え得るので、小画素アセンブリを形成するのに現行のダイシング技法を使用してもよい。本発明の技法のある実施形態では、プラスチックマトリックス38が液晶ポリマー(LCP)などの等方性材料でよいので、ダイシングが必ずしも必要ではない可能性もある。これらのマトリックスでは、光透過は、シンチレータの正面から光検出器構成部品に向かうようなある方向で好まれまたは促進させることができ、それと共に、シンチレータ内の横方向または左右方向などのその他の方向では好まれずまたは阻止される。
【0034】
B.光透過の最大化
透明プラスチックマトリックス38の選択に加え、シンチレータ18を通る光透過は、2つの方法、すなわち、ナノスケール粒子40を使用することによって、また屈折率を一致させることによって、最大化してよい。シンチレーション材料のナノスケール粒子40は、シンチレータ内での散乱光を避けるため、できる限り小さく保持してよい。例えば、いくつかの実施例では、粒子のサイズは約100nm未満でよい。さらに、ナノスケール粒子40は、等方性もしくは球形でよく、または異方性でよい。粒子が異方性である場合、散乱を決定するための妥当なサイズは、入射光の方向に垂直な粒子の断面積である。この断面積が小さいままである場合、入射光の方向に配列された異方性粒子を使用することによって、光透過を著しく低下させることなくシステムの変換効率を高めることができる。
【0035】
光透過を最大化するため第2の技法は、シンチレータ放出の波長で、プラスチックマトリックスの屈折率とシンチレーション材料の屈折率とを一致させることである。以下の表1は、本発明の技法の例示的な実施形態で使用してもよいシンチレーション材料の屈折率を列挙する。これらの値の範囲は、1.8〜1.9である。ある実施形態では、これらの屈折率は、マトリックス材料38の適切な選択によって、一致させることができる。その他の実施形態では、屈折率は、二酸化チタンのナノスケール粒子42をプラスチックマトリックスに含めることによって、一致させることができる。これらの粒子は、光を散乱させるには小さ過ぎ、したがって、シンチレータを通した光透過を妨げることがない。しかし、二酸化チタン粒子42の添加は、プラスチックマトリックスの屈折率を増大させることができる。この実施形態では、必要とされる二酸化チタン粒子42の量を制御することによって、シンチレーション材料のナノスケール粒子40の屈折率が一致するように、プラスチックマトリックス38の屈折率を調節することができる。その他の実施形態では、酸化タンタルまたは酸化ハフニウムのナノスケール粒子を使用して、マトリックス材料とシンチレーション材料の屈折率を一致させることができる。シンチレーション材料のナノスケール粒子40に使用される材料は、適切なシンチレーション特性を有しかつナノスケール粒子に作製することが可能な、任意の化合物でよい。
【0036】
C.ナノスケール粒子用のシンチレーション材料
本発明の実施形態で使用してよい材料には、金属酸化物、金属オキシハライド、金属オキシサルファイド、または金属ハロゲン化物が含まれる。例えば、実施形態では、シンチレーション材料は、一般式:YSiO:Ce;YSi:Ce;LuAlO:Ce;LuSiO:Ce;GdSiO:Ce;YA1O:Ce;ZnO:Ga;CdWO;LuPO:Ce;PbWO;BiGe12;CaWO;(Y1−xGd:Eu;REA112:Ce(式中、REは、少なくとも1種の希土類金属である。);またはこれらの組合せを有する金属酸化物でよい。別の実施形態では、酸化物に加えまたは酸化物の代わりに、GdS:Tb、またはGdS:Prなどの1種または複数の金属オキシサルファイドを、シンチレーション材料に含めてもよい。その他の実施形態では、シンチレーション材料は、LaOX:Tb(式中、XはCl、Br、またはIである。)の一般式を有する金属オキシハライドでよい。
【0037】
その他の実施形態では、シンチレータ材料は、M(X):Y(式中、Mは、La、Na、K、Rb、Csの少なくとも1種であり;各Xは、独立して、F、Cl、Br、またはIであり;Yは、Tl、Tb、Na、Ce、Pr、およびEuの少なくとも1種であり;nは、1から4までを含めた整数である。)の一般式を有する金属ハロゲン化物でよい。そのような蛍光体には、例えば、とりわけLaC1:CeおよびLaBr:Ceを含めてよい。その他の実施形態では、シンチレータ材料は、先の蛍光体の代わりにまたは先の蛍光体に加えて、[La(1−x)Ce][Cl(1−y−z)Br(y−z)(式中、x、z、(1−y−z)、および(y−z)は、0から1に及んでよい。)を含んでよい。本発明の実施形態で使用してよいその他の金属ハロゲン化物種には、LaCl:Ce、RbGd:Ce、CeF、BaF、CsI(Na)、CaF:Eu、LiI:Eu、CsI、CsF、CsI:Tl、NaI:Tl、およびこれらの組合せが含まれる。ハロゲン化物様化学種、例えばCdS:In、およびZnSを、本発明の実施形態で使用してもよい。
【0038】
様々な例示的なシンチレーション材料の、関連ある性質を、以下の表1に詳述する。これらの例は、ナノスケールシンチレーション材料として用いてもよい材料の、例示的な性質を示すだけであり、本発明の開示範囲を限定しようとするものではない。当業者なら、本発明の開示範囲内にある限り、上述の、その他のシンチレーション材料のナノスケール粒子を使用してよいことが理解されよう。
【0039】
【表1】

【0040】
D.ナノスケール粒子のコーティング
表1に示されるように、いくつかのシンチレーション材料は、その吸湿性が中程度から非常に高く、大気から水を吸収するときに分解する傾向がある。さらに、シンチレーション材料のナノスケール粒子40は、プラスチックマトリックス38との適合性に欠けている可能性があり、加工中に凝集する可能性がある。これらの作用は共に、マトリックスに組み込む前に粒子40をコーティングすることによって、低減させることができる。コーティングは、低分子リガンドまたは高分子リガンドを含んでよい。例示的な低分子リガンドには、オクチルアミン、オレイン酸、酸化トリオクチルホスフィン、またはトリアルコキシシランを含めてよい。当業者なら、本明細書に列挙されるものに加え、またはそのような列挙されるものに代えて、その他の低分子リガンドを使用してよいことが理解されよう。粒子40は、ナノスケール粒子40の表面から合成してもよくまたはナノスケール粒子40の表面に添加してもよい高分子リガンドで、コーティングしてもよい。
【0041】
図5は、粒子40の表面からポリマー鎖を成長させることによる、粒子40のコーティングの例を示す。この図では、ナノスケール粒子40は、粒子40上にポリマー開始部位52が形成されるように、ポリマー開始化合物を添加することによって、機能的になる。ある実施形態では、そのようなポリマー開始化合物に、とりわけアミン、カルボン酸、またはアルコキシシランを含めてよい。当業者なら、本明細書に列挙されるものに加えまたは列挙されるものに代えて、その他のポリマー開始化合物が機能できることが理解されよう。粒子40を開始化合物で機能化したら、モノマーを溶液に添加して、開始部位52からポリマーまたはオリゴマー鎖54を成長させてもよい。粒子40の回りに形成されるシェル56の最終的なサイズは、開始部位52の数および溶液に添加されたモノマーの量に依存することになる。当業者なら、これらのパラメータは、所望の結果に合わせて調節してよいことが、理解されよう。
【0042】
図6は、ポリマー58で粒子40をコーティングした例を示す。この場合、ポリマー鎖は、粒子と相互作用するように選択してよく、ランダムコポリマーおよびブロックコポリマーを含んでよい。後者の場合、粒子40と相互作用するように1つのモノマー鎖を選択してよいが、その他のモノマー鎖は、ポリマーマトリックスと相互作用するように選択してよい。ある実施形態では、ポリマーコーティングは、とりわけアミン、カルボン酸、およびアルコキシシランなどの基を含んでよい。当業者なら、その他の基も効果的になり得ることが理解されよう。
【0043】
III.ナノスケール粒子の作製
いくつかの異なる手順を、ナノスケール粒子40を生成するのに用いることができる。例えば、本明細書に記述される金属酸化物種のナノスケール粒子40は、以下の図7および8に関して詳述される、マイクロエマルジョンゾルゲル法によって調製することができる。本明細書に記述される、その他の実施形態で使用される金属オキシハライドまたはオキシサルファイド種のナノスケール粒子40は、以下の図9および10に関して詳述されるプロセスによって、調製される。さらに、本明細書に記述されるその他の実施形態で使用される、金属ハロゲン化物種のナノルケール粒子は、以下の図11から14に関して詳述されるように、イオン液体を使用して調製することができる。
【0044】
これらのプロセスの大部分は、粒子のサイズを制御するのにマイクロエマルジョンの性質を利用する。マイクロエマルジョンでは、細かく分散した溶媒の液滴が、油中水などの別の非混和性溶媒に懸濁される。液滴は、界面活性剤などの両親媒性分子を添加することによって安定化し、2種の適合性のない溶媒同士の界面エネルギーを低下させる。両親媒性分子の量は、液滴および得られる粒子のサイズを制御することができる。油中水構成では、水滴が、典型的にはナノメートル範囲で寸法決めされ、最終的な粒子を形成する反応体として使用することができる。金属ハロゲン化物などの、水に感受性のある材料の場合、マイクロエマルジョンは、水の代わりにイオン液体を使用して形成することができる。
【0045】
A.金属酸化物
図7は、金属酸化物シンチレーション材料のナノスケール粒子40を形成するための、ゾルゲルベースのマイクロエマルジョン法のブロック図である。この手順では、水性ゾル溶液66と、界面活性剤68を含有する有機溶液70とを合わせることによって、第1のマイクロエマルジョン72を形成する。
【0046】
この例では、水性ゾル溶液66は、ブロック62に示されるように、最初に1種または複数のシリケート化合物、金属塩、および/または有機金属60をアルコールに溶解することによって、形成される。次いで水性酸溶液64をアルコール溶液に添加して、シリケートを一部加水分解することにより、ゾル溶液66の形成が行われる。例示的な実施形態では、使用されるアルコールは1−ヘキサノールである。当業者なら、例えば1から10個の炭素を含有する直鎖または分岐鎖アルカンベースのアルコールなど、その他のアルコールを用いてよいことが理解されよう。例示的な実施形態では、シリケート化合物が、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)、またはこれらの組合せでよい。当業者なら、ゾル溶液前駆体用にその他のシリケートを使用してよいことが、理解されよう。さらに、異なるマトリックスを有する化合物を形成するために、その他の前駆体を、シリケートに加えてまたはシリケートに代えて使用してよい。例えば、酸化アルミニウムマトリックスを有するシンチレーション化合物を形成するには、例えばトリエチルアルミニウムまたは金属(テトラエチルアルミニウム)を含めたアルミニウム含有化合物を使用することができ、その金属には、ランタノイド、第1族金属、第2族金属、第3族金属、第6族金属、第12族金属、第13族金属、第14族金属、および第15族金属からなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンが含まれる。その他の実施形態では、例えば(Y1−xGd:EuまたはPbWOなど、金属の可溶性の塩を、シリケートをまったく添加せずに使用することができる。シリケート前駆体なしで金属塩を使用する場合、酸64の代わりに水性塩基を用いて、一部ゲル化溶液を形成することができる。この実施形態では、塩基78を、手順から省略してよい。
【0047】
選択された金属塩は、所望の最終的な金属酸化物に依存する。例示的な実施形態では、金属塩は、Y(NOおよびCe(NOである。当業者なら、異なる金属塩を選択することを要求することがあるこのプロセスを使用することによって、その他の金属酸化物シンチレーション材料を作製してよいことが理解されよう。例えば、PbWOなどのシンチレーション化合物を製造するには、そのような塩にPb(NOおよびWClまたはW(OCを含めてよい。当業者なら、それぞれ独立したシンチレーション化合物は、適切な前駆体塩を選択する必要があることが理解されよう。
【0048】
第1のマイクロエマルジョン72の第2の成分は、ブロック70に示される有機溶媒に界面活性剤68を溶解することによって形成される。例示的な実施形態では、界面活性剤は、ICI AmericasからIgepal(商標)CO−520として入手可能なポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルである。当業者なら、とりわけ芳香族エトキシレート;ICI AmericasからBrij(商標)として入手可能なポリエチレングリコールドデシルエーテル;ICI AmericasからTween(商標)として入手可能なソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤;ICI AmericasからSpan(商標)として入手可能なポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤;またはアルキルフェノールなどの界面活性剤を含めた、任意の数の界面活性剤を用いてよいことが理解されよう。例示的な実施形態では、有機溶媒がn−ヘキサンである。当業者なら、アルキルまたはアリール溶媒を含めた任意の数のその他の有機溶媒を使用してよいことが、理解されよう。
【0049】
第2のマイクロエマルジョン80は、ブロック76に示されるように、界面活性剤74を有機溶媒に溶解し、次いで水性塩基の溶液78を添加することによって形成される。例示的な実施例では、界面活性剤は、ICI AmericasからIgepal(商標)CO−520として入手可能なポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルでよい。しかし上記にて論じたように、任意の数のその他の界面活性剤を、本発明の開示範囲内にある限り、用いてよい。例示的な実施形態では、n−ヘキサンを溶媒として使用する。当業者なら、アルキルまたはアリール溶媒を含めた任意の数のその他の有機溶媒を使用してよいことが、理解されよう。本発明の技法のある実施形態では、水性塩基が水酸化アンモニウムである。当業者なら、本発明の開示範囲内にある限り、その他の水性塩基溶液を用いてよいことが理解されよう。
【0050】
第1のマイクロエマルジョン72および第2のマイクロエマルジョン80を、ブロック82に示されるように合わせて、シンチレーション材料用の金属酸化物前駆体を含有するゾルゲルの、ナノスケールの液滴を含有する別のマイクロエマルジョンを形成する。ゾルゲル材料の粒子は、ブロック84に示されるように、合わせたマイクロエマルジョンから単離してよい。例示的な実施形態では、この単離は、凍結乾燥によって行うことができる。当業者なら、粒子を単離するために、とりわけ加圧濾過および遠心分離を含めたその他の技法を用いてもよいことが理解されよう。単離後、粒子を焼成して、金属酸化物シンチレータの最終的なナノスケール粒子を形成することができる。この焼成は、典型的には900〜1400℃に制御された雰囲気中で、1分から10時間にわたって行われる。当業者なら、焼成に必要な精密な条件は、粒度および選択される材料に左右されることが理解されよう。
【0051】
図8は、ある実施形態による、金属酸化物ベースのシンチレータを形成するための別の手順のブロック図である。この手順では、1種または複数のシリケート化合物および1種または複数の有機金属塩86を、ブロック88に示すように有機溶媒に溶解して、シリケート/金属塩溶液90を形成する。例示的な実施形態では、シリケート化合物は、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)、またはこれらの組合せでよい。当業者なら、その他のシリケートをゾル溶液前駆体に使用してよいことが理解されよう。選択される金属塩は、最終的な所望の金属酸化物に左右される。例示的な実施形態では、有機金属塩がヘキサン酸イットリウムまたはカルボン酸イットリウムである。当業者なら、異なる金属塩を選択する必要があると考えられるがこのプロセスを使用して、先に列挙されたようなその他の金属酸化物シンチレーション材料を作製できることが理解されよう。
【0052】
次いで界面活性剤92を、ブロック94に示されるように有機溶媒に溶解する。水96をこの溶液に添加して、マイクロエマルジョン98を形成する。例示的な実施形態では、界面活性剤は、ICI AmericasからIgepal(商標)CO−520として入手可能なポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルである。当業者なら、とりわけ芳香族エトキシレート;ICI AmericasからBrij(商標)として入手可能なポリエチレングリコールドデシルエーテル;ICI AmericasからTween(商標)として入手可能なソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤;ICI AmericasからSpan(商標)として入手可能なポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤;またはアルキルフェノールなどの界面活性剤を含めた、任意の数の界面活性剤を用いてよいことが理解されよう。例示的な実施形態では、有機溶媒がn−ヘキサンである。当業者なら、アルキルまたはアリール溶媒を含めた任意の数のその他の有機溶媒を使用してよいことが、理解されよう。
【0053】
シリケートおよび/または金属塩溶液90を加熱し、符号100によって示されるように、マイクロエマルジョン98にゆっくりと添加して、金属酸化物前駆体を含有するゾルゲル粒子を形成することができる。ブロック102に示されるように、これらの粒子は、凍結乾燥などによってマイクロエマルジョンから単離することができる。当業者なら、とりわけ加圧濾過および遠心分離を含め、粒子を単離するのにその他の技法を用いてもよいことが理解されよう。単離後、粒子を焼成して、金属酸化物シンチレータの最終的なナノスケール粒子を形成することができる。この焼成は、典型的には900〜1400℃の制御雰囲気中で、1分から10時間にわたり行われる。当業者なら、焼成に必要な精密な条件は、粒度および選択される材料に左右されることが理解されよう。
【0054】
B.金属オキシハライドおよびオキシサルファイド
金属オキシハライドまたは金属オキシサルファイドシンチレーション材料のナノスケール粒子を形成するのに使用してよい方法を、図9のブロック図に示す。この方法では、ブロック106に示されるように、金属塩104を水に溶解する。本発明の技法の実施形態では、金属塩がLa(NOおよびCe(NOである。当業者なら、異なる金属塩を選択する必要があるがこの方法を使用して、その他の金属オキシハライドまたは金属オキシサルファイドシンチレーション材料を作製できることが理解されよう。そのような金属塩は、標準的な周期表の第2、3、13、14、および15族から選択された金属および金属の組合せを含んでよい。本発明の技法の実施形態では、水を留去してもよく、そうでない場合には、イオン汚染物質が除去されるように精製してもよい。
【0055】
次いで水性塩基108を水溶液に添加して、金属イオンを含有するゲルを沈殿させる。本発明の技法の実施形態では、水性塩基が水酸化アンモニウムである。当業者なら、本発明の開示範囲内にある限り、その他の水性塩基溶液を用いてよいことが理解されよう。ブロック110に示されるように、沈殿ゲルを洗浄して、過剰な遊離イオンを除去することができる。ゲルを、ブロック112に示されるように加熱し攪拌し、次いでブロック120に示されるようにオーブン乾燥して、ナノスケール結晶性沈殿物を形成することができる。例えばHCl、HBr、またはHSなどの水素陰イオンガスを、ブロック114に示されるように水に通してバブリングして、水素陰イオンガスを水に溶かした飽和溶液118を形成する。次いでブロック122に示されるように、水飽和水素陰イオンガス118が流れるオーブン内で、乾燥したナノスケール結晶性沈殿物をアニールすることにより、最終的な金属ハロゲン化物を形成することができる。その他の実施形態では、HFまたはHIを、適切な加熱および/または水分除去しながら使用することができる。さらにその他の実施形態では、上記にて詳述された手順を使用して、例えばGdS:TbまたはGdS:Prなどのオキシサルファイド材料を形成することができる。この実施形態では、ゲルを上述のように形成し、次いでHSで飽和した水を流しながらアニールすることによって、最終的なオキシサルファイド相を形成する。別の実施形態では、金属オキシサルファイドは、例えば硝酸ガドリニウムなどの金属塩104を、乳化剤として第3級ブチルスルフィドを含有する炭酸プロピレンに溶解することによって形成してもよい。金属塩溶液を水106に添加して、ミセルを形成する。ミセルは、塩基108を添加することによって沈殿し、次いで溶液から単離し、120に示されるようにオーブン乾燥する。アニールプロセス中の、水飽和水素陰イオンガス流122の使用は、この実施形態では任意選択でよい。
【0056】
金属オキシハライドまたは金属オキシサルファイドを形成するための代替の手順を、図10のブロック図に示す。この手順では、有機金属塩124を、ブロック126に示されるように有機溶媒に溶解する。本発明の技法の実施形態では、有機金属塩は、La(OR)およびCe(OR)である(式中、Rは、1から12個の炭素のアルキル基である。)。当業者なら、異なる金属塩を選択する必要があると考えられるがこの方法を使用して、その他の金属オキシハライドまたは金属オキシサルファイドシンチレーション材料を作製してよいことが理解されよう。そのような金属塩には、ランタノイドと、標準的な周期表の第1、2、3、13、14、および15族から選択された金属と、これら金属の組合せを含めてよい。例示的な実施形態では、有機溶媒がn−ヘキサンである。当業者なら、アルキルまたはアリール溶媒を含めた任意の数のその他の有機溶媒を用いてよいことが、理解されよう。
【0057】
マイクロエマルジョン136は、ブロック132に示されるように界面活性剤130を有機溶媒に溶解し、次いでこの溶液にハロゲン化アンモニウム134を添加することによって、調製される。本発明の技法の実施形態では、界面活性剤は、ICI AmericasからIgepal(商標)CO−520として入手可能なポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテルである。当業者なら、とりわけ芳香族エトキシレート;ICI AmericasからBrij(商標)として入手可能なポリエチレングリコールドデシルエーテル;ICI AmericasからTween(商標)として入手可能なソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤;ICI AmericasからSpan(商標)として入手可能なポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤;またはアルキルフェノールなどの界面活性剤を含めた、任意の数の界面活性剤を用いてよいことが理解されよう。例示的な実施形態では、有機溶媒がn−ヘキサンである。当業者なら、アルキルまたはアリール溶媒を含めた任意の数のその他の有機溶媒を使用してよいことが、理解されよう。本発明の技法の実施形態では、アンモニアハロゲン化物が、NHCl、NHBr、NHI、NHF、またはこれらの組合せでよい。
【0058】
その他の実施形態では、例えばGdS:TbまたはGdS:Prなどのオキシサルファイドを形成するのに、図10に詳述される手順を使用してよい。この実施形態では、出発金属有機塩は、−OR基の1個または複数が−SR基で置換されている硫黄化合物を含んでよい。そのような化合物の例は、Gd(OR)(SR)でよい。あるいは、チオアセトアミドまたはその他の硫黄含有種を、ハロゲン化アンモニア化合物の代わりに使用して、オキシサルファイド種を形成することができる。
【0059】
有機金属塩を含有する溶液を、ブロック128に示されるように加熱し、次いで138により示されるように、マイクロエマルジョン136にゆっくりと添加して、金属オキシハライドまたはオキシサルファイド前駆体の粒子を形成することができる。ブロック140に示されるように、これらの粒子は、凍結乾燥によってマイクロエマルジョンから単離することができる。当業者なら、粒子を単離するのに、とりわけ加圧濾過および遠心分離を含めたその他の技法を用いてよいことが、理解されよう。
【0060】
単離後、粒子を焼成して、金属酸化物シンチレータの最終的なナノスケール粒子を形成してもよい。この焼成は、典型的には、900から1400℃に制御された雰囲気中で、1分から10時間にわたって行われる。当業者なら、焼成に必要とされる厳密な条件は、粒度および選択される材料に左右されることが理解されよう。
【0061】
C.金属ハロゲン化物を作製するためのイオン液体の使用
上記にて論じた、金属酸化物および金属オキシハライドシンチレーション化合物の形成手順は、シンチレータ用のナノスケール粒子を形成するのに水を用いる。しかし、これは、非常に吸湿性のある金属ハロゲン化物シンチレータなど、水に感受性のある材料にとって可能ではない。そのような材料の例には、NaI:Tl、CsI:Tl、およびCsI:Naハロゲン化物塩を含めてよい。これらの材料の場合、イオン液体および有機溶媒から作製されたマイクロエマルジョンを用いてよい。イオン液体は、水と同様の性質を有する新しい種類の、極性が強い非水性溶媒である。例えば、NaCl中のナトリウムをバルク状のイミダゾリウム陽イオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムで置換することにより、融点が−75℃のイオン性の塩様液体が誘発され、それが水の代わりをすることができる。この特徴は、吸湿性材料の調製の際に著しい利点を与え、一般的な水溶性反応体の使用が可能になる。イオン液体は、水に関して既に述べたように、マイクロエマルジョンを形成するのに使用してよく、有機溶媒中のイオン液体のナノスケールの液体の懸濁液が、界面活性剤の添加によって安定化する。ナノスケールの液滴は、形成される金属ハロゲン化物粒子のサイズを制御するために、反応体として使用してもよい。
【0062】
イオン液体に使用してもよい、可能性ある陽イオンを、以下に示す。
【0063】
【化1】

【0064】
これらの構造では、R〜Rは、とりわけ−CH、−CHCH、または−CHCHCHなどのアルキル基でよい。イオン液体を形成するのに使用してもよい、可能性ある陰イオンを、以下に示す。
【0065】
【化2】

【0066】
これらの構造では、Rは、とりわけ−CH、−CHCH、または−CHCHCHなどのアルキル基でよい。本発明の技法の実施形態では、用いてよいイオン液体には、とりわけ塩化イミダゾリウムまたは臭化イミダゾリウムが含まれる。当業者なら、関係ある特定の陰イオンおよび陽イオンの選択は、融点、溶解、および溶液に望まれるその他の性質に左右されることが理解されよう。
【0067】
図11は、本発明の技法の実施形態による、金属ハロゲン化物のナノスケール粒子を形成するための、イオン液体を利用する手順のブロック図である。この手順では、金属溶液142は、1種または複数の金属塩144をイオン液体146に溶解することによって形成される。本発明の技法の実施形態では、そのような金属塩には、ランタン、セリウム、ルビジウム、ガドリニウム、バリウム、セシウム、カルシウム、ユーロピウム、インジウム、プラセオジム、テルビウム、タリウム、およびこれらの組合せを含めてよい。当業者なら、数多くのその他の金属ハロゲン化物種のナノスケール粒子を作製するのに、この手順を使用してもよいことが理解され、選択される特定の金属は、望まれる最終生成物に左右されることになる。そのような金属には、例えば、ランタノイド、または標準の周期表の第1、2、3、13、14、または15族から選択された金属、または金属の組合せを含めてよい。用いられるイオン液体は、上記にて論じたように選択することができる。
【0068】
ハロゲン化物溶液148は、ハロゲン化物塩150を第2のイオン液体152に溶解することによって、調製される。この第2のイオン液体は、第1のイオン液体と同一でよく、または上述のように異なるイオン液体を選択してもよい。本発明の技法の実施形態では、ハロゲン化物塩は、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、またはこれらの組合せでよい。当業者なら、NRY(式中、各Rは、独立して、水素化物、アルキル、アリール、またはハロゲン化物であるよう選択され、Yは、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、またはこれらの組合せでよい。)の一般式を有する材料を含めた、その他のハロゲン化物タイプの陰イオン源化合物を使用してよいことが、理解されよう。さらに、その他の実施形態では、例えば硫黄などのハロゲン化物と同様に反応する陰イオンを提供する、その他の化合物を使用してよい。そのような化合物には、例えば、硫化アンモニウム、チオアセトアミド、チオ尿素、または同様の化合物を含めてよい。
【0069】
2種の溶液を、154に示されるように合わせて、最終的なナノスケール粒子156を形成する。混合は、形成される粒度が最適になるように、ゆっくりと行ってよい。当業者なら、加熱、超音波処理、またはその他の技法などによって、反応を加速させるために、このプロセス中にエネルギーを加えてもよいことが理解されよう。本発明の技法の実施形態では、粒子は、ブロック158に示されるように、濾過、相分離、凍結乾燥、またはマイクロエマルジョンから固体生成物を単離するのに使用できる任意のその他の技法によって、溶液から単離することができる。
【0070】
図12は、本発明の技法の実施形態による、金属ハロゲン化物のナノスケール粒子を形成するための、別の手順のブロック図である。この手順では、有機金属溶液160は、1種または複数の有機金属塩162を有機溶媒164に溶解することによって、形成される。例示的な実施形態では、有機溶媒がn−ヘキサンである。当業者なら、アルキルまたはアリール溶媒を含めた任意の数のその他の有機溶媒を用いてよいことが、理解されよう。本発明の技法の実施形態では、そのような有機金属塩には、ランタン、プラセオジム、セリウム、テルビウム、タリウム、ユーロピウム、およびこれらの組合せを含めてよい。当業者なら、この手順は、多数のその他の金属ハロゲン化物種のナノスケール粒子を作製するのに使用してよいことが理解され、選択される特定の金属は、望まれる最終生成物に左右されることになる。そのような金属には、例えば、ランタノイド、および標準の周期表の第1、2、3、13、14、または15から選択された金属、または金属の組合せを含めてよい。有機溶液に可溶な金属陽イオンを作製するのに使用される有機陰イオンには、1種または複数の独立に選択されたアルコキシ基、−OR(式中、Rは、1から10個の炭素を含有する炭素鎖である。)を含めてよい。
【0071】
次いでハロゲン化物マイクロエマルジョン166を、ハロゲン化物溶液168と界面活性剤溶液170とを混合することによって調製する。ハロゲン化物溶液168は、図11のブロック148に関して上記にて述べた技法を使用して調製される。界面活性剤溶液170は、界面活性剤を有機溶媒に溶解することによって、形成される。本発明の技法の実施形態では、界面活性剤は、とりわけICI AmericasからIgepal(商標)CO−520として入手可能なポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル;芳香族エトキシレート;ICI AmericasからBrij(商標)として入手可能なポリエチレングリコールドデシルエーテル;ICI AmericasからTween(商標)として入手可能なソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤;ICI AmericasからSpan(商標)として入手可能なポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤;またはアルキルフェノールでよい。例示的な実施形態では、有機溶媒がn−ヘキサンである。当業者なら、アルキルまたはアリール溶媒を含めた任意の数のその他の有機溶媒を使用してよいことが、理解されよう。
【0072】
有機金属溶液160を、172によって示されるように、ハロゲン化物マイクロエマルジョン166と組み合わせて、金属ハロゲン化物のナノスケール粒子174を形成する。混合は、形成される粒度が最適化されるように、ゆっくりと行ってよい。当業者なら、エネルギーは、加熱、超音波処理、遠心分離、またはその他の技法などによって、反応を加速させるのに加えてもよいことが理解されよう。本発明の技法の実施形態では、ナノスケール粒子を、ブロック176に示されるように、濾過、相分離、凍結乾燥、またはマイクロエマルジョンから固体生成物を単離するのに使用してよい任意のその他の技法によって、溶液から単離することができる。
【0073】
図13は、本発明の技法の実施形態による、金属ハロゲン化物のナノスケール粒子を形成するのに使用してもよい、別の技法を示すブロック図である。この手順では、金属マイクロエマルジョン180を、金属溶液182と界面活性剤溶液184とを混合することによって調製する。金属溶液182は、図11のブロック142に関して既に述べたような技法によって、調製される。界面活性剤溶液184は、図12の170に関して既に述べた技法によって、調製される。次いでハロゲン化物ガス178を、186によって示されるように、金属マイクロエマルジョン180に通してバブリングして、金属ハロゲン化物のナノスケール粒子188を形成することができる。本発明の技法の実施形態では、ハロゲン化物ガスは、Cl、Br、F、または熱を加えた状態の、Iでよい。当業者なら、加熱、超音波処理、またはその他の技法などによって、反応を加速させるためにこのプロセス中にエネルギーを加えてよいことが理解されよう。本発明の技法の実施形態では、ナノスケール粒子は、ブロック190に示されるように、濾過、相分離、凍結乾燥、またはマイクロエマルジョンから固体生成物を単離するのに使用してもよい任意のその他の技法によって、溶液から単離することができる。
【0074】
図14は、本発明の技法の実施形態による、金属およびハロゲン化物前駆体の両方がマイクロエマルジョンに含有されている金属ハロゲン化物種を形成するための、別の方法のブロック図である。金属マイクロエマルジョン192は、図13のブロック180に関して既に述べたように、金属溶液194と界面活性剤溶液196とを合わせることによって調製してもよい。ハロゲン化物マイクロエマルジョン198は、図12のブロック166に関して既に述べたように、ハロゲン化物溶液200と界面活性剤溶液202とを合わせることによる技法によって、調製してもよい。マイクロエマルジョン192および198を、204によって示されるように合わせて、金属ハロゲン化物のナノスケール粒子206を形成する。当業者なら、加熱、超音波処理、またはその他の技法などによって、反応を加速させるためにこのプロセス中にエネルギーを加えてよいことが、理解されよう。本発明の技法の実施形態では、ナノスケール粒子を、ブロック208に示されるように、濾過、相分離、凍結乾燥、またはマイクロエマルジョンから固体生成物を単離するのに使用してよい任意のその他の技法によって、溶液から単離することができる。
【0075】
IV.その他の適用
本発明の技法のシンチレータは、医療用撮像装置での適用に限定されない。確かに、これらの装置は、放射線の検出にシンチレーションが必要な、多数の構造に使用することができる。そのような適用の例を、図15および16に示す。
【0076】
図15は、人体または物品に放射能汚染物質または密輸品が存在するかを検出するための、セキュリティスキャナの図である。スキャナは、1個または複数のシンチレーション検出アセンブリ212を収容することができるフレーム210を含む。これらのシンチレーション検出アセンブリ212は、本発明の技法の実施形態によれば、光検出器と併せて、埋め込まれたシンチレーション材料のナノスケール粒子を含有するプラスチックマトリックスを含んでよい。この図に示されるように、フレーム210を通過する物品内の、放射性物質の位置の凡その見当をつけるために、多数のパネルを使用してもよい。本発明の技法の実施形態では、放射性物質を検出したときに警報が1回鳴るように、警報装置214を構成してもよい。その他の実施形態では、検出された密輸品の位置またはタイプを決定するために、警報装置214に加えてまたは代えて、解析および制御システム216を使用してもよい。
【0077】
本発明の技法のシンチレータに関する別の適用例は、地下放射能を決定するための検出器にある。この使用を、図16の図面に示す。この図では、坑井(well bore)218内に、ボアホール内を低下していく検出器ユニット220がある。検出器ユニット220は、本発明の技法の実施形態によれば、光検出器または光検出器アレイと併せて、埋め込まれたシンチレーション材料のナノスケール粒子を含有するプラスチックマトリックスから作製してもよい、シンチレーション検出器アセンブリ222を収容する。検出器ユニット220は、ケーブル224によって地表と接続されており、このケーブルが、検出器アセンブリ222から、地表に位置する信号解析および制御ユニット226に信号を伝達する。検出器ユニット220は、石油採掘の適用例で、ならびにとりわけ放射性物質を予測するなどのその他の適用例で、使用してもよい。
【0078】
本発明の特定の特徴のみについて、本明細書に例示し記述してきたが、多くの修正例および変更例を、当業者なら思い浮かべるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神に含まれる限り、そのような修正例および変更例のすべてを包含するものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0079】
10 医療用撮像システム
12 スライドテーブル
13 データ解析および制御システム
14 フレーム
16 アパーチャ
18 シンチレータ
20 シンチレータアセンブリ
22 画素
34 光検出器アレイ
40 ナノスケール粒子
54 オリゴマー鎖
56 シェル
210 フレーム
212 シンチレーション検出アセンブリ
214 警報装置
216 解析および制御システム
218 坑井
220 検出器ユニット
224 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込まれたシンチレーション材料のナノスケール粒子を含むプラスチックマトリックスを含むシンチレータ。
【請求項2】
前記プラスチックマトリックスが、等方性熱可塑性樹脂、異方性熱可塑性樹脂、等方性熱硬化性樹脂、または異方性熱硬化性樹脂の少なくとも1種を含む、請求項1記載のシンチレータ。
【請求項3】
前記プラスチックマトリックスが、シンチレーション材料の屈折率に一致するよう前記プラスチックマトリックスの屈折率を増大させるのに十分な量で、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、またはこれらの組合せの少なくとも1種のナノスケール粒子を含む、請求項1記載のシンチレータ。
【請求項4】
前記プラスチックマトリックスが、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリメチルペンテン、セルロース系ポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリN−ビニルカルバゾール、液晶ポリマー(LCP)、ポリシロキサン、ポリホスファゼン、ポリイミド、エポキシド、フェノール樹脂、またはこれらの組合せの少なくとも1種を含む、請求項1記載のシンチレータ。
【請求項5】
前記シンチレータ材料のナノスケール粒子が、約100nm未満のサイズである、請求項1記載のシンチレータ。
【請求項6】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、金属酸化物、金属オキシハライド、金属オキシサルファイド、金属ハロゲン化物、およびこれらの組合せからなる群から選択された材料を含む、請求項1記載のシンチレータ。
【請求項7】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、(Y,Gd):Eu;YSiO:Ce;YSi:Ce;LuAlO:Ce;LuSiO:Ce;GdSiO:Ce;YA1O:Ce;ZnO:Ga;CdWO;LuPO:Ce;PbWO;BiGe12;CaWO;GdS:Tb;GdS:Pr;(RE)Al12:Ce(式中、REは、少なくとも1種の希土類金属である。)の一般式;またはこれらの組合せを有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項1記載のシンチレータ。
【請求項8】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、LaOX:Tbの一般式(式中、Xは、Cl、Br、I、およびこれらの組合せからなる群から選択される。)を有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項1記載のシンチレータ。
【請求項9】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、一般式[La(1−x)Ce][Cl(l−y−z)Br(y−z)(式中、0≦x≦1;0≦(1−y−z)≦1;0≦z≦1;および0≦(y−z)≦1である。)を有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、MX:Yの一般式(式中、Mは、La、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;Xは、F、Cl、Br、I、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種のハロゲン化物を含み;Yは、Tl、Tb、Na、Ce、Pr、Eu、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;nは、1から4までを含めた整数である。)を有する蛍光体を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、LnX:Ceの一般式(式中、各Xは、独立して、Cl、Br、またはI;RbGd:Ce;CeF、BaF、CsI(Na)、CaF:Eu、LiI:Eu、CsI、CsF、CsI:Tl、NaI:Tl、CdS:In、ZnS、またはこれらの組合せである。)を有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、前記プラスチックマトリックス中に組み込まれる前に、プラスチック樹脂または有機化合物の少なくとも1種でコーティングされる、請求項1記載のシンチレータ。
【請求項13】
埋め込まれたシンチレーション材料のナノスケール粒子を含むプラスチックマトリックスと、
前記プラスチックマトリックスに取着され、前記プラスチックマトリックス内で発生した光子を検出するように構成されている、1個または複数の光検出器と
を含む、シンチレーション検出システム。
【請求項14】
前記プラスチックマトリックスが、等方性熱可塑性樹脂、異方性熱可塑性樹脂、等方性熱硬化性樹脂、または異方性熱硬化性樹脂の少なくとも1種を含む、請求項13記載のシンチレーション検出システム。
【請求項15】
前記プラスチックマトリックスが、前記シンチレーション材料の屈折率に一致するように前記プラスチックマトリックスの屈折率を増大させるのに十分な量で、二酸化チタンのナノスケール粒子を含む、請求項13記載のシンチレーション検出システム。
【請求項16】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、金属酸化物、金属オキシハライド、金属オキシサルファイド、金属ハロゲン化物、およびこれらの組合せからなる群から選択された材料を含む、請求項13記載のシンチレーション検出システム。
【請求項17】
前記プラスチックマトリックスが個別のセル内に形成され、前記個別のセルのそれぞれが対応する光検出器に取着されている、請求項13記載のシンチレーション検出システム。
【請求項18】
前記プラスチックマトリックスが個別のセルに切断され、前記個別のセルのそれぞれが対応する光検出器に取着されている、請求項13記載のシンチレーション検出システム。
【請求項19】
前記プラスチックマトリックスが等方的であり、前記プラスチックマトリックスの等方的な配列は、一般に、光を、前記シンチレーション材料のナノスケール粒子から前記プラスチックマトリックスに取着された1個または複数の光検出器に向ける、請求項13記載のシンチレーション検出システム。
【請求項20】
前記プラスチックマトリックスが等方的であり、前記プラスチックマトリックスの等方的な配列は、一般に、1個または複数の光検出器の表面に対して実質的に水平な方向で、光透過を抑制する、請求項13記載のシンシレーション検出システム。
【請求項21】
前記1個または複数の光検出器が、光電子増倍管、フォトダイオード、フォトトランジスタ、または電荷結合アレイ素子の少なくとも1種を含む、請求項31記載のシンチレーション検出システム。
【請求項22】
埋め込まれたシンチレーション材料のナノスケール粒子を含むプラスチックマトリックスを含むシンチレータ、および
前記シンチレータに取着され、前記シンチレータにより発生した光子に応答して信号を生成するように構成された光検出装置
を含む、シンチレーション検出システムと、
前記シンチレーション検出システムによって生成された信号を解析するように構成された信号処理システムと
を含む、放射線検出および解析システム。
【請求項23】
陽電子放出トモグラフィ(PET)撮像装置、コンピュータトモグラフィ(CT)撮像装置、単陽電子放出コンピュータトモグラフィ(SPECT)システム、マンモグラフィシステム、トモシンセシスシステム、または一般X線ベースのX線写真システムの1種を含む、請求項22記載の放射線検出および解析システム。
【請求項24】
放射性の密輸品を検出するためのセキュリティスキャナを含む、請求項22記載の放射線検出および解析システム。
【請求項25】
地下で使用するための放射線検出器を含む、請求項22記載の放射線検出および解析システム。
【請求項26】
前記プラスチックマトリックスが、前記シンチレーション材料の屈折率に一致するよう前記プラスチックマトリックスの屈折率を増大させるのに十分な量で、二酸化チタンのナノスケール粒子を含む、請求項22記載の放射線検出および解析システム。
【請求項27】
前記プラスチックマトリックスが、等方性熱可塑性樹脂、異方性熱可塑性樹脂、等方性熱硬化性樹脂、または異方性熱硬化性樹脂の少なくとも1種を含む、請求項22記載の放射線検出および解析システム。
【請求項28】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、金属酸化物、金属オキシハライド、金属オキシサルファイド、金属ハロゲン化物、およびこれらの組合せからなる群から選択された材料を含む、請求項22記載の放射線検出および解析システム。
【請求項29】
シンチレーション材料のナノスケール粒子をプラスチックマトリックスに埋め込むステップと、
前記プラスチックマトリックスに、光子を電気信号に変換するよう構成された1個または複数の素子を含む光検出器を取着するステップと
を含む、シンチレーション検出器の製造方法。
【請求項30】
前記プラスチックマトリックスが、等方性熱可塑性樹脂、異方性熱可塑性樹脂、等方性熱硬化性樹脂、または異方性熱硬化性樹脂の少なくとも1種を含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記プラスチックマトリックスが、前記シンチレーション材料の屈折率に一致するように前記プラスチックマトリックスの屈折率を増大させるのに十分な量で、二酸化チタンのナノスケール粒子を含む、請求項29記載の方法。
【請求項32】
前記プラスチックマトリックスが、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリメチルペンテン、セルロース系ポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリN−ビニルカルバゾール、液晶ポリマー(LCP)、ポリシロキサン、ポリホスファゼン、ポリイミド、エポキシド、フェノール樹脂、またはこれらの組合せの少なくとも1種を含む、請求項29記載の方法。
【請求項33】
前記シンチレータ材料のナノスケール粒子が、約100nm未満のサイズである、請求項29記載の方法。
【請求項34】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、金属酸化物、金属オキシハライド、金属オキシサルファイド、金属ハロゲン化物、およびこれらの組合せからなる群から選択さた材料を含む、請求項29記載の方法。
【請求項35】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、(Y,Gd):Eu;YSiO:Ce;YSi:Ce;LuAlO:Ce;LuSiO:Ce;GdSiO:Ce;YA1O:Ce;ZnO:Ga;CdWO;LuPO:Ce;PbWO;BiGe12;CaWO;GdS:Tb;GdS:Pr;(RE)Al12:Ce(式中、REは、少なくとも1種の希土類金属である。)の一般式;またはこれらの組合せを有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項29記載の方法。
【請求項36】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、LaOX:Tb(式中、Xは、Cl、Br、I、およびこれらの混合物からなる群から選択される。)の一般式を有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項29記載の方法。
【請求項37】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、一般式[La(1−x)Ce][Cl(l−y−z)Br(y−z)(式中、0≦x≦1;0≦(1−y−z)≦1;0≦z≦1;および0≦(y−z)≦1である。)を有する蛍光体を含む、請求項29記載の方法。
【請求項38】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、MX:Yの一般式(式中、Mは、La、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;Xは、F、Cl、Br、I、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種のハロゲン化物を含み;Yは、Tl、Tb、Na、Ce、Pr、Eu、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;nは、1から4までを含めた整数である。)を有する蛍光体を含む、請求項29記載の方法。
【請求項39】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、LaCl:Ce、RbGd:Ce、CeF、BaF、CsI(Na)、CaF:Eu、LiI:Eu、CsI、CsF、CsI:Tl、NaI:Tl、CdS:In、ZnSの一般式、またはこれらの組合せを有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項29記載の方法。
【請求項40】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、前記プラスチクマトリックスに組み込む前に、プラスチック樹脂または有機化合物の少なくとも1種でコーティングされる、請求項29記載のシンチレータ。
【請求項41】
前記1個または複数の光検出器が、光電子増倍管、フォトダイオード、フォトトランジスタ、または電荷結合アレイ素子の少なくとも1種を含む、請求項29記載の方法。
【請求項42】
前記プラスチックマトリックスが個別のセルに形成され、前記個別のセルのそれぞれが、前記光検出器システムの1個または複数の素子の中の対応する素子に取着される、請求項29記載の方法。
【請求項43】
前記プラスチックマトリックスが個別のセルに切断され、前記個別のセルのそれぞれが、前記光検出器システムの1個または複数の素子の中の対応する素子に取着される、請求項29記載の方法。
【請求項44】
前記プラスチックマトリックスが等方的であり、前記プラスチックマトリックスの等方的な配列は、一般に、光を、前記シンチレーション材料のナノスケール粒子から前記プラスチックマトリックスに取着された1個または複数の光検出器に向ける、請求項29記載の方法。
【請求項45】
前記プラスチックマトリックスが等方的であり、前記プラスチックマトリックスの等方的な配列は、一般に、1個または複数の光検出器の表面に対して実質的に水平な方向で、光透過を抑制する、請求項29記載の方法。
【請求項46】
1種または複数の金属塩を含む第1の溶液、および1種または複数のハロゲン化物前駆体を含む第2の溶液を合わせて、ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を形成するステップと、
前記ナノスケール粒子を、前記合わせた第1および第2の溶液から単離するステップと
を含む、ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子の作製方法。
【請求項47】
前記第1および前記第2の溶液が共にイオン液体を含み、各イオン液体は、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、テトラアルキルアンモニウム、スルホニウム、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の陽イオンと、アルキルスルフェート、トシレート、メタンスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、ハロゲン化物、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の陰イオンとを含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記1種または複数の金属塩が、ランタノイド、第1族元素、第2族元素、第3族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンを含む、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記1種または複数の金属塩が、ランタン、セリウム、プラセオジム、テルビウム、タリウム、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンを含む、請求項46記載の方法。
【請求項50】
前記1種または複数のハロゲン化物前駆体が、一般式NRY(式中、各Rは、独立して、水素化物、アルキル、アリール、およびハロゲン化物からなる群から選択され;Yは、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、およびこれらの組合せからなる群から選択された陰イオンを含む。)の少なくともハロゲン化物種を含む、請求項46記載の方法。
【請求項51】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、MX:Yの一般式(式中、Mは、La、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;Xは、F、Cl、Br、I、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種のハロゲン化物を含み;Yは、Tl、Tb、Na、Ce、Pr、Eu、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;nは、1から4までを含めた整数である。)を有する蛍光体を含む、請求項46記載の方法。
【請求項52】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、一般式[La(1−x)Ce][Cl(l−y−z)Br(y−z)(式中、0≦x≦1;0≦(1−y−z)≦1;0≦z≦1;および0≦(y−z)≦1である。)を有する蛍光体を含む、請求項46記載の方法。
【請求項53】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、LaCl:Ce、RbGd:Ce、CeF、BaF、BaF、CsI:Na、CaF:Eu、LiI:Eu、CsI、CsF、CsI:Tl、NaI:Tl、CdS:In、ZnSの一般式、またはこれらの組合せを有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項46記載の方法。
【請求項54】
前記ハロゲン化物系シンチレータ材料のナノスケール粒子が、約100nm未満のサイズである、請求項46記載の方法。
【請求項55】
マイクロエマルジョンを作製するステップと、
前記マイクロエマルジョン中に、前記ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を形成するステップと、
前記粒子を前記マイクロエマルジョンから単離するステップと
を含む、ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子の作製方法。
【請求項56】
前記ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子が、水素ハロゲン化ガスを前記マイクロエマルジョン内にバブリングすることによって形成される、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記マイクロエマルジョンを作製するステップが、
界面活性剤を有機溶媒に添加して界面活性剤溶液を形成するステップと、
1種または複数の金属塩をイオン液体に溶解してイオン溶液を形成するステップと、
界面活性剤溶液とイオン溶液とを混合してマイクロエマルジョンを形成するステップと
を含む、請求項55記載の方法。
【請求項58】
前記界面活性剤が、芳香族エトキシレート、ポリエチレングリコールドデシルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、またはアルキルフェノールの少なくとも1種を含む、請求項55記載の方法。
【請求項59】
前記有機溶媒が、短鎖アルカンまたはアレーンの少なくとも1種を含む、請求項55記載の方法。
【請求項60】
前記1種または複数の金属塩が、ランタノイド、第1族元素、第2族元素、第3族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンを含む、請求項55記載の方法。
【請求項61】
前記1種または複数の金属塩が、ランタン、セリウム、プラセオジム、テルビウム、タリウム、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンを含む、請求項55記載の方法。
【請求項62】
前記イオン液体が、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、テトラアルキルアンモニウム、スルホニウム、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の陽イオンと、アルキルスルフェート、トシレート、メタンスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、ハロゲン化物、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の陰イオンとを含む、請求項55記載の方法。
【請求項63】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、MX:Yの一般式(式中、Mは、La、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;Xは、F、Cl、Br、I、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種のハロゲン化物を含み;Yは、Tl、Tb、Na、Ce、Pr、Eu、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;nは、1から4までを含めた整数である。)を有する蛍光体を含む、請求項55記載の方法。
【請求項64】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、一般式[La(1−x)Ce][Cl(l−y−z)Br(y−z)(式中、0≦x≦1;0≦(1−y−z)≦1;0≦z≦1;および0≦(y−z)≦1である。)を有する蛍光体を含む、請求項55記載の方法。
【請求項65】
前記ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子が、約100nm未満のサイズである、請求項55記載の方法。
【請求項66】
第1のマイクロエマルジョンを作製するステップと、
1種または複数の金属有機物塩を含む溶液を、前記第1のマイクロエマルジョンに添加して、第2のマイクロエマルジョンを形成するステップと、
前記ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を、前記第2のマイクロエマルジョンから単離するステップと
を含む、ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子の作製方法。
【請求項67】
前記1種または複数の金属塩が、ランタノイド、第1族元素、第2族元素、第3族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンを含む、請求項66記載の方法。
【請求項68】
前記1種または複数の有機金属塩が、ランタン、セリウム、プラセオジム、テルビウム、タリウム、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンと、一般式OR(式中、Rは1から12個の炭素のアルキル基である。)の陽イオンとを含む、請求項66記載の方法。
【請求項69】
前記溶液が、短鎖アルカンおよびアレーンからなる群から選択された有機溶媒を含む、請求項66記載の方法。
【請求項70】
前記第1のマイクロエマルジョンを作製するステップが、
界面活性剤を第2の有機溶媒に添加して界面活性剤溶液を形成するステップと、
1種または複数のハロゲン化物塩をイオン液体に溶解してイオン溶液を形成するステップと、
前記界面活性剤溶液と前記イオン液体とを混合してマイクロエマルジョンを形成するステップと
含む、請求項66記載の方法。
【請求項71】
前記界面活性剤が、芳香族エトキシレート、ポリエチレングリコールドデシルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、またはアルキルフェノールの少なくとも1種を含む、請求項70記載の方法。
【請求項72】
前記第2の有機溶媒が、短鎖アルカンまたはアレーンの少なくとも1種を含む、請求項70記載の方法。
【請求項73】
前記ハロゲン化物塩が、一般式NRY(式中、各Rは、独立して、水素化物、アルキル、アリール、およびハロゲン化物からなる群から選択され;Yは、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、およびこれらの組合せからなる群から選択された陰イオンを含む。)の少なくともハロゲン化物種を含む、請求項70記載の方法。
【請求項74】
前記第1のイオン液体が、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、テトラアルキルアンモニウム、スルホニウム、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の陽イオンと、アルキルスルフェート、トシレート、メタンスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、ハロゲン化物、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の陰イオンとを含む、請求項70記載の方法。
【請求項75】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、MX:Yの一般式(式中、Mは、La、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;Xは、F、Cl、Br、I、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種のハロゲン化物を含み;Yは、Tl、Tb、Na、Ce、Pr、Eu、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;nは、1から4までを含めた整数である。)を有する蛍光体を含む、請求項66記載の方法。
【請求項76】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、一般式[La(1−x)Ce][Cl(l−y−z)Br(y−z)(式中、0≦x≦1;0≦(1−y−z)≦1;0≦z≦1;および0≦(y−z)≦1である。)を有する蛍光体を含む、請求項66記載の方法。
【請求項77】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、LaCl:Ce、RbGd:Ce、CeF、BaF、BaF、CsI:Na、CaF:Eu、LiI:Eu、CsI、CsF、CsI:Tl、NaI:Tl、CdS:In、ZnSの一般式、またはこれらの組合せを有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項66記載の方法。
【請求項78】
前記ハロゲン化物系シンチレータ材料のナノスケール粒子が、約100nm未満のサイズである、請求項66記載の方法。
【請求項79】
第1のマイクロエマルジョンを形成するステップと、
第2のマイクロエマルジョンを形成するステップと、
前記第1のマイクロエマルジョンおよび前記第2のマイクロエマルジョンを合わせて、複合マイクロエマルジョンを形成するステップと、
前記ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を前記合わせたマイクロエマルジョンから単離するステップと
を含む、ハロゲン化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子の作製方法。
【請求項80】
前記第1のマイクロエマルジョンを形成するステップが、
第1の界面活性剤を第1の有機溶媒に溶解して、第1の界面活性剤溶液を形成するステップと、
1種または複数のハロゲン化物塩を第1のイオン液体に溶解して、第1の溶液を形成するステップと、
前記第1の溶液および前記第1の界面活性剤溶液を混合して、前記第1のマイクロエマルジョンを形成するステップと
を含む、請求項79記載の方法。
【請求項81】
前記第1の界面活性剤が、芳香族エトキシレート、ポリエチレングリコールドデシルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、またはアルキルフェノールの少なくとも1種を含む、請求項80記載の方法。
【請求項82】
前記第1の有機溶媒が、短鎖アルカンまたはアレーンを含む、請求項80記載の方法。
【請求項83】
前記1種または複数のハロゲン化物塩が、一般式NRY(式中、各Rは、
独立して、水素化物、アルキル、アリール、およびハロゲン化物からなる群から選択され;Yは、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、およびこれらの組合せからなる群から選択された陰イオンを含む。)の少なくともハロゲン化物種を含む、請求項80記載の方法。
【請求項84】
前記第1のイオン液体が、イミダゾリイウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、テトラアルキルアンモニウム、スルホニウム、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の陽イオンと、アルキルスルフェート、トシレート、メタンスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、ハロゲン化物、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の陰イオンとを含む、請求項80記載の方法。
【請求項85】
前記第2のマイクロエマルジョンを形成するステップが、
第2の界面活性剤を第2の有機溶媒に添加して、第2の界面活性剤溶液を形成するステップと、
1種または複数の金属塩を第2のイオン液体に溶解して、第2の溶液を形成するステップと、
前記第2の溶液および前記第2の界面活性剤溶液を混合して、第2のマイクロエマルジョンを形成するステップと
を含む、請求項79記載の方法。
【請求項86】
前記第2の界面活性剤が、芳香族エトキシレート、ポリエチレングリコールドデシルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル界面活性剤、またはアルキルフェノールの少なくとも1種を含む、請求項85記載の方法。
【請求項87】
前記第2の有機溶媒が、短鎖アルカンまたはアレーンを含む、請求項85記載の方法。
【請求項88】
前記1種または複数の金属塩が、ランタノイド、第1族元素、第2族元素、第3族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンを含む、請求項85記載の方法。
【請求項89】
前記1種または複数の金属塩が、ランタン、セリウム、プラセオジム、テルビウム、タリウム、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンを含む、請求項85記載の方法。
【請求項90】
前記第2のイオン液体が、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、テトラアルキルアンモニウム、スルホニウム、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の陽イオンと、アルキルスルフェート、トシレート、メタンスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、ハロゲン化物、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の陰イオンとを含む、請求項85記載の方法。
【請求項91】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、MX:Yの一般式(式中、Mは、La、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;Xは、F、Cl、Br、I、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種のハロゲン化物を含み;Yは、Tl、Tb、Na、Ce、Pr、Eu、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;nは、1から4までを含めた整数である。)を有する蛍光体を含む、請求項79記載の方法。
【請求項92】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、一般式[La(1−x)Ce][Cl(l−y−z)Br(y−z)(式中、0≦x≦1;0≦(1−y−z)≦1;0≦z≦1;および0≦(y−z)≦1である。)を有する蛍光体を含む、請求項79記載の方法。
【請求項93】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、LaCl:Ce、RbGd:Ce、CeF、BaF、BaF、CsI:Na、CaF:Eu、LiI:Eu、CsI、CsF、CsI:Tl、NaI:Tl、CdS:In、ZnSの一般式、またはこれらの組合せを有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項79記載の方法。
【請求項94】
前記ハロゲン化物系シンチレータ材料のナノスケール粒子が、約100nm未満のサイズである、請求項79記載の方法。
【請求項95】
サイズが約100nm未満である金属ハロゲン化物のナノスケール粒子を含む、結晶性シンチレータ。
【請求項96】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、MX:Yの一般式(式中、Mは、La、Na、K、Rb、Cs、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;Xは、F、Cl、Br、I、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種のハロゲン化物を含み;Yは、Tl、Tb、Na、Ce、Pr、Eu、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属イオンを含み;nは、1から4までを含めた整数である。)を有する蛍光体を含む、請求項95記載の結晶性シンチレータ。
【請求項97】
前記シンチレーション材料のナノスケール粒子が、一般式[La(1−x)Ce][Cl(l−y−z)Br(y−z)(式中、0≦x≦1;0≦(1−y−z)≦1;0≦z≦1;および0≦(y−z)≦1である。)を有する蛍光体を含む、請求項95記載の結晶性シンチレータ。
【請求項98】
第1のマイクロエマルジョンを形成するステップと、
第2のマイクロエマルジョンを形成するステップと、
前記第1および前記第2のマイクロエマルジョンを混合して溶液を形成するステップと、
前記溶液から前駆体粒子を単離するステップと、
前記前駆体粒子から、前記酸化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を形成するステップと
を含む、酸化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子の作製方法。
【請求項99】
前記第1のマイクロエマルジョンを形成するステップが、
金属前駆体溶液を形成するステップと、
第1の界面活性剤を第1の有機溶媒に溶解して、第1の界面活性剤溶液を形成するステップと、
前記金属前駆体溶液を前記第1の界面活性剤溶液に添加するステップと
を含む、請求項98記載の方法。
【請求項100】
前記第1の界面活性剤が、芳香族エトキシレート、ポリエチレングリコールドデシルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、またはアルキルフェノールを含む、請求項99記載の方法。
【請求項101】
前記第1の有機溶媒が、短鎖アルカンまたはアレーンを含む、請求項99記載の方法。
【請求項102】
前記金属前駆体溶液を形成するステップが、
1種または複数の金属塩をアルコールに溶解して、アルコール溶液を形成するステップと、
前記アルコール溶液にマトリックス化合物を溶解するステップと
を含む、請求項99記載の方法。
【請求項103】
前記金属前駆体溶液を形成するステップが、前記アルコール溶液に酸性水溶液を添加するステップを含む、請求項102記載の方法。
【請求項104】
前記1種または複数の金属塩が、ランタノイド、第2族金属、第3族金属、第6族金属、第12族金属、第13族金属、第14族金属、第15族金属、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンを含む、請求項102記載の方法。
【請求項105】
前記マトリックス化合物が、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)、またはこれらの組合せの少なくとも1種を含む、請求項102記載の方法。
【請求項106】
前記マトリックス化合物が、トリアルキルアルミニウム;金属(テトラアルキルアルミニウム)であって前記金属がランタノイド、第2族元素、第3族元素、第6族元素、第12族元素、第13族元素、第14族元素、および第15族元素からなる群から選択された少なくとも1種の陰イオンを含むもの;およびこれらの組合せからなる群から選択された、少なくとも1種の化合物を含む、請求項102記載の方法。
【請求項107】
前記マトリックス化合物が、第2族元素、第3族元素、第6族元素、第12族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素;およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む、請求項102記載の方法。
【請求項108】
前記1種または複数の金属塩が、イットリウム、ルテニウム、ゲルマニウム、ガドリニウム、亜鉛、ランタン、セリウム、ユーロピウム、テルビウム、プラセオジム、タリウム、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンを含む、請求項102記載の方法。
【請求項109】
前記アルコールが、3から10個の炭素の直鎖状または分岐状アルキルアルコールを含む、請求項102記載の方法。
【請求項110】
前記酸性水溶液が、硝酸または硫酸を含む、請求項103記載の方法。
【請求項111】
前記第2のマイクロエマルジョンを形成するステップが、
第2の有機溶媒に溶解させた第2の界面活性剤を含む、第2の界面活性剤溶液を形成するステップと、
前記第2の界面活性剤溶液および塩基水溶液を混合して、前記第2のマイクロエマルジョンを形成するステップと
を含む、請求項98記載の方法。
【請求項112】
前記第2の界面活性剤が、芳香族エトキシレート、ポリエチレングリコールドデシルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、またはアルキルフェノールの少なくとも1種を含む、請求項111記載の方法。
【請求項113】
前記第2の有機溶媒が、短鎖アルカンまたはアレーンの少なくとも1種を含む、請求項111記載の方法。
【請求項114】
前記塩基水溶液がNHOHを含む、請求項111記載の方法。
【請求項115】
前記前駆体粒子から、酸化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を形成するステップが、前記前駆体粒子を焼成するステップを含む、請求項98記載の方法。
【請求項116】
前記酸化物系シンチレーション材料が、(Y,Gd):Eu;YSiO:Ce;YSi:Ce;LuAlO:Ce;LuSiO:Ce;GdSiO:Ce;YA1O:Ce;ZnO:Ga;CdWO;LuPO:Ce;PbWO;BiGe12;CaWO;(RE)Al12:Ce(式中、REは、少なくとも1種の希土類金属である。)の一般式;またはこれらの組合せを有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項98記載の方法。
【請求項117】
前記酸化物系シンチレータ材料のナノスケール粒子が、約100nm未満のサイズである、請求項98記載の方法。
【請求項118】
有機金属溶液を形成するステップと、
第1のマイクロエマルジョンを形成するステップと、
前記有機金属溶液を加熱し、前記有機金属溶液を前記第1のマイクロエマルジョンにゆっくり添加して、第2のマイクロエマルジョンを形成するステップと、
前記第2のマイクロエマルジョン溶液から前駆体粒子を単離するステップと、
前記前駆体粒子から、前記酸化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を形成するステップと
を含む、酸化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子の作製方法。
【請求項119】
前記有機金属溶液を形成するステップが、
マトリックス化合物を第1の有機溶媒に溶解して、有機溶液を形成するステップと、
1種または複数の有機金属塩を前記有機溶液に溶解して、前記有機金属溶液を形成するステップと
を含む、請求項118記載の方法。
【請求項120】
前記マトリックス化合物が、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、テトラメチルオルトシリケート(TMOS)、またはこれらの組合せを含む、請求項119記載の方法。
【請求項121】
前記マトリックス化合物が、トリアルキルアルミニウム;金属(テトラアルキルアンモニウム)であって、前記金属が、ランタノイド、第2族元素、第3族元素、第6族元素、第12族元素、第13族元素、第14族元素、および第15族元素からなる群から選択された少なくとも1種の陰イオンを含むもの;およびこれらの組合せからなる群から選択された、少なくとも1種の化合物を含む、請求項119記載の方法。
【請求項122】
前記マトリックス化合物が、第2族元素、第3族元素、第6族元素、第12族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含む、請求項119記載の方法。
【請求項123】
前記第1の有機溶媒が、短鎖アルカンまたはアレーンの少なくとも1種を含む、請求項119記載の方法。
【請求項124】
前記1種または複数の有機金属塩が、ランタノイド、第2族元素、第3族元素、第6族元素、第12族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンを含む、請求項119記載の方法。
【請求項125】
前記1種または複数の有機金属塩が、ランタン、セリウム、テルビウム、タリウム、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンと、一般式OR(式中、Rは、1から12個の炭素のアルキル基である。)の少なくとも1種の陽イオンとを含む、請求項119記載の方法。
【請求項126】
前記第1のマイクロエマルジョンを形成するステップが、
界面活性剤を第2の有機溶媒に溶解して、界面活性剤溶液を形成するステップと、
水および前記界面活性剤溶液を混合して、前記第1のマイクロエマルジョンを形成するステップと
を含む、請求項118記載の方法。
【請求項127】
前記界面活性剤が、芳香族エトキシレート、ポリエチレングリコールドデシルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、またはアルキルフェノールの少なくとも1種を含む、請求項126記載の方法。
【請求項128】
前記第2の有機溶媒が、短鎖アルカンまたはアレーンの少なくとも1種を含む、請求項126記載の方法。
【請求項129】
前記前駆体粒子から、酸化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子を形成するステップが、前記前駆体粒子を焼成するステップを含む、請求項118記載の方法。
【請求項130】
前記酸化物系シンチレーション材料が、(Y,Gd):Eu;YSiO:Ce;YSi:Ce;LuAlO:Ce;LuSiO:Ce;GdSiO:Ce;YA1O:Ce;ZnO:Ga;CdWO;LuPO:Ce;PbWO;BiGe12;CaWO;GdS:Tb;GdS:Pr;(RE)Al12:Ce(式中、REは、少なくとも1種の希土類金属である。)の一般式;またはこれらの組合せを有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項118記載の方法。
【請求項131】
前記酸化物系シンチレーション材料のナノスケール粒子が、約100nm未満のサイズである、請求項118記載の方法。
【請求項132】
塩基水溶液を、1種または複数の金属塩を含む水溶液に添加して、前記1種または複数の金属塩を含有するゲルを沈殿させるステップと、
前記ゲルから遊離イオンを除去するステップと、
前記ゲルを加熱するステップと、
前記ゲルを乾燥して、前記オキシハライドまたはオキシサルファイドタイプのシンチレーション材料のナノスケール粒子を形成するステップと
を含む、オキシハライドまたはオキシサルファイドタイプのシンチレーション材料のナノスケール粒子の作製方法。
【請求項133】
前記1種または複数の金属塩が、ランタノイド、第2族元素、第3族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンを含む、請求項132記載の方法。
【請求項134】
前記1種または複数の金属塩が、ランタン、セリウム、テルビウム、タリウム、ガドリニウム、ユーロピウム、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンを含む、請求項132記載の方法。
【請求項135】
前記塩基水溶液がNHOHを含む、請求項132記載の方法。
【請求項136】
前記ゲルを乾燥するステップが、前記ゲルを、陰イオン源ガスの水飽和雰囲気中で加熱するステップを含む、請求項132記載の方法。
【請求項137】
前記陰イオン源ガスが、HS、HCl、HBr、HI、またはHFの少なくとも1種を含む、請求項132記載の方法。
【請求項138】
前記オキシハライドまたはオキシサルファイド系シンチレーション材料が、LaO(I,Br,Cl,またはF):Tbの一般式を有する蛍光体を含む、請求項132記載の方法。
【請求項139】
前記オキシハライドまたはオキシサルファイド系シンチレーション材料のナノスケール粒子が、約100nm未満のサイズである、請求項132記載の方法。
【請求項140】
第1のマイクロエマルジョンを形成するステップと、
溶液を前記第1のマイクロエマルジョン添加しながら、前記溶液を加熱して、第2のマイクロエマルジョンを形成するステップと、
前記第2のエマルジョンから前駆体粒子を形成するステップと、
前記前駆体粒子から、前記オキシハライドまたはオキシサルファイドタイプのシンチレーション材料のナノスケール粒子を形成するステップと
を含む、オキシハライドまたはオキシサルファイドタイプのシンチレーション材料のナノスケール粒子の作製方法。
【請求項141】
前記溶液が、第2族元素、第3族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンを含む、1種または複数の有機金属塩を含む、請求項140記載の方法。
【請求項142】
前記溶液が、ランタン、セリウム、テルビウム、タリウム、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種の金属陰イオンと、−OR、−SR、およびこれらの組合せからなる群から選択された陽イオン(式中、Rは、1から12個の炭素のアルキル基である。)とを含む、1種または複数の有機金属塩を含む、請求項140記載の方法。
【請求項143】
前記溶液が、短鎖アルカンまたはアレーンの少なくとも1種を含む第1の有機溶媒を含む、請求項140記載の方法。
【請求項144】
前記第1のマイクロエマルジョンを形成するステップが、
界面活性剤を第2の有機溶媒に溶解して、界面活性剤溶液を形成するステップと、
陰イオン源の水溶液および前記界面活性剤溶液を混合して、前記第1のマイクロエマルジョンを形成するステップと
を含む、請求項140記載の方法。
【請求項145】
前記界面活性剤が、芳香族エトキシレート、ポリエチレングリコールドデシルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、またはアルキルフェノールの少なくとも1種を含む、請求項144記載の方法。
【請求項146】
前記第2の有機溶媒が、短鎖アルカンまたはアレーンの少なくとも1種を含む、請求項144記載の方法。
【請求項147】
前記陰イオン源が、NHI、NHF、NHCl、NHBr、チオアセトアミド、チオ尿素、およびこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも化合物を含む、請求項144記載の方法。
【請求項148】
前記前駆体粒子から、前記オキシハライドタイプのシンチレーション材料のナノスケール粒子を形成するステップが、前記前駆体粒子を焼成するステップを含む、請求項140記載の方法。
【請求項149】
前記オキシハライドまたはオキシサルファイドタイプのシンチレーション材料が、LaO(I,Br,Cl,F):Tb、GdS:Tb、GdS:Prの一般式、またはこれらの組合せを有する少なくとも1種の蛍光体を含む、140記載の方法。
【請求項150】
前記オキシハライドまたはオキシサルファイドタイプのシンチレーション材料のナノスケール粒子が、約100nm未満のサイズである、請求項140記載の方法。
【請求項151】
サイズが100nm未満である、金属酸化物系蛍光体のナノスケール粒子を含む、結晶性シンチレーション検出材料。
【請求項152】
前記金属酸化物系シンチレーション材料が、(Y,Gd):Eu;YSiO:Ce;YSi:Ce;LuAlO:Ce;LuSiO:Ce;GdSiO:Ce;YA1O:Ce;ZnO:Ga;CdWO;LuPO:Ce;PbWO;BiGe12;CaWO;(RE)Al12:Ce(式中、REは、少なくとも1種の希土類金属である。)の一般式;またはこれらの組合せを有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項151記載の結晶性シンチレーション検出材料。
【請求項153】
サイズが100nm未満である、金属オキシハライドまたは金属オキシサルファイドタイプの材料のナノスケール粒子を含む、結晶性シンチレーション検出材料。
【請求項154】
LaO(F,Cl,Br,I):Tb、GdS:Tb、GdS:Prの一般式、またはこれらの組合せを有する少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項153記載の結晶性シンチレーション検出材料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公表番号】特表2010−522806(P2010−522806A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501027(P2010−501027)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/051917
【国際公開番号】WO2008/118523
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】