説明

シートモールディングコンパウンド

【課題】優れた機械特性を有する成形物を容易に製作可能なシートモールディングコンパウンドを提供する。
【解決手段】本発明のシートモールディングコンパウンド1は、平面Pを形成する幅Wおよび長さLと、幅Wおよび長さLに比べると極めて薄い厚さTとを有しており、繊維片5とポリマー材料のマトリックス6とで構成され各集合体の最大の引張強度の分布方向FRが前記平面Pにおいてランダムに分布している第一群の集合体3、および繊維片5とポリマー材料のマトリックス6とで構成され各集合体の最大の引張強度の分布方向FRが、前記平面Pにおける所定の方向FBに沿って主に分布している少なくとも1つの第二群の集合体3を含む。前記少なくとも1つの第二群の集合体4は、最大の引張強度の分布方向以外の少なくとも1つの特性が第一群の集合体3と異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートコンパウンドの分野に関する。このような材料は、当該技術分野ではシートモールディングコンパウンドとして一般的に知られている。
【背景技術】
【0002】
この用語には限定的な定義が与えられる場合があるが、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載の「シートモールディングコンパウンド」は広義であり、一方向の寸法が他の二方向の寸法よりも極めて短く、後述する様々な種類の強化繊維と、後述する少なくとも1種のポリマー材料のマトリックスとを含む材料のことをいう。すなわち、この用語は、特定の繊維や特定のマトリックス用樹脂を含むものとして限定的に解釈されたり、フィラー(例えば、樹脂系フィラー、バインダーおよび他の添加剤など)または異なる組成物の支持体もしくは層を必ず必要とするものとして、または排除するものとして解釈されたりすべきでない。
【0003】
モールディングコンパウンドは、構造繊維(例えばカーボン)をポリマー材料のマトリックス内に含むものが知られている。
【0004】
一方向繊維または織り繊維を含むシートモールディングコンパウンドは、成形物の重要な方向に沿った機械強度特性を、良好に制御することができるが、鋳型への充填性が良好でない。他方、遊離繊維(ルーズファイバ)を含むモールディングコンパウンドは、鋳型への充填性は良好であるが、繊維の局所密度および成形物における繊維の分布方向を良好に制御することができない。
【0005】
この点を克服するために、繊維片の集合体、例えば繊維片の実質上2次元のパッチまたは3次元の小片を含んだモールディングコンパウンドが知られている。この集合体の繊維片は、通常、互いに並行に配置されるか、または織り構造で配置される。
【0006】
繊維片の集合体を含むモールディングコンパウンドは、圧縮成形に特に適している。なぜなら、この種のモールディングコンパウンドおよびその繊維片は、ポリマー材料のマトリックスが粘性のある時に鋳型内を流動可能なので、成形物が複雑な形状である場合にも、鋳型への充填性が向上するからである。集合体の形状および寸法は、製作する物品の形状および寸法に応じて選択されるので、繊維の方向、つまり、機械強度特性を、様々な方向に沿って適宜制御することが可能である。
【0007】
特許文献1には、一方向繊維のパッチを1つ以上の所望の方向に分布させることが可能な、3次元の棒状のモールディングコンパウンドが開示されている。しかし、このようなコンパウンドから得られる物品の表面仕上がりは、パッチの3次元流動に由来する層間剥離が生じて極めて粗末になることに出願人は気付いた。さらに、パッチの3次元の分布方向の制御が実際には困難であることに出願人は気付いた。また、成形時の流動により、当初の繊維の分布方向が無駄になってしまうので、明確な機械特性を持たない成形物が仕上がることになる。
【0008】
特許文献2には、一方向繊維のパッチがランダムに配置されるか、またはシート平面のほぼ同一の方向に配置された、シートモールディングコンパウンドが開示されている。
【0009】
特許文献3には、一方向繊維のパッチが相互侵入層を形成するように配置されたシートモールディングコンパウンドが開示されている。当該特許文献によると、様々な形状および寸法のパッチが表面においてランダムに分布した成形物、または局所異方性などの特定の強度特性を有する局所領域が得られるように、特定の形状または寸法のパッチが特定の箇所において配置または方向付された成形物を製作することができる。出願人は、当該特許文献の教示内容に従って成形物を製作するのは極めて厄介であることに気付いた。なぜなら、異方性領域を設ける位置の精密な制御が必要であり、かつ、このような位置はパッチの流動によって変化してしまい、期待の機械特性を得ることが困難だからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願第0916477号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第0415436号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/030906号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、優れた機械特性を有する成形物を容易に製作可能なシートモールディングコンパウンドが必要とされている。
【0012】
詳細には、本発明の基本的な技術的課題は、目的の成形物が複雑な形状な場合でも鋳型への充填性が良好であり、かつ、全方向において機械的な引張強度を十分に有するシートモールディングコンパウンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の構成は、幾何平面を形成する幅および長さと、幅および長さに比べると極めて薄い厚さとを有するシートモールディングコンパウンドに関するものである。このシートモールディングコンパウンドは、繊維片とポリマー材料のマトリックスとで構成され各集合体の最大の引張強度の分布方向が、前記幾何平面においてランダムに分布している第一群の集合体、および繊維片とポリマー材料のマトリックスとで構成され各集合体の最大の引張強度の分布方向が、前記幾何平面における所定の方向に沿って主に分布している少なくとも1つの第二群の集合体を含み、前記少なくとも1つの第二群の集合体は、最大の引張強度の分布方向以外の少なくとも1つの特性が第一群の集合体と異なっている。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「幅および長さ」という用語は、シートモールディングコンパウンドの正方形状を排除するような限定的な意味で解釈されるべきでない。しかしながら、好ましくは、シートモールディングコンパウンドは直方形状であり、より好ましくは、巻取り可能な帯状である。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、「主な分布方向」または「分布方向が主に分布」とは、第二群の集合体の各集合体の最大の引張強度の方向が(製造公差からの逸脱したものは定義に含めない)、所定の方向を中心とした所定の角度範囲内に含まれる方向の1つに該当することを指す。前記の所定の角度範囲としては、好ましくは±40°であり、より好ましくは±30°である。
【0016】
集合体に基づく構造により、本発明のシートモールディングコンパウンドは、鋳型に対する良好な充填性を有する。第一群の集合体により、本発明のシートモールディングコンパウンドは、当該シートモールディングコンパウンドの平面の全方向における機械引張強度がゼロでない。他方、第二群の集合体により、本発明のシートモールディングコンパウンドは、主な分布方向において高い機械的な引張強度を有する。したがって、本発明のシートモールディングコンパウンドは、主な分布方向の荷重にさらされる成形物を製作するのに特に適している。というのも、出願人は、このような成形物では、通常、主な荷重は他の方向の小さい荷重成分に分割されるため、これら他の方向においても最小限かつ一定の強度を有する必要があることに気付いた。さらに、本発明のシートモールディングコンパウンドが成形物を製作するのに特に適している理由は他にもある。このような成形物が実際に使用されると、通常は理論的な公称荷重のみを単に考慮するだけの設計時には想定されなかった、応力の局所的な集中が起きるからである。
【0017】
集合体は織り繊維を含むものであってもよいが、好ましくは、互いに並行な繊維片を含むものである。というのも、出願人は、互いに並行な繊維片を含む集合体の形態の方が、鋳型への充填性が良好であることに気付いた。
【0018】
好ましくは、第一群の集合体と第二群の集合体とを異ならせる、第二群の集合体の前記少なくとも1つの特性は、繊維片の種類;集合体の形状;集合体の寸法;集合体内における繊維片の配置形態;および集合体が前記幾何平面に対して平行な、互いに異なる層に配置されていること;で構成されるグループから選択される。
【0019】
好ましくは、第一群の集合体の密度は、第二群の集合体の密度よりも大きく、より好ましくは、第一群の集合体の密度は、第二群の集合体の密度の2倍である。
【0020】
後述するように、第一群の集合体と第二群の集合体とは、積層構造に配置されてもよく、すなわち、第一群の集合体と第二群の集合体とを隔てる平面が存在してもよい。しかしながら、好ましくは、第一群の集合体と第二群の集合体とは、相互侵入層の形態で配置される。
【0021】
集合体は、小さい3次元体であってもよいが、好ましくは厚さが極めて薄いので、実質上の2次元体として扱えるものである。
【0022】
集合体はどんな形状であってもよいが、好ましくは実質上直方形状である。
【0023】
好ましくは、前記第一群は比較的短い集合体を含み、前記第二群は比較的長い集合体を含む。
【0024】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、量、パラメータおよび百分率などを示す全ての数値は、特記しない限り、その数値の前に「約」を付けて解釈されるべきである。また、全ての数値範囲は、以後特記しない限り、最大値、最小値、および最大値と最小値との間に介在する全数値を含むものとする。
【0025】
好ましくは、第一群の集合体の長さ/幅の比率は6.5以下、より好ましくは5以下である。
【0026】
好ましくは、第二群の集合体の長さ/幅の比率は20以下、より好ましくは12.5以下である。
【0027】
好ましくは、第一群の集合体の長さは0.5〜110ミリメートル(mm)、より好ましくは0.5〜50ミリメートル(mm)、さらに好ましくは30〜45ミリメートル(mm)である。
【0028】
好ましくは、第二群の集合体の長さは30〜150ミリメートル(mm)、より好ましくは100〜150ミリメートル(mm)、さらに好ましくは105〜120ミリメートル(mm)である。
【0029】
好ましくは、第一群と第二群の集合体の幅は2〜50ミリメートル(mm)、より好ましくは5〜20ミリメートル(mm)、さらに好ましくは6〜10ミリメートル(mm)である。
【0030】
好ましくは、本発明のシートモールディングコンパウンドは、さらに、繊維片とポリマー材料のマトリックスとで構成され各集合体の最大の引張強度の分布方向が前記幾何平面においてランダムに分布する、最大の引張強度の分布方向以外の少なくとも1つの特性が第一群の集合体と異なっている第三群の集合体を含む。
【0031】
好ましくは、第三群の集合体の長さ/幅の比率は2以下、より好ましくは1である。
【0032】
好ましくは、第三群の集合体の長さおよび幅は2〜40ミリメートル(mm)、より好ましくは6〜10ミリメートル(mm)である。
【0033】
本発明の第2の構成は、上述のシートモールディングコンパウンドから成形された成形物に関する。
【0034】
好ましくは、この成形物は一方向に長い形状であり、かつ、第二群の集合体の各集合体の最大の引張強度の分布方向が当該成形物の長手方向に沿って主に分布している。
【0035】
好ましくは、この成形物は自転車部品である。
【0036】
好ましくは、この成形物は自転車のクランクである。
【0037】
本発明の第3の構成は、シートモールディングコンパウンドを製造する方法に関する。このシートモールディングコンパウンド製造方法は、a)繊維片およびポリマー材料のマトリックスを含む少なくとも1つの基材を準備する工程と、b)前記少なくとも1つの基材から、第一群の集合体および少なくとも1つの第二群の集合体を切断する工程と、c)第一群の集合体を、各集合体の最大の引張強度の分布方向がランダムに分布するようにして配置させ、前記少なくとも1つの第二群の集合体を、各集合体の最大の引張強度の分布方向が所定の方向に沿って主に分布するように配置させる工程とを含む。
【0038】
好ましくは、前記a)工程は、一方向繊維およびポリマー材料のマトリックスを含む基材で構成される少なくとも1つのシートを準備することを含む。
【0039】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、d)前記基材の少なくとも1つのシートから第三群の集合体を準備する工程と、e)第三群の集合体を、各集合体の最大の引張強度の分布方向がランダムに分布するようにして配置する工程とを含む。
【0040】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、前記b)切断工程よりも前に、タック性がほぼ消えるまで前記基材を冷却する工程を含む。
【0041】
好ましくは、この冷却工程は、0℃以下、より好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−15℃以下の温度Tまで冷却することを含む。
【0042】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、前記b)切断工程よりも前に、前記基材から支持シートを取り外す工程を含む。
【0043】
好ましくは、上記製造方法は、蓄積した過剰な水分を取り除くために、集合体の配置構造体を乾燥させる工程をさらに含む。
【0044】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、集合体の配置構造体に少なくとも1つの付加層を積層する工程を含む。
【0045】
好ましくは、この積層工程における前記少なくとも1つの付加層は、一方向繊維の材料およびポリマー材料のマトリックスを含む層、およびポリマー材料のみ(好ましくは、前記集合体のマトリックスのポリマー材料と同じ材料)を含む層で構成されるグループから選択される。
【0046】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、集合体の配置構造体に圧力を加えて、集合体を所定の厚さにまで圧縮する工程を含む。
【0047】
好ましくは、圧力を加える上記工程は、さらに加熱することを含む。
【0048】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、シートモールディングコンパウンドの縁部を長手方向に切断する工程を含む。
【0049】
好ましくは、上記製造方法は、保存のためにシートモールディングコンパウンドをロール状に巻く工程を含む。
【0050】
変形例として、上記製造方法は、さらに、積み重ねて保存できるシートモールディングコンパウンドのシートを得るために当該シートモールディングコンパウンドに対して横方向の切断を行う工程を含むものであってもよい。
【0051】
好ましくは、上記製造方法は、ポリマー材料のマトリックスの早期硬化を防止するために、集合体の配置構造体を室温よりも低い温度に冷却する工程をさらに含む。
【0052】
好ましくは、前記b)切断工程は、長細体を得るために長手方向の第1の切断を行うことと、前記集合体を得るためにこの長細体に対して横方向の切断を行なうこととを含む。
【0053】
好ましくは、前記b)切断工程は、長細体を得るために長手方向の第1の切断を行うことと、前記第一群の集合体の、その時点で自由端である前記長細体の端部から第1の距離のところに対する横方向の第2の切断、および前記第二群の集合体の、その時点で自由端である前記長細体の端部から第2の距離のところに対する横方向の第3の切断を周期的に行い、それぞれ、第一群の集合体および第二群の集合体を得ることとを含む。
【0054】
好ましくは、前記b)切断工程において、前記第1の距離は前記第2の距離よりも短い。
【0055】
好ましくは、前記b)切断工程における各周期が、前記第1の距離のところに対する2回の切断、および前記第2の距離のところに対する1回の切断を含む。
【0056】
好ましくは、前記c)配置工程は、集合体を、前記平面に向かって、少なくとも1つの落下の高さから可動の支持部へと落下させることを含む。
【0057】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、前記落下の高さを調整する工程を含む。
【0058】
好ましくは、上記製造方法は、さらに、前記可動の支持部の移動速度を調整する工程を含む。
【0059】
本発明の第4の構成は、シートモールディングコンパウンドを製造する製造装置に関する。このシートモールディングコンパウンド製造装置は、繊維片およびポリマー材料のマトリックスを含む少なくとも1つの基材を供給する供給ステーションと、前記少なくとも1つの基材を切断して、少なくとも1つの第一群の集合体および第二群の集合体を形成するように構成された切断ステーションと、この切断ステーションから落下の高さ分下方に離れた位置に設けられた少なくとも1つの可動面体とを備えている。前記切断ステーションおよび前記少なくとも1つの可動面体は、第一群の集合体を、各集合体の最大の引張強度の分布方向が前記少なくとも1つの可動面体においてランダムに分布するようにして配置し、前記少なくとも1つの第二群の集合体を、各集合体の最大の引張強度の分布方向が、前記少なくとも1つの可動面体において所定の方向に沿って主に分布するように配置する。
【0060】
好ましくは、切断ステーションは、長細体を得るために前記基材の第1の切断を行う複数の第1のブレードと、前記第一群の集合体の、その時点で自由端である前記長細体の端部から第1の距離のところに対する横方向の第2の切断、および前記第二群の集合体の、その時点で自由端である前記長細体の端部から第2の距離のところに対する横方向の第3の切断を周期的に行い、それぞれ、第一群の集合体および第二群の集合体を得るための少なくとも1つの第2のブレードとを備えている。
【0061】
好ましくは、前記第2のブレードは、前記横方向の第2の切断を、前記第2の距離よりも短い第1の距離のところに対して行うように制御されている。
【0062】
より好ましくは、前記第2のブレードは、前記第1の距離のところに対する2回の切断、および前記第2の距離のところに対する1回の切断で各周期が構成される複数の切断周期を行うように制御されている。
【0063】
また、好ましくは、前記少なくとも1つの可動面体が、前記切断ステーションから第1の落下の高さ分下方に離れた位置に設けられた第1の搬送ベルトと、この第1の搬送ベルトから第2の落下の高さ分下方に離れた位置に設けられた第2の搬送ベルトとを含む。
【0064】
好ましくは、前記第1の落下の高さは100センチメートル(cm)以下である。
【0065】
また、好ましくは、前記第2の落下の高さは5〜50センチメートル(cm)である。
【0066】
好ましくは、これら落下の高さを調整するために、上記製造装置において前記第1の搬送ベルトが調整可能な高さで支持される。
【0067】
より好ましくは、上記製造装置において前記第1の搬送ベルトは調整可能なスロープ部に支持されている。
【0068】
また、好ましくは、前記搬送ベルトの少なくとも一方の速度が調整可能である。
【0069】
前記搬送ベルトの少なくとも一方が、さらに、往復運動可能であってもよい。
【0070】
上記製造装置は、前記切断ステーションよりも上流側に、冷却ステーションをさらに備えてもよい。
【0071】
好ましくは、この冷却ステーションは、0℃以下、より好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−15℃以下の温度Tまで冷却するように構成されている。
【0072】
好ましくは、上記製造装置は乾燥機をさらに備える。
【0073】
好ましくは、上記製造装置はカレンダーをさらに備える。
【0074】
また、このカレンダーは一般に加熱されている。
【0075】
上記製造装置は、さらに、前記集合体の配置構造体に少なくとも1つの付加層を積層する積層ステーションを備えていてもよい。
【0076】
上記製造装置は、さらに、平面への集合体の充填を制御する装置を備えていてもよい。
【0077】
好ましくは、この制御装置は、前記少なくとも1つの可動面体を横切るように配置された光電セルのアレイ、および/またはロードセルのアレイを有するものであってもよい。
【0078】
典型的に、上記製造装置は、シートモールディングコンパウンドの長手方向の縁部を切断する仕上げ加工ステーションを備え、この長手方向の縁部を定寸に切断してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明のシートモールディングコンパウンドを示す斜視図である。
【図2】図1のシートモールディングコンパウンドの材料を構成する集合体を示す概略図である。
【図3】同材料を構成する集合体の変形例を示す概略図である。
【図4】同材料を構成する集合体の他の変形例を示す概略図である。
【図5】同材料を構成する集合体のさらなる他の変形例を示す概略図である。
【図6】本発明の第1の実施形態のシートモールディングコンパウンドの詳細を示す平面図である。
【図7】図2の材料の長手方向断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態のシートモールディングコンパウンドを示す平面図である。
【図9】図8の材料の長手方向断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態のシートモールディングコンパウンドを示す平面図である。
【図11】図10の材料の長手方向断面図である。
【図12】本発明の材料を製造する方法にかかるフローチャートである。
【図13】本発明の材料を製造する方法を詳細に示したフローチャートである。
【図14】本発明の材料を製造する製造装置を示す概略図である。
【図15】本発明の材料から成形された自転車部品の斜視図である。
【図16】図15の部品の部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を用いた、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【0081】
図1には、本発明のシートモールディングコンパウンド1が示されている。
【0082】
図1に示された実施形態のシートモールディングコンパウンド1は、長さLおよび幅Wを有する1枚毎のシート状である。しかしながら、連続したバンド状のシートモールディングコンパウンドも本発明の範囲に含まれる。また、幅Wおよび長さLの寸法は平均値とする。というのも、後述するように、シートモールディングコンパウンドの縁部は、切断処理を施していない状態では、きちんと整っていないからである。
【0083】
シートモールディングコンパウンド1は有限の厚さTを有しており、この厚さTは、幅Wおよび長さLの寸法と比べると無視可能な極めて小さい寸法である。したがって、以後、シートモールディングコンパウンド1の説明は、シートモールディングコンパウンド1の平面Pを参照しながら行う。平面Pとは、幅Wおよび長さLによって形成される幾何平面のことをいう。例えば、厚さTは0.5〜5ミリメートル(mm)であってもよく、他方、幅Wは100〜1000ミリメートル(mm)であってもよい。
【0084】
シートモールディングコンパウンド1は、複数の集合体2を備える。各集合体2は、構造繊維の繊維片、およびポリマー材料のマトリックスを含む。
【0085】
図2に示されているように、好ましくは、各集合体2の形状は平坦であり、かつ、構造繊維の繊維片5がポリマー材料のマトリックス6内においてほぼ一方向に配置されている。
【0086】
しかしながら、各集合体2は、繊維片の複数の層を備える3次元の形状、例えば、円筒状、直方体状、平行六面体状、または立方体状であってもよく、その繊維片には、一方向繊維の繊維片が含まれ、任意で、互いに平行でない複数の繊維片も含まれてよい。それでも、出願人によると、ほぼ平坦である集合体2の方が、複雑な形状の鋳型に適合し易いことが認められた。
【0087】
他の変形例として、各集合体2は、二方向の織り繊維、すなわち、縦繊維および横繊維を有する織り繊維、または複数方向の織り繊維、すなわち、3つ以上の方向に対して平行になるように配置された繊維を有する織り繊維を含むものであってもよい。
【0088】
好ましくは、構造繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、ボロン繊維およびこれらの組合せで構成されるグループから選択される。炭素繊維が特に好ましい。
【0089】
好ましくは、集合体2のポリマーマトリックス材料は熱硬化性のものであり、より好ましくは、エポキシ樹脂を含む。好ましくは、このエポキシ樹脂は、部分硬化の状態である。しかしながら、隣り合う集合体のマトリックスが溶融によって互いに接合し再凝固する熱可塑性のポリマーマトリックス材料も本発明の範囲に含まれる。
【0090】
好ましくは、集合体2は、図2に示されているように、直方形状であり、特に好ましくは、正方形状である。
【0091】
しかしながら、集合体2は直方形状でなくともよい。図3〜図5には、幾つかの形状が一例として示されており、これらの形状には、直方形状または正方形状の場合と同じく、一方向繊維または織り繊維とポリマーマトリックス材料とで構成されるシートを複数回切断することにより、材料を無駄にすることなく製造できるという利点がある。
【0092】
図2、図6および図7に示すように、本発明の第1の実施形態のシートモールディングコンパウンド1は、第一群の集合体3および第二群の集合体4を含む。
【0093】
第一群の集合体3と第二群の集合体4とは、ともに直方形状であるが、その長さが異なる。一方向繊維で構成されている場合は、これら集合体3,4の長さは各々の繊維片5の長さに一致する。第一群の集合体3は、第二群の集合体4よりも短い。
【0094】
好ましくは、第一群の集合体3の長さL3は、0.5〜110ミリメートル(mm)、より好ましくは0.5〜50ミリメートル(mm)、さらに好ましくは30〜45ミリメートル(mm)である。
【0095】
他方、好ましくは、第二群の集合体4の長さL4は、30〜150ミリメートル(mm)、より好ましくは100〜150ミリメートル(mm)、さらに好ましくは105〜120ミリメートル(mm)である。
【0096】
好ましくは、集合体3の幅W3および集合体4の幅W4は同一であり、かつ、2〜50ミリメートル(mm)、より好ましくは5〜20ミリメートル(mm)、さらに好ましくは6〜10ミリメートル(mm)である。
【0097】
長さと幅との比率に関しては、好ましくは、第一群の集合体3の長さ/幅の比率L3/W3は6.5以下、より好ましくは5以下である。他方、好ましくは、第二群の集合体4の長さ/幅の比率L4/W4は20以下、より好ましくは12.5以下である。
【0098】
シートモールディングコンパウンド1の平面Pにおいて、第一群の集合体3の配置形態と第二群の集合体4の配置形態とは異なっている。
【0099】
第一群の各集合体3の分布方向はほぼランダムである。
【0100】
第一群の集合体3は、シートモールディングコンパウンド1の平面Pにおいて各集合体の最大の引張強度の分布方向がランダムに分布しているので、シートモールディングコンパウンド1の平面Pの全方向に対して、比較的小さいが無視できない程度の機械的な引張強度を付与する。
【0101】
他方、第二群の集合体4の各集合体の最大の引張強度の分布方向FRは、所定の方向FBに沿って主に分布している。すなわち、第二群の集合体4の各集合体の最大の引張強度の分布方向FRは、所定の方向FBを中心とした所定の角度範囲±α内に含まれる方向に向いている。好ましくは、この所定の角度範囲±αは±40°、より好ましくは±30°である。実際には、第二群の集合体4のうちの幾つかの集合体の分布方向が、この所定の角度範囲±α内に向いていない場合があることを理解されたい。このような場合も、本発明の保護の範囲に含まれるものとする。
【0102】
一方向繊維の場合、最大の引張強度の分布方向FRは当該一方向繊維の方向に該当し、図2〜図5の場合でいうと、シートモールディングコンパウンド1の長さLの方向に一致する。
【0103】
織り繊維の場合、最大の引張強度の分布方向FRは、集合体の切断形態に加えて、その織り方にも依存する。各集合体は、最大の引張強度の分布方向FRを複数有することがある。この場合、本発明によると、第二群の集合体4の各集合体の最大の引張強度の分布方向のうちの1つの主な分布方向は所定の方向FBに沿って分布し、最大の引張強度の主な分布方向のうちのもう1つまたは他の分布方向は第2の方向に沿って分布する。
【0104】
第二群の集合体4は、シートモールディングコンパウンド1の平面Pにおいて主な分布を有するように分布しているので、所定の方向FB、好ましくは、シートモールディングコンパウンド1の長さLの方向に沿って延びる所定の方向FBの全体において高い機械強度を提供する。また、所定の角度範囲±αの数値次第では、所定の方向FBに垂直な方向FS、好ましくは、シートモールディングコンパウンド1の幅Wの方向に沿って延びる方向FSにおいてもある程度の機械強度を提供可能である。
【0105】
これにより、図6のシートモールディングコンパウンド1は全体において異方性を有しており、所定の方向FBにおいて高い機械的な引張強度を有するだけでなく、方向FSにおいても優れた機械的な引張強度を有する。
【0106】
第二群の集合体4の長さが第一群の集合体3の長さに比べて大きいことにより、さらなる異方性を提供できるが、2つの群の集合体3,4の長さは同一であってもよい。
【0107】
2つの群の集合体3,4は、長さL3および幅W3の寸法と長さL4および幅W4の寸法との違いに代えて、またはこれに加えて、1つ以上の他の特性が互いに異なっていてもよい。詳細には、集合体3,4は繊維の種類が異なっていてもよい。例えば、集合体3が炭素繊維を含み、集合体4がガラス繊維を含むものであってもよく、または集合体3がガラス繊維を含み、集合体4が炭素繊維を含むものであってもよい。さらに、集合体3,4は形状が異なっていてもよく、直方形状、図3〜図5に示された形状、およびその他の形状などで異なっていてもよい。また、集合体3,4は、当該集合体3,4内の繊維片の配置形態が異なっていてもよい。例えば、集合体3は織り繊維を含み、集合体4は一方向繊維を含んでいてもよく、または集合体3が一方向繊維を含み、集合体4が織り繊維を含むものであってもよい。
【0108】
さらに、集合体3,4は、シートモールディングコンパウンド1における密度が異なっていてもよい。好ましくは、図6および図7に示されているように、第一群の集合体3の密度は、第二群の集合体4の密度よりも大きく、より好ましくは、第一群の集合体3の密度は、第二群の集合体4の密度の2倍である。
【0109】
集合体3,4は、それらに含まれるポリマーマトリックス材料の種類が異なっていてもよい。ただし、それら異なるポリマーマトリックス材料の硬化プロファイルの相性が良く、互いに網目結合可能であることを前提とする。
【0110】
図7では、第一群の集合体3と第二群の集合体4とが、相互侵入層を形成するように配置されており、すなわち、第一群の集合体3と第二群の集合体4とを隔てるような平面が存在せず、第一群の集合体3と第二群の集合体4とが実質上単一の層を形成していることに留意されたい。この配置構成には、本発明のシートモールディングコンパウンド1からの成形物に、優れた耐層間剥離性を付与できるというさらなる利点がある。
【0111】
しかしながら、図8および図9に示された本発明の第2の実施形態のシートモールディングコンパウンド1においても、優れた異方性と全方向における良好な強度との組合せは得られる。この実施形態は、第一群の集合体3と第二群の集合体4とが積層構造に配置されている点で、上述した実施形態と異なる。すなわち、第一群の集合体3と第二群の集合体4とを隔てる平面が存在しているのである。この場合、2つの群の集合体3,4は、主な分布方向が異なることを除けば、属する平面が違うだけである。この実施形態には、後述する製造方法の説明から分かるように、簡単に製作できるという利点がある。
【0112】
図10および図11には、本発明の第3の実施形態のシートモールディングコンパウンド1が示されている。前述の実施形態の説明をそのまま適用する集合体3,4に加えて、シートモールディングコンパウンド1は、ほぼランダムに配置された第三群の集合体12をさらに含む。第三群の集合体12は、最大の引張強度の分布方向以外の少なくとも1つの特性、例えば、第一群の集合体3と第二群の集合体4との間で異なると前述した特性が、第一群の集合体3と異なる。また、第一群の集合体3と第三群の集合体12とは、幾何平面Pに対して平行な、互いに異なる層に配置されていてもよい。図2に示されているように、好ましくは、第三群の集合体12は一方向繊維を含む。また、好ましくは、第三群の集合体12はほぼ正方形状、すなわち、第三群の集合体12のアスペクト比、つまり、長さ/幅の比率L12/W12は2以下であり、より好ましくは、長さ/幅の比率L12/W12は1である。詳細には、第三群の集合体12の長さL12および幅W12は、好ましくは2〜40ミリメートル(mm)、より好ましくは6〜10ミリメートル(mm)である。
【0113】
3つの群の集合体3,4,12を使用した場合でも、所定の方向FBにおける引張強度は方向FSにおける引張強度と異なる(所定の方向FBにおける引張強度と方向FSにおける引張強度の比率は変化するかもしれないが)。詳細には、所定の方向FBにおける引張強度が方向FSにおける引張強度よりも大きい。
【0114】
出願人は、集合体の形状が正方形に近いほど、集合体をシートモールディングコンパウンド1の平面においてランダムに配置し易いことに気付いた。というのも、集合体の形状が正方形に近いほど、集合体を攪拌機に投入するか、または集合体を所定の高さから落下させるだけで、当該集合体は平面の全ての方向においても同じ分布度合で配置されるからである。反対に、集合体が一方向に長い形状であるほど、後述するように、ある方向に方向付するように配置させ易くなる。
【0115】
本発明のシートモールディングコンパウンド1の図示しない他の実施形態には、各集合体の最大の引張強度の分布方向FRが、第二群の集合体4の主な分布方向FRとは異なる方向に沿って分布した、一群以上のさらなる群の集合体が配置されていてもよい。このようなシートモールディングコンパウンド1は異方性を有しており、優れた機械的な引張強度を全方向において有しつつも、高い機械的な引張強度を2つ以上の方向において有する。
【0116】
図12には、本発明のシートモールディングコンパウンド1を製造する方法にかかるフローチャートが示されている。この製造方法は、一方向繊維(または織り繊維)およびポリマー材料のマトリックスを含む基材で構成される少なくとも1つのシートを準備する第一の工程30を有する。基材の上記シートのタック性はほぼゼロの状態である。または、基材の上記シートは、ともかく切断が可能な状態である。「タック性」とは、基材のシートが自身または他の物品に引っ付くことを可能にする、ポリマーマトリックス材料の粘着性のことをいう。タック性は、ポリマーマトリックス材料の粘度に反比例し、タック性剤(粘着付与剤)を用いて化学的に導入することができ、ガラス転移温度より高い温度で生じる。
【0117】
上記製造方法は、さらに、基材の上記少なくとも1つのシートを切断する工程32を有しており、第一群の集合体3および第二群の集合体4を得ることができ、必要に応じて、第三群の集合体12またはさらなる群の集合体を得ることができる。これらの集合体は、形状および/または寸法のみが互いに異なる場合、基材の同一のシートから切断してもよい。他方、繊維の種類が異なる場合または繊維の配置形態が異なる場合には、それぞれ対応する基材のシートから切断される。
【0118】
上記製造方法は、さらに、第一群の集合体3をランダムに配置し、第二群の集合体4を、各集合体の最大の引張強度の分布方向FRが所定の方向FBに沿って主に分布するように、すなわち、所定の方向FBを中心とした角度範囲±α内で分布するように配置し、必要に応じて、第三群の集合体12および/または1つ以上のさらなる群の集合体を、各集合体の最大の引張強度の分布方向FRが所定の方向FBとは異なる方向に沿って主に分布するように配置させる工程34を有しており、これにより、本発明のシートモールディングコンパウンド1が得られる。
【0119】
図13には、本発明のシートモールディングコンパウンド1を製造する方法にかかる詳細なフローチャートが示されている。このフローチャートは、分かり易くするために、シートモールディングコンパウンド1を、形状および/または寸法のみが異なり基材の同一のシートから切断可能な2つの群の集合体3,4だけを備えるものとする。当業者であれば、異なる基材シートから切断された集合体の場合、繊維の種類が異なる集合体の場合や繊維の配置形態が異なる集合体の場合、および集合体の群が3群以上の場合における製造方法の変更点を容易に理解できるであろう。
【0120】
図13に示された製造方法は、一方向繊維(または織り繊維)、および室温でタック性を有するポリマー材料のマトリックスを備えて支持シート(例えば、シリコン加工された紙)に支持された、基材のシートを準備する工程40を有する。好ましくは、基材のシートのマトリックスは、部分硬化状態の少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む。
【0121】
次の工程42において、支持シートは基材から取り外される。
【0122】
次の工程44は、基材のシートを、タック性がほぼ無くなるまで冷却する。
【0123】
次の工程46は、第一群の集合体3および第二群の集合体4の形状および寸法、ならびにこれらの所望の個数比に従い、基材のシートを切断する。
【0124】
次の工程48は、第一群の集合体3をランダムに配置し、第二群の集合体4を、各集合体の最大強度の分布方向FRが所定の方向FBに沿って主に分布するようにして配置する。
【0125】
必ずしも必要ではないが、好ましくは、図13に示された製造方法は、さらに、蓄積した過剰な水分を取り除くために集合体3,4の配置構造体を乾燥させる工程50を有する。
【0126】
任意で行ってもよい工程52では、1つ以上の付加層、例えば、一方向繊維およびポリマー材料のマトリックスを含むか、またはポリマー材料のみ(好ましくは、集合体3,4のマトリックスのポリマー材料と同じ材料)を含む1つ以上の付加層が、集合体3,4の配置構造体の上に設けられる。
【0127】
次の工程54では、例えば熱カレンダーを用いて、集合体3,4の配置構造体に(もし設けられていれば、付加層にも)圧力を加える。これにより、集合体3,4は共に圧縮され、所望の厚さTが得られる。
【0128】
上記工程54が完了すると、シートモールディングコンパウンド1の集合体3,4の配置構造体は、当該配置構造体がタック性を有する室温にされる。
【0129】
さらに、シートモールディングコンパウンド1の整った縁部を得るために当該縁部を長手方向に切断し、必要であれば、さらに、所望の長さLのシートを得るために横方向の切断を行う工程56を設けてもよい。当該工程における切断を容易に行うために、冷却されたブレードを使用してもよいし、必要に応じて、シートモールディングコンパウンド1を冷却してもよい。
【0130】
この後、シートモールディングコンパウンド1は、所定の長さLのシートの積み重ねた形態、またはロールの形態で保存されてもよい。好ましくは、シートモールディングコンパウンド1は、ポリマーマトリックス材料の早期硬化を防止するために、室温よりも低い温度による冷却状態で保存される。
【0131】
図14には、本発明のシートモールディングコンパウンド1を製造する製造装置60が示されている。この製造装置60は、分かり易くするために、形状および/または寸法のみが異なり基材の同一のシートから切断可能な2つの群の集合体3,4だけを備えるシートモールディングコンパウンド1を製造するものとする。当業者であれば、異なる基材シートから切断された集合体の場合、繊維の種類が異なる集合体の場合や繊維の配置形態が異なる集合体の場合、および集合体の群が3群以上の場合における製造方法の変更点を容易に理解できるであろう。
【0132】
製造装置60は、ポリマー材料のマトリックスに一方向繊維または織り繊維を配置した基材のシート62を巻き出す巻出しローラ61を備えている。巻出しローラ61から巻き出される前の基材のシート62は、シリコン紙の支持シート63に支持されており、かつ、室温でタック性を有する。基材のシート62および支持シート63は分離され、基材のシート62のみが製造装置60を進み、バッファステーション64に進入する。バッファステーション64では、基材のシート62はコイル状に巻かれ、これにより、巻出しローラ61の交換時において最小の加工量に確実にすることができる。すなわち、製造装置60において、基材のシート62の巻出しローラ61、支持シート63およびバッファステーション64は、基材を後続の処理へと供給する「供給ステーション」と見なすことができる。
【0133】
バッファステーション64を抜けると、基材のシート62は冷却ステーション65に進入する。冷却ステーション65では、基材のシート62は、ポリマーマトリックス材料のタック性がほぼ消えるまで、または少なくとも当該基材のシートが切断可能な十分に低い温度になるまで冷却される。好ましくは、基材のシート62の温度Tは、0℃以下になるまで、より好ましくは−10℃以下になるまで、さらに好ましくは−15℃以下になるまで冷却される。
【0134】
この後、基材のシート62は切断ステーション66に進入する。切断ステーション66において、基材のシート62は、第1の切断を受けることにより基材の長細体を形成する。好ましくは、基材のシート62は垂直位置に保持された状態で、第1の切断、好ましくは、長手方向における切断を、例えば複数の第1のブレードによって受ける。一方向繊維の場合、好ましくは、第1の切断の方向は繊維の方向と平行であり、かつ、切断間隔は、集合体3,4の幅W3,W4に等しい。このようにして、集合体3,4の最大の引張強度の分布方向FRは、集合体3,4の長手方向に一致することになる。
【0135】
切断ステーション66において、上記長細体は、横方向の第2の切断および横方向の第3の切断が周期的にされる。第2の切断は、その時点で自由端である端部から長さL3離れた距離(第1の距離)のところに対して行われ、これにより、第一群の集合体3が得られる。第3の切断は、その時点で自由端である端部から長さL4離れた距離(第2の距離)のところに対して行われ、これにより、第二群の集合体4が得られる。これら第2の切断および第3の切断は、例えば、少なくとも1つの第2のブレードによって行われてもよい。この少なくとも1つの第2のブレードは、横方向の第2の切断を、上記第2の距離よりも短い第1の距離のところに対して行うように制御してもよい。この代わりに、またはこれに加えて、少なくとも1つの第2のブレードは、第1の距離のところに対する2回の切断、および第2の距離のところに対する1回の切断で各周期が構成される複数の切断周期を行うように制御してもよい。
【0136】
好ましくは、切断ステーション66での切断周期において、所望の長さL4を有する第二群の集合体4を得る横方向の第3の切断が1回行われた後、所望の長さL3を有する第一群の集合体3を得る横方向の第2の切断が2回行われる。このようにして、第一群の集合体3は、第二群の集合体4と比べて2倍の個数が得られる。
【0137】
偏菱形状または菱形状の集合体(図3)を得るために、第2の切断および第3の切断を、第1の切断に対して傾いた方向で行ってもよいし、または他の形状の集合体、例えば、図4および図5に示された集合体を得るための形状加工を用いてもよい。少なくとも1つの基材を切断して少なくとも1つの第一群の集合体3および第二群の集合体4を形成してもよい。
【0138】
集合体3,4の両方の群は、所定の高さH1から第1の可動面体67、例えば、可動の支持部(この例では、搬送ベルト)に自由落下する。好ましくは、高さH1は100センチメートル(cm)以下である。この自由落下では、長さL3,L4の影響により、第一群の集合体3はほぼランダムに配置され、他方、第二群の集合体4は、長さが大きいので、十分な落下時間がなく、全方向に方向付できない。このため、第二の集合体4の長さL4の方向、すなわち各集合体の最大の引張強度の分布方向FRは、所定の方向FBに沿って主に分布することになる。
【0139】
第1の搬送ベルト67に対する上記所定の方向FBは、一つは第1の切断の方向によって、もう一つは基材のバンド、すなわち基材のシート62と第1の搬送ベルト67との相対方向によって決まる。図14に示された、切断ステーション66における基材の長手方向の第1の切断および基材のシート62に垂直な第1の搬送ベルト67の摺動方向の場合、上記所定の方向FBは、第1の搬送ベルト67の長手方向に相当する。
【0140】
出願人は、切断ステーション66から第1の搬送ベルト67への落下の高さH1が低いほど、第1の搬送ベルト67における集合体4の主な分布方向の程度が高くなること、すなわち、所定の方向FBを中心とした角度範囲±αが狭くなることに気付いた。
【0141】
第1の搬送ベルト67は、集合体3,4を第2の落下の高さH2まで搬送し、この高さH2から第2の可動面体68、例えば、可動の支持部(この例では、搬送ベルト)へと集合体3,4を落下させる。好ましくは、第2の落下の高さH2は、5〜50センチメートル(cm)である。
【0142】
第1の落下の高さH1および/または第2の落下の高さH2を調整できるように、好ましくは、第1の搬送ベルト67は調整可能なスロープ部にヒンジ接続されており、切断ステーション66に対して水平方向に移動可能に構成されていてもよい。変形例として、第1の搬送ベルト67は水平であって、切断ステーション66の出口と第2の搬送ベルト68との間において調整可能な高さで支持されており、例えば、垂直方向のレールに支持されている。
【0143】
好ましくは、第2の搬送ベルト68は、第1の搬送ベルト67よりも低速である。これにより、集合体3,4を相互侵入層状(図7)に配置するのに十分な時間を確保でき、実質的に孔のないシートモールディングコンパウンド1を形成することができる。
【0144】
第1の搬送ベルト67の速度および/または第2の搬送ベルト68の速度、ならびに切断ステーション66に進入する基材のシート62の供給速度を調整することにより、シートモールディングコンパウンド1の厚さTを調整することができる。
【0145】
調整ベルト67,68の互いに異なる速度の代わりに、またはこれに加えて、第1の搬送ベルト67および第2の搬送ベルト68の一方を往復運動可能とし、集合体を複数の層にわたって配置できるようにしてもよい。
【0146】
第一群の集合体3の層および第二群の集合体4の層の相互侵入を容易に行うために、切断ステーション66を、同一の基材の異なるシート、または異なる基材の異なるシートを並行して切断できるように構成してもよい。
【0147】
この場合、および/または第2の搬送ベルト68が往復運動可能な場合、第1の搬送ベルト67を省略してもよいことを理解されたい。
【0148】
また、形状および寸法が同じ場合には、第一群の集合体3を第二群の集合体4よりも軽い繊維で作製することにより、2つの異なる配向を有する配置構造体を得ることができる。
【0149】
さらに、形状、寸法および重量が同じ場合には、第一群の集合体3を第二群の集合体4よりも高い位置から落下させることにより、2つの異なる配向を有する配置構造体を得ることができる。
【0150】
製造装置60は、孔の存在、すなわち、集合体3,4が存在しない箇所、または少なくとも所定の最大限サイズよりも大きい孔の存在を検査する検査装置69を備えていてもよい。このような検査装置69は、例えば、第2の搬送ベルト68を横切るように配置された光電セルのアレイ、および/またはロードセルのアレイを有するものであってもよい。
【0151】
検査装置69は、所定の最大限サイズよりも大きい孔が見つかった場合に、第1の搬送ベルト67および/または第2の搬送ベルト68の速度および/または運動方向を制御するものであってもよいし、または製造を中断したり、アラームを作動させたり、廃棄する材料箇所に印を付ける(例えば、ペイントなどを用いて)ためのステーションを制御したりするものであってもよい。
【0152】
第2の搬送ベルト68は、集合体3,4の所望の密度が得られると、過剰な水分を取り除くための乾燥機70へと進む。
【0153】
乾燥機70を出たところには、パッチを圧縮してシートモールディングコンパウンド1の厚さTを設定する熱カレンダー72が設けられている。
【0154】
このようにして出来上がったシートモールディングコンパウンド1は、この後、巻取りステーション73に設けられた巻取りローラに巻き取られる。
【0155】
乾燥機70と熱カレンダー72との間には、付加層、例えば、一方向繊維の材料およびポリマー材料のマトリックス、またはポリマー材料のみを配置するステーション71を設けてもよい。好ましくは、当該ポリマー材料は、集合体3,4のマトリックスのポリマー材料と同じものである。
【0156】
さらに、熱カレンダー72と巻取りステーション73との間には、シートモールディングコンパウンド1の縁部を長手方向に沿って切断するように構成された、仕上げ加工ステーション(図示せず)を設けてもよい。
【0157】
仕上げ加工ステーションは、所定の長さLを有するシートを得るための横方向の切断を行うように構成されてもよい。この場合、巻取りステーション73は、積み重なったシートを回収する回収ステーションに置き換えられる。
【0158】
残留タックを考慮に入れて、好ましくは、このような仕上げ加工ステーションは、冷却されたブレード、またはシートモールディングコンパウンド1の局所冷却装置を使用する。
【0159】
図15には、本発明のシートモールディングコンパウンド1から成形された、一方向に長い形状の成形物(この特定の例では、自転車のクランク80)が示されている。つまり、この成形物は第二群の集合体4を有しており、第二群の集合体4の各集合体の最大の引張強度の分布方向FRが、当該成形物の長手方向に沿って主に分布している。クランク80は、シートモールディングコンパウンド1の所定の方向FBが最大の引張応力の方向である当該クランク80の長手方向に合致するようにして、シートモールディングコンパウンド1の複数の層を配置することにより製作される。第二群の集合体4により、このような長手方向に沿ったクランク80の機械的な引張強度は特に高くなる。しかしながら、クランク80の機械的な引張強度は、その中央平面の全方向において優れている。というのも、第一群の集合体3により、当該クランク80を横切る方向FSにおける最小の機械強度はゼロでないからである。
【0160】
クランク80の機械特性をさらに向上させるために、シートモールディングコンパウンド1を鋳型においてロール状に配置してもよく、好ましくは、シートモールディングコンパウンド1はコア(中心部)を中心としてロール状に配置される。図16に示されているように、この場合、シートモールディング1の面がコアを中心として回転状に配置されることにより、クランク80は、クランク80を横切る平面の全方向において優れた強度を有する。
【0161】
クランク80の軽量化するために、好ましくは、コアは取り除き可能である。これにより、クランク80に空洞81を設けることができる。
【0162】
本発明は、ギアシフト部品、リム、フレーム要素、制御レバーなどの他の自転車部品に用いられる複合材料のうちの一層、またはこれら自転車部品の成形物として、特に有利に適用することができる。
【0163】
いずれにせよ、本発明は、コンパウンドを用いる全ての分野において、有利に適用することができる。
【符号の説明】
【0164】
1 シートモールディングコンパウンド
3 第一群の集合体
4 第二群の集合体
5 繊維片
6 ポリマー材料のマトリックス
60 シートモールディングコンパウンド製造装置
61〜64 供給ステーション
66 切断ステーション
67,68 可動面体
80 成形物
FB 所定の方向
FR 集合体の最大の引張強度の分布方向
H1,H2 落下の高さ
L シートモールディングコンパウンドの長さ
P 幾何平面
T シートモールディングコンパウンドの厚さ
W シートモールディングコンパウンドの幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幾何平面(P)を形成する幅(W)および長さ(L)と、前記幅(W)および前記長さ(L)に比べると極めて薄い厚さ(T)とを有するシートモールディングコンパウンド(1)であって、
繊維片(5)とポリマー材料のマトリックス(6)とで構成され、各集合体の最大の引張強度の分布方向(FR)が、前記幾何平面(P)においてランダムに分布している第一群の集合体(3)、および
繊維片(5)とポリマー材料のマトリックス(6)とで構成され、各集合体の最大の引張強度の分布方向(FR)が、前記幾何平面(P)における所定の方向(FB)に沿って主に分布している、少なくとも1つの第二群の集合体(4)、
を含み、
前記少なくとも1つの第二群の集合体(4)は、最大の引張強度の分布方向以外の少なくとも1つの特性が前記第一群の集合体(3)と異なる、シートモールディングコンパウンド(1)。
【請求項2】
請求項1において、前記集合体(3,4)が、互いに並行な繊維片(5)を含んでいるシートモールディングコンパウンド(1)。
【請求項3】
請求項1または2において、前記第一群の集合体(3)と前記第二群の集合体(4)とを異ならせる、前記第二群の集合体(4)の前記少なくとも1つの特性が、
前記繊維片(5)の種類、
前記集合体(3,4)の形状、
前記集合体(3,4)の寸法、
前記集合体(3,4)内における前記繊維片(5)の配置形態、および
前記集合体(3,4)が、前記幾何平面(P)に対して平行な、互いに異なる層に配置されていること、
で構成されるグループから選択される、シートモールディングコンパウンド(1)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項において、前記第一群の集合体(3)の密度が、前記第二群の集合体(4)の密度よりも大きいシートモールディングコンパウンド(1)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項において、前記第一群の集合体(3)と前記第二群の集合体(4)とが、相互侵入層の形態で配置されている、シートモールディングコンパウンド(1)。
【請求項6】
請求項1において、前記集合体(3,4)が、直方形状であるシートモールディングコンパウンド(1)。
【請求項7】
請求項1において、前記第一群は比較的短い集合体(3)を含み、前記第二群は比較的長い集合体(4)を含む、シートモールディングコンパウンド(1)。
【請求項8】
請求項1において、前記第一群の集合体(3)の長さ/幅の比率(L3/W3)が6.5以下であり、前記第二群の集合体(4)の長さ/幅の比率(L4/W4)が20以下であるシートモールディングコンパウンド(1)。
【請求項9】
請求項1において、前記第一群の集合体(3)の長さ(L3)が0.5〜110ミリメートルであり、前記第二群の集合体の長さ(L4)が30〜150ミリメートルであるシートモールディングコンパウンド(1)。
【請求項10】
請求項1において、前記集合体(3,4)の幅が2〜50ミリメートルであるシートモールディングコンパウンド(1)。
【請求項11】
請求項1において、さらに、
繊維片(5)とポリマー材料のマトリックス(6)とで構成され、各集合体の最大の引張強度の分布方向(FR)が前記幾何平面(P)においてランダムに分布しており、最大の引張強度の分布方向以外の少なくとも1つの特性が前記第一群の集合体(3)と異なる第三群の集合体(12)を含んでおり、
この第三群の集合体(12)の長さ/幅の比率(L12/W12)が1である、シートモールディングコンパウンド(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のシートモールディングコンパウンド(1)から成形された成形物(80)であって、
一方向に長い形状であり、前記第二群の集合体(4)の各集合体の最大の引張強度の分布方向(FR)が当該成形物(80)の長手方向に沿って主に分布している成形物(80)。
【請求項13】
自転車のクランク(80)であることを特徴とする請求項12に記載の成形物(80)。
【請求項14】
シートモールディングコンパウンド(1)を製造する方法であって、
a)繊維片およびポリマー材料のマトリックスを含む少なくとも1つの基材を準備する工程(30,40)と、
b)前記少なくとも1つの基材から、第一群の集合体(3)および少なくとも1つの第二群の集合体(4)を切断する工程(32,46)と、
c)前記第一群の集合体(3)を、各集合体の最大の引張強度の分布方向(FR)が平面(P)においてランダムに分布するように配置させ、前記少なくとも1つの第二群の集合体(4)を、各集合体の最大の引張強度の分布方向(FR)が前記平面(P)における所定の方向(FB)に沿って主に分布するように配置させる工程(34,48)と、
を含むシートモールディングコンパウンド製造方法。
【請求項15】
請求項14において、前記a)工程が、一方向繊維およびポリマー材料のマトリックスを含む基材で構成される少なくとも1つのシートを準備することを含む、シートモールディングコンパウンド製造方法。
【請求項16】
請求項15において、さらに、
d)前記基材の少なくとも1つのシートから第三群の集合体(12)を準備する工程(32,46)と、
e)前記第三群の集合体(12)を、各集合体の最大の引張強度の分布方向がランダムに分布するようにして配置する工程(34,48)と、
を含むシートモールディングコンパウンド製造方法。
【請求項17】
請求項14から16のいずれか一項において、前記b)切断工程が、長細体を得るために長手方向の第1の切断を行うことと、前記集合体(3,4,12)を得るために前記長細体に対して横方向の切断を行なうこととを含む、シートモールディングコンパウンド製造方法。
【請求項18】
請求項14から17のいずれか一項において、前記b)切断工程が、
長細体を得るために長手方向の第1の切断を行うことと、
前記第一群の集合体(3)の、その時点で自由端である前記長細体の端部から第1の距離(L3)のところに対する横方向の第2の切断、および前記第二群の集合体(4)の、その時点で自由端である前記長細体の端部から第2の距離(L4)のところに対する横方向の第3の切断を周期的に行い、それぞれ、前記第一群の集合体(3)および前記第二群の集合体(4)を得ることと、
を含む、シートモールディングコンパウンド製造方法。
【請求項19】
請求項18において、前記b)切断工程において、前記第1の距離(L3)が前記第2の距離(L4)よりも短い、シートモールディングコンパウンド製造方法。
【請求項20】
請求項18または19において、前記b)切断工程における各周期が、前記第1の距離(L3)のところに対する2回の切断、および前記第2の距離(L4)のところに対する1回の切断を含む、シートモールディングコンパウンド製造方法。
【請求項21】
請求項14から20のいずれか一項において、前記c)配置工程が、前記集合体(3,4)を、前記平面(P)に向かって、少なくとも1つの落下の高さ(H1,H2)から可動の支持部(67,68)へと落下させることを含む、シートモールディングコンパウンド製造方法。
【請求項22】
シートモールディングコンパウンド(1)を製造する製造装置(60)であって、
繊維片およびポリマー材料のマトリックスを含む少なくとも1つの基材を供給する供給ステーション(61〜64)と、
前記少なくとも1つの基材を切断して、少なくとも1つの第一群の集合体(3)および第二群の集合体(4)を形成するように構成された切断ステーション(66)と、
前記切断ステーション(66)から落下の高さ(H1,H2)分下方に離れた位置に設けられた少なくとも1つの可動面体(67,68)と、
を備えており、
前記第一群の集合体(3)を、各集合体の最大の引張強度の分布方向(FR)が前記少なくとも1つの可動面体(67,68)においてランダムに分布するようにして配置し、前記少なくとも1つの第二群の集合体(4)を、各集合体の最大の引張強度の分布方向(FR)が、前記少なくとも1つの可動面体(67,68)において所定の方向(FB)に沿って主に分布するようにして配置するように、前記切断ステーション(66)および前記少なくとも1つの可動面体(67,68)が構成されている、シートモールディングコンパウンド製造装置(60)。
【請求項23】
請求項22において、前記切断ステーション(66)が、長細体を得るために前記基材の第1の切断を行う複数の第1のブレードと、前記第一群の集合体(3)の、その時点で自由端である前記長細体の端部から第1の距離(L3)のところに対する横方向の第2の切断、および前記第二群の集合体(4)の、その時点で自由端である前記長細体の端部から第2の距離(L4)のところに対する横方向の第3の切断を周期的に行い、それぞれ、前記第一群の集合体(3)および前記第二群の集合体(4)を得るための少なくとも1つの第2のブレードとを備えている、シートモールディングコンパウンド製造装置(60)。
【請求項24】
請求項23において、前記第2のブレードが、前記横方向の第2の切断を、前記第2の距離(L4)よりも短い第1の距離(L3)のところに対して行うように制御されている、シートモールディングコンパウンド製造装置(60)。
【請求項25】
請求項23または24において、前記第2のブレードが、前記第1の距離(L3)のところに対する2回の切断、および前記第2の距離(L4)のところに対する1回の切断で各周期が構成される複数の切断周期を行うように制御されている、シートモールディングコンパウンド製造装置(60)。
【請求項26】
請求項22から24のいずれか一項において、前記少なくとも1つの可動面体(67,68)が、前記切断ステーション(66)から第1の落下の高さ(H1)分下方に離れた位置に設けられた第1の搬送ベルト(67)と、前記第1の搬送ベルト(67)から第2の落下の高さ(H2)分下方に離れた位置に設けられた第2の搬送ベルト(68)とを含む、シートモールディングコンパウンド製造装置(60)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2010−100851(P2010−100851A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241955(P2009−241955)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(592072182)カンパニョーロ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (94)
【氏名又は名称原語表記】CAMPAGNOLO SOCIETA A RESPONSABILITA LIMITATA
【Fターム(参考)】