説明

シート成形装置

【課題】材料圧延部への弾性材料の送出量の変動をなくして形状が整い、寸法精度の高い、高品質のシートの成形を行うことができ、さらに、材料貯留部の内圧の急激な変動を吸収することができるシート成形装置を提供すること。
【解決手段】弾性材料Wを供給するための材料供給部1と、材料供給部1から供給された弾性材料Wを一時的に貯留する材料貯留部3と、材料貯留部3に貯留されている弾性材料Wを圧延するための材料圧延部2とを備えたシート成形装置において、材料貯留部3に貯留されている弾性材料Wを上方から予め設定した一定圧力をかけて押圧するための材料押圧機構4を設け、この材料押圧機構4を構成する材料押圧部材41の材料押圧面41aの面積を材料貯留部3の上部開口部31の面積の30〜95%に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート成形装置に関し、特に、弾性を有するゴム、プラスチック等の弾性材料(本明細書において、単に、「弾性材料」という。)をシート状に成形するシート成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、混練機で混練した樹脂材料を、2軸のテーパスクリューを備えた材料供給部より押し出し、押し出された樹脂材料を、2本のロールを備えた材料圧延部において圧延してシート状に成形するシート成形装置が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
このうち、特許文献1に記載のシート成形装置は、図7に示すように、2軸のテーパスクリュー11a、11bを備えた材料供給部1と、2本のロール21a、21bを備えた材料圧延部2との間に、材料供給部1から供給された樹脂材料Waを一時的に貯留する材料貯留部3を備え、この材料貯留部3に貯留されている樹脂材料Waが順次材料圧延部2に送られて、圧延され、シート状に成形されるようにしていた。
【0004】
ところで、このシート成形装置の材料貯留部3は、上方が開放されたオープンバンク型といわれるものであるが、この方式のシート成形装置の場合、材料貯留部3が、材料供給部1からの樹脂材料Waの受入量(材料供給部1による弾性材料Wの供給量)と材料圧延部2への樹脂材料Waの送出量(材料圧延部2による弾性材料Wの払出量)とが変動した場合の緩衝機構としての機能を有する反面、材料圧延部2への樹脂材料Waの送出量が変動しやすく、成形されたシートの両端の形状が乱れたり、厚みがばらつく等の問題があった。
【0005】
この問題点を解消するために、特許文献2に記載されたシート成形装置のように、材料貯留部3内に貯留されている樹脂材料Waの量を検出し、その検出値に応じて、材料供給部1からの樹脂材料Waの受入量を制御することが提案されているが、材料貯留部3内に貯留されている樹脂材料Waの量を制御するだけでは、材料圧延部2への樹脂材料Waの送出量の変動をなくすことは困難であった。
【0006】
一方、シート成形装置の材料貯留部の上方を閉鎖したクローズドバンク型といわれるものも提案されているが、樹脂材料のうち弾性を有するゴムやプラスチックの場合、材料貯留部内に貯留されている樹脂材料にかかる圧力に圧力分布(圧力の大きさに場所によるばらつき)が生じるため、特定の箇所の樹脂材料にかかる圧力の検出値に基づいて材料供給部からの樹脂材料の受入量を制御しても、材料圧延部への樹脂材料の送出量の変動をなくすことは困難であった。
また、クローズドバンク型のシート成形装置の場合、材料供給部からの樹脂材料の受入量と材料圧延部への樹脂材料の送出量とが変動した場合の緩衝機構がないため、材料供給部の制御機構の応答性能の関係等で、材料貯留部の内圧が急激に高まると、材料供給部や材料圧延部の構成部材に大きな負荷がかかり、装置の損傷につながるという問題があった。
さらに、クローズドバンク型のシート成形装置の場合、材料貯留部の点検、清掃を行うために装置を分解しなければならず、手数を要するという問題があった。
【特許文献1】特公平2−42331号公報
【特許文献2】特開平5−104607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来のシート成形装置の有する問題点に鑑み、材料圧延部への弾性材料の送出量の変動をなくして形状が整い、寸法精度の高い、高品質のシートの成形を行うことができ、さらに、材料貯留部の内圧の急激な変動を吸収することができるシート成形装置を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、材料貯留部の点検、清掃を容易に行うことができるシート成形装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第1の目的を達成するため、本発明のシート成形装置は、弾性材料を供給するための材料供給部と、該材料供給部から供給された弾性材料を一時的に貯留する材料貯留部と、該材料貯留部に貯留されている弾性材料を圧延するための材料圧延部とを備えたシート成形装置において、前記材料貯留部に貯留されている弾性材料を上方から予め設定した一定圧力をかけて押圧するための材料押圧機構を設け、該材料押圧機構を構成する材料押圧部材の材料押圧面の面積を材料貯留部の上部開口部の面積の30〜95%に設定したことを特徴とする。
【0009】
また、上記第1の目的に加え、上記第2の目的を達成するため、本発明のシート成形装置は、材料押圧機構が、材料押圧部材と、該材料押圧部材の材料押圧面から材料貯留部に貯留されている弾性材料に予め設定した一定圧力をかけるためのアクチュエータと、該アクチュエータの力を材料押圧部材に伝達するリンク機構とからなることを特徴とする。
【0010】
この場合において、材料押圧部材の材料押圧面の位置に応じて、材料供給部による弾性材料の供給量及び/又は材料圧延部による弾性材料の払出量を制御する運転制御手段を備えることができる。
【0011】
そして、運転制御手段は、材料圧延部の駆動前に、材料供給部による材料供給量を定格供給量より大きい高供給量に設定し、材料押圧部材の材料押圧面の位置が上昇したときに、材料圧延部の駆動を開始し、材料供給部の材料供給量を定格供給量に設定するものとすることができる。
【0012】
また、材料押圧機構の圧力を、材料圧延部の駆動前は材料押圧部材の上昇応答性が上がる低圧に保持するとともに、材料圧延部の駆動後に予め設定した一定圧力に保持する圧力制御手段を備えることができる。
【0013】
また、材料貯留部の側壁を接離方向に移動可能に設けるとともに、材料押圧部材を幅方向に伸縮可能に形成することができる。
【0014】
また、材料押圧部材により押圧された弾性材料を材料圧延部を構成する2本のロールのうちの下方のロールで支持するようにすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシート成形装置によれば、材料貯留部に貯留されている弾性材料を上方から予め設定した一定圧力をかけて押圧するための材料押圧機構を設けることにより、材料押圧機構によって材料貯留部に貯留されている弾性材料に一定圧力をかけながら、弾性材料を材料圧延部へ安定して送り出すことができるため、材料圧延部への弾性材料の送出量の変動をなくすことができ、これによって、形状が整い、寸法精度の高い、高品質のシートの成形を行うことができる。
そして、材料押圧機構によって材料貯留部に貯留されている弾性材料に一定圧力をかけることにより、例えば、設定値を超える内圧が材料貯留部に発生した場合、材料押圧部材が上昇することによって、材料貯留部の容積が増加し、材料貯留部の内圧を低下させることができ、さらに内圧が上昇すると、材料押圧部材が材料貯留部の上部開口部の開口端まで上昇することによって、材料貯留部の上方が実質的に開放されたオープンバンク状態にして弾性材料を材料貯留部の外に排出させることができ、これにより、装置の破損等の事故を未然に防止することができる。
また、弾性材料を材料圧延部へ安定して送り出すことができるため、材料圧延部における噛み込みが悪い弾性材料の場合でも、スリップすることなく、材料圧延部に噛み込ませることができる。
さらに、材料押圧機構を構成する材料押圧部材の材料押圧面の面積を材料貯留部の上部開口部の面積の30〜95%に設定することにより、材料貯留部に上方が開放されたオープンバンク型の緩衝機構としての機能を持たせることができ、材料貯留部の内圧の急激な変動を吸収するようにすることができ、これによって、材料供給部や材料圧延部の構成部材に大きな負荷がかかって装置が損傷することを未然に防止することができる。
【0016】
また、材料押圧機構を、材料押圧部材と、該材料押圧部材の材料押圧面から材料貯留部に貯留されている弾性材料に予め設定した一定圧力をかけるためのアクチュエータと、該アクチュエータの力を材料押圧部材に伝達するリンク機構とから構成することにより、材料押圧機構を、リンク機構又は材料押圧部材の位置で簡易に分解することができ、これによって、材料貯留部の点検、清掃を容易に行うことができる。
また、リンク機構によって、設定値を超える内圧が材料貯留部に発生した場合、材料押圧部材が材料貯留部の上部開口部の開口端まで上昇することによって、材料貯留部の上方が実質的に開放されたオープンバンク状態に自動的にして弾性材料を材料貯留部の外に排出させることができ、これにより、装置の破損等の事故を未然に防止することができる。
【0017】
また、材料押圧部材の材料押圧面の位置に応じて、材料供給部による弾性材料の供給量及び/又は材料圧延部による弾性材料の払出量を制御する運転制御手段を備えることにより、材料貯留部内に貯留されている弾性材料の量を所定量に維持し、これによって、形状が整い、寸法精度のより高い、高品質のシートの成形を行うことができる。
【0018】
そして、運転制御手段を、材料圧延部の駆動前に、材料供給部による材料供給量を定格供給量より大きい高供給量に設定し、材料押圧部材の材料押圧面の位置が上昇したときに、材料圧延部の駆動を開始し、材料供給部の材料供給量を定格供給量に設定するものとすることにより、シート成形装置の運転を開始するにあたり、材料圧延部の駆動が停止された状態で材料供給部による材料供給量が高供給量に設定されるから、空状態の材料貯留部に対して迅速に弾性材料を充填することができる。また、材料貯留部に弾性材料が完全に充填されたことを材料押圧部材の材料押圧面の位置の上昇により検知することができ、それをきっかけに材料圧延部の駆動を開始することで、当初から高品質のシートを押し出すことができる。
【0019】
また、材料押圧機構の圧力を、材料圧延部の駆動前は材料押圧部材の上昇応答性が上がる低圧に保持するとともに、材料圧延部の駆動後に予め設定した一定圧力に保持する圧力制御手段を備えることにより、運転初期に供給された弾性材料による材料押圧部材の上昇を確実にし、運転制御手段による弾性材料の供給量の制御を確実にして、駆動前の過剰供給による材料圧延部等の破損を防止することができる。
【0020】
また、材料貯留部の側壁を接離方向に移動可能に設けるとともに、材料押圧部材を幅方向に伸縮可能に形成することにより、様々な幅寸法のシートを押し出すことが可能となる。
【0021】
また、材料押圧部材により押圧された弾性材料を材料圧延部を構成する2本のロールのうちの下方のロールで支持するようにすることにより、材料貯留部の弾性材料を材料押圧部材によって下方のロールに押し付けることができ、弾性材料の材料圧延部への噛み込み性を向上させるとともに、バッチ処理の最後に材料貯留部に弾性材料が残留することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明のシート成形装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0023】
図1に、本発明のシート成形装置の第1実施例を示す。
このシート成形装置は、弾性材料Wを供給するための材料供給部1と、材料供給部1から供給された弾性材料Wを一時的に貯留する材料貯留部3と、材料貯留部3に貯留されている弾性材料Wを圧延するための材料圧延部2とを備えている。
【0024】
そして、このシート成形装置は、材料貯留部3に貯留されている弾性材料Wを上方から予め設定した一定圧力をかけて押圧するための材料押圧機構4を設け、この材料押圧機構4を構成する材料押圧部材41の材料押圧面41aの面積を材料貯留部3の上部開口部31の面積(ここで、上部開口部31の面積とは、材料圧延部2の2本のロール21a、21bのうち、上方のロール21aの回転軸を含み、材料供給部1の2軸のテーパスクリューの回転軸を含む面Pと平行な面の位置の面積をいう。)の30〜95%、特に、弾性材料のはみ出しを防止する必要がある場合には、85〜95%に設定するようにしている。
ちなみに、本実施例においては、上部開口部31の寸法に対する材料押圧部材41の材料押圧面41aの寸法を、弾性材料Wの送り方向を約70%に、また、弾性材料Wの送り方向と直角方向を約80%に、それぞれ設定することにより、材料押圧部材41の材料押圧面41aの面積を材料貯留部3の上部開口部31の面積の約56%に設定するようにしている。
【0025】
このように、材料貯留部3に貯留されている弾性材料Wを上方から予め設定した一定圧力をかけて押圧するための材料押圧機構4を設けることにより、材料押圧機構4によって材料貯留部3に貯留されている弾性材料Wに一定圧力をかけながら、弾性材料Wを材料圧延部2へ安定して送り出すことができるため、材料圧延部2への弾性材料Wの送出量の変動をなくすことができ、これによって、形状が整い、寸法精度の高い、高品質のシートの成形を行うことができる。
そして、材料押圧機構4によって材料貯留部3に貯留されている弾性材料Wに一定圧力をかけることにより、例えば、設定値を超える内圧が材料貯留部3に発生した場合、材料押圧部材41が上昇することによって、材料貯留部3の容積が増加し、材料貯留部3の内圧を低下させることができ、さらに内圧が上昇すると、材料押圧部材41が材料貯留部3の上部開口部31の開口端まで上昇することによって、材料貯留部3の上方が実質的に開放されたオープンバンク状態にして弾性材料Wを材料貯留部3の外に排出させることができ、これにより、装置の破損等の事故を未然に防止することができる。
また、弾性材料Wを材料圧延部2へ安定して送り出すことができるため、材料圧延部2における噛み込みが悪い弾性材料Wの場合でも、スリップすることなく、材料圧延部2に噛み込ませることができる。
さらに、材料押圧機構4を構成する材料押圧部材41の材料押圧面41aの面積を材料貯留部3の上部開口部31の面積の30〜95%に設定することにより、材料貯留部3に上方が開放されたオープンバンク型の緩衝機構としての機能を持たせることができ、材料貯留部3の内圧の急激な変動を吸収するようにすることができ、これによって、材料供給部1や材料圧延部2の構成部材に大きな負荷がかかって装置が損傷することを未然に防止することができる。
【0026】
ところで、材料貯留部3の上部開口部31の面積に対する材料押圧部材41の材料押圧面41aの面積の割合は、材料貯留部3に上方が開放されたオープンバンク型の緩衝機構としての機能を持たせるという観点から、弾性材料の特性等に応じて、上記30〜95%の範囲で任意に設定することができる。
そして、例えば、弾性材料Wの弾性が極めて大きい場合には、30〜80%程度の範囲の上部開口部31の面積との比較で小さな材料押圧面41aを備えた材料押圧部材41を用いることができ、一方、弾性がそれほど大きくない場合には、70〜95%程度、特に、弾性材料のはみ出しを防止する場合には、85〜95%程度の範囲の上部開口部31の面積との比較で大きな材料押圧面41aを備えた材料押圧部材41を用いるようにすることが好ましい。
【0027】
このシート成形装置は、従来のシート成形装置と同様、材料供給部1には、2軸のテーパスクリュー(図示省略)を配設するようにし、また、材料圧延部2には、2本のロール21a、21bを配設するようにしている。
【0028】
また、このシート成形装置は、材料供給部1の2軸のテーパスクリューの回転軸を含む面P上に、材料圧延部2の2本のロール21a、21bによる圧延部22が位置するようにするとともに、この面Pと水平面がなす角度θを5〜30°(材料圧延部2側に向けて下降するようにし、本実施例においては15°)に設定するようにしている。
【0029】
ところで、本実施例のシート成形装置において、材料貯留部3に貯留されている弾性材料Wを上方から予め設定した一定圧力をかけて押圧するための材料押圧機構4は、材料押圧部材41と、材料押圧部材41の材料押圧面41aから材料貯留部3に貯留されている弾性材料Wに予め設定した一定圧力(特に限定されるものではないが、例えば、0.2〜5MPaの範囲の圧力を任意に設定できるようにする。)をかけるための油圧シリンダ、空圧シリンダ、電動シリンダ、バネ部材等からなるアクチュエータ42と、このアクチュエータ42の力を材料押圧部材41に伝達するリンク機構43(特に限定されるものではないが、図1に示すように、揺動軸43aが材料貯留部3の外側に位置するようにしたシーソー状のレバー部材)とから構成するようにしている。
なお、材料押圧機構4のアクチュエータ42及びリンク機構43は、後述する第2実施例と同様、材料貯留部3の中心を避けて側方に配設するようにすることが好ましく、これにより、材料貯留部3の上部開口部31の上方のスペースを有効に利用し、材料押圧部材41を分解しなくても、またロール21a、21bを移動させなくても、材料貯留部3の点検や清掃を可能とすることができる。
【0030】
このように、アクチュエータ42の力を、リンク機構43(特に、図1に示すように、揺動軸43aが材料貯留部3の外側に位置するようにしたシーソー状のレバー部材から構成したリンク機構43)を介して、材料押圧部材41に伝達するように構成することにより、材料押圧機構4を、アクチュエータ42とリンク機構43との間(リンク機構43と材料押圧部材41との間)の位置で簡易に分解することで材料貯留部3の上部開口部31を大きく開放することができ、これによって、材料貯留部3の点検、清掃を容易に行うことができる。
また、リンク機構43を、図1に示すように、揺動軸43aが材料貯留部3の外側に位置するようにしたシーソー状のレバー部材から構成することによって、設定値を超える内圧が材料貯留部3に発生した場合、材料押圧部材41が材料貯留部3の上部開口部31の開口端まで上昇することによって、材料貯留部3の上方が実質的に開放されたオープンバンク状態に自動的にして弾性材料Wを材料貯留部3の外に排出させることができ、これにより、装置の破損等の事故を未然に防止することができる。
【0031】
ところで、材料押圧機構4は、材料貯留部3に貯留されている弾性材料Wを上方から予め設定した一定圧力をかけて押圧するものであるため、材料貯留部3に貯留されている弾性材料Wの量に応じて、材料押圧部材41の材料押圧面41aの位置が図1に記載の実線と点線の範囲で変動することになる。
そこで、材料押圧部材41の材料押圧面41aの位置に応じて、材料供給部1による弾性材料Wの供給量及び/又は材料圧延部2による弾性材料Wの払出量を制御する運転制御手段(図示省略)を備え、この運転制御手段によって材料供給部1による弾性材料Wの供給量及び/又は材料圧延部2による弾性材料Wの払出量を制御するようにする。
具体的には、材料押圧部材41の材料押圧面41aの位置が上限に近づけば、材料供給部1による弾性材料Wの供給量を減らしたり、材料圧延部2による弾性材料Wの払出量を増やすようにし、下限に近づけば、材料供給部1による弾性材料Wの供給量を増やしたり、材料圧延部2による弾性材料Wの払出量を減らすようにする。
これにより、材料貯留部3内に貯留されている弾性材料Wの量を所定量に維持し、これによって、形状が整い、寸法精度の高い、高品質のシートの成形を行うことができる。
【実施例2】
【0032】
図2〜図6に、本発明のシート成形装置の第2実施例を示す。
【0033】
このシート成形装置は、第1実施例と同様に、ゴム状の弾性材料Wを供給するための材料供給部1と、該材料供給部1から供給された弾性材料Wを一時的に貯留する材料貯留部3と、該材料貯留部3に貯留されている弾性材料Wを圧延するための材料圧延部2とを備えている。
そして、このシート成形装置は、材料貯留部3に貯留されている弾性材料Wを上方から予め設定した一定圧力をかけて押圧するための材料押圧機構4を設け、該材料押圧機構4を構成する材料押圧部材41の材料押圧面41aの面積を材料貯留部3の上部開口部31の面積の30〜95%、特に、弾性材料のはみ出しを防止する必要がある場合には、85〜95%に設定するようにしている。
なお、第1実施例と同一部材は同一符号を記すことにより、その説明を省略する。
【0034】
材料押圧機構4は、材料押圧部材41と、材料押圧部材41の材料押圧面41aから材料貯留部3に貯留されている弾性材料Wに予め設定した一定圧力をかけるための油圧シリンダからなるアクチュエータ42と、このアクチュエータ42の力を材料押圧部材41に伝達するリンク機構43とから構成されている。
本実施例では、図2〜図3に示すように、アクチュエータ42をシート成形装置の下部側方に配設することにより、材料貯留部3から材料押圧部材41を完全に開放できるようにするとともに、上部開口部31の上方のスペースを有効に利用し、材料押圧部材41を分解しなくても、またロール21a、21bを移動させなくても、材料貯留部3の点検や清掃を可能としている。
また、アクチュエータ42をシート成形装置の下部側方に配設することにより、リンク機構43のアーム比を大きく取ることが可能となり、アクチュエータ42の発生推力を小さくすることが可能となる。
さらに、材料押圧部材41を完全に開放することにより、材料押圧部材41の上部開口部31に対する面積比率に関係なく、材料貯留部3の内圧の急激な変動を吸収することができる。
これにより、例えば、設定値を超える内圧が材料貯留部3に発生した場合、材料押圧部材41が上昇することによって、材料貯留部3の容積が増加し、材料貯留部3の内圧を低下させることができ、さらに内圧が上昇すると、材料押圧部材41が材料貯留部3の上部開口部31の開口端まで上昇することによって、材料貯留部3の上方が実質的に開放されたオープンバンク状態にして弾性材料Wを材料貯留部3の外に排出させることができ、これにより、装置の破損等の事故をより確実に防止することができる。
【0035】
一方、このシート成形装置は、材料押圧部材41の材料押圧面41aの位置に応じて、材料供給部1による弾性材料Wの供給量及び/又は材料圧延部2による弾性材料Wの払出量を制御する運転制御手段(図示省略)と、材料押圧機構4のアクチュエータ42の圧力を、材料圧延部2の駆動前は材料押圧部材41の上昇応答性が上がる低圧に保持するとともに、材料圧延部2の駆動後に予め設定した一定圧力に保持する圧力制御手段(図示省略)とを備えている。
【0036】
運転制御手段は、第1実施例と同じもので、弾性材料Wの量により上下移動する材料押圧部材41に応じて、材料供給部1による弾性材料Wの供給量及び/又は材料圧延部2による弾性材料Wの払出量を制御するようにする。
一方、圧力制御手段は、運転初期に供給された弾性材料Wによる材料押圧部材41の上昇を確実にすることにより、運転制御手段による弾性材料Wの供給量の制御を確実にして、駆動前の過剰供給による材料圧延部2のロール21a、21b等の破損を防止する。
【0037】
具体的には、図4に示すように、材料貯留部3に十分な弾性材料Wが貯留されていない運転初期には、ロール21a、21bを停止させた状態にて材料貯留部3に弾性材料Wを充満させて内部圧力をかけ、その後、材料貯留部3に弾性材料Wが溜まり、材料押圧部材41が上昇すると、この材料押圧部材41の材料押圧面41aの位置を材料押圧部材41の角度変化によって検知するようにし、材料押圧部材41の角度変化(特に限定されるものではないが、本実施例においては、例えば、10°)が生じると、これを近接スイッチやエンコーダ等により検知し、この検知信号によって、ロール21a、21bの運転を開始し、最初からシート形状を整った状態で押し出すことができるようにしている。
これにより、歩留まり率を向上することができる。
ロール21a、21bの運転の開始後は、材料押圧部材41の角度変化を近接スイッチやエンコーダ等により検知し、この検知信号によって、運転制御手段が作動して、スクリュー11a、11bの回転数を制御するようにする。
この場合、通常は時間短縮の目的で、運転初期には材料供給部1のスクリュー回転数を高速(特に限定されるものではないが、定常運転時の主速の2〜5倍程度)にし、定常状態で、スクリュー11a、11bの回転数を主速(低速)に切り替え、定格供給量になるようにする。
このように、運転制御手段によって、材料圧延部2の駆動前に、材料供給部1による材料供給量を定格供給量より大きい高供給量に設定し、材料押圧部材41の材料押圧面41aの位置が上昇したときに、材料圧延部2の駆動を開始し、材料供給部1の材料供給量を定格供給量に設定するようにすることにより、シート成形装置の運転を開始するにあたり、材料圧延部2の駆動が停止された状態で材料供給部1による材料供給量が高供給量に設定されるから、空状態の材料貯留部3に対して迅速に弾性材料Wを充填することができる。また、材料貯留部3に弾性材料Wが完全に充填されたことを材料押圧部材41の材料押圧面41aの位置の上昇により検知することができ、それをきっかけに材料圧延部2の駆動を開始することで、当初から高品質のシートを押し出すことができる。
一方、材料押圧部材41が高圧で押されているとその上昇応答性が悪くなり、特に、弾性材料Wが供給されているにもかかわらず材料押圧部材41が上昇しない場合は、運転制御手段が作動せず、スクリュー回転数の切り替えができずにロール21a、21bの破損につながるおそれがある。
これを防止するため、ロール21a、21bの運転開始までを低圧(特に限定されるものではないが、定常運転時の圧力の1/10〜1/2程度。本実施例においては、例えば、2MPa)とすることで、材料押圧部材41の動きをスムーズにさせて、運転制御手段による制御を確実に行うようにしている。
【0038】
また、図5に示すように、本実施例では、材料貯留部3の側壁33を接離方向に移動可能に設けるとともに、材料押圧部材41を幅方向に伸縮可能に形成している。
通常、材料貯留部3が密閉式(クローズドバンク型)の場合、シール性の理由から、シート幅の設定は固定である。
これに対し、本実施例では、材料押圧部材41の材料押圧面面積が材料貯留部3の上部開口部面積の一部(30〜95%)であり、完全なシール性を必要としないため、材料貯留部3の側壁33の位置変更と、材料押圧部材41の材料押圧面41aの幅方向の寸法を変更することで、様々な幅寸法のシートを押し出すことが可能となる。
この場合、材料押圧部材41の材料押圧面41aの幅方向の寸法を変更する機構としては、材料押圧部材41に材料押圧延長部材41bを幅方向に移動可能に取り付けるようにすることができる。
これによって、上部開口部31の寸法に対する材料押圧部材41の材料押圧面41aの弾性材料Wの送り方向と直角方向の寸法を、所定の値(特に限定されるものではないが、例えば、80〜98%)に設定することができる。
【0039】
また、図6に示す変形実施例のように、上記実施例の材料貯留部3の底部に設ける受け台32を省略するとともに、材料圧延部2を構成する2本のロール21a、21bのうちの下方のロール21bを材料供給部1に隣接させることにより材料押圧部材41の下方に位置するようにする(2本のロール21a、21bの回転軸が、材料供給部1のスクリュー11a、11bの回転軸を含む面に直交する面に対して角度θ2(特に限定されるものではないが、この変形実施例においては、25°)傾斜した面内に位置するようにする)ことによって、材料押圧部材41により押圧された弾性材料Wを材料圧延部2を構成する2本のロール21a、21bのうちの下方のロール21bで支持するようにすることができる。
これにより、材料貯留部3の弾性材料Wを材料押圧部材41によって下方のロール21bに押し付けることができ、弾性材料Wの材料圧延部2への噛み込み性を向上させるとともに、バッチ処理の最後に材料貯留部3に弾性材料Wが残留することを防止することができる。
【0040】
以上、本発明のシート成形装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のシート成形装置は、材料圧延部への弾性材料の送出量の変動をなくして形状が整い、寸法精度の高い、高品質のシートの成形を行うことができ、さらに、材料貯留部の内圧の急激な変動を吸収することができることから、弾性を有するゴムやプラスチックをシート状に成形するシート成形装置の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のシート成形装置の第1実施例を示す説明図である。
【図2】本発明のシート成形装置の第2実施例を示す説明図である。
【図3】同シート成形装置の材料押圧機構を示す平面図である。
【図4】同シート成形装置の運転制御手段及び圧力制御手段の動作を示す説明図である。
【図5】同シート成形装置の材料貯留部を示す断面図である。
【図6】同シート成形装置において、受け台を省略した変形実施例を示す説明図である。
【図7】従来のシート成形装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 材料供給部
11a スクリュー
11b スクリュー
2 材料圧延部
3 材料貯留部
31 上部開口部
32 受け台
4 材料押圧機構
41 材料押圧部材
41a 材料押圧面
41b 材料押圧延長部材
42 アクチュエータ
43 リンク機構
W 弾性材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム状の弾性材料を供給するための材料供給部と、該材料供給部から供給された弾性材料を一時的に貯留する材料貯留部と、該材料貯留部に貯留されている弾性材料を圧延するための材料圧延部とを備えたシート成形装置において、前記材料貯留部に貯留されている弾性材料を上方から予め設定した一定圧力をかけて押圧するための材料押圧機構を設け、該材料押圧機構を構成する材料押圧部材の材料押圧面の面積を材料貯留部の上部開口部の面積の30〜95%に設定したことを特徴とするシート成形装置。
【請求項2】
材料押圧機構が、材料押圧部材と、該材料押圧部材の材料押圧面から材料貯留部に貯留されている弾性材料に予め設定した一定圧力をかけるためのアクチュエータと、該アクチュエータの力を材料押圧部材に伝達するリンク機構とからなることを特徴とする請求項1記載のシート成形装置。
【請求項3】
材料押圧部材の材料押圧面の位置に応じて、材料供給部による弾性材料の供給量及び/又は材料圧延部による弾性材料の払出量を制御する運転制御手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート成形装置。
【請求項4】
運転制御手段が、材料圧延部の駆動前に、材料供給部による材料供給量を定格供給量より大きい高供給量に設定し、材料押圧部材の材料押圧面の位置が上昇したときに、材料圧延部の駆動を開始し、材料供給部の材料供給量を定格供給量に設定するものであることを特徴とする請求項3に記載のシート成形装置。
【請求項5】
材料押圧機構の圧力を、材料圧延部の駆動前は材料押圧部材の上昇応答性が上がる低圧に保持するとともに、材料圧延部の駆動後に予め設定した一定圧力に保持する圧力制御手段を備えたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のシート成形装置。
【請求項6】
材料貯留部の側壁を接離方向に移動可能に設けるとともに、材料押圧部材を幅方向に伸縮可能に形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のシート成形装置。
【請求項7】
材料押圧部材により押圧された弾性材料を材料圧延部を構成する2本のロールのうちの下方のロールで支持するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のシート成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−12463(P2009−12463A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147782(P2008−147782)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(595057720)株式会社モリヤマ (26)
【Fターム(参考)】