シート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置
【課題】基準長さのシート材のシート間距離を従来よりも縮めつつ、基準サイズ以外のシート材のシート間距離も縮めることができるシート搬送装置、これを用いる画像読取装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート材の後端を検知する後端検知手段M1を、シート材と連れ回りする検知コロ141などの連れ回り部材と、連れ回り部材の回転を検知する回転検知手段(エンコーダホイール143、フォトセンサ144と、コントローラ100などで構成)とで構成した。これにより、後端検知手段M1を、フォトセンサで構成した場合に比べて、原稿の後端が後端検知手段を抜けたことをすばやく検知することができる。その結果、基準長さ以外の原稿を搬送するときの紙間が広がるのを抑制することができる。
【解決手段】シート材の後端を検知する後端検知手段M1を、シート材と連れ回りする検知コロ141などの連れ回り部材と、連れ回り部材の回転を検知する回転検知手段(エンコーダホイール143、フォトセンサ144と、コントローラ100などで構成)とで構成した。これにより、後端検知手段M1を、フォトセンサで構成した場合に比べて、原稿の後端が後端検知手段を抜けたことをすばやく検知することができる。その結果、基準長さ以外の原稿を搬送するときの紙間が広がるのを抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送中の原稿シートの画像を順次読み取っていくスルー読取方式の画像読取装置や、搬送中の記録シートに画像を形成する画像形成装置に関するものである。また、それら画像読取装置や画像形成装置に用いられるシート搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像読取装置において、原稿載置部から原稿シートを1枚ずつ連続的に送り出しながら、それら原稿シートの画像を順次読み取っていく連続読取動作を行う場合には、読取時間短縮化のために、シート間距離をできるだけ短くすることが望ましい。また、画像形成装置において、記録シート載置部から記録シートを1枚ずつ連続的に送り出しながら、それら記録シートに画像を順次形成していく連続プリント動作を行う場合にも、プリント時間短縮化のために、シート間距離をできるだけ短くすることが望ましい。
【0003】
ところが、載置部から送り出されたシート材を分離手段から抜け出させた直後のタイミングを把握することが困難であることが、シート間距離を短縮する上での足かせになっている。分離手段は、シート材を複数枚重ねた状態で搬送してしまうことを防止するために、載置部から送り出されたシート材を1枚ずつに分離するものである。この分離手段に対して複数のシート材の先端部が互いに重なった状態で進入すると、分離手段は最上位のシート材の先端部を給送方向に搬送する一方で、下位のシート材の先端部を載置部に向けて戻す。これにより、分離手段からは、最上位のシート材だけが排出される。シート間距離をできるだけ短くするためには、シート材の後端が分離手段を抜けた直後に、次のシート材の送り出しを開始することが望ましい。より詳しくは、分離手段においては、例えば特許文献1に記載の自動原稿搬送装置のように、シート材を搬送方向に送るための給送ベルト(又は給送ローラ)と、下位のシート材を載置部に戻すためのリバースローラとの当接による分離ニップで、シート材を1枚に分離するのが一般的である。そして、その分離ニップからシート材の後端が抜け出た直後に、次のシート材の送り出しを開始することが望ましい。ところが、分離ニップの出口の真上には、給送ベルト(又は給紙ローラ)の曲面が給送方向に突き出ている。また、出口の真下には、リバースローラの曲面が給送方向に突き出ている。このため、シート材の後端を検知する後端検知センサについては、分離ニップの出口に配設することができず、出口からある程度離れた位置に配設せざるを得ない。すると、分離ニップを抜け出てからある程度進んだシート材の後端を検知したタイミングを、次のシート材の送り出し開始のトリガーにせざるを得ず、このことが、ある程度の大きなシート間距離を空けてしまう原因になっていた。
【0004】
従来、このような大きなシート間距離を空けてしまうことの対策として、次のようなことが行われてきた。即ち、載置部から、画像読取位置や画像形成位置の手前に至るまでの区間では、画像読取位置や画像形成位置におけるシート搬送速度よりも高速でシート材を搬送するのである。こうすることで、送出時に大きく空けてしまったシート間距離を、画像読取や画像形成の開始までにある程度縮めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、技術の進歩によって画像読取速度や画像形成速度の高速化が図られている近年においては、画像読取位置や画像形成位置でもシート材を高速で移動させることが可能になってきたため、前述のようにしてシート間距離を縮めることが困難になってきている。
【0006】
そこで、本発明者らは、次のような新規なシート搬送装置を開発中である。即ち、このシート搬送装置においては、シート搬送経路の所定位置でシート材の先端を検知する先端検知センサを設けている。この設置位置は、所定サイズのシート材の後端が分離ニップを抜けた直後に、そのシート材の先端を検知する位置である。また、従来のシート搬送装置と同じ位置にシート材の後端を検知する後端検知センサを配置している。最初に搬送されるシート材について、上記後端検知センサと搬送経路上で読取位置よりも上流側に配置されたシート材を検知することのできる検知センサとを用いて、所定のサイズか否かを検知する。具体的には、上記検知センサがシート材の先端を検知してから上記後端検知センサがシート材を検知しなくなるまでの時間から、シート材の長さを算出することができる。所定サイズと検知された場合は、先端検知センサによってシート材の先端が検知されたことをトリガーにして次のシート材の送り出しを開始する。これに対し、シート材のサイズが所定サイズではないと検知された場合には、従来と同様に、上述した後端検知センサによってシート材の後端が検知されたことをトリガーにして次のシート材の送り出しを開始する。かかる構成では、所定サイズのシート材のシート間距離を従来よりも縮めて、所定サイズのシート材の連続搬送時間を従来よりも短縮することができる。
【0007】
この開発中のシート搬送装置は、上記後端検知センサとして、反射型または透過型のフォトセンサを用い、フォトセンサによってシート材の紙面に光を当ててシート材の有無を検出することでシート材の後端が所定箇所を通過したことを検知している。後端検知センサをフォトセンサにした場合、以下の理由により、後端検知センサに到達したシート材の後端を早期に検知できず、所定サイズ以外のシート材を搬送するときの紙間を十分に短くできないという課題が残っていた。
【0008】
後端検知センサをフォトセンサにした場合、早期にシート材の後端を検知できない理由は、次のとおりである。すなわち、後端検知センサがシート材検知状態から非検知状態に切り替わっても、直ぐにシート材後端を検知したと判定せず、シート材検知状態から非検知状態に切り替わって所定時間経過しても検知状態に切り替わらなかった場合に、後端検知センサが後端を検知しているからである。これは、シート材にパンチ穴が形成されている場合、一時的に後端検知センサが、シート材検知状態から非検知状態に切り替わる。従って、シート材検知状態から非検知状態に切り替ったときに、シート材の後端が後端検知センサを抜けたと検知すると、パンチ穴が形成されたシート材が搬送されたときに、誤検知を起こしてしまう。このような誤検知を起こさないよう、シート材検知状態から非検知状態に切り替わって所定時間経過しても後端検知センサが非検知状態から検知状態に切り替わらなかった場合に、後端検知センサが後端を検知したと判定する必要があるからである。
【0009】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、基準長さのシート材のシート間距離を従来よりも縮めつつ、基準サイズ以外のシート材のシート間距離も縮めることができるシート搬送装置、これを用いる画像読取装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、シート材を複数枚重ねたシート束の状態で載置する載置部と、前記載置部上のシート束における上位のシート材を前記載置部から送り出す送出手段と、前記送出手段によって前記載置部から複数枚のシート材が送り出された場合に、最上位のシート材だけを他のシート材から分離して送り出す分離手段と、前記分離手段によって分離されたシート材の後端を検知する後端検知手段と、前記分離手段によって分離されたシート材を搬送先に向けて搬送する搬送部と、所定のタイミングが到来したことに基づいて、前記送出手段によるシート送り出し動作を開始させる制御手段とを備えるシート搬送装置において、後端検知手段よりもシート搬送方向下流側における所定位置でシート材の先端を検知する先端検知手段と、前記搬送部を搬送中のシート材の搬送方向長さを検知する長さ検知手段と、前記シート材の長さが所定の基準長さのときは、前記所定のタイミングとして、前記先端検知手段による先端検知タイミングを採用する処理を実施する一方で、前記シート材の長さが所定の基準長さ以外の場合は、前記所定のタイミングとして前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成し、前記後端検知手段は、前記シート材と連れ回りする連れ回り部材と、前記連れ回り部材の回転を検知する回転検知手段とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、開発中のシート搬送装置と同様、基準長さのシート材については、先端検知手段による先端検知タイミングで次のシート材の搬送を開始するので、基準長さのシート間距離を従来よりも縮めることができる。
【0012】
また、本発明によれば、シート材の後端が後端検知手段を抜けると、連れ回り部材の回転が停止する。よって、回転検知手段で連れ回り部材の回転状態を検知することにより、シート材の後端を検知することができる。また、シート材のパンチ穴が、後端検知手段を通過するときでも、連れ回り部材は、シート材と連れ回りする。よって、連れ回り部材が、回転状態から停止状態に切り替わった時点で、後端を検知しても、シート材の後端を誤検知することがない。よって、後端検知手段をフォトセンサにした場合に比べて、誤検知することなく、早期にシート材の後端を検知することができる。
このように、後端検知手段を、連れ回り部材と連れ回り部材の回転を検知する回転検知手段とで構成することにより、後端検知手段をフォトセンサにした場合に比べて、シート材の後端を直ぐ検知することが可能となる。よって、後端検知手段による後端検知タイミングにより次のシート材を搬送する基準長さ以外のシート材のシート間距離を、上述した開発中のシート材搬送装置に比べて、縮めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図2】同複写機における画像形成部の一部を拡大して示す部分構成図。
【図3】同画像形成部における4つのプロセスユニットからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図。
【図4】同複写機のスキャナ及びADFを示す斜視図。
【図5】同ADFの要部構成を同スキャナの上部とともに示す拡大構成図。
【図6】同ADFの電気回路の一部を示すブロック図。
【図7】固定画像読取部の電気回路の一部を示すブロック図である。
【図8】ADFの原稿セット部、分離搬送部、レジスト部、ターン部の途中まで概略説明図。
【図9】後端検知手段周辺の平面図。
【図10】後端検知手段の断面図。
【図11】プルアウトローラ対でスキュー補正を行わない場合のタイミングチャート。
【図12】プルアウトローラ対86でスキュー補正を行う場合のタイミングチャート。
【図13】2枚目までのの給紙開始タイミングを制御するフロー図。
【図14】3枚目以降の給紙開始タイミングを制御するフロー図。
【図15】特定サイズの原稿の先端が、第2の先端検知手段に到達したときの搬送の様子を説明する図。
【図16】特定サイズの原稿の先端が、第1の先端検知手段に到達したときの搬送の様子を説明する図。
【図17】原稿の搬送方向長さが、上述した基準長さよりも短く、後端検知手段から第2先端検知センサまでの搬送経路長以上の原稿の後端が、後端検知手段を抜けたときの搬送の様子を説明する図。
【図18】後端検知手段から第2先端検知センサまでの搬送経路長未満の原稿の後端が、後端検知手段を抜けたときの搬送の様子を説明する図。
【図19】特定サイズようりも長い原稿が、第1の先端検知手段に到達したときの搬送の様子を説明する図。
【図20】異常検知処理の制御フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機500という)に適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機500の基本的な構成について説明する。
図1は、複写機500を示す概略構成図である。この複写機は、画像形成装置としての画像形成部1と、シート供給装置40と、画像読取ユニット50とを備えている。画像読取装置としての画像読取ユニット50は、画像形成部1の上に固定されたスキャナ150と、これに支持されるシート搬送装置としての原稿自動搬送装置(以下、ADFという)51とを有している。
【0015】
シート供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つのシート供給カセット42、シート供給カセット42から記録シートを送り出す記録シート送出ローラ43、送り出された記録シートを分離してシート供給路44に供給する記録シート分離ローラ45等を有している。また、画像形成部1の搬送路としての本体側シート供給路37に、シート状部材としての記録シートを搬送する複数の搬送ローラ47等も有している。そして、シート供給カセット42内の記録シートを画像形成部1内の本体側シート供給路37内に給紙する。
【0016】
画像形成手段としての画像形成部1は、光書込装置2や、黒,イエロー,マゼンタ,シアン(K,Y,M,C)のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K,Y,M,C、転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、本体側シート供給路37等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
【0017】
図2は、画像形成部1の内部構成の一部を拡大して示す部分構成図である。また、図3は、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図3においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。
【0018】
プロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体とその周囲に配設された各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、画像形成部1本体に対して着脱可能になっている。一つのプロセスユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置5、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。複写機500では、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
【0019】
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0020】
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
【0021】
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュ8、これらスクリュ間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサ10などを有している。
【0022】
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクタブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ13は、ドクタブレード14との対向位置から現像スリーブ12の回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれ現像スリーブ12上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ12表面に引き寄せて担持させるとともに、現像スリーブ12表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
【0023】
磁気ブラシは、現像スリーブ12の回転に伴ってドクタブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、磁気ブラシを形成し、現像スリーブ12に担持され現像領域を通過した二成分現像剤は、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサ10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。現像装置6としては、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
【0024】
ドラムクリーニング装置15としては、弾性体からなるクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュ20上に落下する。回収スクリュ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡された回収トナーを現像装置6に送ってリサイクルする。
【0025】
除電ランプ22は、光照射によって感光体4の表面を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置5によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。複写機500では、帯電装置5として帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いているが、感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
【0026】
先に示した図2において、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
【0027】
4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。転写ユニット24は、複数のローラによって張架している中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと、中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら一次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の一次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0028】
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と二次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、自らの二次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ31には図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。
【0029】
この二次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されている。また、レジストローラ対33のレジストニップの入口付近には、図示しないレジストローラセンサが配設されている。シート供給装置40からレジストローラ対33に向けて搬送されてくる記録シートPは、その先端が不図示のレジストローラセンサに検知された所定時間後に記録シートPの搬送が一時停止し、レジストローラ対33のレジストニップに先端を突き当てる。この結果、記録シートPの姿勢が修正され、画像形成との同期をとる準備が整う。
【0030】
記録シートPの先願がレジストニップに突き当たると、レジストローラ対33は、記録シートPを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングでローラ回転駆動を再開して、記録シートPを二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって記録シートPに一括二次転写され、記録シートPの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過した記録シートPは、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。
【0031】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト25のおもて面には、二次転写ニップで記録シートPに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、クリーニング部材が中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置32によって掻き取り除去される。
【0032】
定着装置34に搬送された記録シートPは、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外の排紙トレイ501へと排出される。
【0033】
先に示した図1において、紙搬送ユニット28および定着装置34の下には、記録シート反転装置であるスイッチバック装置36が配設されている。これにより、両面プリントを行う場合には、片面に対する画像定着処理を終えた記録シートPの搬送経路が、切換爪によってスイッチバック装置36側に切り換えられ、そこで反転されて再び二次転写転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ501上に排紙される。
【0034】
画像形成部1のレジストローラ対33に対しては、シート供給装置40から送り出された記録シートが送り込まれる他、画像形成部1の側壁に開閉可能に設けられた手差しトレイ38から送り出された記録シートが送り込まれることもある。
【0035】
画像形成部1の上に固定されたスキャナ150やこれの上に固定されたADF51からなる画像読取ユニット50は、固定読取部や移動読取部152を有している。移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第二コンタクトガラス155の直下に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第二コンタクトガラス155上に載置された図示しない原稿MSの下面で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ150に固定された画像読取センサ153で受光する。
【0036】
一方、画像読取ユニット50は固定読取部として、スキャナ150の内部に配設された第一固定読取部151と、ADF51内に配設された後述する第二固定読取部95とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する第一固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第一コンタクトガラス154の直下に配設されている。そして、ADF51によって搬送される原稿MSが第一コンタクトガラス154上を通過する際に、光源から発した光を原稿MSの第一面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサ153で受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSの第一面を走査する。また、第二固定読取部95は、第一固定読取部151を通過した後の原稿MSの第二面を走査する。
【0037】
スキャナ150の上に配設されたADF51は、本体カバー52に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台53、シート材としての原稿MSを搬送するための原稿搬送部54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55などを保持している。図4に示すように、スキャナ150に固定された蝶番159によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ150の上面の第一コンタクトガラス154や第二コンタクトガラス155を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADF51による搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を図5に示すように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第二コンタクトガラス155上に載せた後、ADF51を閉じる。そして、スキャナ150の図2に示した移動読取部152によってそのページの画像を読み取らせる。
【0038】
一方、互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束の場合には、その原稿MSをADF51によって1枚ずつ自動搬送しながら、スキャナ150内の第一固定読取部151やADF51内の第二固定読取部95に順次読み取らせていくことができる。この場合、原稿束を原稿載置台53上にセットした後、操作部108のコピースタートボタン158を押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に原稿搬送部54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させた直後にスキャナ150の第一固定読取部151の真上に通す。このとき、原稿MSの第一面の画像がスキャナ150の第一固定読取部151によって読み取られる。
【0039】
次に、ADF51について説明する。
図5は、シート搬送装置としてのADF51の要部構成をスキャナ150の上部とともに示す拡大構成図である。ADF51は、原稿載置部A、分離搬送部B、レジスト部C、ターン部D、第一読取搬送部E、第二読取搬送部F、排紙部G、スタック部H等を備えている。実施形態に係るADF51の原稿搬送部54は、分離搬送部Bの下流側の後端検知手段M1による検知位置から、読取入口ローラ対90までの原稿MSが搬送される経路を構成する部分である。
【0040】
原稿載置部Aは、原稿MSの束が第一面が上方となるようにセットされる原稿載置台53等を有している。分離搬送部Bは、セットされた原稿MSの束から原稿MSを一枚ずつ分離して給送するものである。レジスト部Cは、給送された原稿MSに一時的に突き当たって原稿MSを整合した後に送り出すものである。ターン部Dは、C字状に湾曲する湾曲搬送部を有しており、この湾曲搬送部内で原稿MSを折り返しながらその上下を反転させて、原稿MSの第一面を下方に向けるものである。第一読取搬送部Eは、第一コンタクトガラス154の上で原稿MSを搬送しながら、第一コンタクトガラス154の下方からスキャナ150の内部に配設されている第一固定読取部151に原稿MSの第一面を読み取らせるものである。第二読取搬送部Fは、第二固定読取部95の下方に配置された第二読取ローラ96によって原稿MSを搬送しながら、原稿MSの第二面を第二固定読取部95に読み取らせるものである。また、排紙部Gは、両面の画像が読み取られた原稿MSをスタック部Hに向けて排出するものである。また、スタック部Hは、原稿スタック台55の上に原稿MSをスタックするものである。
【0041】
図6は、ADF51の電気回路の一部を示すブロック図である。ADF51のコントローラ100は、演算手段たるCPU(Central Processing Unit)、データ記憶手段たるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成され、各種の演算処理や、制御プログラムの実行を行うことができる。このコントローラ100には、各モータ101〜105、113〜115、各種センサ部、固定画像読取部300(第一固定読取部151または第二固定読取部95)等が接続されている。
【0042】
図7は、固定画像読取部300の電気回路の一部を示すブロック図である。固定画像読取部300は、光源部200、センサチップ201、画像処理部204、フレームメモリ205、出力制御回路206等を有している。
【0043】
先に示した図5において、画像の読み取りが行われる原稿MSは、原稿先端部を支持し原稿MSの束の厚みに応じて図中矢印a、b方向に揺動可能な可動原稿テーブル53bと、原稿後端側を支持する固定原稿テーブル53aとから構成される原稿載置台53上に、第一面が上向きとなるように載せられた状態でセットされる。このとき、原稿載置台53上において、その幅方向(原稿MSの搬送方向に直交する方向で、図紙面に直交する方向)の両端に対してそれぞれ図示しないサイドガイドが突き当てられることで、幅方向における位置決めがなされる。
【0044】
このようにして原稿載置台53にセットされた原稿MSは、可動原稿テーブル53bの上方で揺動可能に配設されたレバー部材であるセットフィラー62を押し上げる。すると、それに伴って原稿セットセンサ63が原稿MSのセットを検知して、検知信号をコントローラ100に送信する。そして、この検知信号は、コントローラ100からインターフェイス回路(以下、I/F107と呼ぶ)を介して画像読取ユニット50の本体制御部111に送信される。
【0045】
また、固定原稿テーブル53aには、原稿MSの搬送方向の長さを検知する反射型フォトセンサ又は原稿一枚でも検知可能なアクチュエーター・タイプのセンサからなる複数の長さ検知センサ(S4、57、58)が配置されている。これらの長さ検知センサによる検知結果に基づいて、原稿MSの搬送方向の長さの概略が判定される。
【0046】
可動原稿テーブル53bの上方にはピックアップローラ80が配置されている。
可動原稿テーブル53bは、底板昇降モータ105の駆動により、駆動するカム機構によって図中矢印a、b方向に揺動する。原稿MSが原稿載置台53にセットされたことをセットフィラー62や原稿セットセンサ63で検知すると、コントローラ100は底板昇降モータ105を正転させて束状の原稿MSの最上面がピックアップローラ80と接触するように可動原稿テーブル53bを上昇させる。
【0047】
送出手段としてのピックアップローラ80は、ピックアップ昇降モータ101によって駆動するカム機構により、図中矢印c、d方向に移動可能となっている。また、ピックアップローラ80は、可動原稿テーブル53bが上昇して可動原稿テーブル53b上の原稿MSの上面により押されて図中矢印c方向に上がる。これを原稿上面レベル検知センサ59で検知することにより、原稿上面レベルの上限までの上昇が検知される。これにより、ピックアップ昇降モータ101が停止するとともに底板昇降モータ105が停止する。なお、原稿上面レベルセンサ59としては、ピックアップローラ80を移動可能に保持するピックアップホルダーの被検部材を検知することで、原稿上面レベルの上限までの上昇を間接的に検知するものを用いた。係る構成のものに代えて、原稿上面レベルを直接的に検知するものを設けてもよい。
【0048】
操作部108よりコピースタートボタン158が押下され、本体制御部111からI/F107を介してADF51のコントローラ100に原稿給紙信号が送信される。これにより、給紙モータ102が駆動してピックアップローラ80が回転駆動し、原稿載置台53上の数枚(理想的には1枚)の原稿MSを原稿載置部Aから送り出す。ピックアップローラ80の回転方向は、最上位の原稿MSを給紙口48に搬送する方向である。
【0049】
ピックアップローラ80によって送り出された原稿MSは、分離手段としての分離搬送部Bに進入して、給紙ベルト84との当接位置に送り込まれる。この給紙ベルト84は、駆動ローラ82と従動ローラ83とによって張架されており、給紙モータ102の正転に伴う駆動ローラ82の回転によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0050】
この給紙ベルト84の下部張架面には、給紙モータ102の正転によって図中時計回りに回転駆動されるリバースローラ85が当接している。この当接部においては、給紙ベルト84の表面が給紙方向に移動する。これに対し、リバースローラ85の表面は、給紙方向とは逆方向に移動しようとするが、リバースローラ85の駆動伝達部には不図示のトルクリミッターが設けられており、給紙方向に向かう力がトルクリミッターのトルクよりも大きいとリバースローラ85は給紙方向に表面移動するように回転する。リバースローラ85は、給紙ベルト84に所定の圧力で当接して分離ニップを形成しており、給紙ベルト84に直接当接している際、あるいは分離ニップに原稿MSが1枚だけ挟み込まれている際には、給紙ベルト84又は原稿MSに連れ回る。但し、当接部に複数枚の原稿MSが挟み込まれた際には、連れ回り力がトルクリミッターのトルクよりも低くなるように設定されているため、連れ回り方向とは逆の図中時計回りに回転駆動する。これにより、最上位よりも下の原稿MSには、リバースローラ85によって給紙方向とは反対方向の移動力が付与されて、数枚の原稿から最上位の原稿MSだけが分離される。これにより、重送が防止される。
【0051】
給紙ベルト84やリバースローラ85の作用によって1枚に分離された原稿MSは、レジスト部Cに進入する。そして、給紙ベルト84によって更に送られ、突き当てセンサ72によって先端が検知されつつ、更に進んで停止しているプルアウトローラ対86に突き当たる。その後、突き当てセンサ72による先端の検知から所定時間だけ給紙モータ102を駆動させて、停止する。これにより、原稿MSが突き当てセンサ72による検知位置から所定量定められた距離だけ送られ、結果的には、原稿MSがプルアウトローラ対86に所定量の撓みをもって押し当てられた状態で給紙ベルト84による原稿MSの搬送が停止する。そして、突き当てセンサ72によって原稿MSの先端が検知されたときに、ピックアップ昇降モータ101を回転させることでピックアップローラ80を原稿MSの上面から退避させ原稿MSを給紙ベルト84の搬送力のみで送る。これにより、原稿MSの先端は、プルアウトローラ対86の上下のローラによって形成されるニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0052】
プルアウトローラ対86は、上述したように、スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿MSを中間ローラ対66まで搬送するためのローラ対で、プルアウトモータ113により2つのローラのうちの一方が駆動される。
プルアウトローラ対86によって送り出された原稿MSは、原稿幅センサ73の直下を通過する。原稿幅センサ73は、反射型フォトセンサ等からなる紙検知センサを原稿幅方向(図紙面に直交する方向)に複数個並べたセンサであり、どの紙検知センサが原稿MSを検知するかに基づいて、原稿MSの幅方向のサイズを検知する。また、原稿MSの搬送方向の長さは、原稿MSの先端が突き当てセンサ72によって検知されてから、原稿MSが突き当てセンサ72によって検知されなくなる(原稿MSの後端が通過する)までのタイミングに基づいてモータパルスから検知する。
【0053】
プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の駆動によって搬送される原稿MSは、中間ローラ対66及び読取入口ローラ対90によって搬送されるターン部Dに進入する。
【0054】
中間ローラ対66はプルアウトローラ対86の駆動源であるプルアウトモータ113と、読取入口ローラ対90の駆動源である読取入口モータ114との両方のモータから駆動が伝達される構成となっている。そして、2つのモータのうち、回転速度が速くなる側のモータの駆動によって回転速度が決まる機構を備えている。
【0055】
画像読取ユニット50では、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿MSが搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定しており、原稿MSを第一読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮が図られている。このとき、中間ローラ対66はプルアウトモータ113を駆動源として回転する。
【0056】
原稿MSの先端が読取入口センサ67により検出されると、読取入口ローラ対90の上下のローラによって形成されるニップに原稿MSの先端が進入する前に、原稿MSの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度と同速にするために、プルアウトモータ113の減速を開始する。これと同時に、読取入口モータ114及び読取モータ103を正転駆動する。読取入口モータ114を正転駆動することで読取入口ローラ対90が搬送方向に回転駆動し、読取モータ103を正転駆動することで読取出口ローラ対92及び第二読取出口ローラ対93が搬送方向にそれぞれ駆動する。
【0057】
ターン部Dから第一読取搬送部Eに向かう原稿MSの先端をレジストセンサ65で検知すると、コントローラ100は、所定の時間をかけて各モータの駆動を減速することで、原稿MSの搬送速度を所定の搬送距離をかけて減速する。そして、コントローラ100は、第一固定読取部151による第一読取位置400の手前で原稿MSを一時停止するように制御すると共に、本体制御部111にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。続いて、コントローラ100が本体制御部111より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿MSの原稿先端が第一読取位置400に到達するまでに、原稿MSの搬送速度が所定の搬送速度に立ち上がるように、読取入口モータ114及び読取モータ103の駆動を制御する。これにより、原稿MSは搬送速度が増速されつつ、第一読取位置400に向かって搬送される。そして、読取入口モータ114のパルスカウントに基づいて算出された原稿MSの先端が第一読取位置400に到達するタイミングで、コントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第一面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第一読取位置400を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第一面が第一固定読取部151によって読み取られる。
【0058】
第一読取搬送部Eを通過した原稿MSは、読取出口ローラ対92のニップを通過した後、その先端が排紙センサ61によって検知され、さらに、その後、第二読取搬送部Fを通過して排紙部Gへと搬送される。
【0059】
原稿MSの片面(第一面)のみを読み取る場合には、第二固定読取部95による原稿MSの第二面の読取が不要である。そこで、排紙センサ61によって原稿の先端が検知されると、排紙モータ104の正転駆動が開始されて、排紙ローラ対94における図中上側の排紙ローラが図中反時計回り方向に回転駆動される。また、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知されてからの排紙モータ104のパルスカウントに基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップを抜け出るタイミングが演算される。そして、この演算結果に基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップから抜け出る直前のタイミングで、排紙モータ104の駆動速度が減速せしめられて、原稿MSが原稿スタック台55から飛び出さないような速度で排紙されるように制御される。
【0060】
一方、原稿MSの両面(第一面及び第二面)を読み取る場合には、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知された後、第二固定読取部95に到達するまでのタイミングが読取モータ103のパルスカウントに基づいて演算される。そして、そのタイミングでコントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第二面における副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第二固定読取部95による第二読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第二面が第二固定読取部95によって読み取られる。
【0061】
読取手段としての第二固定読取部95は、密着型イメージセンサ(CIS)からなり、原稿MSに付着している糊状の異物が読取面に付着することによる読取縦すじを防止する目的で、読取面にコーティング処理が施されている。また、原稿MSが通過する搬送路を挟んで第二固定読取部95に対向する位置には、原稿MSを非読取面側(第一面側)から支持する原稿支持手段としての第二読取ローラ96が配設されている。この第二読取ローラ96は、第二固定読取部95による第二読取位置での原稿MSの浮きを抑えるとともに、第二固定読取部95におけるシェーディングデータを取得するための基準白部として機能する役割を担っている。
【0062】
次に、本実施形態の特徴点について、説明する。
図8は、ADF51の原稿セット部A、分離搬送部B、レジスト部C、ターン部Dの途中まで概略説明図である。
図8に示すように、本実施形態のADF51は、原稿MSの先端を検知する第1先端検知手段としての第1先端検知センサSn1を備えている。また、第1先端検知センサSn1よりも原稿搬送方向上流側には、原稿MSの先端を検知する第2先端検知手段としての第2先端検知センサSn2を備えている。第1、第2先端検知センサSn1,Sn2としては、反射型フォトセンサや、透過型フォトセンサを用いている。
【0063】
第1先端検知センサSn1は、分離ニップから特定サイズの原稿の搬送方向長さ(本実施形態においては、レター横サイズ:216mm)に必要十分なマージンαを加えた値だけ搬送経路に沿った下流の位置に配置される。上記マージンには、例えば、次原稿の先端が分離ニップよりも下流に突出することがあり、その突出量や、第1先端検知センサSn1の配置誤差や、後述する長さ検知手段の検知誤差などを考慮して決められる。この第1先端検知センサSn1の配置位置は、第1先端検知センサSn1が原稿先端を検知した際に、上記特定シートサイズ(上記の例ではレター横の216mm)の長さを持つ原稿の後端が分離部(給紙ベルト84、リバースローラ85)を確実に抜けているとみなせる位置である。
【0064】
第2先端検知センサSn2は、送出手段たるピックアップローラ80から特定サイズの原稿の搬送方向長さ(本実施形態においては、レター横サイズ:216mm)に必要十分なマージンを加えた値だけ搬送経路に沿った下流の位置に配置される。上記マージンには、例えば、第2先端検知センサSn2の配置誤差や、後述する長さ検知手段の検知誤差などを考慮して決められる。この第2先端検知センサSn2の配置位置は、第2先端検知センサSn2が原稿先端を検知した際に、上記特定シートサイズ(上記の例ではレター横の216mm)の長さを持つ原稿の後端がピックアップローラ80を確実に抜けているとみなせる位置である。
【0065】
上記特定サイズの原稿は、ユーザーの使用頻度が高く、ゆえにユーザーからの生産性の要求が高い原稿サイズであり、本実施形態においては、特定サイズとしては、レター横における搬送方向長さ:216mmに設定した。但し、本発明における特定サイズは、レター横に限定されるものではない。
【0066】
また、分離ニップAbの近傍には、後端検知手段であり長さ検知手段でもある後端検知手段M1が配置されている。
【0067】
図9は、後端検知手段M1周辺の平面図であり、図10は、後端検知手段M1の断面図である。
図に示すように、後端検知手段M1は、給紙ベルト84を回転駆動するための駆動ローラ82の駆動軸82aに回転自在に取り付けられたセンサーアーム140とセンサーアーム140に回転自在に支持された検知コロ軸142と、検知コロ軸142に勘合された連れ回り部材としての検知コロ141とエンコーダホイール143とフォトセンサ144とから構成されている。エンコーダホイール143は検知コロ141と同期して動くように検知コロ軸142に勘合されている。フォトセンサ144は、透過型のフォトセンサが用いられ、センサブラケット148を介して給紙部カバー145に取り付けられ、センサカバー146により覆われている。
【0068】
検知コロ141はセンサーアーム140を介して駆動軸に回動自在に支持されている関係で、自重で原稿MSに当接する。なお、スプリングなどで後端検知手段M1を原稿側へ付勢して、検知コロ141を原稿に当接させてもよい。これにより、検知コロ軸142を介してセンサーアーム140に回転自在に支持された検知コロ141とエンコーダホイール143とが、原稿MSの搬送方向の動きに合わせて回転する。
【0069】
エンコーダホイール143の円周上に所定の間隔をおいて形成された不図示の透過孔が、フォトセンサ144との対向位置にくると、フォトセンサ144の受光部が、発光部からの光を検知し、コントローラ100にON信号が出力される。一方、エンコーダホイール143の不図示の透過孔が、フォトセンサ144との対向位置にないときは、エンコーダホイール143は、フォトセンサ144の発光部からの光を遮る。よって、このときは、フォトセンサ144の受光部に光が入射しないので、コントローラ100にOFF信号が出力される。その結果、検知コロ141が搬送中の原稿MSと連れ回りしているときは、コントローラ100は、フォトセンサ144から、定期間隔のON−OFF信号(以下、パルス信号という)を受信する。一方、検知コロ141が停止しているときは、コントローラ100は、フォトセンサ144からONまたはOFFの連続信号(以下、ただ単に連続信号という)を受信する。このように、コントローラ100は、フォトセンサ144からの信号を監視することによって、検知コロ141が回転しているか、停止しているかを検知することができる。すなわち、エンコーダホイール143と、フォトセンサ144と、コントローラ100とで、連れ回り部材たる検知コロ141の回転を検知する回転検知手段が構成されている。
【0070】
次に、後端検知手段M1による原稿の後端検知ついて、図11、図12を用いて説明する。
図11は、プルアウトローラ対86でスキュー補正を行わない場合のタイミングチャートであり、図12は、プルアウトローラ対86でスキュー補正を行う場合のタイミングチャートである。
【0071】
図11に示すように、プルアウトローラ対86でスキュー補正を行わない場合は、原稿MSの先端が検知コロ141に到達すると、検知コロ141が原稿MSと連れ回り、回転する。検知コロ141が回転し始めると、フォトセンサ144からの出力は、連続信号からパルス信号に切り替わる。そして、原稿MSの後端が検知コロ141を抜けると、検知コロ141の回転が停止し、フォトセンサ144の出力は、パルス信号から連続信号に切り替わる。よって、フォトセンサ144からの出力が、パルス信号から連続信号に切り替わるのを監視することで、原稿MSの後端を検知することができる。
【0072】
また、本実施形態においては、この後端検知手段M1により、原稿MSの搬送方向長さを検知している。具体的には、連続信号からパルス信号に切り替わるのを監視することで原稿MSの先端を検知する。原稿MSの先端を検知したら、原稿MSの後端を検知するまで、フォトセンサ144からのパルス数n1(ON−OFF信号を1パルスとする)を計測する。そして、計測したパルス数n1と検知コロ141の直径rと検知コロ141が1回転するためのパルス数n(エンコーダホイール143の透過孔の数)とを用いて、原稿MSの搬送方向長さ(n1×(πr/n))[mm]を算出する。このようにして、後端検知手段M1による原稿MSの搬送方向長さの検知が行われる。
【0073】
一方、プルアウトローラ対86でスキュー補正をする場合は、停止したプルアウトローラ対86の原稿MSの先端を突き当てて、原稿MSを撓ませ、一旦、原稿MSの搬送を停止する。よって、図12に示すように、検知コロ141の回転も一旦停止する。このため、検知コロ141の停止が、後端検知手段M1上に搬送原稿が無いための停止か、スキュー補正による停止かを判断する必要がある。本実施形態では、給紙モータ102の駆動のON/OFFをソフトで検出することで、検知コロ141の停止が、後端検知手段M1上に搬送原稿が無いための停止か、スキュー補正による停止かを判断している。具体的には、給紙モータ102の駆動がONで、連続信号からパルス信号に切り替わったときは、原稿MSの先端が、後端検知手段M1上に到達したと検知する。給紙モータ102の駆動がONからOFFに切り替わったタイミングで、フォトセンサ144の出力がパルス信号から連続信号に切り替わったときは、検知コロ141の停止が、スキュー補正による一旦停止と判断する。給紙モータ102の駆動がOFFで、フォトセンサ144の出力が連続信号からパルス信号に切り替わったときは、スキュー補正後の検知コロ141の回転と判断し、給紙モータ102の駆動がOFFで、フォトセンサ144の出力がパルス信号から連続信号に切り替わったときは、後端検知手段M1上から原稿の後端が抜けたことによる検知コロ141の停止と判断する。
【0074】
なお、本実施形態では、給紙モータ102の駆動ON/OFFから、検知コロ141の停止がスキュー補正による停止か、後端検知手段M1上に搬送中の原稿がないための停止かを判断しているが、プルアウトローラ対86を駆動するプルアウトモータ113の駆動ON/OFFを用いてもよい。例えば、プルアウトモータ113の駆動OFFで、給紙モータ102の駆動OFFのときの検知コロ141の停止が、スキュー補正時の検知コロ141の停止と判断することができ、プルアウトモータ113の駆動ONで給紙モータ102の駆動OFFのとき、検知コロ141の停止を検知したときは、原稿MSの後端が後端検知手段M1から抜けたことを検知することができる。また、給紙モータ102がONで、検知コロ141の回転を検知したときは、原稿の先端が後端検知手段M1にと到達したことを検知でき、給紙モータ102がOFFで、検知コロ141の回転を検知したときは、スキュー補正後の再搬送であると検知することができる。
【0075】
このように、スキュー補正により一旦原稿が停止する場合は、スキュー補正前のフォトセンサ144からのパルス数n1とスキュー補正後のフォトセンサ144からのパルス数n2と検知コロ141の直径r[mm]と、検知コロ141が1回転するためのパルス数nとを用いることで、シート長((n1+n2)×π(r/n)[mm])を算出することができる。
【0076】
本実施形態においては、検知コロ141の直径r[mm]と、検知コロ141が1回転するためのパルス数nと、計測したパルス数n1、(n1+n2)とからシート長を算出しているが、検知コロ141の直径r[mm]と、検知コロ141が1回転するためのパルス数nは、規定値なので、計測したパルス数n1、(n1+n2)のみから、シート長を確定してもよい。
【0077】
また、本実施形態においては、フォトセンサ144のパルス信号が連続信号に切り替わったことを検知することで、原稿MSの後端を検知するので、原稿MSの後端が後端検知手段M1を抜けた直後に原稿MSの後端を検知することができる。すなわち、検知コロ141が原稿MSと連れ回りしているときは、コントローラ100は、所定のタイミングでフォトセンサ144からパルス信号を受信する。よって、所定のタイミングでパルス信号を受信しなかったら、後端検知手段M1を原稿MSの後端が抜けたと判断できる。すなわち、原稿MSの後端が後端検知手段M1を抜けて、1パルス分の原稿MSが移動した時点で、原稿MSの後端を検知することができる。1パルス当たりの原稿移動量は僅かなので、原稿MSの後端が後端検知手段M1を抜けたほぼ直後に、原稿MSの後端を検知することができる。また、原稿MSにパンチ穴が形成されていたとしても、検知コロ141は、原稿MSのパンチ穴が形成されていない箇所と当接して、原稿MSと連れ回るので、原稿MSにパンチ穴があっても、検知コロ141が停止することはない。よって、上記のように、所定のタイミングでパルス信号を受信しなかったら、原稿MSの後端を検知するよう制御したとしても、誤検知するようなことはない。よって、パンチ穴による誤検知を防止するために、所定のタイミングでパルス信号を受信しなくなった時点から、数秒間待って、その間にパルス信号を受信しなかったら、後端を検知するような制御をする必要がない。よって、パンチ穴による誤検知することなく、原稿MSの後端が後端検知手段M1を抜けたほぼ直後に、原稿の後端を検知することができる。
【0078】
また、検知コロ141は分離ニップ位置よりも下流側で出来る限り上流に配置することが望ましい。分離ニップAbよりも上流に検知コロ141を配置した場合、後端検知手段M1が原稿の後端を検知した段階では、原稿MSの後端は、まだ分離ニップAbを通過していない。このため、後端検知手段M1が原稿MSの後端を検知したら、時刻計測の制御や駆動量の測定の制御を開始し、時刻や駆動量が所定値になったタイミングで、次原稿を搬送する制御となるため、制御が煩雑となる。分離ニップAbの位置に検知コロ141を配置した場合も、同様に、後端検知手段M1が原稿MSの後端を検知したら、時刻計測の制御や駆動量の測定の制御を開始し、時刻や駆動量が所定値になったタイミングで、次原稿を搬送する制御にする必要がある。これは、次原稿の原稿が、搬送中の原稿とともに搬送され、次原稿の先端が、分離ニップAbから僅かに突出する場合がある。そのため、後端検知手段M1が原稿の後端を検知した段階(原稿の後端がほぼ分離ニップを抜けた直後)に次原稿の搬送を開始すると、前原稿の後端と次原稿の先端とが重なって搬送される所謂重送が発生してしまう。よって、このような重送を防止するため、分離ニップAbの位置に検知コロ141を配置した場合も、後端検知手段M1が原稿MSの後端を検知したら、時刻計測の制御や駆動量の測定の制御を開始し、時刻や駆動量が所定値になったタイミングで、次原稿を搬送する制御にする必要があるのである。
【0079】
一方、検知コロ141を分離ニップ位置よりも下流側に配置することにより、後端検知手段M1が原稿MSの後端を検知したタイミングで次原稿の搬送を開始しても、上記のような重送が発生することはない。よって、上述のように、後端検知手段M1が原稿の後端を検知した後、時刻計測の制御や駆動量の測定制御などを入れる必要がなくなり、簡単な制御で、次原稿の搬送を行うことができる。
【0080】
また、本実施形態においては、後端検知手段M1で、原稿の搬送方向長さを検知しているが、第1の先端検知センサSn1や、第2の先端検知センサSn2、突き当てセンサ72などの他の検知手段を用いて、原稿の搬送方向長さを検知してもよい。また、これらとは別に、原稿の搬送方向の長さ検知専用のセンサを原稿搬送経路上に配置してもよい。
【0081】
次に、本実施形態の原稿給紙制御について、説明する。
図13、図14は、給紙開始タイミングを制御するフロー図である。
図に示すように、まず、本体制御部111よりI/F107を通じて要求される給紙開始命令の到着を待つ(S1)。命令が到着したら(S1でYes)、1枚目の原稿を送り出すための準備の為ピックアップローラ80の下降を開始し(S2)、ピックアップローラ80の下降処理が完了(S3でYes)した後、1枚目原稿の給紙動作を開始する(S4)。
【0082】
次原稿がある場合(S5でYES)は、後端検知手段M1で、原稿の搬送方向長さの測定を開始するとともに、後端検知手段M1で原稿の後端を検知する(S6)。後端検知手段M1で1枚目の原稿後端を検出すると(S6でYes)、2枚目の原稿を送り出すための準備動作として、ピックアップローラ80の下降を開始し(S7)、ピックアップローラ80の下降が完了した(S8でYes)後、続けて2枚目原稿の給紙動作(送り出し動作)を開始する(S9)。ここまでが、原稿束1枚目と2枚目の給紙制御であるが、結論として、2枚目原稿の給紙動作開始タイミングは1枚目の原稿サイズに依存せずに、常に原稿1枚目の後端を後端検知手段M1が検出したタイミングで行なわれる。
【0083】
また、1枚目の原稿の後端が後端検知手段M1を抜けると、上述したように、パルス数から原稿の搬送方向長さが算出され、原稿搬送方向長さが確定される(S10)。このように、原稿の搬送方向長さが確定したら、確定した原稿の搬送方向長さが、所定値(特定サイズの原稿搬送長さ:216mm)以下か否かをチェックする。確定した原稿の搬送方向長さが、所定値を超える場合(S11でNo)は、第1、第2の先端検知センサSn1,Sn2による先端検知を無効に設定する(S13)。一方、確定した原稿の搬送方向長さが、所定値(特定サイズの原稿搬送長さ:216mm)以下の場合(S11)は、第1、第2先端検知センサの先端検知Sn1,Sn2を有効に設定する。そして、次原稿があれば(S14でYes)、S15の処理に移行し、次原稿が無ければ(S14でNo)、終了する。
【0084】
このように、本実施形態では、1枚目の原稿のシート長情報によって、3枚目以降の給紙開始タイミングを決定している。すなわち、この確定サイズ情報を用いた給紙開始タイミングの決定は原稿束の連続読取を1つの単位とし、その開始時に1度だけ(1枚目原稿だけ)行われて、原稿束の連続給紙中には、このときの結果が固定して用いられる。しかし、各原稿搬送で取得される確定サイズ情報ごとに、給紙開始タイミングを決定してもよい。つまり、N枚目の確定サイズ情報によって、N+2枚目のピックアップローラ下降/給紙動作の開始タイミングを決定してもよい。
【0085】
図14は、3枚目以降の給紙開始タイミングを制御するフローである。
図14に示すように、制御手段たるコントローラ100は、第2の先端検知センサSn2と、後端検知手段M1とを監視し、第2の先端検知センサSn2が、後端検知手段M1よりも先に原稿の先端を検知した場合は、S12で先端検知センサの先端検知が有効に設定されているか否か確認する。先端検知センサの先端検知が有効に設定されている場合(S15でYES)は、第2先端検知センサSn2が先端検知したタイミングで給紙準備動作として、ピックアップローラ80の下降を開始する(S17)。また、後述する異常検知処理を並行処理で開始する(S23)。
【0086】
一方、第2先端検知センサSn2よりも先に後端検知手段M1が原稿の後端を検知した場合や、S13で先端検知センサの先端検知が無効に設定されている場合で、後端検知手段M1が原稿の後端を検知した場合(S15でNo、S16でYes)は、後端検知手段M1が原稿の後端を検知したタイミングで給紙準備動作として、ピックアップローラ80の下降を開始する(S17)。
【0087】
ピックアップローラ80の下降の開始タイミングが、後端検知手段M1が原稿後端を検知したことに基づく場合は、既に後端検知手段が後端を検知した状態である(S19でYes)ので、ピックアップローラ80の下降完了しだい(S20のYES)、原稿の給紙動作を開始する(S21)。
【0088】
一方、ピックアップローラ80の下降の開始タイミングが、第2の先端検知センサSn2が原稿先端を検知したことに基づく場合は、まだ、後端検知手段M1が原稿の後端を検知していないので、コントローラ100は、第1の先端検知センサSn1と、後端検知手段M1とを監視する。そして、後端検知手段M1が原稿の後端を検知するより先に第1先端検知センサSn1が原稿の先端を検知し、かつ、先端検知が有効に設定されている場合(S18でYes)は、後述する異常検知処理が開始される(S24)とともに、第1先端検知センサSn1の先端検知のタイミングで次原稿の給紙動作が開始される(S21)。
【0089】
一方、第1先端検知センサSn1が原稿の先端を検知するよりも先に後端検知手段M1が原稿の後端を検知した場合(S18でNo、S19でYes)は、後端検知手段M1の後端検知のタイミングで次原稿の給紙動作が開始される(S21)。
【0090】
本実施形態においては、原稿束の3枚目以降の原稿に対しては、図14に示すような原稿給紙制御を行うことで、特定サイズの原稿の紙間を縮めて給紙することができる。また、特定サイズ(レター横:216mm)よりも搬送方向長さが短い原稿に対しても、紙間が広がることなく原稿を搬送できる。さらに、特定サイズよりも搬送方向長さが長い原稿に対して、重送が生じることなく、原稿を搬送することができる。以下に、図を用いて、具体的説明する。
【0091】
まず、確定サイズが、特定サイズ(レター横)の場合の搬送について、図15、図16を用いて説明する。確定サイズが特定サイズのときは、所定値(216mm)以下であるので、第1、第2の先端検知センサSn1、Sn2の先端検知が有効に設定される。
図15に示すように、特定サイズの原稿が搬送されると、原稿の後端が後端検知手段M1を抜ける前に、原稿の先端が第2先端検知センサSn2に到達する。よって、特定サイズの場合は、第2先端検知センサSn2が原稿の先端を検知したタイミングで、ピックアップローラ80の下降が開始される。このとき、図に示すように、原稿の後端は、ピックアップローラ80との対向位置を抜けた位置に位置している。よって、第2先端検知センサSn2の先端検知のタイミングでピックアップローラ80の下降を開始しても、ピックアップローラ80が、前原稿に当接することがない。よって、特定サイズの原稿が搬送されるときは、第2先端検知センサSn2が原稿の先端を検知したタイミングで、ピックアップローラ80の下降を開始することにより、後端検知手段M1が原稿の後端を検知したタイミングでピックアップローラ80の下降を開始する場合に比べて、紙間を詰めて搬送することが可能となる。
【0092】
また、確定サイズが特定サイズのときは、図16に示すように、原稿の後端が後端検知手段M1を抜けるまえに、原稿の先端が第1先端検知センサSn1に到達する。よって、特定サイズのときは、第1先端検知センサSn1が原稿の先端を検知したタイミングで、給紙動作が開始される。原稿の先端が第1先端検知センサSn1に到達したとき、原稿の後端は、分離ニップAbから僅かに下流側に位置している。分離ニップAbから原稿後端の位置は、次の原稿の先端が分離ニップAbから突出していても、前原稿の後端は、次原稿の先端と重ならないところである。よって、特定サイズの原稿の場合は、第1の先端検知センサSn1が原稿の先端を検知したタイミングで、次原稿の搬送を開始しても重送が生じることなく、後端検知手段M1が原稿の後端を検知して原稿の搬送を開始する場合に比べて、紙間を詰めて搬送を行うことができる。
【0093】
なお、上述では、原稿が、特定サイズ(レター横:216mm)のときの搬送について、説明したが、搬送方向長さが、(216mm−分離ニップから後端検知手段M1までの搬送経路長L1)以上、216mm以下の原稿に関しては、各先端検知センサSn1,Sn2の先端検知のタイミングで、送り出し準備動作としての給紙準備動作、送り出し動作としての給紙動作が開始される。すなわち、搬送方向長さが(216mm−分離ニップから後端検知手段までの搬送経路長L1)以上、216mm以下の原稿が、所定の基準長さの原稿となる。
【0094】
次に、原稿の搬送方向長さが、上述した基準長さよりも短く、後端検知手段M1から第2先端検知センサSn2までの搬送経路長L2以上の原稿(以下、第1のサイズという)の給紙について、図17を用いて説明する。この場合も、所定値(216mm)以下であるので、第1、第2の先端検知センサSn1、Sn2の先端検知が有効に設定される。
この第1のサイズの原稿は、原稿の搬送方向長さが後端検知手段M1から第2先端検知センサSn2までの搬送経路長L2以上であるので、特定サイズの原稿と同様、原稿の後端が後端検知手段M1を抜けるまえに、原稿の先端が第2先端検知センサSn2に到達する。よって、確定サイズが第1のサイズのときも、第2先端検知センサSn2が原稿の先端を検知したタイミングで、ピックアップローラ80の下降が開始される。これにより、後端検知手段M1が原稿の後端を検知したタイミングでピックアップローラ80の下降を開始する場合に比べて、紙間を詰めて搬送することが可能となる。
【0095】
しかしながら、この第1のサイズの原稿は、上述した基準長さよりも短いので、図17に示すように、原稿の先端が第1先端検知センサSn1に到達する前に原稿の後端が後端検知手段M1を抜ける。よって、第1のサイズの原稿の場合は、後端検知手段M1が原稿の後端を検知したタイミングで、次原稿の給紙動作が開始される。このように、第1のサイズの場合は、後端検知手段M1が原稿の後端を検知したタイミングで、次原稿の給紙動作が開始されることにより、第1の先端検知センサSn1が原稿の先端を検知したタイミングで、次原稿の搬送を開始するよりも、紙間を詰めて搬送を行うことができる。
【0096】
次に、原稿の搬送方向長さが、後端検知手段M1から第2先端検知センサSn2までの搬送経路長L2未満の原稿(以下、第2のサイズという)の給紙について、図18を用いて説明する。この場合も、所定値(216mm)以下であるので、第1、第2の先端検知センサSn1、Sn2の先端検知が有効に設定される。
図18に示すように、第2のサイズの原稿についても、先端検知が有効に設定されるが、第2のサイズは、後端検知手段M1から第2先端検知センサSn2までの搬送経路長L2よりも短いので、原稿の先端が第2先端検知センサSn2に到達する前に原稿の後端が後端検知手段M1を抜ける。そのため、後端検知手段M1が原稿の後端を検知したタイミングで、ピックアップローラ80の下降が開始され、ピックアップローラ80の下降完了後、次原稿の給紙動作が開始される。このように、第2のサイズの場合は、後端検知手段M1の後端検知により、給紙準備動作/給紙動作が開始される。よって、特定サイズの原稿のときと同様、第2の先端検知センサSn2が原稿の先端を検知したタイミングでピックアップローラ80の下降を開始し、第1の先端検知センサSn1が原稿の先端を検知したタイミングで原稿の搬送を開始する場合に比べて、紙間を詰めることができる。
【0097】
次に、原稿の搬送方向長さが、所定値(216mm)を超える原稿(以下、第3のサイズという)の給紙について、図19を用いて説明する。この場合は、所定値(216mm)を超えるので、第1、第2の先端検知センサSn1、Sn2の先端検知が無効に設定される。
この場合は、図18に示すように、後端検知手段M1が原稿の後端を検知するよりも先に、第1,第2先端検知センサSn1,Sn2が、原稿の先端を検知する。しかし、第1、第2の先端検知センサSn1、Sn2の先端検知が無効に設定されているので、第1、第2の先端検知センサSn1,Sn2が原稿の先端を検知しても、ピックアップローラ80の下降や次原稿の給紙動作が開始されることがない。図に示すように、原稿の先端が第1先端検知センサSn1を抜けるとき、原稿の後端は、ピックアップローラ80との対向位置よりも搬送方向下流側にある。よって、この場合は、特定サイズの原稿のときと同様、第2先端検知センサSn2が原稿の先端を検知したタイミングでピックアップローラ80の下降を開始すると、前原稿とピックアップローラ80とが当接してしまう。その結果、ピックアップローラ80が搬送の抵抗となり、前原稿にスキューが生じるおそれがある。さらに、第1の先端検知センサSn1が原稿の先端を検知したタイミングで原稿の搬送を開始すると、重送が生じてしまう。よって、第3のサイズの場合は、先端検知を無効にして、後端検知手段M1の後端検知のタイミングでピックアップローラ80の下降を開始し、ピックアップローラ80が原稿束の原稿に当接したら、次原稿を搬送することにより、前原稿にスキューが生じたり、重送が生じたりすることなく搬送することができる。
【0098】
このように、本実施形態においては、3枚目以降の原稿に対して図14に示すような制御を実施することにより、原稿搬送長さが、上述した基準長さの場合のみ、第1先端検知センサSn1の先端検知のタイミングで給紙動作が開始され、それ以外の原稿は、後端検知手段M1の後端検知のタイミングで給紙動作が開始される。第1先端検知センサSn1は、上述したように、分離ニップAbから、216mm+αの位置に配置されているから、特定サイズ(レター横)の原稿は、紙間α以下(次原稿の原稿の先端が分離ニップよりも突出している場合は、紙間αよりも狭くなる)で、搬送される。これにより、特定サイズの原稿の紙間を縮めて搬送することができる。また、特定サイズでもなくても、基準長さの原稿であれば、後端検知手段M1の後端検知で給紙動作が開始される場合に比べて、紙間を縮めて搬送することができる。
【0099】
また、基準長さよりも搬送方向長さが短い原稿は、後端検知手段M1の後端検知のタイミングで次原稿の給紙動作が開始されるので、第1の先端検知センサSn1の先端検知のタイミングで次原稿の給紙動作が開始される場合に比べて、紙間を縮めて搬送することができる。
【0100】
また、基準長さよりも長い原稿についても、後端検知手段M1の後端検知のタイミングで次原稿の給紙動作が開始されるので、重送が生じることなく次原稿の原稿を搬送することができる。
【0101】
また、後端検知手段M1が、検知コロ141の回転状態により後端を検知するものであるので、原稿の後端が後端検知手段M1を抜けて直ぐに後端を検知することができる。よって、後端検知手段M1がフォトセンサの場合に比べて、基準長さ以外の原稿を搬送するときの紙間を縮めることができる。
【0102】
また、原稿の搬送方向長さが、特定のサイズ(レター横:216mm)以下で、後端検知手段M1から第2の先端検知センサSnまでの搬送経路長L2以上である場合には、第2先端検知センサSn2による先端検知タイミングに基づいて、準備動作としてのピックアップローラ80の下降を開始することで、早期に次原稿の給紙動作の準備を完了することができる。これにより、早期に次原稿の給紙動作を開始することが可能となる。
【0103】
また、原稿の搬送方向長さが、特定のサイズ(レター横:216mm)以下で、後端検知手段M1から第2の先端検知センサSn2までの搬送経路長L2以上ではない原稿は、後端検知手段M1が後端検知したタイミングでピックアップローラ80の下降が開始される。よって、原稿の搬送方向長さが、後端検知手段M1から第2の先端検知センサSn2までの搬送経路長L2未満の場合は、第2先端検知センサSn2が先端検知したタイミングでピックアップローラ80の下降を開始する場合に比べて、早期に次原稿の給紙動作の準備を完了することができる。また、特定サイズを超える原稿の場合は搬送中の原稿にピックアップローラ80が当接することが防止され、搬送中の原稿にスキューが生じるのを抑制することができる。
【0104】
本実施形態では、ピックアップ下降処理に第2の先端検知センサSn2を用いるときの制御(S15〜S17)と給紙開始処理に第1の先端検知センサSn1を用いるときの制御(S18〜S21)について両方を行う場合について述べたが、構成その他の要件に応じて、どちらか一方のみを行うこともできる。その場合は、図13で示したフロー中のS15もしくはS18が省かれ、判断結果がNoで固定されるような制御フローとなる。
【0105】
また、原稿載置台53には、搬送方向長さが異なる原稿が混合した原稿束がセットされる場合がある。例えば、1枚目の原稿が、所定サイズ(216mm)以下で、3枚目以降に、所定サイズを超える長さの原稿があった場合、この3枚目以降の所定サイズを超える原稿と、その次の原稿との間で重送が発生してしまう。その結果、JAM(原稿詰まり)の発生や、原稿ダメージが懸念される。そこで、このような特定サイズよりも搬送方向長さが長い原稿と特定サイズ以下の原稿とが混合した原稿束をセットする場合、ユーザーで「原稿サイズ混載モード」を設定できるようにし、「原稿サイズ混載モード」に設定された場合は、常に、後端検知手段M1が原稿後端検知したことをトリガーとして、次原稿の給紙動作開始タイミングを制御するものとする。原稿サイズの混載モードの設定は、たとえば、ユーザーが操作部108を操作することで設定/解除が可能となっている。
【0106】
次に、図14の制御フローに示した異常検知処理について説明する。
先端検知が有効に設定されているときにおいて、先端検知センサSn1,Sn2で先端を検知してから所定の時間経過するまでの間に、後端検知手段M1が原稿の後端を検知するはずである。そのため、もしこの後端検知手段M1が所定の時間経過後も原稿の後端を検知しない場合、特定サイズよりも搬送方向長さが長い原稿と特定サイズ以下の原稿とが混合した原稿束をセットしたにもかかわらず、ユーザーが原稿サイズの混載モードに設定し忘れた場合や後端検知手段M1が故障して、正しく原稿サイズを取得できていない可能性が疑われる。所定値(216mm)よりも搬送方向に長い原稿の搬送時に、先端検知が無効になっていないと、上述したように、スキューや重送が発生してしまう。そこで、本実施形態においては、異常検知処理を行って、先端検知が有効で、先端検知センサSn1,Sn2の先端検知で準備動作や給紙動作を開始した場合、所定値よりも搬送方向に長い原稿が搬送されていないか検知して、搬送異常を検知するのである。
【0107】
図20は、異常検知処理の制御フロー図である。
このフローは、先端検知が有効に設定され、第2の先端検知センサSn2や第1の先端検知センサSn1が原稿の先端を検知したときに呼び出され、図14に示した制御フローと平行して処理されるものである。
まず、第2の先端検知センサSn2や第1の先端検知センサSn1が原稿の先端を検知したことをトリガーにして、異常検知処理の制御が開始されると、そのときの駆動モータ(給紙モータ102やプルアウトモータ113)の駆動パルスカウントを基準値として取得しコントローラ100のメモリに記憶する(S31)。次に、コントローラ100は、後端検知手段M1を監視する(S32)。そして、現在の駆動パルス数が、保存した基準パルスカウントから所定量(Th)増加する前に、後端検知手段M1が原稿の後端を検知した場合は、コントローラ100は、原稿の搬送が正常と行われていると判定(S34)する。
【0108】
一方、現在の駆動パルス数が、保存した基準パルスカウントから所定量(Th)以上増加しても、後端検知手段M1が原稿の後端を検知しない(S32でNo、S33でYes)場合は、先端検知が有効であるにも係らず、所定値(216mm)よりも搬送方向に長い原稿が搬送されていると判断し、搬送異常と判定する(S35)。この場合、重送やスキューが発生するおそれがあるので、原稿搬送に使用されている各駆動モータを停止させて、原稿の搬送を停止する(S36)。また、1/F107を通じて本体制御部111に、搬送異常と判定した旨を通知する。本体制御部111は、この通知にもとづいて、操作部108にシートサイズ混載モードに設定されているかを確認する旨や、後端検知手段M1の故障が疑われる旨を表示し、ユーザーに報知する(S37)。
【0109】
上記第2の先端検知センサSn2の検知結果をトリガーとして、異常判定処理が開始された場合、上記所定量(Th)は、ピックアップローラ80の位置から後端検知手段M1の搬送路上の位置まで原稿が搬送されるのに必要な駆動モータ(給紙モータ102やプルアウトモータ113)の駆動パルス数を基本とし、それにセンサの検知誤差などのマージンを加えたものが用いられる。また、上記第1の先端検知センサSn1の検知結果をトリガーとして、異常判定処理が開始された場合、上記所定量(Th)は、分離ニップから後端検知手段M1の搬送路上の位置まで原稿が搬送されるのに必要な駆動モータ(給紙モータ102やプルアウトモータ113)の駆動パルス数を基本とし、それにマージンを加えたものが用いられる。
【0110】
また、図14においては、第2の先端検知センサSn2の検知結果をトリガーとして、異常判定処理を行うともに、第1の先端検知センサSn1の検知結果をトリガーとしても異常判定処理を行っているが、いずれか一方だけでもよい。
【0111】
このように、異常判定処理を行うことにより、ユーザーの原稿サイズ混載モードの設定のし忘れや、原稿搬送方向長さを検知する後端検知手段M1の故障により、先端検知が有効に設定された状態で、所定値(特定サイズの搬送方向長さ:216mm)よりも搬送方向に長い原稿が搬送されることを防止することができ、重送やスキューが生じるのを抑制することができる。
【0112】
また、上述では、ADF51に本発明を適用した場合について説明したが、シート供給カセット42に積載された記録シート束を2次転写ニップへ搬送するシート供給装置40に、本発明を適用することもできる。
【0113】
(1)
以上、ADF51などのシート搬送装置は、原稿などのシート材を複数枚重ねたシート束の状態で載置する原稿載置台53などの載置部と、載置部上の原稿束における上位のシート材を載置部から送り出すピックアップローラ80などの送出手段と、送出手段によって載置部から複数枚のシート材が送り出された場合に、最上位のシート材だけを他のシート材から分離して送り出す給紙ベルト84、リバースローラ85で構成された分離搬送部Bなどの分離手段と、分離手段によって分離されたシート材の後端を検知する後端検知手段M1と、分離手段によって分離されたシート材を搬送先に向けて搬送する搬送部と、所定のタイミングが到来したことに基づいて、送出手段によるシート送り出し動作を開始させるコントローラ100などの制御手段とを備えている。また、後端検知手段M1よりも原稿搬送方向下流側における所定位置でシート材の先端を検知する第1の先端検知センサSn1などの先端検知手段と、搬送部を搬送中のシート材の搬送方向長さを検知する長さ検知手段を備えている。そして、制御手段は、シート材の長さが所定の基準長さ(特定サイズの原稿長さ−分離ニップから後端検知手段までの搬送経路長L1以上、特定サイズ以下)であると検知された場合は、所定のタイミングとして、先端検知手段による先端検知タイミングを採用する処理を実施する一方で、シート材の長さが所定の基準長さ以外の場合は、所定のタイミングとして後端検知手段M1による後端検知タイミングを採用する処理を実施する。
かかる構成を備えることで、上述したように、基準長さのシート材を、紙間を縮めて搬送することができる。また、基準長さよりも短いシート材に対しては、後端検知手段M1による後端検知のタイミングで給紙動作が行われることにより、先端検知手段により先端検知のタイミングで給紙動作が行われる場合に比べて、紙間を縮めることができる。また、基準長さよりも長いシート材に対しても、後端検知手段M1の後端検知のタイミングで給紙動作が行われるので、重送が生じることなく原稿の搬送を行うことができる。
【0114】
また、後端検知手段M1は、シート材と連れ回りする検知コロ141などの連れ回り部材と、連れ回り部材の回転を検知する回転検知手段(エンコーダホイール143、フォトセンサ144と、コントローラ100などで構成)とで構成する。これにより、上述したように、後端検知手段M1を、フォトセンサで構成した場合に比べて、原稿の後端が後端検知手段を抜けたことをすばやく検知することができる。これにより、基準長さ以外の原稿を搬送するときの紙間が広がるのを抑制することができる。
【0115】
(2)
また、上記(1)に記載の態様の長さ検知手段に換えて、後端検知手段により、シート材の搬送方向長さを検知してもよい。後端検知手段をシート材の長さ検知に用いることで、後端検知手段とは別に長さ検知手段を用いる場合に比べて、装置を安価にすることができる。
【0116】
(3)
また、上記(1)または(2)に記載の態様において、シート材の長さが、特定のシート材の搬送方向長さを以下のときは、先端検知手段の先端検知のタイミング、後端検知手段の後端検知タイミングのいずれか早い方を採用する処理を実施するように、制御手段を構成した。これにより、シート材の長さが、基準長さよりも短いシート材は、後端検知手段の検知タイミングで送り出し動作を開始することができ、基準長さのシート材は、先端検知手段の先端検知の検知タイミングで送り出し動作を開始することができる。
【0117】
(4)
上記(1)乃至(3)いずれかに記載の態様において、送出手段として、シート送り出し動作に先立って、シート送り出し動作を可能にするための準備動作を行うものを用い、先端検知手段と後端検知手段との間に第2の先端検知センサSn2などの第2の先端検知手段を設け、長さ検知手段または後端検知手段による検知結果が特定のシート材の搬送方向長さ以下で且つ後端検知手段から第2の先端検知手段までの搬送経路長L2以上である場合には、第2先端検知手段による先端検知タイミングに基づいて準備動作を開始させ、それ以外の場合は、後端検知手段による後端検知タイミングに基づいて準備動作を開始させる処理を実施するように、制御手段を構成した。
これにより、上述したように、特定のシート材の搬送方向長さ以下で且つ後端検知手段から第2の先端検知手段までの搬送経路長L2以上のシート材に関しては、後端検知手段の後端検知タイミングで準備動作を開始する場合に比べて、早期に準備動作を完了することができる。これにより、先端検知手段が先端検知したタイミングまたは後端検知手段が後端検知したタイミングのとき、既に準備動作が完了しており、準備動作が完了を持たずに、シート材の送り出し動作を開始することができ、紙間を縮めることが可能となる。
また、特定のシート材よりも搬送方向長さが長いシート材については、後端検知手段の後端検知のタイミングで準備動作が行われるので、シート材の後端が送出手段を抜ける前に、送出手段の準備動作が完了するのを防止することができる。これにより、送出手段が、送出手段よりも原稿搬送下流の搬送手段により搬送されているシート材の搬送を阻害するのを防止することができ、シート材にスキューなどが生じるのを抑制することができる。
また、後端検知手段から第2の先端検知手段までの搬送経路長L2以下のシート材に関しては、後端検知手段の後端検知のタイミングで準備動作が行われるので、第2の先端検知手段の先端検知タイミングで準備動作が行われる場合に比べて、準備動作を早く終わらせることができる。
【0118】
(5)
上記(4)に記載の態様において、送出手段として、載置部上のシート束における最上位のシート材と当接して回転する回転部材を備え、準備動作は、回転部材を最上位のシート材に当接させる動作である。これにより、回転部材を回転することにより、シート束における最上位のシート材を分離手段へ送り出すことができる。
【0119】
(6)
上記(4)または(5)に記載の態様において、後端検知タイミングに基づいて準備動作を開始させた場合、準備動作完了直後に、送出手段によるシート送り出し動作を開始させる処理を実施する。これにより、後端検知手段の検知結果に基づいて送出手段の準備動作を行ったときの給紙動作の開始の遅延を防止でき、紙間を縮めることができる。
【0120】
(7)
上記(4)乃至(6)いずれかに記載の態様において、シート材の長さが、特定のシート材の搬送方向長さを以下のときは、第2の先端検知手段の先端検知のタイミング、後端検知手段の後端検知タイミングのいずれか早い方を採用する処理を実施するように、制御手段を構成した。これにより、特定のシート材の搬送方向長さ以下で且つ後端検知手段から第2の先端検知手段までの搬送経路長L2以上のシート材に関しては、第2先端検知手段の先端検知タイミングで準備動作を開始することができ、後端検知手段から第2の先端検知手段までの搬送経路長L2未満のシート材に関しては、後端検知手段の後端検知のタイミングで、準備動作を行うことができる。
【0121】
(8)
また、上記(1)乃至(7)いずれかに記載の態様において、積載部にシート材搬送方向長さが異なるシート材が積載したときに、シートサイズ混載モードに設定するモード設定手段(操作部108やコントローラ100などで構成)を有し、シートサイズ混載モードが設定されたとき、長さ検知手段または後端検知手段の長さ検知は行わずに、後端検知手段による後端検知タイミングに基づいて送出手段によるシート送り出し動作を開始させる処理を実施するように、制御手段を構成した。
これにより、長さ検知手段または後端検知手段によるシート材の検知結果が、基準長さと検知して、先端検知手段の先端検知のタイミングが採用されたにもかかわらず、基準長さよりも長いシート材が搬送されてしまい、重送が発生することを防止することができる。
【0122】
(9)
また、上記(1)乃至(8)いずれかに記載の態様において、先端検知手段による先端検知タイミングを採用して、送出手段によるシート送り出し動作を開始させた場合、先端検知手段が先端検知した時点から、後端検知手段が後端を検知するまでのシート材の搬送量が、所定値以上となった場合、搬送異常と判定するコントローラ100などで構成した異常検知手段を備え、異常検知手段が搬送異常を検知した場合、シート材の搬送を停止させる処理を実施するように、制御手段を構成した。
先端検知手段の先端検知タイミングが採用されるのは、基準長さであるので、先端検知手段を検知してから、シート材の搬送量が、所定値となったら後端検知手段が後端を検知するはずである。よって、先端検知手段を検知してから、シート材の搬送量が、所定値以上となった場合は、基準長さ以上なので、ユーザーがシート材混載モードの設定をし忘れたり、シート材の検知に故障が生じたりして、正しい搬送開始制御が行われていない状態であると検知することができる。よって、このような場合、スキューや重送が発生した状態で搬送されるおそれがある。したがって、この場合、シート材の搬送を停止させる処理を実施することでスキューや重送を抑制することができる。
【0123】
(10)
また、上記(1)乃至(9)いずれかに記載の態様において、シート材を搬送するための給紙モータ102など駆動源の駆動量に基づき、シート材の搬送量を把握する。これにより、シート材の搬送量を把握することができる。
【0124】
(11)
また、上記(9)または(10)に記載の態様において、積載部にシート材搬送方向長さが異なるシート材が積載したときに、シートサイズ混載モードに設定するモード設定手段を有し、異常検知手段が搬送異常を検知した場合、シートサイズ混載モードに設定されているか否かを確認するようユーザーに報知する操作部108などの報知手段を備えた。これにより、ユーザーにシートサイズ混載モードに設定しわすれを確認することができ、ユーザーは、問題発生の要因の特定を容易に行うことができる。
【0125】
(12)
また、上記(9)乃至(11)いずれかに記載の態様において、異常検知手段が搬送異常を検知した場合、シート材の搬送方向長さを検知する手段に故障がある旨をユーザーに報知する報知手段を備えた。これにより、ユーザーは、問題発生の要因の特定を容易に行うことができる。
【0126】
(13)
また、シート材としての原稿シートを搬送するADF51などの原稿搬送手段と、原稿搬送手段によって搬送される原稿シートの画像を順次読み取っていく読取手段とを備える画像読取装置において、原稿搬送手段として、上記(1)乃至(12)の何れかに記載の態様のシート搬送装置を用いた。これにより、搬送される原稿の紙間を詰めることができるので、連続して原稿を読み取るときの生産性の向上を図ることできる。
【0127】
(14)
また、シート材としての記録シートを搬送する記録シート搬送手段と、記録シート搬送手段によって搬送される記録シートに画像を形成する画像形成部1などの画像形成手段とを備える複写機500などの画像形成装置において、記録シート搬送手段として、上記(1)乃至(12)の何れかに記載の態様のシート搬送装置を用いた。これにより、搬送される原稿の紙間を詰めることができるので、連続して記録シートに画像を形成するときの生産性の向上を図ることができる。
【0128】
(15)
また、画像読取ユニット50などの画像読取手段と、
該画像読取手段で読み取った原稿画像に基づいて画像を形成する画像形成部1などの画像形成手段とを備える画像形成装置において、画像読取手段として、上記(13)に記載の態様の画像読取装置を備えた。これにより、連続して原稿を読み取るときの生産性の向上を図ることがきるため、連続してコピーを行うときの生産性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0129】
1:画像形成部
28:紙搬送ユニット
40:シート供給装置
42:シート供給カセット
43:記録シート送出ローラ
44:シート供給路
45:記録シート分離ローラ
50:画像読取ユニット
53:原稿載置台
54:原稿搬送部
80:ピックアップローラ
84:給紙ベルト
85:リバースローラ
86:プルアウトローラ対
100:コントローラ
101:ピックアップ昇降モータ
102:給紙モータ
108:操作部
113:プルアウトモータ
140:センサーアーム
141:検知コロ
142:検知コロ軸
143:エンコーダホイール
144:フォトセンサ
145:給紙部カバー
146:センサカバー
148:センサブラケット
Ab:分離ニップ
B:分離搬送部
M1:後端検知手段
Sn1:第1の先端検知センサ
Sn2:第2の先端検知センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】
【特許文献1】特開2005−324872号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送中の原稿シートの画像を順次読み取っていくスルー読取方式の画像読取装置や、搬送中の記録シートに画像を形成する画像形成装置に関するものである。また、それら画像読取装置や画像形成装置に用いられるシート搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像読取装置において、原稿載置部から原稿シートを1枚ずつ連続的に送り出しながら、それら原稿シートの画像を順次読み取っていく連続読取動作を行う場合には、読取時間短縮化のために、シート間距離をできるだけ短くすることが望ましい。また、画像形成装置において、記録シート載置部から記録シートを1枚ずつ連続的に送り出しながら、それら記録シートに画像を順次形成していく連続プリント動作を行う場合にも、プリント時間短縮化のために、シート間距離をできるだけ短くすることが望ましい。
【0003】
ところが、載置部から送り出されたシート材を分離手段から抜け出させた直後のタイミングを把握することが困難であることが、シート間距離を短縮する上での足かせになっている。分離手段は、シート材を複数枚重ねた状態で搬送してしまうことを防止するために、載置部から送り出されたシート材を1枚ずつに分離するものである。この分離手段に対して複数のシート材の先端部が互いに重なった状態で進入すると、分離手段は最上位のシート材の先端部を給送方向に搬送する一方で、下位のシート材の先端部を載置部に向けて戻す。これにより、分離手段からは、最上位のシート材だけが排出される。シート間距離をできるだけ短くするためには、シート材の後端が分離手段を抜けた直後に、次のシート材の送り出しを開始することが望ましい。より詳しくは、分離手段においては、例えば特許文献1に記載の自動原稿搬送装置のように、シート材を搬送方向に送るための給送ベルト(又は給送ローラ)と、下位のシート材を載置部に戻すためのリバースローラとの当接による分離ニップで、シート材を1枚に分離するのが一般的である。そして、その分離ニップからシート材の後端が抜け出た直後に、次のシート材の送り出しを開始することが望ましい。ところが、分離ニップの出口の真上には、給送ベルト(又は給紙ローラ)の曲面が給送方向に突き出ている。また、出口の真下には、リバースローラの曲面が給送方向に突き出ている。このため、シート材の後端を検知する後端検知センサについては、分離ニップの出口に配設することができず、出口からある程度離れた位置に配設せざるを得ない。すると、分離ニップを抜け出てからある程度進んだシート材の後端を検知したタイミングを、次のシート材の送り出し開始のトリガーにせざるを得ず、このことが、ある程度の大きなシート間距離を空けてしまう原因になっていた。
【0004】
従来、このような大きなシート間距離を空けてしまうことの対策として、次のようなことが行われてきた。即ち、載置部から、画像読取位置や画像形成位置の手前に至るまでの区間では、画像読取位置や画像形成位置におけるシート搬送速度よりも高速でシート材を搬送するのである。こうすることで、送出時に大きく空けてしまったシート間距離を、画像読取や画像形成の開始までにある程度縮めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、技術の進歩によって画像読取速度や画像形成速度の高速化が図られている近年においては、画像読取位置や画像形成位置でもシート材を高速で移動させることが可能になってきたため、前述のようにしてシート間距離を縮めることが困難になってきている。
【0006】
そこで、本発明者らは、次のような新規なシート搬送装置を開発中である。即ち、このシート搬送装置においては、シート搬送経路の所定位置でシート材の先端を検知する先端検知センサを設けている。この設置位置は、所定サイズのシート材の後端が分離ニップを抜けた直後に、そのシート材の先端を検知する位置である。また、従来のシート搬送装置と同じ位置にシート材の後端を検知する後端検知センサを配置している。最初に搬送されるシート材について、上記後端検知センサと搬送経路上で読取位置よりも上流側に配置されたシート材を検知することのできる検知センサとを用いて、所定のサイズか否かを検知する。具体的には、上記検知センサがシート材の先端を検知してから上記後端検知センサがシート材を検知しなくなるまでの時間から、シート材の長さを算出することができる。所定サイズと検知された場合は、先端検知センサによってシート材の先端が検知されたことをトリガーにして次のシート材の送り出しを開始する。これに対し、シート材のサイズが所定サイズではないと検知された場合には、従来と同様に、上述した後端検知センサによってシート材の後端が検知されたことをトリガーにして次のシート材の送り出しを開始する。かかる構成では、所定サイズのシート材のシート間距離を従来よりも縮めて、所定サイズのシート材の連続搬送時間を従来よりも短縮することができる。
【0007】
この開発中のシート搬送装置は、上記後端検知センサとして、反射型または透過型のフォトセンサを用い、フォトセンサによってシート材の紙面に光を当ててシート材の有無を検出することでシート材の後端が所定箇所を通過したことを検知している。後端検知センサをフォトセンサにした場合、以下の理由により、後端検知センサに到達したシート材の後端を早期に検知できず、所定サイズ以外のシート材を搬送するときの紙間を十分に短くできないという課題が残っていた。
【0008】
後端検知センサをフォトセンサにした場合、早期にシート材の後端を検知できない理由は、次のとおりである。すなわち、後端検知センサがシート材検知状態から非検知状態に切り替わっても、直ぐにシート材後端を検知したと判定せず、シート材検知状態から非検知状態に切り替わって所定時間経過しても検知状態に切り替わらなかった場合に、後端検知センサが後端を検知しているからである。これは、シート材にパンチ穴が形成されている場合、一時的に後端検知センサが、シート材検知状態から非検知状態に切り替わる。従って、シート材検知状態から非検知状態に切り替ったときに、シート材の後端が後端検知センサを抜けたと検知すると、パンチ穴が形成されたシート材が搬送されたときに、誤検知を起こしてしまう。このような誤検知を起こさないよう、シート材検知状態から非検知状態に切り替わって所定時間経過しても後端検知センサが非検知状態から検知状態に切り替わらなかった場合に、後端検知センサが後端を検知したと判定する必要があるからである。
【0009】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、基準長さのシート材のシート間距離を従来よりも縮めつつ、基準サイズ以外のシート材のシート間距離も縮めることができるシート搬送装置、これを用いる画像読取装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、シート材を複数枚重ねたシート束の状態で載置する載置部と、前記載置部上のシート束における上位のシート材を前記載置部から送り出す送出手段と、前記送出手段によって前記載置部から複数枚のシート材が送り出された場合に、最上位のシート材だけを他のシート材から分離して送り出す分離手段と、前記分離手段によって分離されたシート材の後端を検知する後端検知手段と、前記分離手段によって分離されたシート材を搬送先に向けて搬送する搬送部と、所定のタイミングが到来したことに基づいて、前記送出手段によるシート送り出し動作を開始させる制御手段とを備えるシート搬送装置において、後端検知手段よりもシート搬送方向下流側における所定位置でシート材の先端を検知する先端検知手段と、前記搬送部を搬送中のシート材の搬送方向長さを検知する長さ検知手段と、前記シート材の長さが所定の基準長さのときは、前記所定のタイミングとして、前記先端検知手段による先端検知タイミングを採用する処理を実施する一方で、前記シート材の長さが所定の基準長さ以外の場合は、前記所定のタイミングとして前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成し、前記後端検知手段は、前記シート材と連れ回りする連れ回り部材と、前記連れ回り部材の回転を検知する回転検知手段とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、開発中のシート搬送装置と同様、基準長さのシート材については、先端検知手段による先端検知タイミングで次のシート材の搬送を開始するので、基準長さのシート間距離を従来よりも縮めることができる。
【0012】
また、本発明によれば、シート材の後端が後端検知手段を抜けると、連れ回り部材の回転が停止する。よって、回転検知手段で連れ回り部材の回転状態を検知することにより、シート材の後端を検知することができる。また、シート材のパンチ穴が、後端検知手段を通過するときでも、連れ回り部材は、シート材と連れ回りする。よって、連れ回り部材が、回転状態から停止状態に切り替わった時点で、後端を検知しても、シート材の後端を誤検知することがない。よって、後端検知手段をフォトセンサにした場合に比べて、誤検知することなく、早期にシート材の後端を検知することができる。
このように、後端検知手段を、連れ回り部材と連れ回り部材の回転を検知する回転検知手段とで構成することにより、後端検知手段をフォトセンサにした場合に比べて、シート材の後端を直ぐ検知することが可能となる。よって、後端検知手段による後端検知タイミングにより次のシート材を搬送する基準長さ以外のシート材のシート間距離を、上述した開発中のシート材搬送装置に比べて、縮めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図2】同複写機における画像形成部の一部を拡大して示す部分構成図。
【図3】同画像形成部における4つのプロセスユニットからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図。
【図4】同複写機のスキャナ及びADFを示す斜視図。
【図5】同ADFの要部構成を同スキャナの上部とともに示す拡大構成図。
【図6】同ADFの電気回路の一部を示すブロック図。
【図7】固定画像読取部の電気回路の一部を示すブロック図である。
【図8】ADFの原稿セット部、分離搬送部、レジスト部、ターン部の途中まで概略説明図。
【図9】後端検知手段周辺の平面図。
【図10】後端検知手段の断面図。
【図11】プルアウトローラ対でスキュー補正を行わない場合のタイミングチャート。
【図12】プルアウトローラ対86でスキュー補正を行う場合のタイミングチャート。
【図13】2枚目までのの給紙開始タイミングを制御するフロー図。
【図14】3枚目以降の給紙開始タイミングを制御するフロー図。
【図15】特定サイズの原稿の先端が、第2の先端検知手段に到達したときの搬送の様子を説明する図。
【図16】特定サイズの原稿の先端が、第1の先端検知手段に到達したときの搬送の様子を説明する図。
【図17】原稿の搬送方向長さが、上述した基準長さよりも短く、後端検知手段から第2先端検知センサまでの搬送経路長以上の原稿の後端が、後端検知手段を抜けたときの搬送の様子を説明する図。
【図18】後端検知手段から第2先端検知センサまでの搬送経路長未満の原稿の後端が、後端検知手段を抜けたときの搬送の様子を説明する図。
【図19】特定サイズようりも長い原稿が、第1の先端検知手段に到達したときの搬送の様子を説明する図。
【図20】異常検知処理の制御フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、電子写真方式の複写機(以下、単に複写機500という)に適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機500の基本的な構成について説明する。
図1は、複写機500を示す概略構成図である。この複写機は、画像形成装置としての画像形成部1と、シート供給装置40と、画像読取ユニット50とを備えている。画像読取装置としての画像読取ユニット50は、画像形成部1の上に固定されたスキャナ150と、これに支持されるシート搬送装置としての原稿自動搬送装置(以下、ADFという)51とを有している。
【0015】
シート供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つのシート供給カセット42、シート供給カセット42から記録シートを送り出す記録シート送出ローラ43、送り出された記録シートを分離してシート供給路44に供給する記録シート分離ローラ45等を有している。また、画像形成部1の搬送路としての本体側シート供給路37に、シート状部材としての記録シートを搬送する複数の搬送ローラ47等も有している。そして、シート供給カセット42内の記録シートを画像形成部1内の本体側シート供給路37内に給紙する。
【0016】
画像形成手段としての画像形成部1は、光書込装置2や、黒,イエロー,マゼンタ,シアン(K,Y,M,C)のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K,Y,M,C、転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、スイッチバック装置36、本体側シート供給路37等を備えている。そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、ドラム状の4つの感光体4K,Y,M,Cに向けてレーザー光Lを照射する。この照射により、感光体4K,Y,M,Cの表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
【0017】
図2は、画像形成部1の内部構成の一部を拡大して示す部分構成図である。また、図3は、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cからなるタンデム部の一部を示す部分拡大図である。4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、図3においては各符号に付すK,Y,M,Cという添字を省略している。
【0018】
プロセスユニット3K,Y,M,Cは、それぞれ、感光体とその周囲に配設された各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、画像形成部1本体に対して着脱可能になっている。一つのプロセスユニット3は、感光体4の周りに、帯電装置5、現像装置6、ドラムクリーニング装置15、除電ランプ22等を有している。複写機500では、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cを、後述する中間転写ベルト25に対してその無端移動方向に沿って並べるように対向配設した、いわゆるタンデム型の構成になっている。
【0019】
感光体4としては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0020】
現像装置6は、図示しない磁性キャリアと非磁性トナーとを含有する二成分現像剤を用いて潜像を現像するようになっている。内部に収容している二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ12に供給する攪拌部7と、現像スリーブ12に担持された二成分現像剤中のトナーを感光体4に転移させるための現像部11とを有している。
【0021】
攪拌部7は、現像部11よりも低い位置に設けられており、互いに平行配設された2本の搬送スクリュ8、これらスクリュ間に設けられた仕切り板、現像ケース9の底面に設けられたトナー濃度センサ10などを有している。
【0022】
現像部11は、現像ケース9の開口を通して感光体4に対向する現像スリーブ12、これの内部に回転不能に設けられたマグネットローラ13、現像スリーブ12に先端を接近させるドクタブレード14などを有している。現像スリーブ12は、非磁性の回転可能な筒状になっている。マグネットローラ13は、ドクタブレード14との対向位置から現像スリーブ12の回転方向に向けて順次並ぶ複数の磁極を有している。これら磁極は、それぞれ現像スリーブ12上の二成分現像剤に対して回転方向の所定位置で磁力を作用させる。これにより、攪拌部7から送られてくる二成分現像剤を現像スリーブ12表面に引き寄せて担持させるとともに、現像スリーブ12表面上で磁力線に沿った磁気ブラシを形成する。
【0023】
磁気ブラシは、現像スリーブ12の回転に伴ってドクタブレード14との対向位置を通過する際に適正な層厚に規制されてから、感光体4に対向する現像領域に搬送される。そして、現像スリーブ12に印加される現像バイアスと、感光体4の静電潜像との電位差によってトナーを静電潜像上に転移させて現像に寄与する。更に、磁気ブラシを形成し、現像スリーブ12に担持され現像領域を通過した二成分現像剤は、現像スリーブ12の回転に伴って再び現像部11内に戻り、マグネットローラ13の磁極間に形成される反発磁界の影響によってスリーブ表面から離脱した後、攪拌部7内に戻される。攪拌部7内には、トナー濃度センサ10による検知結果に基づいて、二成分現像剤に適量のトナーが補給される。現像装置6としては、二成分現像剤を用いるものの代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤を用いるものを採用してもよい。
【0024】
ドラムクリーニング装置15としては、弾性体からなるクリーニングブレード16を感光体4に押し当てる方式のものを用いているが、他の方式のものを用いてもよい。クリーニング性を高める目的で、本例では、外周面を感光体4に接触させる接触導電性のファーブラシ17を、図中矢印方向に回転自在に有する方式のものを採用している。このファーブラシ17は、図示しない固形潤滑剤から潤滑剤を掻き取って微粉末にしながら感光体4表面に塗布する役割も兼ねている。ファーブラシ17にバイアスを印加する金属製の電界ローラ18を図中矢示方向に回転自在に設け、これにスクレーパ19の先端を押し当てている。ファーブラシ17に付着したトナーは、ファーブラシ17に対してカウンタ方向に接触して回転しながらバイアスが印加される電界ローラ18に転位する。そして、スクレーパ19によって電界ローラ18から掻き取られた後、回収スクリュ20上に落下する。回収スクリュ20は、回収トナーをドラムクリーニング装置15における図紙面と直交する方向の端部に向けて搬送して、外部のリサイクル搬送装置21に受け渡す。リサイクル搬送装置21は、受け渡された回収トナーを現像装置6に送ってリサイクルする。
【0025】
除電ランプ22は、光照射によって感光体4の表面を除電する。除電された感光体4の表面は、帯電装置5によって一様に帯電せしめられた後、光書込装置2による光書込処理がなされる。複写機500では、帯電装置5として帯電バイアスが印加される帯電ローラを感光体4に当接させながら回転させるものを用いているが、感光体4に対して非接触で帯電処理を行うスコロトロンチャージャ等を用いてもよい。
【0026】
先に示した図2において、4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの感光体4K,Y,M,Cには、これまで説明してきたプロセスによってK,Y,M,Cトナー像が形成される。
【0027】
4つのプロセスユニット3K,Y,M,Cの下方には、転写ユニット24が配設されている。転写ユニット24は、複数のローラによって張架している中間転写ベルト25を、感光体4K,Y,M,Cに当接させながら図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体4K,Y,M,Cと、中間転写ベルト25とが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。K,Y,M,C用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写ローラ26K,Y,M,Cによって中間転写ベルト25を感光体4K,Y,M,Cに向けて押圧している。これら一次転写ローラ26K,Y,M,Cには、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、K,Y,M,C用の一次転写ニップには、感光体4K,Y,M,C上のトナー像を中間転写ベルト25に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。図中時計回り方向の無端移動に伴ってK,Y,M,C用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト25のおもて面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト25のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0028】
転写ユニット24の図中下方には、駆動ローラ30と二次転写ローラ31との間に、無端状の紙搬送ベルト29を掛け渡して無端移動させる紙搬送ユニット28が設けられている。そして、自らの二次転写ローラ31と、転写ユニット24の下部張架ローラ27との間に、中間転写ベルト25及び紙搬送ベルト29を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト25のおもて面と、紙搬送ベルト29のおもて面とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ31には図示しない電源によって二次転写バイアスが印加されている。一方、転写ユニット24の下部張架ローラ27は接地されている。これにより、二次転写ニップに二次転写電界が形成されている。
【0029】
この二次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対33が配設されている。また、レジストローラ対33のレジストニップの入口付近には、図示しないレジストローラセンサが配設されている。シート供給装置40からレジストローラ対33に向けて搬送されてくる記録シートPは、その先端が不図示のレジストローラセンサに検知された所定時間後に記録シートPの搬送が一時停止し、レジストローラ対33のレジストニップに先端を突き当てる。この結果、記録シートPの姿勢が修正され、画像形成との同期をとる準備が整う。
【0030】
記録シートPの先願がレジストニップに突き当たると、レジストローラ対33は、記録シートPを中間転写ベルト25上の4色トナー像に同期させ得るタイミングでローラ回転駆動を再開して、記録シートPを二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト25上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって記録シートPに一括二次転写され、記録シートPの白色と相まってフルカラー画像となる。二次転写ニップを通過した記録シートPは、中間転写ベルト25から離間して、紙搬送ベルト29のおもて面に保持されながら、その無端移動に伴って定着装置34へと搬送される。
【0031】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト25のおもて面には、二次転写ニップで記録シートPに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、クリーニング部材が中間転写ベルト25に当接するベルトクリーニング装置32によって掻き取り除去される。
【0032】
定着装置34に搬送された記録シートPは、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着させしめられた後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外の排紙トレイ501へと排出される。
【0033】
先に示した図1において、紙搬送ユニット28および定着装置34の下には、記録シート反転装置であるスイッチバック装置36が配設されている。これにより、両面プリントを行う場合には、片面に対する画像定着処理を終えた記録シートPの搬送経路が、切換爪によってスイッチバック装置36側に切り換えられ、そこで反転されて再び二次転写転写ニップに進入する。そして、もう片面にも画像の二次転写処理と定着処理とが施された後、排紙トレイ501上に排紙される。
【0034】
画像形成部1のレジストローラ対33に対しては、シート供給装置40から送り出された記録シートが送り込まれる他、画像形成部1の側壁に開閉可能に設けられた手差しトレイ38から送り出された記録シートが送り込まれることもある。
【0035】
画像形成部1の上に固定されたスキャナ150やこれの上に固定されたADF51からなる画像読取ユニット50は、固定読取部や移動読取部152を有している。移動読取部152は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第二コンタクトガラス155の直下に配設されており、光源や、反射ミラーなどからなる光学系を図中左右方向に移動させることができる。そして、光学系を図中左側から右側に移動させていく過程で、光源から発した光を第二コンタクトガラス155上に載置された図示しない原稿MSの下面で反射させた後、複数の反射ミラーを経由させて、スキャナ150に固定された画像読取センサ153で受光する。
【0036】
一方、画像読取ユニット50は固定読取部として、スキャナ150の内部に配設された第一固定読取部151と、ADF51内に配設された後述する第二固定読取部95とを有している。光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有する第一固定読取部151は、原稿MSに接触するようにスキャナ150のケーシング上壁に固定された第一コンタクトガラス154の直下に配設されている。そして、ADF51によって搬送される原稿MSが第一コンタクトガラス154上を通過する際に、光源から発した光を原稿MSの第一面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサ153で受光する。これにより、光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿MSの第一面を走査する。また、第二固定読取部95は、第一固定読取部151を通過した後の原稿MSの第二面を走査する。
【0037】
スキャナ150の上に配設されたADF51は、本体カバー52に、読取前の原稿MSを載置するための原稿載置台53、シート材としての原稿MSを搬送するための原稿搬送部54、読取後の原稿MSをスタックするための原稿スタック台55などを保持している。図4に示すように、スキャナ150に固定された蝶番159によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、その揺動によって開閉扉のような動きをとり、開かれた状態でスキャナ150の上面の第一コンタクトガラス154や第二コンタクトガラス155を露出させる。原稿束の片隅を綴じた本などの片綴じ原稿の場合には、原稿を1枚ずつ分離することができないため、ADF51による搬送を行うことができない。そこで、片綴じ原稿の場合には、ADF51を図5に示すように開いた後、読み取らせたいページが見開かれた片綴じ原稿を下向きにして第二コンタクトガラス155上に載せた後、ADF51を閉じる。そして、スキャナ150の図2に示した移動読取部152によってそのページの画像を読み取らせる。
【0038】
一方、互いに独立した複数の原稿MSを単に積み重ねた原稿束の場合には、その原稿MSをADF51によって1枚ずつ自動搬送しながら、スキャナ150内の第一固定読取部151やADF51内の第二固定読取部95に順次読み取らせていくことができる。この場合、原稿束を原稿載置台53上にセットした後、操作部108のコピースタートボタン158を押す。すると、ADF51が、原稿載置台53上に載置された原稿束の原稿MSを上から順に原稿搬送部54内に送り、それを反転させながら原稿スタック台55に向けて搬送する。この搬送の過程で、原稿MSを反転させた直後にスキャナ150の第一固定読取部151の真上に通す。このとき、原稿MSの第一面の画像がスキャナ150の第一固定読取部151によって読み取られる。
【0039】
次に、ADF51について説明する。
図5は、シート搬送装置としてのADF51の要部構成をスキャナ150の上部とともに示す拡大構成図である。ADF51は、原稿載置部A、分離搬送部B、レジスト部C、ターン部D、第一読取搬送部E、第二読取搬送部F、排紙部G、スタック部H等を備えている。実施形態に係るADF51の原稿搬送部54は、分離搬送部Bの下流側の後端検知手段M1による検知位置から、読取入口ローラ対90までの原稿MSが搬送される経路を構成する部分である。
【0040】
原稿載置部Aは、原稿MSの束が第一面が上方となるようにセットされる原稿載置台53等を有している。分離搬送部Bは、セットされた原稿MSの束から原稿MSを一枚ずつ分離して給送するものである。レジスト部Cは、給送された原稿MSに一時的に突き当たって原稿MSを整合した後に送り出すものである。ターン部Dは、C字状に湾曲する湾曲搬送部を有しており、この湾曲搬送部内で原稿MSを折り返しながらその上下を反転させて、原稿MSの第一面を下方に向けるものである。第一読取搬送部Eは、第一コンタクトガラス154の上で原稿MSを搬送しながら、第一コンタクトガラス154の下方からスキャナ150の内部に配設されている第一固定読取部151に原稿MSの第一面を読み取らせるものである。第二読取搬送部Fは、第二固定読取部95の下方に配置された第二読取ローラ96によって原稿MSを搬送しながら、原稿MSの第二面を第二固定読取部95に読み取らせるものである。また、排紙部Gは、両面の画像が読み取られた原稿MSをスタック部Hに向けて排出するものである。また、スタック部Hは、原稿スタック台55の上に原稿MSをスタックするものである。
【0041】
図6は、ADF51の電気回路の一部を示すブロック図である。ADF51のコントローラ100は、演算手段たるCPU(Central Processing Unit)、データ記憶手段たるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成され、各種の演算処理や、制御プログラムの実行を行うことができる。このコントローラ100には、各モータ101〜105、113〜115、各種センサ部、固定画像読取部300(第一固定読取部151または第二固定読取部95)等が接続されている。
【0042】
図7は、固定画像読取部300の電気回路の一部を示すブロック図である。固定画像読取部300は、光源部200、センサチップ201、画像処理部204、フレームメモリ205、出力制御回路206等を有している。
【0043】
先に示した図5において、画像の読み取りが行われる原稿MSは、原稿先端部を支持し原稿MSの束の厚みに応じて図中矢印a、b方向に揺動可能な可動原稿テーブル53bと、原稿後端側を支持する固定原稿テーブル53aとから構成される原稿載置台53上に、第一面が上向きとなるように載せられた状態でセットされる。このとき、原稿載置台53上において、その幅方向(原稿MSの搬送方向に直交する方向で、図紙面に直交する方向)の両端に対してそれぞれ図示しないサイドガイドが突き当てられることで、幅方向における位置決めがなされる。
【0044】
このようにして原稿載置台53にセットされた原稿MSは、可動原稿テーブル53bの上方で揺動可能に配設されたレバー部材であるセットフィラー62を押し上げる。すると、それに伴って原稿セットセンサ63が原稿MSのセットを検知して、検知信号をコントローラ100に送信する。そして、この検知信号は、コントローラ100からインターフェイス回路(以下、I/F107と呼ぶ)を介して画像読取ユニット50の本体制御部111に送信される。
【0045】
また、固定原稿テーブル53aには、原稿MSの搬送方向の長さを検知する反射型フォトセンサ又は原稿一枚でも検知可能なアクチュエーター・タイプのセンサからなる複数の長さ検知センサ(S4、57、58)が配置されている。これらの長さ検知センサによる検知結果に基づいて、原稿MSの搬送方向の長さの概略が判定される。
【0046】
可動原稿テーブル53bの上方にはピックアップローラ80が配置されている。
可動原稿テーブル53bは、底板昇降モータ105の駆動により、駆動するカム機構によって図中矢印a、b方向に揺動する。原稿MSが原稿載置台53にセットされたことをセットフィラー62や原稿セットセンサ63で検知すると、コントローラ100は底板昇降モータ105を正転させて束状の原稿MSの最上面がピックアップローラ80と接触するように可動原稿テーブル53bを上昇させる。
【0047】
送出手段としてのピックアップローラ80は、ピックアップ昇降モータ101によって駆動するカム機構により、図中矢印c、d方向に移動可能となっている。また、ピックアップローラ80は、可動原稿テーブル53bが上昇して可動原稿テーブル53b上の原稿MSの上面により押されて図中矢印c方向に上がる。これを原稿上面レベル検知センサ59で検知することにより、原稿上面レベルの上限までの上昇が検知される。これにより、ピックアップ昇降モータ101が停止するとともに底板昇降モータ105が停止する。なお、原稿上面レベルセンサ59としては、ピックアップローラ80を移動可能に保持するピックアップホルダーの被検部材を検知することで、原稿上面レベルの上限までの上昇を間接的に検知するものを用いた。係る構成のものに代えて、原稿上面レベルを直接的に検知するものを設けてもよい。
【0048】
操作部108よりコピースタートボタン158が押下され、本体制御部111からI/F107を介してADF51のコントローラ100に原稿給紙信号が送信される。これにより、給紙モータ102が駆動してピックアップローラ80が回転駆動し、原稿載置台53上の数枚(理想的には1枚)の原稿MSを原稿載置部Aから送り出す。ピックアップローラ80の回転方向は、最上位の原稿MSを給紙口48に搬送する方向である。
【0049】
ピックアップローラ80によって送り出された原稿MSは、分離手段としての分離搬送部Bに進入して、給紙ベルト84との当接位置に送り込まれる。この給紙ベルト84は、駆動ローラ82と従動ローラ83とによって張架されており、給紙モータ102の正転に伴う駆動ローラ82の回転によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。
【0050】
この給紙ベルト84の下部張架面には、給紙モータ102の正転によって図中時計回りに回転駆動されるリバースローラ85が当接している。この当接部においては、給紙ベルト84の表面が給紙方向に移動する。これに対し、リバースローラ85の表面は、給紙方向とは逆方向に移動しようとするが、リバースローラ85の駆動伝達部には不図示のトルクリミッターが設けられており、給紙方向に向かう力がトルクリミッターのトルクよりも大きいとリバースローラ85は給紙方向に表面移動するように回転する。リバースローラ85は、給紙ベルト84に所定の圧力で当接して分離ニップを形成しており、給紙ベルト84に直接当接している際、あるいは分離ニップに原稿MSが1枚だけ挟み込まれている際には、給紙ベルト84又は原稿MSに連れ回る。但し、当接部に複数枚の原稿MSが挟み込まれた際には、連れ回り力がトルクリミッターのトルクよりも低くなるように設定されているため、連れ回り方向とは逆の図中時計回りに回転駆動する。これにより、最上位よりも下の原稿MSには、リバースローラ85によって給紙方向とは反対方向の移動力が付与されて、数枚の原稿から最上位の原稿MSだけが分離される。これにより、重送が防止される。
【0051】
給紙ベルト84やリバースローラ85の作用によって1枚に分離された原稿MSは、レジスト部Cに進入する。そして、給紙ベルト84によって更に送られ、突き当てセンサ72によって先端が検知されつつ、更に進んで停止しているプルアウトローラ対86に突き当たる。その後、突き当てセンサ72による先端の検知から所定時間だけ給紙モータ102を駆動させて、停止する。これにより、原稿MSが突き当てセンサ72による検知位置から所定量定められた距離だけ送られ、結果的には、原稿MSがプルアウトローラ対86に所定量の撓みをもって押し当てられた状態で給紙ベルト84による原稿MSの搬送が停止する。そして、突き当てセンサ72によって原稿MSの先端が検知されたときに、ピックアップ昇降モータ101を回転させることでピックアップローラ80を原稿MSの上面から退避させ原稿MSを給紙ベルト84の搬送力のみで送る。これにより、原稿MSの先端は、プルアウトローラ対86の上下のローラによって形成されるニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0052】
プルアウトローラ対86は、上述したように、スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿MSを中間ローラ対66まで搬送するためのローラ対で、プルアウトモータ113により2つのローラのうちの一方が駆動される。
プルアウトローラ対86によって送り出された原稿MSは、原稿幅センサ73の直下を通過する。原稿幅センサ73は、反射型フォトセンサ等からなる紙検知センサを原稿幅方向(図紙面に直交する方向)に複数個並べたセンサであり、どの紙検知センサが原稿MSを検知するかに基づいて、原稿MSの幅方向のサイズを検知する。また、原稿MSの搬送方向の長さは、原稿MSの先端が突き当てセンサ72によって検知されてから、原稿MSが突き当てセンサ72によって検知されなくなる(原稿MSの後端が通過する)までのタイミングに基づいてモータパルスから検知する。
【0053】
プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の駆動によって搬送される原稿MSは、中間ローラ対66及び読取入口ローラ対90によって搬送されるターン部Dに進入する。
【0054】
中間ローラ対66はプルアウトローラ対86の駆動源であるプルアウトモータ113と、読取入口ローラ対90の駆動源である読取入口モータ114との両方のモータから駆動が伝達される構成となっている。そして、2つのモータのうち、回転速度が速くなる側のモータの駆動によって回転速度が決まる機構を備えている。
【0055】
画像読取ユニット50では、プルアウトローラ対86及び中間ローラ対66の回転駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿MSが搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定しており、原稿MSを第一読取搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮が図られている。このとき、中間ローラ対66はプルアウトモータ113を駆動源として回転する。
【0056】
原稿MSの先端が読取入口センサ67により検出されると、読取入口ローラ対90の上下のローラによって形成されるニップに原稿MSの先端が進入する前に、原稿MSの搬送速度を第一読取搬送部Eでの搬送速度と同速にするために、プルアウトモータ113の減速を開始する。これと同時に、読取入口モータ114及び読取モータ103を正転駆動する。読取入口モータ114を正転駆動することで読取入口ローラ対90が搬送方向に回転駆動し、読取モータ103を正転駆動することで読取出口ローラ対92及び第二読取出口ローラ対93が搬送方向にそれぞれ駆動する。
【0057】
ターン部Dから第一読取搬送部Eに向かう原稿MSの先端をレジストセンサ65で検知すると、コントローラ100は、所定の時間をかけて各モータの駆動を減速することで、原稿MSの搬送速度を所定の搬送距離をかけて減速する。そして、コントローラ100は、第一固定読取部151による第一読取位置400の手前で原稿MSを一時停止するように制御すると共に、本体制御部111にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。続いて、コントローラ100が本体制御部111より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿MSの原稿先端が第一読取位置400に到達するまでに、原稿MSの搬送速度が所定の搬送速度に立ち上がるように、読取入口モータ114及び読取モータ103の駆動を制御する。これにより、原稿MSは搬送速度が増速されつつ、第一読取位置400に向かって搬送される。そして、読取入口モータ114のパルスカウントに基づいて算出された原稿MSの先端が第一読取位置400に到達するタイミングで、コントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第一面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第一読取位置400を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第一面が第一固定読取部151によって読み取られる。
【0058】
第一読取搬送部Eを通過した原稿MSは、読取出口ローラ対92のニップを通過した後、その先端が排紙センサ61によって検知され、さらに、その後、第二読取搬送部Fを通過して排紙部Gへと搬送される。
【0059】
原稿MSの片面(第一面)のみを読み取る場合には、第二固定読取部95による原稿MSの第二面の読取が不要である。そこで、排紙センサ61によって原稿の先端が検知されると、排紙モータ104の正転駆動が開始されて、排紙ローラ対94における図中上側の排紙ローラが図中反時計回り方向に回転駆動される。また、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知されてからの排紙モータ104のパルスカウントに基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップを抜け出るタイミングが演算される。そして、この演算結果に基づいて、原稿MSの後端が排紙ローラ対94のニップから抜け出る直前のタイミングで、排紙モータ104の駆動速度が減速せしめられて、原稿MSが原稿スタック台55から飛び出さないような速度で排紙されるように制御される。
【0060】
一方、原稿MSの両面(第一面及び第二面)を読み取る場合には、排紙センサ61によって原稿MSの先端が検知された後、第二固定読取部95に到達するまでのタイミングが読取モータ103のパルスカウントに基づいて演算される。そして、そのタイミングでコントローラ100から本体制御部111に対して原稿MSの第二面における副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が送信される。この送信は、原稿MSの後端が第二固定読取部95による第二読取位置を抜け出るまで続けられ、原稿MSの第二面が第二固定読取部95によって読み取られる。
【0061】
読取手段としての第二固定読取部95は、密着型イメージセンサ(CIS)からなり、原稿MSに付着している糊状の異物が読取面に付着することによる読取縦すじを防止する目的で、読取面にコーティング処理が施されている。また、原稿MSが通過する搬送路を挟んで第二固定読取部95に対向する位置には、原稿MSを非読取面側(第一面側)から支持する原稿支持手段としての第二読取ローラ96が配設されている。この第二読取ローラ96は、第二固定読取部95による第二読取位置での原稿MSの浮きを抑えるとともに、第二固定読取部95におけるシェーディングデータを取得するための基準白部として機能する役割を担っている。
【0062】
次に、本実施形態の特徴点について、説明する。
図8は、ADF51の原稿セット部A、分離搬送部B、レジスト部C、ターン部Dの途中まで概略説明図である。
図8に示すように、本実施形態のADF51は、原稿MSの先端を検知する第1先端検知手段としての第1先端検知センサSn1を備えている。また、第1先端検知センサSn1よりも原稿搬送方向上流側には、原稿MSの先端を検知する第2先端検知手段としての第2先端検知センサSn2を備えている。第1、第2先端検知センサSn1,Sn2としては、反射型フォトセンサや、透過型フォトセンサを用いている。
【0063】
第1先端検知センサSn1は、分離ニップから特定サイズの原稿の搬送方向長さ(本実施形態においては、レター横サイズ:216mm)に必要十分なマージンαを加えた値だけ搬送経路に沿った下流の位置に配置される。上記マージンには、例えば、次原稿の先端が分離ニップよりも下流に突出することがあり、その突出量や、第1先端検知センサSn1の配置誤差や、後述する長さ検知手段の検知誤差などを考慮して決められる。この第1先端検知センサSn1の配置位置は、第1先端検知センサSn1が原稿先端を検知した際に、上記特定シートサイズ(上記の例ではレター横の216mm)の長さを持つ原稿の後端が分離部(給紙ベルト84、リバースローラ85)を確実に抜けているとみなせる位置である。
【0064】
第2先端検知センサSn2は、送出手段たるピックアップローラ80から特定サイズの原稿の搬送方向長さ(本実施形態においては、レター横サイズ:216mm)に必要十分なマージンを加えた値だけ搬送経路に沿った下流の位置に配置される。上記マージンには、例えば、第2先端検知センサSn2の配置誤差や、後述する長さ検知手段の検知誤差などを考慮して決められる。この第2先端検知センサSn2の配置位置は、第2先端検知センサSn2が原稿先端を検知した際に、上記特定シートサイズ(上記の例ではレター横の216mm)の長さを持つ原稿の後端がピックアップローラ80を確実に抜けているとみなせる位置である。
【0065】
上記特定サイズの原稿は、ユーザーの使用頻度が高く、ゆえにユーザーからの生産性の要求が高い原稿サイズであり、本実施形態においては、特定サイズとしては、レター横における搬送方向長さ:216mmに設定した。但し、本発明における特定サイズは、レター横に限定されるものではない。
【0066】
また、分離ニップAbの近傍には、後端検知手段であり長さ検知手段でもある後端検知手段M1が配置されている。
【0067】
図9は、後端検知手段M1周辺の平面図であり、図10は、後端検知手段M1の断面図である。
図に示すように、後端検知手段M1は、給紙ベルト84を回転駆動するための駆動ローラ82の駆動軸82aに回転自在に取り付けられたセンサーアーム140とセンサーアーム140に回転自在に支持された検知コロ軸142と、検知コロ軸142に勘合された連れ回り部材としての検知コロ141とエンコーダホイール143とフォトセンサ144とから構成されている。エンコーダホイール143は検知コロ141と同期して動くように検知コロ軸142に勘合されている。フォトセンサ144は、透過型のフォトセンサが用いられ、センサブラケット148を介して給紙部カバー145に取り付けられ、センサカバー146により覆われている。
【0068】
検知コロ141はセンサーアーム140を介して駆動軸に回動自在に支持されている関係で、自重で原稿MSに当接する。なお、スプリングなどで後端検知手段M1を原稿側へ付勢して、検知コロ141を原稿に当接させてもよい。これにより、検知コロ軸142を介してセンサーアーム140に回転自在に支持された検知コロ141とエンコーダホイール143とが、原稿MSの搬送方向の動きに合わせて回転する。
【0069】
エンコーダホイール143の円周上に所定の間隔をおいて形成された不図示の透過孔が、フォトセンサ144との対向位置にくると、フォトセンサ144の受光部が、発光部からの光を検知し、コントローラ100にON信号が出力される。一方、エンコーダホイール143の不図示の透過孔が、フォトセンサ144との対向位置にないときは、エンコーダホイール143は、フォトセンサ144の発光部からの光を遮る。よって、このときは、フォトセンサ144の受光部に光が入射しないので、コントローラ100にOFF信号が出力される。その結果、検知コロ141が搬送中の原稿MSと連れ回りしているときは、コントローラ100は、フォトセンサ144から、定期間隔のON−OFF信号(以下、パルス信号という)を受信する。一方、検知コロ141が停止しているときは、コントローラ100は、フォトセンサ144からONまたはOFFの連続信号(以下、ただ単に連続信号という)を受信する。このように、コントローラ100は、フォトセンサ144からの信号を監視することによって、検知コロ141が回転しているか、停止しているかを検知することができる。すなわち、エンコーダホイール143と、フォトセンサ144と、コントローラ100とで、連れ回り部材たる検知コロ141の回転を検知する回転検知手段が構成されている。
【0070】
次に、後端検知手段M1による原稿の後端検知ついて、図11、図12を用いて説明する。
図11は、プルアウトローラ対86でスキュー補正を行わない場合のタイミングチャートであり、図12は、プルアウトローラ対86でスキュー補正を行う場合のタイミングチャートである。
【0071】
図11に示すように、プルアウトローラ対86でスキュー補正を行わない場合は、原稿MSの先端が検知コロ141に到達すると、検知コロ141が原稿MSと連れ回り、回転する。検知コロ141が回転し始めると、フォトセンサ144からの出力は、連続信号からパルス信号に切り替わる。そして、原稿MSの後端が検知コロ141を抜けると、検知コロ141の回転が停止し、フォトセンサ144の出力は、パルス信号から連続信号に切り替わる。よって、フォトセンサ144からの出力が、パルス信号から連続信号に切り替わるのを監視することで、原稿MSの後端を検知することができる。
【0072】
また、本実施形態においては、この後端検知手段M1により、原稿MSの搬送方向長さを検知している。具体的には、連続信号からパルス信号に切り替わるのを監視することで原稿MSの先端を検知する。原稿MSの先端を検知したら、原稿MSの後端を検知するまで、フォトセンサ144からのパルス数n1(ON−OFF信号を1パルスとする)を計測する。そして、計測したパルス数n1と検知コロ141の直径rと検知コロ141が1回転するためのパルス数n(エンコーダホイール143の透過孔の数)とを用いて、原稿MSの搬送方向長さ(n1×(πr/n))[mm]を算出する。このようにして、後端検知手段M1による原稿MSの搬送方向長さの検知が行われる。
【0073】
一方、プルアウトローラ対86でスキュー補正をする場合は、停止したプルアウトローラ対86の原稿MSの先端を突き当てて、原稿MSを撓ませ、一旦、原稿MSの搬送を停止する。よって、図12に示すように、検知コロ141の回転も一旦停止する。このため、検知コロ141の停止が、後端検知手段M1上に搬送原稿が無いための停止か、スキュー補正による停止かを判断する必要がある。本実施形態では、給紙モータ102の駆動のON/OFFをソフトで検出することで、検知コロ141の停止が、後端検知手段M1上に搬送原稿が無いための停止か、スキュー補正による停止かを判断している。具体的には、給紙モータ102の駆動がONで、連続信号からパルス信号に切り替わったときは、原稿MSの先端が、後端検知手段M1上に到達したと検知する。給紙モータ102の駆動がONからOFFに切り替わったタイミングで、フォトセンサ144の出力がパルス信号から連続信号に切り替わったときは、検知コロ141の停止が、スキュー補正による一旦停止と判断する。給紙モータ102の駆動がOFFで、フォトセンサ144の出力が連続信号からパルス信号に切り替わったときは、スキュー補正後の検知コロ141の回転と判断し、給紙モータ102の駆動がOFFで、フォトセンサ144の出力がパルス信号から連続信号に切り替わったときは、後端検知手段M1上から原稿の後端が抜けたことによる検知コロ141の停止と判断する。
【0074】
なお、本実施形態では、給紙モータ102の駆動ON/OFFから、検知コロ141の停止がスキュー補正による停止か、後端検知手段M1上に搬送中の原稿がないための停止かを判断しているが、プルアウトローラ対86を駆動するプルアウトモータ113の駆動ON/OFFを用いてもよい。例えば、プルアウトモータ113の駆動OFFで、給紙モータ102の駆動OFFのときの検知コロ141の停止が、スキュー補正時の検知コロ141の停止と判断することができ、プルアウトモータ113の駆動ONで給紙モータ102の駆動OFFのとき、検知コロ141の停止を検知したときは、原稿MSの後端が後端検知手段M1から抜けたことを検知することができる。また、給紙モータ102がONで、検知コロ141の回転を検知したときは、原稿の先端が後端検知手段M1にと到達したことを検知でき、給紙モータ102がOFFで、検知コロ141の回転を検知したときは、スキュー補正後の再搬送であると検知することができる。
【0075】
このように、スキュー補正により一旦原稿が停止する場合は、スキュー補正前のフォトセンサ144からのパルス数n1とスキュー補正後のフォトセンサ144からのパルス数n2と検知コロ141の直径r[mm]と、検知コロ141が1回転するためのパルス数nとを用いることで、シート長((n1+n2)×π(r/n)[mm])を算出することができる。
【0076】
本実施形態においては、検知コロ141の直径r[mm]と、検知コロ141が1回転するためのパルス数nと、計測したパルス数n1、(n1+n2)とからシート長を算出しているが、検知コロ141の直径r[mm]と、検知コロ141が1回転するためのパルス数nは、規定値なので、計測したパルス数n1、(n1+n2)のみから、シート長を確定してもよい。
【0077】
また、本実施形態においては、フォトセンサ144のパルス信号が連続信号に切り替わったことを検知することで、原稿MSの後端を検知するので、原稿MSの後端が後端検知手段M1を抜けた直後に原稿MSの後端を検知することができる。すなわち、検知コロ141が原稿MSと連れ回りしているときは、コントローラ100は、所定のタイミングでフォトセンサ144からパルス信号を受信する。よって、所定のタイミングでパルス信号を受信しなかったら、後端検知手段M1を原稿MSの後端が抜けたと判断できる。すなわち、原稿MSの後端が後端検知手段M1を抜けて、1パルス分の原稿MSが移動した時点で、原稿MSの後端を検知することができる。1パルス当たりの原稿移動量は僅かなので、原稿MSの後端が後端検知手段M1を抜けたほぼ直後に、原稿MSの後端を検知することができる。また、原稿MSにパンチ穴が形成されていたとしても、検知コロ141は、原稿MSのパンチ穴が形成されていない箇所と当接して、原稿MSと連れ回るので、原稿MSにパンチ穴があっても、検知コロ141が停止することはない。よって、上記のように、所定のタイミングでパルス信号を受信しなかったら、原稿MSの後端を検知するよう制御したとしても、誤検知するようなことはない。よって、パンチ穴による誤検知を防止するために、所定のタイミングでパルス信号を受信しなくなった時点から、数秒間待って、その間にパルス信号を受信しなかったら、後端を検知するような制御をする必要がない。よって、パンチ穴による誤検知することなく、原稿MSの後端が後端検知手段M1を抜けたほぼ直後に、原稿の後端を検知することができる。
【0078】
また、検知コロ141は分離ニップ位置よりも下流側で出来る限り上流に配置することが望ましい。分離ニップAbよりも上流に検知コロ141を配置した場合、後端検知手段M1が原稿の後端を検知した段階では、原稿MSの後端は、まだ分離ニップAbを通過していない。このため、後端検知手段M1が原稿MSの後端を検知したら、時刻計測の制御や駆動量の測定の制御を開始し、時刻や駆動量が所定値になったタイミングで、次原稿を搬送する制御となるため、制御が煩雑となる。分離ニップAbの位置に検知コロ141を配置した場合も、同様に、後端検知手段M1が原稿MSの後端を検知したら、時刻計測の制御や駆動量の測定の制御を開始し、時刻や駆動量が所定値になったタイミングで、次原稿を搬送する制御にする必要がある。これは、次原稿の原稿が、搬送中の原稿とともに搬送され、次原稿の先端が、分離ニップAbから僅かに突出する場合がある。そのため、後端検知手段M1が原稿の後端を検知した段階(原稿の後端がほぼ分離ニップを抜けた直後)に次原稿の搬送を開始すると、前原稿の後端と次原稿の先端とが重なって搬送される所謂重送が発生してしまう。よって、このような重送を防止するため、分離ニップAbの位置に検知コロ141を配置した場合も、後端検知手段M1が原稿MSの後端を検知したら、時刻計測の制御や駆動量の測定の制御を開始し、時刻や駆動量が所定値になったタイミングで、次原稿を搬送する制御にする必要があるのである。
【0079】
一方、検知コロ141を分離ニップ位置よりも下流側に配置することにより、後端検知手段M1が原稿MSの後端を検知したタイミングで次原稿の搬送を開始しても、上記のような重送が発生することはない。よって、上述のように、後端検知手段M1が原稿の後端を検知した後、時刻計測の制御や駆動量の測定制御などを入れる必要がなくなり、簡単な制御で、次原稿の搬送を行うことができる。
【0080】
また、本実施形態においては、後端検知手段M1で、原稿の搬送方向長さを検知しているが、第1の先端検知センサSn1や、第2の先端検知センサSn2、突き当てセンサ72などの他の検知手段を用いて、原稿の搬送方向長さを検知してもよい。また、これらとは別に、原稿の搬送方向の長さ検知専用のセンサを原稿搬送経路上に配置してもよい。
【0081】
次に、本実施形態の原稿給紙制御について、説明する。
図13、図14は、給紙開始タイミングを制御するフロー図である。
図に示すように、まず、本体制御部111よりI/F107を通じて要求される給紙開始命令の到着を待つ(S1)。命令が到着したら(S1でYes)、1枚目の原稿を送り出すための準備の為ピックアップローラ80の下降を開始し(S2)、ピックアップローラ80の下降処理が完了(S3でYes)した後、1枚目原稿の給紙動作を開始する(S4)。
【0082】
次原稿がある場合(S5でYES)は、後端検知手段M1で、原稿の搬送方向長さの測定を開始するとともに、後端検知手段M1で原稿の後端を検知する(S6)。後端検知手段M1で1枚目の原稿後端を検出すると(S6でYes)、2枚目の原稿を送り出すための準備動作として、ピックアップローラ80の下降を開始し(S7)、ピックアップローラ80の下降が完了した(S8でYes)後、続けて2枚目原稿の給紙動作(送り出し動作)を開始する(S9)。ここまでが、原稿束1枚目と2枚目の給紙制御であるが、結論として、2枚目原稿の給紙動作開始タイミングは1枚目の原稿サイズに依存せずに、常に原稿1枚目の後端を後端検知手段M1が検出したタイミングで行なわれる。
【0083】
また、1枚目の原稿の後端が後端検知手段M1を抜けると、上述したように、パルス数から原稿の搬送方向長さが算出され、原稿搬送方向長さが確定される(S10)。このように、原稿の搬送方向長さが確定したら、確定した原稿の搬送方向長さが、所定値(特定サイズの原稿搬送長さ:216mm)以下か否かをチェックする。確定した原稿の搬送方向長さが、所定値を超える場合(S11でNo)は、第1、第2の先端検知センサSn1,Sn2による先端検知を無効に設定する(S13)。一方、確定した原稿の搬送方向長さが、所定値(特定サイズの原稿搬送長さ:216mm)以下の場合(S11)は、第1、第2先端検知センサの先端検知Sn1,Sn2を有効に設定する。そして、次原稿があれば(S14でYes)、S15の処理に移行し、次原稿が無ければ(S14でNo)、終了する。
【0084】
このように、本実施形態では、1枚目の原稿のシート長情報によって、3枚目以降の給紙開始タイミングを決定している。すなわち、この確定サイズ情報を用いた給紙開始タイミングの決定は原稿束の連続読取を1つの単位とし、その開始時に1度だけ(1枚目原稿だけ)行われて、原稿束の連続給紙中には、このときの結果が固定して用いられる。しかし、各原稿搬送で取得される確定サイズ情報ごとに、給紙開始タイミングを決定してもよい。つまり、N枚目の確定サイズ情報によって、N+2枚目のピックアップローラ下降/給紙動作の開始タイミングを決定してもよい。
【0085】
図14は、3枚目以降の給紙開始タイミングを制御するフローである。
図14に示すように、制御手段たるコントローラ100は、第2の先端検知センサSn2と、後端検知手段M1とを監視し、第2の先端検知センサSn2が、後端検知手段M1よりも先に原稿の先端を検知した場合は、S12で先端検知センサの先端検知が有効に設定されているか否か確認する。先端検知センサの先端検知が有効に設定されている場合(S15でYES)は、第2先端検知センサSn2が先端検知したタイミングで給紙準備動作として、ピックアップローラ80の下降を開始する(S17)。また、後述する異常検知処理を並行処理で開始する(S23)。
【0086】
一方、第2先端検知センサSn2よりも先に後端検知手段M1が原稿の後端を検知した場合や、S13で先端検知センサの先端検知が無効に設定されている場合で、後端検知手段M1が原稿の後端を検知した場合(S15でNo、S16でYes)は、後端検知手段M1が原稿の後端を検知したタイミングで給紙準備動作として、ピックアップローラ80の下降を開始する(S17)。
【0087】
ピックアップローラ80の下降の開始タイミングが、後端検知手段M1が原稿後端を検知したことに基づく場合は、既に後端検知手段が後端を検知した状態である(S19でYes)ので、ピックアップローラ80の下降完了しだい(S20のYES)、原稿の給紙動作を開始する(S21)。
【0088】
一方、ピックアップローラ80の下降の開始タイミングが、第2の先端検知センサSn2が原稿先端を検知したことに基づく場合は、まだ、後端検知手段M1が原稿の後端を検知していないので、コントローラ100は、第1の先端検知センサSn1と、後端検知手段M1とを監視する。そして、後端検知手段M1が原稿の後端を検知するより先に第1先端検知センサSn1が原稿の先端を検知し、かつ、先端検知が有効に設定されている場合(S18でYes)は、後述する異常検知処理が開始される(S24)とともに、第1先端検知センサSn1の先端検知のタイミングで次原稿の給紙動作が開始される(S21)。
【0089】
一方、第1先端検知センサSn1が原稿の先端を検知するよりも先に後端検知手段M1が原稿の後端を検知した場合(S18でNo、S19でYes)は、後端検知手段M1の後端検知のタイミングで次原稿の給紙動作が開始される(S21)。
【0090】
本実施形態においては、原稿束の3枚目以降の原稿に対しては、図14に示すような原稿給紙制御を行うことで、特定サイズの原稿の紙間を縮めて給紙することができる。また、特定サイズ(レター横:216mm)よりも搬送方向長さが短い原稿に対しても、紙間が広がることなく原稿を搬送できる。さらに、特定サイズよりも搬送方向長さが長い原稿に対して、重送が生じることなく、原稿を搬送することができる。以下に、図を用いて、具体的説明する。
【0091】
まず、確定サイズが、特定サイズ(レター横)の場合の搬送について、図15、図16を用いて説明する。確定サイズが特定サイズのときは、所定値(216mm)以下であるので、第1、第2の先端検知センサSn1、Sn2の先端検知が有効に設定される。
図15に示すように、特定サイズの原稿が搬送されると、原稿の後端が後端検知手段M1を抜ける前に、原稿の先端が第2先端検知センサSn2に到達する。よって、特定サイズの場合は、第2先端検知センサSn2が原稿の先端を検知したタイミングで、ピックアップローラ80の下降が開始される。このとき、図に示すように、原稿の後端は、ピックアップローラ80との対向位置を抜けた位置に位置している。よって、第2先端検知センサSn2の先端検知のタイミングでピックアップローラ80の下降を開始しても、ピックアップローラ80が、前原稿に当接することがない。よって、特定サイズの原稿が搬送されるときは、第2先端検知センサSn2が原稿の先端を検知したタイミングで、ピックアップローラ80の下降を開始することにより、後端検知手段M1が原稿の後端を検知したタイミングでピックアップローラ80の下降を開始する場合に比べて、紙間を詰めて搬送することが可能となる。
【0092】
また、確定サイズが特定サイズのときは、図16に示すように、原稿の後端が後端検知手段M1を抜けるまえに、原稿の先端が第1先端検知センサSn1に到達する。よって、特定サイズのときは、第1先端検知センサSn1が原稿の先端を検知したタイミングで、給紙動作が開始される。原稿の先端が第1先端検知センサSn1に到達したとき、原稿の後端は、分離ニップAbから僅かに下流側に位置している。分離ニップAbから原稿後端の位置は、次の原稿の先端が分離ニップAbから突出していても、前原稿の後端は、次原稿の先端と重ならないところである。よって、特定サイズの原稿の場合は、第1の先端検知センサSn1が原稿の先端を検知したタイミングで、次原稿の搬送を開始しても重送が生じることなく、後端検知手段M1が原稿の後端を検知して原稿の搬送を開始する場合に比べて、紙間を詰めて搬送を行うことができる。
【0093】
なお、上述では、原稿が、特定サイズ(レター横:216mm)のときの搬送について、説明したが、搬送方向長さが、(216mm−分離ニップから後端検知手段M1までの搬送経路長L1)以上、216mm以下の原稿に関しては、各先端検知センサSn1,Sn2の先端検知のタイミングで、送り出し準備動作としての給紙準備動作、送り出し動作としての給紙動作が開始される。すなわち、搬送方向長さが(216mm−分離ニップから後端検知手段までの搬送経路長L1)以上、216mm以下の原稿が、所定の基準長さの原稿となる。
【0094】
次に、原稿の搬送方向長さが、上述した基準長さよりも短く、後端検知手段M1から第2先端検知センサSn2までの搬送経路長L2以上の原稿(以下、第1のサイズという)の給紙について、図17を用いて説明する。この場合も、所定値(216mm)以下であるので、第1、第2の先端検知センサSn1、Sn2の先端検知が有効に設定される。
この第1のサイズの原稿は、原稿の搬送方向長さが後端検知手段M1から第2先端検知センサSn2までの搬送経路長L2以上であるので、特定サイズの原稿と同様、原稿の後端が後端検知手段M1を抜けるまえに、原稿の先端が第2先端検知センサSn2に到達する。よって、確定サイズが第1のサイズのときも、第2先端検知センサSn2が原稿の先端を検知したタイミングで、ピックアップローラ80の下降が開始される。これにより、後端検知手段M1が原稿の後端を検知したタイミングでピックアップローラ80の下降を開始する場合に比べて、紙間を詰めて搬送することが可能となる。
【0095】
しかしながら、この第1のサイズの原稿は、上述した基準長さよりも短いので、図17に示すように、原稿の先端が第1先端検知センサSn1に到達する前に原稿の後端が後端検知手段M1を抜ける。よって、第1のサイズの原稿の場合は、後端検知手段M1が原稿の後端を検知したタイミングで、次原稿の給紙動作が開始される。このように、第1のサイズの場合は、後端検知手段M1が原稿の後端を検知したタイミングで、次原稿の給紙動作が開始されることにより、第1の先端検知センサSn1が原稿の先端を検知したタイミングで、次原稿の搬送を開始するよりも、紙間を詰めて搬送を行うことができる。
【0096】
次に、原稿の搬送方向長さが、後端検知手段M1から第2先端検知センサSn2までの搬送経路長L2未満の原稿(以下、第2のサイズという)の給紙について、図18を用いて説明する。この場合も、所定値(216mm)以下であるので、第1、第2の先端検知センサSn1、Sn2の先端検知が有効に設定される。
図18に示すように、第2のサイズの原稿についても、先端検知が有効に設定されるが、第2のサイズは、後端検知手段M1から第2先端検知センサSn2までの搬送経路長L2よりも短いので、原稿の先端が第2先端検知センサSn2に到達する前に原稿の後端が後端検知手段M1を抜ける。そのため、後端検知手段M1が原稿の後端を検知したタイミングで、ピックアップローラ80の下降が開始され、ピックアップローラ80の下降完了後、次原稿の給紙動作が開始される。このように、第2のサイズの場合は、後端検知手段M1の後端検知により、給紙準備動作/給紙動作が開始される。よって、特定サイズの原稿のときと同様、第2の先端検知センサSn2が原稿の先端を検知したタイミングでピックアップローラ80の下降を開始し、第1の先端検知センサSn1が原稿の先端を検知したタイミングで原稿の搬送を開始する場合に比べて、紙間を詰めることができる。
【0097】
次に、原稿の搬送方向長さが、所定値(216mm)を超える原稿(以下、第3のサイズという)の給紙について、図19を用いて説明する。この場合は、所定値(216mm)を超えるので、第1、第2の先端検知センサSn1、Sn2の先端検知が無効に設定される。
この場合は、図18に示すように、後端検知手段M1が原稿の後端を検知するよりも先に、第1,第2先端検知センサSn1,Sn2が、原稿の先端を検知する。しかし、第1、第2の先端検知センサSn1、Sn2の先端検知が無効に設定されているので、第1、第2の先端検知センサSn1,Sn2が原稿の先端を検知しても、ピックアップローラ80の下降や次原稿の給紙動作が開始されることがない。図に示すように、原稿の先端が第1先端検知センサSn1を抜けるとき、原稿の後端は、ピックアップローラ80との対向位置よりも搬送方向下流側にある。よって、この場合は、特定サイズの原稿のときと同様、第2先端検知センサSn2が原稿の先端を検知したタイミングでピックアップローラ80の下降を開始すると、前原稿とピックアップローラ80とが当接してしまう。その結果、ピックアップローラ80が搬送の抵抗となり、前原稿にスキューが生じるおそれがある。さらに、第1の先端検知センサSn1が原稿の先端を検知したタイミングで原稿の搬送を開始すると、重送が生じてしまう。よって、第3のサイズの場合は、先端検知を無効にして、後端検知手段M1の後端検知のタイミングでピックアップローラ80の下降を開始し、ピックアップローラ80が原稿束の原稿に当接したら、次原稿を搬送することにより、前原稿にスキューが生じたり、重送が生じたりすることなく搬送することができる。
【0098】
このように、本実施形態においては、3枚目以降の原稿に対して図14に示すような制御を実施することにより、原稿搬送長さが、上述した基準長さの場合のみ、第1先端検知センサSn1の先端検知のタイミングで給紙動作が開始され、それ以外の原稿は、後端検知手段M1の後端検知のタイミングで給紙動作が開始される。第1先端検知センサSn1は、上述したように、分離ニップAbから、216mm+αの位置に配置されているから、特定サイズ(レター横)の原稿は、紙間α以下(次原稿の原稿の先端が分離ニップよりも突出している場合は、紙間αよりも狭くなる)で、搬送される。これにより、特定サイズの原稿の紙間を縮めて搬送することができる。また、特定サイズでもなくても、基準長さの原稿であれば、後端検知手段M1の後端検知で給紙動作が開始される場合に比べて、紙間を縮めて搬送することができる。
【0099】
また、基準長さよりも搬送方向長さが短い原稿は、後端検知手段M1の後端検知のタイミングで次原稿の給紙動作が開始されるので、第1の先端検知センサSn1の先端検知のタイミングで次原稿の給紙動作が開始される場合に比べて、紙間を縮めて搬送することができる。
【0100】
また、基準長さよりも長い原稿についても、後端検知手段M1の後端検知のタイミングで次原稿の給紙動作が開始されるので、重送が生じることなく次原稿の原稿を搬送することができる。
【0101】
また、後端検知手段M1が、検知コロ141の回転状態により後端を検知するものであるので、原稿の後端が後端検知手段M1を抜けて直ぐに後端を検知することができる。よって、後端検知手段M1がフォトセンサの場合に比べて、基準長さ以外の原稿を搬送するときの紙間を縮めることができる。
【0102】
また、原稿の搬送方向長さが、特定のサイズ(レター横:216mm)以下で、後端検知手段M1から第2の先端検知センサSnまでの搬送経路長L2以上である場合には、第2先端検知センサSn2による先端検知タイミングに基づいて、準備動作としてのピックアップローラ80の下降を開始することで、早期に次原稿の給紙動作の準備を完了することができる。これにより、早期に次原稿の給紙動作を開始することが可能となる。
【0103】
また、原稿の搬送方向長さが、特定のサイズ(レター横:216mm)以下で、後端検知手段M1から第2の先端検知センサSn2までの搬送経路長L2以上ではない原稿は、後端検知手段M1が後端検知したタイミングでピックアップローラ80の下降が開始される。よって、原稿の搬送方向長さが、後端検知手段M1から第2の先端検知センサSn2までの搬送経路長L2未満の場合は、第2先端検知センサSn2が先端検知したタイミングでピックアップローラ80の下降を開始する場合に比べて、早期に次原稿の給紙動作の準備を完了することができる。また、特定サイズを超える原稿の場合は搬送中の原稿にピックアップローラ80が当接することが防止され、搬送中の原稿にスキューが生じるのを抑制することができる。
【0104】
本実施形態では、ピックアップ下降処理に第2の先端検知センサSn2を用いるときの制御(S15〜S17)と給紙開始処理に第1の先端検知センサSn1を用いるときの制御(S18〜S21)について両方を行う場合について述べたが、構成その他の要件に応じて、どちらか一方のみを行うこともできる。その場合は、図13で示したフロー中のS15もしくはS18が省かれ、判断結果がNoで固定されるような制御フローとなる。
【0105】
また、原稿載置台53には、搬送方向長さが異なる原稿が混合した原稿束がセットされる場合がある。例えば、1枚目の原稿が、所定サイズ(216mm)以下で、3枚目以降に、所定サイズを超える長さの原稿があった場合、この3枚目以降の所定サイズを超える原稿と、その次の原稿との間で重送が発生してしまう。その結果、JAM(原稿詰まり)の発生や、原稿ダメージが懸念される。そこで、このような特定サイズよりも搬送方向長さが長い原稿と特定サイズ以下の原稿とが混合した原稿束をセットする場合、ユーザーで「原稿サイズ混載モード」を設定できるようにし、「原稿サイズ混載モード」に設定された場合は、常に、後端検知手段M1が原稿後端検知したことをトリガーとして、次原稿の給紙動作開始タイミングを制御するものとする。原稿サイズの混載モードの設定は、たとえば、ユーザーが操作部108を操作することで設定/解除が可能となっている。
【0106】
次に、図14の制御フローに示した異常検知処理について説明する。
先端検知が有効に設定されているときにおいて、先端検知センサSn1,Sn2で先端を検知してから所定の時間経過するまでの間に、後端検知手段M1が原稿の後端を検知するはずである。そのため、もしこの後端検知手段M1が所定の時間経過後も原稿の後端を検知しない場合、特定サイズよりも搬送方向長さが長い原稿と特定サイズ以下の原稿とが混合した原稿束をセットしたにもかかわらず、ユーザーが原稿サイズの混載モードに設定し忘れた場合や後端検知手段M1が故障して、正しく原稿サイズを取得できていない可能性が疑われる。所定値(216mm)よりも搬送方向に長い原稿の搬送時に、先端検知が無効になっていないと、上述したように、スキューや重送が発生してしまう。そこで、本実施形態においては、異常検知処理を行って、先端検知が有効で、先端検知センサSn1,Sn2の先端検知で準備動作や給紙動作を開始した場合、所定値よりも搬送方向に長い原稿が搬送されていないか検知して、搬送異常を検知するのである。
【0107】
図20は、異常検知処理の制御フロー図である。
このフローは、先端検知が有効に設定され、第2の先端検知センサSn2や第1の先端検知センサSn1が原稿の先端を検知したときに呼び出され、図14に示した制御フローと平行して処理されるものである。
まず、第2の先端検知センサSn2や第1の先端検知センサSn1が原稿の先端を検知したことをトリガーにして、異常検知処理の制御が開始されると、そのときの駆動モータ(給紙モータ102やプルアウトモータ113)の駆動パルスカウントを基準値として取得しコントローラ100のメモリに記憶する(S31)。次に、コントローラ100は、後端検知手段M1を監視する(S32)。そして、現在の駆動パルス数が、保存した基準パルスカウントから所定量(Th)増加する前に、後端検知手段M1が原稿の後端を検知した場合は、コントローラ100は、原稿の搬送が正常と行われていると判定(S34)する。
【0108】
一方、現在の駆動パルス数が、保存した基準パルスカウントから所定量(Th)以上増加しても、後端検知手段M1が原稿の後端を検知しない(S32でNo、S33でYes)場合は、先端検知が有効であるにも係らず、所定値(216mm)よりも搬送方向に長い原稿が搬送されていると判断し、搬送異常と判定する(S35)。この場合、重送やスキューが発生するおそれがあるので、原稿搬送に使用されている各駆動モータを停止させて、原稿の搬送を停止する(S36)。また、1/F107を通じて本体制御部111に、搬送異常と判定した旨を通知する。本体制御部111は、この通知にもとづいて、操作部108にシートサイズ混載モードに設定されているかを確認する旨や、後端検知手段M1の故障が疑われる旨を表示し、ユーザーに報知する(S37)。
【0109】
上記第2の先端検知センサSn2の検知結果をトリガーとして、異常判定処理が開始された場合、上記所定量(Th)は、ピックアップローラ80の位置から後端検知手段M1の搬送路上の位置まで原稿が搬送されるのに必要な駆動モータ(給紙モータ102やプルアウトモータ113)の駆動パルス数を基本とし、それにセンサの検知誤差などのマージンを加えたものが用いられる。また、上記第1の先端検知センサSn1の検知結果をトリガーとして、異常判定処理が開始された場合、上記所定量(Th)は、分離ニップから後端検知手段M1の搬送路上の位置まで原稿が搬送されるのに必要な駆動モータ(給紙モータ102やプルアウトモータ113)の駆動パルス数を基本とし、それにマージンを加えたものが用いられる。
【0110】
また、図14においては、第2の先端検知センサSn2の検知結果をトリガーとして、異常判定処理を行うともに、第1の先端検知センサSn1の検知結果をトリガーとしても異常判定処理を行っているが、いずれか一方だけでもよい。
【0111】
このように、異常判定処理を行うことにより、ユーザーの原稿サイズ混載モードの設定のし忘れや、原稿搬送方向長さを検知する後端検知手段M1の故障により、先端検知が有効に設定された状態で、所定値(特定サイズの搬送方向長さ:216mm)よりも搬送方向に長い原稿が搬送されることを防止することができ、重送やスキューが生じるのを抑制することができる。
【0112】
また、上述では、ADF51に本発明を適用した場合について説明したが、シート供給カセット42に積載された記録シート束を2次転写ニップへ搬送するシート供給装置40に、本発明を適用することもできる。
【0113】
(1)
以上、ADF51などのシート搬送装置は、原稿などのシート材を複数枚重ねたシート束の状態で載置する原稿載置台53などの載置部と、載置部上の原稿束における上位のシート材を載置部から送り出すピックアップローラ80などの送出手段と、送出手段によって載置部から複数枚のシート材が送り出された場合に、最上位のシート材だけを他のシート材から分離して送り出す給紙ベルト84、リバースローラ85で構成された分離搬送部Bなどの分離手段と、分離手段によって分離されたシート材の後端を検知する後端検知手段M1と、分離手段によって分離されたシート材を搬送先に向けて搬送する搬送部と、所定のタイミングが到来したことに基づいて、送出手段によるシート送り出し動作を開始させるコントローラ100などの制御手段とを備えている。また、後端検知手段M1よりも原稿搬送方向下流側における所定位置でシート材の先端を検知する第1の先端検知センサSn1などの先端検知手段と、搬送部を搬送中のシート材の搬送方向長さを検知する長さ検知手段を備えている。そして、制御手段は、シート材の長さが所定の基準長さ(特定サイズの原稿長さ−分離ニップから後端検知手段までの搬送経路長L1以上、特定サイズ以下)であると検知された場合は、所定のタイミングとして、先端検知手段による先端検知タイミングを採用する処理を実施する一方で、シート材の長さが所定の基準長さ以外の場合は、所定のタイミングとして後端検知手段M1による後端検知タイミングを採用する処理を実施する。
かかる構成を備えることで、上述したように、基準長さのシート材を、紙間を縮めて搬送することができる。また、基準長さよりも短いシート材に対しては、後端検知手段M1による後端検知のタイミングで給紙動作が行われることにより、先端検知手段により先端検知のタイミングで給紙動作が行われる場合に比べて、紙間を縮めることができる。また、基準長さよりも長いシート材に対しても、後端検知手段M1の後端検知のタイミングで給紙動作が行われるので、重送が生じることなく原稿の搬送を行うことができる。
【0114】
また、後端検知手段M1は、シート材と連れ回りする検知コロ141などの連れ回り部材と、連れ回り部材の回転を検知する回転検知手段(エンコーダホイール143、フォトセンサ144と、コントローラ100などで構成)とで構成する。これにより、上述したように、後端検知手段M1を、フォトセンサで構成した場合に比べて、原稿の後端が後端検知手段を抜けたことをすばやく検知することができる。これにより、基準長さ以外の原稿を搬送するときの紙間が広がるのを抑制することができる。
【0115】
(2)
また、上記(1)に記載の態様の長さ検知手段に換えて、後端検知手段により、シート材の搬送方向長さを検知してもよい。後端検知手段をシート材の長さ検知に用いることで、後端検知手段とは別に長さ検知手段を用いる場合に比べて、装置を安価にすることができる。
【0116】
(3)
また、上記(1)または(2)に記載の態様において、シート材の長さが、特定のシート材の搬送方向長さを以下のときは、先端検知手段の先端検知のタイミング、後端検知手段の後端検知タイミングのいずれか早い方を採用する処理を実施するように、制御手段を構成した。これにより、シート材の長さが、基準長さよりも短いシート材は、後端検知手段の検知タイミングで送り出し動作を開始することができ、基準長さのシート材は、先端検知手段の先端検知の検知タイミングで送り出し動作を開始することができる。
【0117】
(4)
上記(1)乃至(3)いずれかに記載の態様において、送出手段として、シート送り出し動作に先立って、シート送り出し動作を可能にするための準備動作を行うものを用い、先端検知手段と後端検知手段との間に第2の先端検知センサSn2などの第2の先端検知手段を設け、長さ検知手段または後端検知手段による検知結果が特定のシート材の搬送方向長さ以下で且つ後端検知手段から第2の先端検知手段までの搬送経路長L2以上である場合には、第2先端検知手段による先端検知タイミングに基づいて準備動作を開始させ、それ以外の場合は、後端検知手段による後端検知タイミングに基づいて準備動作を開始させる処理を実施するように、制御手段を構成した。
これにより、上述したように、特定のシート材の搬送方向長さ以下で且つ後端検知手段から第2の先端検知手段までの搬送経路長L2以上のシート材に関しては、後端検知手段の後端検知タイミングで準備動作を開始する場合に比べて、早期に準備動作を完了することができる。これにより、先端検知手段が先端検知したタイミングまたは後端検知手段が後端検知したタイミングのとき、既に準備動作が完了しており、準備動作が完了を持たずに、シート材の送り出し動作を開始することができ、紙間を縮めることが可能となる。
また、特定のシート材よりも搬送方向長さが長いシート材については、後端検知手段の後端検知のタイミングで準備動作が行われるので、シート材の後端が送出手段を抜ける前に、送出手段の準備動作が完了するのを防止することができる。これにより、送出手段が、送出手段よりも原稿搬送下流の搬送手段により搬送されているシート材の搬送を阻害するのを防止することができ、シート材にスキューなどが生じるのを抑制することができる。
また、後端検知手段から第2の先端検知手段までの搬送経路長L2以下のシート材に関しては、後端検知手段の後端検知のタイミングで準備動作が行われるので、第2の先端検知手段の先端検知タイミングで準備動作が行われる場合に比べて、準備動作を早く終わらせることができる。
【0118】
(5)
上記(4)に記載の態様において、送出手段として、載置部上のシート束における最上位のシート材と当接して回転する回転部材を備え、準備動作は、回転部材を最上位のシート材に当接させる動作である。これにより、回転部材を回転することにより、シート束における最上位のシート材を分離手段へ送り出すことができる。
【0119】
(6)
上記(4)または(5)に記載の態様において、後端検知タイミングに基づいて準備動作を開始させた場合、準備動作完了直後に、送出手段によるシート送り出し動作を開始させる処理を実施する。これにより、後端検知手段の検知結果に基づいて送出手段の準備動作を行ったときの給紙動作の開始の遅延を防止でき、紙間を縮めることができる。
【0120】
(7)
上記(4)乃至(6)いずれかに記載の態様において、シート材の長さが、特定のシート材の搬送方向長さを以下のときは、第2の先端検知手段の先端検知のタイミング、後端検知手段の後端検知タイミングのいずれか早い方を採用する処理を実施するように、制御手段を構成した。これにより、特定のシート材の搬送方向長さ以下で且つ後端検知手段から第2の先端検知手段までの搬送経路長L2以上のシート材に関しては、第2先端検知手段の先端検知タイミングで準備動作を開始することができ、後端検知手段から第2の先端検知手段までの搬送経路長L2未満のシート材に関しては、後端検知手段の後端検知のタイミングで、準備動作を行うことができる。
【0121】
(8)
また、上記(1)乃至(7)いずれかに記載の態様において、積載部にシート材搬送方向長さが異なるシート材が積載したときに、シートサイズ混載モードに設定するモード設定手段(操作部108やコントローラ100などで構成)を有し、シートサイズ混載モードが設定されたとき、長さ検知手段または後端検知手段の長さ検知は行わずに、後端検知手段による後端検知タイミングに基づいて送出手段によるシート送り出し動作を開始させる処理を実施するように、制御手段を構成した。
これにより、長さ検知手段または後端検知手段によるシート材の検知結果が、基準長さと検知して、先端検知手段の先端検知のタイミングが採用されたにもかかわらず、基準長さよりも長いシート材が搬送されてしまい、重送が発生することを防止することができる。
【0122】
(9)
また、上記(1)乃至(8)いずれかに記載の態様において、先端検知手段による先端検知タイミングを採用して、送出手段によるシート送り出し動作を開始させた場合、先端検知手段が先端検知した時点から、後端検知手段が後端を検知するまでのシート材の搬送量が、所定値以上となった場合、搬送異常と判定するコントローラ100などで構成した異常検知手段を備え、異常検知手段が搬送異常を検知した場合、シート材の搬送を停止させる処理を実施するように、制御手段を構成した。
先端検知手段の先端検知タイミングが採用されるのは、基準長さであるので、先端検知手段を検知してから、シート材の搬送量が、所定値となったら後端検知手段が後端を検知するはずである。よって、先端検知手段を検知してから、シート材の搬送量が、所定値以上となった場合は、基準長さ以上なので、ユーザーがシート材混載モードの設定をし忘れたり、シート材の検知に故障が生じたりして、正しい搬送開始制御が行われていない状態であると検知することができる。よって、このような場合、スキューや重送が発生した状態で搬送されるおそれがある。したがって、この場合、シート材の搬送を停止させる処理を実施することでスキューや重送を抑制することができる。
【0123】
(10)
また、上記(1)乃至(9)いずれかに記載の態様において、シート材を搬送するための給紙モータ102など駆動源の駆動量に基づき、シート材の搬送量を把握する。これにより、シート材の搬送量を把握することができる。
【0124】
(11)
また、上記(9)または(10)に記載の態様において、積載部にシート材搬送方向長さが異なるシート材が積載したときに、シートサイズ混載モードに設定するモード設定手段を有し、異常検知手段が搬送異常を検知した場合、シートサイズ混載モードに設定されているか否かを確認するようユーザーに報知する操作部108などの報知手段を備えた。これにより、ユーザーにシートサイズ混載モードに設定しわすれを確認することができ、ユーザーは、問題発生の要因の特定を容易に行うことができる。
【0125】
(12)
また、上記(9)乃至(11)いずれかに記載の態様において、異常検知手段が搬送異常を検知した場合、シート材の搬送方向長さを検知する手段に故障がある旨をユーザーに報知する報知手段を備えた。これにより、ユーザーは、問題発生の要因の特定を容易に行うことができる。
【0126】
(13)
また、シート材としての原稿シートを搬送するADF51などの原稿搬送手段と、原稿搬送手段によって搬送される原稿シートの画像を順次読み取っていく読取手段とを備える画像読取装置において、原稿搬送手段として、上記(1)乃至(12)の何れかに記載の態様のシート搬送装置を用いた。これにより、搬送される原稿の紙間を詰めることができるので、連続して原稿を読み取るときの生産性の向上を図ることできる。
【0127】
(14)
また、シート材としての記録シートを搬送する記録シート搬送手段と、記録シート搬送手段によって搬送される記録シートに画像を形成する画像形成部1などの画像形成手段とを備える複写機500などの画像形成装置において、記録シート搬送手段として、上記(1)乃至(12)の何れかに記載の態様のシート搬送装置を用いた。これにより、搬送される原稿の紙間を詰めることができるので、連続して記録シートに画像を形成するときの生産性の向上を図ることができる。
【0128】
(15)
また、画像読取ユニット50などの画像読取手段と、
該画像読取手段で読み取った原稿画像に基づいて画像を形成する画像形成部1などの画像形成手段とを備える画像形成装置において、画像読取手段として、上記(13)に記載の態様の画像読取装置を備えた。これにより、連続して原稿を読み取るときの生産性の向上を図ることがきるため、連続してコピーを行うときの生産性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0129】
1:画像形成部
28:紙搬送ユニット
40:シート供給装置
42:シート供給カセット
43:記録シート送出ローラ
44:シート供給路
45:記録シート分離ローラ
50:画像読取ユニット
53:原稿載置台
54:原稿搬送部
80:ピックアップローラ
84:給紙ベルト
85:リバースローラ
86:プルアウトローラ対
100:コントローラ
101:ピックアップ昇降モータ
102:給紙モータ
108:操作部
113:プルアウトモータ
140:センサーアーム
141:検知コロ
142:検知コロ軸
143:エンコーダホイール
144:フォトセンサ
145:給紙部カバー
146:センサカバー
148:センサブラケット
Ab:分離ニップ
B:分離搬送部
M1:後端検知手段
Sn1:第1の先端検知センサ
Sn2:第2の先端検知センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】
【特許文献1】特開2005−324872号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を複数枚重ねたシート束の状態で載置する載置部と、
前記載置部上のシート束における上位のシート材を前記載置部から送り出す送出手段と、
前記送出手段によって前記載置部から複数枚のシート材が送り出された場合に、最上位のシート材だけを他のシート材から分離して送り出す分離手段と、
前記分離手段によって分離されたシート材の後端を検知する後端検知手段と、
前記分離手段によって分離されたシート材を搬送先に向けて搬送する搬送部と、
所定のタイミングが到来したことに基づいて、前記送出手段によるシート送り出し動作を開始させる制御手段とを備えるシート搬送装置において、
後端検知手段よりもシート搬送方向下流側における所定位置でシート材の先端を検知する先端検知手段と、
前記搬送部を搬送中のシート材の搬送方向長さを検知する長さ検知手段と、
前記シート材の長さが所定の基準長さのときは、前記所定のタイミングとして、前記先端検知手段による先端検知タイミングを採用する処理を実施する一方で、前記シート材の長さが所定の基準長さ以外の場合は、前記所定のタイミングとして前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成し、
前記後端検知手段は、前記シート材と連れ回りする連れ回り部材と、前記連れ回り部材の回転を検知する回転検知手段とを備えることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項1のシート搬送装置において、
前記長さ検知手段に換えて、前記後端検知手段により、シート材の搬送方向長さを検知することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2のシート搬送装置において、
前記シート材の長さが、特定のシート材の搬送方向長さを以下のときは、前記先端検知手段の先端検知のタイミング、前記後端検知手段の後端検知タイミングのいずれか早い方を採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかのシート搬送装置において、
前記送出手段として、前記シート送り出し動作に先立って、前記シート送り出し動作を可能にするための準備動作を行うものを用い、
前記先端検知手段と前記後端検知手段との間に第2の先端検知手段を設け、
前記長さ検知手段または後端検知手段による検知結果が特定のシート材の搬送方向長さ以下で且つ前記後端検知手段から前記第2の先端検知手段の搬送経路長以上である場合には、前記第2先端検知手段による先端検知タイミングに基づいて前記準備動作を開始させ、それ以外の場合は、前記後端検知手段による後端検知タイミングに基づいて前記準備動作を開始させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項4のシート搬送装置において、
前記送出手段として、前記載置部上のシート束における最上位のシート材と当接して回転する回転部材を備え、
前記準備動作は、前記回転部材を前記最上位のシート材に当接させる動作であることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項6】
請求項4または5のシート搬送装置において、
前記後端検知タイミングに基づいて前記準備動作を開始させた場合、準備動作完了直後に、前記送出手段によるシート送り出し動作を開始させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項7】
請求項4乃至6いずれかのシート搬送装置において、
前記シート材の長さが、特定のシート材の搬送方向長さを以下のときは、前記第2の先端検知手段の先端検知のタイミング、前記後端検知手段の後端検知タイミングのいずれか早い方を採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかのシート搬送装置において、
前記積載部にシート材搬送方向長さが異なるシート材が積載したときに、シートサイズ混載モードに設定するモード設定手段を有し、
シートサイズ混載モードが設定されたとき、前記長さ検知手段または後端検知手段の長さ検知は行わずに、前記後端検知手段による後端検知タイミングに基づいて前記送出手段によるシート送り出し動作を開始させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれかのシート搬送装置において、
前記先端検知手段による先端検知タイミングを採用して、前記送出手段によるシート送り出し動作を開始させた場合、前記先端検知手段が先端検知した時点から、前記後端検知手段が後端を検知するまでのシート材の搬送量が、所定値以上となった場合、搬送異常と判定する異常検知手段を備え、
前記異常検知手段が搬送異常を検知した場合、シート材の搬送を停止させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項10】
請求項9のシート搬送装置において、
前記シート材を搬送するための駆動源の駆動量に基づき、前記シート材の搬送量を把握することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項11】
請求項9または10のシート搬送装置において、
前記積載部にシート材搬送方向長さが異なるシート材が積載したときに、シートサイズ混載モードに設定するモード設定手段を有し、
前記異常検知手段が搬送異常を検知した場合、前記シートサイズ混載モードに設定されているか否かを確認するようユーザーに報知する報知手段を備えたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項12】
請求項9乃至11いずれかのシート搬送装置において、
前記異常検知手段が搬送異常を検知した場合、シート材の搬送方向長さを検知する手段に故障がある旨をユーザーに報知する報知手段を備えたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項13】
シート材としての原稿シートを搬送する原稿搬送手段と、
前記原稿搬送手段によって搬送される原稿シートの画像を順次読み取っていく読取手段とを備える画像読取装置において、
前記原稿搬送手段として、請求項1乃至12の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項14】
シート材としての記録シートを搬送する記録シート搬送手段と、
前記記録シート搬送手段によって搬送される記録シートに画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、
前記記録シート搬送手段として、請求項1乃至12の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
画像読取手段と、
該画像読取手段で読み取った原稿画像に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、
該画像読取手段として、請求項13の画像読取装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
シート材を複数枚重ねたシート束の状態で載置する載置部と、
前記載置部上のシート束における上位のシート材を前記載置部から送り出す送出手段と、
前記送出手段によって前記載置部から複数枚のシート材が送り出された場合に、最上位のシート材だけを他のシート材から分離して送り出す分離手段と、
前記分離手段によって分離されたシート材の後端を検知する後端検知手段と、
前記分離手段によって分離されたシート材を搬送先に向けて搬送する搬送部と、
所定のタイミングが到来したことに基づいて、前記送出手段によるシート送り出し動作を開始させる制御手段とを備えるシート搬送装置において、
後端検知手段よりもシート搬送方向下流側における所定位置でシート材の先端を検知する先端検知手段と、
前記搬送部を搬送中のシート材の搬送方向長さを検知する長さ検知手段と、
前記シート材の長さが所定の基準長さのときは、前記所定のタイミングとして、前記先端検知手段による先端検知タイミングを採用する処理を実施する一方で、前記シート材の長さが所定の基準長さ以外の場合は、前記所定のタイミングとして前記後端検知手段による後端検知タイミングを採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成し、
前記後端検知手段は、前記シート材と連れ回りする連れ回り部材と、前記連れ回り部材の回転を検知する回転検知手段とを備えることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項1のシート搬送装置において、
前記長さ検知手段に換えて、前記後端検知手段により、シート材の搬送方向長さを検知することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2のシート搬送装置において、
前記シート材の長さが、特定のシート材の搬送方向長さを以下のときは、前記先端検知手段の先端検知のタイミング、前記後端検知手段の後端検知タイミングのいずれか早い方を採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかのシート搬送装置において、
前記送出手段として、前記シート送り出し動作に先立って、前記シート送り出し動作を可能にするための準備動作を行うものを用い、
前記先端検知手段と前記後端検知手段との間に第2の先端検知手段を設け、
前記長さ検知手段または後端検知手段による検知結果が特定のシート材の搬送方向長さ以下で且つ前記後端検知手段から前記第2の先端検知手段の搬送経路長以上である場合には、前記第2先端検知手段による先端検知タイミングに基づいて前記準備動作を開始させ、それ以外の場合は、前記後端検知手段による後端検知タイミングに基づいて前記準備動作を開始させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項4のシート搬送装置において、
前記送出手段として、前記載置部上のシート束における最上位のシート材と当接して回転する回転部材を備え、
前記準備動作は、前記回転部材を前記最上位のシート材に当接させる動作であることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項6】
請求項4または5のシート搬送装置において、
前記後端検知タイミングに基づいて前記準備動作を開始させた場合、準備動作完了直後に、前記送出手段によるシート送り出し動作を開始させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項7】
請求項4乃至6いずれかのシート搬送装置において、
前記シート材の長さが、特定のシート材の搬送方向長さを以下のときは、前記第2の先端検知手段の先端検知のタイミング、前記後端検知手段の後端検知タイミングのいずれか早い方を採用する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかのシート搬送装置において、
前記積載部にシート材搬送方向長さが異なるシート材が積載したときに、シートサイズ混載モードに設定するモード設定手段を有し、
シートサイズ混載モードが設定されたとき、前記長さ検知手段または後端検知手段の長さ検知は行わずに、前記後端検知手段による後端検知タイミングに基づいて前記送出手段によるシート送り出し動作を開始させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれかのシート搬送装置において、
前記先端検知手段による先端検知タイミングを採用して、前記送出手段によるシート送り出し動作を開始させた場合、前記先端検知手段が先端検知した時点から、前記後端検知手段が後端を検知するまでのシート材の搬送量が、所定値以上となった場合、搬送異常と判定する異常検知手段を備え、
前記異常検知手段が搬送異常を検知した場合、シート材の搬送を停止させる処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項10】
請求項9のシート搬送装置において、
前記シート材を搬送するための駆動源の駆動量に基づき、前記シート材の搬送量を把握することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項11】
請求項9または10のシート搬送装置において、
前記積載部にシート材搬送方向長さが異なるシート材が積載したときに、シートサイズ混載モードに設定するモード設定手段を有し、
前記異常検知手段が搬送異常を検知した場合、前記シートサイズ混載モードに設定されているか否かを確認するようユーザーに報知する報知手段を備えたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項12】
請求項9乃至11いずれかのシート搬送装置において、
前記異常検知手段が搬送異常を検知した場合、シート材の搬送方向長さを検知する手段に故障がある旨をユーザーに報知する報知手段を備えたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項13】
シート材としての原稿シートを搬送する原稿搬送手段と、
前記原稿搬送手段によって搬送される原稿シートの画像を順次読み取っていく読取手段とを備える画像読取装置において、
前記原稿搬送手段として、請求項1乃至12の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項14】
シート材としての記録シートを搬送する記録シート搬送手段と、
前記記録シート搬送手段によって搬送される記録シートに画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、
前記記録シート搬送手段として、請求項1乃至12の何れかのシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
画像読取手段と、
該画像読取手段で読み取った原稿画像に基づいて画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置において、
該画像読取手段として、請求項13の画像読取装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−254856(P2012−254856A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128610(P2011−128610)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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