説明

シート材ウエブのための照射ステーション

発明は、シート材(3)のウエブの1つまたはそれより多くの層における部分的にデザインが施された領域の作成のための照射ステーション(1)及び、そのような照射ステーション(1)で作成され、様々な光学特性を示す部分的にデザインが施された領域を有する光変化素子に関する。照射ステーション(1)は、シート材(3)を照射するための1つまたはそれより多くの放射源(11)を有する。照射ステーション(1)はさらに、様々な光学特性を示す部分的にデザインが施された領域を有するマスクテープを有し、マスクテープは1つまたはそれより多くの放射源(11)とシート材(3)のウエブの間の光路において照射域(18)を通って誘導される。照射ステーション(1)はさらに、マスクテープを誘導するため及び/またはシート材のウエブを誘導するための2つまたはそれより多くの誘導手段(182,183)を有し、これらの誘導手段は、マスクテープ(2)が照射域(18)においてシート材(3)に対して平行関係で誘導されるように配置される。さらに、照射ステーション(1)は、マスクテープ(2)及びシート材(3)のウエブを同じ速度で照射域(18)を通して進行させるための結合手段(181,182,183,184)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート材ウエブの1つまたはそれより多くの層における部分的にデザインが施された領域の作成のための照射ステーションに関し、照射ステーションはシート材ウエブを照射するための1つまたはそれより多くの放射源を有する。本発明は、部分的にデザインが施された領域を有し、そのような照射ステーションを用いて作成されたセキュリティ素子にも関する。
【背景技術】
【0002】
部分的に金属被膜が除去された層を有する積層シート材には様々な応用の可能性がある。そのような積層シート材は、例えば、基板表面の装飾のため、あるいはセキュリティ目的のため、例えば、文書、カード及び銀行券を保障するために、用いることができる。
【0003】
特許文献1はセキュリティ目的のためのそのような積層シート材の使用を説明しており、この場合、実際の金属被膜除去に先立ち薄いワニス層をオーバープリントすることによって部分的金属被膜除去が達成される。
【0004】
この場合、積層シート材は、2つの表面に貼り付けられる、シールとしてはたらく。シールの貼付けに続いて、2つの表面が互いに引き離されると、例えばビデオカセットを収めている包装が開けられると、シールは損なわれ、したがって包装が開けられたという事実の証拠を提供する。
【0005】
このセキュリティ製品は以下のようにして作成される。
【0006】
透明ポリエステルのプラスチックシートにワニス層がプリントされる。次いでこのようにして形成されたワニス層にセキュリティホログラムが型押しされる。次の工程は、セキュリティホログラムが型押しされた表面の全面金属被膜形成を含む。次いでこの表面の部分的金属被膜除去が行われる。
【0007】
部分的金属被膜除去は金属被膜除去後に残るべき金属薄層領域上に保護ワニスをプリントすることによって達成される。次いで実際の金属被膜除去が行われ、このプロセス中にワニス層で保護されていない金属薄層領域だけが除去される。
【0008】
金属被膜除去に続いて、洗浄プロセスがある。以降の工程において、接着層が与えられ、得られた積層シート材が小片に切り分けられ、それぞれの小片は上述したシールの機能を有することができる。
【0009】
特許文献2は半導体素子の製造中のリソグラフィプロセスにおける物体の照射のためのマスク付投影照射装置を説明している。フォトレジスト層が0.1μmから1μmの層厚で石英ウエハに塗布される。次いで石英ウエハは格子マスクを通して照射される。格子マスクは格子マスク支持体及びその上に形成された格子構造体からなる。格子マスク支持体は、石英、ソーダ石灰ガラスまたはホウケイ酸ガラスからなる。格子構造体は、基板上にスパッタされたガラス層の使用によるか、またはガラスの格子マスク支持体の背面に織地を貼ることにより、フォトレジストを用いて作成される。
【特許文献1】英国特許第2136352A号明細書
【特許文献2】独国特許発明第4329803A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は照射プロセスを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題はシート材ウエブの1つまたはそれより多くの層における部分的にデザインが施された領域の作成のための照射ステーションによって達成され、照射ステーションは、シート材の照射を行うための1つまたはそれより多くの放射源を有し、様々な光学特性をもつ部分的にデザインが施された領域を有するマスクテープも有し、またマスクテープを誘導するため及び/またはシート材ウエブを誘導するための2つまたはそれより多くの誘導手段も有し、誘導手段は1つまたはそれより多くの放射源とシート材ウエブの間の光路において照射域を通ってマスクテープが誘導されるように配置される。マスクテープはシート材ウエブと平行な方向で照射域内を誘導されることが好ましい。別の可能性は、シート材ウエブに対して直角にまたはある角度でマスクテープを誘導し(直交照射または斜行照射)、シート材ウエブの速度と同じ速度で照射域を通してマスクテープを移動させるための結合手段を提供することである。
【0012】
本発明は多くの利点を提供する。
【0013】
一回の照射工程によりリールからリールへの連続製造フローにおけるシート材ウエブの1つまたはそれより多くの層において部分的にデザインが施された領域を作成することが可能になる。この手段により、そのようなシート材ウエブの製造のためのプロセス工程数が低減され、製造プロセスの速度が高められて、費用が低減される。さらに、部分的にデザインが施された領域を、高処理速度動作時であっても、高精度及び高解像度で形成することが可能である。
【0014】
得られる利点は、本発明により、部分的金属被膜除去領域のフレキシブル生産(カスタム化)及びカスタム化プロセスのためのフォトレジストのフレキシブル照射が可能になることである。
【0015】
本発明の実施形態は従属請求項に定められる。
【0016】
照射ステーションが、位置合せされて照射が行われるような態様でシート材に対してマスクテープの位置を合せる、目合せシステムを有すると有利である。そのような装置は照射ステーションの人手による設定及び再設定の必要をなくし、得られる照射結果は一貫して高品質である。
【0017】
用いられるマスクテープはエンドレスウエブまたはリールからリールへ誘導される有端マスクテープとすることができる。有端マスクテープが用いられる場合には特に、照射ステーションを用いてセキュリティ素子のカスタム化を行うことができるようにカスタム化パターン付領域をもったマスクテープを供給できるという利点がある。すなわち、例えば、個々に異なるデータ(画像、数字、コード)をマスクテープにプリントすることができる。この目的のために用いられるプリントプロセスはインクジェットプリントまたはレーザプリントのようなデジタルプリントプロセスであることが好ましい。あるいは、マスクテープへのプリントにTTFプリント法を用いることができる。別の可能性は、レーザ照射(漂白、黒化、レーザアブレーション)を用いてマスクテープに様々なデータを書き込むことである。
【0018】
書換可能マスクテープの使用はいくつかの利点をもたらすことができる。そのようなマスクテープは、例えば、温度感応材料層を有する。
【0019】
照射ステーションがマスクテープに張力をかけるための張力印加装置を有すると有利である。そのような張力印加装置により、マスクテープの確実な移動が保証され、したがって照射ステーションを用いて作成される素子の品質が改善される。
【0020】
本発明の好ましい実施形態において、結合手段は、マスクテープがシート材ウエブとともに送られるように、シート材ウエブとマスクテープが重畳関係でそれを通って誘導される、少なくとも1つのローラーを有する。これにより、特に安価で簡単な構造の照射ステーションを提供することが可能になる。この場合、シート材及びマスクテープを誘導するための2つのローラーが照射域の両側に備えられ、マスクテープを誘導するため及びマスクテープとシート材の間に定圧を得るために2つの別のローラーが照射域の両側に備えられていると、マスクテープの運動のシート材ウエブの運動との特に精確な結合が達成される。
【0021】
本発明の別の好ましい実施形態にしたがえば、照射ステーションはある速度でマスクテープを動かすための駆動システムを有する。さらに、結合手段は駆動システムを調整するための制御装置を有し、制御装置は第1の速度をシート材の速度と同期化させる。機械的結合手段の使用に加えて、マスクテープの速度をシート材の速度と同期化させるための電子的結合手段の使用も適宜可能である。そのような「電子的」結合手段では、照射ステーションが追加のコンポーネントを備える必要があり、これは照射ステーションの建造費用を高める。他方で、そのような手段によっていくつかの技術的利点が得られる。第1に、シート材ウエブとマスクテープの間の直接接触の必要がなく、よって、接触反応はおこり得ず、おそらくはシート材の敏感な表面が摩擦または摩耗によって損傷を受けることはないであろう。電子的結合手段の利点は、照射ステーションに広い照射域を与えることが望ましく、シート材ウエブを高速で動かす必要があるときに、特に重要になる。
【0022】
マスクテープの材料はその目的(エンドレスウエブ、リールからリール、シート材に直接接触またはシート材から分離)、放射源(波長透過率)及び用いられる光のタイプ(偏光:この場合、基層は偏光機能を有するべきではないかまたは定められた大きさの複屈折率を有するべきである)に適するように選ばれなければならない。
【0023】
マスクテープが一回または数回反復されるパターン付領域を有すると有利である。この手段により、理論的には無制限に広い照射域を提供することが可能である。照射域を拡大することにより、シート材の速度を高め、したがって処理速度を高めることが可能である。
【0024】
マスクテープのデザインに関しては、多くの様々な可能性が有利であることがわかっている。例えば、マスクテープは、透明特性、吸収特性及び/または反射特性を示す部分的にデザインが施された領域を有することが可能である。吸収性マスクの例は黒色マスクまたはプリントマスクである。さらに、マスクテープは様々な光屈折率を示す部分的にデザインが施された領域を有することが可能である。さらにまた、マスクテープは様々な偏光特性を示す部分的にデザインが施された領域を有することが可能である。マスクテープは、透明特性及び反射特性、様々な光屈折率及び様々な偏光特性のいずれをも示す、部分的にデザインが施された領域を有することももちろん可能である。そのようなマスクテープを用いれば、1つの同じ照射ステーションを用いていくつかの照射工程を同時に行うことが可能であり得る。照射プロセスを精確に適用できるためには、照明ステーションが光源とマスクテープの間の光路に配置された光フィルタを有することが好ましい。
【0025】
さらに、1つまたはそれより多くの光源とマスクテープの間の光路におかれたコリメータを用いることが有利であることもわかった。そのようなコリメータの使用により、品質低下を受け入れる必要なしに照射域におけるマスクテープとシート材の間隔を大きくすることが可能となる。様々なフィルタを併用することにより、例えば、光バンドパスフィルタ、コリメータ及び偏光子を併用することにより、別の利点を得ることができる。
【0026】
放射源としてUVランプを用いることが有利である。さらに、例えば、IR光、EB(電子ビーム)放射または可視光を発するその他の放射源の使用が考えられる。放射源の放射を照射域にないフィルム領域から遮蔽するような形につくられた遮蔽板を照射ステーションが有することも有利である。これにより、製品の品質が改善される。
【0027】
本発明の照射ステーションは、銀行券、クレジットカード等を保障するための光学セキュリティ特徴が与えられた素子の製造における使用に極めて適している。本照明ステーションは主としてフィルム、特に、型押しフィルム、積層フィルムまたはステッカーフィルムの作成にも適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
添付図面によって示されるいくつかの実施形態を参照して、本発明を以下で例として説明する。
【0029】
図1は、マスクテープ2,いくつかのローラー181,182,183,184,185及び172,張力印加装置17,遮蔽板15,放射源11,支持装置16,フィルタ12,支持装置13,並びに2本の誘導レール14を有する照射ステーション1を示す。
【0030】
マスクテープ2は、図1に示されるように、ローラー181,182,183,184,185及び172を通って誘導される。すなわち、ローラー181,182,183,184,185及び172はマスクテープ2を誘導するための誘導手段としてはたらく。誘導手段としてローラーを用いる代りに、ロッド、偏向板及び誘導面を通してマスクテープ2を誘導することももちろん可能である。
【0031】
ローラー172は張力印加装置17の一部である。張力印加装置17はネジ171によって照明ステーション1のための支持体に連結される。調整ホイール173の回転により、図1に示されるように、照射装置1の支持体からの張力印加装置17の距離を変え、したがってローラー171の位置を変えることが可能になる。ローラー171の位置を変えることによりマスクテープ2の張力が変えられ、したがってローラー181,182,183,184,185及び172とマスクテープ2の間の接触圧が変えられる。
【0032】
この場合の別の可能性は、張力印加装置に弾力素子を備え、弾力素子によってローラー172のベアリングを弾性支持することである。このようにすれば、接触圧をさらに一層精確に調節することが可能である。
【0033】
図1に示されるように、マスクテープ2は矢印20で示される方向にローラーを通って動かされるエンドレスウエブである。さらに、図1に示されるように、シート材3のウエブは矢印31によって示される方向にローラー182及び183を通って誘導される。したがって、シート材3のウエブとマスクテープ3は、マスクテープ2がシート材3のウエブの移動によって、矢印31で示されるように、同じ方向に進行させられるように、重畳関係でローラー182及び183を通って誘導される。
【0034】
したがって、照射域18において、マスクテープ2及びシート材3のウエブは、ローラー182及び183によって、重畳関係で、したがって互いに平行に誘導される。照射域18の両側に、それらを通ってシート材3のウエブ及びマスクテープ2が誘導されるローラー182及び183が配置され、それらを通ってマスクテープ2だけが誘導されるローラー181及び184が配置されている。図1に示される態様の、同じレベルでのローラー181及び182または183及び184の配置並びにこれらのローラーを通るマスクテープ2及びシート材3のウエブの誘導により、ローラー182または183を通るマスクテープ2及びシート材3のウエブの誘導路に沿うマスクテープ2とシート材3のウエブの間の接触圧を張力印加装置17によって調節することが可能になる。
【0035】
接触圧は、シート材3のウエブによるマスクテープ2の滑らかで確実な連行が可能になるように、ローラー182または183の領域においてシート材3のウエブとマスクテープ2の間に十分に強い摩擦結合が得られるような大きさに調節される。
【0036】
支持装置16は放射源11の位置を垂直方向に調節するためにはたらく。放射源11は、UVランプ、ランプ素子と照射ステーション1の電力接続の間に電気的接触をつくるための電気ソケット及びシート材3のウエブに面している側で必要に応じてランプ素子を遮蔽する遮蔽板を有する。UVランプの代りに、可視光、IR光またはEB放射を発する放射源を用いることが可能である。この遮蔽板は反射器として構成されることが好ましい。
【0037】
放射源11は、シート材3のウエブからの放射源11の距離を変えることができるように、キャリッジに載って誘導レール14上を誘導される。したがって、放射源11は支持装置16によって垂直方向に調節可能であるだけでなく、シート材3のウエブからの距離も誘導レール14に搭載されているために変えることができる。
【0038】
フィルタ12は、それによってシート材ウエブに効果を有する周波数帯を設定できる、光バンドパスフィルタである。しかし、フィルタ12はいずれか別の光フィルタ、例えば偏光フィルタまたはコリメータとすることもできる。フィルタ12は支持装置13によって垂直方向に調節可能な位置に固定される。
【0039】
フィルタ12及び支持装置13を省略することももちろん可能である。
【0040】
照射ステーション1の照射域18の長さは40〜50cmである。あるいは、照明域18は状況に応じてより長くまたはより短くすることができる。照明域18の長さに依存して、1つより多くの放射源を備えることが必要になり得る。
【0041】
次にマスクテープ2の基本構造を図2を参照して説明する。
【0042】
図2はマスクテープ22の断面図である。マスクテープ22は4つの層221,222,223及び224を有する。
【0043】
層221は放射源11の当該波長範囲に対して透明な基層である。基層は約315nmより長い波長に対して透明な50μm厚のTAC支持フィルムからなる。あるいは、PET基層または放射源11の当該波長範囲において光透過性の何か別の可撓性材料でつくられた基層を用いることができる。好ましくは、基層は280〜400nmの波長範囲において透明であるべきである。したがって、層221は例えば12μm厚のPET基材からなる。
【0044】
層222は合成透明熱可塑性材料からなることが好ましい像転写層である。
【0045】
像転写ワニスは凹版ドラムによって塗布され、次いで100〜120℃の温度の乾燥トンネルで乾燥されることが好ましい。
【0046】
次いで、層222がその後に積層されるLCP材料の層223に対する配向層としてはたらくように、表面模様が型押しダイによって像転写層222に型押しされる。
【0047】
マスクテープが様々な偏光特性をもつ部分的にデザインが施された領域を有する、図2に示されるようなマスクテープ構造の使用に加えて、透明特性及び反射/吸収特性をもつかあるいは様々な光屈折率をもつ部分的にデザインが施された領域を有するマスクテープを使用することも可能である。
【0048】
この場合、透明特性及び反射/吸収特性をもつ部分的にデザインが施された領域を有するマスクテープは、例えば基層、部分的にデザインが施された反射層及び、必要に応じて、保護ワニス層からなる。この場合、反射層は、例えば金属層またはHRI層(HRI=高屈折率)からなることができる。吸収層は、例えば、パターン付着色層の形態とすることができる。
【0049】
様々な透明/反射/吸収特性、様々な偏光特性及び様々な光屈折率を示す領域を有するマスクテープを使用することももちろん可能である。したがって、マスクテープ22に、それによって透明特性及び反射特性を有する別の領域をつくることができる、部分的にデザインが施された反射層をさらに設けることが可能である。さらに、それによって特定の光回折効果、例えば増光及び消光が得られる、型押し回折構造を有する像転写層をマスクテープに設けることが可能である。
【0050】
図3は照明域18にあるマスクテープ2の上面図である。図3からわかるように、マスクテープ2はいくつかのパターン付領域23,24,25及び26を有する。マスクテープ2によって表されるパターンはパターン付領域23〜26のそれぞれにおいて同じであり、よって様々な光学特性をもつ部分的にデザインが施された領域における1つの同じパターンがパターン付領域23〜26のそれぞれで反復される。
【0051】
パターン付領域23は、例えば、マスクテープ2が相異なる光学特性を示す4つの領域をからなる。
【0052】
放射源11から来る入射光は、第1の領域において垂直方向に対して45°の角度に直線偏光され、第2の領域において垂直方向に対して80°の角度に直線偏光され、第3の領域において垂直方向に直線偏光され、第4の領域において垂直方向に対して135°の角度に直線偏光される。
【0053】
これらの4つの領域は、画像、グラフィックス表示、数字または英文字の形態を有するようにデザインを施すことができる。
【0054】
次に、図4を参照して、本発明の照射ステーションの構造の別の可能性を説明する。
【0055】
図4は、マスクテープ5,マスクテープを誘導するためのいくつかのローラー464,463,462及び461,2つの放射源41,遮蔽ハウジング43,コリメータ42,張力印加装置47,2つの駆動システム71及び72,いくつかのセンサ75,73,76及び74,制御手段7,シート材6のウエブを誘導するためのいくつかのローラー81,82,83,84及び85,並びに2枚の遮蔽板44を有する、照射ステーション4の略図である。
【0056】
図4に示されるように、マスクテープ5とシート材6のウエッブは、もはや照射域において互いに接触する重畳関係にはなく、この域において互いに離れている。本実施形態において照射域におけるシート材6のウエブからのマスクテープ5の距離は約1cmであるが、この距離は数分の1mmから数cmの範囲にわたって変えることができる。決定的要因はコリメータ42の品質である。
【0057】
遮蔽ハウジング43及び遮蔽板44により、照明域にないシート材6のウエブの領域に放射源41からの光が到達できないことが保証される。
【0058】
マスクテープ5はローラー461,462,463及び464を通して誘導される。ローラー464は、例えば、弾力素子の形態または図1に示される張力印加装置17と同様の張力印加装置の形態とすることができる、張力印加装置47に連結される。ローラー463は駆動システム71に連結され、よって、マスクテープ5は、駆動システム71によって与えられるローラー463の回転のため、矢印の方向に進行させられる。駆動システム71は、例えば伝動装置を介してローラー463に連結される、電気モーターである。ローラー462は、例えばローラー462の回転を電圧パルスに変換する増分伝動機ユニットとすることができる、センサ73に連結される。
【0059】
シート材6のウエブはローラー81,82,83,84及び85を通って誘導される。この場合、ローラー84は駆動システム72に連結される。駆動システム72は、例えば、段付ベルト伝動を介してローラー64に連結された電気モーターである。ローラー84の回転により矢印の方向へのシート材6のウエブの進行がおこる。ローラー83は、同様にローラー83の回転運動を電圧パルスに変換する増分伝動機ユニットである、センサ74に連結される。
【0060】
さらに、照射ステーションは光センサ75及び76を備え、これらによってマスクテープ5及びシート材6のウエブに与えられた光学マークが位置合せされる。望ましければ、センサ75及び76は省略することができる。
【0061】
制御手段7は、照射ステーション4によって行われる照射プロセスを制御及び調整する。制御手段7は、制御線路を介して、駆動システム71及び72並びにセンサ75,76,73及び74に接続される。
【0062】
制御手段7は、センサ73及び74により、マスクテープ5の運動方向及び速度とシート材6の運動方向及び速度を合せる。すなわち、センサ73及び74によって得られる電圧パルスがそれぞれ、マスクテープ5及びシート材6のウエブの回転方向及び位置及び速度を計算するために用いられる。制御手段7は次いで、電気的フィードバック制御システムにより、マスクテープ5及びシート材6のウエブが照明域において同じ速度で同じ方向に動かされるような態様で駆動システム71及び72を制御する。
【0063】
この場合、シート材のウエブまたはマスクテープのいずれか一方がある与えられた速度で進行し、他方のウエブ、すなわちマスクテープまたはシート材のウエブのいずれか他方がその速度に同期化される。別の可能性は、シート材のウエブの速度が、駆動システム72も制御する、何か別の制御手段によって決定されることである。この場合、制御手段7はシート材6のウエブの速度及びマスクテープ5の速度だけを指定し、次いで適宜に駆動システム71を制御して、2つの速度の同期化を達成する。
【0064】
望ましければ、照射ステーション4における駆動システム72の配置を省略することももちろん可能である。
【0065】
さらに、駆動システム71及び72を省略するか、またはこれらの2つの駆動システムを1つの駆動システムで置き換えることができるように、ローラー463及び84の機械的結合が可能である。
【0066】
光センサ75及び76によって、マスクテープ5上及びシート材6のウエブ上のマークが認識され、マスクテープ5またはシート材6のウエブの位置の正確な詳細が得られる。
【0067】
センサ75及び76によって得られる電気信号により、制御手段7が、マスクテープ5及びシート材6のウエブの互いに対する正確な絶対位置を決定し、したがって照射が位置合せされて行われるか否かを確認することが可能である。制御手段7は、照射が再び位置合せされて行われるような態様でシート材6のウエブに対してマスクテープ5の位置を変えるために、そのような偏差が存在するか否かを判定し、次いで適宜に駆動システムを制御する。この態様において、制御手段7並びにセンサ75及び76は、照射が位置合せされて行われるような態様でシート材6のウエブに対してマスクテープ5の位置を変える、目合せシステムとしてはたらく。
【0068】
望ましければ、制御手段7並びにセンサ75及び76の機能を省略することももちろん可能である。
【0069】
次に、図5を参照して、本発明の照射ステーションの構造の別の可能性を説明する。
【0070】
図5は、マスクテープ91,マスクテープを誘導するためのローラー464,462及び461,2つの放射源41,遮蔽ハウジング43,コリメータ42,張力印加装置47,2つの駆動システム96及び97,センサ75及び76,制御手段93,シート材92のウエブを誘導するためのローラー81,82及び85,マスクテープ91の送出し及び巻取りのそれぞれのための2つのリール94及び95,並びにデジタルプリント装置98を有する照射ステーション9の略図である。
【0071】
図5に示されるように、マスクテープ9はエンドレスウエブではなく、マスクテープを供給する第1のリール94からマスクテープを受け取る第2のリール95に誘導される有端マスクテープである。
【0072】
シート材92のウエブはローラー81,82及び85を通して誘導される。この場合、シート材92のウエブは図5には示されていない駆動システムによって矢印の方向に動かされる。
【0073】
マスクテープ91はリール94からリール95にローラー461,462及び464を通って誘導される。ローラー464は、例えば、弾力素子の形態または図1に示される張力印加装置17と同様の張力印加装置の形態とすることができる、張力印加装置47に連結される。リール94及び95はそれぞれ、制御手段93によって制御され、マスクテープを矢印の方向に動かす、駆動システム96及び97に連結される。この場合、制御システム93はマスクテープ91が定速度で動かされるように駆動システム96及び97を同期化させる。あるいは、駆動システム96を省略するかまたは、駆動システムによって駆動され、図4に示される駆動システム73に対応する態様でマスクテープ91を動かす何か別のローラーを設けることができる。さらに、図1に示される態様でマスクテープ91をシート材92のウエブに結合することも可能である。
【0074】
さらに、照射ステーションは光センサ75及び76を有し、これらによって
マスクテープ91及びシート材92のウエブに与えられた光学マークが位置合せされる。
【0075】
制御手段93は照射ステーション9によって行われる照射プロセスを制御及び調整する。制御手段93は制御線路を介して駆動システム96及び97並びにセンサ75及び76に接続される。センサ75及び76により、マスクテープ91の運動方向及び速度またはシート材92のウエブの運動方向及び速度を決定し、シート材92のウエブに対するマスクテープ91の位相関係も決定することが可能である。シート材92のウエブの速度及びマスクテープ91の速度は、シート材92のウエブと同じ速度で同じ方向にマスクテープ91が照射域を通って進行させられていることを制御システムが保証する、駆動システム96及び97を調整する電気的フィードバック制御システムの入力変数となる。シート材92のウエブに対するマスクテープ91の位相関係は、照射が位置合せされて行われるように、マスクテープ91の位相関係をシート材92のウエブの位相関係に絶えず同期化させる、別のフィードバック制御システムに対する入力変数としてはたらく。
【0076】
デジタルプリント装置98は1つまたはそれより多くのカスタム化パターン付領域をマスクテープ91にプリントするためにはたらく。例えば、プリント装置98はマスクテープ91に、レーザプリンティングの態様で、例えば、ランプ41によって発せられる光を吸収するインクのパターンをプリントする。マスクテープ91の構造は図2及び3に示される構造に対応することができる。この場合、マスクテープ91上に施されたパターン付領域にプリント装置98で与えられるカスタム化パターン付領域を重ねてプリントすることができる。
【0077】
マスクテープ91にプリントする代りに、カスタム化目的のためにレーザを用いてマスクテープを部分的に脱色することも可能である。
【0078】
もちろん、プリント装置98は必要に応じて備えられる。さらに、望ましければ、図1及び図4に示される照射ステーションにおいてプリント装置98を用いること及び照射後にマスクテープからプリントされたインクを除去することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】第1の実施形態の本発明の照射ステーションの略図である
【図2】図1の照射ステーションで用いるためのマスクテープの断面図である
【図3】図1の照射ステーションで用いるためのマスクテープの簡略な上面図である
【図4】第2の実施形態にしたがう本発明の照射ステーションの略図である
【図5】第3の実施形態にしたがう本発明の照射ステーションの略図である
【符号の説明】
【0080】
1,4 照射ステーション
2,5 マスクテープ
3,6 シート材
7 制御手段
11,41 放射源
12 フィルタ
13,16 支持装置
14 誘導レール
15 遮蔽版
17,47 張力印加装置
18 照射域
172,181,182,183,184,185 ローラー
173 調整ホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材(3,6)のウエブの1つまたはそれより多くの層における部分的にデザインが施された領域の作成のための、前記シート材(3,6)のウエブを照射するための1つまたはそれより多くの放射源(11,41)を有する、照射ステーション(1,4)において、前記照射ステーション(1,4)が様々な光学特性を示す部分的にデザインが施された領域を有するマスクテープ(2,5)を有し、前記照射ステーション(1,4)が前記マスクテープ(2,5)を誘導するため及び/または前記シート材(3,6)のウエブを誘導するための2つまたはそれより多くの誘導手段(181,182,183,184;461,462,82,83)を有し、前記誘導手段は前記1つまたはそれより多くの放射源(11,41)と前記シート材(3,6)のウエブの間の光路において前記マスクテープ(2,5)が照射域を通って誘導されるように配置され、前記照射ステーション(1,4)が前記シート材(3,6)のウエブの速度と同じ速度で前記マスクテープ(2,5)に前記照射域を通って進行させるための結合手段(182,183;7)を有することを特徴とする照射ステーション。
【請求項2】
前記照射ステーション(4)が、照射が位置合せされて行われるような態様で前記シート材(6)のウエブに対して前記マスクテープ(5)の位置を調節する、目合せシステム(7,75,76,71)を有することを特徴とする請求項1に記載の照射ステーション。
【請求項3】
前記照射ステーション(1,4)が前記マスクテープ(2,5)に張力をかけるための張力印加装置(17,47)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の照射ステーション。
【請求項4】
前記結合手段が少なくとも1つのローラー(182,183)の形態にあり、前記マスクテープ(2)が前記シート材(3)のウエブとともに進行させられるように、前記少なくとも1つのローラー(182,183)を通って前記シート材(3)のウエブ及び前記マスクテープ(2)が重畳関係で誘導されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の照射ステーション。
【請求項5】
前記結合手段が、前記シート材(3)のウエブ及び前記マスクテープ(2)を誘導するための前記照射域の両側に配置された2つのローラー(182,183)及び前記マスクテープを誘導するため及び前記マスクテープ(2)と前記シート材(3)のウエブの間に接触圧を生じさせるための前記照射域の両側に配置された2つのローラー(181,184)を有することを特徴とする請求項4に記載の照射ステーション。
【請求項6】
前記照射ステーション(4)が前記マスクテープ(5)を第1の速度で進行させるための駆動手段(71)を有し、前記結合手段が駆動システム(71)を調整する制御装置(7)の形態にあって、前記制御装置が前記第1の速度を前記シート材(6)のウエブの速度に同期化させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の照射ステーション。
【請求項7】
前記マスクテープ(2,5)がエンドレスウエブであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の照射ステーション。
【請求項8】
前記マスクテープが、前記マスクテープを供給する第1のリール(94)から前記マスクテープを受け取る第2のリール(95)に誘導される、有端ウエブ(91)であることを特徴とする請求項1から6に記載の照射ステーション。
【請求項9】
前記マスクテープが1つまたはそれより多くのカスタム化パターン付領域を有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の照射ステーション。
【請求項10】
前記マスクテープが書換可能なマスクテープであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の照射ステーション。
【請求項11】
前記マスクテープ(2)が一回または数回反復されるパターン付領域(23,24,25,26)を有することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の照射ステーション。
【請求項12】
前記マスクテープが透過特性及び/または吸収特性及び/または反射特性を示す部分的にデザインが施された領域を有することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の照射ステーション。
【請求項13】
前記マスクテープが様々な光屈折率を示す部分的にデザインが施された領域を有することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の照射ステーション。
【請求項14】
前記マスクテープ(2)が様々な偏光特性を示す部分的にデザインが施された領域を有することを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の照射ステーション。
【請求項15】
前記マスクテープが、入射光が偏光される偏光方向が連続的に変化する領域を有することを特徴とする請求項14に記載の照射ステーション。
【請求項16】
前記マスクテープが、入射光が偏光される偏光方向が相異なる隣接領域を有することを特徴とする請求項14に記載の照射ステーション。
【請求項17】
前記マスクテープが、入射光が偏光される領域及び前記入射光が偏光されない領域のそれぞれを隣接して有することを特徴とする請求項14に記載の照射ステーション。
【請求項18】
前記照射ステーションが前記1つまたはそれより多くの放射源と前記マスクテープの間の光路に配置された、光フィルタ、特に、偏光子及び/またはバンドパスフィルタを有することを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の照射ステーション。
【請求項19】
前記照射ステーション(1,4)が前記1つまたはそれより多くの放射源(11,41)と前記マスクテープ(2,5)の間の光路に配置されたコリメータ(13,42)を有することを特徴とする請求項1から18のいずれかに記載の照射ステーション。
【請求項20】
前記放射源(11,41)が光源、特にUVランプであることを特徴とする請求項1から19のいずれかに記載の照射ステーション。
【請求項21】
前記照射ステーションが、前記照射域にない前記シート材(3,6)のウエブの領域から前記放射源(11,41)の放射を遮蔽するような形につくられた遮蔽板(15,43,44)を有することを特徴とする請求項1から20のいずれかに記載の照射ステーション。
【請求項22】
様々な光学特性を示す部分的にデザインが施された領域を有するセキュリティ素子において、前記光変化素子が請求項1から21のいずれかに記載の前記照明ステーションを用いて作成されることを特徴とするセキュリティ素子。
【請求項23】
前記セキュリティ素子が、銀行券、クレジットカード等のための光セキュリティ素子であることを特徴とする請求項22に記載のセキュリティ素子。
【請求項24】
前記セキュリティ素子がフィルムであることを特徴とする請求項22に記載のセキュリティ素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−506991(P2007−506991A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517950(P2006−517950)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001398
【国際公開番号】WO2005/006075
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(398058348)レオナード クルツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (9)
【Fターム(参考)】