シート検出装置、画像形成装置、シート検出方法及び定着装置の制御方法。
【課題】簡易な機構によりコストの低減を実現することができるシート検出装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート検出装置80は、通過するシートに当接して移動する第1のアクチュエータ82及び第2のアクチュエータ84と、第1のアクチュエータ82及び第2のアクチュエータ84の変位を検出する一つの検出部86とを有し、第1のアクチュエータ82と第2のアクチュエータ84とはシートの幅方向の位置が異なるように配置されている。
【解決手段】シート検出装置80は、通過するシートに当接して移動する第1のアクチュエータ82及び第2のアクチュエータ84と、第1のアクチュエータ82及び第2のアクチュエータ84の変位を検出する一つの検出部86とを有し、第1のアクチュエータ82と第2のアクチュエータ84とはシートの幅方向の位置が異なるように配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート検出装置、及びこのシート検出装置を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては、搬送路に搬送されるシート(用紙)を検出するシート検出装置が備えられている。この種のシート検出装置として、例えば互いに圧接された一対の回転体(加圧ロール及び加熱ロール)からなる定着装置の近傍において、搬送されるシートの種類やシートの長さ等を検出するものがある。しかしながら、設定より幅の狭いシートが搬送された(ミスマッチ)場合、定着装置における設定されたシートと通過しているシートとのサイズ差部分(圧接部の非通紙領域)では、熱がシートに消費されずに過熱状態となり、定着装置を損傷させることがあった。そこで、シートの幅方向に複数の温度センサやフォトセンサ等を配置して、シートの幅を検出するものが知られている。また、非通紙部の温度をサブサーミスタ(第二の温度検出手段)で監視させるものが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−282039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の発明においては、センサ等の部品点数が増えることでコストが上昇する傾向があった。
【0005】
本発明の目的とするところは、上記従来の問題を解消し、簡易な機構によりコストの低減を実現することができるシート検出装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の特徴とすることろは、通過するシートに当接して移動する少なくとも二つのアクチュエータと、該少なくとも二つのアクチュエータの変位を検出する一つの検出部とを有し、前記少なくとも二つのアクチュエータはシートの幅方向の位置が異なるように配置されているシート検出装置にある。
【0007】
好適には、前記少なくとも二つのアクチュエータは、それぞれ前記検出部で検出される被検出部を有し、該少なくとも二つの被検出部は、通過する一つのシートに対して異なる時に前記検出部で検出される。
【0008】
好適には、前記検出部はフォトセンサから構成されている。
【0009】
本発明の第2の特徴とするところは、複数のシート幅を有するシートを供給するシート供給手段と、このシート供給手段から供給され、トナー像が形成されたシートに加熱してトナー像をシートに定着させる定着装置と、この定着装置の下流側近傍にあってシートの通過を検出するシート検出装置とを有し、このシート検出装置は、通過するシートに当接して移動する少なくとも二つのアクチュエータと、該少なくとも二つのアクチュエータの変位を検出する一つの検出部とを有し、前記少なくとも二つのアクチュエータはシートの幅方向の位置が異なるように配置されており、さらにこのシート検出装置の検出結果に応じて前記定着装置の加熱を制御する制御手段を有する画像形成装置にある。
【0010】
好適には、前記制御手段は、前記シート検出手段の検出結果からシート供給手段から供給されたシートのシート幅が予定していたものか否かを判定する判定手段を有する。
【0011】
本発明の第3の特徴とするところは、通過するシートに少なくとも二つのアクチュエータが当接して移動し、この少なくとも二つのアクチュエータの変位を一つの検出部で検出し、前記少なくとも二つのアクチュエータはシートの幅方向の位置が異なるように配置されていて、シートの通過とシートの幅とを検出するようにしたシート検出方法にある。
【0012】
本発明の第4の特徴とするところは、シート供給手段により、複数のシート幅を有するシートを供給し、定着装置により、トナー像が形成されたシートに加熱してトナー像をシートに定着させるものであって、通過するシートに少なくとも二つのアクチュエータが当接して移動し、この少なくとも二つのアクチュエータの変位を一つの検出部で検出し、前記少なくとも二つのアクチュエータが異なるシートの幅方向の位置に配置されているシート検出装置により、シートの通過とシートの幅とを検出し、判定手段により、前記シート検出装置の検出結果から前記シート供給手段から供給されたシートのシート幅が予定していたものか否かを判定し、制御手段により、前記判定手段の判定結果に応じて前記定着装置の加熱を制御するようにした定着装置の制御方法にある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通過するシートに当接して移動する少なくとも二つのアクチュエータの変位を検出する一つの検出部を有する構成とし、この少なくとも二つのアクチュエータをシートの幅方向の位置が異なるように配置したので、簡易な機構によりコストの低減を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る定着装置が用いられる画像形成装置10の概要を示している。図1において、画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12内に像形成手段14と、この画像形成装置本体12の上部に排出部16が設けられていると共に、この画像形成装置本体12の下部に例えば2段のシートを供給するシート供給手段としてのシート供給装置18、18が配置されている。
【0015】
シート供給装置18、18は、シート供給装置本体20と、シート(用紙)21が収容されるシートカセット22、22とを有する。このシートカセット22、22はシート供給装置本体20、20に引き出し自在に設けられており、それぞれのシートカセット22には複数のサイズ(シート幅)のシート21が収容されるようになっている。したがって、シート供給装置18、18は、複数のサイズ(シート幅)を有するシートを供給するようになっている。また、シート供給装置本体20には、フィードロール24と該フィードロール24に対向するリタードロール26とが設けられている。
【0016】
搬送路28は、フィードロール24から排出口29までのシート搬送通路であり、この搬送路28は、画像形成装置本体12の裏側(図1の左側面)近傍にあって、最下端のシート供給装置18から後述する定着装置38まで略垂直に形成されている部分を有する。この搬送路28の定着装置38の上流側には後述する転写装置36と像担持体34が配置され、さらに転写装置36と像担持体34の上流側にレジストロール30が配置されている。さらに、搬送路28と排出口29の近傍には排出ロール40が配置されている。
【0017】
したがって、シート21は、シート供給装置18のシートカセット22からフィードロール24とリタードロール26との協働により送り出され、レジストロール30に搬送され、このレジストロール30により一次停止され、タイミングをとって後述する像担持体34と転写装置36との間を通って現像剤像が転写され、この転写された現像剤像が定着装置38により定着され、排出ロール40により排出部16へ排出される。
【0018】
像形成手段14は電子写真方式のもので、感光体からなる像担持体34と、この像担持体34を一様帯電する例えば帯電ロールからなる帯電装置42と、この帯電装置42により帯電された像担持体34に、光により潜像を書き込む光書き込み装置44と、この光書き込み装置44により形成された像担持体34の潜像を現像剤(トナー)により可視化する現像装置46と、この現像装置46によるトナー像をシートに転写する例えば転写ロールからなる転写装置36と、像担持体34に残存する現像剤をクリーニングするクリーニング装置48と、転写装置36によりトナー像が形成されたシートに加熱してトナーをシートに定着させる定着装置38とから構成されている。光書き込み装置44は、例えば走査型のレーザ露光装置からなり、後述するプロセスカートリッジ32を横切り、像担持体34に潜像を形成する。クリーニング装置48は、像担持体34に接触するクリーニングブレード50と、このクリーニングブレード50で掻き落とされた現像剤を収納する現像剤回収部52とを有する。なお、光書き込み装置44は、他の実施形態としてLEDや面発光レーザ等を用いることができる。
【0019】
プロセスカートリッジ32は、像担持体34、帯電装置42、現像装置46及びクリーニング装置48を一体化したものであり、これらを一体として交換できるようになっている。
また、画像形成装置本体12内には制御手段としての制御装置54が配設されており、この制御装置54は、画像形成装置本体12に設けられた各部位を制御するようになっている。
【0020】
図2において、定着装置38の周辺構成が示されている。定着装置38は、画像形成装置本体12に着脱自在に固定された筐体58を有し、この筐体58に回転体としての加熱ロール60と加圧ロール62とが回転自在に支持されている。この加圧ロール62は、コイルバネ等からなる加圧用弾性体(図示せず)によって加熱ロール60に圧接されることにより、ニップ部64が形成されている。
【0021】
ニップ部64を挟んで上下方向には、前述した搬送路28が構成され、シート21(図1に示す)が下から上へ搬送される。ニップ部64の下流側には例えば板状の金属からなるインレットシュート(搬送ガイド66)が配置されている。
また、定着装置38の下流側近傍にはシート検出装置80が配設されている。
【0022】
加圧ロール62は、例えばステンレス又は鉄などからなる回転軸68と、この回転軸68を軸として回転し、例えばシリコンスポンジなどからなる耐熱弾性体層70と、この耐熱弾性体層70を覆う被覆層72とを有する。加熱ロール60は、円筒状のコア74と、このコア74の表面側を被覆する離型層76とを有する。加熱ロール60内には例えばランプからなるヒータ78が配置され、加熱ロール60を加熱する。このヒータ78は、加熱ロール60の軸方向に複数配置され、それぞれのヒータ78をONもしくはOFFすることにより加熱ロール60の軸方向の配熱分布を変更できるようなっている。この加熱ロール60の配熱分布は、上述した制御装置54により制御されるようになっている。
【0023】
図3及び図4において、シート検出装置80の詳細が示されている。
図3(b)に示すように、シート検出装置80は、第1のアクチュエータ82とこの第1のアクチュエータ82の上部近傍に配置された第2のアクチュエータ84と検出部86とを有している。
【0024】
第1のアクチュエータ82は、画像形成装置本体12(図1に示す)に回動自在(移動自在)に支持された第1の支軸88、第1の当接部90及び被検出部としての第1の遮光部92を有する。
第1の当接部90は、第1の支軸88と一体に形成され、搬送路28を通過するシートに当接するように配置されている。また、第1の遮光部92は、第1の支軸88と一体に形成され、第1のアクチュエータ82が静止しているときには、後述する検出部86の光信号を遮断(遮光)するようになっている。
【0025】
第2のアクチュエータ84は、画像形成装置本体12(図1に示す)に回動自在(移動自在)に支持された第2の支軸94と、2つの第2の当接部96、96及び被検出部としての第2の遮光部98を有する。
第2の当接部96、96は、第2の支軸94の両端部に該第2の支軸94と一体に形成され、搬送路28を通過するシートに当接するように配置されている。また、第2の遮光部98は、第2の支軸94と一体に形成され、第2のアクチュエータ84が回動(移動)したときに、後述する検出部86の光信号を遮断(遮光)するようになっている。
【0026】
検出部86は、フォトセンサから構成されており、光信号を出力する発光部100とこの発光部100が出力した光信号を受け入れる受光部102とを有する。この検出部86は、第1のアクチュエータ82の第1の遮光部92及び第2のアクチュエータ84の第2の遮光部98の移動(回動)を検出するようになっている。すなわち、第1の遮光部92及び第2の遮光部98は、この発光部100の発光位置L1から受光部102の受光位置L2に向けて出力される光信号の光路を遮断するようになっており、受光部102は、光路が遮断されると光信号が遮断されたことを示す信号を制御装置54(図1に示す)に対して出力するようになっている。このように1つの検出部86で2つのアクチュエータの変位を検出するようになっている。
【0027】
図4において、シート検出装置80の第1の当接部90及び第2の当接部96、96が配置される位置と、幅方向のサイズが異なるシートと、定着装置38のニップ部64の配熱分布(軸方向の位置に対する温度)との関係が示されている。
【0028】
図4(a)に示すように、第1のアクチュエータ82の第1の当接部90は、例えば搬送路28を通過するシートの略中央部に位置するように配置されている。すなわち、第1の当接部90は、幅方向のサイズが異なるシート(例えば幅狭サイズのシートおよび幅広サイズのシート)のそれぞれの幅方向の略中心に位置している。したがって、第1の当接部90は、搬送路28を通過するすべてのシートに当接する位置に配置されている。
【0029】
また、図4(a)に示すように、第2のアクチュエータ84の2つの第2の当接部96、96は、例えば搬送路28を通過する幅広サイズのシート側端部と幅狭サイズのシート側端部との間に位置するように配置されている。したがって、第2の当接部96、96は、搬送路28を通過する幅広サイズのシートに当接し、搬送路28を通過する幅狭サイズのシートに当接しない位置に配設されている。このように二つのアクチュエータ(第1のアクチュエータ82、第2のアクチュエータ84)は、シートの幅方向の位置が異なるように配置されている。
【0030】
図4(c)に、上述した定着装置38のニップ部64の配熱分布(軸方向の位置に対する温度)が示されている。加熱ロール60は、ユーザに設定されたシートのサイズに対応して最適な温度(定着温度)となるようになっている。しかし、例えば設定より幅の狭いシートが搬送された(ミスマッチ)場合、設定されたシート(例えば幅広サイズのシート)と通過しているシート(例えば幅狭サイズのシート)とのサイズ差部分の非通紙領域(図4のA1及びA2)では、図4(c)に示すように、熱がシートに消費されず過熱状態となる。したがって、上述した第2のアクチュエータ94の第2の当接部96、96は、ミスマッチを検出するために、加熱ロール60が過熱状態となり得る部分、すなわち非通紙領(図4のA1及びA2)に対応する位置に配置されるようになっている。
【0031】
図5及び図6において、シート検出装置80の一連の動作が示されている。
図5においては、幅広サイズのシート通過時におけるシート検出装置80の一連動作が示され、図6においては、幅狭サイズのシート通過時におけるシート検出装置80の一連動作が示されている。
【0032】
[幅広サイズのシート通過時]
まず、幅広サイズのシート通過時におけるシート検出装置80の動作を説明する。
シート21が搬送路28に搬送されていない(通過していない)ときは、図5(a)に示すように、第1のアクチュエータ82及び第2のアクチュエータ84は初期位置(ホームポジション)で静止している。このとき第1のアクチュエータ82の第1の遮光部92は検出部86の発光部100から受光部102に向けて出力される光信号の光路を遮断(遮光)している。また、このとき、第2のアクチュエータ84の第2の遮光部98は、検出部86の発光部100及び受光部102の発光位置L1及び受光位置L2から外れた位置(受光部外)にある。
したがって、検出部86の受光部102は、制御装置54(図1に示す)に対して光信号が遮断されたことを示す信号(OFF)を出力する。
【0033】
シート21(幅広サイズのシート)が搬送路28を通過し、シート21先端部と第1のアクチュエータ82の第1の当接部90とが当接すると、図5(b)に示すように、第1のアクチュエータ82は第1の支軸88を中心に移動(図5の矢印A方向に回動)し、該第1のアクチュエータ82の第1の遮光部92は受光部外に移動する。このとき、第2のアクチュエータ84の第2の当接部96、96とシート21先端部とは当接していないので、第2のアクチュエータ84は初期位置(図5(a)に示す位置)で静止している。
したがって、検出部86の受光部102は、制御装置54(図1に示す)に対して光信号が受光されたことを示す信号(ON)を出力する。
【0034】
シート21(幅広サイズのシート)先端部が第1のアクチュエータ82の第1の当接部90を通過すると、図5(c)に示すように、シート21先端部と第2のアクチュエータ84の第2の当接部96とが当接する。シート21先端部と第2の当接部96とが当接すると、第2のアクチュエータ84は第2の支軸94を中心に移動(図5の矢印B方向に回動)し、該第2のアクチュエータ84の第2の遮光部96は受光部102の受光位置を通過(遮光)し、さらに受光部外に移動する。このとき第1のアクチュエータ82の第1の当接部90とシート21とは当接したままとなっているので、該第1のアクチュエータ82の第1の遮光部92は受光部外に移動している。
したがって、検出部86の受光部102は、制御装置54(図1に示す)に対して光信号が受光されてことを示す信号(ON)から光信号が遮断されたことを示す信号(OFF)、さらに光信号が受光されてことを示す信号(ON)を出力する。すなわち、受光部102は、制御装置54に対してON→OFF→ONと出力する。
【0035】
シート21(幅広サイズのシート)後端部と第1のアクチュエータ82の第1の当接部90との当接が解除されると、図5(d)に示すように、第1のアクチュエータ82は第1の支軸88を中心に移動(図5の矢印C方向に回動)し、第1のアクチュエータ82の第1の遮光部92は検出部86の発光部100から受光部102に向けて出力される光信号の光路を遮断(遮光)する。すなわち、第1のアクチュエータ82は図5(a)に示す初期位置(ホームポジション)に戻る。続いて、シート21(幅広サイズのシート)後端部と第2のアクチュエータ84の第2の当接部96との当接が解除されると、第2のアクチュエータ84は図5(a)に示す初期位置(ホームポジション)に戻る。
したがって、検出部86の受光部102は、制御装置54(図1に示す)に対して光信号が受光されてことを示す信号(ON)から光信号が遮断されたことを示す信号(OFF)を出力する。
【0036】
[幅狭サイズのシート通過時]
次に、幅狭サイズのシート通過時におけるシート検出装置80の一連の動作を説明する。
ここでは、上述した幅広サイズのシート通過時におけるシート検出装置80の動作と異なる部分のみを説明し、重複する説明は省略する。
【0037】
シート21(幅狭サイズのシート)先端部が第1のアクチュエータ82の第1の当接部90を通過しても、図6(c)に示すように、シート21(幅狭サイズのシート)と第2のアクチュエータ84の第2の当接部96とは当接せず、第2のアクチュエータ84は初期位置(ホームポジション)で静止している。このとき第1のアクチュエータ82の第1の当接部90とシート21とは当接したままとなっているので、該第1のアクチュエータ82の第1の遮光部92は受光部外に移動している。このように、幅狭サイズのシートが通過したときは、該シートと第2のアクチュエータ84とは当接しない。
したがって、検出部86の受光部102は、制御装置54(図1に示す)に対して光信号が受光されてことを示す信号(ON)を出力する。
【0038】
このように、第1のアクチュエータ82の第1の遮光部92と第2のアクチュエータ84の第2の遮光部98は、通過する1つのシートに対して異なる時に検出部86で検出されるようにしており、これにより、シートの通過とシートの幅とを検出するようになっている。
【0039】
図7において、幅広サイズのシート通過時の出力信号および幅狭サイズのシート通過時の出力信号が示されている。
図7に示すように、上述した第1のアクチュエータ82と第2のアクチュエータ84との動作の違いにより、検出部86の受光部102による幅広サイズのシート通過時の出力信号と幅狭サイズのシート通過時の出力信号とに差異が生ずる。すなわち、具体的には幅広サイズのシート通過時の出力信号と幅狭サイズのシート通過時の出力信号とを比較すると、幅広サイズのシート通過時の出力信号の方がON及びOFFの回数が多くなる。このように出力信号の違いによってシート幅の違いが区別できるようになっている。
【0040】
次に、制御装置54による定着装置38の制御方法について説明する。
【0041】
図8において制御装置54の制御回路の一例が示されている。
制御装置54はCPU55及びメモリ56を含み、この制御装置54には、例えば、定着装置38、シート供給装置18及びシート検出装置80などが接続されている。したがって、制御装置54には、上述したようにシート検出装置80の出力信号が入力される。制御装置54は、このシート検出装置80の出力信号(検出結果)に応じて定着装置38の加熱およびシート供給装置18のシート供給などを制御するようになっている。
【0042】
次に、制御装置54の制御方法について説明する。
【0043】
図9において制御装置54の制御方法の一例が示されている。
図9に示すように、ステップ10(S10)において、ユーザにより印刷するシートサイズ(シート幅)が設定される。具体的には、ユーザは、ユーザインタフェイス装置(図示せず)などからシートサイズを入力する。設定されたシートサイズ(シート幅)は、メモリ56に格納される。
【0044】
ステップ12(S12)において、制御装置54は、設定されたシートサイズ(シート幅)に最適な配熱分布を決定する。また、制御装置54は、決定した配熱分布に応じて定着装置38の加熱ロール60内に複数配置されたそれぞれのヒータ78を制御する。
【0045】
ステップ14(S14)において、制御装置54は、シート供給装置18を駆動させ、シート供給を開始する。
【0046】
ステップ16(S16)において、シート検出装置80は、シート供給装置18から供給されたシートの通過と該シートの幅とを検出する。制御装置54は、シート検出装置80の検出結果からシートが通過したか否かを判定する。所定時間以内にシートが通過したと判定された場合は、S18の処理に移行し、所定時間以内にシートが通過していないと判定された場合は、S26の処理に移行する。
【0047】
ステップ18(S18)において、制御装置54は、シート検出装置80の検出結果からシート供給装置18から供給されたシートの幅が予定していたものか否かを判定する。すなわち、制御装置54は、ユーザに設定されたシートサイズ(シート幅)とシート検出装置80の検出結果(通過したシートの幅)とが一致するか否かを判定する。具体的には、メモリ56に格納されたユーザのシートサイズ設定と、シート検出装置80の検出部86の出力信号とを比較する。例えば、制御装置54は、シート検出装置80より送信された出力信号の状態(シート幅による出力信号の差異)によって、ユーザの設定より幅の狭いシートが搬送されているか(ミスマッチか)否かを判定する。
シート供給装置18から供給されたシートのシート幅が予定したものであると判定された場合は、S22の処理に移行し、予定したものでないと判定された場合にはS20の処理に移行する。
【0048】
ステップ20(S20)において、制御装置54は、定着装置54の配熱分布を修正する。すなわち、シート検出装置80の検出結果(通過したシートの幅)に応じて定着装置38の加熱ロール60内に複数配置されたそれぞれのヒータ78を制御する。例えば設定より幅の狭いシートが通過した場合、制御装置54は、ヒータ78の目標温度を下げる、あるいは非通紙領域に対応するヒータ78をOFFにする等の制御をおこなう。
【0049】
ステップ22(S22)において、制御装置54は、トナー像が形成されたシートに対し、定着装置54を決定した配熱分布で加熱してトナー像をシートに定着させる。
【0050】
ステップ24(S24)において、制御装置54は、トナー像が定着されたシートを排出ロール40により排出部16へ排出させる。
【0051】
ステップ26(S26)において、制御装置54は、シート供給装置18及び定着装置38を停止させる。
【0052】
このように、上述したシート検出装置80により、シートの通過とシートの幅とを検出することが可能となり、このシート検出装置80の検出結果に応じて定着装置38の加熱を制御することにより、過熱状態による定着装置の損傷を防止することができる。
また、上述したようにシート検出装置80は、2つのアクチュエータを1つの検出部で検出する簡易な構造としたので、センサ等の部品数が減少されてコストの低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の定着装置周辺を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るシート検出装置を示し、(a)はシート検出装置の上面図、(b)はシート検出装置の正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るシート検出装置の第1の当接部および第2の当接部が配置される位置と、幅方向のサイズが異なるシートと、ニップ部の配熱分布(軸方向の位置に対する温度)との関係を表し、(a)はシート検出装置の上面図、(b)は幅方向のサイズが異なるシートを示した模式図、(c)は配熱分布を示したグラフである。
【図5】本発明の実施形態に係るシート検出装置における幅広サイズのシートが通過したときの一連の動作を示し、(a)はシートが通過していない状態、(b)は第1の当接部とシート先端が当接した状態、(c)は第2の当接部とシート先端が当接した状態、(d)は第1の当接部をシート後端が通過した状態を表す模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係るシート検出装置における幅狭サイズのシートが通過したときの一連の動作を示し、(a)はシートが通過していない状態、(b)は第1の当接部とシート先端が当接した状態、(c)は第1の当接部とシート先端が当接している状態、(d)は第1の当接部をシート後端が通過した状態を表す模式図である。
【図7】本発明の実施形態に係るシート検出装置における幅広サイズのシート通過時および幅狭サイズのシート通過時の出力信号を示すタイムチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いた制御回路を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いた制御装置における制御方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
18 シート供給装置
38 定着装置
55 CPU
56 メモリ
58 制御装置
80 シート検出装置
82 第1のアクチュエータ
84 第2のアクチュエータ
86 検出部
92 第1の遮光部
98 第2の遮光部
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート検出装置、及びこのシート検出装置を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては、搬送路に搬送されるシート(用紙)を検出するシート検出装置が備えられている。この種のシート検出装置として、例えば互いに圧接された一対の回転体(加圧ロール及び加熱ロール)からなる定着装置の近傍において、搬送されるシートの種類やシートの長さ等を検出するものがある。しかしながら、設定より幅の狭いシートが搬送された(ミスマッチ)場合、定着装置における設定されたシートと通過しているシートとのサイズ差部分(圧接部の非通紙領域)では、熱がシートに消費されずに過熱状態となり、定着装置を損傷させることがあった。そこで、シートの幅方向に複数の温度センサやフォトセンサ等を配置して、シートの幅を検出するものが知られている。また、非通紙部の温度をサブサーミスタ(第二の温度検出手段)で監視させるものが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−282039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の発明においては、センサ等の部品点数が増えることでコストが上昇する傾向があった。
【0005】
本発明の目的とするところは、上記従来の問題を解消し、簡易な機構によりコストの低減を実現することができるシート検出装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の特徴とすることろは、通過するシートに当接して移動する少なくとも二つのアクチュエータと、該少なくとも二つのアクチュエータの変位を検出する一つの検出部とを有し、前記少なくとも二つのアクチュエータはシートの幅方向の位置が異なるように配置されているシート検出装置にある。
【0007】
好適には、前記少なくとも二つのアクチュエータは、それぞれ前記検出部で検出される被検出部を有し、該少なくとも二つの被検出部は、通過する一つのシートに対して異なる時に前記検出部で検出される。
【0008】
好適には、前記検出部はフォトセンサから構成されている。
【0009】
本発明の第2の特徴とするところは、複数のシート幅を有するシートを供給するシート供給手段と、このシート供給手段から供給され、トナー像が形成されたシートに加熱してトナー像をシートに定着させる定着装置と、この定着装置の下流側近傍にあってシートの通過を検出するシート検出装置とを有し、このシート検出装置は、通過するシートに当接して移動する少なくとも二つのアクチュエータと、該少なくとも二つのアクチュエータの変位を検出する一つの検出部とを有し、前記少なくとも二つのアクチュエータはシートの幅方向の位置が異なるように配置されており、さらにこのシート検出装置の検出結果に応じて前記定着装置の加熱を制御する制御手段を有する画像形成装置にある。
【0010】
好適には、前記制御手段は、前記シート検出手段の検出結果からシート供給手段から供給されたシートのシート幅が予定していたものか否かを判定する判定手段を有する。
【0011】
本発明の第3の特徴とするところは、通過するシートに少なくとも二つのアクチュエータが当接して移動し、この少なくとも二つのアクチュエータの変位を一つの検出部で検出し、前記少なくとも二つのアクチュエータはシートの幅方向の位置が異なるように配置されていて、シートの通過とシートの幅とを検出するようにしたシート検出方法にある。
【0012】
本発明の第4の特徴とするところは、シート供給手段により、複数のシート幅を有するシートを供給し、定着装置により、トナー像が形成されたシートに加熱してトナー像をシートに定着させるものであって、通過するシートに少なくとも二つのアクチュエータが当接して移動し、この少なくとも二つのアクチュエータの変位を一つの検出部で検出し、前記少なくとも二つのアクチュエータが異なるシートの幅方向の位置に配置されているシート検出装置により、シートの通過とシートの幅とを検出し、判定手段により、前記シート検出装置の検出結果から前記シート供給手段から供給されたシートのシート幅が予定していたものか否かを判定し、制御手段により、前記判定手段の判定結果に応じて前記定着装置の加熱を制御するようにした定着装置の制御方法にある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通過するシートに当接して移動する少なくとも二つのアクチュエータの変位を検出する一つの検出部を有する構成とし、この少なくとも二つのアクチュエータをシートの幅方向の位置が異なるように配置したので、簡易な機構によりコストの低減を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る定着装置が用いられる画像形成装置10の概要を示している。図1において、画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12内に像形成手段14と、この画像形成装置本体12の上部に排出部16が設けられていると共に、この画像形成装置本体12の下部に例えば2段のシートを供給するシート供給手段としてのシート供給装置18、18が配置されている。
【0015】
シート供給装置18、18は、シート供給装置本体20と、シート(用紙)21が収容されるシートカセット22、22とを有する。このシートカセット22、22はシート供給装置本体20、20に引き出し自在に設けられており、それぞれのシートカセット22には複数のサイズ(シート幅)のシート21が収容されるようになっている。したがって、シート供給装置18、18は、複数のサイズ(シート幅)を有するシートを供給するようになっている。また、シート供給装置本体20には、フィードロール24と該フィードロール24に対向するリタードロール26とが設けられている。
【0016】
搬送路28は、フィードロール24から排出口29までのシート搬送通路であり、この搬送路28は、画像形成装置本体12の裏側(図1の左側面)近傍にあって、最下端のシート供給装置18から後述する定着装置38まで略垂直に形成されている部分を有する。この搬送路28の定着装置38の上流側には後述する転写装置36と像担持体34が配置され、さらに転写装置36と像担持体34の上流側にレジストロール30が配置されている。さらに、搬送路28と排出口29の近傍には排出ロール40が配置されている。
【0017】
したがって、シート21は、シート供給装置18のシートカセット22からフィードロール24とリタードロール26との協働により送り出され、レジストロール30に搬送され、このレジストロール30により一次停止され、タイミングをとって後述する像担持体34と転写装置36との間を通って現像剤像が転写され、この転写された現像剤像が定着装置38により定着され、排出ロール40により排出部16へ排出される。
【0018】
像形成手段14は電子写真方式のもので、感光体からなる像担持体34と、この像担持体34を一様帯電する例えば帯電ロールからなる帯電装置42と、この帯電装置42により帯電された像担持体34に、光により潜像を書き込む光書き込み装置44と、この光書き込み装置44により形成された像担持体34の潜像を現像剤(トナー)により可視化する現像装置46と、この現像装置46によるトナー像をシートに転写する例えば転写ロールからなる転写装置36と、像担持体34に残存する現像剤をクリーニングするクリーニング装置48と、転写装置36によりトナー像が形成されたシートに加熱してトナーをシートに定着させる定着装置38とから構成されている。光書き込み装置44は、例えば走査型のレーザ露光装置からなり、後述するプロセスカートリッジ32を横切り、像担持体34に潜像を形成する。クリーニング装置48は、像担持体34に接触するクリーニングブレード50と、このクリーニングブレード50で掻き落とされた現像剤を収納する現像剤回収部52とを有する。なお、光書き込み装置44は、他の実施形態としてLEDや面発光レーザ等を用いることができる。
【0019】
プロセスカートリッジ32は、像担持体34、帯電装置42、現像装置46及びクリーニング装置48を一体化したものであり、これらを一体として交換できるようになっている。
また、画像形成装置本体12内には制御手段としての制御装置54が配設されており、この制御装置54は、画像形成装置本体12に設けられた各部位を制御するようになっている。
【0020】
図2において、定着装置38の周辺構成が示されている。定着装置38は、画像形成装置本体12に着脱自在に固定された筐体58を有し、この筐体58に回転体としての加熱ロール60と加圧ロール62とが回転自在に支持されている。この加圧ロール62は、コイルバネ等からなる加圧用弾性体(図示せず)によって加熱ロール60に圧接されることにより、ニップ部64が形成されている。
【0021】
ニップ部64を挟んで上下方向には、前述した搬送路28が構成され、シート21(図1に示す)が下から上へ搬送される。ニップ部64の下流側には例えば板状の金属からなるインレットシュート(搬送ガイド66)が配置されている。
また、定着装置38の下流側近傍にはシート検出装置80が配設されている。
【0022】
加圧ロール62は、例えばステンレス又は鉄などからなる回転軸68と、この回転軸68を軸として回転し、例えばシリコンスポンジなどからなる耐熱弾性体層70と、この耐熱弾性体層70を覆う被覆層72とを有する。加熱ロール60は、円筒状のコア74と、このコア74の表面側を被覆する離型層76とを有する。加熱ロール60内には例えばランプからなるヒータ78が配置され、加熱ロール60を加熱する。このヒータ78は、加熱ロール60の軸方向に複数配置され、それぞれのヒータ78をONもしくはOFFすることにより加熱ロール60の軸方向の配熱分布を変更できるようなっている。この加熱ロール60の配熱分布は、上述した制御装置54により制御されるようになっている。
【0023】
図3及び図4において、シート検出装置80の詳細が示されている。
図3(b)に示すように、シート検出装置80は、第1のアクチュエータ82とこの第1のアクチュエータ82の上部近傍に配置された第2のアクチュエータ84と検出部86とを有している。
【0024】
第1のアクチュエータ82は、画像形成装置本体12(図1に示す)に回動自在(移動自在)に支持された第1の支軸88、第1の当接部90及び被検出部としての第1の遮光部92を有する。
第1の当接部90は、第1の支軸88と一体に形成され、搬送路28を通過するシートに当接するように配置されている。また、第1の遮光部92は、第1の支軸88と一体に形成され、第1のアクチュエータ82が静止しているときには、後述する検出部86の光信号を遮断(遮光)するようになっている。
【0025】
第2のアクチュエータ84は、画像形成装置本体12(図1に示す)に回動自在(移動自在)に支持された第2の支軸94と、2つの第2の当接部96、96及び被検出部としての第2の遮光部98を有する。
第2の当接部96、96は、第2の支軸94の両端部に該第2の支軸94と一体に形成され、搬送路28を通過するシートに当接するように配置されている。また、第2の遮光部98は、第2の支軸94と一体に形成され、第2のアクチュエータ84が回動(移動)したときに、後述する検出部86の光信号を遮断(遮光)するようになっている。
【0026】
検出部86は、フォトセンサから構成されており、光信号を出力する発光部100とこの発光部100が出力した光信号を受け入れる受光部102とを有する。この検出部86は、第1のアクチュエータ82の第1の遮光部92及び第2のアクチュエータ84の第2の遮光部98の移動(回動)を検出するようになっている。すなわち、第1の遮光部92及び第2の遮光部98は、この発光部100の発光位置L1から受光部102の受光位置L2に向けて出力される光信号の光路を遮断するようになっており、受光部102は、光路が遮断されると光信号が遮断されたことを示す信号を制御装置54(図1に示す)に対して出力するようになっている。このように1つの検出部86で2つのアクチュエータの変位を検出するようになっている。
【0027】
図4において、シート検出装置80の第1の当接部90及び第2の当接部96、96が配置される位置と、幅方向のサイズが異なるシートと、定着装置38のニップ部64の配熱分布(軸方向の位置に対する温度)との関係が示されている。
【0028】
図4(a)に示すように、第1のアクチュエータ82の第1の当接部90は、例えば搬送路28を通過するシートの略中央部に位置するように配置されている。すなわち、第1の当接部90は、幅方向のサイズが異なるシート(例えば幅狭サイズのシートおよび幅広サイズのシート)のそれぞれの幅方向の略中心に位置している。したがって、第1の当接部90は、搬送路28を通過するすべてのシートに当接する位置に配置されている。
【0029】
また、図4(a)に示すように、第2のアクチュエータ84の2つの第2の当接部96、96は、例えば搬送路28を通過する幅広サイズのシート側端部と幅狭サイズのシート側端部との間に位置するように配置されている。したがって、第2の当接部96、96は、搬送路28を通過する幅広サイズのシートに当接し、搬送路28を通過する幅狭サイズのシートに当接しない位置に配設されている。このように二つのアクチュエータ(第1のアクチュエータ82、第2のアクチュエータ84)は、シートの幅方向の位置が異なるように配置されている。
【0030】
図4(c)に、上述した定着装置38のニップ部64の配熱分布(軸方向の位置に対する温度)が示されている。加熱ロール60は、ユーザに設定されたシートのサイズに対応して最適な温度(定着温度)となるようになっている。しかし、例えば設定より幅の狭いシートが搬送された(ミスマッチ)場合、設定されたシート(例えば幅広サイズのシート)と通過しているシート(例えば幅狭サイズのシート)とのサイズ差部分の非通紙領域(図4のA1及びA2)では、図4(c)に示すように、熱がシートに消費されず過熱状態となる。したがって、上述した第2のアクチュエータ94の第2の当接部96、96は、ミスマッチを検出するために、加熱ロール60が過熱状態となり得る部分、すなわち非通紙領(図4のA1及びA2)に対応する位置に配置されるようになっている。
【0031】
図5及び図6において、シート検出装置80の一連の動作が示されている。
図5においては、幅広サイズのシート通過時におけるシート検出装置80の一連動作が示され、図6においては、幅狭サイズのシート通過時におけるシート検出装置80の一連動作が示されている。
【0032】
[幅広サイズのシート通過時]
まず、幅広サイズのシート通過時におけるシート検出装置80の動作を説明する。
シート21が搬送路28に搬送されていない(通過していない)ときは、図5(a)に示すように、第1のアクチュエータ82及び第2のアクチュエータ84は初期位置(ホームポジション)で静止している。このとき第1のアクチュエータ82の第1の遮光部92は検出部86の発光部100から受光部102に向けて出力される光信号の光路を遮断(遮光)している。また、このとき、第2のアクチュエータ84の第2の遮光部98は、検出部86の発光部100及び受光部102の発光位置L1及び受光位置L2から外れた位置(受光部外)にある。
したがって、検出部86の受光部102は、制御装置54(図1に示す)に対して光信号が遮断されたことを示す信号(OFF)を出力する。
【0033】
シート21(幅広サイズのシート)が搬送路28を通過し、シート21先端部と第1のアクチュエータ82の第1の当接部90とが当接すると、図5(b)に示すように、第1のアクチュエータ82は第1の支軸88を中心に移動(図5の矢印A方向に回動)し、該第1のアクチュエータ82の第1の遮光部92は受光部外に移動する。このとき、第2のアクチュエータ84の第2の当接部96、96とシート21先端部とは当接していないので、第2のアクチュエータ84は初期位置(図5(a)に示す位置)で静止している。
したがって、検出部86の受光部102は、制御装置54(図1に示す)に対して光信号が受光されたことを示す信号(ON)を出力する。
【0034】
シート21(幅広サイズのシート)先端部が第1のアクチュエータ82の第1の当接部90を通過すると、図5(c)に示すように、シート21先端部と第2のアクチュエータ84の第2の当接部96とが当接する。シート21先端部と第2の当接部96とが当接すると、第2のアクチュエータ84は第2の支軸94を中心に移動(図5の矢印B方向に回動)し、該第2のアクチュエータ84の第2の遮光部96は受光部102の受光位置を通過(遮光)し、さらに受光部外に移動する。このとき第1のアクチュエータ82の第1の当接部90とシート21とは当接したままとなっているので、該第1のアクチュエータ82の第1の遮光部92は受光部外に移動している。
したがって、検出部86の受光部102は、制御装置54(図1に示す)に対して光信号が受光されてことを示す信号(ON)から光信号が遮断されたことを示す信号(OFF)、さらに光信号が受光されてことを示す信号(ON)を出力する。すなわち、受光部102は、制御装置54に対してON→OFF→ONと出力する。
【0035】
シート21(幅広サイズのシート)後端部と第1のアクチュエータ82の第1の当接部90との当接が解除されると、図5(d)に示すように、第1のアクチュエータ82は第1の支軸88を中心に移動(図5の矢印C方向に回動)し、第1のアクチュエータ82の第1の遮光部92は検出部86の発光部100から受光部102に向けて出力される光信号の光路を遮断(遮光)する。すなわち、第1のアクチュエータ82は図5(a)に示す初期位置(ホームポジション)に戻る。続いて、シート21(幅広サイズのシート)後端部と第2のアクチュエータ84の第2の当接部96との当接が解除されると、第2のアクチュエータ84は図5(a)に示す初期位置(ホームポジション)に戻る。
したがって、検出部86の受光部102は、制御装置54(図1に示す)に対して光信号が受光されてことを示す信号(ON)から光信号が遮断されたことを示す信号(OFF)を出力する。
【0036】
[幅狭サイズのシート通過時]
次に、幅狭サイズのシート通過時におけるシート検出装置80の一連の動作を説明する。
ここでは、上述した幅広サイズのシート通過時におけるシート検出装置80の動作と異なる部分のみを説明し、重複する説明は省略する。
【0037】
シート21(幅狭サイズのシート)先端部が第1のアクチュエータ82の第1の当接部90を通過しても、図6(c)に示すように、シート21(幅狭サイズのシート)と第2のアクチュエータ84の第2の当接部96とは当接せず、第2のアクチュエータ84は初期位置(ホームポジション)で静止している。このとき第1のアクチュエータ82の第1の当接部90とシート21とは当接したままとなっているので、該第1のアクチュエータ82の第1の遮光部92は受光部外に移動している。このように、幅狭サイズのシートが通過したときは、該シートと第2のアクチュエータ84とは当接しない。
したがって、検出部86の受光部102は、制御装置54(図1に示す)に対して光信号が受光されてことを示す信号(ON)を出力する。
【0038】
このように、第1のアクチュエータ82の第1の遮光部92と第2のアクチュエータ84の第2の遮光部98は、通過する1つのシートに対して異なる時に検出部86で検出されるようにしており、これにより、シートの通過とシートの幅とを検出するようになっている。
【0039】
図7において、幅広サイズのシート通過時の出力信号および幅狭サイズのシート通過時の出力信号が示されている。
図7に示すように、上述した第1のアクチュエータ82と第2のアクチュエータ84との動作の違いにより、検出部86の受光部102による幅広サイズのシート通過時の出力信号と幅狭サイズのシート通過時の出力信号とに差異が生ずる。すなわち、具体的には幅広サイズのシート通過時の出力信号と幅狭サイズのシート通過時の出力信号とを比較すると、幅広サイズのシート通過時の出力信号の方がON及びOFFの回数が多くなる。このように出力信号の違いによってシート幅の違いが区別できるようになっている。
【0040】
次に、制御装置54による定着装置38の制御方法について説明する。
【0041】
図8において制御装置54の制御回路の一例が示されている。
制御装置54はCPU55及びメモリ56を含み、この制御装置54には、例えば、定着装置38、シート供給装置18及びシート検出装置80などが接続されている。したがって、制御装置54には、上述したようにシート検出装置80の出力信号が入力される。制御装置54は、このシート検出装置80の出力信号(検出結果)に応じて定着装置38の加熱およびシート供給装置18のシート供給などを制御するようになっている。
【0042】
次に、制御装置54の制御方法について説明する。
【0043】
図9において制御装置54の制御方法の一例が示されている。
図9に示すように、ステップ10(S10)において、ユーザにより印刷するシートサイズ(シート幅)が設定される。具体的には、ユーザは、ユーザインタフェイス装置(図示せず)などからシートサイズを入力する。設定されたシートサイズ(シート幅)は、メモリ56に格納される。
【0044】
ステップ12(S12)において、制御装置54は、設定されたシートサイズ(シート幅)に最適な配熱分布を決定する。また、制御装置54は、決定した配熱分布に応じて定着装置38の加熱ロール60内に複数配置されたそれぞれのヒータ78を制御する。
【0045】
ステップ14(S14)において、制御装置54は、シート供給装置18を駆動させ、シート供給を開始する。
【0046】
ステップ16(S16)において、シート検出装置80は、シート供給装置18から供給されたシートの通過と該シートの幅とを検出する。制御装置54は、シート検出装置80の検出結果からシートが通過したか否かを判定する。所定時間以内にシートが通過したと判定された場合は、S18の処理に移行し、所定時間以内にシートが通過していないと判定された場合は、S26の処理に移行する。
【0047】
ステップ18(S18)において、制御装置54は、シート検出装置80の検出結果からシート供給装置18から供給されたシートの幅が予定していたものか否かを判定する。すなわち、制御装置54は、ユーザに設定されたシートサイズ(シート幅)とシート検出装置80の検出結果(通過したシートの幅)とが一致するか否かを判定する。具体的には、メモリ56に格納されたユーザのシートサイズ設定と、シート検出装置80の検出部86の出力信号とを比較する。例えば、制御装置54は、シート検出装置80より送信された出力信号の状態(シート幅による出力信号の差異)によって、ユーザの設定より幅の狭いシートが搬送されているか(ミスマッチか)否かを判定する。
シート供給装置18から供給されたシートのシート幅が予定したものであると判定された場合は、S22の処理に移行し、予定したものでないと判定された場合にはS20の処理に移行する。
【0048】
ステップ20(S20)において、制御装置54は、定着装置54の配熱分布を修正する。すなわち、シート検出装置80の検出結果(通過したシートの幅)に応じて定着装置38の加熱ロール60内に複数配置されたそれぞれのヒータ78を制御する。例えば設定より幅の狭いシートが通過した場合、制御装置54は、ヒータ78の目標温度を下げる、あるいは非通紙領域に対応するヒータ78をOFFにする等の制御をおこなう。
【0049】
ステップ22(S22)において、制御装置54は、トナー像が形成されたシートに対し、定着装置54を決定した配熱分布で加熱してトナー像をシートに定着させる。
【0050】
ステップ24(S24)において、制御装置54は、トナー像が定着されたシートを排出ロール40により排出部16へ排出させる。
【0051】
ステップ26(S26)において、制御装置54は、シート供給装置18及び定着装置38を停止させる。
【0052】
このように、上述したシート検出装置80により、シートの通過とシートの幅とを検出することが可能となり、このシート検出装置80の検出結果に応じて定着装置38の加熱を制御することにより、過熱状態による定着装置の損傷を防止することができる。
また、上述したようにシート検出装置80は、2つのアクチュエータを1つの検出部で検出する簡易な構造としたので、センサ等の部品数が減少されてコストの低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の定着装置周辺を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るシート検出装置を示し、(a)はシート検出装置の上面図、(b)はシート検出装置の正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るシート検出装置の第1の当接部および第2の当接部が配置される位置と、幅方向のサイズが異なるシートと、ニップ部の配熱分布(軸方向の位置に対する温度)との関係を表し、(a)はシート検出装置の上面図、(b)は幅方向のサイズが異なるシートを示した模式図、(c)は配熱分布を示したグラフである。
【図5】本発明の実施形態に係るシート検出装置における幅広サイズのシートが通過したときの一連の動作を示し、(a)はシートが通過していない状態、(b)は第1の当接部とシート先端が当接した状態、(c)は第2の当接部とシート先端が当接した状態、(d)は第1の当接部をシート後端が通過した状態を表す模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係るシート検出装置における幅狭サイズのシートが通過したときの一連の動作を示し、(a)はシートが通過していない状態、(b)は第1の当接部とシート先端が当接した状態、(c)は第1の当接部とシート先端が当接している状態、(d)は第1の当接部をシート後端が通過した状態を表す模式図である。
【図7】本発明の実施形態に係るシート検出装置における幅広サイズのシート通過時および幅狭サイズのシート通過時の出力信号を示すタイムチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いた制御回路を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いた制御装置における制御方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
18 シート供給装置
38 定着装置
55 CPU
56 メモリ
58 制御装置
80 シート検出装置
82 第1のアクチュエータ
84 第2のアクチュエータ
86 検出部
92 第1の遮光部
98 第2の遮光部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過するシートに当接して移動する少なくとも二つのアクチュエータと、該少なくとも二つのアクチュエータの変位を検出する一つの検出部とを有し、前記少なくとも二つのアクチュエータはシートの幅方向の位置が異なるように配置されていることを特徴とするシート検出装置。
【請求項2】
前記少なくとも二つのアクチュエータは、それぞれ前記検出部で検出される被検出部を有し、該少なくとも二つの被検出部は、通過する一つのシートに対して異なる時に前記検出部で検出されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のシート検出装置。
【請求項3】
前記検出部はフォトセンサから構成されている請求項1または請求項2に記載のシート検出装置。
【請求項4】
複数のシート幅を有するシートを供給するシート供給手段と、このシート供給手段から供給され、トナー像が形成されたシートに加熱してトナー像をシートに定着させる定着装置と、この定着装置の下流側近傍にあってシートの通過を検出するシート検出装置とを有し、このシート検出装置は、通過するシートに当接して移動する少なくとも二つのアクチュエータと、該少なくとも二つのアクチュエータの変位を検出する一つの検出部とを有し、前記少なくとも二つのアクチュエータはシートの幅方向の位置が異なるように配置されており、さらにこのシート検出装置の検出結果に応じて前記定着装置の加熱を制御する制御手段を有する画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記シート検出手段の検出結果からシート供給手段から供給されたシートのシート幅が予定していたものか否かを判定する判定手段を有する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
通過するシートに少なくとも二つのアクチュエータが当接して移動し、この少なくとも二つのアクチュエータの変位を一つの検出部で検出し、前記少なくとも二つのアクチュエータはシートの幅方向の位置が異なるように配置されていて、シートの通過とシートの幅とを検出するようにしたシート検出方法。
【請求項7】
シート供給手段により、複数のシート幅を有するシートを供給し、
定着装置により、トナー像が形成されたシートに加熱してトナー像をシートに定着させるものであって、
通過するシートに少なくとも二つのアクチュエータが当接して移動し、この少なくとも二つのアクチュエータの変位を一つの検出部で検出し、前記少なくとも二つのアクチュエータが異なるシートの幅方向の位置に配置されているシート検出装置により、シートの通過とシートの幅とを検出し、
判定手段により、前記シート検出装置の検出結果から前記シート供給手段から供給されたシートのシート幅が予定していたものか否かを判定し、
制御手段により、前記判定手段の判定結果に応じて前記定着装置の加熱を制御するようにした定着装置の制御方法。
【請求項1】
通過するシートに当接して移動する少なくとも二つのアクチュエータと、該少なくとも二つのアクチュエータの変位を検出する一つの検出部とを有し、前記少なくとも二つのアクチュエータはシートの幅方向の位置が異なるように配置されていることを特徴とするシート検出装置。
【請求項2】
前記少なくとも二つのアクチュエータは、それぞれ前記検出部で検出される被検出部を有し、該少なくとも二つの被検出部は、通過する一つのシートに対して異なる時に前記検出部で検出されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のシート検出装置。
【請求項3】
前記検出部はフォトセンサから構成されている請求項1または請求項2に記載のシート検出装置。
【請求項4】
複数のシート幅を有するシートを供給するシート供給手段と、このシート供給手段から供給され、トナー像が形成されたシートに加熱してトナー像をシートに定着させる定着装置と、この定着装置の下流側近傍にあってシートの通過を検出するシート検出装置とを有し、このシート検出装置は、通過するシートに当接して移動する少なくとも二つのアクチュエータと、該少なくとも二つのアクチュエータの変位を検出する一つの検出部とを有し、前記少なくとも二つのアクチュエータはシートの幅方向の位置が異なるように配置されており、さらにこのシート検出装置の検出結果に応じて前記定着装置の加熱を制御する制御手段を有する画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記シート検出手段の検出結果からシート供給手段から供給されたシートのシート幅が予定していたものか否かを判定する判定手段を有する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
通過するシートに少なくとも二つのアクチュエータが当接して移動し、この少なくとも二つのアクチュエータの変位を一つの検出部で検出し、前記少なくとも二つのアクチュエータはシートの幅方向の位置が異なるように配置されていて、シートの通過とシートの幅とを検出するようにしたシート検出方法。
【請求項7】
シート供給手段により、複数のシート幅を有するシートを供給し、
定着装置により、トナー像が形成されたシートに加熱してトナー像をシートに定着させるものであって、
通過するシートに少なくとも二つのアクチュエータが当接して移動し、この少なくとも二つのアクチュエータの変位を一つの検出部で検出し、前記少なくとも二つのアクチュエータが異なるシートの幅方向の位置に配置されているシート検出装置により、シートの通過とシートの幅とを検出し、
判定手段により、前記シート検出装置の検出結果から前記シート供給手段から供給されたシートのシート幅が予定していたものか否かを判定し、
制御手段により、前記判定手段の判定結果に応じて前記定着装置の加熱を制御するようにした定着装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−55699(P2007−55699A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239911(P2005−239911)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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