説明

シーラガン

【課題】液だれ防止装置付きのシーラガンAにおいて、シーラを吐出筒2先端の吐出口20aから吐出させて塗布作業、充填作業を行うときに、吐出口20aからの吐出に直進性がなく、作業性を悪くしている問題を解決するため、吐出するシーラが、吐出口20aから、前方に向け直進して吐出されるようにする手段を創出する。
【解決手段】液だれ防止装置Bが装備せしめてあるシーラガンAにおいて、吐出筒2の先端の吐出口20aの前面に、内腔を吐出口20aの口径に揃えた誘導パイプCを、突出長さが10mm程度となる長さに設定して吐出口20aを延出するように装設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布剤または充填剤等のシーラを吐出筒の先端の吐出口から吐出させるシーラガンであって、シーラの吐出を停止させたときに吐出筒の先端の吐出口部に生じてくるシーラの液だれを除去・消失せしめる液だれ防止装置を装備せしめてあるシーラガンについての改良に関する。
【0002】
さらに具体的にいえば、筒状に形成して基端側に把持グリップを具備せしめたボディの先端部に、先端側を小径のノズルに形成した吐出筒を接続し、ボディの内部には、シーラを吐出筒に導く導入管と、その導入管と吐出筒との連通を断・接する弁機構とを設け、その弁機構を、把持グリップに並列させてボディに軸支した握りレバーに対し、該レバーの握り込みで開弁し、握り込みの解放による復元回動で閉弁するよう連繋したシーラガンにおいて、ボディには、握りレバーの回動動作によりピストンがケーシングに対し出入作動して吸引・吐出のポンプ作動を行うポンプ装置を付設し、そのポンプ装置の吸引・吐出口を、シーラガンの吐出筒の内腔で、吐出口の近傍に配位して、握りレバーを放してシーラの吐出を停止したときに、吐出筒の吐出口付近のシーラをポンプ装置の拡縮室内に吸引して消失せしめるようにした液だれ防止装置を装備せしめているシーラガンについての改良に関するものである。
【背景技術】
【0003】
塗布剤・充填剤などを液材料としたシーラを、構造体の隙間・間隙に、塗布・充填する作業に用いられるシーラガンは、通常、図1に示しているように、基端側に把持グリップ1を有する中空筒体の銃身状に形成したボディaの先端部に、先端側を小径のノズル部20に形成した吐出筒2の基端側を接続し、ボディaの内部には、導入管3から供給されてくるシーラを先端部の吐出筒2に導く管路30と、その管路30と吐出筒2との連通を断・接する弁口40と弁座口41とからなる弁機構4とを設け、その弁機構4と、ボディaの把持グリップ1に並列させてボディaに軸支した握りレバー5とを、その握りレバー5を把持グリップ1と共に握り込む作動で弁機構4が開弁し、その握りレバー5の握り込みの解放作動でその握りレバー5が復元バネ50により復元回動する作動で弁機構4の閉弁が行われるよう連繋機構51を介し連繋し、握りレバー5を把持グリップ1とともに握り込むと、弁機構4が開弁して導入管3から供給されてくるシーラが、管路30を経て吐出筒2に導かれて、それのノズル部20の先端の吐出口20aから吐出され、握りレバー5の握り込みを放すと、弁機構4が閉弁して、シーラの吐出が停止するように構成してある。
【0004】
このシーラガンAは、握りレバー5の握り込みを放して、シーラの吐出を停止させたとき、弁機構4より下流側においてシーラガンAの器内に残留したシーラが、導入管3から導入されるときに与えられている圧力により、吐出筒2の先端の吐出口20aから押し出されてくるようになる。
【0005】
そして、シーラガンAの器内から吐出口を介して押し出されるシーラは、粘性を具備して付着性と凝集性が大きい性状のものであることから、吐出筒2のノズル部20先端の吐出口20aから離れずに、その吐出口の周縁に付着して、つらら状に垂れ下がり、液だれの現象を呈するようになる。
【0006】
このシーラの吐出を弁機構4の作動により停止させたときに、吐出筒1の先端の吐出口20aの周辺に付着して垂れ下がるシーラの液だれは、放置しておくと、外気に曝されることで、次に塗布作業・充填作業を行うときには、正常に使用できない性状のものに変性する性状のものであることから、シーラの吐出を停止させたときに、その直後に、吐出筒2の先端から拭き取って廃棄する処理を行っている。このことから、シーラガンAには、液材料のシーラの吐出を停止させる度ごとに、生じてくる液だれを拭き取る作業を行わなければならないことで、塗布・充填作業の作業性を悪くし、また液だれを廃棄することで、シーラの損失を招いている問題がある。
【0007】
シーラガンAに組み付け装備せしめる液だれの防止装置Bは、このシーラガンAに、シーラの吐出を停止させる度ごとに生じてくる液だれを除去消失せしめるためのものである。
【0008】
このシーラガンAに組み付け装備せしめる液だれ防止装置Bは、図2に示しているように、シーラガンAの本体を構成するボディaに、内部空間をシリンダ状に形成したケーシング60と、そのケーシング60の後面側から摺動自在に嵌合するピストン61と、そのケーシング60の前端側に装着する吸引ブロック62と、その吸引ブロック62に設けた吸引・吐出口63に接続する吸引・吐出パイプ64とからなるポンプ装置Pを、それのピストン61のケーシング60に対する出入作動により、吸引ブロック62の後壁面とピストン61の前端面との間に形成される拡縮室pが拡縮して、吸引・吐出口63を介し吸引と吐出を行うように構成して組み付ける。そして、このポンプ装置Pを、それのピストン61の往動・復動による吸引・吐出の作動を、握りレバー5を握り込んで、シーラの吐出が行われるようにしたときには、ピストン61が押し込まれて吐出作動を行い、握りレバー5の握り込みが解放されて握りレバー5が復元バネ50により復元回動するときには、ピストン61が引き出されてケーシング60内の拡縮室pの内容積を拡張して吸引作動を行うように、握りレバー5の回動作動に対し連動連繋させることで液だれ防止装置Bを構成するようにしている。
【0009】
この連動連繋は、図2に示しているシーラガンAの液だれ防止装置Bにあっては、ポンプ装置Pのピストン61を、弁機構4の弁軸42の先端部に、一体的に連続させて設けておいて、握りレバー5の握り込みにより、弁軸42の後端側に連続させて形成せるシャフトの周面に設けたボビン状の係止部材51aと握りレバー5の上端側に角状に突設した係合突起51bとからなる連繋機構51を介し弁軸42が、前方(図2)において左方に押し出されて、その弁軸42に設けた弁座口41が弁口40と対向する位置に動いて、弁機構4を開弁した状態としたときに、弁軸42の先端側に設けたピストン61が、ケーシング60内に押し込まれて、図3の(1)にあるように、ケーシング60の吸引ブロック62の前面とピストン61の前端壁とで形成する拡縮室pを押し縮めて吐出作動を行い、握りレバー5の握り込みを解放して、握りレバー5を復元バネ50により復元回動させ同時に弁軸42を後方(図2において右方)に引き戻し弁軸42に設けた弁座口41を弁口40から離れた位置に動かして弁機構4を閉弁状態とするときは、図3の(2)、(3)、(4)に示している如く、弁軸42とともにピストン61がケーシング60から引き出されるように動いて、ケーシング60内の拡縮室pを拡張させて吸引作動を行うようにして、握りレバー5との連動・連繋を行わせている。
【0010】
かつ、このポンプ装置Pのケーシング60内の拡縮室pと連通する吸引・吐出パイプ64の先端開口は、シーラガンAの吐出筒2の内部で、ノズル部20先端の吐出口20aの近傍位置に臨むように配位しておき、これにより、握りレバー5の握り込みを解放して、シーラの吐出を停止したときに、ポンプ装置Pが吸引作動を行って、吐出筒2のノズル部20の先端部位に付着して垂れ下がるシーラの液だれを、吐出筒2のノズル部20先端の吐出口20aから、逆に吐出筒2内に引き込み、拡張していくポンプ装置Pのケーシング60内部の拡縮室p内に吸引して、ノズル部20先端部の周辺から消失させるようにしている。
【0011】
このように、シーラガンAのボディaに、把持グリップ1に並設した握りレバー5の回動作動によりケーシング60内の拡縮室pが拡縮して吐出と吸引の作動を行うポンプ装置Pを組み付けて、それの吸引・吐出パイプ64の先端開口を、シーラガンAの吐出筒2の内腔で、その吐出筒2の先端の吐出口20aの近傍に臨ませておくことで構成する液だれ防止装置Bを装備せしめたシーラガンAは、握りレバー5の握り込みを解放してシーラの吐出を停止させたときに吐出筒2の先端部に付着して垂れ下がるよう生じてくるシーラの液だれを消失・除去させるのに、組み付けるポンプ装置Pの吸引・吐出口63に接続する吸引・吐出パイプ64を吐出筒2の内部に配位してシーラを吐出筒2を経てこの吸引・吐出パイプ64に導き、ポンプ装置Pのケーシング60内の拡縮室pに吸引させることで行うことから、吐出筒2が、それの内部にポンプ装置Pの吸引・吐出パイプ64を収容した2重管状に形成されることになって、吐出筒2の内径が大径となり、それにより吐出筒2の先端に所定の口径をもって形設する吐出口20aが、軸芯線方向における長さを短くしたものとなることにより、その吐出口20aから吐出していくシーラが直進せずに、吐出方向をランダムに変化させるようになるので、所定の場所にシーラを塗布・充填していく作業をしづらくして作業性を悪くする問題を生ぜしめている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明において解決しようとする課題は、上述したように、握りレバー5の回動作動に連動して吸引と吐出の作動を行うポンプ装置Pをボディaに組み付け、握りレバー5の握り込みを解放してシーラの吐出を停止させたときに、吐出筒2の先端に付着して垂れ下がるように生じてくる液だれ状のシーラを、組み付けたポンプ装置Pの吸引作動で、吸引して消失せしめるように構成したシーラガンAが、握りレバー5を握り込んで弁機構4を開弁しシーラを吐出筒2先端の吐出口20aから吐出させて塗布作業、充填作業を行うときに、吐出口20aからの吐出に直進性がなく、そのため、作業性を悪くしている問題を解決して、吐出するシーラが、吐出筒2先端の吐出口20aから、それの前方に向け直進して吐出されるようにする手段を創出する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の、液だれを消失除去せしめるポンプ装置Pを組み付けたシーラガンAに、吐出するシーラに直進性を損なったものとすることで生じている作業性を悪くしている問題は、組み付けるポンプ装置Pの吸引・吐出パイプ64を吐出筒2内に2重管状に配位させることで、吐出筒2の内径が大径となり、吐出筒2の先端に形設する吐出口20aを、それの軸芯線方向の長さを短いものとすることにより、吐出するシーラを吐出口20aの軸芯線方向に規制する機能が損なわれることによるものであるから、これを解決するための手段として吐出筒2の吐出口20aの前端に、内径が吐出口20aの口径に揃う誘導パイプCを、吐出口20aを延長するように装設する手段が考えられる。しかし、このようにしたところ、吐出口20aから吐出するシーラが直進して吐出されるようにはなるが、握りレバー5の握り込みを放してシーラの吐出を停止させたときの、ポンプ装置Pの吸引作動によるシーラの吸引作用が充分に行われず、吐出筒2の吐出口20aの周辺に、シーラが液だれ状に付着して残るようになる結果となる。このため、シーラの吐出を停止する度ごとに吐出筒2の吐出口20aの周辺からシーラを拭い取らなければならず、ポンプ装置Pのないシーラガンと同様のものとなって、塗布作業の作業性を悪くするという別の問題が生じてくる。
【0014】
これは、ポンプ装置Pによるシーラの吸引が、吐出口20aを前方に延出させるように付設した誘導パイプCの前端開口から該誘導パイプC内腔を経て、吐出筒2内に配設した吸引パイプ64に吸引されることで行われることで、シーラが誘導パイプC内を流過するときの抵抗によりポンプ装置Pの吸引力が減少することによるものと考えられる。
【0015】
そこで、吐出筒2の吐出口20aの前面に前方に延出するように付設する誘導パイプCの、延出長さと吐出するシーラに与える直進性との関係、及び延出長さとポンプ装置Pによるシーラの吸引性能との関係について検討を加えテストを重ねたところ、吐出するシーラに与える直進性は、誘導パイプCを40〜50mmの延出長さにすることで、吐出するシーラに直進性を充分に与えられるようになる。そして、延出長さを順次短くしたとき、10mm程度の延出長さまでであれば、直進性を与えて吐出せしめていける結果が得られた。またポンプ装置Pの吸引性能との関係においては、40〜50mmの延出長さとすると、ポンプ装置Pによるシーラの吸引性能が低下してシーラの吐出の停止時に、吐出筒2の先端の吐出口20aの周辺にシーラが付着して残るようになる。そして、延出長さを順次短くしたとき、10mm程度の長さまでにすると、シーラの吐出を停止したときのポンプ装置Pの吸引性能は、吐出筒2の吐出口20aの周辺のシーラをきれいに吐出筒2内に吸引するようになる結果が得られた。
【0016】
このテスト結果の知見から、吐出筒2の吐出口20aの前面に、誘導パイプ を10mm程度の吐出長さに設定して装設することで、シーラの塗布作業中における吐出口20aから吐出するシーラに直進性を与えて作業性をよくしながら、吐出を停止させたときのポンプ装置Pによるシーラの吸引作動を充分なものとするようになり、課題は解決し得る。
【0017】
このことから、本発明においては、上述の課題を解決するための手段として、シーラガンAのボディaに、握りレバー5の回動作動に連動して拡縮室pが拡縮することで吐出と吸引の作動を行うポンプ装置Pを組み付け、そのポンプ装置Pの拡縮室pに接続する吸引・吐出パイプ64を、前記ボディaの先端側に設けた吐出筒2の内腔に配位し、その吸引・吐出パイプ64の先端開口を、吐出筒2の先端の吐出口20aの近傍に臨ませて構成せる液だれ防止装置Bが装備せしめてあるシーラガンAにおいて、吐出筒2の先端の吐出口20aの前面に、内腔を吐出口20aの口径に揃えた誘導パイプCを、突出長さが10mm程度となる長さに設定して吐出口20aを延出するように装設したことを特徴とするシーラガンを提起するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明手段によれば、握りレバー5の握り込みを解放してシーラの吐出を停止させたときに、吐出筒2の先端の吐出口20aの周辺に付着して垂れ下がるように生じてくる液だれ状のシーラを、組み付けたポンプ装置Pの作動で、そのポンプ装置Pの拡縮する拡縮室に吸引させて消失せしめる液だれ防止装置Bが装備せしめてあるシーラガンを、シーラの吐出を停止したときのポンプ装置Pによる液だれの吸引性能に低下をきたすことなく、吐出口20aから吐出するシーラに直進性を与えるように構成でき、シーラガンの作業性をよくする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従前のシーラガンの縦断した側面図である。
【図2】改善策として液だれ防止装置を組み付けたシーラガンの縦断側面図である。
【図3】同上シーラガンの液だれ防止装置を組み込んだ先端側の部分の縦断側面図で、図3の(1)は、液だれ防止装置のポンプ装置の吐出行程がエンドに達した状態時の縦断側面図、図3の(2)は、同上ポンプ装置の吸引行程が開始した状態時の縦断側面図、図3の(3)は、吸引行程が進んだ状態時の縦断側面図、図3の(4)は、吸引行程がエンドに達した状態時の縦断側面図である。
【図4】本発明手段を実施したシーラガンの縦断側面図である。
【図5】同上シーラガンの把持グリップの横断平面図である。
【図6】同上シーラガンの把持グリップの内部に組み込む補強リブの斜視図である。
【図7】軸部材のヘッドが吸引ブロックの吸引・吐出口から抜け出すときの作用の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明の実施の態様を、実施例につき図面に従い詳述する。
【実施例1】
【0021】
図4は、本発明を実施せるシーラガンAの、握りレバー5の握り込みを放して、該握りレバー5が、復元バネ50により開放回動側の回動作動のエンドにまで回動している状態における縦断側面図、図5は同上のシーラガンAの、把持グリップ1の図4におけるA−A線の断面図、図6は同上の把持グリップ1の把持部の中心部分の斜視図である。
【0022】
図4において、Aはシーラガンの全体、aはそのシーラガンAのボディ、1はそのボディaの基端側に設けた把持グリップ、2はボディaの先端側に設けた吐出筒、3はシーラガンAにシーラを供給するよう接続した導入管、30は、導入管3で供給されるシーラをボディaの先端側に設けた前記吐出筒2に導くようボディa内部に設けた管路、4はその管路30での吐出筒2内へのシーラの供給をオン・オフ制御する弁機構、5はその弁機構4に、開弁・閉弁の作動を行わすようボディaに軸支した握りレバー、Bは、その握りレバー5の作動により弁機構4を閉弁作動させてシーラの吐出を停止させたときに、吐出筒2の先端の吐出口周辺に付着して垂れ下がるように生じてくるシーラの液だれを、吸引して除去・消失せしめるようボディaに組み付けた液だれ防止装置、Cは吐出筒2の先端の吐出口20aの前面に前方に延出するように取り付けた誘導パイプを示す。
【0023】
ボディaは、前後方向(図4において左右方向)に長い中空の筒状に成形してあり、その内部には前後に長いシャフト7が前後に移動自在に収蔵してある。
【0024】
該シャフト7は、後端側の周面に一体または一体的に設けたボビン状の係止部材51aの外周面と、ボディaの内壁面に設けたリング状のガイド突起71の内周面に摺接する該シャフト7の外周面とによってガイドされて、ボディa内を前後に自在にスライド移動する。そして、該シャフト7の外周に巻き付けて係止部材51aとガイド突起71との間に張架した復元バネ50により、後方に移動するよう付勢されていて、これにより、常態において後端が、ボディaの内腔の後端部に設けた規制部材8の前端に突き当たってストップするエンド位置に保持されている。
【0025】
このシャフト7には、ボディaに支軸5aにより回動自在に軸支してある握りレバー5が連動して回動するよう連繋機構51を介し連繋してある。この連繋機構51は、握りレバー5の回動支点である支軸5aを上方に越した部位に角状に設けた係合突起51bと、シャフト7に設けたボビン状の係止部材51aとの噛み合い係合により構成してあり、握りレバー5を把持グリップ1とともに握り込み、支軸5a中心に図4において反時計方向に回動させると、係合突起51bがこの反時計方向の回動により前方に動いて、シャフト7に設けた係止部材51aを前方に押し出して、復元バネ50を押し縮めながらシャフト7を前方に押し出し、また、握りレバー5の握り込みを解放すると、復元バネ50のバネ圧でシャフト7が右方に動き、これによる係止部材51aと係合突起51bとの作動により、握りレバー5が把持グリップ1から離れた開放回動位置に復元回動していくようにしてある。
【0026】
また、シャフト7の前端側には、弁機構4の弁軸42が一体または一体的に形設してある。
【0027】
弁機構4は、シャフト7の前端側に設けた弁軸42の周面に、その弁軸42の軸芯部に形設せる管路30aに接続連通させて設けた弁座口41と、ボディaの内壁面に、ボディa内部に形設せる管路30に接続させて開設した弁口40と、からなり、握りレバー5の握り込みでシャフト7が前方に動き、シャフト7前端部に設けた弁軸42が一緒に動くことで、弁軸42に設けた弁座口41が前方に変位してボディaに設けた弁口40と対向する位置を占めることにより開弁状態となって、ボディa側の管路30で導かれてきたシーラを弁軸42内の管路30aを経て吐出筒2内に導き吐出筒2先端の吐出口20aから吐出させるようになり、握りレバー5の握り込みを放すと、シャフト7が復元バネ50により右方に動くことで、弁軸42に設けた弁座口41がスライドして変位し、弁口40と対向する位置からずれて、弁口40を弁軸42の周面で閉ざす閉弁状態となって、吐出筒2の吐出口20aからのシーラの吐出を停止させるように構成してある。
【0028】
シャフト7の前端側には、上記弁機構4の前方に、さらに、液だれ防止装置Bのポンプ装置Pのピストン61が一体に装設してある。
【0029】
液だれ防止装置Bは、ボディaの先端側に、シリンダ状に成形したケーシング60の後半側を嵌装し、そのケーシング60の前半側に、吸引ブロック62の基端側の拡径部2aを嵌装して、このシリンダ状のケーシング60をボディa内の先端側に装着し、このケーシング60内に、前記シャフト7の前端に設けた弁軸42のさらに前方に装設したピストン61を後方から摺動自在に嵌挿し、ケーシング60内の前端側には栓状に形成した吸引ブロック62を嵌装し、その吸引ブロック62の後壁面と前記ピストン61の前端面との間にピストン61の往復動により拡縮するポンプ室となる拡縮室pを形成し、この拡縮室pと通ずる吸引・吐出口63を吸引ブロック62の軸芯部位に開設し、その吸引・吐出口63に、吸引・吐出パイプ64を接続して設けることで、ピストン61の往動と復動の作動により拡縮室pが拡縮して、吸引と吐出とを行うポンプ装置Pを構成し、このポンプ装置Pの吸引・吐出パイプ64を、ボディaの先端側に設けた吐出筒2の内腔に、その吐出筒2を2重管に構成するように挿入して配設し、その吸引・吐出パイプ64の先端の開口を、吐出筒2の先端部に開設してある吐出口20aの近傍に位置させることで、弁機構4の閉弁によりシーラの吐出を停止したときに生じるシーラの液だれを、吐出筒2の吐出口20aから吸引・吐出パイプ64を経て拡縮室p内に吸引して除去・消失せしめる液だれ防止装置Bを構成するようにしてある。
【0030】
吐出筒2の先端の吐出口20aの前面に前方に延出するように取り付けた誘導パイプCは、吐出口20aから吐出していくシーラが、吐出口20aの軸芯線に沿い直進していくように直進性を与えるためのものである。これは、上述したように液だれ防止装置Bを装備せしめたシーラガンAにおいては、ポンプ装置Pの吸引・吐出パイプ64を、図示する実施例にあるように、吐出筒2の内腔に、2重管を構成するように配設することから、吐出筒2を吸引・吐出パイプ64を収容せしめ得るよう形成することで、吐出筒2の内径が、所定の口径に形設する吐出口20aの口径よりも大径になることにより、その吐出筒2の先端の吐出口20aが、軸線方向に極く短い形態に形成されるようになって、吐出するシーラを吐出口20aの軸芯線に沿う方向に誘導する機能を殆ど有しないものとなってくるので、その吐出口20aに前方に向け延出するように誘導パイプCを接続して設けて、シーラがこの誘導パイプCを経て吐出されるようにしておき、この誘導パイプCを通過していく間に、直進性が与えられるようにしているのである。
【0031】
この誘導パイプCは、先端開口の吐出口20aから吐出するシーラに直進性を与えるように機能するが、液だれを吸引・消失せしめる液だれ防止装置Bのポンプ装置Pの吸引作動に対しては、液だれのシーラをポンプ装置Pの拡縮室pへの吸引力を減少させるようになる。
【0032】
このため、誘導パイプCは、この実施例では、延出長さLを10mmの長さに設定してある。この設定した延出長さLは、テストを重ねて得られたポンプ装置Pによるシーラの吸引作動に影響を与えない範囲の長さで、吐出するシーラに直進性を与える長さの範囲から選択した長さである。
【0033】
また、この実施例では、ポンプ装置Pは、シリンダ状のケーシング60の前端側に、吸引・吐出口63を具備せしめた吸引ブロック62を嵌合して固着し、ケーシング60の他端側から摺動自在にピストン61を嵌挿して、そのピストン61の往復動により、ピストン61の前面と吸引ブロック62の後面との間に形成される拡縮室pを拡縮させて、吸引ブロック62に形設してある吸引・吐出口63を介し流体を拡縮室p内に吸引する吸引作動と、拡縮室p内の流体を吸引・吐出口63から吐出する吐出作動とを行うように構成するが、その拡縮室pを構成する際、ピストン61の前端に取り付ける鍔付きの軸部材65の前端のヘッドを、周壁が傾斜面となる凸形のコーン状乃至傘状に形成し、この軸部材65のヘッドが嵌入するよう吸引ブロック62に形成しておく吸引・吐出口63を、凹形のコーン状乃至傘状に形成した構成としている。
【0034】
この構成は、シャフト7が復元バネ50により後退することで、シャフト先端に設けたポンプ装置Pのピストン61がケーシング60から引き抜かれて、拡縮室pを拡張させて吸引作動を行うときに、ピストン61が後方に動き出すと、凸のコーン状乃至傘状とした軸部材65のヘッドの周面と吸引ブロック62に設けた凹のコーン状の吸引・吐出口63の内壁面との間に図7の説明図にあるように生じてくる間隙dによって、吸引・吐出口63と拡縮室pが連通して、拡縮室pへのシーラの吸引がピストン61の後退作動で直ぐに開始されるようになる。
【0035】
図2及び3に示している例のように軸部材65のヘッドが軸杆状で、吸引ブロック62に形設する吸引・吐出口63が、この軸部材65の軸杆状のヘッドが密に嵌入する軸穴に形成してある場合は、ピストン61が後方に動き出しても、軸部材65の軸杆状のヘッドの周面と吸引・吐出口63の内壁面との間には間隙が形成されず、軸部材65のヘッドが吸引・吐出口63から抜け出るまでは、吸引・吐出口63が閉塞された状態にあり、吸引・吐出口63を介してのシーラの拡縮室pへの吸引は行われない。このことから、軸部材65をコーン状とする上述の構成手段は、シーラの吐出を停止したときに生ずる液だれのシーラの吸引性能を適確なものとする。
【0036】
また、この実施例では、ピストン61の前端への鍔付きの軸部材65の取り付けを、弁軸42の軸芯部位に弁座口41と連通させて形設してある管路30aを延長するように、ピストン61の軸芯部位に形設してある管路30aの前端部に、鍔付きの軸部材65の基端側を嵌挿して固着することで行うときに、そのピストン61の前端に鍔付きの軸部材65の基端側の、管路30aの前端部に対する嵌挿固着は、軸部材65の基端側を管路30aの前端部に対し圧入させずに、その基端側を管路30aと同径乃至僅かに小径に形成して、管路30aにゆるく嵌挿して接着剤により密に嵌合して固着せしめている。これにより、軸部材65の基端側を、ピストン61の前端に開放する管路30aに嵌挿して固着するときに、管路30aの拡径変形によりピストン61の外周面が変形して、ピストン61がケーシング60内を摺動する作動に不具合を生ぜしめないようにしている。
【0037】
また、この実施例のシーラガンAは、それの把持グリップ1が、それの中心部円筒状の内筒10の外周に、図6に示しているようにカラーの周面に楕円のリブ11を設けた補強リブ12を、楕円のリブ11の長径が前後方向となる状態で嵌装し、その補強リブ12の外周に、図5にあるように、長径が前後方向になるように成形した外筒13を被せて装着することで、左右の幅を狭く前後の幅を広くした扁平な形状に形成してある。
【符号の説明】
【0038】
A シーラガン
B 液だれ防止装置
C 誘導パイプ
L 延出長さ
P ポンプ装置
a ボディ
d 間隙
p 拡縮室
1 把持グリップ
10 内筒
11 楕円のリブ
12 補強リブ
13 外筒
2 吐出筒
2a 拡径部
20 ノズル部
20a 吐出口
3 導入管
30 管路
30a 管路
4 弁機構
40 弁口
41 弁座口
42 弁軸
5 握りレバー
5a 支軸
50 復元バネ
51 連繋機構
51a 係止部材
51b 係合突起
60 ケーシング
61 ピストン
62 吸引ブロック
63 吸引・吐出口
64 吸引・吐出パイプ
65 軸部材
7 シャフト
71 ガイド突起
8 規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーラガン(A)のボディ(a)に、握りレバー(5)の回動作動に連動して拡縮室(p)が拡縮することで吐出と吸引の作動を行うポンプ装置(P)を組み付け、そのポンプ装置(P)の拡縮室(p)に接続する吸引・吐出パイプ(64)を、前記ボディ(a)の先端側に設けた吐出筒(2)の内腔に配位し、その吸引・吐出パイプ(64)の先端開口を、吐出筒(2)の先端の吐出口(20a)の近傍に臨ませて構成せる液だれ防止装置(B)が装備せしめてあるシーラガン(A)において、吐出筒(2)の先端の吐出口(20a)の前面に、内腔を吐出口(20a)の口径に揃えた誘導パイプ(C)を、突出長さが10mm程度となる長さに設定して吐出口(20a)を延出するように装設したことを特徴とするシーラガン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−101180(P2012−101180A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252013(P2010−252013)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000146179)エムテックスマツムラ株式会社 (17)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】