説明

シール、バッフル又は補強用の活性化可能な強化材料及びその製造方法

活性化可能材料及びそれを組み入れた物品を開示する。活性化可能材料は、エポキシ樹脂;衝撃改良剤;発泡剤;硬化剤;及び充填剤の少なくとも3つを含む。活性化可能材料は、好ましくは自動車などの製品をシール、バッフル又は補強するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔優先権の主張〕
この出願は、2007年6月4日提出の米国出願第11/757,499号と共に2006年6月7日提出の米国仮特許出願第60/804,117号及び2006年10月9日提出の米国仮特許出願第60/828,704号の出願日の利益を主張する(全特許出願は、すべての目的のため本明細書で援用される)。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、一般的に自動車などの製品の部品のシール、バッフル、接着又は補強用の活性化可能材料、該活性化可能材料の製造方法及び該活性化可能材料の使用方法に関する。
【0003】
〔発明の背景〕
多年にわたって、工業、特に輸送工業は、自動車などの製品のシール、バッフル、音響減衰、接着及び補強に関心をもってきた。順次、工業は、このようなシール、バッフル、接着及び補強を与えるための種々多様な材料を開発してきた。そこで、本発明は、シール、バッフル、接着又は補強用の改良材料、該改良材料の製造方法及びシール、バッフル、接着又は補強するための該改良材料の使用方法を提供する。
【0004】
〔詳細な説明〕
本発明は、改良された活性化可能材料の供給、及びそれを組み入れた物品について述べる。活性化可能材料は、好ましくは、製品(例えば、自動車)の構造の空洞内に、又は表面上に、又は1つ以上の構造部材(例えば、ボディーパネル又は構造部材)に構造補強、接着、シール、バッフル、音響減衰特性又はその組合せを与えるときに補助する。本明細書では、フレーズ活性化可能材料は、周囲条件又は別の条件で活性化して融解、流動、硬化(例えば、熱硬化)、膨張、発泡又はその組合せを果たしうるいずれの材料をも包含する。例えば、この材料は、熱、圧力、化学薬品暴露、その組合せ等の条件にさらされると、膨張、発泡、流動、融解、硬化、その組合せ等を果たしうる。
活性化可能材料は、典型的にポリマー混合物、衝撃改良剤並びに発泡剤、硬化剤及び充填剤の1つ又は組合せを含む。活性化可能材料は、好ましくは下記成分の少なくとも3つを含む:
(a)約2〜約80質量%のエポキシ樹脂;
(b)約2〜約70質量%のポリマー又はオリゴマー(例えば、エポキシ)/エラストマー付加物;
(c)典型的に1種以上のエチレンポリマー又はコポリマーを含む1種以上の追加ポリマー;
(d)約2〜約70質量%の衝撃改良剤;
(e)約5質量部までの発泡剤;
(f)約7質量部までの硬化剤;及び
(g)充填剤。
【0005】
活性化可能材料の意図した用途によって、濃度は高低しうる。本発明の好ましい局面では、衝撃改良剤は1種以上のコア/シェルポリマーを含む。
種々の製品に、該物品の部分若しくは部材に構造的完全性を付与するため、又は該物品をシールするため、本発明の活性化可能材料を適用することができる。このような製品の例として、限定するものではないが、家庭用又は工業用電化製品、家具、貯蔵容器、建築物、構造物等が挙げられる。好ましい実施形態では、自動車のボディー又はフレーム部材等の自動車の部分(例えば、自動車のフレームレール)に活性化可能材料を適用する。本発明の1つの方法は、上記構造の1つの表面に、未膨張状態又は部分的に膨張した状態で活性化可能材料を適用する工程及び前記材料をその未膨張状態の体積より大きい体積(例えば、少なくとも5%超え、少なくとも50%超え、少なくとも200%超え、少なくとも1000%超え、少なくとも2000%超え、少なくとも5000%超え、又はそれより大きい)に膨張(例えば、発泡)させるため前記材料を活性化する工程を想定する。また、典型的に、少なくとも補強用途では、膨張体積が元の未膨張体積に対して800%未満、さらに典型的に500%未満、なおさらに典型的に400%未満、おそらく300%未満であるような体積膨張が好ましい。また、該材料の体積は、硬化(例えば、架橋)のため、活性化材料の発泡又は未発泡バージョンに対して活性化後に小さくなりうることも想定される。
本明細書では、特に断らない限り、百分率は質量%を意味する。
【0006】
〔エポキシ樹脂〕
本明細書では、エポキシ樹脂は、少なくとも1つのエポキシ官能基を含有するいずれの通常のダイマー、オリゴマー又はポリマーエポキシ材料をも意味する。さらに、用語エポキシ樹脂を用いて1種のエポキシ樹脂又は複数のエポキシ樹脂の組合せを表しうる。ポリマーベース材料は、開環反応によって重合可能な1つ以上のオキシラン環を有するエポキシ含有材料でよい。好ましい実施形態では、活性化材料は約80%まで又はそれ以上のエポキシ樹脂を含む。さらに好ましくは、発泡性材料は、約2質量%〜70質量%のエポキシ樹脂、さらに好ましくは約4質量%〜30質量%のエポキシ樹脂、なおさらに好ましくは約7質量%〜18質量%のエポキシ樹脂を含む。当然、エポキシ樹脂の量は、活性化可能材料の意図した用途によって、より高いか又はより低くてよい。例として、付加物、充填剤、代替ポリマー、その組合せ等の他成分をより高いか又は低い質量%で使用する場合、質量%はより低いか又は高いと想定される。
【0007】
エポキシは、脂肪族、脂環式、芳香族などでよい。固体として(例えば、ペレット、塊、断片などとして)又は液体(例えば、エポキシ樹脂)としてエポキシを供給しうる。本明細書では、特に断らない限り、樹脂は23℃の温度で固体の場合、固体樹脂であり、23℃で液体の場合、液体樹脂である。エポキシは、α-オレフィンを有しうるエチレンコポリマー又はターポリマーを含みうる。コポリマー又はターポリマーとして、ポリマーは2又は3種の異なるモノマー、すなわち同様の分子と結合できる高い化学反応性を有する小分子で構成される。好ましくは、エポキシ樹脂を活性化可能材料に添加して該材料の接着特性、流動特性又は両特性を高める。1つの典型的なエポキシ樹脂はフェノール樹脂でよく、ノボラック型又は他の型の樹脂でよい。他の好ましいエポキシ含有材料として、ビスフェノール-Aエピクロロヒドリンエーテルポリマー、又はブタジエン若しくは別のポリマー添加剤で変性されうるビスフェノール-Aエポキシ樹脂が挙げられる。さらに、数種の異なるエポキシ樹脂の種々の混合物をも使用しうる。好適なエポキシ樹脂の例は、商標名DER(登録商標)(例えばDER 331、DER 661、DER 662)でDow Chemical Company, Midland, Michiganから市販されている。
【0008】
〔付加物〕
本発明では種々のポリマー/エラストマー付加物を使用することを想定しており、1つの好ましい付加物はエポキシ/エラストマー付加物である。非常に好ましい実施形態では、本発明の活性化可能材料にかなり高濃度でエラストマー含有付加物を使用する。エポキシ/エラストマー混成物又は付加物を接着材料の約80質量%までの量で含めてよい。さらに好ましくは、エラストマー含有付加物は活性化可能材料のほぼ少なくとも5質量%、さらに典型的には少なくとも7質量%、なおさらに典型的には少なくとも10質量%であり、活性化材料の60%までか又はそれ以上でよいが、さらに好ましくは約10質量%〜30質量%でよい。当然、エラストマー含有付加物は2種以上の特定付加物の組合せでよく、また、付加物は23℃の温度で固体付加物又は液体付加物でよく、又はその組合せでもよい。1つの好ましい実施形態では、付加物は、23℃で固体である1つ以上の付加物で実質的に完全に(すなわち、少なくとも70%、80%、90%以上)構成されている。
付加物自体は、通常、約1:5〜5:1部のエポキシ又は他のポリマー:エラストマー、さらに好ましくは1:3〜3:1部のエポキシ:エラストマーを含む。さらに典型的に、付加物は少なくとも約5%、さらに典型的に少なくとも約12%、なおさらに典型的に少なくとも約18%のエラストマーを含み、かつ典型的に、約50%以下、なおさらに典型的に約40%以下、さらになお典型的に約35%以下のエラストマーを含むが、より高いか低い割合も可能である。エラストマー化合物は、付加物にとっては熱硬化性エラストマーが適するが、そうでなくてもよい。典型的なエラストマーとして、限定するものではないが、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、イソプレン-ブタジエンコポリマー、ネオプレン、ニトリルゴム(例えば、カルボキシ末端ブチルニトリル等のブチルニトリル)、ブチルゴム、ポリスルフィドエラストマー、アクリルエラストマー、アクリロニトリルエラストマー、シリコーンゴム、ポリシロキサン、ポリエステルゴム、ジイソシアネート連結縮合エラストマー、EPDM(エチレン-プロピレンジエンゴム)、クロロスルホン酸化ポリエチレン、フッ化炭化水素等が挙げられる。一実施形態では、再生タイヤゴムを利用する。好ましいエポキシ/エラストマー付加物の例は、商標名HYPOX RK 8-4でCVC Chemicalから市販されている。本発明で使うのに適したさらなる又は代わりのエポキシ/エラストマー又は他の付加物は、米国特許公開2004/0204551に開示されている。すべての目的のため本明細書でこの出願を援用する。
エラストマー含有付加物を活性化可能材料に添加すると、好ましくは活性化可能材料の構造特性、例えば強度、靱性、剛性、曲げ弾性率などを改良する。さらに、エラストマー含有付加物を選択して、塗料、例えば水性ペンキ又はプライマー系又は他の通常の塗料との高い適合性を活性化可能材料に与えることができる。
【0009】
〔ポリマー又はコポリマー〕
活性化可能材料は、典型的に1種以上の追加ポリマー又はコポリマーを含むだろう。これには、種々の異なるポリマー、例えば熱可塑性プラスチック、エラストマー、そのプラストマー配合物等が挙げられる。例えば、限定するものではないが、適宜ポリマー混合物中に組み込まみうるポリマーとして、ハロゲン化ポリマー、ポリカーボネート、ポリケトン、ウレタン、ポリエステル、シラン系、スルホン系、アリル系、オレフィン系、スチレン系、アクリレート系、メタクリレート系、エポキシ系、シリコーン系、フェノール系、ゴム、ポリフェニレンオキシド、ターフタレート、アセテート系(例えば、EVA)、アクリレート系、メタクリレート系(例えば、エチレンメチルアクリレートポリマー)又はその混合物が挙げられる。他の可能性のあるポリマー材料として、限定するものではないが、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンイミン)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリホスファジン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイソブチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソプレン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリレートが挙げられる。
【0010】
これらのポリマーを使用する場合、これらのポリマーは発泡性材料の小部分又はより実質的部分を構成しうる(例えば、85質量%までか又はそれ以上)。好ましくは、1種以上の追加ポリマーは、活性化可能材料の約0.1質量%〜約50質量%、さらに好ましくは約1質量%〜約20質量%、なおさらに好ましくは約2質量%〜約10質量%を構成する。
特定の実施形態では、活性化可能材料中に1種以上の熱可塑性ポリエーテル及び/又は熱可塑性エポキシ樹脂を含むことが望ましい。1種以上のポリエーテルを含む場合、1種以上のポリエーテルは好ましくは活性化可能材料の約1質量%〜約90質量%、さらに好ましくは活性化可能材料の約3質量%〜約60質量%、なおさらに好ましくは活性化可能材料の約4質量%〜約25質量%を構成する。しかし、他の材料については、活性化可能材料の意図した用途によって、多少の熱可塑性ポリエーテルを使用しうる。
【0011】
熱可塑性ポリエーテルは典型的にペンダントヒドロキシル成分を含む。熱可塑性ポリエーテルは、その骨格内に芳香族エーテル/アミン反復単位をも含みうる。本発明の熱可塑性ポリエーテルは、好ましくは、約190℃の温度で重量2.16Kgのサンプルについて約5〜約100、さらに好ましくは約25〜約75、なおさらに好ましくは約40〜約60グラム/10分のメルトインデックスを有する。当然、熱可塑性ポリエーテルは、その意図した用途によって、より高いか又は低いメルトインデックスを有しうる。好ましい熱可塑性ポリエーテルとして、限定するものではないが、ポリエーテルアミン、ポリ(アミノエーテル)、モノエタノールアミンとジジグリシジルエーテルのコポリマー、その組合せ等が挙げられる。
好ましくは、熱可塑性ポリエーテルは、2以下の平均官能性を有するアミン(例えば、二官能性アミン)をグリシジルエーテル(例えば、ジグリシジルエーテル)と反応させて形成される。本明細書では、用語二官能性アミンは、平均2つの反応基(例えば、反応性水素)を有するアミンを意味する。
【0012】
一実施形態では、熱可塑性ポリエーテルは、一級アミン、ビス(二級)ジアミン、環式ジアミン、その組合せ等(例えば、モノエタノールアミン)をジグリシジルエーテルと反応させるか又はアミンをエポキシ官能化ポリ(アルキレンオキシド)と反応させてポリ(アミノエーテル)を形成することによって形成される。別の実施形態によれば、熱可塑性ポリエーテルは、二官能性アミンをジグリシジルエーテル又はジエポキシ官能化ポリ(アルキレンオキシド)と、該アミン成分を該エポキシ成分と反応させて、アミン結合、エーテル結合及びペンダントヒドロキシル成分を有するポリマー骨格を形成するために十分な条件下で反応させることによって調製される。任意に、該ポリマーを一官能性求核試薬(一級又は二級アミンでよいが、そうでなくてもよい)で処理してよい。
さらに、熱可塑性ポリエーテルを形成するために1つの反応基(例えば、1つの反応性水素)を有するアミン(例えば、環式アミン)を利用することも想定される。有利なことに、このようなアミンは、形成される熱可塑性エーテルの分子量を制御する補助をしうる。
【0013】
好ましい熱可塑性ポリエーテル及びその製造方法の例は米国特許第5,275,853号;第5,464924号及び第962,093号(これらの特許は、すべての目的のため本明細書で援用される)に開示されている。有利なことに、熱可塑性ポリエーテルは、本明細書でさらに述べるような種々多様な用途で種々の望ましい特性、例えば望ましい物理的及び化学的性質を活性化可能材料に与えることができる。
必要ではないが、ポリマー混合物がエチレンアクリレート、エチレンアセテート等の1種以上のエチレンポリマー又はコポリマーを含むことが好ましい。エチレンメタクリレート及びエチレンビニルアセテートは、2つの好ましいエチレンコポリマーである。
1つ以上の反応基、例えばグリシジルメタクリレート又は無水マレイン酸で変性されている反応性ポリエチレン樹脂を含むことも望ましい。該ポリエチレン樹脂の例は、商標名LOTADER(登録商標)(例えば、LOTADER AX 8900)でArkema Groupから市販されている。
【0014】
〔衝撃改良剤〕
一般的に、活性化可能材料が少なくとも1種の衝撃改良剤を含むことが好ましい。本明細書では、本発明の他のいずれもの成分と同様に、用語「衝撃改良剤」は、1種の衝撃改良剤又は複数の衝撃改良剤を包含しうる。本発明の実施では種々の衝撃改良剤を使用することができ、1種以上のエラストマーを含むことが多い。一般的に、衝撃改良剤は、活性化可能材料の少なくとも4質量%、さらに典型的に少なくとも7質量%、なおさらに典型的に少なくとも10質量%、さらになお典型的に少なくとも13質量%、なおさらに典型的に少なくとも16質量%であることが好ましく、また、衝撃改良剤が活性化可能材料の90質量%未満、さらに典型的に40質量%未満、なおさらに典型的に30質量%未満であることが好ましいが、個々の実施形態において、より多いか又は少ない量で衝撃改良剤を使用しうる。
【0015】
本発明の一実施形態では、衝撃改良剤は少なくとも1つのシェル/コア衝撃改良剤を含み、好ましくは衝撃改良剤はコア/シェル衝撃改良剤の実質的部分を含む。1つの好ましい実施形態では、衝撃改良剤は少なくとも60%、さらに典型的に少なくとも80%、なおさらに典型的に少なくとも97%のコア/シェル衝撃改良剤で構成される。本明細書では、用語コア/シェル衝撃改良剤は、その実質的部分(例えば、質量で30%、50%、70%以上)が、実質的に全体的に第2ポリマー材料(すなわち、第2、つまりシェル材料)で封入されている第1ポリマー材料(すなわち、第1、つまりコア材料)で構成される衝撃改良剤を表す。本明細書では、第1及び第2ポリマー材料は、一緒に混合及び/又は反応(例えば、連続して重合)する1、2、3種以上のポリマーで構成されうる。或いは別個又は同一のコア/シェル系の一部でよい。
コア/シェル衝撃改良剤の第1及び第2ポリマー材料として、エラストマー、ポリマー、熱可塑性プラスチック、コポリマー、他成分、その組合せ等が挙げられる。好ましい実施形態では、コア/シェル衝撃改良剤の第1ポリマー材料、第2ポリマー材料、又は両方は、1種以上の熱可塑性プラスチックを含み、或いは実質的に全体的に(例えば、質量で少なくとも70%、80%、90%以上)1種以上の熱可塑性プラスチックで構成される。典型的な熱可塑性プラスチックとして、限定するものではないが、スチレン、アクリロニトリル、アクリレート、アセテート、ポリアミド、ポリエチレン等のプラスチックが挙げられる。
【0016】
好ましいコア/シェル衝撃改良剤は、乳化重合後の凝固又は噴霧乾燥によって形成される。衝撃改良剤がコア-シェルグラフトコポリマーで形成され、或いは少なくともコア-シェルグラフトコポリマーを含むことも好ましい。グラフトコポリマーの第1、つまりコアポリマー材料は、好ましくは実質的に第2、つまりシェルポリマー材料のガラス転移温度より(すなわち、少なくとも10、20、40℃以上)低いガラス転移温度を有する。さらに、第1、つまりコアポリマー材料のガラス転移温度は23℃未満であり、第2、つまりシェルポリマー材料のガラス転移温度は23℃以上が望ましいが、そうでなくてもよい。
有用なコア-シェルグラフトコポリマーの例は、スチレン、アクリロニトリル又はメチルメタクリレート等の硬質含有化合物が、ブタジエン又はブチルアクリレート等の軟質若しくはエラストマー含有化合物のポリマー製のコア上にグラフトしている当該コポリマーである。米国特許第3,985,703号(本明細書で援用される)は、有用なコア-シェルポリマーを開示しており、このコアはブチルアクリレートから製造されるが、エチルイソブチル、2-エチルヘキシル若しくは他のアルキルアクリレート又はその混合物に基きうる。コアポリマーは、他の共重合可能な含有化合物、例えばスチレン、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、ブタジエン、イソプレン等をも含みうる。コアポリマー材料は、ほぼ等しい反応性の2つ以上の非接合性二重結合を有する架橋性モノマー、例えばエチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート等をも含みうる。コアポリマー材料は、等しくない反応性の2つ以上の非接合性二重結合を有するグラフト結合性モノマー、例えば、ジアリルマレエート及びアリルメタクリレートをも含みうる。
【0017】
シェル部分は、メチルメタクリレートから重合され、任意に他のアルキルメタクリレート、例えばエチル、ブチル、又はその組合せのメタクリレートから重合されうる。シェルモノマーの40質量%まで又はそれ以上がスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル等でよい。本発明の実施形態で有用なさらなるコア-シェルグラフトコポリマーは、米国特許第3,984,497号;第4,096,202号;第4,034,013号;第3,944,631号;第4,306,040号;第4,495,324号;第4,304,709号;及び第4,536,436号に開示されている(全体が本明細書で援用される)。コア-シェルグラフトコポリマーの例として、限定するものではないが、「MBS」(メタクリレート-ブタジエン-スチレン)ポリマーが挙げられ、ポリブタジエン又はポリブタジエンコポリマーゴムの存在下でメチルメタクリレートを重合させて製造される。MBSグラフトコポリマー樹脂は、一般的にスチレンブタジエンゴムコアと、アクリルポリマー又はコポリマーのシェルを有する。他の有用なコア-シェルグラフトコポリマー樹脂の例として、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、MABS(メタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、ASA(アクリレート-スチレン-アクリロニトリル)、すべてのアクリル樹脂、SA EPDM(スチレン-アクリロニトリルがエチレン-プロピレンジエンモノマーのエラストマー骨格上にグラフト化)、MAS(メタクリル-アクリルゴムスチレン)等及びその混合物が挙げられる。
有用な衝撃改良剤の例として限定するものではないが、商標名PARALOIDでRohm & Haas Coから市販されているものが挙げられる。PARALOID衝撃改良剤の1つの特に好ましい銘柄は、商品名EXL-2691Aで販売されているポリメチルメタクリレートシェルとMBSコアの衝撃改良剤である。
【0018】
〔発泡剤〕
活性化可能材料内に、所望により、開いた及び/又は閉じた細胞構造を形成する不活性ガスを生成するため、1種以上の発泡剤を活性化可能材料に添加することができる。この方法で、該材料から製作される物品の密度を下げることができる。さらに、材料の膨張が助けて、シール能力、音響減衰又はその両方を改善することができる。
発泡剤は、1つ以上の窒素含有基、例えばアミド、アミン等を含みうる。好適な発泡剤の例として、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4i-オキシ-ビス-(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トリヒドラジノトリアジン及びN,Ni-ジメチル-N,Ni-ジニトロソテレフタルアミドが挙げられる。
活性化可能材料に発泡剤用の促進剤を備えうる。種々の促進剤を用いて、発泡剤が不活性ガスを形成する速度を高めうる。1つの好ましい発泡剤促進剤は金属塩、又は酸化物、例えば酸化亜鉛などの金属酸化物である。他の好ましい促進剤として、変性及び未変性チアゾール又はイミダゾールが挙げられる。
活性化可能材料中の発泡剤及び発泡剤促進剤の量は、所望の細胞構造型、活性化可能材料の所望の膨張量、所望の膨張速度などによって広く変化しうる。活性化可能材料中の発泡剤及び発泡剤促進剤の量の典型的範囲は、約0.001質量%〜約5質量%に及び、好ましくは活性化可能材料中、ごく少量の質量百分率である。
一実施形態では、本発明は、発泡剤の省略を想定する。しかし、好ましくは、本発明の材料、発泡剤又は両方が熱的に活性化される。或いは、他の手段、例えば湿気、放射線、その他によって活性化を実現するため、他の薬剤を使用しうる。
【0019】
〔硬化剤〕
活性化可能材料に1種以上の硬化剤及び/又は硬化剤促進剤を添加してよい。硬化剤及び硬化剤促進剤の量は、発泡剤と同様、所望の細胞構造型、活性化可能材料の所望の膨張量、所望の膨張速度、活性化可能材料の所望の構造特性などによって、活性化可能材料内で非常に広く変化しうる。活性化可能材料中に存在する硬化剤又は硬化剤促進剤の典型的範囲は、約0.001質量%〜約7質量%に及ぶ。
好ましくは、硬化剤は、ポリマー、エポキシ樹脂又は両方の架橋によって硬化するときに活性化可能材料を助ける。硬化剤が活性化可能材料を硬化するときに補助することも好ましい。有用な分類の硬化剤は、脂肪族若しくは芳香族アミン又はそのそれぞれの付加物、アミドアミン、ポリアミド、脂環式アミン、無水物、ポリカルボン酸ポリエステル、イソシアネート、フェノール系樹脂(例えば、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂、コポリマー、例えばフェノールテルペンのコポリマー、ポリビニルフェノール、又はビスフェノール-Aホルムアルデヒドコポリマー、ビスヒドロキシフェニルアルカン等)、又はその混合物である。特に好ましい硬化剤として、変性及び未変性ポリアミン又はポリアミド、例えばトリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタアミン、シアノグアニジン、ジシアンジアミド等が挙げられる。活性化可能材料の調製のため、硬化剤用の促進剤(例えば、変性又は未変性尿素、例えばメチレンジフェニルビスウレア、イミダゾール又はその組合せ)を供給してもよい。
【0020】
〔充填剤〕
活性化可能材料は、1種以上の充填剤を含んでもよい。充填剤としては、限定するものではないが、粒状材料(例えば、粉末)、ビーズ、ミクロスフェア等が挙げられる。好ましくは充填剤は、活性化可能材料中に存在する他の成分と一般的に反応しない材料を含む。一般的に充填剤は相対的に低重量で空間を詰めるために活性化可能材料内に存在するが、充填剤が活性化可能材料に強度及び衝撃抵抗等の特性をも与えうることが想定される。
充填剤の例として、シリカ、ケイソウ土、ガラス、クレイ(例えば、ナノクレイを含む)、タルク、顔料、着色剤、ガラスビーズ又はバブラー、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ナイロン又はポリアミド繊維(例えば、Kevlar)、酸化防止剤などが挙げられる。このような充填剤、特にクレイは、活性化可能材料の流動中にそれ自体を平滑化するのを補助することができる。充填剤として使用しうるクレイとして、か焼しうるカオリナイト、イライト、クロリテム、スメシタイト又はセピオライト群由来のクレイが挙げられる。好適な充填剤の例として、限定するものではないが、タルク、バーミキュライト、パイロフィライト、ソーコナイト、サポナイト、ノントロナイト、モンモリロナイト又はその組合せが挙げられる。クレイは、少量の他成分、例えば炭酸塩、長石、雲母及び石英を含んでもよい。充填剤は、塩化アンモニウム、例えば塩化ジメチルアンモニウム及び塩化ジメチルベンジルアンモニウムを含んでもよい。二酸化チタンをも使用しうる。
1つの好ましい実施形態では、1種以上の鉱物又は石型充填剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等を充填剤として使用しうる。別の好ましい実施形態では、ケイ酸鉱物、例えば、雲母を充填剤として使用しうる。
使用する場合、活性化可能材料中の充填剤は、活性化可能材料の10質量%以下乃至90質量%以上までの範囲でよいが、より典型的には、活性化可能材料の約30質量%〜約55質量%である。いくつかの実施形態では、活性化可能材料が約0質量%〜約3質量%、さらに好ましくは1質量%よりわずかに少ないクレイ又は同様の充填剤を含みうる。粉末(例えば約0.01〜50、さらに好ましくは約1〜25ミクロンの平均粒径)鉱物型充填剤は、約5質量%〜70質量%、さらに好ましくは約10質量%〜約50質量%を構成しうる。
【0021】
〔他の成分及び添加剤〕
ほとんど大部分のいずれの追加の化学薬品、材料、その他をも、それらが活性化可能材料に適し、かつ活性化可能材料の選択用途に適するとするならば、活性化可能材料に添加できると考えられる。
1つの好ましいポリマー添加剤はポリエチレンオキシド等の酸化物であり、相対的に高分子量の凝固剤として作用し、ガスを捕捉し、たるみを減らすのを補助できる。該凝固剤は、典型的に少なくとも約800,000、さらに典型的に少なくとも約2,000,000、なおさらに典型的に少なくとも約4,000,000(例えば、約5,000,000)の分子量を有するだろう。該添加剤の一例は商標名POLYOX WSRでDow Chemical Companyから市販されている。使用する場合、酸化物は活性化可能材料の典型的に少なくとも約0.1質量%であるが、活性化可能材料の典型的に約3質量%未満でもある。特に断らない限り、量はより多いか又は少なくてよい。
所望により、他の添加剤、薬剤又は性能改良剤をも活性化可能材料に含めてよく、限定するものではないが、UV抵抗剤、難燃剤、衝撃改良剤、熱安定剤、着色剤、加工助剤、潤滑剤、補強剤(例えば、チョップト若しくは連続ガラス、セラミック、アラミド、又は炭素線維、微粒子など)が挙げられる。
【0022】
活性化可能材料の適した成分を決定するとき、適切な時又は温度でのみ活性化(例えば、流動、発泡その他、状態を変える)するように該材料を形成することが重要である。例えば、いくつかの用途では、室温又はそうでなくても製造環境内における周囲温度で該材料が反応しうることは望ましくない。さらに典型的に、活性化可能材料は、より高い処理温度で活性化して流れるようになる。例として、特に活性化可能材料を他成分と共に高温又はより高い適用エネルギーレベルで処理するとき、例えば、塗装準備工程中、自動車部品プラントで遭遇する当該温度のような温度が妥当だろう。多くのコーティング操作(例えば、ペンキ及び/又はe-コート硬化オーブン内)で遭遇する温度は、例えば、約250℃までかそれ以上に及ぶ。
【0023】
〔活性化可能材料の形成及び適用〕
種々の新規又は既知の技術に従って活性化可能材料の形成を達成することができる。好ましくは、実質的に均一の組成物として活性化可能材料を形成する。しかし、種々の組合せ技術を用いて、活性化可能材料の特定位置の特定成分の濃度を増減しうる。
一実施形態によれば、ペレット、塊などの固体形態、若しくは液体形態又はその組合せで該材料の成分を供給することによって、活性化可能材料を形成する。典型的に、1つ以上の大型ビン(bin)又は他の容器内で成分をいっしょにする。好ましくは、容器を用いて、回転又は他のやり方で容器を動かして成分を混合することができる。その後、成分が撹拌又は他のやり方で混合されて単一の均一組成物になるように、熱、圧力又はその組合せを加えて成分を軟化又は液化しうる。
別の実施形態によれば、ポリマーベース材料等の一般的に容易に軟化又は液化される1種以上の成分を加熱して、当該成分を混合可能状態にすることによって活性化可能材料を形成しうる。その後、残りの成分を前記軟化成分と混合することができる。
使用成分によっては、活性化可能材料を活性化(例えば、ガラス化、流動、硬化又はそれ以外で活性化)させるつもりの特定活性化温度未満で該成分の温度が留まることを保証することが重要であろう。特に、活性化可能材料が発泡剤を含む場合、典型的に、活性化可能材料の形成中又は活性化可能材料を表面に適用する前、発泡剤を活性化する温度未満に活性化可能材料の温度を維持することが望ましい。より低い温度で活性化可能材料を維持することが望ましい状況では、圧力又は圧力と熱の組合せを利用して、活性化可能材料の成分を半固体又は粘弾性状態で維持して、該成分を混合することが望ましい。熱、圧力又は両方を材料に加えるために種々の機械が設計されている。
【0024】
活性化可能材料の形成後、典型的に物質の表面に該材料を適用して活性化する。材料の活性化は、活性化可能材料が発泡剤を含む状況では、少なくともある程度の発泡又は泡立ちを含みうる。このような発泡又は泡立ちは、物質を濡らして該物質との密接な結合を形成するときに活性化可能材料を助けうる。しかし、これとは別に、発泡又は泡立ちなしでも活性化可能材料が活性化して流動し、実質的に物質を濡らして密接な結合を形成しうることが分かるだろう。活性化可能材料が硬化すると、必ずではないが、典型的に密接な結合の形成が起こるだろう。
その意図した用途によっては、活性化可能材料を異なる方法及び異なる時に適用かつ活性化しうることを理解すべきである。そこで、以下に活性化可能材料の典型的使用法を記載して、活性化可能材料の適用及び活性化の好ましい方法論を説明する。特に、とりわけ、補強、シール及び接着、音響減衰などのために活性化可能材料を使用しうる。
【0025】
〔補強〕
活性化可能材料を用いて製品の構造部材を補強することができる。補強のために使用する場合、活性化可能材料を単独で使用し、或いは他の材料(例えば、裏材)と併用し、キャリア部材等に適用しうる。
一実施形態では、本発明の活性化可能材料をキャリア部材に適用して補強部材を形成し、この補強部材を自動車の構造部材で形成される空洞内に挿入する。自動車の構造部材は、ほとんどいずれの構造部材でもよく、限定するものではないが、フレーム部材、ボディー部材、柱構造体、閉鎖パネル、屋根部品、バンパー、その組合せ等が挙げられる。
種々の通常及び新規構成からキャリア部材を選択しうる。従って、本発明の活性化可能材料をキャリア部材、例えば、鋳造、押出し、型打ち部材(例えば、金属又はプラスチック、発泡又は非発泡;その典型的材料としてアルミニウム、マグネシウム、チタン、スチール、鋳造化合物(例えば、シート又はバルク鋳造化合物)、ポリアミド(例えば、ナイロン6又はナイロン6,6)、ポリスルホン、熱可塑性イミド、ポリエチレンイミド、ポリエチレンスルホン又はその組合せが挙げられる)に適用することができる。
本発明で使用しうるキャリア部材、構造補強適用などの例は、米国特許第6,474,723号;第6,467,834号;第6,419,305号;第6,358,584号;第6,311,452号;第6,296,298号;第6,263,635号(すべて本明細書で援用される)に開示されている。他の例は、米国特許出願第10/236,315号;第10/098,952号;第10/337,446号;第09/939,152号;第09/459,756号;第60/409,625号;第60/333,273号;第60/317,201号(この場合もすべて本明細書ですべての目的のため援用される)に開示されている。
【0026】
説明の目的のため、図1は、キャリア部材12で構成される補強部材10を示す。キャリア部材12の上には活性化可能材料の塊14が配置されている。見て取れるように、キャリア部材12は骨組みであり、複数のリブ20を含む。さらに、活性化可能材料は、実質的に均一の厚さの層でキャリア部材12上に配置されている。しかし、意図した用途によっては、キャリア部材12及び活性化可能材料をいずれの適切な形状又は構成に従っても形成しうることが想定される。
図2に示されるように、典型的な補強部材10は、自動車26の柱構造体24によって画定される空洞22中に挿入されている。空洞22中への挿入後、活性化可能材料の塊14を好ましくは活性化して、空洞22を画定する柱構造体24の壁に接着させる。例えば、e-コート又は塗装操作で塊14を高温にさらすことによって、活性化可能材料の塊14を流動性にし、かつ膨張させて柱構造体24の壁に接触させる。同時に又はその後、塊14が硬化して柱構造体24の壁に接着かつ結合することによって、自動車26の補強構造システム28を形成することができる。
また、説明の目的のため、図3及び4は、パネル36、活性化可能材料の層38及び裏材42で構成される補強パネル34の形成を示す。自動車のいずれの適切な部品もパネル36を備えうる。好ましい実施形態によれば、パネル36は、自動車の内部又は外部のボディーパネル(例えば、ドアパネル、屋根パネル、サイドパネル、閉鎖パネル等)として提供される。
種々の材料から裏材42を選択しうる。例えば、限定するものではないが、裏材を金属箔、金属シート、金属スクリーン等で形成しうる。これとは別の例として、ポリマー(例えば、熱可塑性プラスチック)フィルム、シート又はメッシュで裏材を形成しうる。さらに他の代替実施形態では、裏材をセルロース繊維材料、例えば含浸紙、非含浸紙、木材などで形成しうる。
【0027】
自動車パネル36の表面44に活性化可能材料の層38を適用し、かつ活性化可能材料の層38に裏材42を適用することによって、補強パネル34を形成する。層38への裏材42の適用前後又はそれと同時に自動車パネル36に活性化可能材料の層38を適用しうることを理解すべきである。
適用後、活性化可能材料の層38を好ましくは活性化してパネル36及び裏材42に接着かつ結合させる。例えば、e-コート又は塗装操作で層42を高温にさらすことによって、活性化可能材料の層42を流動かつ膨張させてパネル36と裏材42を接触かつ濡らす。同時に、又はその後、層42が硬化してパネル36と裏材42に接着することによって、補強パネル34を形成しうる。
補強用途で使うために特に適切な1つの典型的な活性化可能材料を下表Iに示す。
【0028】

【0029】
表Iは1つの具体的な処方を提供するが、種々の成分の質量百分率は±20%まで、±50%まで、又はそれ以上変化しうることが想定される。さらに、成分を除去又は追加し、また成分を交換することができる。例えば、変性尿素、ナノクレイ、シアノグアニジン、顔料又は他の成分の1つ以上を省略することが望ましい。さらに、他の発泡剤を他のメタクリレート、エポキシ樹脂、充填剤、繊維などと同様に置換してよい。
【0030】
〔構造接着〕
別の実施形態によれば、本発明の活性化可能材料を構造接着材料として使用することを想定する。該実施形態では、該材料が典型的に活性化かつ硬化して(例えば、e-コート又は自動車塗装操作に普通の温度で)第1部材と第2部材に接着する。第1部材と第2部材の付着面との接触は、該材料の活性化及び硬化の前又はその活性化及び硬化中に起こりうる。構造接着適用の例は、米国特許出願第10/234,902号;第10/386,287号;60/451,811号(すべて、本明細書ですべての目的のため援用される)に開示されている。
【0031】
〔非粘着面〕
本発明の別の実施形態では、本発明の材料の外面を、望ましくない材料移動又は粘着性なしで取り扱えるようにするために処理する。従って、合成材料を、取り扱いを容易にするため一般的に粘性のない層(約10ミクロン未満乃至約2cm(例えば、約1mm未満のオーダー))で提供することができる。この層は、プラスチック移動フィルム、水性塗料、粉末塗料その他の形態を取りうる。従って、本発明は、一般的に触れても粘着しない取扱い面を備える層を有する粘着性構造接着材料をも想定する。また、構造接着材料、前記層又は両方を本発明の活性化可能材料で形成することも想定される。
有利なことに、活性化可能材料はその適用において有益な特性を示した。さらに、本発明の活性化可能材料は、相対的に高い強度係数を示しながら、高い延性度をも示しうる。活性化可能材料は、特に本明細書で開示するような特定の組合せ及び成分の量(例えば、特定量の付加物の組合せ、特定量の衝撃改良剤又は両方)では、種々の望ましい特性を示しうる。これらの特性は、通常の二重重ね剪断試験法を用いて明らかに示される。該方法は、ASTM法D3528-96、タイプA構成に記載され、以下の試験パラメーターを使用:試験被着体は、アセトンで予備洗浄した1.524mm(0.060インチ)厚、25.4mm(1インチ)×102mm(4インチ)のEG-60金属;各接着ボンドラインは3mmであり;試験重なり寸法は25.4mm(1インチ)×12.7mm(0.5インチ);試験速度は12.7mm(0.5インチ)/分である。このような試験方法を用いて以下のような望ましい特性を導くことができる:破壊歪み(strain-to-break)をピーク応力時歪み(strain-at-peak stress)で除した比率(本明細書では、延性率と称する);破壊時の歪みを面積計算用の端値として用いて応力-歪み曲線下の面積として計算される破壊エネルギー(energy-to-break)。
一実施例として、本発明に従って形成した特定の活性化可能材料は、約2.0より大きい、さらに典型的に約2.5より大きい、さらにおそらく約2.8より大きい活性化後の延性率を示した。別の例として、本発明に従って形成した特定の活性化可能材料は、上記試験方法に従って決定した場合、約550Nmmより大きい、さらに典型的に約700Nmmより大きい、おそらく約750Nmmより大きい活性化後の破壊エネルギー値を示した。
【0032】
なお別の実施例として、本発明に従って形成した特定の活性化可能材料は、ASTM D638 タイプIV試験法に準拠して決定した場合、約15MPaより大きい、さらに典型的に約200MPaより大きい、さらにおそらく約350MPaより大きい、活性化後の引張り係数を示した。さらに、活性化可能材料は、特に固体として与えた場合、典型的に破壊(例えば、切削など)を受けにくい。
本発明に従って形成した活性化可能材料は、望ましい活性化後の圧縮特性をも示した。特に、本発明の活性化可能材料を発泡させてサンプルを形成してからASTM C39に基づく方法に準拠して試験した。この方法を本明細書で記載するが、いずれの不特定パラメーターもASTM C39に従うことを理解すべきである。シリンダー又は円筒状カップ内で活性化可能材料を発泡させた後、該シリンダー又はカップから伸長する過剰の泡を除去することによって(例えば、シリンダー又はカップから伸長する泡を切り取ることによって)サンプルを形成した。サンプルは、発泡前の活性化可能材料の元の体積に対して典型的に1000%未満、さらに典型的に750%未満、なおさらに典型的に500%未満の体積に発泡する。これを行って、高さ60mm直径30mmの円柱状サンプルを形成する。次に、円柱状サンプルをASTM C39に準拠して試験する。
【0033】
図5を参照すると、サンプルが12.7mm(0.5インチ)/分の速度で圧縮され、応力/歪み曲線70が記録される。圧縮は、30%の歪みに達するまで続き;これは元の高さ60mmから最終高さ42mmに円柱を破壊することに相当する。周囲条件下で試験を行う。圧縮強さについては、引張り試験片によって耐えられた応力の最大値である値72が得られる。延性の評価では、30%の最終歪みレベルで試験片によって耐えられた応力レベル74も得られる。次に、30%の歪みにおける応力レベル74を、試験片によって耐えられた最大応力70で除して比率を定めた。本明細書では、この比率を30%歪みでの強度保持率と称する。
200%、300%又は400%に発泡した本発明の活性化可能材料の30%歪みでの強度保持率は、典型的に少なくとも0.7であるが、おそらく低く、さらに典型的に少なくとも0.77、なおさらに典型的に少なくとも0.8、さらにおそらく少なくとも0.84又は0.88であろう。比較目的のため、図1は、試験して0.6未満の30%歪みでの強度保持率を有する以前の活性化可能材料の典型的曲線80を示す。本発明の活性化可能材料のこの特性は、典型的に、発泡が上記パラメーター未満であるか又は発泡しない限り、相対的に発泡量と無関係であることに留意されたい。このような高い強度の保持を有することは、これら活性化可能材料がより大きいエネルギーを吸収できるようにする。
【0034】
特に断らない限り、本明細書で示した種々の構造の寸法及び幾何学は、本発明を限定する意図ではなく、他の寸法及び幾何学が可能である。単一の統合された構造が複数の構造成分を具備することがある。或いは、単一の統合された構造を別個の複数の成分に分割することができる。さらに、本発明の特徴を1つの例示実施形態についてのみの内容で述べたが、このような特徴は、いずれの所定用途についても、他の実施形態の1以上の他の特徴と組み合わせうる。本明細書の独特な構造の製作及びその操作も本発明の方法を構成することも上記から明らかだろう。
本発明の好ましい実施形態について開示した。しかし、本技術の当業者は、特定の変形がこの発明の教示内に入ることを認めるだろう。従って、添付の特許請求の範囲を研究して、本発明の真の範囲及び内容を決定すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の局面に従って形成された補強部材の斜視図である。
【図2】本発明の局面に従う自動車の斜視図である。
【図3】本発明の局面に従って補強されているパネルの斜視図である。
【図4】本発明の局面に従って形成された補強パネルの斜視図である。
【図5】本発明の典型的な活性化可能材料の活性化後の圧縮試験のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の部分をシール、バッフル又は補強する方法であって、以下の工程を含む方法:
下記成分:
i)エポキシ樹脂;
ii)少なくとも約10質量%のエポキシ/エラストマー付加物;
iii)少なくとも約10質量%のコア/シェルポリマー衝撃改良剤;及び
iv)硬化剤
を含む活性化可能材料を形成する工程;
前記活性化可能材料を前記自動車の部材の表面の上に、又は前記表面に近接して配置する工程;
前記活性化可能材料を活性化して、前記自動車の前記部材の前記表面に前記活性化可能材料を結合する工程。
【請求項2】
前記材料を配置する工程が、第1及び/又は第2活性化可能材料をキャリア部材上に置くこと及び前記自動車の前記部材に近接して前記キャリア部材を配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリア部材が、複数の横リブを横切る複数の縦リブを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記活性化可能材料が発泡剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記活性化可能材料がポリエチレンオキシドを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記コア/シェル衝撃改良剤が、前記活性化可能材料の少なくとも13質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記コア/シェル衝撃改良剤が、架橋型ゴムである第1コアポリマーで構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記コア/シェル衝撃改良剤の第2ポリマーが、スチレンポリマー、アクリロニトリルポリマー、アクリレートポリマー、アセテートポリマー、ポリアミド、ポリエチレン等から成る群より選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記衝撃改良剤が乳化重合で形成される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記衝撃改良剤がコア-シェルグラフトコポリマーである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記衝撃改良剤がポリメチルメタクリレートシェルとブタジエンスチレンコアを有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記活性化可能材料が、活性化後に、少なくとも約700Nmmの破壊エネルギーと、約2.5より大きい活性化後の延性率を示す、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記活性化可能材料が、活性化すると、泡を形成する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記活性化可能材料が、少なくとも0.8である、活性化後の30%歪みでの強度保持率を示す、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−540061(P2009−540061A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514495(P2009−514495)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/070404
【国際公開番号】WO2008/014053
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(508036075)ゼフィロス インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】