説明

シールド編組部の接続構造及び接続方法

【課題】大がかりな装置等を用いずにシールド電線の編組部と端子との電気的接続を経時的な接触性の低下なく、低コストで簡単且つ確実に行わせる。
【解決手段】シールド電線15の編組部13に端子1,2’を圧着接続するシールド編組部の接続構造や接続方法で、端子1,2’と編組部13とを導電性接着部材5で接着且つ電気的に接続した。導電性接着部材5を、導電性テープ3と、導電性テープの両面の導電性接着剤4とで構成した。導電性接着部材19を、非導電性テープ18と、非導電性テープの外周面の導電性接着剤4とで構成した。導電性接着部材20を、非導電性テープ18’と、非導電性テープに浸透した導電性接着剤4とで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド電線の編組部に端子を圧着接続した際の経時的な電気的接触性の低下を防止し得るシールド編組部の接続構造及び接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シールド電線の導電金属製の編組部に導電金属製の端子を圧着接続する場合、編組部の内側に比較的柔軟な合成樹脂製の絶縁内皮があるために、編組部の外周面を端子で圧着接続しても、経時的に圧着が緩んで(圧着力が低下し)、編組部と端子との電気抵抗が増大して、シールド電線の信号線である芯線のシールド性(電磁遮蔽性)や、シールド電線によるコネクタや機器等のシールドアース性が悪化するという問題があった。
【0003】
そこで、本出願人は、図10(a)〜(c)に示すシールド編組部の接続構造及び接続方法を提案した(特許文献1参照)。
【0004】
これは、シールド(アース)用の端子1の圧着部2の内面にハンダ等の低融点接合材21を塗布し、シールド電線15の編組部(編組線)13に端子1の圧着部2をセットし、圧着用の上型22を超音波ホーンとして振動させつつ圧着部2を下型(アンビル)23との間で加圧することで、低融点接合材21を溶融させ、低融点接合材21で編組部13と端子1の圧着部2とを溶着させるものである。
【0005】
図10(a)の如く、シールド電線15の導電金属製の芯線11には別の主端子16が圧着接続される。芯線11は収縮性の低い金属であるから、主端子16は芯線11の各素線に対して経時的な緩みなく強固に接続される。主端子16には主電流や信号電流等が通電される。芯線11の外側に絶縁内皮12が設けられ、絶縁内皮12の外側に編組部13が設けられ、編組部13の外側に絶縁外皮14が設けられている。
【0006】
図10(b)のシールド用の端子1は略L字状のタブ部8を有し、タブ部8は主端子16と並列に位置し、図10(c)の端子1と編組部13との圧着接続後に、両端子1,16はコネクタハウジング内に収容されてコネクタ(図示せず)を構成し、機器やワイヤハーネス等の相手側コネクタ(図示せず)に接続される。端子1は例えばコネクタや機器等の電気的ノイズを編組部13を経て外部にアースする。
【特許文献1】特開2000−58153号公報(第3〜4頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のシールド編組部の接続構造及び接続方法にあっては、圧着用の上型22を超音波ホーンとして振動させる装置を必要とするために、圧着装置が複雑化・大型化・高コスト化するという問題があった。また、低融点接合材21の溶融に伴う熱影響で合成樹脂製の絶縁内皮12の耐久性が低下するという心配もあった。
【0008】
本発明は、上記した点に鑑み、大がかりな装置を用いたり熱影響を与えたりすることなく、シールド電線の編組部と端子との電気的接続を経時的な接触性の低下なく、低コストで簡単且つ確実に行わせることのできるシールド編組部の接続構造及び接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るシールド編組部の接続構造は、シ
ールド電線の編組部に端子が圧着接続されたシールド編組部の接続構造において、該端子と該編組部とが導電性接着部材で接着且つ電気的に接続されたことを特徴とする。
【0010】
上記構成により、端子の圧着力で編組部が内側の絶縁内皮に押し付けられ、経時的に絶縁内皮が縮径して、編組部と端子との接触圧力が低下した場合でも、編組部と端子とが導電性接着部材で接着されているから、編組部と端子との電気抵抗が増大することがなく、編組部と端子とが長期間に渡って良好な電気的接続状態に維持される。
【0011】
請求項2に係るシールド編組部の接続構造は、請求項1記載のシールド編組部の接続構造において、前記導電性接着部材が、導電性テープと、該導電性テープの両面の導電性接着剤とで構成されたことを特徴とする。
【0012】
上記構成により、導電性テープの外面側の導電性接着剤(導電性粘着剤)が端子の内面に接着し、導電性テープの内面側の導電性接着剤(導電性粘着剤)が編組部の外面に接着し、導電性テープの外面側が端子に電気的に接続され、導電性テープの内面側が編組部に電気的に接続され、導電性テープを介して端子と編組部とが電気的に接続される。導電性接着剤は少なくとも導電性テープの表裏面(内外面)に付着していればよく、導電性テープの外周面(表裏面及び側面)に付着していてもよい。
【0013】
請求項3に係るシールド編組部の接続構造は、請求項1記載のシールド編組部の接続構造において、前記導電性接着部材が、非導電性テープと、該非導電性テープの外周面の導電性接着剤とで構成されたことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、非導電性テープの外面側の導電性接着剤(導電性粘着剤)が端子の内面に接着し、非導電性テープの内面側の導電性接着剤(導電性粘着剤)が編組部の外面に接着し、非導電性テープの内外面(表裏面)の導電性接着剤が非導電性テープの側面(一側面又は両側面)の導電性接着剤で電気的に導通される。非導電性テープの外周面の導電性接着剤を介して端子と編組部とが電気的に接続される。
【0015】
請求項4に係るシールド編組部の接続構造は、請求項1記載のシールド編組部の接続構造において、前記導電性接着部材が、非導電性テープと、該非導電性テープに浸透した導電性接着剤とで構成されたことを特徴とする。
【0016】
上記構成により、非導電性テープの外面側の導電性接着剤が端子の内面に接着し、非導電性テープの内面側の導電性接着剤が編組部の外面に接着し、非導電性テープの外面側と内面側の導電性接着剤が非導電性テープの内側の導電性接着剤で電気的に導通される。非導電性テープの外面側と内面側と内側の導電性接着剤を介して端子と編組部とが電気的に接続される。非導電性テープとしては、例えば不織布等のポーラス状(多孔質)のものを用いることが好ましい。導電性接着剤としては粘度が低くて浸透性が良く、浸透後に粘着性を発揮するものを用いることが好ましい。
【0017】
請求項5に係るシールド編組部の接続方法は、端子の圧着部内面又はシールド電線の編組部の外面に導電性接着部材を設け、該端子と該編組部との間に該導電性接着部材を位置させた状態で、該端子と該編組部とを圧着接続することを特徴とする。
【0018】
上記構成により、端子の圧着力で編組部が内側の絶縁内皮に押し付けられ、経時的に絶縁内皮が縮径して、編組部と端子との接触圧力が低下した場合でも、編組部と端子とが導電性接着部材で接着されているから、編組部と端子との電気抵抗が増大することがなく、編組部と端子とが長期間に渡って良好な電気的接続状態に維持される。導電性接着部材は、例えば、導電性テープと導電性テープの両面の導電性接着剤とで構成したり、非導電性テープと非導電性テープの外周面の導電性接着剤とで構成したり、非導電性テープと非導電性テープに浸透した導電性接着剤とで構成したりすることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上の如く、請求項1,5記載の発明によれば、シールド電線の経時変化によっても編組部と端子とのシールド接触性が低下することがなく、長期間に渡ってシールド電線による良好なシールド性能が維持される。また、既存の圧着機を用いて、編組部と端子との圧着及び接着を容易に且つ低コストで行うことができ、端子付きシールド電線の低コスト化と生産性の向上が図られる。また、編組部と端子との接着を熱影響なく行うことができるから、シールド電線の絶縁内皮の耐久性が向上する。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、導電性テープの使用でシールド接続構造が軽量化・小径化されると共に、導電性接着剤付きの導電性テープを通常の両面テープのように切断したり剥離テープを剥がしたりして簡単に取り扱うことができ、端子や編組部への導電性テープの接着作業性が向上する。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、導電性接着剤付きの非導電性テープの使用でシールド接続構造が軽量化・小径化されると共に、導電性接着剤付きの非導電性テープを通常の両面テープのように切断したり剥離テープを剥がしたりして簡単に取り扱うことができ、端子や編組部への導電性テープの接着作業性が向上する。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、導電性接着剤の浸透した非導電性テープの使用でシールド接続構造が軽量化・小径化されると共に、導電性接着剤の浸透した非導電性テープを通常の両面テープのように切断したり剥離テープを剥がしたりして簡単に取り扱うことができ、端子や編組部への導電性テープの接着作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1〜図5は、本発明に係るシールド編組部の接続構造及び接続方法の一実施形態を示
すものである。
【0024】
図1において、導電金属製のシールド(アース)用の端子1の圧着部2にはその内面に導電性テープ3が接着され、導電性テープ3にはその表裏両面に導電性接着剤(導電性粘着剤)4が塗布され、テープ裏面の導電性接着剤4で導電性テープ3が圧着部2の内面に接着固定且つ電気的に接続されている。
【0025】
導電性テープ3の表面には図4の如くシールド電線15の導電金属製の編組部(編組線)13が圧着と同時にテープ表面の導電性接着剤4で接着固定且つ電気的に接続される。
【0026】
導電性テープ3は、図2の如く、不使用時に表面側を剥離式の絶縁テープ(剥離紙)6で覆われ、その状態で通常の両面テープ(図示せず)と同様に螺旋状に巻回され、導電性テープ3の裏面側は下層の絶縁テープ(図示せず)で覆われる。導電性テープ3をシート状に平坦に形成する場合は、導電性テープ3の両面を剥離式の絶縁テープ6で覆う。
【0027】
導電性テープ3としては、銅箔やアルミ箔等の導電性の金属箔を用いることが好適である。金属箔に代えて編組部のような網状金属を用いることも可能である。
【0028】
導電性テープ3の両面の導電性接着剤4としては、エポキシ樹脂系接着剤やホットメルト接着剤やゴム系溶材系接着剤や弾性接着剤やフェノール樹脂系接着剤といった粘着剤に、導電金属やカーボン等の繊維(ファイバ)や粉を混合させたものが好ましい。
【0029】
あるいは、金属箔等を使用せずに、粘着剤の内部に導電金属やカーボン等のファイバを基材として混入させたものを直接、導電性テープ3として使用することも可能である。この場合も導電性テープ3は剥離紙6で覆われて外部との不意な接着を防止される。あるいは、不織布等のポーラス状の非導電性テープ(テープ本体)の内部に導電性接着剤(導電性粘着剤)4をしみ込ませた(浸透させた)ものを導電性テープ3として使用することも可能である。これらの場合、導電性テープ3自体が導電性接着部材と呼称される。
【0030】
導電性テープ3は使用時に適宜長さ・形状に切断し、絶縁テープ6を剥がして、図1の如くシールド用の端子1の圧着部2の内面に接着固定させる。
【0031】
一例として、図3の如く、絶縁テープ6を表面に付けた状態で、導電性テープ3をその絶縁テープ6側から吸引治具7で吸引しつつ、端子1の圧着部2に導電性テープ3の裏面(導電性接着剤4の露出した側)を押し付けて貼り付ける。その後、表面側の絶縁テープ6を手又は吸引治具7の吸引で剥がして、図4の圧着を行う。
【0032】
この吸引治具7は端子1の圧着部2の形状に合った略U字状に形成され、導電性テープ3を吸引する複数(少なくとも左右各一つ)の孔(図示せず)を有し、孔はバキューム機(図示せず)に接続される。
【0033】
上記の吸引操作は自動圧着機(図示せず)に対応したものであり、多種少量生産等の場合は導電性テープ3を手作業で端子1の圧着部2に貼り付けることも可能である。
【0034】
導電性テープ3の切断は、自動圧着機に対応してパンチとダイスあるいはカッタ刃等(図示せず)で行ったり、手作業の場合は鋏や、巻きテープをカットするテープカッタ等(図示せず)で行うことも可能である。
【0035】
図1の端子1は、略U字状に屈曲した圧着部2の基端に略L字ないしコの字状の板状のタブ部8を有している。圧着部2は左右一対の圧着片9と、圧着片9を立ち上げる湾曲状の底部10とで構成され、底部10は基板部としてタブ部8に続いている。
【0036】
図1の端子1はあくまでも一例であり、他の端子(図示せず)として、圧着部に続く基板部と、基板部に続く円筒状ないし矩形筒状等の外側接触部とを有するものを使用することも可能である。この形態の端子は例えば特開2003−151694号公報で本出願人が提案しており、シールド電線(同軸ケーブル)の芯線は別の主端子に接続され、主端子は外側接触部の内側で絶縁樹脂製のコネクタハウジング内に収容され、外側接触部はコネクタハウジングの外周を覆って位置する。
【0037】
また、その他の端子(図示せず)として、圧着部に続く鍔状の電気接触部を有し、鍔状の電気接触部をコネクタハウジングのアース用の導電部に接触させる構造のものを使用することも可能である。
【0038】
また、圧着部2としては、一対の圧着片9を有するものに限らず、円筒形のものを使用し、スウェージング加工等の全周加締によってシールド電線15の編組部13に接続させることも可能である。
【0039】
図1の端子1の圧着部2の内面に導電性テープ3を接着した後、圧着部2の内側にシールド電線15の編組部13をセットし、従来例の図6と類似の既存の圧着機の上型(従来例の超音波振動機構は不要である)と下型との間で圧着部2を図4の如く円筒状に加締める。
【0040】
あるいは、図1の端子1の圧着部2には導電性テープ3を設けず、図4のシールド電線15の編組部13の外周面に同様の導電性テープ3を接着した後、圧着部2の内側に編組部13をセットし、類似の既存の圧着機の上型(従来例の超音波振動機構は不要である)と下型との間で圧着部2を図4の如く円筒状に加締める。
【0041】
これらにより、図5(図4のA−A断面図)の如く、圧着部2と編組部13との間に導電性テープ3が隙間なく密着して環状に位置し、導電性テープ3の外周面が導電性粘着剤4で圧着部2の内周面に接着固定され、導電性テープ3の内周面が導電性粘着剤4で編組部13の外周面に接着固定され、圧着部2と編組部13とが導電性テープ3とその両面の導電性粘着剤4を介して強固に固定され、且つ確実に電気的に接続される。
【0042】
編組部13の内側には合成樹脂製の絶縁内皮12が位置し、絶縁内皮12の内側には導電金属製の芯線11が位置し、芯線11には予め、あるいはシールド用の端子1の接続後に図1の如く主端子16が圧着接続され、編組部13の外側に合成樹脂製の絶縁外皮14が位置し、端子1の円筒状の圧着部2と絶縁外皮14とはほぼ同程度の外径寸法で前後に同軸に位置する。
【0043】
編組部13に端子1の圧着部2を圧着した後、経時的に編組部13の内側の絶縁内皮12が圧着力で縮径して、編組部13と圧着部2との間に緩みを生じようとしても、編組部13と圧着部2とが導電性粘着剤4付きの導電性テープ3で離れないように強固に接合されているから、編組部13と絶縁内皮12との間に隙間を生じても、何ら編組部13と圧着部2との電気的接続性能が悪くなることがなく、編組部13と圧着部2との電気的抵抗が増加することがなく、編組部13と圧着部2とは長期間に渡って常に低い電気抵抗で良好な導電性能を確保し、長期間に渡ってシールド電線15の良好なシールド(電磁遮蔽)性能が発揮される。
【0044】
なお、上記実施形態においては、導電性接着部材として導電性接着剤4付きの導電性テープ3を用いたが、これに代えて接着性の導電性ペースト自体や導電性接着剤自体で構成される導電性接着部材(図示せず)を用いることも有効である。
【0045】
これら導電性ペースト自体や導電性接着剤自体で構成される導電性接着部材は図1の端子1の圧着部2の内面に塗布や付着させたり、図4のシールド電線15の編組部13の外周面に塗布や付着させ、その状態で端子1の圧着部2を編組部13に圧着させる。導電性ペーストや導電性接着剤は塗布時や付着時に軟化し、放置により硬化するものであることが好ましい。
【0046】
また、シールド電線15の編組部13として銅箔等の導電箔(図示せず)を用いることも可能であり、この導電箔と端子1の圧着部2との接続に上記導電性接着剤付きの導電性テープ3や導電性接着剤自体等の導電性接着部材を用いることも有効である。導電箔を編組部と呼称してもよく、あるいは編組部13や導電箔をシールド部と総称してもよい。
【0047】
上記した導電性接着剤4付きの導電性テープ3で成る導電性接着部材5は、図6にそのイメージ図を示す如く、導電性テープ3の表裏表面に導電性接着剤4を付着させたもので、導電性テープ3の幅方向の側面には導電性接着剤4が付着していなくてもよい。
【0048】
図7に示す如く、導電性テープ3に代えて非導電性テープ18を用いた場合は、非導電性テープ18の表裏両面と幅方向の側面(一側面のみでもよいが、好ましくは両側面)に導電性接着剤(導電性粘着剤)4を付着させることで、導電性接着部材19を構成する。側面の導電性接着剤4を介して表裏面の導電性接着剤4が電気的に導通される。
【0049】
また、図8(a)(b)に示す如く、非導電性テープとして前記不織布等のポーラス状(多孔質)の非導電性テープ18’を用いる場合は、図8(a)の如くポーラス状の非導電性テープ18’を所要長さに切断した後、あるいは切断する前の長尺状の形態で、図8(b)の如く非導電性テープ18’に導電性接着剤4を塗布したり、あるいは非導電性テープ18’を導電性接着剤4の入った容器内に浸したりして、非導電性テープ18’の内部に導電性接着剤4を浸透させることで、非導電性テープ18’の表裏面の導電性接着剤4が内部の導電性接着剤4によって電気的に導通されて、導電性接着部材20が構成される。
【0050】
図9は、本発明のシールド編組部の接続構造及び接続方法の一変形例を示すものである。本例では説明の便宜上、導電性接着部材として導電性テープ3の表裏面に導電性接着剤4を付着させたものを使用しているが、上記した各形態の導電性接着部材(5,19,20等)を用いることが可能である。
【0051】
このシールド編組部の接続構造及び接続方法は、上記シールド用の端子1(図1)に代えて圧着部で成る端子符号2’を用い、端子1のタブ部8に代えて細径な電線17を端子2’とシールド電線15の編組部13との間に挟み込んで接続したことを特徴とするものである。
【0052】
端子2’の形状は図1の端子1の圧着部2の形状と同様であり、初期形状が略U字状で、加締後の形状が環状(円筒状)となる。端子2’の内面には前例同様に表裏両面に導電性粘着剤4の付いた導電性テープ3が貼られ、電線17の露出した導体部(芯線)17bは導電性テープ3と編組部13との間に挟み込まれて、端子2’と編組部13との両方に電気的に接続される。
【0053】
圧着により電線17の導体部17bは編組部13に食い込むように密着し、且つ導電性粘着剤4で端子2’の内面側の導電性テープ3と編組部13とにしっかりと接着固定される。これにより、電線17の経時的な抜け出しが確実に防止され、且つ電線17と編組部13とが経時的な緩みなく長期間に渡って良好な電気的接続状態を維持する。
【0054】
電線17の先端側の導体部17aは例えば機器側のアース部等(図示せず)にねじ止めやハンダ付け等で接続されたり、あるいは導体部17aに小端子(図示せず)を圧着接続し、小端子を主端子16と共にコネクタハウジング内に収容して、機器やワイヤハーネス等の相手側コネクタ(図示せず)に接続する。電線17はシールドアース線として使用される。電線17の両端末の導体部17a,17bは絶縁被覆17cを剥いで露出させる。
【0055】
前述のように、図9の実施形態においても、導電性接着部材として導電性テープ3と導電性接着剤4に代えて導電性ペースト自体や導電性接着剤自体等を用いることが可能である。また、電線17の導体部17bを端子2’と導電性テープ3との間に挟んで仮固定させ、その状態でシールド電線15の編組部13を端子2’内にセットして図9の圧着(本固定)を行うことも可能である。また、端子2’を含む端子の形状や主端子16の形状は必要に応じて適宜変更可能である。また、圧着方法としてスウェージング加工を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係るシールド編組部の接続構造及び接続方法におけるシールド用の端子の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同じく端子に貼る導電性テープの一実施形態を示す斜視図である。
【図3】導電性テープを端子に貼る方法の一例を示す斜視図である。
【図4】シールド電線の編組部に端子を圧着接続した端子付きシールド電線を示す斜視図である。
【図5】図4のA−A断面図(円内は要部拡大図)である。
【図6】導電性テープを用いた導電接着部材を示す断面図(説明図)である。
【図7】非導電性テープを用いた導電接着部材の一形態例を示す断面図(説明図)である。
【図8】非導電性テープを用いた導電接着部材の他の形態例を示す断面図(説明図)である。
【図9】本発明のシールド編組部の接続構造及び接続方法の一変形例を示す斜視図である。
【図10】(a)〜(c)は従来のシールド編組部の接続構造及び接続方法を工程順に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
1,2’ 端子
2 圧着部
3 導電性テープ
4 導電性接着剤
5,19,20 導電性接着部材
13 編組部
15 シールド電線
18,18’ 非導電性テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド電線の編組部に端子が圧着接続されたシールド編組部の接続構造において、該端子と該編組部とが導電性接着部材で接着且つ電気的に接続されたことを特徴とするシールド編組部の接続構造。
【請求項2】
前記導電性接着部材が、導電性テープと、該導電性テープの両面の導電性接着剤とで構成されたことを特徴とする請求項1記載のシールド編組部の接続構造。
【請求項3】
前記導電性接着部材が、非導電性テープと、該非導電性テープの外周面の導電性接着剤とで構成されたことを特徴とする請求項1記載のシールド編組部の接続構造。
【請求項4】
前記導電性接着部材が、非導電性テープと、該非導電性テープに浸透した導電性接着剤とで構成されたことを特徴とする請求項1記載のシールド編組部の接続構造。
【請求項5】
端子の圧着部内面又はシールド電線の編組部の外面に導電性接着部材を設け、該端子と該編組部との間に該導電性接着部材を位置させた状態で、該端子と該編組部とを圧着接続することを特徴とするシールド編組部の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−156363(P2006−156363A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313855(P2005−313855)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】