説明

ジョブ処理装置及び当該ジョブ処理装置のジョブログの管理方法及びジョブ履歴管理システム

【課題】 従来は、単一のデジタル複合機における履歴情報を得ているため、これら二つの複合機を使用した一連の操作を統合した履歴情報を得ることは困難である。
【解決手段】 ネットワークを介して接続された自機101及び他の複合機102を使用したスキャンジョブ及びプリントジョブを含むジョブの実行が指示されると、自機101で実施するスキャンジョブを実行して実行した第1ジョブの履歴情報を作成し、他の複合機102を使用した第2ジョブの実行をネットワークを介して他の複合機102に指示する。そして他の複合機102で実行されたプリント2ジョブの履歴情報の一部をネットワークを介して受信すると、その受信したプリントジョブの履歴情報の一部とスキャンジョブの履歴情報とを関連付けてログデータベース305に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブ処理装置と、当該ジョブ処理装置のジョブログの管理方法、及びネットワークを介して接続された複数のジョブ処理装置を有するジョブ履歴管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、スキャナ等の機能を有するデジタル複合機(MFP)は近年急速に普及している。これらデジタル複合機には多様な機種が存在しており、互いに機能が異なる複数のデジタル複合機を於フィルに設置可能である。
【0003】
一方、これらの複合機での操作や、この複合機を使用した印刷やデータ送信等に関する履歴情報は、情報の漏えい防止や情報の追跡といったセキュリティの観点から非常に重要な情報となってきている。こうした環境において、各複合機における操作履歴やジョブログの管理方法においても、正確で、且つ可能な限りユーザや機器管理者の利便性を損なわない方法が求められている。
【0004】
一般に、ジョブログと呼ばれるデジタル複合機の操作や印刷等の履歴情報は、各デジタル複合機毎に生成されて管理される。特許文献1は、印刷ジョブが実行されたか否か等を含むジョブの履歴情報の管理を目的としている。具体的には、複数のMFPと接続され、各MFPで印刷を実行したユーザに対して、一定期間が経過した後に電子メールで通知する印刷ジョブ管理装置が提案されている。これは各デジタル複合機に対するユーザの操作や印刷指示に対して、その結果である履歴情報を適正にユーザに通知するものである。しかしこの方法は、個々のデジタル複合機で実行されたユーザの操作や印刷指示の履歴情報を管理、通知するもので、例えば複数のデジタル複合機の機能を連携させるような操作を実行した場合には、その履歴情報が正確にユーザに通知されない。
【特許文献1】特開2005−078160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また例えば、第一のデジタル複合機でスキャンして読み取った原稿の画像を、第二のデジタル複合機で印刷する場合を想定する。ユーザによるこのような操作に関する履歴情報は、第一のデジタル複合機におけるスキャン操作と、第二のデジタル複合機における印刷の履歴情報で構成される。従って、上述した従来の方法では、単一のデジタル複合機における履歴情報を得ているため、これら二つの複合機を使用した一連の操作を統合した履歴情報を得ることは困難である。つまり、ユーザまたは機器の管理者は、第一のデジタル複合機でスキャンした操作の履歴、及び第二のデジタル複合機の印刷の履歴情報をそれぞれ別々に取得して管理しなければならない。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決することにある。
【0007】
本願発明の一態様に係る発明によれば、複数のジョブ処理装置が連携して動作して実行されるジョブのログを相互に関連づけて管理することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係るジョブ処理装置は以下のような構成を備える。即ち、
自装置及び他のジョブ処理装置を使用した第1及び第2ジョブを含む連携ジョブの実行が指示されると、前記自装置で実施する第1ジョブを実行し、実行した前記第1ジョブの履歴情報を作成するジョブ実行手段と、
前記ジョブ実行手段で作成した前記第1ジョブの履歴情報を、当該第1ジョブの履歴情報を識別するための第1識別情報と関連付けてジョブログ記録手段に記録するジョブログ管理手段と、
前記他のジョブ処理装置を使用した前記第2ジョブの実行を、ネットワークを介して前記他のジョブ処理装置に指示する指示手段と、
前記他のジョブ処理装置で実行された前記第2ジョブの履歴情報を識別するための第2識別情報を、前記ネットワークを介して受信する受信手段とを有し、
前記ジョブログ管理手段は、前記第1識別情報、前記受信手段で受信した前記第2識別情報、及び前記第1ジョブの履歴情報を関連付けて前記ジョブログ記録手段に記録することを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係るジョブ処理装置のジョブログの管理方法は以下のような工程を備える。即ち、
自装置及び他のジョブ処理装置を使用した第1及び第2ジョブを含む連携ジョブの実行が指示されると、前記自装置で実施する第1ジョブを実行し、実行した前記第1ジョブの履歴情報を作成するジョブ実行工程と、
前記ジョブ実行工程で作成した前記第1ジョブの履歴情報を、当該第1ジョブの履歴情報を識別するための第1識別情報と関連付けてログデータベースに記録するジョブログ管理工程と、
前記他のジョブ処理装置を使用した前記第2ジョブの実行を、ネットワークを介して前記他のジョブ処理装置に指示する指示工程と、
前記他のジョブ処理装置で実行された前記第2ジョブの履歴情報を識別するための第2識別情報を、前記ネットワークを介して受信する受信工程とを有し、
前記ジョブログ管理工程は、前記第1識別情報、前記受信工程で受信した前記第2識別情報、及び前記第1ジョブの履歴情報を関連付けて前記ログデータベースに記録することを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係るジョブ履歴管理システムは以下のような構成を備える。即ち、
ネットワークを介して接続された複数のジョブ処理装置を有するジョブ履歴管理システムであって、
前記複数のジョブ処理装置のうちの第1のジョブ処理装置は、
前記第1のジョブ処理装置と他のジョブ処理装置である第2のジョブ処理装置とを使用した第1及び第2ジョブを含む連携ジョブの実行が指示されると、前記第1ジョブを実行し、実行した前記第1ジョブの履歴情報を作成するジョブ実行手段と、
前記ジョブ実行手段で作成した前記第1ジョブの履歴情報を、当該第1の履歴情報を識別するための第1識別情報と関連付けてログデータベースに記録するジョブログ管理手段と、
前記第2のジョブ処理装置を使用した前記第2ジョブの実行を、前記ネットワークを介して前記第2のジョブ処理装置に指示する指示手段と、
前記第2のジョブ処理装置で実行された第2ジョブの履歴情報を識別するための第2識別情報を、前記ネットワークを介して受信する受信手段とを有し、
前記第2のジョブ処理装置は、
前記指示手段による指示に応じて前記第2ジョブを実行し、実行した前記第2ジョブの履歴情報を作成する実行手段と、
前記実行手段で作成した前記第2ジョブの履歴情報を記録するログ管理手段と、
前記第2識別情報を前記第1のジョブ処理装置に送信する送信手段とを有し、
前記ジョブログ管理手段は、前記第1識別情報、前記受信手段で受信した前記第2識別情報、及び前記第1ジョブの履歴情報を関連付けて前記ログデータベースに記録することを特徴とする。
【0011】
尚、この課題を解決するための手段は、本願発明の特徴の全てを列挙しているものではなく、特許請求の範囲に記載された他の請求項及びそれら特徴群の組み合わせも発明になり得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のジョブ処理装置が連携して動作して実行されるジョブのログを相互に関連づけて管理することができる。これによってユーザは、例えば、連携したジョブのジョブログの参照や消去などの管理が行いやすくなり利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0014】
図1は、本実施形態に係るネットワークの構成図である。
【0015】
図1では、ネットワーク100に2つのデジタル複合機(以下、複合機と称する)101と102が接続されている。
【0016】
この実施形態では、デジタル複合機(第1の複合機)101とデジタル複合機(第2の複合機)102がネットワーク100に接続されているが、本発明はこれら2つの複合機が含まれる場合に限定されず、より多くの複合機が接続されても良い。また、ジョブを処理する装置は、複数の機能を有した複合機である必要もなく、単機能のジョブ処理装置としてもよい。以下では、複合機を例に説明するものとする。
【0017】
図2は、本実施形態に係る複合機101の内部構成図である。尚、複合機102の構成も同じであるため、その説明を使用略する。
【0018】
202は演算処理装置(CPU)である。CPU202は、I/O制御部205を介して接続された記憶装置(HDD)206に格納されたプログラムをRAM203にロードして実行する。このプログラムによる制御の下で、プリンタ部201の制御とプリントジョブの実行制御及びスキャナ部209の制御とスキャンジョブの制御を行う。また複合機101はネットワークインタフェース204を介して、ネットワーク100に接続される。またネットワークインタフェース204を介して、複合機101と複合機102とは相互に通信可能である。操作部207は、各種キーやボタン、及びタッチパネルと一体に形成された表示部を有している。
【0019】
図3は、本実施形態に係る複合機101(102)に搭載される各モジュール(プログラム)を示す図である。これらのモジュールは、図2で説明したHDD206から読み出されるプログラムに従ってCPU202で実行されることにより実現される。以下、各モジュールの役割を説明する。尚、複合機101と102は同じ構成であるため、ここでは主として複合機101についてのみ説明する。
【0020】
ユーザは、複合機101(第1の複合機)の操作部207の表示部に表示されたユーザインタフェースモジュール301に基づいて操作する。ユーザは、このユーザインタフェースモジュール301に指示することによりプリントジョブ制御モジュール302、スキャンジョブ制御モジュール303を制御し、スキャン、コピー、プリント等の処理を実行させる。プリントジョブ制御モジュール302、スキャンジョブ制御モジュール303はジョブ実行部として機能するとともに、ログ管理モジュール(ジョブログ管理部)304と接続されている。プリントジョブ制御モジュール302及びスキャンジョブ制御モジュール303は、プリントジョブ及びスキャンジョブの履歴情報を作成してログデータベース(ジョブログ記録部)305に格納する。このログデータベース305に格納される情報の詳細は後述する。ユーザインタフェースモジュール301、プリントジョブ制御モジュール302、スキャンジョブ制御モジュール303及びログ管理モジュール304は、通信モジュール306と接続されている。これらモジュールのそれぞれは、通信モジュール306を介して複合機102の各モジュールと通信可能である。尚、複合機102の参照符号311〜316で示す各部は、上述した複合機101の参照符号301〜306で示す各部にそれぞれ対応しているため、それらの説明を省略する。なお、複合機101、102は、それぞれ自装置単独で実行される単独ジョブと、複数の複合機を連携させて1つのジョブを実行する連携ジョブとを実行可能である。
【0021】
以下、連携ジョブとして、複合機101で原稿をスキャンして読み取った文書データ(スキャン画像)を複合機102で印刷する場合を説明する。
【0022】
図4は、本実施形態に係る複合機101で原稿上の画像を読み取り、その画像を表す画像データに基づいて複合機102により印刷する処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、その実行時にHDD206からRAM203にロードされCPU202の制御の下に実行される。
【0023】
まずステップS401で、ユーザは操作部207を操作して、印刷先として複合機102を指定した連携コピー処理をスタートさせる。これによりユーザインタフェースモジュール301は、この指示を受け取ってコピー処理を開始する。次にステップS402に進み、ユーザインタフェースモジュール301は、スキャンジョブ制御モジュール303に対してスキャナ部209を使用した原稿のスキャン(第1ジョブ)を指示する。これによりスキャナ部209は、原稿の読み取り(スキャン)を実行する。このスキャンが完了するとステップS403に進み、スキャンジョブ制御モジュール303は、ログ管理モジュール304に対してスキャンログの記録を指示する。これによりログ管理モジュール304はステップS404で、そのスキャンログの記録の指示に対する一意なジョブの第1識別情報を含むスキャンログレコード番号を生成し、スキャンログレコードの記録をログデータベース305に指示する。ここで、スキャンログとして、スキャナ部209で読み取った原稿の画像データをHDD206等に保存するようにしてもよい。
【0024】
次にステップS405に進み、ログ管理モジュール304は、ログデータベース305が生成したスキャンログレコード番号をスキャンジョブ制御モジュール303に引き渡す。次にステップS406に進み、ユーザインタフェースモジュール301は、スキャンジョブ制御モジュール303からスキャンログレコード番号を取得する。そしてステップS407で、ユーザインタフェースモジュール301は、その取得したスキャンログレコード番号をプリントジョブ制御モジュール302に引渡し、出力先を複合機102とした印刷を指示する。このとき、スキャンログレコード番号の他に、少なくとも複合機101のネットワーク識別子(IPアドレス)を付加した印刷指示を複合機102に送信する。また、ジョブの第1種別情報として、複合機101をスキャナ、複合機102をプリンタとする連携コピージョブであることを示す情報や、スキャンジョブの終了ステータス情報等を、プリントジョブ制御モジュール302に渡す情報に付加してもよい。
【0025】
次に、複合機101のプリントジョブ制御モジュール302から印刷指示を受けた複合機102の動作を説明する。
【0026】
図5は、本実施形態に係る複合機101のプリントジョブ制御モジュール302から印刷指示を受けた複合機102の動作を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、その実行時にHDD206からRAM203にロードされCPU202の制御の下に実行される。
【0027】
先ずステップS501で、複合機102では、通信モジュール316により受信した印刷指示(プリントジョブ:第2ジョブ)に応答して、プリントジョブ制御モジュール312がプリンタ部201により印刷する。次に印刷が完了した後ステップS502に進んで、プリントジョブ制御モジュール312は、ログ管理モジュール314に対して一意なプリントジョブログ番号の生成と、プリントジョブログの生成を指示する。このとき、プリントジョブ制御モジュール312は、複合機101から受信したジョブから、複合機101のネットワーク識別子とスキャンジョブログ番号も同時にログ管理モジュール314に引き渡す。次にステップS503に進み、ログ管理モジュール314は、ログデータベース315に対して一意なプリントジョブログ番号の生成と、プリントジョブログの生成及び記録を指示する。
【0028】
次にステップS504に進み、ログデータベース315は、プリントジョブログに、指定された複合機101のネットワーク識別子、スキャンジョブログ番号等を含む第2識別情報を付与してプリントジョブログを記録する。ここでは、スキャンジョブログ番号を受信しているので、少なくとも連携ジョブであることを認識可能であるので、複合機102での単独ジョブと区別して記録される。尚、このときジョブの種別が引き渡された場合には、ジョブの種別の情報を記録してもよい。このときスキャンジョブの終了ステータスが指定される場合には、この情報を記録してもよい。次にステップS505に進み、ログ管理モジュール314は、生成されたプリントジョブの一意なプリントジョブログ番号をログデータベース315から取得する。次にステップS506に進み、プリントジョブ制御モジュール312は、ログ管理モジュール314を介してプリントジョブログ番号を取得する。次にステップS507に進み、プリントジョブ制御モジュール312は、ステップS506で取得したプリントジョブのログ番号と、複合機102のネットワーク識別子(IPアドレス)を、複合機101のログ管理モジュール304に対して返信する。このとき、複合機101から指定されたスキャンジョブログ番号も指定する。また、プリントジョブの終了ステータスを付加して返信してもよい。また、プリントジョブはS501で実行するのに代えて、S507の後に実行するようにしてもよい。また、以上のように記録されたジョブログはスキャンジョブログ番号が関連付けられているので、当該ジョブログを操作した場合、複合機101にその旨が通知される。即ち、複合機102からジョブログの参照が指示されると、複合機101から当該ジョブログに対応するジョブログの最新情報が取得される。また、複合機102でジョブログの消去が指示されると、複合機102での消去に引き続き当該ジョブログに対応するジョブログを複合機101でも消去するよう指示される。
【0029】
図6は、本実施形態に係るデジタル複合102のプリントジョブ制御モジュール312からプリントジョブログ番号を受信した複合機101の処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、その実行時にHDD206からRAM203にロードされCPU202の制御の下に実行される。
【0030】
ステップS601で、複合機101のプリントジョブ制御モジュール302が、複合機102のプリントジョブ制御モジュール312からプリントジョブログ番号と、スキャンジョブログ番号を受信する。次にステップS602に進み、ログ管理モジュール304は、ログデータベース305から、スキャンジョブログ番号を基にレコードを検索し、一致するレコードの有無を確認する。合致したレコードが無い場合には特に何もせず処理を終了する。
【0031】
一方、合致したレコードがある場合はステップS602からステップS603に進み、ログ管理モジュール304は、ログデータベース305に対して、上記で合致したレコードを更新して処理を終了する。具体的には、そのレコードに対して複合機102のネットワーク識別子とプリントジョブログ番号を追記する。また、プリントジョブの終了ステータスが指定されている場合には、この情報も付加して記録するようにしてもよい。ここでは、プリントジョブログ番号を受信しているので、少なくとも連携ジョブであることを認識可能であるので、複合機101での単独ジョブと区別して記録される。また、以上のように記録されたジョブログはプリントジョブログ番号が関連付けられているので、当該ジョブログを操作した場合、複合機102にその旨が通知される。即ち、複合機101からジョブログの参照が指示されると、複合機102から当該ジョブログに対応するジョブログの最新情報が取得される。また、複合機101でジョブログの消去が指示されると、複合機101での消去に引き続き当該ジョブログに対応するジョブログを複合機102でも消去するよう指示される。
【0032】
図7は、本実施形態に係る複合機101の操作部207の表示部に表示されるジョブログの一例を示す図である。この表示は、操作部207の表示部への表示制御を行うユーザインタフェースモジュール301により表示される。
【0033】
ここではコピーログ、送信ログ、受信ログが表示可能であり、図7の例では「コピーログ」702が選択されている。番号703は、このログに一意に割り当てられたジョブログ番号(識別情報)である。日付704は、このログの発生日を示している。出力先は、このログで使用した出力先の複合機を示し、自機でない場合は、その複合機のIPアドレスがセットされる。図7の表示は、ユーザインタフェースモジュール301が、ログ管理モジュール304を介して取得した情報を基に構築する。ここでは上述した複合機101でのスキャン動作と複合機102でのプリント動作からなるコピーログ705として表示されている。
【0034】
このコピーログ705のログ番号(「500513」)は、複合機101で実行されたスキャンジョブログレコード番号である。コピーの印刷を自機である複合機101で行った場合、その出力先は「自デバイス」となる。また他の複合機を使用した印刷したコピージョブの出力先は、その複合機(例えば複合機102)のネットワーク識別子(IPアドレス)としている。コピーログ705では、その出力先である複合機102のIPアドレス(192.168.0.2)が関連付けられてセットされている。またコピーログ705では、複合機102から返信されたプリントジョブの終了ステータスをコピーログ705の出力状態(ここでは「正常」)として表示している。ここで複合機102から、プリントジョブの終了ステータスを受信していない場合は、ログ管理モジュール304が、複合機102のログ管理モジュール314からプリントジョブの終了ステータスを取得するようにしてもよい。なお、ここで記録するログには、処理された画像データ自身(例えば、縮小するなどして)を共に記録しておくようにしてもよい。これにより、どのような画像を処理させたかも管理可能となる。
【0035】
図8は、本実施形態に係る複合機101でジョブログを消去する処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、その実行時にHDD206からRAM203にロードされCPU202の制御の下に実行される。
【0036】
まずステップS801で、ユーザインタフェースモジュール301は、操作部207からのユーザ操作によりジョブログレコードを表示し、そのレコードが指示されたことを認識する。このとき例えば図7のコピーログ705のジョブログレコードを消去する場合は、ユーザは、ジョブログレコードのジョブログ番号(ここでは「500513」)を指定して消去指示を行う。これによりユーザインタフェースモジュール301はステップS802で、ログ管理モジュール304に対して、そのジョブログレコードのジョブログ番号を出力して消去指示を行う。次にステップS803で、ログ管理モジュール304は、そのジョブログ番号を基に、ログデータベース305を照会し、そのジョブの出力先である複合機102のネットワーク識別子と、プリントジョブログ番号を取得する。次にステップS804に進み、ログ管理モジュール304は、ステップS803で取得した出力先である複合機102のログ管理モジュール314に対して、プリントジョブログ番号に基づいてプリントジョブログを照会する。この照会の結果、その複合機102にプリントジョブログが無ければステップS804からステップS806に進み、複合機101のスキャンジョブログのみを消去する。
【0037】
一方、ステップS804で、出力先である複合機102にも対応するプリントジョブログがあった場合はステップS804からステップS805に進む。ステップS805では、複合機102のログ管理モジュール314に、ステップS803で取得したプリントジョブログ番号を引き渡して、そのプリントジョブログの消去を指示する。
【0038】
なお、複合機102の操作部207からの操作でジョブログを消去する場合は、上記の処理のプリントジョブログとスキャンジョブログをそれぞれ読み替えて同様な流れで処理を行うものとする。
【0039】
図9は、図8のステップS805で、複合機101からログの消去指示を受けた複合機102の処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムは、その実行時にHDD206からRAM203にロードされCPU202の制御の下に実行される。
【0040】
ステップS901で、複合機102のログ管理モジュール314は、複合機101からプリントジョブログ番号とログ消去の指示を受け取る。そしてステップS902に進み、ログ管理モジュール314は、ログデータベース315に対してログ消去を指示して、そのログを消去する。その後、複合機101のログ管理モジュール304は、スキャンジョブログ番号を基に、ログデータベース305にスキャンログの消去を指示して、そのログを消去する(ステップS806)。
【0041】
なお、複合機102の操作部207からの操作でジョブログを消去する指示がなされた場合は、上記の処理のプリントジョブログとスキャンジョブログとをそれぞれ読み替えて同様な流れで処理を行うものとする。
【0042】
尚、以上の説明では、複合機101のコピー操作で複合機102が出力先として指示される場合で説明した。しかし本発明はこれに限定されるものでなく、逆に、複合機102のコピー操作で複合機101が出力先として指示された場合でも、前述の説明で複合機101と複合機102とを入れ替えれば同様に実行できることが容易に推測できる。
【0043】
また上記実施形態では、コピー動作の場合で説明したが本発明はこれに限定されものでない。例えば、ファクシミリ送信を行う場合に、一方の複合機(例えば複合機101)で原稿を読み取り、他の複合機(例えば複合機102)から、その原稿画像をファクシミリ送信する場合にも適用できる。また或は、ボックス機能を使用する場合に、一方の複合機(例えば複合機101)で原稿を読み取り、他の複合機(例えば複合機102)のHDDに格納する場合にも適用できる。また複合機ではなく、例えば、スキャナ機能を持ち、プリント機能を持たない第1のジョブ処理装置と、逆にスキャナ機能と持たず、スキャナ機能を持った第2のジョブ処理装置との間で連携ジョブを行う場合にも適用できる。
【0044】
(他の実施形態)
なお本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムを読み出して実行することによっても達成され得る。その場合、プログラムの機能を有していれば、形態は、プログラムである必要はない。
【0045】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明のクレームでは、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0046】
プログラムを供給するための記録媒体としては、様々なものが使用できる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0047】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページからハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。その場合、ダウンロードされるのは、本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明のクレームに含まれるものである。
【0048】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布する形態としても良い。その場合、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムが実行可能な形式でコンピュータにインストールされるようにする。
【0049】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される形態以外の形態でも実現可能である。例えば、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0050】
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれるようにしてもよい。この場合、その後で、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係るネットワークの構成図である。
【図2】本実施形態に係る複合機の内部構成図である。
【図3】本実施形態に係る複合機に搭載される各モジュール(プログラム)を示す図である。
【図4】本実施形態に係る複合機101で原稿を読み取り、その原稿の画像データに基づいて複合機102により印刷する処理を説明するフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る複合機101のプリントジョブ制御モジュールから印刷指示を受けた複合機102の動作を説明するフローチャートである。
【図6】本実施形態に係るデジタル複合102のプリントジョブ制御モジュールからプリントジョブログ番号を受信した複合機101の処理を説明するフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る複合機の操作部の表示部に表示されるジョブログの一例を示す図である。
【図8】本実施形態に係る複合機101でジョブログを消去する処理を説明するフローチャートである。
【図9】図8のステップS805で、複合機101からログの消去指示を受けた複合機102の処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
101,102 複合機
201 プリンタ部
202 CPU
207 操作部
209 スキャナ部
301,311 ユーザインタフェースモジュール
302,312 プリントジョブ制御モジュール
303,313 スキャンジョブ制御モジュール
304,314 ログ管理モジュール
305,315 ログデータベース
306,316 通信モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続されたジョブ処理装置であって、
自装置及び他のジョブ処理装置を使用した第1及び第2ジョブを含む連携ジョブの実行が指示されると、前記自装置で実施する第1ジョブを実行し、実行した前記第1ジョブの履歴情報を作成するジョブ実行手段と、
前記ジョブ実行手段で作成した前記第1ジョブの履歴情報を、当該第1ジョブの履歴情報を識別するための第1識別情報と関連付けてジョブログ記録手段に記録するジョブログ管理手段と、
前記他のジョブ処理装置を使用した前記第2ジョブの実行を、前記ネットワークを介して前記他のジョブ処理装置に指示する指示手段と、
前記他のジョブ処理装置で実行された前記第2ジョブの履歴情報を識別するための第2識別情報を、前記ネットワークを介して受信する受信手段とを有し、
前記ジョブログ管理手段は、前記第1識別情報、前記受信手段で受信した前記第2識別情報、及び前記第1ジョブの履歴情報を関連付けて前記ジョブログ記録手段に記録することを特徴とするジョブ処理装置。
【請求項2】
前記指示手段は、前記第2ジョブの実行の指示の際、前記ネットワークを介して前記他のジョブ処理装置に前記第1識別情報を通知することを特徴とする請求項1に記載のジョブ処理装置。
【請求項3】
前記ジョブログ管理手段は、前記第2識別情報に基づいて、前記第2ジョブの履歴情報に関連した前記第1ジョブの履歴情報を検索することを特徴とする請求項1または2に記載のジョブ処理装置。
【請求項4】
前記第1ジョブの履歴情報と、前記第1ジョブの履歴情報と関連する前記第2ジョブの履歴情報とを1つのジョブ履歴として表示する表示制御手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のジョブ処理装置。
【請求項5】
前記第1ジョブの履歴情報の消去を指示する消去指示手段と、
前記消去指示手段による指示に応答して、前記第1ジョブの履歴情報と関連する前記第2ジョブの履歴情報の消去を前記他のジョブ処理装置に指示する手段とを更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のジョブ処理装置。
【請求項6】
ネットワークを介して接続されたジョブ処理装置のジョブログの管理方法であって、
自装置及び他のジョブ処理装置を使用した第1及び第2ジョブを含む連携ジョブの実行が指示されると、前記自装置で実施する第1ジョブを実行し、実行した前記第1ジョブの履歴情報を作成するジョブ実行工程と、
前記ジョブ実行工程で作成した前記第1ジョブの履歴情報を、当該第1ジョブの履歴情報を識別するための第1識別情報と関連付けてログデータベースに記録するジョブログ管理工程と、
前記他のジョブ処理装置を使用した前記第2ジョブの実行を、前記ネットワークを介して前記他のジョブ処理装置に指示する指示工程と、
前記他のジョブ処理装置で実行された前記第2ジョブの履歴情報を識別するための第2識別情報を、前記ネットワークを介して受信する受信工程とを有し、
前記ジョブログ管理工程は、前記第1識別情報、前記受信工程で受信した前記第2識別情報、及び前記第1ジョブの履歴情報を関連付けて前記ログデータベースに記録することを特徴とするジョブ処理装置のジョブログの管理方法。
【請求項7】
前記指示工程は、前記第2ジョブの実行の指示の際、前記ネットワークを介して前記他のジョブ処理装置に前記第1識別情報を通知することを特徴とする請求項6に記載のジョブ処理装置のジョブログの管理方法。
【請求項8】
前記ジョブログ管理工程は、前記第2識別情報に基づいて、前記第2ジョブの履歴情報に関連した前記第1ジョブの履歴情報を検索することを特徴とする請求項6または7に記載のジョブ処理装置のジョブログの管理方法。
【請求項9】
前記第1ジョブの履歴情報と、前記第1ジョブの履歴情報と関連する前記第2ジョブの履歴情報とを1つのジョブ履歴として表示する表示制御工程を更に有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のジョブ処理装置のジョブログの管理方法。
【請求項10】
前記第1ジョブの履歴情報の消去を指示する消去指示工程と、
前記消去指示工程による指示に応答して、前記第1ジョブの履歴情報と関連する前記第2ジョブの履歴情報の消去を前記他のジョブ処理装置に指示する工程とを更に有することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載のジョブ処理装置のジョブログの管理方法。
【請求項11】
ネットワークを介して接続された複数のジョブ処理装置を有するジョブ履歴管理システムであって、
前記複数のジョブ処理装置のうちの第1のジョブ処理装置は、
前記第1のジョブ処理装置と他のジョブ処理装置である第2のジョブ処理装置とを使用した第1及び第2ジョブを含む連携ジョブの実行が指示されると、前記第1ジョブを実行し、実行した前記第1ジョブの履歴情報を作成するジョブ実行手段と、
前記ジョブ実行手段で作成した前記第1ジョブの履歴情報を、当該第1ジョブの履歴情報を識別するための第1識別情報と関連付けてログデータベースに記録するジョブログ管理手段と、
前記第2のジョブ処理装置を使用した前記第2ジョブの実行を、前記ネットワークを介して前記第2のジョブ処理装置に指示する指示手段と、
前記第2のジョブ処理装置で実行された第2ジョブの履歴情報を識別するための第2識別情報を、前記ネットワークを介して受信する受信手段とを有し、
前記第2のジョブ処理装置は、
前記指示手段による指示に応じて前記第2ジョブを実行し、実行した前記第2ジョブの履歴情報を作成する実行手段と、
前記実行手段で作成した前記第2ジョブの履歴情報を記録するログ管理手段と、
前記第2識別情報を前記第1のジョブ処理装置に送信する送信手段とを有し、
前記ジョブログ管理手段は、前記第1識別情報、前記受信手段で受信した前記第2識別情報、及び前記第1ジョブの履歴情報を関連付けて前記ログデータベースに記録することを特徴とするジョブ履歴管理システム。
【請求項12】
請求項6乃至10のいずれか1項に記載のジョブログの管理方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−16487(P2010−16487A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172644(P2008−172644)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】