ジョブ管理装置、画像処理装置、印刷システム、及びジョブ管理プログラム
【課題】複数の画像処理装置が設置される環境において、画像処理装置の消費電力を効果的に削減できるジョブ管理装置、画像処理装置、印刷システム、及びジョブ管理プログラムを提供する。
【解決手段】ジョブ管理装置100は、データ伝送路Nを介して複数の画像処理装置2001〜200nと接続され、画像処理装置200に対する要求ジョブのジョブデータを受信し、所定の記憶領域に保持する装置であって、画像処理装置200の省エネモード状態を監視する監視手段23と、省エネモード状態に基づき、要求ジョブの実行可能機器を判断し、ジョブ実行先を決定し、要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置200に送信し、ジョブの実行を指示する制御手段24と、を有することを特徴とする。
【解決手段】ジョブ管理装置100は、データ伝送路Nを介して複数の画像処理装置2001〜200nと接続され、画像処理装置200に対する要求ジョブのジョブデータを受信し、所定の記憶領域に保持する装置であって、画像処理装置200の省エネモード状態を監視する監視手段23と、省エネモード状態に基づき、要求ジョブの実行可能機器を判断し、ジョブ実行先を決定し、要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置200に送信し、ジョブの実行を指示する制御手段24と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブ実行時の電力消費を削減する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、装置機能の動作別モード、待機モード、及び省エネモードのそれぞれにおいて、消費電力を測定し、測定値を所定周期でサンプリングして記録する画像処理装置に関する技術が開示されている。
【0003】
このように、従来の画像処理装置では、省エネモードを備え、待機中における消費電力の削減が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、消費電力の削減が画像処理装置単体で行われているため、複数の画像処理装置が設置される環境の場合、消費電力の削減が効果的に行われているとは言えない。
【0005】
例えば、複数の画像処理装置が設置される環境では、次のような場面が考えられる。1台の画像処理装置が、ジョブ実行により省エネモードから復帰したとする。また、このとき、隣接する他の画像処理装置も、ジョブ実行により省エネモードから復帰したとする。このような場合には、省エネモードから先に復帰した画像処理装置で、要求ジョブを一括実行する方が、消費電力の削減効果が高い。つまり、複数の画像処理装置が設置されている環境では、省エネモード状態(復帰/移行)に応じて、要求ジョブの実行先を決定し、要求ジョブの実行を制御することが望ましい。
【0006】
本発明は上記従来技術の問題点を鑑み提案されたものであり、複数の画像処理装置が設置される環境において、画像処理装置の消費電力を効果的に削減できるジョブ管理装置、画像処理装置、印刷システム、及びジョブ管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るジョブ管理装置は、所定のデータ伝送路を介して複数の画像処理装置と接続され、前記画像処理装置に対する要求ジョブのジョブデータを受信し、所定の記憶領域に保持するジョブ管理装置であって、前記画像処理装置の省エネモード状態を監視する監視手段と、前記省エネモード状態に基づき、前記要求ジョブの実行可能機器を判断し、ジョブ実行先を決定し、前記要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置に送信し、ジョブの実行を指示する制御手段と、を有している。
【0008】
このような構成によって、本発明に係るジョブ管理装置は、画像処理装置の省エネモード状態(復帰/移行)に応じて、ジョブ実行先を決定し、要求ジョブの実行を制御する。
【0009】
これによって、本発明に係るジョブ管理装置では、省エネモードから復帰した画像処理装置に、隣接する他の画像処理装置のジョブを代行して実行させる。その結果、利用者から受け付けた要求ジョブが、省エネモードから復帰した画像処理装置により一括実行され、他の画像処理装置が無駄に省エネモードから復帰することを防ぐことができる。このように、本発明に係る印刷システムでは、複数の画像処理装置が設置される環境において、画像処理装置の消費電力を効果的に削減できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像処理装置の省エネモード状態(復帰/移行)に応じて、ジョブ実行先を決定し、要求ジョブの実行を制御することで、複数の画像処理装置が設置される環境において、画像処理装置の消費電力を効果的に削減するジョブ管理装置、画像処理装置、印刷システム、及びジョブ管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る印刷システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るジョブ管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るジョブ管理機能の構成例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るジョブ情報のデータ例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る機器情報のデータ例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る印刷制御の処理手順例を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るジョブ実行制御の処理手順例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る印刷システムの構成例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るジョブ管理機能の構成例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るジョブ情報のデータ例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る機器情報のデータ例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る印刷制御の処理手順例を示すシーケンス図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係るジョブ実行制御の処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」と言う)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る印刷システム1の構成例を示す図である。
図1には、複数の情報処理装置3001〜300n(以降総称する場合「情報処理装置300」と言う)と、複数の画像処理装置2001〜200n(以降総称する場合「画像処理装置200」と言う)とが、ネットワークなどのデータ伝送路N(例えば「LAN:Local Area Network」)で接続されるシステム構成例が示されている。
【0014】
情報処理装置300は、利用者端末などで、画像処理装置200に対して画像処理を要求する機器である。つまり、情報処理装置300は、ジョブ投入機器にあたる。一方、画像処理装置200は、画像処理機能を有する機器である。画像処理機能には、例えば、原稿読み取りや印刷などがある。つまり、画像処理装置200は、ジョブ実行機器にあたる。
【0015】
また、本実施形態に係る印刷システム1には、ジョブ管理装置(管理サーバ)100が接続されている。ジョブ管理装置100は、情報処理装置300から画像処理装置200に対して投入されたジョブを管理する機器である。ジョブ管理装置100では、例えば、ジョブ投入時に、ジョブを識別する情報(以下「ジョブ識別情報」と言い、ジョブIDなどが該当する)と、ジョブ実行先として指定された画像処理装置200を識別する情報(以下「機器識別情報」と言い、IPアドレス:Internet Protocol addressなどが該当する)と、が対応づけられ、所定の記憶領域に記録されたジョブ情報により、投入ジョブを管理する。
【0016】
これにより、本実施形態に係る印刷システム1では、次のような印刷サービスを利用者に提供する。例えば、利用者は、情報処理装置300から、ジョブ実行機器である画像処理装置200を指定し、印刷ジョブを送信する。すると、印刷ジョブは、指定先の機器識別情報とともに、ジョブ管理装置100に蓄積(一時的に保持)される。このとき、ジョブ管理装置100は、ジョブ情報を記録する。
【0017】
その後、ジョブ管理装置100は、画像処理装置200の省エネモード状態に応じて、省エネモードから復帰した画像処理装置200を、ジョブ実行先として決定し、決定した画像処理装置200に対して、蓄積した印刷ジョブを送信する。その結果、画像処理装置200では、印刷ジョブが実行される。
【0018】
このように、本実施形態に係る印刷システム1では、ジョブ管理装置100によって、利用者から受け付けた要求ジョブ(情報処理装置から投入されたジョブや画像処理装置を介して受け付けたジョブなど)が管理される。
【0019】
以上のように、本実施形態に係る印刷システム1では、上記システム構成により、画像処理サービスを提供することができる。
【0020】
<ハードウェア構成>
次に、本実施形態に係るジョブ管理装置100のハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るジョブ管理装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図2に示すように、ジョブ管理装置100は、入力装置101、表示装置102、ドライブ装置103、RAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)105、CPU(Central Processing Unit)106、インタフェース装置107、及びHDD(Hard Disk Drive)108などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0021】
入力装置101は、キーボードやマウスなどを含み、ジョブ管理装置100に各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置102は、ディスプレイなどを含み、ジョブ管理装置100による処理結果を表示する。
【0022】
インタフェース装置107は、ジョブ管理装置100をデータ伝送路Nに接続するインタフェースである。これにより、ジョブ管理装置100は、インタフェース装置107を介して、画像処理装置200や情報処理装置300とデータ通信を行うことができる。
【0023】
HDD108は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、装置全体を制御する情報処理システム(例えば「Windows(商標又は登録商標)」や「UNIX(商標又は登録商標)」などの基本ソフトウェアであるOS(Operating System))、及びシステム上において各種機能(例えば「ジョブ管理機能」)を提供するアプリケーションなどがある。また、HDD108は、格納しているプログラムやデータを、所定のファイルシステム及び/又はDB(Data Base)により管理している。
【0024】
ドライブ装置103は、着脱可能な記録媒体103aとのインタフェースである。これにより、ジョブ管理装置100は、ドライブ装置103を介して、記録媒体103aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体103aには、例えば、フロッピー(商標又は登録商標)ディスク、CD(Compact Disk)、及びDVD(Digital Versatile Disk)、ならびに、SDメモリカード(SD Memory Card)やUSBメモリ(Universal Serial Bus Memory)などがある。
【0025】
ROM105は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM105には、ジョブ管理装置100の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、情報処理システム設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM104は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。CPU106は、上記記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)から、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行することで、装置全体の制御や搭載機能を実現する処理装置である。
【0026】
以上のように、本実施形態に係るジョブ管理装置100では、上記ハードウェア構成により、ジョブ管理サービスを提供することができる。
【0027】
<ジョブ管理機能>
本実施形態に係るジョブ管理機能について説明する。
本実施形態に係るジョブ管理装置100では、利用者からの要求ジョブを受け付け(ジョブデータを受信し)、所定の記憶領域に保持する。ジョブ管理装置100は、画像処理装置200の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、要求ジョブの実行可能機器(省エネモードから復帰した画像処理装置)を判断し、ジョブ実行先を決定する。ジョブ管理装置100は、要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置200に送信し、ジョブの実行を指示する。本実施形態に係るジョブ管理装置100は、このようなジョブ管理機能を有している。
【0028】
従来の方法では、消費電力の削減が画像処理装置単体で行われているため、複数の画像処理装置200が設置される環境の場合、消費電力の削減が効果的に行われているとは言えない。
【0029】
例えば、複数の画像処理装置200が設置される環境では、次のような場面が考えられる。1台の画像処理装置2001が、ジョブ実行により省エネモードから復帰したとする。また、このとき、隣接する他の画像処理装置2002も、ジョブ実行により省エネモードから復帰したとする。このような場合には、省エネモードから先に復帰した画像処理装置2001で、要求ジョブを一括実行する方が、消費電力の削減効果が高い。
【0030】
そこで、本実施形態に係るジョブ管理装置100では、画像処理装置2001の省エネモード状態(復帰/移行)に応じて、ジョブ実行先を決定し、要求ジョブの実行を制御する仕組みとした。
【0031】
これにより、本実施形態に係るジョブ管理装置100では、省エネモードから復帰した画像処理装置2001に、隣接する他の画像処理装置2002のジョブを代行して実行させる。その結果、利用者から受け付けた要求ジョブが、省エネモードから復帰した画像処理装置2001により一括実行され、他の画像処理装置2002が無駄に省エネモードから復帰することを防ぐことができる。
【0032】
このように、本実施形態に係る印刷システム1では、複数の画像処理装置200が設置される環境において、画像処理装置200の消費電力を効果的に削減できる。
【0033】
以下に、本実施形態に係るジョブ管理機能の構成とその動作について説明する。
図3は、本実施形態に係るジョブ管理機能の構成例を示す図である。
図3に示すように、本実施形態に係るジョブ管理機能は、通信部21、ジョブ管理部22、機器監視部23、ジョブ実行制御部24、ジョブ情報保持部31、及び機器情報保持部41などを有している。
【0034】
通信部21は、例えば、インタフェース装置107を介して、画像処理装置200や情報処理装置300などの機器とデータ通信を行う機能部である。
【0035】
ジョブ管理部22は、通信部21を介して、利用者から受け付けた要求ジョブを管理する機能部である。管理対象の要求ジョブには、例えば、情報処理装置300から投入された印刷ジョブや、画像処理装置200を介して受け付けたコピージョブなどがある。
【0036】
ジョブ管理部22は、受け付けた要求ジョブを蓄積し、所定の情報により管理する。所定の情報は、例えば、図4に示すようなジョブに関する情報(以下「ジョブ情報」と言う)である。
【0037】
図4は、本実施形態に係るジョブ情報31Dのデータ例を示す図である。
図4に示すように、ジョブ情報31Dは、例えば、ジョブ識別、機器識別、実行期限、及びジョブ格納先などの各情報項目が対応づけられている。[ジョブ識別]項目は、要求ジョブを識別する情報(ジョブ識別情報)が記録される項目であり、項目値には、例えば、要求ジョブに割り当てられたID値などである。[機器識別]項目は、ジョブ実行先として指定された画像処理装置200(以下「ジョブが要求された機器」と言う)を識別する情報(機器識別情報)が記録される項目であり、項目値には、例えば、画像処理装置200に設定されたIPアドレス値などである。
【0038】
[実行期限]項目は、要求ジョブの実行開始条件を示す情報(以下「ジョブ実行開始条件情報」と言う)が記録される項目であり、項目値には、例えば、要求ジョブの実行期限を示す日付値などである。[ジョブ格納先]項目は、要求ジョブの格納先(蓄積先)を示す情報(以下「格納先情報」と言う)が記録される項目であり、項目値には、例えば、ジョブデータ(「印刷データ」や「コピーデータ」など)へのファイルパス、ディレクトリパス、URI(Uniform Resource Identifier)などである。
【0039】
ジョブ情報31Dは、例えば、ジョブ管理部22が、要求ジョブを受け付けた際に、ジョブデータとともに、ジョブ情報保持部31に格納される。なお、ジョブ情報保持部31は、例えば、ジョブ管理装置100が備える記憶装置(例えば「HDD」)の所定の記憶領域にあたる。
【0040】
このように、ジョブ管理部22は、上記各情報項目の項目値をジョブ単位で記録し、ジョブ情報31Dを生成することで、要求ジョブを管理している。なお、上記実行期限情報は、例えば、利用者が、ジョブ投入時に、所定のGUI(Graphical User Interface)を介して設定することで、ジョブデータに付加される情報である。よって、ジョブ管理部22では、要求ジョブ受付時に付加情報から取得した実行期限情報を記録する。
【0041】
機器監視部23は、通信部21を介して、画像処理装置200の省エネモード状態を監視する機能部である。機器監視部23は、画像処理装置200から送信された省エネ状態値(復帰/移行)を受信することで、状態を監視する。
【0042】
機器監視部23は、受信した省エネ状態値を、画像処理装置200を管理する所定の情報に記録する。所定の情報は、例えば、図5に示すような画像処理装置200に関する情報(以下「機器情報」と言う)である。
【0043】
図5は、本実施形態に係る機器情報41Dのデータ例を示す図である。
図5に示すように、機器情報41Dは、機器識別、省エネ状態、隣接機器登録、及びジョブ数などの各情報項目が対応づけられている。[機器識別]項目は、機器識別情報が設定されている項目である。[省エネ状態]項目は、画像処理装置200の省エネモード状態を示す情報(省エネ状態情報)が記録される項目であり、項目値には、例えば、省エネモード復帰/移行の状態値(ステータス値)などである。
【0044】
[隣接機器登録]項目は、特定の画像処理装置200に対して隣接する他の画像処理装置200(以下「隣接機器」と言う)の機器識別情報(以下「隣接機器識別情報」と言う)が登録されている項目である。[ジョブ数]項目は、要求ジョブの実行開始条件を示す情報(ジョブ実行開始条件情報)が設定されている項目であり、項目値には、例えば、要求ジョブの蓄積上限数を示すジョブ数などである。
【0045】
上記[機器識別]、[隣接機器登録]、及び[ジョブ数]項目の項目値は、例えば、機器管理者が、所定の管理・設定ツールを介して予め設定することで、機器情報保持部41に格納される。一方、上記[省エネ状態]項目の項目値は、例えば、機器監視部23が、画像処理装置200から通知された省エネモード復帰/移行の状態値を受信した際に、機器情報保持部41に格納される。つまり、[省エネ状態]項目の項目値は、画像処理装置200からの状態通知により更新される。なお、機器情報保持部41は、ジョブ情報保持部31と同様に、例えば、ジョブ管理装置100が備える記憶装置(例えば「HDD」)の所定の記憶領域にあたる。
【0046】
このように、機器監視部23は、上記各情報項目の項目値を機器単位で記録し、機器情報41Dを生成することで、画像処理装置200を管理している。
【0047】
なお、上記には、隣接機器識別情報を、管理者により事前設定しておく方法を説明したが、この限りでない。例えば、次のような方法であれば、自動設定も可能となる。
【0048】
例えば、本実施形態に係る印刷システム1には、マップ管理装置(非図示)が接続されているとする。マップ管理装置(非図示)は、情報処理装置300や画像処理装置200などの機器配置を管理する機器である。マップ管理装置(非図示)では、例えば、機器識別情報と、情報処理装置300や画像処理装置200などの配置位置を示す情報(以下「機器位置情報」と言い、二次元空間の座標値などが該当する)と、が対応づけられ、所定の記憶領域に記録されたマップ情報により、機器配置を管理する。
【0049】
このような場合、ジョブ管理装置100では、マップ管理装置(非図示)が有するマップ情報を参照し、機器位置情報から、特定の画像処理装置200に対する隣接機器を特定する。その結果、ジョブ管理装置100では、特定した隣接機器の機器識別情報を、機器情報41Dに、隣接機器識別情報として自動的に設定できる。
【0050】
図3の説明に戻る。ジョブ実行制御部24は、画像処理装置200の省エネモード状態(復帰/移行)に応じて、ジョブ実行先を決定し、ジョブの実行を制御する機能部である。ジョブ実行制御部24は、画像処理装置200の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、要求ジョブの実行可能機器を判断し、ジョブ実行先を決定する。ジョブ実行制御部24は、要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置200に送信し、ジョブの実行を指示する。
【0051】
ジョブ実行制御部24は、通信部21により、要求ジョブを受け付ける(ジョブデータ受信後、蓄積される)と、機器情報41Dの[省エネ状態]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、省エネ状態情報に基づき、ジョブが要求された機器及び隣接機器のうち、要求ジョブを実行可能な画像処理装置200が存在するか否かを判断する。その結果、ジョブ実行制御部24は、これら複数の機器の中から、省エネモードから復帰した画像処理装置200(以下「省エネ復帰機器」と言う)を、要求ジョブの実行可能機器として判断し、該当機器をジョブ実行先として決定する。なお、ジョブ実行制御部24は、機器情報41Dの[機器識別]項目に対応する[隣接機器登録]項目を参照し、隣接機器識別情報に基づき、ジョブが要求された機器における隣接機器を特定する。
【0052】
例えば、省エネ復帰機器が複数存在した場合には、次のようにして、ジョブ実行先を決定する。複数の該当機器のうち、ジョブが要求された機器が含まれている場合には、利用者指定に従って、ジョブが要求された機器をジョブ実行先として決定する。一方、複数の該当機器に、ジョブが要求された機器が含まれていない場合には、利用者がジョブ実行結果を取得する利便性を考慮し、ジョブが要求された機器に一番近い配置位置の機器をジョブ実行先として決定する。なお、「一番近い配置位置の機器」の判断は、上述したマップ管理装置が有するマップ情報内の機器位置情報に基づいて行えばよい。
【0053】
次に、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[機器識別]項目に対応する[ジョブ格納先]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、格納先情報に基づき、蓄積される要求ジョブ(以下「蓄積ジョブ」と言う)のうち、ジョブ実行先として決定した画像処理装置200へのジョブデータと、決定した画像処理装置200における隣接機器へのジョブデータと、を取得する。
【0054】
例えば、ジョブが要求された、機器識別情報"192.168.11.X1"の機器が、省エネモードから復帰し、ジョブ実行先として決定された場合には、次のようにして、送信するジョブデータを取得する。なお、以下の説明では、ジョブ情報31Dとして図4に示すデータ、及び機器情報41Dの例として図5に示すデータを用いる。
【0055】
ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dを参照し、機器識別情報"192.168.11.X1"に対応する格納先情報から、ジョブデータ"J0001.prn"を取得する。また、ジョブ実行制御部24は、機器情報41Dの[機器識別]項目に対応する[隣接機器登録]項目を参照し、ジョブ管理部22を介して、隣接機器識別情報に基づき、ジョブ情報31Dを参照する。これにより、ジョブ実行制御部24は、隣接機器識別情報"192.168.11.X2"〜"192.168.11.X5"それぞれに対応する格納先情報から、該当するジョブデータが蓄積されているか否かを判断する。その結果、ジョブ実行制御部24は、蓄積されている隣接機器へのジョブデータ"J0002.prn"を取得する。
【0056】
また、例えば、ジョブが要求された機器でなく、機器識別情報"192.168.11.X5"の隣接機器が、省エネモードから復帰し、ジョブ実行先として決定された場合には、次のようにして、送信するジョブデータを取得する。
【0057】
ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dを参照し、機器識別情報"192.168.11.X5"に対応する格納先情報から、ジョブデータ"J0002.prn"を取得する。また、ジョブ実行制御部24は、機器情報41Dの[機器識別]項目に対応する[隣接機器登録]項目を参照し、ジョブ管理部22を介して、隣接機器識別情報に基づき、ジョブ情報31Dを参照する。これにより、ジョブ実行制御部24は、隣接機器識別情報"192.168.11.X1"〜"192.168.11.X4"それぞれに対応する格納先情報から、該当するジョブデータが蓄積されているか否かを判断する。その結果、ジョブ実行制御部24は、蓄積されている要求ジョブのジョブデータ"J0001.prn"を取得する。
【0058】
このようにして取得されたジョブデータは、ジョブ実行制御部24により、決定したジョブ実行先の該当機器に送信され、ジョブの実行が指示される。
【0059】
本実施形態に係るジョブ管理機能では、ジョブ管理装置100を介した画像処理装置200の機器連携による要求ジョブの代行実行を行う(省エネ復帰機器に隣接機器のジョブを代行して実行させる)。
【0060】
また、ジョブ実行制御部24は、省エネ復帰機器(要求ジョブの実行可能機器)が存在しない場合には、次のようにして、ジョブ実行先を決定する。ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dを参照する。ジョブ実行制御部24は、機器識別情報に基づき、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブの数をカウントし、カウント数が所定のジョブ数以上か否かを判断する。このとき、判断基準とするジョブ数は、機器情報41Dの[ジョブ数]項目に予め設定されている値(ジョブ実行開始条件情報)である。
【0061】
ジョブ実行制御部24は、該当する蓄積ジョブ数が、所定のジョブ数以上である場合、ジョブが要求された機器を、ジョブ実行先として決定する。
【0062】
また、ジョブ実行制御部24は、省エネ復帰機器が存在せず、かつジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブ数が所定数未満である場合には、次のようにして、ジョブ実行先を決定する。ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dを参照し、機器識別情報に基づき、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブを特定し、実行期限に達した蓄積ジョブが存在するか否かを判断する。このとき、判断基準とする実行期限は、ジョブ情報31Dの[実行期限]項目に記録されている値(ジョブ実行開始条件情報)である。
【0063】
ジョブ実行制御部24は、該当する蓄積ジョブが、実行期限に達している場合、ジョブが要求された機器を、ジョブ実行先として決定する。
【0064】
本実施形態に係るジョブ管理機能では、上記ジョブ実行制御部24により、ジョブが要求された機器及び隣接機器において、省エネ復帰機器の存在が確認できなければ、所定のジョブ実行開始条件に従って、ジョブが要求された機器で、要求ジョブの実行を行う。
【0065】
以上のように、本実施形態に係るジョブ管理機能は、上記各機能部が連携動作することにより実現される。なお、本実施形態に係るジョブ管理機能は、印刷システム1を構成するジョブ管理装置100に搭載(インストール)されるプログラム(ジョブ管理機能を実現するソフトウェア)が、処理装置(例えば「CPU」)により、記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)からメモリ(RAM)上に読み出され、各機器において、以下の処理が実行されることで実現される。
【0066】
本実施形態に係るジョブ管理機能の詳細な動作(機能部群の連携動作)について、処理手順を示すシーケンス図及びフローチャートを用いて説明する。
【0067】
《印刷制御の主な処理》
図6は、本実施形態に係る印刷制御の処理手順例を示すシーケンス図である。
図6に示すように、印刷システム1では、情報処理装置300から画像処理装置200に対して要求されたプリントジョブ(1)が投入される(ステップS101)。これにより、ジョブ管理装置100には、要求ジョブが蓄積される。
【0068】
ジョブ管理装置100は、要求ジョブを受け付けると、画像処理装置200の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、ジョブが要求された機器及び隣接機器のうち、要求ジョブの実行可能機器の有無判定を行う(ステップS102)。このとき、ジョブ管理装置100は、これら複数の機器の中に、省エネ復帰機器が存在するか否かを判断する。
【0069】
また、印刷システム1では、画像処理装置200に要求されたコピージョブが投入される(ステップS103)。
【0070】
これを受けて、印刷システム1では、例えば、画像処理装置200からジョブ管理装置100に対して、省エネモードからの復帰が通知され(省エネ復帰通知が行われ:ステップS105)、情報処理装置300から画像処理装置200に対して要求されたプリントジョブ(2)が投入されたとする(ステップS106)。このとき、ジョブ管理装置100では、機器監視部23により、画像処理装置200から通知された省エネ状態値に基づき、機器情報41Dの[省エネ状態]項目を更新する("移行"→"復帰"に項目値を更新)。
【0071】
ジョブ管理装置100は、再び、要求ジョブを受け付けると、画像処理装置200の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、ジョブが要求された機器及び隣接機器のうち、要求ジョブの実行可能機器の有無判定を行う(ステップS107)。その結果、ジョブ管理装置100は、これら複数の機器の中に省エネ復帰機器が存在すると判断されると、省エネ復帰機器をジョブ実行先として決定する。
【0072】
ジョブ管理装置100は、ジョブ実行先が決定されると、蓄積される要求ジョブ(プリントジョブ(1)、(2)、及びコピージョブ)のジョブデータを取得後(ステップS108)、取得したジョブデータを、決定したジョブ実行先の画像処理装置200に送信する(ステップS109)。これにより、ジョブ管理装置100では、要求ジョブの実行可能機器である画像処理装置200に対して、ジョブの実行を指示する。
【0073】
その結果、ジョブデータが送信された画像処理装置200では、ジョブが実行され(ステップS110)、所定の時間経過後に、省エネモードへの移行が通知される(省エネ移行通知が行われる:ステップS111)。このとき、ジョブ管理装置100では、機器監視部23により、画像処理装置200から通知された省エネ状態値に基づき、機器情報41Dの[省エネ状態]項目を更新する("復帰"→"移行"に項目値を更新)。
【0074】
《ジョブ実行の制御処理》
図7は、本実施形態に係るジョブ実行制御の処理手順例を示すフローチャートである。図7には、図6に示したジョブ管理装置100において、ジョブ管理機能の各機能部により実行される処理手順例の詳細が示されている。
【0075】
図7に示すように、ジョブ管理装置100は、通信部21により、要求ジョブを受け付けたか否か(ジョブデータの受信)を判定する(ステップS201)。
【0076】
ジョブ管理装置100は、要求ジョブを受け付けると(ステップS201:YES)、ジョブ管理部22により、受け付けた要求ジョブのジョブデータを蓄積するとともに、要求ジョブに対応するジョブ情報31Dを、ジョブ情報保持部31に記録する(ステップS202)。
【0077】
次に、ジョブ管理装置100は、ジョブ実行制御部24により、次のようにして、画像処理装置200の省エネモード状態(復帰/移行)に応じたジョブ実行の制御処理を行う。
【0078】
ジョブ実行制御部24は、機器情報41Dの[省エネ状態]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、省エネ状態情報に基づき、ジョブが要求された機器又は隣接機器が、省エネ復帰機器か否かを判定する(ステップS203)。これにより、ジョブ管理装置100では、ジョブが要求された機器及び隣接機器のうち、要求ジョブを実行可能な画像処理装置200が存在するか否かが判断される。
【0079】
ジョブ実行制御部24は、ジョブが要求された機器又は隣接機器が、省エネ復帰機器である場合(ステップS203:YES)、省エネ復帰機器をジョブ実行先として決定し、決定したジョブ実行先に、蓄積ジョブを送信する(ステップS207)。このとき、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[機器識別]項目に対応する[ジョブ格納先]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、格納先情報に基づき、蓄積ジョブのうち、省エネ復帰機器へのジョブデータと省エネ復帰機器における隣接機器へのジョブデータとを取得し、取得データを送信する。これにより、ジョブ実行制御部24は、省エネ復帰機器に対して、ジョブの実行を指示する。
【0080】
一方、ジョブ実行制御部24は、ジョブが要求された機器及び隣接機器が、省エネ復帰機器でない場合(ステップS203:NO)、機器情報41Dの[ジョブ数]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、ジョブ実行開始条件情報に基づき、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブの数が、所定のジョブ数以上か否かを判定する(ステップS204)。このとき、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[機器識別]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、機器識別情報に基づき、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブを特定し、特定した蓄積ジョブの数をカウントする。ジョブ実行制御部24は、カウント値が、機器情報41Dの[ジョブ数]項目に予め設定されている値(ジョブ実行開始条件情報)以上か否かを判定する。
【0081】
ジョブ実行制御部24は、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブの数が、所定のジョブ数未満である場合(ステップS204:NO)、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[実行期限]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、ジョブ実行開始条件情報に基づき、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブが、実行期限に達したか否かを判定する(ステップS205)。このとき、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[機器識別]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、機器識別情報に基づき、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブを特定する。ジョブ実行制御部24は、ジョブ情報31Dの[実行期限]項目に記録されている値(ジョブ実行開始条件情報)に基づき、特定した蓄積ジョブのうち、実行期限に達した蓄積ジョブが存在するか否かを判定する。
【0082】
ジョブ実行制御部24は、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブが、実行期限に達していない場合(ステップS205:NO)、受け付けた要求ジョブの実行モードが、即座にジョブ実行を行う緊急モードか否かを判定する(ステップS206)。このとき、ジョブ実行制御部24は、要求ジョブの付加情報に含まれる実行モードを示す設定値に基づき、緊急モードか否かを判定する。
【0083】
ジョブ実行制御部24は、受け付けた要求ジョブの実行モードが、緊急モードである場合(ステップS206:YES)、ジョブが要求された機器をジョブ実行先として決定し、決定したジョブ実行先に、受け付けた要求の蓄積ジョブを送信する(ステップS207)。これにより、ジョブ実行制御部24は、ジョブが要求された機器に対して、ジョブの実行を指示する。
【0084】
また、ジョブ実行制御部24は、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブの数が、所定のジョブ数以上である場合も(ステップS204:YES)、ジョブが要求された機器をジョブ実行先として決定する。また、ジョブ実行制御部24は、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブが、実行期限に達している場合も(ステップS205:YES)、ジョブが要求された機器をジョブ実行先として決定する。このときも、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[機器識別]項目に対応する[ジョブ格納先]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、格納先情報に基づき、蓄積ジョブのうち、ジョブが要求された機器へのジョブデータと隣接機器へのジョブデータとを取得し、取得データを送信する。
【0085】
なお、ジョブ実行制御部24は、受け付けた要求ジョブの実行モードが、緊急モードでない場合(ステップS206:NO)、ジョブの実行を行わず、要求ジョブ受付待ち状態(ステップS201)へと移行する。
【0086】
本実施形態に係るジョブ管理装置100では、上記処理手順により、ジョブ管理装置100を介した画像処理装置200の機器連携による要求ジョブの代行実行を行う。
【0087】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係るジョブ管理装置100によれば、ジョブ管理部22により、利用者からの要求ジョブを受け付け(ジョブデータを受信し)、所定の記憶領域に保持する。ジョブ管理装置100は、ジョブ実行制御部24により、画像処理装置200の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、要求ジョブの実行可能機器(省エネモードから復帰した画像処理装置)を判断し、ジョブ実行先を決定する。ジョブ管理装置100は、ジョブ実行制御部24により、要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置200に送信し、ジョブの実行を指示する。
【0088】
これによって、本実施形態に係るジョブ管理装置100では、利用者から受け付けた要求ジョブが、省エネ復帰機器により一括実行され、省エネ復帰機器に対する隣接機器が無駄に省エネモードから復帰することを防ぐことができる。
【0089】
このように、本実施形態に係る印刷システム1では、複数の画像処理装置200が設置される環境において、画像処理装置200の消費電力を効果的に削減できる。
【0090】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、ジョブ管理装置を有する印刷システムについて説明を行った。そこで、本実施形態では、ジョブ管理装置が存在しない印刷システムにおけるジョブ管理機能について説明する。なお、以下の説明では、第1の実施形態と異なる事項についてのみ説明する(同一事項については、その説明を省略する)。
【0091】
<システム構成>
図8は、本実施形態に係る印刷システム1の構成例を示す図である。
図8に示すように、本実施形態に係る印刷システム1では、ジョブ投入機器である情報処理装置300と、ジョブ実行機器である画像処理装置200と、がデータ伝送路Nで接続されているのみである。このように、本実施系形態に係る印刷システム1は、ジョブ管理装置が存在しないサーバレス環境である。このような場合、第1の実施形態に示したジョブ管理機能は、画像処理装置200が有する構成となる。
【0092】
<ハードウェア構成>
ここで、画像処理装置200のハードウェア構成例について説明する。
図9は、本実施形態に係る画像処理装置200のハードウェア構成例を示す図である。
図9に示すように、画像処理装置200は、コントローラ210、操作パネル220、プロッタ230、及びスキャナ240などを備え、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0093】
操作パネル220は、入力部や表示部を備えており、機器情報などの各種情報を利用者に提供したり、動作設定や動作指示などの各種利用者操作を受け付けたりする入力・表示装置である。プロッタ230は、画像形成部を備えており、用紙に出力画像を形成する印刷装置である。出力画像を形成する方式には、例えば、電子写真プロセスやインクジェット方式などがある。スキャナ240は、原稿を光学的に読み取り、読み取り画像を生成する読み取り装置である。
【0094】
コントローラ210は、CPU211、記憶装置212、ネットワークI/F213、及び外部記憶I/F214などを備える制御基板であり、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0095】
記憶装置211は、RAM、ROM、及びHDDなどを含み、各種プログラムやデータを格納及び/又は保持する装置である。CPU212は、ROMやHDDから、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行する(記憶装置から読み出したプログラムやデータの処理を実行する)ことで、装置全体の制御や搭載機能を実現する処理装置である。
【0096】
ネットワークI/F213は、画像処理装置200をデータ伝送路Nに接続するインタフェースである。これにより、画像処理装置200は、ネットワークI/F213を介して、他の画像処理装置200や情報処理装置300とデータ通信を行うことができる。
【0097】
外部記憶I/F214は、外部記憶装置にあたる記録媒体214aとのインタフェースである。記録媒体214aには、例えば、SDメモリカード(SD Memory Card)やUSB(Universal Serial Bus)メモリなどがある。これにより、画像処理装置200は、外部記憶I/F214を介して、記録媒体214aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
【0098】
以上のように、画像処理装置200では、上記ハードウェア構成により、各種画像処理サービスを提供することができる。
【0099】
<ジョブ管理機能>
本実施形態に係るジョブ管理機能について説明する。
本実施形態に係る画像処理装置200では、利用者からの要求ジョブを受け付け(ジョブデータを受信し)、所定の記憶領域に保持する。画像処理装置200は、自機の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、自機で要求ジョブが実行可能か否か(自機が省エネモードから復帰したか否か)を判断し、自機をジョブ実行先として決定する。画像処理装置200は、隣接機器から要求ジョブを取得し、自機の要求ジョブと合わせて実行する。本実施形態に係る画像処理装置200は、このようなジョブ管理機能を有している。
【0100】
以下に、本実施形態に係るジョブ管理機能の構成とその動作について説明する。
図10は、本実施形態に係るジョブ管理機能の構成例を示す図である。
図10に示すように、本実施形態に係る画像処理装置200は、ジョブ管理機能を実現する各機能部に加えて、ジョブ実行部25などを有している。
【0101】
第1の実施形態では、ジョブ実行制御部24が、省エネ復帰機器に対して、蓄積ジョブを送信し、ジョブの実行を指示していた。しかし、本実施形態では、ジョブ実行制御部24が、ジョブ実行部25に対して、蓄積ジョブを渡し、ジョブの実行を指示する。よって、ジョブ実行部25は、例えば、プリントジョブを実行するプリンタアプリケーションや、コピージョブを実行するコピーアプリケーションなどである。
【0102】
また、本実施形態では、ジョブ管理部22、機器監視部23、及びジョブ実行制御部24において、以下の点が、第1の実施形態と異なる。
【0103】
ジョブ管理部22は、例えば、図11に示すようなジョブ情報31Dを、ジョブ情報保持部31に格納し、画像処理装置200で受け付けた要求ジョブを管理する。
【0104】
図11は、本実施形態に係るジョブ情報31Dのデータ例を示す図である。
本実施形態の場合、要求ジョブは、画像処理装置200が直接受け付け、画像処理装置200が備える記憶装置(例えば「HDD」)の所定の記憶領域に格納され、蓄積される。そのため、第1の実施形態に示したジョブ管理装置のように、ジョブ実行先として指定された画像処理装置200を、要求ジョブ単位でジョブ情報31Dにより、管理する必要がない。よって、本実施形態に係るジョブ情報31Dでは、図11に示すように[機器識別]項目を有していない。
【0105】
機器監視部23は、機能搭載機器(以下「自機」と言う)の省エネモード状態を監視する。機器監視部23は、自機の省エネモード状態(復帰/移行)を検知することで、状態を監視する。これにより、本実施形態に係る機器監視部23は、検知した省エネ状態値(省エネ状態情報)を、自機が備える記憶装置(例えば「RAM」)の所定の記憶領域に保持する。
【0106】
このようなことから、本実施形態では、例えば、図12に示すような機器情報41Dを、機器情報保持部41に格納している。
【0107】
図12は、本実施形態に係る機器情報41D1,41D2(以下総称する場合「機器情報41D」と言う)のデータ例を示す図である。(A)には、画像処理装置2001におけるデータ例、(B)には、画像処理装置2002におけるデータ例が示されている。
【0108】
図12に示すように、本実施形態に係る機器情報41Dは、隣接機器登録及びジョブ数の情報項目のみを有し、機器情報保持部41に格納されている。つまり、機器情報41Dは、画像処理装置単位で管理されている。
【0109】
ジョブ実行制御部24は、自機の省エネモード状態(復帰/移行)に応じて、自機をジョブ実行先として決定し、隣接機器の要求ジョブを含むジョブの実行を制御する機能部である。ジョブ実行制御部24は、自機の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、自機で要求ジョブが実行可能か否かを判断し、自機をジョブ実行先として決定する。ジョブ実行制御部24は、自機の要求ジョブと隣接機器の要求ジョブとを取得し、ジョブの実行を指示する。
【0110】
第1の実施形態では、機器監視部23により、画像処理装置200からの省エネ状態情報を受信し、ジョブ管理装置100が有する機器情報41Dの[省エネ状態]項目に記録する。これにより、第1の実施形態では、ジョブ実行制御部24により、機器情報41Dに記録された省エネ状態情報に基づき、ジョブが要求された機器及び隣接機器において、要求ジョブの実行可能機器を判断し、省エネ復帰機器をジョブ実行先として決定していた。
【0111】
しかし、本実施形態では、画像処理装置200が、自機の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、自機で要求ジョブが実行可能か否かを判断し、自機が省エネモードから復帰していれば(自機が省エネ復帰機器であれば)、自機をジョブ実行先として決定する。
【0112】
ジョブ実行制御部24は、要求ジョブを受け付ける(ジョブデータ受信後、蓄積される)と、機器監視部23により保持された省エネ状態情報に基づき、自機で要求ジョブが実行可能か否かを判断する。ジョブ実行制御部24は、省エネモードから復帰した自機を、要求ジョブの実行可能機器として判断し、ジョブ実行先として決定する。
【0113】
次に、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[ジョブ格納先]項目を参照し、格納先情報に基づき、自機のジョブデータを取得する。さらに、ジョブ実行制御部24は、機器情報41Dの[隣接機器登録]項目を参照し、隣接機器識別情報に基づき、自機における隣接機器から、ジョブデータを取得する。
【0114】
本実施形態に係るジョブ管理機能では、上記ジョブ実行制御部24により、画像処理装置自身が省エネモードから復帰すると、自機の蓄積ジョブに加えて、隣接機器の蓄積ジョブを収集し、ジョブを実行することで、隣接機器に蓄積される要求ジョブの代行実行を行う。
【0115】
以上のように、本実施形態に係るジョブ管理機能は、上記各機能部が連携動作することにより実現される。なお、本実施形態に係るジョブ管理機能は、印刷システム1を構成する画像処理装置200に搭載(インストール)されるプログラム(ジョブ管理機能を実現するソフトウェア)が、処理装置(例えば「CPU」)により、記憶装置(例えば「ROM」など)からメモリ(RAM)上に読み出され、各機器において、以下の処理が実行されることで実現される。
【0116】
本実施形態に係るジョブ管理機能の詳細な動作(機能部群の連携動作)について、処理手順を示すシーケンス図及びフローチャートを用いて説明する。
【0117】
《印刷制御の主な処理》
図13は、本実施形態に係る印刷制御の処理手順例を示すシーケンス図である。
図13に示すように、印刷システム1では、情報処理装置300から画像処理装置2001に対して要求されたプリントジョブ(1)が投入される(ステップS301)。これにより、画像処理装置2001には、要求ジョブが蓄積される。
【0118】
画像処理装置2001は、要求ジョブを受け付けると、自機の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、自機が、要求ジョブの実行可能機器であるかを判定する(ステップS302)。このとき、画像処理装置2001は、自機が省エネ復帰機器であるか否かを判断する。
【0119】
また、印刷システム1では、情報処理装置300から画像処理装置2002に対して要求されたプリントジョブ(2)が投入され(ステップS303)、画像処理装置2002では、自機の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、自機が、要求ジョブの実行可能機器であるかが判定される(ステップS304)。
【0120】
また、印刷システム1では、画像処理装置2001に要求されたコピージョブが投入される(ステップS305)。
【0121】
これを受けて、印刷システム1では、例えば、画像処理装置2001が、省エネモードからの復帰を検知したとする(省エネ復帰検知が行われたとする:ステップS306)。このとき、画像処理装置2001では、機器監視部23により、省エネモードからの復帰を示す省エネ状態値が保持される("復帰"の状態値を保持)。
【0122】
これにより、画像処理装置2001は、自機が、要求ジョブの実行可能機器であると判定し、省エネ復帰機器である自機をジョブ実行先として決定する(ステップS307)。
【0123】
画像処理装置2001は、ジョブ実行先が決定されると、自機に蓄積される要求ジョブ(プリントジョブ(1)及びコピージョブ)のジョブデータを取得する(ステップS308)。
【0124】
次に、画像処理装置2001は、自機の隣接機器にあたる画像処理装置2002に対して、蓄積される要求ジョブ(プリントジョブ(2))の取得を要求し(ステップS309)、画像処理装置2002から送信された該当ジョブデータを取得する(ステップS310)。
【0125】
その結果、画像処理装置2001は、ジョブが実行され(ステップS311)、所定の時間経過後に、省エネモードへの移行が検知される(省エネ移行検知が行われる:ステップS312)。このとき、画像処理装置2001では、機器監視部23により、省エネモードへの移行を示す省エネ状態値が保持される("移行"の状態値を保持)。
【0126】
《ジョブ実行制御の処理》
図14は、本実施形態に係るジョブ実行制御の処理手順例を示すフローチャートである。
図14には、図13に示した画像処理装置200において、ジョブ管理機能の各機能部により実行される処理手順例の詳細が示されている。
【0127】
図14に示すように、画像処理装置200は、通信部21により、要求ジョブを受け付けたか否か(ジョブデータの受信)を判定する(ステップS401)。
【0128】
画像処理装置200は、要求ジョブを受け付けると(ステップS401:YES)、ジョブ管理部22により、受け付けた要求ジョブのジョブデータを蓄積するとともに、要求ジョブに対応するジョブ情報31Dを、ジョブ情報保持部31に記録する(ステップS402)。
【0129】
次に、画像処理装置200は、ジョブ実行制御部24により、次のようにして、自機の省エネモード状態(復帰/移行)に応じたジョブ実行先の制御処理を行う。
【0130】
ジョブ実行制御部24は、機器監視部23により検知された省エネモード状態に基づき、自機が、省エネ復帰機器か否かを判定する(ステップS403)。これにより、画像処理装置200では、自機で要求ジョブを実行可能か否かが判断される。
【0131】
ジョブ実行制御部24は、自機が、省エネ復帰機器である場合(ステップS403:YES)、省エネ復帰機器である自機をジョブ実行先として決定し、自機の蓄積ジョブと自機における隣接機器の蓄積ジョブとを取得する(ステップS407)。このとき、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[ジョブ格納先]項目を参照し、格納先情報に基づき、自機のジョブデータを取得する。さらに、ジョブ実行制御部24は、機器情報41Dの[隣接機器登録]項目を参照し、隣接機器識別情報に基づき、自機における隣接機器にアクセスする。これにより、ジョブ実行制御部24は、隣接機器から、ジョブデータを取得する。
【0132】
その結果、ジョブ実行部25は、取得されたジョブデータに基づき、ジョブを実行する(ステップS408)。このとき、ジョブ実行制御部24は、取得したジョブデータをジョブ実行部25に渡し、ジョブの実行を指示する。
【0133】
一方、ジョブ実行制御部24は、自機が、省エネ復帰機器でない場合(ステップS403:NO)、機器情報41Dの[ジョブ数]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、ジョブ実行開始条件情報に基づき、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブの数が、所定のジョブ数以上か否かを判定する(ステップS404)。このとき、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dを参照し、蓄積ジョブの数をカウントする。ジョブ実行制御部24は、カウント値が、機器情報41Dの[ジョブ数]項目に予め設定されている値(ジョブ実行開始条件情報)以上か否かを判定する。
【0134】
ジョブ実行制御部24は、自機の蓄積ジョブの数が、所定のジョブ数未満である場合(ステップS404:NO)、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[実行期限]項目を参照し、ジョブ実行開始条件情報に基づき、蓄積ジョブが、実行期限に達したか否かを判定する(ステップS405)。このとき、ジョブ実行制御部24は、ジョブ情報31Dの[実行期限]項目に記録されている値(ジョブ実行開始条件情報)に基づき、蓄積ジョブのうち、実行期限に達した蓄積ジョブが存在するか否かを判定する。
【0135】
ジョブ実行制御部24は、自機の蓄積ジョブが、実行期限に達していない場合(ステップS405:NO)、受け付けた要求ジョブの実行モードが、即座にジョブ実行を行う緊急モードか否かを判定する(ステップS406)。このとき、ジョブ実行制御部24は、要求ジョブの付加情報に含まれる実行モードを示す設定値に基づき、緊急モードか否かを判定する。
【0136】
ジョブ実行制御部24は、受け付けた要求ジョブの実行モードが、緊急モードである場合(ステップS406:YES)、自機をジョブ実行先として決定し、自機の蓄積ジョブと自機における隣接機器の蓄積ジョブとを取得する(ステップS407)。これにより、ジョブ実行制御部24は、ジョブ実行部25に対して、ジョブの実行を指示する。
【0137】
また、ジョブ実行制御部24は、自機の蓄積ジョブの数が、所定のジョブ数以上である場合も(ステップS404:YES)、自機をジョブ実行先として決定する。また、ジョブ実行制御部24は、自機の蓄積ジョブが、実行期限に達している場合も(ステップS405:YES)、自機をジョブ実行先として決定する。このときも、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、自機及び隣接機器それぞれのジョブ情報31Dの[ジョブ格納先]項目を参照し、格納先情報に基づき、自機へのジョブデータと隣接機器へのジョブデータとを取得する。
【0138】
なお、ジョブ実行制御部24は、受け付けた要求ジョブの実行モードが、緊急モードでない場合(ステップS406:NO)、ジョブの実行を行わず、要求ジョブ受付待ち状態(ステップS401)へと移行する。
【0139】
本実施形態に係る画像処理装置200では、上記処理手順により、ジョブ管理装置100を介すことなく、隣接機器に蓄積される要求ジョブの代行実行を行う。
【0140】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置200によれば、ジョブ管理部22により、利用者からの要求ジョブを受け付け(ジョブデータを受信し)、所定の記憶領域に保持する。画像処理装置200は、ジョブ実行制御部24により、機器監視部23が検知した自機の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、自機で要求ジョブが実行可能か否か(自機が省エネモードから復帰したか否か)を判断し、自機をジョブ実行先として決定する。画像処理装置200は、ジョブ実行制御部24により、隣接機器から要求ジョブを取得し、ジョブ実行部25により、自機及び隣接機器の要求ジョブを実行する。
【0141】
これによって、本実施形態に係るジョブ管理装置100では、第1の実施形態に示したジョブ管理装置が存在しない印刷システム(サーバレス環境)であっても、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0142】
ここまで、上記実施形態の説明を行ってきたが、上記実施形態に係る「ジョブ管理機能」は、図を用いて説明を行った各処理手順を、動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化したプログラムが、印刷システム1を構成する各機器(ジョブ管理装置や画像処理装置など)の処理装置(例えば「CPU」)により実行されることで実現される。
【0143】
例えば、ジョブ管理装置100の場合、上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体103aに格納することができる。これにより、例えば、上記プログラムは、ドライブ装置103を介して、ジョブ管理装置100にインストールすることができる。また、ジョブ管理装置100は、インタフェース装置107を備えていることから、電気通信回線を用いて上記プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0144】
また、例えば、画像処理装置200の場合、上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体214aに格納することができる。これにより、例えば、上記プログラムは、外部記憶I/F214を介して、画像処理装置200にインストールすることができる。また、画像処理装置200は、ネットワークI/F213を備えていることから、電気通信回線を用いて上記プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0145】
また、上記実施形態では、ジョブ実行開始条件情報である実行期限の日時が、要求ジョブごとに設定されている場合を例に、ジョブ管理機能の説明を行ったが、この限りでない。例えば、実行期限は、画像処理装置ごとに設定されていてもよい。この場合、実行期限は、要求ジョブの蓄積期間を示す値などであり、機器情報41Dにおける情報項目の1つとして設定可能とする。これにより、ジョブ管理機能では、ジョブ実行制御部24により、蓄積期間を超過した要求ジョブの実行を制御する。
【0146】
最後に、上記実施形態に挙げた形状や構成に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0147】
1 印刷システム
21 通信部
22 ジョブ管理部
23 機器監視部
24 ジョブ実行制御部
25 ジョブ実行部
31 ジョブ情報保持部(D:ジョブ情報)
41 機器情報保持部(D:機器情報)
100 ジョブ管理装置(管理サーバ)
101 入力装置
102 表示装置
103 ドライブ装置(a:記録媒体)
104 RAM(揮発性の半導体メモリ)
105 ROM(不揮発性の半導体メモリ)
106 CPU(中央処理装置)
107 インタフェース装置
108 HDD(不揮発性の記憶装置)
200 画像処理装置
210 コントローラ(制御基板)
211 本体制御装置(CPU:処理装置)
212 記憶装置(ROM,RAM,HDDなど)
213 ネットワークI/F
214 外部記憶I/F(a:記録媒体)
220 操作パネル
230 プロッタ(画像形成部)
240 スキャナ(画像読取部)
300 情報処理装置(利用者端末)
B バス
N データ伝送路(ネットワーク)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0148】
【特許文献1】特開2007−295433号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブ実行時の電力消費を削減する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、装置機能の動作別モード、待機モード、及び省エネモードのそれぞれにおいて、消費電力を測定し、測定値を所定周期でサンプリングして記録する画像処理装置に関する技術が開示されている。
【0003】
このように、従来の画像処理装置では、省エネモードを備え、待機中における消費電力の削減が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、消費電力の削減が画像処理装置単体で行われているため、複数の画像処理装置が設置される環境の場合、消費電力の削減が効果的に行われているとは言えない。
【0005】
例えば、複数の画像処理装置が設置される環境では、次のような場面が考えられる。1台の画像処理装置が、ジョブ実行により省エネモードから復帰したとする。また、このとき、隣接する他の画像処理装置も、ジョブ実行により省エネモードから復帰したとする。このような場合には、省エネモードから先に復帰した画像処理装置で、要求ジョブを一括実行する方が、消費電力の削減効果が高い。つまり、複数の画像処理装置が設置されている環境では、省エネモード状態(復帰/移行)に応じて、要求ジョブの実行先を決定し、要求ジョブの実行を制御することが望ましい。
【0006】
本発明は上記従来技術の問題点を鑑み提案されたものであり、複数の画像処理装置が設置される環境において、画像処理装置の消費電力を効果的に削減できるジョブ管理装置、画像処理装置、印刷システム、及びジョブ管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るジョブ管理装置は、所定のデータ伝送路を介して複数の画像処理装置と接続され、前記画像処理装置に対する要求ジョブのジョブデータを受信し、所定の記憶領域に保持するジョブ管理装置であって、前記画像処理装置の省エネモード状態を監視する監視手段と、前記省エネモード状態に基づき、前記要求ジョブの実行可能機器を判断し、ジョブ実行先を決定し、前記要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置に送信し、ジョブの実行を指示する制御手段と、を有している。
【0008】
このような構成によって、本発明に係るジョブ管理装置は、画像処理装置の省エネモード状態(復帰/移行)に応じて、ジョブ実行先を決定し、要求ジョブの実行を制御する。
【0009】
これによって、本発明に係るジョブ管理装置では、省エネモードから復帰した画像処理装置に、隣接する他の画像処理装置のジョブを代行して実行させる。その結果、利用者から受け付けた要求ジョブが、省エネモードから復帰した画像処理装置により一括実行され、他の画像処理装置が無駄に省エネモードから復帰することを防ぐことができる。このように、本発明に係る印刷システムでは、複数の画像処理装置が設置される環境において、画像処理装置の消費電力を効果的に削減できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像処理装置の省エネモード状態(復帰/移行)に応じて、ジョブ実行先を決定し、要求ジョブの実行を制御することで、複数の画像処理装置が設置される環境において、画像処理装置の消費電力を効果的に削減するジョブ管理装置、画像処理装置、印刷システム、及びジョブ管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る印刷システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るジョブ管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るジョブ管理機能の構成例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るジョブ情報のデータ例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る機器情報のデータ例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る印刷制御の処理手順例を示すシーケンス図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るジョブ実行制御の処理手順例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る印刷システムの構成例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るジョブ管理機能の構成例を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るジョブ情報のデータ例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る機器情報のデータ例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る印刷制御の処理手順例を示すシーケンス図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係るジョブ実行制御の処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」と言う)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る印刷システム1の構成例を示す図である。
図1には、複数の情報処理装置3001〜300n(以降総称する場合「情報処理装置300」と言う)と、複数の画像処理装置2001〜200n(以降総称する場合「画像処理装置200」と言う)とが、ネットワークなどのデータ伝送路N(例えば「LAN:Local Area Network」)で接続されるシステム構成例が示されている。
【0014】
情報処理装置300は、利用者端末などで、画像処理装置200に対して画像処理を要求する機器である。つまり、情報処理装置300は、ジョブ投入機器にあたる。一方、画像処理装置200は、画像処理機能を有する機器である。画像処理機能には、例えば、原稿読み取りや印刷などがある。つまり、画像処理装置200は、ジョブ実行機器にあたる。
【0015】
また、本実施形態に係る印刷システム1には、ジョブ管理装置(管理サーバ)100が接続されている。ジョブ管理装置100は、情報処理装置300から画像処理装置200に対して投入されたジョブを管理する機器である。ジョブ管理装置100では、例えば、ジョブ投入時に、ジョブを識別する情報(以下「ジョブ識別情報」と言い、ジョブIDなどが該当する)と、ジョブ実行先として指定された画像処理装置200を識別する情報(以下「機器識別情報」と言い、IPアドレス:Internet Protocol addressなどが該当する)と、が対応づけられ、所定の記憶領域に記録されたジョブ情報により、投入ジョブを管理する。
【0016】
これにより、本実施形態に係る印刷システム1では、次のような印刷サービスを利用者に提供する。例えば、利用者は、情報処理装置300から、ジョブ実行機器である画像処理装置200を指定し、印刷ジョブを送信する。すると、印刷ジョブは、指定先の機器識別情報とともに、ジョブ管理装置100に蓄積(一時的に保持)される。このとき、ジョブ管理装置100は、ジョブ情報を記録する。
【0017】
その後、ジョブ管理装置100は、画像処理装置200の省エネモード状態に応じて、省エネモードから復帰した画像処理装置200を、ジョブ実行先として決定し、決定した画像処理装置200に対して、蓄積した印刷ジョブを送信する。その結果、画像処理装置200では、印刷ジョブが実行される。
【0018】
このように、本実施形態に係る印刷システム1では、ジョブ管理装置100によって、利用者から受け付けた要求ジョブ(情報処理装置から投入されたジョブや画像処理装置を介して受け付けたジョブなど)が管理される。
【0019】
以上のように、本実施形態に係る印刷システム1では、上記システム構成により、画像処理サービスを提供することができる。
【0020】
<ハードウェア構成>
次に、本実施形態に係るジョブ管理装置100のハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るジョブ管理装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図2に示すように、ジョブ管理装置100は、入力装置101、表示装置102、ドライブ装置103、RAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)105、CPU(Central Processing Unit)106、インタフェース装置107、及びHDD(Hard Disk Drive)108などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0021】
入力装置101は、キーボードやマウスなどを含み、ジョブ管理装置100に各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置102は、ディスプレイなどを含み、ジョブ管理装置100による処理結果を表示する。
【0022】
インタフェース装置107は、ジョブ管理装置100をデータ伝送路Nに接続するインタフェースである。これにより、ジョブ管理装置100は、インタフェース装置107を介して、画像処理装置200や情報処理装置300とデータ通信を行うことができる。
【0023】
HDD108は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、装置全体を制御する情報処理システム(例えば「Windows(商標又は登録商標)」や「UNIX(商標又は登録商標)」などの基本ソフトウェアであるOS(Operating System))、及びシステム上において各種機能(例えば「ジョブ管理機能」)を提供するアプリケーションなどがある。また、HDD108は、格納しているプログラムやデータを、所定のファイルシステム及び/又はDB(Data Base)により管理している。
【0024】
ドライブ装置103は、着脱可能な記録媒体103aとのインタフェースである。これにより、ジョブ管理装置100は、ドライブ装置103を介して、記録媒体103aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体103aには、例えば、フロッピー(商標又は登録商標)ディスク、CD(Compact Disk)、及びDVD(Digital Versatile Disk)、ならびに、SDメモリカード(SD Memory Card)やUSBメモリ(Universal Serial Bus Memory)などがある。
【0025】
ROM105は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM105には、ジョブ管理装置100の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、情報処理システム設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM104は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。CPU106は、上記記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)から、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行することで、装置全体の制御や搭載機能を実現する処理装置である。
【0026】
以上のように、本実施形態に係るジョブ管理装置100では、上記ハードウェア構成により、ジョブ管理サービスを提供することができる。
【0027】
<ジョブ管理機能>
本実施形態に係るジョブ管理機能について説明する。
本実施形態に係るジョブ管理装置100では、利用者からの要求ジョブを受け付け(ジョブデータを受信し)、所定の記憶領域に保持する。ジョブ管理装置100は、画像処理装置200の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、要求ジョブの実行可能機器(省エネモードから復帰した画像処理装置)を判断し、ジョブ実行先を決定する。ジョブ管理装置100は、要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置200に送信し、ジョブの実行を指示する。本実施形態に係るジョブ管理装置100は、このようなジョブ管理機能を有している。
【0028】
従来の方法では、消費電力の削減が画像処理装置単体で行われているため、複数の画像処理装置200が設置される環境の場合、消費電力の削減が効果的に行われているとは言えない。
【0029】
例えば、複数の画像処理装置200が設置される環境では、次のような場面が考えられる。1台の画像処理装置2001が、ジョブ実行により省エネモードから復帰したとする。また、このとき、隣接する他の画像処理装置2002も、ジョブ実行により省エネモードから復帰したとする。このような場合には、省エネモードから先に復帰した画像処理装置2001で、要求ジョブを一括実行する方が、消費電力の削減効果が高い。
【0030】
そこで、本実施形態に係るジョブ管理装置100では、画像処理装置2001の省エネモード状態(復帰/移行)に応じて、ジョブ実行先を決定し、要求ジョブの実行を制御する仕組みとした。
【0031】
これにより、本実施形態に係るジョブ管理装置100では、省エネモードから復帰した画像処理装置2001に、隣接する他の画像処理装置2002のジョブを代行して実行させる。その結果、利用者から受け付けた要求ジョブが、省エネモードから復帰した画像処理装置2001により一括実行され、他の画像処理装置2002が無駄に省エネモードから復帰することを防ぐことができる。
【0032】
このように、本実施形態に係る印刷システム1では、複数の画像処理装置200が設置される環境において、画像処理装置200の消費電力を効果的に削減できる。
【0033】
以下に、本実施形態に係るジョブ管理機能の構成とその動作について説明する。
図3は、本実施形態に係るジョブ管理機能の構成例を示す図である。
図3に示すように、本実施形態に係るジョブ管理機能は、通信部21、ジョブ管理部22、機器監視部23、ジョブ実行制御部24、ジョブ情報保持部31、及び機器情報保持部41などを有している。
【0034】
通信部21は、例えば、インタフェース装置107を介して、画像処理装置200や情報処理装置300などの機器とデータ通信を行う機能部である。
【0035】
ジョブ管理部22は、通信部21を介して、利用者から受け付けた要求ジョブを管理する機能部である。管理対象の要求ジョブには、例えば、情報処理装置300から投入された印刷ジョブや、画像処理装置200を介して受け付けたコピージョブなどがある。
【0036】
ジョブ管理部22は、受け付けた要求ジョブを蓄積し、所定の情報により管理する。所定の情報は、例えば、図4に示すようなジョブに関する情報(以下「ジョブ情報」と言う)である。
【0037】
図4は、本実施形態に係るジョブ情報31Dのデータ例を示す図である。
図4に示すように、ジョブ情報31Dは、例えば、ジョブ識別、機器識別、実行期限、及びジョブ格納先などの各情報項目が対応づけられている。[ジョブ識別]項目は、要求ジョブを識別する情報(ジョブ識別情報)が記録される項目であり、項目値には、例えば、要求ジョブに割り当てられたID値などである。[機器識別]項目は、ジョブ実行先として指定された画像処理装置200(以下「ジョブが要求された機器」と言う)を識別する情報(機器識別情報)が記録される項目であり、項目値には、例えば、画像処理装置200に設定されたIPアドレス値などである。
【0038】
[実行期限]項目は、要求ジョブの実行開始条件を示す情報(以下「ジョブ実行開始条件情報」と言う)が記録される項目であり、項目値には、例えば、要求ジョブの実行期限を示す日付値などである。[ジョブ格納先]項目は、要求ジョブの格納先(蓄積先)を示す情報(以下「格納先情報」と言う)が記録される項目であり、項目値には、例えば、ジョブデータ(「印刷データ」や「コピーデータ」など)へのファイルパス、ディレクトリパス、URI(Uniform Resource Identifier)などである。
【0039】
ジョブ情報31Dは、例えば、ジョブ管理部22が、要求ジョブを受け付けた際に、ジョブデータとともに、ジョブ情報保持部31に格納される。なお、ジョブ情報保持部31は、例えば、ジョブ管理装置100が備える記憶装置(例えば「HDD」)の所定の記憶領域にあたる。
【0040】
このように、ジョブ管理部22は、上記各情報項目の項目値をジョブ単位で記録し、ジョブ情報31Dを生成することで、要求ジョブを管理している。なお、上記実行期限情報は、例えば、利用者が、ジョブ投入時に、所定のGUI(Graphical User Interface)を介して設定することで、ジョブデータに付加される情報である。よって、ジョブ管理部22では、要求ジョブ受付時に付加情報から取得した実行期限情報を記録する。
【0041】
機器監視部23は、通信部21を介して、画像処理装置200の省エネモード状態を監視する機能部である。機器監視部23は、画像処理装置200から送信された省エネ状態値(復帰/移行)を受信することで、状態を監視する。
【0042】
機器監視部23は、受信した省エネ状態値を、画像処理装置200を管理する所定の情報に記録する。所定の情報は、例えば、図5に示すような画像処理装置200に関する情報(以下「機器情報」と言う)である。
【0043】
図5は、本実施形態に係る機器情報41Dのデータ例を示す図である。
図5に示すように、機器情報41Dは、機器識別、省エネ状態、隣接機器登録、及びジョブ数などの各情報項目が対応づけられている。[機器識別]項目は、機器識別情報が設定されている項目である。[省エネ状態]項目は、画像処理装置200の省エネモード状態を示す情報(省エネ状態情報)が記録される項目であり、項目値には、例えば、省エネモード復帰/移行の状態値(ステータス値)などである。
【0044】
[隣接機器登録]項目は、特定の画像処理装置200に対して隣接する他の画像処理装置200(以下「隣接機器」と言う)の機器識別情報(以下「隣接機器識別情報」と言う)が登録されている項目である。[ジョブ数]項目は、要求ジョブの実行開始条件を示す情報(ジョブ実行開始条件情報)が設定されている項目であり、項目値には、例えば、要求ジョブの蓄積上限数を示すジョブ数などである。
【0045】
上記[機器識別]、[隣接機器登録]、及び[ジョブ数]項目の項目値は、例えば、機器管理者が、所定の管理・設定ツールを介して予め設定することで、機器情報保持部41に格納される。一方、上記[省エネ状態]項目の項目値は、例えば、機器監視部23が、画像処理装置200から通知された省エネモード復帰/移行の状態値を受信した際に、機器情報保持部41に格納される。つまり、[省エネ状態]項目の項目値は、画像処理装置200からの状態通知により更新される。なお、機器情報保持部41は、ジョブ情報保持部31と同様に、例えば、ジョブ管理装置100が備える記憶装置(例えば「HDD」)の所定の記憶領域にあたる。
【0046】
このように、機器監視部23は、上記各情報項目の項目値を機器単位で記録し、機器情報41Dを生成することで、画像処理装置200を管理している。
【0047】
なお、上記には、隣接機器識別情報を、管理者により事前設定しておく方法を説明したが、この限りでない。例えば、次のような方法であれば、自動設定も可能となる。
【0048】
例えば、本実施形態に係る印刷システム1には、マップ管理装置(非図示)が接続されているとする。マップ管理装置(非図示)は、情報処理装置300や画像処理装置200などの機器配置を管理する機器である。マップ管理装置(非図示)では、例えば、機器識別情報と、情報処理装置300や画像処理装置200などの配置位置を示す情報(以下「機器位置情報」と言い、二次元空間の座標値などが該当する)と、が対応づけられ、所定の記憶領域に記録されたマップ情報により、機器配置を管理する。
【0049】
このような場合、ジョブ管理装置100では、マップ管理装置(非図示)が有するマップ情報を参照し、機器位置情報から、特定の画像処理装置200に対する隣接機器を特定する。その結果、ジョブ管理装置100では、特定した隣接機器の機器識別情報を、機器情報41Dに、隣接機器識別情報として自動的に設定できる。
【0050】
図3の説明に戻る。ジョブ実行制御部24は、画像処理装置200の省エネモード状態(復帰/移行)に応じて、ジョブ実行先を決定し、ジョブの実行を制御する機能部である。ジョブ実行制御部24は、画像処理装置200の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、要求ジョブの実行可能機器を判断し、ジョブ実行先を決定する。ジョブ実行制御部24は、要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置200に送信し、ジョブの実行を指示する。
【0051】
ジョブ実行制御部24は、通信部21により、要求ジョブを受け付ける(ジョブデータ受信後、蓄積される)と、機器情報41Dの[省エネ状態]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、省エネ状態情報に基づき、ジョブが要求された機器及び隣接機器のうち、要求ジョブを実行可能な画像処理装置200が存在するか否かを判断する。その結果、ジョブ実行制御部24は、これら複数の機器の中から、省エネモードから復帰した画像処理装置200(以下「省エネ復帰機器」と言う)を、要求ジョブの実行可能機器として判断し、該当機器をジョブ実行先として決定する。なお、ジョブ実行制御部24は、機器情報41Dの[機器識別]項目に対応する[隣接機器登録]項目を参照し、隣接機器識別情報に基づき、ジョブが要求された機器における隣接機器を特定する。
【0052】
例えば、省エネ復帰機器が複数存在した場合には、次のようにして、ジョブ実行先を決定する。複数の該当機器のうち、ジョブが要求された機器が含まれている場合には、利用者指定に従って、ジョブが要求された機器をジョブ実行先として決定する。一方、複数の該当機器に、ジョブが要求された機器が含まれていない場合には、利用者がジョブ実行結果を取得する利便性を考慮し、ジョブが要求された機器に一番近い配置位置の機器をジョブ実行先として決定する。なお、「一番近い配置位置の機器」の判断は、上述したマップ管理装置が有するマップ情報内の機器位置情報に基づいて行えばよい。
【0053】
次に、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[機器識別]項目に対応する[ジョブ格納先]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、格納先情報に基づき、蓄積される要求ジョブ(以下「蓄積ジョブ」と言う)のうち、ジョブ実行先として決定した画像処理装置200へのジョブデータと、決定した画像処理装置200における隣接機器へのジョブデータと、を取得する。
【0054】
例えば、ジョブが要求された、機器識別情報"192.168.11.X1"の機器が、省エネモードから復帰し、ジョブ実行先として決定された場合には、次のようにして、送信するジョブデータを取得する。なお、以下の説明では、ジョブ情報31Dとして図4に示すデータ、及び機器情報41Dの例として図5に示すデータを用いる。
【0055】
ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dを参照し、機器識別情報"192.168.11.X1"に対応する格納先情報から、ジョブデータ"J0001.prn"を取得する。また、ジョブ実行制御部24は、機器情報41Dの[機器識別]項目に対応する[隣接機器登録]項目を参照し、ジョブ管理部22を介して、隣接機器識別情報に基づき、ジョブ情報31Dを参照する。これにより、ジョブ実行制御部24は、隣接機器識別情報"192.168.11.X2"〜"192.168.11.X5"それぞれに対応する格納先情報から、該当するジョブデータが蓄積されているか否かを判断する。その結果、ジョブ実行制御部24は、蓄積されている隣接機器へのジョブデータ"J0002.prn"を取得する。
【0056】
また、例えば、ジョブが要求された機器でなく、機器識別情報"192.168.11.X5"の隣接機器が、省エネモードから復帰し、ジョブ実行先として決定された場合には、次のようにして、送信するジョブデータを取得する。
【0057】
ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dを参照し、機器識別情報"192.168.11.X5"に対応する格納先情報から、ジョブデータ"J0002.prn"を取得する。また、ジョブ実行制御部24は、機器情報41Dの[機器識別]項目に対応する[隣接機器登録]項目を参照し、ジョブ管理部22を介して、隣接機器識別情報に基づき、ジョブ情報31Dを参照する。これにより、ジョブ実行制御部24は、隣接機器識別情報"192.168.11.X1"〜"192.168.11.X4"それぞれに対応する格納先情報から、該当するジョブデータが蓄積されているか否かを判断する。その結果、ジョブ実行制御部24は、蓄積されている要求ジョブのジョブデータ"J0001.prn"を取得する。
【0058】
このようにして取得されたジョブデータは、ジョブ実行制御部24により、決定したジョブ実行先の該当機器に送信され、ジョブの実行が指示される。
【0059】
本実施形態に係るジョブ管理機能では、ジョブ管理装置100を介した画像処理装置200の機器連携による要求ジョブの代行実行を行う(省エネ復帰機器に隣接機器のジョブを代行して実行させる)。
【0060】
また、ジョブ実行制御部24は、省エネ復帰機器(要求ジョブの実行可能機器)が存在しない場合には、次のようにして、ジョブ実行先を決定する。ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dを参照する。ジョブ実行制御部24は、機器識別情報に基づき、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブの数をカウントし、カウント数が所定のジョブ数以上か否かを判断する。このとき、判断基準とするジョブ数は、機器情報41Dの[ジョブ数]項目に予め設定されている値(ジョブ実行開始条件情報)である。
【0061】
ジョブ実行制御部24は、該当する蓄積ジョブ数が、所定のジョブ数以上である場合、ジョブが要求された機器を、ジョブ実行先として決定する。
【0062】
また、ジョブ実行制御部24は、省エネ復帰機器が存在せず、かつジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブ数が所定数未満である場合には、次のようにして、ジョブ実行先を決定する。ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dを参照し、機器識別情報に基づき、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブを特定し、実行期限に達した蓄積ジョブが存在するか否かを判断する。このとき、判断基準とする実行期限は、ジョブ情報31Dの[実行期限]項目に記録されている値(ジョブ実行開始条件情報)である。
【0063】
ジョブ実行制御部24は、該当する蓄積ジョブが、実行期限に達している場合、ジョブが要求された機器を、ジョブ実行先として決定する。
【0064】
本実施形態に係るジョブ管理機能では、上記ジョブ実行制御部24により、ジョブが要求された機器及び隣接機器において、省エネ復帰機器の存在が確認できなければ、所定のジョブ実行開始条件に従って、ジョブが要求された機器で、要求ジョブの実行を行う。
【0065】
以上のように、本実施形態に係るジョブ管理機能は、上記各機能部が連携動作することにより実現される。なお、本実施形態に係るジョブ管理機能は、印刷システム1を構成するジョブ管理装置100に搭載(インストール)されるプログラム(ジョブ管理機能を実現するソフトウェア)が、処理装置(例えば「CPU」)により、記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)からメモリ(RAM)上に読み出され、各機器において、以下の処理が実行されることで実現される。
【0066】
本実施形態に係るジョブ管理機能の詳細な動作(機能部群の連携動作)について、処理手順を示すシーケンス図及びフローチャートを用いて説明する。
【0067】
《印刷制御の主な処理》
図6は、本実施形態に係る印刷制御の処理手順例を示すシーケンス図である。
図6に示すように、印刷システム1では、情報処理装置300から画像処理装置200に対して要求されたプリントジョブ(1)が投入される(ステップS101)。これにより、ジョブ管理装置100には、要求ジョブが蓄積される。
【0068】
ジョブ管理装置100は、要求ジョブを受け付けると、画像処理装置200の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、ジョブが要求された機器及び隣接機器のうち、要求ジョブの実行可能機器の有無判定を行う(ステップS102)。このとき、ジョブ管理装置100は、これら複数の機器の中に、省エネ復帰機器が存在するか否かを判断する。
【0069】
また、印刷システム1では、画像処理装置200に要求されたコピージョブが投入される(ステップS103)。
【0070】
これを受けて、印刷システム1では、例えば、画像処理装置200からジョブ管理装置100に対して、省エネモードからの復帰が通知され(省エネ復帰通知が行われ:ステップS105)、情報処理装置300から画像処理装置200に対して要求されたプリントジョブ(2)が投入されたとする(ステップS106)。このとき、ジョブ管理装置100では、機器監視部23により、画像処理装置200から通知された省エネ状態値に基づき、機器情報41Dの[省エネ状態]項目を更新する("移行"→"復帰"に項目値を更新)。
【0071】
ジョブ管理装置100は、再び、要求ジョブを受け付けると、画像処理装置200の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、ジョブが要求された機器及び隣接機器のうち、要求ジョブの実行可能機器の有無判定を行う(ステップS107)。その結果、ジョブ管理装置100は、これら複数の機器の中に省エネ復帰機器が存在すると判断されると、省エネ復帰機器をジョブ実行先として決定する。
【0072】
ジョブ管理装置100は、ジョブ実行先が決定されると、蓄積される要求ジョブ(プリントジョブ(1)、(2)、及びコピージョブ)のジョブデータを取得後(ステップS108)、取得したジョブデータを、決定したジョブ実行先の画像処理装置200に送信する(ステップS109)。これにより、ジョブ管理装置100では、要求ジョブの実行可能機器である画像処理装置200に対して、ジョブの実行を指示する。
【0073】
その結果、ジョブデータが送信された画像処理装置200では、ジョブが実行され(ステップS110)、所定の時間経過後に、省エネモードへの移行が通知される(省エネ移行通知が行われる:ステップS111)。このとき、ジョブ管理装置100では、機器監視部23により、画像処理装置200から通知された省エネ状態値に基づき、機器情報41Dの[省エネ状態]項目を更新する("復帰"→"移行"に項目値を更新)。
【0074】
《ジョブ実行の制御処理》
図7は、本実施形態に係るジョブ実行制御の処理手順例を示すフローチャートである。図7には、図6に示したジョブ管理装置100において、ジョブ管理機能の各機能部により実行される処理手順例の詳細が示されている。
【0075】
図7に示すように、ジョブ管理装置100は、通信部21により、要求ジョブを受け付けたか否か(ジョブデータの受信)を判定する(ステップS201)。
【0076】
ジョブ管理装置100は、要求ジョブを受け付けると(ステップS201:YES)、ジョブ管理部22により、受け付けた要求ジョブのジョブデータを蓄積するとともに、要求ジョブに対応するジョブ情報31Dを、ジョブ情報保持部31に記録する(ステップS202)。
【0077】
次に、ジョブ管理装置100は、ジョブ実行制御部24により、次のようにして、画像処理装置200の省エネモード状態(復帰/移行)に応じたジョブ実行の制御処理を行う。
【0078】
ジョブ実行制御部24は、機器情報41Dの[省エネ状態]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、省エネ状態情報に基づき、ジョブが要求された機器又は隣接機器が、省エネ復帰機器か否かを判定する(ステップS203)。これにより、ジョブ管理装置100では、ジョブが要求された機器及び隣接機器のうち、要求ジョブを実行可能な画像処理装置200が存在するか否かが判断される。
【0079】
ジョブ実行制御部24は、ジョブが要求された機器又は隣接機器が、省エネ復帰機器である場合(ステップS203:YES)、省エネ復帰機器をジョブ実行先として決定し、決定したジョブ実行先に、蓄積ジョブを送信する(ステップS207)。このとき、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[機器識別]項目に対応する[ジョブ格納先]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、格納先情報に基づき、蓄積ジョブのうち、省エネ復帰機器へのジョブデータと省エネ復帰機器における隣接機器へのジョブデータとを取得し、取得データを送信する。これにより、ジョブ実行制御部24は、省エネ復帰機器に対して、ジョブの実行を指示する。
【0080】
一方、ジョブ実行制御部24は、ジョブが要求された機器及び隣接機器が、省エネ復帰機器でない場合(ステップS203:NO)、機器情報41Dの[ジョブ数]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、ジョブ実行開始条件情報に基づき、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブの数が、所定のジョブ数以上か否かを判定する(ステップS204)。このとき、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[機器識別]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、機器識別情報に基づき、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブを特定し、特定した蓄積ジョブの数をカウントする。ジョブ実行制御部24は、カウント値が、機器情報41Dの[ジョブ数]項目に予め設定されている値(ジョブ実行開始条件情報)以上か否かを判定する。
【0081】
ジョブ実行制御部24は、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブの数が、所定のジョブ数未満である場合(ステップS204:NO)、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[実行期限]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、ジョブ実行開始条件情報に基づき、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブが、実行期限に達したか否かを判定する(ステップS205)。このとき、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[機器識別]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、機器識別情報に基づき、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブを特定する。ジョブ実行制御部24は、ジョブ情報31Dの[実行期限]項目に記録されている値(ジョブ実行開始条件情報)に基づき、特定した蓄積ジョブのうち、実行期限に達した蓄積ジョブが存在するか否かを判定する。
【0082】
ジョブ実行制御部24は、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブが、実行期限に達していない場合(ステップS205:NO)、受け付けた要求ジョブの実行モードが、即座にジョブ実行を行う緊急モードか否かを判定する(ステップS206)。このとき、ジョブ実行制御部24は、要求ジョブの付加情報に含まれる実行モードを示す設定値に基づき、緊急モードか否かを判定する。
【0083】
ジョブ実行制御部24は、受け付けた要求ジョブの実行モードが、緊急モードである場合(ステップS206:YES)、ジョブが要求された機器をジョブ実行先として決定し、決定したジョブ実行先に、受け付けた要求の蓄積ジョブを送信する(ステップS207)。これにより、ジョブ実行制御部24は、ジョブが要求された機器に対して、ジョブの実行を指示する。
【0084】
また、ジョブ実行制御部24は、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブの数が、所定のジョブ数以上である場合も(ステップS204:YES)、ジョブが要求された機器をジョブ実行先として決定する。また、ジョブ実行制御部24は、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブが、実行期限に達している場合も(ステップS205:YES)、ジョブが要求された機器をジョブ実行先として決定する。このときも、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[機器識別]項目に対応する[ジョブ格納先]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、格納先情報に基づき、蓄積ジョブのうち、ジョブが要求された機器へのジョブデータと隣接機器へのジョブデータとを取得し、取得データを送信する。
【0085】
なお、ジョブ実行制御部24は、受け付けた要求ジョブの実行モードが、緊急モードでない場合(ステップS206:NO)、ジョブの実行を行わず、要求ジョブ受付待ち状態(ステップS201)へと移行する。
【0086】
本実施形態に係るジョブ管理装置100では、上記処理手順により、ジョブ管理装置100を介した画像処理装置200の機器連携による要求ジョブの代行実行を行う。
【0087】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係るジョブ管理装置100によれば、ジョブ管理部22により、利用者からの要求ジョブを受け付け(ジョブデータを受信し)、所定の記憶領域に保持する。ジョブ管理装置100は、ジョブ実行制御部24により、画像処理装置200の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、要求ジョブの実行可能機器(省エネモードから復帰した画像処理装置)を判断し、ジョブ実行先を決定する。ジョブ管理装置100は、ジョブ実行制御部24により、要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置200に送信し、ジョブの実行を指示する。
【0088】
これによって、本実施形態に係るジョブ管理装置100では、利用者から受け付けた要求ジョブが、省エネ復帰機器により一括実行され、省エネ復帰機器に対する隣接機器が無駄に省エネモードから復帰することを防ぐことができる。
【0089】
このように、本実施形態に係る印刷システム1では、複数の画像処理装置200が設置される環境において、画像処理装置200の消費電力を効果的に削減できる。
【0090】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、ジョブ管理装置を有する印刷システムについて説明を行った。そこで、本実施形態では、ジョブ管理装置が存在しない印刷システムにおけるジョブ管理機能について説明する。なお、以下の説明では、第1の実施形態と異なる事項についてのみ説明する(同一事項については、その説明を省略する)。
【0091】
<システム構成>
図8は、本実施形態に係る印刷システム1の構成例を示す図である。
図8に示すように、本実施形態に係る印刷システム1では、ジョブ投入機器である情報処理装置300と、ジョブ実行機器である画像処理装置200と、がデータ伝送路Nで接続されているのみである。このように、本実施系形態に係る印刷システム1は、ジョブ管理装置が存在しないサーバレス環境である。このような場合、第1の実施形態に示したジョブ管理機能は、画像処理装置200が有する構成となる。
【0092】
<ハードウェア構成>
ここで、画像処理装置200のハードウェア構成例について説明する。
図9は、本実施形態に係る画像処理装置200のハードウェア構成例を示す図である。
図9に示すように、画像処理装置200は、コントローラ210、操作パネル220、プロッタ230、及びスキャナ240などを備え、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0093】
操作パネル220は、入力部や表示部を備えており、機器情報などの各種情報を利用者に提供したり、動作設定や動作指示などの各種利用者操作を受け付けたりする入力・表示装置である。プロッタ230は、画像形成部を備えており、用紙に出力画像を形成する印刷装置である。出力画像を形成する方式には、例えば、電子写真プロセスやインクジェット方式などがある。スキャナ240は、原稿を光学的に読み取り、読み取り画像を生成する読み取り装置である。
【0094】
コントローラ210は、CPU211、記憶装置212、ネットワークI/F213、及び外部記憶I/F214などを備える制御基板であり、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0095】
記憶装置211は、RAM、ROM、及びHDDなどを含み、各種プログラムやデータを格納及び/又は保持する装置である。CPU212は、ROMやHDDから、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行する(記憶装置から読み出したプログラムやデータの処理を実行する)ことで、装置全体の制御や搭載機能を実現する処理装置である。
【0096】
ネットワークI/F213は、画像処理装置200をデータ伝送路Nに接続するインタフェースである。これにより、画像処理装置200は、ネットワークI/F213を介して、他の画像処理装置200や情報処理装置300とデータ通信を行うことができる。
【0097】
外部記憶I/F214は、外部記憶装置にあたる記録媒体214aとのインタフェースである。記録媒体214aには、例えば、SDメモリカード(SD Memory Card)やUSB(Universal Serial Bus)メモリなどがある。これにより、画像処理装置200は、外部記憶I/F214を介して、記録媒体214aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
【0098】
以上のように、画像処理装置200では、上記ハードウェア構成により、各種画像処理サービスを提供することができる。
【0099】
<ジョブ管理機能>
本実施形態に係るジョブ管理機能について説明する。
本実施形態に係る画像処理装置200では、利用者からの要求ジョブを受け付け(ジョブデータを受信し)、所定の記憶領域に保持する。画像処理装置200は、自機の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、自機で要求ジョブが実行可能か否か(自機が省エネモードから復帰したか否か)を判断し、自機をジョブ実行先として決定する。画像処理装置200は、隣接機器から要求ジョブを取得し、自機の要求ジョブと合わせて実行する。本実施形態に係る画像処理装置200は、このようなジョブ管理機能を有している。
【0100】
以下に、本実施形態に係るジョブ管理機能の構成とその動作について説明する。
図10は、本実施形態に係るジョブ管理機能の構成例を示す図である。
図10に示すように、本実施形態に係る画像処理装置200は、ジョブ管理機能を実現する各機能部に加えて、ジョブ実行部25などを有している。
【0101】
第1の実施形態では、ジョブ実行制御部24が、省エネ復帰機器に対して、蓄積ジョブを送信し、ジョブの実行を指示していた。しかし、本実施形態では、ジョブ実行制御部24が、ジョブ実行部25に対して、蓄積ジョブを渡し、ジョブの実行を指示する。よって、ジョブ実行部25は、例えば、プリントジョブを実行するプリンタアプリケーションや、コピージョブを実行するコピーアプリケーションなどである。
【0102】
また、本実施形態では、ジョブ管理部22、機器監視部23、及びジョブ実行制御部24において、以下の点が、第1の実施形態と異なる。
【0103】
ジョブ管理部22は、例えば、図11に示すようなジョブ情報31Dを、ジョブ情報保持部31に格納し、画像処理装置200で受け付けた要求ジョブを管理する。
【0104】
図11は、本実施形態に係るジョブ情報31Dのデータ例を示す図である。
本実施形態の場合、要求ジョブは、画像処理装置200が直接受け付け、画像処理装置200が備える記憶装置(例えば「HDD」)の所定の記憶領域に格納され、蓄積される。そのため、第1の実施形態に示したジョブ管理装置のように、ジョブ実行先として指定された画像処理装置200を、要求ジョブ単位でジョブ情報31Dにより、管理する必要がない。よって、本実施形態に係るジョブ情報31Dでは、図11に示すように[機器識別]項目を有していない。
【0105】
機器監視部23は、機能搭載機器(以下「自機」と言う)の省エネモード状態を監視する。機器監視部23は、自機の省エネモード状態(復帰/移行)を検知することで、状態を監視する。これにより、本実施形態に係る機器監視部23は、検知した省エネ状態値(省エネ状態情報)を、自機が備える記憶装置(例えば「RAM」)の所定の記憶領域に保持する。
【0106】
このようなことから、本実施形態では、例えば、図12に示すような機器情報41Dを、機器情報保持部41に格納している。
【0107】
図12は、本実施形態に係る機器情報41D1,41D2(以下総称する場合「機器情報41D」と言う)のデータ例を示す図である。(A)には、画像処理装置2001におけるデータ例、(B)には、画像処理装置2002におけるデータ例が示されている。
【0108】
図12に示すように、本実施形態に係る機器情報41Dは、隣接機器登録及びジョブ数の情報項目のみを有し、機器情報保持部41に格納されている。つまり、機器情報41Dは、画像処理装置単位で管理されている。
【0109】
ジョブ実行制御部24は、自機の省エネモード状態(復帰/移行)に応じて、自機をジョブ実行先として決定し、隣接機器の要求ジョブを含むジョブの実行を制御する機能部である。ジョブ実行制御部24は、自機の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、自機で要求ジョブが実行可能か否かを判断し、自機をジョブ実行先として決定する。ジョブ実行制御部24は、自機の要求ジョブと隣接機器の要求ジョブとを取得し、ジョブの実行を指示する。
【0110】
第1の実施形態では、機器監視部23により、画像処理装置200からの省エネ状態情報を受信し、ジョブ管理装置100が有する機器情報41Dの[省エネ状態]項目に記録する。これにより、第1の実施形態では、ジョブ実行制御部24により、機器情報41Dに記録された省エネ状態情報に基づき、ジョブが要求された機器及び隣接機器において、要求ジョブの実行可能機器を判断し、省エネ復帰機器をジョブ実行先として決定していた。
【0111】
しかし、本実施形態では、画像処理装置200が、自機の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、自機で要求ジョブが実行可能か否かを判断し、自機が省エネモードから復帰していれば(自機が省エネ復帰機器であれば)、自機をジョブ実行先として決定する。
【0112】
ジョブ実行制御部24は、要求ジョブを受け付ける(ジョブデータ受信後、蓄積される)と、機器監視部23により保持された省エネ状態情報に基づき、自機で要求ジョブが実行可能か否かを判断する。ジョブ実行制御部24は、省エネモードから復帰した自機を、要求ジョブの実行可能機器として判断し、ジョブ実行先として決定する。
【0113】
次に、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[ジョブ格納先]項目を参照し、格納先情報に基づき、自機のジョブデータを取得する。さらに、ジョブ実行制御部24は、機器情報41Dの[隣接機器登録]項目を参照し、隣接機器識別情報に基づき、自機における隣接機器から、ジョブデータを取得する。
【0114】
本実施形態に係るジョブ管理機能では、上記ジョブ実行制御部24により、画像処理装置自身が省エネモードから復帰すると、自機の蓄積ジョブに加えて、隣接機器の蓄積ジョブを収集し、ジョブを実行することで、隣接機器に蓄積される要求ジョブの代行実行を行う。
【0115】
以上のように、本実施形態に係るジョブ管理機能は、上記各機能部が連携動作することにより実現される。なお、本実施形態に係るジョブ管理機能は、印刷システム1を構成する画像処理装置200に搭載(インストール)されるプログラム(ジョブ管理機能を実現するソフトウェア)が、処理装置(例えば「CPU」)により、記憶装置(例えば「ROM」など)からメモリ(RAM)上に読み出され、各機器において、以下の処理が実行されることで実現される。
【0116】
本実施形態に係るジョブ管理機能の詳細な動作(機能部群の連携動作)について、処理手順を示すシーケンス図及びフローチャートを用いて説明する。
【0117】
《印刷制御の主な処理》
図13は、本実施形態に係る印刷制御の処理手順例を示すシーケンス図である。
図13に示すように、印刷システム1では、情報処理装置300から画像処理装置2001に対して要求されたプリントジョブ(1)が投入される(ステップS301)。これにより、画像処理装置2001には、要求ジョブが蓄積される。
【0118】
画像処理装置2001は、要求ジョブを受け付けると、自機の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、自機が、要求ジョブの実行可能機器であるかを判定する(ステップS302)。このとき、画像処理装置2001は、自機が省エネ復帰機器であるか否かを判断する。
【0119】
また、印刷システム1では、情報処理装置300から画像処理装置2002に対して要求されたプリントジョブ(2)が投入され(ステップS303)、画像処理装置2002では、自機の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、自機が、要求ジョブの実行可能機器であるかが判定される(ステップS304)。
【0120】
また、印刷システム1では、画像処理装置2001に要求されたコピージョブが投入される(ステップS305)。
【0121】
これを受けて、印刷システム1では、例えば、画像処理装置2001が、省エネモードからの復帰を検知したとする(省エネ復帰検知が行われたとする:ステップS306)。このとき、画像処理装置2001では、機器監視部23により、省エネモードからの復帰を示す省エネ状態値が保持される("復帰"の状態値を保持)。
【0122】
これにより、画像処理装置2001は、自機が、要求ジョブの実行可能機器であると判定し、省エネ復帰機器である自機をジョブ実行先として決定する(ステップS307)。
【0123】
画像処理装置2001は、ジョブ実行先が決定されると、自機に蓄積される要求ジョブ(プリントジョブ(1)及びコピージョブ)のジョブデータを取得する(ステップS308)。
【0124】
次に、画像処理装置2001は、自機の隣接機器にあたる画像処理装置2002に対して、蓄積される要求ジョブ(プリントジョブ(2))の取得を要求し(ステップS309)、画像処理装置2002から送信された該当ジョブデータを取得する(ステップS310)。
【0125】
その結果、画像処理装置2001は、ジョブが実行され(ステップS311)、所定の時間経過後に、省エネモードへの移行が検知される(省エネ移行検知が行われる:ステップS312)。このとき、画像処理装置2001では、機器監視部23により、省エネモードへの移行を示す省エネ状態値が保持される("移行"の状態値を保持)。
【0126】
《ジョブ実行制御の処理》
図14は、本実施形態に係るジョブ実行制御の処理手順例を示すフローチャートである。
図14には、図13に示した画像処理装置200において、ジョブ管理機能の各機能部により実行される処理手順例の詳細が示されている。
【0127】
図14に示すように、画像処理装置200は、通信部21により、要求ジョブを受け付けたか否か(ジョブデータの受信)を判定する(ステップS401)。
【0128】
画像処理装置200は、要求ジョブを受け付けると(ステップS401:YES)、ジョブ管理部22により、受け付けた要求ジョブのジョブデータを蓄積するとともに、要求ジョブに対応するジョブ情報31Dを、ジョブ情報保持部31に記録する(ステップS402)。
【0129】
次に、画像処理装置200は、ジョブ実行制御部24により、次のようにして、自機の省エネモード状態(復帰/移行)に応じたジョブ実行先の制御処理を行う。
【0130】
ジョブ実行制御部24は、機器監視部23により検知された省エネモード状態に基づき、自機が、省エネ復帰機器か否かを判定する(ステップS403)。これにより、画像処理装置200では、自機で要求ジョブを実行可能か否かが判断される。
【0131】
ジョブ実行制御部24は、自機が、省エネ復帰機器である場合(ステップS403:YES)、省エネ復帰機器である自機をジョブ実行先として決定し、自機の蓄積ジョブと自機における隣接機器の蓄積ジョブとを取得する(ステップS407)。このとき、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[ジョブ格納先]項目を参照し、格納先情報に基づき、自機のジョブデータを取得する。さらに、ジョブ実行制御部24は、機器情報41Dの[隣接機器登録]項目を参照し、隣接機器識別情報に基づき、自機における隣接機器にアクセスする。これにより、ジョブ実行制御部24は、隣接機器から、ジョブデータを取得する。
【0132】
その結果、ジョブ実行部25は、取得されたジョブデータに基づき、ジョブを実行する(ステップS408)。このとき、ジョブ実行制御部24は、取得したジョブデータをジョブ実行部25に渡し、ジョブの実行を指示する。
【0133】
一方、ジョブ実行制御部24は、自機が、省エネ復帰機器でない場合(ステップS403:NO)、機器情報41Dの[ジョブ数]項目を参照する。ジョブ実行制御部24は、ジョブ実行開始条件情報に基づき、ジョブが要求された機器に該当する蓄積ジョブの数が、所定のジョブ数以上か否かを判定する(ステップS404)。このとき、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dを参照し、蓄積ジョブの数をカウントする。ジョブ実行制御部24は、カウント値が、機器情報41Dの[ジョブ数]項目に予め設定されている値(ジョブ実行開始条件情報)以上か否かを判定する。
【0134】
ジョブ実行制御部24は、自機の蓄積ジョブの数が、所定のジョブ数未満である場合(ステップS404:NO)、ジョブ管理部22を介して、ジョブ情報31Dの[実行期限]項目を参照し、ジョブ実行開始条件情報に基づき、蓄積ジョブが、実行期限に達したか否かを判定する(ステップS405)。このとき、ジョブ実行制御部24は、ジョブ情報31Dの[実行期限]項目に記録されている値(ジョブ実行開始条件情報)に基づき、蓄積ジョブのうち、実行期限に達した蓄積ジョブが存在するか否かを判定する。
【0135】
ジョブ実行制御部24は、自機の蓄積ジョブが、実行期限に達していない場合(ステップS405:NO)、受け付けた要求ジョブの実行モードが、即座にジョブ実行を行う緊急モードか否かを判定する(ステップS406)。このとき、ジョブ実行制御部24は、要求ジョブの付加情報に含まれる実行モードを示す設定値に基づき、緊急モードか否かを判定する。
【0136】
ジョブ実行制御部24は、受け付けた要求ジョブの実行モードが、緊急モードである場合(ステップS406:YES)、自機をジョブ実行先として決定し、自機の蓄積ジョブと自機における隣接機器の蓄積ジョブとを取得する(ステップS407)。これにより、ジョブ実行制御部24は、ジョブ実行部25に対して、ジョブの実行を指示する。
【0137】
また、ジョブ実行制御部24は、自機の蓄積ジョブの数が、所定のジョブ数以上である場合も(ステップS404:YES)、自機をジョブ実行先として決定する。また、ジョブ実行制御部24は、自機の蓄積ジョブが、実行期限に達している場合も(ステップS405:YES)、自機をジョブ実行先として決定する。このときも、ジョブ実行制御部24は、ジョブ管理部22を介して、自機及び隣接機器それぞれのジョブ情報31Dの[ジョブ格納先]項目を参照し、格納先情報に基づき、自機へのジョブデータと隣接機器へのジョブデータとを取得する。
【0138】
なお、ジョブ実行制御部24は、受け付けた要求ジョブの実行モードが、緊急モードでない場合(ステップS406:NO)、ジョブの実行を行わず、要求ジョブ受付待ち状態(ステップS401)へと移行する。
【0139】
本実施形態に係る画像処理装置200では、上記処理手順により、ジョブ管理装置100を介すことなく、隣接機器に蓄積される要求ジョブの代行実行を行う。
【0140】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置200によれば、ジョブ管理部22により、利用者からの要求ジョブを受け付け(ジョブデータを受信し)、所定の記憶領域に保持する。画像処理装置200は、ジョブ実行制御部24により、機器監視部23が検知した自機の省エネモード状態(復帰/移行)に基づき、自機で要求ジョブが実行可能か否か(自機が省エネモードから復帰したか否か)を判断し、自機をジョブ実行先として決定する。画像処理装置200は、ジョブ実行制御部24により、隣接機器から要求ジョブを取得し、ジョブ実行部25により、自機及び隣接機器の要求ジョブを実行する。
【0141】
これによって、本実施形態に係るジョブ管理装置100では、第1の実施形態に示したジョブ管理装置が存在しない印刷システム(サーバレス環境)であっても、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0142】
ここまで、上記実施形態の説明を行ってきたが、上記実施形態に係る「ジョブ管理機能」は、図を用いて説明を行った各処理手順を、動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化したプログラムが、印刷システム1を構成する各機器(ジョブ管理装置や画像処理装置など)の処理装置(例えば「CPU」)により実行されることで実現される。
【0143】
例えば、ジョブ管理装置100の場合、上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体103aに格納することができる。これにより、例えば、上記プログラムは、ドライブ装置103を介して、ジョブ管理装置100にインストールすることができる。また、ジョブ管理装置100は、インタフェース装置107を備えていることから、電気通信回線を用いて上記プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0144】
また、例えば、画像処理装置200の場合、上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体214aに格納することができる。これにより、例えば、上記プログラムは、外部記憶I/F214を介して、画像処理装置200にインストールすることができる。また、画像処理装置200は、ネットワークI/F213を備えていることから、電気通信回線を用いて上記プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0145】
また、上記実施形態では、ジョブ実行開始条件情報である実行期限の日時が、要求ジョブごとに設定されている場合を例に、ジョブ管理機能の説明を行ったが、この限りでない。例えば、実行期限は、画像処理装置ごとに設定されていてもよい。この場合、実行期限は、要求ジョブの蓄積期間を示す値などであり、機器情報41Dにおける情報項目の1つとして設定可能とする。これにより、ジョブ管理機能では、ジョブ実行制御部24により、蓄積期間を超過した要求ジョブの実行を制御する。
【0146】
最後に、上記実施形態に挙げた形状や構成に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0147】
1 印刷システム
21 通信部
22 ジョブ管理部
23 機器監視部
24 ジョブ実行制御部
25 ジョブ実行部
31 ジョブ情報保持部(D:ジョブ情報)
41 機器情報保持部(D:機器情報)
100 ジョブ管理装置(管理サーバ)
101 入力装置
102 表示装置
103 ドライブ装置(a:記録媒体)
104 RAM(揮発性の半導体メモリ)
105 ROM(不揮発性の半導体メモリ)
106 CPU(中央処理装置)
107 インタフェース装置
108 HDD(不揮発性の記憶装置)
200 画像処理装置
210 コントローラ(制御基板)
211 本体制御装置(CPU:処理装置)
212 記憶装置(ROM,RAM,HDDなど)
213 ネットワークI/F
214 外部記憶I/F(a:記録媒体)
220 操作パネル
230 プロッタ(画像形成部)
240 スキャナ(画像読取部)
300 情報処理装置(利用者端末)
B バス
N データ伝送路(ネットワーク)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0148】
【特許文献1】特開2007−295433号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のデータ伝送路を介して複数の画像処理装置と接続され、前記画像処理装置に対する要求ジョブのジョブデータを受信し、所定の記憶領域に保持するジョブ管理装置であって、
前記画像処理装置の省エネモード状態を監視する監視手段と、
前記省エネモード状態に基づき、前記要求ジョブの実行可能機器を判断し、ジョブ実行先を決定し、前記要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置に送信し、ジョブの実行を指示する制御手段と、を有することを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置の機器識別情報と、前記画像処理装置において隣接して配置された他の画像処理装置の隣接機器識別情報と、が対応づけて設定される機器情報を保持する情報保持手段を有し、
前記制御手段は、
前記機器情報を参照し、
ジョブが要求された画像処理装置の機器識別情報に対応づけられる隣接機器識別情報に基づき、隣接して配置された他の画像処理装置を特定し、
ジョブが要求された画像処理装置及び特定した他の画像処理装置のうち、省エネモードから復帰した画像処理装置が存在する場合、
該当する画像処理装置を前記実行可能機器として判断し、前記ジョブ実行先として決定することを特徴とする請求項1に記載のジョブ管理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記所定の記憶領域から、
前記ジョブ実行先の画像処理装置へのジョブデータと、前記前記ジョブ実行先の画像処理装置の前記機器識別情報に対応づけられる前記隣接機器識別情報に基づき特定した前記他の画像処理装置へのジョブデータと、を取得し、
取得したジョブデータを、前記ジョブ実行先の画像処理装置に送信することを特徴とする請求項2に記載のジョブ管理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
ジョブが要求された画像処理装置及び隣接して配置された他の画像処理装置のうち、省エネモードから復帰した画像処理装置が存在しない場合、
前記画像処理装置への要求ジョブ数が、設定される所定のジョブ数以上か否かを判断し、
前記所定のジョブ数以上と判断された画像処理装置を、前記ジョブ実行先として決定することを特徴とする請求項2又は3に記載のジョブ管理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
ジョブが要求された画像処理装置及び隣接して配置された他の画像処理装置のうち、省エネモードから復帰した画像処理装置が存在しない場合、
前記画像処理装置への要求ジョブが、設定される所定の実行期限に達しているか否かを判断し、
前記所定の実行期限に達していると判断された画像処理装置を、前記ジョブ実行先として決定することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載のジョブ管理装置。
【請求項6】
所定のデータ伝送路を介して他の画像処理装置と接続され、自機に対する要求ジョブのジョブデータを受信し、所定の記憶領域に保持する画像処理装置であって、
自機の省エネモード状態を監視する監視手段と、
前記省エネモード状態に基づき、自機で前記要求ジョブが実行可能か否かを判断し、自機をジョブ実行先として決定し、自機において隣接して配置された他の画像処理装置から要求ジョブを取得し、自機の要求ジョブとともにジョブの実行を指示する制御手段と、
実行指示に従って、前記要求ジョブを実行する実行手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
自機が、省エネモードから復帰した場合、
自機で前記要求ジョブが実行可能であると判断し、前記ジョブ実行先として決定することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
自機において隣接して配置された他の画像処理装置の隣接機器識別情報が設定される機器情報を保持する情報保持手段を有し、
前記制御手段は、
前記機器情報を参照し、
前記隣接機器識別情報に基づき、隣接して配置された他の画像処理装置を特定し、
特定した前記他の画像処理装置からジョブデータを取得し、
前記所定の記憶領域から、自機のジョブデータを取得し、
取得したジョブデータの実行を、前記実行手段に指示することを特徴とする請求項6又は7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、
自機が、省エネモードから復帰していない場合、
自機の要求ジョブ数が、設定される所定のジョブ数以上か否かを判断し、
前記所定のジョブ数以上と判断された場合、
自機を、前記ジョブ実行先として決定することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
自機が、省エネモードから復帰していない場合、
自機の要求ジョブが、設定される所定の実行期限に達しているか否かを判断し、
前記所定の実行期限に達していると判断された場合、
自機を、前記ジョブ実行先として決定することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
印刷システムであって、
複数の画像処理装置と、前記画像処理装置に対する要求ジョブのジョブデータを受信し、所定の記憶領域に保持するジョブ管理装置と、が所定のデータ伝送路を介して接続される印刷システムであって、
前記画像処理装置は、
自機の省エネモード状態を示す値を送信する送信手段を有し、
前記ジョブ管理装置は、
通知された値に基づき、前記画像処理装置の省エネモード状態を監視する監視手段と、
前記省エネモード状態に基づき、前記要求ジョブの実行可能機器を判断し、ジョブ実行先を決定し、前記要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置に送信し、ジョブの実行を指示する制御手段と、を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項12】
所定のデータ伝送路を介して複数の画像処理装置と接続され、前記画像処理装置に対する要求ジョブのジョブデータを受信し、所定の記憶領域に保持するジョブ管理装置におけるジョブ管理プログラムであって、
コンピュータを、
前記画像処理装置の省エネモード状態を監視する監視手段と、
前記省エネモード状態に基づき、前記要求ジョブの実行可能機器を判断し、ジョブ実行先を決定し、前記要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置に送信し、ジョブの実行を指示する制御手段として機能させるジョブ管理プログラム。
【請求項13】
所定のデータ伝送路を介して他の画像処理装置と接続され、自機に対する要求ジョブのジョブデータを受信し、所定の記憶領域に保持する画像処理装置におけるジョブ管理プログラムであって、
コンピュータを、
自機の省エネモード状態を監視する監視手段と、
前記省エネモード状態に基づき、自機で前記要求ジョブが実行可能か否かを判断し、自機をジョブ実行先として決定し、自機において隣接して配置された他の画像処理装置から要求ジョブを取得し、自機の要求ジョブとともにジョブの実行を指示する制御手段と、
実行指示に従って、前記要求ジョブを実行する実行手段として機能させる画像処理装置。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のプログラムを記憶した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
所定のデータ伝送路を介して複数の画像処理装置と接続され、前記画像処理装置に対する要求ジョブのジョブデータを受信し、所定の記憶領域に保持するジョブ管理装置であって、
前記画像処理装置の省エネモード状態を監視する監視手段と、
前記省エネモード状態に基づき、前記要求ジョブの実行可能機器を判断し、ジョブ実行先を決定し、前記要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置に送信し、ジョブの実行を指示する制御手段と、を有することを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置の機器識別情報と、前記画像処理装置において隣接して配置された他の画像処理装置の隣接機器識別情報と、が対応づけて設定される機器情報を保持する情報保持手段を有し、
前記制御手段は、
前記機器情報を参照し、
ジョブが要求された画像処理装置の機器識別情報に対応づけられる隣接機器識別情報に基づき、隣接して配置された他の画像処理装置を特定し、
ジョブが要求された画像処理装置及び特定した他の画像処理装置のうち、省エネモードから復帰した画像処理装置が存在する場合、
該当する画像処理装置を前記実行可能機器として判断し、前記ジョブ実行先として決定することを特徴とする請求項1に記載のジョブ管理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記所定の記憶領域から、
前記ジョブ実行先の画像処理装置へのジョブデータと、前記前記ジョブ実行先の画像処理装置の前記機器識別情報に対応づけられる前記隣接機器識別情報に基づき特定した前記他の画像処理装置へのジョブデータと、を取得し、
取得したジョブデータを、前記ジョブ実行先の画像処理装置に送信することを特徴とする請求項2に記載のジョブ管理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
ジョブが要求された画像処理装置及び隣接して配置された他の画像処理装置のうち、省エネモードから復帰した画像処理装置が存在しない場合、
前記画像処理装置への要求ジョブ数が、設定される所定のジョブ数以上か否かを判断し、
前記所定のジョブ数以上と判断された画像処理装置を、前記ジョブ実行先として決定することを特徴とする請求項2又は3に記載のジョブ管理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
ジョブが要求された画像処理装置及び隣接して配置された他の画像処理装置のうち、省エネモードから復帰した画像処理装置が存在しない場合、
前記画像処理装置への要求ジョブが、設定される所定の実行期限に達しているか否かを判断し、
前記所定の実行期限に達していると判断された画像処理装置を、前記ジョブ実行先として決定することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載のジョブ管理装置。
【請求項6】
所定のデータ伝送路を介して他の画像処理装置と接続され、自機に対する要求ジョブのジョブデータを受信し、所定の記憶領域に保持する画像処理装置であって、
自機の省エネモード状態を監視する監視手段と、
前記省エネモード状態に基づき、自機で前記要求ジョブが実行可能か否かを判断し、自機をジョブ実行先として決定し、自機において隣接して配置された他の画像処理装置から要求ジョブを取得し、自機の要求ジョブとともにジョブの実行を指示する制御手段と、
実行指示に従って、前記要求ジョブを実行する実行手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
自機が、省エネモードから復帰した場合、
自機で前記要求ジョブが実行可能であると判断し、前記ジョブ実行先として決定することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
自機において隣接して配置された他の画像処理装置の隣接機器識別情報が設定される機器情報を保持する情報保持手段を有し、
前記制御手段は、
前記機器情報を参照し、
前記隣接機器識別情報に基づき、隣接して配置された他の画像処理装置を特定し、
特定した前記他の画像処理装置からジョブデータを取得し、
前記所定の記憶領域から、自機のジョブデータを取得し、
取得したジョブデータの実行を、前記実行手段に指示することを特徴とする請求項6又は7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、
自機が、省エネモードから復帰していない場合、
自機の要求ジョブ数が、設定される所定のジョブ数以上か否かを判断し、
前記所定のジョブ数以上と判断された場合、
自機を、前記ジョブ実行先として決定することを特徴とする請求項7又は8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
自機が、省エネモードから復帰していない場合、
自機の要求ジョブが、設定される所定の実行期限に達しているか否かを判断し、
前記所定の実行期限に達していると判断された場合、
自機を、前記ジョブ実行先として決定することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
印刷システムであって、
複数の画像処理装置と、前記画像処理装置に対する要求ジョブのジョブデータを受信し、所定の記憶領域に保持するジョブ管理装置と、が所定のデータ伝送路を介して接続される印刷システムであって、
前記画像処理装置は、
自機の省エネモード状態を示す値を送信する送信手段を有し、
前記ジョブ管理装置は、
通知された値に基づき、前記画像処理装置の省エネモード状態を監視する監視手段と、
前記省エネモード状態に基づき、前記要求ジョブの実行可能機器を判断し、ジョブ実行先を決定し、前記要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置に送信し、ジョブの実行を指示する制御手段と、を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項12】
所定のデータ伝送路を介して複数の画像処理装置と接続され、前記画像処理装置に対する要求ジョブのジョブデータを受信し、所定の記憶領域に保持するジョブ管理装置におけるジョブ管理プログラムであって、
コンピュータを、
前記画像処理装置の省エネモード状態を監視する監視手段と、
前記省エネモード状態に基づき、前記要求ジョブの実行可能機器を判断し、ジョブ実行先を決定し、前記要求ジョブを、決定したジョブ実行先の画像処理装置に送信し、ジョブの実行を指示する制御手段として機能させるジョブ管理プログラム。
【請求項13】
所定のデータ伝送路を介して他の画像処理装置と接続され、自機に対する要求ジョブのジョブデータを受信し、所定の記憶領域に保持する画像処理装置におけるジョブ管理プログラムであって、
コンピュータを、
自機の省エネモード状態を監視する監視手段と、
前記省エネモード状態に基づき、自機で前記要求ジョブが実行可能か否かを判断し、自機をジョブ実行先として決定し、自機において隣接して配置された他の画像処理装置から要求ジョブを取得し、自機の要求ジョブとともにジョブの実行を指示する制御手段と、
実行指示に従って、前記要求ジョブを実行する実行手段として機能させる画像処理装置。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のプログラムを記憶した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−63908(P2012−63908A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206608(P2010−206608)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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