説明

スイッチモード電力増幅

本発明は、無線周波数信号を増幅する方法と、モード切り替え形の電力増幅デバイスと、このような電力増幅デバイスを備えた無線送信デバイスとに関する。モード切り替え形の電力増幅デバイス(10)は、包絡線信号入力部(El)と、算術合成ユニット(SUB)と、増幅ユニット(PA)と、帰還パスとを備える。算術合成ユニット(SUB)は、包絡線信号入力部と変調ユニット(PWM)との間に接続される。変調ユニット(PWM)は、算術合成ユニットから出力される変形包絡線信号(E’)で搬送波(C)を変調して変調信号を得るように構成される。増幅ユニット(PA)は、変調ユニットに接続され、出力信号(O)を生成する。帰還パスは、増幅ユニット(PA)と算術合成ユニット(SUB)との間に接続される。帰還パスは、出力信号(O)のフィルタリングを行うための低域通過フィルタ(LPF)と、フィルタリングした信号(Vf)を処理し、無線周波数振幅の推定値(A)を得てそれを算術合成ユニットに供給するための信号処理ユニット(DSP)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチモード(モード切り替え)形の無線周波数電力増幅器の分野に関する。より詳細に、本発明は、無線周波数信号を増幅する方法と、モード切り替え形の電力増幅デバイスと、このような電力増幅デバイスを備えた無線送信デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
RF(無線周波数)電力増幅器には、効率と線形性との間の兼ね合いが存在する。もし高い線形性が要求されるならば、低い効率という犠牲の下にA級増幅器を使用することができる。一定包絡線の信号が送信されるとし、線形性が決定的要因でない場合には、効率の高いモード切り替え形の(D級、E級、または、F級)増幅器を使用することができる。
【0003】
一定でない包絡線の信号を増幅するモード切り替え形の電力増幅器の使用を可能にする多くの技術が存在する。このような技術は、移動電話システムにおける基地局に、また、第2.5世代およびそれ以降のシステムで動作するセルラ電話機において使用されている。非特許文献1に記述されている技術は、一例としてあげることができ、包絡線除去および復元(EER、envelope elimination and restoration)の技術である。これは、モード切り替え形の電力増幅器は一定包絡線の信号で動作し、DC−DC変換器を使用して電源電圧(supply voltage)の変調を行うことにより振幅変調を実現する。この技術の主な欠点は、高効率で寄生信号発生量が少ない高速なDC−DC変換器が必要であるという点である。増幅器の位相シフトが電圧に依存し、出力振幅が電源電圧に正確には比例しないので、システムの線形性もまた問題点として残る。信号が大きな振幅変動を伴うときには、この問題点が強調される。この場合は、プリディストーション等の線形化技術を適用して線形性を改善することができる。
【非特許文献1】L.R.Kahn、「Single sideband transmission by envelope elimination and restoration」、Proceedings of the IRE、第40巻、803〜806ページ、1952年7月
【非特許文献2】J.Ketola、他、「Transmitter Utilising Bandpass Delta−Sigma Modulator and Switching Mode Power Amplifier」、Proceedings ISCAS2004、I−633〜636ページ、
【非特許文献3】J.Sommarek、他、「A Digital Modulator with Bandpass Delta−Sigma Modulator」、Proceedings of ESSCIRC2004、159〜162ページ
【非特許文献4】Y.Wang、「A Class−S RF amplifier archtecture with envelope delta−sigma modulation」、Proceedings of RAWCON2002、177−179ページ
【非特許文献5】Y.S.Jeon、他、「A novel high−efficiency linear transmitter using injection−locked pulsed oscillator」、IEEE Microwave and Wireless Components Letters、第15巻、第4号、214−216ページ、2005年4月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現行の解決策に関する主な問題点は、第2.5世代およびそれ以降のシステムに対する必要な線形性に関する要求条件は満足するものの、高効率を得ることができない点である。効率を改善する1つの手法は、EERにおけるDC−DC変換器を取り除くことであろう。これは、モード切り替え形の電力増幅器の前にデルタシグマ変調器を使用することにより達成することができる。これは、例えば、非特許文献2および非特許文献3に述べられている。いくつかの場合には、変調器の効果は、出力フィルタを用いずに単に電源電圧を開閉(オンオフ)するだけのDC−DC変換器を使用していると見なすことができる。例えば、非特許文献4および非特許文献5を参照されたい。これらの方法では、多くの量の寄生信号が発生するであろうから、強い寄生信号が送信されないようにし、寄生信号が他のチャネルで受信されるのを防ぐことを保証できる変調器とアンテナフィルタを、いかにして実現するかが必須な課題である。どのように変調器が動作するかによって、非線形性を引き起こす種々の異なる機構が存在するであろう。従って、線形性を改善する技術が必須である。
【0005】
従って、モード切り替え形の電力増幅器の線形性を改善する必要がある。
【0006】
本発明は、よい線形動作を行う、電力効率のよい無線周波数信号の送信技術の提供を可能にすることを目的としている。
【0007】
本発明の一つの目的は、無線周波数信号を増幅する方法を提供することであり、これにより、よい線形動作を示す、電力効率のよい無線周波数信号の送信技術を提供することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の視点に従えば、これは、無線周波数信号を増幅する方法であって、
包絡線信号を受信するステップと、
無線周波数信号の振幅推定値と包絡線信号とを算術的に合成し、変形された包絡線信号(変形包絡線信号)を取得するステップと、
変形包絡線信号で搬送波を変調し変調信号を得るステップと、
前記変調信号を増幅し出力信号を取得するステップと、
出力信号を低域通過フィルタでフィルタリングするステップと、
フィルタリングした信号を処理し無線周波数信号の振幅推定値を取得するステップと
を備える方法によって達成される。
【0009】
本発明の別の目的は、よい線形動作を示すモード切り替え形の電力増幅デバイスを提供することである。
【0010】
本発明の第2の視点に従えば、これは、モード切り替え形の電力増幅デバイスであって、
包絡線信号入力と、
包絡線信号入力に接続された第1の入力を有し、変形包絡線信号を出力する算術合成(arithmetic combining)ユニットと、
変形包絡線信号を受信し、この信号で搬送波を変調し変調信号を取得するように構成された変調ユニットと、
変調ユニットに接続され、前記変調信号を増幅し出力信号を取得するための増幅ユニットと、
増幅ユニットの出力と算術合成ユニットの第2の入力とに接続された帰還パスであって、
出力信号を低域通過フィルタリングする低域通過フィルタと、
フィルタリングした信号を処理し、無線周波数信号の振幅推定値を取得して、それを算術合成ユニットの第2の入力に供給する、少なくとも1つの信号処理ユニットと
を備える帰還パスと
を備えるモード切り替え形の電力増幅デバイスによって達成される。
【発明の効果】
【0011】
電力増幅デバイスは、基地局または移動局等の無線送信デバイスに提供することができれば利点が得られる。
【0012】
本発明は以下の利点を有する。本発明は、より線形性の高い動作モードを提供する。同時に、高い効率を有する。本発明に従えば、出力信号の低周波数成分を測定する。その測定値はRF出力に関連しており、その測定値からRF振幅を算出することができ、それが帰還される。帰還構造はさらに簡単であり、RF出力自体ではなくて、RF出力信号の低周波成分を測定することにより達成される。これにより電力消費を低減することができる。帰還は、低い出力振幅の時に生成される非常に短いパルスに対して完全には導通状態にならないスイッチによって生ずる歪を抑圧することに対し、特に有効であろう。
【0013】
本明細書において使用する「備える/備えている」という用語は、言及する特徴、ステップ、または要素の存在を規定するために使用されるが、1つ以上の他の特徴、ステップ、要素、またはそれらの組み合わせの存在または追加を排除するものではない、という点が強調されるべきである。
【0014】
本発明は添付の図面に関連して、以下により詳細に記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、例えば、第2.5世代およびそれ以降のネットワーク等の、無線ネットワークにおける通信において、有利に使用することができるモード切り替え形のRF(無線周波数)電力増幅器に関する。RF電力増幅器には、高い効率が要求された場合にはよい線形性が得られないという問題がある。本発明は、このような増幅器の線形性を改善することを目的とする。同時に高い効率も確保される。
【0016】
図1のブロック図は、このようなモード切り替え形の電力増幅デバイス10を示す。電力増幅デバイス10は、点線の箱の中に示され、この中には多くの異なるユニットが含まれる。電力増幅デバイス10には、包絡線信号入力部Elを備え、包絡線信号入力部Elは算術合成ユニットの第1の入力部に接続されている。算術合成ユニットは、本実施形態では減算ユニットSUBである。減算ユニットSUBは、増幅段Aの入力部に接続された出力部を有し、増幅段Aは変調ユニットPWMの入力部に接続された出力部を有する。変調ユニットPWMは、本実施形態ではパルス幅変調ユニットであり、第2の入力部を介して、搬送波Cも入力される。搬送波Cは、送信されるべき無線周波数と等しい周波数を有し、位相情報の成分を持つ。変調ユニットPWMは、また、増幅ユニットPAの入力部に接続された出力部を有し、増幅ユニットPAはこのデバイスの電力増幅段である。増幅ユニットPAは、電源電圧Vddが入力され、帯域通過フィルタBPFの入力部に接続された出力部を有する。帯域通過フィルタBPFは、続いて、アンテナ12に接続された出力部を有する。帯域通過フィルタBPFおよびアンテナ12は、ここでは電力増幅デバイス10の一部分ではない。減算ユニットSUBは第2の入力部を有し、帰還パスは増幅ユニットPAの出力部と減算ユニットSUBの第2の入力部との間に接続される。この帰還パスは低域通過フィルタLPFを含み、低域通過フィルタLPFは、増幅ユニットPAの出力部に接続される入力部と、第1のA/D変換器A/D1の入力部に接続された出力部とを有する。第1のA/D変換器A/D1の出力部は、信号処理ユニットDSPの第1の入力部に接続される。さらに第2のA/D変換器A/D2があり、その入力部には同じ電源電圧Vddが入力される。第2のA/D変換器A/D2は、信号処理ユニットDSPの第2の入力部に接続される出力部を有する。信号処理ユニットDSPは、本実施形態ではデジタル信号処理ユニットである。信号処理ユニットDSPは、D/A変換器D/Aの入力部に接続された出力部を有する。D/A変換器D/Aは、続いて、減算ユニットSUBの第2の入力部に接続される。
【0017】
以下では、操作の方法を記述するフローチャートを示す図2を参照して、モード切り替え形の電力増幅デバイス10の機能を説明する。
【0018】
全てがステップ14から開始され、ステップ14において、本実施形態ではアナログ形式の包絡線信号Eが包絡線信号入力部Elで受信される。ステップ16において、この包絡線信号Eは算術合成ユニットSUBに供給され、算術合成ユニットSUBでは包絡線信号Eを、無線周波数振幅の推定値Aと算術的に合成する。本実施形態では、包絡線信号Eから無線周波数振幅の推定値Aを減算して変形した包絡線信号(変形包絡線信号)E’を得る。この変形包絡線信号E’は、包絡線誤差信号と見ることもできる。どのようにして無線周波数振幅の推定値Aを導出するかは、後に記述することにする。ステップ18において、変形包絡線信号E’は増幅段Aに供給され、そこで利得Aにて増幅される。その結果得られた信号はその後に変調ユニットPWMに供給され、そこで、搬送波Cに変調が加えられる。本実施形態では、ステップ20において、変調はパルス幅変調により実行される。搬送波Cは、電力増幅デバイス10を使用して送信されるべきデータで位相変調される。ここでは、位相情報はパルスの位置を変調することにより加えられる。そして、ステップ22において、パルス幅変調された信号は増幅ユニットPAに供給され、PWM信号の増幅が行われる。このユニットPAは、電源電圧Vddで給電され、従って、Vddの振幅を有するPWMパルスを出力する。増幅されたPWM信号は、ステップ24において、出力信号Oとして出力され、帯域通過フィルタBPFによりフィルタリングが行われ、アンテナ12に導かれて受信デバイスに送信される。ステップ26においては、出力信号は、また、低域通過フィルタLPFに供給され、出力信号Oの低周波成分が抽出される。このようにして、フィルタリングされた信号Vfが得られる。フィルタリングされた信号Vfは、さらに第1のA/D変換器A/D1に供給され、そこで、フィルタリングされたアナログ形式の信号Vfはデジタル形式に変換される。デジタル形式のフィルタリングされた信号Vfは、さらに信号処理ユニットDSPに供給される。また信号処理ユニットDSPには、第2のA/D変換器A/D2を介してデジタル形式の電源電圧Vddが入力される。ステップ28において、信号処理ユニットDSPはフィルタリングされた信号Vfを電源電圧と共に処理し、無線周波数振幅の推定値A、すなわち、アンテナのRF振幅を得る。また、この無線周波数振幅の推定値Aは、出力信号Oの包絡線の推定値と見ることができる。処理がどのように行われるかの詳しい説明を簡潔に述べる。信号処理ユニットDSPは振幅の推定値AをD/A変換器D/Aに供給し、振幅の推定値Aはアナログ形式に変換される。振幅の推定値Aはその後、ステップ16において減算ユニットSUBに供給される。減算ユニットSUBは振幅の推定値Aを使用して包絡線信号Eを変形し、変形包絡線信号E’を得る。そして、帰還ループは閉じられる。これにより出力信号Oをより線形にすることができる。
【0019】
どのようにして無線周波数振幅の推定値を得ることができるかに関し、以下に記述する。
【0020】
最初に、増幅ユニットPAからの出力信号Oについて、パルス幅は固定値t、パルス周期は固定値Tperである理想的な周期信号であると仮定する。従って、もし、電力増幅ユニットPAがPWM信号を最大Vddのレベルまで増幅するとすれば、それぞれのパルスはVddに等しい振幅を有するであろうから、増幅ユニットPAからの出力信号のDCレベルは、次式で求めることができる。
Vdc=Vdd*(t/Tper
無線周波数の基本周波数成分の振幅Aは、フーリエ展開を使用して次式のように求めることができる。
A=(2/π)*Vdd*sin(π*t/Tper
従ってこれは、基本周波数では、
A=(2/π)*Vdd*sin(π*Vdc/Vdd)
と表されることを意味する。
【0021】
上式から分かるように、もし、DC出力電圧Vdcと電源電圧Vddとを知ることができれば、基本周波数の振幅は計算することができる。高周波で動作している実際のモード切り替え形の電力増幅デバイスでは、出力電圧は理想状態ではないが、それでも、無線周波数の基本周波数成分の振幅は、出力DC電圧から推定することが可能である。変調信号を使用する場合には、RF振幅は、上記で述べた低域通過フィルタを使用して出力信号から導出した低周波出力Vfに基づいて推定することができる。
【0022】
従って、理想値より低い出力電圧に対しては、無線周波数振幅の推定値は次式より求めることができる。
=(2/π)*Vdd*sin(π*Vf/Vdd)
出力信号の振幅がVddと異なる場合には、上式では、その振幅が代わりに使用されなければならない。モード切り替え形の電力増幅デバイスの中での非線形のメカニズムに対する修正を行うために、上記の表現の中で修正項を使用することができる。信号処理ユニットは、信号の変調帯域幅に関連した帯域幅を有する信号を処理するので、振幅の推定はデジタル回路を使用して実行するのが有利である。
【0023】
しかしながら、RF振幅の推定はアナログ信号を使用して実行することもできると理解されるべきである。この場合は、D/A変換ユニットとA/D変換ユニットとは必要ではないであろう。また、デジタル値の包絡線信号を使用することも可能であり、この場合には、D/A変換ユニットは減算ユニットSUBと増幅段AVとの間に移動させることができる。
【0024】
DSPに出力信号の低周波数成分と電源電圧との両方に関する情報を供給することにより、DSPは、電源電圧の変動によらずにRF出力振幅を推定することができる。増幅段Aの利得AVは、十分に高いループ利得が達成できるように設定されるが、安定に関する問題が生ずるほどには高く設定はされない。低域通過フィルタは、(周波数依存性のある)増幅段Aとともに動作し、例えばドミナントポールを導入することにより、利得を整形して安定性を保証する役割を果たす。
【0025】
パルス幅変調ユニット(PWM)は多くの異なる方法によって実現することができる。1つの方法では、搬送波周波数での(位相変調された)三角波を生成する積分器を使用する方法である。さらに、比較器がこの三角波を増幅段Aからの信号と比較するのに使用される。比較器の出力はPWM信号である。別の代替的方法は、位相変調された搬送波を、増幅段Aからの信号によって制御される2つの時間遅延ユニットに供給する方法である。もし、2つの時間遅延が反対の特性を有するならば、すなわち、制御信号の変化に対して、一方の時間遅延が増加し他方の時間遅延が減少し、その量が同じであれば、その2つの遅延信号をANDゲートに通すことによりPWM信号が生成される。
【0026】
電力増幅デバイス10の上記で述べた動作は、いくつかの利点を有する。それは、より線形性の良い動作モードを提供する。同時に高い効率を有する。従って、良い線形動作を行う電力効率の高い無線周波数送信技術を提供することが可能になる。この構成では、RF出力に関連する、出力信号の低周波成分が測定され、そして、その測定値からRF振幅を算出し、それを帰還することができる。帰還構造はさらに簡単であり、帰還は、RF出力そのものを測定するのではなくて、出力信号の低周波成分を測定することにより達成される。それは、結果として、電力消費を低減することになる。帰還は、低い出力振幅のときに生成される非常に短いパルスに対しては完全には導通状態にならないスイッチによって生ずる歪を抑圧することに対し、特に有効であろう。
【0027】
デルタシグマ変調(DSM)の代わりにパルス幅変調(PWM)を使用することにより、多量の量子化雑音と帯域内寄生信号(干渉)の発生が回避される。デルタシグマ変調器では多量の量子化雑音が発生し、それは非常に高いクロック周波数を使用することによってのみ抑圧することができるが、本質的に電力が必要である。パルス幅変調は、その簡単さ故に、非常に電力効率がよい。さらに、変調が簡単なので、出力段のスイッチ遷移の数は非常に少なくて済む。これは、また、アンテナの前に配置される帯域通過フィルタの設計を簡単にし、費用と電力消費との両方を低減することができる。
【0028】
本発明に従った電力増幅デバイスは、基地局と移動局とのいずれか、または両方に設備することができる。図3はこのような基地局32の一例を示す。基地局32は広域ネットワークNの中で移動局34と通信を行っている。ここでは、これら双方に、本発明に従った電力増幅デバイスが設備されている。移動局は、図4に示されるセルラ電話機であってよい。
【0029】
本発明には、これまでに挙げた形態に加えて、多くの更なる変形を与えることができる。増幅段Aを取り除くこともできる。算術合成ユニットは、本明細書では減算ユニットとして記述された。それは、また、加算ユニットの形で設備されてもよい。変調ユニットはPWM変調ユニットであることに限定されず、例えば、デルタシグマ変調ユニットであってもよい。上記で記述した実施形態では、電源電圧が信号振幅の推定の際に使用された。これは殆ど余分の回路素子が必要ないので有利である。しかしながら、他の方法によって出力信号の振幅を求めることも可能である。あるいは、もし、電源電圧が十分に安定であれば、それを測定する必要はない。このことは、電源電圧に関する情報をデジタル信号処理ユニットの中に記憶しておき、それにより第2のA/D変換器の必要性を除去することができることを意味している。
【0030】
本発明は特定の実施形態に関連づけて記述されてきたが、本明細書に記載された特定な形式に限定することは意図しない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に従ったモード切り替え形の電力増幅デバイスのブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に従った、無線周波数信号を増幅する方法のフローチャートである。
【図3】相互に通信を行っている2つの無線送信デバイスを示す図である。ここに、2つの無線送信デバイスは1つの基地局と1つの移動局であり、それぞれは本発明に従った電力増幅デバイスを含むことができる。
【図4】セルラ電話機の形をした移動局の正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数信号を増幅する方法であって、
包絡線信号(E)を受信するステップ(14)と、
修正された包絡線信号(E’)を取得するために、前記包絡線信号(E)と、推定された無線周波数振幅(A)とを算術的に合成するステップ(16)と、
変調された信号を取得するために、搬送波(C)と、前記修正された包絡線信号(E’)とを変調するステップ(20)と、
出力信号(O)を取得するために、前記変調された信号を増幅するステップ(22)と、
前記出力信号(O)をローパスフィルタリングするステップ(26)と、
前記推定された無線周波数振幅(A)を取得するために、前記ローパスフィルタリングされた信号(Vf)を処理するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ローパスフィルタリングされた信号(Vf)を処理するステップは、前記出力信号(0)の振幅を基礎として実行される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出力信号の振幅は、前記変調された信号を増幅するために使用される供給電圧(Vdd)として設定される
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ローパスフィルタリングされた信号(Vf)を処理するステップは、前記推定された無線周波数振幅のフーリエ展開に基づいて実行される
ことを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記推定された無線周波数振幅は、次式を通して取得され、
=(2/π)*Vdd*sin(π*Vf/Vdd)
ここで、Vfはローパスフィルタリングされた信号であり、Vddは前記出力信号の振幅であり、Aは前記推定された無線周波数振幅である
ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ローパスフィルタリングされた信号(Vf)を処理するステップは、デジタル信号について実行され、
前記変調された信号と前記出力信号とは、アナログ信号である
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記包絡線信号と前記変調された包絡線信号とを処理するステップは、前記搬送波(C)を使用して該信号をパルス幅変調するステップを含む
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
モード切り替え形の電力増幅デバイスであって、
包絡線信号の入力部(EI)と
前記包絡線信号の入力部(EI)に接続された第1の入力部を備え、修正された包絡線信号(E’)を提供する算術的合成ユニット(SUB)と、
前記修正された包絡線信号(E’)を受信し、受信した該修正された包絡線信号(E’)を搬送波(C)と変調して、変調された信号を生成する変調ユニット(PWM)と、
前記変調ユニットに接続され、前記変調された信号を増幅して出力信号(O)を生成する増幅ユニット(PA)と、
前記増幅ユニット(PA)の出力部と、前記算術的合成ユニット(SUB)が備える第1の入力部との間に接続された帰還パスと
を備え、
前記帰還パスは、
前記出力信号をローパスフィルタリングするローパスフィルタ(LPF)と、
前記ローパスフィルタリングされた信号(Vf)を処理して、推定された無線周波数振幅(A)を生成し、前記算術的合成ユニットの前記第2の入力部へ供給する少なくとも1つの信号処理ユニット(DSP)と
を備えることを特徴とする電力増幅デバイス。
【請求項9】
前記信号処理ユニットは、前記出力信号(O)の振幅を受信し、該振幅を基礎として前記推定された無線周波数振幅を生成する
ことを特徴とする請求項8に記載の電力増幅デバイス。
【請求項10】
前記信号処理ユニットは、
前記出力信号(O)の振幅として、前記増幅ユニット(PA)によって使用される供給電圧(Vdd)を受け入れる
ことを特徴とする請求項9に記載の電力増幅デバイス。
【請求項11】
前記ローパスフィルタリングされた信号の処理は、前記推定された無線周波数振幅についてのフーリエ展開に基づいて実行される
ことを特徴とする請求項9または10に記載の電力増幅デバイス。
【請求項12】
前記推定された信号パルス振幅は、次式を通して取得され、
=(2/π)*Vdd*sin(π*Vf/Vdd)
ここで、Vfはローパスフィルタリングされた信号であり、Vddは前記出力信号の振幅であり、Aは前記推定された無線周波数振幅である
ことを特徴とする請求項9または11に記載の電力増幅デバイス。
【請求項13】
前記帰還パス内に設けられ、前記信号処理ユニットへデジタル信号を供給する少なくとも1つのA/D変換器(A/D1、A/D2)と、
前記変調ユニットがアナログ信号を受信することになるようにするD/A変換器(D/A)と
をさらに備え、
前記信号処理ユニットは、デジタル信号処理ユニット(DSP)である
ことを特徴とする請求項8ないし12のいずれか1項に記載の電力増幅デバイス。
【請求項14】
前記D/A変換器(D/A)は、前記帰還パス内であって、前記信号処理ユニットと前記算術的合成ユニットとの間に接続されている
ことを特徴とする請求項13に記載の電力増幅デバイス。
【請求項15】
前記D/A変換器(D/A)は、前記算術的合成ユニットと前記変調ユニットとの間に接続されている
ことを特徴とする請求項13に記載の電力増幅デバイス。
【請求項16】
前記変調ユニット(PWM)は、パルス幅変調ユニットである
ことを特徴とする請求項8ないし15のいずれか1項に記載の電力増幅デバイス。
【請求項17】
無線送信装置であって、
請求項8ないし16のいずれか1項に記載の電力増幅デバイス
を備えたことを特徴とする無線送信装置。
【請求項18】
前記無線送信装置は基地局である
ことを特徴とする請求項17に記載の無線送信装置。
【請求項19】
前記無線送信装置は移動局である
ことを特徴とする請求項17に記載の無線送信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−543433(P2009−543433A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518034(P2009−518034)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【国際出願番号】PCT/SE2006/050221
【国際公開番号】WO2008/002225
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】