説明

スイッチ回路

【課題】シリーズラインの電子スイッチがオフのときのアイソレーション特性を向上させることができ、かつ、高速動作するスイッチ回路を提供する。
【解決手段】入力端子1と出力端子2との間に接続される第1電子スイッチ4と、第1電子スイッチ4がオンするときに互いにオフし、第1電子スイッチ4がオフするときに互いにオンする第2電子スイッチ8と機械スイッチ9とが並列接続されたものであり、入力端子1と出力端子2との間とグランド5との間に接続されるシャント回路7とを有する構成とする。これにより、第1電子スイッチ4がオフしている間、シャント回路7の第2電子スイッチ8および機械スイッチ9をオンすることでリーク電流をグランド5に流す。また、第1電子スイッチ4を高速スイッチングすることでスイッチ回路を高速動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子スイッチと機械スイッチとが組み合わされたスイッチ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ミリ波レーダセンサのような装置では、例えば1ns以下の短パルス信号を生成したり、受信アンテナを高速に切り換えたりするために高速に動作するスイッチが求められている。また、スイッチではアイソレーション特性も求められる。アイソレーション特性とはスイッチがオフの状態での絶縁性を指し、オフの状態でのリーク量が小さいほどアイソレーション特性は良好である。
【0003】
従来では、スイッチとして、MOSFET、ダイオード等の電子スイッチが知られている。例えば、P型の半導体基板にN型のソース領域およびドレイン領域が設けられ、半導体基板上に絶縁膜を介してゲート電極が設けられた電子スイッチでは、ゲート−ソース間に電圧が印加されたオンの状態のとき、ゲート電極直下のP型の半導体基板が分極してN型のチャネル層が形成され、ソース−ドレイン間がすべて同じN型の導電体になるため、ソース−ドレイン間に電流が流れる。この場合、電子スイッチは、一つの抵抗で構成される回路と等価である。
【0004】
一方、電子スイッチがゲート−ソース間に電圧が印加されないオフの状態のとき、ゲート電極直下にチャネル層は形成されず、ソース−ドレイン間はN型−P型−N型の導電体となるため、ソース−ドレイン間には電流が流れない。この場合、電子スイッチは(1/jωC)というインピーダンスを持つコンデンサと抵抗とが並列接続された回路と等価である。電子スイッチにおけるコンデンサの容量Cは、P型の半導体基板の誘電率によるが、代表的にはおおよそ1pFである。
【0005】
このような電気的特性の電子スイッチでは、物理的な動作を伴わないため、スイッチとしての動作が高速である一方、電子スイッチがオフの状態のときに電子スイッチに高周波信号が入力されると、リークが発生する。コンデンサのインピーダンスは(1/jωC)で表されるため、周波数ωが高い電気信号が入力されると、コンデンサのインピーダンスは下がる。したがって、電子スイッチにGHzオーダの高周波領域の電気信号が入力されると、電子スイッチがオフの状態であってもリーク電流が流れてしまい、アイソレーション特性が確保できないという問題がある。
【0006】
また、スイッチとして、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スイッチ等の機械スイッチが知られている。機械スイッチは、例えば2枚の電極が一定距離離されて構成されるスイッチであり、電極間に電圧を印加すると静電引力により各電極が互いに引き合って接触することを利用したものである。
【0007】
機械スイッチがオンの状態では2枚の電極が接触するので、機械スイッチは一つの抵抗で構成される回路と等価である。また、機械スイッチがオフの状態では2枚の電極の間に空気が介在するため、一つのコンデンサで構成される回路と等価である。機械スイッチにおけるコンデンサの容量は、電極の面積によるが、代表的にはおおよそ数十fFである。
【0008】
このような機械スイッチは、小型、低損失で高周波領域の信号においてもアイソレーション特性に優れるという特長があるが、機械的な動作を伴うために高速動作が困難であるという欠点がある。
【0009】
そこで、両者の欠点を互いに補うスイッチ回路が、例えば特許文献1で提案されている。特許文献1では、シリーズライン、シャントラインのいずれにも、機械スイッチと電子スイッチとが並列に設けられたスイッチ回路が提案されている。このスイッチ回路では、シリーズラインの各スイッチをオンする間にシャントラインの各スイッチをオフして信号を伝送し、シリーズラインの各スイッチをオフする間にシャントラインの各スイッチをオンしてリーク電流をグランドに流す回路構成になっている。
【0010】
このようなスイッチ回路では、機械スイッチが立ち上がるまでの間、並列に設けられた電子スイッチをオンして、信号波形を整え、機械スイッチが立ち上がった後では電子スイッチをオフして低損失な機械スイッチのみを機能させて伝送損失を抑制し、アイソレーション特性を向上させている。
【特許文献1】米国特許第6940363号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の技術では、シリーズラインの電子スイッチはシリーズラインの機械スイッチが開閉し切るまでの間のみオンするため、機械スイッチが開いて閉じるまでの時間よりも高速な信号を伝送できないという問題がある。
【0012】
また、電子スイッチはオフ時の容量が機械スイッチに比べて大きく、(1/jωC)というインピーダンスに鑑みれば高周波信号に対するインピーダンスが小さくなる。このため、オフになっているはずのシャントラインの電子スイッチにリークが発生する可能性がある。これにより、スイッチ回路のアイソレーション特性が悪くなるという問題がある。
【0013】
本発明は、上記点に鑑み、シリーズラインの電子スイッチがオフのときのアイソレーション特性を向上させることができ、かつ、高速動作するスイッチ回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、外部から信号が入力される入力端子(1)と外部に信号が出力される出力端子(2)との間に接続される第1電子スイッチ(4)と、第1電子スイッチ(4)がオンするときに互いにオフし、第1電子スイッチ(4)がオフするときに互いにオンする第2電子スイッチ(8)と機械スイッチ(9)とが並列接続されたものであり、入力端子(1)と出力端子(2)との間とグランド(5)との間に接続されるシャント回路(7)とを有することを特徴とする。
【0015】
これにより、第1電子スイッチ(4)がオフしている間、当該第1電子スイッチ(4)がリークしたとしても、シャント回路(7)の第2電子スイッチ(8)および機械スイッチ(9)がオンすることでリーク電流をグランド(5)に流すことができる。この場合、シャント回路(7)では、機械スイッチ(9)がオンしてから完全に導通するまでの間、第2電子スイッチ(8)をバイパスラインとして利用することができる。したがって、第1電子スイッチ(4)がオフのときに出力端子(2)にリーク電流が流れないようにすることができ、ひいてはアイソレーション特性を向上させることができる。
【0016】
また、入力端子(1)と出力端子(2)との間を半導体式のスイッチ(4)のみによって切り替えているため、スイッチ回路を高速で動作させることができる。以上により、アイソレーション特性を向上させ、かつ、高速動作させることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明では、シャント回路(7)は、入力端子(1)と第1電子スイッチ(4)との間とグランド(5)との間に接続されていることを特徴とする。
【0018】
これにより、入力端子(1)から出力端子(2)への出力をオフしたいときには第1電子スイッチ(4)をオフ、シャント回路(7)の各スイッチをオンとすれば、第1電子スイッチ(4)に信号を流さずにシャント回路(7)を介して電流をグランド(5)に流すことができ、アイソレーション特性を改善することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明では、シャント回路(7)は、第2電子スイッチ(4)と出力端子(2)との間とグランド(5)との間に接続されていることを特徴とする。
【0020】
これにより、第1電子スイッチ(4)を通過したリーク電流が出力端子(2)から外部に出力される前に、シャント回路(7)を介してグランド(5)に流すことができる。
【0021】
請求項4に記載の発明では、第2電子スイッチ(8)には、当該第2電子スイッチ(8)のグランド(5)側に第1インピーダンス素子(10)が直列接続されていることを特徴とする。
【0022】
これにより、第2電子スイッチ(8)がオフのときに当該第2電子スイッチ(8)でリークが起こったとしても、第1インピーダンス素子(10)によってリーク電流がグランド(5)に流れることを抑制することができる。したがって、入力端子(1)と出力端子(2)との間の伝送損失を抑制することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明では、機械スイッチ(9)には、当該機械スイッチ(9)のグランド(5)側に第2インピーダンス素子(15)が直列接続されていることを特徴とする。
【0024】
これにより、シャント回路(7)において、機械スイッチ(9)を経由する経路と第2電子スイッチ(8)を経由する経路とのインピーダンス比を変化させることができ、シャント回路(7)を流れるリーク電流の経路を任意に選択することができる。すなわち、機械スイッチ(9)を経由する経路のインピーダンスを、第2電子スイッチ(8)を経由する経路のインピーダンスよりも高くすることで、第1電子スイッチ(4)がオフのときに、積極的に第2電子スイッチ(8)を介してリーク電流をグランド(5)に流すことができる。またその反対に、機械スイッチ(9)を経由する経路のインピーダンスを、第2電子スイッチ(8)を経由する経路のインピーダンスよりも低くすることで、第1電子スイッチ(4)がオフのときに、積極的に機械スイッチ(9)を介してリーク電流をグランド(5)に流すこともできる。
【0025】
請求項6に記載の発明では、第1インピーダンス素子(10)に第3インピーダンス素子(16)が並列接続されていることを特徴とする。
【0026】
これにより、シャント回路(7)において、第2電子スイッチ(8)および第3インピーダンス素子(16)を経由する経路を形成することができる。このため、第2電子スイッチ(8)および第1インピーダンス素子(10)を経由する経路よりも第2電子スイッチ(8)および第3インピーダンス素子(16)を経由する経路のインピーダンスを小さくすることで、第1電子スイッチ(4)がオフした後、機械スイッチ(9)が完全に導通するまでの間、リーク電流を第2電子スイッチ(8)および第3インピーダンス素子(16)を経由してグランド(5)に流すことができる。機械スイッチ(9)が完全に導通すれば、機械スイッチ(9)を介してリーク電流をグランド(5)に流すことができる。
【0027】
機械スイッチ(9)の後段に第2インピーダンス素子(15)が接続されたものについては、第2電子スイッチ(8)および第1インピーダンス素子(10)を経由する経路、第2電子スイッチ(8)および第3インピーダンス素子(16)および第2インピーダンス素子(15)を経由する経路、そして機械スイッチ(9)および第2インピーダンス素子(15)を経由する経路の3つの経路を形成することができ、リーク電流が流れる経路を任意に選択することができる。
【0028】
請求項7に記載の発明のように、第1インピーダンス素子(10)として、第2電子スイッチ(8)のリークを防止するためのコンデンサ(11)を用いることができる。
【0029】
請求項8に記載の発明のように、第1インピーダンス素子(10)として、第2電子スイッチ(8)および第1インピーダンス素子(10)を経由する経路のインピーダンスを調整するための容量可変コンデンサ(12)を用いることができる。
【0030】
請求項9に記載の発明のように、第1インピーダンス素子(10)として、第2電子スイッチ(8)のリークを防止するための機械スイッチ(13)を用いることができる。
【0031】
請求項10に記載の発明のように、第1インピーダンス素子(10)として、インピーダンスを変更することが可能なインピーダンス可変素子(14)を用いることができる。
【0032】
請求項11に記載の発明のように、第2インピーダンス素子(15)として、機械スイッチ(9)のリークを防止するためのコンデンサ(11)を用いることができる。
【0033】
請求項12に記載の発明のように、第2インピーダンス素子(15)として、機械スイッチ(9)および第2インピーダンス素子(15)を経由する経路のインピーダンスを調整するための容量可変コンデンサ(12)を用いることができる。
【0034】
請求項13に記載の発明のように、第2インピーダンス素子(15)として、第2電子スイッチ(8)のリークを防止するための機械スイッチ(13)を用いることができる。
【0035】
請求項14に記載の発明のように、第2インピーダンス素子(15)として、インピーダンスを変更することが可能なインピーダンス可変素子(14)を用いることができる。
【0036】
請求項15に記載の発明のように、第3インピーダンス素子(16)として、第2電子スイッチ(8)のリークを防止するためのコンデンサ(11)を用いることができる。
【0037】
請求項16に記載の発明のように、第3インピーダンス素子(16)として、第2電子スイッチ(8)および第3インピーダンス素子(16)を経由する経路のインピーダンスを調整するための容量可変コンデンサ(12)を用いることができる。
【0038】
請求項17に記載の発明のように、第3インピーダンス素子(16)として、第2電子スイッチ(8)のリークを防止するための機械スイッチ(13)を用いることができる。
【0039】
請求項18に記載の発明のように、第3インピーダンス素子(16)として、インピーダンスを変更することが可能なインピーダンス可変素子(14)を用いることができる。
【0040】
請求項19に記載の発明のように、機械スイッチ(9、13)として、MEMSスイッチを用いることができる。これにより、機械スイッチ(9、13)を小型化することができる。
【0041】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0043】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態で示されるスイッチ回路は、例えば、外部から送信される信号を複数の受信アンテナで受信する際に、信号を受信する受信アンテナを切り替えるものとして用いられる。特に、GHzオーダの高周波を扱うものに好適である。
【0044】
図1は、本発明の第1実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。スイッチ回路の外部から伝送信号が入力される入力端子1とスイッチ回路の外部に伝送信号が出力される出力端子2との間がシリーズライン3になっている。
【0045】
シリーズライン3には、第1電子スイッチ4が設けられている。第1電子スイッチ4は、例えばMOSFETやダイオード等の可動部を持たない半導体スイッチング素子である。本実施形態では、第1電子スイッチ4として、nチャネル型のMOSFETが採用される。図1に示されるように、第1電子スイッチ4のドレインが入力端子1に接続され、ソースが出力端子2に接続される。
【0046】
また、シリーズライン3とグランド5との間がシャントライン6とされている。このシャントライン6にはシャント回路7が設けられている。シャント回路7は、第2電子スイッチ8と機械スイッチ9とが並列接続されて構成されている。すなわち、本実施形態では、シリーズライン3とグランド5との間で、第2電子スイッチ8を経由する経路と機械スイッチ9を経由する経路との両経路がシャントライン6になっている。
【0047】
第2電子スイッチ8は、第1電子スイッチ4と同様に半導体スイッチング素子であり、MOSFETが採用される。そして、機械スイッチ9は、可動部を持つスイッチである。本実施形態では、機械スイッチ9としてMEMS技術により形成されたものが採用される。
【0048】
MEMSによる機械スイッチ9として、例えば、基板の上にバッファ層が形成され、このバッファ層の上に一方の電極が設けられると共に、バッファ層に柱が形成され、この柱で他方の電極が支えられることで2枚の電極が空気を挟んで対向配置された構造を採用することができる。電気的に分離された各電極に電圧が印加され、各電極が静電引力によって互いに引き合って接触することでスイッチとして機能する。
【0049】
このような構成のスイッチ回路において、シリーズライン3に設けられた第1電子スイッチ4と、シャントライン6に設けられた機械スイッチ9および第2電子スイッチ8とは、互いに反対にオン/オフ制御される。例えば、第1電子スイッチ4がオンのときにシャント回路7の機械スイッチ9および第2電子スイッチ8は互いにオフになり、第1電子スイッチ4がオフのときにシャント回路7の機械スイッチ9および第2電子スイッチ8は互いにオンになる。
【0050】
第1電子スイッチ4、第2電子スイッチ8、および機械スイッチ9は、スイッチ回路の外部に設けられた図示しない制御回路によって制御される。すなわち、第1、第2電子スイッチ4、8は、制御回路からゲートに入力される切替信号が入力されることでオン/オフ制御され、機械スイッチ9は制御回路から電圧が印加されることでオン/オフ制御される。以上が、本実施形態に係るスイッチ回路の全体構成である。
【0051】
次に、図1に示されるスイッチ回路の作動について、図2を参照して説明する。図2は、図1に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。横軸は時間、縦軸は電流の大きさを示している。
【0052】
まず、シリーズライン3に設けられた第1電子スイッチ4がオフになっており、シャントライン6に設けられたシャント回路7の機械スイッチ9および第2電子スイッチ8が共にオンになっている。この状態では、入力端子1に伝送信号が入力されたとしても、シリーズライン3は第1電子スイッチ4によって遮断されているため、出力端子2に伝送信号は伝送されない。
【0053】
第1電子スイッチ4は半導体スイッチング素子であるので、第1電子スイッチ4がオフになっていても、上述のように高周波の伝送信号が第1電子スイッチ4に入力されると第1電子スイッチ4のインピーダンスが小さくなってシリーズライン3にリーク電流が流れる。
【0054】
しかし、シャント回路7の機械スイッチ9および第2電子スイッチ8が共にオンになっているため、シリーズライン3に流れるリーク電流は、機械スイッチ9を経由するシャントライン6および第2電子スイッチ8を経由するシャントライン6を流れてグランド5に流れる。これにより、出力端子2からリーグ電流が外部に出力されることはなく、スイッチ回路のアイソレーション特性を向上させることができる。
【0055】
続いて、第1電子スイッチ4を時点T2でオンさせて、入力端子1に入力された伝送信号を出力端子2から出力させる。この場合、シャント回路7の機械スイッチ9および第2電子スイッチ8を共にオフするが、機械スイッチ9は動作に時間遅れがあるため、時点T2よりも早い時点T1で機械スイッチ9をオフし始め、時点T2で完全にオフさせる。第2電子スイッチ8については、第1電子スイッチ4のオンと同時にオフする。
【0056】
このような時点T1と時点T2との間の中間状態では、機械スイッチ9がオフになりかけているものの、第2電子スイッチ8のオン状態が保たれている。このため、当該中間状態でも、第2電子スイッチ8によるバイパスラインが確保されており、第2電子スイッチ8を経由するシャントライン6を介してリーク電流をグランド5に流すことができる。これにより、時点T1と時点T2との間のアイソレーション特性の低下を防止できる。
【0057】
そして、時点T2では、第1電子スイッチ4がオンになり、シャント回路7の機械スイッチ9および第2電子スイッチ8がオフになる。これにより、入力端子1に入力された伝送信号がシリーズライン3を経由して出力端子2から外部に出力される。
【0058】
この後、時点T3で第1電子スイッチ4をオフし、伝送信号の伝送を停止する。第1電子スイッチ4のオフと共に、シャント回路7の機械スイッチ9および第2電子スイッチ8を共にオンする。この場合、機械スイッチ9の動作に時間遅れがあるため、機械スイッチ9は時点T4になるまで完全にオンできないが、第2電子スイッチ8は第1電子スイッチ4のオフと同時にオンできる。このため、時点T3と時点T4との間の中間状態では、第2電子スイッチ8を経由するシャントライン6によって、シリーズライン3に流れるリーク電流をグランド5に流すことができる。これにより、時点T3と時点T4との間のアイソレーション特性の低下を防止できる。
【0059】
そして、時点T4では、機械スイッチ9が完全にオンするため、機械スイッチ9を経由するシャントライン6および第2電子スイッチ8を経由するシャントライン6の両経路によってリーク電流をグランド5に流すことができる。
【0060】
上記のように、シャント回路7は機械スイッチ9と第2電子スイッチ8との並列回路であるが、機械スイッチ9は、物理的に接触/分離すると共にオンのときに低抵抗であるため、機械スイッチ9が完全にオンした状態では、リーク電流は主に機械スイッチ9を経由するシャントライン6を介してグランド5に流れる。しかし、機械スイッチ9には動作遅れが生じるため、第1電子スイッチ4のオン/オフに追従できる第2電子スイッチ8をシャント回路7に備えることで、機械スイッチ9の動作遅れを補完できるようになっている。また、機械スイッチ9が完全にオンになれば、低抵抗の機械スイッチ9を介してリーク電流をグランド5に流すことができる。したがって、第2電子スイッチ8と機械スイッチ9とは相補的に動作していると言える。
【0061】
以上説明したように、本実施形態では、シリーズライン3に第1電子スイッチ4を設け、シリーズライン3とグランド5との間に機械スイッチ9および第2電子スイッチ8が並列接続されたシャント回路7を接続したことを特徴としている。
【0062】
これにより、第1電子スイッチ4がオフになっているときに第1電子スイッチ4がリークしたとしても、シャント回路7の機械スイッチ9および第2電子スイッチ8がオンするため、シリーズライン3に流れるリーク電流をグランド5に流すことができる。したがって、入力端子1と出力端子2との間の全体のアイソレーション特性を向上させることができる。
【0063】
また、シャント回路7では、機械スイッチ9が完全にオンするまでの間、第2電子スイッチ8を経由するシャントライン6をバイパスラインとして利用することができる。したがって、機械スイッチ9の動作遅れを第2電子スイッチ8によって補完することができるため、第1電子スイッチ4を高速動作させたとしても、アイソレーション特性を低下させずに伝送信号を伝送することができる。
【0064】
そして、機械スイッチ9としてMEMSによって形成されたものを用いているため、機械スイッチ9そのものを小型化することができる。これにより、スイッチ回路の大型化を回避し、コンパクトなスイッチ回路を提供することが可能となる。
【0065】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、第2電子スイッチ8が設けられたシャントライン6にインピーダンス素子を設けたことが特徴となっている。
【0066】
図3は、本実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。この図に示されるように、シャント回路7において、第2電子スイッチ8の後段、すなわちグランド5側に第1インピーダンス素子10が直列接続されている。第2電子スイッチ8の後段とは、第2電子スイッチ8のソースを指す。
【0067】
本実施形態では、第1インピーダンス素子10としてコンデンサ11が採用される。コンデンサ11は、高周波の観点では抵抗としての役割を果たし、第2電子スイッチ8のリークを防止するために用いられるものである。すなわち、第1電子スイッチ4がオンのときに、第2電子スイッチ8はオフしているが、第2電子スイッチ8にリークが生じた場合であっても、コンデンサ11によって第2電子スイッチ8からのリーク電流が阻止される。これにより、伝送信号がシリーズライン3からシャントライン6に流れることを防止でき、伝送損失を低減させることができる。
【0068】
以上のように、第2電子スイッチ8の後段に第1インピーダンス素子10としてコンデンサ11を設けることで、第2電子スイッチ8がオフのときにリークが起こったとしても、抵抗として機能するコンデンサ11によってリーク電流がグランド5に流れることを抑制することができる。
【0069】
(第3実施形態)
本実施形態では、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図4は、本実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。この図に示されるように、本実施形態では、第1インピーダンス素子10として、容量可変コンデンサ12が採用される。
【0070】
容量可変コンデンサ12は、容量を調整することができるものである。すなわち、容量可変コンデンサ12は、第2電子スイッチ8および第1インピーダンス素子10を経由するシャントライン6のインピーダンスを調整するものである。
【0071】
図5は、図4に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。なお、図5では、容量可変コンデンサ12については時間に対するインピーダンスの変化を示してある。
【0072】
機械スイッチ9がオフされる時点T1から、実際にオフ状態に切り替わる時点T2までの間、オフ状態の第1電子スイッチ4に流れる高周波のリーク電流は第2電子スイッチ8を経由するシャントライン6によりグランド5に流れ、アイソレーション特性は確保される。
【0073】
そして、時点T2で第1電子スイッチ4がオンになり、機械スイッチ9が完全にオフになると共に第2電子スイッチ8がオフになる。時点T2後、第2電子スイッチ8でリークが発生したとしても、容量可変コンデンサ12を高インピーダンス状態に切り換えることにより、容量可変コンデンサ12でリーク電流が阻止される。
【0074】
この後、時点T3で第1電子スイッチ4がオフになり、機械スイッチ9および第2電子スイッチ8がオンになると、機械スイッチ9が完全にオン状態になる時点T4までの間、リーク電流は主に各シャントライン6のうち第2電子スイッチ8を経由して流れ、スイッチ回路のアイソレーション特性は確保される。
【0075】
時点T4で機械スイッチ9が完全にオンになると、リーク電流は主に機械スイッチ9を経由するシャントライン6を介してグランド5に流れるため、スイッチ回路のアイソレーション特性は確保される。
【0076】
以上説明したように、第1インピーダンス素子10として容量可変コンデンサ12を用いることができる。
【0077】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図6は、本実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。この図に示されるように、本実施形態では、第1インピーダンス素子10として、第2電子スイッチ8のリークを防止するための機械スイッチ13が採用される。この機械スイッチ13はMEMSスイッチであり、上述のように、2枚の電極によって構成されるものであるから、一つのコンデンサと同じ役割を果たす。このように、第1インピーダンス素子10として機械スイッチ13を用いることができる。
【0078】
(第5実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図7は、本実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。この図に示されるように、本実施形態では、第1インピーダンス素子10として、インピーダンス可変素子14が採用される。このインピーダンス可変素子14は、周波数が増加するとインピーダンスが増加するものである。例えば、チップ抵抗を用いることができる。このように、第1インピーダンス素子10としてインピーダンス可変素子14を用いることができる。
【0079】
(第6実施形態)
本実施形態では、上記各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第2実施形態では、シャント回路7において第2電子スイッチ8の後段に第1インピーダンス素子10としてコンデンサ11を設けていたが、本実施形態では、さらに機械スイッチ9の後段にインピーダンス素子を設けることが特徴となっている。
【0080】
図8は、本実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。この図に示されるように、機械スイッチ9のグランド5側に第2インピーダンス素子15が直列接続されている。本実施形態では、第2インピーダンス素子15として、容量可変コンデンサ12が採用される。この容量可変コンデンサ12は、機械スイッチ9および第2インピーダンス素子15を経由するシャントライン6のインピーダンスを調整するためのものである。
【0081】
このようなシャント回路7において、機械スイッチ9を経由するシャントライン6と第2電子スイッチ8を経由するシャントライン6とのインピーダンス比を変化させることができる。これにより、シャント回路7を流れるリーク電流の経路を任意に選択することができる。
【0082】
例えば、機械スイッチ9を経由するシャントライン6のインピーダンスを、第2電子スイッチ8を経由するシャントライン6よりも高くする。すなわち、容量可変コンデンサ12の容量値が大きいものを用いて、機械スイッチ9を経由するシャントライン6のインピーダンスを上げる。これにより、第1電子スイッチ4がオフのときに、積極的に第2電子スイッチ8を経由するシャントライン6を介してリーク電流をグランド5に流すことができる。
【0083】
容量可変コンデンサ12のインピーダンスは、図5に示されるタイムチャートと同様に、第1電子スイッチ4がオフのときに低インピーダンスとし、第1電子スイッチ4がオンのときに高インピーダンスとする。以上のように、機械スイッチ9が設けられるシャントライン6に第2インピーダンス素子15として容量可変コンデンサ12を設けて、リーク電流を流す経路を選択できるようにすることができる。
【0084】
(第7実施形態)
本実施形態では、第6実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図9は、本実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。この図に示されるように、本実施形態では、第1インピーダンス素子10として、インピーダンス可変素子14を用いている。
【0085】
図10は、図9に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。第2電子スイッチ8がオンからオフに切り替わる時点T2まで、または第2電子スイッチ8がオフからオンに切り替わった時点T3後では、インピーダンス可変素子14および容量可変コンデンサ12は共に低インピーダンス状態とする。このため、シャント回路7の各シャントライン6が低インピーダンスとなり、アイソレーション特性が向上する。
【0086】
他方、第1電子スイッチ4がオンのとき、インピーダンス可変素子14および容量可変コンデンサ12を共に高インピーダンス状態に切り換える。このため、各シャントライン6のインピーダンスが共に上昇してリーク電流が阻止され、伝送損失が改善される。
【0087】
以上のように、第1インピーダンス素子10としてインピーダンス可変素子を用いると共に、第2インピーダンス素子15として容量可変コンデンサ12を用いることができる。
【0088】
(第8実施形態)
本実施形態では、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、機械スイッチ9を経由するシャントライン6と第2電子スイッチ8を経由するシャントライン6とを接続する第3インピーダンス素子を設けたことが特徴となっている。
【0089】
図11は、本実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。この図に示されるように、第1インピーダンス素子10であるコンデンサ11に第3インピーダンス素子16が並列接続されている。ここで、第3インピーダンス素子16は、機械スイッチ9の後段と第2電子スイッチ8の後段との間に接続されるため、シャント回路7では第3インピーダンス素子16によってブリッジ回路が構成されている。本実施形態では、第3インピーダンス素子16として、第2電子スイッチ8および第3インピーダンス素子16を経由する経路のインピーダンスを調整するための容量可変コンデンサ12が採用される。
【0090】
図12は、図11に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。第1電子スイッチ4がオンのとき、ブリッジ部品である容量可変コンデンサ12は高インピーダンス状態とする。このため、第2電子スイッチ8からのリーク電流が容量可変コンデンサ12とコンデンサ11とによって阻止され、伝送損失が改善される。
【0091】
他方、第1電子スイッチ4がオフのとき、ブリッジ部品である容量可変コンデンサ12は低インピーダンス状態とする。このため、第1電子スイッチ4からのリーク電流は第2電子スイッチ8および容量可変コンデンサ12を経由してグランド5に流れる。
【0092】
すなわち、第2電子スイッチ8および第1インピーダンス素子10を経由するシャントライン6よりも第2電子スイッチ8および容量可変コンデンサ12を経由する経路のインピーダンスを小さくすることで、第1電子スイッチ4が時点T3でオフした後、機械スイッチ9が完全にオンする時点T4までの間、リーク電流を第2電子スイッチ8および容量可変コンデンサ12を経由してグランド5に流すことができる。機械スイッチ9が完全にオンになった時点T4後では、機械スイッチ9を経由するシャントライン6を介してリーク電流をグランド5に流す。時点T1で機械スイッチ9がオフになって時点T2で完全にオフになるまでの間も同じである。
【0093】
以上のように、ブリッジ部品として第3インピーダンス素子16として容量可変コンデンサ12を設けることで、機械スイッチ9が完全にオンまたはオフするまでの間に第2電子スイッチ8および容量可変コンデンサ12を経由する経路を形成でき、リーク電流をグランド5に流すことができる。これにより、アイソレーション特性を向上させることができる。
【0094】
(第9実施形態)
本実施形態では、第8実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図13は、本実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。この図に示されるように、本実施形態では、第3インピーダンス素子16として、インピーダンスを変更することができるインピーダンス可変素子14を用いている。図13に示されるスイッチ回路の作動は、図12に示されるものと同様である。このように、第3インピーダンス素子16としてインピーダンス可変素子14を用いることができる。
【0095】
(第10実施形態)
本実施形態では、第8、第9実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図14は、本実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。この図に示されるように、本実施形態では、第1、第3インピーダンス素子10、16それぞれにインピーダンス可変素子14を用いている。
【0096】
図15は、図14に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。この図に示されるように、第1電子スイッチ4が時点T2でオンの時、第2電子スイッチ8の後段のインピーダンス可変素子14およびブリッジ部品としてのインピーダンス可変素子14は共に高インピーダンス状態とする。したがって、第2電子スイッチ8からのリーク電流が各インピーダンス可変素子14によって阻止され、伝送損失が改善される。
【0097】
他方、第1電子スイッチ4が時点T3(または時点T2よりも以前)でオフの時、各インピーダンス可変素子14は共に低インピーダンス状態とする。したがって、第1電子スイッチ4からのリーク電流は主に機械スイッチ9を経由するシャントライン6を介してグランド5に流れる。以上のように、第1、第3インピーダンス素子10、16としてそれぞれインピーダンス可変素子14を用いることができる。
【0098】
(第11実施形態)
本実施形態では、第9実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図16は、本実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。この図に示されるように、図13に示されるスイッチ回路において、機械スイッチ9の後段に第2インピーダンス素子15が設けられた回路構成になっている。本実施形態では、第2インピーダンス素子15として、インピーダンス可変素子14が採用される。
【0099】
図17は、図16に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。この図に示されるように、第1電子スイッチ4がオンのときには、第2電子スイッチ8の後段のコンデンサ11、機械スイッチ9の後段のインピーダンス可変素子14、ブリッジ部品としてnインピーダンス可変素子14すべてを高インピーダンス状態として、リーク電流を阻止している。
【0100】
そして、機械スイッチ9の後段にインピーダンス可変素子14が設けられると、第2電子スイッチ8およびコンデンサ11を経由するシャントライン6、第2電子スイッチ8およびブリッジ部品としてのインピーダンス可変素子14および機械スイッチ9の後段のインピーダンス可変素子14を経由する経路、そして機械スイッチ9およびインピーダンス可変素子14を経由するシャントライン6の3つの経路を形成することができる。したがって、各経路のインピーダンスを調節することで、リーク電流が流れる経路を任意に選択することができる。
【0101】
(第12実施形態)
本実施形態では、第11実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図18は、本実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。この図に示されるように、本実施形態では、第1インピーダンス素子10として、インピーダンス可変素子14を用いている。図18に示されるスイッチ回路の作動は、図17に示されるものと同様である。このように、第1インピーダンス素子10としてインピーダンス可変素子14を用いることができる。
【0102】
(第13実施形態)
本実施形態では、第10実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第10実施形態では、第1インピーダンス素子10としてインピーダンス可変素子14が用いられていたが、本実施形態では、図19に示されるように、第1インピーダンス素子10としてコンデンサ11が用いられ、機械スイッチ9の後段に第2インピーダンス素子15が接続されている。また、第2、第3インピーダンス素子15、16として、インピーダンス可変素子14が用いられる。
【0103】
図20は、図19に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。この図に示されるように、時点T2と時点T3との間で第1電子スイッチ4がオンのときには、機械スイッチ9の後段のインピーダンス可変素子14、およびコンデンサ11に並列接続されたインピーダンス可変素子14を高インピーダンス状態とし、リーク電流を阻止している。
【0104】
以上のように、第1〜第3インピーダンス素子10、15、16を用いる回路形態において、機械スイッチ9の後段にインピーダンス可変素子14を配置して、機械スイッチ9を経由するシャントライン6のリーク電流の阻止を図ることができる。
【0105】
(第14実施形態)
本実施形態では、第13実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図21に示されるように、本実施形態では、第1インピーダンス素子10としてインピーダンス可変素子14が用いられている。
【0106】
図22は、図21に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。この図に示されるように、時点T2と時点T3との間で第1電子スイッチ4がオンのときには、機械スイッチ9の後段のインピーダンス可変素子14、および第2電子スイッチ8の後段に並列接続された各インピーダンス可変素子14を高インピーダンス状態とすることにより、リーク電流が阻止される。このように、スイッチ回路において、第1〜第3インピーダンス素子10、15、16すべてをインピーダンス可変素子14とした回路形態でも良い。
【0107】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、シャント回路7は第1電子スイッチ4と出力端子2との間とグランド5との間、すなわち第1電子スイッチ4の後段とグランド5との間に接続されているが、シャント回路7は、入力端子1と第1電子スイッチ4との間、すなわち第1電子スイッチ4の前段とグランド5との間に接続されていても良い。この場合、入力端子1に入力されるリークは、第1電子スイッチ4を流れる前に、シャント回路7を介してグランド5に流れる。
【0108】
上記各実施形態では、機械スイッチ9として、MEMSによって形成されたものを用いることについて説明したが、機械スイッチ9は可動部の機械的動作によってオン/オフするものであればMEMSによって形成されたものでなくても良い。
【0109】
第6、第7実施形態では、第2インピーダンス素子15として容量可変コンデンサ12を用いることについて説明したが、第2インピーダンス素子15として、コンデンサ11、機械スイッチ13、インピーダンス可変素子14のいずれかを用いることもできる。
【0110】
第8〜第14実施形態では、第3インピーダンス素子16として容量可変コンデンサ12またはインピーダンス可変素子14を用いることについて説明したが、第3インピーダンス素子16として、コンデンサ11や機械スイッチ13のいずれかを用いることもできる。
【0111】
すなわち、第1〜第3インピーダンス素子10、15、16として、コンデンサ11、容量可変コンデンサ12、機械スイッチ13、インピーダンス可変素子14それぞれをすべての組み合わせた回路構成とすることができる。例えば、第2インピーダンス素子15として機械スイッチ9のリークを防止するためのコンデンサ11を用いることができ、第2インピーダンス素子15として機械スイッチ13を用いることができる。また、第3インピーダンス素子16として、第2電子スイッチ8のリークを防止するためのコンデンサ11や機械スイッチ13を用いることができる。
【0112】
容量可変コンデンサ12として、例えばスイッチ回路が製造されたときやスイッチ回路が実際に用いられるときに手動で容量の値が変更されるタイプのものを用いても良い。
【0113】
また、上記各実施形態では、第1〜第3インピーダンス素子10、15、16として単品の素子が用いられているが、複数の素子が直列や並列に組み合わされたものであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。
【図2】図1に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。
【図5】図4に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。
【図6】本発明の第4実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。
【図9】本発明の第7実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。
【図10】図9に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。
【図11】本発明の第8実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。
【図12】図11に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。
【図13】本発明の第9実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。
【図14】本発明の第10実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。
【図15】図14に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。
【図16】本発明の第11実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。
【図17】図16に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。
【図18】本発明の第12実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。
【図19】本発明の第13実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。
【図20】図19に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。
【図21】本発明の第14実施形態に係るスイッチ回路の回路図である。
【図22】図21に示されるスイッチ回路の作動の内容を示したタイムチャートである。
【符号の説明】
【0115】
1 入力端子
2 出力端子
4 第1電子スイッチ
5 グランド
7 シャント回路
8 第2電子スイッチ
9、13 機械スイッチ
10 第1インピーダンス素子
11 コンデンサ
12 容量可変コンデンサ
14 インピーダンス可変素子
15 第2インピーダンス素子
16 第3インピーダンス素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から信号が入力される入力端子(1)と外部に信号が出力される出力端子(2)との間に接続される第1電子スイッチ(4)と、
前記第1電子スイッチ(4)がオンするときに互いにオフし、前記第1電子スイッチ(4)がオフするときに互いにオンする第2電子スイッチ(8)と機械スイッチ(9)とが並列接続されたものであり、前記入力端子(1)と前記出力端子(2)との間とグランド(5)との間に接続されるシャント回路(7)とを有することを特徴とするスイッチ回路。
【請求項2】
前記シャント回路(7)は、前記入力端子(1)と前記第1電子スイッチ(4)との間と前記グランド(5)との間に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ回路。
【請求項3】
前記シャント回路(7)は、前記第2電子スイッチ(4)と前記出力端子(2)との間と前記グランド(5)との間に接続されていることを特徴とするスイッチ回路。
【請求項4】
前記第2電子スイッチ(8)には、当該第2電子スイッチ(8)の前記グランド(5)側に第1インピーダンス素子(10)が直列接続されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のスイッチ回路。
【請求項5】
前記機械スイッチ(9)には、当該機械スイッチ(9)の前記グランド(5)側に第2インピーダンス素子(15)が直列接続されていることを特徴とする請求項4に記載のスイッチ回路。
【請求項6】
前記第1インピーダンス素子(10)に第3インピーダンス素子(16)が並列接続されていることを特徴とする請求項4または5に記載のスイッチ回路。
【請求項7】
前記第1インピーダンス素子(10)として、前記第2電子スイッチ(8)のリークを防止するためのコンデンサ(11)が用いられることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1つに記載のスイッチ回路。
【請求項8】
前記第1インピーダンス素子(10)として、前記第2電子スイッチ(8)および前記第1インピーダンス素子(10)を経由する経路のインピーダンスを調整するための容量可変コンデンサ(12)が用いられることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1つに記載のスイッチ回路。
【請求項9】
前記第1インピーダンス素子(10)として、前記第2電子スイッチ(8)のリークを防止するための機械スイッチ(13)が用いられることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1つに記載のスイッチ回路。
【請求項10】
前記第1インピーダンス素子(10)として、インピーダンスを変更することが可能なインピーダンス可変素子(14)が用いられることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1つに記載のスイッチ回路。
【請求項11】
前記第2インピーダンス素子(15)として、前記機械スイッチ(9)のリークを防止するためのコンデンサ(11)が用いられることを特徴とする請求項5に記載のスイッチ回路。
【請求項12】
前記第2インピーダンス素子(15)として、前記機械スイッチ(9)および前記第2インピーダンス素子(15)を経由する経路のインピーダンスを調整するための容量可変コンデンサ(12)が用いられることを特徴とする請求項5に記載のスイッチ回路。
【請求項13】
前記第2インピーダンス素子(15)として、前記第2電子スイッチ(8)のリークを防止するための機械スイッチ(13)が用いられることを特徴とする請求項5に記載のスイッチ回路。
【請求項14】
前記第2インピーダンス素子(15)として、インピーダンスを変更することが可能なインピーダンス可変素子(14)が用いられることを特徴とする請求項5に記載のスイッチ回路。
【請求項15】
前記第3インピーダンス素子(16)として、前記第2電子スイッチ(8)のリークを防止するためのコンデンサ(11)が用いられることを特徴とする請求項6に記載のスイッチ回路。
【請求項16】
前記第3インピーダンス素子(16)として、前記第2電子スイッチ(8)および前記第3インピーダンス素子(16)を経由する経路のインピーダンスを調整するための容量可変コンデンサ(12)が用いられることを特徴とする請求項6に記載のスイッチ回路。
【請求項17】
前記第3インピーダンス素子(16)として、前記第2電子スイッチ(8)のリークを防止するための機械スイッチ(13)が用いられることを特徴とする請求項6に記載のスイッチ回路。
【請求項18】
前記第3インピーダンス素子(16)として、インピーダンスを変更することが可能なインピーダンス可変素子(14)が用いられることを特徴とする請求項6に記載のスイッチ回路。
【請求項19】
前記機械スイッチ(9、13)は、MEMSスイッチであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載のスイッチ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−152861(P2009−152861A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328876(P2007−328876)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】