説明

スイッチ装置

【課題】スイッチと判定部とを接続する電線の削減、並びに小型化及び軽量化が可能なスイッチ装置の提供。
【解決手段】複数のスイッチの各接点SW1,SW2,・・・SWnに信号を与えて、スイッチのそれぞれのオン/オフ状態を検出するスイッチ装置。各接点SW1,SW2,・・・SWnは並列に接続されており、各接点に同一の信号を与える信号出力部2と、各接点SW1,SW2,・・・SWn及び固定電位部間に接続された互いに異なるインピーダンス回路Y1,Y2,・・・Ynと、信号出力部2が与えた信号を検出する信号検出部1と、信号検出部1が検出した信号に基づき、スイッチのそれぞれのオン/オフ状態を検出する状態検出部3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスイッチの各接点に信号を与えて、スイッチのそれぞれのオン/オフ状態を検出するスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のスイッチのオン/オフ状態を判定する場合、個々のスイッチと判定部との間は、それぞれ独立した配線で接続されていた。例えば、n個のスイッチの状態を判定する為には、少なくともn本以上の配線が必要であった。
スイッチと判定部とが離れている場合には、電線による配線が必要であり、電線の本数は、スイッチの個数と共に増加する。
【非特許文献1】HONDA CIVIC サービスマニュアル 配線図集DBA−FD1型(1000001〜)2005−9 P8−22
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、車両のドアスイッチ、コラムスイッチ、オーディオ機器、エアコンディショナ、ナビゲーションシステム等のスイッチ、ステアリングスイッチ等では、操作部は、操作性の良い場所に配置されている。それに対して、判定部は、一定の大きさの電子回路を設置可能な空間が確保できる場所、又は判定結果を利用する装置の近傍に配置されている。その為、スイッチと判定部とを接続する電線の延長距離は長くなっており、車両のように、使用可能な空間が限定され、重量が燃料費に影響するところでは、電線の体積及び重量は無視できない問題である。
【0004】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、スイッチと判定部とを接続する電線の削減、並びに小型化及び軽量化が可能なスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係るスイッチ装置は、複数のスイッチの各接点に信号を与えて、該スイッチのそれぞれのオン/オフ状態を検出するスイッチ装置において、前記各接点は並列に接続されており、該各接点に同一の信号を与える信号出力部と、前記各接点及び固定電位部間に接続された互いに異なるインピーダンス回路と、前記信号出力部が与えた信号を検出する信号検出部と、該信号検出部が検出した信号に基づき、スイッチのそれぞれのオン/オフ状態を検出する状態検出部とを備えることを特徴とする。
【0006】
このスイッチ装置では、複数のスイッチの各接点に信号を与えて、スイッチのそれぞれのオン/オフ状態を検出する。各接点は並列に接続されており、信号出力部が、スイッチの各接点に同一の信号を与える。互いに異なるインピーダンス回路が、各接点及び固定電位部間に接続され、信号検出部が、信号出力部が与えた信号を検出する。状態検出部は、信号検出部が検出した信号に基づき、スイッチのそれぞれのオン/オフ状態を検出する。
【0007】
第2発明に係るスイッチ装置は、前記信号出力部が出力する信号は、複数の周波数を含む信号であり、前記インピーダンス回路は、前記周波数の何れかを含む通過帯域を有するフィルタであり、前記状態検出部は、前記通過帯域をそれぞれ有する他のフィルタを備え、該フィルタがそれぞれ通過させた前記周波数を有する信号の振幅と前記通過帯域とに基づき、前記オン/オフ状態を検出するように構成してあることを特徴とする。
【0008】
このスイッチ装置では、信号出力部が出力する信号は、複数の周波数を含む信号であり、インピーダンス回路は、その複数の周波数の何れかを含む通過帯域を有するフィルタである。状態検出部は、それらの通過帯域をそれぞれ有する他のフィルタを備え、そのフィルタがそれぞれ通過させた周波数を有する信号の振幅と通過帯域とに基づき、スイッチのオン/オフ状態を検出する。
【0009】
第3発明に係るスイッチ装置は、前記信号出力部が出力する信号は、所定周期で周波数が掃引される掃引信号であり、前記インピーダンス回路は、該掃引信号の周波数範囲に含まれ、互いに異なる通過帯域を有するフィルタであり、前記状態検出部は、前記所定周期内における位相毎の掃引信号の振幅と前記通過帯域とに基づき、前記オン/オフ状態を検出するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
このスイッチ装置では、信号出力部が出力する信号は、所定周期で周波数が掃引される掃引信号であり、インピーダンス回路は、その掃引信号の周波数範囲に含まれ、互いに異なる通過帯域を有するフィルタである。状態検出部は、所定周期内における位相毎の掃引信号の振幅とフィルタの通過帯域とに基づき、スイッチ毎のオン/オフ状態を検出する。
【0011】
第4発明に係るスイッチ装置は、前記信号出力部が出力する信号は、所定周期内に時分割的に配列され、それぞれ異なる周波数を有する信号群であり、前記インピーダンス回路は、互いに異なる前記周波数を含む通過帯域を有するフィルタであり、前記状態検出部は、前記所定周期内における前記信号群の強弱関係に基づき、前記オン/オフ状態を検出するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
このスイッチ装置では、信号出力部が出力する信号は、所定周期内に時分割的に配列され、それぞれ異なる周波数を有する信号群であり、インピーダンス回路は、その互いに異なる周波数を含む通過帯域を有するフィルタである。状態検出部は、所定周期内における信号群の強弱関係に基づき、スイッチ毎のオン/オフ状態を検出する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るスイッチ装置によれば、スイッチと判定部とを接続する電線の削減、並びに小型化及び軽量化が可能なスイッチ装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係るスイッチ装置の実施の形態1の要部構成を示すブロック図である。
このスイッチ装置は、信号を出力する信号出力部2の一方の端子が接地され、他方の端子は、電流検出器1を通じて、スイッチの各接点SW1,SW2,・・・SWnの一方の各端子に接続されている。尚、本実施の形態1において信号は、交流電圧もしくは電流又は直流電圧もしくは電流でも良い。
【0015】
スイッチの各接点SW1,SW2,・・・SWnの他方の各端子は、それぞれ異なるアドミッタンスY1,Y2,・・・Ynを通じて接地されている。スイッチの接点及びアドミッタンスの各直列回路SW1−Y1,SW2−Y2,・・・SWn−Ynは並列に接続されている。
電流検出器1が検出した電流値Iは、状態検出部3に与えられる。状態検出部3は、与えられた電流値Iと予め与えられている電圧値Vとで、スイッチの接点SW1,SW2,・・・SWnのそれぞれのオン/オフ状態を検出する。検出したオン/オフ状態は、スイッチで操作される機器の制御回路又は駆動回路に通知される。
【0016】
このような構成のスイッチ装置では、状態検出部3は、与えられた電流値Iと予め与えられている電圧値Vとで、スイッチの接点及びアドミッタンスの各直列回路SW1−Y1,SW2−Y2,・・・SWn−Ynで構成された並列回路のアドミッタンス又はインピーダンスを算出する。
スイッチの接点SW1,SW2,・・・SWnが全てオン状態であるとき、並列回路の合成アドミッタンスYtotal は、
Ytotal =I/V=Y1+Y2+・・・+Yn
となる。
【0017】
ここで、接点SWi(i=1,2,・・・n)がオフ状態になると、その直列回路のアドミッタンスYiは0となる。従って、アドミッタンスY1,Y2,・・・Ynの何れか(複数も含む)が0のときの各合成アドミッタンスYtotal が互いに異なるように、アドミッタンスY1,Y2,・・・Ynを定めて記憶しておけば、状態検出部3は、スイッチの接点SW1,SW2,・・・SWnのそれぞれのオン/オフ状態を検出することができる。
【0018】
例えば、各アドミッタンスYi=1/Riを、Yi=Y1×2i-1 のように定めておくと、
Ytotal =Y1+2Y1+・・・+2n-1 Y1
=Y1(1+2+・・・+2n-1
となる。これにより、何れの2i-1 項が0になっても、合成アドミッタンスYtotal は互いに異なる値になるので、状態検出部3は、スイッチの接点SW1,SW2,・・・SWnのそれぞれのオン/オフ状態を検出することができる。
【0019】
(実施の形態2)
図2は、本発明に係るスイッチ装置の実施の形態2の要部構成を示すブロック図である。
このスイッチ装置は、図3(a)に示すような複数の周波数f1,f2,・・・fnを含む信号を出力する信号出力部4が、スイッチの各接点SW1,SW2,・・・SWnの一方の各端子に接続されている。
【0020】
スイッチの各接点SW1,SW2,・・・SWnの他方の各端子は、それぞれ異なるフィルタ回路F1,F2,・・・Fnを通じて接地されている。スイッチの接点及びフィルタ回路の各直列回路SW1−F1,SW2−F2,・・・SWn−Fnは並列に接続されている。
フィルタ回路F1,F2,・・・Fnは、周波数f1,f2,・・・fnの何れか(複数も含む)を含む通過帯域をそれぞれ有している。
【0021】
信号出力部4は、フィルタ回路F1,F2,・・・Fnと同じ通過帯域をそれぞれ有する他のフィルタ回路FD1,FD2,・・・FDnにも接続されている。他のフィルタ回路FD1,FD2,・・・FDnは、それぞれの通過帯域を通過した信号のレベルが所定レベル以上であるか否かを判定する判定部を有している。それぞれの判定部は、通過した信号のレベルが所定レベル未満のときはオン信号を出力し、通過した信号のレベルが所定レベル以上のときはオフ信号を出力して状態検出部5に与える。
状態検出部5は、他のフィルタ回路FD1,FD2,・・・FDnから与えられたオン/オフ信号に基づき、スイッチの接点SW1,SW2,・・・SWnのそれぞれのオン/オフ状態を検出する。検出したオン/オフ状態は、スイッチで操作される機器の制御回路又は駆動回路に通知される。
【0022】
このような構成のスイッチ装置では、信号出力部4が、図3(a)に示すような複数の周波数f1,f2,・・・fnを含む信号を出力する。このとき、スイッチの接点SW1,SW2,・・・SWnの何れかがオン状態であると、そのオン状態である接点に直列接続されたフィルタ回路の通過帯域に含まれる周波数の信号は、接地端子へ通過する(抜ける)。その為、その周波数の信号は、減衰して所定レベル未満となる。
従って、減衰して所定レベル未満となった信号の周波数を通過帯域に含む他のフィルタ回路FD1,FD2,・・・FDnは、オン信号を出力し、状態検出部5に与える。状態検出部5は、与えられたオン信号に基づき、オン状態であるスイッチの接点を特定する。
【0023】
例えば、スイッチの接点SW2がオン状態であるとき、接点SW2に直列接続されたフィルタ回路F2の通過帯域に含まれる周波数f2の信号は、図3(b)に示すように、減衰して所定レベル未満となる。従って、周波数f2を通過帯域に含む他のフィルタ回路FD2は、オン信号を出力し、状態検出部3に与える。状態検出部5は、与えられたオン信号に基づき、スイッチの接点SW2がオン状態であることを検出する。
【0024】
また、同時的に、スイッチの接点SWnもオン状態であるとき、接点SWnに直列接続されたフィルタ回路Fnの通過帯域に含まれる周波数fnの信号も、減衰して所定レベル未満となる。従って、周波数fnを通過帯域に含む他のフィルタ回路FDnも、オン信号を出力し、状態検出部5に与える。状態検出部5は、与えられたオン信号に基づき、スイッチの接点SWnもオン状態であることを検出する。以上は、同時的に、スイッチの接点SW1,SW2,・・・SWn全てがオン状態であるときでも同様である。
【0025】
(実施の形態3)
図4は、本発明に係るスイッチ装置の実施の形態3の要部構成を示すブロック図である。
このスイッチ装置は、図6(a)(b)に示すように、一定強度(振幅)で周波数がf1からfnへ周期的に変化する掃引信号を出力する発振器(信号出力部)7を備えている。発振器7は、スイッチの各接点SW1,SW2,・・・SWnの一方の各端子に接続されている。尚、人が操作するスイッチの反応は0.1秒以内が好ましいので、掃引信号の周期も0.1秒以内とする。
【0026】
スイッチの各接点SW1,SW2,・・・SWnの他方の各端子は、それぞれ異なるフィルタ回路F1,F2,・・・Fnを通じて接地されている。スイッチの接点及びフィルタ回路の各直列回路SW1−F1,SW2−F2,・・・SWn−Fnは並列に接続されている。
フィルタ回路F1,F2,・・・Fnは、発振器7が出力する掃引信号の周波数の範囲f1〜fnに含まれる互いに異なる通過帯域をそれぞれ有している。これらの通過帯域は、掃引信号の周期内のそれぞれの位相(立上りからの時間)に対応している。従って、これらの位相とオン状態になったスイッチの各接点SW1,SW2,・・・SWnとはそれぞれ対応関係にある。
【0027】
発振器7の出力電圧は、電圧検出器6で検出され、検出された電圧値は状態検出部8に与えられる。状態検出部8は、また、発振器7が出力する掃引信号の立上りを示すタイミング信号が与えられると共に、上述した位相とスイッチの各接点との対応関係を記憶している。状態検出部8は、与えられた電圧値、タイミング信号及び上述した対応関係に基づき、スイッチの接点SW1,SW2,・・・SWnのそれぞれのオン/オフ状態を検出する。検出したオン/オフ状態は、スイッチで操作される機器の制御回路又は駆動回路に通知される。
【0028】
このような構成のスイッチ装置では、発振器7が、図6(a)(b)に示すような周波数f1〜fnの掃引信号を周期的に出力する。このとき、スイッチの接点SW1,SW2,・・・SWnの何れかがオン状態であると、掃引信号の内、そのオン状態である接点に直列接続されたフィルタ回路の通過帯域の信号は、接地端子へ通過する(抜ける)。その為、電圧検出器6が検出するその通過帯域の電圧値は減衰する。
状態検出部8は、減衰した通過帯域に対応する位相を検出することにより、その位相に対応するスイッチの接点をオン状態である接点として特定する。
【0029】
例えば、スイッチの接点SW2がオン状態であるとき、接点SW2に直列接続されたフィルタ回路F2の通過帯域(中心周波数f2とする)の信号は、図6(c)に示すように減衰する。状態検出部8は、減衰した通過帯域に対応する位相(中心位相tf2とする)を検出することにより、その位相に対応するスイッチの接点SW2をオン状態である接点として特定する。
【0030】
また、同時的に、スイッチの接点SWnもオン状態であるとき、接点SWnに直列接続されたフィルタ回路Fnの通過帯域に含まれる周波数fnの信号も、減衰する。状態検出部8は、減衰した通過帯域に対応する位相(中心位相tfnとする)を検出することにより、その位相に対応するスイッチの接点SWnもオン状態である接点として特定する。以上は、同時的に、スイッチの接点SW1,SW2,・・・SWn全てがオン状態であるときでも同様である。
【0031】
以下に、このようなスイッチ装置の一連の動作を、それを示す図5のフローチャートを参照しながら説明する。
状態検出部8は、先ず、発振器7から掃引信号の開始(立上り)を示すタイミング信号が与えられたか否かを判定し(S1)、タイミング信号が与えられると、計時を開始し(S3)、フラグFを1にする(S5)。次いで、電圧検出器6からの電圧値信号を読込み(S7)、電圧値信号が減衰したその立下りを検出したか否かを判定する(S9)。
【0032】
状態検出部8は、電圧値信号の立下りを検出したときは(S9)、そのときの計時時間を読込む(S11)。次いで、読込んだ計時時間に基づき、掃引信号の1周期が終了したか否かを判定し(S13)、掃引信号の1周期が終了していなければ、検出した立下りの位相(計時時間)に対応するスイッチの接点を特定する(S15)。次いで、その特定したスイッチの情報を出力した(S17)後、掃引信号の開始を示すタイミング信号が与えられたか否かを判定する(S1)。
【0033】
状態検出部8は、発振器7から掃引信号の開始を示すタイミング信号が与えられていなければ(S1)、フラグFが1であるか否かを判定する(S19)。フラグFが1でなければ、掃引信号が開始されていないので、再度、掃引信号の開始を示すタイミング信号が与えられたか否かを判定する(S1)。フラグFが1であれば、計時中であり、電圧検出器6からの電圧値信号を読込む(S7)。
【0034】
状態検出部8は、電圧値信号の立下りを検出しないときは(S9)、掃引信号の開始を示すタイミング信号が与えられたか否かを判定する(S1)。
状態検出部8は、掃引信号の1周期が終了していれば(S13)、計時をリセットし(S21)、フラグFを0にした(S23)後、掃引信号の開始を示すタイミング信号が与えられたか否かを判定する(S1)。
【0035】
(実施の形態4)
図7は、本発明に係るスイッチ装置の実施の形態4の信号出力部が出力する信号の特性を示す説明図である。
このスイッチ装置の信号出力部が出力する信号は、図7(a)(b)に示すように、所定周期内に時分割的に配列され、それぞれ異なる周波数f1,f2,・・・fnを有する信号群である。各信号は、それぞれの周波数f1,f2,・・・fnを有する搬送波が、一定強度(振幅)の矩形パルス信号に変調されて形成されている。
【0036】
このスイッチ装置の構成を示すブロック図は、実施の形態3で説明した図4のブロック図と同様であり、発振器(信号出力部)7は、上述した信号群(矩形パルス信号群)を出力する。
発振器7は、スイッチの各接点SW1,SW2,・・・SWnの一方の各端子に接続されている。尚、人が操作するスイッチの反応は0.1秒以内が好ましいので、矩形パルス信号群の周期も0.1秒以内とする。
【0037】
フィルタ回路F1,F2,・・・Fnは、発振器7が出力する矩形パルス信号群の搬送波の周波数f1,f2,・・・fnをそれぞれ1つ含む互いに異なる通過帯域をそれぞれ有している。これらの通過帯域は、矩形パルス信号群の周期内の各矩形パルス信号の順序に対応している。従って、各矩形パルス信号の順序とオン状態になったスイッチの各接点SW1,SW2,・・・SWnとはそれぞれ対応関係にある。
【0038】
発振器7の出力電圧は、電圧検出器6で検出され、検出された電圧値は状態検出部8に与えられる。状態検出部8は、また、発振器7が出力する矩形パルス信号群の立上りを示すタイミング信号が与えられると共に、上述した矩形パルス信号の順序とスイッチの各接点との対応関係を記憶している。状態検出部8は、与えられた電圧値、タイミング信号及び上述した対応関係に基づき、スイッチの接点SW1,SW2,・・・SWnのそれぞれのオン/オフ状態を検出する。検出したオン/オフ状態は、スイッチで操作される機器の制御回路又は駆動回路に通知される。
【0039】
このような構成のスイッチ装置では、発振器7が、図7(a)(b)に示すような周波数f1,f2,・・・fnをそれぞれ搬送波とする矩形パルス信号群を周期的に出力する。このとき、スイッチの接点SW1,SW2,・・・SWnの何れかがオン状態であると、矩形パルス信号群の内、そのオン状態である接点に直列接続されたフィルタ回路の通過帯域に、搬送波の周波数が含まれる矩形パルス信号は、接地端子へ通過する(抜ける)。その為、電圧検出器6が検出するその矩形パルス信号の電圧値は減衰する。
状態検出部8は、減衰した矩形パルス信号の順序(又はその位相)を特定することにより、その矩形パルス信号の順序に対応するスイッチの接点をオン状態の接点として特定する。
【0040】
例えば、スイッチの接点SW2がオン状態であるとき、接点SW2に直列接続されたフィルタ回路F2の通過帯域に、搬送波の周波数f2が含まれる矩形パルス信号は、図7(c)に示すように減衰する。状態検出部8は、減衰した矩形パルス信号の順序(又はその位相tf2)を特定することにより、その順序に対応するスイッチの接点SW2をオン状態の接点として特定する。
【0041】
また、同時的に、スイッチの接点SWnもオン状態であるとき、接点SWnに直列接続されたフィルタ回路Fnの通過帯域に、搬送波の周波数fnが含まれる矩形パルス信号は減衰する。状態検出部8は、減衰した矩形パルス信号の順序(又はその位相tfn)を特定することにより、その順序に対応するスイッチの接点SWnもオン状態の接点として特定する。以上は、同時的に、スイッチの接点SW1,SW2,・・・SWn全てがオン状態であるときでも同様である。
以上により、このスイッチ装置では、周波数信号を使用しながら、複雑な周波数解析回路を必要とせず、装置の簡素化と共に検出精度の向上を図ることができる。
【0042】
以下に、このようなスイッチ装置の一連の動作を、それを示す図8のフローチャートを参照しながら説明する。
状態検出部8は、先ず、発振器7から信号群(矩形パルス信号群)の1周期の開始を示すタイミング信号が与えられたか否かを判定し(S31)、タイミング信号が与えられると、カウント数Cを0にする(S33)。次いで、電圧検出器6からの電圧値信号を読込み(S35)、読込んだ電圧値信号に基づき、矩形のパルス信号を検出したか否かを判定する(S37)。パルス信号を検出していなければ、検出する迄、電圧検出器6からの電圧値信号を読込む(S35)。
【0043】
状態検出部8は、矩形のパルス信号を検出したときは(S37)、カウント数Cに1を加算する(S39)。次いで、その検出したパルス信号の電圧値(振幅、強度)が所定電圧値V1より低いか否かを判定する(S41)。パルス信号の電圧値が所定電圧値V1より低ければ、そのパルス信号の順序であるカウント数Cに対応するスイッチの接点を特定する(S45)。次いで、その特定したスイッチの情報を出力した(S47)後、カウント数Cが、信号群に含まれる矩形パルス信号数C1以上であるか否かを判定する(S43)。
【0044】
状態検出部8は、検出したパルス信号の電圧値が所定電圧値V1より低くなければ(S41)、カウント数Cが、信号群に含まれる矩形パルス信号数C1以上であるか否かを判定する(S43)。カウント数Cが矩形パルス信号数C1以上でなければ、電圧検出器6からの電圧値信号を読込み(S35)、読込んだ電圧値信号に基づき、矩形のパルス信号を検出したか否かを判定する(S37)。
状態検出部8は、カウント数Cが矩形パルス信号数C1以上であれば(S43)、信号群の1周期の開始を示すタイミング信号が与えられたか否かを判定する(S31)。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るスイッチ装置の実施の形態の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るスイッチ装置の実施の形態の要部構成を示すブロック図である。
【図3】信号出力部が出力する信号を説明する為の説明図である。
【図4】本発明に係るスイッチ装置の実施の形態の要部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明に係るスイッチ装置の実施の形態の一連の動作を示すフローチャートである。
【図6】発振器が出力する信号を説明する為の説明図である。
【図7】発振器が出力する信号を説明する為の説明図である。
【図8】本発明に係るスイッチ装置の実施の形態の一連の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 電流検出器(信号検出部)
2,4 信号出力部
3,5,8 状態検出部
6 電圧検出器
7 発振器(信号出力部)
F1,F2,・・・Fn,FD1,FD2,・・・FDn フィルタ回路
SW1,SW2,・・・SWn スイッチの接点
Y1,Y2,・・・Yn アドミッタンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチの各接点に信号を与えて、該スイッチのそれぞれのオン/オフ状態を検出するスイッチ装置において、
前記各接点は並列に接続されており、該各接点に同一の信号を与える信号出力部と、前記各接点及び固定電位部間に接続された互いに異なるインピーダンス回路と、前記信号出力部が与えた信号を検出する信号検出部と、該信号検出部が検出した信号に基づき、スイッチのそれぞれのオン/オフ状態を検出する状態検出部とを備えることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記信号出力部が出力する信号は、複数の周波数を含む信号であり、前記インピーダンス回路は、前記周波数の何れかを含む通過帯域を有するフィルタであり、前記状態検出部は、前記通過帯域をそれぞれ有する他のフィルタを備え、該フィルタがそれぞれ通過させた前記周波数を有する信号の振幅と前記通過帯域とに基づき、前記オン/オフ状態を検出するように構成してある請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記信号出力部が出力する信号は、所定周期で周波数が掃引される掃引信号であり、前記インピーダンス回路は、該掃引信号の周波数範囲に含まれ、互いに異なる通過帯域を有するフィルタであり、前記状態検出部は、前記所定周期内における位相毎の掃引信号の振幅と前記通過帯域とに基づき、前記オン/オフ状態を検出するように構成してある請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記信号出力部が出力する信号は、所定周期内に時分割的に配列され、それぞれ異なる周波数を有する信号群であり、前記インピーダンス回路は、互いに異なる前記周波数を含む通過帯域を有するフィルタであり、前記状態検出部は、前記所定周期内における前記信号群の強弱関係に基づき、前記オン/オフ状態を検出するように構成してある請求項1記載のスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−21865(P2010−21865A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181643(P2008−181643)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】