説明

スクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法

【課題】基板の大小に応じたスキージサイズの変更作業の作業性を向上させることができるようにしたスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【解決手段】スキージ32を保持するスキージホルダ31に取り付けた一対の漏れ防止部材33をスキージ32とともにマスク5上を摺動させることによってマスク5上でローリング中のペーストPsがスキージ32の両側方に漏れ出ることを防止するにおいて、一対の漏れ防止部材33を、スキージホルダ31に保持させたスキージ32の幅方向寸法に応じた間隔でスキージホルダ31に取り付けるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の上面に接触させたマスクに対してスキージを摺動させ、マスク上に供給されたペーストをスキージによりマスク上でローリングさせることによって基板にペーストを転写させて印刷するスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷機は、基板上に設けられた複数の電極のそれぞれに半田ペーストや導電性ペースト等のペーストを転写させて印刷する装置であり、基板の電極配置に応じて形成された開口部を有したマスクを開口部と電極とが合致するようにして基板の上面に接触させ、マスク上にペーストを供給したうえで、箆状のスキージをマスク上で摺動させる。これによりペーストはマスクとスキージの間で回転(ローリング)させられながらマスク上を移動してマスクの開口部に充填されて基板上の電極にペーストが転写され、その後マスクを基板から離間させて版離れさせると、電極上にペーストが残って電極にペーストが印刷された状態となる。
【0003】
このようなスクリーン印刷機の中には、マスク上でローリングされるペーストが効率的にマスクの開口部内に充填されるようにするため、スキージを保持するスキージホルダに取り付けた一対の漏れ防止部材をスキージとともにマスク上を摺動させることによってマスク上でローリング中のペーストがスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に漏れ出ることを防止するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−34638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、スクリーン印刷機では、スクリーン印刷の対象となる基板の大小に応じてサイズ(幅方向寸法)が異なるスキージを備えた複数種のスキージホルダが用意されており、スキージをスキージホルダごと交換することによってスキージの幅方向寸法(スキージサイズ)の変更を行うことができるようになっている。しかしながら、スキージホルダごと行うスキージの交換作業はスキージホルダが重量物であるうえ、スキージホルダを移動させるスキージホルダからの着脱作業が行いにくいため、作業性がよくないという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、基板の大小に応じたスキージサイズの変更作業の作業性を向上させることができるようにしたスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のスクリーン印刷機は、基板の上面に接触されるマスクと、基板の上面に接触されたマスクに対して摺動し、マスク上に供給されたペーストをマスク上でローリングさせることによって基板にペーストを転写させるスキージとを備えたスクリーン印刷機であって、スキージを保持するスキージホルダに取り付けられ、スキージとともにマスク上を摺動してマスク上でローリング中のペーストがスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に漏れ出ることを防止する一対の漏れ防止部材を有し、一対の漏れ防止部材は、スキージホルダに保持させたスキージの幅方向寸法に応じた間隔でスキージホルダに取り付けることができるようになっている。
【0008】
請求項2に記載のスクリーン印刷機は、請求項1に記載のスクリーン印刷機であって、スキージは、基板の幅方向寸法に合致する幅方向寸法を有するものがスキージホルダに取り付けられる。
【0009】
請求項3に記載のスクリーン印刷方法は、マスクを基板の上面に接触させる工程と、基板の上面に接触されたマスクに対してスキージを摺動させ、マスク上に供給されたペーストをスキージによりマスク上でローリングさせることによって基板にペーストを転写させる工程とを含み、スキージを保持するスキージホルダに取り付けた一対の漏れ防止部材をスキージとともにマスク上を摺動させることによってマスク上でローリング中のペーストがスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に漏れ出ることを防止するようにしたスクリーン印刷方法であって、一対の漏れ防止部材を、スキージホルダに保持させたスキージの幅方向寸法に応じた間隔でスキージホルダに取り付けるようにした。
【0010】
請求項4に記載のスクリーン印刷方法は、請求項3に記載のスクリーン印刷方法であって、スキージは、基板の幅方向寸法に合致する幅方向寸法を有するものがスキージホルダに取り付ける。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、マスク上でローリング中のペーストがスキージの両側方に漏れ出ることを防止する一対の漏れ防止部材を、スキージホルダに保持させたスキージの幅方向寸法に応じた間隔でスキージホルダに取り付けるようになっており、スキージサイズの変更は、適切な幅方向寸法を有するスキージをスキージホルダに保持させる作業と、一対の漏れ防止部材をスキージの幅方向寸法に応じた間隔に調整する作業を行うのみでよく、スキージをスキージホルダごと交換する作業は不要であるので、基板の大小に応じたスキージサイズの変更作業の作業性を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の概略構成図
【図2】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の正面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の平面図
【図5】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスキージユニットの斜視図
【図6】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスキージユニットの部分拡大側面図
【図7】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスキージユニットの分解斜視図
【図8】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスキージユニットの部分拡大分解側面図
【図9】(a)(b)(c)(d)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるスキージユニットの背面図
【図10】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機によるスクリーン印刷方法の実行手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1、図2及び図3に示すスクリーン印刷機1は、基板2の搬入、搬入した基板2上に設けられた複数の電極2a(図4)へのペーストPsの印刷及びペーストPsを印刷した基板2の搬出から成る一連の工程を繰り返し実行する装置であり、基台3上に設けられて基板2の搬送、位置決め、保持及び移動を行う基板保持移動ユニット4、基板保持移動ユニット4の上方に設けられたマスク5、マスク5の下方を水平面内方向に移動自在に設けられたカメラユニット6、マスク5の上方に設けられたスキージング機構7及びスクリーン印刷機1全体の作動制御を行う制御装置8を備えている。以下の説明では便宜上、スクリーン印刷機1において基板2を搬送する水平面内方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向、上下方向をZ軸とする。更に、Y軸方向をスクリーン印刷機1の前後方向、X軸方向をスクリーン印刷機1の横(左右)方向とし、前後方向のうち、スクリーン印刷機1に対してオペレータ(図示せず)が作業を行う側(図1及び図2の紙面右側)をスクリーン印刷機1の前方、その反対側(図1及び図2の紙面左側)を後方とする。
【0014】
図2及び図3において、基板保持移動ユニット4は、基台3上に3段積みにされたYテーブル11、Xテーブル12及びθテーブル13によって水平面内方向及び上下方向への3軸方向移動が可能なベース部14を備えており、ベース部14の上面のY軸方向の両端部には一対の支柱15が設けられている。一対の支柱15にはX軸方向に延びた一対の搬送コンベア16とY軸方向に開閉自在な一対のクランプ部材17(図4も参照)が設けられており、ベース部14の中央部には下受け部材18が昇降自在に設けられている。
【0015】
基板保持移動ユニット4は、上流工程側から供給された基板2を一対の搬送コンベア16によって受け取って搬入し、搬送コンベア16上の所定の位置に位置決めしたうえで基板2のY軸方向の両端部を一対のクランプ部材17によってクランプして保持するとともに、上昇させた下受け部材18によって基板2の下面を下受け(支持)する。この搬送コンベア16による基板2の搬入及び位置決め動作、一対のクランプ部材17による基板2のクランプ動作及び下受け部材18による基板2の下受け動作は、制御装置8が図示しない基板保持移動ユニット作動機構19(図1)の作動制御を行うことによってなされる。
【0016】
図2、図3及び図4において、マスク5は平面視において矩形の枠状部材から成るマスク枠5Wによって四辺が支持されており、マスク枠5Wによって囲まれた矩形の領域内には、基板保持移動ユニット4によって保持された基板2、すなわちスクリーン印刷の対象となっている基板2上の電極2aの配置に対応した配置で形成された複数の開口部5a(図4)が設けられている。
【0017】
図2及び図3において、カメラユニット6は撮像視野を下方に向けた第1カメラ6aと撮像視野を上方に向けた第2カメラ6bを備えている。図4に示すように、基板2の対角位置には2つ一組の基板側マーク2mが設けられており(図4には一方の基板側マーク2mのみが図示されている)、第1カメラ6aはこれら基板側マーク2mを基板2の上方から撮像する。一方、マスク5には基板側マーク2mに対応して配置された2つ一組のマスク側マーク5mが設けられており(図4には一方のマスク側マーク5mのみが図示されている)、第2カメラ6bはこれらマスク側マーク5mをマスク5の下方から撮像する。
【0018】
カメラユニット6の水平面内での移動動作は制御装置8が図示しないアクチュエータ等から成るカメラ移動機構20(図1)の作動制御を行うことによってなされる。また、第1カメラ6a及び第2カメラ6bによる撮像動作は制御装置8によって制御され、第1カメラ6a及び第2カメラ6bの撮像動作によって得られた画像データは制御装置8に送信される(図1)。
【0019】
基板保持移動ユニット4によって基板2が保持されると、制御装置8によって制御されたカメラユニット6は基板2とマスク5の間の領域に入り込み、第1カメラ6aによる基板側マーク2mの撮像と、第2カメラ6bによるマスク側マーク5mの撮像を実行する。制御装置8は、第1カメラ6aの撮像動作によって得られた基板側マーク2mの画像と第2カメラ6bの撮像動作によって得られたマスク側マーク5mの画像に基づいて基板2とマスク5の位置関係を算出し、基板側マーク2mがマスク側マーク5mの直下に位置するように(すなわち、基板側マーク2mとマスク側マーク5mとが平面視において一致するように。図4参照)基板保持移動ユニット4を移動させてマスク5に対する基板2の位置合わせを行った後、保持した基板2を上昇させることによって、基板2の電極2aとマスク5の開口部5aとが合致するようにして基板2をマスク5に接触させる。
【0020】
図2及び図3において、スキージング機構7はY軸方向に移動自在に設けられたスキージベース21と、スキージベース21の上面側に取り付けられた一対のスキージ昇降シリンダ22と、これら一対のスキージ昇降シリンダ22によってスキージベース21の下方で互いに独立して昇降される一対のスキージユニット23と、スキージベース21を(したがってスキージユニット23を)Y軸方向に往復移動させる図示しないアクチュエータ等から成るスキージユニット移動機構24(図1)から成る。
【0021】
図2、図3、図5及び図6において、スキージユニット23は、スキージ昇降シリンダ22のロッド22aの下端に取り付けられてX軸方向に延びたスキージホルダ31と、X軸方向に延びた平板状の部材から成り、上部がスキージホルダ31に保持されて下部がスキージホルダ31の斜め下方に延出した箆状のスキージ32と、スキージホルダ31に取り付けられてスキージ32の両端をその幅方向から挟む位置に設けられた一対の漏れ防止部材33とを備えて成り、スキージ昇降シリンダ22のロッド22aの下方への突没動作によるスキージユニット23の昇降動作とスキージユニット移動機構24によるスキージベース21の(すなわちスキージユニット23の)Y軸方向への移動動作の各制御は制御装置8によってなされる。
【0022】
基板2の上面に接触したマスク5の上面にスキージ32が上方から当接された状態でスキージユニット23をY軸方向に移動させるスキージングが行われると(図6中に示す矢印A。図1参照)、マスク5上に供給されたペーストPsがスキージ32によってローリング(回転)され(図6中に示す矢印B)、マスク5の開口部5aにペーストPsが充填されて基板2上の電極2aにペーストPsが転写される。この電極2aへのペーストPsの転写の後、制御装置8が保持した基板2を下降させてマスク5から基板2を離間させる版離れを実行すると、基板2の電極2aにペーストPsが残留して基板2にペーストPsが印刷された状態となる。
【0023】
このようにスキージ32は、スクリーン印刷機1において、基板2の上面に接触されたマスク5に対して摺動し、マスク5上に供給されたペーストPsをマスク5上でローリングさせることによって基板2にペーストPsを転写させるものとなっている。
【0024】
ここで、上記のスキージングにおいて、マスク5上でローリングしているペーストPsはスキージ32によって押圧されてスキージ32の中央から幅方向に沿ってスキージ32の両側方に漏れ出よう(流出しよう)とするが、スキージホルダ31にはスキージ32の両端をその幅方向から挟む位置に一対の漏れ防止部材33が取り付けられており、これら一対の漏れ防止部材33がスキージ32とともにマスク5上を摺動することから、マスク5上でローリングしているペーストPsがスキージ32の両側方に漏れ出ることが防止され、ペーストPsは効率的にマスク5の開口部5a内に充填される。
【0025】
このように本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、基板2の上面に接触されるマスク5と、基板2の上面に接触されたマスク5に対して摺動し、マスク5上に供給されたペーストPsをマスク5上でローリングさせることによって基板2にペーストPsを転写させるスキージ32と、スキージ32を保持するスキージホルダ31に取り付けられ、スキージ32とともにマスク5上を摺動してマスク5上でローリング中のペーストPsがスキージ32の中央から幅方向に沿ってスキージ32の両側方に漏れ出ることを防止する一対の漏れ防止部材33を備えたものとなっている。
【0026】
ここで、一対の漏れ防止部材33は、スキージホルダ31に保持させたスキージ32の幅方向寸法W(図5)に応じた間隔でスキージホルダ31に取り付けることができるようになっており、以下にその構成の説明を行う。
【0027】
図5、図6、図7及び図8において、漏れ防止部材33は、Z軸方向(垂直方向)に延びた垂直部33a及び垂直部33aの下端からY軸方向(水平方向)に延びた水平部33bを有して全体としてL字状に形成されており、垂直部33aの上端からは漏れ防止部材33をスキージホルダ31の背面(2つのスキージユニット23と向かい合う正面側とは反対側の面)に取り付けるための取り付け部33cがX軸方向に延びて設けられている。
【0028】
図5、図6、図7及び図8において、スキージホルダ31は、スキージ昇降シリンダ22のロッド22aに取り付けられたホルダ本体31aと、ホルダ本体31aに着脱されるスキージ押さえ部材31bから成り、スキージ押さえ部材31bは固定螺子31cによってホルダ本体31aに着脱自在に固定することができるようになっている。スキージ32はその上部がホルダ本体31aとスキージ押さえ部材31bによって挟まれた状態でスキージホルダ31に取り付けられ、スキージホルダ31に取り付けられた状態ではスキージホルダ31の正面側の上方から背面側の下方にかけて斜めに延びた状態となる。
【0029】
図6、図7及び図8において、スキージホルダ31の内部にはスキージホルダ31の背面側に開口する空洞部31dが設けられており、そのスキージホルダ31の空洞部31dをスキージホルダ31の背面側から塞ぐ位置には、スキージ32の幅方向(X軸方向)に延びる貫通溝から成る上下2つのスライド溝41aを有した漏れ防止部材取り付けプレート41が複数のプレート取り付け螺子42によって着脱自在に取り付けられている。
【0030】
各漏れ防止部材33は、漏れ防止部材取り付けプレート41に設けられた2つのスライド溝41aに、スキージホルダ31の空洞部31d側から差し込まれた2つの固定ボルト43及び各固定ボルト43に螺合される2つのナット44によって漏れ防止部材取り付けプレート41に着脱自在に取り付けられている。このため各漏れ防止部材33は、各固定ボルト43に対してナット44を緩めた後、2つの固定ボルト43が2つのスライド溝41a内をスライドするようにしてスキージホルダ31の幅方向(X軸方向)に移動させてから再び各固定ボルト43に対してナット44を締め付けることによって、スキージホルダ31に対する取り付け位置を変更することができ、これにより、一対の漏れ防止部材33を、スキージホルダ31に保持させたスキージ32の幅方向寸法Wに応じた間隔でスキージホルダ31に取り付けることができる。
【0031】
オペレータは、これからスクリーン印刷を行おうとする基板2の幅方向寸法(基板保持移動ユニット4によって保持された状態の基板2のX軸方向寸法であり、図4参照。以下、基板サイズとも称する)Sがこれまでスクリーン印刷を行っていた基板2の基板サイズSと異なる場合、或いは新規にスクリーン印刷を開始する場合には、これからスクリーン印刷を行おうとする基板2の基板サイズSに合致した幅方向寸法(以下、スキージサイズとも称する)Wを有するスキージ32をスキージホルダ31に保持させる(取り付ける)スキージ保持作業を行う。
【0032】
このスキージ保持作業では、オペレータは、先ず、前述の固定螺子31cを緩めてホルダ本体31aからスキージ32を取り外した後(図9(a)→図9(b))、これからスクリーン印刷を行おうとする基板2の基板サイズSに合致した幅方向寸法Wを有するスキージ32をスキージホルダ31に取り付けたうえで、再度固定螺子31cを締め付ける。これにより、これからスクリーン印刷を行おうとする基板2の基板サイズSに合致した幅方向寸法Wを有するスキージ32がスキージホルダ31に取り付けられた状態となり(図9(c))、スキージ保持作業が終了す。
【0033】
なお、このように、基板2の幅方向寸法(基板サイズ)Sに合致する幅方向寸法Wを有するスキージ32をスキージホルダ31に取り付けるようにするのは、基板2の幅方向寸法Sよりも大きい幅方向寸法Wを有するスキージ32を用いると、スキージングの実行時に、基板2の幅方向寸法Sを超えたマスク5上の領域にスキージ32の押圧力が作用してしまい、マスク5に過大な負荷が作用して、マスク5が破損に至るおそれがあるからである。
【0034】
オペレータは、上記のスキージ保持作業が終了したら、次いで、一対の漏れ防止部材33をスキージホルダ31に保持させたスキージ32の幅方向寸法Wに応じた間隔でスキージホルダ31に取り付ける漏れ防止部材間隔調整作業を行う。
【0035】
漏れ防止部材間隔調整作業では、オペレータは、各漏れ防止部材33における2つのナット44をそれぞれ固定ボルト43に対して緩めたうえで、各漏れ防止部材33の固定ボルト43を2つのスライド溝41a内でスライドさせるようにして各漏れ防止部材33を漏れ防止部材取り付けプレート41に対して(すなわちスキージホルダ31に対して)移動させ、一対の漏れ防止部材33がスキージ32の両端をその幅方向から挟む位置に位置し、2つの漏れ防止部材33の間隔がスキージホルダ31に保持させたスキージ32の幅方向寸法Wに応じた間隔に一致したところで、緩めたナット44を締め付けて2つの漏れ防止部材33を漏れ防止部材取り付けプレート41に(すなわちスキージホルダ31に)固定する。これにより、一対の漏れ防止部材33がスキージホルダ31に保持させたスキージ32の幅方向寸法Wに応じた間隔でスキージホルダ31に取り付けられた状態となり(図9(d))、漏れ防止部材間隔調整作業が終了する。
【0036】
次に、図10を参照して本実施の形態におけるスクリーン印刷機1によるスクリーン印刷方法を説明する。スクリーン印刷機1によるスクリーン印刷方法では、制御装置8は先ず、これからスクリーン印刷を行おうとする基板2の幅方向寸法(基板サイズ)Sをスクリーン印刷の実行手順が記録された実行プログラムから読み取る(図10に示すステップST1)。そして、読み取った基板サイズSが前回スクリーン印刷を行った基板サイズSと異なるか否かの判断を行い(図10に示すステップST2)、その結果、読み取った基板サイズSが前回スクリーン印刷を行った基板サイズSと異なる場合(新規にスクリーン印刷を開始する場合を含む)には、制御装置8は、これからスクリーン印刷を行おうとする基板サイズSとともに、スキージ32の交換を促すメッセージを制御装置8に繋がるタッチパネル等の入出力装置50(図1)に出力したうえで(図10に示すステップST3)、オペレータによる操作入力待ちの状態に入る(図10に示すステップST4)。ここで、オペレータは、入出力装置50に出力された基板サイズSを確認したら、前述の手順によって、現在、スキージホルダ31に取り付けられているスキージ32を取り外し、入出力装置50に出力された、これからスクリーン印刷を行おうとする基板サイズSに合致した幅方向寸法Wを有するスキージ32をスキージホルダ31に保持させるスキージ保持作業を実行するとともに、一対の漏れ防止部材33の間隔がスキージホルダ31に取り付けたスキージ32の間隔に合致するように漏れ防止部材33の間隔調整を行う漏れ防止部材間隔調整作業を実行したうえで、入出力装置50から所定の操作入力を行う。
【0037】
制御装置8は、オペレータによる上記所定の操作の入力があったことを検知した場合、或いは、前述のステップST2において、実行プログラムから読み取った基板サイズSが前回スクリーン印刷を行った基板サイズSと同じであったことを検知した場合には、スクリーン印刷機1の上流工程側の装置から送られてきた基板2を搬送コンベア16によって搬入して作業位置に位置決めし、一対のクランプ部材17によって基板2の両側部を挟んでクランプするとともに、下受け部材18を上昇させて基板2の下面に接触させ、基板2を保持する(図10に示すステップST5)。
【0038】
制御装置8は、ステップST5において基板2を保持したら、カメラ移動機構20の作動制御を行って、カメラユニット6を基板保持移動ユニット4に保持されている基板2とマスク5の間の領域に進出させたうえで、第1カメラ6aによって基板側マーク2mを上方から撮像するとともに、第2カメラ6bによってマスク側マーク5mを上方から撮像する。そして、得られた両画像に基づいて、基板側マーク2mがマスク側マーク5mの直下に位置するように基板保持移動ユニット4を移動させてマスク5に対する基板2の位置合わせを行う(図10に示すステップST6)。
【0039】
制御装置8は、ステップST6においてマスク5に対する基板2の位置合わせを行ったら、基板保持移動ユニット4の作動制御を行ってベース部14を上昇させて、基板2の上面をマスク5の下面に接触させる。(図10に示すステップST7)。
【0040】
制御装置8は、ステップST7において基板2の上面をマスク5の下面に接触させたら、オペレータによる操作入力待ちの状態に入る(図10に示すステップST8)。ここで、オペレータは、マスク5上のペーストPsの量の確認を行い、ペーストPsをマスク5上に供給(追加)する必要がないと判断したときには入出力装置50から所定の操作入力を行い、ペーストPsをマスク5上に供給する必要があると判断したときには、別途用意したペースト供給装置によってマスク5上にペーストPsの供給を行ったうえで、入出力装置50から所定の操作入力を行う。
【0041】
制御装置8は、オペレータによる上記所定の操作の入力があったことを検知したら、制御装置8は前述したスキージング機構7によるペーストPsのスキージングを行い、スキージ32によってマスク5上のペーストPsをローリングすることによって基板2にペーストPsを転写させる(図10に示すステップST9)。
【0042】
ステップST9では、スキージベース21をスクリーン印刷機1の前方から後方に(図1及び図2では紙面の右方から左方に)移動させるときには前方に位置するスキージ32をマスク5上に当接させてスキージングを行い、スキージベース21をスクリーン印刷機1の後方から前方に(図1及び図2では紙面の左方から右方に)移動させるときには後方に位置するスキージ32をマスク5上に当接させてスキージングを行う。
【0043】
制御装置8はステップST9のスキージングが終了したら、ベース部14を下降させて基板2をマスク5から離間させる。これにより版離れが行われ、基板2上の電極2aにペーストPsが印刷された状態となる(図10に示すステップST10)。
【0044】
制御装置8はステップST10の版離れが終了したら、クランプ部材17による基板2のクランプを解除したうえで下受け部材18を下降させることによって基板2の保持を解除する(図10に示すステップST11)。そして、搬送コンベア16を作動させて、スクリーン印刷機1の下流工程側の装置(例えば基板2に部品を装着する部品装着機)に搬出する(図10に示すステップST12)。
【0045】
制御装置8は、基板2を搬出したら、次いで、スクリーン印刷を実行すべき全ての基板2についてのスクリーン印刷が終了したか否かの判断を行い(図10に示すステップST13)、その結果、スクリーン印刷を実行すべき全ての基板2についてのスクリーン印刷が終了していなかった場合には、ステップST1に戻ってこれから(次に)スクリーン印刷を行おうとする基板サイズの読み取りを行う。一方、ステップST13で、スクリーン印刷を実行すべき全ての基板2についてのスクリーン印刷が終了していた場合には、一連のスクリーン印刷作業を終了する。
【0046】
このように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1及びスクリーン印刷方法では、マスク5上でローリング中のペーストPsがスキージ32の両側方に漏れ出ることを防止する一対の漏れ防止部材33を、スキージホルダ31に保持させたスキージ32の幅方向寸法Wに応じた間隔でスキージホルダ31に取り付けるようになっており、スキージサイズの変更は、適切な幅方向寸法Wを有するスキージ32をスキージホルダ31に保持させる前述のスキージ保持作業と、一対の漏れ防止部材33をスキージ32の幅方向寸法Wに応じた間隔に調整する前述の漏れ防止部材間隔調整作業を行うのみでよく、スキージ32をスキージホルダ31ごと交換する作業は不要であるので、基板2の大小に応じたスキージサイズの変更作業の作業性を飛躍的に向上させることができる。
【0047】
また、スキージ32は、基板2の幅方向寸法Sに合致する幅方向寸法Wを有するものがスキージホルダ31に取り付けられるので、スクリーン印刷の実行時に、基板2の幅方向寸法Sを超えたマスク5上の領域にスキージ32の押圧力が作用することがなく、マスク5に過大な負荷が作用して破損に至る事態を未然に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
基板の大小に応じたスキージサイズの変更作業の作業性を向上させることができるようにしたスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供する。
【符号の説明】
【0049】
1 スクリーン印刷機
2 基板
5 マスク
31 スキージホルダ
32 スキージ
33 漏れ防止部材
W スキージの幅方向寸法
S 基板の幅方向寸法
Ps ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面に接触されるマスクと、基板の上面に接触されたマスクに対して摺動し、マスク上に供給されたペーストをマスク上でローリングさせることによって基板にペーストを転写させるスキージとを備えたスクリーン印刷機であって、
スキージを保持するスキージホルダに取り付けられ、スキージとともにマスク上を摺動してマスク上でローリング中のペーストがスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に漏れ出ることを防止する一対の漏れ防止部材を有し、
一対の漏れ防止部材は、スキージホルダに保持させたスキージの幅方向寸法に応じた間隔でスキージホルダに取り付けることができるようになっていることを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
スキージは、基板の幅方向寸法に合致する幅方向寸法を有するものがスキージホルダに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷機。
【請求項3】
マスクを基板の上面に接触させる工程と、基板の上面に接触されたマスクに対してスキージを摺動させ、マスク上に供給されたペーストをスキージによりマスク上でローリングさせることによって基板にペーストを転写させる工程とを含み、スキージを保持するスキージホルダに取り付けた一対の漏れ防止部材をスキージとともにマスク上を摺動させることによってマスク上でローリング中のペーストがスキージの中央から幅方向に沿ってスキージの両側方に漏れ出ることを防止するようにしたスクリーン印刷方法であって、
一対の漏れ防止部材を、スキージホルダに保持させたスキージの幅方向寸法に応じた間隔でスキージホルダに取り付けるようにしたことを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項4】
スキージは、基板の幅方向寸法に合致する幅方向寸法を有するものがスキージホルダに取り付けることを特徴とする請求項3に記載のスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−206445(P2012−206445A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75029(P2011−75029)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】