説明

スクリーン印刷機

【課題】改善されたスクリーン印刷機を提供する。
【解決手段】マスク支持装置本体60の四隅に設けた送りねじ136をベッド128のナット138に螺合し、中央部に突設した中空のガイドロッド126をベッド128のガイドスリーブ130に摺動可能に嵌合する。基板保持装置14の基板支持装置150の本体300の四隅に設けた送りねじ376を、クランプ装置本体154,本体60の各ナット378,344に螺合し、本体300の中央部に突設したガイドロッド366を、本体154のガイドスリーブ368を通ってガイドロッド126に摺動可能に嵌合する。ナット138の回転によりマスク支持装置16が昇降し、ナット344の回転により基板保持装置14がマスク支持装置16に対して昇降し、送りねじ376の回転により基板支持装置150がサイドクランプ装置152に対して昇降し、基板32の支持,クランプ,マスクへの接触等が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板にクリーム状はんだ等の被印刷剤を印刷するスクリーン印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1に記載のスクリーン印刷機は、回路基板を水平に保持する基板保持装置,マスクを下方から支持するマスク支持装置,基板保持装置昇降装置およびマスク支持装置昇降装置を含む。基板保持装置は、回路基板の下面を支持する基板支持装置,回路基板をクランプする基板クランプ装置および基板支持装置昇降装置を含む。マスク支持装置昇降装置は、マスク支持装置本体の中央部から外れた箇所に固定されたナットと、スクリーン印刷機本体に鉛直軸線まわりに回転可能に設けられてナットと螺合された送りねじと、送りねじを回転させる電動モータとを含み、マスク支持装置を、マスク支持装置本体の側面に設けられた係合ブロックとスクリーン印刷機本体に設けられたガイドとの嵌合により案内させつつ昇降させる。基板保持装置昇降装置は、基板クランプ装置本体の中央部から外れた箇所に設けられた複数のカムフォロワと、マスク支持装置本体に水平方向に移動可能に設けられた複数のカムと、それらカムを移動させるカム駆動装置とを含む。カム駆動装置は、マスク支持装置本体に水平軸線まわりに回転可能に設けられた送りねじと、カムに設けられて送りねじと螺合されたナットと、送りねじを回転させる電動モータとを含み、カムの移動により、水平面に対して傾斜させられたカム面の斜面の作用により基板保持装置が昇降させられる。基板支持装置昇降装置は、基板クランプ装置本体の中央部に鉛直軸線まわりに回転可能に設けられた送りねじと、基板支持装置本体の中央部に固定され、送りねじと螺合されたナットと、送りねじを回転させる電動モータとを含む。基板支持装置本体の中央部から外れた複数箇所からガイドロッドが下方へ延び出させられ、クランプ装置本体およびマスク支持装置本体に摺動可能に嵌合され、基板支持装置および基板クランプ装置の昇降を案内する。
このスクリーン印刷機においては、基板支持装置の上昇により、回路基板が基板クランプ装置に対して所定の位置へ上昇させられ、クランプされる。また、基板保持装置の上昇により、回路基板がマスク支持装置に対して上昇させられ、マスク支持装置と同じ高さにされる。そして、基板保持装置とマスク支持装置とが共に上昇させられ、回路基板およびマスク支持装置がマスクに接触させられ、マスク支持装置によりマスクが支持された状態で回路基板への被印刷剤の印刷が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−281712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のスクリーン印刷機には未だ改善の余地がある。例えば、基板支持装置昇降装置,マスク支持装置昇降装置はそれぞれ1つずつの送りねじとナットとの螺合によって支えられているため、支持剛性が不足し、印刷時に加えられる力によって傾き易い。また、3つの装置がそれぞれ別々の昇降装置により昇降させられ、部品点数が多く、印刷機の構成が複雑である。
このような不具合は、基板支持装置,基板クランプ装置およびマスク支持装置の全部を含むスクリーン印刷機に限らず、それらのうちの2つを含むスクリーン印刷機においても同様に生じる。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、上記問題を解決するなど、改善されたスクリーン印刷機の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、複数の貫通穴が形成された水平なマスクの上面に沿ってスキージにより被印刷剤を移動させ、その被印刷剤を前記マスクの貫通穴を通して回路基板に印刷するスクリーン印刷機を、回路基板を前記マスクに接触離間させる回路基板接離装置を含むものとし、その回路基板接離装置を、(a)互いに相対的に昇降する第1部材および第2部材と、(b)その第2部材から上下方向に延び出させられたガイドロッドと、(c)そのガイドロッドの両側に位置する複数の位置において前記第2部材から前記ガイドロッドと平行に延び出させられた複数本の送りねじと、(d)前記第1部材に設けられ、前記ガイドロッドと摺動可能に嵌合されたガイドスリーブと、(e)前記第1部材に設けられ、前記複数本の送りねじとそれぞれ螺合された複数のナットと、(f)前記複数本の送りねじと前記複数のナットとを一斉に相対回転させる相対回転装置とを含むものとすることにより解決される。
上記第1部材と第2部材とは、例えば、発明の態様の項の各項におけるマスク支持装置の本体,基板クランプ装置の本体,基板支持装置の本体のうちの2つとしたり、スクリーン印刷機の本体と上記各装置のいずれかの本体としたりすることができる。
【0006】
上記の課題はまた、複数の貫通穴が形成された水平なマスクの上面に沿ってスキージにより被印刷剤を移動させ、その被印刷剤を前記マスクの貫通穴を通して回路基板に印刷するスクリーン印刷機を、(A)回路基板を水平に保持する基板保持装置と、(B)その基板保持装置を昇降させることにより回路基板を前記マスクの下面に接触離間させる基板保持装置昇降装置と、(C)前記マスクの下面の、回路基板が接触離間させられる部分より外側の部分に接触して前記マスクを下方から支持するマスク支持装置と、(D)そのマスク支持装置を昇降させることによりそのマスク支持装置を前記マスクの下面に接触離間させるマスク支持装置昇降装置と、(E)スクリーン印刷機本体とを含むものとし、かつ、前記マスク支持装置昇降装置を、前記スクリーン印刷機本体に対する前記マスク支持装置の昇降を案内する第1案内装置および前記マスク支持装置を前記スクリーン印刷機本体に対して昇降させる第1昇降駆動装置を含むものとし、前記基板保持装置昇降装置を、前記マスク支持装置に対する前記基板保持装置の昇降を案内する第2案内装置および前記基板保持装置を前記マスク支持装置に対して昇降させる第2昇降駆動装置を含むものとし、かつ、前記第1案内装置を、前記マスク支持装置の中央部から下方へ延び出させられた中空の第1ガイドロッドと、前記スクリーン印刷機本体に設けられて前記第1ガイドロッドと摺動可能に嵌合された第1ガイドスリーブとを含み、前記第2案内装置を、前記基板保持装置の中央部から下方へ延び出させられて前記中空の第1ガイドロッド内に摺動可能に嵌合された第2ガイドロッドを含むものとすることにより解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るスクリーン印刷機の1つにおいては、第1,第2部材が複数ずつの送りねじとナットとの螺合により剛性高く支持され、傾き難く、印刷時における回路基板の姿勢安定性が向上する。また、少なくとも、ガイドロッドの両側に位置する複数本の送りねじにより、第1,第2部材が相対的に昇降させられるため、ガイドロッドとガイドスリーブとに、それらを互いに傾かせるモーメントが加えられることが少なく、ガイドロッドとガイドスリーブとの耐久性が向上する効果が得られる。さらに、ガイドロッドの両側に位置する複数の位置に送りねじが設けられることにより十分な曲げ剛性が得られ、第1部材と第2部材とが、ガイドロッドの軸線まわりに相対回転することが十分に防止される。
【0008】
本発明に係る別のスクリーン印刷機においては、マスク支持装置の中央部の下方において第1ガイドロッドと第2ガイドロッドとを互いに嵌合させることにより、第1案内装置と第2案内装置との配設スペースを上下に重ね合わせることができ、従来とは異なった第1,第2案内装置および第1,第2昇降駆動装置との配置を採用することが可能になる。例えば、発明の態様の項の(4)項に記載のスクリーン印刷機におけるように、第1昇降駆動装置を複数の送りねじおよびナットを含む装置とし、基板保持装置による回路基板の保持安定性の向上を図ることが容易となる。また、中空の第1ガイドロッドが第2ガイドロッドのガイドスリーブとして機能し、マスク支持装置に第2ガイドロッド専用のガイドスリーブを設ける場合に比較して、構成が簡易になるとともに、スクリーン印刷機をコンパクトに構成することが可能になる。
【発明の態様】
【0009】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施形態の記載,従来技術,技術常識等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0010】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、(4)項が請求項4に、(6)項が請求項5に、(8)項が請求項6に、(10)項が請求項7に、(17)項が請求項8にそれぞれ相当する。
【0011】
(1)複数の貫通穴が形成された水平なマスクの上面に沿ってスキージにより被印刷剤を移動させ、その被印刷剤を前記マスクの貫通穴を通して回路基板に印刷するスクリーン印刷機であって、
回路基板を前記マスクに接触離間させる回路基板接離装置を含み、その回路基板接離装置が、(a)互いに相対的に昇降する第1部材および第2部材と、(b)その第2部材から上下方向に延び出させられたガイドロッドと、(c)そのガイドロッドの両側に位置する複数の位置において前記第2部材から前記ガイドロッドと平行に延び出させられた複数本の送りねじと、(d)前記第1部材に設けられ、前記ガイドロッドと摺動可能に嵌合されたガイドスリーブと、(e)前記第1部材に設けられ、前記複数本の送りねじとそれぞれ螺合された複数のナットと、(f)前記複数本の送りねじと前記複数のナットとを一斉に相対回転させる相対回転装置とを含むことを特徴とするスクリーン印刷機。
上記「ガイドロッドの両側に位置する複数の位置」とは、ガイドロッドの軸線と、その軸線に直角な平面との交点が、その平面と複数本の送りねじの軸線との複数の交点を互いに交差することなく結ぶ線分により画定される領域内に位置することを意味する。上記領域は、送りねじが3本の場合は三角形、4本の場合は四角形の領域であり、送りねじが2本の場合は幅のない特殊な領域と考えることとする。すなわち、ガイドロッドの軸線は、2本の送りねじの軸線を結ぶ直線と直交することとなる。
下記(3)項以下の特徴は本項に記載のスクリーン印刷機にも適用可能である。
(2)前記回路基板接離装置が、さらに、(g)前記第2部材に対して上下方向に相対移動する第3部材と、(h)その第3部材から上下方向に延び出させられたガイドロッドとを含み、かつ、前記第2部材から延び出させられたガイドロッドが中空のガイドロッドとされ、その中空のガイドロッドの内側に前記第3部材から延び出させられたガイドロッドが摺動可能に嵌合された(1)項に記載のスクリーン印刷機。
第2部材のガイドロッドが第3部材のガイドロッドのガイドスリーブとして機能し、スクリーン印刷機の構成の簡易化およびコンパクト化の効果が得られる。
(3)複数の貫通穴が形成された水平なマスクの上面に沿ってスキージにより被印刷剤を移動させ、その被印刷剤を前記マスクの貫通穴を通して回路基板に印刷するスクリーン印刷機であって、
回路基板を水平に保持する基板保持装置と、
その基板保持装置を昇降させることにより回路基板を前記マスクの下面に接触離間させる基板保持装置昇降装置と、
前記マスクの下面の、回路基板が接触離間させられる部分より外側の部分に接触して前記マスクを下方から支持するマスク支持装置と、
そのマスク支持装置を昇降させることによりそのマスク支持装置を前記マスクの下面に接触離間させるマスク支持装置昇降装置と、
スクリーン印刷機本体と
を含み、前記マスク支持装置昇降装置が、前記スクリーン印刷機本体に対する前記マスク支持装置の昇降を案内する第1案内装置および前記マスク支持装置を前記スクリーン印刷機本体に対して昇降させる第1昇降駆動装置を含み、前記基板保持装置昇降装置が、前記マスク支持装置に対する前記基板保持装置の昇降を案内する第2案内装置および前記基板保持装置を前記マスク支持装置に対して昇降させる第2昇降駆動装置を含み、かつ、前記第1案内装置が、前記マスク支持装置の中央部から下方へ延び出させられた中空の第1ガイドロッドと、前記スクリーン印刷機本体に設けられて前記第1ガイドロッドと摺動可能に嵌合された第1ガイドスリーブとを含み、前記第2案内装置が、前記基板保持装置の中央部から下方へ延び出させられて前記中空の第1ガイドロッド内に摺動可能に嵌合された第2ガイドロッドを含むスクリーン印刷機。
マスク支持装置を含まず、基板支持装置と基板クランプ装置とを含むスクリーン印刷機においては、基板支持装置の本体と基板クランプ装置の本体との一方とスクリーン印刷機の本体との相対的な昇降を案内するガイドロッドを中空とし、基板支持装置の本体と基板クランプ装置の本体との相対的な昇降を案内するガイドロッドをその中空のガイドロッドの内側に摺動可能に嵌合することによって、本項に係る発明と類似の効果を得ることができる。
(4)前記第1昇降駆動装置が、
前記第1ガイドロッドの両側に位置する複数の位置において前記マスク支持装置から前記第1ガイドロッドに平行に下方へかつ軸方向に相対移動不能に延び出させられた複数本の第1送りねじと、
前記スクリーン印刷機本体に軸方向に相対移動不能に設けられて前記複数本の第1送りねじの各々と螺合された複数の第1ナットと、
それら互いに螺合された複数本の第1送りねじと複数の第1ナットとを一斉に相対回転させる第1相対回転装置と
を含む(3)項に記載のスクリーン印刷機。
送りねじは1本でもマスク支持装置を昇降させることができる。しかし、送りねじを複数本設ければ、マスク支持装置を剛性高く支持し、マスクを安定して支持させることができる。
第1送りねじの本数は、2本でも3本でもよい。しかし、次項に記載の通り4本とされることが望ましい。
(5)前記マスク支持装置が矩形状の平面形状を有し、前記複数本の第1送りねじが前記マスク支持装置の四隅に計4本設けられた(4)項に記載のスクリーン印刷機。
マスク支持装置が特に剛性高く安定して水平に支持され、昇降時にも印刷時にも傾きが防止される。
(6)前記基板保持装置が、
前記回路基板の下面を支持する基板支持装置と、
その基板支持装置に支持された回路基板をクランプして固定する基板クランプ装置と、
その基板クランプ装置に対する前記基板支持装置の昇降を案内する第3案内装置および前記基板支持装置を前記基板クランプ装置に対して昇降させる第3昇降駆動装置と
を含み、前記第2案内装置および前記第2昇降駆動装置が前記基板クランプ装置と前記マスク支持装置との間に設けられた(3)項ないし(5)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
(7)前記第3案内装置が、前記基板支持装置の中央部から下方へ延び出させられた第3ガイドロッドと、前記基板クランプ装置に設けられて前記第3ガイドロッドと摺動可能に嵌合された第3ガイドスリーブとを含む(6)項に記載のスクリーン印刷機。
第1,第2,第3の各案内装置がいずれも装置中央部に設けられ、第2,第3昇降駆動装置の配置の自由度が高い。
(8)前記第3ガイドロッドが前記第2ガイドロッドを兼ねる(7)項に記載のスクリーン印刷機。
構成要素の数が少なくて済み、スクリーン印刷機を簡易に構成することができる。
(9)前記第3昇降駆動装置が、
前記第3ガイドロッドの両側に位置する複数の位置において前記基板支持装置から前記第3ガイドロッドに平行に下方へかつ軸方向に相対移動不能に延び出させられた複数本の第3送りねじと、
前記基板クランプ装置に軸方向に相対移動不能に設けられて前記複数本の第3送りねじの各々と螺合された複数の第3ナットと、
それら互いに螺合された複数本の第3送りねじと複数の第3ナットとを一斉に相対回転させる第3相対回転装置と
を含む(7)項または(8)項に記載のスクリーン印刷機。
複数ずつの送りねじとナットとの螺合により、基板支持装置が剛性高く支持される。
第3送りねじの本数は、2本でも3本でもよい。しかし、(10)項の説明部分に記載の通り4本とされることが望ましい。
(10)前記第3送りねじが、前記マスク支持装置に軸方向に移動不能に設けられた第2ナットと螺合され、その第2ナットと第3送りねじとを相対回転させる第2相対回転装置が設けられて、それら第2ナットおよび第2相対回転装置が前記第3送りねじと共同して前記第2昇降駆動装置を構成する(9)項に記載のスクリーン印刷機。
第3送りねじに第2昇降駆動装置の送りねじを兼ねさせることにより、基板クランプ装置に第2ナットと螺合される専用の送りねじを設ける場合に比較してスクリーン印刷機が簡易にかつ安価に構成される。また、基板クランプ装置も、複数ずつの送りねじとナットとの螺合により剛性高く支持される。第1,第2,第3昇降駆動装置がいずれも、それぞれ駆動すべき装置の四隅に設けられた4本の送りねじを有するのであれば、3つの装置のいずれについても(5)項に記載のスクリーン印刷機と同様の効果が得られる。
第2ナット,第3ナットおよび第3送りねじは、それらのうちの1つが回転不能とされ、2つが回転可能とされる。回転可能な2つのうち、その回転により基板クランプ装置が昇降させられるものを回転させる装置が第2相対回転装置を構成し、回転により基板支持装置が昇降させられるものを回転させる装置が第3相対回転装置を構成する。
(11)前記基板クランプ装置が、
クランプ装置本体と、
そのクランプ装置本体に、回路基板に平行でその回路基板の両側端面の一方に直角な方向に相対移動可能に保持された可動クランプ部材と、
その可動クランプ部材を駆動するクランプ部材駆動装置と
を含むサイドクランプ装置を含む(6)項ないし(10)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
サイドクランプ装置は、回路基板をその回路基板の両側端面においてクランプするものであるのでクランプ部材は少なくとも一対必要である。その少なくとも一対のクランプ部材は、両方共に可動クランプ部材とすることも、一方は固定クランプ部材とすることも可能である。
(12)前記可動クランプ部材が長手形状を有するものであり、前記クランプ部材駆動装置が、前記クランプ装置本体に保持され、前記可動クランプ部材の長手方向に隔たった2箇所を、それぞれ前記両側端面の一方に接近離間させるものである(11)項に記載のスクリーン印刷機。
回路基板の側端面に傾きがあっても、可動クランプ部材を側端面に沿わせ、回路基板を安定してクランプさせることができる。
本項に記載の特徴は、(3)項ないし(10)項のいずれに記載の特徴からも独立して採用することが可能である。
(13)前記クランプ部材駆動装置が、
前記可動クランプ部材の長手方向に平行な方向に作動可能な2つの出力部材を備えた駆動源と、
それぞれの一端部が前記2つの出力部材の各々に相対回動可能に連結され、他端部が前記可動クランプ部材に相対回動可能に連結され、それら出力部材への連結部と可動クランプ部材への連結部との2つの相対回動軸線を結ぶ直線と前記可動クランプ部材の長手方向との成す角度が45度より小さい2つの連結リンクと
を含む(12)項に記載のスクリーン印刷機。
出力部材の出力が減力されて可動クランプ部材に、回路基板の側端面に接近する方向に作用し、回路基板が過大な力でクランプされることがない。また、必要に応じて、出力を制御し、クランプ力を微小に変化させることもでき、そのようにすれば、可動クランプ部材により回路基板を、その剛性に応じた力でクランプすることが可能になる。
なお、クランプ部材駆動装置は、例えば、2つの流体圧シリンダを含むものとしたり、1つの流体圧シリンダを含むものとしたりすることが可能である。流体圧シリンダとしては、シリンダハウジングと、そのシリンダハウジングに摺動可能かつ気密に嵌合されたピストンと、そのピストンからシリンダハウジング外へ延び出させられたピストンロッドとを含む直線型流体圧シリンダが好適である。クランプ部材駆動装置が2つの直線型流体圧シリンダを含む場合は、例えば、それぞれのシリンダハウジングとピストンロッドとの一方をクランプ装置本体に、他方を連結リンクにそれぞれ連結すればよい。また、クランプ部材駆動装置が1つの直線型流体圧シリンダを含む場合は、シリンダハウジングを2つの連結リンクの一方に、ピストンロッドを2つの連結リンクの他方に、それぞれ連結すればよい。この場合には、シリンダハウジングとピストンロッドとがそれぞれ出力部材を構成することとなる。
(14)前記マスク支持装置が、上面がマスク支持面とされる一方、下面が基板受け面とされたマスク支持部材を含み、前記基板保持装置昇降装置が、前記基板保持装置を、前記基板支持装置に支持された回路基板と前記サイドクランプ装置とが前記マスク支持部材の前記基板受け面に接触または近接する位置まで上昇させた状態で、前記サイドクランプ装置が回路基板をクランプする(11)項ないし(13)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
クランプ時に基板受け面により回路基板の縁部が上方から拘束され、回路基板の縁部がクランプ部材から上方へ外れてクランプされない事態が生じることが防止される。
(15)前記マスク支持部材が前記マスクに平行な方向において前記可動クランプ部材に隣接した位置において前記マスクを支持するとともに、そのマスク支持部材の、前記可動クランプ部材と対向する側面の上部が前記スキージの長手方向に対して傾斜した傾斜側面とされる一方、前記可動クランプ部材と対向する側面の下部が前記スキージの長手方向に平行な平行側面とされ、かつ、前記可動クランプ部材の前記マスク支持部材に対向する側面が前記傾斜側面に平行な傾斜側面とされ、それら両傾斜側面の間の隙間が平面視において前記スキージの長手方向に対して傾斜させられた(14)項に記載のスクリーン印刷機。
マスク支持部材と可動クランプ部材とが共にマスクに接触させられた状態で、マスク支持部材と可動クランプ部材との隙間がスキージの長手方向と交差し、その隙間がスキージの長手方向と平行である場合のようにスキージが隙間に落ち込むことがなく、隙間への落ち込みによるスキージやマスクの損傷が防止される。
また、上記のように、マスク支持部材と可動クランプ部材との隙間がスキージの長手方向に対して比較的大きな角度で傾斜させられていながら、基板受け面の縁は平行側面によって画定されるため、基板受け面の縁は回路基板の側縁と平行に延び、その縁近傍の狭い部分によって回路基板の側縁部を、その側縁部の全長にわたって受けることができる。
サイドクランプ装置の一対のクランプ部材の一方が固定クランプ部材とされる場合、その固定クランプ部材とマスク支持部材との互いに対向する側面の形状も、上記形状とされることが望ましい。
本項に記載の特徴は、(3)項ないし(13)項のいずれに記載の特徴からも独立して採用することが可能である。
(16)前記基板クランプ装置が、
クランプ装置本体と、
そのクランプ装置本体から上方へ立ち上がり、上端に、その上端から、前記基板支持装置の上方へ突出したクランプ部を備えた第1クランプ部材と、
前記クランプ部の下方に設けられ、前記基板支持装置の前記クランプ装置本体に対する相対的な昇降に伴って昇降させられ、回路基板の側端部を、前記クランプ部と共同して上下両側から挟んで固定する第2クランプ部材と
を含む上下クランプ装置を含む(6)ないし(10)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
本項に記載の特徴は、(3)項ないし(10)項のいずれに記載の特徴からも独立して採用することが可能である。
(17)前記基板保持装置が、回路基板を支持する支持面に開口させられた吸引口を備え、前記第2ガイドロッドに、その第2ガイドロッドを長手方向に貫通する貫通穴が形成され、その貫通穴と前記中空の第1ガイドロッドの内部空間とが前記吸引口に連通する空気吸引通路とされた(3)項ないし(16)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
第1,第2ガイドロッドを利用して吸引口に負圧を供給することができ、配管を減らすことができる。
(18)さらに、回路基板を搬送する基板コンベヤと、
その基板コンベヤにより搬送される回路基板の前縁に当接して回路基板の停止位置を規定する基板ストッパと、
その基板ストッパにより停止させられた回路基板の上面に当接して回路基板の上反りを矯正する基板押さえと、
その基板押さえを前記基板ストッパと共に保持する保持部材と、
その保持部材を昇降させる保持部材昇降装置と、
その保持部材昇降装置と前記保持部材とを、前記基板保持装置に保持された回路基板の上面に平行な移動平面内の任意の位置へ移動させ得る移動装置と
を含み、かつ、平面視において前記基板ストッパが前記基板押さえより前記回路基板の搬送方向の上流側に位置させられ、側面視において前記基板押さえの下端が前記基板ストッパの下端より下方に位置させられた(3)項ないし(17)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
本項に係る発明の特徴によれば、基板ストッパが停止位置において下降させられ、回路基板を停止させるとき、基板押さえは基板ストッパの後ろにあって回路基板に当たらず、基板押さえが下降させられて回路基板を押さえるとき、基板ストッパは基板押さえより上にあって回路基板に当たらず、互いの作用を妨げない。そのため、基板ストッパおよび基板押さえを共通の昇降装置によって昇降させ、共通の移動装置によって移動させることができ、スクリーン印刷機を簡易にかつ安価に構成することができる。
本項に記載の特徴は、(3)項ないし(17)項のいずれに記載の特徴からも独立して採用することが可能である。
(19)前記マスク支持装置が、
マスク支持装置本体と、
そのマスク支持装置本体により、前記マスクに平行な方向に相対移動可能に保持され、前記マスクを支持するマスク支持面を備えた可動マスク支持部材と、
その可動マスク支持部材を前記マスク支持装置本体に固定するマスク支持部材固定装置と
を含む(3)項ないし(18)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
少なくとも印刷時に可動マスク支持部材がマスク支持装置本体に固定され、マスクを安定して支持することができ、印刷精度が向上する。
本項に記載の特徴は、(3)項ないし(18)項のいずれに記載の特徴からも独立して採用することが可能である。
(20)前記マスク支持部材固定装置が、
前記マスク支持装置本体に接触する接触面を備えたパッドと、
前記可動マスク支持部材に設けられ、前記パッドを前記接触面と交差する方向に移動可能に保持するとともに、そのパッドを、前記接触面が前記マスク支持装置本体に接触離間する方向に移動させるパッド移動装置と
を含む(19)項に記載のスクリーン印刷機。
パッドにそれの接触面に開口する吸引口を設け、その吸引口に負圧を供給する負圧供給装置を設けることが望ましい。負圧によりパッドをマスク支持装置本体に積極的に固定するのである。
(21)前記マスク支持装置が、(a)前記マスクの下面を下方から支持する支持面と、その支持面に開口させられた吸引口とを備えたマスク支持部材と、(b)前記吸引口にバキュームを供給するバキューム装置とを含む(3)項ないし(20)項のいずれかに記載のスクリーン印刷機。
マスクがマスク支持部材により確実に支持され、また、マスクのマスク支持部材に対するずれが防止される。
本項に記載の特徴は、(3)項ないし(20)項のいずれに記載の特徴からも独立して採用することが可能である。
(22)さらに、前記基板保持装置昇降装置と前記マスク支持装置昇降装置とを制御することにより、前記マスク支持装置と前記基板保持装置とを、前記マスクの弾性変形により許容される距離一体的に下降させて急激に停止させ、前記マスクの前記開口内の被印刷剤に回路基板に向かう向きの慣性力を発生させる慣性力発生制御部を含む(21)項に記載のスクリーン印刷機。
マスクが回路基板に接触したまま回路基板と共に下降させられて急激に停止させられ、被印刷剤の回路基板への付着力が増し、貫通穴から抜け出し易くなる。
マスク支持部材によるマスクの保持をバキュームによる吸着以外の手段により行えば、本項に記載の特徴を(21)項に記載の特徴から独立して採用することが可能である。
(23)複数の貫通穴が形成された水平なマスクの上面に沿ってスキージにより被印刷剤を移動させ、その被印刷剤を前記マスクの貫通穴を通して回路基板に印刷するスクリーン印刷方法であって、
前記スキージにより前記マスクの貫通穴に前記被印刷剤を充填させる充填工程と、
その充填工程の後に、前記マスクと前記回路基板とを一体的に下降させて急激に停止させることにより、前記マスクの前記開口内の被印刷剤に回路基板に向かう向きの慣性力を発生させ、その被印刷剤の回路基板への付着力を増す付着力増加工程と、
その付着力増加工程の後に、前記マスクと前記回路基板とを離間させて、前記回路基板に付着した前記被印刷剤を前記貫通穴から抜け出させる版離し工程と
を含むことを特徴とするスクリーン印刷方法。
被印刷剤の回路基板への付着力の増大により、貫通穴からの抜出しが良好に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態であるスクリーン印刷機を概略的に示す正面図である。
【図2】上記スクリーン印刷機において使用されるマスクを示す平面図である。
【図3】上記スクリーン印刷機のマスク支持装置および基板保持装置を示す側面図である。
【図4】上記マスク支持装置および基板保持装置を示す斜視図である。
【図5】上記マスク支持装置の可動マスク支持部材をクランプ部材と共に示す平面図である。
【図6】上記基板保持装置のサイドクランプ装置のクランプ部材駆動装置を示す平面図である。
【図7】上記クランプ部材駆動装置を示す正面図である。
【図8】上記クランプ部材駆動装置の一部を拡大して示す正面図である。
【図9】上記スクリーン印刷機のマスク支持部材固定装置を示す斜視図である。
【図10】上記基板保持装置の基板支持装置の一部を示す正面断面図である。
【図11】上記マスク支持装置および基板保持装置を示す側面断面図である。
【図12】上記スクリーン印刷機の基板ストッパ,基板押さえおよび移動装置を示す平面図である。
【図13】上記基板ストッパおよび基板押さえを示す側面図である。
【図14】上記基板ストッパおよび基板押さえを示す平面図である。
【図15】上記スクリーン印刷機を制御する制御装置を示すブロック図である。
【図16】上記基板保持装置による回路基板の保持等を説明する図である。
【図17】別の実施形態であるスクリーン印刷機の上下クランプ装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、請求可能発明の実施形態を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0014】
図1に、請求可能発明の一実施形態であるスクリーン印刷機(以後、印刷機と略称する)が図示されている。本印刷機は、印刷機本体10,基板搬送装置12,基板保持装置14,マスク支持装置16(図3参照),マスク保持装置18,印刷装置20,撮像装置22および制御装置24(図15参照)を備えている。マスク保持装置18は印刷機本体10の上部に設けられ、マスク30を水平な姿勢で保持する。マスク30には、図2に示すように、回路基板32(以後、基板32と略称する)の被印刷剤たるクリーム状はんだ(以後、はんだと略称する)の印刷箇所に対応する部分に貫通穴34が形成されており、マスク枠36(図1参照)に張られている。
【0015】
印刷装置20は、図1に示すように、それぞれスキージ38を保持する1対のスキージヘッド40(図1には1つのみ図示されている),それらスキージヘッド40をそれぞれ昇降させるスキージヘッド昇降装置42および1対のスキージヘッド40を水平方向に移動させるスキージヘッド移動装置44を含む。スキージヘッド移動装置44は、可動部材45と、電動モータ46と、送りねじおよびナットを含む送りねじ機構48(図15参照)とを含む。本実施形態においては、印刷装置20は、スキージ38の長手方向が基板搬送装置12による基板32の搬送方向に平行となるように設けられ、スキージ38の移動方向である印刷方向と搬送方向とは互いに直交する。本実施形態においては、搬送方向を左右方向、印刷方向を前後方向とする。左右方向および前後方向はいずれも水平である。
【0016】
マスク保持装置18の下方に基板保持装置14およびマスク支持装置16が設けられている。マスク支持装置本体60は、図4に示すように平面形状が矩形を成し、水平に配設され、その上面上に1対の可動マスク支持部材62,64がマスク30に平行な方向であって前後方向に移動可能に設けられている。
【0017】
可動マスク支持部材62,64はそれぞれ、図4に示すように門形の脚体66と板状の支持体68とを備えている。可動マスク支持部材62,64はそれぞれ、図3に示すように、脚体66の一対の脚部70の各係合ブロック72が、マスク支持装置本体60に前後方向に平行に設けられたガイド74に移動可能に嵌合され、マスク支持部材移動装置76,78により移動させられる。マスク支持部材移動装置76はマスク支持装置本体60に設けられた2つのエアシリンダ80を備え、ピストンロッドの伸縮により可動マスク支持部材62を移動させる。マスク支持部材移動装置78については後述する。
【0018】
可動マスク支持部材62,64の各支持体68は、脚体66の梁部84上に搬送方向に平行な軸線まわりに回動可能に取り付けられ、1対の脚部70の各々との間に張り渡された付勢手段の一種である弾性部材としての引張コイルスプリング86により、梁部84に接近する向きに付勢されている。スプリング86の付勢による支持体68の回動限度は、支持体68が梁部84に当接することにより規定され、水平な姿勢で支持される。
【0019】
支持体68は、図3に示すように、梁部84から他方の可動マスク支持部材側へ突出させられ、その上面全体がマスク支持面90を構成し、突出部の下面が基板受け面92を構成している。また、支持体68の後述するクランプ部材と対向する側面の上部は、図5に可動マスク支持部材62を示すように、支持体68の長手方向全体に渡って多次関数、あるいは三角関数曲線から成る凸状に緩やかに湾曲させられ、スキージ38の長手方向に対して傾斜させられた傾斜側面94とされている。支持体68の側面の下部は、傾斜側面94の両端より、クランプ部材とは反対側へ引っ込まされるとともに、スキージ38の長手方向に平行な一平面状の平行側面96とされている。基板受け面92の縁は平行側面96によって画定され、基板32の側縁と平行に延びる。支持体68には、そのマスク支持面90に開口させられた複数の吸引口98が形成されている。吸引口98は支持体68を厚さ方向に貫通して形成され、図3に示すように、梁部84に、その上面に開口して形成された通路99を経てバキューム装置100から負圧が供給される。
【0020】
マスク支持装置16は、マスク支持装置昇降装置120により昇降させられる。マスク支持装置昇降装置120は、案内装置122および昇降駆動装置124を含む。案内装置122は、図4に示すように、マスク支持装置本体60の中央部から下方へ延び出させられた中空のガイドロッド126と、印刷機本体10のベッド128に設けられ、ガイドロッド126と摺動可能に嵌合されたガイドスリーブ130とを含む。ガイドロッド126およびガイドスリーブ130は、本実施形態においては、横断面形状が円形を成す。
【0021】
本昇降駆動装置124は、図4に示すように4本の送りねじ136,4つのナット138および相対回転装置140を含む。4本の送りねじ136は、マスク支持装置本体60の四隅であって、ガイドロッド126から水平方向に等距離離れた4つの位置の各々にガイドロッド126に平行に下方へ延び出す状態で固定され、軸方向に相対移動不能かつ相対回転不能である。4つのナット138は、ベッド128の4本の送りねじ136に対応する4ヶ所にそれぞれ軸方向に相対移動不能かつ相対回転可能に設けられ、4本の送りねじ136の各々と螺合されている。相対回転装置140は電動モータ142,4つのナット138の各々と一体的に設けられた4つのプーリ144を含む複数のプーリ144,プーリ144に巻き掛けられたベルト146(図11参照)を含み、4つのナット138が一斉に回転させられ、4本の送りねじ136が一斉に軸方向に移動させられ、マスク支持装置16が案内装置122により案内されつつ印刷機本体10に対して昇降させられる。
【0022】
前記基板保持装置14は、図4に示すように、基板支持装置150およびサイドクランプ装置152を含む。サイドクランプ装置152は、クランプ装置本体154,1対のクランプ部材156,158およびクランプ部材駆動装置160(図6参照)を含む。クランプ部材156,158はそれぞれ長手形状を成し、サイドフレーム162,164に取り付けられている。クランプ装置本体154は平面形状が矩形を成し、サイドフレーム162はクランプ装置本体154上に搬送方向に平行に固定され、その上端部にクランプ部材156が長手方向が搬送方向に平行な姿勢で固定されている。以後、クランプ部材156を固定クランプ部材と称する場合がある。固定クランプ部材156は、図5に示すように、そのクランプ部材158と対向する側面は搬送方向に平行な平面状のクランプ面166とされ、背面の上部は前記傾斜側面94に対応する湾曲を有し、傾斜側面94と平行な傾斜側面168とされている。
【0023】
サイドフレーム164は、図4に示すように門形を成し、一対の脚部176の各係合ブロック178がそれぞれ、図3に示すように、クランプ装置本体154に前後方向に平行に設けられたガイド180に移動可能に嵌合されている。サイドフレーム164は、搬送幅変更装置184により移動させられ、サイドフレーム162との間隔が変更され、基板搬送幅が変更される。本搬送幅変更装置184は、駆動源たる電動モータ182と、それぞれ複数のプーリ186およびベルト188を含み、電動モータ182の回転を直線運動に変換してサイドフレーム164の1対の脚部176にそれぞれ伝達する1対の運動伝達機構190とを含む。
【0024】
クランプ部材158は、サイドフレーム164上に、長手方向が搬送方向に平行となる姿勢で、基板32の両側端面の一方に接近離間可能に保持され、クランプ部材駆動装置160により移動させられる。以後、クランプ部材158を可動クランプ部材158と称する場合がある。可動クランプ部材158は、固定クランプ部材156と同様に、基板32と対向する側面がクランプ面212とされ、背面の上部が傾斜側面214とされている。
【0025】
クランプ部材駆動装置160は、図6および図7に示すように、1対の駆動ユニット216を含む。これら駆動ユニット216は同様に構成され、前後方向に平行で鉛直な平面に対して対称に設けられており、一方を説明する。
【0026】
駆動ユニット216の駆動源たるエアシリンダ220は、サイドフレーム164の水平な梁部222の長手方向の中央部近傍に、シリンダハウジング223が搬送方向に平行な姿勢で固定されるとともに、梁部222の長手方向の一端部側へ延び出させられたピストンロッド224の先端部に、ジョイント226を介して連結リンク228の一端部が鉛直軸線まわりに回動可能に取り付けられている。連結リンク228の他端部には、支持軸230が立設されるとともに、回転案内部材たるローラ232が軸受を介して鉛直軸線まわりに回転可能に取り付けられている。
【0027】
可動クランプ部材158の背面の下部には、図7に示すように、一対の駆動ユニット216のそれぞれに対応して2つずつの係合ブロック240,242が対称に設けられている。係合ブロック240,242はL字形を成し、係合ブロック240は、一方のアーム部244において可動クランプ部材158の一端部に固定されるとともに、図8に示すように、支持軸230に鉛直軸線まわりに相対回動可能に嵌合されている。
【0028】
また、他方のアーム部246は、図8に示すように、サイドフレーム164に固定のガイドブロック247に前後方向に貫通して形成されたガイド溝248に嵌合されている。ガイド溝248の一対の溝側面にはそれぞれ、複数個ずつ、本実施形態においては2個ずつのボール252が前後方向に距離を隔てて回転可能に保持され、アーム部246はガイド溝248にボール252を介して、係合ブロック240の回動軸線と直角な平面である水平面内において移動可能に嵌合されている。また、ガイドブロック247のローラ232と対向し、前後方向に平行で鉛直な端面が案内面258を構成する。さらに、本実施形態においては、図6に示すように、可動クランプ部材158が基板32を開放した状態において、連結リンク228の出力部材たるピストンロッド224との連結部と、係合ブロック240への連結部との2つの相対回動軸線を結ぶ直線と可動クランプ部材158の長手方向との成す角度αが5度とされている。
【0029】
係合ブロック242は、図7に示すように、アーム部260において可動クランプ部材158に固定され、アーム部262は、係合ブロック240のアーム部246と同様に、サイドフレーム164に固定の別のガイドブロック264のガイド溝266にボール(図示省略)を介して水平面内において移動可能に嵌合されている。
【0030】
可動クランプ部材158に固定の2つの係合ブロック240の各アーム部246がガイドブロック247のガイド溝248に嵌合されることにより、可動クランプ部材158は、その長手方向の両端部において上下方向の動きが規制され、そのクランプ面212に直角な軸線まわりに回ることが防止される。また、アーム部246がガイド溝248に上下それぞれ2個ずつのボール252を介して嵌合されることにより、可動クランプ部材158が、その長手方向に平行な軸線まわりに回ることが防止される。さらに、1対の駆動ユニット216は対称に設けられ、各ガイドブロック247の案内面258は互いに対向しており、可動クランプ部材158と共に移動する2つのローラ232はそれぞれ案内面258に接触させられ、その移動方向が前後方向、すなわち基板32の側端面に直角な方向に規制される。そのため、ピストンロッド224の伸縮によりローラ232が前進,後退させられるにつれて、可動クランプ部材158が基板32に接近離間させられる。可動クランプ部材158の離間側のストロークエンドは、ピストンのストロークエンドにより決められる。
【0031】
前記基板搬送装置12は、本実施形態においては基板コンベヤにより構成され、図3に示すように、サイドフレーム162,164にそれぞれ周回可能に取り付けられたベルト270と、それぞれ電動モータ272を駆動源とし、1対のベルト270をそれぞれ周回させる2つのベルト周回装置274とを含む。
【0032】
前記マスク支持部材移動装置78は2つのエアシリンダ280を備え、各エアシリンダ280は、図3に示すように、可動マスク支持部材64の1対の脚部70の各々とサイドフレーム164の1対の脚部176の各々との間に設けられている(図3には一方のエアシリンダ280が図示されている)。エアシリンダ280のシリンダハウジング282は可動マスク支持部材64の脚部70に固定され、ピストンロッド284の先端部には、サイドフレーム164の脚部176が、その係合部286において、上下方向に相対移動可能かつ前後方向に相対移動不能に係合させられている。そのため、可動マスク支持部材64は、前記搬送幅変更装置184の駆動によりサイドフレーム164と共に前後方向に移動させられ、ピストンロッド284の伸縮によりサイドフレーム164、ひいては可動クランプ部材158に対して前後方向に移動させられる。
【0033】
可動マスク支持部材64は、図9に示すように、マスク支持部材固定装置102によりマスク支持装置本体60に固定される。本マスク支持部材固定装置102はパッド104およびパッド移動装置106を含む。パッド移動装置106は、可動マスク支持部材64の脚部70に鉛直に下向きに取り付けられたエアシリンダ108を含む。ピストンロッド110は、シリンダハウジング112から下方へ延び出させられ、延出端部にパッド104が取り付けられている。
【0034】
パッド104は、本実施形態においては硬質のゴムにより形成され、その水平な下端面が接触面114を構成し、接触面114に開口する吸引口116を備えている。本実施形態においては、マスク支持部材固定装置102は可動マスク支持部材64の1対の脚部70の各々に設けられている。ピストンロッド110の伸縮によりパッド104が昇降させられ、接触面114がマスク支持装置本体60の水平な上面118に接触離間させられる。接触状態では、パッド104は、エアシリンダ108により上面118に押し付けられるとともに、バキューム装置100から吸引口116に負圧が供給され、マスク支持装置本体60を吸引する。これら押付けと吸引とによって接触面114と上面118との間に得られる摩擦力により、可動マスク支持部材64がマスク支持装置本体60に強固に固定される。
【0035】
それにより、搬送幅変更装置184のベルト188のたるみ等によって可動マスク支持部材64の位置がずれることが防止される。上記係合部286とピストンロッド284との前後方向における係合は精度良く行われ、サイドフレーム164の昇降は許容されるが、前後方向においてはサイドフレーム164と可動マスク支持部材64とが固定されたに等しい状態が得られ、可動マスク支持部材64の固定によりサイドフレーム164の位置ずれも防止される。
【0036】
前記基板支持装置150は、装置本体300(図4参照),ピン支持台302および支持部材たる複数の支持ピン304(図10参照)を含む。本基板支持装置150は、回路基板を支持ピン304によって下方から支持するとともに吸着して保持するものとされ、特開2002−118399号公報に記載の基板支持装置と同様に構成されており、簡単に説明する。
【0037】
ピン支持台302は磁性材料製のピン支持面310を備え、平面形状が矩形状を成す装置本体300上に固定されている。ピン支持台302内にはピン支持面310に開口する複数の負圧供給穴312が形成されるとともに、それぞれ開閉弁314が設けられている。支持ピン304の取付座部320は負圧供給穴312の開口より大きくされ、永久磁石322が設けられており、基板32の被支持箇所に対応する負圧供給穴312を塞ぐ状態でピン支持台302に載置され、ピン支持台302に磁力によって固定される。載置に伴って開閉弁314が開かれ、支持ピン304内の通路324を経て、ピン部326の先端面である水平な支持面328に開口させられた吸引口330に負圧が供給される。ピン部326の先端部にはゴム製のカップ332が取り付けられ、負圧の漏れが防止される。
【0038】
基板保持装置14は、基板保持装置昇降装置340により昇降させられる。基板保持装置昇降装置340は、図4に示すように昇降駆動装置342を含む。本昇降駆動装置342は、マスク支持装置本体60に回転可能かつ軸方向に移動不能に設けられた4つのナット344および相対回転装置346を含む。相対回転装置346は、電動モータ350,4つのナット344と一体的に設けられたプーリ352を含む複数のプーリ352およびそれらプーリ352に巻き掛けられたベルト354を含み、ベルト354の移動により4つのナット344が一斉に回転させられる。
【0039】
基板支持装置150は、案内装置360により案内されつつ、昇降駆動装置362によりサイドクランプ装置152に対して昇降させられる。案内装置360および昇降駆動装置362が基板支持装置昇降装置を構成している。本案内装置360は、図3に示すように、基板支持装置本体300の中央部から下方へ延び出させられたガイドロッド366と、クランプ装置本体154の中央部に設けられ、ガイドロッド366が摺動可能に嵌合されたガイドスリーブ368とを含む。ガイドロッド366はガイドスリーブ368から下方へ突出させられ、前記ガイドロッド126内に摺動可能に嵌合されている。ガイドロッド366およびガイドスリーブ368は、本実施形態においては、横断面形状が円形を成す。
【0040】
昇降駆動装置362は、図4に示すように、4本の送りねじ376,4つのナット378および相対回転装置380を含む。送りねじ376は、基板支持装置本体300のガイドロッド366から水平方向に等距離隔たった四隅にそれぞれ設けられ、ガイドロッド366に平行に下方へ相対回転可能かつ軸方向に相対移動不能に延び出させられている。ナット378はクランプ装置本体154の四隅にそれぞれ固定され、回転不能かつ軸方向に移動不能である。4本の送りねじ376はそれぞれナット378に螺合されるとともに、前記昇降駆動装置342の4つのナット344にも螺合されている。相対回転装置380は、基板支持装置本体300に設けられた電動モータ382,4本の送りねじ376にそれぞれ設けられたプーリ384を含む複数のプーリ384およびそれらプーリ384に巻き掛けられたベルト386を含み、ベルト386の移動により4本の送りねじ376が4つのナット344に対して一斉に回転させられる。
【0041】
4本の送りねじ376の回転停止状態において相対回転装置346によってナット344が回転させられることにより、送りねじ376が昇降させられ、基板保持装置14がマスク支持装置16に対して昇降させられる。この昇降はガイドロッド366,126により案内される。4本の送りねじ376の回転停止状態は、電動モータ382に保持トルクを作用させて回転停止状態に保つことにより得られる。また、4本の送りねじ376が回転させられることにより、基板支持装置150がサイドクランプ装置152に対して昇降させられる。この際、電動モータ350に保持トルクが作用させられ、4つのナット344が回転停止状態に保たれる。マスク支持装置16の昇降時には、基板保持装置14がマスク支持装置16と共に昇降させられる。本実施形態においてはガイドロッド366とガイドロッド126とがそれぞれ、マスク支持装置16に対する基板保持装置14の昇降を案内する案内装置のガイドロッドとガイドスリーブとを兼ね、基板保持装置昇降装置340の案内装置を構成している。また、ナット344および相対回転装置346が送りねじ376と共同して、昇降駆動装置342を構成している。
【0042】
ガイドロッド366内には、図11に示すように長手方向に貫通する貫通穴390が形成され、その貫通穴390と、中空のガイドロッド126の内部空間392とが空気吸引通路394を構成している。空気吸引通路394は、基板支持装置本体300に形成された接続口,ピン支持台302内に形成された通路396(図10参照),負圧供給穴312,前記通路324を経て吸引口330に連通させられ、バキューム装置100から負圧を供給させる。ガイドロッド366の下端部にはリング状の保持部材398が取り付けられ、その内周面と外周面とにそれぞれ、シール部材の一種であるOリング400,402が保持されており、空気吸引通路394からの負圧の漏れが防止されるとともに、ガイドロッド126,366の芯ずれが吸収される。
【0043】
前記撮像装置22は、図1に示すように印刷機本体10のマスク保持装置18と基板保持装置14との間の部分に設けられている。撮像装置22は移動装置410により水平面内の任意の位置へ移動させられ、マスク30の下面に設けられた基準マークと、基板32の上面に設けられた基準マークとを撮像する。
【0044】
移動装置410は、図12に示すように、搬送方向移動装置412および前後方向移動装置414を含む。搬送方向移動装置412は、可動部材416および可動部材駆動装置418を含む。可動部材駆動装置418は、電動モータ420と、ナット422および送りねじ424を含む送りねじ機構426とを備え、可動部材416を案内装置428に案内させつつ、搬送方向に平行な方向の任意の位置へ移動させる。前後方向移動装置414は可動部材416上に設けられ、可動部材434および可動部材駆動装置436を含む。可動部材駆動装置436は、可動部材駆動装置418と同様に構成され、可動部材434を案内装置438に案内させつつ前後方向の任意の位置へ移動させる。
【0045】
可動部材434上には、図13に示すように、基板ストッパ450および基板押さえ452が保持部材454により保持されて搭載され、移動装置410により、基板保持装置14に保持された基板32の上面に平行な移動平面である水平面内の任意の位置へ移動させられる。保持部材454は、可動部材434に設けられた保持部材昇降装置460により昇降させられ、保持部材昇降装置460と共に移動装置410により移動させられる。本実施形態においては、移動装置410が撮像装置移動装置と保持部材・保持部材昇降装置移動装置とを兼ねている。本保持部材昇降装置460は鉛直に設けられたエアシリンダにより構成され、そのシリンダハウジング462から下方へ延び出させられたピストンロッド464の下端部に板状の保持部材454が水平に取り付けられている。ピストンロッド464の伸縮により、保持部材454が、ピストンのストロークエンドにより決まる上端端位置と下降端位置とに昇降させられ、基板ストッパ450および基板押さえ452が昇降させられる。
【0046】
本実施形態においては基板ストッパ450は円柱状を成し、保持部材454から下方へ延び出す状態で取り付けられている。基板押さえ452は円柱状を成し、少なくとも1つ、本実施形態においては複数、例えば、4つ、板状の取付部材466に保持されて保持部材454に取り付けられている。基板ストッパ450は、図14に示すように、平面視において4つの基板押さえ452より、搬送方向の上流側に位置させられ、図13に示すように、側面視において4つの基板押さえ452の下端がいずれも基板ストッパ450の下端より下方に位置させられている。
【0047】
前記制御装置24は、図15に示すようにコンピュータ470を主体として構成され、画像処理コンピュータ472等が接続され、駆動回路474を介して電動モータ46等、各種駆動源を制御する。本印刷機を構成する種々の装置の駆動源を構成する電動モータの多くは、回転角度の正確な制御が可能な電動回転モータであるサーボモータにより構成され、そのエンコーダ476の信号がコンピュータ470に入力される。また、本実施形態においては、送りねじ136およびナット138を始めとして、各種送りねじおよびナットは複数のボールを介して螺合されてボールねじ機構を構成し、プーリ144およびベルト146を始めとして、各種プーリおよびベルトはタイミングプーリおよびタイミングベルトとされている。
【0048】
次に作動を説明する。本印刷機への基板32の搬入時には、マスク支持装置16は下降端位置に位置し、基板保持装置14,基板支持装置150はそれぞれ、マスク支持装置16,サイドクランプ装置152に対して下降端位置に位置する。また、可動マスク支持部材62,64はマスク支持位置に位置し、可動マスク支持部材64はマスク支持装置本体60に固定されていない。マスク支持位置は、可動マスク支持部材62,64が水平方向においてクランプ部材156,158に隣接する状態となり、マスク30を下方から支持する位置である。また、可動クランプ部材158は、基板32から離間し、クランプしない非クランプ位置ないし離間位置に位置する。なお、マスク支持部材64のマスク支持位置は、本実施形態においては、可動クランプ部材158が非クランプ位置に位置する状態でも、マスク支持部材62,64間へ入ることができる位置とされている。
【0049】
基板搬送装置12が作動させられて基板32が搬入される。基板ストッパ450は、搬送方向において予め設定された停止位置に位置させられるとともに、保持部材454の下降端位置への下降により、その下端部が基板32の搬送経路内に位置する作用位置に下降させられている。そのため基板ストッパ450は基板32の前縁に当接し(図14参照)、マスク30に対応する停止位置に停止させる。
【0050】
停止後、保持部材454が、基板ストッパ450が搬送方向において基板32から離間する向きに移動させられるとともに、上昇端位置へ上昇させられ、基板ストッパ450が搬送経路から離脱した退避位置へ上昇させられる。そして、保持部材454は、図16(a)に示すように、基板押さえ452が、基板32の中央部の上方に位置する位置へ移動させられる。
【0051】
この状態で、図16(b)に示すように可動マスク支持部材62,64が押さえ位置へ移動させられる。押さえ位置は、基板受け面92がクランプ部材156,158およびベルト270の上方に位置する位置である。そして、基板保持装置14がマスク支持装置16に対して上昇させられ、図16(c)に示すようにクランプ部材156,158が基板受け面92に当接させられる。
【0052】
次いで、基板支持装置150がサイドクランプ装置152に対して上昇させられる。それにより、図16(d)に示すように支持ピン304が基板32に接触し、ベルト270から持ち上げ、基板受け面92に当接させる。基板支持装置150は、カップ332が弾性変形させられ、支持面328が基板32に当接する状態となる位置まで上昇させられる。基板支持装置150の上昇距離が過剰であれば、支持体68がスプリング86の付勢力に抗して回動させられて逃げ、基板32の損傷が回避される。
【0053】
この状態で保持部材454が下降させられ、基板押さえ452が下降させられる。基板押さえ452は、保持部材454が下降端位置へ到達する前に基板32の上面に当接し、図16(e)に示すように、支持ピン304の支持面328に押し付けて下降を停止させられる。この際、基板32に上方へ凸の反りがあれば、基板押さえ452により押さえられて真っ直ぐな姿勢に矯正され、基板32の両縁部が基板受け面92により受けられる。基板押さえ452が下降させられるとき、保持部材昇降装置460を構成するエアシリンダのエア室のエア圧力は圧力制御装置(図示省略)により、基板押さえ452が基板32の弾性力に抗して反りを矯正するのに適した大きさに制御される。
【0054】
次いで、1対の駆動ユニット216が作動させられ、可動クランプ部材158が基板32に接近させられ、やがて、図16(f)に示すように、固定クランプ部材156との間に基板32を挟んで固定する。基板32の側端面に傾きがあれば、1対の駆動ユニット216の駆動による可動クランプ部材158の移動量が異なり、可動クランプ部材158は、係合ブロック240の支持軸230まわりの回動により、鉛直軸線まわりに回動させられて基板32の側端面に沿って押し付けられる。また、エアシリンダ220が連結リンク228を押す力が減力され、可動クランプ部材158が損傷の恐れなく、基板32をクランプする。クランプ後、支持ピン304に負圧が供給され、基板32を吸着し、支持面328により水平な姿勢で支持する。支持ピン304は保持ピンでもある。
【0055】
吸着後、図16(g)に示すように基板保持装置14がマスク支持装置16に対して下降させられ、クランプ部材156,158および基板32が基板受け面92から離間させられる。また、保持部材454が上昇端位置へ上昇させられ、基板押さえ452が退避位置へ上昇させられて基板32から離間させられる。そして、図16(h)に示すように、可動マスク支持部材62,64がマスク支持位置へ後退させられ、可動マスク支持部材64がマスク支持装置本体60に固定される。次いで、図16(i)に示すように、基板保持装置14がマスク支持装置16に対して上昇させられ、クランプ部材156,158および基板32が可動マスク支持部材62,64の間に嵌合され、それらの上面がマスク支持面90と同一平面内に位置させられる。この状態では、傾斜側面94と傾斜側面168,214とが互いに近接して対向するが、図5に示すように、それらの間の隙間が平面視においてスキージ38の長手方向に対して傾斜する。そのため、はんだの印刷時にスキージ38がマスク支持部材62,64とクランプ部材156,158との間の隙間に落ち込むことがない。
【0056】
基板32の側端面に傾きがあれば、可動クランプ部材158が回動させられるが、その回動による可動クランプ部材158の水平面内における傾きは、マスク支持位置に位置する可動マスク支持部材64と可動クランプ部材158との各傾斜側面94,214間の隙間により許容され、クランプ部材156,158および基板32は、マスク支持位置に位置する可動マスク支持部材64の間へ進入することができる。なお、図16においては、理解を容易にするために基板32とクランプ部材156,158との間の隙間を誇張して図示したため、図16(i)〜図16(k)において傾斜側面94,214間の隙間が大きく図示されているが、実際にはそれより小さく僅かである。
【0057】
嵌合後、撮像装置22が移動させられ、マスク30,基板32にそれぞれ形成されたマークの撮像,両者の位置ずれの取得,修正等が行われる。これら撮像等はよく知られており、説明を省略する。撮像後、撮像装置22は基板ストッパ450,基板押さえ452と共に、搬送方向において、マスク30と基板32との間の空間から離脱し、退避した退避位置へ移動させられる。
【0058】
そして、マスク支持装置16が上昇させられる。基板保持装置14はマスク支持装置16に対して停止させられており、マスク支持装置16と共に上昇させられ、図16(j)に示すようにマスク支持面90とクランプ部材156,158および基板32の各上面とがマスク30の下面に接触させられる。マスク支持面90は、マスク30の下面の、クランプ部材156,158,基板32が接触離間させられる部分より外側の部分に接触し、吸引口116に負圧が供給され、マスク30を下方から吸着して支持する。そして、スキージ38がマスク30の上面に接触させられ、その上面に沿ってはんだを移動させ、貫通穴34に充填する。
【0059】
印刷後、基板32がマスク30から離間させられる。本実施形態においては、可動マスク支持部材62,64がマスク30を吸着したままの状態でマスク支持装置16が下降させられる。基板保持装置14はマスク支持装置16に対して上昇したままとされ、マスク支持装置16と一体的に下降させられる。そのため、図16(k)に示すように、マスク30が可動マスク支持部材62,64により引っ張られて下方へ撓まされ、基板32はマスク30が接触したままの状態で下降させられる。
【0060】
可動マスク支持部材62,64および基板32は、マスク30の弾性変形により許容される距離、一体的に下降させられた状態で急激に停止させられる。それにより、貫通穴34内に充填され、基板32に付着させられたはんだに基板32に向かう向きの慣性力が発生させられ、付着力が増す。停止後、可動マスク支持部材62,64がマスク30を吸着したままの状態で、マスク支持装置16が基板保持装置14と一体的に、図16(j)に示す印刷時の位置へ上昇させられる。上昇後、可動マスク支持部材62,64によるマスク30の吸着が解除される。そして、基板保持装置14がマスク支持装置16に対して下降させられ、可動マスク支持部材62,64がマスク30を支持した状態で基板32がマスク30から低速で離間させられ、基板32への付着力が増したはんだが貫通穴34から確実に抜け出させられる。
【0061】
離間後、マスク支持装置16が、基板32のマスク30からの離間速度より高速で下降させられ、それと一体的に基板保持装置14も下降させられる。この下降の間に、サイドクランプ装置152による基板32のクランプが解除されるとともに、基板支持装置150がサイドクランプ装置152に対して下降させられ、基板32がベルト270上に載置される。本実施形態においては、制御装置24のマスク支持装置昇降装置120および基板保持装置昇降装置340を制御し、貫通穴34内のはんだに基板32に向かう向きの慣性力を発生させる部分が慣性力発生制御部を構成している。また、印刷機本体10が第1部材、マスク支持装置本体60が第2部材、クランプ装置本体154および基板支持装置本体300の各々が第3部材をそれぞれ構成し、印刷機本体10,マスク支持装置16,基板支持装置150およびサイドクランプ装置152が回路基板接離装置を構成している。
【0062】
なお、回路基板が極く薄く、サイドクランプすることができない場合には、図16(f)に示すサイドクランプ工程が省略され、基板押さえ452による基板32の押さえ後、支持ピンにより吸着される。
【0063】
また、基板の種類によっては、支持ピンによる吸着が不要であり、支持ピンが基板吸着機能を備えず、カップを有さないものとされる。この場合、基板搬入後、基板支持装置150がサイドクランプ装置152に対して、反りのない基板32の上面がクランプ部材156,158の上面と同一平面内に位置する位置へ上昇させられる。そして、基板保持装置14がマスク支持装置16に対して上昇させられ、クランプ部材156,158および基板が基板受け面92に当接させられる。その後、基板押さえ452が下降させられ、基板の上反りが矯正される。そして、基板がクランプ部材156,158によりクランプされる。
【0064】
基板クランプ装置は、上下クランプ装置としてもよい。その実施形態を図17に基づいて説明する。
本上下クランプ装置500は、前記クランプ装置本体154と同様のクランプ装置本体(図示省略)と、1対の上クランプ部材502,504と、1対の下クランプ部材506,508とを含む。上クランプ部材502,504は長手形状を成し、上クランプ部材502は、クランプ装置本体に固定されたサイドフレーム510の上端に長手方向が搬送方向に平行となる姿勢で固定され、上クランプ部材504は、クランプ装置本体に前後方向に移動可能に設けられ、門形を成すサイドフレーム512の梁部513の上端に長手方向が搬送方向に平行となる姿勢で固定されている。サイドフレーム512は、搬送幅変更装置により移動させられる。上クランプ部材502,504はそれぞれ、搬送方向に平行に延びる上端から、基板支持装置514の上方へ突出したクランプ部516,518を備えている。クランプ部516,518は長手形状の薄い板状を成す。また、サイドフレーム510,512にはそれぞれ、その側面に基板搬送装置520のベルト522およびベルト周回装置(図示省略)が設けられている。なお、図17においては、サイドフレーム512は梁部513の両端部を支持する1対の脚部524の一方を除いて図示されている。
【0065】
下クランプ部材506は長手形状の板状を成し、基板支持装置本体530のクランプ部516と対向する部分に、長手方向が搬送方向に平行となり、基板支持装置本体530から立ち上がった姿勢で取り付けられている。下クランプ部材508は長手形状の板状を成し、梁部513に昇降可能に保持された保持体532に、長手方向が搬送方向に平行となり、板面が鉛直となる姿勢で固定され、クランプ部518の下方に設けられている。保持体532は、圧縮コイルスプリング534により下向きに付勢されている。このスプリング534の付勢による保持体532の下降端は図示を省略するストッパにより規定され、下降端位置において下クランプ部材508は、その上端がベルト522の上面よりやや下に位置させられる。また、保持体532の下面には、複数の係合部536が搬送方向に距離を隔てて突設されている。
【0066】
基板32の搬入後、基板支持装置514が上下クランプ装置500に対して上昇させられる。それにより、下クランプ部材506が上昇させられ、その途中で基板支持装置本体530が係合部536に当接し、下クランプ部材508を上昇させる。下クランプ部材506,508は同時に基板32の下面に接触し、基板32をベルト522から持ち上げてクランプ部516,518との間に挟み、共同してその側端部を上下方向からクランプし、下方から直線状に支持する。下クランプ部材506,508は基板支持部材でもあり、基板支持装置514を構成する。本実施形態においては、可動マスク支持部材62,64は基板32を受ける必要がなく、常時、マスク支持位置に位置させられている。クランプ後、上下クランプ装置500および基板支持装置514を含む基板保持装置540がマスク支持装置16に対して上昇させられ、上クランプ部材502,504および基板32が1対のマスク支持部材62,64間に進入させられて、上クランプ部材502,504の上面およびマスク支持面90が同一平面内に位置させられる。
【0067】
上下クランプ装置の下クランプ部材を、支持ピンを備えた基板支持装置のピン支持台に着脱可能に設け、回路基板の上下クランプと支持ピンによる支持との少なくとも一方が選択的に行われるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
14:基板保持装置 16:マスク支持装置 120:マスク支持装置昇降装置 150:基板支持装置 152:サイドクランプ装置 340:基板保持装置昇降装置 500:上下クランプ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通穴が形成された水平なマスクの上面に沿ってスキージにより被印刷剤を移動させ、その被印刷剤を前記マスクの貫通穴を通して回路基板に印刷するスクリーン印刷機であって、
回路基板を前記マスクに接触離間させる回路基板接離装置を含み、その回路基板接離装置が、(a)互いに相対的に昇降する第1部材および第2部材と、(b)その第2部材から上下方向に延び出させられたガイドロッドと、(c)そのガイドロッドの両側に位置する複数の位置において前記第2部材から前記ガイドロッドと平行に延び出させられた複数本の送りねじと、(d)前記第1部材に設けられ、前記ガイドロッドと摺動可能に嵌合されたガイドスリーブと、(e)前記第1部材に設けられ、前記複数本の送りねじとそれぞれ螺合された複数のナットと、(f)前記複数本の送りねじと前記複数のナットとを一斉に相対回転させる相対回転装置とを含むことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
前記回路基板接離装置が、さらに、(g)前記第2部材に対して上下方向に相対移動する第3部材と、(h)その第3部材から上下方向に延び出させられたガイドロッドとを含み、かつ、前記第2部材から延び出させられたガイドロッドが中空のガイドロッドとされ、その中空のガイドロッドの内側に前記第3部材から延び出させられたガイドロッドが摺動可能に嵌合された請求項1に記載のスクリーン印刷機。
【請求項3】
複数の貫通穴が形成された水平なマスクの上面に沿ってスキージにより被印刷剤を移動させ、その被印刷剤を前記マスクの貫通穴を通して回路基板に印刷するスクリーン印刷機であって、
回路基板を水平に保持する基板保持装置と、
その基板保持装置を昇降させることにより回路基板を前記マスクの下面に接触離間させる基板保持装置昇降装置と、
前記マスクの下面の、回路基板が接触離間させられる部分より外側の部分に接触して前記マスクを下方から支持するマスク支持装置と、
そのマスク支持装置を昇降させることによりそのマスク支持装置を前記マスクの下面に接触離間させるマスク支持装置昇降装置と、
スクリーン印刷機本体と
を含み、前記マスク支持装置昇降装置が、前記スクリーン印刷機本体に対する前記マスク支持装置の昇降を案内する第1案内装置および前記マスク支持装置を前記スクリーン印刷機本体に対して昇降させる第1昇降駆動装置を含み、前記基板保持装置昇降装置が、前記マスク支持装置に対する前記基板保持装置の昇降を案内する第2案内装置および前記基板保持装置を前記マスク支持装置に対して昇降させる第2昇降駆動装置を含み、かつ、前記第1案内装置が、前記マスク支持装置の中央部から下方へ延び出させられた中空の第1ガイドロッドと、前記スクリーン印刷機本体に設けられて前記第1ガイドロッドと摺動可能に嵌合された第1ガイドスリーブとを含み、前記第2案内装置が、前記基板保持装置の中央部から下方へ延び出させられて前記中空の第1ガイドロッド内に摺動可能に嵌合された第2ガイドロッドを含むスクリーン印刷機。
【請求項4】
前記第1昇降駆動装置が、
前記第1ガイドロッドの両側に位置する複数の位置において前記マスク支持装置から前記第1ガイドロッドに平行に下方へかつ軸方向に相対移動不能に延び出させられた複数本の第1送りねじと、
前記スクリーン印刷機本体に軸方向に相対移動不能に設けられて前記複数本の第1送りねじの各々と螺合された複数の第1ナットと、
それら互いに螺合された複数本の第1送りねじと複数の第1ナットとを一斉に相対回転させる第1相対回転装置と
を含む請求項3に記載のスクリーン印刷機。
【請求項5】
前記基板保持装置が、
前記回路基板の下面を支持する基板支持装置と、
その基板支持装置に支持された回路基板をクランプして固定する基板クランプ装置と、
その基板クランプ装置に対する前記基板支持装置の昇降を案内する第3案内装置および前記基板支持装置を前記基板クランプ装置に対して昇降させる第3昇降駆動装置と
を含み、前記第2案内装置および前記第2昇降駆動装置が前記基板クランプ装置と前記マスク支持装置との間に設けられた請求項3または4に記載のスクリーン印刷機。
【請求項6】
前記第3案内装置が、前記基板支持装置の中央部から下方へ延び出させられた第3ガイドロッドと、前記基板クランプ装置に設けられて前記第3ガイドロッドと摺動可能に嵌合された第3ガイドスリーブとを含み、前記第3ガイドロッドが前記第2ガイドロッドを兼ねる請求項5に記載のスクリーン印刷機。
【請求項7】
前記第3昇降駆動装置が、
前記第3ガイドロッドの両側に位置する複数の位置において前記基板支持装置から前記第3ガイドロッドに平行に下方へかつ軸方向に相対移動不能に延び出させられた複数本の第3送りねじと、
前記基板クランプ装置に軸方向に相対移動不能に設けられて前記複数本の第3送りねじの各々と螺合された複数の第3ナットと、
それら互いに螺合された複数本の第3送りねじと複数の第3ナットとを一斉に相対回転させる第3相対回転装置と
を含み、かつ、前記第3送りねじが、前記マスク支持装置に軸方向に移動不能に設けられた第2ナットと螺合され、その第2ナットと第3送りねじとを相対回転させる第2相対回転装置が設けられて、それら第2ナットおよび第2相対回転装置が前記第3送りねじと共同して前記第2昇降駆動装置を構成する請求項6に記載のスクリーン印刷機。
【請求項8】
前記基板保持装置が、回路基板を支持する支持面に開口させられた吸引口を備え、前記第2ガイドロッドに、その第2ガイドロッドを長手方向に貫通する貫通穴が形成され、その貫通穴と前記中空の第1ガイドロッドの内部空間とが前記吸引口に連通する空気吸引通路とされた請求項3ないし7のいずれかに記載のスクリーン印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−235586(P2011−235586A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110428(P2010−110428)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】