説明

スクリーン印刷装置

【課題】基板支持テーブルの特定方向における移動経路を全体として短縮し、スループットの向上に寄与すること。
【解決手段】印刷対象となる基板の搬送方向と直交する特定方向Yに沿って移動可能に設けられた少なくとも一台の基板支持テーブル10A、10Bを設ける。基板搬入位置EnP1、En2と、基板搬出位置Ex1、Ex2とを中心線OYに対して非対称に設定する。印刷実行部20A、20Bによる印刷位置SP1、SP2は、基板搬入位置EnP1、En2から基板搬出位置Ex1、Ex2までの移動に要する基板搬送経路PH上に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷装置に関し、特に、プリント配線板(Printed Wiring Board: PWB)等の基板に電子部品を実装するための前処理として、当該基板にクリーム半田や導電性ペースト等をスクリーン印刷するスクリーン印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷装置は、プリント回路板(Printed Circuit Board: PCB)の製造ラインに組み込まれ、上流側から搬送されてくる基板に導電性ペースト等のスクリーン印刷を施して下流側の部品実装装置に送り出すものである。この種のスクリーン印刷装置の多くは、特許文献1に開示されるように、装置内の一つの印刷部に対して一枚ずつ基板を受け入れて印刷処理を施しつつ部品実装装置に送り出すものが一般的である。そのため、スクリーン印刷装置に搬出入される基板の経路を当該スクリーン印刷装置の中央部に設定し、スクリーン印刷を施す印刷位置も、基板搬送経路上の中央位置に設定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−205399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、基板を支持する基板支持テーブルを基板の搬送方向と直交する特定方向に移動可能に構成して、基板支持テーブルに基板の搬送経路を、当該搬送方向と直交する特定方向に振り分ける振り分け機能を持たせる要請が増えてきている。そのような場合に、印刷位置が基板搬送経路上の中央位置に設定されていると、無駄な動線が発生し、スループットが低くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、基板の搬出入方向と直交する方向に沿って移動可能に構成された基板支持テーブルを用いて、スループットを高めることのできるスクリーン印刷装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、所定の搬送方向に沿って搬送された基板を基板搬入位置から搬入してスクリーン印刷を施し、印刷後の基板を前記搬送方向の下流側に設定される基板搬出位置から搬出するスクリーン印刷装置において、前記基板にスクリーン印刷を施す印刷実行部と、前記搬送方向と直交する特定方向に沿って移動可能に設けられ、前記基板搬入位置から搬入された基板を保持して、前記印刷実行部により設定される印刷位置にて印刷工程に供するとともに、印刷後の基板を前記基板搬出位置から搬出する、少なくとも一台の基板支持テーブルと、前記基板支持テーブルを前記特定方向に沿って少なくとも前記基板搬入位置から前記基板搬出位置の間で往復移動するテーブル駆動機構とを備え、前記基板搬入位置と前記基板搬出位置は、前記特定方向に沿う装置中心線に対し非対称に設定されているものであり、前記印刷実行部を前記特定方向に沿って駆動する印刷実行部駆動機構と、前記基板支持テーブルが前記基板の搬入から前記基板の搬出までに移動を要する基板搬送経路上において、前記印刷位置を設定するよう前記印刷実行部を駆動するように前記印刷実行部駆動機構を制御する制御手段とを設けていることを特徴とするスクリーン印刷装置である。この態様では、基板搬入位置と基板搬出位置とが、特定方向に沿う装置中心線に対して非対称に設定されている場合であっても、前記基板支持テーブルが基板の搬入から基板の搬出までの移動に要する基板搬送経路上で印刷工程を実行することができるので、単純に装置中央部に印刷位置が配置されている場合に比べて短くなる。そのため、基板支持テーブルの特定方向における移動経路を全体として短縮し、スループットの向上に寄与することが可能になる。しかも印刷実行部を特定方向に移動させることによって、印刷位置を必要に応じて調整することが可能になる。この結果、基板搬入位置または基板搬出位置のレイアウト態様や、基板支持テーブルの運転状況に応じて、印刷位置を変更することができ、一層効率よく印刷工程を処理することができる。
【0007】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記基板搬送経路中において、当該基板搬送経路の中央位置よりも、当該基板搬入位置から前記基板を前記基板支持テーブルが受け取る受取位置と前記基板搬出位置に前記基板支持テーブルが前記基板を送出する送出位置の何れか一方に前記印刷位置を設定するように前記印刷実行部駆動機構を制御するものである。この態様では、基板搬入位置から印刷位置までの動作タイミングまたは印刷位置から基板搬出位置までの動作タイミングが可及的に短くなるので、より好適にスループットの向上を図ることができる。
【0008】
好ましい態様において、前記印刷工程に先立って前記基板支持テーブルと前記印刷実行部とを前記特定方向において相対的に移動することにより、当該基板支持テーブルに支持された前記基板に所定の前工程を実行する前工程処理手段をさらに備え、前記制御手段は、前記前工程処理手段が当該前工程を終了したときの当該基板支持テーブルの停止位置と前記基板搬出位置までの間に前記印刷位置を設定するように前記印刷実行部駆動機構を制御するものである。この態様では、印刷工程に先立って、当該前工程が終了したときの基板支持テーブルの停止位置と前記基板搬出位置との間に前記印刷位置が設定されるので、印刷工程に移行する基板は、当該基板支持テーブルの停止位置から搬出方向と逆向きに移動することなく、印刷工程に移行することができる。また、印刷工程後の基板は、基板搬出位置に対して逆方向に移動することなく、搬出されることになる。従って、前工程から搬出に至るまでの動線のロスを解消することができる。ここで、「前工程」は、例えば、基板に設定された標識を認識する「マーク認識」工程であってもよい。また、部品実装後に分割される多面取りの基板のいくつかに設定された不良マークを認識する「バッドマーク認識」工程であってもよい。或いは、基板上に付着した異物を検査する「異物検査」工程であってもよい。また、「基板支持テーブルの停止位置と前記基板搬出位置との間」は、基板の搬送経路が逆戻りしない範囲内で種々の範囲に設定することが可能である。例えば、印刷工程後に基板支持テーブルと印刷実行部とを相対的に変位してクリーニング処理を実施する場合には、当該クリーニング処理の開始位置に設定していてもよい。
【0009】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記前工程処理手段が当該前工程を終了したときの当該基板支持テーブルの停止位置に前記印刷位置を設定するように前記印刷実行部駆動機構を制御するものである。この態様では、前工程が終了した時点で、基板支持テーブルを停止し、印刷工程に移行することができるので、前工程後の基板がその後の移動によって位置ずれを起こすおそれがない。従って、印刷工程における基板とスクリーンマスクとの位置決めが精緻になるという利点がある。
【0010】
好ましい態様において、前記印刷工程後に前記基板支持テーブルと前記印刷実行部とを前記特定方向において相対的に移動することにより、所定の後工程を実行する後工程処理手段をさらに備え、前記制御手段は、前記後工程処理手段が当該後工程を開始するときの当該基板支持テーブルの位置に前記印刷位置を設定するように前記印刷実行部駆動機構を制御するものである。この態様では、後工程を実施する際、当該後工程を開始するときの基板支持テーブルの位置に前記印刷位置が設定されるので、後工程に移行する基板は、当該印刷位置から搬出方向と逆向きに移動することなく、直ちに後工程に移行することができる。従って、印刷工程から搬出に至るまでの動線のロスを解消することができる。ここで、「後工程」は、例えば、印刷工程後のスクリーンマスクの重装面を清浄する「クリーニング処理」工程であってもよい。或いは、印刷後の基板上の印刷状態を検査する「印刷後検査」工程であってもよい。
【0011】
好ましい態様において、前記基板支持テーブルは、前記特定方向に並置されて対をなしており、前記印刷実行部は、一対の前記基板支持テーブル毎に設けられた一対の前記印刷位置を個別に設定するものであり、前記基板支持テーブル駆動機構は、一対の前記基板支持テーブルを個別に駆動するものであり、前記印刷実行部駆動機構は、一対の前記印刷実行部を個別に駆動するものであり、前記制御手段は、前記印刷実行部毎に印刷位置を設定するものであり、前記基板搬入位置と基板搬出位置は、少なくとも何れか一方が二つ一組である。この態様では、基板支持テーブル、印刷実行部をそれぞれ2つ一組にしてスループットを向上させることとしているので、スクリーン印刷装置の上流側と下流側の少なくとも一方が2系統の基板搬送ラインを有するデュアル搬送式の製造ラインにおいても、充分な処理能力(スループット)を発揮することが可能になる。
【0012】
好ましい態様において、一対の前記印刷実行部の動線が前記特定方向において重複する共有エリアが設定されており、前記制御手段は、一対の前記印刷実行部の並行動作中に両印刷実行部の干渉の発生を予見する手段と、前記干渉の発生が予見された場合には、少なくとも何れか一方の印刷実行部に設定される印刷位置を変更するように前記印刷実行部駆動機構を制御する印刷位置設定手段とを備えている。この態様では、干渉の発生が予見された場合には、印刷位置設定手段が少なくとも何れか一方の印刷実行部に設定される印刷位置を変更するように印刷実行部駆動機構を制御する。これにより、一対の印刷実行部は、共有エリアが設定されている場合においても、干渉を回避しつつ印刷工程を並行することができる。
【0013】
好ましい態様において、前記印刷位置設定手段は、前記干渉の発生が予見された場合には、一対の前記印刷実行部の双方が干渉回避可能な対向間隔を折半する退避距離だけ退避するように前記印刷位置を設定するように前記印刷実行部駆動機構を制御するものである。この態様では、同時に一対の印刷実行部が共有エリアに進入しようとする場合に、双方が干渉を回避するための対向間隔を折半するので、両印刷実行部での退避動作が等配され、何れにも退避時間が偏ることなく退避処理を実行することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、基板搬入位置と基板搬出位置とが、特定方向に沿う装置中心線に対して非対称に設定されている場合であっても、基板の搬送経路上で印刷工程を実行することができるので、基板支持テーブルの特定方向における移動経路を全体として短縮し、スループットの向上に寄与することが可能になるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の一形態に係るスクリーン印刷装置の平面略図である。
【図2】図1のスクリーン印刷装置の側面略図である。
【図3】図1のスクリーン印刷装置の印刷実行部を示す斜視図である。
【図4】図1のスクリーン印刷装置の印刷実行部を示す平面略図である。
【図5】図1のスクリーン印刷装置の印刷実行部を示す平面拡大略図である。
【図6】図1のスクリーン印刷装置の印刷実行部を示す斜視図である。
【図7】図1のスクリーン印刷装置のヘッドの具体的構成を示す側面図である。
【図8】図1のスクリーン印刷装置のヘッドの具体的構成を示す斜視図である。
【図9】図1のスクリーン印刷装置のマスク保持機構を示す平面略図である。
【図10】図1のスクリーン印刷装置の制御構成を示すブロック図である。
【図11】図1のスクリーン印刷装置に記憶されているデータの一部を示すエンティティリレーションシップ(ER)図である。
【図12】図1に係るスクリーンマスクの寸法関係を示す平面略図である。
【図13】図1のスクリーン印刷装置の寸法関係を示す平面略図である。
【図14】本発明を適用可能なスクリーン印刷装置の別のレイアウト/寸法関係を示す平面略図である。
【図15】本発明を適用可能なスクリーン印刷装置のさらに別のレイアウト/寸法関係を示す平面略図である。
【図16】本発明の第1実施形態に係る生産フローを示すフローチャートである。
【図17】図16における初期印刷位置設定サブルーチンを示すフローチャートである。
【図18】図16における初期印刷位置設定サブルーチンの別の態様を示すフローチャートである。
【図19】図16における印刷位置調整処理サブルーチンを示すフローチャートである。
【図20】図19の実行結果に基づく基板支持テーブルの移動範囲を示す説明図である。
【図21】図16における印刷位置調整処理サブルーチンの別の態様を示すフローチャートである。
【図22】本発明の第2実施形態に係る生産フローを示すフローチャートである。
【図23】図22における初期印刷位置設定サブルーチンを示すフローチャートである。
【図24】本発明の別の態様を示す平面略図である。
【図25】本発明のさらに別の態様を示す平面略図である。
【図26】本発明のさらに別の態様を示す平面略図である。
【図27】本発明のさらに別の態様を示す平面略図である。
【図28】図24から図27の態様に適用可能な印刷位置調整処理サブルーチンを示すフローチャートである。
【図29】図24から図27の態様に適用可能な印刷位置調整処理サブルーチンの別の態様を示すフローチャートである。
【図30】本発明のさらに別の態様を示す平面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0017】
図1および図2を参照して、本実施形態に係るスクリーン印刷装置1は、その下流側にデュアル搬送型の部品実装装置Mtを連結した状態でプリント回路板(PCB)の製造ラインに組み込まれるものである。図示の例では、スクリーン印刷装置1は、並列に配置された2台のローダL1、L2(第1ローダL1、第2ローダL2という)と、1台の部品実装装置Mtとの間に介設されており、上流側の各ローダL1、L2から繰り出されてくる基板Wにスクリーン印刷を施して、下流側の部品実装装置Mtに送り出す構成になっている。
【0018】
なお、以下の説明では、製造ラインにおける基板Wの搬送方向をX軸方向、水平面上でX軸方向と直交する方向をY軸方向、これらX軸、Y軸の両方向に直交する方向(鉛直方向)をZ軸方向としてスクリーン印刷装置1の説明を行う。本実施形態において、Y軸方向は、本発明の「特定方向」の一例である。
【0019】
第1、第2ローダL1、L2には、それぞれ第1、第2ベルトコンベア対CL1、CL2が設けられている。他方、部品実装装置Mtには、ベルトコンベア対CM1、CM2(第1ベルトコンベア対CM1、第2ベルトコンベア対CM2ともいう)が設けられている。基板Wは、これらベルトコンベア対CL1、CL2、CM1、CM2に沿って搬送される。そして、スクリーン印刷装置1には、第1、第2ローダL1、L2に臨む基板搬入位置EnP1、EnP2が当該基板搬送方向の上流側に設定されているとともに、第1、第2ベルトコンベア対CM1、CM2に臨む基板搬出位置ExP1、ExP2が設定されている。図示の通り、本実施形態に係る基板搬入位置EnP1、EnP2と、基板搬出位置ExP1、ExP2は、当該スクリーン印刷装置1のY軸方向に沿う中心線OYに対して非対称に設定されている。
【0020】
スクリーン印刷装置1は、その基台2上に、基板Wを支持するための2つの基板支持テーブル10A、10B(第1基板支持テーブル10A、第2基板支持テーブル10Bともいう)と、これら基板支持テーブル10A、10B毎に設けられて対をなす印刷実行部20A、20B(第1印刷実行部20A、第2印刷実行部20Bともいう)とを備えている。
【0021】
各基板支持テーブル10A、10Bは、そのX軸方向上流側端部に基板搬入部En1、En2(第1基板搬入部En1、第2基板搬入部En2ともいう)を有する一方、X軸方向上流側端部に基板搬出部Ex1、Ex2(第1基板搬出部Ex1、第2基板搬出部Ex2という)を有している。図示の実施形態では、第1基板搬入部En1、第2基板搬入部En2は、第1基板搬入位置EnP1、第2基板搬入位置EnP2上に設けられている。スクリーン印刷装置1は、第1ローダL1から繰り出される基板Wを第1基板搬入部En1から搬入し、印刷実行部20Aにより設定される印刷位置SP1、SP2にてスクリーン印刷を施し、当該印刷工程後の基板Wを第1基板搬出部Ex1から部品実装装置Mtの第1ベルトコンベア対CM1に搬出する一方で、第2ローダL2から繰り出される基板Wを第2基板搬入部En2から装置内に搬入し、印刷実行部20Bにより設定される印刷位置SP1、SP2にてスクリーン印刷を施し、当該印刷工程後の基板Wを第2基板搬出部Ex2から部品実装装置Mtの第2ベルトコンベア対CM2に搬出するように構成されている。このようにスクリーン印刷装置1内には、ローダL1(L2)に臨む基板搬入位置EnP1(EnP2)からローダCM1(CM2)に臨む基板搬出位置ExP2までの移動に要する基板搬送経路PH1、PH2が設定されている。
【0022】
各基板支持テーブル10A、10Bは、X軸方向に細長の平面視略長方形の形状を有しており、ねじ軸4A、4B、モータ5A、5B等によって具体化される基板支持テーブル駆動機構により、個別にY軸方向に移動するように構成されている。すなわち、各基板支持テーブル10A、10Bは、基台2上に設けられたY軸方向に延びる共通の固定レール3上に移動自在に支持されており、それぞれねじ軸4A、4Bを介してモータ5A、5Bにより駆動されるように構成されている。そして、後述する制御ユニット60によるモータ制御に基づき、第1基板支持テーブル10Aは、第1ローダL1から繰り出される基板Wを第1基板搬入部En1で受け取り可能な受取位置及び基板Wを第1基板搬出部Ex1から下流側の部品実装装置Mtのベルトコンベア対CM1に送り出し可能な送出位置と、印刷工程においてスクリーン印刷が施される印刷位置SP1、SP2との間で移動する。第2基板支持テーブル10Bは、第2ローダL2から繰り出される基板Wを第2基板搬入部En2で受け取り可能な受取位置及び基板Wを第2基板搬出部Ex2から下流側の部品実装装置Mtのベルトコンベア対CM2に送り出し可能な送出位置と、印刷工程においてスクリーン印刷が施される印刷位置SP1、SP2との間で移動するようになっている。加えて、第1基板支持テーブル10A及び第2基板支持テーブル10Bは、予め設定された順序で交互に印刷工程に移行する。ねじ軸4A、4Bには、ロータリエンコーダが取り付けられており、後述する制御ユニット60は、ロータリエンコーダの検出値に基づいて、対応する基板支持テーブル10A、10Bの位置情報と速度情報を取得できるようになっている。本実施形態においては、Y軸方向において、何れかの基板支持テーブル10A(10B)が移動可能な範囲をテーブル可動ピッチTphと呼称する(図2、並びに図13から図15参照)。このテーブル可動ピッチTphは、基板支持テーブル10A(10B)が後述する前工程や後工程を処理するため、前記基板搬入位置EnP1、EnP2間(および、基板搬出位置ExP1、ExP2間)よりも幾分広く設定されている(後述する図20参照)。
【0023】
各基板支持テーブル10A、10Bは、X軸方向に延びるベルトコンベア対12A、12Bと、このベルトコンベア対12A、12B上の基板Wを印刷可能に保持するクランプユニット14と、このクランプユニット14をベルトコンベア対12A、12Bに沿ってX軸方向に移動させるためのクランプユニット駆動機構等とを備える。
【0024】
上記ベルトコンベア対12A、12Bは、ベルトコンベアからなり、基板支持テーブル10AにおいてX軸方向上流側の端部が基板搬入部En1、X軸方向下流側の端部が基板搬出部Ex1となり、基板支持テーブル10BにおいてX軸方向上流側の端部が基板搬入部En2、X軸方向下流側の端部が基板搬出部Ex2となる。ベルトコンベアは、第1ローダL1、第2ローダL2から繰り出される基板Wを基板搬入部En1、En2で受け取り、基板搬入部En1、En2から基板支持テーブル10A、10B上に設定される所定の位置まで搬送する(以上を基板の搬入と言う)とともに、印刷工程後の基板Wを基板搬出部Ex1、Ex2まで搬送し、さらに基板搬出部Ex1、Ex2から部品実装装置Mtの第1、第2ベルトコンベア対CL1、CL2へ搬送する(以上を基板の搬出と言う)ものである。
【0025】
図2を参照して、基板支持テーブル10A、10Bの各ベース部材140は固定レール3上にY軸方向に移動可能に支持され、各ベース部材140上にはベース部材140に対してX軸方向に移動可能にXテーブル141が設けられている。Xテーブル141のY方向両端部には、それぞれベルトコンベア12A(12B)を支持するアーム部材161,161が設けられている。
【0026】
上記クランプユニット14は、両アーム部材161の中間においてXテーブル141上に設けられ、ベルトコンベア対12A、12Bから基板Wを持ち上げて支持するバックアップ機構と、アーム部材161,161に設けられ、バックアップ機構によりリフトアップされた基板Wを固定するクランプ機構とを備える。
【0027】
バックアップ機構は、所定配列の複数本のバックアップピン151を備え、かつボールネジ機構等を介して上記Xテーブル141上に昇降可能に支持されるバックアップテーブル150と、ボールネジ機構等の駆動用のモータ152等とを含み、このモータ152の駆動によりボールネジ機構等が作動し、バックアップテーブル150が所定の解放位置とこの位置から上昇した作動位置とに変位するように構成されている。ここで、解放位置は、バックアップピン151の先端位置がベルトコンベア対12A、12Bに支持された基板Wの下面より低くなる位置(図2の右側の基板支持テーブル10Bにおいて示す位置)であり、作動位置は、同基板Wの下面よりバックアップピン151の先端位置が高くなる位置(図2の左側の基板支持テーブル10Aにおいて示す位置)である。従って、このバックアップ機構は、図2の左側に示すように、バックアップテーブル150が作動位置に配置されたときに基板Wをベルトコンベア対12A、12Bから持ち上げる。
【0028】
クランプ機構は、ベルトコンベア対12A、12Bの上方位置においてアーム部材161,161に配置されて、X軸方向に互いに平行に延びる一対のクランプ部材160と、クランプ部材駆動用のアクチュエータ、例えば二方向型のエアシリンダ162とを含む。両クランプ部材160のうち一方側のものは、アーム部材161に対してY軸方向に変位可能に組付けられており、前記エアシリンダ162の駆動により、Y軸方向に沿って解放位置とクランプ位置とに変位する。つまり、クランプ機構は、一方側のクランプ部材160が解放位置からクランプ位置に変位することにより、前記バックアップ機構により持ち上げられた基板Wを他方側のクランプ部材160と共にY軸方向に挟み込んでクランプし、クランプ位置から解放位置に変位することにより、クランプした基板Wを解放するように構成されている。
【0029】
なお、印刷工程では、このようにクランプユニット14によりベルトコンベア対12A、12Bから持ち上げられてクランプ部材160にクランプされた状態の基板Wに対して後記スクリーンマスク206を重装するようになっている。クランプユニット14は、前記印刷実行部20によるスクリーン印刷が可能となる状態に基板をベルトコンベア対12A、12Bからリフトアップさせて保持する。
【0030】
各アーム部材161は、ベルトコンベア対12A、12Bを外側(Y軸方向における外側)から抱え込むように形成された上で、一方のアーム部材161はXテーブル141上一方端部に固定され、他方のアーム部材161はXテーブル141上Y軸方向に固定された固定レール164に沿ってスライド可能に設けられている。他方のアーム部材161のスライド量を調整することで、ベルトコンベア対12A、12Bのコンベア幅を調整し、各種のY方向基板幅の基板Wに対応可能としている。さらに、Y方向基板幅に対応させたベルトコンベア対12A、12Bのコンベア幅によらず、ベルトコンベア対12A、12Bと各クランプ部材160とのY軸方向の相対位置が一定に保持することで、基板WのY方向基板幅によらず基板Wを正確にクランプ可能としている。
【0031】
図3、図4を参照して、基台2には、印刷実行部20を担持する装置フレーム6が設置されている。装置フレーム6は、門型の構造体であり、基台2の四隅に立設されたピラー6aを有している。Y軸方向に沿って対向するピラー6aの対には、梁部6bが一体的に設けられており、梁部6bの上面には、Y軸方向に延びる2本一組のガイドレール7が取り付けられている。本実施形態において、印刷実行部20は、このガイドレール7上に設置され、Y軸方向に沿って往復移動可能に構成されている。印刷実行部20の移動範囲は、図2に示したテーブル可動ピッチTphに対応している。
【0032】
印刷実行部20は、スクリーンマスク保持機構200と、スクリーンマスク保持機構200をX軸方向に配設されるスキージユニット保持機構400とを備えている。
【0033】
スクリーンマスク保持機構200は、装置フレーム6のガイドレール7上に設置されるスライダ201と、このスライダ201に対し、位置調整機構300を介して連結される本体202と、本体202に対し、上下に昇降可能に連結されたマスク昇降部203と、マスク昇降部203の下端に設けられたクランプ部204と、クランプ部204によって担持されたマスク固定部材205と、マスク固定部材205に固定されたスクリーンマスク206とを備えている。
【0034】
スライダ201は、X軸方向の一端側と他端側とに配設されて対をなし、それぞれが装置フレーム6に設けられた図略のボールねじ機構に連結されている。このボールねじ機構は、Y軸サーボモータ210(図10参照)によって駆動されるようになっており、スライダ201は、ボールねじ機構を介してY軸サーボモータ210に駆動されることにより、Y軸方向に往復移動するようになっている。
【0035】
本体202は、平面視矩形の枠状に形成された構造体であり、装置フレーム6のX軸方向上流側のスライダ201に立設された上流側構造体202aと、下流側のスライダ201に立設された下流側構造体202bと、両構造体202a、202bをX軸方向に沿って連結する桟202cとを一体に備えている。
【0036】
マスク昇降部203は、昇降機構211を介して本体202の内側部に連結されている。昇降機構211は、各構造体202a、202bの前後2箇所に配設される4組のボールねじ機構211aと、各ボールねじ機構211aの頂部に設けられたプーリ211bと、各構造体202a、202b、並びに前方の桟202cに配設された複数のアイドルプーリ211cと、これらプーリ211b、211c間に張設される動力伝達ベルト211dと、下流側構造体202bに取り付けられたマスクZ軸サーボモータ211eとを備えており、マスクZ軸サーボモータ211eの鉛直線回りのトルクが、当該マスクZ軸サーボモータ211eの出力プーリ211fから動力伝達ベルト211gを介して下流側構造体202bのアイドルプーリ211cに伝達され、さらに動力伝達ベルト211dからプーリ211bを介して各ボールねじ機構211aのねじ部に伝達されることにより、各ボールねじ機構211aのねじ部が一斉に同一方向に回動し、ねじ部に螺合するナット部と連結されたマスク昇降部203が昇降するように構成されている。これにより、マスク昇降部203は、直下に位置する基板支持テーブル10A(10B)が作動位置にリフトアップしている基板Wに対し、スクリーンマスク206が重装される重装位置と、この重装位置よりも上方にスクリーンマスク206を上昇させる解放位置との間で、スクリーンマスク206を昇降させることができるようになっている。
【0037】
クランプ部204は、マスク昇降部203の下端部分に設けられ、マスク固定部材205の四隅を着脱自在にクランプするものである。クランプ部204は、エアシリンダでZ軸方向に駆動される可動部材と、この可動部材との間でマスク固定部材205を挟持する固定部材とを備えており、オペレータの操作で図略の位置決め部材によって位置決めされたマスク固定部材205を堅固に保持することができるようになっている。
【0038】
マスク固定部材205は、中央にスクリーン印刷用の開口部205aが形成された矩形の枠体で具体化されており、この開口部205aを塞ぐように予め組付けられたスクリーンマスク206が着脱自在に固定されている。
【0039】
スクリーンマスク206は、基板Wに印刷される回路パターンに対応する孔が形成された印刷エリア207が形成されている。
【0040】
上記スライダ201と本体202とを連結する位置調整機構300は、Z軸方向に沿って回動可能な連結軸を介して、スライダ201と本体202を連結する複数の連結部材301と、連結部材301の一部を当該連結軸回りに駆動する駆動部材302と、駆動部材302をY軸方向に沿って往復移動させるマスクY軸サーボモータ303等を含んでおり、スライダ201に対し、本体202をZ軸回りに揺動できるようになっている。これにより、撮像ユニット50で認識されたスクリーンマスク206の実装位置と基板Wの位置とに基づいてマスクY軸サーボモータ303を駆動することにより、基板支持テーブル10A、10Bに支持されている基板Wと、スクリーンマスク206の印刷エリア207との平行度を微調整することが可能になる。
【0041】
上記スキージユニット保持機構400は、クリーム半田、導電ペースト等のペーストをスクリーンマスク206上でローリング(混練)しながら拡張するものである。図示の例では、マスク昇降部203の内側壁に、Y’軸方向に延びる一対の固定レール203aが設けられ、この固定レール203aにスキージユニット保持機構400が横架されて、Y軸方向に往復移動可能に連結されている。ここで、Y’軸方向とは、スクリーンマスク保持機構200の本体202に設定された座標系におけるものであり、スクリーンマスク保持機構200の本体202のR軸方向の回動量が0の場合、基台2上に設定された座標系のY軸方向と一致する。以下、このY’軸方向に直交する水平方向をX’軸方向という。
【0042】
図5を参照して、スキージユニット保持機構400は、基台2のX軸方向に延びて、両固定レール203aに連結される筐体401と、この筐体401の上部に配置されたスキージ往復駆動機構(Y’軸駆動機構)402と、筐体401に対し上下に昇降可能に連結されるスキージユニット403と、スキージユニット403を上下に昇降駆動させるスキージヘッド昇降機構404とを備えている。
【0043】
Y’軸駆動機構402は、軸芯がX’軸に沿って配置されたサーボモータ402aと、このサーボモータ402aの出力プーリ402bに対し、平行に配置された動力伝達シャフト402cと、動力伝達シャフト402cの両端部に設けられ、当該動力伝達シャフト402cの回転力によって、固定レール203aに対し、筐体401をY’軸方向沿いに相対的に移動させる平行運動力に変換する動力伝達部402dと、動力伝達シャフト402cに取り付けられたプーリ402eと、プーリ402eと出力プーリ402bとの間に巻回された動力伝達ベルト402fとを備えており、サーボモータ402aの回転力によって、筐体401がマスク昇降部203に対し、相対的に予め設定されたストローク範囲内で往復移動可能に構成されている。
【0044】
他方、スキージヘッド昇降機構404は、筐体401の上端後部に立設される門型枠状のフレーム体404aと、フレーム体404a内に配置され、軸芯がZ軸方向に沿うサーボモータ404bと、フレーム体404aのサーボモータ404bの側部に併設されたボールねじ機構404cとを備えている。サーボモータ404bの出力プーリ404dは、フレーム体404aの上方に配置されており、その側部には、ボールねじ機構404cの入力プーリ404eがX’軸に沿って対向している。両プーリ404d、404e間には、動力伝達ベルト404fが巻回されておりボールねじ機構404cのねじ部が双方向に回転駆動されることによって、このねじ部に螺合する図略のナット部が上下に昇降するようになっている。上記ナット部は、スキージユニット403と一体化されており、このナット部の昇降によって、スキージユニット403は、当該スキージユニット403が担持するスキージ41をスクリーンマスク206上に着地させる印刷位置と、この印刷位置よりも上方に退避させる退避位置との間で昇降する。
【0045】
図6に示すように、フレーム体404aの前部には、上下に延びる一対のガイドレール405が固定されており、スキージユニット403は、このガイドレール405によって上下に往復移動可能に連結されている。
【0046】
図7〜図9を参照して、スキージユニット403は、メインフレーム410と、メインフレーム410に連結されるサブフレーム420とを有している。
【0047】
メインフレーム410の上部壁の下面には、ロードセル等の圧力センサ411を介装した支持部412が垂設されており、支持部412には、Y’軸方向に延びる第1支持軸413が固定されている。サブフレーム420は、第1支持軸413に対し、軸受を介して連結されることにより、この支持部412に対し、第1支持軸413回りに揺動自在に支持されている。図示の例において、メインフレーム410の背面には、フレーム体404aのガイドレール405と連結される凹部410aが形成されている。
【0048】
サブフレーム420には、スキージ組付部に相当するユニット組付部材421が第2支持軸422(スキージ支持用の横軸)を介して回動可能に支持されるとともに、このユニット組付部材421を駆動するスキージ回動機構が搭載されている。
【0049】
ユニット組付部材421は、X’軸方向に細長い長方形の板状部材であり、このユニット組付部材421に、スキージ41とこれを保持するスキージホルダ42とが着脱自在に組付けられている。そして、スキージ41の片面がペースト押圧のための作業面41aとされ、この作業面41aとは反対側の面の側方に第2支持軸422(スキージ支持用の横軸)が位置する状態で、この第2支持軸422にユニット組付部材421を介してスキージ41が回動可能に支持されている。
【0050】
ユニット組付部材421を支持する前記第2支持軸422は、サブフレーム420を貫通して反対側に突出しており、この突出部分にはプーリ423がキー結合により装着固定されている。そして、駆動源としてのサーボモータ424がサブフレーム420に固定され、このサーボモータ424の出力軸に装着されるプーリ425と前記プーリ423とに亘って駆動ベルト426が装着され、さらにこの駆動ベルト426に対してその外周側からテンションプーリ427が圧接することにより駆動ベルト426が張設されている。つまり、これらサーボモータ424、プーリ425,423,427および駆動ベルト426等により上記スキージ回動機構が構成されており、サーボモータ424の作動によりユニット組付部材421が第2支持軸422回りに正逆回転駆動される。なお、サブフレーム420に対するユニット組付部材421の原点位置が検知され、サーボモータ424の回転角制御に用いられる基準位置が求められる。そして、このユニット組付部材421の正逆回転により、前記作業面41aがスクリーンマスク206に対して平行に対面する状態より片側に傾斜した状態と反対側に傾斜した状態とにわたり、スキージ41が第2支持軸422回りの回動により姿勢変更可能とされるようになっている。
【0051】
スキージユニット保持機構400のスキージホルダ42は、アルミニウム合金等の軽合金からなるX’軸方向の細長い板状部材である。一方、スキージ41は、例えば硬質ウレタン、あるいはステンレスからなるX’軸方向に細長い長方形の板状部材で、図8に示すように、スキージホルダ42に重ね合わされた状態で当該ホルダ42に保持されている。
【0052】
スキージ41の幅寸法は、スキージ41の往動時に前記作業面41aがペーストに接触する範囲とスキージ41の復動時に前記作業面41aがペーストに接触する範囲とがラップするように設定されている。
【0053】
詳細図を省略しているが、印刷実行部20A、20Bのスクリーンマスク206を清浄するため、第1、第2基板支持テーブル10A、10Bの適所には、クリーニングユニット30A、30Bが併設されている(図10参照)。クリーニングユニット30A、30Bは、スクリーンマスク206の下面に摺接可能なパッドと、このパッドを介してスクリーンマスク206を負圧吸引する吸引ノズルとを含むクリーニングヘッドを備えており、基板支持テーブル10A、10BがY軸方向に移動する際に、このクリーニングヘッドを対応するスクリーンマスク206の下面に摺接させることにより、当該スクリーンマスク206の下面やパターン孔内に溜まったペーストを除去する。クリーニングヘッドは、基板支持テーブル10A、10Bに対して昇降可能に構成されており、清掃時のみスクリーンマスク206に摺接可能な作動位置に配置され、それ以外はこの作動位置から下降した退避位置に配置されるように構成されている。
【0054】
図2に示すように、印刷実行部20には、撮像ユニット50が併設されている。撮像ユニット50は、スクリーンマスク206と基板Wとの相対的な位置関係を画像認識するためのものであり、スクリーンマスク206の下面に記されるマークや記号等の複数の標識を下側から撮像する2個のマスク認識カメラ50Aと、基板支持テーブル10A、10Bに支持されている基板Wのマークや記号等の複数の標識を上側から撮像する2個の基板認識カメラ50Bからなる。各マスク認識カメラ50Aは、スクリーンマスク保持機構200の本体202にX’軸方向、Y’軸方向に移動可能に配置され、各基板認識カメラ50Bは、スクリーンマスク保持機構200の本体202に固定配置されている。各マスク認識カメラ50Aは、図外のX’−Y’ロボットに連結されることにより水平方向に二次元的に移動可能に設けられており、後述する制御ユニット60によるX’−Y’ロボットの制御に基づき、スクリーンマスク206の段取り時等にスクリーンマスク206の下側に進入してスクリーンマスク206の下面の上記各標識を撮像する。一方、各基板認識カメラ50Bは、基板支持テーブル10A(10B)が印刷実行部20に搬送された時、基板W上記各標識を撮像する。両カメラ50A,50Bにより認識されたスクリーンマスク206の2つの標識(フィデューシャルマーク)位置と基板上の2つの標識(フィデューシャルマーク)位置は、スクリーンマスク206の基板WとのR軸方向位置合わせを前提としたR軸方向角度に基づき、X’Y’座標系から基台2上のX−Y座標系に座標変換された後、スクリーンマスク206のR軸方向位置調整と、基板WのXY位置調整が実施される。
【0055】
図10に示すように、制御ユニット60(本発明の印刷位置設定手段、テーブル移動制御手段の一例である)は、マイクロプロセッサ等で構成される演算処理部61と、印刷処理のためのトランザクションデータ等を記憶する印刷プログラム記憶部62と、制御に要するマスタデータ等を記憶するデータ記憶部63と、前記モータ5A、5B等のアクチュエータ類を駆動するアクチュエータ制御部64と、種々のインターフェース等で構成される外部入出力部65と、キャプチャーボード等で構成される画像処理部66とを有しており、各アクチュエータ類や、マスク認識カメラ50A等のカメラ類は、全てこの制御ユニット60によって制御可能に電気的に接続されている。従って、前記基板支持テーブル10A、10Bおよび印刷実行部20による一連の印刷処理動作、つまり基板搬入部En1、En2での第1ローダL1、第2ローダL2から繰り出されてくる基板Wの受け取り、基板Wへのスクリーン印刷および基板搬出部Ex1、Ex2からの基板Wの搬出の一連の動作は、この制御ユニット60により統括的に制御される。また制御ユニット60には、処理状態をGUI等で表示可能な表示ユニット70と、ポインティングディバイス等で構成される図略の入力装置とが接続されており、オペレータの操作によって、トランザクション用のデータ入力や、制御処理を実現するプログラムの設定や変更等ができるようになっている。なお、印刷プログラム記憶部62とデータ記憶部63とは、何れもROM、RAM、補助記憶装置等を組み合わせて実現される論理的な概念である。
【0056】
図11を参照して、制御ユニット60のデータ記憶部63には、スクリーンマスク206に関するデータを保存するスクリーンマスクオブジェクト601と、印刷実行部20に関するデータを保存する印刷実行部オブジェクト602と、基板支持テーブル10A、10Bに関するデータを保存する基板支持テーブルオブジェクト603と、スクリーン印刷装置1に関するデータを保存する印刷装置オブジェクト604と、動作項目オブジェクト605と、干渉管理オブジェクト606とを備えている。これらのオブジェクト601〜606は、何れもデータベースシステムにおいて、2次元マトリックス(行と列)でデータを保存するデータの集合のことをいい、以下の説明では、オブジェクト601〜606の項目(列)を属性、オブジェクト601〜606の実現値(列に割り当てられる実際の値)を行という。また、図において、(PK)は主キーを、(FK)は外部キーを、それぞれ表わしている。主キーは、オブジェクト601〜606内において、行を一意に識別する属性である。外部キーは、主キーと同じ値を持つことによって、当該主キーを有するオブジェクト601〜606のデータを参照するためのものである。さらに、図中の矢印は、オブジェクト601〜606間の関係(リレーションシップ)を表わしており、矢印の終点側のオブジェクトにある外部キーが矢印の起点側のオブジェクトにある主キーを参照していることを示している。各オブジェクト601〜606は、論理的な存在であり、実装時には、それぞれを単一のデータファイル(例えば、CSVファイル)で構成してもよく、或いは正規化を考慮して、複数のデータファイルで構成してもよい。
【0057】
スクリーンマスクオブジェクト601は、マスク品番を主キーとし、縦寸法My、横寸法Mx、マスク中心座標、印刷エリア中心座標等を属性として有している(図12参照)。このスクリーンマスクオブジェクト601を参照することにより、制御ユニット60は、スクリーン印刷装置1に装着されたスクリーンマスク206の種類や、その寸法関係を制御のパラメータとして参照することが可能になる。ここで、スクリーンマスクオブジェクト601のX軸中心座標は、スクリーンマスク206のX軸方向に沿う中心線XC1、XC2(図12参照)を特定する座標をいう。
【0058】
印刷実行部オブジェクト602は、印刷実行部品番を主キーとして、マスク品番、縦寸法、横寸法、中心座標、マスクオフセット量Os等の属性を有している。マスク品番は、当該印刷実行部20に装着されるスクリーンマスク206を特定するための外部キーであり、このキーによって、スクリーンマスクオブジェクト601は、印刷実行部オブジェクト602に関連づけられている。なお、理解を容易にするため、以下の説明では、印刷実行部20A、20Bの中心座標Yd1、Yd2(図12参照)がスクリーンマスク206の中心座標とそれぞれ等しいものとする。
【0059】
また、マスクオフセット量Osは、関連づけられたスクリーンマスク206と、印刷実行部20のX軸中心線との間に生じるY軸方向のオフセット量Os1、Os2を示している(図12参照)。このオフセット量Osを事前に登録しておくことにより、制御ユニット60は、後述するように効率的なスクリーン印刷を実現することが可能になる。
【0060】
基板支持テーブルオブジェクト603は、テーブル品番を主キーとして、基板支持テーブル10Aまたは10Bを構成するユニットの属性を保存するものである。
【0061】
印刷装置オブジェクト604は、印刷装置品番を主キーとして、スクリーン印刷装置1を制御するために、必要な諸元を属性として備えている。印刷装置オブジェクト604には、Aサイド(図1の下側に示すY軸方向の一端側。以下同様。)の基板支持テーブル10Aに採用されたユニットを基板支持テーブルオブジェクト603と関連づけるAサイド基板支持テーブル品番と、Bサイド(図1の上側に示すY軸方向の他端側。以下同様。)の基板支持テーブル10Bに採用されたユニットを基板支持テーブルオブジェクト603と関連づけるBサイド基板支持テーブル品番とを外部キーとして含んでおり、これらによって、スクリーン印刷装置1に採用された基板支持テーブル10A、10Bの移動範囲や、移動速度等の情報を参照することが可能になっている。また、印刷装置オブジェクト604には、当該スクリーン印刷装置1に採用されたAサイドの印刷実行部20Aと関連づける印刷実行部品番と、Bサイドの印刷実行部20Bと関連づける印刷実行部品番とを外部キーとして有しており、このリレーションシップによって、当該スクリーン印刷装置1に採用された第1、第2印刷実行部20A、20Bの諸元を参照することができるようになっている。図示の例において、印刷装置オブジェクト604には、図2に示したテーブル可動ピッチTphと、第1基板搬入部En1と第2基板搬入部En2とのY軸方向の対向間隔である搬入側Y軸ピッチPinと、第1基板搬出部Ex1と第2基板搬出部Ex2とのY軸方向の対向間隔である搬出側Y軸ピッチPoutと、スクリーン印刷装置1に設定された共有エリア(図1参照)と、クリーニング時における最大クリーニング移動量と、受取位置と、送出位置の座標を含む属性が設定されている(図13〜図15参照)。これにより、スクリーン印刷装置1の仕様に応じて、各基板支持テーブル10A、10B、並びに第1、第2印刷実行部20A、20Bの干渉管理を実現することが可能になる。なお、本実施形態では、基板支持テーブル10A、10Bが干渉しない仕様に適用された場合を想定しているが、基板の干渉を回避するために、印刷実行部20A、20Bと同様の手法を適用することが可能であることは、いうまでもない。さらに、印刷装置オブジェクト604には、当該スクリーン印刷装置1が図13〜図15の何れの型式を採用したものであるかを識別する装置型式と、排他型フラグとが含まれている。
【0062】
装置型式は、スクリーン印刷装置1の型式によって、アルゴリズムを変更するための属性である。例えば、Y軸方向に沿う装置中心線OYに対して非対称な態様として、図1、図13に示したように、各基板搬入部En1、En2、並びに基板搬出部Ex1、Ex2が、スクリーン印刷装置1のX軸中心線OXに対し、対称形に配置されている一方、基板搬入部En1、En2間のY軸方向の距離(搬入側Y軸ピッチPin)が、基板搬出部Ex1、Ex2間のY軸方向の距離(搬出側Y軸ピッチPout)よりも長い場合、或いは、図14に示したように、搬入側Y軸ピッチPinが、搬出側Y軸ピッチPoutよりも短い場合がある。そのような場合には、後述するように、印刷位置を設定するアルゴリズムを適宜変更することが好ましい。
【0063】
さらに、図15に示したように、基板搬入位置EnP1、EnP2同士の組み合わせ、および基板搬出位置ExP1、ExP2同士の組み合わせのうち、何れか一方(図示の例では双方)がスクリーン印刷装置1のX軸中心線OXに対して非対称に配置されている場合もある。そのような場合には、さらに別の手法を講じた方が好ましい。本実施形態では、装置型式を印刷装置オブジェクト605に持たせることにより、スクリーン印刷装置1の設置態様に応じて、後述するサブルーチンを切り換えることができるようになっている。
【0064】
次に、印刷装置オブジェクト605の排他型フラグは、図13〜図15に例示した各仕様のスクリーン印刷装置1において、第1、第2印刷実行部20A、20Bが同時に共有エリアに進入することを全く許容できない排他的な型式であるか否かを判定するものである。排他型フラグは、スクリーン印刷装置1の組み合わせを決定し、基板搬入位置EnP1、EnP2や、基板搬出位置ExP1、ExP2を設定したときに、事前に設定される値である。例えば、図13、図14の型式であれば、第1基板搬入位置EnP1と第1基板搬出位置ExP1が、第2基板搬入位置EnP2と第2基板搬出位置ExP2に対してスクリーン印刷装置1のX軸方向の中心線OXに対し、対称形になっているので、双方がY軸方向に所定量退避することにより(この間隔を退避距離RLという)、干渉することなく、一部分を共有エリアに進入させることが可能になる。他方、図15の型式であれば、何れかが印刷位置として共有エリアを占有していると、他方が基板の搬入または搬出を妨げられるおそれがある。そこで、本実施形態では、スクリーン印刷装置1毎に、排他的であるか否かを排他型フラグで識別できるようにしている。排他型フラグは、例えばBoolean型であり、Trueの場合には、当該スクリーン印刷装置1が排他型の型式であることを示す。なお、排他型フラグを設定している場合には、干渉回避の判別をするために他のパラメータを参照したり、演算したりする必要がないので、判断処理が迅速になるが、演算に支障がない場合には、排他型フラグを省略し、基板搬入位置EnP1、EnP2や、基板搬出位置ExP1、ExP2に基づいて干渉の有無を動的に演算(導出)するようにしてもよい。
【0065】
次に、動作項目オブジェクト605は、スクリーン印刷を実現する上で、制御ユニット60がチェックすべき基板支持テーブル10A、10Bの動作を記憶するためのものであり、動作項目を主キーとして、動作タイミングを保存している。動作項目は、例えば、「基板搬入動作」「フィデューシャルマーク認識動作」「印刷後検査動作」「マスククリーニング動作」「基板搬出時動作」等であり、動作タイミングは、「印刷前」「印刷後」等である。
【0066】
干渉管理オブジェクト606は、印刷装置品番と動作項目とを主キーとする連関エンティティであり、スクリーン印刷装置1毎に、干渉管理が必要な動作項目と、干渉回避のための移動量(必要シフト量)SFと、所要時間を設定したものである。この干渉管理オブジェクト606に所要時間を設けているので、制御ユニット60は、当該所要時間に基づき、進入可能な時間帯を予測したり、或いは、一対の前記印刷実行部20A(20B)の並行動作中に両印刷実行部20A(20B)のの干渉共有エリアに進入可能な時間帯を予見したりすることが可能になる。
【0067】
本実施形態では、図11に示したように、動作項目オブジェクト605と、干渉管理オブジェクト606とを設けたので、例えば、以下の表1に示すようなデータを記憶し、制御パラメータとすることが可能である。
【0068】
【表1】

【0069】
表1は、各図13〜図15に対応する装置において、干渉回避が必要な動作項目毎に必要シフト量SFを表したものである。必要シフト量SFは、当該動作を実行するために、共有エリアに進入するY軸方向の長さの絶対値で設定されている。
【0070】
次に、この制御ユニット60の制御に基づくスクリーン印刷装置1の印刷工程について説明する。
【0071】
図16を参照して、制御ユニット60は、まず、初期印刷位置設定サブルーチンを実行し(ステップS1)、各基板支持テーブル10A、10Bの基板Wに対するスクリーン印刷を開始する上で、好適な印刷位置SP1、SP2を設定する。次いで、制御ユニット60は、第1基板支持テーブル10Aと第2基板支持テーブル10Bとを並行動作させ、それぞれにおいて、基板の搬入(ステップS2)と、前工程(ステップS3)と、印刷位置調整処理サブルーチン(ステップS30)と、版合わせ(Xテーブル141のX方向位置調整による基板WのX方向位置調整、基板支持テーブル10A、10Bのモータ5A、5Bによる基板WのY方向位置調整、スクリーンマスク保持機構の回転駆動機構によるスクリーンマスク保持機構の本体のR軸方向位置調整によるスクリーンマスク206のR軸方向位置調整)(ステップS5)と、クリーム半田を掻き取る掻取動作(ステップS6)と、版離れ(ステップS7)と、印刷位置SP1、SP2からの基板支持テーブル10A、10Bの退出動作を含む後工程(ステップS8)と、退出後に印刷済の基板Wを搬出する搬出動作(ステップS9)とを生産枚数分だけ繰り返し実行する。各ステップのうち、前工程(ステップS3)には、例えば、基板Wの標識を認識する「マーク認識」、部品実装後に分割される多面取りの基板Wのいくつかに設定された不良マークを認識する「バッドマーク認識」、さらに基板W上に付着した異物を検査する「異物検査」等の工程が含まれる。また、後工程(ステップS8)は、例えば、印刷工程後のスクリーンマスク206の重装面を必要に応じて清浄する「クリーニング処理」工程や、或いは、印刷後の基板W上の印刷状態を検査する「印刷後検査」工程が含まれる。
【0072】
次に図16の初期印刷位置設定サブルーチンS1について、図17及び図18を参照しながら説明する。ここで、初期印刷位置設定サブルーチンS1は、例えば、図17に示す態様と、図18に示す態様の2種類をとることが可能である。
【0073】
まず、図17の態様について説明する。制御ユニット60は、基板支持テーブルオブジェクト603と基板印刷装置オブジェクト604から、対応する受取位置の座標を参照する(ステップS101)。次いで、この座標が共有エリア内であるか否かを印刷装置オブジェクト604の設定値に基づいて、判定する(ステップS102)。仮に共有エリア内であれば、制御ユニット60は、さらに印刷装置オブジェクト604の排他型フラグを参照し(ステップS103)、排他型フラグがTrueであるか否かを判定する(ステップS104)。
【0074】
仮に排他型フラグがTrueの場合、共有エリアに印刷位置SP1(SP2)を設定することができないので、制御ユニット60は、相手方の印刷実行部20B(20A)から離反する方向に退避し、基板搬送経路PH1、PH2上において、共有エリア外に印刷位置を設定してメインルーチンに復帰する(ステップS105)。他方、排他型フラグがFalseの場合、制御ユニット60は、退避距離RLを下記(1)式に基づいて演算する(ステップS106)。
【0075】
【数1】

【0076】
図12から明らかなように、(1)式の退避距離RLは、両印刷実行部20A、20Bが干渉しない所定の対向間隔WLを半分ずつ折半したものであり、これによって、何れの印刷実行部20A、20Bも均等に退避した位置で印刷工程を実行することができるようになっている。ここで、対向間隔WLは、テーブル可動ピッチTphにおいて、Aサイドの原点からY軸方向にAサイドの基板支持テーブル10Aが移動した距離をC1、Bサイドの原点からY軸方向にBサイドの基板支持テーブル10Bが移動した距離をC2、Aサイドの基板支持テーブル10Aの中心(印刷実行部20Aの中心Yd1)からBサイドの基板支持テーブル10Bに対向する対向部分までの距離をLy1、Bサイドの基板支持テーブル10Bの中心(印刷実行部20Bの中心Yd2)からAサイドの基板支持テーブル10Aに対向する対向部分までの距離をLy2とした場合、以下に示す(2)式によって定義されるものである。
【0077】
【数2】

【0078】
なお、AサイドとBサイドを区別するために、図12では、上述した各距離C1、C2、Ly1、Ly2の他、スクリーンマスク206のX軸方向寸法をMx1、Mx2、Y軸方向寸法をMy1、My2、X軸方向の中心線をXC1、XC2とそれぞれ表記し、印刷エリア207のX軸方向中心線をMC1、MC2とそれぞれ表記している。
【0079】
次いで、この退避距離RLに基づいて、最初に参照した受取位置の値を補正し、その位置を初期の印刷位置に設定する(ステップS107)。この処理により、基板支持テーブル10A(10B)は、基板Wの搬入を完了した時点で直ちに印刷工程に移行することができ、動線のロスを可及的に低減することが可能になる。
【0080】
なお、ステップS102の判定で、基板搬入位置が共有エリアではない場合、制御ユニット60は、直ちに受取位置を基板搬入位置EnP1(EnP2)に設定する(ステップS108)。
【0081】
次に、図18の態様では、図17の態様におけるステップS101をステップS111とし、ステップS107、S108をそれぞれステップS117、S118としている点が図17と相違している。
【0082】
すなわち、図18の態様では、ステップS111では、受取位置に代えて、退出位置の座標を参照することとし、印刷位置は、参照された退出位置の座標または、退出位置を補正した座標としている点が相違している。制御ユニット60に図17、図18に例示したような態様のプログラムを実装することにより、制御ユニット60は、基板搬入位置EnP1(EnP2)、または基板搬出位置ExP1(ExP2)に印刷位置SP1(SP2)を設定することが可能になる。
【0083】
制御ユニット60には、印刷装置オブジェクト604の「装置型式」属性に基づいて、例えば、図13に示す態様(型式)のスクリーン印刷装置1の場合、図17を選択し、図14に示す態様(型式)のスクリーン印刷装置1の場合、図18を選択するように、予め設定されている。図15に示す態様(型式)のスクリーン印刷装置1の場合、何れかのフローチャートが採用されるように予め設定される。これにより、各印刷実行部20A、20Bが何れも相手側と干渉せずにしかも基板搬送経路PH1(PH2)上に印刷位置SP1(SP2)を設定することが可能になる。
【0084】
次に、図16の印刷位置調整処理サブルーチンS30について、図19を参照しながら説明する。
【0085】
図16に示したように、このサブルーチンは、ステップS3の前工程が実施された後に実行される。上述のように、前工程では、基板Wの識別対象(フィデューシャルマーク、バッドマーク、異物を含む包括概念)の位置を撮像するため、当該基板Wを支持する基板支持テーブル10A(10B)が、Y軸方向に移動する。この移動により、当該基板支持テーブル10A(10B)と相対的な移動関係にある撮像ユニット50の2個の基板認識カメラ50Bが、それぞれ対応する識別対象を撮像し、基板支持テーブル10A(10B)は、最終の識別対象が撮像された時点で停止する。
【0086】
図19を参照して、この状態で制御ユニット60は、モータ5A(5B)のエンコーダ等の情報に基づき、まず、停止した基板支持テーブル10A(10B)が共有エリア内であるか否かを判定する(ステップS301)。
【0087】
仮に共有エリアである場合、さらに制御ユニット60は、干渉管理オブジェクト606の所要時間等を参照し、当該基板支持テーブル10A(10B)が印刷を終了するまでに、相手側の基板支持テーブル10B(10A)が共有エリアに入るかどうか、すなわち、印刷中に干渉が生じる可能性があるかどうかを判定する(ステップS302)。
【0088】
仮に印刷中に干渉が生じる可能性があると判定した場合、制御ユニット60は、印刷装置オブジェクト604の排他型フラグを参照し、排他型フラグがTrueであるか否かを判定する(ステップS303)。
【0089】
仮に排他型フラグがTrueの場合、制御ユニット60は、相手方の印刷実行部20B(20A)から離反する方向に退避し、共有エリア外に印刷位置を設定してメインルーチンに復帰する(ステップS304)。他方、排他型フラグがFalseの場合、制御ユニット60は、退避距離RLを(1)式に基づいて演算する(ステップS305)。次いで、制御ユニット60は、この退避距離RLに基づいて、停止している基板支持テーブル10A(10B)の停止位置座標を補正し、補正した座標を印刷位置の座標に設定する(ステップS306)。この処理により、基板支持テーブル10A(10B)は、前工程を完了した位置から干渉を回避することのできるごく僅かな距離だけ移動して、印刷工程に移行することができ、動線のロスを可及的に低減することが可能になる。
【0090】
他方、ステップS301の判定で、基板支持テーブルの停止位置が共有エリア外であった場合、またはステップS302の判定で、干渉が生じないと判定される場合、制御ユニット60は、前工程終了位置を印刷位置に設定する(ステップS307)。これにより、基板支持テーブル10A(10B)は、前工程を完了した位置で直ちに印刷工程に移行することができ、動線のロスを可及的に低減することが可能になる。
【0091】
図20を参照して、前工程で基板支持テーブル10A(10B)が停止する位置は、パターン1からパターン3で例示したように、多様な態様をとるが、何れの場合においても、図19のフローに基づいて印刷位置SP1(SP2)を設定することにより、前工程が終了した最終位置を基準にして印刷位置の設定が決定されるので、基板支持テーブル10A(10B)は、一端停止した位置から仮想線で示すような、印刷位置を中央に固定した場合の動線ロスを排除することができ、印刷工程に移行することができる。従って、本実施形態においては、前工程後の印刷工程への移行を極めて短時間にスムーズに行うことができ、しかも干渉を回避して並行動作を実現することが可能になる。なお、図20の実線矢印で示したように、印刷位置SP1(SP2)の設定は、当該前工程を終了したときの当該基板支持テーブル10A、10Bの停止位置と基板搬出位置ExP1、ExP2までの間であれば、どの位置であってもよい。例えば、印刷工程後に基板支持テーブル10A、10Bと印刷実行部20A、20Bとを相対的に変位してクリーニング処理を実施する場合には、当該クリーニング処理の開始位置に設定していてもよい。これにより、基板Wの搬送経路が逆戻りしない範囲内で種々の範囲に設定することが可能である。
【0092】
なお、図13、図14に示す態様のスクリーン印刷装置1において、印刷工程が同期して実行される状況では、図21に示す印刷位置調整処理サブルーチンS30も実現可能である。
【0093】
図21を参照して、同図に示す態様では、図19のステップS301、S302に代えて、現時点での相手方との対向間隔WL(図12参照)を演算し(ステップS311)、次いで、干渉リミットLiを(3)式によって演算している(ステップS312)。
【0094】
【数3】

【0095】
ここで、干渉リミットLiとは、両基板支持テーブル10A、10Bが干渉しない範囲で近接できる最短距離である。次いで、対向間隔WLと干渉リミットLiとを比較し(ステップS313)、対向間隔WLが干渉リミットLiよりも小さい場合には、ステップS305、ステップS306を実行することとしている。このフローによっても、干渉を回避しつつ、前工程を完了した位置で直ちに印刷工程に移行することができ、動線のロスを可及的に低減することが可能になる。
【0096】
他方、上述した図16の生産フローは、印刷位置SP1(SP2)の調整を前工程の動作位置によって設定していたが、後工程の動作位置に基づいて設定することも可能である。例えば、後工程の一例として、クリーニング工程を実施する場合には、基板支持テーブル10A(10B)が移動し、この移動に伴って、当該基板支持テーブル10A(10B)に設置されている図略のクリーニングユニットのクリーニングヘッドが、スクリーンマスク下面に付着している余剰のクリーム半田を除去することにより、スクリーンマスクが清浄される。その場合、品番が変更されるたびに基板支持テーブル10A(10B)移動量や移動開始位置も変更されることになる。そこで図22では、初期印刷位置設定サブルーチンS1、印刷位置調整処理サブルーチンS30に代えて、最初に後工程を基準にして、印刷位置を設定することとしている(ステップS40)。
【0097】
図23を参照して、同図に示す初期印刷位置設定サブルーチンS40では、後工程を開始する際に、共有エリアに進入する必要があるか否かを判定し(ステップS401)、必要がある場合には、排他型フラグがTrueであるか否かを判定する(ステップS403)。
【0098】
仮に排他型フラグがTrueの場合、共有エリアに印刷位置SP1(SP2)を設定することができないので、制御ユニット60は、相手方の印刷実行部20B(20A)から離反する方向に退避し、基板搬送経路PH1(PH2)上において、共有エリア外に印刷位置SP1(SP2)を設定してメインルーチンに復帰する(ステップS404)。
【0099】
他方、排他型フラグがFalseの場合、制御ユニット60は、退避距離RLを(1)式に基づいてする(ステップS405)。次いで、制御ユニット60は、この退避距離RLに基づいて、基板支持テーブル10A(10B)が後工程を開始する座標を基板搬送経路PH1(PH2)上に補正し、補正した座標を印刷位置の座標に設定する(ステップS406)。この処理により、基板支持テーブル10A(10B)は、干渉を回避することのできる印刷位置から僅かな距離だけ移動して、後工程に移行することができ、動線のロスを可及的に低減することが可能になる。
【0100】
他方、ステップS401の判定で、基板支持テーブル10A(10B)の後工程開始位置が共有エリア外であった場合、制御ユニット60は、前工程終了位置を印刷位置に設定する(ステップS407)。これにより、基板支持テーブル10A(10B)は、印刷工程を終了した位置から直ちに後工程を開始することができ、動線のロスを可及的に低減することが可能になる。
【0101】
以上説明したように、本実施形態は、X軸方向に沿う基板搬送方向に沿って搬送された基板Wを基板搬入位置EnP1、EnP2から搬入してスクリーン印刷を施し、印刷後の基板Wを搬送方向の下流側に設定される基板搬出位置ExP1、ExP2から搬出するスクリーン印刷装置において、基板Wにスクリーン印刷を施す印刷実行部20A、20Bと、X軸方向に沿う基板搬送方向と直交する特定方向としてのY軸方向に沿って移動可能に設けられ、基板搬入位置EnP1、EnP2から搬入された基板Wを保持して印刷実行部20A、20Bにより設定される印刷位置SP1、SP2にて印刷工程に供するとともに、印刷後の基板Wを基板搬出位置ExP1、ExP2から搬出する、少なくとも一台の基板支持テーブル10A、10Bと、基板支持テーブル10A、10BをY軸方向に沿って少なくとも基板搬入位置EnP1、EnP2から基板搬出位置ExP1、ExP2の間で往復移動するテーブル駆動機構とを備え、基板搬入位置EnP1、EnP2と基板搬出位置ExP1、ExP2は、Y軸方向に沿う装置中心線OYに対し非対称に設定されているものであり、印刷位置SP1、SP2は、基板支持テーブル10A、10Bが基板Wの搬入から基板Wの搬出までの移動に要する基板搬送経路PH上に設定されているスクリーン印刷装置1である。このため本実施形態では、基板搬入位置EnP1、EnP2と基板搬出位置ExP1、ExP2とが、Y軸方向に沿う装置中心線OYに対して非対称に設定されている場合であっても、基板支持テーブル10A、10Bが基板Wの搬入から基板Wの搬出までの移動に要する基板搬送経路PH上で印刷工程を実行することができるので、単純に装置中央部に印刷位置SP1、SP2が配置されている場合に比べて短くなる。そのため、基板支持テーブル10A、10BのY軸方向における移動経路を全体として短縮し、スループットの向上に寄与することが可能になる。
【0102】
また、本実施形態では、印刷位置SP1、SP2は、基板搬送経路PH中において、当該基板搬送経路PHの中央位置よりも、当該基板搬入位置EnP1、EnP2から基板Wを基板支持テーブル10A、10Bが受け取る受取位置と基板搬出位置ExP1、ExP2に基板支持テーブル10A、10Bが基板Wを送出する送出位置の何れか一方に寄せられている。このため本実施形態では、基板搬入位置EnP1、EnP2から印刷位置SP1、SP2までの動作タイミングまたは印刷位置SP1、SP2から基板搬出位置ExP1、ExP2までの動作タイミングが可及的に短くなるので、より好適にスループットの向上を図ることができる。
【0103】
また、本実施形態では、印刷工程に先立って基板支持テーブル10A、10BをY軸方向に移動することにより、当該基板支持テーブル10A、10Bに支持された基板Wに所定の前工程を実行する前工程処理手段としての撮像ユニット50等と、当該前工程を終了したときの当該基板支持テーブル10A、10Bの停止位置と基板搬出位置ExP1、ExP2までの間に印刷位置SP1、SP2を設定するように印刷実行部駆動機構を制御する印刷位置設定手段としての制御ユニット60とをさらに備えている。このため本実施形態では、印刷工程に先立って、基板支持テーブル10A、10BをY軸方向に移動させることによって種々の前工程を実施する際、当該前工程が終了したときの基板支持テーブル10A、10Bの停止位置と基板搬出位置ExP1、ExP2との間に印刷位置SP1、SP2が設定されるので、印刷工程に移行する基板Wは、当該基板支持テーブル10A、10Bの停止位置から搬出方向と逆向きに移動することなく、印刷工程に移行することができる。また、印刷工程後の基板Wは、基板搬出位置ExP1、ExP2に対して逆方向に移動することなく、搬出されることになる。従って、前工程から搬出に至るまでの動線のロスを解消することができる。
【0104】
また、本実施形態では、制御ユニット60は、前工程を終了したときの当該基板支持テーブル10A、10Bの停止位置を印刷位置SP1、SP2に設定するものである。このため本実施形態では、前工程が終了した時点で、基板支持テーブル10A、10Bを停止し、印刷工程に移行することができるので、前工程後の基板Wがその後の移動によって位置ずれを起こすおそれがない。従って、印刷工程における基板Wとスクリーンマスクとの位置決めが精緻になるという利点がある。
【0105】
また、本実施形態では、印刷工程後に基板支持テーブル10A、10BをY軸方向に移動することにより、所定の後工程を実行する後工程処理手段(撮像ユニット50等)と、後工程処理手段が当該後工程を開始するときの当該基板支持テーブル10A、10Bの位置に印刷位置SP1、SP2を設定するように印刷実行部駆動機構を制御する制御ユニット60とをさらに備えている。このため本実施形態では、印刷工程後に基板支持テーブル10A、10BをY軸方向に移動させることにより、後工程を実施する際、当該後工程を開始するときの基板支持テーブル10A、10Bの位置に印刷位置SP1、SP2が設定されるので、後工程に移行する基板Wは、当該印刷位置SP1、SP2から搬出方向と逆向きに移動することなく、直ちに後工程に移行することができる。従って、印刷工程から搬出に至るまでの動線のロスを解消することができる。
【0106】
また、本実施形態では、印刷実行部20A、20BをY軸方向に沿って駆動する、Y軸サーボモータ210等を要素とする印刷実行部駆動機構を設けている。このため本実施形態では、印刷実行部20A、20BをY軸方向に移動させることによって、印刷位置SP1、SP2を必要に応じて調整することが可能になる。この結果、基板搬入位置EnP1、EnP2または基板搬出位置ExP1、ExP2のレイアウト態様や、基板支持テーブル10A、10Bの運転状況に応じて、印刷位置SP1、SP2を変更することができ、一層効率よく印刷工程を処理することができる。
【0107】
また、本実施形態では、基板支持テーブル10A、10Bは、Y軸方向に並置されて対をなしており、印刷実行部20A、20Bは、一対の基板支持テーブル10A、10B毎に設けられて対をなしており、基板支持テーブル10A、10B駆動機構は、一対の基板支持テーブル10A、10Bを個別に駆動するものであり、基板搬入位置EnP1、EnP2と基板搬出位置ExP1、ExP2は、少なくとも何れか一方が二つ一組である。このため本実施形態では、基板支持テーブル10A、10B、印刷実行部20A、20Bをそれぞれ2つ一組にしてスループットを向上させることとしているので、スクリーン印刷装置の上流側と下流側の少なくとも一方が2系統の基板W搬送ラインを有するデュアル搬送式の製造ラインにおいても、充分な処理能力(スループット)を発揮することが可能になる。
【0108】
また、本実施形態では、制御ユニット60は、一対の印刷実行部20A、20Bを個別に駆動して対応する基板支持テーブル10A、10B毎に印刷位置SP1、SP2を設定する印刷実行部駆動機構としても機能する。
【0109】
また、本実施形態では、一対の印刷実行部20A、20Bの動線がY軸方向において重複する共有エリアが設定されており、制御ユニット60が一対の印刷実行部20A、20Bの並行動作中に両印刷実行部20A、20Bの干渉の発生を予見した場合には、少なくとも何れか一方の印刷実行部20A、20Bに設定される印刷位置SP1、SP2を変更するように印刷実行部駆動機構を制御するものである。このため本実施形態では、干渉の発生が予見された場合には、制御ユニット60が少なくとも何れか一方の印刷実行部20A、20Bに設定される印刷位置SP1、SP2を変更するように印刷実行部駆動機構を制御する。これにより、一対の印刷実行部20A、20Bは、共有エリアが設定されている場合においても、干渉を回避しつつ印刷工程を並行することができる。
【0110】
また、本実施形態では、制御ユニット60は、干渉の発生が予見された場合には、一対の印刷実行部20A、20Bの双方が干渉回避可能な対向間隔WLを折半する退避距離だけ退避するように印刷位置SP1、SP2を設定するものである。このため本実施形態では、同時に一対の印刷実行部20A、20Bが共有エリアに進入しようとする場合に、双方が干渉を回避するための対向間隔WLを折半するので、両印刷実行部20A、20Bでの退避動作が等配され、何れにも退避時間が偏ることなく退避処理を実行することができる。
【0111】
本発明は、図23〜図26に示したように、基板支持テーブルと印刷実行部がそれぞれ一台ずつに設定されたスクリーン印刷装置1であっても同様に適用することが可能である。その場合、上述した「干渉」という概念はなくなるので、図17、図18、並びに図23のサブルーチンを採用する際には、図28及び図29に示すように、ステップS101、S104(または、ステップS111、S114)のみを実行するか、図23に示すようにステップS407のみを実行すればよい。
【0112】
また、図19または図21のステップS307を実行するだけで、図20に示したように印刷位置を設定し、動線ロスを解消することが可能となる。
【0113】
以上説明したように、本実施形態によれば、基板搬入位置EnP1と基板搬出位置EnP2とが、Y軸方向に沿う中心線OYに対して非対称に設定されている場合であっても、基板Wの搬送に要する基板搬送経路PH上で印刷工程を実行することができるので、基板支持テーブル10A(10B)のY軸方向における動線を全体として短縮し、スループットの向上に寄与することが可能になるという顕著な効果を奏する。
【0114】
上述したスクリーン印刷装置1は、本発明の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0115】
具体的には図示していないが、基板Wをスクリーン印刷装置1に搬入または搬出する態様としては、基板搬入部En1、第2基板搬入部En2に受け渡しベルトコンベア対を設けた構成を採用してもよい。その場合には、第1ローダL1、第2ローダL2の各ベルトコンベア対CL、CL2と第1、第2基板支持テーブル10A、20Aの対応するベルトコンベア対12A、12Bとの位置決めが機械的に決定されるので、制御が容易になるという利点がある。
【0116】
同様に、基板搬出部Ex1、第2基板搬出部Ex2に受け渡しベルトコンベア対を設けた構成を採用してもよい。
【0117】
また、基板搬入部と基板搬出部の何れか一方にのみ受け渡しコンベアを設けてもよい。
【0118】
また、基板支持テーブル10A等における基板Wの具体的な支持構造、印刷実行部20等における具体的なスクリーンマスク206の保持構造、あるいはスキージユニット保持機構400の具体的な構造等は、必ずしも上記実施形態のスクリーン印刷装置1のものに限定されるものではない。
【0119】
さらに基板搬入位置と、基板搬出位置とがスクリーン印刷装置1のY軸方向に沿う中心線OYに対して非対称に設定されていれば、例えば、図30に示すように、基板搬入位置と基板搬出位置がともにシングルレーンであってもよい。
【0120】
また、前工程での最終停止位置、後工程での移動開始位置は、基板支持テーブル10A、10Bと印刷実行部20A、20Bとの相対的な移動であり、印刷実行部20A、20Bの移動により定まる位置であってもよい。
【0121】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の設計変更が可能であることは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0122】
1 スクリーン印刷装置
10A、10B 基板支持テーブル
20A、20B 印刷実行部
50 撮像ユニット
60 制御ユニット
206 スクリーンマスク
EnP1、EnP2 基板搬入位置
ExP1、ExP2 基板搬出位置
WL 対向間隔
Mt 部品実装装置
OY Y軸中心線
Os マスクオフセット量
PH1、PH2 基板搬送経路
RL 退避距離
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送方向に沿って搬送された基板を基板搬入位置から搬入してスクリーン印刷を施し、印刷後の基板を前記搬送方向の下流側に設定される基板搬出位置から搬出するスクリーン印刷装置において、
前記基板にスクリーン印刷を施す印刷実行部と、
前記搬送方向と直交する特定方向に沿って移動可能に設けられ、前記基板搬入位置から搬入された基板を保持して、前記印刷実行部により設定される印刷位置にて印刷工程に供するとともに、印刷後の基板を前記基板搬出位置から搬出する、少なくとも一台の基板支持テーブルと、
前記基板支持テーブルを前記特定方向に沿って少なくとも前記基板搬入位置から前記基板搬出位置の間で往復移動するテーブル駆動機構と
を備え、
前記基板搬入位置と前記基板搬出位置は、前記特定方向に沿う装置中心線に対し非対称に設定されているものであり、
前記印刷実行部を前記特定方向に沿って駆動する印刷実行部駆動機構と、
前記基板支持テーブルが前記基板の搬入から前記基板の搬出までに移動を要する基板搬送経路上において、前記印刷位置を設定するよう前記印刷実行部を駆動するように前記印刷実行部駆動機構を制御する制御手段と
を設けている
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載のスクリーン印刷装置において、
前記制御手段は、前記基板搬送経路中において、当該基板搬送経路の中央位置よりも、当該基板搬入位置から前記基板を前記基板支持テーブルが受け取る受取位置と前記基板搬出位置に前記基板支持テーブルが前記基板を送出する送出位置の何れか一方に前記印刷位置を設定するように前記印刷実行部駆動機構を制御するものである
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスクリーン印刷装置において、
前記印刷工程に先立って前記基板支持テーブルと前記印刷実行部とを前記特定方向において相対的に移動することにより、当該基板支持テーブルに支持された前記基板に所定の前工程を実行する前工程処理手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記前工程処理手段が当該前工程を終了したときの当該基板支持テーブルの停止位置と前記基板搬出位置までの間に前記印刷位置を設定するように前記印刷実行部駆動機構を制御するものである
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項4】
請求項3記載のスクリーン印刷装置において、
前記制御手段は、前記前工程処理手段が当該前工程を終了したときの当該基板支持テーブルの停止位置に前記印刷位置を設定するように前記印刷実行部駆動機構を制御するものである
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のスクリーン印刷装置において、
前記印刷工程後に前記基板支持テーブルと前記印刷実行部とを前記特定方向において相対的に移動することにより、所定の後工程を実行する後工程処理手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記後工程処理手段が当該後工程を開始するときの当該基板支持テーブルの位置に前記印刷位置を設定するように前記印刷実行部駆動機構を制御するものである
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載のスクリーン印刷装置において、
前記基板支持テーブルは、前記特定方向に並置されて対をなしており、
前記印刷実行部は、一対の前記基板支持テーブル毎に設けられた一対の前記印刷位置を個別に設定するものであり、
前記基板支持テーブル駆動機構は、一対の前記基板支持テーブルを個別に駆動するものであり、
前記印刷実行部駆動機構は、一対の前記印刷実行部を個別に駆動するものであり、
前記制御手段は、前記印刷実行部毎に印刷位置を設定するものであり、
前記基板搬入位置と基板搬出位置は、少なくとも何れか一方が二つ一組である
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項7】
請求項6記載のスクリーン印刷装置において、
一対の前記印刷実行部の動線が前記特定方向において重複する共有エリアが設定されており、
前記制御手段は、
一対の前記印刷実行部の並行動作中に両印刷実行部の干渉の発生を予見する手段と、
前記干渉の発生が予見された場合には、少なくとも何れか一方の印刷実行部に設定される印刷位置を変更するように前記印刷実行部駆動機構を制御する印刷位置設定手段と
を備えている
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項8】
請求項7記載のスクリーン印刷装置において、
前記印刷位置設定手段は、前記干渉の発生が予見された場合には、一対の前記印刷実行部の双方が干渉回避可能な対向間隔を折半する退避距離だけ退避するように前記印刷位置を設定するように前記印刷実行部駆動機構を制御するものである
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−250376(P2012−250376A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122926(P2011−122926)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】