説明

スクロール式流体機械

【課題】ハウジング内の隔壁を挟んで、旋回スクロール側に潤滑油が侵入するのを確実に防止する。
【解決手段】隔壁20における旋回軸17が貫通する挿通孔36を、旋回軸17よりも大径で、かつ駆動軸21と同心をなすようにして設け、この挿通孔36に、それとほぼ等径をなす閉塞円板37を、相対回転自在に嵌合するとともに、この閉塞円板37に穿設した偏心孔38に、前記旋回軸17を相対回転自在に嵌合し、前記閉塞円板37における前記挿通孔36への嵌合部と、前記旋回軸17の偏心孔38への嵌合部とを、シール部材41をもってシールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば空気、冷媒などの流体を圧縮する圧縮機や真空ポンプ等として用いられるスクロール式流体機械に係り、特に、旋回スクロール駆動部の軸受等を、潤滑油により潤滑しうるようにしたスクロール式流体機械のシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように、旋回スクロールの駆動部の軸受等を、ハウジングの内部に貯留してある潤滑油を掻上げることにより、潤滑しうるようにしたスクロール式流体機械自体は、例えば特許文献1に記載されており、公知である。
【特許文献1】特開平11−336676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような潤滑油により潤滑する型式のスクロール式流体機械は、駆動部の軸受等を、グリースにより潤滑するようにした一般的な方式のものに比して、潤滑効果が高く、軸受の寿命が延びるという特長を有する反面、潤滑油が、旋回スクロール及び固定スクロールのラップ間に形成されている密閉室内に侵入する恐れがあるため、潤滑油のシール性を、どのようにして確保するかが課題となっている。
【0004】
上記特許文献1に記載されているスクロール式流体機械においては、潤滑油が貯留されている駆動部と、旋回スクロールの端板との間のハウジング内に隔壁を設け、これら端板と隔壁との対向面のいずれか一方に、旋回運動しながら、他方の面に摺接する金属製のスラストプレートを設けているのみであって、特別のシール部材が設けられていない。
【0005】
そのため、スラストプレートと端板又は隔壁との互いの摺接面が摩耗すると、駆動部内の潤滑油が、旋回スクロール側に流入し、やがては、旋回スクロールと固定スクロールとの間の密閉室に侵入してしまう恐れがある。
【0006】
このようなことのないように、本願の発明者らは、基本的には特許文献1に記載されているものと同様のスクロール流体機械に、新規な構成のシールを配設した、図6に示すようなスクロール式流体機械を、案出して実施している。
【0007】
このスクロール式流体機械は、旋回スクロール(a)の駆動部(b)が収容され、かつ内底部に潤滑油(c)の貯留部(d)を有するハウジング(e)の内部に、駆動部(b)と旋回スクロール(a)とを、この旋回スクロール(a)が旋回運動しうるように仕切る隔壁(f)を設け、かつこの隔壁(f)における旋回スクロール(a)側の外側面に、ワイパーシールと呼ばれる長方形断面の円環状のシール部材(g)を、貯留部(d)の油面よりも上方において、旋回スクロール(a)の複数の自転防止機構(h)を囲むようにして設け、このシール部材(g)を、旋回スクロール(a)の支持プレート(i)の内側面に摺接させることにより、駆動部(b)内において、駆動軸(j)に設けたカウンタウエイト(k)により掻き上げられた潤滑油(c)が、旋回スクロール(a)側に侵入するのを防止するようにしている。
【0008】
しかし、このようなシール構造においても、旋回スクロール側への潤滑油の侵入を完全に防ぐことはできない。その理由は、支持プレートは、旋回スクロールと共に偏心しながら旋回運動しているため、支持プレートにシール部材が面接触していると、支持プレートに付着した潤滑油が、徐々に旋回スクロールの周端側に掻き寄せられてしまうからである。
【0009】
本発明は、上記のような従来のシール構造の問題点に鑑み、潤滑油が、隔壁を挟んで、旋回スクロール側に侵入するのを確実に防止しうるようにしたスクロール式流体機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)ハウジング内における隔壁により仕切られた部分の一方に、固定スクロールと、それに噛み合う旋回スクロールを、ハウジング内の前記隔壁の他方の部分に、前記旋回スクロールにおける前記隔壁を貫通する旋回軸を旋回運動させる偏心軸部を有する駆動軸と、旋回スクロールの自転防止機構を、それぞれ収容し、前記駆動軸の軸受部や自転防止機構等を潤滑油により潤滑するようにしたスクロール式流体機械において、前記隔壁における前記旋回軸が貫通する挿通孔を、旋回軸よりも大径で、かつ前記駆動軸と同心をなすようにして設け、この挿通孔に、それとほぼ等径をなす閉塞円板を、相対回転自在に嵌合するとともに、この閉塞円板に穿設した偏心孔に、前記旋回軸を相対回転自在に嵌合し、前記閉塞円板における前記挿通孔への嵌合部と、前記旋回軸の偏心孔への嵌合部とを、シール部材をもってシールする。
【0011】
(2)上記(1)項において、自転防止機構が、隔壁を貫通するようにして旋回スクロールに突設された自転防止用の旋回軸と、ハウジングの内部に枢支され、前記自転防止用の旋回軸を旋回可能に枢支する偏心軸部を有する支軸とを備えるものとし、かつ前記隔壁における前記自転防止用の旋回軸が貫通する挿通孔を大径として、この挿通孔にも、上記(1)項と同一構造の閉塞円板を設けるとともに、閉塞円板における挿通孔への嵌合部と自転防止用の旋回軸の嵌合部とを、シール部材によりシールする。
【0012】
(3)上記(1)または(2)項において、挿通孔における旋回軸の突出方向の開口部、もしくは閉塞円板における旋回軸の突出方向の外周部と、偏心孔における旋回軸の突出方向の開口部とに、それぞれ駆動軸側に開口する段付環溝を設け、両段付環溝にシール部材を嵌合する。
【0013】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、旋回軸及び自転防止用の旋回軸を中実軸とし、それらを枢支する偏心軸部に設けた偏心孔に、それぞれ相対回転自在に嵌合する。
【0014】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、旋回軸及び自転防止用の旋回軸に、閉塞円板が軸方向へ移動するのを規制するスナップリングを外嵌する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、閉塞円板は、隔壁に設けた挿通孔内を、駆動軸と同心的に回転し、かつ旋回軸も、閉塞円板に設けた偏心孔内を、旋回運動しながら相対回転するため、閉塞円板における挿通孔への嵌合部と、旋回軸の偏心孔への嵌合部とを、通常の軸用シール部材によりシールすることができ、従来のような面接触式のシール部材を用いたスクロール流体機械に比して、シール効果が高まる。従って、旋回スクロールの駆動部等を潤滑する潤滑油が、隔壁を挟んで、旋回スクロール側に侵入するのが確実に防止される。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、自転防止機構が、隔壁を貫通する自転防止用の旋回軸を有するものであっても、隔壁の挿通孔や偏心孔を、請求項1と同様に、確実にシールすることができる。
また、旋回スクロールの旋回軸と自転防止用の旋回軸とのシール構造が、隔壁のみの同一平面上に配置されるので、軸方向の寸法が最小限となり、スクロール流体機械が大型化することはない。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、シール部材が、ハウジングにおける潤滑油の貯留部側に位置することとなるので、潤滑油が旋回スクロール側に侵入しにくくなり、シール効果がより高まる。
また、閉塞円板を取付けた状態のまま、シール部材のメンテナンス等を容易に行うこともできる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、旋回軸及び自転防止用の旋回軸を可能な限り小径として、閉塞円板の外径やその挿通孔、及び偏心孔の内径を小さくしうるので、シール部材も小径として、シール領域を最小限とすることができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、閉塞円板が隔壁の挿通孔より脱落するのが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明によるスクロール式流体機械の一例としてのスクロール式圧縮機の中央縦断側面図を示す。
【0021】
前面(以下、図1の左方を前として説明する)が開口する筒状のハウジング(1)の前端には、固定スクロール(2)の後面板(3)が、ボルト(4)とナット(5)により固着されている。
【0022】
固定スクロール(2)は、外周部適所に吸入口(6)を有するとともに、中心部に吐出口(7)を有する円形の固定端板(8)を備え、固定端板(8)の後面には、渦巻状の固定ラップ(9)が、同じくその前面には、水平方向を向く多数の冷却フィン(10)が、それぞれ一体的に突設されている。
【0023】
固定スクロール(2)の後側に対向して配置されている旋回スクロール(11)の円形をなす旋回端板(12)の前面には、上記固定ラップ(9)と噛み合う旋回ラップ(13)が、同じくその後面には、水平方向を向く多数の冷却フィン(14)が、それぞれ一体的に突設されている。
【0024】
旋回端板(12)の外周部の前面は、固定スクロール(2)の後面板(3)の後面と摺接している。
【0025】
旋回スクロール(11)の後端には、それを支持する円板状の支持プレート(15)が、冷却フィン(14)を挟むようにして、複数の皿ねじ(16)により固着されている。この支持プレート(15)の後面の中心には、旋回軸(17)が後向きに突設され、また同じく後面の外周端部には、後記する自転防止機構(29)の一部をなす複数(例えば3個)の自転防止用旋回軸(18)が、後向きに突設されている。
【0026】
ハウジング(1)の内部には、旋回スクロール(11)側と、その後方の駆動部(19)側とを仕切る隔壁(20)が、支持プレート(15)と近接するようにして設けられ、上記旋回軸(17)と自転防止用旋回軸(18)は、隔壁(20)を貫通して、駆動部(19)内に突出している。
【0027】
ハウジング(1)内の後方寄りの中心部には、前後方向を向き、図示しないモータ等の動力源により駆動される駆動軸(21)が、前後1対のボールベアリング(22)(22)により枢支されて、回転自在に収容されている。
【0028】
駆動軸(21)の前端部には、内部に、前方に開口された有底の偏心孔(23)を有する偏心軸部(24)が連設されている。偏心孔(23)の中心(O2)は、駆動軸(21)の回転中心(O1)に対し、側方に所要寸法偏心させてある。
【0029】
偏心軸部(24)の外周面における偏心孔(23)の偏心方向と反対側には、カウンタウエイト(25)が、離心方向に突設されている。このカウンタウエイト(25)は、ハウジング(1)の内底部の貯留部(26)に貯油された潤滑油(27)の掻上げバーを兼ね、駆動軸(21)が1回転する毎に、潤滑油(27)が掻き上げられるようになっている。
【0030】
偏心孔(23)内には、それと同心をなす上記旋回スクロール(11)の旋回軸(17)が、ボールベアリング(28)を介して相対回転自在に嵌合されている。従って、旋回軸(17)の中心(O2)も、駆動軸(21)の回転中心(O1)に対し偏心している。
【0031】
(29)は、旋回スクロール(11)の自転を防止する自転防止機構で、ハウジング(1)の後壁(1a)の内面(前面)の3個所に形成された前方に開口する凹孔(30)内に、2個のボールベアリング(31)(31)を介して回転自在に枢支された、駆動軸(21)と平行をなす支軸(32)と、その前端部に連設された大径の偏心軸部(33)と、この偏心軸部(33)に形成された前方に開口する有底の偏心孔(33a)に、2個のボールベアリング(34)(34)を介して支持された上記の自転防止用旋回軸(18)とからなっている。
【0032】
このような構成であるから、駆動軸(21)が回転すると、旋回スクロール(11)は、偏心孔(23)に支持された旋回軸(17)と自転防止機構(29)とをもって、偏心的に旋回運動することとなり、固定スクロール(2)の固定ラップ(9)と、旋回スクロール(11)の旋回ラップ(13)との間の密閉室(35)の容積を、求心方向に漸次減少させることにより、吸入口(6)より吸引した流体を、圧縮させつつ中心部に導き、吐出口(7)より吐出させることができる。
【0033】
図2及び図3に拡大しても示すように、上述した隔壁(20)における旋回軸(17)の挿通部には、旋回軸(17)が余裕をもって貫通する大径の挿通孔(36)が、駆動軸(21)と同心をなすようにして穿設され、この挿通孔(36)には、それと同径かつ隔壁(20)と同じ厚さの閉塞円板(37)が、相対回転自在に嵌合されている。
【0034】
旋回軸(17)は、閉塞円板(37)に穿設された、内径が旋回軸(17)の外径と同径をなす偏心孔(38)に、相対回転自在に挿通されている。
【0035】
(39)(39)は、旋回軸(17)に外嵌されたスナップリングで、閉塞円板(37)の軸方向への移動を規制することにより、挿通孔(36)より抜け外れるのが防止されている。
【0036】
隔壁(20)における挿通孔(36)の開口部の後面と、閉塞円板(37)における偏心孔(38)の開口部の後面とには、それぞれ、内方と外方に開口する段付環溝(40)(40)が形成され、両段付環溝(40)には、方形断面をなすゴム等よりなる耐油性のシール部材(41)(41)が、それぞれの内周面が閉塞円板(37)及び旋回軸(17)の外周面と摺接するようにして、水密的に嵌合されている。
【0037】
挿通孔(36)及び閉塞円板(37)は、駆動軸(21)と同心をなし、かつ旋回軸(17)は、偏心孔(38)に相対回転自在に挿通しているため、駆動軸(21)が回転すると、回転中心(O1)を中心として、旋回軸(17)は支障なく旋回することができ、この回転に伴ない、閉塞円板(37)も回転中心(O1)を中心として挿通孔(36)内を回転する。
【0038】
この際、両シール部材(41)の内周面は、閉塞円板(37)及び旋回軸(17)の外周面に常時摺接しているので、それらの挿通孔(36)及び偏心孔(38)への嵌合部のシール性が保たれる。
【0039】
このようなシール構造と同じシール構造のものが、自転防止用旋回軸(18)が挿通している隔壁(20)の周端部にも設けられている。なお、自転防止用旋回軸(18)のシール構造を構成する各部材は、自転防止用旋回軸(18)の径が旋回軸(17)よりも小径をなしている分だけ、直径等を小型としているのみで、形状や作用は、旋回軸(17)のシール構造と全く同一であるため、それと同一の符号を付すに止めて、詳細な説明は省略する。
【0040】
以上説明したように、ハウジング(1)の内部に設けた駆動部(19)側と旋回スクロール(11)側とを仕切る隔壁(20)に、旋回軸(17)及び自転防止用旋回軸(18)が、余裕をもって挿通する挿通孔(36)を、駆動軸(21)及び支軸(32)と同心的に設け、かつ挿通孔(36)に相対回転自在に嵌合した閉塞円板(37)の外周面と、この閉塞円板(37)の偏心孔(38)に相対回転自在に嵌合した旋回軸(17)及び自転防止用旋回軸(18)の外周面とに、シール部材(41)の内周面を摺接させて、シール性を保持しているので、駆動部(19)内の各ベアリング(22)(28)(31)(34)等を潤滑するべく、カウンタウエイト(25)により掻き上げられた潤滑油(27)が、隔壁(20)の前方、すなわち旋回スクロール(11)側に侵入する恐れがない。
【0041】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、外側の大径のシール部材(41)を、隔壁(20)に設けた段付環溝(40)に嵌合しているが、閉塞円板(37)の外周部に、上記と同様の段付環溝を設け、これにシール部材(41)を嵌合して、その外周面を、隔壁(20)の挿通孔(36)の内面に摺接させてもよい。
【0042】
また、各シール部材(41)の位置は、中央部としてもよい。すなわち、図4に示すように、隔壁(20)における挿通孔(36)及び閉塞円板(37)の内周面の中央部に、それぞれ凹状断面の環溝(42)を設け、それらにシール部材(41)を内嵌してもよい。
【0043】
これとは反対に、図5に示すように、閉塞円板(37)と旋回軸(17)の外周面に、凹状断面の環溝(43)を設け、これらに、シール部材(41)を外嵌してもよい。
【0044】
シール部材(41)は、円形又は楕円形断面をなすOリング等であってもよい。
【0045】
上記実施形態においては、閉塞円板(37)の外径やその挿通孔(36)の内径、及び偏心孔(38)の径を小として、シール部材(41)によるシール領域を最小限とするために、旋回軸(17)及び自転防止用旋回軸(18)を、比較的小径の中実軸とし、それらを、偏心軸部(24)(33)に設けた偏心孔(23)(33a)に嵌合しているが、図6に示す従来例のように、上記旋回軸(17)及び自転防止用旋回軸(18)に相当するものが、大径かつ筒状とされているスクロール流体機械にも適用することができる。
【0046】
この際には、隔壁(20)に、上記実施形態よりも大きな挿通孔を穿設し、この挿通孔に、筒状をなす各旋回軸が嵌合される偏心孔を有する大径の閉塞円板を嵌合し、嵌合部を上述のようなシール部材(41)をもってシールすればよい。
【0047】
上記実施形態では、本発明を、貯留部(26)に貯留した潤滑油(27)を、掻上げバーを兼ねるカウンタウエイト(25)により掻上げて、旋回スクロール(11)や自転防止機構(29)の軸受等を潤滑するようにしたスクロール式流体機械に適用しているが、例えば、オイルポンプ等により送給された潤滑油により、駆動部の軸受等を強制的に潤滑するスクロール式流体機械にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明を適用したスクロール式圧縮機の中央縦断側面図である。
【図2】同じく、図1の要部の拡大図である。
【図3】図2のIII−III線縦断後面図である。
【図4】シール部材の取付変形例を示す要部の縦断面図である。
【図5】同じく、シール部材の他の取付変形例を示す要部の縦断面図である。
【図6】従来のスクロール式流体機械の中央縦断側面図である。
【符号の説明】
【0049】
(1)ハウジング
(1a)後壁
(2)固定スクロール
(3)後面板
(4)ボルト
(5)ナット
(6)吸入口
(7)吐出口
(8)固定端板
(9)固定ラップ
(10)冷却フィン
(11)旋回スクロール
(12)旋回端板
(13)旋回ラップ
(14)冷却フィン
(15)支持プレート
(16)皿ねじ
(17)旋回軸
(18)自転防止用旋回軸
(19)駆動部
(20)隔壁
(21)駆動軸
(22)ボールベアリング(軸受)
(23)偏心孔
(24)偏心軸部
(25)カウンタウエイト
(26)貯留部
(27)潤滑油
(28)ボールベアリング
(29)自転防止機構
(30)凹孔
(31)ボールベアリング
(32)支軸
(33)偏心軸部
(33a)偏心孔
(34)ボールベアリング
(35)密閉室
(36)挿通孔
(37)閉塞円板
(38)偏心孔
(39)スナップリング
(40)段付環溝
(41)シール部材
(42)(43)環溝
(O1)回転中心
(O2)中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内における隔壁により仕切られた部分の一方に、固定スクロールと、それに噛み合う旋回スクロールを、ハウジング内の前記隔壁の他方の部分に、前記旋回スクロールにおける前記隔壁を貫通する旋回軸を旋回運動させる偏心軸部を有する駆動軸と、旋回スクロールの自転防止機構を、それぞれ収容し、前記駆動軸の軸受部や自転防止機構等を潤滑油により潤滑するようにしたスクロール式流体機械において、
前記隔壁における前記旋回軸が貫通する挿通孔を、旋回軸よりも大径で、かつ前記駆動軸と同心をなすようにして設け、この挿通孔に、それとほぼ等径をなす閉塞円板を、相対回転自在に嵌合するとともに、この閉塞円板に穿設した偏心孔に、前記旋回軸を相対回転自在に嵌合し、前記閉塞円板における前記挿通孔への嵌合部と、前記旋回軸の偏心孔への嵌合部とを、シール部材をもってシールしたことを特徴とするスクロール式流体機械。
【請求項2】
自転防止機構が、隔壁を貫通するようにして旋回スクロールに突設された自転防止用の旋回軸と、ハウジングの内部に枢支され、前記自転防止用の旋回軸を旋回可能に枢支する偏心軸部を有する支軸とを備えるものとし、かつ前記隔壁における前記自転防止用の旋回軸が貫通する挿通孔を大径として、この挿通孔にも、請求項1と同一構造の閉塞円板を設けるとともに、閉塞円板における挿通孔への嵌合部と自転防止用の旋回軸の嵌合部とを、シール部材によりシールしてなる請求項1記載のスクロール式流体機械。
【請求項3】
挿通孔における旋回軸の突出方向の開口部、もしくは閉塞円板における旋回軸の突出方向の外周部と、偏心孔における旋回軸の突出方向の開口部とに、それぞれ駆動軸側に開口する段付環溝を設け、両段付環溝にシール部材を嵌合してなる請求項1または2記載のスクロール式流体機械。
【請求項4】
旋回軸及び自転防止用の旋回軸を中実軸とし、それらを枢支する偏心軸部に設けた偏心孔に、それぞれ相対回転自在に嵌合してなる請求項1〜3のいずれかに記載のスクロール式流体機械。
【請求項5】
旋回軸及び自転防止用の旋回軸に、閉塞円板が軸方向へ移動するのを規制するスナップリングを外嵌してなる請求項1〜4のいずれかに記載のスクロール式流体機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−198188(P2007−198188A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15565(P2006−15565)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(390028495)アネスト岩田株式会社 (224)
【Fターム(参考)】