スタビライザブッシュ
【課題】スリット13の開きを効果的に防止すると共に、その製造も容易なスタビライザブッシュ1を提供する。
【解決手段】スタビライザブッシュ1は、スタビライザ21が貫通配置される貫通孔11を有する筒状の本体部1を備える。本体部1には、スリット13が本体部1の外周面から貫通孔11の内周面まで連続すると共に、貫通孔11の中心軸X方向に本体部1の全域に亘って延びて形成される。スリット13は、外周面から内周面に向かう方向が貫通孔11の中心を通らない方向に設定されていると共に、貫通孔11の中心軸Xに平行に延びて形成されている。
【解決手段】スタビライザブッシュ1は、スタビライザ21が貫通配置される貫通孔11を有する筒状の本体部1を備える。本体部1には、スリット13が本体部1の外周面から貫通孔11の内周面まで連続すると共に、貫通孔11の中心軸X方向に本体部1の全域に亘って延びて形成される。スリット13は、外周面から内周面に向かう方向が貫通孔11の中心を通らない方向に設定されていると共に、貫通孔11の中心軸Xに平行に延びて形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、スタビライザを車体に対し弾性支持するためのスタビライザブッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
車体のロール特性を制御するためのトーションバースプリングであるスタビライザは、弾性体からなるスタビライザブッシュによって、その中間部が車体に対して弾性支持される。スタビライザブッシュは、一般的には、車幅方向に延びるスタビライザの中間部が貫通配置される貫通孔を有する筒状であり、車体部材と、当該車体部材に取付固定されるクランプとに挟持されることによって車体に対して取り付けられる。
【0003】
ここで、スタビライザブッシュには、前記貫通孔の内周面からブッシュ外周面まで連続してかつ、当該ブッシュの孔軸方向の全域に亘って延びる、切れ口としてのスリットが形成されており、このスリットを開いて、前記スタビライザを前記貫通孔内に内挿することになる。
【0004】
このように構成されるスタビライザの支持構造においては、そのスタビライザの組み付け状態において、前記スタビライザブッシュのスリットが比較的大きく開いてしまう場合がある。また、車両の走行に伴い、スタビライザブッシュへの荷重入力が繰り返されることによって、前記スタビライザブッシュのスリットが次第に開いてしまう場合もある。スリットが比較的大きく開いてしまった場合は、例えば車両の走行中に、スタビライザがそのスリットの方向に大きく移動してしまい、ロール特性の制御効果の低下や、スタビライザと例えば車体部材やクランプ等とが互いに接触してしまう、いわゆるメタルタッチを生じ得る。
【0005】
そこで従来より、そうしたスリットの開きを防止する観点から、スリットを、貫通孔の孔軸に対して交差するように、その孔軸方向に対して斜めに延びて形成したり(例えば特許文献1参照)、これとは逆に、スリットはブッシュの軸方向に真っ直ぐに形成する一方で、貫通孔を、そのスリットに対して交差するように斜めに形成したり(例えば特許文献2参照)する対策が提案されている。
【0006】
尚、例えば特許文献3,4に記載されているように、スリットが形成されたブッシュにおいて、スリットを挟んだ両側が軸方向にずれてしまうことを防止する観点から、スリットを軸方向に対してジグザグに形成したりすることも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−205632号公報
【特許文献2】特開平7−266835号公報
【特許文献3】特開平9−269028号公報
【特許文献4】特開2000−46055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、本願発明者らが検討したところ、前記の特許文献に記載されたブッシュにおいてもスリットの開きを防止する効果は十分でなく、メタルタッチが発生し得ることが判明した。また、前記の特許文献に記載されたブッシュのように、貫通孔の孔軸とスリットとが互いに平行ではない構成は、成形型から取り出したブッシュに対し、例えばカッター等によって切れ目を入れてスリットを別途形成しなければならず、工数の増大により、その製造が煩雑になるという不都合もある。
【0009】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スリットの開きを効果的に防止すると共に、その製造も容易なスタビライザブッシュを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
スリットの形成に関係してスタビライザブッシュの製造を容易にする上では、貫通孔の孔軸とスリットとを互いに平行にすることが望ましい。なぜなら、こうした貫通孔を有するスタビライザブッシュの成形は、その貫通孔を形成するための心棒を用いて行われ、型開き後にその心棒から成形品を抜く(実際は、心棒を動かして成形品から抜く)ようにされるが、心棒に対してカッターを固定しておけば、心棒を成形品から抜くと同時にカッターによって成形品を切断してスリットを形成することが可能になるためである。この場合スリットは、心棒の軸方向、つまり貫通孔の孔軸に平行にしかならない。
【0011】
そこで、ブッシュ製造の容易化の観点から、スリットを貫通孔の中心軸に平行に形成することを前提に、本願発明者らがスリットの開き防止について検討を重ねたところ、スリットの、ブッシュ外周面から内周面に向かう方向が、その貫通孔の中心を通らない方向に設定した場合に、スリットの開きが効果的に防止される点を見出し、本願発明を完成するに至ったものである。
【0012】
具体的に、ここに開示するスタビライザブッシュは、スタビライザを車体に対して弾性支持するスタビライザブッシュであって、前記スタビライザが貫通配置される貫通孔を有する筒状の本体部を備える。
【0013】
そして、前記本体部には、前記スタビライザ取付用のスリットが、前記本体部の外周面から内周面まで連続すると共に、前記貫通孔の中心軸方向に前記本体部の全域に亘って延びて形成され、前記スリットは、前記外周面から前記内周面に向かう方向が前記貫通孔の中心を通らない方向に設定されていると共に、前記貫通孔の中心軸に平行に延びて形成されている。
【0014】
本願発明者の検討によれば、スタビライザブッシュに弾性支持されたスタビライザは、車両の停止状態では、スタビライザの軸心とブッシュの貫通孔の中心軸とが一致した初期状態となっている一方で、車両の走行中は、その初期状態から上下、前後のあらゆる方向に移動し得るようになる。つまり、スタビライザは、ブッシュの貫通孔の中心軸に対し放射状に移動をし得る。
【0015】
これに対し、ブッシュのスリットの、ブッシュ外周面から内周面に向かう方向を、仮に貫通孔の中心を通る方向に設定したと仮定する。この場合は、前述したようにブッシュの貫通孔の中心軸に対し放射状にスタビライザが移動をし得ることから、当該スタビライザが前記スリットの形成位置の方向に移動をしたときに、当該スリットの形成部分が圧縮されるに伴いスリットの間を広げる力が作用するようになる。こうしたことが繰り返されることにより、スリットの方向を貫通孔の中心を通る方向に設定したときには、スリットが次第に開いてしまうと考えられる。
【0016】
そこで、前記の構成では、スリットの、ブッシュ外周面から内周面に向かう方向が貫通孔の中心を通らない方向に設定する。こうすることで、スタビライザが、スリットの形成位置の方向に移動をして当該スリットの形成部分が圧縮されても、スリットの間が広がることが抑制乃至防止される。その結果、スリットの開きが効果的に防止される。それと共に、当該スリットは貫通孔の中心軸に平行に延びて形成されていることで、前述したように、スタビライザブッシュの製造は簡略化し得る。
【0017】
前記スリットは、前記本体部が車体に取り付けられて車幅方向に延びる前記スタビライザを弾性支持した状態において、前記貫通孔の中心に対し、当該中心軸方向に直交する上下方向及び前後方向のそれぞれに対して位置をずらして形成されている、としてもよい。
【0018】
前述した、スリットのブッシュ外周面から内周面に向かう方向を貫通孔の中心を通らない方向に設定することと、そのスリットの形成位置、詳しくは、貫通孔の周方向に対する形成位置を、スタビライザブッシュの車体取付状態において、貫通孔の中心軸方向に直交する上下方向及び前後方向のそれぞれの方向に対してずらすことと、を組み合わせることによって、スリットの開きをより効果的に防止し得る。また、本願発明者らの知見によると、スリットの位置をずらすことは、スタビライザブッシュを組み付けた当初のスリットの開きを抑制し得る。
【0019】
前記本体部は、車体部材と、当該車体部材に取付固定されるクランプとに挟持されることによって前記車体に取り付けられ、前記本体部は、前記貫通孔の中心軸を挟んだ前記車体部材側の部位が相対的に厚肉に、前記クランプ側の部位が相対的に薄肉に構成されており、前記スリットは、前記車体部材側の部位と前記クランプ側の部位との内、前記車体部材側の部位に形成されている、としてもよい。
【0020】
この構成によると、スリットを、相対的に厚肉の部位に形成していることで、スタビライザがスリット位置の方向に移動をしたときに、そのスリット形成部位の圧縮変形が抑制され、スリットの間が広がることを、より一層、抑制乃至防止し得る。その結果、スリットの開きをより一層効果的に防止し得る。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、前記のスタビライザブッシュは、そこに形成するスリットの、ブッシュ外周面から内周面に向かう方向を、貫通孔の中心を通らない方向に設定することによって、貫通孔の中心軸に対して放射状に移動し得るスタビライザが、スリットの形成位置の方向に移動をしても、スリットの間が広がることが抑制乃至防止され、スリットの開きを効果的に防止することができる。それと共に、前記スリットは貫通孔の中心軸に平行に延びて形成されていることで、その製造に際しては、成形型からの取り出しと同時に本体部にスリットを形成することが可能になり、スタビライザブッシュの製造を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】スタビライザブッシュの斜視図である。
【図2】スタビライザの支持状態を示す概略斜視図である。
【図3】スタビライザブッシュの正面図である。
【図4】スタビライザブッシュの側面図である。
【図5】スタビライザブッシュの底面図である。
【図6】図1等に示すスタビライザブッシュを用いたスタビライザの支持状態を示す正面図である。
【図7】比較例に係るスタビライザブッシュを用いたスタビライザの支持状態を示す図6対応図である。
【図8】スタビライザブッシュの別の構成を示す正面図である。
【図9】スタビライザブッシュのさらに別の構成を示す正面図である。
【図10】スタビライザブッシュのさらに別の構成を示す正面図である。
【図11】スタビライザブッシュのさらに別の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、スタビライザブッシュの実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。図1は、スタビライザ21を車体に対し弾性支持するためのスタビライザブッシュ1を示している。スタビライザブッシュ1は、図2に示すように、概ね車幅方向に延びて配設されるスタビライザ21の中間部が貫通配置される貫通孔11を有する筒状の本体部を有し、この本体部は、所定のゴム弾性体によって構成されている。尚、以下においては、スタビライザブッシュ1と、その「本体部」とを区別することなく、単に、スタビライザブッシュ1と呼ぶ。スタビライザブッシュ1は、スタビライザ21が貫通孔11内に貫通配置された状態で、車体部材22と、この車体部材22に対してボルト(図示省略)により固定されるクランプ23とに挟持されることで車体に対し取り付けられ、これによって、スタビライザ21を弾性支持する。ここでクランプ23は、より詳細には、スタビライザブッシュ1の外周面に当接する概略半円形状の当接部231と、この当接部231の両端に連続すると共に、前記車体部材22に対してボルトを介して固定されるブラケット部232とを備えて構成されている。尚、以下の説明においては、その説明の便宜上、スタビライザ21を車体に対して組み付けた姿勢を基準にして、図2における上下方向を「上下方向」、左手前から右奥方向を「車幅方向」、右手前から左奥方向を「(車体の)前後方向」と呼ぶ場合がある。
【0024】
スタビライザブッシュ1は、図3〜5にさらに詳細に示すように、スタビライザ21の軸方向、つまり車幅方向(図4における左右方向、図5における上下方向に対応する)に所定長さを有する筒状であって、図3に端的に示されるように、その正面視では、前後方向に相対する車体部材22及びクランプ23の内の、車体部材22側に位置する、概ね直線状の外周面(つまり、図3における下側の面、以下、この外周面を特に、車体部材側外周面と呼ぶ場合がある)と、前記クランプ23側に位置しかつ、横断面円形状である前記貫通孔11に沿った半円状の外周面及びこの半円の各端と前記車体部材側外周面の各端とを互いに連結する直線状の外周面からなる、全体として概ねU字状となった外周面(つまり、図3における上側及び両側の面、以下、この外周面を特に、クランプ側外周面と呼ぶ場合がある)と、を有している。これによりスタビライザブッシュ1は、全体としては、概略かまぼこ形状を有している。前述したように、貫通孔11は横断面円形状であることから、前記クランプ側外周面は、この円形状の貫通孔11に沿うような外周面であるのに対し、前記車体部材側外周面は、この円形状の貫通孔11に沿わない外周面である、ということができる。また、スタビライザブッシュ1は、その肉厚が周方向に一定ではない、ということができ、貫通孔11の中心軸Xを挟んだクランプ側の部位、つまり図3における上側の部位は、相対的に薄肉になるのに対し、貫通孔11の中心軸Xを挟んだ車体部材側の部位、つまり図3における下側の部位は、相対的に厚肉になる。特に直線状の車体部材側外周面とU字状のクランプ側外周面との接続部分である、図3における下部の左右の隅部近傍の部位は、スタビライザブッシュ1において最も厚肉の部位となる。
【0025】
前記クランプ側外周面にはまた、図4等に示すように、スタビライザブッシュ1の径方向内方に向かって凹陥した凹溝12が、当該U字状の外周面に沿うように延びて形成されている。凹溝12はまた、スタビライザブッシュ1の軸方向(つまり、車幅方向)に2つ並んで形成されている。一方、クランプ23の当接部231は、その詳細な図示は省略するが、この凹溝12を有するクランプ側外周面に対して凹凸係合するように、その断面が車幅方向に延びる波形に形成されており、スタビライザブッシュ1の凹溝12と断面波形の当接部231との凹凸係合によって、車体部材22に対して取り付けたスタビライザブッシュ1が、スタビライザ21の軸方向に移動してしまうことを抑制乃至防止するようにしている。
【0026】
そうしてこのスタビライザブッシュ1には、当該ブッシュ1をスタビライザ21の中間部に嵌着させるために、換言すればスタビライザ21の中間部を貫通孔11内に挿入するための切れ口としてのスリット13が形成されている。
【0027】
このスリット13は、スタビライザブッシュ1の外周面、具体的には車体部材側外周面からブッシュ1の内周面まで連続して形成されて、前記外周面及び内周面にそれぞれ開口して筒状のスタビライザブッシュ1の内外を連通させると共に、ブッシュ1の軸方向については、図5に示すように、スタビライザブッシュ1の全域に亘って延びて形成されている。これにより、スタビライザブッシュ1をスタビライザ21の中間部に対して嵌着させるときには、このスリット13を開いて貫通孔11内をブッシュ1の径方向に開放した上で、スタビライザ21の中間部を、その開いたスリット13を通じて貫通孔11内に挿入することになる。
【0028】
このスリット13の形状及び、スタビライザブッシュ1における形成位置に関して、図を参照しながら、さらに詳細に説明をする。図2,3に示すように、スリット13は、スタビライザブッシュ1を車体部材22に対して取り付けた状態において、貫通孔11の中心(つまり、中心軸X)に対して上下方向に位置をずらして形成されている。尚、上下方向に位置をずらすことに伴い、スリット13は前後方向にも位置がずれることになる。それと共に、ブッシュ1の外周面から内周面に向かう方向が、前後方向となるように設定されている。これによって、図3に示すように、スリット13の、ブッシュ1の外周面から内周面に向かう方向が、貫通孔11の中心を通らない方向に設定されている。換言すれば、中心軸Xに対して図3の右側に位置ずれしたスリット13が、図3の上下方向に延びており、スリット13の延長線は中心軸Xを通らない。このスリット13はまた、スタビライザブッシュ1の、車体部材側の部位(つまり、図3における下部)における左右の隅部近傍の部位に形成されているため、スタビライザブッシュ1において最も厚肉の部位の付近に形成されていることになる。
【0029】
そうしてこのスリット13は、図5に示すように、スタビライザブッシュ1の軸方向に対しては、貫通孔11の中心軸方向に対し平行となるように、軸方向に真っ直ぐに延びて形成されている。
【0030】
ここで、前記構成のスタビライザブッシュ1の製造方法について簡単に説明すると、このスタビライザブッシュ1はゴム弾性体から構成されるため、所定の成形型を用いた加硫成形により製造することが可能である。具体的にスタビライザブッシュ1は筒状であるため、前記貫通孔11の形成のための心棒と、それを囲むような半割の成形型とを用いて成形可能である。ここで、心棒の軸方向に複数のスタビライザブッシュ1が同時に成形されるようにしてもよい。
【0031】
成形後の取り出しの際には、半割の成形型を開くと共に、心棒を成形品から抜く必要があるが、この心棒の端部に対する所定の周方向位置に、所定の向きでカッターを取付固定しておくことにより、心棒の抜き取りと同時に、カッターによって成形品の所定箇所を切断して切れ口、つまりスリット13を形成することが可能になる。前記構成のスタビライザブッシュ1は、スリット13をスタビライザブッシュ1の貫通孔11の中心軸Xに対し平行に真っ直ぐに形成していることによって、型抜きと同時にスリット13を形成することが可能になり、その製造を簡略化することができる。特に前述したように、心棒の軸方向に複数のスタビライザブッシュ1を同時に成形する構成においては、心棒の抜き取りに伴い、スタビライザブッシュ1の各々に対して、スリット13が順次形成されることになり効率的である。
【0032】
そうして、前述した特徴を有するスリット13を備えたスタビライザブッシュ1は、従来のスタビライザブッシュと比較して、スリット13の開きを抑制することができる。このことについて、図6,7を参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係るスタビライザブッシュ1によってスタビライザ21を支持した状態を示す正面図である。ここで、スタビライザブッシュ1に弾性支持されたスタビライザ21は、車両の停止状態では、スタビライザ21の軸心とブッシュの貫通孔11の中心軸Xとが一致した初期状態となっている一方で、車両の走行中は、スタビライザ21に入力される負荷に応じて、その初期状態から、上下及び前後を含む、あらゆる方向に移動し得るようになる。つまり、スタビライザ21は、図6に矢印で示すように、ブッシュ1の貫通孔11の中心軸Xに対して放射状に移動をし得る。
【0033】
ここで、図7に示すように、スタビライザブッシュ10のスリット130の、ブッシュ外周面から内周面に向かう方向を、貫通孔11の中心に対し放射方向となるようにすることで、スリット130の方向を貫通孔11の中心を通る方向に設定したときを考える。このスリット130はまた、スタビライザブッシュ1における車体部材側の部位の隅部近傍に形成しており、貫通孔11の中心に対して上下方向及び前後方向に位置がずれている。尚、図示を省略するが、スリット130は、貫通孔11の中心軸Xに対し平行に延びて形成されているものとする。
【0034】
前述したように、スタビライザ21は、ブッシュ10の貫通孔11の中心に対し放射状に移動をすることから、当該スタビライザ21が、前記スリットの形成位置の方向(図7においては、斜め左上の方向)に移動をしたときには、スタビライザブッシュ10におけるスリット13の形成部位が圧縮されるに伴い、図7に矢印で示すようにスリット130の間を広げるような力が作用して、仮想線で示すようにスリット130の間が広がるようになる。このようなスタビライザ21の移動が繰り返されることにより、スリット130は次第に開いてしまう。つまり、スリット130の方向を貫通孔11の中心を通る方向に設定したときには、スリット130は次第に開いてしまい、スタビライザ21がそのスリット130の方向に移動し易くなって、ロール特性の制御効果の低下や、メタルタッチが生じ得る。尚、図示は省略するが、スリットの周方向に対する形成位置を、図7とは異なる位置に設定した場合であっても、そのスリットの方向を貫通孔11の中心を通る方向に設定したときには、前記と同様の理由により、スリットは次第に開いてしまう。
【0035】
これに対し、前記のスタビライザブッシュ1は、図6に示すように、スリット13は、ブッシュ外周面から内周面に向かう方向が、貫通孔11の中心を通らない方向に設定されている。このことにより、スタビライザ21が、スリット13の形成位置の方向に、貫通孔11の中心に対して放射状に移動をして当該部分が圧縮されても、スリット13の間を広げるような力が作用せず、スリット13の間が広がることが抑制乃至防止される。スリット13の開きが効果的に防止される結果、スタビライザ21によるロール特性の制御効果が、長期間に亘って安定して得られると共に、メタルタッチ等の不具合を確実に回避し得る。
【0036】
また、前記のスリット13は、スタビライザブッシュ1の車体取付状態において、貫通孔11の中心に対して上下方向及び前後方向に位置をずらして形成されており、このことと、スリット13の、ブッシュの外周面から内周面に向かう方向が貫通孔11の中心を通らない方向に設定されていることとが組み合わさることによって、スリット13の開きがより効果的に防止され得る。さらに、前記のスリット13を、貫通孔11の中心に対し上下及び前後方向に位置をずらして形成することは、スタビライザ21を組み付けた当初のスリット13の開きをも抑制し得るとの知見が得られた。このこともまた、スリット13の開きを、経時的に抑制乃至防止する上で有利になる。尚、スリット13の位置ずれ方向は、スタビライザブッシュ1の組み付け状態において、貫通孔11の中心を基準とした上方向及び下方向のいずれであってもよい。
【0037】
さらに、前記のスリット13は、前述したように、貫通孔11の中心軸Xを挟んだ、車体部材側の部位であって、スタビライザブッシュ1において最も厚肉の部位の付近に形成されている。このことにより、スタビライザ21が、スリット13の形成位置の方向に移動をしたときに、スタビライザブッシュ1のスリット形成部分の圧縮変形が抑制されるため、スリット13の間が広がることがより一層、抑制乃至防止される。その結果、スリット13の開きを、より一層効果的に防止し得る。
【0038】
ここで、図3に破線で示すように、スリット13の延びる方向に相当する直線と、当該スリット13のブッシュ内周面の開口位置と貫通孔中心とを結ぶ直線と、のなす角度θと、スリット13の開き抑制効果との関係について検討する。例えばスリット13が前後方向に延びる場合においては、そのスリット13が、貫通孔11の中心に対する上下方向のずれ量が小さいほど角度θは小さくなり(つまり、ずれ量が0(ゼロ)で角度θも0)、前記ずれ量が大きいほど角度θは大きくなる。これに対し、スタビライザ21が、スリットの形成位置の方向に移動をしたときに、スリット13の間を広げるような力は、前記角度θが小さいほど大きくなり、前記角度θが大きいほど小さくなると考えられる。そうすると、前後方向に延びるスリット13は、図3に示すように、貫通孔11の中心に対する上下方向のずれ量を大きくすることが、スリット13の開きを抑制する効果が高く、好ましい。尚、図示は省略するが、スリット13を最大限ずらして、当該スリット13が、貫通孔11の接線と等しくなるようにしてもよい。またこうして、スリット13のずれ量を大きくすることは同時に、スリット13を、スタビライザブッシュ1における相対的に厚肉の部位に形成することにもなるのである。
【0039】
このようにスリット13の開きを防止しつつも、前述したように、スリット13を貫通孔11の中心軸Xに平行に延びて形成していることで、スリット13の形成を型からの取り出しと同時に行うことができるから、工程数の低減により、スタビライザブッシュ1の製造を簡略化し得る。
【0040】
尚、スリットの開きを防止する上で効果的なスリットの形状及び形成位置は、前記図3に示すものには限定されない。例えば図8〜11に例示するような形状及び/又は形成位置としてもよい。尚、図8〜11では、ブッシュの正面図のみを図示しているが、そこに形成されているスリット131〜134は、中心軸Xに対して平行に延びているものとする。スリット131は、そのスタビライザブッシュ101の外周面から内周面に向かう方向を、前後方向又は上下方向に対して傾くようにしてもよい。この場合、スリット131は、貫通孔11の中心に対して上下方向に同じ位置になる(つまり、位置ずれしない)ものの、スリット131の方向は、貫通孔11の中心を通らない方向に設定されるため、スリット131の開きは、前記と同様に抑制乃至防止され得る。また、図9に示すスタビライザブッシュ102のように、スリット132の方向を、前後方向又は上下方向に対して傾けつつ、スリット132を、貫通孔11の中心に対して上下方向及び前後方向に位置をずらしてもよい。ここで、スリット132の上下方向又は前後方向に対する傾き方向は、前述した角度θが大きくなる方向に設定することが好ましい。従って、スリット132の、ブッシュ外周面から内周面に向かう方向は、貫通孔11の中心に近づく方向ではなく、図9に示すように、中心から離れるような方向とすることが好ましい。
【0041】
さらに、図10に示すように、スリット133は、スタビライザブッシュ103の車体部材側外周面に開口するのではなく、クランプ側外周面に開口するようにしてもよい。つまり、このスタビライザブッシュ103では、貫通孔11の中心に対して前後方向及び上下方向に位置をずらしてスリット133を形成していると共に、そのスリット133の、ブッシュ1の外周面(具体的にはクランプ側外周面)から内周面に向かう方向が、上下方向となるように設定されている。このスタビライザブッシュ103でも、スリット133の方向が貫通孔11の中心を通らない方向に設定されており、スリット133の開きを抑制乃至防止する上で有効である。但し前述したように、フランジ側外周面には2つの凹溝12,12が形成されているため、このスリット133は、スタビライザブッシュ103において、軸方向(つまり、車幅方向)に肉厚が変化する箇所に形成されることになる。
【0042】
さらに、図11に示すように、スリット134は、スタビライザブッシュ104における、貫通孔11の中心軸Xを挟んだクランプ側の部位に形成してもよい。この場合においても、スリット134の方向を、前述したように、貫通孔11の中心を通らない方向に設定することで、スリット134の開きを効果的に抑制乃至防止することができる。
【0043】
加えて、図示は省略するが、図3,8〜11の各スタビライザブッシュ1,101〜104のスリット13,131〜134が有する各特徴を、可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
【0044】
尚、スタビライザブッシュ(本体部)の形状に特に限定はなく、ここに開示する技術は、貫通孔11を有する筒状のスタビライザブッシュに広く適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、ここに開示したスタビライザブッシュは、スリットの開きを防止しつつ、その製造が容易である点で有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 スタビライザブッシュ(本体部)
101〜104 スタビライザブッシュ(本体部)
11 貫通孔
13 スリット
131〜134 スリット
21 スタビライザ
22 車体部材
23 クランプ
X 中心軸
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、スタビライザを車体に対し弾性支持するためのスタビライザブッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
車体のロール特性を制御するためのトーションバースプリングであるスタビライザは、弾性体からなるスタビライザブッシュによって、その中間部が車体に対して弾性支持される。スタビライザブッシュは、一般的には、車幅方向に延びるスタビライザの中間部が貫通配置される貫通孔を有する筒状であり、車体部材と、当該車体部材に取付固定されるクランプとに挟持されることによって車体に対して取り付けられる。
【0003】
ここで、スタビライザブッシュには、前記貫通孔の内周面からブッシュ外周面まで連続してかつ、当該ブッシュの孔軸方向の全域に亘って延びる、切れ口としてのスリットが形成されており、このスリットを開いて、前記スタビライザを前記貫通孔内に内挿することになる。
【0004】
このように構成されるスタビライザの支持構造においては、そのスタビライザの組み付け状態において、前記スタビライザブッシュのスリットが比較的大きく開いてしまう場合がある。また、車両の走行に伴い、スタビライザブッシュへの荷重入力が繰り返されることによって、前記スタビライザブッシュのスリットが次第に開いてしまう場合もある。スリットが比較的大きく開いてしまった場合は、例えば車両の走行中に、スタビライザがそのスリットの方向に大きく移動してしまい、ロール特性の制御効果の低下や、スタビライザと例えば車体部材やクランプ等とが互いに接触してしまう、いわゆるメタルタッチを生じ得る。
【0005】
そこで従来より、そうしたスリットの開きを防止する観点から、スリットを、貫通孔の孔軸に対して交差するように、その孔軸方向に対して斜めに延びて形成したり(例えば特許文献1参照)、これとは逆に、スリットはブッシュの軸方向に真っ直ぐに形成する一方で、貫通孔を、そのスリットに対して交差するように斜めに形成したり(例えば特許文献2参照)する対策が提案されている。
【0006】
尚、例えば特許文献3,4に記載されているように、スリットが形成されたブッシュにおいて、スリットを挟んだ両側が軸方向にずれてしまうことを防止する観点から、スリットを軸方向に対してジグザグに形成したりすることも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−205632号公報
【特許文献2】特開平7−266835号公報
【特許文献3】特開平9−269028号公報
【特許文献4】特開2000−46055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、本願発明者らが検討したところ、前記の特許文献に記載されたブッシュにおいてもスリットの開きを防止する効果は十分でなく、メタルタッチが発生し得ることが判明した。また、前記の特許文献に記載されたブッシュのように、貫通孔の孔軸とスリットとが互いに平行ではない構成は、成形型から取り出したブッシュに対し、例えばカッター等によって切れ目を入れてスリットを別途形成しなければならず、工数の増大により、その製造が煩雑になるという不都合もある。
【0009】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スリットの開きを効果的に防止すると共に、その製造も容易なスタビライザブッシュを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
スリットの形成に関係してスタビライザブッシュの製造を容易にする上では、貫通孔の孔軸とスリットとを互いに平行にすることが望ましい。なぜなら、こうした貫通孔を有するスタビライザブッシュの成形は、その貫通孔を形成するための心棒を用いて行われ、型開き後にその心棒から成形品を抜く(実際は、心棒を動かして成形品から抜く)ようにされるが、心棒に対してカッターを固定しておけば、心棒を成形品から抜くと同時にカッターによって成形品を切断してスリットを形成することが可能になるためである。この場合スリットは、心棒の軸方向、つまり貫通孔の孔軸に平行にしかならない。
【0011】
そこで、ブッシュ製造の容易化の観点から、スリットを貫通孔の中心軸に平行に形成することを前提に、本願発明者らがスリットの開き防止について検討を重ねたところ、スリットの、ブッシュ外周面から内周面に向かう方向が、その貫通孔の中心を通らない方向に設定した場合に、スリットの開きが効果的に防止される点を見出し、本願発明を完成するに至ったものである。
【0012】
具体的に、ここに開示するスタビライザブッシュは、スタビライザを車体に対して弾性支持するスタビライザブッシュであって、前記スタビライザが貫通配置される貫通孔を有する筒状の本体部を備える。
【0013】
そして、前記本体部には、前記スタビライザ取付用のスリットが、前記本体部の外周面から内周面まで連続すると共に、前記貫通孔の中心軸方向に前記本体部の全域に亘って延びて形成され、前記スリットは、前記外周面から前記内周面に向かう方向が前記貫通孔の中心を通らない方向に設定されていると共に、前記貫通孔の中心軸に平行に延びて形成されている。
【0014】
本願発明者の検討によれば、スタビライザブッシュに弾性支持されたスタビライザは、車両の停止状態では、スタビライザの軸心とブッシュの貫通孔の中心軸とが一致した初期状態となっている一方で、車両の走行中は、その初期状態から上下、前後のあらゆる方向に移動し得るようになる。つまり、スタビライザは、ブッシュの貫通孔の中心軸に対し放射状に移動をし得る。
【0015】
これに対し、ブッシュのスリットの、ブッシュ外周面から内周面に向かう方向を、仮に貫通孔の中心を通る方向に設定したと仮定する。この場合は、前述したようにブッシュの貫通孔の中心軸に対し放射状にスタビライザが移動をし得ることから、当該スタビライザが前記スリットの形成位置の方向に移動をしたときに、当該スリットの形成部分が圧縮されるに伴いスリットの間を広げる力が作用するようになる。こうしたことが繰り返されることにより、スリットの方向を貫通孔の中心を通る方向に設定したときには、スリットが次第に開いてしまうと考えられる。
【0016】
そこで、前記の構成では、スリットの、ブッシュ外周面から内周面に向かう方向が貫通孔の中心を通らない方向に設定する。こうすることで、スタビライザが、スリットの形成位置の方向に移動をして当該スリットの形成部分が圧縮されても、スリットの間が広がることが抑制乃至防止される。その結果、スリットの開きが効果的に防止される。それと共に、当該スリットは貫通孔の中心軸に平行に延びて形成されていることで、前述したように、スタビライザブッシュの製造は簡略化し得る。
【0017】
前記スリットは、前記本体部が車体に取り付けられて車幅方向に延びる前記スタビライザを弾性支持した状態において、前記貫通孔の中心に対し、当該中心軸方向に直交する上下方向及び前後方向のそれぞれに対して位置をずらして形成されている、としてもよい。
【0018】
前述した、スリットのブッシュ外周面から内周面に向かう方向を貫通孔の中心を通らない方向に設定することと、そのスリットの形成位置、詳しくは、貫通孔の周方向に対する形成位置を、スタビライザブッシュの車体取付状態において、貫通孔の中心軸方向に直交する上下方向及び前後方向のそれぞれの方向に対してずらすことと、を組み合わせることによって、スリットの開きをより効果的に防止し得る。また、本願発明者らの知見によると、スリットの位置をずらすことは、スタビライザブッシュを組み付けた当初のスリットの開きを抑制し得る。
【0019】
前記本体部は、車体部材と、当該車体部材に取付固定されるクランプとに挟持されることによって前記車体に取り付けられ、前記本体部は、前記貫通孔の中心軸を挟んだ前記車体部材側の部位が相対的に厚肉に、前記クランプ側の部位が相対的に薄肉に構成されており、前記スリットは、前記車体部材側の部位と前記クランプ側の部位との内、前記車体部材側の部位に形成されている、としてもよい。
【0020】
この構成によると、スリットを、相対的に厚肉の部位に形成していることで、スタビライザがスリット位置の方向に移動をしたときに、そのスリット形成部位の圧縮変形が抑制され、スリットの間が広がることを、より一層、抑制乃至防止し得る。その結果、スリットの開きをより一層効果的に防止し得る。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、前記のスタビライザブッシュは、そこに形成するスリットの、ブッシュ外周面から内周面に向かう方向を、貫通孔の中心を通らない方向に設定することによって、貫通孔の中心軸に対して放射状に移動し得るスタビライザが、スリットの形成位置の方向に移動をしても、スリットの間が広がることが抑制乃至防止され、スリットの開きを効果的に防止することができる。それと共に、前記スリットは貫通孔の中心軸に平行に延びて形成されていることで、その製造に際しては、成形型からの取り出しと同時に本体部にスリットを形成することが可能になり、スタビライザブッシュの製造を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】スタビライザブッシュの斜視図である。
【図2】スタビライザの支持状態を示す概略斜視図である。
【図3】スタビライザブッシュの正面図である。
【図4】スタビライザブッシュの側面図である。
【図5】スタビライザブッシュの底面図である。
【図6】図1等に示すスタビライザブッシュを用いたスタビライザの支持状態を示す正面図である。
【図7】比較例に係るスタビライザブッシュを用いたスタビライザの支持状態を示す図6対応図である。
【図8】スタビライザブッシュの別の構成を示す正面図である。
【図9】スタビライザブッシュのさらに別の構成を示す正面図である。
【図10】スタビライザブッシュのさらに別の構成を示す正面図である。
【図11】スタビライザブッシュのさらに別の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、スタビライザブッシュの実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。図1は、スタビライザ21を車体に対し弾性支持するためのスタビライザブッシュ1を示している。スタビライザブッシュ1は、図2に示すように、概ね車幅方向に延びて配設されるスタビライザ21の中間部が貫通配置される貫通孔11を有する筒状の本体部を有し、この本体部は、所定のゴム弾性体によって構成されている。尚、以下においては、スタビライザブッシュ1と、その「本体部」とを区別することなく、単に、スタビライザブッシュ1と呼ぶ。スタビライザブッシュ1は、スタビライザ21が貫通孔11内に貫通配置された状態で、車体部材22と、この車体部材22に対してボルト(図示省略)により固定されるクランプ23とに挟持されることで車体に対し取り付けられ、これによって、スタビライザ21を弾性支持する。ここでクランプ23は、より詳細には、スタビライザブッシュ1の外周面に当接する概略半円形状の当接部231と、この当接部231の両端に連続すると共に、前記車体部材22に対してボルトを介して固定されるブラケット部232とを備えて構成されている。尚、以下の説明においては、その説明の便宜上、スタビライザ21を車体に対して組み付けた姿勢を基準にして、図2における上下方向を「上下方向」、左手前から右奥方向を「車幅方向」、右手前から左奥方向を「(車体の)前後方向」と呼ぶ場合がある。
【0024】
スタビライザブッシュ1は、図3〜5にさらに詳細に示すように、スタビライザ21の軸方向、つまり車幅方向(図4における左右方向、図5における上下方向に対応する)に所定長さを有する筒状であって、図3に端的に示されるように、その正面視では、前後方向に相対する車体部材22及びクランプ23の内の、車体部材22側に位置する、概ね直線状の外周面(つまり、図3における下側の面、以下、この外周面を特に、車体部材側外周面と呼ぶ場合がある)と、前記クランプ23側に位置しかつ、横断面円形状である前記貫通孔11に沿った半円状の外周面及びこの半円の各端と前記車体部材側外周面の各端とを互いに連結する直線状の外周面からなる、全体として概ねU字状となった外周面(つまり、図3における上側及び両側の面、以下、この外周面を特に、クランプ側外周面と呼ぶ場合がある)と、を有している。これによりスタビライザブッシュ1は、全体としては、概略かまぼこ形状を有している。前述したように、貫通孔11は横断面円形状であることから、前記クランプ側外周面は、この円形状の貫通孔11に沿うような外周面であるのに対し、前記車体部材側外周面は、この円形状の貫通孔11に沿わない外周面である、ということができる。また、スタビライザブッシュ1は、その肉厚が周方向に一定ではない、ということができ、貫通孔11の中心軸Xを挟んだクランプ側の部位、つまり図3における上側の部位は、相対的に薄肉になるのに対し、貫通孔11の中心軸Xを挟んだ車体部材側の部位、つまり図3における下側の部位は、相対的に厚肉になる。特に直線状の車体部材側外周面とU字状のクランプ側外周面との接続部分である、図3における下部の左右の隅部近傍の部位は、スタビライザブッシュ1において最も厚肉の部位となる。
【0025】
前記クランプ側外周面にはまた、図4等に示すように、スタビライザブッシュ1の径方向内方に向かって凹陥した凹溝12が、当該U字状の外周面に沿うように延びて形成されている。凹溝12はまた、スタビライザブッシュ1の軸方向(つまり、車幅方向)に2つ並んで形成されている。一方、クランプ23の当接部231は、その詳細な図示は省略するが、この凹溝12を有するクランプ側外周面に対して凹凸係合するように、その断面が車幅方向に延びる波形に形成されており、スタビライザブッシュ1の凹溝12と断面波形の当接部231との凹凸係合によって、車体部材22に対して取り付けたスタビライザブッシュ1が、スタビライザ21の軸方向に移動してしまうことを抑制乃至防止するようにしている。
【0026】
そうしてこのスタビライザブッシュ1には、当該ブッシュ1をスタビライザ21の中間部に嵌着させるために、換言すればスタビライザ21の中間部を貫通孔11内に挿入するための切れ口としてのスリット13が形成されている。
【0027】
このスリット13は、スタビライザブッシュ1の外周面、具体的には車体部材側外周面からブッシュ1の内周面まで連続して形成されて、前記外周面及び内周面にそれぞれ開口して筒状のスタビライザブッシュ1の内外を連通させると共に、ブッシュ1の軸方向については、図5に示すように、スタビライザブッシュ1の全域に亘って延びて形成されている。これにより、スタビライザブッシュ1をスタビライザ21の中間部に対して嵌着させるときには、このスリット13を開いて貫通孔11内をブッシュ1の径方向に開放した上で、スタビライザ21の中間部を、その開いたスリット13を通じて貫通孔11内に挿入することになる。
【0028】
このスリット13の形状及び、スタビライザブッシュ1における形成位置に関して、図を参照しながら、さらに詳細に説明をする。図2,3に示すように、スリット13は、スタビライザブッシュ1を車体部材22に対して取り付けた状態において、貫通孔11の中心(つまり、中心軸X)に対して上下方向に位置をずらして形成されている。尚、上下方向に位置をずらすことに伴い、スリット13は前後方向にも位置がずれることになる。それと共に、ブッシュ1の外周面から内周面に向かう方向が、前後方向となるように設定されている。これによって、図3に示すように、スリット13の、ブッシュ1の外周面から内周面に向かう方向が、貫通孔11の中心を通らない方向に設定されている。換言すれば、中心軸Xに対して図3の右側に位置ずれしたスリット13が、図3の上下方向に延びており、スリット13の延長線は中心軸Xを通らない。このスリット13はまた、スタビライザブッシュ1の、車体部材側の部位(つまり、図3における下部)における左右の隅部近傍の部位に形成されているため、スタビライザブッシュ1において最も厚肉の部位の付近に形成されていることになる。
【0029】
そうしてこのスリット13は、図5に示すように、スタビライザブッシュ1の軸方向に対しては、貫通孔11の中心軸方向に対し平行となるように、軸方向に真っ直ぐに延びて形成されている。
【0030】
ここで、前記構成のスタビライザブッシュ1の製造方法について簡単に説明すると、このスタビライザブッシュ1はゴム弾性体から構成されるため、所定の成形型を用いた加硫成形により製造することが可能である。具体的にスタビライザブッシュ1は筒状であるため、前記貫通孔11の形成のための心棒と、それを囲むような半割の成形型とを用いて成形可能である。ここで、心棒の軸方向に複数のスタビライザブッシュ1が同時に成形されるようにしてもよい。
【0031】
成形後の取り出しの際には、半割の成形型を開くと共に、心棒を成形品から抜く必要があるが、この心棒の端部に対する所定の周方向位置に、所定の向きでカッターを取付固定しておくことにより、心棒の抜き取りと同時に、カッターによって成形品の所定箇所を切断して切れ口、つまりスリット13を形成することが可能になる。前記構成のスタビライザブッシュ1は、スリット13をスタビライザブッシュ1の貫通孔11の中心軸Xに対し平行に真っ直ぐに形成していることによって、型抜きと同時にスリット13を形成することが可能になり、その製造を簡略化することができる。特に前述したように、心棒の軸方向に複数のスタビライザブッシュ1を同時に成形する構成においては、心棒の抜き取りに伴い、スタビライザブッシュ1の各々に対して、スリット13が順次形成されることになり効率的である。
【0032】
そうして、前述した特徴を有するスリット13を備えたスタビライザブッシュ1は、従来のスタビライザブッシュと比較して、スリット13の開きを抑制することができる。このことについて、図6,7を参照しながら説明する。図6は、本実施形態に係るスタビライザブッシュ1によってスタビライザ21を支持した状態を示す正面図である。ここで、スタビライザブッシュ1に弾性支持されたスタビライザ21は、車両の停止状態では、スタビライザ21の軸心とブッシュの貫通孔11の中心軸Xとが一致した初期状態となっている一方で、車両の走行中は、スタビライザ21に入力される負荷に応じて、その初期状態から、上下及び前後を含む、あらゆる方向に移動し得るようになる。つまり、スタビライザ21は、図6に矢印で示すように、ブッシュ1の貫通孔11の中心軸Xに対して放射状に移動をし得る。
【0033】
ここで、図7に示すように、スタビライザブッシュ10のスリット130の、ブッシュ外周面から内周面に向かう方向を、貫通孔11の中心に対し放射方向となるようにすることで、スリット130の方向を貫通孔11の中心を通る方向に設定したときを考える。このスリット130はまた、スタビライザブッシュ1における車体部材側の部位の隅部近傍に形成しており、貫通孔11の中心に対して上下方向及び前後方向に位置がずれている。尚、図示を省略するが、スリット130は、貫通孔11の中心軸Xに対し平行に延びて形成されているものとする。
【0034】
前述したように、スタビライザ21は、ブッシュ10の貫通孔11の中心に対し放射状に移動をすることから、当該スタビライザ21が、前記スリットの形成位置の方向(図7においては、斜め左上の方向)に移動をしたときには、スタビライザブッシュ10におけるスリット13の形成部位が圧縮されるに伴い、図7に矢印で示すようにスリット130の間を広げるような力が作用して、仮想線で示すようにスリット130の間が広がるようになる。このようなスタビライザ21の移動が繰り返されることにより、スリット130は次第に開いてしまう。つまり、スリット130の方向を貫通孔11の中心を通る方向に設定したときには、スリット130は次第に開いてしまい、スタビライザ21がそのスリット130の方向に移動し易くなって、ロール特性の制御効果の低下や、メタルタッチが生じ得る。尚、図示は省略するが、スリットの周方向に対する形成位置を、図7とは異なる位置に設定した場合であっても、そのスリットの方向を貫通孔11の中心を通る方向に設定したときには、前記と同様の理由により、スリットは次第に開いてしまう。
【0035】
これに対し、前記のスタビライザブッシュ1は、図6に示すように、スリット13は、ブッシュ外周面から内周面に向かう方向が、貫通孔11の中心を通らない方向に設定されている。このことにより、スタビライザ21が、スリット13の形成位置の方向に、貫通孔11の中心に対して放射状に移動をして当該部分が圧縮されても、スリット13の間を広げるような力が作用せず、スリット13の間が広がることが抑制乃至防止される。スリット13の開きが効果的に防止される結果、スタビライザ21によるロール特性の制御効果が、長期間に亘って安定して得られると共に、メタルタッチ等の不具合を確実に回避し得る。
【0036】
また、前記のスリット13は、スタビライザブッシュ1の車体取付状態において、貫通孔11の中心に対して上下方向及び前後方向に位置をずらして形成されており、このことと、スリット13の、ブッシュの外周面から内周面に向かう方向が貫通孔11の中心を通らない方向に設定されていることとが組み合わさることによって、スリット13の開きがより効果的に防止され得る。さらに、前記のスリット13を、貫通孔11の中心に対し上下及び前後方向に位置をずらして形成することは、スタビライザ21を組み付けた当初のスリット13の開きをも抑制し得るとの知見が得られた。このこともまた、スリット13の開きを、経時的に抑制乃至防止する上で有利になる。尚、スリット13の位置ずれ方向は、スタビライザブッシュ1の組み付け状態において、貫通孔11の中心を基準とした上方向及び下方向のいずれであってもよい。
【0037】
さらに、前記のスリット13は、前述したように、貫通孔11の中心軸Xを挟んだ、車体部材側の部位であって、スタビライザブッシュ1において最も厚肉の部位の付近に形成されている。このことにより、スタビライザ21が、スリット13の形成位置の方向に移動をしたときに、スタビライザブッシュ1のスリット形成部分の圧縮変形が抑制されるため、スリット13の間が広がることがより一層、抑制乃至防止される。その結果、スリット13の開きを、より一層効果的に防止し得る。
【0038】
ここで、図3に破線で示すように、スリット13の延びる方向に相当する直線と、当該スリット13のブッシュ内周面の開口位置と貫通孔中心とを結ぶ直線と、のなす角度θと、スリット13の開き抑制効果との関係について検討する。例えばスリット13が前後方向に延びる場合においては、そのスリット13が、貫通孔11の中心に対する上下方向のずれ量が小さいほど角度θは小さくなり(つまり、ずれ量が0(ゼロ)で角度θも0)、前記ずれ量が大きいほど角度θは大きくなる。これに対し、スタビライザ21が、スリットの形成位置の方向に移動をしたときに、スリット13の間を広げるような力は、前記角度θが小さいほど大きくなり、前記角度θが大きいほど小さくなると考えられる。そうすると、前後方向に延びるスリット13は、図3に示すように、貫通孔11の中心に対する上下方向のずれ量を大きくすることが、スリット13の開きを抑制する効果が高く、好ましい。尚、図示は省略するが、スリット13を最大限ずらして、当該スリット13が、貫通孔11の接線と等しくなるようにしてもよい。またこうして、スリット13のずれ量を大きくすることは同時に、スリット13を、スタビライザブッシュ1における相対的に厚肉の部位に形成することにもなるのである。
【0039】
このようにスリット13の開きを防止しつつも、前述したように、スリット13を貫通孔11の中心軸Xに平行に延びて形成していることで、スリット13の形成を型からの取り出しと同時に行うことができるから、工程数の低減により、スタビライザブッシュ1の製造を簡略化し得る。
【0040】
尚、スリットの開きを防止する上で効果的なスリットの形状及び形成位置は、前記図3に示すものには限定されない。例えば図8〜11に例示するような形状及び/又は形成位置としてもよい。尚、図8〜11では、ブッシュの正面図のみを図示しているが、そこに形成されているスリット131〜134は、中心軸Xに対して平行に延びているものとする。スリット131は、そのスタビライザブッシュ101の外周面から内周面に向かう方向を、前後方向又は上下方向に対して傾くようにしてもよい。この場合、スリット131は、貫通孔11の中心に対して上下方向に同じ位置になる(つまり、位置ずれしない)ものの、スリット131の方向は、貫通孔11の中心を通らない方向に設定されるため、スリット131の開きは、前記と同様に抑制乃至防止され得る。また、図9に示すスタビライザブッシュ102のように、スリット132の方向を、前後方向又は上下方向に対して傾けつつ、スリット132を、貫通孔11の中心に対して上下方向及び前後方向に位置をずらしてもよい。ここで、スリット132の上下方向又は前後方向に対する傾き方向は、前述した角度θが大きくなる方向に設定することが好ましい。従って、スリット132の、ブッシュ外周面から内周面に向かう方向は、貫通孔11の中心に近づく方向ではなく、図9に示すように、中心から離れるような方向とすることが好ましい。
【0041】
さらに、図10に示すように、スリット133は、スタビライザブッシュ103の車体部材側外周面に開口するのではなく、クランプ側外周面に開口するようにしてもよい。つまり、このスタビライザブッシュ103では、貫通孔11の中心に対して前後方向及び上下方向に位置をずらしてスリット133を形成していると共に、そのスリット133の、ブッシュ1の外周面(具体的にはクランプ側外周面)から内周面に向かう方向が、上下方向となるように設定されている。このスタビライザブッシュ103でも、スリット133の方向が貫通孔11の中心を通らない方向に設定されており、スリット133の開きを抑制乃至防止する上で有効である。但し前述したように、フランジ側外周面には2つの凹溝12,12が形成されているため、このスリット133は、スタビライザブッシュ103において、軸方向(つまり、車幅方向)に肉厚が変化する箇所に形成されることになる。
【0042】
さらに、図11に示すように、スリット134は、スタビライザブッシュ104における、貫通孔11の中心軸Xを挟んだクランプ側の部位に形成してもよい。この場合においても、スリット134の方向を、前述したように、貫通孔11の中心を通らない方向に設定することで、スリット134の開きを効果的に抑制乃至防止することができる。
【0043】
加えて、図示は省略するが、図3,8〜11の各スタビライザブッシュ1,101〜104のスリット13,131〜134が有する各特徴を、可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
【0044】
尚、スタビライザブッシュ(本体部)の形状に特に限定はなく、ここに開示する技術は、貫通孔11を有する筒状のスタビライザブッシュに広く適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、ここに開示したスタビライザブッシュは、スリットの開きを防止しつつ、その製造が容易である点で有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 スタビライザブッシュ(本体部)
101〜104 スタビライザブッシュ(本体部)
11 貫通孔
13 スリット
131〜134 スリット
21 スタビライザ
22 車体部材
23 クランプ
X 中心軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタビライザを車体に対して弾性支持するスタビライザブッシュであって、
前記スタビライザが貫通配置される貫通孔を有する筒状の本体部を備え、
前記本体部には、前記スタビライザ取付用のスリットが、前記本体部の外周面から内周面まで連続すると共に、前記貫通孔の中心軸方向に前記本体部の全域に亘って延びて形成され、
前記スリットは、前記外周面から前記内周面に向かう方向が前記貫通孔の中心を通らない方向に設定されていると共に、前記貫通孔の中心軸に平行に延びて形成されているスタビライザブッシュ。
【請求項2】
請求項1に記載のスタビライザブッシュにおいて、
前記スリットは、前記本体部が車体に取り付けられて車幅方向に延びる前記スタビライザを弾性支持した状態において、前記貫通孔の中心に対し、当該中心軸方向に直交する上下方向及び前後方向のそれぞれに対して位置をずらして形成されているスタビライザブッシュ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスタビライザブッシュにおいて、
前記本体部は、車体部材と、当該車体部材に取付固定されるクランプとに挟持されることによって前記車体に取り付けられ、
前記本体部は、前記貫通孔の中心軸を挟んだ前記車体部材側の部位が相対的に厚肉に、前記クランプ側の部位が相対的に薄肉に構成されており、
前記スリットは、前記車体部材側の部位と前記クランプ側の部位との内、前記車体部材側の部位に形成されているスタビライザブッシュ。
【請求項1】
スタビライザを車体に対して弾性支持するスタビライザブッシュであって、
前記スタビライザが貫通配置される貫通孔を有する筒状の本体部を備え、
前記本体部には、前記スタビライザ取付用のスリットが、前記本体部の外周面から内周面まで連続すると共に、前記貫通孔の中心軸方向に前記本体部の全域に亘って延びて形成され、
前記スリットは、前記外周面から前記内周面に向かう方向が前記貫通孔の中心を通らない方向に設定されていると共に、前記貫通孔の中心軸に平行に延びて形成されているスタビライザブッシュ。
【請求項2】
請求項1に記載のスタビライザブッシュにおいて、
前記スリットは、前記本体部が車体に取り付けられて車幅方向に延びる前記スタビライザを弾性支持した状態において、前記貫通孔の中心に対し、当該中心軸方向に直交する上下方向及び前後方向のそれぞれに対して位置をずらして形成されているスタビライザブッシュ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスタビライザブッシュにおいて、
前記本体部は、車体部材と、当該車体部材に取付固定されるクランプとに挟持されることによって前記車体に取り付けられ、
前記本体部は、前記貫通孔の中心軸を挟んだ前記車体部材側の部位が相対的に厚肉に、前記クランプ側の部位が相対的に薄肉に構成されており、
前記スリットは、前記車体部材側の部位と前記クランプ側の部位との内、前記車体部材側の部位に形成されているスタビライザブッシュ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−148347(P2011−148347A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9662(P2010−9662)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】
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