説明

スターホイール装置

【課題】 清掃作業を容易に行えるスターホイール装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、物品を処理する処理部とコンベアとの間で物品を円弧状の搬送経路に沿って搬送するスターホイール装置であって、スターホイール1と、スターホイール1を支持する支持部材2とを備える。スターホイール1と支持部材2とは、スペーサ3によって間隙を置いて配置され、スターホイール1は、支持部材2へのアクセスを可能にする貫通孔1fを有する。スターホイール1の上方から加熱された水等を含む洗浄液を供給する洗浄液供給部6をさらに備えることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を処理する処理部とコンベアとの間で物品を円弧状の搬送経路に沿って搬送するスターホイール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールの製造装置において、使用済みのビール瓶の側面、内部を洗浄する洗浄機、洗浄された空のビール瓶にビールを充填する充填機(フィラー)やビールを充填したビール瓶に栓でふたをする打栓機等の入口や出口にスターホイール装置が配置される。スターホイール装置は、コンベアから洗浄機、充填機、打栓機等へ、また、洗浄機、充填機、打栓機等からコンベアへビール瓶をポケットに保持しつつ円弧状の搬送経路に沿って搬送する。
【0003】
このようなスターホイール装置は、特許文献1,2に開示されている。特許文献1,2に開示されているスターホイール装置Sは、図4に示されるように、スターホイール1’と、回転軸5’を介してスターホイール1’を回転可能に支持する支持部材2’とを備えている。スターホイール1’は、上下スターホイール1a’,1b’と、スターホイール1’を支持部材2’上に取り付けるための取付部1c’を備えている。スターホイール装置Sによって搬送されるビール瓶4は、スターホイール1’に設けられたポケット1d’によって保持される。通常、スターホイール1’の取付部1c’は樹脂製であり、また、支持部材2’はアルミニウム製又は鉄製である。スターホイール1’は、図4に示されるように、その取付部1c’と支持部材2’との間に隙間が殆どない状態で支持部材2’上に設置されている。
【特許文献1】特開2005−119825号公報
【特許文献2】特開2005−298105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スターホイール装置Sが充填機、打栓機の入口又は出口で使用されると、ビール瓶から溢れ出たビールがスターホイール装置Sを濡らしてしまう。スターホイール装置Sを濡れた状態で放置すると、微生物が繁殖する。ところが、特にスターホイール1’の取付部1c’と支持部材2’との間は、僅かな隙間しかないので清掃することが困難であった。したがって、スターホイール1’を支持部材2’から取り外し、取付部1c’の下面、支持部材2’の上面を清掃する作業を頻繁に行うことが必要であったが、この清掃作業に多大な負担を要していた。
【0005】
本発明は、清掃作業を容易に行えるスターホイール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面は、物品を処理する処理部とコンベアとの間で物品を円弧状の搬送経路に沿って搬送するスターホイール装置であって、スターホイールと、スターホイールを支持する支持部材とを備え、スターホイールと支持部材とは、スペーサによって間隙を置いて配置され、スターホイールは、支持部材へのアクセスを可能にする貫通孔を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の実施形態によれば、スターホイールの上方から洗浄液を供給する洗浄液供給部をさらに備えることが好ましい。洗浄液は、加熱された水、殺菌剤、洗剤を含み得る。
【0008】
本発明の実施形態によれば、少なくとも、支持部材に対向するスターホイールの下面部及び支持部材は、好ましくはステンレス製であり、さらに好ましくは抗菌メッキ処理されているものであり得る。
【0009】
本発明の第2の側面は、容器を搬送するコンベアと、容器に飲料を充填する充填機と、コンベアと充填機との間で容器を円弧状の搬送経路に沿って搬送するスターホイール装置とを備える充填装置であって、スターホイール装置は、スターホイールと、スターホイールを支持する支持部材とを備え、スターホイールと支持部材とは、スペーサによって間隙を置いて配置され、スターホイールは、支持部材へのアクセスを可能にする貫通孔を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、清掃作業を容易に行えるスターホイール装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係るスターホイール装置Sは、物品を処理する処理部とコンベアとの間で物品を円弧状の搬送経路に沿って搬送するために使用される。
【0012】
図3に、スターホイール装置Sをビールの充填ラインに使用した例を示す。この例では、スターホイール装置Sは、ビール瓶にビールを充填する充填機F(処理部)の上流に配置され、洗浄された空のビール瓶(物品)4をコンベアCから充填機F(処理部)に搬送する。しかし、スターホイール装置Sは、充填機Fによってビールが充填されたビール瓶4を充填機Fから別のコンベア上に搬送するために使用され得る。その場合、スターホイール装置Sは充填機Fの下流に配置される。処理部は、使用済みのビール瓶の側面や内部を洗浄する洗浄機やビールを充填したビール瓶に栓でふたをする打栓機等であってもよい。スターホイール装置Sで搬送される物品は、ビールの缶、樽、また、ビール以外の飲料の容器等であってもよい。
【0013】
図1は、図3のスターホイール装置Sの側断面図を示したものである。また、図2は、スターホイール装置Sの上面図である。スターホイール装置Sは、スターホイール1と、回転軸5を介してスターホイール1を回転可能に支持する支持部材2とを備えている。支持部材2は例えば架台上に載置されている。また、回転軸5は図示しない駆動部によって回転させられる。スターホイール1は、上スターホイール1a、下スターホイール1b、上下スターホイール1a,1bを互いに上下方向に所定間隔離間させる補助部材、スターホイール1を支持部材2に取り付ける取付部1cを有している。上下スターホイール1a,1bの径方向周縁には、ビール瓶4を受け入れるポケット1dが設けられている。ビール瓶4は例えば図示しない吸着機構によってポケット1dに保持される。上下スターホイール1a,1b及び取付部1cには、スターホイールを上下方向に貫通し、支持部材2へのアクセスを可能にする貫通孔1fが複数設けられている。スターホイール1の取付部1cは、スペーサ3を介して支持部材2上に設置される。そのため、スターホイール1と支持部材2との間には、図1で示すように大きな間隙が存在する。したがって、ビールの充填ラインが停止しているときに、スターホイール1を支持部材2から取り外すことなく、ブラシ等の清掃具を貫通孔1fから差し込んで支持部材2の上面をも清掃することができる。
【0014】
スターホイール1の上方には、スターホイール装置Sに対して洗浄液を供給する洗浄液供給部6が設置され得る。洗浄液は、例えば加熱された水(熱水)を含み得る。洗浄液は、また殺菌剤及び洗剤の少なくともいずれかを含むものをも使用し得る。洗浄液供給部6を設けると、ビールの充填ラインが運転中、すなわちスターホイール1がビール瓶4を保持して回転中の状態でも、スターホイール装置Sを清掃することが可能である。例えば洗浄液としての熱水を洗浄液供給部からスターホイール1の上方から供給する。洗浄液供給部から供給された熱水は遠心力によって上スターホイール1aの上面全体を清掃する。上スターホイール1aに供給された熱水の一部は、貫通孔1fを通って下スターホイール1bに流下する。下スターホイール1bに流下した熱水は、遠心力によって下スターホイール1bの上面全体を清掃するとともに、一部が貫通孔1fから支持部材2に流下する。支持部材2に流下した熱水は、支持部材2の上面全体を清掃する。このように、洗浄液供給部6を設けると従来清掃作業を行うことが困難であった取付部と支持部材との間隙を人手を介さずに、しかも充填ラインの操業中であっても清掃することができる。
【0015】
少なくとも、支持部材2に対向するスターホイールの取付部1c及び支持部材2を、耐腐食性の優れたステンレス製とすれば、取付部1cと支持部材2との間隙に付着ビールによって微生物が発生することを抑制し得る。さらに、取付部1c及び支持部材2を抗菌メッキ処理されたステンレス製とすれば、微生物の発生抑制効果は一層向上し、スターホイール装置Sをより容易に清浄に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るスターホイール装置の一例を示す側断面図。
【図2】図1の上面図。
【図3】スターホイール装置の従来例を示す側断面図。
【図4】スターホイール装置の適用例を示す図。
【符号の説明】
【0017】
1,1’:スターホイール、1a,1a’:上スターホイール、
1b,1b’:下スターホイール、1c,1c’:取付部、1d,1d’:ポケット、
1f:貫通孔、2,2’:支持部材、3:スペーサ、4,4’:ビール瓶(物品)、
5,5’:回転軸、6:洗浄液供給部、
S:スターホイール装置、F:充填装置、C:コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を処理する処理部とコンベアとの間で前記物品を円弧状の搬送経路に沿って搬送するスターホイール装置であって、
スターホイールと、前記スターホイールを支持する支持部材とを備え、
前記スターホイールと前記支持部材とは、スペーサによって間隙を置いて配置され、
前記スターホイールは、前記支持部材へのアクセスを可能にする貫通孔を有することを特徴とするスターホイール装置。
【請求項2】
前記スターホイールの上方から洗浄液を供給する洗浄液供給部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のスターホイール装置。
【請求項3】
前記洗浄液は、加熱された水を含むことを特徴とする請求項2に記載のスターホイール装置。
【請求項4】
前記洗浄液は、殺菌剤及び洗剤の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のスターホイール装置。
【請求項5】
少なくとも、前記支持部材に対向する前記スターホイールの下面部及び前記支持部材はステンレス製であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のスターホイール装置。
【請求項6】
少なくとも、前記スターホイールの前記下面部及び前記支持部材は抗菌メッキ処理されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のスターホイール装置。
【請求項7】
容器を搬送するコンベアと、前記容器に飲料を充填する充填機と、前記コンベアと前記充填機との間で前記容器を円弧状の搬送経路に沿って搬送するスターホイール装置とを備える充填装置であって、
前記スターホイール装置は、
スターホイールと、前記スターホイールを支持する支持部材とを備え、
前記スターホイールと前記支持部材とは、スペーサによって間隙を置いて配置され、
前記スターホイールは、前記支持部材へのアクセスを可能にする貫通孔を有することを特徴とする充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−214065(P2008−214065A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56360(P2007−56360)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】