説明

スチール製レールの熱処理方法およびそれに用いる熱処理装置

【課題】スチール製レールの熱処理方法及び該熱処理方法に用いる熱処理装置を提供する。
【解決手段】下記のステップ(1)、(2)及び(3)で構成される。(1)圧延後の高温スチール製レールを連続移送しながら、高温矯正を行うステップ、(2)矯正後のレールに対して、ジェット空冷方式によりレール頭頂部およびレール基底部を強制的に冷却する第一熱処理を行うステップ、および(3)第一熱処理したレールに対して、該レール頭頂部を850〜950℃に加熱し、次いで、ジェット空冷方式により、該レール頭頂部を該レール基底部に近い温度まで強制的に冷却する第二熱処理を行うステップ。 二度の急速冷却中にスチール製レールに相転移が生じ、微細な金属組織構造を得ることができる。レールに二回目の熱処理がなされる時はレールウェブとレール中間部は既に高温になっているので、再加熱のエネルギー消費量が少なくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスチール製レールの熱処理方法およびそれに用いる熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道輸送が高速化し重荷する傾向にあり、スチール製レールに対する要求が高くなってきている。長年の研究と使用実績によると、熱処理により微細なパーライト金属組織構造のスチール製レールを製造することができ、かつ、所望の機械性能を付与することができる。この方法はスチール製レールの耐用年数を伸ばす強力な手段である。主な既存の技術としてスチール製レールに対する熱処理の方式が二種類ある。その一つの方式は常温状態の圧延したスチール製レール完成品を再加熱するものである(“オフライン熱処理技術”とも称する)。もう一つの方式はスチールの圧延製造ライン上のスチール製レールを熱処理するために、圧延プロセスの余熱を利用するものである(“オンライン熱処理技術”とも称する)。これらの技術は特許文献1における開示内容およびその背景技術の部分に引用した背景技術の開示内容を参考することができる。
オフライン熱処理技術は、圧延したスチール製レールが2回の相転移過程を履歴するので、微細なパーライトミクロ構造となり、このために、より高い強度、強靭性および硬度の硬化層を得ることができる。しかしながら、オフライン熱処理技術には以下のような、この技術固有の欠点が存在する。例えば、エネルギー消費が高く、硬化層が薄く、硬化層と非硬化層の間の転移領域に軟化帯があり、かつ、スチール製レールの真直度が低くい。このスチール製レールの真直度はローラー矯正によって確立することが出来るが、このローラー矯正は同一のスチール製レールについて一回のみの適用しかできない。スチール製レールのローラー矯正は熱処理前に行うものであり、熱処理後に行うことができない。
オンライン熱処理技術の特徴は、エネルギー消費が低く、硬化層が深く、スチール製レールのレール頭頂部の構造と硬度が円滑な転移状態にあり、硬さカービングと軟化帯が無く、かつ、真直度が高い。しかしながら、オンライン熱処理技術には以下のような、この技術固有の欠点が存在する。例えば、圧延したスチール製レールは相転移過程が一回だけであり、得られた金属組織構造がオフライン熱処理技術によって製造したスチール製レールの金属組織構造のように微細ではない。
【0003】
【特許文献1】中国特許第1083013号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術課題の1つは、スチール製レールの熱処理方法を提供することにより、製造したスチール製レールがより微細な金属組織構造を有し、それによってスチール製レールの耐用年数を改善し、かつ、エネルギー消費を低減してスチール製レールの熱処理コストを下げることである。
また、本発明が解決しようとするもう一つの技術課題は上述のスチール製レールの熱処理方法に用いる熱処理装置を提供する。この装置はスチール製レールの圧延製造ラインの次に配置するものであり、前部架台部、高温矯正部、第一空冷部、加熱部および第二空冷部で構成され、スチール製レールの熱処理工程の順に設置される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は以下のステップで構成されるスチール製レールの熱処理方法を提供するものである。すなわち、
(1)圧延後の高温のスチール製レールを連続移送しながら高温矯正を行うステップ、
(2)該高温矯正した圧延後の高温のスチール製レールに対して、ジェット空冷方式によりレール頭頂部およびレール基底部を強制的に冷却する第一熱処理を行うステップ、および
(3)該第一熱処理したスチール製レールに対して、該レール頭頂部を850〜950℃に加熱し、次いで、ジェット空冷方式により、該レール頭頂部を該レール基底部に近い温度まで強制的に冷却する第二熱処理を行うステップ。
【発明の効果】
【0006】
本発明は下記のような効果を有する。すなわち、圧延の余熱を利用して第一熱処理がなされたスチール製レールを直ぐに再加熱する第二熱処理を行うので、スチール製レールで二度の急速冷却中に二度の相転移が起り、スチール製レールにより微細な金属組織構造が生じる。これにより、スチール製レールの耐摩耗性、耐接触疲労性および耐用年数が改善され、既存のオンライン熱処理技術やオフライン熱処理技術によって製造した熱処理スチール製レールのものより高いものが得られる。
そのスチール製レールに対して第二熱処理を行うときにはレールウェブとレール頭頂部の中間部が既に高温状態になっているので、再加熱のエネルギー消費をオフライン熱処理技術の70%まで削減することができる。したがって、スチール製レールの製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の態様を図面に基づいてさらに詳細に説明する。
本発明のスチール製レールの熱処理方法は以下のステップで構成されるものである。
すなわち、
(1)圧延後の高温のスチール製レールを連続移送しながら高温矯正を行うステップ、
(2)該高温矯正した圧延後の高温のスチール製レールに対して、ジェット空冷方式によりレール頭頂部およびレール基底部を強制的に冷却する第一熱処理を行うステップ、
および
(3)該第一熱処理したスチール製レールに対して、該レール頭頂部を850〜950℃に加熱し、次いで、ジェット空冷方式により、該レール頭頂部を該レール基底部に近い温度まで強制的に冷却する第二熱処理を行うステップ。
【0008】
通常、スチール製レールはその横断面を見ると、レール頭頂部、レールウエブおよびレール基底部という3つの部分で構成される。該レール頭頂部はレールを設置するときに上方を向く頭頂部を指し、該レール基底部は地面と接する底部を指し、該レールウェブは該レール頭頂部と該レール基底部の間の中間部分を指す。
圧延後の高温スチール製レールの温度は通常800℃以上、例えば860〜1200℃である。高温矯正を行う間、スチール製レールの温度は圧延した温度と同じか少々低い温度、例えば750〜850℃である。前記のステップ(2)の第一熱処理において、レール頭頂部やレール基底部の冷却は、その速度が1〜5℃/秒、時間が90〜130秒で、冷却後の温度が450〜600℃であるのが好ましい。前記のステップ(3)の第二熱処理において、レール頭頂部の冷却は速度が1〜5℃/秒、時間が90〜130秒で、冷却後の温度が450〜600℃であるのが好ましい。前記第二熱処理において、レール頭頂部の加熱に中間周波数誘導加熱器を使用するのが好ましい。
【0009】
前記のステップ(3)の第二熱処理の後、スチール製レールを常温に冷却し、次いで仕上げ作業を行う。
本発明のスチール製レールの熱処理方法において、圧延の余熱を利用して第一熱処理がなされたスチール製レールを直ち再加熱する第二熱処理を行うので、二度の急速冷却中にスチール製レールに二度の相転移が起り、スチール製レールにより微細な金属組織構造が生じる。これにより、スチール製レールの耐摩耗性、耐接触疲労性および耐用年数が改善され、既存のオンライン熱処理技術やオフライン熱処理技術によって製造した熱処理スチール製レールのものより高いものが得られる。
そのスチール製レールに対して第二熱処理を行うときにはレールウェブとレール頭頂部の中間部が既に高温状態になっているので、再加熱のエネルギー消費がオフライン熱処理技術の70%まで削減することができる。これによりスチール製レールの製造コストを低減することができる。
【実施例】
【0010】
実施例1
スチール製レールの化学成分
C:0.71〜0.80%、Si:0.50〜0.80%、Mn:0.75〜1.05%、P≦0.030%、S≦0.030%、V:0.04〜0.12%、残部:鉄と微量の不純物。
このスチール製レールの熱処理工程は、圧延した高温スチール製レールを810〜790℃の温度に冷却した時に、スチール製レールの高温矯正、第一熱処理(すなわち、ジェット空冷方式により約550℃の温度、約3℃/秒の速度で、該スチール製レールのレール頭頂部とレール基底部を強制的に冷却する)、第二熱処理(すなわち、該レール頭頂部を870℃の温度に加熱し、次いで、ジェット空冷方式により該レール基底部の温度(約450℃)に近い温度に、約3℃/秒の速度で、該スチール製レールのレール頭頂部とレール基底部を強制的に冷却する)を順次行い、次いで、該スチール製レールを常温まで冷却した後に、引続き、該スチール製レールの仕上げ作業を行うものである。二回の熱処理を行った後のスチール製レールの機械的性質は、降伏強度Rp0.2≧900MPa、引張強度Rm≧1300MPa、および伸びA≧12%である。
【0011】
実施例2
スチール製レールの化学成分
C:0.65〜0.77%、Si:0.15〜0.35%、Mn:1.10〜1.50%、P≦0.035%、S≦0.035%、残部:鉄と微量の不純物。
このスチール製レールの熱処理工程は、圧延した高温スチール製レールを810〜790℃の温度に冷却した時に、スチール製レールの高温矯正、第一熱処理(すなわち、ジェット空冷方式により約550℃の温度、約3℃/秒の速度で、該スチール製レールのレール頭頂部とレール基底部を強制的に冷却する)、第二熱処理を(すなわち、該レール頭頂部を870℃の温度に加熱し、次いで、ジェット空冷方式により該レール基底部の温度(約450℃)に近い温度に、約3℃/秒の速度で、該スチール製レールのレール頭頂部とレール基底部を強制的に冷却する)を順次行い、次いで、該スチール製レールを常温まで冷却した後に、引続き、該スチール製レールの仕上げ作業を行うものである。このスチール製レールの機械的性質は、Rp0.2≧800MPa、Rm≧1200MPa、およびA≧10%である。
【0012】
実施例3
以下、図面を参照して本発明のスチール製レールの熱処理装置の実施態様について説明する。
図1および図2に示すように、本発明の熱処理装置はスチール製レールの圧延製造ラインの後に設置されるものであり、スチール製レールの熱処理の順序によって順次設置され、前架台部10、熱矯正部20、第一空冷部30、加熱部50および第二空冷部60で構成される。さらに、必要に応じて、第二空冷部60の後に収集架台70を設置することができる。以下、収集架台70が設置されている該熱処理装置について説明するが、該収集架台70は本発明の必須要件ではない。製造現場のそれぞれの状況により、前架台部10、熱矯正部20、第一空冷部30、加熱部50、第二空冷部60と収集架台70を異なる方式で配置することができる。
図1に示すように、前架台部10、熱矯正部20、第一空冷部30、加熱部50、第二空冷部60と収集架台70は基本的にスチール製レールの圧延製造ラインの方向に沿って順次直線的に配置することができる。このような配置は製造現場の縦方向長さが十分である場合に適する。
一方、図2に示すように、前架台部10、熱矯正部20と第一空冷部30は基本的にスチール製レールの圧延製造ラインの方向に沿って順次直線的に配置し、加熱部50、第二空冷部60と収集架台70は該スチール製レールの圧延製造ラインと逆方向に順次直線的配置することができる。このような場合には、第一空冷部30の出口と加熱部50の入口との間に横向き移動部40を設置することができ、それによりスチール製レール1を第一空冷部30から加熱部50へ便利、かつ迅速に移送することができる。このような配置は製造現場の縦方向長さが不十分な場合に適していて、合理的、効果的に製造現場の広さを利用することができる。
【0013】
次に、図面を参照して本発明のスチール製レールの熱処理装置の各部分の実施態様を説明する。
【0014】
図3は前架台部10の断面略図である。図3に示すように、前架台部10は、主にレール逆転マシン11、レール引き上げ機13およびフロントローラートラック12を備える。レール逆転マシン11はスチール製レール1をレール頭頂部が上向きの状態に転回し、ついで、レール引き上げ機13によってスチール製レール1をフロントローラートラック12上に引き上げ、次に、フロントローラートラック12によってスチール製レール1を高温矯正部20に移送する。レール逆転マシン11、レール引き上げ機13およびフロントローラートラック12は、当業者に既に知られているので、それらの具体的な説明は省略する。
【0015】
図4は熱矯正部20の平面略図である。図4に示すように、熱矯正部20は、主にスチール製レール1の移送方向に沿って間隔を開けて設置する少なくとも3組の能動矯正ローラー21および受動矯正ローラー22で構成される。前架台部10から移送したスチール製レール1が能動矯正ローラー21と受動矯正ローラー22により、高温矯正されると、真直で水平な状態に保持することができる。能動矯正ローラー21と受動矯正ローラー22は当業者に既に知られているので、それらの具体的な説明は省略する。
【0016】
図5は第一空冷部30の断面略図である。図5に示すように、第一空冷部30は、主に上部ガイド機構34、下部ガイド機構35、第一ジェットクーラー31、第二ジェットクーラー32と第三ジェットクーラー33を備える。該スチール製レールが第一空冷部30を通過すると、上部ガイド機構34と下部ガイド機構35とで該スチール製レール1が真直で水平の状態に保持される。第一ジェットクーラー31はレール頭頂部の上方に位置し、ジェット空気をレール頭頂部の頂面に向けて冷却する。第二ジェットクーラー32はスチール製レール頭頂部の両側に位置し、ジェット空気をレール頭頂部の両側面に向けて冷却する。第三ジェットクーラー33は、レール基底部の下方に位置し、ジェット空気をレール基底部に向けて冷却する。第一ジェットクーラー31、第二ジェットクーラー32および第三ジェットクーラー33により、レール頭頂部とレール基底部が強制的に冷却をされる。
第二空冷部60は第一空冷部30の構造と同じであり、具体的な図面と説明を省略する。また、該ガイド機構と該ジェットクーラーは、当業者にとって既に知られているので、具体的な説明を省略する。
【0017】
図6は横向き移動部40の断面略図である。図6に示すように、横向き移動部40は、主として急速レール引き上げ移動機41で構成されていて、スチール製レール1を迅速に並行移送するために使用されている。急速レール引き上げ移動機41は当業者に既に知られているので、それ以上の説明を省略する。
図7は加熱部50の断面略図である。図7に示すように、加熱部50は、主としてヒーター51、上部ガイド機構52および下部ガイド機構53で構成される。ヒーター51は中間周波誘導加熱器51を採用するのが好ましく、レール頭頂部の加熱に用いられる。スチール製レール1が加熱部50を通る時に該レール1を必要に応じた真直で水平の状態に保持するために、上部ガイド機構52と下部ガイド機構53が設けられている。
収集架台70は、熱処理したスチール製レールを接収するためのもので、該レール1を収集架台70上で常温に冷却し、引続き、矯正、レール端の加工、検査などの仕上げ作業を行う。最後に耐用年数の長い熱処理したスチール製レールを鉄道としての使用に提供する。
【0018】
実施例4
次に、本発明のスチール製レールの熱処理装置の応用に関して説明する。
図1、2、および3に示すように、スチール製レールの熱処理を行う間、高温のスチール製レールは圧延製造ラインの延長ローラートラック2を通って、熱処理装置の前架台部10に移送される。スチール製レール1が前架台部10に到達すると、レール逆転マシン11により、レール頭頂部が上向くように転回する。次いで、レール引き上げ機13により、このスチール製レール1はフロントローラートラック12上に引き上げられる。
スチール製レール1が810〜790℃の温度に冷える時、このレールは図4で示す矢印の方向に、フロントローラートラック12を経由して高温矯正部20に移送される。この際、能動矯正ローラー21と受動矯正ローラー22によりスチール製レール1は高温矯正されて真直ぐで水平な状態になる。
【0019】
図5に示すように、高温矯正されたスチール製レール1は第一空冷部30に移送される。上部ガイド機構34と下部ガイド機構35に制御されて、スチール製レール1は真直ぐで水平に保たれたまま、第一空冷部30を通過する。一方、第一、第二および第三ジェット空冷クーラー31、32および33の制御下に、該レール頭頂部と該レール基底部を1〜5℃/秒の速度で強制冷却し第一高温処理を行う。該レール1は約500〜600℃まで冷却するのが好ましい。
【0020】
図6に示すように、スチール製レール1が第一空冷部30を出た後、第一横向き移動部40に到達する時、スチール製レール1のレール頭頂部とレール基底部において最初の相転移が起こる。横向き移動架台40の急速レール引き上げ移動機41が該スチール製レール1を下流側加熱部50に迅速に移送する。
【0021】
図7に示すように、スチール製レール1が該加熱部置50に送り込まれた後に、上部ガイド機構52と下部ガイド機構53との制御下に、真直ぐで水平な状態に保持される。一方では、中間周波誘導加熱器51により該スチール製レール1のレール頭頂部を約870℃の温度まで上げる。
【0022】
図5に示すように、該スチール製レール1が該加熱部50を出て第二空冷部60に入った後、上部ガイド機構34と下部ガイド機構35との制御下に、該レール1は真直で水平の状態を保持されたまま第二空冷部60を通過する。一方、ジェット空冷クーラー31および32の制御下に、該スチール製レールのレール頭頂部は1〜5℃/秒の速度で強制的に冷却される。該スチールレールは約450〜600℃の温度に冷却されるのが好ましい。この時、該スチール製レール1の下方にあるジェット空冷クーラー33は該スチール製レール1のレール基底部に向くようにジェット空気を吹きつける。これにより、該スチール製レールが第二空冷クーラー60を出る時に、該レール頭頂部の温度が該レール基底部の温度に近くなる。そして、該スチールレール1は収集架台70へ真直ぐに入ることができる。
スチール製レール1はこの収集架台70で常温に冷却された後に、矯正、レール端の加工、検査などの仕上げ作業を行って、耐用年数の長い熱処理されたスチール製レールを線路への使用に提供することができる。
【0023】
本発明を特定の態様で説明したが、これらの詳細な記述は発明を制限するものではない。本発明の精神や範囲から離れない限り、本発明をいろいろ具現化したり、変更したり、修飾できることはが明らかに可能である。そして、かかる同等の態様も本発明の範囲に入るものである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明による熱処理されたスチール製レールは耐用年数が長く、矯正、レール端の加工、検査などの仕上げ作業を行った後、線路への使用に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一つのスチール製レールの熱処理装置の配置を示す平面略図である。
【図2】本発明のもう一つのスチール製レールの熱処理装置の配置を示す平面略図である。
【図3】本発明のスチール製レールの熱処理装置の前架台部の断面略図である。
【図4】本発明のスチール製レールの熱処理装置の高温矯正部を示す平面略図である。
【図5】本発明のスチール製レールの熱処理装置の第一空冷装置(第二空冷部)の断面略図である。
【図6】本発明のスチール製レールの熱処理装置の移動架台部の断面略図である。
【図7】本発明のスチール製レールの熱処理装置の加熱部の断面略図である。
【符号の説明】
【0026】
1:スチール製レール
2:圧延製造ラインの延長テーブル
10:前架台部
11:レール逆転マシン
12:フロントローラートラック
13:レール引き上げ機
20:高温矯正部
21:能動矯正ローラー
22:受動矯正ローラー
30:第一空冷部
31:第一ジェット空冷クーラー
32:第二ジェット空冷クーラー
33:第三ジェット空冷クーラー
34:上部ガイド機構
35:下部ガイド機構
40:横向き移動部
41:急速スチール引き上げ移動機
50:加熱部
51:中間周波数誘導加熱器
52:上部ガイド機構
53:下部ガイド機構
60:第二空冷部
70:収集架台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のステップ(1)、(2)および(3)で構成されるスチール製レールの熱処理方法。
(1)圧延後の高温のスチール製レールを連続移送しながら高温矯正を行うステップ、
(2)該高温矯正した圧延後の高温のスチール製レールに対して、ジェット空冷方式によりレール頭頂部およびレール基底部を強制的に冷却する第一熱処理を行うステップ、および
(3)該第一熱処理したスチール製レールに対して、該レール頭頂部を850〜950℃に加熱し、次いで、ジェット空冷方式により、該レール頭頂部を該レール基底部に近い温度まで強制的に冷却する第二熱処理を行うステップ
【請求項2】
前記ステップ(2)の第一熱処理において、該レール頭頂部および該レール基底部を速度1〜5℃/秒、時間90〜130秒で500〜600℃の温度に冷却する請求項1に記載のスチール製レールの熱処理方法。
【請求項3】
前記ステップ(3)の第二熱処理において、該レール頭頂部を速度1〜5℃/秒、時間90〜130秒で450〜600℃の温度に冷却する請求項1に記載のスチール製レールの熱処理方法。
【請求項4】
前記ステップ(3)の第二熱処理において、該スチール頭頂部の加熱に中間周波数誘導加熱器を使用する請求項1に記載のスチール製レールの熱処理方法。
【請求項5】
前記ステップ(3)の第二熱処理後、引き続き、該スチールレールを常温まで冷却した後に仕上げ作業を行う請求項1に記載のスチール製レールの熱処理方法。
【請求項6】
スチール製レールの圧延製造ラインの後に設置される該レールの熱処理装置であって、前架台部(10)、高温矯正部(20)、第一空冷部(30)、加熱部(50)および第二空冷部(60)で構成され、かつ該スチール製レールの熱処理の順に配置されているスチール製レールの熱処理装置。
【請求項7】
該前架台部(10)、該高温矯正部(20)、該第一空冷部(30)、該加熱部(50)および該第二空冷部(60)が該スチール製レールの圧延製造ラインの方向に沿って順次直線的に配置される請求項6に記載のスチール製レールの熱処理装置。
【請求項8】
該前架台部(10)、該高温矯正部(20)および該第一空冷部(30)が該スチール製レールの圧延製造ラインの方向に沿って順次直線的に配置され、該加熱部(50)おとよび該第二空冷部(60)が該スチール製レールの圧延製造ラインの方向とは逆の方向に沿って順次直線的に配置され、かつ横向き移動部(40)が該第一空冷部(30)の出口と該加熱部(50)の入口との間に設置されている請求項6に記載のスチール製レールの熱処理装置。
【請求項9】
該前架台部(10)が、該スチール製レール(1)を転回させて該レール頭頂部を上向きの状態にするためのレール逆転マシン(11)、該スチール製レール(1)をフロントローラートラック(12)上に引き上げるためのレール引き上げ機(13)および該スチール製レール(1)を高温矯正部(20)に移送するためのフロントローラートラック(12)で構成され、
該高温矯正部(20)は、該スチール製レールの移送方向に沿って間隔を置いて配置されている少なくとも3組の能動矯正ローラー(21)および受動矯正ローラー(22)で構成され、
該第一空冷部(30)および該第二空冷部(60)はそれぞれ、該レールの可動範囲を拘束するための上部ガイド機構(34)および下部ガイド機構(35)、ジェット空気を該スチール製レール(1)のレール頭頂部向けて該レール頭頂部の上面を冷却する第一ジェット空冷クーラー(31)、該レール頭頂部の両側に設置されて、ジェット空気を該レール頭頂部の両側面に向けて冷却する第二ジェット空冷クーラー(32)、および該スチール製レールのレール基底部の下側に設置されて、ジェット空気を該レール基底部に向けて冷却する第三ジェット空冷クーラー(33)で構成され、
該加熱装置(50)は、該スチール製レール(1)可動範囲を拘束するための上部ガイド機構(52)および下部ガイド機構(53)ならびに該スチール製レールのレール頭頂部を加熱するための加熱部(51)で構成される請求項6に記載のスチール製レールの熱処理装置。
【請求項10】
該加熱部(50)が中間周波数誘導加熱器(51)である請求項9に記載のスチール製レールの熱処理装置。
【請求項11】
該横向き移動部(40)が急速レール引き上げ移動機(41)で構成される請求項8に記載のスチール製レールの熱処理装置。
【請求項12】
収集架台(70)が該第二空冷部(70)の後に設置されている請求項6に記載のスチール製レールの熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−69456(P2008−69456A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236429(P2007−236429)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(507306115)
【Fターム(参考)】