説明

ステアリング装置

【課題】ストッパを取り付けるための特別の加工が不要で、取り付け作業が容易であり、所定の伸縮動作を許容しつつ、収縮時に所定値以上の力が作用すると、伸縮軸の収縮動作を許容するストッパを備えたステアリング装置を提供する。
【解決手段】収縮ストロークL1を超えると、雌中間シャフト32の端面321が、車体後方側の巻き付け部61bの右端面611bに当接する。ストッパ6の軸線方向延長部62a、62bには、圧縮荷重が作用するため、所定の座屈荷重を超える圧縮荷重が作用しないと、ストッパ6は雄中間シャフト31から外れない。一次衝突時や二次衝突時に、大きな衝撃荷重を伴いながら、許容された収縮ストロークL1を超えて雌中間シャフト32が収縮すると、軸線方向延長部62a、62bは、切り込み63a、63b部分で座屈し、巻き付け部61a、61bが雄中間シャフト31の外周313から外れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステアリング装置、特に、回転トルクを伝達可能で軸方向に相対移動可能な伸縮軸、例えば、中間シャフトやステアリングシャフト等の伸縮軸を有するステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリング装置には、回転トルクを伝達可能に、かつ、軸方向に相対移動可能に連結された伸縮軸が、中間シャフトやステアリングシャフト等に組み込まれている。すなわち、中間シャフトは、ステアリングギヤのラック軸に噛合うピニオンシャフトに、自在継手を締結する際に、一旦縮めてからピニオンシャフトに嵌合させて締結するために、伸縮機能が必要である。
【0003】
また、ステアリングシャフトは、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの位置を軸方向に調整する必要があるため、伸縮機能が要求される。このような伸縮軸では、伸縮動作を円滑に行わせると共に、摺動部の摩耗を防止するために、雄シャフトと雌シャフトの摺動嵌合範囲にグリース等の潤滑剤を塗布している。
【0004】
このような伸縮軸が、組み立て中や搬送途中に、所定の収縮ストロークを超えて収縮されると、塗布されたグリースが、摺動嵌合範囲の外に押し出されてしまい、摺動嵌合範囲のグリースが減少して、その後の収縮動作や伸縮軸の摩耗に悪影響を与える恐れがあるため、好ましくない。このような所定値以上の伸縮動作を規制するようにした伸縮軸が、特許文献1から特許文献3に開示されている。
【0005】
特許文献1の伸縮軸は、組み立て中や搬送途中に、雄シャフトが雌シャフトから不用意に抜け出すのを防止するようにした伸縮軸であるが、伸縮軸の収縮方向の動作を規制するものではない。
【0006】
特許文献2の伸縮軸は、組み立て中や搬送途中に、雄シャフトが雌シャフトから不用意に抜け出すのを防止すると共に、伸縮軸の収縮方向のストロークを規制するストッパを備えている。しかし、特許文献2の伸縮軸は、ストッパを取り付けるために雌シャフトにスリットを形成する必要があるため、スリットを加工するための加工コストが上昇する。
【0007】
特許文献3の伸縮軸は、組み立て前や搬送途中に、雄シャフトが雌シャフトに対して伸縮動作するのを防止する止め具に関するものであって、所定のストロークの伸縮動作を許容しつつ、組み付け前及び組み付け後の、伸縮軸の収縮方向の収縮ストロークを規制するものではない。
【0008】
【特許文献1】特開平11−2275号公報
【特許文献2】特開平11−22743号公報
【特許文献3】特開2003−214454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ストッパを取り付けるための特別の加工が不要で、取り付け作業が容易であり、所定のストロークの伸縮動作を許容しつつ、収縮時に所定値以上の力が作用すると、伸縮軸の収縮動作を許容するストッパを備えたステアリング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は以下の手段によって解決される。すなわち、第1番目の発明は、ステアリング装置を構成する雄シャフト、上記雄シャフトに軸方向に相対移動可能にかつ回転トルクを伝達可能に外嵌する雌シャフト、上記雄シャフトに対して上記雌シャフトが所定距離以上収縮した時に、雌シャフトの収縮側の端面に当接可能なストッパであって、上記ストッパは、上記雄シャフトの外径よりも幅の狭い開口部を有し、上記開口部を拡幅しながら雄シャフトの軸線に対して直交する方向から雄シャフトの外周に外嵌して巻き付ける馬蹄形の巻き付け部と、上記巻き付け部から雄シャフトの軸線方向に延びる軸線方向延長部とを備えたことを特徴とするステアリング装置である。
【0011】
第2番目の発明は、第1番目の発明のステアリング装置において、上記雌シャフトの収縮側の端面が上記ストッパに当接した時のスラスト方向の圧縮荷重が所定値以上の時に上記軸線方向延長部が座屈することを特徴とするステアリング装置である。
【0012】
第3番目の発明は、第1番目の発明のステアリング装置において、上記巻き付け部は、上記軸線方向延長部の軸線方向の両端に各々形成されていることを特徴とするステアリング装置である。
【0013】
第4番目の発明は、第1番目の発明のステアリング装置において、上記軸線方向延長部には、軸線方向延長部の軸直角断面を減少させる切り込みが形成されていることを特徴とするステアリング装置である。
【0014】
第5番目の発明は、第4番目の発明のステアリング装置において、上記切り込みは、上記巻き付け部と軸線方向延長部との連結部に形成されていることを特徴とするステアリング装置である。
【0015】
第6番目の発明は、第1番目から第5番目までのいずれかの発明のステアリング装置において、上記巻き付け部の上記雄シャフトの外周に対する巻き付け角度は、180度を超え270度以下であることを特徴とするステアリング装置である。
【0016】
第7番目の発明は、第1番目から第5番目までのいずれかの発明のステアリング装置において、上記雄シャフトが雄中間シャフトであり、上記雌シャフトが雌中間シャフトであることを特徴とするステアリング装置である。
【0017】
第8番目の発明は、第1番目から第5番目までのいずれかの発明のステアリング装置において、上記ストッパが合成樹脂で形成されていることを特徴とするステアリング装置である。
【0018】
第9番目の発明は、第8番目の発明のステアリング装置において、上記合成樹脂が、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリアミドのいずれかであることを特徴とするステアリング装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のステアリング装置では、雄シャフトに対して雌シャフトが所定距離以上収縮した時に、雌シャフトの収縮側の端面に当接するストッパが、雄シャフトの外径よりも幅の狭い開口部を有し、この開口部を拡幅しながら雄シャフトの軸線に対して直交する方向から雄シャフトの外周に外嵌して巻き付く馬蹄形の巻き付け部と、この巻き付け部から雄シャフトの軸線方向に延び、軸直角断面に比して軸線方向の長さが大きな軸線方向延長部とを備えている。そして、雌シャフトの収縮側の端面が当接した時のスラスト方向の圧縮荷重が所定値以上の時に、軸線方向延長部が座屈して伸縮軸の収縮動作を許容する。
【0020】
従って、ストッパを取り付けるための特別の加工が伸縮時に対して不要で、ストッパの取り付け作業が容易となる。また、所定距離の伸縮動作を許容しつつ、収縮時に所定値以上の力が作用すると、伸縮軸から離脱して、伸縮軸の収縮動作を許容する。従って、通常使用時には、塗布されたグリースが、摺動嵌合範囲の外に押し出されるのを防止して、摺動嵌合範囲のグリースの減少を防止することができる。また、一次衝突時や二次衝突時に、大きな衝撃荷重が作用した時には、伸縮軸の円滑な収縮動作を許容して、運転者に大きな衝撃荷重が作用するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明の実施例1から実施例8を説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明の実施例1のステアリング装置の全体を示す正面図であって、電動パワーステアリング装置に適用した実施例を示す。図2は本発明の実施例1のステアリング装置の一時衝突時の状態を示す中間シャフト近傍の要部の正面図である。図3は本発明の実施例1のステアリング装置の中間シャフトを、その軸線に沿って切断した要部の拡大縦断面図である。
【0023】
図4は図3のA−A断面図である。図5は中間シャフトの他の例を示す図3のA−A断面図相当である。図6は中間シャフトのさらに他の例を示す図3のA−A断面図相当である。図7は本発明の実施例1のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のB−B断面図である。
【0024】
図1に示すように、本発明のステアリング装置は、車体後方側(図1の右側)にステアリングホイール11を装着可能なステアリングシャフト12と、このステアリングシャフト12を挿通したステアリングコラム13と、このステアリングシャフト12に補助トルクを付与する為のアシスト装置(操舵補助部)20と、このステアリングシャフト12の車体前方側(図1の左側)に、図示しないラック/ピニオン機構を介して連結されたステアリングギヤ40とを備える。
【0025】
また、上記ステアリングシャフト12を挿通した筒状のステアリングコラム13は、ステアリングコラム13の車体前方側端部を、アシスト装置20のギヤハウジング21の車体後方側端部に圧入嵌合して固定している。また、上記ステアリングシャフト12の車体前方側端部を、このギヤハウジング21の内側に通し、アシスト装置20の図示しない入力軸の車体後方側端部に連結している。
【0026】
車体14には支持ブラケット15が固定されており、支持ブラケット15の車体後方側には、ステアリングコラム13に取り付けられたディスタンスブラケット131のテレスコ調整用長溝132がテレスコピック位置調整可能に支持されている。また、ギヤハウジング21の上端が、支持ブラケット15の車体前方側に形成されたテレスコ調整用長溝151にテレスコピック位置調整可能に支持されている。
【0027】
テレスコクランプレバー16をアンクランプ側に揺動操作することにより、支持ブラケット15に対するディスタンスブラケット131のテレスコクランプを解除して、ステアリングホイール11の車体前後方向の位置の調節を自在としている。
【0028】
上記ギヤハウジング21の車体前方側端面から突出した出力軸22は、自在継手17を介して、中間シャフト3の後端部に連結している。また、この中間シャフト3の前端部に、別の自在継手18を介して、ステアリングギヤ40の入力軸41を連結している。中間シャフト3は、中空円筒状の雌中間シャフト(雌シャフト)32の車体前方側に、雄中間シャフト(雄シャフト)31の車体後方側が外嵌し、回転トルクを伝達可能に、かつ、軸方向に関して相対移動可能に嵌合している。
【0029】
図示しないピニオンが、入力軸41の下端に形成されている。また、図示しないラックが、このピニオンに噛み合っており、ステアリングホイール11の回転が、ラックを移動させて、図示しない車輪を操舵する。
【0030】
アシスト装置20のギヤハウジング21には、電動モータ23が取り付けられ、この電動モータ23の図示しない回転軸にウォームが結合されている。出力軸22には図示しないウォームホイールが取り付けられ、このウォームホイールに電動モータ23の回転軸のウォームが噛合っている。
【0031】
また、出力軸22の中間部の周囲には、図示しないトルクセンサが設けられている。上記ステアリングホイール11からステアリングシャフト12に加えられるトルクの方向と大きさを、トルクセンサで検出し、この検出値に応じて、電動モータ23を駆動し、ウォームとウォームホイールから成る減速機構を介して、出力軸22に、所定の方向に所定の大きさで補助トルクを発生させる。
【0032】
図3から図4は、本発明の実施例1の伸縮軸の連結部を示し、図1の中間シャフト3の雄中間シャフト31と雌中間シャフト32との連結部に適用した例を示す。
【0033】
中間シャフト3は、相互に回転不能に且つ摺動自在に嵌合した雄シャフトである雄中間シャフト31と、中空円筒状の雌シャフトである雌中間シャフト32とからなる。雄中間シャフト31の外周面には、周方向に120度間隔(位相)で等配した3個の軸方向溝33が延在して形成してある。これに対応して、雌中間シャフト32の内周面にも、周方向に120度間隔(位相)で等配した3個の軸方向溝34が延在して形成してある。
【0034】
雄中間シャフト31の軸方向溝33と、雌中間シャフト32の軸方向溝34との間に、両シャフト31、32の軸方向相対移動の際に転動する複数の剛体の球状体35(転動体、ボール)が転動自在に介装してある。なお、雌中間シャフト32の軸方向溝34は、断面略円弧状若しくはゴシックアーチ状である。
【0035】
雄中間シャフト31の軸方向溝33は、傾斜した一対の平面状側面33a、33aと、これら一対の平面状側面33aの間に平坦に形成した底面33bとから構成してある。雄中間シャフト31の軸方向溝33と、球状体35との間には、球状体35に接触して予圧するための板バネ36が介装してある。
【0036】
この板バネ36は、球状体35の両側面に点接触する球状体側接触部36aと、球状体側接触部36aに対して略周方向に所定間隔をおいて離間すると共に、雄中間シャフト31の軸方向溝33の平面状側面33aに接触する溝面側接触部36bと、球状体側接触部36aと溝面側接触部36bを相互に離間する方向に弾性的に付勢する付勢部36cと、軸方向溝33の底面33bに対向した底部36dとを有している。
【0037】
この付勢部36cは、略U字形状で略円弧状に折曲した折曲形状であり、この折曲形状の付勢部36cによって、球状体側接触部36aと溝面側接触部36bを相互に離間するように弾性的に付勢することができる。
【0038】
また、雄中間シャフト31の外周面には、隣接する軸方向溝33、33の中間位相位置に、周方向に120度間隔(位相)で等配した3個の軸方向溝37が延在して形成してある。これに対応して、雌中間シャフト32の内周面にも、周方向に120度間隔(位相)で等配した3個の軸方向溝38が延在して形成してある。
【0039】
雄中間シャフト31の軸方向溝37と、雌中間シャフト32の軸方向溝38との間に、両シャフト31、32の軸方向相対移動の際に滑り摺動する複数の剛体の円柱体39(摺動体、ニードルローラ)が微小隙間をもって介装してある。なお、これら軸方向溝37、38は、断面略円弧状若しくはゴシックアーチ状である。
【0040】
また、図3に示すように、円柱体39、板バネ36、球状体35を軸方向に固定する方法として、雄中間シャフト31の右端部には、ストッパープレート311、止め輪312が取付けられている。
【0041】
ストッパープレート311は、円柱体39や球状体35が直接当たる面である。止め輪312は、ストッパープレート311の軸方向の固定をしており、雄中間シャフト31に形成された溝に嵌合するよう設計してある。
【0042】
さらに、雄中間シャフト31の軸方向溝33、37、雌中間シャフト32の軸方向溝34、38、板バネ36、及び球状体35の間には、グリース等の潤滑剤が塗布してあることから、雄中間シャフト31と雌中間シャフト32は、ガタ付きのない安定した摺動荷重で軸方向に摺動することができる。
【0043】
以上のように構成した中間シャフト3では、雄中間シャフト31と雌中間シャフト32の間に球状体35を介装し、板バネ36により、球状体35を雌中間シャフト32に対してガタ付きのない程度に予圧しているため、伝達トルクが小さい時は、雄中間シャフト31と雌中間シャフト32の間のガタ付きを確実に防止することができると共に、雄中間シャフト31と雌中間シャフト32は軸方向に相対移動する際には、ガタ付きのない安定した、小さな摺動荷重で摺動することができる。
【0044】
トルク伝達時には、板バネ36が弾性変形して球状体35を周方向に拘束すると共に、雄中間シャフト31と雌中間シャフト32の間に介装した3列の円柱体39が、主なトルク伝達の役割を果たす。
【0045】
例えば、雌中間シャフト32からトルクが入力された場合、初期の段階では、板バネ36の予圧がかかっているため、ガタ付きはなく、板バネ36がトルクに対する反力を発生させてトルクを伝達する。この時は、雄中間シャフト31、板バネ36、球状体35、雌中間シャフト32間の伝達トルクと入力トルクがつりあった状態で、全体的なトルク伝達がなされる。
【0046】
さらにトルクが増大していくと、円柱体39を介した雄中間シャフト31、雌中間シャフト32の回転方向のすきまがなくなり、以後のトルク増加分を、雄中間シャフト31、雌中間シャフト32を介して、円柱体39が伝達する。そのため、雄中間シャフト31と雌中間シャフト32の回転バックラッシュ(円周方向のガタツキ)を確実に防止するとともに、高剛性の状態でトルクを伝達することができる。
【0047】
図5は中間シャフト3の他の例を示す図3のA−A断面図相当である。図5の例は、図4の円柱体39を省略した例を示す。以下の説明では、図4の例との相違点についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また図4の例と同一部品には同一符号を付して説明する。
【0048】
図5に示すように、雄中間シャフト31の外周面には、図4の例と同様に、周方向に120度間隔(位相)で等配した3個の軸方向溝33が延在して形成してある。また、図4の例と同様に、雌中間シャフト32の内周面にも、周方向に120度間隔(位相)で等配した3個の軸方向溝34が延在して形成してある。
【0049】
そして、雄中間シャフト31の軸方向溝33と、雌中間シャフト32の軸方向溝34との間に、両シャフト31、32の軸方向相対移動の際に転動する複数の剛体の球状体35(転動体、ボール)が転動自在に介装してある。また、雄中間シャフト31の軸方向溝33と球状体35との間には、図4の例と同様に、球状体35に接触して予圧するための板バネ36が介装してある。
【0050】
そして、雄中間シャフト31の外周面及び雌中間シャフト32の内周面には、図4の例の円柱体39を介装するための軸方向溝は形成されていない。
【0051】
以上のように構成した中間シャフト3では、雄中間シャフト31と雌中間シャフト32の間に球状体35を介装し、板バネ36により、球状体35を雌中間シャフト32に対してガタ付きのない程度に予圧している。従って、伝達トルクが小さい時は、雄中間シャフト31と雌中間シャフト32の間のガタ付きを確実に防止することができると共に、雄中間シャフト31と雌中間シャフト32は軸方向に相対移動する際には、ガタ付きのない安定した、小さな摺動荷重で摺動することができる。
【0052】
トルク伝達時には、板バネ36が弾性変形して球状体35を周方向に拘束すると共に、板バネ36がトルクに対する反力を発生させてトルクを伝達する。
【0053】
図6は中間シャフト3のさらに他の例を示す図3のA−A断面図相当である。図6の例は、図4の円柱体39を廃止し、その代わりとして互いに噛み合うスプライン歯を形成した例である。以下の説明では、図4の例との相違点についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また図4の例と同一部品には同一符号を付して説明する。
【0054】
図6に示すように、雄中間シャフト31の外周面には、図4の例と同様に、周方向に120度間隔(位相)で等配した3個の軸方向溝33が延在して形成してある。また、図4の例と同様に、雌中間シャフト32の内周面にも、周方向に120度間隔(位相)で等配した3個の軸方向溝34が延在して形成してある。
【0055】
そして、雄中間シャフト31の軸方向溝33と、雌中間シャフト32の軸方向溝34との間に、両シャフト31、32の軸方向相対移動の際に転動する複数の剛体の球状体35(転動体、ボール)が転動自在に介装してある。また、雄中間シャフト31の軸方向溝33と球状体35との間には、図4の例と同様に、球状体35に接触して予圧するための板バネ36が介装してある。
【0056】
そして、雄中間シャフト31の外周面及び雌中間シャフト32の内周面には、図4の例の円柱体39を介装するための軸方向溝は形成されていない。その代わりとして、雄中間シャフト31の外周面には、隣接する軸方向溝33、33の中間位置に、軸直角断面が台形の雄スプライン歯50a、50b、50cが形成されている。また、雌中間シャフト32の内周面には、隣接する軸方向溝34、34の中間位置に、軸直角断面が台形の雌スプライン歯51a、51b、51c、51dが形成され、雄スプライン歯50a、50b、50cに噛み合っている。
【0057】
雌スプライン歯51a、51b、51c、51dと、雄スプライン歯50a、50b、50cとの間には、微少な隙間があるが、板バネ36が、球状体35と軸方向溝33の平面上側面33aとの間に圧縮された状態で挿入されているため、雌中間シャフト32と雄中間シャフト31との間に、回転方向及び半径方向のガタは生じない。
【0058】
雄中間シャフト31と雌中間シャフト32との間の回転トルクが所定のトルク以下の時には、板バネ36、球状体35を介して、雄中間シャフト31の軸方向溝33と雌中間シャフト32の軸方向溝34との間で回転トルクが伝達される。
【0059】
雄中間シャフト31と雌中間シャフト32との間に回転トルク(入力トルク)が加わり、その回転トルクが所定のトルクになると、板バネ36の弾性変形量が、雌スプライン歯51a、51b、51c、51dと、雄スプライン歯50a、50b、50cとの間の微少な隙間量と同一になる。その結果、雌スプライン歯51a、51b、51c、51dと、雄スプライン歯50a、50b、50cが当接して、回転トルクを伝達する。
【0060】
上記実施例では、球状体35を介在したいわゆるボールスプライン方式の伸縮軸について説明したが、球状体35を介在しない通常のスプライン方式やセレーション方式の伸縮軸でもよい。
【0061】
図7は本発明の実施例1のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のB−B断面図である。図7に示すように、雄中間シャフト31の外周313にはストッパ6が装着され、ストッパ6は、巻き付け部61a、61bと軸線方向延長部62a、62bから構成されている。
【0062】
雄中間シャフト31の外周に外嵌する巻き付け部61a、61bは、図7(2)、(3)の下方側が開口した馬蹄形を有し、その開口部64a、64bの幅W1が、雄中間シャフト31の外径D1よりも小さく設定されている。すなわち、雄中間シャフト31の外周313に対する巻き付け部61a、61bの巻き付け角度α1は220度であって、180度を超える角度に設定されている。
【0063】
軸線方向延長部62a、62bは、雄中間シャフト31の軸線方向に平行に延び、軸直角断面に比して軸線方向の長さが大きな柱状に形成されている。軸線方向延長部62a、62bの軸線方向の両端に跨って、巻き付け部61a、61bが各々一体的に連結されている。実施例1では、軸線方向延長部62a、62bの断面形状は矩形に形成されているが、多角形、円形等種々の断面形状が可能である。
【0064】
一方の軸線方向延長部62aには、車体前方側(図7(1)、(2)の左側)の巻き付け部61aとの連結部近傍に、軸線方向延長部62aの軸直角断面を減少させる切り込み63aが形成されている。また、他方の軸線方向延長部62bには、車体後方側(図7(1)、(2)の右側)の巻き付け部61bとの連結部近傍に、軸線方向延長部62bの軸直角断面を減少させる切り込み63bが形成されている。切り込み63a、63bは、軸線方向延長部62a、62bの上方側(図7(2)、(3))の面に形成されている。
【0065】
切り込み63a、63bは45度の角度に切り込まれて、三角形の形状に形成されているが、45度に限定されるものではなく、30度や60度等種々の切り込み角度が可能である。また、三角形の形状に限定されるものではなく、半円形や矩形等の形状でもよい。
また、軸線方向延長部62a、62bに、各々一箇所づつ切り込みが形成されているが、各々複数箇所切り込みを形成してもよい。
【0066】
ストッパ6は、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリアミド等の弾性変形が比較的容易な合成樹脂で成形するのが好ましい。また、ストッパ6は、バネ鋼(SWP、SUP、SUS等)で成形してもよい。図7(2)、(3)の上方から、雄中間シャフト31の外周313に、雄中間シャフト31の軸線に対して直交する方向にストッパ6を押し込む。すると、巻き付け部61a、61bの開口部64a、64bが、雄中間シャフト31の外周313に沿って弾性変形して、雄中間シャフト31の外径D1と同一幅になるまで拡幅しながら押し込まれる。
【0067】
雄中間シャフト31の左端(車体前方端)には、自在継手18の一方を構成するヨーク18aが一体成形されている。ストッパ6を雄中間シャフト31の外周313に押し込む時に、このヨーク18aの右端面(車体後方端)181aに、車体前方側の巻き付け部61aの左端面(車体前方端)611aが当接するようにして押し込む。ストッパ6が、雄中間シャフト31の外周313に完全に押し込まれると、巻き付け部61a、61bの開口部64a、64bの幅が弾性変形で元の幅W1に戻り、巻き付け部61a、61bが雄中間シャフト31の外周313に外嵌して巻き付く。
【0068】
この状態で、雄中間シャフト31に対して雌中間シャフト32が収縮(図7(1)、(2)の左方向に雌中間シャフト32が移動する)し、許容された収縮ストロークL1を超えると、雌中間シャフト32の収縮側の端面321が、車体後方側の巻き付け部61bの右端面(車体後方端)611bに当接する。
【0069】
この当接によって、ストッパ6の軸線方向延長部62a、62bには、圧縮荷重が作用するため、所定の座屈荷重を超える圧縮荷重が作用しないと、ストッパ6は雄中間シャフト31から外れない。従って、通常の組み付け時や、搬送時に作用する圧縮荷重程度ではストッパ6は雄中間シャフト31から外れず、許容された収縮ストロークL1を超えて雌中間シャフト32が収縮するのを防止することができる。
【0070】
従って、雄中間シャフト31と雌中間シャフト32の摺動嵌合範囲に塗布されたグリースが、摺動嵌合範囲の外に押し出されるのを防止して、摺動嵌合範囲のグリースの減少を防止することができる。
【0071】
一次衝突時や二次衝突時に、大きな衝撃荷重を伴いながら、許容された収縮ストロークL1を超えて雌中間シャフト32が収縮すると、ストッパ6の軸線方向延長部62a、62bには、所定の座屈荷重が作用する。その結果、図2に示すように、軸線方向延長部62a、62bは、切り込み63a(又は切り込み63b、もしくは、切り込み63aと63bの両方)の部分で座屈し、巻き付け部61a、61bが雄中間シャフト31の外周313から外れる。従って、円滑な中間シャフト3の収縮動作を許容して、運転者に大きな衝撃荷重が作用するのを防止することができる。
【0072】
実施例1のストッパ6は、雄中間シャフト31にストッパ6を取り付けるための特別な加工が不要なため、雄中間シャフト31の形状が簡素になり、製造コストが削減される。また、雄中間シャフト31の軸線に対して直交する方向からストッパ6を押し込むだけで、雄中間シャフト31にストッパ6を取り付けることができるため、ストッパ6の取り付け作業が容易である。また、雄中間シャフト31の軸線に対して直交する方向にストッパ6を引き抜くだけで、雄中間シャフト31からストッパ6を取り外すことができるため、ストッパ6の取り外し作業も容易となる。
【0073】
また、実施例1のストッパ6は、巻き付け部61bを車体前方側にして雄中間シャフト31にストッパ6を取り付けても、切り込み63a、63bの位置は、図7(1)の状態と実質的に同一となる。すなわち、図7(1)の切り込み63aの位置に切り込み63bが位置し、図7(1)の切り込み63bの位置に切り込み63aが位置する。従って、雄中間シャフト31にストッパ6を取り付ける時に、巻き付け部61a、61bの向きを気にする必要がないため、組み付け作業が容易になる。
【実施例2】
【0074】
次に本発明の実施例2について説明する。図8は本発明の実施例2のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のC−C断面図である。以下の説明では、上記実施例1と異なる構造部分と作用についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
【0075】
実施例2のストッパ6は、巻き付け部61a、61bの雄中間シャフト31の外周313に対する巻き付け角度を、実施例1よりも大きくして、組み付け後にストッパ6を外れにくくした例である。図8に示すように、雄中間シャフト31の外周に外嵌する巻き付け部61a、61bは、雄中間シャフト31の外周313に対する巻き付け角度α2が240度であって、実施例1の巻き付け角度α1よりも20度大きな巻き付け角度に設定している。
【0076】
そのため、図8(2)、(3)の下方側の開口部64a、64bの幅W2も、実施例1の開口部64a、64bの幅W1よりも小さく設定されている。ストッパ6を雄中間シャフト31の外周313に組み付け易く、かつ、組み付け後、通常の使用状態では、ストッパ6が外周313から外れないようにするためには、巻き付け部61a、61bの巻き付け角度α2は、180度を超え270度以下が望ましい。軸線方向延長部62a、62b、切り込み63a、63bの形状は、実施例1と同一である。
【実施例3】
【0077】
次に本発明の実施例3について説明する。図9は本発明の実施例3のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のD−D断面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分と作用についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
【0078】
実施例3のストッパ6は、切り込み63a、63bを形成する位置を変更した例である。図9に示すように、一方の軸線方向延長部62aと、車体前方側(図9(1)、(2)の左側)の巻き付け部61aとの連結部近傍には、切り込み63aが形成されているが、この切り込み63aは、軸線方向延長部62aの下方側(図9(2)、(3))の面に形成されている。
【0079】
また、他方の軸線方向延長部62bと、車体後方側(図9(1)、(2)の右側)の巻き付け部61bとの連結部近傍にも、切り込み63bが形成されているが、この切り込み63bも、軸線方向延長部62bの下方側(図9(2)、(3))の面に形成されている。巻き付け部61a、61bの巻き付け角度α1は、実施例1と同一角度である。
【実施例4】
【0080】
次に本発明の実施例4について説明する。図10は本発明の実施例4のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のE−E断面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分と作用についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
【0081】
実施例4のストッパ6は、実施例2の切り込み63a、63bを形成する位置を変更した例である。図10に示すように、軸線方向延長部62a及び62bには、車体前方側(図10(1)、(2)の左側)の巻き付け部61aと、車体後方側(図10(1)、(2)の右側)の巻き付け部61bとの中間位置に、切り込み63a及び63bが各々形成されている。
【0082】
この切り込み63a、63bは、軸線方向延長部62a、62bの上方側(図10(2)、(3))の面に形成されている。切り込み63a及び63bの切り込み角度は90度である。巻き付け部61a、61bの巻き付け角度α2は、実施例2と同一角度である。
【実施例5】
【0083】
次に本発明の実施例5について説明する。図11は本発明の実施例5のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のF−F断面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分と作用についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
【0084】
実施例5のストッパ6は、実施例1の切り込み63a、63bを形成する位置を変更した例である。図11に示すように、軸線方向延長部62a及び62bには、車体前方側(図11(1)、(2)の左側)の巻き付け部61aと、車体後方側(図11(1)、(2)の右側)の巻き付け部61bとの中間位置に、切り込み63a及び63bが各々形成されている。
【0085】
この切り込み63a、63bは、軸線方向延長部62a、62bの側方側(図11(2)、(3))の面(雄中間シャフト31の外周313に対向した側の面)に形成されている。切り込み63a及び63bの切り込み角度は90度である。巻き付け部61a、61bの巻き付け角度α1は、実施例1と同一角度である。
【実施例6】
【0086】
次に本発明の実施例6について説明する。図12は本発明の実施例6のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のG−G断面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分と作用についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
【0087】
実施例6のストッパ6は、巻き付け部61aと61bとを連結する軸線方向延長部を一箇所にした例である。図12に示すように、巻き付け部61aと61bとを連結する軸線方向延長部62cが、雄中間シャフト31の外周313の上方側(図12(2)、(3))に、雄中間シャフト31の軸線方向に平行に延びて形成されている。
【0088】
軸線方向延長部62cには、車体前方側(図12(1)、(2)の左側)の巻き付け部61aと、車体後方側(図12(1)、(2)の右側)の巻き付け部61bとの中間位置に、切り込み63cが一箇所形成されている。
【0089】
この切り込み63cは、軸線方向延長部62cの上方側(図12(2)、(3))の面に形成されている。切り込み63cは半円形に形成されている。巻き付け部61a、61bの巻き付け角度α1は、実施例1と同一角度である。
【実施例7】
【0090】
次に本発明の実施例7について説明する。図13は本発明の実施例7のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のH−H断面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分と作用についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
【0091】
実施例7のストッパ6は、巻き付け部61aと61bとを連結する軸線方向延長部を一箇所にし、かつ、巻き付け部61aと61bで巻き付け角度を異ならせた例である。図13に示すように、巻き付け部61aと61bとを連結する軸線方向延長部62dが、雄中間シャフト31の外周313の上方側(図13(2)、(3))に、雄中間シャフト31の軸線方向に傾斜して形成されている。
【0092】
軸線方向延長部62dには、切り込みは形成されていない。実施例7に示すように、所定の座屈荷重で軸線方向延長部62dが座屈する強度を有していれば、切り込みは必要としない。巻き付け部61bの巻き付け角度はα1で、実施例1と同一角度であり、巻き付け部61aの巻き付け角度はα2で、実施例2と同一角度に形成されている。
【実施例8】
【0093】
次に本発明の実施例8について説明する。図14は本発明の実施例8のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のJ−J断面図である。以下の説明では、上記実施例と異なる構造部分と作用についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、同一部品には同一番号を付して説明する。
【0094】
実施例8のストッパ6は、巻き付け部を一箇所にし、かつ、軸線方向延長部を一箇所にした例である。図14に示すように、車体後方側の巻き付け部61bだけが雄中間シャフト31の外周313に巻き付けられており、この巻き付け部61bから軸線方向延長部62eが、雄中間シャフト31の外周313の上方側(図14(2)、(3))に、雄中間シャフト31の軸線方向に平行に、車体前方側に延びて形成されている。軸線方向延長部62eは、ヨーク18aの右端面(車体後方端)181aに、軸線方向延長部62eの左端面(車体前方端)621eが当接するように組み付けられる。
【0095】
軸線方向延長部62eには、切り込みは形成されていない。巻き付け部61bの巻き付け角度はα1で、実施例1と同一角度に形成されている。実施例8で、巻き付け部61bの右端面611bがヨーク18aの右端面(車体後方端)181aに当接するように組み付け、この巻き付け部61bから軸線方向延長部62eが車体後方側に延長するようにしてもよい。
【0096】
上記実施例は、中間シャフト3に本発明を適用した例について説明したが、ステアリングシャフト12等、ステアリング装置を構成する任意の伸縮軸に適用することができる。
【0097】
上記全ての実施例において、一次衝突時や二次衝突時に、大きな衝撃荷重が作用して軸線方向延長部が座屈した時に、ストッパ6全体が、雄中間シャフト31から完全に離脱するようにしてもよい。
【0098】
また、上記全ての実施例において、巻き付け部61aと61bが雄中間シャフト31の軸線に対して直交して巻き付けられているが、直交位置から所定角度ずらして巻き付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施例1のステアリング装置の全体を示す正面図であって、電動パワーステアリング装置に適用した実施例を示す。
【図2】本発明の実施例1のステアリング装置の一時衝突時の状態を示す中間シャフト近傍の要部の正面図である。
【図3】本発明の実施例1のステアリング装置の中間シャフトを、その軸線に沿って切断した要部の拡大縦断面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】中間シャフトの他の例を示す図3のA−A断面図相当である。
【図6】中間シャフトのさらに他の例を示す図3のA−A断面図相当である。
【図7】本発明の実施例1のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のB−B断面図である。
【図8】本発明の実施例2のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のC−C断面図である。
【図9】本発明の実施例3のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のD−D断面図である。
【図10】本発明の実施例4のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のE−E断面図である。
【図11】本発明の実施例5のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のF−F断面図である。
【図12】本発明の実施例6のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のG−G断面図である。
【図13】本発明の実施例7のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のH−H断面図である。
【図14】本発明の実施例8のストッパ取り付け部近傍を示し、(1)は(2)の平面図、(2)は正面図、(3)は(2)のJ−J断面図である。
【符号の説明】
【0100】
11 ステアリングホイール
12 ステアリングシャフト
13 ステアリングコラム
131 ディスタンスブラケット
132 テレスコ調整用長溝
14 車体
15 支持ブラケット
151 テレスコ調整用長溝
16 テレスコクランプレバー
17 自在継手
18 自在継手
18a ヨーク
181a 右端面
20 アシスト装置
21 ギヤハウジング
22 出力軸
23 電動モータ
3 中間シャフト
31 雄中間シャフト
311 ストッパープレート
312 止め輪
313 外周
32 雌中間シャフト
321 収縮側の端面
33 軸方向溝
33a 平面状側面
33b 底面
34 軸方向溝
35 球状体
36 板バネ
36a 球状体側接触部
36b 溝面側接触部
36c 付勢部
36d 底部
37 軸方向溝
38 軸方向溝
39 円柱体
40 ステアリングギヤ
41 入力軸
50a、50b、50c 雄スプライン歯
51a、51b、51c、51d 雌スプライン歯
6 ストッパ
61a、61b 巻き付け部
611a 左端面
611b 右端面
62a、62b、62c、62d、62e 軸線方向延長部
621e 左端面
63a、63b、63c 切り込み
64a、64b 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリング装置を構成する雄シャフト、
上記雄シャフトに軸方向に相対移動可能にかつ回転トルクを伝達可能に外嵌する雌シャフト、
上記雄シャフトに対して上記雌シャフトが所定距離以上収縮した時に、雌シャフトの収縮側の端面に当接可能なストッパであって、
上記ストッパは、
上記雄シャフトの外径よりも幅の狭い開口部を有し、上記開口部を拡幅しながら雄シャフトの軸線に対して直交する方向から雄シャフトの外周に外嵌して巻き付ける馬蹄形の巻き付け部と、
上記巻き付け部から雄シャフトの軸線方向に延びる軸線方向延長部とを備えたこと
を特徴とするステアリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたステアリング装置において、
上記雌シャフトの収縮側の端面が上記ストッパに当接した時のスラスト方向の圧縮荷重が所定値以上の時に上記軸線方向延長部が座屈すること
を特徴とするステアリング装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたステアリング装置において、
上記巻き付け部は、上記軸線方向延長部の軸線方向の両端に各々形成されていること
を特徴とするステアリング装置。
【請求項4】
請求項1に記載されたステアリング装置において、
上記軸線方向延長部には、軸線方向延長部の軸直角断面を減少させる切り込みが形成されていること
を特徴とするステアリング装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたステアリング装置において、
上記切り込みは、
上記巻き付け部と軸線方向延長部との連結部に形成されていること
を特徴とするステアリング装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載されたステアリング装置において、
上記巻き付け部の上記雄シャフトの外周に対する巻き付け角度は、180度を超え270度以下であること
を特徴とするステアリング装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載されたステアリング装置において、
上記雄シャフトが雄中間シャフトであり、
上記雌シャフトが雌中間シャフトであること
を特徴とするステアリング装置。
【請求項8】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載されたステアリング装置において、
上記ストッパが合成樹脂で形成されていることを特徴とするステアリング装置。
【請求項9】
請求項8に記載されたステアリング装置において、
上記合成樹脂が、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリアミドのいずれかであることを特徴とするステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−118815(P2007−118815A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314834(P2005−314834)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】