説明

ステロールエステル粉末

本発明は、製剤の全重量を基準に下記重量%を含有する粉状製剤に関する:(a)ステロールおよび/またはスタノールのエステル50〜90重量%;(b)粉乳および/またはタンパク質5〜50重量%、但し、製剤は群(b)のもの以外の他の乳化剤を含有しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して食品に、より詳しくは、食品、化粧および医薬品用の製剤中へ配合するためのステロールおよび/またはスタノールエステル含有調製物、その製造方法に、およびこのような調製物を含有する製剤、より詳しくは食品に関する。
【背景技術】
【0002】
ステロールおよびスタノールをそのコレステロール低減特性のために食品へ添加すること、およびその結果、アテローム性動脈硬化、心臓疾患および高血圧などの将来の病気が予防されることは、長年にわたって知られてきた。
【0003】
フィトステロールおよびスタノールは水不溶性で油脂に僅かに可溶なだけであるため、食品製剤、化粧品または医薬品中にこれらのコレステロール低減剤を配合するには、相当な問題が課される。該物質の好ましくない溶解挙動は、乏しい分散性だけでなく、生体利用性の低下および食品製剤の満足でない安定性をももたらす。そのため、これらの問題を解決するための多くの調製物を先行技術は提案している。
【0004】
溶解性を高める努力としては、例えば欧州特許出願EP1275309A1で請求されたステロールエステル調製物、または米国特許US5,502,045に記載されたスタノールエステルが挙げられ、それらは僅かに改善された加工性を有するものの、遊離ステロールに関連してより低いコレステロール低下作用も示していた。しかしながら、エステル化誘導体も、単純な配合を可能とするには不充分な溶解性を示す。エステル化ステロールがその生体利用性において異なった挙動をする事実は別にして、それは、その異なった物理化学的特徴による他の製剤特性も有し、他の助剤の使用が必要となる。
【0005】
多くの特許出願には、ステロールの利用度を、その粒度を主に微粉化により下げることによって、いかに改善し得るかについて記述されている。ドイツ公開公報DE10253111A1は、容易に水中に再分散し得る平均粒度が0.01〜100μmの粉体形状フィトステロール調製物を記載する。ステロールが0.1〜30μmの粒度分布を有するステロール分散体の製造方法は、国際特許出願WO03/105611A2に開示されている。
【0006】
しかしながら、ステロール粒子の微粉化は、それ自体では良好な配合の達成を可能とするのに十分ではないことが多い。微分散粒子の生体利用性は表面を増大することによって改善できるが、微粒化粒子は乏しい湿潤挙動を示し、容易に凝集して水含有表面上に浮揚するのが通常である。多くの場合には、粉末化ステロールは、強力な混合を伴う特別な方法によってのみ飲料中に分散し得る。しかしながら、強力な混合は、食品製造業者の最終使用者にとって通常利用されない。
【0007】
そのため、多くの製造業者は、ステロールの微粉化と乳化剤の追加的使用を組み合わせている。この一例は、欧州特許EP0897671B1にクレームされた製剤であって、該製剤は、選択された乳化剤との混合物における粒度が大きくて15μmのステロールとステロールエステルを含有し、ここで、乳化剤とステロールの水相中の重量比は1:2より小さい。これら既知の製剤には、とりわけ、凝集する傾向を有するという不都合がある。
【0008】
食品中に通常用いられる乳化剤は、モノグリセリドおよびポリソルベートである[US6,623,780B1、US6,376,482B2、WO02/28204A1]。低タンパク質含量を有し、並びに乳化剤としてモノおよびジグリセリドを含有する粉体形状ステロールエステル調製物が、国際特許出願WO03/086468A1に開示されている。かかる乳化剤が高い適合性によって区別され、および食品乳化剤として知られることがあったとしても、乳化剤も食品中に存在する他の物質の生体利用性に影響を与えることから、または乳化剤が調製物の安定性に悪影響を与え得ることから、かかる乳化剤の使用量を減らすための或いは乳化剤を完全に避けるためさえの努力がなされつつある。乳化剤を避けることは、より良い分散性のために増粘剤を含有する欧州特許EP1059851B1に開示されたステロール調製物の目的でもあった。しかしながら、このような製剤は安定性が十分ではない。
【0009】
エマルジョン、ミクロエマルジョン、分散体、懸濁液またはシクロデキストリンまたは胆汁塩による錯化剤としての調製物などのような溶解性と分散性を向上させるための他の多くの方法が、国際特許出願WO99/63841A1に記載され、製剤の形態での調製物についても言及されている。PEG、PVP、コポリマー、セルロースエーテルおよびエステルは、担体として提案されている。担体としての食品ベースを粉末化ステロールのために直接使用することも知られている(EP1003388B1を参照)。
【0010】
担体としてのタンパク質をエステル化されていないステロールおよびスタノールのために選択することは、WO01/37681に開示されている。シトステロールと大豆タンパク質の相乗効果はEP0669835B1に記載されている。
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願EP1275309A1
【特許文献2】米国特許US5,502,045
【特許文献3】ドイツ公開公報DE10253111A1
【特許文献4】国際特許出願WO03/105611A2
【特許文献5】欧州特許EP0897671B1
【特許文献6】米国特許US6,623,780B1
【特許文献7】米国特許US6,376,482B2
【特許文献8】国際特許出願WO02/28204A1
【特許文献9】国際特許出願WO03/086468A1
【特許文献10】欧州特許EP1059851B1
【特許文献11】国際特許出願WO99/63841A1
【特許文献12】欧州特許EP1003388B1
【特許文献13】国際特許出願WO01/37681
【特許文献14】欧州特許EP0669835B1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決すべき課題は、最初に記載した不都合を有さず、および乳化剤、より具体的にはレシチン、モノグリセリド、ジグリセリド、ポリソルベート、ステアリル乳酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、乳酸エステルおよびポリグリセロールエステルなどの乳化剤を何ら必要とせずに、ステロールおよび/またはスタノールエステルを食品中に簡単かつ効果的に分散させることが可能な調製物を提供することであった。また、ステロールおよび/またはステロールのエステル調製物を容易に製造し、良好な貯蔵安定性によって区別することであった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の開示
本発明は、製剤の全重量を基準に、
(a)ステロールおよび/またはスタノールのエステル50〜90重量%と
(b)粉乳および/またはタンパク質5〜50重量%、
を含有し、但し、群(b)のもの以外の他の乳化剤は存在しない、粉体形状製剤に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
粉乳またはタンパク質、とりわけカゼイン塩型の乳化剤の存在によって、本発明による調製物は良好な安定化特性、低減された凝結/凝集特性および改善された湿潤性によって区別され、それによって、ステロールおよびスタノールのエステルの水含有製剤および脂肪含有製剤中への容易な分散が可能となる。本発明による調製物は、高価な機械装置を用いずに更に加工することができるため優れた取扱い性を有し、加えて、高い貯蔵安定性を示す。本発明による調製物は、乳化剤を全く含有しないか、或いはレシチン、モノグリセリド、ジグリセリド、ポリソルベート、ステアリル乳酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、乳酸エステルおよびポリグリセロールエステルなどの乳化剤を含有する調製物から、利点を持って区別される。
【0015】
本発明による製剤は、食品、とりわけ乳汁、乳飲料、乳清およびヨーグルト飲料、マーガリン、果汁、果汁混合物、果汁飲料、野菜ジュース、炭酸および無炭酸飲料、大豆乳飲料または高タンパク質液体代用食品飲料および発酵乳汁製剤、ヨーグルト、飲用ヨーグルトまたはチーズ製剤、並びに化粧用または医薬用製剤に、容易に配合し得る。
【0016】
但し書き「群(b)のもの以外の他の乳化剤は存在しない」は、例えばレシチン、モノグリセリド、ジグリセリド、ポリソルベート、ステアリル乳酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、乳酸エステルおよびポリグリセロールエステルなどのような典型的な食品乳化剤を特に使用することを、最初に説明した理由のため回避することを意味せんとするものである。例えばコレステロールのような食品における天然の乳化剤を予備調製物中で回避できないことは当然であるが、他の乳化剤を助剤として本発明によるステロール/スタノール製剤の製造中に添加しないことを意味する。
【0017】
ステロールおよび/またはスタノールエステル
植物および植物原材料から得られるステロール、所謂フィトステロールおよびフィトスタノールのエステルは、本発明の目的のために用いられる。既知の具体例は、エルゴステロール、ブラシカステロール、カンペステロール、アヴィーナステロール、デスモステロール、クリオナステロール、スチグマステロール、ポリフェラステロール、カリノステロール、シトステロールおよびそれらの混合物である。これらの中で、β−シトステロールおよびカンペステロールは好適に用いられる。水素化された飽和形態のステロール、所謂スタノールも使用する化合物のなかに含まれ、β−シトスタノールおよびカンペスタノールのエステルもやはり好適である。植物原材料源には、とりわけ、大豆、カノーラ、パーム核、コーン、ココア、菜種、サトウキビ、ヒマワリ、オリーブ、コットン、ソーヤ、ピーナッツの種子および油またはトール製造由来の生成物が含まれる。飽和および/または不飽和C6−22、好ましくはC12−18脂肪酸によるエステル化生成物は好適に扱われるが、本発明はこの種のエステルに限定されない。フェノール酸エステル、とりわけ桂皮酸、カフェイン酸およびフェルラ酸の誘導体を用いてもよい。天然のエステルを植物原材料から直接得てよく、または、他のエステルとのエステル交換によってステロール/スタノールエステルを製造する。遊離のステロールまたはスタノールを対応する脂肪酸によってエステル化して得られる誘導体を使用してもよい。本発明による製剤は、粉体形状製剤に基づき50〜90重量%、好ましくは60〜80重量%、とりわけ62〜76重量%のステロールおよび/またはスタノールエステルを含有する。
【0018】
よって、本発明は、上記組成を有するステロール/スタノールエステル調製物を含有する食品製剤にも関する。それらは、食品の全重量に基づき0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%の粉体形状製剤を含有する飲料および乳製品中で好適に用いられる。
【0019】
粉乳および/またはタンパク質
乾燥することによって特定の乳質から得られる市販の全乳および脱脂粉乳を、粉乳として使用する。それらは、他のタンパク質との混合物形態で、または単一担体として用いてよい。他のタンパク質を添加する場合、または粉乳よりむしろタンパク質を担体として使用する場合には、当該タンパク質は、天然動物および植物源から得られ、粉体形状製剤の製造中に添加される単離タンパク質であるものと理解される。タンパク質源は、小麦、大豆、ルピン、コーンのような植物、または卵または乳汁のような動物由来の起源で有り得る。
【0020】
粉乳、または乳汁から得られるタンパク質、カゼイン酸ナトリウムおよび/またはカルシウムなどは、好適に用いられる。カゼイン塩は、一方では乳化特性を有し、同時に、そうでなければ特に飲料および乳製品、とりわけヨーグルトなどの発酵生成物の製造のために典型的に用いられる食品乳化剤の上記不都合を示さないため、本発明の目的にとって特に好適である。カゼイン塩、特にカゼイン酸ナトリウムまたはカルシウムは、そうでなければ肉製品およびソーセージ製品の製造において乳化剤として典型的に使用される。
【0021】
本発明による製剤は、乳化剤不含有の粉体形状製剤に基づき5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは12〜20重量%、最も好ましくは12〜15重量%の粉乳および/またはタンパク質を含有する。カゼイン酸カゼイン酸ナトリウムおよび/またはカルシウムは、タンパク質として好適に用いられる。
【0022】
炭水化物
透明液体中へのステロールエステル粉末の配合において特に有利をもたらす更なる分散性の改善は、他の成分c)を炭水化物の形態で添加することによって達成された。炭水化物として用いる化合物は全て、グルコース、スクロース、フルクトース、トレハロース、マルトース、マルトデキストリン、シクロデキストリン、転化糖、パラチノースおよび乳糖からなる群から選択される食品級の糖類を含有する。グルコースシロップ状のグルコースは、炭水化物として好適に使用される。粉体形状ステロール/スタノールエステル製剤の重量に基づき3〜30重量%、好ましくは5〜20重量%、とりわけ10〜20重量%の炭水化物を使用すると、製剤の分散性と安定性に有利であることが判明した。
【0023】
粉乳および/またはタンパク質(成分b))と炭水化物(成分c))の重量比は1:5〜5:1、好ましくは1:3〜3:1、とりわけ1:1〜1:1.5である調製物は、配合挙動にとって特に有利である。
【0024】
他の助剤
本発明による製剤は、抗酸化剤、防腐剤および流れ促進剤を更なる助剤として含有してよい。抗酸化剤または防腐剤としては、例えばトコフェロール、レシチン、アスコルビン酸、パラベン、ブチルヒドロキシトルエンまたはアニソールまたは安息香酸およびその塩が挙げられる。トコフェロールは、抗酸化剤として好適に用いられる。二酸化ケイ素は、流れ調節剤および促進剤として好適に用いられる。
【0025】
製造
本発明は、
(i)粉乳および/またはタンパク質(成分b)を、場合により抗酸化剤および/または炭水化物(成分c)と一緒に、室温で水中に分散または溶解させ、分散体または溶液を温度50〜90℃に加熱する工程、
(ii)温度50〜90℃に加熱されたステロールおよび/またはスタノールのエステル(成分a)を、加熱分散体に添加し、全体を均質化してエマルジョンを形成する工程、および最後に、
(iii)形成されたエマルジョンを噴霧乾燥する工程
を含んでなる、粉体形状のステロールおよび/またはスタノールエステル製剤の製造方法にも関する。
【0026】
乳化剤を含有しない粉体形状製剤は、好適には、
(i)粉乳および/またはタンパク質(成分b)を、場合により抗酸化剤および/または炭水化物(成分c)と一緒に、室温で水中に分散または溶解させ、分散体または溶液を温度60〜80℃に加熱する工程、
(ii)温度60〜80℃に加熱されたステロールおよび/またはスタノールのエステル(成分a)を、加熱分散体に添加し、全体を均質化してエマルジョンを形成する工程、および最後に、
(iii)形成されたエマルジョンを回転円盤によって微分散させ、これに噴霧乾燥を施す工程
によって得られる。
【0027】
粉体形状製剤
本発明による製剤は、以下のとおりである(全ての量は、特定の製剤の全重量に基づく)。
(A)(a)ステロールおよび/またはスタノールのエステル50〜90重量%と
(b)粉乳5〜50重量%
を含有する粉体形状製剤。
(B)(a)ステロールおよび/またはスタノールの脂肪酸エステル50〜90重量%と
(b)粉乳および/またはタンパク質10〜30重量%
を含有する粉体形状製剤。
【0028】
以下の調製物は、その改善された貯蔵安定性、分散性および食品加工性のため好適である。
(C)(a)ステロールおよび/またはスタノールの脂肪酸エステル60〜80重量%と
(b)粉乳および/またはタンパク質5〜50重量%
を含有する粉体形状製剤。
(D)(a)ステロールおよび/またはスタノールの脂肪酸エステル50〜90重量%、
(b)粉乳および/またはタンパク質5〜50重量%、および
(c)炭水化物3〜30重量%
を含有する粉体形状製剤。
【0029】
以下の組成物を有する製剤は、特に好適である。
(E)(a)ステロールおよび/またはスタノールの脂肪酸エステル60〜80重量%と
(b)粉乳および/またはカゼイン酸ナトリウムおよび/またはカルシウム10〜30重量%
を含有する粉体形状製剤。
(F)(a)ステロールおよび/またはスタノールの脂肪酸エステル60〜80重量%、
(b)粉乳および/またはタンパク質12〜20重量%、および
(c)炭水化物5〜20重量%
を含有する粉体形状製剤。
(G)(a)ステロールおよび/またはスタノールの脂肪酸エステル60〜80重量%、
(b)粉乳および/またはカゼイン酸ナトリウムおよび/またはカルシウム10〜30重量%、および
(c)炭水化物10〜20重量%
を含有する粉体形状製剤。
【0030】
以下の組成物を有するエマルジョンは、とりわけ好適である。
(H)(a)ステロールおよび/またはスタノールの脂肪酸エステル62〜76重量%と
(b)粉乳および/またはカゼイン酸ナトリウムおよび/またはカルシウム10〜30重量%
を含有する粉体形状製剤。
(I)(a)ステロールおよび/またはスタノールの脂肪酸エステル60〜80重量%、
(b)カゼイン酸ナトリウムおよび/またはカルシウム5〜50重量%、および
(c)グルコース10〜20重量%
を含有する粉体形状製剤。
(J)(a)ステロールおよび/またはスタノールの脂肪酸エステル60〜80重量%、
(b)カゼイン酸ナトリウムおよび/またはカルシウム10〜30重量%、および
(c)グルコース3〜30重量%
を含有する粉体形状製剤。
【0031】
以下の組成物を有する調製物は、最良の貯蔵安定性を有する。
(K)(a)ステロールおよび/またはスタノールの脂肪酸エステル62〜76重量%、
(b)カゼイン酸ナトリウムおよび/またはカルシウム12〜15重量%、および
(c)グルコース10〜20重量%
を含有する粉体形状製剤。
【実施例】
【0032】
実施例1
噴霧乾燥した脱脂粉乳(Almil)29.5g、ピロリン酸テトラカリウム(Budenheim)0.5gおよびアスコルビン酸ナトリウム(Rewe)0.05gを、水170g中に分散させた。分散体を約70℃に加熱した。ステロールエステル(Vegapure(登録商標)95E、Cognis Deutschland GmbH & Co. KG)70gを約70℃に加熱し、撹拌しながら水性分散液へ添加した。分散体のpH値は6.8〜7.4の間であった。次に、このようにして調製したプリエマルジョンを、Schroeder LAB 100/60ホモジナイザー(連続して約3回通過)中、220/30barにて均一化し、エマルジョンの温度を65〜70℃に維持した。最後に、こうして製造したエマルジョンをAPV型LAB 3S噴霧乾燥塔中、以下の条件下で噴霧乾燥した。
【0033】
乾燥物質 :約45%
流入エアー温度:180℃
排気温度 :90±5℃
噴霧速度 :24000rpm
【0034】
流動床
流入エアー温度、セクション1/2:30〜35℃
流入エアー温度、セクション3 :4〜8℃
回転ふるい:1mm
【0035】
以下の混合機(Gericke)において、1%のSiOを流動助剤として添加した。こうして製造した粉末は、水中および乳汁中(脂肪分0.3重量%および1.5重量%)のいずれも、室温での良好な撹拌性によって区別されるものであった。
【0036】
実施例2
カゼイン(Almil)14.8gを水75g中に分散させ、20%水酸化ナトリウム約9gを添加した後、分散体を80℃に加熱し、pH値が約7の透明溶液が形成されるまで撹拌した。その後、グルコースシロップ(80%)12gとアスコルビン酸ナトリウム(Rewe)0.05gを、水100g中に分散させた。分散体を約70℃に加熱し、カゼイン酸Na塩溶液へ添加した。ステロールエステル(Vegapure(登録商標)95E、Cognis Deutschland GmbH & Co. KG)71gを約70℃に加熱し、水性分散液に撹拌しながら添加した。分散体のpH値は6.8〜7.4の間であった。次いで、こうして製造したエマルジョンをAPV型LAB 3S噴霧乾燥塔中、実施例1と同じ条件下で噴霧乾燥した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤の全重量を基準に、
(a)ステロールおよび/またはスタノールのエステル50〜90重量%と
(b)粉乳および/またはタンパク質5〜50重量%、
を含有し、但し、群(b)のもの以外の他の乳化剤は存在しない、粉体形状製剤。
【請求項2】
50〜90重量%のステロールおよび/またはスタノールの脂肪酸エステルを成分(a)として含有することを特徴とする、請求項1に記載の粉体形状製剤。
【請求項3】
10〜50重量%の粉乳および/またはカゼイン酸カゼイン酸ナトリウムおよび/またはカルシウムを成分(b)として含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の粉体形状製剤。
【請求項4】
炭水化物を任意成分(c)として含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の粉体形状製剤。
【請求項5】
グルコース、スクロース、フルクトース、トレハロース、マルトース、マルトデキストリン、シクロデキストリン、転化糖、パラチノースおよび乳糖からなる群から選択される炭水化物を成分c)として含有することを特徴とする、請求項4に記載の粉体形状製剤。
【請求項6】
成分(b)と(c)を5:1〜1:5の重量比で含有することを特徴とする、請求項4または5に記載の粉体形状製剤。
【請求項7】
製剤の全重量を基準に、
(a)ステロールおよび/またはスタノールの脂肪酸エステル62〜76重量%、
(b)カゼイン酸ナトリウムおよび/またはカルシウム12〜15重量%、および
(c)グルコース10〜20重量%、
を含有し、但し、示された量の合計は100重量%となる、請求項1〜6のいずれかに記載の粉体形状製剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の粉体形状製剤0.1〜50重量%を含有する食品。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の粉体形状製剤0.1〜50重量%を含有する飲料または乳製品。
【請求項10】
(i)粉乳またはタンパク質(成分b)を、場合により抗酸化剤および/または炭水化物(成分c)と一緒に、室温で水中に分散または溶解させ、分散体または溶液を温度50〜90℃に加熱する工程、
(ii)温度50〜90℃に加熱されたステロールおよび/またはスタノールのエステル(成分a)を、加熱分散体に添加し、全体を均質化してエマルジョンを形成する工程、および最後に、
(iii)形成されたエマルジョンを噴霧乾燥する工程
を含んでなる、粉体形状のステロールおよび/またはスタノールエステル製剤の製造方法。

【公表番号】特表2009−507473(P2009−507473A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527345(P2008−527345)
【出願日】平成18年8月12日(2006.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007997
【国際公開番号】WO2007/022890
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(505066718)コグニス・アイピー・マネージメント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (191)
【氏名又は名称原語表記】Cognis IP Management GmbH
【Fターム(参考)】