説明

ステータコア、ステータ及びステータコアの組付方法

【課題】ヨークとティースとの組付方向の自由度を増加するとともに、鉄損の増加を抑制しつつ加工性を向上し、更に積層鋼板の材質の制約を緩和することができるステータコア、ステータ及びステータコアの組付方法を提供する。
【解決手段】ステータコア11は、外周面から径方向内側に穿設され軸線方向全長に亘って延在する台形状のヨーク側嵌合溝18を複数有する、積層鋼板からなる環状のヨーク16と、ヨーク側嵌合溝18に嵌合する台形柱状のティース側嵌合部21とヨーク16から径方向外側に突出してコイルの巻装される突設部22とを有する、積層鋼板からなる複数のティース17と、ティース側嵌合部21に形成された嵌入凹部24と、ヨーク側嵌合溝18に形成され嵌入凹部24に嵌入してヨーク16に対するティース17の径方向外側への脱落を抑制する嵌入凸部19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機のステータ(固定子)に設けられるステータコア、ステータ及びステータコアの組付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、こうしたステータコアとして、組立作業性に優れ、しかも、コイルの占積率が高いステータに設けられる、いわゆる分割タイプのものが知られている。例えば特許文献1に記載のステータコアは、ヨーク(46)のヨーク側嵌合部(70)と、該ヨークと分離可能に構成されるティース(48)のティース側嵌合部(60)とを嵌合することで組み立てられる。この際、突起部(74)が弾性力によりくびれ部(62)を内側に押さえ込むため、ティースとヨークとが好適に嵌合されて抜けが防止される。また、第1直線部(68)と第2直線部(78)とが当接するため、ティースとヨークとが好適に位置決めされる。これにより、ティースのヨークに対する回動が阻止される。
【0003】
一方、特許文献2に記載のステータコアは、ヨーク(21)とティース(12)との嵌合部において、ティース側は半径方向にY字状(17)を有しており、ヨーク側は扇形の中央部に凸形状(24)を有する。そして、ティースの切れ目(16)をヨークの凸形状に対して押込むことにより、ティースのY字状をヨークの凸形状により押し広げ、Y字状を塑性変形させ、Y字状の周方向外側の端面(18)と、ヨーク扇形周方向内側の端面(25)間の圧縮力にてティースとヨークとを嵌合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−320824号公報
【特許文献2】特開2008−306854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のステータコアでは、ヨークとティースとの嵌合部に隙間が生じた場合、鉄損が増大することになる。また、このような複雑な形状では隙間寸法を精密に管理することは容易ではなく、コスト増大になると予想される。
【0006】
なお、特許文献1に従来技術として記載されるステータコアでは、ヨークとティースとの嵌合部形状を簡素化したものが記載されている。しかしながら、ヨークとティースとの嵌合を、コイルの巻回される径方向への突出部で行う構造のため、例えばヨークに対しティースを組み付ける場合には、その組付方向(嵌合方向)がコイルと干渉しない径方向外側からのみに自ずと限定されることになり、その自由度が低減されてしまう。
【0007】
一方、特許文献2に記載のステータコアでは、ティース(Y字状)をヨークに圧入するための距離が長い上に、塑性変形させるために多大な圧入力を要すると予想される。このため、設備の大型化を余儀なくされ、あるいは積層鋼板の機械的性質によっては亀裂などが発生するためにその材質に制約を受けると予想される。
【0008】
本発明の目的は、ヨークとティースとの組付方向の自由度を増加するとともに、鉄損の増加を抑制しつつ加工性を向上し、更に積層鋼板の材質の制約を緩和することができるステータコア、ステータ及びステータコアの組付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、外周面から径方向内側に穿設され軸線方向全長に亘って延在する台形状のヨーク側嵌合溝を複数有する、積層鋼板からなる環状のヨークと、前記ヨーク側嵌合溝に嵌合する台形柱状のティース側嵌合部と、前記ヨークから径方向外側に突出してコイルの巻装される突設部とを有する、積層鋼板からなる複数のティースと、前記ヨーク側嵌合溝及び前記ティース側嵌合部のいずれか一方に形成された嵌入凹部と、前記ヨーク側嵌合溝及び前記ティース側嵌合部のいずれか他方に形成され、前記嵌入凹部に嵌入して前記ヨークに対する前記ティースの径方向外側への脱落を抑制する嵌入凸部とを備えたことを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、前記ヨーク及び前記複数のティースの組付けに際しては、該ティースの前記突設部に予め前記コイルを巻装した状態であっても、前記ティース側嵌合部を前記ヨーク側嵌合溝に嵌合することで、これらヨーク及びティースを簡易に結合することができる。この場合、前記ヨーク側嵌合溝及び前記ティース側嵌合部は、台形状(長方形状を含む)同士での嵌合であるため、これらヨーク側嵌合溝及びティース側嵌合部間の隙間寸法の精密さを容易に管理することができる。従って、前記ヨーク側嵌合溝及び前記ティース側嵌合部間の隙間に起因する鉄損の増加を抑制しつつ、加工性を向上することができる。また、前記ティース側嵌合部には前記コイルが巻装されないため、前記ヨークに対し前記ティースを径方向及び軸線方向のいずれの方向から組み付けても、前記コイルと干渉することはない。従って、前記ヨークと前記ティースとの組付方向の自由度を増加することができる。さらに、前記ヨークに対する前記ティースの径方向外側への脱落を、前記嵌入凹部に前記嵌入凸部が嵌入することで抑制できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のステータコアにおいて、前記ヨーク側嵌合溝の前記ティース側嵌合部と当接する周方向両側の当接面及び前記ティース側嵌合部の前記ヨーク側嵌合溝と当接する周方向両側の当接面には、径方向外側に向かって拡幅されるように勾配がそれぞれ設定されており、前記勾配により径方向に案内される前記ティース側嵌合部が前記ヨーク側嵌合溝に対し圧入された状態で、前記嵌入凹部に前記嵌入凸部が嵌入することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、前記嵌入凹部に前記嵌入凸部が嵌入する状態、即ち前記ヨークに対する前記ティースの径方向外側への脱落が抑制された状態では、前記ティース側嵌合部が前記ヨーク側嵌合溝に対し圧入された状態になるため、これらの当接面同士が密接に圧着することができ、ひいては鉄損を低減することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のステータコアと、前記複数の突設部にそれぞれ巻装された複数の前記コイルで構成される巻線と、前記複数の突設部及び前記複数のコイル間の各々に介装される複数のボビンとを備えたステータにおいて、前記複数のボビンは、周方向両側に延出して前記ヨークの外周面に当接する一対のフランジをそれぞれ有し、周方向で各隣り合う前記ボビンの前記フランジ同士は、互い違いに切り欠かれた切り欠き部において径方向に重ねられていることを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、周方向で各隣り合う前記ボビンの前記フランジ同士は、互い違いに切り欠かれた切り欠き部において径方向に重ねられていることで、前記ヨークの外周面は、前記複数のボビンの前記一対のフランジによって前記ヨーク側嵌合溝を除く全周に亘って覆われる。従って、例えば前記ヨークの外周面の防錆性を向上することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のステータにおいて、前記ボビンの前記一対のフランジに配設される前記切り欠き部は、径方向において互いに異なる側に配置されていることを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、全ての前記ボビンを同一形状に成形しても、周方向で各隣り合う前記ボビンの前記フランジ同士を互い違いに切り欠かれた切り欠き部において径方向に重ねることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、外周面から径方向内側に穿設され軸線方向全長に亘って延在する台形状のヨーク側嵌合溝を複数有する、積層鋼板からなる環状のヨークと、前記ヨーク側嵌合溝に嵌合する台形柱状のティース側嵌合部と、前記ヨークから径方向外側に突出してコイルの巻装される突設部とを有する、積層鋼板からなる複数のティースと、前記ヨーク側嵌合溝及び前記ティース側嵌合部のいずれか一方に形成された嵌入凹部と、前記ヨーク側嵌合溝及び前記ティース側嵌合部のいずれか他方に形成され、前記嵌入凹部に嵌入して前記ヨークに対する前記ティースの径方向外側への脱落を抑制する嵌入凸部とを備えステータコアであって、前記ヨークに対し前記ティースを径方向及び軸線方向のいずれかの方向から組み付けることを特徴とするステータコアの組付方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、ヨークとティースとの組付方向の自由度を増加するとともに、鉄損の増加を抑制しつつ加工性を向上し、更に積層鋼板の材質の制約を緩和することができるステータコア、ステータ及びステータコアの組付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態を示す正面図。
【図2】同実施形態を示す横断面図。
【図3】同実施形態を示す正面図。
【図4】(a)(b)は、同実施形態の組付態様を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2は、本発明が適用される回転電機(例えばモータ)のステータ10を示す正面図及び横断面図である。なお、各図において、矢印で図示した周方向及び径方向は、回転電機の回転軸(ステータ10の中心)を中心とするものである。同図に示すように、ステータ10は、ステータコア11と、複数(24個)のボビン12と、巻線13とを備えて構成される。
【0021】
ステータコア11は、図3及び図4に示すように、積層鋼板からなる環状のヨーク16に、該ヨーク16の径方向外側に等角度間隔で放射状に突出する複数(24個)の積層鋼板からなるティース17が結合されてなる。
【0022】
すなわち、ヨーク16は、複数のティース17の各々に対応してその外周面から径方向内側に穿設され軸線方向全長に亘って延在する台形状のヨーク側嵌合溝18を複数有する。各ヨーク側嵌合溝18の周方向両側の内壁面18aには、径方向外側に向かって拡幅されるように左右対称の勾配SLがそれぞれ設定されている。なお、ヨーク側嵌合溝18の両内壁面18aには、軸線方向全長に亘って延在するリブ状の嵌入凸部19がそれぞれ形成されている。
【0023】
一方、各ティース17は、ヨーク側嵌合溝18に嵌合する台形柱状のティース側嵌合部21と、該ティース側嵌合部21に連続するとともにヨーク16から径方向外側に放射状に突出する突設部22と、該突設部22の先端から周方向両側にフランジ状に延出する先端部23とを一体的に有して略T字形状を呈する。そして、ティース側嵌合部21の周方向両側の外壁面21aにも、径方向外側に向かって拡幅されるように前記勾配SLがそれぞれ設定されている。また、ヨーク側嵌合溝18の両外壁面21aには、軸線方向全長に亘って延在する溝状の嵌入凹部24がそれぞれ形成されている。
【0024】
ここで、例えばヨーク16に対しティース17を径方向外側から組み付ける場合、勾配SLにより径方向内側に案内されるティース側嵌合部21がヨーク側嵌合溝18に対し圧入された状態で、嵌入凹部24に嵌入凸部19が嵌入する。これにより、ヨーク16に対するティース17の径方向外側への脱落が抑制される。なお、軸線方向に見てヨーク側嵌合溝18及びティース側嵌合部21の形状は同等であり、従って、ヨーク16に対しティース17を軸線方向に組み付けてもよい。
【0025】
図2に示すように、前記各ボビン12は、例えば樹脂材からなり、ティース17に装着されている。すなわち、ボビン12は、ティース17の突設部22が挿入される筒部26と、該筒部26の径方向内側端から周方向両側に延出してヨーク16の外周面に当接する一対のフランジ27,28と、筒部26の径方向外側端から拡開されて先端部23が装着される装着部29とを一体的に有する。そして、フランジ27,28は、径方向において互いに異なる側の切り欠かれた切り欠き部27a,28aをそれぞれ有する。周方向で各隣り合うボビン12のフランジ27,28同士は、互い違いに切り欠かれた切り欠き部27a,28aにおいて径方向に重ねられている。これにより、ヨーク16の外周面は、ヨーク側嵌合溝18を除く全周に亘って隙間なく覆われている。なお、ボビン12は、装着部29においてティース17(先端部23)に対し径方向に抜け止めされている。
【0026】
ボビン12の装着されたティース17には、前記巻線13を構成するコイル13aが巻装されている。つまり、巻線13は、いわゆる集中巻であって、複数のティース17の突設部22にそれぞれ巻装された複数のコイル13aと、適宜の渡り線とで構成されている。なお、巻線13の各コイル13aは、径方向で両フランジ27,28及び装着部29間に挟まれることで抜け止めされている。
【0027】
次に、ステータ10の組付方法について説明する。
まず、ステータ10を構成する全てのボビン12の各々に対し、単体の状態で周知の巻回装置により筒部26周りにコイル13aを巻装する。このとき、ボビン12に予めティース17を装着しておいてもよいし、コイル13aの巻装後のボビン12にティース17を装着するようにしてもよい。
【0028】
次に、コイル13aの巻装された各ティース17をヨーク16に対し径方向及び軸線方向のいずれの方向から組み付けて、ティース側嵌合部21をヨーク側嵌合溝18に嵌合させる。このとき、各ティース17は、嵌入凸部19が嵌入凹部24に嵌入することで、径方向に抜け止めされる。これにより、ヨーク16及び全てのティース17の結合が完了する。特に、図4(a)(b)に示すように、各ティース17をヨーク16に対し径方向外側から組み付ける場合、前記勾配SLにより径方向に案内されるティース側嵌合部21がヨーク側嵌合溝18に対し圧入された状態で、嵌入凸部19が嵌入凹部24に嵌入することになり、これらの当接面(内壁面18a及び外壁面21a)同士が密接に圧着する。
【0029】
なお、ヨーク16及び全てのティース17の結合が完了した後、渡り線にて複数のコイル13aをそれぞれ電気的に接続することで巻線13が構成され、ステータ10の組付けが完了する。
【0030】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ヨーク16及び複数のティース17の組付けに際しては、該ティース17の突設部22(ボビン12の筒部26)に予めコイル13aを巻装した状態であっても、ティース側嵌合部21をヨーク側嵌合溝18に嵌合することで、これらヨーク16及びティース17を簡易に結合することができる。この場合、ヨーク側嵌合溝18及びティース側嵌合部21は、台形状同士での嵌合であるため、これらヨーク側嵌合溝18及びティース側嵌合部21間の隙間寸法の精密さを容易に管理することができる。従って、精密加工を必要とせずに、ヨーク側嵌合溝18及びティース側嵌合部21間の隙間に起因する鉄損の増加を抑制することができる。つまり、鉄損の増加を抑制しつつ、加工性を向上することができる。そして、高価な組付装置も不要になる。また、ティース側嵌合部21にはコイル13aが巻装されないため、ヨーク16に対しティース17を径方向及び軸線方向のいずれの方向から組み付けても、コイル13aと干渉することはない。従って、ヨーク16とティース17との組付方向の自由度を増加することができる。さらに、ヨーク16に対するティース17の径方向外側への脱落を、嵌入凹部24に嵌入凸部19が嵌入することで抑制できる。
【0031】
また、ヨーク側嵌合溝18及びティース側嵌合部21の嵌合時の応力集中がないため、ヨーク16及びティース17の積層鋼板の材質の制約を緩和することができる。
(2)本実施形態では、嵌入凹部24に嵌入凸部19が嵌入する状態、即ちヨーク16に対するティース17の径方向外側への脱落が抑制された状態では、ティース側嵌合部21がヨーク側嵌合溝18に対し圧入された状態になる。このため、これらの当接面(内壁面18a及び外壁面21a)同士が密接に圧着することができ、ひいては鉄損を低減することができる。また、ヨーク16に対するティース17の回動を阻止することができる。
【0032】
(3)本実施形態では、周方向で各隣り合うボビン12のフランジ27,28同士は、互い違いに切り欠かれた切り欠き部27a,28aにおいて径方向に重ねられていることで、ヨーク16の外周面は、複数のボビン12の一対のフランジ27,28によってヨーク側嵌合溝18を除く全周に亘って覆われる。従って、例えばヨーク16の外周面の防錆性を向上することができる。
【0033】
(4)本実施形態では、ボビン12の一対のフランジ27,28に配設される切り欠き部27a,28aは、径方向において互いに異なる側に配置されていることで、全てのボビン12を同一形状に成形しても、周方向で各隣り合うボビン12のフランジ27,28同士を互い違いに切り欠かれた切り欠き部27a,28aにおいて径方向に重ねることができる。
【0034】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、ヨーク側嵌合溝18(内壁面18a)及びティース側嵌合部21(外壁面21a)の勾配SLを割愛して、各々を長方形状としてもよい。
【0035】
・前記実施形態において、嵌入凸部19及び該嵌入凸部19が嵌入する嵌入凹部24は、ヨーク側嵌合溝18及びティース側嵌合部21の軸線方向における一部のみに配置されていてもよい。
【0036】
・前記実施形態において、ヨーク側嵌合溝18及びティース側嵌合部21と、嵌入凸部19及び嵌入凹部24との配置関係は逆であってもよい。また、ヨーク側嵌合溝18に嵌入凸部及び嵌入凹部の両方を配設して、ティース側嵌合部21にこれら嵌入凸部及び嵌入凹部と嵌入関係となる嵌入凹部及び嵌入凸部を配設してもよい。さらに、嵌入凸部及び嵌入凹部は、軸線方向全長に亘って延在する必要はない。
【符号の説明】
【0037】
SL…勾配、10…ステータ、11…ステータコア、12…ボビン、13…巻線、13a…コイル、16…ヨーク、17…ティース、18…ヨーク側嵌合溝、18a…内壁面(当接面)、19…嵌入凸部、21…ティース側嵌合部、21a…外壁面(当接面)、22…突設部、24…嵌入凹部、27,28…フランジ、27a,28a…切り欠き部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面から径方向内側に穿設され軸線方向全長に亘って延在する台形状のヨーク側嵌合溝を複数有する、積層鋼板からなる環状のヨークと、
前記ヨーク側嵌合溝に嵌合する台形柱状のティース側嵌合部と、前記ヨークから径方向外側に突出してコイルの巻装される突設部とを有する、積層鋼板からなる複数のティースと、
前記ヨーク側嵌合溝及び前記ティース側嵌合部のいずれか一方に形成された嵌入凹部と、
前記ヨーク側嵌合溝及び前記ティース側嵌合部のいずれか他方に形成され、前記嵌入凹部に嵌入して前記ヨークに対する前記ティースの径方向外側への脱落を抑制する嵌入凸部とを備えたことを特徴とするステータコア。
【請求項2】
請求項1に記載のステータコアにおいて、
前記ヨーク側嵌合溝の前記ティース側嵌合部と当接する周方向両側の当接面及び前記ティース側嵌合部の前記ヨーク側嵌合溝と当接する周方向両側の当接面には、径方向外側に向かって拡幅されるように勾配がそれぞれ設定されており、
前記勾配により径方向に案内される前記ティース側嵌合部が前記ヨーク側嵌合溝に対し圧入された状態で、前記嵌入凹部に前記嵌入凸部が嵌入することを特徴とするステータコア。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のステータコアと、
前記複数の突設部にそれぞれ巻装された複数の前記コイルで構成される巻線と、
前記複数の突設部及び前記複数のコイル間の各々に介装される複数のボビンとを備えたステータにおいて、
前記複数のボビンは、周方向両側に延出して前記ヨークの外周面に当接する一対のフランジをそれぞれ有し、
周方向で各隣り合う前記ボビンの前記フランジ同士は、互い違いに切り欠かれた切り欠き部において径方向に重ねられていることを特徴とするステータ。
【請求項4】
請求項3に記載のステータにおいて、
前記ボビンの前記一対のフランジに配設される前記切り欠き部は、径方向において互いに異なる側に配置されていることを特徴とするステータ。
【請求項5】
外周面から径方向内側に穿設され軸線方向全長に亘って延在する台形状のヨーク側嵌合溝を複数有する、積層鋼板からなる環状のヨークと、
前記ヨーク側嵌合溝に嵌合する台形柱状のティース側嵌合部と、前記ヨークから径方向外側に突出してコイルの巻装される突設部とを有する、積層鋼板からなる複数のティースと、
前記ヨーク側嵌合溝及び前記ティース側嵌合部のいずれか一方に形成された嵌入凹部と、
前記ヨーク側嵌合溝及び前記ティース側嵌合部のいずれか他方に形成され、前記嵌入凹部に嵌入して前記ヨークに対する前記ティースの径方向外側への脱落を抑制する嵌入凸部とを備えステータコアであって、
前記ヨークに対し前記ティースを径方向及び軸線方向のいずれかの方向から組み付けることを特徴とするステータコアの組付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−50178(P2012−50178A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187416(P2010−187416)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】