説明

ストリーム生成器、ストリーム生成方法、及びビデオカメラ

【課題】複数の記録媒体に連続して記録された動画ファイルが、音声を欠落させることなく再生されるようにする。
【解決手段】ストリーム生成器であって、符号化音声データと符号化映像データとを多重化して、第1ストリームと第2ストリームとを生成するパケット多重化部と、分割指示を受けると、前記第1ストリームの最後に表示されるべき前記符号化映像データに対応する最終ビデオフレームと、前記最終ビデオフレームの提示期間の終了時刻を提示期間内に有するオーディオフレームである最終オーディオフレームとを決定する分割タイミング生成部と、前記最終ビデオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するビデオフレーム及び前記最終オーディオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するオーディオフレームが前記第1ストリームに含まれるように前記パケット多重化部を制御する多重化制御部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音声データと映像データとを多重化してストリームを生成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオカメラの記録媒体としてメモリカードが使用されるようになってきており、2枚のメモリカードを同時に挿入可能なビデオカメラも増えてきている。このようなビデオカメラは、撮影時に、まず1枚目のメモリカードにデータを記録し、1枚目のメモリカードの空き容量が足りなくなると、データの記録を停止せずに2枚目のメモリカードに記録を続けることができる。2枚目のメモリカードへの記録を終了後、2枚のメモリカードを再生機に挿入することにより、撮影された映像の再生を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−300527号公報
【特許文献2】特開平7−255032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、1枚目のメモリカードに記録された映像データに対応する音声データが、2枚目のメモリカードに記録されることがある。2枚のメモリカードの動画ファイルは独立しており、再生機は、これらの動画ファイルが連続して記録されたファイルであると認識することができない。このため、1枚目のメモリカードのデータを再生するときに、音声データが不足し、音声が再生されない期間が生じることがある。
【0005】
関連する技術が、例えば特許文献1及び2に記載されている。特許文献1には、1GOP(group of pictures)のビデオパケットの次に、これらのビデオパケットに対応するオーディオパケットを記録する方法が記載されている。しかし、特許文献1によると、オーディオパケットの位置が決められているので、ビデオパケットの符号量を抑える必要がある。また、このような方法で記録されていることを示す管理情報を記録媒体に書き込んでおく必要があり、動画ファイルの読出し時にはこの管理情報をも読み出す必要がある。
【0006】
特許文献2には、2つのGOPに対応するオーディオフレームのデータを重複して記録媒体に記録する方法が記載されている。しかし、特許文献2によると、オーディオデータが重複して記録されていることを示す管理情報を、オーディオフレームが記録されるセクタのサブコード領域に書き込む必要があり、動画ファイルの読出し時には、セクタのサブコード領域を読み出す特殊な再生機が必要である。また、動画ファイルを他の記録媒体にコピーすると、管理情報はコピーされないので、特許文献2の方法で記録されていることが判別できなくなる。
【0007】
本発明は、複数の記録媒体に連続して記録された動画ファイルが、音声を欠落させることなく再生されるように、記録のための複数のストリームを生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態によるストリーム生成器は、符号化音声データと符号化映像データとを多重化して、第1ストリームと、前記第1ストリームの符号化映像データより後に表示されるべき符号化映像データを有する第2ストリームとを生成するパケット多重化部と、分割指示を受けると、前記第1ストリームの最後に表示されるべき前記符号化映像データに対応する最終ビデオフレームと、前記最終ビデオフレームの提示期間の終了時刻を提示期間内に有するオーディオフレームである最終オーディオフレームとを決定する分割タイミング生成部と、前記最終ビデオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するビデオフレーム及び前記最終オーディオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するオーディオフレームが前記第1ストリームに含まれるように前記パケット多重化部を制御する多重化制御部とを有する。
【0009】
本発明の実施形態によるビデオカメラは、映像を撮影し、撮影された映像を映像データとして出力する撮像部と、前記映像データを符号化して符号化映像データを生成する映像データ符号化部と、音声を音声データに変換して出力するマイクロホンと、前記音声データを符号化して符号化音声データを生成する音声データ符号化部と、前記符号化映像データ及び前記符号化音声データから、第1ストリーム及び第2ストリームを生成するストリーム生成器と、前記第1ストリームを第1記録媒体に書き込み、前記第2ストリームを第2記録媒体に書き込むメモリカードライタと、前記第1記録媒体の空き容量を検出する空き容量監視部と、前記空き容量が所定値未満である場合に分割指示を出力する記録制御部とを有する。前記ストリーム生成器は、前記符号化音声データと前記符号化映像データとを多重化して、前記第1ストリームと、前記第1ストリームの符号化映像データより後に表示されるべき符号化映像データを有する前記第2ストリームとを生成するパケット多重化部と、分割指示を受けると、前記第1ストリームの最後に表示されるべき前記符号化映像データに対応する最終ビデオフレームと、前記最終ビデオフレームの提示期間の終了時刻を提示期間内に有するオーディオフレームである最終オーディオフレームとを決定する分割タイミング生成部と、前記最終ビデオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するビデオフレーム及び前記最終オーディオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するオーディオフレームが前記第1ストリームに含まれるように前記パケット多重化部を制御する多重化制御部とを有する。
【0010】
本発明の実施形態によるストリーム生成方法は、符号化音声データ及び符号化映像データから、第1ストリーム及び第2ストリームを生成するストリーム生成方法であって、分割指示を受けると、前記第1ストリームの最後に表示されるべき前記符号化映像データに対応する最終ビデオフレームと、前記最終ビデオフレームの提示期間の終了時刻を提示期間内に有するオーディオフレームである最終オーディオフレームとを決定し、前記最終ビデオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するビデオフレーム及び前記最終オーディオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するオーディオフレームが前記第1ストリームに含まれるように、前記符号化音声データと前記符号化映像データとを多重化して、前記第1ストリームと、前記第1ストリームの符号化映像データより後に表示されるべき符号化映像データを有する前記第2ストリームとを生成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、生成された複数のストリームを記録することにより、複数の記録媒体に連続して記録された動画ファイルが、音声を欠落させることなく再生される。記録媒体には、特別な管理情報を記録する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るビデオカメラの構成例を示すブロック図である。
【図2】ストリームを分割する必要がない場合に、図1のストリーム生成器から出力されるストリームの例を示す説明図である。
【図3】(a)は、図2のストリームが単純に2分割された場合の前半ストリームを示す説明図である。(b)は、図2のストリームが単純に2分割された場合の後半ストリームを示す説明図である。
【図4】図4(a)は、図3(a)のストリームに含まれるビデオパケット及びオーディオパケットの提示期間を示す説明図である。図4(b)は、図3(b)のストリームに含まれるビデオパケット及びオーディオパケットの提示期間を示す説明図である。
【図5】(a)は、図1のストリーム生成器により得られた前半ストリームの例を示す説明図である。(b)は、図1のストリーム生成器により得られた後半ストリームの例を示す説明図である。
【図6】図6(a)は、図5(a)のストリームに含まれるビデオパケット及びオーディオパケットの提示期間を示す説明図である。図6(b)は、図5(b)のストリームに含まれるビデオパケット及びオーディオパケットの提示期間を示す説明図である。
【図7】(a)は、図1のストリーム生成器により得られた前半ストリームの他の例を示す説明図である。(b)は、図1のストリーム生成器により得られた後半ストリームの他の例を示す説明図である。
【図8】図8(a)は、図7(a)のストリームに含まれるビデオパケット及びオーディオパケットの提示期間を示す説明図である。図8(b)は、図7(b)のストリームに含まれるビデオパケット及びオーディオパケットの提示期間を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態に係るビデオカメラの他の構成例を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施形態に係るビデオカメラの更に他の構成例を示すブロック図である。
【図11】図1のビデオカメラの変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図面において下2桁が同じ参照番号で示された構成要素は、互いに対応しており、同一の又は類似の構成要素である。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るビデオカメラの構成例を示すブロック図である。図1のビデオカメラ100は、撮像部112と、映像符号化部114と、マイクロホン116と、音声符号化部118と、記録制御部122と、ストリームバッファ124と、メモリカードライタ126と、空き容量監視部128と、ストリーム生成器140とを有する。
【0015】
ストリーム生成器140は、分割タイミング生成部142と、多重化制御部144と、音声データ複製部146と、パケット多重化部148と、ビデオバッファ152と、オーディオバッファ154とを有する。ストリーム生成器140は、例えば1つの半導体チップ上に形成される。ユーザは、入力部(図示せず)を操作して、記録の開始、記録の停止等を記録制御部122に指示する。特に図示はしていないが、記録制御部122は、ビデオカメラ100の各構成要素の制御を行う。
【0016】
撮像部112は、レンズ等の光学系及び撮像デバイスを有し、映像を撮影し、撮影された映像を映像データとして出力する。映像符号化部114は、撮像部112から出力された映像データを符号化して符号化映像データを生成し、出力する。マイクロホン116は、音声を音声データに変換して出力する。音声符号化部118は、マイクロホン116から出力された音声データを符号化して符号化音声データを生成し、出力する。
【0017】
映像符号化部114は、例えば、MPEG−2(moving picture experts group-2)やH.264/MPEG−4 AVC(advanced video coding)に従って符号化を行う。音声符号化部118は、例えば、AC−3やLPCM(linear pulse code modulation)に従って符号化を行う。映像符号化部114は、1ビデオフレームの映像データのエンコードを完了する毎に、パケット多重化部148にエンコード完了を通知する。音声符号化部118は、1オーディオフレームの音声データのエンコードを完了する毎に、パケット多重化部148にエンコード完了を通知する。
【0018】
ストリーム生成器140は、符号化映像データ及び符号化音声データから、後述の前半ストリーム及び後半ストリームを生成する。ストリーム生成器140のビデオバッファ152は、映像符号化部114で生成された符号化映像データを格納する。オーディオバッファ154は、音声符号化部118で生成された符号化音声データを格納する。
【0019】
パケット多重化部148は、映像符号化部114からのエンコード完了通知に従って、符号化映像データをビデオバッファ152から読み出して、符号化映像データを含むビデオパケットを生成し、音声符号化部118からのエンコード完了通知に従って、符号化音声データをオーディオバッファ154から読み出して、符号化音声データを含むオーディオパケットを生成する。ビデオパケット及びオーディオパケットは、例えばMPEG2のトランスポートストリームパケットである。パケット多重化部148は、生成されたビデオパケットとオーディオパケットとを多重化して、トランスポートストリーム等のストリームを生成し、ストリームバッファ124に出力する。
【0020】
ストリームバッファ124は、生成されたトランスポートストリームを格納する。メモリカードライタ126には、着脱可能な記録媒体としてのメモリカード2A及び2Bが挿入される。メモリカード2A及び2Bは、書き込み可能なメモリカードであって、例えば、SD(secure digital)メモリカード、又はCF(CompactFlash)メモリカードである。
【0021】
メモリカードライタ126は、ストリームバッファ124からストリームを読み出して、メモリカード2A又は2Bに書き込む。メモリカード2Aに書き込み中に空き容量が十分ではなくなると、記録制御部122の指示に基づいて、メモリカードライタ126は、メモリカード2Aへの書き込みを終了し、メモリカード2Bへの書き込みを開始する。メモリカード2Bに書き込み中に空き容量が十分ではなくなると、記録制御部122の指示に基づいて、メモリカードライタ126は、メモリカード2Bへの書き込みを終了し、メモリカード2Aへの書き込みを開始する。
【0022】
図2は、ストリームを分割する必要がない場合に、図1のストリーム生成器から出力されるストリームの例を示す説明図である。パケット多重化部148は、生成されたビデオパケット(V)と生成されたオーディオパケット(A)とを連結して、図2のストリームを生成する。1つのビデオフレームには1個以上のビデオパケットが含まれる。1つのオーディオフレームには1個以上のオーディオパケットが含まれる。
【0023】
ビデオフレームA,B,C,D,E,F,…は、所定の長さの時間のビデオパケットに対応し、オーディオフレームA,B,C,D,E,…は、所定の長さの時間のオーディオパケットに対応する。本明細書では、各ビデオフレームが長さ33msの映像データに対応し、各オーディオフレームが長さ32msの音声データに対応する場合について説明する。図2のストリーム内のビデオパケットが表示器に表示されるべき時刻(提示時刻)は、図2のストリーム内のビデオフレーム順であるとは限らない。図2のストリーム内のオーディオパケットがスピーカー等から出力されるべき時刻(提示時刻)は、図2のストリーム内のオーディオフレームの順であるとは限らない。
【0024】
図3(a)は、図2のストリームが単純に2分割された場合の前半ストリームを示す説明図である。図3(b)は、図2のストリームが単純に2分割された場合の後半ストリームを示す説明図である。図4(a)は、図3(a)のストリームに含まれるビデオパケット及びオーディオパケットの提示期間を示す説明図である。図4(b)は、図3(b)のストリームに含まれるビデオパケット及びオーディオパケットの提示期間を示す説明図である。各ビデオパケットの提示期間は、ビデオパケットに含まれるPTS(presentation time stamp)が示す提示時刻から1ビデオフレーム分の長さの期間であり、各オーディオパケットの提示期間は、オーディオパケットに含まれるPTSが示す提示時刻から1オーディオフレーム分の長さの期間である。
【0025】
図2のストリームを分割してメモリカード2A及び2Bに格納する方法としては、図2のストリームを2分割し、分割点より前の図3(a)のストリームをメモリカード2Aに格納させ、分割点より後の図3(b)のストリームをメモリカード2Bに格納させる方法がある。この場合、図3(a)のストリームには、図4(a)に示されているように、提示期間が132msまでのビデオパケット及び提示期間が96msまでのオーディオパケットが含まれる。図3(b)のストリームには、図4(b)に示されているように、提示期間が132msからのビデオパケット及び提示期間が96msからのオーディオパケットが含まれる。
【0026】
このようにしてメモリカード2Aに格納された図3(a)のストリームを他の再生機で再生すると、オーディオパケットが不足しているので、提示期間96ms〜132msにおいて、映像は再生されるが音声は再生されないという現象が生じてしまう。また、メモリカード2Aとメモリカード2Bとを用いて他の再生機で再生する場合においても、メモリカード2Aのストリームとメモリカード2Bのストリームとは異なるストリームであると認識されるので、同様に、音声が再生されないという現象が生じてしまう。
【0027】
図1のビデオカメラ100は、このような望ましくない現象を避けるために、以下のように動作を行う。空き容量監視部128は、書き込み中のメモリカード2A又は2Bの空き容量を検出する。具体的には、空き容量監視部128は、空き容量を通知するようにメモリカードライタ126に要求する。メモリカードライタ126は、書き込み中のメモリカード2A又は2Bの空き容量を出力し、空き容量監視部128は、空き容量を記録制御部122に通知する。
【0028】
記録制御部122は、1GOP(group of pictures)の時間長、1ビデオフレームの時間長、及び1オーディオフレームの時間長を分割タイミング生成部142に出力する。記録制御部122は、通知された空き容量が所定値未満である場合には、分割指示を示す信号を分割タイミング生成部142に出力する。
【0029】
分割タイミング生成部142は、分割指示を受けると、分割後の前半ストリームの最終ビデオフレーム及び最終オーディオフレームを決定し、多重化制御部144に通知する。最終ビデオフレームは、前半ストリームの最後に表示されるべき符号化映像データに対応する。最終オーディオフレームは、その提示期間内に、最終ビデオフレームの提示期間の終了時刻を有するオーディオフレームである。分割タイミング生成部142は、例えば、書き込み中のGOPの最後に表示されるべきビデオフレームを最終ビデオフレームとする。
【0030】
多重化制御部144は、ビデオパケットとオーディオパケットとを多重化するように、パケット多重化部148に指示する。多重化制御部144は、最終ビデオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するビデオフレーム及び最終オーディオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するオーディオフレームが前半ストリームに含まれるように、パケット多重化部148を制御する。パケット多重化部148は、1ビデオフレーム又は1オーディオフレームの多重化が終わる毎に、多重化制御部144に多重化完了通知を行う。最終ビデオフレームまでのビデオフレーム、及び最終オーディオフレームまでのオーディオフレームの多重化が完了すると、多重化制御部144は、パケット多重化部148に、前半ストリームの生成を終了し、分割後の後半ストリームの生成を開始するように指示する。多重化制御部144は、前半ストリームの生成が終了したことを記録制御部122に通知する。
【0031】
この通知を受けると、記録制御部122は、前半ストリームが書き込まれたメモリカード2A又は2Bへの書き込みを、前半ストリームの全体が書き込まれた時点で終了し、他方のメモリカード2B又は2Aへの後半ストリームの書き込みを開始するように、メモリカードライタ126に指示を行う。パケット多重化部148は、前半ストリームの符号化映像データより後に表示されるべき符号化映像データを有する後半ストリームの生成を行い、ストリームバッファ124に出力する。以上の動作により、図2のストリームに基づいて次のようなストリームが得られる。
【0032】
図5(a)は、図1のストリーム生成器140により得られた前半ストリームの例を示す説明図である。図5(b)は、図1のストリーム生成器140により得られた後半ストリームの例を示す説明図である。図6(a)は、図5(a)のストリームに含まれるビデオパケット及びオーディオパケットの提示期間を示す説明図である。図6(b)は、図5(b)のストリームに含まれるビデオパケット及びオーディオパケットの提示期間を示す説明図である。
【0033】
図5(a)のビデオフレームDがGOPの最後のフレームであるとすると、分割タイミング生成部142は、このビデオフレームDを最終ビデオフレームとする。このビデオフレームの提示期間は99ms〜132msである。このビデオフレームに対応するオーディオフレームのうち、提示時刻が最も遅いフレームはオーディオフレームEである。分割タイミング生成部142は、このオーディオフレームEを最終オーディオフレームとし、その提示期間は128ms〜160msである。この結果、前半ストリームには、ビデオフレームA〜D及びオーディオフレームA〜Eが含まれる。後半ストリームには、図5(b)のように、これらのフレームより提示時刻が遅いビデオフレーム及びオーディオフレームが含まれる。
【0034】
図6(a)に示されているように、ストリーム生成器140によると、前半ストリームに含まれるビデオフレームに対応する全てのオーディオフレームが前半ストリームに含まれる。このため、メモリカード2A等に格納された図5(a)の前半ストリームを他の再生機で再生する場合であっても、オーディオパケットが不足することがなく、映像に対応する音声が再生される。
【0035】
更に、図1のビデオカメラ100は、以下のように動作を行ってもよい。前半ストリームの生成が終了すると、多重化制御部144は、音声データ複製部146に、オーディオパケットを複製するように指示する。音声データ複製部146は、前半ストリームの最終オーディオフレームのオーディオパケットを複製するように、パケット多重化部148及びオーディオバッファ154に指示する。オーディオバッファ154は、複製するように指示を受けると、最終オーディオフレームのオーディオパケットを複製し、パケット多重化部148に出力する。
【0036】
パケット多重化部148は、複製されたオーディオパケットに、最終オーディオフレームと同じPTSを付与する。パケット多重化部148は、複製されたパケットを後半ストリームの先頭のオーディオパケットとして用い、後半ストリームを生成する。以上の動作により、図2のストリームに基づいて次のようなストリームが得られる。
【0037】
図7(a)は、図1のストリーム生成器140により得られた前半ストリームの他の例を示す説明図である。図7(b)は、図1のストリーム生成器140により得られた後半ストリームの他の例を示す説明図である。図8(a)は、図7(a)のストリームに含まれるビデオパケット及びオーディオパケットの提示期間を示す説明図である。図8(b)は、図7(b)のストリームに含まれるビデオパケット及びオーディオパケットの提示期間を示す説明図である。
【0038】
図7(a)のストリームは、図5(a)のストリームと同じである。図7(b)のストリームは、図5(b)のオーディオフレームに加えてオーディオフレームEをも有している。このため、後半ストリームに含まれるビデオフレームに対応する全てのオーディオフレームが後半ストリームに含まれる。このため、メモリカード2B等に格納された図7(b)の後半ストリームを他の再生機で再生する場合であっても、オーディオパケットが不足することがなく、映像に対応する音声が再生される。
【0039】
また、各ストリームに含まれるPTSによって提示時刻を制御することができるので、メモリカード2Aとメモリカード2Bとを用いて他の再生機で再生する場合においても、前半ストリームと後半ストリームとが一連のストリームであることを示す特別な管理情報を記録しなくても、メモリカード2Aのストリームとメモリカード2Bのストリームとを連続して再生することができる。図7(a)及び(b)の場合、前半ストリーム及び後半ストリームにおいて1つのオーディオパケットが重複するのみであるので、データ量はほとんど増加しない。
【0040】
図9は、本発明の実施形態に係るビデオカメラの他の構成例を示すブロック図である。図9のビデオカメラ200は、ストリーム生成器140及び映像符号化部114に代えてストリーム生成器240及び映像符号化部214を有する点の他は、図1のビデオカメラ100と同様に構成されている。ストリーム生成器240は、多重化制御部144に代えて多重化制御部244を有し、判定部262と、符号量制御部264とを更に有する点の他は、図1のストリーム生成器140と同様に構成されている。
【0041】
図1のストリーム生成器140によると、図5(a)及び図7(a)のストリームのように、前半ストリームの最後にオーディオフレームが複数連続することがある。このため、STC(system time clock)が進行し、MPEG等で既定されたシステムターゲットデコーダ内の仮想的なビデオバッファがアンダーフローする可能性がある。そこで、前半ストリームの終端に向けて映像符号量を小さくする必要がある。
【0042】
図9の多重化制御部244は、分割タイミング生成部142から通知された前半ストリームの最終ビデオフレーム及び最終オーディオフレームに基づいて、前半ストリームの最後部で連続するオーディオフレームの数と、システムターゲットデコーダ内のビデオバッファの空き容量とを求め、判定部262に出力する。
【0043】
判定部262は、前半ストリームの最後部で連続するオーディオフレームの数と、このビデオバッファの空き容量とに基づいて、このビデオバッファがアンダーフローするか否かを判定する。アンダーフローすると判定した場合には、ビデオデータの符号量を抑制する必要があり、判定部262は、連続するオーディオフレームによって進行するSTCの時間を求め、符号量制御部264に出力する。
【0044】
符号量制御部264は、連続するオーディオフレームによって進行するSTCの時間に基づいて、抑制すべき符号量を計算し、映像符号化部214に出力する。映像符号化部214は、前半ストリームに含まれるビデオフレームの符号量を、符号量制御部264から通知された抑制すべき符号量だけ小さくする。
【0045】
図10は、本発明の実施形態に係るビデオカメラの更に他の構成例を示すブロック図である。図10のビデオカメラ300は、ストリーム生成器140及び記録制御部122に代えてストリーム生成器340及び記録制御部322を有し、入力部332を更に有する点の他は、図1のビデオカメラ100と同様に構成されている。ストリーム生成器340は、多重化制御部144に代えて多重化制御部344を有し、分割情報格納部366を更に有する点の他は、図1のストリーム生成器140と同様に構成されている。
【0046】
ユーザは、入力部332を操作して、記録の開始、記録の停止の他に、記録の仮停止等を指示することができるようになっている。ストリームを記録中にユーザが仮停止を指示すると、記録制御部322は、図1のビデオカメラにおいて空き容量監視部128から通知された空き容量が所定値未満である場合と同様に、分割指示を示す信号を分割タイミング生成部142に出力する。
【0047】
ストリーム生成器340の各構成要素の動作は、図1のストリーム生成器140とほぼ同様である。ただし、多重化制御部344は、ストリームの分割に関する分割情報を分割情報格納部366に格納させる。
【0048】
メモリカードライタ126は、まず、メモリカード2Aに前半ストリームの書き込みを行う。分割指示を示す信号が出力されると、メモリカードライタ126は、記録制御部322の指示に基づいて、前半ストリームの書き込みを終了し、メモリカード2Aへの後半ストリームの書き込みを開始する。
【0049】
分割情報には、前半ストリームの最後に提示されるべきビデオフレーム及びオーディオフレームのPTS、並びにメモリカードにおいて前半ストリームの書き込みが終了した位置(アドレス又はセクタ番号)の情報等が含まれる。多重化制御部344は、このような分割情報を、例えば記録制御部322を経由して受け取る。
【0050】
後半ストリームの書き込み中に、ユーザが記録の停止を指示すると、記録制御部322は、分割情報格納部366から分割情報を読み出し、仮停止後の後半ストリームが必要か否かをユーザに尋ねるメッセージを表示器(図示せず)に表示する。ユーザは、入力部332を用いて回答する。記録制御部322は、後半ストリームの書き込みを終了するようにメモリカードライタ126に指示をする。後半ストリームが必要ではないとユーザが回答した場合には、記録制御部322は、分割情報を用いてメモリカードライタ126に後半ストリームを消去させる。後半ストリームが必要であるとユーザが回答した場合には、記録制御部322は、後半ストリームをそのまま残す。
【0051】
このように、図10のビデオカメラ300によると、仮停止後の後半ストリームをメモリカード2Aに保存するか否かを、記録の停止後に判断することができる。後半ストリームが必要ではないと回答すれば、後半ストリームは自動的に消去されるので、誤って必要なデータを削除することなく、不要なデータを削除することができる。
【0052】
図11は、図1のビデオカメラの変形例を示すブロック図である。図11のビデオカメラ400は、メモリカードライタ126に挿入されたメモリカード2A及び2Bを構成要素として有している。このようにメモリカード2A及び2Bがビデオカメラ400に含まれていてもよい。また、ビデオカメラ400が、メモリインタフェースと半導体メモリとを更に有し、この半導体メモリにメモリカード2A又は2Bと同様に書き込みを行うようにしてもよい。
【0053】
図1、図9、及び図10を参照して、パケット多重化部148が前半ストリーム及び後半ストリームを生成する場合について説明したが、同様の処理を繰り返してもよい。これにより、記録済みのメモリカードを新たなメモリカードと入れ換えれば、ストリームの記録を更に続けることができる。
【0054】
本明細書における各機能ブロックは、典型的にはハードウェアで実現され得る。例えば各機能ブロックは、IC(集積回路)の一部として半導体基板上に形成され得る。ここでICは、LSI(large-scale integrated circuit)、ASIC(application-specific integrated circuit)、ゲートアレイ、FPGA(field programmable gate array)等を含む。代替としては各機能ブロックの一部又は全ては、ソフトウェアで実現され得る。例えばそのような機能ブロックは、プロセッサ及びプロセッサ上で実行されるプログラムによって実現され得る。換言すれば、本明細書で説明される各機能ブロックは、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの任意の組合せで実現され得る。
【0055】
本発明の多くの特徴及び優位性は、記載された説明から明らかであり、よって添付の特許請求の範囲によって、本発明のそのような特徴及び優位性の全てをカバーすることが意図される。更に、多くの変更及び改変が当業者には容易に可能であるので、本発明は、図示され記載されたものと全く同じ構成及び動作に限定されるべきではない。したがって、全ての適切な改変物及び等価物は本発明の範囲に入るものとされる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、複数の記録媒体に連続して記録された動画ファイルを、音声を欠落させることなく再生できるようになるので、本発明は、ストリーム生成器及びビデオカメラ等について有用である。
【符号の説明】
【0057】
2A,2B メモリカード
100,200,300,400 ビデオカメラ
112 撮像部
114,214 映像符号化部
116 マイクロホン
118 音声符号化部
122,322 記録制御部
124 ストリームバッファ
126 メモリカードライタ
128 空き容量監視部
140,240,340 ストリーム生成器
142 分割タイミング生成部
144,244,344 多重化制御部
146 音声データ複製部
148 パケット多重化部
152 ビデオバッファ
154 オーディオバッファ
262 判定部
264 符号量制御部
366 分割情報格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化音声データと符号化映像データとを多重化して、第1ストリームと、前記第1ストリームの符号化映像データより後に表示されるべき符号化映像データを有する第2ストリームとを生成するパケット多重化部と、
分割指示を受けると、前記第1ストリームの最後に表示されるべき前記符号化映像データに対応する最終ビデオフレームと、前記最終ビデオフレームの提示期間の終了時刻を提示期間内に有するオーディオフレームである最終オーディオフレームとを決定する分割タイミング生成部と、
前記最終ビデオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するビデオフレーム及び前記最終オーディオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するオーディオフレームが前記第1ストリームに含まれるように前記パケット多重化部を制御する多重化制御部とを備える
ストリーム生成器。
【請求項2】
請求項1に記載のストリーム生成器において、
前記第1ストリームの最終オーディオフレームのオーディオパケットを複製するように指示する音声データ複製部を更に備える
ストリーム生成器。
【請求項3】
請求項2に記載のストリーム生成器において、
前記パケット多重化部は、複製されたパケットに前記第1ストリームの最終オーディオフレームと同じPTS(presentation time stamp)を付与し、前記複製されたパケットを前記第2ストリームの先頭のオーディオパケットとして用いる
ストリーム生成器。
【請求項4】
請求項1に記載のストリーム生成器において、
判定部と、
符号量制御部とを更に備え、
前記多重化制御部は、前記最終ビデオフレーム及び前記最終オーディオフレームに基づいて、前記第1ストリームの最後部で連続するオーディオフレームの数を求め、
前記判定部は、前記第1ストリームの最後部で連続するオーディオフレームによって進行するSTC(system time clock)の時間を求め、
前記符号量制御部は、前記進行するSTCの時間に基づいて、抑制すべき符号量を計算して出力する
ストリーム生成器。
【請求項5】
請求項1に記載のストリーム生成器において、
分割情報格納部を更に備え、
前記多重化制御部は、前記第1ストリームの書き込みが終了した位置の情報を前記分割情報格納部に格納させる
ストリーム生成器。
【請求項6】
映像を撮影し、撮影された映像を映像データとして出力する撮像部と、
前記映像データを符号化して符号化映像データを生成する映像データ符号化部と、
音声を音声データに変換して出力するマイクロホンと、
前記音声データを符号化して符号化音声データを生成する音声データ符号化部と、
前記符号化映像データ及び前記符号化音声データから、第1ストリーム及び第2ストリームを生成するストリーム生成器と、
前記第1ストリームを第1記録媒体に書き込み、前記第2ストリームを第2記録媒体に書き込むメモリカードライタと、
前記第1記録媒体の空き容量を検出する空き容量監視部と、
前記空き容量が所定値未満である場合に分割指示を出力する記録制御部とを備え、
前記ストリーム生成器は、
前記符号化音声データと前記符号化映像データとを多重化して、前記第1ストリームと、前記第1ストリームの符号化映像データより後に表示されるべき符号化映像データを有する前記第2ストリームとを生成するパケット多重化部と、
分割指示を受けると、前記第1ストリームの最後に表示されるべき前記符号化映像データに対応する最終ビデオフレームと、前記最終ビデオフレームの提示期間の終了時刻を提示期間内に有するオーディオフレームである最終オーディオフレームとを決定する分割タイミング生成部と、
前記最終ビデオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するビデオフレーム及び前記最終オーディオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するオーディオフレームが前記第1ストリームに含まれるように前記パケット多重化部を制御する多重化制御部とを有する
ビデオカメラ。
【請求項7】
請求項6に記載のビデオカメラにおいて、
前記第1ストリームの最終オーディオフレームのオーディオパケットを複製するように指示する音声データ複製部を更に備える
ビデオカメラ。
【請求項8】
請求項6に記載のビデオカメラにおいて、
ストリーム生成器は分割情報格納部を更に備え、
前記多重化制御部は、前記第1ストリームの書き込みが終了した位置の情報を含む分割情報を前記分割情報格納部に格納させ、
前記記録制御部は、前記分割情報格納部から前記分割情報を読み出し、前記分割情報を用いて前記メモリカードライタに前記第2ストリームを消去させる
ビデオカメラ。
【請求項9】
請求項6に記載のビデオカメラにおいて、
前記第1記録媒体と前記第2記録媒体とを更に備える
ビデオカメラ。
【請求項10】
請求項9に記載のビデオカメラにおいて、
前記第1記録媒体及び前記第2記録媒体は、SD(secure digital)メモリカードである
ビデオカメラ。
【請求項11】
符号化音声データ及び符号化映像データから、第1ストリーム及び第2ストリームを生成するストリーム生成方法であって、
分割指示を受けると、前記第1ストリームの最後に表示されるべき前記符号化映像データに対応する最終ビデオフレームと、前記最終ビデオフレームの提示期間の終了時刻を提示期間内に有するオーディオフレームである最終オーディオフレームとを決定し、
前記最終ビデオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するビデオフレーム及び前記最終オーディオフレームの提示時刻までの提示時刻を有するオーディオフレームが前記第1ストリームに含まれるように、前記符号化音声データと前記符号化映像データとを多重化して、前記第1ストリームと、前記第1ストリームの符号化映像データより後に表示されるべき符号化映像データを有する前記第2ストリームとを生成する
ストリーム生成方法。
【請求項12】
請求項11に記載のストリーム生成方法において、更に、
前記第1ストリームの最終オーディオフレームのオーディオパケットを複製するように指示する
ストリーム生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−124757(P2012−124757A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274633(P2010−274633)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.COMPACTFLASH
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】