説明

ストレッチシュリンクフィルム及びその製造方法、並びにストレッチシュリンクラベル

【課題】優れたシュリンク性及びストレッチ性を有し、両特性を高度に両立することが可能なスチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分として構成される単層のストレッチシュリンクフィルム及びその製造方法を提供することである。また、該ストレッチシュリンクフィルムを用いたストレッチシュリンクラベルを提供することである。
【解決手段】本発明のストレッチシュリンクフィルムは、30〜70重量%のスチレン系単量体を含むスチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分として構成され、スチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分として構成される中心層と該中心層の少なくとも片面側に形成される表層との積層フィルムを共押出しで作製し、該積層フィルムを少なくとも一方向に加熱延伸した後、加熱延伸された積層フィルムから表層を剥離除去して得られる、単層ストレッチシュリンクフィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレッチ性を改良したストレッチシュリンクフィルム及びその製造方法に関し、より詳しくは、スチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を含むストレッチシュリンクフィルムに関する。また、該ストレッチシュリンクフィルムに印刷層を設けたストレッチシュリンクラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
ストレッチシュリンクフィルムの分野では、基材となるフィルムに、ストレッチ性、シュリンク性、機械的強度、透明性等、様々な機能を付与する目的で、フィルムを構成する樹脂組成や積層形態等を改良した単層又は積層シュリンクフィルムが広く用いられている。例えば、特許文献1には、中心層とその両側の面に積層された表面層とで構成されたベースフィルムを有し、中心層が線状低密度ポリエチレン又はメタロセン系ポリエチレンからなり、表面層が非晶性環状オレフィン系重合体と表面層全体の5〜40重量%の密度0.902〜0.935g/cm3の線状低密度ポリエチレンとで構成されたストレッチシュリンクラベルが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、ポリオレフィン樹脂からなる両表面層とビニル芳香族化合物ブロックと共役ジエン化合物ブロックとからなるブロック共重合体(例えば、スチレン‐ジエン共重合体)の水素添加物を含有する内層の少なくとも3層のストレッチシュリンク多層フィルムが開示されている。
【0004】
上記特許文献2のストレッチシュリンクフィルムにも含まれるスチレン‐ジエン共重合体(水素添加物)は、優れたゴム弾性を有することから、オレフィン系のみのストレッチシュリンクフィルムのストレッチ性をより一層高めることが期待される。しかしながら、特許文献2においても、ポリオレフィン樹脂層を有することにより、ストレッチ性が若干抑制されており、さらなるストレッチ性の改良、特にシュリンク性とストレッチ性との両立が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005‐201987号公報
【特許文献2】特開2001‐150600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、優れたシュリンク性及びストレッチ性を有し、両特性を高度に両立することが可能なスチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分として構成される単層のストレッチシュリンクフィルム及びその製造方法を提供することである。また、当該ストレッチシュリンクフィルムを用いたストレッチシュリンクラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、優れたシュリンク性及びストレッチ性を有し、両特性を高度に両立するストレッチシュリンクフィルムを得るために、優れたゴム弾性を有するスチレン‐ジエン共重合体に着目して鋭意検討した。その結果、従来のように積層フィルムの1つの層としてスチレン‐ジエン共重合体を用いるのではなく(特許文献2等参照)、該共重合体を単層フィルム化することにより、従来にはない優れたシュリンク性及びストレッチ性を有するストレッチシュリンクフィルムが得られると考えた。
【0008】
しかしながら、優れたゴム弾性を有するスチレン‐ジエン共重合体の単層ストレッチシュリンクフィルムは、加熱延伸が極めて困難であり、ストレッチシュリンクフィルムの分野において、該共重合体の単層フィルムが得られたという報告はなされていない。
【0009】
そこで、本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、まず、単独ではフィルム化することが困難であるが、優れたゴム弾性を有する特定のスチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物(30〜70重量%のスチレン系単量体を含む共重合体)をフィルム構成樹脂として選定した。そして、特定のスチレン‐ジエン共重合体等からなる単層ストレッチシュリンクフィルムは、該スチレン‐ジエン共重合体等からなる中心層と、該中心層の少なくとも片面側に形成される表層との積層フィルムを共押出しで作製し、積層フィルムとして加熱延伸した後、表層を剥離除去することで得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明のストレッチシュリンクフィルムは、30〜70重量%のスチレン系単量体を含むスチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分として構成される単層のストレッチシュリンクフィルムであって、前記スチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分として構成される中心層と該中心層の少なくとも片面側に形成される表層との積層フィルムを共押出しで作製し、前記積層フィルムを少なくとも一方向に加熱延伸した後、加熱延伸された前記積層フィルムから前記表層を剥離除去して得られることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明のストレッチシュリンクフィルムは、90℃、10秒における主延伸方向の熱収縮率が30〜70%であり、25%の引張試験における残留ひずみが5%以下であることが好ましい。
【0012】
また、本発明のストレッチシュリンクフィルムの製造方法は、30〜70重量%のスチレン系単量体を含むスチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分として構成される中心層と、該中心層の少なくとも片面側に形成され、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成される表層との積層フィルムを共押出しで作製する工程と、前記積層フィルムを少なくとも一方向に加熱延伸する工程と、加熱延伸された前記積層フィルムから前記表層を剥離除去する工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明のストレッチシュリンクラベルは、上記ストレッチシュリンクフィルムの少なくとも一方の面側に印刷層が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のストレッチシュリンクフィルムは、30〜70重量%のスチレン系単量体を含むスチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物からなる単層フィルムであるから、従来にはない優れたシュリンク性及びストレッチ性を有し、両特性を高度に両立するものである。特に、中心層の片面側のみに表層を形成した積層フィルムを用いて製造される本発明の単層ストレッチシュリンクフィルムは、表層が形成されない面の表面平滑性に優れ、良好な印刷特性、或いは良好な表面光沢性を奏する。
【0015】
また、本発明のストレッチシュリンクフィルムの製造方法によれば、単独ではフィルム化することが困難であり、従来では成膜や加熱延伸することができないとされてきた、優れたゴム弾性を有する特定のスチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を単層フィルム化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明のストレッチシュリンクフィルム及びストレッチシュリンクラベル、並びにその製造方法について、さらに詳細に説明する。
【0017】
本発明のストレッチシュリンクフィルムは、特定の共重合比率を有するスチレン‐ジエン共重合体、及び/又はその水素添加物を主成分として構成される単層ストレッチシュリンクフィルムであり、スチレン‐ジエン共重合体は、スチレン系単量体及び共役ジエンを必須の単量体成分として構成される共重合体である。なお、本願において、「主成分」とは、特に限定がない限り、フィルム層を構成する樹脂組成物の総重量に対して、50重量%以上であることを意味し、より好ましくは60重量%以上であることを意味する。
【0018】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α‐メチルスチレン、m‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐エチルスチレン、p‐イソブチルスチレン、p‐t‐ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどが挙げられる。これらのうち、優れたシュリンク性及びストレッチ性を両立するという観点から、スチレンが特に好ましい。なお、これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
共役ジエンとしては、例えば、1,3‐ブタジエン、イソプレン(2‐メチル‐1,3‐ブタジエン)、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、1,3‐ペンタジエン、1,3‐ヘキサジエン、クロロプレンなどが挙げられる。これらのうち、優れたシュリンク性及びストレッチ性を両立するという観点から、1,3‐ブタジエンが特に好ましい。なお、これら共役ジエンは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
スチレン‐ジエン共重合体において、スチレン系単量体の含有量は、単量体成分の全重量に対して、30〜70重量%であり、より好ましくは35〜70重量%であり、特に好ましくは40〜50重量%である。一方、共役ジエンの含有量は、単量体成分の全重量に対して、30〜70重量%であり、より好ましくは30〜65重量%であり、特に好ましくは50〜60重量%である。
【0021】
なお、スチレン系単量体の含有量が30重量%未満の場合、又は共役ジエンの含有量が70重量%を超える場合には、フィルムのシュリンク特性が不良となり、特に複雑な形状の容器ではその形状に追従して装着することが難しくなる。また、スチレン系単量体の含有量が70重量%を超える場合、又は共役ジエンの含有量が30重量%を未満の場合には、フィルムのストレッチ特性が不良となり、フィルム形状の十分な復元性が得られない。即ち、本発明のストレッチシュリンクフィルムは、スチレン系単量体と共役ジエンとの共重合比率が上記特定の範囲内であるスチレン‐ジエン共重合体を用いることにより、優れたシュリンク特性とストレッチ特性とを両立することができる。
【0022】
上記スチレン‐ジエン共重合体は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記スチレン系単量体、及び上記共役ジエン以外の単量体成分、例えば、ビニル系モノマー、重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体等を含有していてもよい。
【0023】
また、本発明のストレッチシュリンクフィルムは、上記のように、スチレン‐ジエン共重合体と共に、又はスチレン‐ジエン共重合体に代えて、上記スチレン‐ジエン共重合体の水素添加物を用いることができる。また、上記スチレン‐ジエン共重合体及びその水素添加物を変性して、反応性官能基を導入した変性物を用いることもできる。該反応性官能基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基(カルボン酸無水物も含む)、水酸基、オキサゾリン基、イソシアネ‐ト基、エポキシ基などが挙げられる。
【0024】
上記スチレン‐ジエン共重合体及びその水素添加の重合形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体など、特に限定されないが、ブロック共重合体が好ましく、スチレンブロック(S)‐共役ジエンブロック(D)型、S‐D‐S型、D‐S‐D型、S‐D‐S‐D型等が挙げられる。スチレン‐ジエン共重合体の具体例としては、例えば、スチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン‐ブタジエン‐イソプレン‐スチレンブロック共重合体(SBIS)などが挙げられる。また、スチレン‐ジエン共重合体の水素添加物としては、例えば、SBSの水素添加物であるスチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレンブロック共重合体(SEBS)、SBSの部分水素添加物であるスチレン‐ブタジエン‐ブチレン‐スチレンブロック共重合体(SBBS)などが挙げられる。また、水素添加物の変性物として、無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEPSなどが挙げられる。
【0025】
例示したスチレン‐ジエン共重合体及びその水素添加物のうち、好ましくは、スチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SBS)、その水素添加物であるスチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン‐ブタジエン‐ブチレン‐スチレンブロック共重合体(SBBS)であり、より好ましくは、SBS、SEBSである。
【0026】
上記スチレン‐ジエン共重合体及びその水素添加物としては、市販品を用いることができ、例えば、旭化成ケミカルズ(株)製の「タフプレン」、「アサプレン」(以上、SBS)、「タフテックPシリーズ」(SBBS)、「タフテックHシリーズ」(SEBS)、「タフテックMシリーズ」(SEBSの変性物)などが挙げられる。
【0027】
なお、本発明のストレッチシュリンクフィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、上記スチレン‐ジエン共重合体及びその水素添加物以外の添加物等を含んでいてもよい。本発明のストレッチシュリンクフィルムにおいて、フィルムを構成する樹脂組成物の総重量に対する上記スチレン‐ジエン共重合体及びその水素添加物の含有量は、50重量%以上であり、好ましくは60〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは90〜100重量%である。
【0028】
また、本発明のストレッチシュリンクフィルムの厚みとしては、特に限定されないが、10〜100μmであることが好ましく、より好ましくは15〜80μm、特に好ましくは20〜50μmである。なお、本発明のストレッチシュリンクフィルムの物性(熱収縮率、残留ひずみ等)については後述する。
【0029】
ここで、上記ストレッチシュリンクフィルムの製造方法を説明する。
【0030】
上記ストレッチシュリンクフィルムの一連の製造工程は、上記スチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分とする中心層と、該中心層の少なくとも片面側に形成される表層との積層フィルムを作製する工程(以下、工程(a)とする)、積層フィルムを加熱延伸する工程(以下、工程(b)とする)、及び加熱延伸した積層フィルムから表層を剥離除去する工程(以下、工程(c)とする)を含む。
【0031】
なお、上記中心層とは、本発明のストレッチシュリンクフィルムとなるフィルム層である。また、上記表層とは、工程(c)において剥離除去される、製造工程のみに使用されるフィルム層であって、単独ではフィルム化できない中心層のスチレン‐ブタジエン共重合体等を支持して、工程(a)の成膜(フィルム化)及び工程(b)の加熱延伸を可能とするフィルム層である。
【0032】
まず初めに、工程(a)について説明する。
工程(a)は、上記積層フィルムを作製する工程であって、上記積層フィルムは、共押出しにより作製される。共押出しによる上記積層フィルムの製造方法は、上記中心層を構成する樹脂、及び上記表層を構成する樹脂をそれぞれ押出機に投入し、各押出機から溶融した樹脂をTダイに供給して平滑な薄膜状に広げ、薄膜状の溶融樹脂をダイスリットから冷却されたキャスティングドラム上に押出して冷却固化し積層フィルム化する方法である。積層方式としては、例えば、Tダイの直前にフィードブロックを設置して各溶融樹脂を層流状態でTダイに供給するフィードブロック法、多層のマニホールドを用いるマルチマニホールド法のいずれを適用してもよい。なお、押出し温度は、用いる樹脂組成物の種類によっても異なり、特に限定されないが、各樹脂組成物の成型温度領域が近接していることが好ましい。
【0033】
ここで、上記表層を構成する樹脂について説明する。
上記表層を構成する樹脂としては、単独でも成膜及び加熱延伸が可能な樹脂であることが要求され、且つ中心層のスチレン‐ブタジエン共重合体及び/又はその水素添加物との間に適度な接着力を有する樹脂であることが好ましい。中心層と表層との接着強度(測定方法は実施例参照)としては、4.0N/15mm以下であり、より好ましくは0.1〜2.0N/15mm、特に好ましくは0.1〜1.5N/15mmである。両層の接着強度が当該範囲内であれば、工程(a)の成膜時や工程(b)の加熱延伸時において両層が分離することなく、工程(c)では表層を容易に剥離することが可能になる。
【0034】
上記表層を構成する好適な樹脂の具体例としては、ポリオレフィン系樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリメチルペンテン(PMP)等の単独重合体、プロピレン‐α‐オレフィン共重合体(αオレフィンとしては、例えば、エチレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、4‐メチル‐1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐ヘプテン、1‐オクテン、1‐ノネン、1‐デセンなどの炭素数4〜20程度のα‐オレフィン)、環状オレフィン‐α‐オレフィン(エチレン、プロピレン等)共重合体等の共重合体などが挙げられる。
【0035】
例示したポリオレフィン系樹脂のうち、成膜性や延伸性が良好で中心層との適度な接着力を発現するという観点から、ポリプロピレン(PP)、プロピレン‐α‐オレフィン共重合体が好ましく、より好ましくはプロピレン‐α‐オレフィン共重合体である。また、プロピレン‐α‐オレフィン共重合体の中では、エチレンを共重合成分とするプロプレン‐エチレンランダム共重合体が好ましく、プロピレンの含有量が多いもの(例えば、プロピレン/エチレン=80以上/20以下)がより好ましく、プロピレンの含有量が多くメタロセン触媒により重合して得られるプロピレン‐エチレンランダム共重合体(以下、メタロセン触媒系ポリプロピレンとする)が特に好ましい。また、これらのポリオレフィン系樹脂は単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0036】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、日本ポリプロ(株)製「ウィンテックWFX6」、「ウィンテック1987FC」(メタロセン触媒系ポリプロピレン)などが挙げられる。また、上記ポリオレフィン系樹脂には、例えば、滑剤、帯電防止剤、ワックス等の各種添加剤を混合してもよい。
【0037】
上記積層フィルムは、中心層の片面側に表層が形成される2層構造(表層/中心層)、又は中心層の両面に表層が形成される3層構造(表層/中心層/表層)であってもよい。但し、上記積層フィルムが2層構造、3層構造のいずれであっても、最終的に表層を剥離して得られる本発明のストレッチシュリンクフィルムは、同様の優れたシュリンク特性及びストレッチ特性を有するので、廃材の低減等の観点から、好ましくは2層構造である。また、中心層から表層を剥離除去することにより、中心層の表層が形成された面(以下、剥離面と称する)の表面平滑性がやや悪くなることからも、上記積層フィルムは2層構造であることが好ましい。さらに、2層構造の積層フィルムを作製する場合において、中心層及び表層のいずれの溶融樹脂をキャスティングドラム上にキャストしてもよいが、通常、ドラムに接触して形成されるフィルム面は表面平滑性が特に良好であることから、中心層の溶融樹脂をドラム上にキャストすることが好ましい。なお、以下では、中心層において表層が形成されない面を非剥離面と称し、非剥離面であってキャスティングドラム上にキャストされた面をキャスト面と称する。
【0038】
上記のように、工程(a)において、好ましくは表層/中心層の2層構造を有する、長尺状の未延伸積層フィルムが作製される。
【0039】
次に、工程(b)について説明する。
工程(b)は、上記工程(a)で作製された長尺状の未延伸積層フィルムを加熱延伸する工程である。本発明のストレッチシュリンクフィルム(中心層)は、優れたシュリンク特性を発現するために、少なくとも一方向に延伸されていることが好ましく、工程(b)において積層フィルムの状態で加熱延伸される。延伸としては、長尺状フィルムの幅方向(TD方向)及び長手方向(MD方向)の2軸延伸であってもよいし、幅方向又は長手方向の1軸延伸であってもよいが、好ましくは幅方向の1軸延伸である。なお、延伸方式としては、ロール方式、テンター方式等を使用することができる。一般的には、長尺状の未延伸積層フィルムを長手方向に連続搬送(例えば、長手方向の下流に設置された巻き取り機により)しながら、ロール等で幅方向に加熱延伸することで長尺状の延伸積層フィルムを作製する。
【0040】
延伸温度としては、中心層及び表層を構成する樹脂の種類によっても異なるが、一般的には70〜100℃、好ましくは90〜100℃の温度範囲である。また、延伸倍率は、2〜6倍程度が好ましい。一軸延伸の場合、例えば、長尺状の未延伸積層フィルムの主延伸方向に、2〜6倍程度の倍率で延伸することが好ましく、主延伸方向と直交する方向の収縮、膨張を抑えるために、場合によっては、当該方向にも1.01〜2倍程度の倍率で延伸することができる。なお、主延伸方向は、幅方向であっても長手方向であってもよい。
【0041】
上記のように、工程(b)において、好ましくは90〜100℃の温度範囲で幅方向に2〜6倍程度の倍率で1軸延伸された、長尺状の延伸積層フィルムが作製される。
【0042】
次に、工程(c)について説明する。
工程(c)は、上記工程(b)で作製された長尺状の延伸積層フィルムから表層を剥離除去する工程である。工程(c)において、2層構造の積層フィルムについては1つの表層が、3層構造の積層フィルムについては2つの表層が、それぞれ剥離除去され、中心層のみからなる単層の長尺状延伸フィルム、即ち長尺状の単層ストレッチシュリンクフィルムが得られる。なお、表層の剥離には、慣用の剥離装置を用いることができる。一般的には、長尺状の延伸積層フィルムを長手方向に連続搬送しながら、剥離装置等で表層を剥離し巻き取り機で巻き取って中心層から除去する。
【0043】
得られた長尺状の単層ストレッチシュリンクフィルム、即ち上記スチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分として構成される本発明のストレッチシュリンクフィルムは、通常、連続的に巻き取り機で巻き取られて、ロール体の形態にされ、例えば、後述のストレッチシュリンクラベルの基材フィルムとして利用される。なお、本発明のストレッチシュリンクフィルムは、ロール体の形態で印刷機等に供給され、長尺状フィルムの少なくとも一方の面に印刷層等が形成される。
【0044】
以上のように、工程(a)〜(c)を含む本発明のストレッチシュリンクフィルムの製造方法によれば、共押出しで作製される表層を含む積層フィルムを利用することで、単独ではフィルム化できない優れたゴム弾性を有する上記スチレン‐ブタジエン共重合体及び/又はその水素添加物を、成膜(フィルム化)、加熱延伸することができる。そして、積層フィルムの形態で加熱延伸した後に表層を剥離除去することで、中心層を構成する上記スチレン‐ブタジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分とする本発明の単層ストレッチシュリンクフィルムを得ることができる。
【0045】
ここで、上記一連の製造工程により得られた本発明のストレッチシュリンクフィルムの物性、特にシュリンク特性及びストレッチ特性について説明する。
【0046】
本発明のストレッチシュリンクフィルムのシュリンク特性は、90℃、10秒(温水処理)における主延伸方向の熱収縮率(測定方法は実施例参照)で表すことができる。なお、主延伸方向とは、延伸倍率が大きな方向を意味し、好ましくは長尺状ストレッチシュリンクフィルムの幅方向が主延伸方向となる。本発明のストレッチシュリンクフィルムは、該熱収縮率が、いずれも30%以上であり、好ましいものは40〜70%、より好ましいものは45〜70%であり、複雑な形状の容器に対してもその形状に追従した良好な装着性を実現できる。一方、熱収縮率が30%未満であるものは、特に、複雑な形状の容器に装着する場合には仕上がりが悪くなることがある。
【0047】
本発明のストレッチシュリンクフィルムのストレッチ特性は、25%の引張試験における残留ひずみ(測定方法は実施例参照)で表すことができる。なお、残留ひずみ(永久ひずみとも称する)とは、後述の25%の引張試験を行って荷重を取り除いた後、元に戻らずに伸びた長さの割合を示すものであり、値が小さいほどフィルムの伸縮性(ゴム弾性)が高く、ストレッチ特性に優れることを意味する。本発明のストレッチシュリンクフィルムは、該残留ひずみが、いずれも5%以下であり、好ましいものは4.5%以下、より好ましいものは4.0%以下、特に好ましいものは3.5%以下であり、従来のストレッチシュリンクフィルムにはない優れたストレッチ特性を有している。
【0048】
上記のように、本発明のストレッチシュリンクフィルムは、優れたゴム弾性を有する上記スチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分として構成される単層フィルムであって、優れたシュリンク性及びストレッチ性を有し、両特性を高度に両立するストレッチシュリンクフィルムである。また、本発明のストレッチシュリンクフィルムは、従来品と同様の透明性や表面平滑性を有する。特に、上記2層構造の積層フィルムを用いて製造したストレッチシュリンクフィルムは、上記非剥離面、或いは上記キャスト面の表面平滑性が高く、その面を印刷面(ストレッチシュリンクラベルの印刷層を形成する面)にすると良好な印刷特性が得られ、また、その面を外側に向けると良好な表面光沢性が得られる。
【0049】
ここで、上記ストレッチシュリンクフィルムを基材とするストレッチシュリンクラベルについて説明する。
【0050】
本発明のストレッチシュリンクラベルは、上記ストレッチシュリンクフィルムを基材フィルムとして、その少なくとも一方の面側に印刷層が設けられたラベルである。印刷層は、通常、ストレッチシュリンクラベルが容器に装着されたときに容器に接する内側の面(以下、裏面とする)に形成されるが、外側に向いた面(以下、表面とする)、又は表面と裏面の両面に形成されてもよい。また、本発明のストレッチシュリンクラベルには、印刷層の他にも、保護層や帯電防止層等を設けてもよく、さらに、不織布、紙等の層を設けてもよい。特に、印刷層が表面に形成される場合には、印刷層を保護する保護層を設けることが好ましい。
【0051】
上記印刷層は、例えば、商品名やイラスト、使用上の注意等を表示するための層であって、上記ストレッチシュリンクフィルムの少なくとも一方の面に印刷インキを塗布することで形成される。印刷層の形成には、所望の顔料や染料、アクリル樹脂やウレタン樹脂等のバインダ樹脂、有機溶剤、及び各種添加剤(例えば、可塑剤、滑剤、ワックス、帯電防止剤)等を含む溶剤型インキ、或いは所望の顔料や染料、アクリル樹脂など光重合性樹脂、光重合開始剤、及び上記各種添加剤等を含む紫外線硬化型インキなどが印刷インキとして用いられる。そして、この印刷インキを用いて、上記ストレッチシュリンクフィルムの少なくとも一方の面に、グラビア印刷、フレキソ印刷、及び凸版輪転印刷等を行なうことで印刷層を形成することができる。なお、印刷層の厚みは、好ましくは0.1〜10μmである。
【0052】
なお、上記2層構造の積層フィルムを用いて製造したストレッチシュリンクフィルムを基材フィルムとする場合、綺麗な印刷層を形成するためには、上記ストレッチシュリンクフィルムの表面平滑性が高い面である非剥離面、或いはキャスト面を裏面として印刷層を形成することが好ましい。また、裏面となる剥離面に印刷層を設け、非剥離面、或いはキャスト面を表面としてより良好な表面光沢性をラベルに付与することもできる。
【0053】
本発明のストレッチシュリンクラベルは、例えば、ラベル両端をテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶剤でシール(センターシール)して筒状にされた筒状ストレッチシュリンクラベルとして好適に用いられる。また、ラベルの一端を容器に貼り付け、ラベルを巻き回した後、他端を一端に重ね合わせて筒状にする巻き付け方式のラベルとしても好適である。上記筒状ストレッチシュリンクラベルは、上記ストレッチシュリンクフィルムの幅方向(主延伸方向)が円周方向となるようにセンターシールされることで形成されている。具体的には、幅方向に延伸された長尺状ストレッチシュリンクフィルムに印刷層を形成した後、所定幅(1つのラベルの幅)にスリットして、長尺状ストレッチシュリンクフィルムの幅方向(主延伸方向)が円周方向となるように幅方向両端を重ね合わせてシール(センターシール)することで、長尺状の筒状ストレッチシュリンクラベルを作製することができる。そして、作製された長尺状の筒状ストレッチシュリンクラベルを個々のラベルの長さにカットすることで、個々の容器に装着可能な筒状ストレッチシュリンクラベルを得ることができる。なお、慣用の方法により、ラベル切除用のミシン目を設けることもできる。
【0054】
なお、上記筒状ストレッチシュリンクラベルの容器への装着は、例えば、次のように行われる。
筒状ストレッチシュリンクラベルを容器に装着する自動ラベル装着装置(シュリンクラベラー)には、筒状ストレッチシュリンクラベルが長尺状筒状ラベルの形態で供給される。シュリンクラベラーにおいて、長尺状筒状ストレッチシュリンクラベルを個々の容器に装着可能な筒状ストレッチシュリンクラベルにカットした後、該筒状ストレッチシュリンクラベルを容器に外嵌し、所定温度の熱風トンネルやスチームトンネル(例えば、80〜100℃のスチームを使用)を通過させる等の加熱処理を行ってラベルを熱収縮させ、本発明のストレッチシュリンクラベルが装着されたラベル付き容器を得る。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例・比較例でストレッチシュリンクフィルムの作製に用いた各層の樹脂組成物、及び得られたストレッチシュリンクフィルムの評価結果を表1〜3に示した。
【0056】
<実施例1>
表1に示すように、中心層を構成する樹脂組成物として、スチレン含有量が40重量%、ブタジエン含有量が60重量%のスチレン‐ブタジエン‐スチレンブロック共重合体(SBS)(旭化成ケミカルズ(株)製の「タフプレンA」)を用いた。また、表層を構成する樹脂組成物として、メタロセン触媒系ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製「ウィンテックWFX6」)を用いた。
まず、上記SBSと上記メタロセン触媒系ポリプロピレンを共押出しして、上記SBSからなる中心層と、上記メタロセン触媒系ポリプロピレンからなる表層とを含む未延伸積層フィルムを作製した。作製した未延伸積層フィルムは、中心層の片面側に表層が形成された2層構造とした。より具体的には、200℃に加熱した押出機に上記SBS、220℃に加熱した押出機に上記メタロセン触媒系ポリプロピレンをそれぞれ投入し、溶融した各樹脂をTダイ(スリット間隔1mm)に供給して、そのスリットから25℃に冷却したキャスティングドラム上に押出して急冷固化し、各層の厚みがいずれも75μmの2層構造の未延伸積層フィルムを得た。
次に、未延伸積層フィルムを、その幅方向に対して90℃で5倍延伸することにより、1軸延伸積層フィルムを得た。そして、該1軸延伸積層フィルムから表層を剥離除去して、中心層のみからなる単層の1軸延伸フィルム、即ち上記SBSからなる単層ストレッチシュリンクフィルム(幅方向が主延伸方向)を得た。
得られた単層ストレッチシュリンクフィルムについて、以下の測定方法により、熱収縮率(シュリンク特性)及び残留ひずみ(ストレッチ特性)の評価を行い、評価結果を表1に示した。また、上記1軸延伸積層フィルムについて、以下の方法により、中心層‐表層間の接着強度を測定して、測定結果を表1に示した。
表1に示すように、上記SBSからなる単層ストレッチシュリンクフィルムは、熱収縮率が48%、残留ひずみが4.0%であり、シュリンク特性及びストレッチ特性のいずれの特性も良好であった。また、上記1軸延伸積層フィルムにおける中心層‐表層間の接着強度は、2.3N/15mmであり、成膜性、延伸性、剥離性のいずれも問題なく、生産性は良好であった。
【0057】
<シュリンク特性の評価:熱収縮率(90℃、10秒)の測定>
評価対象のストレッチシュリンクフィルムから幅5mm、主延伸方向に長さ120mm(標線間距離100mm)の長方形のサンプル片を作製した。このサンプル片の長辺方向(ストレッチシュリンクフィルムの主延伸方向)を測定方向として、90℃の温水中に10秒間浸漬し、熱処理(浸漬)前後の標線間距離の差を読み取って、以下の計算式で熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=100×(L0−L1)/L0
L0: 熱処理前のサンプル片の標線間距離
L1: 熱処理後のサンプル片の標線間距離
なお、表1〜3に示す評価結果(◎〜×)は、以下の基準に基づく。
◎:60%以上
○:40%以上、60%未満
△:30%以上、40%未満
×:30%未満
【0058】
<ストレッチ特性の評価:残留ひずみ(25%引張試験)の測定>
評価対象のストレッチシュリンクフィルムから幅15±0.1mm、主延伸方向に長さ180mm(標線間距離50±2mm)の長方形のサンプル片を作製した。このサンプル片の長辺方向(ストレッチシュリンクフィルムの主延伸方向)を測定方向として、25%の引張試験を行い、残留ひずみを測定した。25%の引張試験とは、クロスヘッド速度一定型又は振子型引張試験機(試験速度:50±5mm/分)を用いて、所定の荷重(N)を加えてサンプル片の引張ひずみが25%となるまで伸ばす試験(サンプル片の標線間距離を25%伸ばす)であり、該試験後に荷重を0(N)に戻したときの標線間距離を読み取って、以下の計算式で残留ひずみを算出した。
残留ひずみ(%)=100×ΔL2/L2
L2: 引張試験前のサンプル片の標線間距離(mm)
ΔL2: 引張試験後のサンプル片の標線間距離の増加(mm)
なお、表1〜3に示す評価結果(◎〜×)は、以下の基準に基づく。測定不可とは、破断等によりサンプル片を25%伸ばすことができないものを意味する。
◎:3.5%以下
○:5.0%以下
×:5.0%超(測定不可)
【0059】
<中心層‐表層間の接着強度の測定>
1軸延伸積層フィルムから幅15mm、長さ200mmの長方形のサンプル片を作製した。このサンプル片の長辺方向(1軸延伸積層フィルムの長手方向)を測定方向として、以下の条件でT型剥離試験(JISK6854−3に準拠)を行い、層間の剥離荷重を測定した。なお、剥離荷重の平均値をもって層間強度(N/15mm)とした。
(測定条件)
装置:島津製作所(株)製オートグラフ(AG−IS:ロードセルタイプ500N)
温湿度:温度23±2℃、湿度50±5%RH(JISK7000標準温度状態2級)
初期チャック間隔:40mm
試験回数:3回
引張速度:200mm/分
ストローク:150mm(破断した場合には中断し、その点までのデータを得た。)
前半削除範囲:50mm
感度:1
【0060】
<実施例2〜5>
表1に示すように、中心層を構成する樹脂組成物を、スチレン含有量がそれぞれ異なるスチレン‐エチレン‐ブチレン‐スチレンブロック共重合体(SEBS)、及びSEBSの無水マレイン酸変性物(M‐SEBS)に変更した以外は、実施例1と同様にして、中心層からなる単層ストレッチシュリンクフィルムを得た。なお、SEBSには、旭化成ケミカルズ(株)製の「タフテックHシリーズ」、M‐SEBSには、旭化成ケミカルズ(株)製の「タフテックM1923」をそれぞれ用いた。
得られた単層ストレッチシュリンクフィルムは、表1に示すように、シュリンク特性及びストレッチ特性のいずれの特性も良好であった。また、スチレン含有量が多くなるほど(ブタジエン含有量が少なくなるほど)、シュリンク特性がやや向上し、スチレン含有量が少なくなるほど(ブタジエン含有量が多くなるほど)、ストレッチ特性が向上する傾向が得られた。また、製造工程における、成膜性、延伸性、剥離性のいずれも問題なく、生産性は良好であった。
【0061】
<実施例6〜10>
表2に示すように、表層を構成する樹脂組成物を、粘着性付与剤が添加されたメタロセン触媒系ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製「ウィンテック1987FC」)に変更した以外は、それぞれ実施例1〜5と同様にして、中心層からなる単層ストレッチシュリンクフィルムを得た。
得られた単層ストレッチシュリンクフィルムは、表2に示すように、対応する実施例1〜5のストレッチシュリンクフィルムと同様の特性を示し、シュリンク特性及びストレッチ特性のいずれの特性も良好であった。また、製造工程における、成膜性、延伸性、剥離性のいずれも問題なく、生産性は良好であった。
【0062】
<比較例1〜3>
表3に示すように、中心層を構成する樹脂組成物を、それぞれ、スチレン含有量が80重量%であるスチレン‐ブタジエンブロック共重合体(SBC)、スチレン含有量が20重量%であるSEBS(旭化成ケミカルズ(株)製の「タフプレン315」)、スチレン含有量が12重量%であるSEBS(旭化成ケミカルズ(株)製の「タフテックH1221」)に変更した以外は、実施例1と同様にして、中心層からなる単層ストレッチシュリンクフィルムを得た。なお、SBCには、旭化成ケミカルズ(株)製の「アサフレックス1100」を用いた。
得られた単層ストレッチシュリンクフィルムは、表3に示すように、シュリンク特性若しくはストレッチ特性のいずれかが不良(×)であった。比較例1のように、スチレン含有量が70重量%を超える場合(80重量%)には、熱収縮率は62%と高いものの、ストレッチ特性については、フィルムが伸びず残留ひずみが測定できないレベルであった。一方、比較例2、3のように、スチレン含有量が30重量%未満の場合(20重量%、12重量%)には、残留ひずみは3.2%以下と低いものの、シュリンク特性については、熱収縮率が低く容器形状に追従した装着が難しいレベルであった。
【0063】
<比較例4、5>
表3に示すように、表層を構成する樹脂組成物を、粘着性付与剤が添加されたメタロセン触媒系ポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製「ウィンテック1987FC」)に変更した以外は、それぞれ比較例1、2と同様にして、中心層からなる単層ストレッチシュリンクフィルムを得た。
得られたストレッチシュリンクフィルムは、表3に示すように、対応する実施例1、2のストレッチシュリンクフィルムと同様の特性を示し、シュリンク特性若しくはストレッチ特性のいずれかが不良(×)であった(比較例4はストレッチ特性が×、比較例5はシュリンク特性が×)。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
30〜70重量%のスチレン系単量体を含むスチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分として構成される単層のストレッチシュリンクフィルムであって、
前記スチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分として構成される中心層と該中心層の少なくとも片面側に形成される表層との積層フィルムを共押出しで作製し、前記積層フィルムを少なくとも一方向に加熱延伸した後、加熱延伸された前記積層フィルムから前記表層を剥離除去して得られることを特徴とするストレッチシュリンクフィルム。
【請求項2】
請求項1に記載のストレッチシュリンクフィルムにおいて、
90℃、10秒における主延伸方向の熱収縮率が30〜70%であり、
25%の引張試験における残留ひずみが5%以下であることを特徴とするストレッチシュリンクフィルム。
【請求項3】
30〜70重量%のスチレン系単量体を含むスチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分として構成される中心層と、該中心層の少なくとも片面側に形成され、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成される表層との積層フィルムを共押出しで作製する工程と、
前記積層フィルムを少なくとも一方向に加熱延伸する工程と、
加熱延伸された前記積層フィルムから前記表層を剥離除去する工程と、
を含む、前記スチレン系単量体を含むスチレン‐ジエン共重合体及び/又はその水素添加物を主成分として構成されるストレッチシュリンクフィルムの製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のストレッチシュリンクフィルムの少なくとも一方の面側に印刷層が設けられたことを特徴とするストレッチシュリンクラベル。

【公開番号】特開2012−788(P2012−788A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135149(P2010−135149)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】