スパッタリング方法及びスパッタリング装置
【課題】 スパッタリング方法を用いて基板に薄膜を形成するにあたり、ターゲット材料を損なうことなく、基板上に安定して被膜を形成する。
【解決手段】 スパッタリング装置は、真空槽1内にターゲット2を有し、ターゲット2に対向するように基板ホルダ10が取り付けられている。さらに、基板ホルダ10とターゲット2との間は、防着板15が配置されており、この防着板15の外周部を覆うようにマイクロシーズヒータ16が設けられている。マイクロシーズヒータ16は、プレスパッタに先立って、ターゲット2を成膜時の温度よりも低い温度に加熱する。
【解決手段】 スパッタリング装置は、真空槽1内にターゲット2を有し、ターゲット2に対向するように基板ホルダ10が取り付けられている。さらに、基板ホルダ10とターゲット2との間は、防着板15が配置されており、この防着板15の外周部を覆うようにマイクロシーズヒータ16が設けられている。マイクロシーズヒータ16は、プレスパッタに先立って、ターゲット2を成膜時の温度よりも低い温度に加熱する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリングを用いて光学薄膜を作製するスパッタリング方法、及びスパッタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体分野のみならず、光学薄膜の作製においてもスパッタリング方法が用いられている。成膜材料として用いられるターゲットは、一般的には、バッキングプレートと呼ばれる鋼製のプレートにターゲット材料を接着したものが用いられる。ここで、ターゲットの作製時、及び接着時に応力が発生したり、スパッタリング時の異常放電等が発生した場合には、ターゲットの使用中にターゲット材料に割れが発生することがあった。このような割れを防止するために、ターゲットの被スパッタ面と、外周面との角部に面取りを行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−248444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ターゲットの外周部に異常放電が発生した場合、チッピングによってターゲットの割れが発生する。従来の方法では、このターゲットの割れを防止することはできる。しかしながら、従来の方法では、エロージョン部をきっかけにして発生する割れを、防止することはできなかった。特に、酸化物や、フッ化物のように、金属製のターゲットに比べて脆いターゲットや、窒化物、炭化物のように硬いが割れやすいターゲットの場合には、割れが発生しやすかった。ところで、この種のターゲットは、ターゲットを配置したカソード周辺に流される冷却水によって、常温に維持された状態、又は冷却された状態になっている。そして、このような状態から、プレスパッタ、又はスパッタリングが行われる。その際に、マグネトロンに封じ込めたターゲット近傍にプラズマを発生させて、急激にターゲット温度を上昇させることになる。そのため、この種のターゲットでは、クラックが入りやすいという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ターゲット材料を損なうことなく、基板上に安定して被膜を形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決する本発明の請求項1に係る発明は、スパッタリングターゲットの表面を徐々に加熱し、成膜時にターゲット表面が到達する温度よりも低い所定の温度に到達させる第1の工程と、スパッタリングターゲットに電力を印加して、基板上に皮膜を形成する第2の工程とを有することを特徴とするスパッタリング方法とした。
このスパッタリング方法では、スパッタリングターゲットに成膜前の工程として、スパッタリングターゲットのスパッタリング面を徐々に加熱し、スパッタリングターゲットの温度を常温からなめらかに上昇させる。これにより急減な温度変化がなくなり、スパッタリングターゲットへの熱ストレスが低減される。なお、加熱には、スパッタリングを行う手段と異なる加熱手段を用いる。また、スパッタリングの電力印加は、直流、交流、高周波などを用いることができる。また、加熱手段が、ターゲット近傍に配置されていれば良いため、スパッタアップ、サイドスパッタ、スパッタダウンといった装置レイアウトが可能であり、レイアウトの自由度は高い。
【0005】
また、このようなスパッタリング方法に用いられるスパッタリング装置としては、スパッタリングターゲットと、前記スパッタリングターゲットに対向して基板を保持する基板ホルダと、前記スパッタリングターゲットに所定の電力を印加する電源と、加熱手段と、コントロールユニットとを備え、前記コントロールユニットが前記基板への成膜時に前記スパッタリングターゲットが到達する温度よりも低い温度に前記スパッタリングターゲットを加熱する工程を有することを特徴とすることができる。
ここにおいて、前記加熱手段は、前記スパッタリングターゲットから前記基板ホルダの間に配置されたヒータにすることができる。また、前記加熱手段は、前記基板ホルダを通って前記スパッタリングターゲットを加熱するように、前記基板ホルダの裏面側に配置されても良い。さらに、前記スパッタリングターゲットから前記基板ホルダに至るまでの直線経路上に、前記加熱手段を出没自在に設けても良い。
加熱手段は、スパッタリングターゲットを徐々に昇温できるものが望ましい。例えば、ハロゲンヒータ、マイクロシーズヒータ、セラミックヒータといった手段が、加熱手段としてあげられる。また、加熱手段として、プラズマを利用しても良い。すなわち、基板とスパッタリングターゲットとの間にアンテナを配置する。そして、高周波電力を印加することでプラズマを発生させる。この発生したプラズマに、スパッタリングターゲットを曝す。このようにすることによって、スパッタリングターゲットの温度の昇温を行わせても良い。この場合には、高周波電力の印加を上げていくことで、スパッタリングターゲットの温度を昇温させることができる。
また、加熱手段と共に、スパッタリングターゲットの温度上昇を監視する手段を設けるのが良い。このような手段としては、例えば、真空槽の外部から温度を計測する赤外線温度計、真空槽内に配置して温度を計測する熱電対等がある。
【0006】
スパッタリングターゲットと温度との間に、基板にターゲット材料が到達することを防ぐシャッター機構を設けても良い。このとき、加熱手段は、シャッターを避ける位置に配置するのが好ましい。なお、加熱手段をシャッターと基板との間に設けることもできる。ただし、この場合、スパッタリングターゲットの表面に、直接、熱を加えられるようにするのが好ましい。すなわち、加熱手段は、加熱時にシャッターが開いた状態で昇温できるように、構成することが好ましい。また、スパッタリングターゲットを予め加熱することにより、スパッタリングターゲットは、加熱した状態であるため、プレスパッタを行わずに、いきなり所定の成膜電力を印加することで、成膜を開始することができる。この場合には、シャッター機構を用いなくても良い。
【0007】
また、スパッタリングターゲットの材料が酸化物で構成されたターゲット材料であることが好ましい。酸化物のスパッタリングターゲットは、金属ターゲットに比べて熱伝導が悪い。そのため、従来のスパッタリング方法では、スパッタリング時のプラズマによる急激な昇温によるダメージは大きかった。しかしながら、本発明では、加熱手段によって、スパッタリングターゲットの表面を徐々に加熱し、所定の温度に到達させている。そして、その後に、スパッタリングターゲットに電力を印加し、基板上に膜を形成している。よって、そのようなダメージの発生が低減される。このスパッタリング方法に好適なスパッタリングターゲットとしては、例えば、SiO2、Al2O3、Ta2O5、TiO2、HfO2、Nb2O5といった酸化物、あるいはこれらの低級酸化物、又はこれら酸化物同士の混合物などがあげられる。
【0008】
さらに、前記ターゲット材料は、少なくともチタンを含む酸化物で構成されたターゲット材料としても良い。前述のターゲット材料のうち、チタンを含む酸化物ターゲットでは、焼結等によってスパッタリングターゲットを製造する。そのため、スパッタリングターゲットが脆く、従来のスパッタリング方法では、ダメージが特に大きかった。しかしながら、本発明では、加熱手段によって、スパッタリングターゲットの表面を徐々に加熱し、所定の温度に到達させている。そして、その後に、スパッタリングターゲットに電力を印加して基板上に膜を形成している。よって、スパッタリングターゲットへのダメージの発生が低減される。チタンを含む酸化物としては、TiOx(0<x<2)や、TiOx(0<x<2)を主成分とし、これにNb、Cr、Zr、Ta、Bi、Si、Ce、W、La、及びAlのいずれか、あるいはその酸化物のいずれかを含有するものがあげられる。
【0009】
また、前記スパッタリングターゲットの材料は、フッ化物で構成されたターゲット材料としても良い。この場合は、例えば、AlF3や、MgF2等のフッ化物、あるいはこれらの混合物をスパッタリングターゲットとして用いることができる。また、スパッタリングターゲットとバッキングプレートとの間に断熱部材を設けると、さらに効果的にターゲットの温度を上昇させることができる。
また、フッ化物のターゲット材料を用いて、基板上に被膜を形成する第2の工程に先立ち、ターゲット表面を徐々に加熱する第1の工程を行う手法を適用することで、スパッタリングターゲットへのダメージを生じることなく成膜ができるとともに、ターゲット表面の温度が不均一となることを防止することができるので、基板上に形成した膜にフッ素原子の乖離が生じることがなく、可視域における吸収のないフッ化物膜が形成される。
【0010】
そして、前記ターゲットの材料が窒化物、炭化物、又はこれらの化合物、あるいはこれらの混合物で構成されたターゲット材料としても良い。この場合は、硬質膜が安定して形成されるようになる。スパッタリングターゲットとしては、例えば、TiN、Si3N4、TiC、SiCといった化合物、これらの酸化物、フッ化物、窒化物、炭化物からなる化合物や、これらの混合物があげられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、薄膜を形成するにあたり、スパッタリングターゲットを成膜時の温度よりも低い温度に加熱するようにしたので、スパッタリングターゲットを損なうことなく、基板上に安定して成膜を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
図1に第1の実施の形態におけるスパッタリング装置の概略構成を示す。
スパッタリング装置は、真空槽1を有し、真空槽1内には、スパッタリングターゲット2(以下、ターゲット2という)が配置されている。ターゲット2は、直径100mm、厚さ6mmの円盤状のTiOx(x=1.9)をターゲット材料3Aを有している。このターゲット材料3Aを取り付けるバッキングプレート3Bは、無酸素鋼からなり、ろう付けによってターゲット材料3Aがボンディング固定されている。ターゲット材料3Aをボンディングしたバッキングプレート3Bは、真空槽1の下部に設けられたマグネトロンカソード4の上に取り付けられている。バッキングプレート3Bとマグネトロンカソード4とは、両者の外周面で当接している。マグネトロンカソード4の内部は、リング状の中空構造となっており、冷却水が流れるようになっている。
マグネトロンカソード4は、真空槽1の外側に配置された切り替えスイッチ5に接続されている。切り替えスイッチ5は、2又に分かれ、一方がマッチングボックス6を介して13.56MHzの高周波電源7に接続され、他方が直流電源8に接続されており、切り替えスイッチ5によって高周波と直流とを切り替えられるようになっている。
ターゲット2の上方には、シャッター9が設けられている。このシャッター9は、スパッタ粒子が上方に飛散することを阻止する位置と、スパッタ粒子の飛散を許容する開放位置とに開閉自在になっている。
【0013】
真空槽1の上部には、基板ホルダ10が回転自在に取り付けられており、この基板ホルダ10の下面(表面)には、薄膜を形成する基板11がターゲット2に臨むように複数保持される。
真空槽1の側面には、真空槽1内部にスパッタガスであるArガス、酸化用のO2ガスを導入するためのガス導入口12,13が設けられている。また、真空槽1の側面には、覗き窓14が設けられており、ターゲット2の表面温度を赤外線温度計を用いて測定できるようになっている。
【0014】
ここで、ターゲット2とシャッター9との間には、防着板15が配置されており、防着板15の外周部には、加熱手段であるマイクロシーズヒータ16が巻かれている。防着板15は、覗き窓14側が開放されており、ターゲット2の表面温度測定に際して支障がないように配慮されている。マイクロシーズヒータ16は、導入系17に接続されており、導入系17は真空槽1外へ引き出され、不図示の温調器、電源、及びシーケンス(コントロールユニット)に接続されている。したがって、シーケンスが生成する所定のステップに従ってマイクロシーズヒータ16に通電させる電流をPID制御することで、ターゲット2の温度上昇を設定、及び制御することができる。
【0015】
このように構成されたスパッタリング装置を用いた薄膜形成手順について説明する。
まず、基板ホルダ10にガラス性の基板11を取り付けた後、真空槽1内を不図示の排気手段によって高真空、例えば、1×10−4Paまで排気する。その後、Arガスをガス導入口12から導入し、真空槽1の内圧を7×10−1Paにし、引き続きO2ガスをガス導入口13から導入し、内圧を8×10−1Paにする。以上で成膜プロセスを開始することが可能になる。
【0016】
次に、切り替えスイッチ5によって、マグネトロンカソード4を直流電源8に接続してからマイクロシーズヒータ16に通電を開始し、ターゲット2の加熱、つまりターゲット加熱工程(第1の工程)を開始する。具体的には、約4分後に約300℃にし、2分間保持した後に、さらに2分間かけて430℃まで上昇させ、さらに2分間保持したら、マイクロシーズヒータ16を停止し、ターゲット加熱工程を終了する。
これと同時に、第2の工程を開始するが、最初にプレスパッタとして260Wの電力をマグネトロンカソード4に供給し、シャッター9を閉じた状態で、ターゲット2のプレスパッタを開始する。プレスパッタ時の投入電力は、260Wから410Wまで徐々に増加させ、410Wに達したら、その投入電力を維持する。これによって、ターゲット2の表面温度が上昇するので、900℃で2分間保持した後に、基板ホルダ10を自転させてから、シャッター9を開くと、基板11上に膜が形成される。そして、基板11上に形成される膜厚が目標値、例えば、物理的膜厚で200nmとなる時間でシャッター9を閉じる。
【0017】
まず、図2に、ターゲット表面温度の時間変化のグラフを示す。なお、ターゲット表面温度は、赤外線温度計を用いてターゲット中心から30mm離れた位置、すなわち、最もプラズマ密度の高い位置(エロージョンが発生する位置)の温度を、真空槽1に設けられた覗き窓14から測定している。
図2に示すように、ターゲット表面温度は、ターゲット2の加熱を開始すると、時間と共に上昇を始め、約4分後に約300℃に到達し、2分間保持した後、さらに2分間かけて430℃まで上昇し、この温度で2分間保持される。その後、マイクロシーズヒータ16への通電が停止されるが、同時にプレスパッタとして260Wの電力をターゲット2に印加するので、これによって、ターゲット2の温度は、約600℃に到達する。さらに、2分間保持した後、410Wの電力がターゲット2に印加され、ターゲット2の温度は、900℃に到達する。
200nm成膜する際には、900℃に到達してから2分間保持した後、すなわちターゲット2の加熱開始から14分後、シャッター9を開けて成膜を開始し、さらに11分30秒経過した後、シャッター9を閉じ、ターゲット2に印加していた直流電力の供給を停止する。
以上のプロセスを繰り返して10バッチの成膜を行い、得られた基板11上の膜厚(物理的膜厚)を測定したところ、膜厚のばらつきは、200±1.9nmとなり、良好な再現性を示した。また、1バッチから10バッチを通してターゲット2にクラック、ひび割れは見られず、安定して成膜を行うことができた。この結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
本実施の形態では、成膜時にターゲット2に電力を供給する手段とは別に、ターゲット2の温度を成膜時の温度よりも低い温度まで加熱する加熱手段として、マイクロシーズヒータ16を設け、このマイクロシーズヒータ16で成膜に先駆けてターゲット2を徐々に昇温させておくようにしたので、ターゲット2が急激に温度上昇することがなくなり、ターゲットのひび割れ等を防止することができる。したがって、基板11への成膜を安定して行うことができるので、生産性が向上する。
【0020】
なお、本実施の形態では、スパッタアップにおけるスパッタリング装置を示したが、これに限定されず、図3に示すような、真空槽19内に円筒型の基板ホルダ20を有するスパッタリング装置でも、ターゲット2に電圧を印加する前にマイクロシーズヒータ16による加熱によってターゲット2を昇温させることでターゲット2にクラック、ひび割れが発生せずに、安定して成膜を行うことができる。また、円筒型の基板ホルダ20の回転方向が縦方向に対して横方向になるような、すなわちサイドスパッタ式のスパッタリング装置であっても、同様の効果が得られる。
【0021】
なお、本実施の形態では、プレスパッタを行い、シャッター9の開閉によって成膜を行ったが、シャッター9を用いないで、又はシャッター9を開けたままで、図4に示すような温度上昇によって成膜を行うことも可能である。
また、本実施の形態では、ターゲット2を加熱し、プレスパッタ開始後にマイクロシーズヒータ16への通電を停止したが、プレスパッタ、及び成膜中もマイクロシーズヒータ16によるターゲット2の加熱を行い、成膜完了後にターゲット2への電力印加を停止するときに、マイクロシーズヒータ16による加熱を停止しても同様の効果が得られる。
【0022】
ターゲット材料3Aとしては、TiOx(x=1.9)を用いたが、これに限らず、酸化物、フッ化物、窒化物、炭化物(例えば、Al2O3、Ta2O5、Nb2O5、TiOxを主成分とし、これにNbの酸化物であるNb2O5を含有する混合物、TiN、Si3N4、TiC、SiC、MgF2、又はTiOxを含めたこれらの化合物のいずれか等)でも同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、ターゲット表面温度を事前に測定して成膜を行ったが、成膜を行う前工程のターゲット加熱工程で、除き窓14から赤外線温度計を用いて温度を測定し、マイクロシーズヒータ16をフィードバック制御しつつ、ターゲット加熱工程を実施しても良い。
【0023】
(第2の実施の形態)
図5に、スパッタリング装置の概略構成図を示す。
このスパッタリング装置は、前記第1の実施の形態におけるマイクロシーズヒータ16に代えて、高周波アンテナ21をターゲット2と基板ホルダ10との間に、より詳細には、ターゲット2とシャッター9との間に配置した。高周波アンテナ21は、真空槽1外にて、マッチングボックス22を介して13.56MHzの高周波電源23と接続されている。ターゲット材料3Aには、Si3N4を用いている。
【0024】
以上の構成からなるスパッタリング装置を用いた薄膜形成手順について説明する。
まず、基板ホルダ10に基板としてのガラス9aを取り付けた後に、真空槽1内に不図示の排気手段によって高真空、例えば、1×10−4Paまで排気する。その後、Arガスをガス導入口12から導入し、真空槽1の内圧を7×10−1Paにする。これにより、成膜プロセスを開始することが可能になる。
成膜にあたっては、まず、高周波アンテナ21に100Wの電力を印加し、高周波アンテナ21、真空槽1、及びターゲット2の間でプラズマを発生させ、このプラズマでターゲット2の加熱を開始する。さらに、徐々に電圧を上げ、約5分後には、高周波アンテナ21に印加する電圧を停止してターゲット加熱工程を終了し、同時に高周波電源7から250Wの電力をマグネトロンカソード4に供給し、シャッター9を閉じた状態で、ターゲット2のプレスパッタを開始する。250Wから徐々に印加電圧を上げて550Wとし、その後も投入電力は550Wに固定する。1分間保持した後、基板ホルダ10を自転させ、シャッター9を開いて、基板11上に膜を形成させ、基板11上に形成される膜厚が目標とする物理的膜厚200nmになる時間でシャッター9を閉じる。
【0025】
まず、図6に、ターゲット表面温度の時間変化のグラフを示す。なお、ターゲット表面温度は、赤外線温度計を用いてターゲット中心から30mm離れた位置、すなわち、最もプラズマ密度の高い位置(エロージョンが発生する位置)の温度を、真空槽1に設けられた覗き窓14から測定している。
図6に示すように、ターゲット表面温度は、ターゲット2の加熱を開始すると、時間と共に上昇を始め、約4分後に約280℃に到達するので、この温度で1分間保持した後に、高周波アンテナ21への通電を停止する。これと同時に、プレスパッタとして高周波電力250Wをターゲット2に印加すると、ターゲット2の温度は、400℃に到達する。さらに、徐々にターゲット2に印加する電力を上げて550Wに達すると、ターゲット2の温度は、1100℃に到達する。
【0026】
ここで、膜厚を200nmにする際には、1100℃に到達してから1分間保持した後、すなわちターゲット2の加熱開始から7分後に、シャッター9を開けて成膜を開始し、そこから6分40秒経過した後、シャッター9を閉じ、ターゲット2に印加していた高周波電力を停止する。
このようなプロセスを繰り返して10バッチの成膜を行い、得られた薄膜の基板11上の膜厚(物理的膜厚)を測定したところ、膜厚ばらつきは、200±1.4nmとなっており、良好な再現性を示した。また、1バッチから10バッチを通してターゲット2にクラックや、ひび割れは見られず、安定して成膜を行うことができた。このようにして得られた結果は、表1に示す通りである。
【0027】
この実施の形態では、加熱手段として高周波アンテナ21を用いることで、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
なお、ターゲット材料3Aとしては、Si3N4を用いたが、これに限らず、酸化物、フッ化物、窒化物、炭化物(例えば、Al2O3、Ta2O5、Nb2O5、TiOxを主成分として、Nbの酸化物であるNb2O5を含有する混合物、TiOx、TiN、TiC、SiC、MgF2、又はSi3N4を含めたこれらの化合物等)でも同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、ターゲット2の温度を事前に測定して成膜を行ったが、成膜を行う前工程であるターゲット加熱工程で、除き窓14から赤外線温度計を用いて温度を計測し、高周波アンテナ21をフィードバック制御しつつ、ターゲット加熱工程を実施しても良い。
また、真空槽1内に導入するガスをArガスとしたが、これに限定されない。さらに、ガス導入口13からO2ガスを導入し、基板11上にSiNxOyを作製しても、同様の効果が得られる。
【0028】
(第3の実施の形態)
図7に本実施の形態におけるスパッタリング装置の概略構成図を示す。なお、第1の実施の形態と同じ構成要素には同一の符号を付してある。また、重複する説明は省略する。
スパッタリング装置は、真空槽1内にターゲット2が設けられている。ここでのターゲット材料3Aには、直径100mm、厚さ6mmの円盤状のMgF2が使用されている。このターゲット材料3Aは、直径100mm、厚さ3mmの石英ガラス24を介して、バッキングプレート3Bに取り付けられている。
【0029】
ここで、ターゲット2とシャッター9との間の側方には、ターゲット2の加熱手段として、ハロゲンヒータ26が配置されている。ハロゲンヒータ26は、導入系27Aに接続されており、導入系27Aは真空槽1外に引き出され、不図示の温調器、電源、及びシーケンスに接続されている。したがって、シーケンスが生成する所定のステップに従ってハロゲンヒータ26に通電させる電流をPID制御することで、ターゲット2の温度上昇を設定、及び制御することができる。また、ハロゲンヒータ26の前面には、防着ガラス26Aが取り付けられている。
【0030】
このようなスパッタリング装置を用いて薄膜形成をするときには、基板ホルダ10に基板としてのガラス9aを取り付けた後、真空槽1内を不図示の排気手段によって高真空、例えば、1×10−4Paまで排気する。その後、O2ガスをガス導入口13から導入し、内圧を5×10−1Paにする。以上で成膜プロセスを開始することが可能になる。
まず、ハロゲンヒータ26に通電してターゲット2の加熱を開始し、約3分後に約300℃にし、2分間保持した後に、ハロゲンヒータ26を停止する。これと同時に、プレスパッタとして260Wの電力をマグネトロンカソード4に供給し、シャッター9を閉じた状態で、ターゲット2のプレスパッタを開始する。プレスパッタ時の投入電力は、260Wから徐々に上げていき、高周波電力印加後3分後に430Wとし、その後は410Wで固定する。ターゲット2の表面に発生するプラズマが安定した後、ターゲット表面温度が上昇して800℃に安定するのを待ってから基板ホルダ10を自転させ、シャッター9を開くと、基板11上に膜が形成される。そして、基板11上に形成される膜厚が目標値、例えば、物理的膜厚で200nmとなる時間でシャッター9を閉じる。
【0031】
まず、図2に、ターゲット表面温度の時間変化のグラフを示す。なお、ターゲット表面温度は、赤外線温度計を用いてターゲット中心から30mm離れた位置、すなわち、最もプラズマ密度の高い位置(エロージョンが発生する位置)の温度を、真空槽1に設けられた覗き窓14から測定している。
図9に示すように、ターゲット表面温度は、ターゲット2の加熱を開始すると、時間と共に上昇を始め、約8分後に約300℃に到達し、この温度で2分間保持した後、ハロゲンヒータ26に印加する電流を停止し、ターゲット加熱工程を終了させる。これと同時に、プレスパッとして260Wをターゲット2に印加するので、ターゲット2の温度は、約500℃に到達する。さらに、徐々に電力を上げていき、3分後には、430Wをターゲット2に印加する。これによって、ターゲット2の温度は、800℃に到達する。
【0032】
ここで、膜厚を200nmにする際には、800℃に到達してから1分間保持した後、すなわちターゲット2の加熱開始から14分後に、シャッター9を開けて成膜を開始し、そこから1分20秒経過した後、シャッター9を閉じ、ターゲット2に印加していた高周波電力を停止する。
このようなプロセスを繰り返して10バッチの成膜を行い、得られた薄膜の基板11上の膜厚(物理的膜厚)を測定したところ、膜厚ばらつきは、200±2.1nmとなっており、良好な再現性を示した。また、1バッチから10バッチを通してターゲット2にクラックや、ひび割れは見られず、安定して成膜を行うことができた。また、10バッチを通して光吸収は、波長400nmで0.2%以下で、波長400〜700nmの平均値が0.05%以下となり、光学膜として良好なMgF2が得られている。なお、光吸収率の測定には、分光光度計((株)日立製作所製)を用い、基板11に対して反射率、及び透過率の測定を5回行って、算出した。
また、ハロゲンヒータ26の防着ガラス26Aには、MgF2が被覆するが、この被膜の屈折率は1.38であり、初期の透過率に比べて可視光域から赤外域の間では反射防止効果があり、透過率の向上、又は初期状態と変わらない透過率となる。また、紫外域の透過率は、若干吸収のために低下するが、ハロゲンによる加熱に影響はない。
このようにして得られた結果は、表1に示す通りである。
【0033】
なお、ハロゲンヒータ26の配置場所には、制限がなく、例えば、図8に示すようなハロゲンヒータ28,29のように配置しても良い。
ハロゲンヒータ28は、シャッター9と基板ホルダ10との間で、真空槽1の側面に取り付けられ、導入系27Bを介して外部の温調器、電源、及びシーケンス(共に不図示)に接続されている。この位置では、ターゲット2を加熱することで、前記と同様の効果が得られ、さらに、シャッター9が開いた際に、ターゲット2からの飛散が防止される。
また、ハロゲンヒータ29は、基板ホルダ10の後方(図8において上方)に位置している。導入系27Cは、真空槽1の上面から真空槽1外に引き回され、不図示の温調計、電源、及びシーケンスに接続されている。基板11の裏面側から基板11を透過するようにして、ターゲット2を加熱することで、前記と同様の効果が得られる。なお、基板ホルダ10において基板11を保持する部分のうちの1つを予め切り抜いておき、加熱時には、切り抜かれた部分がターゲット2に対向するようにすると、ハロゲンヒータ29から放射される熱が、切り抜かれた部分を通過してターゲット2に照射されるので、前記と同様の効果が得られる。
さらに、ハロゲンヒータ26と、ハロゲンヒータ29とを真空槽1内に配置し、これらハロゲンヒータ26,29を同時に使用しても良い。
【0034】
ターゲット材料3Aとしては、MgF2を用いたが、これに限らず、酸化物、フッ化物、窒化物、炭化物(例えば、TiOx、Al2O3、Ta2O5、Nb2O5、TiOxを主成分としてNbの酸化物Nb2O5を含有する混合物、TiN、Si3N4、TiC、SiC、MgF2、又はMgF2を含めこれらのうちいずれかの化合物)でも同様の効果が得られる。
【0035】
また、本実施の形態では、ターゲット2を加熱してプレスパッタを介した後に、ハロゲンヒータ26,28,29の少なくとも1つへの通電を停止したが、プレスパッタ、及び成膜中もハロゲンヒータ26,28,29による加熱を行い、成膜完了後にターゲット2への電力印加を停止する際に、同時にハロゲンヒータ26,28,29による加熱を停止しても良い。
さらに、ターゲット2の温度を事前に測定してから成膜を行ったが、成膜を行う前のターゲット加熱工程で、除き窓14から放射温度計を用いて温度を測定し、ハロゲンヒータ26,28,29をフィードバック制御しつつ、ターゲット加熱工程を実施しても良い。
【0036】
(第4の実施の形態)
図10に示すように、このスパッタリング装置では、ターゲット2と基板11との間に配置されるシャッターがセラミックヒータ30から構成されている。セラミックヒータ3は、SiCから製造されている。セラミックヒータ30とシャッター軸31との間には、絶縁ガイシ32を介装させてあり、シャッター軸31に熱伝導が直接には伝わらないように構成されている。セラミックヒータ30は、シャッター導入系33に接続されており、シャッター導入系33は、真空槽1の底面から外部に引き出され、不図示の温調器、電源、及びシーケンスに接続されており、シーケンスに設定される所望のステップにてセラミックヒータ30に通電する電流をPID制御し、ターゲット2の温度をコントロールできるようになっている。
【0037】
ターゲット材料3Aとしては、MgF2を用い、図9に示すような特性線図と同様の温度上昇プロファイルでターゲット2の加熱を行い、これに引き続いて予備加熱、及び成膜を行った。その結果、繰り返し10バッチの成膜に対して、基板11上の膜厚(物理的膜厚)のばらつきは、200±2.2nmで良好な結果が得られた。また、1バッチから10バッチを通してターゲット2にクラックや、ひび割れは見られず、安定して成膜を行うことができた。さらに、10バッチを通して光吸収は、波長400nmで0.2%以下、波長400〜700nmの平均値が0.05%以下となり、光学膜として良好なMgF2膜が得られた。
【0038】
この実施の形態では、セラミックヒータ30がシャッターを兼ねているので、真空槽1内の省スペース化が図れ、レイアウトの自由度が向上する。
また、セラミックヒータ30をターゲット2の直上に平行して設置できるため、均一に加熱することができる。
また、ターゲット加熱工程が終了した後には、ターゲット2と基板ホルダ10との間の直線的な経路からセラミックヒータ30を退避させることができるので、セラミックヒータ30は、防着ガラスを必要としない。したがって、安全面で優れており、セラミックヒータ30に堆積した被膜は、溶剤等によって容易に剥離することができる。
【0039】
なお、ターゲット材料3Aとしては、MgF2を用いたが、これらに限らず、酸化物、フッ化物、窒化物、炭化物(例えば、TiOx、Al2O3、Ta2O5、Nb2O5、TiOxを主成分とし、Nbの酸化物Nb2O5を含有する混合物、TiN、Si3N4、TiC、SiC、MgF2、あるいはMgF2を含めこれらのうちいずれかの化合物)でも同様の効果が得られる。
また、ターゲット2を加熱してプレスパッタを開始した後、セラミックヒータ30への通電を停止したが、プレスパッタ及び成膜中もセラミックヒータ30による加熱を行い、成膜完了後にターゲット2への電力印加を停止する際に、セラミックヒータ30への通電を停止しても同様の効果が得られる。
さらに、ターゲット2の温度を事前に測定してから成膜を行ったが、成膜を行う前のターゲット加熱工程で、除き窓14から放射温度計を用いて温度を測定し、セラミックヒータ30のフィードバック制御をしつつ、ターゲット加熱工程を実施しても良い。
【0040】
(比較例)
この比較例では、第1の実施の形態において、マイクロシーズヒータ16によるターゲット表面の加熱を行うことなく、プレスパッタを開始する。
具体的には、図11に示す特性線図のように、ターゲット2の表面の加熱を行わず、プレスパッタとして、直流電圧で260Wに相当する電力をターゲット2に印加する。これによって、ターゲット2の温度は、20℃から約600℃まで急上昇する。そして、2分間保持した後に、410Wの電力をターゲット2に印加すると、ターゲット2の温度は900℃に到達する。
成膜時間は、第1の実施形態と同様に、11分30秒とした。1バッチ目の膜厚は、201.0nmであったが、真空槽1を大気開放し、ターゲット2を確認したところ、図12に示すように、細かいクラックがターゲット2の上部、中心から25〜30mmのところに確認された。これは、ターゲット2上でエロージョンが発生するいわゆるプラズマ密度の高い領域である。
【0041】
さらに、成膜を繰り返して行い、2回目、4回目、及び10回目の成膜後のターゲット2のクラックの様子を観察したところ、図13、図14、及び図15のようであった。2回目の使用でクラックの線がはっきりし、4回目の使用ではターゲット2の中心を走るクラックが確認された。さらに、10回目の使用では、クラックの線がさらにはっきり確認された。そして、光学膜の膜厚は、205±4.0nmとなっており、第1の実施の形態に比べて、ばらつきが大きくなっている。同じ成膜時間で膜厚が大きくなっているのは、ターゲット2が分化することによって、ターゲット温度が上昇しやくなったことと、分化により形成されるエッジへのイオンの集中によって、スパッタリングレートが上昇したためであると考えられる。
【0042】
なお、本発明は、前記の各実施の形態に限定されずに広く応用することができる。
例えば、図4に示すようにターゲット2の温度制御を行う場合には、スパッタリング装置は、シャッター9を設けなくても良い。
図5において、高周波アンテナ21は、電気的に不図示のシャッター駆動系に影響のないように絶縁し、フローティング状態であれば、シャッター9に固定されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態におけるスパッタリング装置の概略構成図である。
【図2】ターゲットの温度上昇の一例を示すグラフである。
【図3】スパッタリング装置の概略構成図である。
【図4】ターゲットの温度上昇の一例を示すグラフである。
【図5】スパッタリング装置の構成を示す図であって、ターゲット及びシャッターの配置を説明する図である。
【図6】ターゲットの温度上昇の一例を示すグラフである。
【図7】スパッタリング装置の概略構成図である。
【図8】ハロゲンヒータの配置例を示す図である。
【図9】ターゲットの温度上昇の一例を示すグラフである。
【図10】スパッタリング装置の構成を示す図であって、ターゲット及びシャッターの配置を説明する図である。
【図11】ターゲットの温度上昇の一例を示すグラフである。
【図12】比較例としてクラックが入ったターゲットを示す図である。
【図13】比較例としてクラックが入ったターゲットを示す図である。
【図14】比較例としてクラックが入ったターゲットを示す図である。
【図15】比較例としてクラックが入ったターゲットを示す図である。
【符号の説明】
【0044】
2 ターゲット(スパッタリングターゲット)
3A ターゲット材料
7 高周波電源
8 直流電源
10 基板ホルダ
11 基板
16 マイクロシーズヒータ(加熱手段)
21 高周波アンテナ(加熱手段)
26,28,29 ハロゲンヒータ(加熱手段)
30 セラミックヒータ(加熱手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリングを用いて光学薄膜を作製するスパッタリング方法、及びスパッタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体分野のみならず、光学薄膜の作製においてもスパッタリング方法が用いられている。成膜材料として用いられるターゲットは、一般的には、バッキングプレートと呼ばれる鋼製のプレートにターゲット材料を接着したものが用いられる。ここで、ターゲットの作製時、及び接着時に応力が発生したり、スパッタリング時の異常放電等が発生した場合には、ターゲットの使用中にターゲット材料に割れが発生することがあった。このような割れを防止するために、ターゲットの被スパッタ面と、外周面との角部に面取りを行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−248444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ターゲットの外周部に異常放電が発生した場合、チッピングによってターゲットの割れが発生する。従来の方法では、このターゲットの割れを防止することはできる。しかしながら、従来の方法では、エロージョン部をきっかけにして発生する割れを、防止することはできなかった。特に、酸化物や、フッ化物のように、金属製のターゲットに比べて脆いターゲットや、窒化物、炭化物のように硬いが割れやすいターゲットの場合には、割れが発生しやすかった。ところで、この種のターゲットは、ターゲットを配置したカソード周辺に流される冷却水によって、常温に維持された状態、又は冷却された状態になっている。そして、このような状態から、プレスパッタ、又はスパッタリングが行われる。その際に、マグネトロンに封じ込めたターゲット近傍にプラズマを発生させて、急激にターゲット温度を上昇させることになる。そのため、この種のターゲットでは、クラックが入りやすいという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ターゲット材料を損なうことなく、基板上に安定して被膜を形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決する本発明の請求項1に係る発明は、スパッタリングターゲットの表面を徐々に加熱し、成膜時にターゲット表面が到達する温度よりも低い所定の温度に到達させる第1の工程と、スパッタリングターゲットに電力を印加して、基板上に皮膜を形成する第2の工程とを有することを特徴とするスパッタリング方法とした。
このスパッタリング方法では、スパッタリングターゲットに成膜前の工程として、スパッタリングターゲットのスパッタリング面を徐々に加熱し、スパッタリングターゲットの温度を常温からなめらかに上昇させる。これにより急減な温度変化がなくなり、スパッタリングターゲットへの熱ストレスが低減される。なお、加熱には、スパッタリングを行う手段と異なる加熱手段を用いる。また、スパッタリングの電力印加は、直流、交流、高周波などを用いることができる。また、加熱手段が、ターゲット近傍に配置されていれば良いため、スパッタアップ、サイドスパッタ、スパッタダウンといった装置レイアウトが可能であり、レイアウトの自由度は高い。
【0005】
また、このようなスパッタリング方法に用いられるスパッタリング装置としては、スパッタリングターゲットと、前記スパッタリングターゲットに対向して基板を保持する基板ホルダと、前記スパッタリングターゲットに所定の電力を印加する電源と、加熱手段と、コントロールユニットとを備え、前記コントロールユニットが前記基板への成膜時に前記スパッタリングターゲットが到達する温度よりも低い温度に前記スパッタリングターゲットを加熱する工程を有することを特徴とすることができる。
ここにおいて、前記加熱手段は、前記スパッタリングターゲットから前記基板ホルダの間に配置されたヒータにすることができる。また、前記加熱手段は、前記基板ホルダを通って前記スパッタリングターゲットを加熱するように、前記基板ホルダの裏面側に配置されても良い。さらに、前記スパッタリングターゲットから前記基板ホルダに至るまでの直線経路上に、前記加熱手段を出没自在に設けても良い。
加熱手段は、スパッタリングターゲットを徐々に昇温できるものが望ましい。例えば、ハロゲンヒータ、マイクロシーズヒータ、セラミックヒータといった手段が、加熱手段としてあげられる。また、加熱手段として、プラズマを利用しても良い。すなわち、基板とスパッタリングターゲットとの間にアンテナを配置する。そして、高周波電力を印加することでプラズマを発生させる。この発生したプラズマに、スパッタリングターゲットを曝す。このようにすることによって、スパッタリングターゲットの温度の昇温を行わせても良い。この場合には、高周波電力の印加を上げていくことで、スパッタリングターゲットの温度を昇温させることができる。
また、加熱手段と共に、スパッタリングターゲットの温度上昇を監視する手段を設けるのが良い。このような手段としては、例えば、真空槽の外部から温度を計測する赤外線温度計、真空槽内に配置して温度を計測する熱電対等がある。
【0006】
スパッタリングターゲットと温度との間に、基板にターゲット材料が到達することを防ぐシャッター機構を設けても良い。このとき、加熱手段は、シャッターを避ける位置に配置するのが好ましい。なお、加熱手段をシャッターと基板との間に設けることもできる。ただし、この場合、スパッタリングターゲットの表面に、直接、熱を加えられるようにするのが好ましい。すなわち、加熱手段は、加熱時にシャッターが開いた状態で昇温できるように、構成することが好ましい。また、スパッタリングターゲットを予め加熱することにより、スパッタリングターゲットは、加熱した状態であるため、プレスパッタを行わずに、いきなり所定の成膜電力を印加することで、成膜を開始することができる。この場合には、シャッター機構を用いなくても良い。
【0007】
また、スパッタリングターゲットの材料が酸化物で構成されたターゲット材料であることが好ましい。酸化物のスパッタリングターゲットは、金属ターゲットに比べて熱伝導が悪い。そのため、従来のスパッタリング方法では、スパッタリング時のプラズマによる急激な昇温によるダメージは大きかった。しかしながら、本発明では、加熱手段によって、スパッタリングターゲットの表面を徐々に加熱し、所定の温度に到達させている。そして、その後に、スパッタリングターゲットに電力を印加し、基板上に膜を形成している。よって、そのようなダメージの発生が低減される。このスパッタリング方法に好適なスパッタリングターゲットとしては、例えば、SiO2、Al2O3、Ta2O5、TiO2、HfO2、Nb2O5といった酸化物、あるいはこれらの低級酸化物、又はこれら酸化物同士の混合物などがあげられる。
【0008】
さらに、前記ターゲット材料は、少なくともチタンを含む酸化物で構成されたターゲット材料としても良い。前述のターゲット材料のうち、チタンを含む酸化物ターゲットでは、焼結等によってスパッタリングターゲットを製造する。そのため、スパッタリングターゲットが脆く、従来のスパッタリング方法では、ダメージが特に大きかった。しかしながら、本発明では、加熱手段によって、スパッタリングターゲットの表面を徐々に加熱し、所定の温度に到達させている。そして、その後に、スパッタリングターゲットに電力を印加して基板上に膜を形成している。よって、スパッタリングターゲットへのダメージの発生が低減される。チタンを含む酸化物としては、TiOx(0<x<2)や、TiOx(0<x<2)を主成分とし、これにNb、Cr、Zr、Ta、Bi、Si、Ce、W、La、及びAlのいずれか、あるいはその酸化物のいずれかを含有するものがあげられる。
【0009】
また、前記スパッタリングターゲットの材料は、フッ化物で構成されたターゲット材料としても良い。この場合は、例えば、AlF3や、MgF2等のフッ化物、あるいはこれらの混合物をスパッタリングターゲットとして用いることができる。また、スパッタリングターゲットとバッキングプレートとの間に断熱部材を設けると、さらに効果的にターゲットの温度を上昇させることができる。
また、フッ化物のターゲット材料を用いて、基板上に被膜を形成する第2の工程に先立ち、ターゲット表面を徐々に加熱する第1の工程を行う手法を適用することで、スパッタリングターゲットへのダメージを生じることなく成膜ができるとともに、ターゲット表面の温度が不均一となることを防止することができるので、基板上に形成した膜にフッ素原子の乖離が生じることがなく、可視域における吸収のないフッ化物膜が形成される。
【0010】
そして、前記ターゲットの材料が窒化物、炭化物、又はこれらの化合物、あるいはこれらの混合物で構成されたターゲット材料としても良い。この場合は、硬質膜が安定して形成されるようになる。スパッタリングターゲットとしては、例えば、TiN、Si3N4、TiC、SiCといった化合物、これらの酸化物、フッ化物、窒化物、炭化物からなる化合物や、これらの混合物があげられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、薄膜を形成するにあたり、スパッタリングターゲットを成膜時の温度よりも低い温度に加熱するようにしたので、スパッタリングターゲットを損なうことなく、基板上に安定して成膜を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
図1に第1の実施の形態におけるスパッタリング装置の概略構成を示す。
スパッタリング装置は、真空槽1を有し、真空槽1内には、スパッタリングターゲット2(以下、ターゲット2という)が配置されている。ターゲット2は、直径100mm、厚さ6mmの円盤状のTiOx(x=1.9)をターゲット材料3Aを有している。このターゲット材料3Aを取り付けるバッキングプレート3Bは、無酸素鋼からなり、ろう付けによってターゲット材料3Aがボンディング固定されている。ターゲット材料3Aをボンディングしたバッキングプレート3Bは、真空槽1の下部に設けられたマグネトロンカソード4の上に取り付けられている。バッキングプレート3Bとマグネトロンカソード4とは、両者の外周面で当接している。マグネトロンカソード4の内部は、リング状の中空構造となっており、冷却水が流れるようになっている。
マグネトロンカソード4は、真空槽1の外側に配置された切り替えスイッチ5に接続されている。切り替えスイッチ5は、2又に分かれ、一方がマッチングボックス6を介して13.56MHzの高周波電源7に接続され、他方が直流電源8に接続されており、切り替えスイッチ5によって高周波と直流とを切り替えられるようになっている。
ターゲット2の上方には、シャッター9が設けられている。このシャッター9は、スパッタ粒子が上方に飛散することを阻止する位置と、スパッタ粒子の飛散を許容する開放位置とに開閉自在になっている。
【0013】
真空槽1の上部には、基板ホルダ10が回転自在に取り付けられており、この基板ホルダ10の下面(表面)には、薄膜を形成する基板11がターゲット2に臨むように複数保持される。
真空槽1の側面には、真空槽1内部にスパッタガスであるArガス、酸化用のO2ガスを導入するためのガス導入口12,13が設けられている。また、真空槽1の側面には、覗き窓14が設けられており、ターゲット2の表面温度を赤外線温度計を用いて測定できるようになっている。
【0014】
ここで、ターゲット2とシャッター9との間には、防着板15が配置されており、防着板15の外周部には、加熱手段であるマイクロシーズヒータ16が巻かれている。防着板15は、覗き窓14側が開放されており、ターゲット2の表面温度測定に際して支障がないように配慮されている。マイクロシーズヒータ16は、導入系17に接続されており、導入系17は真空槽1外へ引き出され、不図示の温調器、電源、及びシーケンス(コントロールユニット)に接続されている。したがって、シーケンスが生成する所定のステップに従ってマイクロシーズヒータ16に通電させる電流をPID制御することで、ターゲット2の温度上昇を設定、及び制御することができる。
【0015】
このように構成されたスパッタリング装置を用いた薄膜形成手順について説明する。
まず、基板ホルダ10にガラス性の基板11を取り付けた後、真空槽1内を不図示の排気手段によって高真空、例えば、1×10−4Paまで排気する。その後、Arガスをガス導入口12から導入し、真空槽1の内圧を7×10−1Paにし、引き続きO2ガスをガス導入口13から導入し、内圧を8×10−1Paにする。以上で成膜プロセスを開始することが可能になる。
【0016】
次に、切り替えスイッチ5によって、マグネトロンカソード4を直流電源8に接続してからマイクロシーズヒータ16に通電を開始し、ターゲット2の加熱、つまりターゲット加熱工程(第1の工程)を開始する。具体的には、約4分後に約300℃にし、2分間保持した後に、さらに2分間かけて430℃まで上昇させ、さらに2分間保持したら、マイクロシーズヒータ16を停止し、ターゲット加熱工程を終了する。
これと同時に、第2の工程を開始するが、最初にプレスパッタとして260Wの電力をマグネトロンカソード4に供給し、シャッター9を閉じた状態で、ターゲット2のプレスパッタを開始する。プレスパッタ時の投入電力は、260Wから410Wまで徐々に増加させ、410Wに達したら、その投入電力を維持する。これによって、ターゲット2の表面温度が上昇するので、900℃で2分間保持した後に、基板ホルダ10を自転させてから、シャッター9を開くと、基板11上に膜が形成される。そして、基板11上に形成される膜厚が目標値、例えば、物理的膜厚で200nmとなる時間でシャッター9を閉じる。
【0017】
まず、図2に、ターゲット表面温度の時間変化のグラフを示す。なお、ターゲット表面温度は、赤外線温度計を用いてターゲット中心から30mm離れた位置、すなわち、最もプラズマ密度の高い位置(エロージョンが発生する位置)の温度を、真空槽1に設けられた覗き窓14から測定している。
図2に示すように、ターゲット表面温度は、ターゲット2の加熱を開始すると、時間と共に上昇を始め、約4分後に約300℃に到達し、2分間保持した後、さらに2分間かけて430℃まで上昇し、この温度で2分間保持される。その後、マイクロシーズヒータ16への通電が停止されるが、同時にプレスパッタとして260Wの電力をターゲット2に印加するので、これによって、ターゲット2の温度は、約600℃に到達する。さらに、2分間保持した後、410Wの電力がターゲット2に印加され、ターゲット2の温度は、900℃に到達する。
200nm成膜する際には、900℃に到達してから2分間保持した後、すなわちターゲット2の加熱開始から14分後、シャッター9を開けて成膜を開始し、さらに11分30秒経過した後、シャッター9を閉じ、ターゲット2に印加していた直流電力の供給を停止する。
以上のプロセスを繰り返して10バッチの成膜を行い、得られた基板11上の膜厚(物理的膜厚)を測定したところ、膜厚のばらつきは、200±1.9nmとなり、良好な再現性を示した。また、1バッチから10バッチを通してターゲット2にクラック、ひび割れは見られず、安定して成膜を行うことができた。この結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
本実施の形態では、成膜時にターゲット2に電力を供給する手段とは別に、ターゲット2の温度を成膜時の温度よりも低い温度まで加熱する加熱手段として、マイクロシーズヒータ16を設け、このマイクロシーズヒータ16で成膜に先駆けてターゲット2を徐々に昇温させておくようにしたので、ターゲット2が急激に温度上昇することがなくなり、ターゲットのひび割れ等を防止することができる。したがって、基板11への成膜を安定して行うことができるので、生産性が向上する。
【0020】
なお、本実施の形態では、スパッタアップにおけるスパッタリング装置を示したが、これに限定されず、図3に示すような、真空槽19内に円筒型の基板ホルダ20を有するスパッタリング装置でも、ターゲット2に電圧を印加する前にマイクロシーズヒータ16による加熱によってターゲット2を昇温させることでターゲット2にクラック、ひび割れが発生せずに、安定して成膜を行うことができる。また、円筒型の基板ホルダ20の回転方向が縦方向に対して横方向になるような、すなわちサイドスパッタ式のスパッタリング装置であっても、同様の効果が得られる。
【0021】
なお、本実施の形態では、プレスパッタを行い、シャッター9の開閉によって成膜を行ったが、シャッター9を用いないで、又はシャッター9を開けたままで、図4に示すような温度上昇によって成膜を行うことも可能である。
また、本実施の形態では、ターゲット2を加熱し、プレスパッタ開始後にマイクロシーズヒータ16への通電を停止したが、プレスパッタ、及び成膜中もマイクロシーズヒータ16によるターゲット2の加熱を行い、成膜完了後にターゲット2への電力印加を停止するときに、マイクロシーズヒータ16による加熱を停止しても同様の効果が得られる。
【0022】
ターゲット材料3Aとしては、TiOx(x=1.9)を用いたが、これに限らず、酸化物、フッ化物、窒化物、炭化物(例えば、Al2O3、Ta2O5、Nb2O5、TiOxを主成分とし、これにNbの酸化物であるNb2O5を含有する混合物、TiN、Si3N4、TiC、SiC、MgF2、又はTiOxを含めたこれらの化合物のいずれか等)でも同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、ターゲット表面温度を事前に測定して成膜を行ったが、成膜を行う前工程のターゲット加熱工程で、除き窓14から赤外線温度計を用いて温度を測定し、マイクロシーズヒータ16をフィードバック制御しつつ、ターゲット加熱工程を実施しても良い。
【0023】
(第2の実施の形態)
図5に、スパッタリング装置の概略構成図を示す。
このスパッタリング装置は、前記第1の実施の形態におけるマイクロシーズヒータ16に代えて、高周波アンテナ21をターゲット2と基板ホルダ10との間に、より詳細には、ターゲット2とシャッター9との間に配置した。高周波アンテナ21は、真空槽1外にて、マッチングボックス22を介して13.56MHzの高周波電源23と接続されている。ターゲット材料3Aには、Si3N4を用いている。
【0024】
以上の構成からなるスパッタリング装置を用いた薄膜形成手順について説明する。
まず、基板ホルダ10に基板としてのガラス9aを取り付けた後に、真空槽1内に不図示の排気手段によって高真空、例えば、1×10−4Paまで排気する。その後、Arガスをガス導入口12から導入し、真空槽1の内圧を7×10−1Paにする。これにより、成膜プロセスを開始することが可能になる。
成膜にあたっては、まず、高周波アンテナ21に100Wの電力を印加し、高周波アンテナ21、真空槽1、及びターゲット2の間でプラズマを発生させ、このプラズマでターゲット2の加熱を開始する。さらに、徐々に電圧を上げ、約5分後には、高周波アンテナ21に印加する電圧を停止してターゲット加熱工程を終了し、同時に高周波電源7から250Wの電力をマグネトロンカソード4に供給し、シャッター9を閉じた状態で、ターゲット2のプレスパッタを開始する。250Wから徐々に印加電圧を上げて550Wとし、その後も投入電力は550Wに固定する。1分間保持した後、基板ホルダ10を自転させ、シャッター9を開いて、基板11上に膜を形成させ、基板11上に形成される膜厚が目標とする物理的膜厚200nmになる時間でシャッター9を閉じる。
【0025】
まず、図6に、ターゲット表面温度の時間変化のグラフを示す。なお、ターゲット表面温度は、赤外線温度計を用いてターゲット中心から30mm離れた位置、すなわち、最もプラズマ密度の高い位置(エロージョンが発生する位置)の温度を、真空槽1に設けられた覗き窓14から測定している。
図6に示すように、ターゲット表面温度は、ターゲット2の加熱を開始すると、時間と共に上昇を始め、約4分後に約280℃に到達するので、この温度で1分間保持した後に、高周波アンテナ21への通電を停止する。これと同時に、プレスパッタとして高周波電力250Wをターゲット2に印加すると、ターゲット2の温度は、400℃に到達する。さらに、徐々にターゲット2に印加する電力を上げて550Wに達すると、ターゲット2の温度は、1100℃に到達する。
【0026】
ここで、膜厚を200nmにする際には、1100℃に到達してから1分間保持した後、すなわちターゲット2の加熱開始から7分後に、シャッター9を開けて成膜を開始し、そこから6分40秒経過した後、シャッター9を閉じ、ターゲット2に印加していた高周波電力を停止する。
このようなプロセスを繰り返して10バッチの成膜を行い、得られた薄膜の基板11上の膜厚(物理的膜厚)を測定したところ、膜厚ばらつきは、200±1.4nmとなっており、良好な再現性を示した。また、1バッチから10バッチを通してターゲット2にクラックや、ひび割れは見られず、安定して成膜を行うことができた。このようにして得られた結果は、表1に示す通りである。
【0027】
この実施の形態では、加熱手段として高周波アンテナ21を用いることで、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
なお、ターゲット材料3Aとしては、Si3N4を用いたが、これに限らず、酸化物、フッ化物、窒化物、炭化物(例えば、Al2O3、Ta2O5、Nb2O5、TiOxを主成分として、Nbの酸化物であるNb2O5を含有する混合物、TiOx、TiN、TiC、SiC、MgF2、又はSi3N4を含めたこれらの化合物等)でも同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、ターゲット2の温度を事前に測定して成膜を行ったが、成膜を行う前工程であるターゲット加熱工程で、除き窓14から赤外線温度計を用いて温度を計測し、高周波アンテナ21をフィードバック制御しつつ、ターゲット加熱工程を実施しても良い。
また、真空槽1内に導入するガスをArガスとしたが、これに限定されない。さらに、ガス導入口13からO2ガスを導入し、基板11上にSiNxOyを作製しても、同様の効果が得られる。
【0028】
(第3の実施の形態)
図7に本実施の形態におけるスパッタリング装置の概略構成図を示す。なお、第1の実施の形態と同じ構成要素には同一の符号を付してある。また、重複する説明は省略する。
スパッタリング装置は、真空槽1内にターゲット2が設けられている。ここでのターゲット材料3Aには、直径100mm、厚さ6mmの円盤状のMgF2が使用されている。このターゲット材料3Aは、直径100mm、厚さ3mmの石英ガラス24を介して、バッキングプレート3Bに取り付けられている。
【0029】
ここで、ターゲット2とシャッター9との間の側方には、ターゲット2の加熱手段として、ハロゲンヒータ26が配置されている。ハロゲンヒータ26は、導入系27Aに接続されており、導入系27Aは真空槽1外に引き出され、不図示の温調器、電源、及びシーケンスに接続されている。したがって、シーケンスが生成する所定のステップに従ってハロゲンヒータ26に通電させる電流をPID制御することで、ターゲット2の温度上昇を設定、及び制御することができる。また、ハロゲンヒータ26の前面には、防着ガラス26Aが取り付けられている。
【0030】
このようなスパッタリング装置を用いて薄膜形成をするときには、基板ホルダ10に基板としてのガラス9aを取り付けた後、真空槽1内を不図示の排気手段によって高真空、例えば、1×10−4Paまで排気する。その後、O2ガスをガス導入口13から導入し、内圧を5×10−1Paにする。以上で成膜プロセスを開始することが可能になる。
まず、ハロゲンヒータ26に通電してターゲット2の加熱を開始し、約3分後に約300℃にし、2分間保持した後に、ハロゲンヒータ26を停止する。これと同時に、プレスパッタとして260Wの電力をマグネトロンカソード4に供給し、シャッター9を閉じた状態で、ターゲット2のプレスパッタを開始する。プレスパッタ時の投入電力は、260Wから徐々に上げていき、高周波電力印加後3分後に430Wとし、その後は410Wで固定する。ターゲット2の表面に発生するプラズマが安定した後、ターゲット表面温度が上昇して800℃に安定するのを待ってから基板ホルダ10を自転させ、シャッター9を開くと、基板11上に膜が形成される。そして、基板11上に形成される膜厚が目標値、例えば、物理的膜厚で200nmとなる時間でシャッター9を閉じる。
【0031】
まず、図2に、ターゲット表面温度の時間変化のグラフを示す。なお、ターゲット表面温度は、赤外線温度計を用いてターゲット中心から30mm離れた位置、すなわち、最もプラズマ密度の高い位置(エロージョンが発生する位置)の温度を、真空槽1に設けられた覗き窓14から測定している。
図9に示すように、ターゲット表面温度は、ターゲット2の加熱を開始すると、時間と共に上昇を始め、約8分後に約300℃に到達し、この温度で2分間保持した後、ハロゲンヒータ26に印加する電流を停止し、ターゲット加熱工程を終了させる。これと同時に、プレスパッとして260Wをターゲット2に印加するので、ターゲット2の温度は、約500℃に到達する。さらに、徐々に電力を上げていき、3分後には、430Wをターゲット2に印加する。これによって、ターゲット2の温度は、800℃に到達する。
【0032】
ここで、膜厚を200nmにする際には、800℃に到達してから1分間保持した後、すなわちターゲット2の加熱開始から14分後に、シャッター9を開けて成膜を開始し、そこから1分20秒経過した後、シャッター9を閉じ、ターゲット2に印加していた高周波電力を停止する。
このようなプロセスを繰り返して10バッチの成膜を行い、得られた薄膜の基板11上の膜厚(物理的膜厚)を測定したところ、膜厚ばらつきは、200±2.1nmとなっており、良好な再現性を示した。また、1バッチから10バッチを通してターゲット2にクラックや、ひび割れは見られず、安定して成膜を行うことができた。また、10バッチを通して光吸収は、波長400nmで0.2%以下で、波長400〜700nmの平均値が0.05%以下となり、光学膜として良好なMgF2が得られている。なお、光吸収率の測定には、分光光度計((株)日立製作所製)を用い、基板11に対して反射率、及び透過率の測定を5回行って、算出した。
また、ハロゲンヒータ26の防着ガラス26Aには、MgF2が被覆するが、この被膜の屈折率は1.38であり、初期の透過率に比べて可視光域から赤外域の間では反射防止効果があり、透過率の向上、又は初期状態と変わらない透過率となる。また、紫外域の透過率は、若干吸収のために低下するが、ハロゲンによる加熱に影響はない。
このようにして得られた結果は、表1に示す通りである。
【0033】
なお、ハロゲンヒータ26の配置場所には、制限がなく、例えば、図8に示すようなハロゲンヒータ28,29のように配置しても良い。
ハロゲンヒータ28は、シャッター9と基板ホルダ10との間で、真空槽1の側面に取り付けられ、導入系27Bを介して外部の温調器、電源、及びシーケンス(共に不図示)に接続されている。この位置では、ターゲット2を加熱することで、前記と同様の効果が得られ、さらに、シャッター9が開いた際に、ターゲット2からの飛散が防止される。
また、ハロゲンヒータ29は、基板ホルダ10の後方(図8において上方)に位置している。導入系27Cは、真空槽1の上面から真空槽1外に引き回され、不図示の温調計、電源、及びシーケンスに接続されている。基板11の裏面側から基板11を透過するようにして、ターゲット2を加熱することで、前記と同様の効果が得られる。なお、基板ホルダ10において基板11を保持する部分のうちの1つを予め切り抜いておき、加熱時には、切り抜かれた部分がターゲット2に対向するようにすると、ハロゲンヒータ29から放射される熱が、切り抜かれた部分を通過してターゲット2に照射されるので、前記と同様の効果が得られる。
さらに、ハロゲンヒータ26と、ハロゲンヒータ29とを真空槽1内に配置し、これらハロゲンヒータ26,29を同時に使用しても良い。
【0034】
ターゲット材料3Aとしては、MgF2を用いたが、これに限らず、酸化物、フッ化物、窒化物、炭化物(例えば、TiOx、Al2O3、Ta2O5、Nb2O5、TiOxを主成分としてNbの酸化物Nb2O5を含有する混合物、TiN、Si3N4、TiC、SiC、MgF2、又はMgF2を含めこれらのうちいずれかの化合物)でも同様の効果が得られる。
【0035】
また、本実施の形態では、ターゲット2を加熱してプレスパッタを介した後に、ハロゲンヒータ26,28,29の少なくとも1つへの通電を停止したが、プレスパッタ、及び成膜中もハロゲンヒータ26,28,29による加熱を行い、成膜完了後にターゲット2への電力印加を停止する際に、同時にハロゲンヒータ26,28,29による加熱を停止しても良い。
さらに、ターゲット2の温度を事前に測定してから成膜を行ったが、成膜を行う前のターゲット加熱工程で、除き窓14から放射温度計を用いて温度を測定し、ハロゲンヒータ26,28,29をフィードバック制御しつつ、ターゲット加熱工程を実施しても良い。
【0036】
(第4の実施の形態)
図10に示すように、このスパッタリング装置では、ターゲット2と基板11との間に配置されるシャッターがセラミックヒータ30から構成されている。セラミックヒータ3は、SiCから製造されている。セラミックヒータ30とシャッター軸31との間には、絶縁ガイシ32を介装させてあり、シャッター軸31に熱伝導が直接には伝わらないように構成されている。セラミックヒータ30は、シャッター導入系33に接続されており、シャッター導入系33は、真空槽1の底面から外部に引き出され、不図示の温調器、電源、及びシーケンスに接続されており、シーケンスに設定される所望のステップにてセラミックヒータ30に通電する電流をPID制御し、ターゲット2の温度をコントロールできるようになっている。
【0037】
ターゲット材料3Aとしては、MgF2を用い、図9に示すような特性線図と同様の温度上昇プロファイルでターゲット2の加熱を行い、これに引き続いて予備加熱、及び成膜を行った。その結果、繰り返し10バッチの成膜に対して、基板11上の膜厚(物理的膜厚)のばらつきは、200±2.2nmで良好な結果が得られた。また、1バッチから10バッチを通してターゲット2にクラックや、ひび割れは見られず、安定して成膜を行うことができた。さらに、10バッチを通して光吸収は、波長400nmで0.2%以下、波長400〜700nmの平均値が0.05%以下となり、光学膜として良好なMgF2膜が得られた。
【0038】
この実施の形態では、セラミックヒータ30がシャッターを兼ねているので、真空槽1内の省スペース化が図れ、レイアウトの自由度が向上する。
また、セラミックヒータ30をターゲット2の直上に平行して設置できるため、均一に加熱することができる。
また、ターゲット加熱工程が終了した後には、ターゲット2と基板ホルダ10との間の直線的な経路からセラミックヒータ30を退避させることができるので、セラミックヒータ30は、防着ガラスを必要としない。したがって、安全面で優れており、セラミックヒータ30に堆積した被膜は、溶剤等によって容易に剥離することができる。
【0039】
なお、ターゲット材料3Aとしては、MgF2を用いたが、これらに限らず、酸化物、フッ化物、窒化物、炭化物(例えば、TiOx、Al2O3、Ta2O5、Nb2O5、TiOxを主成分とし、Nbの酸化物Nb2O5を含有する混合物、TiN、Si3N4、TiC、SiC、MgF2、あるいはMgF2を含めこれらのうちいずれかの化合物)でも同様の効果が得られる。
また、ターゲット2を加熱してプレスパッタを開始した後、セラミックヒータ30への通電を停止したが、プレスパッタ及び成膜中もセラミックヒータ30による加熱を行い、成膜完了後にターゲット2への電力印加を停止する際に、セラミックヒータ30への通電を停止しても同様の効果が得られる。
さらに、ターゲット2の温度を事前に測定してから成膜を行ったが、成膜を行う前のターゲット加熱工程で、除き窓14から放射温度計を用いて温度を測定し、セラミックヒータ30のフィードバック制御をしつつ、ターゲット加熱工程を実施しても良い。
【0040】
(比較例)
この比較例では、第1の実施の形態において、マイクロシーズヒータ16によるターゲット表面の加熱を行うことなく、プレスパッタを開始する。
具体的には、図11に示す特性線図のように、ターゲット2の表面の加熱を行わず、プレスパッタとして、直流電圧で260Wに相当する電力をターゲット2に印加する。これによって、ターゲット2の温度は、20℃から約600℃まで急上昇する。そして、2分間保持した後に、410Wの電力をターゲット2に印加すると、ターゲット2の温度は900℃に到達する。
成膜時間は、第1の実施形態と同様に、11分30秒とした。1バッチ目の膜厚は、201.0nmであったが、真空槽1を大気開放し、ターゲット2を確認したところ、図12に示すように、細かいクラックがターゲット2の上部、中心から25〜30mmのところに確認された。これは、ターゲット2上でエロージョンが発生するいわゆるプラズマ密度の高い領域である。
【0041】
さらに、成膜を繰り返して行い、2回目、4回目、及び10回目の成膜後のターゲット2のクラックの様子を観察したところ、図13、図14、及び図15のようであった。2回目の使用でクラックの線がはっきりし、4回目の使用ではターゲット2の中心を走るクラックが確認された。さらに、10回目の使用では、クラックの線がさらにはっきり確認された。そして、光学膜の膜厚は、205±4.0nmとなっており、第1の実施の形態に比べて、ばらつきが大きくなっている。同じ成膜時間で膜厚が大きくなっているのは、ターゲット2が分化することによって、ターゲット温度が上昇しやくなったことと、分化により形成されるエッジへのイオンの集中によって、スパッタリングレートが上昇したためであると考えられる。
【0042】
なお、本発明は、前記の各実施の形態に限定されずに広く応用することができる。
例えば、図4に示すようにターゲット2の温度制御を行う場合には、スパッタリング装置は、シャッター9を設けなくても良い。
図5において、高周波アンテナ21は、電気的に不図示のシャッター駆動系に影響のないように絶縁し、フローティング状態であれば、シャッター9に固定されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態におけるスパッタリング装置の概略構成図である。
【図2】ターゲットの温度上昇の一例を示すグラフである。
【図3】スパッタリング装置の概略構成図である。
【図4】ターゲットの温度上昇の一例を示すグラフである。
【図5】スパッタリング装置の構成を示す図であって、ターゲット及びシャッターの配置を説明する図である。
【図6】ターゲットの温度上昇の一例を示すグラフである。
【図7】スパッタリング装置の概略構成図である。
【図8】ハロゲンヒータの配置例を示す図である。
【図9】ターゲットの温度上昇の一例を示すグラフである。
【図10】スパッタリング装置の構成を示す図であって、ターゲット及びシャッターの配置を説明する図である。
【図11】ターゲットの温度上昇の一例を示すグラフである。
【図12】比較例としてクラックが入ったターゲットを示す図である。
【図13】比較例としてクラックが入ったターゲットを示す図である。
【図14】比較例としてクラックが入ったターゲットを示す図である。
【図15】比較例としてクラックが入ったターゲットを示す図である。
【符号の説明】
【0044】
2 ターゲット(スパッタリングターゲット)
3A ターゲット材料
7 高周波電源
8 直流電源
10 基板ホルダ
11 基板
16 マイクロシーズヒータ(加熱手段)
21 高周波アンテナ(加熱手段)
26,28,29 ハロゲンヒータ(加熱手段)
30 セラミックヒータ(加熱手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタリングターゲットの表面を徐々に加熱し、成膜時にターゲット表面が到達する温度よりも低い所定の温度に到達させる第1の工程と、スパッタリングターゲットに電力を印加して、基板上に皮膜を形成する第2の工程とを有することを特徴とするスパッタリング方法。
【請求項2】
スパッタリングターゲットと、前記スパッタリングターゲットに対向して基板を保持する基板ホルダと、前記スパッタリングターゲットに所定の電力を印加する電源と、加熱手段と、コントロールユニットとを備え、前記コントロールユニットが前記基板への成膜時に前記スパッタリングターゲットが到達する温度よりも低い温度に前記スパッタリングターゲットを加熱する工程を有することを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項3】
前記加熱手段は、前記スパッタリングターゲットから前記基板ホルダの間に配置されたヒータであることを特徴とする請求項2に記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
前記基板ホルダは、前面に前記基板を保持し、前記加熱手段は、前記基板ホルダを通って前記スパッタリングターゲットを加熱するように、前記基板ホルダの裏面側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のスパッタリング装置。
【請求項5】
前記スパッタリングターゲットから前記基板ホルダに至るまでの直線経路上に、前記加熱手段を出没自在に設けたことを特徴とする請求項2に記載のスパッタリング装置。
【請求項6】
前記スパッタリングターゲットの材料が酸化物で構成されたターゲット材料であることを特徴とする請求項2に記載のスパッタリング装置。
【請求項7】
前記ターゲット材料が、少なくともチタンを含む酸化物で構成されたターゲット材料であることを特徴とする請求項2または請求項6に記載のスパッタリング装置。
【請求項8】
前記ターゲットの材料が、フッ化物で構成されたターゲット材料であることを特徴とする請求項7に記載のスパッタリング装置。
【請求項9】
前記スパッタリングターゲットの材料が窒化物、炭化物、又はこれらの化合物、あるいはこれらの混合物で構成されたターゲット材料であることを特徴とする請求項2に記載のスパッタリング装置。
【請求項1】
スパッタリングターゲットの表面を徐々に加熱し、成膜時にターゲット表面が到達する温度よりも低い所定の温度に到達させる第1の工程と、スパッタリングターゲットに電力を印加して、基板上に皮膜を形成する第2の工程とを有することを特徴とするスパッタリング方法。
【請求項2】
スパッタリングターゲットと、前記スパッタリングターゲットに対向して基板を保持する基板ホルダと、前記スパッタリングターゲットに所定の電力を印加する電源と、加熱手段と、コントロールユニットとを備え、前記コントロールユニットが前記基板への成膜時に前記スパッタリングターゲットが到達する温度よりも低い温度に前記スパッタリングターゲットを加熱する工程を有することを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項3】
前記加熱手段は、前記スパッタリングターゲットから前記基板ホルダの間に配置されたヒータであることを特徴とする請求項2に記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
前記基板ホルダは、前面に前記基板を保持し、前記加熱手段は、前記基板ホルダを通って前記スパッタリングターゲットを加熱するように、前記基板ホルダの裏面側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のスパッタリング装置。
【請求項5】
前記スパッタリングターゲットから前記基板ホルダに至るまでの直線経路上に、前記加熱手段を出没自在に設けたことを特徴とする請求項2に記載のスパッタリング装置。
【請求項6】
前記スパッタリングターゲットの材料が酸化物で構成されたターゲット材料であることを特徴とする請求項2に記載のスパッタリング装置。
【請求項7】
前記ターゲット材料が、少なくともチタンを含む酸化物で構成されたターゲット材料であることを特徴とする請求項2または請求項6に記載のスパッタリング装置。
【請求項8】
前記ターゲットの材料が、フッ化物で構成されたターゲット材料であることを特徴とする請求項7に記載のスパッタリング装置。
【請求項9】
前記スパッタリングターゲットの材料が窒化物、炭化物、又はこれらの化合物、あるいはこれらの混合物で構成されたターゲット材料であることを特徴とする請求項2に記載のスパッタリング装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−124767(P2006−124767A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−313804(P2004−313804)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度新エネルギー・産業技術総合開発機構 民間基盤技術試験研究業務委託、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度新エネルギー・産業技術総合開発機構 民間基盤技術試験研究業務委託、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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