説明

スパッタリング装置及びスパッタリング方法

【課題】仕込み室と真空成膜室との間のゲートバルブ、若しくは、真空成膜室と取り出し室と間のゲートバルブを開放しても真空成膜室内のスパッタリング条件を変動させることがないスパッタリング装置を提供する。
【解決手段】スパッタリング装置は、仕込み室5と真空成膜室4と取り出し室6がゲートバルブGV7,GV8を介して一列に連結され、仕込み室5と真空成膜室4と取り出し室6の間で基板2a,2b,2c,2d,2eを連続して搬送可能な搬送装置を備えている。仕込み室5と真空成膜室4との間のゲートバルブ、若しくは、真空成膜室4と取り出し室6と間のゲートバルブを開放して基板を搬送する際、真空成膜室4の圧力を変動させないように、仕込み室5若しくは取り出し室6の圧力が調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種半導体デバイス、磁気デバイス、電子部品、光学部品等の成膜に使用するスパッタリング装置及びスパッタリング方法に係り、特に、搬入室と真空処理室とを備えるスパッタリング装置及びスパッタリング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平面形状を有するターゲットを備えたスパッタリング装置は、主に、半導体、電子部品の製造に用いられる。特に、電子部品の中でも、フラットパネルディスプレイ(FPD)では、矩形のマグネトロン方式のスパッタリングカソードを備えたスパッタリング装置が電極・配線の形成に用いられている。近年、FPDパネルの大型化に伴いより大面積の基板上への薄膜形成に適したスパッタリング装置が望まれている。
【0003】
大型の基板のスパッタリング成膜に適した成膜装置の一つとして、真空容器内を連続して次々に搬送される基板に対して真空容器内の所定位置に固定されたカソードを用いてスパッタ成膜するインライン型スパッタリング装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。インライン型スパッタリング装置を用いることで、スループット及び膜質に対する2つの相反する要求を満足させることができる。
【0004】
図10に従来のインライン型スパッタリング装置の代表的な構成を示す。従来のインライン型スパッタリング装置においては、排気系の排気速度と導入されるプロセスガスの流量とからスパッタ圧力(基板とカソード付近の圧力)が決定される。ここで、排気速度は、真空成膜室などの真空容器に連結されているターボ分子ポンプ(以下、TMPとする)やクライオポンプの排気速度と、それらの真空ポンプの吸気側に配置されたコンダクタンスバルブの開放量とにより決定される。また、真空成膜室に導入されるプロセスガスの流量は、マスフローコントローラー(以下、MFCとする)により制御される流量から決定される。
【0005】
図10に示した従来のインライン型スパッタリング装置では、カソードの前面に次々に搬送される基板に対して連続的に成膜するために、成膜を行う真空成膜室の上流側には仕込み室が配置されている。仕込み室内には、成膜前の基板がさらに上流側から送られて、所定の真空状態になるまで格納される。仕込み室と真空成膜室の間にはゲートバルブ(以下、GVとする)が配置され、仕込み室の圧力が真空成膜室とほぼ同一になるまでGVを解放しないことで真空成膜室のスパッタ圧力が変動しないように構成されている。圧力の制御は、仕込み室と真空成膜室のそれぞれに接続された排気系のコンダクタンスバルブの開放量(排気速度)と、仕込み室に接続されたMFCによるプロセスガスの流量制御により調整される。同様に、真空成膜室で処理された基板が搬送される取り出し室についても、成膜ゾーンのスパッタ圧力が変動しないように取り出し室の圧力は調整されている。
【0006】
しかしながら、同じ真空成膜室内であっても圧力は完全に均一というわけではなく、一般的には真空ポンプが接続された位置から離れるに従い圧力が徐々に増加する圧力勾配を有している(図11参照)。このため、仕込み室内の圧力は、真空成膜室とのGV付近の圧力と等しくなるように調整される必要があり、真空成膜室内の所定位置での圧力測定値に係数(定数)を乗じて算出した値に設定されている。これは、真空成膜室と取り出し室との間についても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−132770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような圧力調整方法では、真空成膜室内のシールド交換などによる微妙なコンダクタンス変動が発生した場合に生じる圧力変動に対処できないという問題があった。また、高いスループットを確保するためには、真空成膜室で成膜処理を行いながら仕込み室と真空成膜室の間のGVを開動作して次の基板を真空成膜室内に搬入する必要がある。このため、真空成膜室内の圧力分布が変動し、仕込み室と真空成膜室とのGV付近とは異なる圧力に調整されるおそれがあった。この問題は、真空成膜室と取り出し室の間についても同様に起こり得る。
【0009】
さらに、真空成膜室内の圧力の変動に連動して真空成膜室内のMFCが動作し、成膜条件の重要な条件であるカソード近傍のプロセスガス流量が変動するおそれがあった。特に、O(酸素ガス)やN(窒素ガス)などのプロセスガスを添加したリアクティブスパッタプロセスでは、膜質が変化するという不都合が生じるおそれがあった。
【0010】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、仕込み室と真空成膜室との間のゲートバルブGV、若しくは、真空成膜室と取り出し室と間のゲートバルブGVを開放しても真空成膜室内のスパッタリング条件を変動させることがないスパッタリング装置を提供することにある。本発明の他の目的は、良好な膜質及び高い歩留まりで成膜処理ができるスパッタリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るスパッタリング装置は、第1圧力測定手段及び第1ガス導入手段を備えた真空排気可能な仕込み室と、仕込み室と第1ゲートバルブを介して連結され、第2圧力測定手段及びスパッタリングカソードを備えた真空排気可能な真空成膜室と、仕込み室と真空成膜室の間で基板を搬送可能な搬送装置と、を備えたスパッタリング装置であって、第1ゲートバルブを開放するときは、真空成膜室内の圧力を変動させないように、仕込み室の圧力を調整することを特徴とすることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るスパッタリング装置は、第1圧力測定手段及び第1ガス導入手段を備えた真空排気可能な仕込み室と、仕込み室と第1ゲートバルブを介して連結され、第2圧力測定手段及びスパッタリングカソードを備えた真空排気可能な真空成膜室と、真空成膜室と第2ゲートバルブを介して連結され、第3圧力測定手段及び第3ガス導入手段を備えた真空排気可能な取り出し室と、仕込み室と真空成膜室と取り出し室の間で基板を搬送可能な搬送装置と、を備えたスパッタリング装置であって、第1ゲートバルブを開放するときは、真空成膜室内の圧力を変動させないように、仕込み室の圧力を調整し、第2ゲートバルブを開放するときは、真空成膜室内の圧力を変動させないように、取り出し室の圧力を調整することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るスパッタリング方法は、第1圧力測定手段及び第1ガス導入手段を備えた真空排気可能な仕込み室と、仕込み室と第1ゲートバルブを介して連結され、第2圧力測定手段及び第2ガス導入手段を備えた真空排気可能な真空成膜室と、仕込み室と真空成膜室の間で基板を搬送可能な搬送装置と、を備えたスパッタリング装置を用いたスパッタリング処理方法であって、基板を前記仕込み室内に搬入する基板搬入工程と、基板搬入工程の後に、仕込み室内を真空排気する真空排気工程と、真空排気工程の後に、仕込み室内の圧力が真空成膜室の圧力との差分に応じて仕込み室内にガスを導入する第1ガス導入工程と、
第1ガス導入工程の後に、第1ゲートバルブを開ける第1ゲートバルブ開工程と、第1ゲートバルブ開工程の後に、基板を真空成膜室に搬送する基板送り出し工程と、基板送り出し工程の後に、第1ゲートバルブを閉める第1ゲートバルブ閉工程と、を備え、第1ガス導入工程は、第1ゲートバルブ閉工程を終えるまで継続されることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るスパッタリング方法は、第2圧力測定手段及び第2ガス導入手段を備えた真空排気可能な真空成膜室と、真空成膜室と第2ゲートバルブを介して連結され、第3圧力測定手段及び第3ガス導入手段を備えた真空排気可能な取り出し室と、真空成膜室と取り出し室の間で基板を搬送可能な第2搬送装置と、を備えたスパッタリング手段を用いたスパッタリング処理方法であって、取り出し室内を真空排気する真空排気工程と、真空排気工程の後に、取り出し室内の圧力が真空成膜室の圧力と差分に応じて取り出し室内にガスを導入する第2ガス導入工程と、第2ガス導入工程の後に、第2ゲートバルブを開ける第2ゲートバルブ開工程と、第2ゲートバルブ開工程の後に、基板を取り出し室内に搬送する基板搬入工程と、基板搬入工程の後に、第2ゲートバルブを閉める第2ゲートバルブ閉工程と、を備え、第2ガス導入工程は、第2ゲートバルブ閉工程を終えるまで継続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多数の基板を順次スパッタ成膜するインライン型スパッタリング装置において、成膜される基板周辺の圧力をカソード近傍のガス流量や排気コンダクタンスを変えることなしに一定の圧力に保持することができる。また、上流側のゲートバルブGVや下流側のゲートバルブGVの開閉動作や基板の搬送状態位置によるスパッタリング圧力の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るスパッタリング装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るスパッタリング装置のシステム構成図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る仕込み室5での作業工程図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る仕込み室でのガス圧制御のフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る取り出し室での作業工程図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る取り出し室でのガス圧制御のフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るスパッタリング装置の概略構成図である。
【図8】代表的なSi薄膜系太陽電池の断面模式図である。
【図9】代表的なCu−In−Ga−Se(CIGS)系化合物太陽電池の断面模式図である。
【図10】従来のスパッタリング装置の概略構成図である。
【図11】従来のスパッタリング装置内のガス圧分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。以下に説明する部材、配置等は本発明を具体化した一例であって、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変できることは勿論である。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスパッタリング装置の構成を示す概略図である。
本実施形態に係るスパッタリング装置Sは真空成膜室4と仕込み室5と取り出し室6などの真空容器を主要な構成要素として有しており、搬送機構によって上流から下流に向かって搬送される多数の基板2を連続的に処理(基板連続移動成膜方式)するインライン型スパッタ装置である。
【0019】
真空成膜室4は、スパッタリングターゲット1(1a,1b,1c)と、基板2(2a,2bなど)を水平方向に搬送する搬送装置としての搬送機構(不図示)と、排気系11bと、ガス導入機構13bと、真空圧力計14bとを有して構成されている。
【0020】
スパッタリングターゲット1は、真空処理室4内の上側に設置されたスパッタリングカソードに固着されている。具体的には、スパッタリングカソードの下面側のバッキングプレートにボンディングにより固定されている。スパッタリングカソードには、スパッタリングターゲット1の表面上に磁場を発生させる磁石ユニット(不図示)が設けられている。磁石ユニットとしては固定式永久磁石、揺動式磁石ユニット、電磁石などの公知の磁石ユニットを任意に用いることができる。
【0021】
なお、本実施形態においては、3つのスパッタリングカソードが真空処理室4内の上側に設置されており、それぞれのスパッタリングカソードにパッタリングターゲット1a、1b、1cがボンディングされている。また、スパッタリングカソードの周囲を取り囲むように防着板3が設けられており、搬送機構により搬送される基板2がターゲット1の前方(下方)に位置するときにスパッタされた粒子が基板2に堆積されるように構成されている。
【0022】
搬送機構は、スパッタリングカソードの下方側に配設され、真空容器内側に配設されたコロ機構と、このコロの上を移送されるトレイなどから構成されている。搬送機構は、上流側から搬送されてきた基板2を仕込み室5と真空成膜室4と取り出し室6を経て下流側にスムーズに搬送することができるように構成されている。なお、搬送機構としてはコロ搬送機構の他にも公知の任意の機構を用いた移動成膜方法を適用することができることはもちろんである。また本明細書中では、真空成膜室と取り出し室の間で基板を搬送可能な搬送装置を第2搬送装置と便宜上呼ぶことがある。
【0023】
真空成膜室4の排気系11bは、ドライポンプやターボ分子ポンプ(以下、TMPとする)若しくはクライオポンプなどの真空ポンプと、開放量を調整できるコンダクタンスバルブ12bとを有して構成されており、真空ポンプはコンダクタンスバルブ12bを介して真空成膜室4に接続されている。排気系11bにより真空成膜室4内が真空排気され、処理条件に従って200Pa〜2×10−5Pa の所定圧力に保持される。
【0024】
真空成膜室4のガス導入機構13b(第2ガス導入手段)は、プロセスガスの供給を行うMFC16bを有して構成されている。MFC16bによるガス供給量やタイミングは、コントローラCTによって制御されている。
真空圧力計14b(第2圧力測定手段)は、公知のものを用いることができ、真空成膜室4内の任意の位置に設置され、後述する自動圧力調整器(以下、APC15a,15bとする)に測定値を出力している。本実施形態において真空圧力計14bは、キャパシタンスゲージやクリスタルゲージ、ピラニゲージ、若しくは電離真空計(例えばB−Aゲージ)などから構成されており、スパッタ物質の付着を避けるために防着板3の外側に配置されている。なお、仕込み室5と取り出し室6に接続されている排気系11a,11c、ガス導入機構13a,13c、真空圧力計14a,14cは真空成膜室4に接続されているものと同様の構成であるため説明を省略する。
【0025】
ここで、図2に示したシステム構成図に基づいて、真空成膜室4内の圧力制御方法について説明する。
真空成膜室4内の圧力制御は、成膜ゾーン内の圧力と、Ar(アルゴンガス)、O(酸素ガス)、N(窒素ガス)のそれぞれの分圧が、成膜条件(スパッタ圧力)に一致するように、コンダクタンスバルブ12bの開放量とMFCからのガス導入量が制御される。ガス導入量は、真空圧力計14bからの測定値に基づいてコントローラCTによって決定される。なお、成膜ゾーンとはスパッタリングターゲット1a,1b,1cの下方の領域とする。
【0026】
具体的には、コンダクタンスバルブ12bの開放量とMFC16bの流量はコントローラCTによって制御されており、例えば、高真空排気時など、高い排気速度が必要な場合にはコンダクタンスバルブ12bの開放量が最大になるように制御されるとともにMFC16bからのガス供給は停止される。
【0027】
また、スパッタリング処理中は、導入されるガスの流量は予め決められた範囲に制御される一方、コンダクタンスバルブ12bの開放量を固定(若しくは微調整)することによって成膜ゾーンを一定のスパッタ圧力に調整している。なお、本実施形態においてはAr(アルゴンガス)、O(酸素ガス)、N(窒素ガス)などのプロセスガスが複数のMFC16bによってそれぞれ供給されるように構成されており、複数のMFC16bはコントローラCTによってそれぞれ制御されている。
【0028】
仕込み室5は、ゲートバルブGV7(第1ゲートバルブ)を介して真空成膜室4と連結されており、搬送機構により基板2を真空処理室4に送り出すことができる。仕込み室5の上流側には基板2を外部から搬入するためのドアバルブGV9が設けられている。仕込み室5にも、真空成膜室4と同様に、ガス導入機構13a(第1ガス導入手段)、排気系11a、真空圧力計14a(第1圧力測定手段)が取り付けられている。
【0029】
次に、仕込み室5の圧力制御方法について説明する。
仕込み室5内の圧力制御は、真空成膜室4内の成膜ゾーン内のスパッタ圧力に影響を及ぼさないように行われる。具体的には、コンダクタンスバルブ12aの開放量又はMFC16aからのガス導入量を制御するAPC15aを備えており、仕込み室5内の真空圧力計14a(第1圧力測定手段)と真空成膜室4内の真空圧力計14b(第2圧力測定手段)からの信号がAPC15aに入力される。これらの信号に基づいてAPC15a内で、最適なコンダクタンスバルブ12aの開放量又はMFC16aからのガス導入量が算出され、コンダクタンスバルブ12aとMFC16aがそれぞれ制御される。なお、本実施形態においては、コンダクタンスバルブ12aの開放量とMFC16aからのガス導入量のいずれか一方を制御する構成としているが、両方を制御する構成でもよいことはもちろんである。
【0030】
取り出し室6は、ゲートバルブGV8(第2ゲートバルブ)を介して真空成膜室4と連結されており、搬送機構(第2搬送装置)により真空処理室4で処理された基板2を、外部に取り出すために一時的に保管する。ゲートバルブGV8の下流側には基板2を系外に取り出すためのドアバルブGV10が設けられている。取り出し室6にも、真空成膜室4と同様に、ガス導入機構13c(第3ガス導入手段)、排気系11c、真空圧力計14c(第3圧力測定手段)が取り付けられている。
【0031】
取り出し室6の圧力制御方法について説明する。
取り出し室6内の圧力制御も仕込み室5内の圧力制御と同様に、真空成膜室4内の成膜ゾーン内のスパッタ圧力に影響しないように制御される。具体的には、取り出し室6内の真空圧力計14c(第3圧力測定手段)と真空成膜室4内の真空圧力計14b(第2圧力測定手段)とMFC16cから出力された信号がAPC15bに入力される。これらの信号に基づいてAPC15b内で、最適なコンダクタンスバルブ12cの開放量又はMFC16cからのガス導入量が算出され、コンダクタンスバルブ12cとMFC16cが制御される。なお、コンダクタンスバルブ12cの開放量とMFC16cからのガス導入量の両方を制御する構成でもよいことはもちろんである。
【0032】
ここで、仕込み室5での作業工程(図3)と仕込み室でのガス圧制御のフローチャート(図4)について説明する。
まず、図3に仕込み室5での作業工程図を示す。図3に基づいて任意の1つの基板2について仕込み室5での処理の流れを説明すると以下のようなものとなる。
仕込み室5を系外と同じ圧力にしてドアバルブGV9を開け(ベント工程PL01、ドアバルブ開動作PL02)、そこに、基板2を搬送機構により上流側から搬送する。基板2はドアバルブGV9を通過して仕込み室5内に搬入される(基板搬入工程PL03)。ドアバルブGV9を閉じた後(ドアバルブ閉動作PL04)、仕込み室5内を真空排気(粗引き工程PL05)した後に、真空成膜室の圧力との差分に応じてガスを導入(ガス導入工程(第1ガス導入工程)PL07)する。すなわち、仕込み室5内の圧力が調整(粗引き工程PL05〜ガス導入工程PL07)される。その後、ゲートバルブGV7が開放され(ゲートバルブ開動作PL08又はゲートバルブ開工程、第1ゲートバルブ開工程)、基板2は真空処理室4内に搬送され(基板送り出し工程PL09)、ゲートバルブGV7が閉じられる(ゲートバルブ閉動作PL10又はゲートバルブ閉工程、第1ゲートバルブ閉工程)。なお、ゲートバルブGV7開放中にも、仕込み室5と真空成膜室4のガス圧力を等しくする必要があるため、ガス導入工程PL07はゲートバルブ閉動作PL10まで継続される。もちろん、ガス導入工程PL07により仕込み室5の圧力が目標圧力よりも高くなったときは一次的に仕込み室5に導入しているガス流量を減らすか、または、コンダクタンスバルブの開放量を大きくし、調圧を行う。
【0033】
次に、多数の基板2を連続処理する場合には、上述した1つの基板2を処理する場合とは装置の制御に違いが生じる。
すなわち、基板2が多数存在し、上流から下流に向けて絶え間なく搬送されると基板2がターゲット1前方を間断なく移動することになる。基板処理速度(スループット)の向上のために、基板2に成膜処理を施しながら上流側から基板2を搬入し、若しくは、成膜処理済みの基板2を下流側に搬出される搬送制御が行われる。すなわち、成膜処理中にゲートバルブGV7若しくはゲートバルブGV8の開動作が行われることになる。
【0034】
また、仕込み室5の調圧(粗引き工程PL05〜プロセスガス導入工程PL07)にある程度の時間を要するため、仕込み室5内の調圧中は基板2の移動を一時的に停止する搬送制御を行うことで仕込み室5の小型化を図っている。このため、仕込み室5と真空成膜室4の間のゲートバルブGV7が開放(ゲートバルブ開動作PL08)された際に、真空成膜室4を既に通過している先行する基板2(第2基板)との間隔が開いていることになる。そこで、仕込み室内5から搬送された下流側の基板2(第1基板)は、先行する基板2(第2基板)の搬送速度よりも早い送り速度で送られる搬送工程(追いつき工程)を行うことによってスパッタリング装置1のスループット低下を防いでいる。具体的には、追いつき工程は、下流側の基板2と先行する基板2との間隔が所定間隔となるまで下流側の基板2の搬送速度だけを増加させる工程である。
【0035】
図4に仕込み室でのガス圧制御のフローチャートを示す。図4はプロセスガス導入工程(ガス導入工程)におけるガス圧制御のフローチャートである。
この図4に基づいて、ゲートバルブGV7が開く前後の動作(プロセスガス導入工程PL07〜ゲートバルブ閉動作PL10)を説明する。
上流側から基板2を仕込み室5に搬入(基板搬入工程PL03、ドアバルブ閉動作PL04)した後、仕込み室5内は真空排気(粗引き工程PL05、高真空排気工程PL06)されている。この後にス導入工程PL07(第1ガス導入工程)が行われる。
【0036】
仕込み室5の中にガスを導入する際、所定の圧力に到達させる制御方法として公知の制御方法(PID制御方法)を用いている。PID制御に必要な入力値は2つあり、目標値SVと現在値PVである。PID演算結果から得られる出力値は操作量MVの一つである。GV7が開く直前までの工程では、目標値SV=真空処理室4内の圧力×係数k1、現在値PV=仕込み室5内の圧力、目標値MV=仕込み室のMFC流量となる(Step002)。なお、PID制御回路はAPC15aに備えられている。
【0037】
ここで、真空処理室4内の圧力とは真空圧力計14bの読み取り値であり、PID演算を開始する直前の値でもいいし、PID演算中も真空圧力計14bの読み取り値を与え続けてもよい。係数k1とは補正係数であり、真空圧力計14bの読み取り値からゲートバルブGV7の地点までの圧力勾配が考慮されている。係数k1は真空成膜室4の内部構造に依存し、特に排気装置11bの取り付け位置に大きく依存する。真空圧力計14bの読み取り値に場所による誤差を補正するための係数k1を掛け合わせた数値が仕込み室5の目標値SVとなる。
【0038】
上記のPID演算の結果出力された操作量MVに応じてMFC16aからプロセスガス導入量が調整される(Step003)。SV=PVの条件は、±b%内にc秒間静定(例えば、±1%内に1秒間静定)等の成立条件を入れて、所定の圧力に達したと判断する(Step004)。
【0039】
所定の圧力に達したと判断されると(Step004:Yes)、ゲートバルブGV7開動作に移行するが、ここで、PID演算に入力する目標値SVと現在値PVを変更する(Step005)。目標値SVには真空成膜室4内の真空圧力計14bの読み取り値を瞬間的にサンプリングした値を固定する。現在値PVには現状の真空圧力計14aの読み取り値を入力する。この入力値変更した後、直ちにゲートバルブGV7の開動作に入る(Step006)。
【0040】
ここで、ゲートバルブGV7を開いた時に真空圧力計14aの値が、ゲートバルブGV7が開く直前の値と差が開いてくれば(Step008:No)、PID演算が実行される。すなわち、出力された操作量MVに応じてMFC16aの流量を変化させ、真空圧力計14a(現在値PV)と目標値SVが一定になるように制御される(Step007)。
【0041】
ゲートバルブGV7が開いた後、所定のタイミングで仕込み室5内の基板2が真空成膜室4内へ送り出される(基板送り出し工程)。送り出し工程として、基板2(第1基板2a)をゲートバルブGV7から真空成膜室4へ送り出す搬送制御のみならず、先行している基板2(第2基板2b)との間隔をつめるために、先行している基板2bよりも速い速度で搬送する制御(追いつき工程)も行われる。
【0042】
基板2の送り出し工程中に真空圧力計14aの測定値が変動した場合には、PID制御によりMFC16aの流量が調節され、真空圧力計14a(現在値PV)と目標値SVが一定になるように制御される。従って、ゲートバルブGV7が開いている間は、常時この圧力制御が継続していることになる。送り出し工程完了の後、ゲートバルブGV7は閉動作(Step009)となる。ゲートバルブGV7が閉動作完了の後、仕込み室5内に供給していたガスを止め、ガス導入工程PL7は完了する(Step010)。
【0043】
次に、取り出し室6での作業工程(図5)と取り出し室でのガス圧制御のフローチャート(図6)について説明する。
図5に基づいて任意の1つの基板2について取り出し室6での処理の流れを説明すると以下のようなものとなる。
まず、ゲートバルブGV8を閉じて(ゲートバルブ閉動作Pu10)、取り出し室6内を下流側の圧力に調整(ベント工程Pu01)した後に、ドアバルブGV10を開けて(ドアバルブ開動作Pu02)先行している基板2をドアバルブGV10から下流側(系外)に搬送する(基板搬出工程Pu03)。その後、ドアバルブGV10を閉めて(ドアバルブ閉動作Pu04)取り出し室6の圧力が再び真空処理室4と同じ圧力になるように、真空成膜室4の圧力と差分に応じて取り出し室6内にガスを導入する(粗引き工程Pu05:真空排気工程〜ガス導入工程Pu07:第2ガス導入工程)。
【0044】
そして、ゲートバルブGV8を開けて(ゲートバルブ開動作Pu08又はゲートバルブ開工程、第2ゲートバルブ開工程)、真空処理室4内で成膜処理された基板2を、ゲートバルブGV8を介して取り出し室6内に搬入する(基板搬入工程Pu09)。なお、ゲートバルブGV8開放中にも、取り出し室6と真空成膜室4のガス圧力を等しくする必要があるため、ガス導入工程Pu07はゲートバルブ閉動作Pu10(ゲートバルブ閉工程、第2ゲートバルブ閉工程)まで継続される。もちろん、ガス導入工程Pu07により取り出し室6の圧力が目標圧力よりも高くなったときは一次的に取り出し室6に導入しているガス流量を減らすか、または、コンダクタンスバルブの開放量を大きくし、調圧を行う。
【0045】
図6に仕込み室でのガス圧制御のフローチャートを示す。図6はプロセスガス導入工程(ガス導入工程)におけるガス圧制御のフローチャートであり、ゲートバルブGV8が開く前後の動作(ガス導入工程Pu07〜ゲートバルブ閉動作Pu10)を図示している。上流側から基板2を系外に搬出(基板搬出工程Pu03、ドアバルブ閉動作Pu04)した後、取り出し室6は真空排気(粗引き工程Pu05、高真空排気工程Pu06)されている。この後にガス導入工程Pu07が行われる。
【0046】
ガス導入工程Pu07〜ゲートバルブ閉動作Pu10までのガス圧制御方法は、図4にて説明したガス圧制御方法とほぼ同様であるため異なる部分のみ説明する。取り出し室6内のガス圧はAPC15bに備えられたPID制御回路により制御される。その際、目標値SV=真空処理室4内の圧力×係数k2、現在値PV=取り出し室6内の圧力、目標値MV=取り出し室のMFC流量である(Step102)。
【0047】
係数k2とは補正係数であり、真空圧力計14bの読み取り値からゲートバルブGV8の地点までの圧力勾配が考慮されている。係数k2は係数k1と同じく真空成膜室4の内部構造に依存し、特に排気装置11bの取り付け位置に大きく依存する。
【0048】
取り出し室6の下流側のゲートバルブGV8から排出された基板2は系外に出てしまうことになるため、本実施形態においては基板搬出工程Pu03や基板搬入工程Pu09では、先行している基板2(2b)との間隔をつめるための追いつき工程は行われない。しかし、取り出し室6の下流側にも制御可能な搬送装置が連結されている場合には追いつき工程を行う構成とすることができる。
【0049】
基板2の基板搬入工程Pu09中に真空圧力計14cの測定値が変動した場合には、PID制御によりMFC16cの流量が調節され、真空圧力計14c(現在値PV)と目標値SVが一定になるように制御される。従って、ゲートバルブGV8が開いている間は、常時この圧力制御が継続していることになる。基板搬入工程Pu09完了の後、GV8は閉動作(Step109)となる。ゲートバルブGV8が閉動作完了の後、取り出し室6内に供給していたガスを止め、ガス導入工程は完了する(Step110)。
【0050】
なお、図4と図6で記述したPID制御に必要なパラメータである、比例定数、積分定数、微分定数は、事前に、PID制御ユニットによる、自動取得機能によって求められた数値や、限界感度法などにより、手動操作によって求められた定数を使い、最適な制御がなされていることを前提としている。なお、上述した本実施形態においては、操作量MVでMFC16a,16cからのガス流量を調整しているが、コンダクタンスバルブ12a,12cの開放量を調整する制御方法であってもよい。
【0051】
また、ガス導入工程PL07とガス導入工程Pu07とが同時に行われるタイミングを有するように構成されてもよい。すなわち、基板2を仕込み室5から真空処理室4に搬送するためにゲートバルブGV7を開けている状態(図3のPL07〜PL10)と、
基板2の一つ前を搬送されている基板(先行する基板)を真空処理室4から取り出し室6に搬送するためにゲートバルブGV8を開けている状態(図5のPu07〜Pu10)とが、重なる時間があってもよいものとする。スループットの向上を図ることができる。
【0052】
(第2の実施形態)
図7に、第2の実施形態に係るスパッタリング装置の概略構成図であり、5室から構成されるスパッタリング装置S2の構成を示したものである。
第1の実施形態に係るスパッタリング装置Sの仕込み室5の機能を2つに分け、仕込み室5の上流側にサブロードロック室21を設けている。同様に、取り出し室6も機能を2つに分け、取り出し室6の下流側にサブアンロードロック室22を設けている。この場合、仕込み室5や取り出し室6はベント工程がなく、大気圧まで戻ることがないため高真空状態に維持されるので、大気成分のガスコンタミネーションを軽減ができ、スループットの向上を図ることができる。
【0053】
図1及び図2に示したスパッタリング装置S,S2は、上方にスパッタリングターゲット1、下方に基板2という構成を有しているが、ターゲット1を下方、基板2を上方に配置したデポジションアップの構成であっても本発明を適用可能なことはもちろんである。また、ターゲット1を鉛直方向に設置し、基板2をトレイなどに搭載して立てた状態のまま搬送するサイドデポジションの方法にも適用することができる。さらに、カソード構成においては、DCスパッタ法、DCパルス法、RFスッパタ法、デュアルカソードのMFスパッタ法など各種のスパッタ法を用いることができる。
【実施例1】
【0054】
本発明に係るスパッタリング装置S1,S2は、スパッタ成膜中の圧力変動を効果的に抑制させることができるが、以下に、スパッタリング装置S1を成膜処理に適用した場合の実施例1,2について記載する。
【0055】
図8は代表的なSi薄膜系太陽電池の断面模式図である。符号101はガラス基板、符号102はTCO層,符号103はpin層、符号104は裏面電極であるAZO層、符号105は裏面電極であるAg層、符号106は裏面電極であるTi層である。ここで、pin層は、p型、i型、n型の3層からなり、プラズマCVD法などにより作製することが可能である。この太陽電池の場合、本発明のスパッタリング装置S1を用いて成膜される工程は、窓層である透明導電膜のAlドープZnO(以降AZOと略記する)と裏面電極であるAZO+Ag+Tiの3層積層膜である。
【0056】
窓層がAZOのように単層膜の場合は、第1の実施形態で示したようなスパッタリング装置S1の構成で成膜処理が可能であり、ターゲット1a,1b,1cには任意のターゲットを用いてもよいし、3つ全てAZOターゲットとしてもよい。また、裏面電極のように多層膜である場合にもスパッタリング装置S1の構成で成膜処理が可能であり、この場合ターゲット1a,1b,1cとしてそれぞれAZO、Ag、Tiを用いると好適である。
【0057】
スパッタリング装置S1を用いることによって、基板2を真空成膜室4に搬入若しくは真空成膜室4から搬出する際に、仕込み室5と取り出し室6のゲートバルブGV7,GV8を開閉操作してもスパッタ圧力の変動を効果的に軽減することができる。そのため、成膜処理される基板2毎のスパッタリング条件の変動を防ぐことができ、高い歩留まりを確保することができる。
【実施例2】
【0058】
図9は、代表的なCu−In−Ga−Se(以降CIGSとする)系化合物太陽電池の断面模式図である。符号111は基板2としてのガラス又はステンレス等のフィルム、符号112は裏面電極であるMo層、符号113は起電部であるCIGS化合物層、符号114は例えばCdSよりなるバッファ層、符号115は窓層であるAZO層である。
【0059】
この太陽電池の製造方法の一例を説明する。基板上に裏面電極であるMoをスパッタリング法で成膜した後に光吸収層を形成する。光吸収層は、CaGa合金+Inの2層積層の後、HSeのガス雰囲気中で高温アニールを施して得た多結晶化合物である。バッファ層としてのCdSは、ケミカルバスデポジション方式(以降CBDと略記する)で成膜する。最後に窓層であるAZOをスパッタリング法で成膜する。このうちスパッタリング法で成膜する工程に適用する場合、例えば窓層はAZO単層膜であるが、ZnO+AZOなどの二層積層膜を形成してもよい。その場合はスパッタリング装置S1ような構成の装置で製造可能であり、ターゲット1aにZnO、ターゲット1cにAZOを用いるとよい。単層のMo層112についてもスパッタリング装置S1で成膜可能であり、ターゲット1a,1b,1cとして任意のターゲットを用い、若しくは全てMoターゲットとして成膜工程を行うことができる。
【0060】
スパッタリング装置S1を用いることによって、基板2を真空成膜室4に搬入若しくは真空成膜室4から搬出する際に、仕込み室5と取り出し室6のゲートバルブGV7,GV8を開閉操作してもスパッタ圧力の変動を効果的に軽減することができる。そのため、成膜処理される基板2毎のスパッタリング条件の変動を防ぐことができ、高い歩留まりを確保することができる。
【0061】
実施例として上述した以外にもスパッタリング装置S1は、インライン装置で装置生産するような大表示面積の画像表示装置の生産にも工程に適用することができる。大表示面積の画像表示装置としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機蛍光ディスプレイ(有機ELディスプレイ)等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0062】
S,S2 スパッタリング装置
GV7,GV8 ゲートバルブ
GV9,GV10 ドアバルブ
CT コントローラ
1,1a,1b,1c ターゲット
2,2a,2b,2c,2d,2e 基板
3 防着板
4 真空成膜室
5 仕込み室
6 取り出し室
11,11a,11b,11c 排気装置
12,12a,12b,12c コンダクタンスバルブ
13,13a,13b,13c ガス導入機構
16a,16b,16c MFC
14,14a,14b,14c 真空圧力計
15a,15b APC
21 サブロードロック室
22 サブアンロードロック室
101 ガラス基板
102 TCO層
103 pin層
104,115 AZO層
105 Ag層
106 Ti層
111 フィルム
112 Mo層
113 CIGS化合物層
114 バッファ層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1圧力測定手段及び第1ガス導入手段を備えた真空排気可能な仕込み室と、
前記仕込み室と第1ゲートバルブを介して連結され、第2圧力測定手段及びスパッタリングカソードを備えた真空排気可能な真空成膜室と、
前記仕込み室と前記真空成膜室の間で基板を搬送可能な搬送装置と、を備えたスパッタリング装置であって、
前記第1ゲートバルブを開放するときは、前記真空成膜室内の圧力を変動させないように、前記仕込み室の圧力を調整することを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項2】
第1圧力測定手段及び第1ガス導入手段を備えた真空排気可能な仕込み室と、
前記仕込み室と第1ゲートバルブを介して連結され、第2圧力測定手段及びスパッタリングカソードを備えた真空排気可能な真空成膜室と、
前記真空成膜室と第2ゲートバルブを介して連結され、第3圧力測定手段及び第3ガス導入手段を備えた真空排気可能な取り出し室と、
前記仕込み室と前記真空成膜室と前記取り出し室の間で基板を搬送可能な搬送装置と、を備えたスパッタリング装置であって、
前記第1ゲートバルブを開放するときは、前記真空成膜室内の圧力を変動させないように、前記仕込み室の圧力を調整し、
前記第2ゲートバルブを開放するときは、前記真空成膜室内の圧力を変動させないように、
前記取り出し室の圧力を調整することを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項3】
前記第1ゲートバルブが開放されている間に、前記真空成膜室の圧力を変動させないように前記仕込み室の圧力を調整するとともに、前記仕込み室から送り出した第1基板と前記第1基板の直前を先行する第2基板との間隔が所定間隔となるまで前記第1基板の搬送速度だけを増加させる追いつき工程が行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
第1圧力測定手段及び第1ガス導入手段を備えた真空排気可能な仕込み室と、
前記仕込み室と第1ゲートバルブを介して連結され、第2圧力測定手段及び第2ガス導入手段を備えた真空排気可能な真空成膜室と、
前記仕込み室と前記真空成膜室の間で基板を搬送可能な搬送装置と、を備えたスパッタリング装置を用いたスパッタリング処理方法であって、
前記基板を前記仕込み室内に搬入する基板搬入工程と、
前記基板搬入工程の後に、前記仕込み室内を真空排気する真空排気工程と、
前記真空排気工程の後に、前記仕込み室内の圧力が前記真空成膜室の圧力との差分に応じて前記仕込み室内にガスを導入する第1ガス導入工程と、
前記第1ガス導入工程の後に、前記第1ゲートバルブを開ける第1ゲートバルブ開工程と、
前記第1ゲートバルブ開工程の後に、前記基板を前記真空成膜室に搬送する基板送り出し工程と、
前記基板送り出し工程の後に、前記第1ゲートバルブを閉める第1ゲートバルブ閉工程と、を備え、
前記第1ガス導入工程は、前記第1ゲートバルブ閉工程を終えるまで継続されることを特徴とするスパッタリング方法。
【請求項5】
前記真空成膜室と第2ゲートバルブを介して連結され、第3圧力測定手段及び第3ガス導入手段を備えた真空排気可能な取り出し室をさらに備え、
前記搬送装置は、前記仕込み室と前記真空成膜室と前記取り出し室の間で基板を搬送可能であるスパッタリング装置を用いることを特徴とする請求項4に記載のスパッタリング方法。
【請求項6】
前記仕込み室から送り出した第1基板と前記第1基板の直前を先行する第2基板との間隔が所定間隔となるまで前記第1基板の搬送速度だけを増加させる追いつき工程をさらに有することを特徴とする請求項4又は5に記載のスパッタリング方法。
【請求項7】
第2圧力測定手段及び第2ガス導入手段を備えた真空排気可能な真空成膜室と、
前記真空成膜室と第2ゲートバルブを介して連結され、第3圧力測定手段及び第3ガス導入手段を備えた真空排気可能な取り出し室と、
前記真空成膜室と前記取り出し室の間で基板を搬送可能な第2搬送装置と、を備えたスパッタリング手段を用いたスパッタリング処理方法であって、
前記取り出し室内を真空排気する真空排気工程と、
前記真空排気工程の後に、前記取り出し室内の圧力が前記真空成膜室の圧力と差分に応じて前記取り出し室内にガスを導入する第2ガス導入工程と、
前記第2ガス導入工程の後に、前記第2ゲートバルブを開ける第2ゲートバルブ開工程と、
前記第2ゲートバルブ開工程の後に、前記基板を前記取り出し室内に搬送する基板搬入工程と、
前記基板搬入工程の後に、前記第2ゲートバルブを閉める第2ゲートバルブ閉工程と、を備え、
前記第2ガス導入工程は、前記第2ゲートバルブ閉工程を終えるまで継続されることを特徴とするスパッタリング方法。
【請求項8】
前記真空成膜室と第1ゲートバルブを介して連結され、第1圧力測定手段及び第1ガス導入手段を備えた仕込み室をさらに備え、
前記第2搬送装置は、前記仕込み室と前記真空成膜室と前記取り出し室の間で基板を搬送可能であるスパッタリング装置を用いることを特徴とする請求項7に記載のスパッタリング方法
【請求項9】
前記第1ガス導入工程及び前記第2ガス導入工程が同時に行われるタイミングを有することを特徴とする請求項6又は8に記載のスパッタリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−144450(P2011−144450A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272097(P2010−272097)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【Fターム(参考)】