説明

スピーカ、これを用いたモジュールおよび電子機器

【課題】本発明は音響機器に使用されるスピーカモジュールおよび電子機器および装置に関するものであり、音響結合スピーカの音質を向上させることを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、第1の振動板27と第2の振動板30とをパネル29を密閉空間31を構成する壁面の一部として音響結合して構成し、この密閉空間31の空気の容積をイコライザー33を用いて適正化することにより、スピーカの音質向上を実現することができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカおよびこれを用いたモジュールおよび携帯電話または通信機器またはゲーム機器等の電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術を図5により説明する。図5は従来のスピーカの断面図で、着磁されたマグネット21を上部プレート22およびヨーク23により挟み込んで内磁型の磁気回路24を構成している。この磁気回路24のヨーク23にフレーム26を結合している。このフレーム26の周縁部に第1の振動板27を装着し、この第1の振動板27にボイスコイル28を結合するとともに、上記磁気回路24の磁気ギャップ25にボイスコイル28がはまり込むように結合している。さらに、前述のユニットの前記フレーム26の周縁部にパネル29を結合し、このパネル29に略平面状の第2の振動板30を装着し、第1の振動板27と第2の振動板30の間を密閉空間31により音響結合し、音響結合スピーカを構成している。
【0003】
尚、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2003−179988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のスピーカは、第1の振動板27と第2の振動板30で仕切られた空気層がキャパシターとして作用し、そのキャパシターが高域周波数での音の伝播を吸収し、高域周波数での音圧を減衰させ、音質を劣化させるという課題を有していた。
【0005】
本発明は、第1の振動板27と第2の振動板30とに挟まれた空気の容積を調整し、高域での音圧の減衰を軽減させることができるスピーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
【0007】
本発明の請求項1に記載の発明は、磁気回路に結合されたフレームと、このフレームの外周部に結合された第1の振動板と、この第1の振動板に結合されるとともに、その一部が前記磁気回路の磁気ギャップに嵌め込まれるボイスコイルと、前記フレームに結合されたパネルと、前記第1の振動板を結合した前記パネルで囲まれた空間と、このパネルで囲まれた空間に結合した第2の振動板と、その第1の振動板とパネルと第2の振動板で囲まれた空間に設置したイコライザーで構成されるスピーカである。この構成により2つの振動板を有する音響結合スピーカの音質を向上させる効果が得られる。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明は、第1の振動板と第2の振動板との間の密閉空間にイコライザーを設置し、密閉空間の容積を調整した上で、第2の振動板を第1の振動板に密閉空間を媒体にして音響結合して構成したものである。この構成により、音質の向上を実現しつつ、大きな第2の振動板を使用して携帯電話装置の小型化、スピーカシステムのデザイン自由度向上を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0010】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1、請求項2および請求項4に記載の発明について説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態のスピーカの断面図を示したものである。図1に示すように、着磁されたマグネット21を上部プレート22およびヨーク23により挟み込んで内磁型の磁気回路24を構成している。この磁気回路24のヨーク23にフレーム26を結合している。このフレーム26の周縁部に第1の振動板27の外周を接着し、この第1の振動板27にボイスコイル28の一端を結合するとともに、そのボイスコイル28の反対の一端を上記磁気回路24の磁気ギャップ25にはまり込むように結合して構成している。さらに、前記フレーム26の周縁部にパネル29を結合し、このパネル29に略平面状の第2の振動板30を接着し、第1の振動板27と第2の振動板30の間の密閉空間31にイコライザー33を設置した構成としている。
【0012】
この構成にすることにより、第1の振動板27と第2の振動板30との間の密閉空間31の容積を小さくすることができ、音質を向上させることができる。
【0013】
さらに、イコライザー33は第1の振動板の正面に設置した構成としている。また、第1の振動板27を第2の振動板30よりも小さくして構成している。さらに、当実施の形態の場合は、第1の振動板27を平面的に見て第2の振動板30の範囲内に設けて構成したものである。
【0014】
この構成にすることで、第1の振動板27と第2の振動板30の間の密閉空間31の容積を調整することができ、音質を向上させることができる。
【0015】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項3に記載の発明について説明する。
【0016】
図2は本発明の一実施形態のスピーカ断面図を示したものである。図2に示す内容について、実施の形態1と異なる部分についてのみ説明すると、イコライザー33に第1の振動板27と第2の振動板30を音響的に結合させる音道部32を1つ以上設けて構成したものである。この構成にすることで、第1の振動板27の凹凸を考慮に入れ、音道部32の配置、数量を調整することができ、音質を向上させることができる。
【0017】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項5および請求項6に記載の発明について説明する。
【0018】
ここで、図1、図2に示した第2の振動板30をシート状の透明なフィルムにより構成していることである。この構成により、このシート状の透明なフィルムの下空間を利用してデザインすることで、透明なフィルムの下のものが透視可能となる。このため部品の配置が横方向のみならず、高さ方向も有効に利用しながら配列することができる。よって、大きな第2の振動板30を使用してもスピーカのさらなる小型化、デザイン自由度の向上を実現させることができる。
【0019】
また、パネル29を透明な材料により構成していることである。この構成により、前述したシート状の透明なフィルムから構成された第2の振動板30を用い、さらにこの透明なパネル29の下空間を利用してデザインすることで透明なパネル29の下のものが透視可能となる。このため部品の配置が横方向のみならず、高さ方向も有効に利用しながら配列することができる。よって、大きな第2の振動板30とパネル29とを使用しても、スピーカのさらなる小型化、薄型化、デザイン自由度向上を実現させることができる。
【0020】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4を用いて、本発明の特に請求項7に記載の発明について説明する。
【0021】
図3は本発明の一実施形態のスピーカモジュールの断面図である。図3は少なくとも表示部41とスピーカ40から構成されたスピーカモジュールであって、前述したスピーカにおける第2の振動板30を表示部41の前面に、この表示部41を覆う形状で配置して装着したスピーカモジュール50である。
【0022】
この時、第2の振動板30は透明なフィルムシートにより構成し、パネル29は透明な材料により構成している。これにより透明なフィルムシートおよびパネルの下空間に表示部41を設定してモジュール化することで透明なフィルムおよびフィルムの下のものが透視可能となる。
【0023】
さらに、このようにモジュール化することで、セット生産時の工程削減や、部品流通段階での合理化を図ることが可能となり、コスト低減を実現させることもできる。
【0024】
(実施の形態5)
以下、実施の形態5を用いて、本発明の特に請求項8に記載の発明について説明する。
【0025】
図4は、本発明の一実施形態のスピーカモジュールを搭載した携帯電話装置の要部断面図である。図4は少なくとも表示部41とスピーカ40とからなるスピーカモジュール50と操作部42とにより構成された携帯電話装置51である。
【0026】
実施の形態4にて説明したスピーカモジュール50を使用して携帯電話装置51を構成したものであり、外装ケース52にスピーカモジュール50を結合し、その横に操作部42を結合してその要部が構成されている。これにより、このシート状の透明なフィルムの下空間に表示部41が設定され、さらにその横に操作部42を設定することで、周波数特性の良好化を実現し、携帯電話装置51の小型化、デザインの自由度向上を実現させることができる。
【0027】
また、シート状の透明なフィルムの下空間に表示部41と操作部42の両方を設定することも可能であり、携帯電話装置51のさらなる小型化、デザイン自由度向上を実現させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明にかかるスピーカおよびモジュールは、音を出す機能以外に、透明フィルム、透明パネルを使用することで、表示部から放音が可能となり、映像音響機器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスピーカの断面図
【図2】本発明の一実施の形態におけるスピーカの断面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスピーカモジュールの断面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるスピーカモジュールを搭載した携帯電話装置の要部断面図
【図5】従来のスピーカの断面図
【符号の説明】
【0030】
21 マグネット
22 上部プレート
23 ヨーク
24 磁気回路
25 磁気ギャップ
26 フレーム
27 第1の振動板
28 ボイスコイル
29 パネル
30 第2の振動板
31 密閉空間
32 音道部
33 イコライザー
40 スピーカ
41 表示部
42 操作部
50 スピーカモジュール
51 携帯電話装置
52 外装ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気回路に結合されたフレームと、このフレームの外周部に結合された第1の振動板と、この第1の振動板に結合されるとともに、その一部が前記磁気回路の磁気ギャップに嵌め込まれるボイスコイルと、前記フレームに結合されたパネルと、前記第1の振動板を結合した前記パネルで囲まれた空間と、このパネルで囲まれた空間に結合した第2の振動板とで構成されるスピーカであって、その第1の振動板と第1の振動板に結合したパネルと第2の振動板とで囲まれた空間内にその容積を小さくするためのイコライザーを設置したスピーカ。
【請求項2】
イコライザーは第1の振動板の正面に設置した請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
イコライザーに音道用の孔を1つ以上設けた請求項2に記載のスピーカ。
【請求項4】
第1の振動板は第2の振動板より小さくした請求項1に記載のスピーカ。
【請求項5】
第2の振動板をシート状の透明なフィルムにより構成した請求項1に記載のスピーカ。
【請求項6】
パネルを透明な材料により構成した請求項1に記載のスピーカ。
【請求項7】
表示部の前面を請求項1から請求項6のいずれか一つに記載のスピーカの第2の振動板で覆ったモジュール。
【請求項8】
請求項7に記載のモジュールと操作部とを備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−20184(P2006−20184A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197560(P2004−197560)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】