説明

スプレー可能な油様配合物

本発明は、従来のオイル配合物に匹敵する優れた保湿を提供する、透明で、スプレー可能な化粧用水中油型配合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な保湿を提供する透明な、スプレー可能な化粧用水中油型配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
スキンケア製品または化粧品の清澄、透明な外観は、重要な特徴になっている。それは、消費者がその外観をピュア、マイルド、クリーン、フレッシュなどの属性と結び付けるためである。清澄な外観の別の利点は、透明な包装と合わせて、消費者が容易に該製品を眺め、点検できることである。
【0003】
清澄が重要な属性である特定の製品カテゴリーは、化粧オイルである。これらは、昔から定着した成人用並びに乳幼児用スキンケア製品である。該製品は、普通のクリームやローションに勝る優れた皮膚の保湿および保護作用があるため、長年使用され、人を惹きつけるようになってきた。
【0004】
しかし、オイルは、稠度が低いため、塗ると汚くなり、べたつく皮膚感が長く残る場合があり、特に、乾燥皮膚への塗布が困難である。
【0005】
皮膚の不快感を避けることを目的に配合物が開発されている。例えば、欧州特許出願公開第EP-A-930 066号は、シリコーンワックス、シリコーン油および2種類の長鎖乳酸塩分子の混合物を含み、脂ぎった皮膚感を軽減し、クリーム、ジェル、ローションおよび軟膏での使用に適した配合物について説明している。PCT国際公開第WO-02/100922は、知覚的感触が改善された、皮膚にシルクのような滑らかな感触を残す、パーソナルケア用組成物の成分として有用な側鎖有機シリコーン化合物を特徴付けている。
【0006】
スプレーは、局所使用液体組成物を塗布する媒体として魅力的である。しかし、オイルスプレーは、微細に分散された油滴の吸入による毒性問題が障害となっており、さらに具体的には、乳幼児に使用できるほど十分に安全でない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
透明であり、現在使用されているオイルと同じ効果を持つが、従来の配合オイルの油っぽい/べたつく皮膚感のないスプレー可能な油状または油様配合物が求められている。以下に述べる組成物を持つ本発明の油様配合物は、この需要や他の需要の一部を満たすことが判明している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、油状成分が、任意に1種類以上の適切なオイルと混合した1種類以上のシリコーンワックスを含み、水相が1種類以上のポリオールまたはヒドロキシ酸またはそれらの塩を含み、エマルジョンがさらに乳化剤を含む清澄なスプレー可能な水中油型エマルジョンに関する。
【0009】
適切なシリコーンワックスは、アルケニル置換ポリシロキサンとシラン官能基を持つポリシロキサンの縮合生成物である。
【0010】
適切なオイルは、シリコーン油、天然油、脂肪酸エステル、エーテルおよびモノ、ジおよびトリグリセリド、環状、枝分かれまたは線状炭化水素、線状または枝分かれ脂肪アルコール(ガーベットアルコール)およびそれらの混合物から選択することができる。特に興味深いのは、シリコーン油である。
【0011】
特定の実施態様において、本発明は、油状成分が
(a)1種類以上のシリコーンワックス;
(b)1種類以上のシリコーン油;および
(c)任意に1種類以上の適切なオイルを含み、また、
水相が1種類以上のポリオールまたはヒドロキシ酸またはそれらの塩を含み、エマルジョンがさらに乳化剤を含む清澄なスプレー可能な水中油型エマルジョンに関する。
【0012】
好ましくは、乳化剤はポリヒドロキシアルカンまたはシクロアルカンである。
【0013】
好ましくは、乳化剤はエトキシル化脂肪アルコールである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のエマルジョンは、透明な液体で、従来のオイル配合物の外観と粘度を持つオイルに似た配合物である。本発明のエマルジョンは、スプレー可能で、従来のオイル配合物に比較して、同一の、あるいは、改良された有益作用を示すが、油っぽい/べたつく皮膚感がない。本発明のエマルジョンは、軽く、ソフトな皮膚感があり、さらに、従来のオイルに匹敵する良好な保湿作用を有し、ローションやクリームとして存在する伝統的な水中油型/油中水型配合エマルジョンよりも優れている。本エマルジョンは、従来のオイルにおける、スプレーによる毒性の問題がなく、乳幼児への使用に安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書で使用する用語「清澄な(clear)」は、典型的な消費者製品中に存在する場合、エマルジョンが透明または本質的に透明であり、(透明な容器または包装材に包装する場合)該エマルジョンに隠れた物体を容易に目視できることを意味する。特に、本発明の配合物は、T≧95%の透明度(測定単位としてT%)を有する。透明度は、波長800nmの紫外/可視光分光光度計(UV/VIS double ray spectrophotometer)で測定できる。
【0016】
用語「スプレー可能な(sprayable)」は、該組成物を消費者製品で使用される標準的噴霧器で塗布できることを意味する。特に、スプレー可能なエマルジョンは、一定の剪断速度500/秒でのプレート/コーン回転レオメーターで測定すると、<100 mPasの粘度を有する。好ましくは、本発明に記載のスプレー可能なエマルジョンは、1〜30 mPas、特に1〜15 mPas、即ち剪断速度500/秒で1〜15 mPasの粘度を有する。
【0017】
シリコーンワックス
本発明に記載のエマルジョンに使用するシリコーンワックスは、アルケニル置換ポリシロキサンとシラン(Si-H)官能基を持つポリシロキサンとの共重縮合生成物である。特定のアルケニル置換ポリシロキサンは、アルケニル官能基を末端基とするもので、シラン(Si-H)官能基を持つ特定のポリシロキサンは、シラン基を末端基とするものである。
【0018】
アルケニル置換ポリシロキサンとシラン官能基を持つポリシロキサンは、線状であるが、ある場合、例えば約2 mol%未満のシロキサン単位が限定的に枝分かれしていることができ、その場合、ポリシロキサンは「実質的に線状」である。
【0019】
好ましくは、共重合シリコーンワックスは、約10〜40部、特に約20〜35部、さらに特に約25部〜35部のアルケニル置換ポリシロキサンの、約0.25〜5部、特に約0.5〜2部、さらに特に約0.65〜約1.5部のシラン(Si-H)官能基保有ポリシロキサンとの縮合によって得られる。
【0020】
好ましいアルケニル置換ポリシロキサンは、アルケニル基がビニル、アリル、ヘキセニルまたはシクロへキセニル、さらに好ましくはビニルのものである。
【0021】
具体的な本発明の実施態様では、シリコーンワックスは、ジビニルジメチコンとシランを末端基とするジメチコンの縮合生成物である。
【0022】
これらのシリコーンワックスは、適切な触媒、例えばPtなどの適切な金属触媒の存在下でアルケニル置換ポリシロキサンをシラン官能基保有ポリシロキサンと縮合させることによって調製できる。反応は、適当な乳化剤の存在下で実施でき、その際、水を添加した後、シリコーンワックスの水中エマルジョンが得られる。
【0023】
本発明のエマルジョンで使用する特定のシリコーンワックスは、米国特許第6,013,682号に記載のもの、さらに特に、前記特許文献の実施例に具体的に記述されているジビニルジメチコン/ジメチコンコポリマーである。これらのワックスの水中シリコーンエマルジョン並びにそれらの調製についても、この特許文献に記述されている。
【0024】
本発明での使用に好ましいのは、適切な非イオン型乳化剤、特にエトキシル化脂肪アルコールと配合した、米国特許第6,013,682号に記述されるとおりにエマルジョン中で直接調製するシリコーンワックスである。興味深いのは、約0.3〜約100μmの範囲の粒度と25℃で約1 mm2/秒〜25℃で約108 mm2/秒の範囲の粘度を持つシリコーンワックスエマルジョンである。具体的に興味深いのは、約1〜約100μmの範囲の粒度と約106〜約108 mm2/秒の範囲の粘度を持つワックスエマルジョンである。
【0025】
これらの乳化シリコーンワックスは、本発明に記載のエマルジョンの調製に容易に使用できる。
【0026】
好ましくは、シリコーンワックスまたはワックス類は、0.1〜30%の範囲、好ましくは2〜18%の範囲、さらに好ましくは5〜12%の範囲(w/w、エマルジョンの総重量に対して)の量で本発明のエマルジョン中に存在する。
【0027】
オイル
本発明のエマルジョンは、非水混和性の皮膚適合性成分または成分混合物であり、例えば、シリコーン油、天然油、脂肪酸エステル、モノ、ジまたはトリグリセリド、または他のオイル、あるいはそれらの混合物であることのできる適切なオイルを含有するのがよい。好ましくは、該オイルは周囲温度で液体であり、特に、20℃または25℃で液体である。該オイルは、完全オイル混合物が周囲温度または上述の温度で液体である限り、一定量の固体脂質成分(例、脂肪)を含有できる。
【0028】
特に興味深いのは、例えば環状シリコーン、シクロメチコンなどのジアルキルまたはアルキルアリールシロキサン、ジメチルポリシロキサンおよびメチルフェニルポリシロキサン、並びに、それらのアルコキシル化および4級化類似体、などのシリコーン油である。適切な非揮発性シリコーン油は、例えばポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーである。特に適切なシリコーン油は、両方の分子末端にトリメチルシロキシ基を持つジメチルポリシロキサン、両方の分子末端にトリメチルシロキシ基を持つメチルフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンと両方の分子末端にトリメチルシロキシ基を持つジメチルポリシロキサンのコポリマー、環状ジメチルシロキサン、または環状メチルフェニルシロキサンであることができる。
【0029】
好ましいシリコーン油は、環状ジメチルシリコーン、即ち、テトラシクロメチコンおよびペンタシクロメチコンなどのシクロメチコン、および線状ジメチルシリコーン、即ちジメチコンおよびこれらの混合物を含む。
【0030】
混入可能な他のオイルは、天然油または天然脂肪、または天然油誘導体、特に植物由来のものを含む。例としては、アーモンド油、大豆油、ヒマワリ油、紅花油、コーン油、キャノーラ油、ルリヂサ油、月見草油、グレープシード油、小麦胚芽油、アボガド油、ホホバ油、核油、ゴマ油、アマニ油、ヤシ油、オリーブ油、マカダミア油、ヒマシ油、菜種油、ココナッツ油、ターニップ(カブ)シード油がある。天然油、さらに具体的には上述の天然油から単離されたオイル成分も含まれる。
【0031】
天然油の主成分は、モノ、ジおよび特にトリグリセリドである。これらのグリセリド自体は、本発明のエマルジョン中でオイルとして使用できる。モノ、ジまたはトリグリセリドは、飽和または不飽和、線状または枝分かれ、置換または非置換脂肪酸または脂肪酸混合物から誘導できる。特定のモノ、ジまたはトリグリセリドは、モノ、ジまたはトリ-C6~24脂肪酸グリセリド、具体的にはモノ、ジまたはトリ-C8~22脂肪酸グリセリド、さらに具体的にはモノ、ジまたはトリ-C12~20脂肪酸グリセリド、例えばグリセリルモノステアレート、ジステアレートまたはトリステアレートである。モノ、ジおよびトリグリセリドの混合物は、脂肪酸分画から誘導できる。後者のC12~18脂肪酸モノ、ジおよびトリグリセリド混合物の例。
【0032】
興味深いのは、天然油から単離でき、あるいは、化学的に調製できるトリグリセリドで、例えばグリセリントリステアレート、グリセリントリベヘネート、グリセリントリパルミテート、グリセリントリラウレート、グリセリントリオレエート、グリセリントリミリステートである。トリグリセリドの脂肪酸は、同一であることも、異なることもでき、後者は、混合グリセリドエステルである。モノまたはジグリセリドは、それ自体で使用できるが、通常、トリグリセリドと混合して使用する。例にはグリセリルモノステアレートおよびグリセリルジステアレートがある。
【0033】
本配合物は、脂肪酸のアルキルエステルも含むことができる。前記エステルのアルキル基は、1〜30個の炭素原子、特に6〜24個の炭素原子、さらに特に12〜22個の炭素原子を有することができる。該アルキル基は、好ましくは、脂肪アルコール、並びに、脂肪アルコール混合物、特に線状または枝分かれ、飽和または不飽和脂肪アルコール、例えばC6〜C30-脂肪アルコールなど、特にC8~24脂肪アルコール、さらに特にC12~20脂肪アルコールなどから誘導する。前記アルキルエステルの脂肪酸は、線状または枝分かれ、飽和または不飽和脂肪酸であることができ、特にC6~30脂肪酸、さらに特にC12~24脂肪酸、さらに特にC12~20脂肪酸またはC16~18脂肪酸である。好ましいのは、C6〜C22脂肪酸のC6〜C22脂肪アルコールとのエステルである。
【0034】
エステルタイプのオイル成分の例は、以下のものである:オレイン酸デシル、ココカプリレート/カプレート、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ミリスチル、オレイン酸ミリスチル、イソステアリン酸セチル、オレイン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、オレイン酸イソステアリル、ミリスチン酸オレイル、イソステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、イソステアリン酸ベヘニル、イソステアリン酸エルシル、オレイン酸エルシル。他のオイル成分は線状および/または枝分かれ脂肪酸の多官能価アルコール(例、プロピレングリコール、ジメルジオールまたはトリメルトリオール)および/またはガーベットアルコールとのエステル、並びに、C6〜C22脂肪アルコールおよび/またはガーベットアルコールの芳香族カルボン酸、特に安息香酸とのエステル、C2〜C12ジカルボン酸の炭素原子1〜22個の線状または枝分かれアルコールとのエステル(例、ジオクチルマレエート)である。
【0035】
使用可能な他のオイル成分は、脂肪アルコールである。これらは、飽和または不飽和、直鎖または枝分かれ脂肪アルコールおよびそれらの混合物であることができる。例として、C12〜C50脂肪アルコール、特にC12〜C24脂肪アルコール、さらに特にC16〜C22脂肪アルコール、例えば、ミリスチルアルコール、1-ペンタデカノール、セチルアルコール、1-ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、1-ノナデカノール、アラキジルアルコール、1-ヘネイコサノール、ベヘニルアルコール、ブラシジルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、ミリシルアルコール、ラウリルアルコール、カプリルアルコール、カプリニルアルコール、セチルアルコール、パルモレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、アラキジルアルコール、ガドレイルアルコール、エルシルアルコール、およびセテアリルアルコールなどのそれらの混合物、C12/13脂肪アルコールがある。
【0036】
なおも他のオイルは、C14〜C40脂肪酸およびそれらの混合物である。特に興味深いのは、C16〜C30脂肪酸である。これらは、例えばミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リゴセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、エルカ酸、エラエオステアリン酸、オレイン酸、ロノレイン酸、ラウリン酸、並びに、置換脂肪酸、例えばヒドロキシ置換脂肪酸で、例えば12-ヒドロキシステアリン酸、およびこれらの脂肪酸のアミドまたはモノエタノールアミドを含む。
【0037】
さらなるオイルは、対称または非対称、直鎖または枝分かれ、飽和または不飽和であることのできるジアルキル(エン)エーテルである。興味深いのは、C6〜C30-ジアルキルエーテル、特にC6〜C24-ジアルキルエーテル、さらに特に、C6〜C20-ジアルキルエーテル、例えばジステアリルエーテル、ジベヘニルエーテル、ジ-n-オクチルエーテル、ジ-(2-エチルヘキシル)-エーテル、ラウリルメチルエーテル、オクチルブチルエーテル、ジドデシルエーテルである。これらのエーテルは、適当な脂肪アルコール、特に上述の脂肪アルコールから技術上周知の手順に従って入手できる。
【0038】
使用可能な炭酸ジアルキル(エン)は、対称または非対称、直鎖または枝分かれ、飽和または不飽和である。興味深いのは、直鎖または枝分かれ、飽和または不飽和炭酸C14〜C30-ジアルキル(エン)、特に上述の脂肪酸から誘導する炭酸塩である。興味深いのは、炭酸C16〜C24ジアルキルで、特定の組は、飽和線状炭酸C16〜C22-ジアルキル、例えば炭酸ジステアリル、炭酸ジヘキシル、ジオクチル、ジ-(2-エチルヘキシル)またはジオレイルである。
【0039】
使用可能なジカルボン酸は、例えばC9〜C34-ジカルボン酸である。これらは、オクタデカン二酸、テトラトリデカン二酸などを含む。特に興味深いのは、C9-ジカルボン酸のアゼライン酸である。
【0040】
他のオイル成分は、飽和または不飽和、直鎖または枝分かれのヒドロキシ脂肪アルコールである。興味深いのは、ヒドロキシ置換基の位置が反応経路および使用した出発材料によって異なるC12〜C30-ヒドロキシ脂肪アルコールである。例えば1,10-デカンジオール、1,2-ヘキサデカンジオール、1,2-ヒドロキシステアリルアルコールまたはヒドロキシ-ガーベットアルコールが含まれる。
【0041】
使用可能なさらなるオイル成分は、鉱物油およびパラフィン油および脂肪族か芳香族の合成油、並びに、それらの混合物を含む。例としては、炭素原子6〜18個、特に8〜10個を持つ脂肪族アルコールを基礎とするガーベットアルコール、または炭化水素、例えばスクワラン、スクワレン、パラフィン油、イソヘキサデカン、イソエイコサン、ポリデケン、並びに、ジアルキルシクロヘキサンである。
【0042】
本発明に記載のエマルジョン中のオイルまたはオイル成分(シリコーンワックスは除外)の総量は、異なることができるが、一般に0.1%〜15%、好ましくは0.2%〜7%、さらに好ましくは0.5%〜2.5%(w/w、エマルジョン総重量に対して)の範囲である。
【0043】
本発明のエマルジョン中のオイル成分、即ちシリコーンワックスおよび本明細書で述べるオイルなど全脂質成分を含む総量は、異なることができるが、一般に、2〜45%の範囲、好ましくは4〜25%、さらに好ましくは5〜15%の範囲である(w/w、エマルジョン総重量に対して)。
【0044】
水相は、1種類以上のポリオールまたはヒドロキシ酸またはそれらの塩を含有する。特にポリオールは、ポリヒドロキシアルカンまたはシクロアルカンである。前記ポリオールの例は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンおよびヘキシレングリコールなどの低級アルキレングリコール;グリセリン、ソルビトール、シクロヘキサンジオールなどのポリオールである。例えばグリコール酸、乳酸、クエン酸およびそれらの塩などのヒドロキシ酸およびそれらの塩も使用できる。塩は、例えばアルカリ金属塩、特にカリウム塩およびナトリウム塩、アンモニウム塩または置換アンモニウム塩を含む。特に興味深いのは、プロピレングリコールおよびグリセリンである。
【0045】
ポリオールは、水相の屈折率を調整し、できる限り油相の屈折率に近づけるために添加する。両相の屈折率は、同様であることが必要で、約0.003以上、特に約0.002以上、好ましくは0.0012以上の差があってはならない。
【0046】
そのため、水相の屈折率がこれらの基準を満たすように、添加するポリオールの量を選択する。
【0047】
本発明のエマルジョン中のポリオール総量は異なることができるが、一般に、20〜60%の範囲、好ましくは30〜50%の範囲、さらに好ましくは35〜45%の範囲である(w/w、エマルジョン総重量に対して)。
【0048】
本発明のエマルジョン中の水相または油相は、さらにスキンケア製品に常用される成分、例えば一定の有効成分、香料、皮膚軟化剤などを含有できる。
【0049】
本発明のエマルジョン中の水相は、様々な量で存在できるが、通常、この相は、50〜98%の範囲、好ましくは70〜96%の範囲、さらに好ましくは85〜95%の範囲である量で存在する(w/w、エマルジョン総重量に対して)。
【0050】
本発明の組成物は、さらに、適切な乳化剤を含有できる。好ましくは、該乳化剤は、エトキシル化またはプロピルオキシル化脂肪アルコールから選択する。適量のエチレンまたはプロピレンオキサイドと脂肪アルコール、特に上述の脂肪アルコールの付加反応によって、これらの生成物を入手できる。これらの生成物を誘導する脂肪アルコールは、飽和または不飽和、直鎖または枝分かれ脂肪アルコールであることができる。特に、脂肪アルコールは、天然脂肪、オイルまたはワックスから誘導する。
【0051】
ある実施態様では、エトキシル化またはプロピルオキシル化脂肪アルコールは、C12〜C50-脂肪アルコール、特にC12〜C24-脂肪アルコール、さらに特にC16〜C22-脂肪アルコールから、あるいは、C8〜C24-脂肪アルコールから、あるいは、C8〜C16-脂肪アルコールから、およびそれらの混合物から誘導する。エトキシル化またはプロピルオキシル化脂肪アルコールは、1〜50個、特に3〜40個、さらに特に5〜30個のエトキシまたはプロポキシ単位を含有できる。数件の実施態様では、エトキシル化またはプロポキシル化脂肪アルコールは、3〜10個のエトキシまたはプロポキシ単位を含有するが、他の実施態様では、前記アルコールは20〜25個のエトキシまたはプロポキシ単位を含有する。数件の他の実施態様では、両群のエトキシル化アルコールの混合物を使用する。好ましいのは、エトキシル化脂肪アルコールである。さらに興味深いのは、上述のPEG/PPG脂肪アルコールのブロックポリマーである。
【0052】
例としては、エトキシル化又はプロポキシル化ミリスチルアルコール、1-ペンタデカノール、セチルアルコール、1-ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、1-ノナデカノール、アラキジルアルコール、1-ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、ブラシジルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、ミリシルアルコール、ラウリルアルコール、カプリルアルコール、カプリニルアルコール、セチルアルコール、パルモレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、アラキジルアルコール、ガドレイルアルコール、エルシルアルコールおよびセテアリルアルコールなどのそれらの混合物、C12/13脂肪アルコール、並びに、ガーベットアルコールである。
【0053】
天然に産するオイルまたは脂肪、例えばアーモンド油、大豆油、ヒマワリ油、紅花油、コーン油、キャノーラ油、ルリヂサ油、月見草油、グレープシード油、小麦胚芽油、アボガド油、ホホバ油、ゴマ油、クルミ油、アマニ油、ヤシ油、オリーブ油、ヒマシ油、マカダミア油、菜種油、落花生油、ココナッツ油、ターニップシード油から誘導する相応の脂肪酸分画の還元から得られる脂肪アルコール分画を含めて、脂肪アルコール混合物も確実に使用できる。
【0054】
乳化剤として興味深いのは、エトキシル化またはプロポキシル化C8~24-脂肪アルコール、好ましくは、3〜30個のエトキシ単位を持つエトキシル化C8~16脂肪アルコールである。特に興味深いのは、3〜10個のエトキシまたはプロポキシ単位を含有するエトキシル化またはプロポキシル化脂肪アルコール、あるいは、20〜25個のエトキシまたはプロポキシ単位を含有する同アルコールである。数件の他の実施態様では、両群のエトキシル化またはプロポキシル化アルコールの混合物を配合して使用している。
【0055】
好ましい乳化剤は、特に上述のエトキシル化度を有するエトキシル化C12/13アルコール(Pareth)およびエトキシル化ラウリルアルコール(Laureth)である。
【0056】
本発明のエマルジョン中の乳化剤の総量は、異なることができるが、一般に、0.05%〜10%の範囲、好ましくは0.1%〜5%、さらに好ましくは0.3%〜2%の範囲である(w/w、エマルジョン総重量に対して)。
【0057】
本発明の油様エマルジョンのpHは、該エマルジョンが皮膚適合性があるように選択する。一般に、良好な皮膚適合pHはpH4〜8の範囲、好ましくはpH5〜6の範囲であると考えられる。特に興味深いpHは、例えばpH+/−0.2の範囲内で多少安定を保つpH5.5である。
【0058】
pHを安定化させるために、クエン酸、乳酸または適当なそれらの塩などの緩衝剤を添加できる。
【0059】
本発明に記載のエマルジョンは、防腐剤、有効成分、香料などの追加成分を含有できる。
【0060】
完全配合物の屈折率は異なることができるが、本発明の具体的な実施態様では、エマルジョン屈折率は約1.3996〜約1.4216である。
【実施例1】
【0061】
【表1】

【0062】
ジビニルジメチコン/ジメチコンコポリマーは、ダウ・コーニング(Dow Corning)社(Dow Corning HMW 2220(登録商標) 非イオン型エマルジョン)から販売されており、米国特許第6,013,682号に記述されている。
【0063】
調製方法は、以下のとおりである:
1)香料とポリソルベート20を予備混合する。
2)約2%の規定量の水を使用し、クエン酸溶液を調製する。
3)プロピレングリコール、乳酸ナトリウム、グリセリン、Nipagin M Sodiumおよび残量の水を合わせて混合する。
4)香料予備混合物を添加する。
5)クエン酸溶液を添加する。
6)pHを測定する−目安としてpH5.4〜5.5
7)別のビーカー中でDC HMWとシクロペンタシロキサンを予備混合する(実施例2用のみ)
8)水混合物を上記溶液にゆっくりと添加する。
【0064】
屈折率を測定し、屈折率を合わせ、透明な製品を得るために、必要ならば、水またはグリセリンで調整する。
【実施例2】
【0065】
【表2】

【0066】
ジビニルジメチコン/ジメチコンコポリマーは、Dow Corning HMW 2220(登録商標)非イオン型エマルジョンである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
清澄なスプレー可能な水中油型エマルジョンであって、油状成分が、任意に1種類以上の適切なオイルと混合した1種類以上のシリコーンワックスを含み、水相が1種類以上のポリオールまたはヒドロキシ酸またはそれらの塩を含み、前記エマルジョンがさらに乳化剤を含むことを特徴とする水中油型エマルジョン。
【請求項2】
前記シリコーンワックスがアルケニル置換ポリシロキサンとシラン官能基を持つポリシロキサンの縮合生成物であることを特徴とする請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項3】
前記の適切なオイルをシリコーン油、天然油、脂肪酸エステル、エーテルおよびモノ、ジおよびトリグリセリド、環状、枝分かれまたは線状炭化水素、線状または枝分かれ脂肪アルコール(ガーベットアルコール)およびそれらの混合物から選択することを特徴とする請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項4】
前記の適切なオイルがシリコーン油であることを特徴とする請求項3に記載のエマルジョン。
【請求項5】
前記油状成分が
(a)1種類以上のシリコーンワックス;
(b)1種類以上のシリコーン油;および
(c)任意に1種類以上の適切なオイルを含み、
前記水相が1種類以上のポリオールまたはヒドロキシ酸またはそれらの塩を含み、前記エマルジョンがさらに乳化剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項6】
前記油状成分が
(a)5〜12%の1種類以上のシリコーンワックス;
(b)0.5〜2.5%の1種類以上のシリコーン油;および
(c)任意に1種類以上の適切なオイルを含み、
前記水相が1種類以上のポリオールまたはヒドロキシ酸またはそれらの塩を含み、前記エマルジョンがさらに0.3〜2%の乳化剤を含むことを特徴とする請求項5に記載の水中油型エマルジョン。
【請求項7】
前記ポリオールがポリヒドロキシアルカンまたはポリヒドロキシシクロアルカンであることを特徴とする請求項1〜6に記載のエマルジョン。
【請求項8】
前記ポリオールがグリセリンであることを特徴とする請求項7に記載のエマルジョン。
【請求項9】
前記乳化剤がエトキシル化脂肪アルコールであることを特徴とする請求項1〜6に記載のエマルジョン。
【請求項10】
前記乳化剤をエトキシル化C8~16脂肪アルコールから選択することを特徴とする請求項9に記載のエマルジョン。


【公表番号】特表2006−513196(P2006−513196A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563209(P2004−563209)
【出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014905
【国際公開番号】WO2004/058212
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(597046982)ジョンソン・アンド・ジョンソン・ゲーエムベーハー (13)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Gmbh
【住所又は居所原語表記】Kaiserswerther Strasse 270,D−40474 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】