説明

スプレー塗布装置、スプレー塗布方法

【課題】 支持体上に塗布液をスプレー塗布装置にて塗設する際、塗布中に液滴の落下を防止し長時間の塗布が安心して行うことが可能なスプレー塗布装置及びスプレー塗布方法を提供することである。
【解決手段】 連続搬送する支持体上に形成されたインク吸収層の幅方向の全幅上に、塗布液をスプレー塗布し表面層を形成するスプレー塗布装置において、乾燥工程の外部に配設され、スプレーコータと、塗布液飛散防止手段とを有し、前記塗布液飛散防止手段は、前記スプレーコータ側に開口部を有する本体と、吸引手段と、回収手段と、支持体と前記本体の下面との間隙に気体を供給する気体供給手段とを有し、前記本体の天板の内側に、前記支持体の搬送方向と同一方向に溝が設けられていることを特徴とするスプレー塗布装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体上に塗布液をスプレーすることで塗布膜層を形成するスプレー塗布装置及びスプレー塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被塗布体上に塗布液を塗布する方法は種々知られている。例えば、搬送される長尺の帯状被塗布体上に塗布液を高精度に塗布する方法としては、Edward Cohen,Edgar Gutoff著「MODERN COATING AND DRYING TECHNOLOGY」に述べられている如く、各種の方法が提案されており、例えば、ディップ塗布法、ブレード塗布法、エアーナイフ塗布法、ワイヤーバー塗布法、グラビア塗布法、リバース塗布法、リバースロール塗布法、エクストルージョン塗布法、スライドビード塗布法、カーテン塗布法、スプレー塗布法等が知られている。これら、エクストルージョン塗布法、スライドビード塗布法は前計量型塗布方法と呼ばれ、高速、薄膜、多層同時塗布が可能であり、その特徴によりインクジェット用記録媒体、写真感光材料、磁気記録材料等のコータとして広く用いられている。エクストルージョン塗布法にはエクストルージョン型コータ、スライドビード塗布法にはスライド型コータが使用されている。その好ましい一例としては、Russell等により米国特許第2,761,791号に提案されたスライドビード塗布装置、或いはエクストルージョン塗布装置等が広く用いられている。又カーテン塗布装置もダイスを有する流量規制型の塗布装置であるが、同様に広く用いられている。
【0003】
しかし、これらコータを有する塗布装置による塗布は、その原理上、ビードやカーテン膜等、塗布装置と被塗布体との間を連続的に塗布液で繋ぐことになる。被塗布体上に均一な厚さの塗布膜を形成するためには、塗布装置からの塗布液流量は、常に一定で、途切れがあってはならない。すなわち、塗布膜を連続的に形成するため、又、塗布膜厚を精度高く一定にするために、所定量以上の塗布液を要することになる。よって、これらの方式において、塗布装置から吐出される塗布液量を極端に少なくすることは、均一な膜厚を得る目的からすると困難を伴う。
【0004】
そのため、塗布層あたりの溶質量が少ない、つまり、塗布液を塗布し乾燥する前の湿潤膜厚がごく薄い膜(例えば、1〜50μm程度)を形成する場合には、塗布液の溶媒量を増やし、塗布液全体を増量することが必要となる。特に塗布液の粘度が低い場合には、基体上で流れてしまうため、安定な塗布膜を形成することが難しく、塗布液量をますます増やさねばならない。
【0005】
しかし、溶媒量を増やすと、塗布後、溶媒を飛ばして乾燥させる負荷(乾燥負荷)が大きくなり、生産効率上好ましくない。又、溶媒量が多かったり、乾燥に時間が掛かると、当該塗布層の下に別の構成層が存在する場合には、該構成層に当該塗布層の塗布液が過度に浸透、拡散し、悪影響を及ぼす場合がある。よって、薄膜を、塗布膜厚の精度高く、乾燥負荷が少なく、生産性高く設ける塗布方法が望まれている。
【0006】
このような高精度に均一な塗布膜厚の薄膜を、構成層上に設けることが必要となる塗布製造物としては色々あるが、例えばインクジェット記録方法に用いられるインクジェット用記録媒体(以下、記録媒体とも言う)が挙げられる。記録媒体としては、例えば、普通紙のように紙そのものであるものや、コート紙のように吸収体を兼ねる支持体の上にインク吸収層を塗設したもの、或いは樹脂被覆紙やポリエステルフィルムのような非吸収性の支持体の上にインク吸収層を塗設したもの等がある。
【0007】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて記録用紙に付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有している。特に、最近ではプリンタの高画質化が進み写真画質に到達していることから、記録用紙も写真画質を実現し、且つ銀塩写真の風合い(光沢性、平滑性、コシなど)を再現することが求められている。
【0008】
銀塩写真の風合いを再現する方法の一つとして、支持体上にゼラチンやポリビニルアルコールなどの親水性バインダを塗設した、いわゆる膨潤型の記録用紙が知られている。しかしながら、この方法で作製された記録用紙は、インク吸収速度が遅い、プリント後に表面がべたつき易い、保存中に湿度の影響を受けて画像がにじみ易い等の欠点を有している。特に、インク吸収速度が遅いため、吸収される前にインクの液滴同士が混ざり合い、異色間のにじみ(ブリーディング)や同色内の色むら(ビーディング)を発生させやすく、銀塩写真と同程度の画質を得るのは非常に困難となっている。
【0009】
上記膨潤型に代わり主流となりつつあるのがいわゆる空隙型であり、インク吸収層に多孔質の無機微粒子を有しており、この多孔質の無機微粒子にインクを吸収させるため、吸収速度が速いのが特徴である。この様な空隙型の記録用紙の例としては、特開平10−119423号、同10−119424号、同10−175364号、同10−193776号、同10−193776号、同10−217601号、同11−20300号、同11−106694号、同11−321079号、同11−348410号、同10−178126号、同11−348409号、特開2000−27093、同2000−94830、同2000−158807、同2000−211241等に記載されている。
【0010】
一方、画質や風合いに加え、耐久性や画像保存性に対する要求もより高度になり、耐光性、耐湿性、耐水性なども銀塩写真レベルに到達させる試みが数多くなされている。耐光性向上の例としては、特開昭57−74192号、同57−87989号、同57−74193号、同58−152072号、同64−36479号、特開平1−95091号、同1−115677号、同3−13376号、同4−7189号、同7−195824号、同8−25796号、同11−321090号、同11−277893号、特開2000−37951等に記載されている多数の技術が開示されている。
【0011】
空隙型の記録用紙の場合は、耐光性だけでなく、その空隙構造に起因してオゾン、オキシダント、SOx、NOxなど空気中の極微量の活性な有害ガスにより変褪色を起こし易い問題がある。特に、一般のカラーインクジェットプリンタに採用されているフタロシアニン系水性染料で変褪色が起こり易い。この様にインク吸収層の空隙構造に起因する問題の対策の一つとしてインク吸収層上に表面層を設ける方法が知られている。
【0012】
表面層を設けることで、空隙構造中にオゾン、オキシダント、SOx、NOxなど空気中の極微量の活性な有害ガスを入り込ませないことから効果的であり、例えば特開平7−237348号公報には、0.5〜30μmの厚さの透明高分子膜を設ける技術が知られている。又、特開2004−122705には、インク受容層上に、粘度が0.7〜2mPa・sの塗布液を、乾燥前の厚さが10〜50μmになるように、カーテンスプレー塗布装置を用いて平均液滴径が5〜30μmの噴霧状態でインク受容層上に塗布液層を形成する技術が知られている。しかしながら、カーテンスプレー塗布装置を用いてインク受容層上に塗布液層を形成することで、薄膜塗布が出来、乾燥負荷も少なく、画像保存性の面でも効果はあるが、カーテンスプレー塗布装置を用いて塗布液層を塗布すると、膜厚のバラツキ、噴霧した液滴の飛散に伴う塗布故障の問題点を有していた。
【0013】
特開2004−906には、膜厚のバラツキ対策として、塗布液の粘度、気体を噴出する時の線速度、平均粒径、スプレー装置と被塗布体との距離、塗布速度等を規定することで、基体の幅方向の塗布幅の変動が±20%以下、搬送方向の塗布幅の変動が±10%以下にするスプレー塗布方法が記載されている。
【0014】
噴霧した液滴の飛散に伴う塗布故障対策として、例えば、基体の搬送方向と交差する方向の塗布幅に渡ってスプレー装置により塗布液を噴霧し、基体上に塗布液層(表面層)を形成する際、噴霧した塗布液の飛散を防止するためにスプレーコータを減圧に保持した筐体内に配設したスプレー装置を使用するスプレー塗布方法及びスプレー塗布装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0015】
特許文献1に記載のスプレー塗布装置の場合、塗布工程全体に噴霧した塗布液の飛散防止には効果があるが、しかしながら、次の問題点を有している。
【0016】
1)塗布中に筐体内の壁に付着した塗布液が液滴が塗膜上に落下し粒状ムラ(塗布ムラ)が発生し、故障の原因となる危険性がある。
【0017】
2)スプレー塗布装置を収容する筐体と支持体との間隙から、塗布に使用されなかった噴霧状の塗布液の液滴が飛散し、飛散した液滴が支持体に再付着して粒状ムラ(塗布ムラ)を発生させる危険がある。又、飛散した液滴がスプレー塗布工程内を汚す場合もある。この様な状況から、支持体上にに、塗布液をスプレー塗布装置にて塗設し、塗布膜層を形成する際、塗布中に液滴の落下を防止し長時間の塗布が安心して行うことが可能なスプレー塗布装置、スプレー塗布方法を開発することが望まれている。
【特許文献1】特開2004−90330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、支持体上に塗布液をスプレー塗布装置にて塗設する際、塗布中に液滴の落下を防止し長時間の塗布が安心して行うことが可能なスプレー塗布装置及びスプレー塗布方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0020】
(請求項1)
バックアップロールに支持され連続搬送する帯状支持体の幅方向に塗布液をスプレー塗布し、前記帯状支持体上に塗布膜層を形成するスプレー塗布装置において、
前記スプレー塗布装置は、前記バックアップロールに近接し、スプレーコータと、塗布液飛散防止手段とを有し、
前記塗布液飛散防止手段は、前記スプレーコータ側に開口部を有する箱体構造の本体と、前記本体に繋がった吸引手段と、回収手段と、バックアップロール上の前記帯状支持体と前記本体の下面との間隙に気体を供給する気体供給手段とを有し、
前記箱体構造の天板の内側に、前記帯状支持体の搬送方向と同一方向に溝が設けられていることを特徴とするスプレー塗布装置。
【0021】
(請求項2)
前記溝は、幅が0.2〜2mm、深さが0.1〜1mmであることを特徴とする請求項1に記載のスプレー塗布装置。
【0022】
(請求項3)
前記本体の天板は、バックアップロールの回転軸を含む面に対して25〜75°の角度を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプレー塗布装置。
【0023】
(請求項4)
前記塗布液飛散防止手段は、開口部をスプレーコータの幅方向の壁面に接触させ、バックアップロールの外周面に近接するように配設し、スプレーコータの上流側と下流側とにそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のスプレー塗布装置。
【0024】
(請求項5)
前記塗布液飛散防止手段は移動手段を有し、該移動手段により、該塗布液飛散防止手段は、スプレーコータが塗布位置と待機位置との間を移動する際、該スプレーコータの移動に合わせて、配設位置と待機位置との間を移動することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のスプレー塗布装置。
【0025】
(請求項6)
前記スプレーコータがカーテンスプレーコータであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のスプレー塗布装置。
【0026】
(請求項7)
前記帯状支持体は表面に少なくとも1層のインク吸収層が形成されたインクジェット記録用紙用の支持体であり、該インク吸収層が少なくとも1層の無機微粒子と、バインダとを含有する多孔質層で構成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のスプレー塗布装置。
【0027】
(請求項8)
バックアップロールに支持され連続搬送する帯状支持体上に、前記支持体の搬送方向と交差する位置に配設されたスプレー塗布装置により、前記帯状支持体の幅方向に塗布液をスプレー塗布し塗布膜層を形成するスプレー塗布方法において、
前記スプレー塗布装置は、前記バックアップロールに近接し、スプレーコータと、塗布液飛散防止手段とを有し、
前記塗布液飛散防止手段は、前記スプレーコータ側に開口部を有する箱体構造の本体と、前記本体に繋がった吸引手段と、回収手段と、バックアップロール上の前記帯状支持体と前記本体の下面との間隙に気体を供給する気体供給手段とを有し、
前記箱体構造の天板の内側に、前記帯状支持体の搬送方向と同一方向に溝が設けられていることを特徴とするスプレー塗布方法。
【0028】
(請求項9)
前記溝は、幅が0.2〜2mm、深さが0.1〜1mmであることを特徴とする請求項8に記載のスプレー塗布方法。
【0029】
(請求項10)
前記本体の天板は、バックアップロールの回転軸を含む面に対して25〜75°の角度を有していることを特徴とする請求項8又は9に記載のスプレー塗布方法。
【0030】
(請求項11)
前記塗布液飛散防止手段は、開口部をスプレーコータの幅方向の壁面に接触させ、バックアップロールの外周面に近接するように配設し、スプレーコータの上流側と下流側とにそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載のスプレー塗布方法。
【0031】
(請求項12)
前記塗布液飛散防止手段は移動手段を有し、該移動手段により、該塗布液飛散防止手段は、スプレーコータが塗布位置と待機位置との間を移動する際、該スプレーコータの移動に合わせて、配設位置と待機位置との間を移動することを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載のスプレー塗布方法。
【0032】
(請求項13)
前記スプレーコータがカーテンスプレーコータであることを特徴とする請求項8〜12の何れか1項に記載のスプレー塗布方法。
【0033】
(請求項14)
前記帯状支持体は表面に少なくとも1層のインク吸収層が形成されたインクジェット記録用紙用の支持体であり、該インク吸収層が少なくとも1層の無機微粒子と、バインダとを含有する多孔質層で構成されていることを特徴とする請求項8〜13の何れか1項に記載のスプレー塗布方法。
【発明の効果】
【0034】
支持体上に塗布液をスプレー塗布装置にて塗設する際、塗布中に液滴の落下を防止し長時間の塗布が安心して行うことが可能なスプレー塗布装置及びスプレー塗布方法を提供することが出来、コスト低減、生産効率の向上、品質向上が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の実施の形態を図1〜図8を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、本発明のスプレー塗布装置及びスプレー塗布方法について、インクジェット記録用紙の表面層の塗布方法を代表例として挙げて説明する。
【0036】
図1はスプレー塗布装置を記録用紙置した塗布製造ラインの一例を示す模式図である。
【0037】
図中、1は塗布製造ラインを示す。塗布製造ライン1は、支持体の繰り出し部2と、インク吸収層を形成する塗布液を塗布する第1塗工部3と、冷却部4と、乾燥部5と、インク吸収層の上に表面層を形成する塗布液をスプレー塗布する第2塗工部6と、巻き取り部7とを有している。
【0038】
202は支持体201の元巻きロールを示す。繰り出し部2から繰り出された支持体201は第1塗工部3でバックアップロール301に巻回された支持体201上にコータ302により少なくとも1層のインク吸収層を形成するための塗布が行われる。インク吸収層としては少なくとも1層の無機微粒子と、バインダとを含有する多孔質層で構成されていることが好ましい。コータ302としては同時に多層の塗布液が塗布出来ることから流量規制型のスライドビード塗布装置が好ましい。
【0039】
支持体201上にインク吸収層を形成する塗布液層を有する支持体は、インク吸収層用の塗布液が親水性バインダを含有しているので冷却部4で冷却装置401により固定化された状態で乾燥部5に搬送され、溶媒が除去されてインク吸収層203が形成される。501は乾燥箱を示し、502は搬送用のロールを示し、503は塗布面の接触を避けるため支持体を浮かせて搬送するための気体を吹き出し塗布膜表面と非接触で反転搬送させるリバーサを示す。これにより、塗布面の接触を避け乾燥することが可能となっている。
【0040】
乾燥部5で、塗布液層中の溶媒が除去されインク吸収層203が形成された段階で、乾燥部5の外側に配置された第2塗工部6で、バックアツプロール602に巻回された支持体のインク吸収層203の上に表面層用の塗布液がスプレー塗布装置601によりスプレー塗布される。表面層用の塗布液が塗布された支持体は再度乾燥箱に入り乾燥が行われ、表面層用の塗布液の溶媒の除去が行われ表面層204が形成され乾燥箱から出て、巻き取り部7で巻き芯701に巻き取られロール状の記録用紙702が製造される。尚、乾燥部における乾燥は、温風を吹き付け乾燥する方式が好ましい(温風吹き付け手段は不図示)。尚、本発明においてインク吸収層上に形成される表面層は、塗布液がインク吸収層上にスプレー塗布された時一部はインク吸収層中に浸透している状態も含めるものとする。
【0041】
第2塗工部6の配設する位置は乾燥工程の途中、好ましくは減率乾燥以降の位置で、且つ、乾燥部の外部で、塗工後に再度乾燥を行うことが可能であれば特に限定はない。例えば、本図に示す乾燥部を第1乾燥部と第2乾燥部との2つ分割し、第1乾燥部と第2乾燥部の間に配設してもよいし、本図に示す様に乾燥部の乾燥箱の上部に配設してもよいが、工程を大きくすることなく第2塗工部6構成する部材を納める関係から乾燥部の乾燥箱の上部に配設することが好ましい。第2塗工部6のスプレー塗布装置601は搬送方向と直交する方向である支持体の塗布面に対向するように配置されている。第2塗工部6の詳細については、図2で説明する。第2塗工部6を乾燥部の外に出し、バックアップロールに支持された支持体上のインク吸収層上に表面層を塗布することにより次の効果が得られる。
【0042】
1)スプレー塗布に伴う塗布液の飛沫により、搬送ロール、乾燥箱内壁の汚染が防止出来るため、搬送ロールに付着した異物の転写による異物付着、乾燥箱内壁からの異物落下による異物付着を防止することが可能となり製品性能が安定する。
【0043】
2)乾燥部を大きくすることがないため、乾燥に必要とするエネルギーのロスを必要最低限に抑えることが可能となる。
【0044】
3)スプレー塗布装置のメンティナンスが容易になる。
【0045】
4)バックアップロールに支持された状態で塗布するため、支持体のバタツキが無くなり安定した塗布が可能になり、製品性能が安定する。
【0046】
図2は図1のXで示される部分の概略図である。図2の(a)は図1のXで示される部分の概略拡大斜視図である。図2の(b)は図2の(a)に示されるA−A′に沿った概略断面図である。尚、本図はスプレーコータの中でも本発明に係る記録用紙の表面層塗布に好ましいカーテンスプレーコータを使用した場合を示している。
【0047】
スプレー塗布装置601は、カーテンスプレーコータ601aと、カーテンスプレーコータ601aの上流側と下流側に設けられた塗布液飛散防止手段601bとを有している。上流側と下流側に設けられた塗布液飛散防止手段601bは同じ構造で同じ機能を有している。601a1はカーテンスプレーコータ601aに塗布液を供給する塗布液供給管を示し、601a2(601a3)は、供給された塗布液を噴霧するためカーテンスプレーコータ601aに気体を供給する気体供給管を示す。カーテンスプレーコータ601aは、スプレーコータの中でも本発明に係る記録用紙の表面層塗布に好ましいカーテンスプレーコータを示している。
【0048】
601b1は塗布液飛散防止手段601bの本体を示す。本体601b1は、カーテンスプレーコータ601a側を前部とし、反対側を後部とする。本体601b1は、吸引室601b6と、気体供給室601b7と、天板601b8と、両端に側壁601b9と、吸引室601b6の底板601b10と、吸引室601b6の後部側壁601b12と、気体供給室601b7の底板601b11と、気体供給室601b7の後部側壁601b13とを有し、カーテンスプレーコータ601a側に開口部601b14を有する箱体構造となっている。
【0049】
601b81は天板601b8の内側に支持体201の搬送方向に平行に沿って設けられた溝601b82(図3を参照)を構成する溝側壁を示す。塗布液飛散防止手段601bは、カーテンスプレーコータ601aの上流側と下流側に配設した時、天板601b8は支持体201の長手方向に傾斜しており、天板601b8の傾斜角度に関しては図 で詳細に説明する。601b2は後部側壁601b12に取り付けられ、本体内部を減圧にする吸引手段の吸引管を示す。吸引管601b2は真空ポンプ(不図示)へ繋がっており、本体601bの内側を減圧にすることを可能にしている。601b4は本体内部の吸引量を調整するため、吸引管601b2に取り付けられた調整弁を示す。
【0050】
吸引管の取り付ける数はカーテンスプレーコータ601aの大きさ、カーテンスプレーコータ601aへの塗布液供給量等により変わるため規定することは出来ないが、本図では3本の場合を示している。吸引管601b2を介して吸引室601b6内部を吸引することでカーテンスプレーコータ601aから噴霧された塗布液で、塗布に関与せずに浮遊している液滴801(図6を参照)状態(噴霧状態)の塗布液は飛散することなく排除することが可能となっている。
【0051】
吸引手段の吸引管の吸引速度は、カーテンスプレーコータ601aの大きさ、塗布液飛散防止手段601bの本体の大きさ、塗布液の種類等から適宜設定することが可能となっているが、塗布に関与せずに浮遊している液滴(図6を参照)の排除、本体内部に付着した液滴801(図6を参照)の落下による塗布故障、塗布安定化を考慮し、目安として5〜20m/sとすることが好ましい。
【0052】
601b3は後部側壁601b13に取り付けられた気体供給管を示す。気体供給管601b3を介して気体供給室601b7に気体を供給することで開口部601b14の下部601b15側(バックアップロール602上のインク吸収層203を有する支持体201と本体601bの開口部601b14の下部601b15との間隙)からバックアップロール602に支持された支持体側に沿って発生する塗布に関与せずに浮遊している液滴801(図6を参照)の漏出を防止する。
【0053】
気体供給管601b3からの気体の供給量としては、例えば、本体601bの内側の減圧度が−3kPaの時は、3m3/min〜6m3/minが好ましい。気体の供給量が3m3/min未満では、塗布液の供給量が多い場合、噴霧状の液滴をカバー内の吸引だけでは吸引出来ず、支持体とカバーの間隙から噴霧状の液滴が漏れてしまい、支持体に付着し塗布ムラを起こす場合がある。又、本体の内側に付着した液滴がコンデンスして、雫状になり支持体に垂れ落ちて濃度ムラとなる場合がある。気体の供給量が6m3/minを超えると、ノズルから噴霧された塗布液に過度の抵抗を与え、塗布液が一定の噴霧状態とならず濃度ムラとなる場合がある。
【0054】
601b5は吸引室601b6の底板601b10に取り付けられた、本体601b1の内部に溜まった塗布液を回収する塗布液回収管を示す。塗布液回収管601b5は回収容器(不図示)へ繋がっている。
【0055】
601b16は本体601bの内側開口部601b14の近傍の天板601b8の内側のに張られた吸着部材を示す。吸着部材としては、高分子吸収材(Superabsorbent Polymer:SAP)例えば、デンプン系のグラフト重合体、カルボキシルメチル化体、セルロース系のグラフト重合体、カルボキシルメチル化体、合成ポリマーとしてのポリアクリル酸系、ポリアクリル酸塩系、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系、ポリオキシエチレン系、イソブチレンマレイン酸塩系等の単体もしくはこれら各々の合成体、又は、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の各混合体等が挙げられる。一例としてポリアクリル酸ナトリウム系樹脂を用いる場合、水分を吸収するとナトリウムイオンがポリマーの網目から排出され、ポリマー側鎖のカルボン酸イオン間の電子反発で大きくなったポリマー網目の間隙に水が流出して吸収効果が生じる。又、その他の吸水性担体として、例えば、雑誌「表面、Vol.33、No.4、52−59、(1995)」に記述されているような紙おむつや生理用品などの衛生用品、土壌保水材などの農業園芸用品等に使用される各種の高吸水性高分子がを使用することも可能である。
【0056】
吸着部材601b16により開口部601b14の内側に付着した液滴8(図6を参照)がバックアップロール602上の支持体上のインク吸収層203上への落下を防止することを可能にしている。
【0057】
図3は図2に示される塗布液飛散防止手段の拡大概略図である。図3の(a)は図2に示される塗布液飛散防止手段の拡大概略平面図である。図3の(b)は図3の(a)のB−B′に沿った概略断面図である。図3の(c)は他の形状の溝を持った塗布液飛散防止手段の天板の拡大概略断面図である。
【0058】
図中、601b82は天板601b8の内側に設けられた溝を示す。Sは溝601b82の幅を示す。幅Sは、塗布液の噴霧速度、バックロールの径、支持体の抱角、吸引口の位置や塗布液の粘度、塗布液の表面張力といった液物性や天板の材質との関係から生じる塗布液の接触角や濡れ広がり等を考慮し、0.2〜2mmが好ましい。
【0059】
Tは溝601b82の深さを示す。深さTは、塗布液の噴霧速度、バックロールの径、支持体の抱角、吸引口の位置や塗布液の粘度、塗布液の表面張力といった液物性や天板の材質との関係から生じる塗布液の接触角や濡れ広がり等を考慮し、0.1〜1mmとすることが好ましい。
【0060】
溝の形状は特に限定はなく、例えば断面形状が矩形、三角形、半円形で合ってもよい。尚、断面形状が三角形の場合、本図に示される様に2等辺三角形が好ましい。又、天板601b8の内側に設けられる溝の本数は幅Sを維持して天板の全面に設けることが好ましい。
【0061】
601b17は気体供給室601b7内に設けられた気体整流壁を示す。気体整流壁は気体供給口601b31から開口部に向けて扇状に広がった構造で気体供給室601b7内に配設されている。気体整流壁601b17により気体供給管601b3を介して気体供給室601b7内に供給された気体が開口部601b14の幅方向に均等に供給することで、開口部601b14(図2を参照)の下部601b15(図2を参照)側からバックアップロール602(図2を参照)に支持された支持体側に沿って発生する塗布に関与せずに浮遊している液滴801(図6を参照)の漏出をより完全に防止することが可能となる。
【0062】
図4は図2の(b)に示される塗布液飛散防止手段の本体の天板の傾斜状態を示す概略断面図である。
【0063】
図中、θ1は天板601b8の傾斜角度を示す。傾斜角度θ1は、塗布液の噴霧速度、バックロールの径、支持体の抱角、吸引口の位置や塗布液の粘度、塗布液の表面張力といった液物性や天板の材質との関係から生じる塗布液の接触角や濡れ広がり等を考慮し、25〜75°が好ましい。天板601b8に傾斜角度を持たせる手段は特に限定はなく、例えばスプレーコータの上流側と下流側とに配設する時に所定の角度になるようにしてもよいし、所定の傾斜角度にした天板を有する構造としても構わない。本図は、所定の傾斜角度にした天板を有する構造とした本体を使用した場合を示している。尚、天板601b8の傾斜角度θ1は、バックアップロール602の中心を通る重力線を含む面と直角に交わる、バックアップロール602の中心を通る水平線を含む面に対する角度を示す。その他の符号は図2と同義である。
【0064】
図3、図4に示す様に塗布液飛散防止手段の本体の天板の内側に溝を配設し、天板に傾斜角度を持たせることで次の効果が得られる。
1)天板の内側に付着して凝集した液滴が溝に沿って流れるため、塗膜上に落下する危険が大幅に減少し、塗布故障が減少し、品質向上と生産効率の向上が可能となった。
2)天板の内側に付着して凝集した液滴が溝に沿って流れるため、塗膜上に落下する危険が大幅に減少することで、長時間の塗布が可能となり生産効率の向上が可能となった。
3)天板の内側に付着して凝集した液滴が溝に沿って流れるため、故障などで一時的に塗布を中断した際でも、天板に付着した液滴が乾燥し、固形分が塗膜上に落下することなく、塗布再開後の品質向上と生産効率の向上が可能となった。
【0065】
図5は図2の(a)で示されるスプレー塗布装置の概略平面図である。図中の符号は図2と同義である。
【0066】
カーテンスプレーコータ601aは塗布開始時に待機位置(点線で示されるスプレーコータの位置)から塗布位置(実線で示されるスプレーコータの位置)に移動(図中の矢印方向)し、塗布終了後に塗布位置から待機位置へ移動手段(不図示)により移動が可能となるようにスプレー塗布装置のフレーム(不図示)に配設されている。又、バックロール602も回転可能(図中の矢印方向)にフレーム(不図示)に軸支されている。塗布液飛散防止手段601bの本体601b1は、塗布開始時に待機位置(点線で示される塗布液飛散防止手段601bの本体601b1の位置)から配置位置(実線で示されるスプレーコータに接触する位置)に移動(図中の矢印方向)し、塗布終了後に配置位置から待機位置へ移動手段(不図示)により移動が可能となるようにスプレー塗布装置のフレーム(不図示)に配設されている。
【0067】
本図に示す如く塗布液飛散防止手段601bを移動可能とすることで次の効果が得られる。
1)スプレーコータが待機位置で塗布液の噴霧状態を確認する際、噴霧された塗布液を回収出来、待機位置での塗布液回収装置を別途設ける必要がなく、塗布装置の簡略化が可能となった。
2)スプレーコータの移動に合わせて移動することで、スプレーコータと塗布液飛散防止手段との位置合わせをスプレーコータの移動に合わせ随時行う必要がなく、塗布開始前の作業性が大幅に向上した。
3)異なる塗布液を塗布する際の塗布液飛散防止手段のメンテナンスが待機位置で行えるため、支持体に干渉することなく容易に行えるため、品質維持と生産効率の向上が可能となった。
【0068】
図6は図2に示されるスプレーコータの支持体に対する配置の状態を示す概略図である。尚、本図では塗布液飛散防止手段は省略してある。
【0069】
図中、θ2はカーテンスプレーコータ601aと支持体201との交差する角度を示す。本発明において、交差するとは、カーテンスプレーコータ601aのスプレー口P(図6を参照)を形成するラインが支持体と平行で、且つ支持体の進行方向に対して交差する角度を言う。すなわち、カーテンスプレーコータ601aは支持体の搬送方向(図中の矢印方向)と交差する位置に配設されていることを意味する。角度θ2は、塗布液のスプレー条件の設定の容易性を考慮し、70〜110°が好ましい。本図の場合は、カーテンスプレーコータ601aと支持体との交差する角度が90°の場合を示している。
【0070】
カーテンスプレーコータ601aの塗布液のスプレー口P(図6を参照)は、少なくとも帯状の支持体上のインク吸収層203の塗布幅(帯状の支持体の搬送方向と交差する方向における帯状の支持体の被塗布部の長さのことを指す)に対応する長さを有していることが好ましい。この様に配置することで、カーテンスプレーコータ601aに対して帯状の支持体を搬送させ、帯状の支持体上のインク吸収層203に塗布液を塗布幅に渡って噴霧することにより、乾燥負荷も少なく、膜厚均一性が高く、薄い塗布膜を塗布出来ることが可能となる。
【0071】
図7は図2の(b)のYで示される部分の拡大概略図である。
【0072】
図中、601aはカーテンスプレーコータを示し、601a1はカーテンスプレーコータ601aへ塗布液を供給する塗布液供給管を示し、601a2はカーテンスプレーコータ601aに供給された表面層用塗布液を液滴状にスプレーし、連続搬送される(図中の矢印方向)帯状の支持体201上のインク吸収層203上にスプレー塗布するための一対の気体供給管を示す。一対の気体供給管601a2からは加圧された気体が供給される。
【0073】
204は、帯状の支持体201上のインク吸収層203上に形成された表面層を示す。帯状の支持体201は、カーテンスプレーコータ601aの塗布液吐出部に対して相対的に移動させ(搬送させ)、連続的に塗布製造を行う。カーテンスプレーコータ601aの塗布液のスプレー口Pは、少なくとも帯状の支持体201の塗布幅(帯状の支持体の搬送方向と交差する方向における帯状の支持体の被塗布部の長さのことを指す)に対応する長さを有し、帯状の支持体201の搬送方向と交差するように配置(図6を参照)させることが好ましい。この様に配置することで、カーテンスプレーコータに対して帯状の支持体を搬送させ、帯状の支持体上に塗布液を塗布幅に渡って液滴8として噴霧することにより、乾燥負荷も少なく、膜厚均一性が高く、薄い塗布膜を塗布出来ることが可能となる。
【0074】
601a3〜601a6はカーテンスプレーコータ601aを構成している各ブロックを示す。601a7は、ブロック601a3とブロック601a4とから構成される加圧気体ポケットを示し、601a8はブロック601a3とブロック601a4との間隙に形成される気体用ノズルを示す。601a9はブロック601a5とブロック601a6とから構成される気体ポケットを示し、601a10はブロック601a5とブロック601a6とから構成される気体用ノズルを示す。
【0075】
加圧気体供給源(不図示)より、各気体供給管601a2を介して供給された気体は、各気体ポケット601a7、601a9に一旦溜められた後、各気体用ノズル601a8、601a10を介して各開口端601a11、601a12より噴出される。
【0076】
601a13は、ブロック601a4とブロック601a5とから構成され、塗布液供給管より供給される塗布液を一次的に溜める塗布液ポケットを示す。601a14は、ブロック601a4とブロック601a5との間隙に挟持された櫛型部材601a15とにより形成される塗布液用ノズルを示す。塗布液ポケット601a13に溜められた塗布液は塗布液用ノズル601a14の開口端601a16より吐出されると同時に気体用ノズル601a8の開口端601a11、気体用ノズル601a10の開口端601a12より噴出する加圧気体により噴霧状にスプレーされ帯状の支持体201上のインク吸収層203上に塗布される。又、カーテンスプレーコータのスプレー口P(開口端601a11、開口端601a12、開口端601a16とから構成される)とインク吸収層との距離は、概ね2〜50mmの範囲で、適宜選択することが出来る。801は塗布に関与しないで浮遊する液滴を示す。本発明は、この浮遊する液滴を効率良く回収(排除)し、浮遊する液滴による塗布故障、スプレー塗布装置の汚染等を防止する方法に関するものである。
【0077】
図8は、図1〜図7のに示すカーテンスプレーコータの概略分解斜視図である。
【0078】
図中、601a4及び601a5は、開口端601a16(図7を参照)を有し、所定の距離を有する塗布液用ノズル601a14(図7を参照)を形成し、この塗布液用ノズルに塗布液を流下させるためのブロックである。片方のブロック601a4は、図示しない塗布液供給源から供給される塗布液を受け入れ、塗布液ポケット601a13まで連通する塗布液供給管601a1を有している。塗布液ポケット601a13に滞留した塗布液は、ブロック601a4及び601a5の間に形成された塗布液用ノズル601a14(図7を参照)を流下することになる。601a15は、ブロック601a4及びブロック601a5に挟まれた櫛型部材であり、2つのブロック601a4及びブロック601a5の間隙にスリットを垂直方向に分断して塗布幅方向に複数の塗布液用ノズルを形成する。601a17は櫛刃を示す。
【0079】
又、ブロック601a3はブロック601a4とで開口端601a11(図7を参照)を有する気体用ノズル601a8(図7を参照)を形成するブロックである。ブロック601a5はブロック601a6とで開口端601a12(図7を参照)を有する気体用ノズル601a10(図7を参照)を形成するブロックである。塗布液用ノズル601a14(図7を参照)、気体用ノズル601a8(図7を参照)、気体用ノズル601a10(図7を参照)は塗布幅方向(カーテンスプレーコータの幅方向)に形成されている。
【0080】
気体供給源(不図示)から圧縮気体が気体供給管601a2に供給され、一端、気体ポケット601a7(601a9)に滞留した後、気体用ノズル601a8(601a10l)(図7を参照)を圧力を持って流下する。
【0081】
櫛型部材601a15を有する塗布液用ノズル601a14(図7を参照)を流下してきた塗布液と、2つの気体用ノズル601a8(601a10)(図7を参照)を流下してきた加圧気体とは、噴出口P(図7を参照)において衝突し、液滴を形成して、被塗布対象物である基体上に飛翔する。
【0082】
本発明に用いられるカーテンスプレーコータにおいて、塗布液用ノズル601a14(図7を参照)の間隙の幅としては50〜300μmの範囲で用いることが好ましい。塗布液用ノズル601a14(図7を参照)の開口端の形状としては、塗布幅に延びるスリット状でもよく、本図に示す様に櫛形部材を入れて、円形でも矩形にしてもかまわない。開口端の形状は櫛形部材の形状により変えることが可能となっている。開口端の形状を円形又は矩形とした場合、塗布液用ノズル601a14の間隙の幅内に収まる形状とし用いることが出来、それらのピッチ(間隔)は、100〜3000μm(櫛形部材601a15の櫛刃601a17の間隔に相当する)とすることが好ましい。
【0083】
一方、気体用ノズル601a8(601a10)(図7を参照)の間隙の幅としては50〜500μmの範囲で用いることが好ましい。気体用ノズル601a8(601a10)(図7を参照)の開口端の形状としては、塗布幅に延びるスリット状でもよく、本図に示す様に櫛形部材を入れて、円形でも矩形にしてもかまわない。開口端の形状は櫛形部材の形状により変えることが可能となっている。開口端の形状を円形又は矩形とした場合、気体用ノズル601a8(601a10)(図7を参照)の間隙の幅内に収まる形状とし用いることが出来、それらのピッチ(間隔)は、100〜3000μm(櫛形部材601a15の櫛刃601a17の間隔に相当する)とすることが好ましい。
【0084】
塗布液用ノズルに対する気体用ノズルの角度としては、5〜50degの範囲が好ましい。塗布液用ノズルからの塗布液の供給量は、所望の塗布膜厚、塗布液の濃度、塗布速度等により一概には規定出来ないが、概ね基体上の塗設量として、塗布膜の安定性、乾燥工程への乾燥負荷、コスト等を考慮し、1〜50g/m2の範囲が好ましい。塗布液の湿潤膜厚としては、1〜50μmが好ましく、更には5〜30μmが好ましい。
【0085】
一方、気体用ノズルから噴出される気体は、塗布に適して入れば特に限定はなく、一般には空気を用いるが、ガスの供給条件としては、概ね1〜50CMM/m(塗布幅当たりの流量)の範囲が好ましく、その時のガスノズルでの内圧としては、塗布の均一性の観点から、10kPa以上であることが好ましい。
【0086】
気体の線速度vは、塗布乾燥性及び塗布収率の観点から126〜400m/sが好ましい。気体の線速度とは、気体用ノズルの出口直後における気体の線速度であり、レーザードップラ風速計、例えば、KANOMAX社製の1D FLV system8851により測定して求めることが出来る。又、塗布収率とは、インク吸収層上に塗布された塗布液量/供給した全塗布液量×100(%)であり、質量法により算出する。すなわち、インク吸収層上に塗布された塗布液量は、インク吸収層上への塗布前後の質量変化から算出し、供給した全塗布液量はカーテンスプレーコータへ送液、供給した質量、すなわち、送液流量×塗布時間より求めることが出来る。
【0087】
図1〜図8にインクジェット記録用紙の表面層の塗布方法を代表例として挙げて、本発明のスプレー塗布装置及びスプレー塗布方法について説明したが、本発明のスプレー塗布装置及びスプレー塗布方法により次の効果が挙げられる。
1)粘度や表面張力が異なる塗布液であっても、液滴の微粒化が可能となり、塗布する塗布液の選択範囲が広がり、製品の品質向上、性能向上の対応が容易になった。
2)塗布液の液滴の微粒化が可能となったことで、湿潤膜厚で10μm以下の薄膜塗布が可能となった。又、この薄膜塗布に伴い、乾燥時間が大幅に短縮され、更に300m/分の高速塗布が可能となり、乾燥装置の簡略化を含め塗布装置全体のラインの短縮化及び簡略化することが可能となった。
【0088】
本発明に係る塗布液は特に限定はなく、例えば特開2004−906号公報、同2004−122705に記載されている塗布液が挙げられる。以下、本発明のスプレー塗布装置及びスプレー塗布方法により作製可能な製品の中から、代表としてインクジェット記録用紙に付き説明する。本発明に係わる支持体上に形成されたインク吸収層に付き説明する。インク吸収層が多孔質であるとは、5〜200nm程度の孔径を持つ空隙を多数有することを指す。空隙同士は単独に孤立するのではなく、連続的にお互いに導通していることが好ましい。この場合の空隙径の定義としては、例えば、水銀圧入法による測定値を用いることが出来る。以下、好ましい多孔質層について説明する。
【0089】
多孔質層は、主に親水性バインダと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、二種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子及び親水性又は疎水性樹脂を含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録用紙を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬し、固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダに対して、概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及び又は微粒子油滴と親水性バインダを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を形成する方法等が知られている。本発明においては、多孔質層に、平均液滴径が100nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによって形成されることが、特に好ましい。
【0090】
上記の目的で使用される無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることが出来る。
【0091】
無機微粒子の平均液滴径は、粒子そのもの或いは多孔質層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
【0092】
無機微粒子としては、シリカ、及びアルミナ又はアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましい。本発明で用いることの出来るシリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカ又は気相法で合成された微粒子シリカが好ましく、中でも気相法により合成された微粒子シリカは、高い空隙率が得られるので好ましい。又、アルミナ又はアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、又不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することが出来る。
【0093】
無機微粒子は、その粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均液滴径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。最も好ましく用いられる、一次粒子の平均液滴径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサーなどにより、容易に吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することが出来る。
【0094】
本発明においては、インク吸収層に水溶性バインダを用いることが出来る。本発明で用いることの出来る水溶性バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性バインダは、二種以上併用することも可能である。本発明で好ましく用いられる水溶性バインダは、ポリビニルアルコールである。本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。又、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0095】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0096】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0097】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号及び同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0098】
又、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することも出来る。
【0099】
本発明においては、染料定着剤として多価金属化合物を用いることが好ましく、本発明の目的効果を達成する範囲において、それらの化合物と共に、カチオン性ポリマーを併用することを妨げるものではない。
【0100】
カチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物等が挙げられる。
【0101】
又、化学工業時報平成10年8月15,25日に述べられるカチオン性ポリマー、三洋化成工業株式会社発行「高分子薬剤入門」に述べられる高分子染料固着剤が例として挙げられる。
【0102】
インク吸収層で用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、多孔質層の空隙率、無機顔料の種類、水溶性バインダの種類に大きく依存するが、一般には、記録用紙1m2当たり、通常5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0103】
又、インク吸収層に用いられる無機微粒子と水溶性バインダの比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に、3:1〜10:1であることが好ましい。
【0104】
又、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有してもよく、インクジェット記録用紙1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0105】
多孔質層において、空隙の総量(空隙容量)は記録用紙1m2当たり20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じ易い。
【0106】
インク保持能を有する多孔質層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率と言う。本発明において、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚を厚くさせないで空隙を効率的に形成出来るので好ましい。
【0107】
空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を用いてインク吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン樹脂エマルジョン、これに水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールを併用し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗工液を用いてインク吸収層を形成させてもよい。この場合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールを有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸基を有し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビニルアルコールを有することが更に好ましい。上記ポリウレタン樹脂を用いたインク吸収層は、カチオンとアニオンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸収能を有する空隙が形成されて、画像形成出来ると推定される。
【0108】
本発明においては、硬化剤を使用することが好ましい。硬化剤は、インクジェット記録用紙作製の任意の時期に添加することが出来、例えば、インク吸収層形成用の塗布液中に添加してもよい。
【0109】
本発明においては、インク吸収層形成後に、水溶性バインダの硬化剤を供給する方法を単独で用いてもよいが、好ましくは、上述の硬化剤をインク吸収層形成用の塗布液中に添加する方法と併用して用いることである。
【0110】
本発明で用いることの出来る硬化剤としては、水溶性バインダと硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、ホウ酸及びその塩が好ましいが、その他にも公知のものが使用出来、一般的には水溶性バインダと反応し得る基を有する化合物或いは水溶性バインダが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダの種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
【0111】
ホウ酸又はその塩とは、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸及び八ホウ酸及びそれらの塩が挙げられる。
【0112】
硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸及びその塩は、単独の水溶液でも、又、二種以上を混合して使用してもよい。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。
【0113】
ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を濃縮化することが出来る。又、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることが出来る利点がある。上記硬化剤の総使用量は、上記水溶性バインダ1g当たり1〜600mgが好ましい。
【0114】
本発明に係る記録用紙のインク吸収層及び必要に応じて設けられるその他の層には、上述した以外の各種添加剤を使用することが出来る。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、アニオン性、カチオン性、非イオン性、ベタイン型の各界面活性剤特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている褪色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることも出来る。
【0115】
インク吸収層は、2層以上から構成されていてもよく、この場合、それらのインク吸収層の構成はお互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0116】
上記のような多孔質層は、特に、インクジェット記録方法に好ましく用いられる。インクジェット記録方法に好ましい多孔質層の空隙容量は10〜30ml/m2である。
【0117】
本発明の記録用紙における塗工層は、従来公知の塗布方法で塗設することが出来、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、押し出し塗布方法、スライドビード塗布方法、カーテン塗布方法、スロットノズルスプレー塗布方法或いは、米国特許第2,681,294号公報に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法等が、好ましく用いられる。
【0118】
本発明に係る記録用紙の各層には各種添加剤を使用することが出来る。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、アニオン性、カチオン性、非イオン性、ベタイン型の各界面活性剤特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている褪色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることも出来る。
【0119】
本発明で用いることの出来る支持体としては、従来インクジェット記録用紙用として公知のものを適宜使用出来、吸水性支持体であってもよいが、非吸水性支持体であることが好ましい。すなわち、吸水性支持体の場合よりも非吸水性支持体の場合の方が、記録用紙中に顔料インク中の水溶性有機溶媒が多量に残留し、有機微粒子溶解等に対し効果的に作用するため、本発明の効果を顕著に奏することが出来ると推定している。尚、正確には、「インク中の水溶性有機溶媒を吸収しない支持体」を使用するのが好ましいのであるが、ここでは非吸水性支持体を用いても、本発明の効果を顕著に奏することが出来ると考えている。
【0120】
本発明で用いることの出来る吸水性支持体としては、例えば、一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることが出来るが、特に、紙は基材自身の吸水性に優れかつコスト的にも優れるために最も好ましい。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。又、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することが出来る。
【0121】
上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することが出来る。
【0122】
紙支持体は、前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することが出来る。又、必要に応じて抄紙段階又は抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることも出来る。
【0123】
本発明で好ましく用いることの出来る非吸水性支持体には、透明支持体及び不透明支持体がある。透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアテセート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料を有するフィルム等が挙げられ、中でもオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用として使用された時の輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。この様な透明な支持体の厚さとしては、50〜200μmが好ましい。
【0124】
又、不透明支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆる、RCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに硫酸バリウム等の白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
【0125】
前記各種支持体とインク吸収層の接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層の塗布に先立って、支持体にコロナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。更に、本発明に係る記録用紙は必ずしも無色である必要はなく、着色された記録シートであってもよい。
【0126】
本発明に係る記録用紙では、特開2004−122705号公報に記載の原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるために特に好ましい。
【0127】
インク吸収層の塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、或いは米国特許第2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。インク吸収層としては、特開2004−122705号公報に記載の多孔質層で構成されていることが好ましい。
【実施例】
【0128】
以下に実施例(記録用紙の作製)を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。尚、実施例中で「%」は特に断りのない限り質量%を示す。
【0129】
実施例1
図1に示す塗布製造ラインを使用して記録用紙の作製を行った。
【0130】
〈多孔質インク吸収層塗布済み帯状の支持体の作製〉
(分散液の調製)
カチオン性ポリマー(P1)の15%水溶液100gに、一次粒子の平均粒子径が12μmの微粒子シリカ(トクヤマ製、QS−20)の25%水分散液500g、次いでホウ酸3.0g、ホウ砂0.7gを添加し、高速ホモジナイザーで分散し、青白色澄明な分散液を得た。
【0131】
【化1】

【0132】
(塗布液の調製)
上記調製した分散液を45℃に昇温し、ポリビニルアルコール(クラレ製、PVA203)の10%水溶液及びポリビニルアルコール(クラレ製、PVA245)の6%水溶液をそれぞれ45℃に昇温した後に添加した。次いで、45℃の純水を加えて液量を調整して、半透明状の塗布液を得た。
【0133】
(塗布)
両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(幅1500mm、厚み230μm)上に、スライドビード方塗布機を用いて上記塗布液を塗布、乾燥して、多孔質インク吸収層塗布済み帯状の支持体を10000m作製した。塗布スピードは200m/minで行った。多孔質インク吸収層塗布済み帯状の支持体の下層における各成分の付量は以下の通りで、乾燥膜厚は35μmである。
【0134】
微粒子シリカ 15g/m2
カチオン性ポリマー(P1) 2.2g/m2
ポリビニルアルコール 2.3g/m2
インク吸収層用塗布液の塗布後は、10℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温度を10℃以下にまで低下させた後、以下の温度の風を順次インク吸収層表面に吹き付けながら乾燥工程の各ゾーンを通過させて乾燥した。
【0135】
尚、第1乾燥部での全乾燥工程は360秒とし、この内、前半の270秒は、吹き付ける風の平均相対湿度を30%以下とした。270秒以降は、相対湿度が40〜60%の調湿ゾーンとした。
【0136】
(スプレーコータの準備)
スプレーコータとしては、塗布液用ノズルに対する空気用ノズルの角度が40deg、塗布幅1550mm、塗布液用ノズルの間隙の幅60μm、空気用ノズルの間隙の幅200μmの図8に示すカーテンスプレーコータを準備した。
(塗布液飛散防止手段の準備)
図2に示す塗布液飛散防止手段を準備するに当たり、図4に示す様に本体の天板の傾斜角度θ1と、図3に示す様に溝の幅Sと深さTを表1に示す様に変えた塗布液飛散防止手段を準備しNo.1−1〜1−18とした。溝の断面形状は図3の(c)に示される形状とした。尚、天板の内側に溝を設けなく、且つ、天板が水平の塗布液飛散防止手段を比較として準備しNo.1−17とした。又、天板の内側に溝を設けない塗布液飛散防止手段を比較として準備しNo.1−18とした。
【0137】
【表1】

【0138】
〔スプレー塗布装置の準備〕
準備した塗布液飛散防止手段を準備したカーテンスプレーコータの上流側と下流側に配設し、図2に示すスプレー塗布装置を準備した。
【0139】
〔表面層の塗布〕
図1に示す第1乾燥部での乾燥インク吸収層の減率乾燥が終了した時点で、図2〜図8に示すスプレー塗布装置を使用し、図6に示す様にカーテンスプレーコータのスプレー口を形成するラインが支持体と平行で、且つ支持体の進行方向に対して交差する角度90°になるように配設した。塗布液飛散防止手段の吸引室に設けた吸引管の吸引速度を表1に示す様に変えて表面層用の塗布液を、湿潤膜厚として15μmになるようにスプレー塗布し、第2乾燥部で乾燥し、表面層を有する記録材料を作製し試料101〜118とした。
【0140】
尚、第2乾燥部での全乾燥工程は100秒とし、相対湿度が40〜60%の風を吹き付けた。塗布液は、塗布液用ノズルの間隙の幅60μmに対して1/20の口径のフィルターを使用して濾過したものを使用した。空気は、空気用ノズルの間隙の幅200μmに対して1/50の口径のフィルターを使用して濾過したものを使用した。
【0141】
空気用ノズルから噴出される空気の供給条件としては、18CMM/m(塗布幅当たりの流量)とし、その時の空気用ノズルでの内圧としては8kPaとなるようにした。空気の線速度vは150m/sとした。カーテンスプレーコータのスプレー口とインク吸収層との間隙は20mm、塗布速度は180m/minで行った。
【0142】
〈表面層用の塗布液の調製〉
以下の組成からなる塗布液を調製した。
【0143】
ポリ塩化アルミニウム 160ml
(多木化学(株)製PAC250A、固形分23.5%)
水溶性染料(D1) 2ml
水 840ml
粘度は25℃で、B型粘度計で測定した結果、0.9mPaであった。尚、表面張力は40mN/mになるように界面活性剤で調整した。静的表面張力(SST)は、表面張力計(協和界面科学製:CBVP−Z)を使用し、塗布液温度25℃の時の白金プレート法による表面張力値を測定した。
【0144】
【化2】

【0145】
(評価)
作製した各試料101〜118に付き、液滴の落下に伴う粒状ムラに付き判定を行い、以下に示す評価方法と評価ランクに従って評価した結果を表2に示す。
【0146】
粒状ムラの評価方法
作製した試料の終わりから1000mに付き、100m間隔で、3cm×3cmの大きさの試料を切り取り、試料全面濃度を、スキャナー(Epson社製 ES−8000)で読み取り、測定した濃度測定値を下式(1)に従って粒状ムラを評価する指標としてRMSを算出した。これは、平均濃度に対する各ポイントでの濃度差の二乗平均から粒状ムラを定量化したものであり、粒状ムラが小さいほどRMS値は小さい値となる。
【0147】
【数1】

【0148】
式中、Xi:濃度測定値、X:濃度測定平均値、n:測定点数を表す。
【0149】
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0150】
粒状ムラの評価ランク
○:RMS値1.0未満(塗布面に粒状ムラが全く認められない)
△:RMS値1.0以上、2.0未満(塗布面に実用上許容の範囲である粒状ムラが認められる)
×:RMS値2.0以上3.0未満(粒状ムラが強く製品化は不可能である)
××:RMS値3.0以上(粒状ムラが強く製品化は不可能である)
【0151】
【表2】

【0152】
本発明の有効性が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】スプレー塗布装置を記録用紙置した塗布製造ラインの一例を示す模式図である。
【図2】図1のXで示される部分の概略図である。
【図3】図2に示される塗布液飛散防止手段の拡大概略図である。
【図4】図2の(b)に示される塗布液飛散防止手段の本体の天板の傾斜状態を示す概略断面図である。
【図5】図2の(a)で示されるスプレー塗布装置の概略平面図である。
【図6】図2に示されるスプレーコータの支持体に対する配置の状態を示す概略図である。
【図7】図2の(b)のYで示される部分の拡大概略図である。
【図8】図1〜図7のに示すカーテンスプレーコータの概略分解斜視図である。
【符号の説明】
【0154】
1 塗布製造ライン
2 繰り出し部
201 支持体
203 インク吸収層
204 表面層
3 第1塗工部
4 冷却部
5 乾燥部
6 第2塗工部
601 スプレー塗布装置
601a スプレーコータ
601b 塗布液飛散防止手段
601b1 本体
601b2 吸引管
601b3 気体供給管
601b6 吸引室
601b7 気体供給室
601b8 天板
601b81 溝側壁
601b82 溝
601b17 気体整流壁
602 バックアップロール
7 巻き取り部
702 記録用紙
8 液滴
P スプレー口
θ1 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックアップロールに支持され連続搬送する帯状支持体の幅方向に塗布液をスプレー塗布し、前記帯状支持体上に塗布膜層を形成するスプレー塗布装置において、
前記スプレー塗布装置は、前記バックアップロールに近接し、スプレーコータと、塗布液飛散防止手段とを有し、
前記塗布液飛散防止手段は、前記スプレーコータ側に開口部を有する箱体構造の本体と、前記本体に繋がった吸引手段と、回収手段と、バックアップロール上の前記帯状支持体と前記本体の下面との間隙に気体を供給する気体供給手段とを有し、
前記箱体構造の天板の内側に、前記帯状支持体の搬送方向と同一方向に溝が設けられていることを特徴とするスプレー塗布装置。
【請求項2】
前記溝は、幅が0.2〜2mm、深さが0.1〜1mmであることを特徴とする請求項1に記載のスプレー塗布装置。
【請求項3】
前記本体の天板は、バックアップロールの回転軸を含む面に対して25〜75°の角度を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプレー塗布装置。
【請求項4】
前記塗布液飛散防止手段は、開口部をスプレーコータの幅方向の壁面に接触させ、バックアップロールの外周面に近接するように配設し、スプレーコータの上流側と下流側とにそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のスプレー塗布装置。
【請求項5】
前記塗布液飛散防止手段は移動手段を有し、該移動手段により、該塗布液飛散防止手段は、スプレーコータが塗布位置と待機位置との間を移動する際、該スプレーコータの移動に合わせて、配設位置と待機位置との間を移動することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のスプレー塗布装置。
【請求項6】
前記スプレーコータがカーテンスプレーコータであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のスプレー塗布装置。
【請求項7】
前記帯状支持体は表面に少なくとも1層のインク吸収層が形成されたインクジェット記録用紙用の支持体であり、該インク吸収層が少なくとも1層の無機微粒子と、バインダとを含有する多孔質層で構成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のスプレー塗布装置。
【請求項8】
バックアップロールに支持され連続搬送する帯状支持体上に、前記支持体の搬送方向と交差する位置に配設されたスプレー塗布装置により、前記帯状支持体の幅方向に塗布液をスプレー塗布し塗布膜層を形成するスプレー塗布方法において、
前記スプレー塗布装置は、前記バックアップロールに近接し、スプレーコータと、塗布液飛散防止手段とを有し、
前記塗布液飛散防止手段は、前記スプレーコータ側に開口部を有する箱体構造の本体と、前記本体に繋がった吸引手段と、回収手段と、バックアップロール上の前記帯状支持体と前記本体の下面との間隙に気体を供給する気体供給手段とを有し、
前記箱体構造の天板の内側に、前記帯状支持体の搬送方向と同一方向に溝が設けられていることを特徴とするスプレー塗布方法。
【請求項9】
前記溝は、幅が0.2〜2mm、深さが0.1〜1mmであることを特徴とする請求項8に記載のスプレー塗布方法。
【請求項10】
前記本体の天板は、バックアップロールの回転軸を含む面に対して25〜75°の角度を有していることを特徴とする請求項8又は9に記載のスプレー塗布方法。
【請求項11】
前記塗布液飛散防止手段は、開口部をスプレーコータの幅方向の壁面に接触させ、バックアップロールの外周面に近接するように配設し、スプレーコータの上流側と下流側とにそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載のスプレー塗布方法。
【請求項12】
前記塗布液飛散防止手段は移動手段を有し、該移動手段により、該塗布液飛散防止手段は、スプレーコータが塗布位置と待機位置との間を移動する際、該スプレーコータの移動に合わせて、配設位置と待機位置との間を移動することを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載のスプレー塗布方法。
【請求項13】
前記スプレーコータがカーテンスプレーコータであることを特徴とする請求項8〜12の何れか1項に記載のスプレー塗布方法。
【請求項14】
前記帯状支持体は表面に少なくとも1層のインク吸収層が形成されたインクジェット記録用紙用の支持体であり、該インク吸収層が少なくとも1層の無機微粒子と、バインダとを含有する多孔質層で構成されていることを特徴とする請求項8〜13の何れか1項に記載のスプレー塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−29774(P2007−29774A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−212352(P2005−212352)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】