説明

スポット誘導走行車

【課題】カーブ部分を的確に通過することのできるスポット誘導走行車を提供すること。
【解決手段】複数のマークのそれぞれを検出することのできる検出装置110と、検出結果を用いて求められる、第一マークの位置におけるスポット誘導走行車の状態を示す第一状態情報を取得する状態取得部122と、第一状態情報と目標状態情報とに基づいて、第一操舵条件を決定する操舵条件決定部124と、第一操舵条件に従って、スポット誘導走行車100の走行を制御する制御部120と、第二マークの位置におけるスポット誘導走行車100の状態を示す予測情報を算出する予測部126とを備え、状態取得部122は、予測情報と実測情報との差分を示す第二状態情報を取得し、操舵条件決定部124は、第二状態情報に示される差分に応じて第二操舵条件を決定し、制御部は、第一操舵条件に代えて第二操舵条件に従って、スポット誘導走行車100の走行を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行路に離散的に配置された複数のマークの検出結果を用いて当該走行路を走行するスポット誘導走行車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の誘導用マークを走行路に配置し、これら複数の誘導用マークにより形成されるルートに沿って走行するように制御されることで荷物の搬送等の作業を行うスポット誘導走行車(以下、単に「走行車」ともいう。)が存在する。
【0003】
このような誘導用マークとしては、磁気を発する磁気マーク、または、光を反射する光学マーク等が採用される。
【0004】
例えば、誘導用マークとして磁気マークが採用されている場合、走行車は、例えば、車体の裏面側(走行路側)に備えられた磁気センサで、磁気マークを検出する。当該走行車に備えられた制御部は、その検出結果に基づいて、当該走行車の走行を制御する。
【0005】
具体的には、磁気センサには、ホール素子等のセンサ要素が複数備えられており、複数のセンサ要素は、例えば一列に並べられている。当該磁気センサは、このような構成を備えることで、ある磁気マークを検出した場合、どのセンサ要素によって当該磁気マークが検出されたか、または、どのセンサ要素を中心とするセンサ要素群によって当該磁気マークが検出されたかを示す情報を出力することができる。
【0006】
制御部は、当該磁気センサからの出力情報等を用いて求められる当該走行車の現在位置を用いて、当該走行車が、予定された正規のルートに沿って走行するように、当該走行車を制御する。
【0007】
このような、複数のマークを検出して走行する走行車についての技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
特許文献1に記載の技術によれば、走行車において前後に配置された一対のセンサによって、走行路に配置された同一のマークを検出し、これら検出結果を用いて、例えば直線走行時における、正規のルートに対する走行の向きを求めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−294980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、上述のようなスポット誘導式の走行車は、カーブ部分を含む走行路を走行する場合、従来では、例えば、カーブ部分の手前におけるマークの検出結果を用いて、当該カーブ部分を走り抜ける。
【0011】
例えば、従来の走行車は、カーブ部分の手前におけるマークの検出結果から、自身のその時点の位置等を算出する。当該走行車は、その算出結果、および、当該カーブ部分を通過後の所定の位置の座標において自身がとるべき姿勢(例えば、所定の方向に平行な姿勢)を示す情報を用いて、どのタイミングでどのように進行方向を変更するかを示す情報を含む操舵条件を決定する。
【0012】
その後、当該操舵条件に従って走行し、例えば、進行方向において当該カーブ部分を通過した後に得られたマークの検出結果に基づいて進行方向等の補正がなされる。
【0013】
ここで、走行車は、例えば、タイヤの磨耗、カーブ部分の路面の凸凹、または、タイヤと路面との間のすべり等に起因して、操舵条件に基づいて予定されるルートとは異なるルートを走行する場合がある。
【0014】
つまり、操舵条件がセンサの検出結果等に基づいて的確に決定されたとしても、操舵条件への反映が難しい要因により、走行車が、カーブ部分において予定されたルートから外れて走行する場合がある。
【0015】
この場合、進行方向においてカーブ部分よりも前方に配置された所定のマークの検出自体が不可能となることがあり、その結果、当該走行車は、所定のマークを検出すべきタイミングで何ら検出しないこと、つまり、異常の発生を検出し停止する。
【0016】
このようにして走行車が停止した場合、例えば、オペレータが、当該走行車を所定の位置まで手動で移動させ、当該走行車の走行をリスタートさせる。
【0017】
このように、従来のスポット誘導走行車には、カーブ部分を走行する際の制御について、例えば、作業効率の観点から十分ではない面が存在する。
【0018】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、カーブ部分を含む走行路を走行するスポット誘導走行車であって、当該カーブ部分を的確に通過することのできるスポット誘導走行車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るスポット誘導走行車は、カーブ部分を含む走行路に離散的に配置された複数のマークの検出結果を用いて前記走行路を走行するスポット誘導走行車であって、前記スポット誘導走行車の進行方向において前記カーブ部分の手前に配置された第一マークと、前記カーブ部分に配置された第二マークとを含む前記複数のマークのそれぞれを検出することのできる検出装置と、前記検出装置による検出結果を用いて求められる、前記第一マークの位置における前記スポット誘導走行車の状態を示す第一状態情報を取得する状態取得部と、前記状態取得部により取得された第一状態情報と、前記進行方向において前記第二マークよりも前方の目標位置において前記スポット誘導走行車がとるべき目標状態を示す目標状態情報とに基づいて、前記スポット誘導走行車が前記目標位置において前記目標状態となるように、前記スポット誘導走行車の進行方向の変更についての制御情報である第一操舵条件を決定する操舵条件決定部と、前記スポット誘導走行車の走行を制御する制御部であって、前記第一操舵条件が決定された場合、決定された前記第一操舵条件に従って、前記スポット誘導走行車の走行を制御する制御部と、前記スポット誘導走行車が前記第一操舵条件に従って走行したと仮定した場合における、前記第二マークの位置における前記スポット誘導走行車の状態を示す予測情報を算出する予測部とを備え、前記状態取得部は、(a)前記予測情報と、(b)前記検出装置による検出結果を用いて求められる、前記第二マークの位置における前記スポット誘導走行車の状態を示す実測情報との差分を示す第二状態情報を取得し、前記操舵条件決定部は、前記第二状態情報に示される差分に応じて第二操舵条件を決定し、前記制御部は、前記第二操舵条件が決定された場合、前記第一操舵条件に代えて前記第二操舵条件に従って、前記スポット誘導走行車の走行を制御する。
【0020】
この構成によれば、スポット誘導走行車は、カーブ部分を通過するための第一操舵条件を決定するとともに、この第一操舵条件に従って走行した場合の、当該カーブ部分に配置された第二マークの位置における予測の状態を示す予測情報が算出される。
【0021】
さらに、予測情報と、第二マークの位置における実測情報とが比較され、その差分に応じて第二操舵条件が決定される。
【0022】
つまり、当該スポット誘導走行車は、第一操舵条件に従ってカーブ部分を走行する場合における、そのカーブ部分の途中の時点での状態を予測し、当該状態に対応する実測値と比較する。さらにこの比較結果に基づいて第二操舵条件が決定される。
【0023】
すなわち、当該スポット誘導走行車では、カーブ部分の走行途中における走行ルートの適切な補正が実行される。
【0024】
従って、本態様のスポット誘導走行車によれば、カーブ部分を的確に通過することができる。
【0025】
また、本発明の一態様に係るスポット誘導走行車において、前記予測部は、前記予測情報として、前記スポット誘導走行車が前記第一操舵条件に従って走行したと仮定した場合における、前記検出装置による前記第二マークについての予測の検出結果を算出し、前記状態取得部は、前記予測情報に示される予測の検出結果と、前記検出装置による前記第二マークについての実際の検出結果との差分を示す前記第二状態情報を取得し、前記操舵条件決定部は、前記第二状態情報に示される差分と、前記目標状態情報とに基づいて、前記スポット誘導走行車が前記目標位置において前記目標状態となるように前記第二操舵条件を決定するとしてもよい。
【0026】
この構成によれば、スポット誘導走行車は、第二状態情報として、第二マークについての予測の検出結果と実際の検出結果との差分が求められ、その差分と目標状態とに基づいて第二操舵条件が決定される。
【0027】
つまり、当該スポット誘導走行車では、例えば、カーブの途中で生じている、当該スポット誘導走行車の予測位置に対する位置ずれが修正される。
【0028】
また、本発明の一態様に係るスポット誘導走行車において、前記状態取得部は、前記検出装置による、前記第一マークについての検出結果から算出される、前記第一マークの位置における前記スポット誘導走行車の所定の基準からのずれ量を、前記第一状態情報として取得するとしてもよい。
【0029】
この構成によれば、カーブ部分の手前の時点でのスポット誘導走行車の状態を示す第一状態情報として、当該スポット誘導走行車の所定の基準からのずれ量が求められる。
【0030】
そのため、例えば、第一マークの近傍での当該スポット誘導走行車の位置、姿勢、速度、また重量等が、予測または予め規定された正規の基準からのずれ量が第一状態情報として取得され、これにより、そのずれ量が考慮された適切な第一操舵条件が決定される。
【0031】
また、本発明の一態様に係るスポット誘導走行車において、前記検出装置は、複数の検出部であって、それぞれが前記複数のマークのそれぞれを検出することのできる複数の検出部を有し、前記状態取得部は、前記検出装置が前記第一マークの近傍を通過する期間内に得られる、前記複数の検出部による前記第一マークについての検出結果の変化から、前記ずれ量を算出するとしてもよい。
【0032】
この構成によれば、複数のセンサ要素を有する1つの検出装置が例えば第一マークの上方を一度通過しただけで、第一マークに対応するずれ量の算出が可能となる。
【0033】
また、本発明の一態様に係るスポット誘導走行車において、前記検出装置は、前記第一マーク、および、前記進行方向において前記第一マークの前方または後方に位置する第三マークを検出し、前記状態取得部は、前記検出装置により検出された前記第一マークの検出結果と前記第三マークの検出結果とから、前記ずれ量を算出するとしてもよい。
【0034】
この構成によれば、検出装置による、互いの位置の異なる2つのマーク(第一マークおよび第三マーク)についての検出結果から、第一マークに対応するずれ量が算出される。そのため、例えば、スポット誘導走行車の正規の姿勢からの傾き量等であるずれ量の、より正確な算出が可能となる。
【0035】
また、本発明の一態様に係るスポット誘導走行車において、前記状態取得部は、前記所定の基準である正規の位置であって、前記第一マークに対応する前記スポット誘導走行車の正規の位置と、前記検出装置による検出結果に示される前記スポット誘導走行車の位置との差分である前記ずれ量を、前記第一状態情報として取得し、前記操舵条件決定部は、前記ずれ量と、前記目標状態情報である前記スポット誘導走行車の前記目標位置における姿勢を示す情報とを用いて、前記スポット誘導走行車が、前記目標位置に到達するまでに、前記スポット誘導走行車の正規のルートであって前記第一マークと前記目標位置との間における正規のルートに徐々に近づくように、前記第一操舵条件を決定するとしてもよい。
【0036】
この構成によれば、スポット誘導走行車は、例えば、第一マークに対応するずれ量が比較的大きな場合であっても、即座に正規のルートに復帰するような制御は行われずに、徐々に正規のルートに近づくように制御される。その結果、例えば、スポット誘導走行車に積載された荷物の荷崩れが防止される。
【0037】
また、本発明は、上記いずれかの態様に係るスポット誘導走行車が実行する特徴的な情報処理を含むスポット誘導走行車の制御方法として実現することもできる。また、当該制御方法が含む各処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現すること、および、そのプログラムが記録された記録媒体として実現することもできる。そして、そのプログラムをインターネット等の伝送媒体またはDVD等の記録媒体を介して配信することもできる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、カーブ部分を含む走行路を走行するスポット誘導走行車であって、当該カーブ部分を的確に通過することのできるスポット誘導走行車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態における走行車の構成概要を示す平面図である。
【図2】実施の形態における走行車と走行路との関係を示す概要図である。
【図3】実施の形態における走行車の基本的な機能構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態における検出装置の基本構成を示す図である。
【図5】実施の形態の走行車が、2つのマークを通過する直前の状態を示す図である。
【図6A】実施の形態のFセンサによるマークの検出結果の第一の例を示す図である。
【図6B】図6Aに示される検出結果に基づいて算出される走行車のずれ量を示す図である。
【図7A】実施の形態のFセンサによるマークの検出結果の第二の例を示す図である。
【図7B】図7Aに示される検出結果に基づいて算出される走行車のずれ量を示す図である。
【図8】実施の形態のFセンサによるマークの検出結果の第三の例を示す図である。
【図9】実施の形態のLセンサによるマークの検出結果の一例を示す図である。
【図10】実施の形態の走行車がカーブ部分を通過する際の、走行車の情報処理および動作の一例を示す図である。
【図11】実施の形態における予測情報および実測情報の一例を示す図である。
【図12】実施の形態における第一操舵条件に基づく予定ルートおよび第二操舵条件に基づく予定ルートの一例を示す図である。
【図13】目標位置がカーブ部分に存在する場合の、走行車と走行路との関係を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施の形態における走行車について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
図1は、本発明の実施の形態における走行車100の構成概要を示す平面図である。
【0042】
実施の形態における走行車100は、走行路に離散的に配置された複数のマークの検出結果を用いて前記走行路を走行するスポット誘導走行車である。走行車100は、図1に示すように、本体部101と、4つのタイヤ105と、4つのタイヤ105のそれぞれの回転駆動を制御する制御部120と、4つのセンサ(111〜114)とを備える。
【0043】
当該4つのセンサは、具体的には、前側のFセンサ111、後ろ側のBセンサ112、右側のRセンサ113、および左側のLセンサ114である。
【0044】
これら4つのセンサ(111〜114)のそれぞれは、本実施の形態では、磁気センサであり、本体部101の裏面側に設置されている。つまり、4つのセンサ(111〜114)のそれぞれは、走行路に離散的に配置された複数の磁気マークを検出することができる。
【0045】
制御部120は、これら4つのセンサ(111〜114)のそれぞれから出力される検出結果を用いて、4つのタイヤ105のそれぞれを回転駆動するモータを制御する。
【0046】
また、左右一対のタイヤ105の回転軸106は、XY平面内で回動自在に本体部101に支持されており、左右のタイヤ105の回転速度の違いにより、進行方向の変更が実行される。
【0047】
図2は、実施の形態における走行車100と走行路200との関係を示す概要図である。
【0048】
図2に示すように、走行路200にはカーブ部分210が存在し、かつ、複数のマーク180が離散的に配置されている。
【0049】
本実施の形態では、これら複数のマーク180のそれぞれは磁気マークである、また、これら複数のマーク180のうちの、カーブ部分の手前に配置された1つの磁気マークを他と区別するために第一マーク181と称し、カーブ部分に配置された1つの磁気マークを他と区別するために第二マーク182と称する。
【0050】
走行車100は、走行しながらこれら複数のマーク180を検出し、その検出結果が用いられた制御の下で走行を継続する。
【0051】
具体的には、本実施の形態の走行車100は、カーブ部分210の走行途中において、走行ルートの適切な補正を行うことができる。これにより、カーブ部分210を的確に通過することができ、その結果、走行車は、進行方向において第二マーク182より前方の所定の位置である目標位置190に適切な姿勢で到達する。
【0052】
つまり、走行車100は、カーブ部分210を含む走行路200を安定的に走行することができる。
【0053】
以下、本実施の形態の走行車100が、このような走行ルートの適切な補正を実行するための特徴的な機能構成および動作について説明する。
【0054】
図3は、実施の形態における走行車100の基本的な機能構成を示すブロック図である。
【0055】
走行車100は、検出装置110と、制御部120と、状態取得部122と、操舵条件決定部124と、予測部126と、走行駆動部104とを備える。
【0056】
検出装置110は、上述のFセンサ111、Bセンサ112、Rセンサ113、およびLセンサ114の4つのセンサを有する。
【0057】
検出装置110は、第一マーク181および第二マーク182を含む複数のマーク180のそれぞれを検出することができる。
【0058】
状態取得部122は、走行車100の状態を取得する。例えば、検出装置110による検出結果を用いて求められる、第一マーク181の位置における走行車100の状態を示す第一状態情報を取得する。
【0059】
また、状態取得部122は、第二マーク182の位置における走行車100の予測の状態と実際の状態との差分を示す第二状態情報を取得する。
【0060】
なお、走行車100の状態とは、状態の取得の時点での走行車100の各種の物理量で規定される。例えば、当該時点での、走行車100の位置または姿勢、積載している荷物を含む走行車100の重量、および、走行車100の速度、ならびに、これらの物理量についての、予測または予め規定される正規の基準からのずれ量などで、走行車100の状態が規定される。
【0061】
操舵条件決定部124は、走行車100の進行方向の変更についての制御情報である操舵条件を決定する。つまり、操舵条件には、走行車100がどのタイミングでどのように進行方向を変更するかを示す情報が含まれる。
【0062】
操舵条件決定部124は、例えば、上記の第一状態情報と、目標位置190において走行車100がとるべき目標状態を示す目標状態情報とに基づいて、走行車100が目標位置190において目標状態となるように、第一操舵条件を決定する。
【0063】
つまり、走行車100がカーブ部分210を通過するための基本的な制御情報として第一操舵条件が決定される。
【0064】
なお、走行車100がとるべき目標状態とは、例えば、図2において、目標位置190に到達した時点で、X軸に平行な姿勢をとっている状態である。また、走行車100が目標位置190に到達した時点は、例えば、Fセンサ111が目標位置190に対応する位置のマーク180を検出した時点などで定義される。
【0065】
制御部120は、4つのタイヤ105を回転させるモータ等により構成される走行駆動部104を制御する装置である。制御部120は、具体的には、検出装置110によって複数のマーク180が適切に検出されることを確認しながら走行駆動部104を制御することで、走行車100を正規のルートに沿って走行させる。なお、制御部120は、複数のマーク180についての情報として、例えば各マークの配置位置を示すマップ等の必要な各種情報を所定の記憶領域に保持している。
【0066】
また、このような走行を実行する上で、進行方向の変更は操舵条件決定部124によって決定された操舵条件に従って行われる。つまり、検出装置110は、第一操舵条件が決定された場合、決定された第一操舵条件に従って、走行車100の走行を制御する。
【0067】
予測部126は、走行車100が第一操舵条件に従って走行したと仮定した場合における、第二マーク182の位置における走行車100の状態を示す予測情報を算出する。
【0068】
例えば、走行車100が第一操舵条件に従って走行した場合の、検出装置110による第二マーク182についての予測の検出結果が予測情報として算出される。
【0069】
予測部126に算出された予測情報は、上述の、状態取得部122による第二状態情報の生成に用いられる。具体的には、状態取得部122は、予測部126に算出された予測情報と、検出装置110による第二マーク182についての実際の検出結果との差分を算出する。これにより、当該差分を示す第二状態情報が、状態取得部122によって取得される。
【0070】
操舵条件決定部124は、第二状態情報に示される差分に応じて第二操舵条件を決定する。具体的には、当該差分と、上記の目標状態情報とに基づいて、走行車100が目標位置190において目標状態となるように、第二操舵条件が決定される。
【0071】
つまり、操舵条件決定部124は、先に決定した第一操舵条件に従って走行車100が走行した結果生じた、第一操舵条件に基づく予定ルートからのずれを補正するように、第二操舵条件を決定する。
【0072】
なお、制御部120、状態取得部122、操舵条件決定部124、および予測部126のそれぞれは、例えば、情報の入出力を行うインタフェース、ならびに、制御プログラムを実行するためのCPU(Central Processing Unit)およびメモリ等を備えるコンピュータによって実現される。
【0073】
図4は、実施の形態における検出装置110の基本構成を示す図である。
【0074】
図4に示すように、検出装置110が備えるFセンサ111は、一列に並べられた複数のセンサ要素115を有している。なお、センサ要素115は、本発明の一態様に係るスポット誘導走行車における検出部の一例である。
【0075】
また、他のセンサ(112〜114)も基本的には同様の構成を有している。
【0076】
例えば、Fセンサ111およびBセンサ112は、それぞれ、[1]〜[25]までの25個のセンサ要素を有しており、Rセンサ113およびLセンサ114は、[1]〜[15]までの15個のセンサ要素を有している。
【0077】
例えば図4に示すように、マーク180が配置されたラインと、走行車100のXY平面上における中心点である代表点102の軌跡とが一致するように走行車100が制御される場合を想定する。
【0078】
つまり、上面視において、複数のマーク180を結ぶように描かれたライン(図4における一点鎖線)と、走行車100の正規のルートとが一致するよう制御される場合、少なくとも当該ルートの直線部分では、Fセンサ111の左右方向(図4におけるX軸方向)の中央部分でマーク180が検出される。
【0079】
つまり、センサ要素[13]、または、センサ要素[13]を中心としたセンサ要素群(例えば、[12][13][14]の3つのセンサ要素115)によって、マーク180が検出される。
【0080】
言い換えると、例えば当該センサ要素群によってマーク180が検出されることで、走行車100が正規のルートに沿って走行していることが確認される。
【0081】
また、状態取得部122は、4つのセンサ(111〜114)のうちの少なくとも1つのセンサからの検出結果を用いて、その時々の走行車100の状態を示す状態情報を取得することができる。
【0082】
なお、検出装置110が有するセンサの数は4に限定されない。具体的には、走行車100が、検出装置110による検出結果を用いて走行できるのであれば、検出装置110が有するセンサ要素115の総数は特定の数に限定されない。
【0083】
図5は、実施の形態の走行車100が、2つのマーク180を通過する直前の状態を示す図である。
【0084】
例えば、図5に示すように、走行車100の進行方向において第一マーク181よりも後方に位置するマーク180を第三マーク183とした場合を想定する。
【0085】
さらに、上述のように、走行車100が、マーク180が配置されたラインと、走行車100の正規のルートとが一致するよう制御される場合を想定する。
【0086】
この場合、例えばFセンサ111が、第三マーク183および第一マーク181の双方を、中央部分で検出することで、走行車100が正規のルートに沿って走っていることが確認される。
【0087】
また、Fセンサ111が、第三マーク183および第一マーク181の中央部分で検出しない場合、状態取得部122は、Fセンサ111から、第三マーク183および第一マーク181を検出した位置を示す検出結果を受信し、当該検出結果から、走行車100の状態を取得する。
【0088】
図6Aは、実施の形態のFセンサ111によるマーク180の検出結果の第一の例を示す図である。
【0089】
図6Bは、図6Aに示される検出結果に基づいて算出される走行車100のずれ量を示す図である。
【0090】
図6Aに示すように、Fセンサ111が、右端に近い位置(例えば、センサ要素[21]の位置)で第三マーク183および第一マーク181を順次検出した場合を想定する。
【0091】
この場合、走行車100は、正規のルートから左側にずれた位置を、正規のルートと平行に走行していると判断できる。
【0092】
具体的には、状態取得部122は、Fセンサ111における第三マーク183および第一マーク181の検出位置の、Fセンサ111の中央からの距離に応じて、図6Bに示すずれ量dを求める。
【0093】
なお、正規のルートは、図6BにおいてY軸に平行な一点鎖線によって示されている。この場合、第一マーク181に対応する走行車100の正規の位置は、走行車100が、自身の代表点102と第一マーク181とがXY座標において一致する位置である。
【0094】
例えば、当該検出位置のFセンサ111の中央からの距離が80mmであれば、ずれ量dとして“80mm”を示す情報が生成される。
【0095】
なお、状態取得部122は、例えば、各センサ(111〜114)それぞれのセンサ要素115の数および位置等を示す情報を保持している。そのため、状態取得部122は、例えば、Fセンサ111から“[21]”を示す検出結果を受信した場合、当該情報から、ずれ量dとして“80mm”を示す情報を生成することができる。
【0096】
また、このように、ずれ量は、走行車100が正規のルートから左にずれた場合が正として扱われる。例えば、状態取得部122は、Fセンサ111から“[5]”を示す検出結果を受信した場合、ずれ量dとして例えば“−80mm”を示す情報を生成する。なお、走行車100が所定の基準から左にずれた場合が負として扱われてもよい。
【0097】
図7Aは、実施の形態のFセンサ111によるマーク180の検出結果の第二の例を示す図である。
【0098】
図7Bは、図7Aに示される検出結果に基づいて算出される走行車100のずれ量を示す図である。
【0099】
図7Aに示すように、Fセンサ111が中央(センサ要素[13]の位置)で第三マーク183を検出した後に、右端に近い位置(例えば、センサ要素[23]の位置)で第一マーク181を検出した場合を想定する。
【0100】
この場合、走行車100は、正規のルートに対して左側ずれた方向に向かって走行していると判断できる。
【0101】
具体的には、状態取得部122は、Fセンサ111における第三マーク183および第一マーク181の検出位置の間の距離、および、第三マーク183と第一マーク181との間の距離を用いて、図6Bに示す、ずれ量θを求める。
【0102】
例えば、Fセンサ111における第三マーク183および第一マーク181の検出位置の間の距離がVmmであり、第三マーク183と第一マーク181との間の距離がWmmである場合を想定する。本例の場合、センサ要素[13]の中心とセンサ要素[23]の中心との間の距離がVに相当する。
【0103】
この場合、例えば下記の(式1)により、θが求まる。
【0104】
θ=tan−1(V/W) (式1)
【0105】
例えばV=100でありW=700であれば、θは約8.1度と算出される。つまり、状態取得部122により、ずれ量θとして例えば“8.1度”を示す情報を生成する。
【0106】
なお、このように走行車100が所定の基準から左に傾いた場合が正として扱われるが、この場合が負として扱われてもよい。
【0107】
また、Fセンサ111における第一マーク181の検出位置の、Fセンサ111の中央からの距離を用いて、走行車100の位置ずれ量も算出される。例えば、走行車100の代表点102が、進行方向(図7BにおけるY軸正の方向)において第一マーク181に到達した時点の、正規のルートからの左右方向(図7BにおけるX軸方向)のずれ量が算出される。
【0108】
なお、図5に示す例では、走行車100の進行方向において第一マーク181よりも後方に第三マーク183が配置されている。しかし、状態取得部122は当該進行方向において第一マーク181よりも前方に第三マーク183が配置されていても、同様の情報処理で、第一状態情報を取得することができる。
【0109】
また、状態取得部122は、検出装置110による、1つのマーク180についての検出結果の変化から、当該マークの位置に対応する走行車100の状態情報を取得することができる。
【0110】
図8は、実施の形態のFセンサ111によるマーク180の検出結果の第三の例を示す図である。
【0111】
例えば、Fセンサ111が第一マーク181の近傍を通過する期間内において、Fセンサ111による第一マーク181の検出結果が、図8に示すように時系列で変化した場合を想定する。
【0112】
具体的には、時刻t1では、[11]〜[13]の3つのセンサ要素115が第一マーク181を検出し、その後の時刻t2では、[12]〜[14]の3つのセンサ要素115が第一マーク181を検出した場合を想定する。なお、t1とt2との間は、例えば10msecである。
【0113】
この場合、図8に示すように、上面視において、第一マーク181が相対的にFセンサ111に対して斜めに通過したと判断できる。
【0114】
具体的には、状態取得部122は、走行車100の速度、t1およびt2の時間間隔、ならびに、Fセンサ111におけるt1とt2との間の第一マーク181の検出位置の変化量などから、第一マーク181の相対的な移動軌跡のFセンサ111に対する角度が算出される。
【0115】
また、その期間(t1とt2との間)での、制御部120の制御による、左右のタイヤ105の回転速度の差に基づく操舵角などの条件から、走行車100の進行方向の、正規の進行方向からのずれ量等が算出される。
【0116】
図9は、実施の形態のLセンサ114によるマーク180の検出結果の一例を示す図である。
【0117】
例えば、Lセンサ114による第一マーク181の検出結果が、図9に示すように時系列で変化した場合を想定する。
【0118】
具体的には、時刻t1では、センサ要素[6]のみが第一マーク181を検出し、その後の時刻t2では、[6]〜[8]の3つのセンサ要素が第一マーク181を検出し、さらにその後の時刻t3では、[8]〜[10]の3つのセンサ要素が第一マーク181を検出した場合を想定する。
【0119】
この場合、図9に示すように、上面視において、第一マーク181がLセンサ114に対して斜めに通過したと判断できる。
【0120】
状態取得部122は、例えば、走行車100の速度、t1およびt3の時間間隔、ならびに、Lセンサ114におけるt1とt3との間の第一マーク181の検出位置の変化量などから、第一マーク181の相対的な移動軌跡のLセンサ114に対する角度を算出することができる。
【0121】
また、その期間(t1とt3との間)での、制御部120の制御による、左右のタイヤ105の回転速度の差に基づく操舵角などの条件から、走行車100の進行方向の、正規の進行方向からのずれ量等が算出される。
【0122】
なお、走行車100の速度と、t1およびt3の時間間隔(図8ではt1およびt2の時間間隔)とにより、走行車100の当該時間間隔における移動距離が算出される。しかし、走行車100の移動距離は、他の手法により算出されてもよい。例えば、タイヤ105に接続されたエンコーダから、ある時間間隔におけるタイヤ105の回転数を取得し、取得した回転数にタイヤ105の外周距離を乗算する。このようにして、当該時間間隔における移動距離が算出されてもよい。
【0123】
以上説明したように、状態取得部122は、所定の間隔をあけて配置された2つのマーク180についての検出結果、または、1つのマーク180についての検出結果の変化から、走行車100の、所定の基準からのずれ量(正規のルートに対する位置または向きのずれ量など)を算出することができる。
【0124】
つまり、図6A〜図9に示す例では、状態取得部122は、当該ずれ量を、第一マーク181に対応する状態情報(第一状態情報)として取得することができる。
【0125】
なお、状態取得部122は、第二マーク182等の、第一マーク181以外のマーク180のそれぞれについても、同様に当該マーク180の位置に対応する走行車100の状態情報を取得することができる。
【0126】
また、状態取得部122は、Fセンサ111〜Lセンサ114の4つのうちの2つ以上のセンサから、同一または複数のマーク180についての検出結果を受信し、これら検出結果に基づいて、走行車100の所定の基準からのずれ量等を示す状態情報を取得してもよい。
【0127】
例えば、状態取得部122は、Fセンサ111とBセンサ112の双方からの第一マーク181についての検出結果を用いて、第一マーク181の位置における走行車100の正規のルートからのずれ量を算出してもよい。
【0128】
また、例えば、状態取得部122は、Fセンサ111からの第一マーク181についての検出結果、および、Bセンサ112からの第三マーク183についての検出結果を用いて、第一マーク181の位置における走行車100の正規のルートからのずれ量を算出してもよい。
【0129】
また、第一マーク181と第三マーク183とは連続して配置されていなくてもよく、第一マーク181と第三マーク183との間に他のマーク180が存在していてもよい。
【0130】
このようにして状態取得部122によって取得された第一状態情報は、走行車100の、走行路200の走行のための第一操舵条件の決定に用いられる。
【0131】
図10は、実施の形態の走行車100がカーブ部分210を通過する際の、走行車100の情報処理および動作の一例を示す図である。
【0132】
図10において、走行車100が第一マーク181を通過する際、状態取得部122により第一状態情報が取得される。本実施の形態では、上述のように、正規のルートを基準とした場合の、第一マーク181の位置における走行車100のずれ量を示す情報が第一状態情報として取得される。
【0133】
操舵条件決定部124は、目標位置190において走行車100がとるべき目標状態を示す目標状態情報を、例えば、制御部120が保持する各マークの配置位置を示すマップを参照することで取得する。
【0134】
例えば、走行車100が、目標位置190に到達した時点では、図10に示すようにX軸に平行な姿勢をとっている状態が目標状態である場合を想定する。この場合、目標位置190に対応するマーク180の座標と、走行車100の姿勢(X軸に平行)とを示す情報が、目標状態情報として取得される。
【0135】
操舵条件決定部124は、第一状態情報と目標状態情報とに基づいて、走行車100が目標位置190において当該目標状態となるように、第一操舵条件を決定する。
【0136】
つまり、第一状態情報に示されるずれ量が考慮された上で、第一マーク181の位置にある走行車100が走行を継続し、目標位置190に到達した時点でX軸に平行な姿勢をとっているためには、どのタイミングでどのように進行方向を変更すべきかを示す第一操舵条件が決定される。
【0137】
また、本実施の形態では、図10に示すように、走行車100が、目標位置190に到達するまでに、走行車100の正規のルートであって第一マーク181と目標位置190との間における正規のルートに徐々に近づくように、第一操舵条件が決定される。
【0138】
なお、正規のルートは、図10では第一マーク181を通る点線で表されている。また、カーブ部分210における正規のルートは、例えば、カーブ部分210の形状、曲率半径、ならびに走行車100の重量および性能等が考慮された上で、安全かつ効率よく走行車100がカーブ部分210を通過できるように、予め決定される。
【0139】
つまり、図10に示すように、進行方向における第一マーク181の位置で、走行車100が正規のルートからずれていた場合、第一状態情報として当該ずれ量が取得される。
【0140】
操舵条件決定部124は、当該ずれ量を考慮し、走行車100の移動軌跡が徐々に正規のルートに近づくように、第一操舵条件を決定する。つまり、走行車100が第一マーク181を通過した後に即座に正規のルートに復帰させるような制御は行われない。そのため、例えば走行車100の安全な走行が保障される。
【0141】
予測部126は、走行車100の第二マーク182の位置における予測の状態を示す予測情報を算出する。例えば、走行車100が、第一操舵条件に従って走行することで、第二マーク182の位置まで到達した場合、検出装置110が第二マーク182をどのように検出するかを示す予測の検出結果が予測情報として算出される。
【0142】
予測の検出結果としては、例えば、Fセンサ111における第二マーク182の検出位置を示す情報、または、当該検出位置の変化を示す情報など、走行車100がどのような状態(位置および姿勢)で第二マークを通過するかを示す情報が例示される。
【0143】
なお、第一操舵条件の決定は、走行車100がカーブ部分210に進入するまでに行われ、予測情報の算出は、走行車100が進行方向において第二マーク182の位置に到達するまでに行われる。
【0144】
走行車100の制御部120は、操舵条件決定部124によって決定された第一操舵条件に従って走行車100の走行を制御する。つまり、走行車100は、第一操舵条件に従ってカーブ部分210を走行し、第二マーク182の位置に到達する。
【0145】
状態取得部122は、検出装置110による検出結果を用いて求められる第二マーク182の位置における走行車100の状態を示す第二状態情報を取得する。
【0146】
例えば、予測情報に示される第二マーク182についての予測の検出結果と、検出装置110による第二マーク182についての実際の検出結果との差分を示す第二状態情報が取得される。
【0147】
操舵条件決定部124は、当該差分に応じて第二操舵条件を決定する。具体的には、当該差分と、上記の目標状態情報とに基づいて、走行車100が目標位置190において目標状態となるように第二操舵条件が決定される。
【0148】
制御部120は、このように第二操舵条件が決定された場合、第一操舵条件に代えて前記第二操舵条件に従って、走行車100の走行を制御する。
【0149】
図11は、実施の形態における予測情報および実測情報の一例を示す図である。
【0150】
図11に示すように、例えば、予測部126により、Fセンサ111のセンサ要素[15]を中心とするセンサ要素群が、第二マーク182を検出するであろうと予測された場合を想定する。
【0151】
つまり、走行車100が、第一操舵条件に従って走行した場合、第二マーク182に到達した時点では、Fセンサ111が第二マーク182についてこのような検出結果を出力するような状態(位置および姿勢)にあるであろうと予測された場合を想定する。
【0152】
この場合、具体的には、予測情報として、“[14][15][16]”を示す情報、または、これらセンサ要素群のFセンサ111における配置範囲を示す情報などが算出される。
【0153】
この想定下において、実際には、図11に示すように、Fセンサ111のセンサ要素[17]を中心とするセンサ要素群が、第二マーク182を検出した場合、状態取得部122は、第二マーク182の検出位置の差分Dを、ずれ量として算出する。
【0154】
操舵条件決定部124は、差分Dを示す第二状態情報を受信すると、差分Dを考慮し、走行車100が目標位置に到達した際に目標状態になっているように第二操舵条件を決定する。
【0155】
図12は、実施の形態における第一操舵条件に基づく予定ルートおよび第二操舵条件に基づく予定ルートの一例を示す図である。
【0156】
例えば、走行車100が第一操舵条件に従った場合の予定ルートが、図12のように示される場合、例えば走行車100の代表点102は、理論上、当該予定ルート上の[A]を通過すると予測される。
【0157】
この場合、予測部126は、走行車100の代表点102が[A]を通過する際の、例えばFセンサ111による第二マーク182についての予測の検出結果(図11の上図参照)を算出する。
【0158】
しかし、路面の凸凹等の外乱により、実際には、走行車100の代表点102が[B]を通過した場合、状態取得部122は、例えばFセンサ111から図11の下図に示す検出結果を受信する。また、状態取得部122は、上述のように、これら予測と実測との差分であるDを算出する。
【0159】
操舵条件決定部124は、Dがゼロでないことから、Dと目標状態情報とに基づいて
第二操舵条件を決定する。
【0160】
例えば、第二マークと目標位置190との間における正規のルートに徐々に近づくように、第一操舵条件が決定される。
【0161】
つまり、図12に示すように、走行車100が、[B]を基点として目標位置190まで到達し、かつ、目標位置190において例えばX軸と平行な姿勢となるように、第二操舵条件が決定される。
【0162】
このように、本実施の形態における走行車100は、カーブ部分210を通過する際に、カーブ部分210の手前での実際の状態と、その先にある目標位置190での目標状態とが考慮された上で第一操舵条件を決定する。
【0163】
走行車100はさらに、第一操舵条件に従ってカーブ部分210を走行している途中で、予想通りに走行できているかを少なくとも一回確認する。この確認の結果、予想からのずれがある場合(例えば、図11におけるD>0の場合)、このずれを埋めるように第一操舵条件が補正される。
【0164】
具体的には、上述のように第二操舵条件が決定され、走行車100は、第二操舵条件に従って走行することで、目標位置190に目標状態で到達する。
【0165】
このように、実施の形態の走行車100は、カーブ部分210を含む走行路200を走行する走行車100であって、当該カーブ部分210を的確に通過することができる。
【0166】
以上、本発明のスポット誘導走行車について、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0167】
例えば、本実施の形態では、カーブ部分210に配置された1つの第二マーク182の検出結果を用いて操舵条件の補正(第一操舵条件から第二操舵条件への変更)が行われるとした。
【0168】
しかし、操舵条件の補正はカーブ部分210で複数回行われてもよい。例えば、第二マーク182に相当するマーク180を、カーブ部分210に複数配置する。走行車100は、それら複数のマーク180それぞれについての検出結果を得るごとに、当該検出結果を用いて操舵条件の補正を行ってもよい。
【0169】
また、本実施の形態では、第一状態情報として、走行車100の正規のルートからのずれ量(距離または角度)が取得されるとした。しかしながら、第一マーク181の位置における、走行車100の重量もしくは速度、または、これらの所定の基準からのずれ量が第一状態情報として取得されてもよい。
【0170】
この場合、状態取得部122は、例えば走行車100の重量または速度を検出する装置から、これら情報を取得すればよい。
【0171】
ここで、第一マーク181が検出装置110に検出された時点での走行車100の速度が予定よりも大きかった場合を想定する。この場合、操舵条件決定部124は、例えば、進行方向の変更回数を予定回数より多くするとともに、一回あたりの進行方向の変更量を予定量よりも小さくすることで第一操舵条件を決定する。これにより、走行車100を、安全にカーブ部分210を通過させることができる。
【0172】
また、第二状態情報として、検出装置110による第二マーク182についての予測の検出結果と実際の検出結果との差分が算出されるとした。また、これら検出結果の差分の一例として、図11を用いて、検出装置110における検出位置間の距離Dが算出される場合を説明した。
【0173】
しかしながら、第二状態情報に示される情報の種類はこれに限定されない。例えば、図8に示すように、検出結果の変化についての予測値と実測値との差分が第二状態情報として取得されてもよい。
【0174】
また、例えば、予測の検出結果と実際の検出結果とから算出される、検出装置110が第二マーク182を検出した時点の、走行車100の位置または姿勢の予測値と実測値との差分が第二状態情報として取得されてもよい。
【0175】
さらには、これら各種の物理量が組み合わされた第二状態情報が取得されてもよい。
【0176】
また、本実施の形態では、主としてFセンサ111が、マーク180を検出する場合について説明したが、他のセンサ(112〜114)の検出結果に基づいて、第一操舵条件および第二操舵条件が決定されてもよい。
【0177】
また、マーク180の種類は磁気マークでなくてもよく、特定の種類に限定されない。例えば、マーク180は、光を反射または発生する光学マークでもよい。この場合、検出装置110は、マーク180からの光の入射の有無でマーク180を検出する機能を有すればよい。
【0178】
また、複数のマーク180は1本のラインを形成するように配置されている必要はなく、それぞれが間隔をあけて配置されていればよい。
【0179】
また、検出装置110は、これら複数のマーク180についての検出結果をどのように利用してもよい。例えば、本来的には走行車100が走行すべきルートから外れた位置に配置されたマーク180を、走行車100が当該ルートに沿って走行中に、検出装置1110が検出できる場合、その検出結果を利用して操舵条件が決定されてもよい。
【0180】
また、本実施の形態では、操舵条件の決定に用いられる基準の一つである目標位置190は、図10に示すように、走行車100の進行方向においてカーブ部分210よりも前方に存在している。しかし、目標位置190は、進行方向において第二マーク182よりも前方に存在すればよい。例えば、目標位置190がカーブ部分210に存在してもよい。
【0181】
図13は、目標位置190がカーブ部分210に存在する場合の、走行車100と走行路200との関係を示す概要図である。
【0182】
例えば、図13に示すように、カーブ部分210に目標位置190が存在する場合であっても、走行車100は、第一マーク181と目標位置190との間に存在する第二マーク182の検出結果を利用して第二操舵条件を決定することができる。
【0183】
つまり、走行車100がカーブ部分210に進入する前に一旦決定された操舵条件が、走行車100が目標位置190に到達するまでの間に少なくとも一度補正される。
【0184】
この場合、例えば、走行路200沿いの目標位置190に対応する位置に、荷物の受け渡しを行うためのステーション220を設置することができる。
【0185】
言い換えると、カーブ部分210に沿ったいずれかの位置に、ステーション220を設置し、その設置位置に対応する路面上の位置を、目標位置190とする。これにより、カーブ部分210の途中にステーション220を設置した場合であっても、ステーション220に対して適切な位置および姿勢で走行車100をステーション220に到達させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明のスポット誘導走行車は、カーブ部分を含む走行路を走行するスポット誘導走行車であって、当該カーブ部分を的確に通過することのできるスポット誘導走行車である。従って、工場および物流倉庫等で荷物の搬送を行う走行車として有用である。
【符号の説明】
【0187】
100 走行車
101 本体部
102 代表点
104 走行駆動部
105 タイヤ
106 回転軸
110 検出装置
111 Fセンサ
112 Bセンサ
113 Rセンサ
114 Lセンサ
115 センサ要素
120 制御部
122 状態取得部
124 操舵条件決定部
126 予測部
180 マーク
181 第一マーク
182 第二マーク
183 第三マーク
190 目標位置
200 走行路
210 カーブ部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーブ部分を含む走行路に離散的に配置された複数のマークの検出結果を用いて前記走行路を走行するスポット誘導走行車であって、
前記スポット誘導走行車の進行方向において前記カーブ部分の手前に配置された第一マークと、前記カーブ部分に配置された第二マークとを含む前記複数のマークのそれぞれを検出することのできる検出装置と、
前記検出装置による検出結果を用いて求められる、前記第一マークの位置における前記スポット誘導走行車の状態を示す第一状態情報を取得する状態取得部と、
前記状態取得部により取得された第一状態情報と、前記進行方向において前記第二マークよりも前方の目標位置において前記スポット誘導走行車がとるべき目標状態を示す目標状態情報とに基づいて、前記スポット誘導走行車が前記目標位置において前記目標状態となるように、前記スポット誘導走行車の進行方向の変更についての制御情報である第一操舵条件を決定する操舵条件決定部と、
前記スポット誘導走行車の走行を制御する制御部であって、前記第一操舵条件が決定された場合、決定された前記第一操舵条件に従って、前記スポット誘導走行車の走行を制御する制御部と、
前記スポット誘導走行車が前記第一操舵条件に従って走行したと仮定した場合における、前記第二マークの位置における前記スポット誘導走行車の状態を示す予測情報を算出する予測部とを備え、
前記状態取得部は、(a)前記予測情報と、(b)前記検出装置による検出結果を用いて求められる、前記第二マークの位置における前記スポット誘導走行車の状態を示す実測情報との差分を示す第二状態情報を取得し、
前記操舵条件決定部は、前記第二状態情報に示される差分に応じて第二操舵条件を決定し、
前記制御部は、前記第二操舵条件が決定された場合、前記第一操舵条件に代えて前記第二操舵条件に従って、前記スポット誘導走行車の走行を制御する
スポット誘導走行車。
【請求項2】
前記予測部は、前記予測情報として、前記スポット誘導走行車が前記第一操舵条件に従って走行したと仮定した場合における、前記検出装置による前記第二マークについての予測の検出結果を算出し、
前記状態取得部は、前記予測情報に示される予測の検出結果と、前記検出装置による前記第二マークについての実際の検出結果との差分を示す前記第二状態情報を取得し、
前記操舵条件決定部は、前記第二状態情報に示される差分と、前記目標状態情報とに基づいて、前記スポット誘導走行車が前記目標位置において前記目標状態となるように前記第二操舵条件を決定する
請求項1記載のスポット誘導走行車。
【請求項3】
前記状態取得部は、前記検出装置による、前記第一マークについての検出結果から算出される、前記第一マークの位置における前記スポット誘導走行車の所定の基準からのずれ量を、前記第一状態情報として取得する
請求項1または2に記載のスポット誘導走行車。
【請求項4】
前記検出装置は、複数の検出部であって、それぞれが前記複数のマークのそれぞれを検出することのできる複数の検出部を有し、
前記状態取得部は、前記検出装置が前記第一マークの近傍を通過する期間内に得られる、前記複数の検出部による前記第一マークについての検出結果の変化から、前記ずれ量を算出する
請求項3記載のスポット誘導走行車。
【請求項5】
前記検出装置は、前記第一マーク、および、前記進行方向において前記第一マークの前方または後方に位置する第三マークを検出し、
前記状態取得部は、前記検出装置により検出された前記第一マークの検出結果と前記第三マークの検出結果とから、前記ずれ量を算出する
請求項3記載のスポット誘導走行車。
【請求項6】
前記状態取得部は、前記所定の基準である正規の位置であって、前記第一マークに対応する前記スポット誘導走行車の正規の位置と、前記検出装置による検出結果に示される前記スポット誘導走行車の位置との差分である前記ずれ量を、前記第一状態情報として取得し、
前記操舵条件決定部は、前記ずれ量と、前記目標状態情報である前記スポット誘導走行車の前記目標位置における姿勢を示す情報とを用いて、前記スポット誘導走行車が、前記目標位置に到達するまでに、前記スポット誘導走行車の正規のルートであって前記第一マークと前記目標位置との間における正規のルートに徐々に近づくように、前記第一操舵条件を決定する
請求項3〜5のいずれか1項に記載のスポット誘導走行車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−168885(P2012−168885A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31128(P2011−31128)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】