説明

スポンジ板洗い機

【課題】 スポンジ板を搬送している間にスポンジ板の搬送姿勢を前縁が搬送方向に対して直角な方向になるように正すことができるスポンジ板洗い機を提供する。
【解決手段】 正逆回転可能な供給側絞りローラ対6と、正逆回転可能な排出側絞りローラ対7と、供給側絞りローラ対と排出側絞りローラ対の間に位置する正逆回転可能な送りローラ対8とを備え、供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7の距離をスポンジ板5の搬送方向長さより大きくし、供給側絞りローラ対6と送りローラ対8間及び排出側絞りローラ対7と送りローラ対8間の距離を夫々スポンジ板5の搬送方向長さより小さくし、送りローラ対8の上下ローラ間の間隙をスポンジ板5の厚みより僅かに小さくしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、海苔簀上に抄いた生海苔を脱水する乾燥海苔製造装置のプレス脱水部に装着される生海苔脱水用スポンジ板等のスポンジ板を洗浄するスポンジ板洗い機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、乾燥海苔製造装置は、海苔簀上に生海苔を薄く抄き上げる抄部と、抄部に抄き上げられた生海苔を脱水する脱水部と、脱水部で脱水された生海苔を乾燥させる乾燥機などから構成され、その脱水部は、生海苔が抄き上げられた海苔簀に生海苔脱水用スポンジ板を上下側から押し付けて生海苔をプレス脱水するようになっている。このプレス脱水に用いる生海苔脱水用スポンジ板は、生海苔の脱水を繰り返すことによって生海苔の屑がスポンジ板に強く付着し、スポンジ板の脱水能力が低下する上に雑菌が発生するので、スポンジ板を時々スポンジ板洗い機等によって洗浄する必要がある。
【0003】
従来、この種のスポンジ板洗い機としては、特許文献1〜3に示すものが知られている。
特許文献1のものは、多数の回転可能なローラをスポンジ板の搬送方向長さの3分の1程度の間隔をあけて水平方向に並列した上側のローラ群と、それらのローラの下方に対峙して多数の回転可能なローラを水平方向に並列した下側のローラ群と、一方のローラ群と他方のローラ群との間を移送されるスポンジ板に洗浄水を噴射する洗浄ノズルを備え、他方のローラを多数の透孔が形成された円筒状に形成し、一方のローラを透孔が形成されていないものに形成し、洗浄ノズルによってスポンジ板の下面に洗浄水を放射すると共に、洗浄水を吸収したスポンジ板を上側のローラと下側のローラにより圧縮して洗浄水を下方へ絞り出してスポンジ板を洗浄するようになっている。
また、特許文献2、3のものは、洗浄槽に回転可能な送込みローラ対、絞りローラ対、絞りローラ対及び送出しローラ対をスポンジ板の搬送方向長さと略同じかそれより所定量短い間隔をあけて夫々水平方向に並列し、絞りローラと絞りローラの間及び絞りローラと送出しローラの間に夫々摺擦羽根を回転可能に設け、スポンジ板の上面に放水する水パイプを備え、スポンジ板を各ローラ対によって搬送しながらスポンジ板に放水し、スポンジ板を絞りローラ対によって絞り出すと共にスポンジ板の表裏面を摺擦羽根によって摺擦して洗浄するようになっている。
【特許文献1】 特開平11−290034号公報
【特許文献2】 特開2003−190885号公報
【特許文献3】 特開平8−230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1のものは、上側のローラ群の多数のローラと下側のローラ群の多数のローラがスポンジ板の搬送方向長さの3分の1程度の間隔をあけて並列してあるので、上側のローラ群と下側のローラ群の間にスポンジ板を挟んで搬送させるとき、スポンジ板の搬送方向長さの1〜3箇所がローラ対によって常に強く挟持されていることになる。その為、スポンジ板がローラ対間に斜めにゆがんで供給されると、スポンジ板をローラ対間で挟持搬送する際の左右の抵抗に差を生じる関係上、スポンジ板の挟持搬送に伴いスポンジ板のゆがみが大きくなり、スポンジ板の洗浄に斑を生じたり、時にはスポンジ板を損傷させる問題がある。
【0005】
また、特許文献2、3のものは、各ローラ対をスポンジ板の搬送方向長さと略同じかそれより所定量短い間隔をあけて並列してあるので、各ローラ対間にスポンジ板を挟んで搬送するとき、スポンジ板の搬送方向長さの1箇所がローラ対によって常に強く挟持されていることになる。その為、特許文献1のものと同様に、スポンジ板がローラ対間に斜めにゆがんで供給されると、スポンジ板をローラ対間で挟持搬送する際の左右の抵抗に差を生じる関係上、スポンジ板の挟持搬送に伴いスポンジ板のゆがみが大きくなり、スポンジ板の洗浄に斑を生じたり、時にはスポンジ板を損傷させる問題がある。
そこで、本発明の課題は、スポンジ板をローラ対間で挟持搬送する際に、スポンジ板がローラ対間に斜めにゆがんで供給されても、スポンジ板を搬送している間にスポンジ板の搬送姿勢をスポンジ板の前縁が搬送方向に対して直角な方向になるように正すことができ、スポンジ板を真っ直ぐ搬送して確実に洗浄できると共に、スポンジ板の損傷を防止できるスポンジ板洗い機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、スポンジ板を挟持搬送可能な絞りローラ対と挟持搬送されるスポンジ板に放水可能な放水管を備え、絞りローラ対間にスポンジ板を通過させると共に挟持搬送されるスポンジ板に放水して洗浄するようにしたスポンジ板洗い機において、正逆回転可能な供給側絞りローラ対と、正逆回転可能な排出側絞りローラ対と、供給側絞りローラ対と排出側絞りローラ対の間に位置する正逆回転可能な送りローラ対とを備え、供給側絞りローラ対と排出側絞りローラ対の距離をスポンジ板の搬送方向長さより大きくし、供給側絞りローラ対と送りローラ対間及び排出側絞りローラ対と送りローラ対間の距離を夫々スポンジ板の搬送方向長さより小さくし、送りローラ対の上下ローラ間の隙間をスポンジ板に弱く接触するようにスポンジ板の厚みより僅かに小さくし、送りローラ対で送っているスポンジ板が供給側または排出側の絞りローラ対に到達するようにしたことを特徴とする。(請求項1)
【0007】
また、本発明は、送りローラ対の上側ローラの外形を長さ方向の中間部の太さが両端部分の太さに比べて徐々に大きい太鼓形状にしたことを特徴とする(請求項2)。
また、本発明は、供給側絞りローラ対と排出側絞りローラ対の上側ローラと下側ローラを、筒状で外周に多数の貫通孔を有する多孔ローラで構成して成ることを特徴とする。(請求項3)
また、本発明は、排出側絞りローラ対が正転することでスポンジ板を挟持搬送してスポンジ板の搬送方向長さの半分以上搬送したとき、そのことを光電スイッチで検出して排出側絞りローラ対と送りローラ対と供給側絞りローラ対を逆転させ、供給側絞りローラ対が逆転することでスポンジ板を挟持搬送してスポンジ板の搬送方向長さの半分以上搬送したとき、そのことを光電スイッチで検出して供給側絞りローラ対と送りローラ対と排出側絞りローラ対を正転させる制御装置を備えていることを特徴とする。(請求項4)
【発明の効果】
【0008】
本発明は、正逆回転可能な供給側絞りローラ対と、正逆回転可能な排出側絞りローラ対と、供給側絞りローラ対と排出側絞りローラ対の間に位置する正逆回転可能な送りローラ対とを備え、供給側絞りローラ対と排出側絞りローラ対の距離をスポンジ板の搬送方向長さより大きくし、供給側絞りローラ対と送りローラ対間及び排出側絞りローラ対と送りローラ対間の距離を夫々スポンジ板の搬送方向長さより小さくし、送りローラ対の上下ローラ間の隙間をスポンジ板に弱く接触するようにスポンジ板の厚みより僅かに小さくし、送りローラ対で送っているスポンジ板が供給側または排出側の絞りローラ対に到達するようにしたので、スポンジ板がローラ対間に斜めにゆがんで供給されたときでも、スポンジ板を搬送している間にスポンジ板の搬送姿勢をスポンジ板の前縁が搬送方向に対して直角な方向になるように正すことができ、スポンジ板を真っ直ぐ搬送して確実に洗浄できると共に、スポンジ板の損傷を防止できる効果を奏する。
また、本発明は、送りローラ対の上側ローラの外形を長さ方向の中間部の太さが両端部分の太さに比べて徐々に大きい太鼓形状にしたので、搬送中にスポンジ板が搬送幅の中心部分を中心にして左右に向きを変え易くなり、スポンジ板の先端部が供給側絞りローラ対または排出側絞りローラ対に当接したときに先端部が供給側絞りローラ対または排出側絞りローラ対の軸線に沿うように姿勢がスムーズに容易に正される。
また、本発明は、供給側絞りローラ対と排出側絞りローラ対の上側ローラと下側ローラを、筒状で外周に多数の貫通孔を有する多孔ローラで構成しているので、スポンジ板を給側絞りローラ対や排出側絞りローラ対によって挟持搬送するとき、スポンジ板の表面が多孔ローラの貫通孔に潜り込んで擦られることになり、スポンジ板の表面をきれいに洗浄でき、また、スポンジ板を挟持搬送するときにスポンジ板に含まれる汚水を貫通孔から効率良く排出してスポンジ板をきれいに洗浄できる利点を有する。
また、本発明は、排出側絞りローラ対が正転することでスポンジ板を挟持搬送してスポンジ板の搬送方向長さの半分以上搬送したとき、そのことを光電スイッチで検出して排出側絞りローラ対と送りローラ対と供給側絞りローラ対を逆転させ、供給側絞りローラ対が逆転することでスポンジ板を挟持搬送してスポンジ板の搬送方向長さの半分以上搬送したとき、そのことを光電スイッチで検出して供給側絞りローラ対と送りローラ対と排出側絞りローラ対を正転させる制御装置を備えているので、スポンジ板を正確に往復移動させて確実に自動洗浄できる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
スポンジ板洗い機のフレーム1に側壁2と底壁3を備えた洗浄空間4を設けてある。洗浄空間4には、スポンジ板5を挟持搬送可能な正逆回転可能な供給側絞りローラ対6と、正逆回転可能な排出側絞りローラ対7と、供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7の間に位置する正逆回転可能な送りローラ対8とが水平方向に並設されている。供給側絞りローラ対6はローラ軸6a、6bを備えた上下一対のローラ6A、6Bから構成され、排出側絞りローラ対7はローラ軸7a、7bを備えた上下一対のローラ7A、7Bから構成され、送りローラ対8はローラ軸8a、8bを備えた上下一対のローラ8A、8Bから構成されている。
【0010】
供給側絞りローラ対6のローラ6A、6Bと排出側絞りローラ対7のローラ7A、7Bは、夫々筒状に成形されて筒状部の外周に多数の貫通孔10が穿設され、中心部には夫々ローラ軸6a、6b、7a、7bが一体に具備されている多孔ローラで構成されている。下側ローラ軸6b、7b、8bは、両端側が夫々側壁の孔に挿通されて側壁2に固定された軸受(図示省略)により回動可能に支承され、下側ローラ軸6b、7bの一端部にチェーンホイール12、13が固着され、下側ローラ軸8bの一端部にチェーンホイール14、15が固着され、下側ローラ軸6b、7b、8bの他端部に下側歯車17が夫々固着されている。
送りローラ対8の上、下側ローラ8A、8Bは、夫々樹脂またはゴム等により円柱状に成形され、中心部には夫々ローラ軸8a、8bが一体に具備されている。上側ローラ軸6a、7a、8aは、両端側が夫々側壁の孔に挿通されて側壁2に固定された軸受11により回動可能に支承され、他端部に下側歯車17に螺合する上側歯車18が固着されている。
【0011】
供給側絞りローラ対6の上側ローラ6Aと下側ローラ6Bとの間隔及び排出側絞りローラ対7の上側ローラ7Aと下側ローラ7Bとの間隔は、スポンジ板5を挟持して水分を絞り出すことができるようにスポンジ板5の厚みより相当小さく(例えば、スポンジ板5の厚みが25mmのとき8mm程度に)してある。また、送りローラ対8の上側ローラ8Aと下側ローラ8Bとの間隔は、スポンジ板5の厚みより僅かに小さくてスポンジ板5を大きく圧縮することなく軽く接触する大きさに設定し、送りローラ対8で搬送しているスポンジ板5の先端部が供給側絞りローラ対6または排出側絞りローラ対7に到達して当接したときスポンジ板5に対してスリップしつつスポンジ板5を搬送するようになっている。
【0012】
供給側絞りローラ対6と送りローラ対8との間の両側の側壁2には、ローラ対6、7、8によって挟持搬送するスポンジ板5の両縁部下面を支えて案内する支持片20が固着されている。排出側絞りローラ対7と送りローラ対8との間の両側の側壁2にも、ローラ対6、7、8によって挟持搬送するスポンジ板5の両縁部下面を支えて案内する支持片21が固着されている。また、供給側絞りローラ対6と送りローラ対8との間の両側の側壁2には、ローラ対6、7、8によって挟持搬送されるスポンジ板5の両側面を案内する案内板20Aが固着されている。排出側絞りローラ対7と送りローラ対8との間の両側の側壁2にも、ローラ対6、7、8によって挟持搬送されるスポンジ板5の両側面を案内する案内板21Aが固着されている。供給側絞りローラ対6と送りローラ対8間及び排出側絞りローラ対7と送りローラ対8間の夫々の中間部上方には、ローラ対6、7、8によって挟持搬送されるスポンジ板5の上面に放水可能な放水管23、24が両側の側壁2に架設されている。放水管23、24は、下向に多数の放水孔が設けられ、一端部が閉鎖され、他端部が図示しないポンプを介して水タンクに連結されている。
【0013】
供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7の搬送方向の距離は、スポンジ板5の搬送方向長さより所定量大きく設定し、スポンジ板5の搬送の際に供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7の間でスポンジ板5が供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7の何れにも挟持されない状態になるようにしてある。供給側絞りローラ対6と送りローラ対8間及び排出側絞りローラ対7と送りローラ対8間の距離は、夫々スポンジ板5の搬送方向長さより小さく設定し、供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7間でスポンジ板5が供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7の何れにも挟持されない状態において、送りローラ対8がスポンジ板5を搬送しているときにスポンジ板5の進行方向側の先端部が給側絞りローラ対6または排出側絞りローラ対7に到達するようにしてある。
例えば、スポンジ板5の搬送方向長さが240〜250mmの場合、供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7の搬送方向の距離が280〜300mm、供給側絞りローラ対6と送りローラ対8間及び排出側絞りローラ対7と送りローラ対8間の距離が140〜150mmにしてある。
【0014】
下側ローラ軸6b、8bに設けたチェーンホイール12、15には無端チェーン25が懸回され、下側ローラ軸7b、8bに設けたチェーンホイール13、14と駆動モータ26の駆動プーリ27には無端チェーン28が懸回され、駆動モータ26によって下側ローラ軸6b、7b、8bを正逆転させるようになっている。駆動モータ26の正逆転は、制御装置(図示省略)で制御され、正転によってスポンジ板5を供給側から排出側に向けて搬送するとき、スポンジ板5が排出側絞りローラ対7によって3分の2程度挟持搬送されて排出側へ張り出したとき、そのスポンジ板5の位置を光電スイッチ(図示省略)等で検出して逆転され、その後、スポンジ板5が供給側へ搬送され、スポンジ板5が供給側絞りローラ対6によって3分の2程度挟持搬送されて供給側へ張り出したとき、そのスポンジ板5の位置を光電スイッチ(図示省略)等で検出して正転され、以上の動作を図示しない設定器で設定する所定回数繰返し、所望時間例えば10分程度洗浄すようになっている。
なお、駆動モータ26の正逆転は、スポンジ板5の搬送時間に基づいて設定したタイマーの設定時間によって切り替えるようにしても良い。また、駆動モータ26によって下側ローラ軸6b、7b、8bを正逆転させるためのチェーンの配設のやり方は、図示のものに特定されるものではなく任意に変更しても良い。
【0015】
供給側絞りローラ対6の供給側には、スポンジ板5を機械的に供給するための任意のスポンジ板自動供給装置35が付設され、排出側絞りローラ対7の排出側には、洗浄後のスポンジ板5を受け入れる任意のスポンジ板収容具36が設置されている。
なお、下側ローラ軸6b、7b、8bの正逆転は、排出側絞りローラ対が正転してスポンジ板を搬送方向長さの半分以上搬送したとき排出側絞りローラ対と送りローラ対と供給側絞りローラ対を逆転させ、その後、供給側絞りローラ対が逆転してスポンジ板を搬送方向長さの半分以上搬送した時点で供給側絞りローラ対と送りローラ対と排出側絞りローラ対を正転させるようにしても良い。
【0016】
次に、スポンジ板洗い機の動作について説明する。先ず、スポンジ板自動供給装置35によってスポンジ板5を供給側絞りローラ対6間に機械的に供給する。このスポンジ板5の供給は、例えば、スポンジ板自動供給装置35によって供給位置に移動されたスポンジ板5を図示しない移送部材が供給側絞りローラ対6間に向けて押し移動することで行なわれる。このスポンジ板5の供給と同時に駆動モータ26が作動し、供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7と送りローラ対8を排出側方向へ挟持搬送する方向へ回転させる。また、放水管23、24に水が供給され、放水管23、24の放水孔から下向きに放水される。なお、駆動モータ26の駆動は予め始動スイッチで開始させるようにしても良い。
【0017】
その結果、スポンジ板5は、供給側絞りローラ対6に挟持されて搬送された後送りローラ対8によって排出側絞りローラ対7に搬送され、排出側絞りローラ対7によって排出側へ挟持搬送される。その際、スポンジ板5は下面が支持片20、21によって支持され、左右の側面が必要に応じて案内板20A、21Aによって案内されるようになっている。そして、スポンジ板5が排出側絞りローラ対7によって搬送方向長さの半分以上である3分の2程度搬送されると、そのスポンジ板5の位置を光電スイッチによって検出し、その検出信号によって駆動モータ26の回転方向(正転)を逆転(または途中に図示しないクラッチを備えた逆転機構を介在させてそのクラッチを切り替えるようにしても良い)させ、供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7と送りローラ対8を逆転させる。その結果、スポンジ板5は、排出側絞りローラ対7に挟持されて搬送された後送りローラ対8によって供給側絞りローラ対6に搬送され、供給側絞りローラ対6によって供給側へ挟持搬送される。そして、スポンジ板5が供給側絞りローラ対6によって搬送方向長さの3分の2程度搬送されると、そのスポンジ板5の位置を光電スイッチが検出し、その検出信号によって、供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7と送りローラ対8の逆転が正転に切り替えられ、スポンジ板5が再び排出側方向へ挟持搬送される。
【0018】
一方、スポンジ板5が、供給側絞りローラ対6と送りローラ対8間及び送りローラ対8と排出側絞りローラ対7間を搬送されるとき、スポンジ板5の上面に放水管23、24によって放水され、スポンジ板5に水が吸収される。スポンジ板5に吸収された水は、供給側絞りローラ対6や排出側絞りローラ対7によって挟持搬送されることでその都度汚水となって絞り出され、上側ローラ6A、7Aと下側ローラ6B、7Bの貫通孔10を通して排水される。この排水は洗浄空間4の底壁3で受け止められ、図示しないタンク内に回収される。
【0019】
上記のように、スポンジ板5が供給側絞りローラ対6と送りローラ対8と排出側絞りローラ対7によって往復搬送されてスポンジ板5が洗浄されるとき、スポンジ板5は供給側絞りローラ対6や排出側絞りローラ対7によって強く挟持されて搬送されるので、スポンジ板5の姿勢(向き)がゆがんで挟持されると、図3に示すように、スポンジ板5はゆがんだ状態で搬送されることになる。ところが、供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7の搬送方向の距離がスポンジ板5の搬送方向長さより所定量大きく設定してあるので、スポンジ板5は供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7の間で供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7の何れにも挟持されない状態になる。しかも、供給側絞りローラ対6と送りローラ対8間及び排出側絞りローラ対7と送りローラ対8間の距離がスポンジ板5の搬送方向長さより小さく設定してあるので、スポンジ板5が供給側絞りローラ対6と排出側絞りローラ対7の何れにも挟持されない状態において、図4に示すように、送りローラ対8によって搬送しているスポンジ板5の進行方向側の先端部が供給側絞りローラ対6または排出側絞りローラ対7に到達して当接する。スポンジ板5の先端部が供給側絞りローラ対6または排出側絞りローラ対7に到達することで、スポンジ板5の先端部が給側絞りローラ対6または排出側絞りローラ対7に当接してそのローラ対方向に沿うように送りローラ対8によって搬送され、スポンジ板5の姿勢が正されることになる。姿勢が正されたスポンジ板5は供給側絞りローラ対6または排出側絞りローラ対7に食い込まれて挟持搬送され、正しい姿勢の状態で洗浄作業が行なわれる。
【0020】
スポンジ板5は、供給側絞りローラ対6と送りローラ対8と排出側絞りローラ対7間に複数回往復搬送されてきれいに洗浄された後、排出側絞りローラ対7間から排出側に送り出され、スポンジ板収容具36に落下供給される。その後、それ迄の間にスポンジ板自動供給装置35によって供給位置に移動されている次のスポンジ板5が移送部材の作動によって供給側絞りローラ対6間に供給され、前記と同様にしてスポンジ板5の洗浄作業が行なわれる。以上のように、スポンジ板自動供給装置35に所定枚数のスポンジ板5をセットしておくことで、これらのスポンジ板5が順次自動的に供給側絞りローラ対6に供給され、その後、きれいに洗浄された後で排出側絞りローラ対7から排出されてスポンジ板収容具36に収容される。
【0021】
図5は、送りローラ対の異なる実施態様を示すもので、送りローラ対80の上側ローラ80Aの外形を長さ方向の中間部の太さ(外径)が両端部分の太さ(外径)に比べて徐々に大きい太鼓形状にしたものである。この実施態様によれば、スポンジ板5を送りローラ対80の上側ローラ80Aと下側ローラ80Bで挟んで搬送する場合、送りローラ対80の上側ローラ80Aが実質的にスポンジ板5の搬送幅の中心部分を挟んで搬送することになり、搬送中にスポンジ板5が搬送幅の中心部分を中心にして左右に向きを変え易くなる。従って、スポンジ板5は、その先端部が供給側絞りローラ対または排出側絞りローラ対に当接して供給側絞りローラ対または排出側絞りローラ対の軸線に沿うように姿勢が正されようとするとき、スポンジ板5の先端部が供給側絞りローラ対または排出側絞りローラ対の軸線に沿うようにスムーズに容易に姿勢が正され、スポンジ板5が直ぐに搬送方向へ真っ直ぐ向けられることになる利点を有する。
図6は、送りローラ対の他の異なる実施態様を示すもので、送りローラ対8Eの上側ローラ8EAを長さ方向の中央部分に位置する中央ローラ8Eaと左右両側に位置する一対の側部ローラ8Eb、8Ebに分割したもので、中央ローラ8Eaの太さ(外径)を側部ローラ8Eb、8Ebの太さ(外径)に比べて大きくし、図5の太鼓形状にした場合と同様な効果を奏するようにしてある。この場合、左右一対の側部ローラ8Eb、8Ebを省略して中央ローラ8Eaのみにしたり、その中央ローラ8Eaを太鼓形状にしたり、中央ローラ8Eaを省略して左右一対の側部ローラ8Eb、8Ebのみにしても良い。
なお、図1、2の放水管23、24は、スポンジ板5の搬送軌跡の下側にも配置してスポンジ板5の下面にも放水するようにしても良い。また、供給側絞りローラ対6や排出側絞りローラ対7の上側ローラ6A、7Aを多孔ローラでない無孔ローラで構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態を示すスポンジ板洗い機の縦断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】スポンジ板5の搬送状態を示す作動説明図である。
【図4】スポンジ板5の搬送状態を示す作動説明図である。
【図5】送りローラ部分の異なる実施態様を示す縦断面図である。
【図6】送りローラ部分の他の異なる実施態様を示す説明図である。
【符号の説明】
【0023】
5・・・スポンジ板、6・・・供給側絞りローラ対、7・・・排出側絞りローラ対、8・・・送りローラ対、10・・・貫通孔、23・・・放水管、24・・・放水管、6A、7A、8A・・・上側ローラ、6B、7B、8B・・・下側ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポンジ板を挟持搬送可能な絞りローラ対と挟持搬送されるスポンジ板に放水可能な放水管を備え、絞りローラ対間にスポンジ板を通過させると共に挟持搬送されるスポンジ板に放水して洗浄するようにしたスポンジ板洗い機において、正逆回転可能な供給側絞りローラ対と、正逆回転可能な排出側絞りローラ対と、供給側絞りローラ対と排出側絞りローラ対の間に位置する正逆回転可能な送りローラ対とを備え、供給側絞りローラ対と排出側絞りローラ対の距離をスポンジ板の搬送方向長さより大きくし、供給側絞りローラ対と送りローラ対間及び排出側絞りローラ対と送りローラ対間の距離を夫々スポンジ板の搬送方向長さより小さくし、送りローラ対の上下ローラ間の隙間をスポンジ板に弱く接触するようにスポンジ板の厚みより僅かに小さくし、送りローラ対で送っているスポンジ板が供給側または排出側の絞りローラ対に到達するようにしたことを特徴とするスポンジ板洗い機。
【請求項2】
送りローラ対の上側ローラの外形を長さ方向の中間部の太さが両端部分の太さに比べて徐々に大きい太鼓形状にしたことを特徴とする請求項1記載のスポンジ板洗い機。
【請求項3】
供給側絞りローラ対と排出側絞りローラ対の上側ローラと下側ローラを、筒状で外周に多数の貫通孔を有する多孔ローラで構成して成ることを特徴とする請求項1または2記載のスポンジ板洗い機。
【請求項4】
排出側絞りローラ対が正転することでスポンジ板を挟持搬送してスポンジ板の搬送方向長さの半分以上搬送したとき、そのことを光電スイッチで検出して排出側絞りローラ対と送りローラ対と供給側絞りローラ対を逆転させ、供給側絞りローラ対が逆転することでスポンジ板を挟持搬送してスポンジ板の搬送方向長さの半分以上搬送したとき、そのことを光電スイッチで検出して供給側絞りローラ対と送りローラ対と排出側絞りローラ対を正転させる制御装置を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のスポンジ板洗い機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−253972(P2008−253972A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121264(P2007−121264)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(503210669)株式会社金丸製作所 (1)
【Fターム(参考)】