スラッジの嫌気性消化のためのデバイス、プロセスおよびシステム
上部領域と下部領域および、未処理のスラッジを成熟したスラッジに変える反応チャンバーを有する消化タンクと、スラッジを消化タンクに導入する取り入れ口と、消化タンクの下部領域から消化タンクの上部領域にスラッジを流通させる少なくとも一本の移送パイプであって、消化タンク内に配置され、その長さ方向の少なくとも一部が反応チャンバー内に配置されることで、少なくとも一本の移送パイプが反応チャンバーを通るスラッジと接触し、それによって少なくとも一本の移送パイプを移動するスラッジから反応チャンバー内のスラッジに熱が移動する結果となる少なくとも一本の移送パイプと、消化タンクの下部領域に配置され、消化タンクから成熟したスラッジを排出する排出口とを備える、スラッジを嫌気的に消化するデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、廃棄物処理の分野に関し、より詳しくは、有機性スラッジの嫌気性消化のためのデバイス、プロセスおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
嫌気性消化は、有機性廃棄物の処理のために広く用いられているプロセスである。農業廃棄物、家庭廃棄物および工業廃棄物を含めて、多くの種類の有機性廃棄物を嫌気性消化で処理することができる。有機性廃棄物の消化を行う主要な目的の1つは、スラッジ固形物を、環境への排出に適切なきれいな廃液に変えることである。嫌気性消化プロセスの副産物として、可燃性燃料であるメタンを生成することもまた、嫌気性消化工場を操業する上で重要な観点であり、それは工場の運営費を下げるのに役立つ。有機性廃棄物は、工業都市、商業都市および農業都市のいずれからも大量に生成されるので、嫌気性消化を介して有機性廃棄物を処理することは、廃棄物の始末/処理およびリサイクリングの方法として経済的に魅力があるものとなる。
【0003】
好気性消化プロセスに比べて、嫌気性消化は、一般にスラッジ固形物を取り除くのにより効率的であり、したがって好気性消化よりも生成するスラッジが少ない(米国特許第4,885,094号を参照)。しかしながら、嫌気性消化は、典型的には、嫌気性細菌がスラッジ中の有機物を分解できるだけの長い滞留時間を必要とする(米国特許第5,637,219号を参照)。効率を考慮するのを基本とすれば、バッチの嫌気性消化装置は、通常、大規模に処理をすることで実現可能になるので、大きな設置面積を必要とし、一方、連続して処理をする消化装置は、メタンガスと生物培養土を安定して供給し、より小さくてコンパクトな敷地での処理となるので、より好まれる。
【0004】
嫌気性連続消化装置は、典型的には、一段階連続攪拌タンク反応装置(「CSTR」)か、ピストン型タンク反応装置(「PFTR」)かをモデルとして作られる。前者は、通常低レベルのスラッジ固形物(典型的には10%未満の乾物)を含むスラッジを処理するのに用いられ、一方、後者は、固形物の含有量が高いスラッジを処理するのに広く用いられる(米国特許第6,673,243号を参照)。ピストン型反応装置において、スラッジは、消化装置を通って連続して取り入れ口から排出口に向かい、新鮮な未消化のスラッジと断続的に混ざることもない。反応装置において充分に長い滞留時間を取ることで、スラッジは、理想的には、排出口に到達するときに完全に消化される。
【0005】
消化装置においてスラッジを消化するのに用いられる嫌気性細菌の種類によって、消化装置が効率的に処理をするのに最適な温度範囲が決まる。中温菌は、約20℃から約45℃の処理温度を好み、一方、高温菌は、約50℃から65℃の処理温度を好む。処理温度が最適範囲外になると、メタンの収率が低下する。高温菌の温度範囲で処理をする消化装置には、滞留時間がより短いという利点があるが、周囲温度または室温よりも約30℃から40℃高い温度を維持するために、高価なエネルギーの入力が必要となる。
【0006】
このため、高温菌の消化は、たいてい、スラッジを処理するには経済的に魅力が無いと考えられており、それは、未処理のメタンガス(腐食性の成分を含む)や培養土を生成することで経済的な利益が得られても、消化装置に処理をさせるのに熱源が必要であって、めったなことで満足な理由にはならないからである。廃棄物の嫌気性消化を実施する上での問題に取り組む様々な試みが過去になされている。
【0007】
US6,673,243には、連続して配置される3つの直列のチャンバーを備えるピストン型嫌気性消化装置が開示されており、各チャンバーは、嫌気性微生物が、効率的にスラッジを消化するのに適切な環境を提供している。各チャンバーの容積は、消化の異なる段階でスラッジの相対的な滞留時間を制御するよう設計されている。発酵性のおよび加水分解の消化という初期の段階は、酢酸発生およびメタン発生という後期の段階よりも迅速に行われるので、第一のチャンバーは、第二および第三のチャンバーよりも滞留時間が短くなるように設計されている。外部から加熱されておらず、それは、流入するスラッジが、気候に依存する周囲温度で処理されることを意味する。
【0008】
US6,929,744には、内側筒型塔を備え、それが外側筒型塔内に配置され、それによって中央の筒型チャンバーと外側の環状チャンバーとが定められている、パイロット規模の消化装置が記述されている。未処理のスラッジが、閉じられた容器内において、3日間、35℃で培養され、消化装置の底の環状チャンバーに導入され、そしてフロー・ディストリビュータの補助で中央チャンバーへとあふれ出るまで、ポンプでくみ上げられる。
【0009】
米国特許出願第2005/0077238号には、通気管を有する卵型の嫌気性消化装置が記述されており、通気管が消化装置内に配置されることで、スラッジを、消化装置の頂部および底部から中間部へと運ぶことが可能になっている。通気管によって消化プロセスが制御されるものとなり、適切に管理されなければ消化装置内での混合に有害であろう浮きかすおよび泡の形成が受け入れられている。
【0010】
米国特許第6,632,362号には、断面に格子を有する多段階嫌気性消化装置が記述されており、それは、消化装置の長さ方向に沿っての、異なる消化相に浮いている媒体を分離する。未処理のスラッジが消化装置の頂部に送り込まれ、それは次第に消化装置を下っていって消化される。濃縮した消化スラッジは、消化装置の底に沈んで排出される。生成されたメタンは、メタン分離装置において不純物が取り除かれ、得られた純粋なメタンを使ってボイラーが運転され、今度はそれを用いて、未処理のスラッジを加熱する。しかしながら、未処理のスラッジを加熱するために、不純物が取り除かれたメタンを用いるのは経済的ではなく、というのも、不純物取り除き装置の運転には費用がかさみ、また、不純物が取り除かれたメタンは売ることができるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、前述した全ての従来技術の欠点の、少なくともいくつかに対処する代替の嫌気性スラッジ消化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
本発明の第一の観点によると、嫌気的にスラッジを消化するデバイスが提供される。そのデバイスは、上部領域と下部領域とを有する消化タンク、および未処理のスラッジを成熟したスラッジに変える反応チャンバーを備える。消化タンクは、未処理のスラッジを消化タンクへと導入する取り入れ口、および消化タンクの下部領域に配置され、成熟したスラッジを消化タンクから排出する排出口を有する。移送パイプが少なくとも一本あって、スラッジを消化タンクの下部領域から消化タンクの上部領域へと流通させる。その移送パイプは消化タンク内に配置され、少なくともその長さ方向の一部が反応チャンバー内に配置されることで、反応チャンバーを通るスラッジと接触させられ、その結果、反応チャンバーを通るスラッジと、少なくとも一本の移送パイプ内のスラッジとの間で熱の移動が起こる。
【0013】
発明の第二の観点は、スラッジを嫌気的に処理するプロセスに向けられているが、それには、発明によるデバイスに、未処理のスラッジを導入することが含まれている。スラリーを嫌気的に消化するのに充分な時間をかけて、スラッジを反応チャンバーに通す。スラッジの一部は、デバイス内にある少なくとも一つの移送パイプを介して、消化タンクの下部領域から消化タンクの上部領域へと流通させられる。成熟したスラッジが、排出口を介して消化タンクから排出される。
【0014】
発明の第三の観点は、スラッジを嫌気的に消化するシステムに向けられている。このシステムは、未処理のスラッジから無機物を取り除くスクリーニング手段と、未処理のスラッジを縮小するシュレディング手段と、本発明による未処理のスラッジを嫌気的に消化する装置とを備える。
【0015】
本発明のデバイスには、従来技術の消化装置には無いいくつかの利点がある。第一に、消化タンク内に配置される移送パイプは、消化装置の正味のエネルギー必要量を下げ、かつ消化装置内で未処理のスラッジから成熟したスラッジに容易に熱が移るようにすることによって、消化装置全体を通して温度をほぼ均一に保つのに役立つ。このように、熱交換を経て予め加熱された未処理のスラッジは、消化装置を上方に流れるとき、成熟したスラッジに熱を供給し、そして、消化タンクにおいて嫌気性消化を開始するのに適切な温度となって、消化装置の頂部から排出される。加えて、捨てられた食材、動物の糞、食肉処理場の廃棄物、野菜廃棄物、園芸作物の残り、有機性産業廃棄物、下水スラッジおよび有機性分別家庭廃棄物等を含む広範な範囲にわたる有機性廃棄物を、完全に処理して、肥料として使うことのできる培養土にすることができ、それによって、炭素を土に戻して再利用およびリサイクリングすることが容易となる。生成される排水は、全て完全に回収され、リサイクルされ、再利用されるので、システムから排水が排出されることはない。構造材料は、消化されたスラッジと完全に混合されて、培養土生成プロセスの間、消化されたスラッジを空気にさらして成熟させるのに役立っているが、それもまた回収され再利用される。これらの利点は、正味必要な材料の量を下げ、それによって稼動費用を下げる助けとなっている。廃棄物の嫌気性消化によって生成されるバイオガスは、リサイクルするか、(地方自治区の加熱のような)熱生成または送電線網における発電機の駆動のために用いることができる。加えて、消化が行われるのに、内部の攪拌機構は、必要とされない。これによって、整備による停止時間を最小限しか必要としない、低整備、高効率、連続操業の消化装置が確保される。したがって、発明によって、有機性廃棄物の、環境に優しい処理が容易になるだけではなく、それはまた、プロセスを経済的に持続可能なものとして、再生可能なエネルギーを提供し、メタンや二酸化炭素のような温室効果ガスの生成を抑制しようと試みてもいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
明細書の文脈において、「未処理のスラッジ」または「未処理のスラリー」という用語は、消化タンクに導入されている、処理されていないまたは消化されていないスラッジを表す。「未処理の」という用語は、シュレッドしてスラッジの平均サイズを低減するとか、スラッジ中の病原菌を低減するために加熱処理をするというような、スラッジが前処理されている可能性を除外するものではない。「成熟スラッジ」または「成熟したスラッジ」という用語は、「処理されたスラッジ」または「消化されたスラッジ」という用語と交換可能に用いられ、それは、消化タンクの反応チャンバーを通る少なくとも一つの経路を通過しており、そうして少なくとも部分的には嫌気的に消化されているスラッジを表す。
【0017】
本発明のデバイスは、内部にスラッジの嫌気性消化が行われる反応チャンバーを有する消化タンクを備える。消化タンクは、一つの段階でスラッジを連続して処理できる反応チャンバーを収容するのに適切な大きさを有する容器を備える。通常は、連続するプロセスが好ましく、それは、スラッジが連続して処理され、メタンと培養土が安定して供給されるからである。例えば、消化タンクは、実質的に垂直に配向された反応柱の形をとる。
【0018】
消化タンクは、上部領域と下部領域とを備える。上部領域は、その中間より上に位置する消化タンクの部分を表し、それに対応して、下部領域は、中間より下に位置する消化タンクの部分を表す。消化タンクは、取り入れ口を有し、それを通して未処理のスラッジが消化タンクに導入され、かつ排出口を有し、それは、消化タンクの下部領域に配置されて、消化タンクから成熟したスラッジを排出し、また、消化タンクは、好ましくは熱の損失を最小に抑えるため絶縁されている。取り入れ口は、必要なデザインに応じて、下部領域か上部領域かまたは双方に配置されている。
【0019】
消化タンク内に配置される反応チャンバーは、嫌気性細菌がスラッジを消化するのに適切な環境を提供する役割を果たす。処理されるべきスラッジの量に応じて、消化タンクの大きさが選択され、消化されるべき量のスラッジを収容する。反応チャンバーの容量は、典型的には、スラッジを消化するのに必要とされる相対的な滞留時間を制御するよう選択される。各所の大きさは、消化タンクを通る単一の経路またはいくつかの経路でスラッジが嫌気的に消化されるように選択される。反応チャンバーは、消化タンク内に収容されるので、通常、反応チャンバーの大きさによって、消化タンクの大きさが決められる。反応チャンバーは、消化タンクの一区分を備えるかまたは、消化タンク内に別途定められる仕切り部を備える。
【0020】
本発明において、消化タンクの下部領域から消化タンクの上部領域にスラッジを流通させるために、少なくとも一つの移送パイプ、より好ましくは複数の移送パイプが設けられる。各移送パイプは、消化タンク内に配置され、消化タンクの内壁かまたはその他のところに載置され、少なくともその長さ方向の一部が、反応チャンバー内に配置されている。そのようにしている目的は、反応チャンバーを通って下がりつつあるスラッジ(以後、「成熟しつつあるスラッジ」または「消化しているスラッジ」という用語と交換可能に用いられる)が移送パイプと接触することを可能にすることである。反応チャンバーを通って下がりつつあるスラッジは、通常、反応チャンバーを下るときに熱を失うので、嫌気性消化温度を最適に保つために、混合されたスラッジを、反応チャンバー移送パイプに導入する前に、予め加熱しておくことが可能である。混合されたスラッジを、前の反応チャンバー内のスラッジよりも高い温度に加熱することによって、反応チャンバーにおけるスラッジが、混合されたスラッジよりも低い温度となる。そうして、冷たくて下がりつつあるスラッジと、温かくて未処理の/混合された、移送パイプを通って上りつつあるスラッジとの間に温度勾配が存在する。この温度勾配の結果、移送パイプを上りつつある温かくて混合されたスラッジから、反応チャンバー内の下がりつつある成熟スラッジに熱が移動する。このようにして、反応チャンバーの成熟スラッジは、加熱された混合スラッジによって一定の温度に保たれる。他方、加熱された混合スラッジは、成熟スラッジに熱を奪われるので、その温度は、それが移送パイプを通過する間中低下する。未処理のスラッジが上方領域で移送パイプから排出されるとき、その温度は、高温菌の消化が行われるのに適切な所定の温度へと低下しているであろう。移送パイプに混合スラッジを送るに先立ってその温度を上昇させる熱源は、例えば生成されたメタンによって駆動されるガスエンジンが熱を供給する熱交換器から得られる。
【0021】
一実施例において、少なくとも一つの移送パイプが作られて、少なくとも一つの移送パイプを上るスラッジから反応チャンバーを下るスラッジに熱が容易に移るものとし、それによって反応チャンバーのスラッジに熱が移る効率を向上させる。例えば、移送パイプは、外表面にフィンを含んでもよく、下がりつつあるスラッジと接触して利用できる表面積を増大し、または少なくとも一つの移送パイプが、直線パイプまたはコイル状のパイプ構成を含む、適切な構成をとることで、反応チャンバーにおけるスラッジとの接触を最大限にしても良い。
【0022】
少なくとも一つの移送パイプを通してスラッジをポンプでくみ上げるために、作動手段が提供されても良い。作動手段の例には、スクリューポンプ、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプ等が含まれている。移送パイプは、消化タンクの上部領域における1つまたはいくつかの位置で混合スラッジを排出するが、オプションとして、反応チャンバーにおいて混合スラッジを均等に分配する分配器手段を補助に用いても良い。そして、排出された混合スラッジは、反応チャンバーに入り、消化装置へと下っていく工程を開始し、それは、典型的には15日から21日あるいはそれ以上かかる。
【0023】
反応チャンバーの底に到達するとき、混合スラッジにおける未処理の有機物は、消化されているであろうが、すなわち、未処理のスラッジにおける複雑な有機性分子は、複雑な形からより簡単な形へと分解されており、それによって混合スラッジは成熟スラッジへと変えられている。成熟スラッジは、消化タンクの下部領域に位置する排出口から消化タンクの外に出る。成熟スラッジの大部分は、消化タンクへとリサイクルされ、一方で少量が抜き取られて、培養土化され、成熟されて、病原菌の無い高級な生物培養土が生成される。
【0024】
嫌気性消化を容易とするために、いかなる嫌気性微生物を用いても良い。嫌気性消化に用いられる細菌の種類には、通常、加水分解細菌、発酵性細菌、メタン生成細菌および酢酸生成細菌が含まれている。細菌の特別な例には、メタノバクター・フォルミシカム(methanobacter formicicum)、メタノバクター・ソエンゲニ(methanobacter soehngenii)、メタノバクター・ルミナチウム(methanobacter ruminatium)、メタノコッカス・マゼイ(methanococcus mazei)、バニエリ(vanielli)、メタノサルシナ・メタニカ(methanosarcina methanica)およびメタノサルシナ・サーモフィリア(methanosarcina thermophilia)が含まれている。消化を容易とするのに、通常のカビや菌類を用いても良い。
【0025】
たいていの条件において、故意に細菌を加える必要は無い。成熟スラッジの一部を未処理のスラッジと混ぜることによって、成熟スラッジに自生する細菌が未処理のスラッジに導入され、既に細菌が適合している条件の下で、未処理のスラッジに作用させることができる。消化装置の反応チャンバーにおいて初期の細菌の数を確保するために、初期の滞留時間を約21日にするのに必要な流速で、消化装置に有機性廃棄物を送る。
【0026】
嫌気性消化を行うために、反応装置における酸素濃度を最小限に、好ましくはゼロに保つ。例えば、消化タンクを確実に密封し、好ましくは、わずかな真空中に保つことによって、これを行う。消化タンクの頂部(ここに、生成されたガスが蓄積する)からガスを抜き取ることによって、これを達成する。加えて、一実施例において、反応チャンバーがわずかに負の圧力を維持するよう作られている消化タンクを提供することも可能である。これが達成されるのは、平坦またはドーム型の蓋で補助して消化タンクを密封し、その蓋には、ガス排出口が組み込まれていて、消化で生成されるガスが連続して取り除かれるようにすることによる。その代わりに、酸素の量を減らすために、窒素のような不活性ガスを消化タンクに連続して導入することも可能である。
【0027】
未処理のスラッジを消化タンクに加えるに先立って、嫌気性細菌を未処理のスラッジに導入するために、未処理のスラッジは、好ましくは、成熟スラッジと混合される。その混合は、混合物を混合タンクで攪拌したり、スラッジミキサーを通して混合スラッジを流通させたりするなどの、適切なやり方で行うことができる。その混合は、消化タンク内か消化タンクの外かで行うことができる。熱の損失を低減するために、混合は、例えば消化タンク内で行っても良い。
【0028】
一実施例において、混合手段は、消化タンクの底部領域に配置される混合領域を備え、その混合領域は、反応チャンバーから成熟したスラッジを受け取り、取り入れ口から未処理のスラッジを受け取るように作られている。未処理のスラッジを消化装置の底部領域に導入することによって、未処理のスラッジを「作付け」し、高温菌および成熟したスラッジと混ぜることが可能となり、それによって混合スラッジが生成される。混合した後、混合スラッジは一本以上の移送パイプを通って消化タンクの上部領域に送られる。代替として、移送パイプを上るように直接送られる代わりに、この「作付け」された未処理のスラッジを一つ以上のスクリューポンプ(それを経ると完全な混合が行われる)を介してこの混合領域から引き出し、そして消化装置の上部領域への移送パイプに送る前に熱交換器で加熱しても良い。この構成は、消化装置に送られる前に予め別々に混合するプロセスを避けるのに役立つのみならず、混合スラッジの温度を急上昇させて、反応チャンバーにおける消化スラッジの温度より高くすることで、混合スラッジから消化スラッジに熱が移動し、それによって反応チャンバーにおける消化温度を維持するのに役立つ。
【0029】
代替として、混合手段は、少なくとも一つのスクリューポンプまたはより好ましくは複数のスクリューポンプを備え、消化タンクにおける混合領域からの吸入を行って、成熟したスラッジと未処理のスラッジの双方が消化タンクから取り出されても良い。スクリューポンプの排出口は、移送パイプに接続されていて、混合スラッジを、消化が始まる消化タンクの頂部に送る。
【0030】
スラッジの消化によってバイオガスが生成され、そのパーセンテージの多くはメタンガスを含んでいる。メタンガスは、上部領域に配置される排出口を介して消化タンクから放出される。この文脈で、バイオガスという用語は、消化タンクの排出口から引き出されるガスの混合物を表し、嫌気性消化から生成されるガスのみに限られるものではない。これらのガスは、反応チャンバー内で起こる無数のプロセスから得られ、それには、呼吸、嫌気性発酵およびスラッジに作用する様々な種類の細菌によるアルコールおよび水素の生成が含まれる。
【0031】
発明の他の観点は、スラッジを嫌気的に処理するプロセスおよびシステムに向けられている。そのプロセスは、発明の第一の観点によるデバイスに未処理のスラッジを導入し、未処理のスラッジが成熟スラッジに充分にさらされ、それによって高温菌が種付けされるのに充分な時間をかけて未処理のスラッジを反応チャンバー(底部)に通すステップを備える。消化が始まる消化タンクの上部領域に導入されるのに先立ち、未処理のスラッジは、消化された成熟スラッジとスクリューポンプで混合されて、混合スラッジを生成する。この混合の目的は、自生する嫌気性の細菌(高温菌)を未処理のスラッジに完全に混ぜ込み、それによって、消化装置の上部に導入されるとき、それを消化タンクにおける嫌気性消化に適したものとすることである。
【0032】
嫌気性消化には、典型的に3つの基本ステップが含まれている。第一のステップには、嫌気性消化のための固形廃棄物の有機性断片を準備することが含まれており、かつ通常、分類して分離し、サイズを低減することが含まれている。第二のステップには、湿気および栄養分を加えること、混ぜること、ペーハーを約6.7に調整すること、スラリーを加熱すること、および15日から21日の間の任意の期間、内容物が充分に混合されるように流れが連続する反応装置における嫌気性消化が含まれている。第三のステップには、消化プロセスの間に放出されたガス成分を捕獲し、蓄積し、かつ必要であるならば分離することが含まれている。第四のステップは、消化されたスラッジを培養土として成熟させることである。
【0033】
発明のプロセスにおいてデザインのために考慮すべきことには、シュレッドされる未処理のスラッジのサイズ、混合の度合いおよび未処理のスラッジにおける固形有機物のパーセンテージが含まれている。考慮すべき他の重要な要因には、水圧式の滞留時間および未処理のスラッジを装填する割合が含まれている。
【0034】
発明のプロセスにおける1つの特長は、混合スラッジを、消化タンクの下部領域から消化タンクの上部領域に送るべく、少なくとも一本の移送パイプに流通させることである。少なくとも一本の移送パイプは、その長さ方向の1区分が消化タンクの反応チャンバーに配置されている。反応チャンバーを通っているスラッジが、加熱された混合スラッジを収容している移送パイプと接触するとき、温度勾配によって、熱が移動する結果となり、それによって消化装置内の処理温度が均一で最適であることが確認され、その消化装置は、モニターして制御することができ、それによって消化プロセス全体において用いられるエネルギーを最小限とする。
【0035】
所望の熱交換並びに消化タンクのサイズに依存して、複数の移送パイプが消化タンクに据えつけられて良い。例えば、2本から3本、4本、5本の範囲にある任意の本数の移送パイプまたはそれ以上の本数の移送パイプが、消化タンクに据え付けられて良い。熱を容易に移動させるために、好ましくは、パイプは、高導電率であると同時に耐腐食性の材料で作られる。そのような材料の例には、ステンレス鋼および銅が含まれる。
たいていの消化装置において、スラッジを消化するのに用いられる嫌気性の細菌によって、消化装置がピークの効率で稼動する最適の温度が決められる。高温性の消化が行われるには、温度範囲は、典型的には約50℃と約65℃の間である。気候の変化によって、スラッジが処理される温度に変化がもたらされる。もしそのような変化が起きて、反応チャンバー内の条件が、この高温温度範囲外になってしまうとメタンの収率が低下する。このため、消化装置のデザインにおいては重大な配慮がなされて、反応チャンバーにおいてスラッジが加工される温度が効率的に制御される。より好ましくは、反応チャンバー内の処理温度は、高温性の嫌気性消化が行われるために約49℃から57℃の範囲に保たれる。冷たい気候では、消化から得られるバイオガスの一部が用いられて、この温度範囲を制御して保つために湯沸かし器を運転する。嫌気性の細菌が効率的に機能し続けるために、スラッジのpHが、好ましくは約6から8の範囲に保たれる。
【0036】
反応装置の性能を良好なものとするために可能な一つのアプローチは、消化タンク内の反応チャンバー空間が、できる限り生物分解性の材料で占められるのを確認することである。これは、消化可能ではなく、それでメタンを生成しない非生物分解性の材料が、消化に先立って未処理のスラッジからできる限り取り除かれるべきであることを意味する。消化タンクの処理能力を最適化するために、金属、プラスチック、石および木材のような非生物分解性の材料は、機械的に分離される。サイズ、重量および密度の違いに基づいて分離が行われる。スクリーニング、空気分離および空力分離またはこれら3つ全ての組み合わせを含む、様々な機械的分離方法がこの目的で用いられる。スクリーニングは、無機物を取り除くのに好ましい方法であり、機械的、光学的分離または浮揚分離を介して行われる。
【0037】
1つの実施例において、スクリーニングは、ロータリー・スクリーンとシュレッダーを備える。好ましくは、ロータリー・スクリーンは、直径が約140mmと約160mmとの間でより好ましくは約150mmであり、そしてシュレッダーは、廃棄物の直径を約14mmと16mmの間に低減する。例えば、トロンメルと振動スクリーンを用いて、望ましくない無機物品をスラッジから低減し、取り除く。鉄材は、電磁石を用いて分離する。
【0038】
スラッジを消化タンクに加えるのに先立って、処理されるスラッジのサイズを低減し、その後、そこからスラリー/スラッジ混合物を生成すると利点がある。サイズを低減する目的は、消化のためにできる限り大きな表面領域を提供することであり、サイズや組織において程よく均一で、したがって栽培媒体として土や土壌との混和性が確実なものとなる最終製品の培養土を得ることである。これを達成する1つの方法は、スラッジを50mm未満、好ましくは30mm未満、さらに好ましくは20mm未満の平均サイズにシュレッドすることである。それに続いてシュレッドされたスラッジに水が加えられ、スラリーの混合物を生成する。1つの実施例において、シュレッドされたスラッジは水と混ぜられて、濃度が約10%から約20%の乾物を含有する未処理のスラリー/スラッジを生成する。シュレディングは、スラッジが消化タンクに導入される前ならばいつでも行われて良いが、好ましくはスクリーニングの後に行われる。この目的で、二段階・粗‐細・低スピードシュレッダー並びにサイズが大きすぎる材料の選別とリサイクルを行う単一段階シュレッダーのような、通常のシュレディング装置のいずれを用いても良い。
【0039】
消化装置への導入に先立って、培養された細菌を未処理のスラッジに加えることによって、嫌気性の細菌を未処理のスラッジに導入しても良い。代替として、未処理のスラッジを成熟したスラッジと混ぜ合わせて、消化タンクの排出口を出たところで混合スラッジを生成する。前者に対して後者の利点は、成熟したスラッジには、消化タンク内の条件に既に適合しており、それゆえに未処理のスラッジを効率的に消化するに違いない消化タンクに自生する細菌を含んでいるということである。混合スラッジが、移送パイプを介して消化タンクの上部領域に運ばれることで、混合スラッジは、消化タンクにおいて嫌気性消化を受ける。一実施例において、未処理のスラッジ約1部に対して消化されたスラッジ9部という割合で、未処理のスラッジは消化されたスラッジと混合される。
【0040】
消化タンクから排出された成熟したスラッジは、培養土化されてさらに分解され、乾燥して扱いやすい培養土となる。培養土化するプロセスには、消化されたスラッジを広げて乾かし、または空気吹き込み装置において消化されたスラッジを乾燥させることが含まれている。好ましくは、培養土化することには、消化されたスラッジに空気を吹き込み加湿することが含まれている。培養土化するプロセスを改善するために、スラッジの多孔性を増すための空気の吹き込みに先立って、成熟スラッジがウッドチップと混ぜられても良い。
【0041】
培養土にすることに先立って、細菌が豊富な水を回収し、リサイクルするために消化されたスラッジから水を抽出することが可能である。そうすることでまた、消化されたスラッジをより速く乾かすことも可能となる。一実施例において、発酵したスラッジにおける乾燥固形物の含有量が約25%から約30%になるまで脱水が行われる。典型的には、例えばスクリュープレスやその他の同等な装置において、消化されたスラッジを機械的に絞ることで脱水が行われる。
【0042】
本発明のこれらの観点および利点は、以下の記述、図面、および発明を制限しない例を参照してより完全に理解される。
【0043】
本発明を理解し、それが実際にどのように実施されるのかを示すために、添付した図面を参照して、発明を制限しない例のみによって好ましい実施例を以下に記述する。
(好ましい実施例の詳細な説明)
【実施例1】
【0044】
図1は、発明によるデバイスの第一の実施例を示す。この実施例において、デバイス100は、矢印104で示される上部領域と矢印105で示される下部領域とを有する消化タンク102を備える。消化タンク102内に配置されるのは、スラッジの嫌気性消化が行われる反応チャンバー107である。未処理スラッジ流109が、下部領域105に位置する取り入れ口112を介して消化装置に導入され、排出口114を介して消化タンクの外に出る。成熟したスラッジの一部は、排出流116を介して排出され、一方、成熟したスラッジの残りの部分は、リサイクル流118を介してリサイクルされる。リサイクル流118は、取り入れ口112で未処理スラッジ流109と合流し、それによって、成熟スラッジを未処理のスラッジと混ぜ合わせる(以降、混合スラッジとして知られる)。これによって、未処理のスラッジに、それが消化されるのに必要とされる嫌気性の細菌が提供される。混合スラッジは、取り入れ口112を介して消化タンク102に入る。取り入れ口112は、混合スラッジを上部領域104に運ぶ移送パイプ120に接続される。移送パイプ120は、消化タンクの壁101に沿って配置され、少なくともその長さ方向の一部が、反応チャンバー107内に位置するものとなる。移送パイプは、反応チャンバー107を下降する成熟スラッジと接触し、それによって反応チャンバー107の成熟スラッジと移送パイプの温かい混合スラッジとの間での熱の移動が容易となる。これによって消化装置のスラッジは、最適な高温性消化が行われるのに適切な均一で一定の温度に保たれる。消化装置の上部および下部領域の間にほとんど温度差が生じない。
【0045】
混合スラッジは、移送パイプから排出されて反応チャンバー107に入り、消化タンク102を下降し始める。反応チャンバーにおいて、混合スラッジの複雑な生物学的な分子を細菌が分解する。とりわけ、炭素を基本とする物質がメタンに変えられる。反応チャンバーで行われる嫌気性消化、およびその他の複雑なプロセスで放出されるメタンと他のガスは、消化タンクの上部領域へと上昇し、ガス排出口124を介して取り除かれる。理想的な条件の下では、消化タンクの底に達すると、混合スラッジは完全に消化/成熟される。基台122は、中心に向けて傾斜しており、成熟スラッジが排出口114に向かうものとされ、やはりそれは、部分的に排出されるかリサイクルされるかする。
【実施例2】
【0046】
図2は、発明のさらなる実施例を示し、そこではデバイス200が、消化タンク内に配置される第一の移送パイプ220と第二の移送パイプ221とを備える。移送パイプは、各々デバイスの下部領域に位置する取り入れ口212に接続される。スラッジは、取り入れ口112を介して消化装置に入り、排出口214を介して消化タンクの外に出る。成熟したスラッジの一部は、排出流216を介して排出され、一方、成熟したスラッジの残りの部分は、リサイクル流218を介してリサイクルされる。リサイクル流218は、未処理スラッジ流209と合流してスラッジポンプ227へと引き上げられる。反応チャンバーを上昇するスラッジを別にして、スラッジポンプ227もまたミキサーとして働き、そこでは、成熟したスラッジが未処理のスラッジと良く混ぜ合わされて、混合スラッジを生成する。
【0047】
各取り入れ口212における混合スラッジは、移送パイプ220、221を介して、消化タンクの上部領域に位置する分配器231に移送される。分配器は、混合スラッジを反応チャンバー207に均等に分配する複数のノズル234を備える。この実施例において、ガス排出口は、消化タンク202の頂部209の中央から外れて配置される。
【実施例3】
【0048】
図3は、発明の別の実施例を示し、そこでは、消化タンク内で未処理のスラッジと成熟スラッジとの間の混合が行われる。デバイス300は、取り入れ口312と排出口314とを備える。消化タンク302に入る未処理のスラッジは、反応チャンバー307から近付いてくる成熟スラッジと混合領域341で混合され、それによって混合スラッジを生成する。混合スラッジは、傾斜した基台322によって、スクリューポンプ341の吸い込み口337に向かうように仕向けられる。スクリューポンプ341によって混合スラッジがさらに混合され、混合スラッジを熱交換器345へと移送し、そこでは、混合スラッジが加熱され、そして消化タンクへと戻され、そこで混合スラッジは、移送パイプ320を通して消化タンクの上部領域へと届けられる。混合スラッジは、反応チャンバー307で次第に消化される。収集ポイント343が取り入れ口の上に備えられて、いくぶんかの成熟スラッジを排出のための排出口314へと流通させる。
【実施例4】
【0049】
図4は、発明の別の実施例であるデバイス400の断面図を示し、そこでは消化タンク402は、4つの移送パイプ418、419、420、421(この図には示されていない)を備え、その各々が、消化タンク402の内部に載置され、取り入れ口412に接続されている。消化タンク402は、補強されたプラットフォーム451上に据え付けられている。基台422は、中心に向かって傾斜しており、中心では、基台は、水平なプラットフォーム451と約2°の角度を成す。消化タンクの中間近くおよび頂部近くにそれぞれ配置される通路453、455によって、サンプリング・ポイントおよび消化タンク402にはめ込まれたプローブへのアクセスが可能となり、メンテナンスを行うことができるように様々な動作パラメータを測定する。
【実施例5】
【0050】
図5は、デバイス400の側面図を示し、消化タンク402の外側に示されていて、消化タンクへのアクセスを可能とする取り入れ口412、排出口414およびマンホール457の相関的な部分を図示する。複数のテスト・ノズル460、温度制御装置462および圧力制御装置464が、消化タンクの下部領域、中間および上部領域に配置されている。テスト・ノズル460によって、試験的なテストのために、消化タンクから周期的にスラッジを抜き取ることが可能となる。
【0051】
図6は、図4に示される消化タンク402の上面図を示す。マンホール457が、消化タンク402の頂部409に備えられており、移送パイプ420の各々の近くに配置されている。中央ガス排出口424が備えられて、消化の過程で生成されるガスが取り出される。消化タンク内で圧力が高まるのを防止する安全措置として、安全バルブ466が備えられている。圧力が高まると、安全バルブが作動して消化タンク内のガスを放出する。それに続いて発火システムが作動してガスを燃焼させる。温度制御装置462および圧力制御装置464もまた、頂部409に備えられる。
【0052】
図7および図8は、発明の一実施例において用いることのできる選別装置を示す。適切なサイズのスクリーニングができ、入手できる一般の種類の選別装置を用いることができる。
【実施例6】
【0053】
図9は、発明による簡略化されたプロセス・フロー図を示す。未処理スラッジ流509とリサイクル流518が、消化タンク500に入る。未処理スラッジ流509は、消化タンクにおいて嫌気的に消化されるべき未処理のスラッジを含み、一方、リサイクル流518は、生きた嫌気性細菌を含む成熟スラッジを含む。混合によって混合スラッジを生成するとき、成熟スラッジ中の生きた嫌気性細菌が、未処理のスラッジに導入される。混合スラッジは、移送パイプ520を介して消化タンクの上部領域に移送され、そこでは、混合スラッジの嫌気性消化が始められる。混合スラッジは、そこにある未処理のスラッジが嫌気的に消化されて成熟したスラッジを生成するのに充分な時間だけ、消化タンクの反応チャンバー内に留まることが可能である。成熟したスラッジの一部は、排出口514を介して培養土処理のために排出され、一方、成熟したスラッジの残りの部分は、リサイクル流518を介して消化タンクへとリサイクルされる。この実施例において、リサイクル流518と未処理スラッジ流509とは双方とも、消化タンクに入るまでに、熱交換器590を介して高温菌の温度またはその近くまで加熱される。
【実施例7】
【0054】
図10は、発明によるプロセスの別の実施例のプロセス図を示す。そのプロセスは、以下のものを備えるシステムにおいて実施される。すなわち、システムは、発明によるスラッジの嫌気的な消化を行うデバイスと、未処理のスラッジから無機物を取り除くスクリーニング手段と、未処理のスラッジのサイズを低減するシュレディング手段と、消化タンクで生成されるバイオガスを燃焼させて発電するガス発電装置と、燃焼で得られる熱を未処理のスラッジの一部に伝える熱交換機と、バイオガスを蓄積するガス蓄積装置と、消化タンクから放出される成熟スラッジを培養土にする培養土装置と、スラッジから水を取り除く脱水手段と、脱水装置で処理されたスラッジとウッドチップを混ぜ合わせる混合スクリューと、ウッドチップと混ぜ合わされたスラッジを培養土に変える培養土デバイスとを備える。
【0055】
農場、養殖場、食堂街、工場、レストラン等のような様々な収集ポイントから得られる固形有機廃棄物は、耐久性のあるプラスチックの廃棄物収集バッグに詰められる。これらの廃棄物収集バッグは、典型的には100kgまでの固形廃棄物が入れられて、嫌気性消化装置の敷地に運び込まれる。バッグは、ホッパーに入れられ、それは、バッグを自動耐久バッグ開封装置610に送り、それは、バッグを開けて中の有機廃棄物を露呈させる。開封されたバッグとその中身は、一連のコンベアを介して選別装置620に運ばれる。選別装置620は、開封されたプラスチックバッグと無機物を固形有機廃棄物から選別して取り除き、その有機物の含有量を最大化する。そして、選別された有機廃棄物は、有機物貯蔵サイロ630へと運ばれ、さらなる処理を待つ。分離された無機物には、金属、プラスチック、ゴム、砂および紙材が含まれており、無機物蓄積ホッパーへと運ばれ、そこでそれは、大きな容器に排出され、そしてトラックで持ち出されて、リサイクルされるか埋め立て地または焼却工場で処分されるのを待つ。
【0056】
有機廃棄物は、コンベアを介して有機物貯蔵サイロ630から有機物シュレッダー640へと移送され、そしてそのシュレッダーは、有機物スラッジをより小さなサイズ、好ましくは20mm未満にシュレッドする。シュレッドされたスラッジには水が加えられ、乾物の含有量が約10%と約20%の間の均一なスラリー/スラッジが提供される。スラリーは、1つ乃至6つの取り入れ口を通って消化タンク600の底部領域に導入され、そこで未処理のスラリーは「種付け」され、高温菌および成熟したスラッジと混ぜ合わされる。未処理のスラリー/スラッジを、高温の嫌気性消化が行われるのに適した温度(典型的には、約52℃から55℃の範囲)に加熱するために、未処理のスラリー/スラッジが、スクリューポンプ(そこで完全な混合が行われる)に接続されている1つ乃至6つの排出口を通して底部から引き出され、そして熱交換機で約55℃に加熱され、その後、消化装置の上部領域に届けられるように移送パイプへと送り込まれる。熱交換機には、消化装置で生成されたメタンを燃焼して加熱された湯を供給することができる。加熱された混合スラッジは、移送パイプを上っていくので、加熱された未処理のスラリーは、熱を消化装置のスラッジに移動させ、それによってスラッジは最適の処理温度に保たれ、それは、このスラッジは、それが上部から下部に移るときに熱を失うからである。それで加熱された未処理のスラリーは、移送パイプを上るときに成熟スラッジを加熱し、それを約52℃またはその他の温度、好ましくは約52℃と約55℃の間に保つ。混合スラッジが移送パイプから排出されて反応チャンバーに入ると、嫌気性消化が開始される。反応チャンバー内の条件は、嫌気性消化が行われるのに適しており、例えば温度は適当に高く、かつわずかな真空が保たれて酸素ガスの濃度が低く保たれる。
【0057】
消化が進むと、約65%までの純度のメタンガスが生成される。消化タンクは、上部領域に配置されるガス排出口を有し、それを通してメタンガスが集められ、ガス収集装置800で処理される。メタンガスは、真空のもとで取り出され、ガス貯蔵タンク650のようなガス貯蔵装置に貯蔵される。生成される全てのメタンは、ガス発電機で使われて、発電し、これらの発電機からの熱は、消化に先立って未処理のスラッジを加熱するための水を加熱するのに用いられる。ガス発火安全システム660がガス収集装置に組み込まれ、ガスエンジンが運転できないときにメタンガスを消費する。
【0058】
ガス送風機670は、ガス貯蔵部650からガスを吸い、ガス発電機680の噴射装置にガスを送る。ガス発電機680は、熱と電力を生成するためにメタンを燃焼する。電力は、送電線網に接続される変電所に送られ、一方、熱は、さまざまなアプリケーションに用いられ、それには、熱交換機690を介して消化タンクに送るに先立って未処理のスラッジを予め加熱すること、消化タンクを高温菌の消化に必要な温度に保つこと、局部加熱、局部冷却であって、それによって熱を液体乾燥剤の再生に用いること、または約85℃から95℃の範囲の低温加熱を必要とするその他のアプリケーションが含まれる。いくつかの実施例においては、ガス発電機が運転できないときは、燃料にガスまたは油を使うボイラー700および給湯システム710が熱を供給する。冷却システム720は、ガス発電機の過熱を防ぐために含まれている。
【0059】
消化タンク600には、混合スラッジが連続して送り込まれる。未処理のスラッジを消化するのに必要な滞留時間は、およそ16日から21日である。消化されたスラッジは、ここではダイジェステート(成熟したスラッジ)とも称され、連続して排出される。1日300トンという食料廃棄物/レストラン廃棄物の処理速度を達成するために、例えば、内径約12mで内高約28mの消化タンクが用いられる。この例において消化装置は、52℃でかつ0.05バールの圧力で運転される。
【0060】
成熟したスラッジの一部はリサイクルされて(未処理のスラリー/スラッジと混ぜ合わせられ)、一方、残部は培養土ユニット900に入る。一般に、培養土ユニットは、成熟したスラッジから水を取り除いてろ液を乾燥させる脱水ユニットと、構造材料を乾燥したろ液に混ぜる混合デバイスと、乾燥したろ液を培養土化する培養土デバイスとを備える。培養土ユニットは、脱水スクリュープレス730に送られ、遊離水を搾り出し、それによって、乾燥したろ液が約25%から30%の乾燥固形物を含有するようにする。ダイジェステート(成熟したスラッジ)から搾り出される遊離水は、シュレッドした未処理のスラッジとスラリーを形成するのに再利用される。その後、乾燥したろ液は、構造材料との混合を行う混合デバイスに届けられる。
【0061】
構造材料との混合は、乾燥したろ液を容易に培養土にするために行われ、本実施例においては、適量の空気を確実に混和するために、構造材料をろ液に均等に分配するよう設計された混合スクリュー740において混合が行われる。そして、混合されたろ液は、培養土用の建物の床上の山750に積まれる。その山は、建物または培養土のために割り当てられた土地に適した形に整えられる。培養土が容易に空気と混和されるように、例えば2日から3日の間隔で山を動かして再混合する培養土畝反転装置を用いて、規則的な間隔で山がひっくり返される。
【0062】
例えば、土地が乏しい地域や臭いに対して寛容でない地域において、培養土プロセスの速度を速めるために空気に晒された固定堆積培養土作りが行われ、培養土に絶え間なく空気を供給する特別に造られた床を有する閉鎖培養土ユニットにおいて、山が培養土に変えられる。そのような培養土ユニットの床は、空気パイプに接続されている空気混合ノズルを有する。乾燥したろ液に空気が浸透し、一方、水撒き機によって培養土プロセスの温度を制御するのに必要な水分が供給される。培養土ユニットの条件、例えば、温度や湿度は、監視され、水撒き機を介して供給される水の量、および空気混合ノズルが供給する空気の量を変えることによって制御される。
【0063】
約4週間培養土化を行うと、山は、消化されたスラッジから肥料として用いるのに適切な成熟生物培養土に変わる。培養土は、培養土分離装置760において選別され、構造材料を回収するが、それは続いてリサイクルされ、スクリュープレスから新たに来る乾燥したろ液とともに用いられる。選別された培養土は、バルク培養土としてバンカーに貯蔵され、それに続いて袋詰め工場に送られ、そこで25kg用の袋に詰められて、1トンのロットとしてパレット上に載せられる。
【0064】
手短に述べると、本発明により、嫌気的にスラッジを消化するデバイス、プロセスおよびシステムが提供され、それらは、炭素が中立で、廃棄物がゼロで、経済的に持続可能であるという利点を有する。ダイジェステート(成熟したスラッジ)の乾燥で生成される廃水は全て、消化タンクに送られるスラリー/スラッジを形成するのに再利用されているので、廃水が出されることはない。臭いが出る全ての領域は、エアダクトを介しての送風機による吸い出しにさらされていて、臭いが処理されるので、異臭は最小限になる。これに含まれるのは、消化装置に先立って処理される有機廃棄物が腐敗したり、培養土プロセスで生成されたりする不快なガスであり、それらは、有機物洗浄機において取り出され、不純物が取り除かれて処理される。ガス発電機から発するノイズは、工場の外側の境界で55デシベル以下に定められている。培養土を作るのに用いられる構造材料もまた、完全にリサイクルされ、それにより、廃棄物がさらには生成されなくなる。
【0065】
この発明は、好ましい実施例によって説明されているが、以下の特許請求の範囲に記述されるような、この発明の精神および範囲から逸脱することなく、変更および修正を加えても良いことが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】成熟スラッジを含むリサイクル流が、消化タンクの外で未処理スラッジ流と混ぜ合わされる、発明によるデバイスの実施例を示す図である。消化タンク内に一本の移送パイプがあって、混合スラッジを消化タンク内で上方に移送する。
【図2】消化タンク内に2本の移送パイプがある別の実施例を示す図である。
【図3】未処理のスラッジが消化タンク内に導入されて、消化タンク内の混合領域で成熟したスラッジと混ぜ合わされる、発明によるデバイスのさらに別の実施例を示す図である。
【図4】4本の移送パイプがある、発明によるデバイスの一実施例を示す様々な図の1つである。この実施例において、未処理のスラッジが成熟したスラッジと混ぜ合わせられるのは、消化タンク内の混合領域および消化タンク外の混合デバイスにおいてである。
【図5】4本の移送パイプがある、発明によるデバイスの一実施例を示す様々な図の1つである。この実施例において、未処理のスラッジが成熟したスラッジと混ぜ合わせられるのは、消化タンク内の混合領域および消化タンク外の混合デバイスにおいてである。
【図6】4本の移送パイプがある、発明によるデバイスの一実施例を示す様々な図の1つである。この実施例において、未処理のスラッジが成熟したスラッジと混ぜ合わせられるのは、消化タンク内の混合領域および消化タンク外の混合デバイスにおいてである。
【図7】選別機の側面図および斜視図である。
【図8】選別機の側面図および斜視図である。
【図9】発明によるプロセスの簡略化されたフロー図である。
【図10】発明によるシステムに備えられる様々なユニット、並びにそのようなシステムで実施されるプロセスを示す簡略化されたフロー図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、廃棄物処理の分野に関し、より詳しくは、有機性スラッジの嫌気性消化のためのデバイス、プロセスおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
嫌気性消化は、有機性廃棄物の処理のために広く用いられているプロセスである。農業廃棄物、家庭廃棄物および工業廃棄物を含めて、多くの種類の有機性廃棄物を嫌気性消化で処理することができる。有機性廃棄物の消化を行う主要な目的の1つは、スラッジ固形物を、環境への排出に適切なきれいな廃液に変えることである。嫌気性消化プロセスの副産物として、可燃性燃料であるメタンを生成することもまた、嫌気性消化工場を操業する上で重要な観点であり、それは工場の運営費を下げるのに役立つ。有機性廃棄物は、工業都市、商業都市および農業都市のいずれからも大量に生成されるので、嫌気性消化を介して有機性廃棄物を処理することは、廃棄物の始末/処理およびリサイクリングの方法として経済的に魅力があるものとなる。
【0003】
好気性消化プロセスに比べて、嫌気性消化は、一般にスラッジ固形物を取り除くのにより効率的であり、したがって好気性消化よりも生成するスラッジが少ない(米国特許第4,885,094号を参照)。しかしながら、嫌気性消化は、典型的には、嫌気性細菌がスラッジ中の有機物を分解できるだけの長い滞留時間を必要とする(米国特許第5,637,219号を参照)。効率を考慮するのを基本とすれば、バッチの嫌気性消化装置は、通常、大規模に処理をすることで実現可能になるので、大きな設置面積を必要とし、一方、連続して処理をする消化装置は、メタンガスと生物培養土を安定して供給し、より小さくてコンパクトな敷地での処理となるので、より好まれる。
【0004】
嫌気性連続消化装置は、典型的には、一段階連続攪拌タンク反応装置(「CSTR」)か、ピストン型タンク反応装置(「PFTR」)かをモデルとして作られる。前者は、通常低レベルのスラッジ固形物(典型的には10%未満の乾物)を含むスラッジを処理するのに用いられ、一方、後者は、固形物の含有量が高いスラッジを処理するのに広く用いられる(米国特許第6,673,243号を参照)。ピストン型反応装置において、スラッジは、消化装置を通って連続して取り入れ口から排出口に向かい、新鮮な未消化のスラッジと断続的に混ざることもない。反応装置において充分に長い滞留時間を取ることで、スラッジは、理想的には、排出口に到達するときに完全に消化される。
【0005】
消化装置においてスラッジを消化するのに用いられる嫌気性細菌の種類によって、消化装置が効率的に処理をするのに最適な温度範囲が決まる。中温菌は、約20℃から約45℃の処理温度を好み、一方、高温菌は、約50℃から65℃の処理温度を好む。処理温度が最適範囲外になると、メタンの収率が低下する。高温菌の温度範囲で処理をする消化装置には、滞留時間がより短いという利点があるが、周囲温度または室温よりも約30℃から40℃高い温度を維持するために、高価なエネルギーの入力が必要となる。
【0006】
このため、高温菌の消化は、たいてい、スラッジを処理するには経済的に魅力が無いと考えられており、それは、未処理のメタンガス(腐食性の成分を含む)や培養土を生成することで経済的な利益が得られても、消化装置に処理をさせるのに熱源が必要であって、めったなことで満足な理由にはならないからである。廃棄物の嫌気性消化を実施する上での問題に取り組む様々な試みが過去になされている。
【0007】
US6,673,243には、連続して配置される3つの直列のチャンバーを備えるピストン型嫌気性消化装置が開示されており、各チャンバーは、嫌気性微生物が、効率的にスラッジを消化するのに適切な環境を提供している。各チャンバーの容積は、消化の異なる段階でスラッジの相対的な滞留時間を制御するよう設計されている。発酵性のおよび加水分解の消化という初期の段階は、酢酸発生およびメタン発生という後期の段階よりも迅速に行われるので、第一のチャンバーは、第二および第三のチャンバーよりも滞留時間が短くなるように設計されている。外部から加熱されておらず、それは、流入するスラッジが、気候に依存する周囲温度で処理されることを意味する。
【0008】
US6,929,744には、内側筒型塔を備え、それが外側筒型塔内に配置され、それによって中央の筒型チャンバーと外側の環状チャンバーとが定められている、パイロット規模の消化装置が記述されている。未処理のスラッジが、閉じられた容器内において、3日間、35℃で培養され、消化装置の底の環状チャンバーに導入され、そしてフロー・ディストリビュータの補助で中央チャンバーへとあふれ出るまで、ポンプでくみ上げられる。
【0009】
米国特許出願第2005/0077238号には、通気管を有する卵型の嫌気性消化装置が記述されており、通気管が消化装置内に配置されることで、スラッジを、消化装置の頂部および底部から中間部へと運ぶことが可能になっている。通気管によって消化プロセスが制御されるものとなり、適切に管理されなければ消化装置内での混合に有害であろう浮きかすおよび泡の形成が受け入れられている。
【0010】
米国特許第6,632,362号には、断面に格子を有する多段階嫌気性消化装置が記述されており、それは、消化装置の長さ方向に沿っての、異なる消化相に浮いている媒体を分離する。未処理のスラッジが消化装置の頂部に送り込まれ、それは次第に消化装置を下っていって消化される。濃縮した消化スラッジは、消化装置の底に沈んで排出される。生成されたメタンは、メタン分離装置において不純物が取り除かれ、得られた純粋なメタンを使ってボイラーが運転され、今度はそれを用いて、未処理のスラッジを加熱する。しかしながら、未処理のスラッジを加熱するために、不純物が取り除かれたメタンを用いるのは経済的ではなく、というのも、不純物取り除き装置の運転には費用がかさみ、また、不純物が取り除かれたメタンは売ることができるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、前述した全ての従来技術の欠点の、少なくともいくつかに対処する代替の嫌気性スラッジ消化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
本発明の第一の観点によると、嫌気的にスラッジを消化するデバイスが提供される。そのデバイスは、上部領域と下部領域とを有する消化タンク、および未処理のスラッジを成熟したスラッジに変える反応チャンバーを備える。消化タンクは、未処理のスラッジを消化タンクへと導入する取り入れ口、および消化タンクの下部領域に配置され、成熟したスラッジを消化タンクから排出する排出口を有する。移送パイプが少なくとも一本あって、スラッジを消化タンクの下部領域から消化タンクの上部領域へと流通させる。その移送パイプは消化タンク内に配置され、少なくともその長さ方向の一部が反応チャンバー内に配置されることで、反応チャンバーを通るスラッジと接触させられ、その結果、反応チャンバーを通るスラッジと、少なくとも一本の移送パイプ内のスラッジとの間で熱の移動が起こる。
【0013】
発明の第二の観点は、スラッジを嫌気的に処理するプロセスに向けられているが、それには、発明によるデバイスに、未処理のスラッジを導入することが含まれている。スラリーを嫌気的に消化するのに充分な時間をかけて、スラッジを反応チャンバーに通す。スラッジの一部は、デバイス内にある少なくとも一つの移送パイプを介して、消化タンクの下部領域から消化タンクの上部領域へと流通させられる。成熟したスラッジが、排出口を介して消化タンクから排出される。
【0014】
発明の第三の観点は、スラッジを嫌気的に消化するシステムに向けられている。このシステムは、未処理のスラッジから無機物を取り除くスクリーニング手段と、未処理のスラッジを縮小するシュレディング手段と、本発明による未処理のスラッジを嫌気的に消化する装置とを備える。
【0015】
本発明のデバイスには、従来技術の消化装置には無いいくつかの利点がある。第一に、消化タンク内に配置される移送パイプは、消化装置の正味のエネルギー必要量を下げ、かつ消化装置内で未処理のスラッジから成熟したスラッジに容易に熱が移るようにすることによって、消化装置全体を通して温度をほぼ均一に保つのに役立つ。このように、熱交換を経て予め加熱された未処理のスラッジは、消化装置を上方に流れるとき、成熟したスラッジに熱を供給し、そして、消化タンクにおいて嫌気性消化を開始するのに適切な温度となって、消化装置の頂部から排出される。加えて、捨てられた食材、動物の糞、食肉処理場の廃棄物、野菜廃棄物、園芸作物の残り、有機性産業廃棄物、下水スラッジおよび有機性分別家庭廃棄物等を含む広範な範囲にわたる有機性廃棄物を、完全に処理して、肥料として使うことのできる培養土にすることができ、それによって、炭素を土に戻して再利用およびリサイクリングすることが容易となる。生成される排水は、全て完全に回収され、リサイクルされ、再利用されるので、システムから排水が排出されることはない。構造材料は、消化されたスラッジと完全に混合されて、培養土生成プロセスの間、消化されたスラッジを空気にさらして成熟させるのに役立っているが、それもまた回収され再利用される。これらの利点は、正味必要な材料の量を下げ、それによって稼動費用を下げる助けとなっている。廃棄物の嫌気性消化によって生成されるバイオガスは、リサイクルするか、(地方自治区の加熱のような)熱生成または送電線網における発電機の駆動のために用いることができる。加えて、消化が行われるのに、内部の攪拌機構は、必要とされない。これによって、整備による停止時間を最小限しか必要としない、低整備、高効率、連続操業の消化装置が確保される。したがって、発明によって、有機性廃棄物の、環境に優しい処理が容易になるだけではなく、それはまた、プロセスを経済的に持続可能なものとして、再生可能なエネルギーを提供し、メタンや二酸化炭素のような温室効果ガスの生成を抑制しようと試みてもいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
明細書の文脈において、「未処理のスラッジ」または「未処理のスラリー」という用語は、消化タンクに導入されている、処理されていないまたは消化されていないスラッジを表す。「未処理の」という用語は、シュレッドしてスラッジの平均サイズを低減するとか、スラッジ中の病原菌を低減するために加熱処理をするというような、スラッジが前処理されている可能性を除外するものではない。「成熟スラッジ」または「成熟したスラッジ」という用語は、「処理されたスラッジ」または「消化されたスラッジ」という用語と交換可能に用いられ、それは、消化タンクの反応チャンバーを通る少なくとも一つの経路を通過しており、そうして少なくとも部分的には嫌気的に消化されているスラッジを表す。
【0017】
本発明のデバイスは、内部にスラッジの嫌気性消化が行われる反応チャンバーを有する消化タンクを備える。消化タンクは、一つの段階でスラッジを連続して処理できる反応チャンバーを収容するのに適切な大きさを有する容器を備える。通常は、連続するプロセスが好ましく、それは、スラッジが連続して処理され、メタンと培養土が安定して供給されるからである。例えば、消化タンクは、実質的に垂直に配向された反応柱の形をとる。
【0018】
消化タンクは、上部領域と下部領域とを備える。上部領域は、その中間より上に位置する消化タンクの部分を表し、それに対応して、下部領域は、中間より下に位置する消化タンクの部分を表す。消化タンクは、取り入れ口を有し、それを通して未処理のスラッジが消化タンクに導入され、かつ排出口を有し、それは、消化タンクの下部領域に配置されて、消化タンクから成熟したスラッジを排出し、また、消化タンクは、好ましくは熱の損失を最小に抑えるため絶縁されている。取り入れ口は、必要なデザインに応じて、下部領域か上部領域かまたは双方に配置されている。
【0019】
消化タンク内に配置される反応チャンバーは、嫌気性細菌がスラッジを消化するのに適切な環境を提供する役割を果たす。処理されるべきスラッジの量に応じて、消化タンクの大きさが選択され、消化されるべき量のスラッジを収容する。反応チャンバーの容量は、典型的には、スラッジを消化するのに必要とされる相対的な滞留時間を制御するよう選択される。各所の大きさは、消化タンクを通る単一の経路またはいくつかの経路でスラッジが嫌気的に消化されるように選択される。反応チャンバーは、消化タンク内に収容されるので、通常、反応チャンバーの大きさによって、消化タンクの大きさが決められる。反応チャンバーは、消化タンクの一区分を備えるかまたは、消化タンク内に別途定められる仕切り部を備える。
【0020】
本発明において、消化タンクの下部領域から消化タンクの上部領域にスラッジを流通させるために、少なくとも一つの移送パイプ、より好ましくは複数の移送パイプが設けられる。各移送パイプは、消化タンク内に配置され、消化タンクの内壁かまたはその他のところに載置され、少なくともその長さ方向の一部が、反応チャンバー内に配置されている。そのようにしている目的は、反応チャンバーを通って下がりつつあるスラッジ(以後、「成熟しつつあるスラッジ」または「消化しているスラッジ」という用語と交換可能に用いられる)が移送パイプと接触することを可能にすることである。反応チャンバーを通って下がりつつあるスラッジは、通常、反応チャンバーを下るときに熱を失うので、嫌気性消化温度を最適に保つために、混合されたスラッジを、反応チャンバー移送パイプに導入する前に、予め加熱しておくことが可能である。混合されたスラッジを、前の反応チャンバー内のスラッジよりも高い温度に加熱することによって、反応チャンバーにおけるスラッジが、混合されたスラッジよりも低い温度となる。そうして、冷たくて下がりつつあるスラッジと、温かくて未処理の/混合された、移送パイプを通って上りつつあるスラッジとの間に温度勾配が存在する。この温度勾配の結果、移送パイプを上りつつある温かくて混合されたスラッジから、反応チャンバー内の下がりつつある成熟スラッジに熱が移動する。このようにして、反応チャンバーの成熟スラッジは、加熱された混合スラッジによって一定の温度に保たれる。他方、加熱された混合スラッジは、成熟スラッジに熱を奪われるので、その温度は、それが移送パイプを通過する間中低下する。未処理のスラッジが上方領域で移送パイプから排出されるとき、その温度は、高温菌の消化が行われるのに適切な所定の温度へと低下しているであろう。移送パイプに混合スラッジを送るに先立ってその温度を上昇させる熱源は、例えば生成されたメタンによって駆動されるガスエンジンが熱を供給する熱交換器から得られる。
【0021】
一実施例において、少なくとも一つの移送パイプが作られて、少なくとも一つの移送パイプを上るスラッジから反応チャンバーを下るスラッジに熱が容易に移るものとし、それによって反応チャンバーのスラッジに熱が移る効率を向上させる。例えば、移送パイプは、外表面にフィンを含んでもよく、下がりつつあるスラッジと接触して利用できる表面積を増大し、または少なくとも一つの移送パイプが、直線パイプまたはコイル状のパイプ構成を含む、適切な構成をとることで、反応チャンバーにおけるスラッジとの接触を最大限にしても良い。
【0022】
少なくとも一つの移送パイプを通してスラッジをポンプでくみ上げるために、作動手段が提供されても良い。作動手段の例には、スクリューポンプ、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプ等が含まれている。移送パイプは、消化タンクの上部領域における1つまたはいくつかの位置で混合スラッジを排出するが、オプションとして、反応チャンバーにおいて混合スラッジを均等に分配する分配器手段を補助に用いても良い。そして、排出された混合スラッジは、反応チャンバーに入り、消化装置へと下っていく工程を開始し、それは、典型的には15日から21日あるいはそれ以上かかる。
【0023】
反応チャンバーの底に到達するとき、混合スラッジにおける未処理の有機物は、消化されているであろうが、すなわち、未処理のスラッジにおける複雑な有機性分子は、複雑な形からより簡単な形へと分解されており、それによって混合スラッジは成熟スラッジへと変えられている。成熟スラッジは、消化タンクの下部領域に位置する排出口から消化タンクの外に出る。成熟スラッジの大部分は、消化タンクへとリサイクルされ、一方で少量が抜き取られて、培養土化され、成熟されて、病原菌の無い高級な生物培養土が生成される。
【0024】
嫌気性消化を容易とするために、いかなる嫌気性微生物を用いても良い。嫌気性消化に用いられる細菌の種類には、通常、加水分解細菌、発酵性細菌、メタン生成細菌および酢酸生成細菌が含まれている。細菌の特別な例には、メタノバクター・フォルミシカム(methanobacter formicicum)、メタノバクター・ソエンゲニ(methanobacter soehngenii)、メタノバクター・ルミナチウム(methanobacter ruminatium)、メタノコッカス・マゼイ(methanococcus mazei)、バニエリ(vanielli)、メタノサルシナ・メタニカ(methanosarcina methanica)およびメタノサルシナ・サーモフィリア(methanosarcina thermophilia)が含まれている。消化を容易とするのに、通常のカビや菌類を用いても良い。
【0025】
たいていの条件において、故意に細菌を加える必要は無い。成熟スラッジの一部を未処理のスラッジと混ぜることによって、成熟スラッジに自生する細菌が未処理のスラッジに導入され、既に細菌が適合している条件の下で、未処理のスラッジに作用させることができる。消化装置の反応チャンバーにおいて初期の細菌の数を確保するために、初期の滞留時間を約21日にするのに必要な流速で、消化装置に有機性廃棄物を送る。
【0026】
嫌気性消化を行うために、反応装置における酸素濃度を最小限に、好ましくはゼロに保つ。例えば、消化タンクを確実に密封し、好ましくは、わずかな真空中に保つことによって、これを行う。消化タンクの頂部(ここに、生成されたガスが蓄積する)からガスを抜き取ることによって、これを達成する。加えて、一実施例において、反応チャンバーがわずかに負の圧力を維持するよう作られている消化タンクを提供することも可能である。これが達成されるのは、平坦またはドーム型の蓋で補助して消化タンクを密封し、その蓋には、ガス排出口が組み込まれていて、消化で生成されるガスが連続して取り除かれるようにすることによる。その代わりに、酸素の量を減らすために、窒素のような不活性ガスを消化タンクに連続して導入することも可能である。
【0027】
未処理のスラッジを消化タンクに加えるに先立って、嫌気性細菌を未処理のスラッジに導入するために、未処理のスラッジは、好ましくは、成熟スラッジと混合される。その混合は、混合物を混合タンクで攪拌したり、スラッジミキサーを通して混合スラッジを流通させたりするなどの、適切なやり方で行うことができる。その混合は、消化タンク内か消化タンクの外かで行うことができる。熱の損失を低減するために、混合は、例えば消化タンク内で行っても良い。
【0028】
一実施例において、混合手段は、消化タンクの底部領域に配置される混合領域を備え、その混合領域は、反応チャンバーから成熟したスラッジを受け取り、取り入れ口から未処理のスラッジを受け取るように作られている。未処理のスラッジを消化装置の底部領域に導入することによって、未処理のスラッジを「作付け」し、高温菌および成熟したスラッジと混ぜることが可能となり、それによって混合スラッジが生成される。混合した後、混合スラッジは一本以上の移送パイプを通って消化タンクの上部領域に送られる。代替として、移送パイプを上るように直接送られる代わりに、この「作付け」された未処理のスラッジを一つ以上のスクリューポンプ(それを経ると完全な混合が行われる)を介してこの混合領域から引き出し、そして消化装置の上部領域への移送パイプに送る前に熱交換器で加熱しても良い。この構成は、消化装置に送られる前に予め別々に混合するプロセスを避けるのに役立つのみならず、混合スラッジの温度を急上昇させて、反応チャンバーにおける消化スラッジの温度より高くすることで、混合スラッジから消化スラッジに熱が移動し、それによって反応チャンバーにおける消化温度を維持するのに役立つ。
【0029】
代替として、混合手段は、少なくとも一つのスクリューポンプまたはより好ましくは複数のスクリューポンプを備え、消化タンクにおける混合領域からの吸入を行って、成熟したスラッジと未処理のスラッジの双方が消化タンクから取り出されても良い。スクリューポンプの排出口は、移送パイプに接続されていて、混合スラッジを、消化が始まる消化タンクの頂部に送る。
【0030】
スラッジの消化によってバイオガスが生成され、そのパーセンテージの多くはメタンガスを含んでいる。メタンガスは、上部領域に配置される排出口を介して消化タンクから放出される。この文脈で、バイオガスという用語は、消化タンクの排出口から引き出されるガスの混合物を表し、嫌気性消化から生成されるガスのみに限られるものではない。これらのガスは、反応チャンバー内で起こる無数のプロセスから得られ、それには、呼吸、嫌気性発酵およびスラッジに作用する様々な種類の細菌によるアルコールおよび水素の生成が含まれる。
【0031】
発明の他の観点は、スラッジを嫌気的に処理するプロセスおよびシステムに向けられている。そのプロセスは、発明の第一の観点によるデバイスに未処理のスラッジを導入し、未処理のスラッジが成熟スラッジに充分にさらされ、それによって高温菌が種付けされるのに充分な時間をかけて未処理のスラッジを反応チャンバー(底部)に通すステップを備える。消化が始まる消化タンクの上部領域に導入されるのに先立ち、未処理のスラッジは、消化された成熟スラッジとスクリューポンプで混合されて、混合スラッジを生成する。この混合の目的は、自生する嫌気性の細菌(高温菌)を未処理のスラッジに完全に混ぜ込み、それによって、消化装置の上部に導入されるとき、それを消化タンクにおける嫌気性消化に適したものとすることである。
【0032】
嫌気性消化には、典型的に3つの基本ステップが含まれている。第一のステップには、嫌気性消化のための固形廃棄物の有機性断片を準備することが含まれており、かつ通常、分類して分離し、サイズを低減することが含まれている。第二のステップには、湿気および栄養分を加えること、混ぜること、ペーハーを約6.7に調整すること、スラリーを加熱すること、および15日から21日の間の任意の期間、内容物が充分に混合されるように流れが連続する反応装置における嫌気性消化が含まれている。第三のステップには、消化プロセスの間に放出されたガス成分を捕獲し、蓄積し、かつ必要であるならば分離することが含まれている。第四のステップは、消化されたスラッジを培養土として成熟させることである。
【0033】
発明のプロセスにおいてデザインのために考慮すべきことには、シュレッドされる未処理のスラッジのサイズ、混合の度合いおよび未処理のスラッジにおける固形有機物のパーセンテージが含まれている。考慮すべき他の重要な要因には、水圧式の滞留時間および未処理のスラッジを装填する割合が含まれている。
【0034】
発明のプロセスにおける1つの特長は、混合スラッジを、消化タンクの下部領域から消化タンクの上部領域に送るべく、少なくとも一本の移送パイプに流通させることである。少なくとも一本の移送パイプは、その長さ方向の1区分が消化タンクの反応チャンバーに配置されている。反応チャンバーを通っているスラッジが、加熱された混合スラッジを収容している移送パイプと接触するとき、温度勾配によって、熱が移動する結果となり、それによって消化装置内の処理温度が均一で最適であることが確認され、その消化装置は、モニターして制御することができ、それによって消化プロセス全体において用いられるエネルギーを最小限とする。
【0035】
所望の熱交換並びに消化タンクのサイズに依存して、複数の移送パイプが消化タンクに据えつけられて良い。例えば、2本から3本、4本、5本の範囲にある任意の本数の移送パイプまたはそれ以上の本数の移送パイプが、消化タンクに据え付けられて良い。熱を容易に移動させるために、好ましくは、パイプは、高導電率であると同時に耐腐食性の材料で作られる。そのような材料の例には、ステンレス鋼および銅が含まれる。
たいていの消化装置において、スラッジを消化するのに用いられる嫌気性の細菌によって、消化装置がピークの効率で稼動する最適の温度が決められる。高温性の消化が行われるには、温度範囲は、典型的には約50℃と約65℃の間である。気候の変化によって、スラッジが処理される温度に変化がもたらされる。もしそのような変化が起きて、反応チャンバー内の条件が、この高温温度範囲外になってしまうとメタンの収率が低下する。このため、消化装置のデザインにおいては重大な配慮がなされて、反応チャンバーにおいてスラッジが加工される温度が効率的に制御される。より好ましくは、反応チャンバー内の処理温度は、高温性の嫌気性消化が行われるために約49℃から57℃の範囲に保たれる。冷たい気候では、消化から得られるバイオガスの一部が用いられて、この温度範囲を制御して保つために湯沸かし器を運転する。嫌気性の細菌が効率的に機能し続けるために、スラッジのpHが、好ましくは約6から8の範囲に保たれる。
【0036】
反応装置の性能を良好なものとするために可能な一つのアプローチは、消化タンク内の反応チャンバー空間が、できる限り生物分解性の材料で占められるのを確認することである。これは、消化可能ではなく、それでメタンを生成しない非生物分解性の材料が、消化に先立って未処理のスラッジからできる限り取り除かれるべきであることを意味する。消化タンクの処理能力を最適化するために、金属、プラスチック、石および木材のような非生物分解性の材料は、機械的に分離される。サイズ、重量および密度の違いに基づいて分離が行われる。スクリーニング、空気分離および空力分離またはこれら3つ全ての組み合わせを含む、様々な機械的分離方法がこの目的で用いられる。スクリーニングは、無機物を取り除くのに好ましい方法であり、機械的、光学的分離または浮揚分離を介して行われる。
【0037】
1つの実施例において、スクリーニングは、ロータリー・スクリーンとシュレッダーを備える。好ましくは、ロータリー・スクリーンは、直径が約140mmと約160mmとの間でより好ましくは約150mmであり、そしてシュレッダーは、廃棄物の直径を約14mmと16mmの間に低減する。例えば、トロンメルと振動スクリーンを用いて、望ましくない無機物品をスラッジから低減し、取り除く。鉄材は、電磁石を用いて分離する。
【0038】
スラッジを消化タンクに加えるのに先立って、処理されるスラッジのサイズを低減し、その後、そこからスラリー/スラッジ混合物を生成すると利点がある。サイズを低減する目的は、消化のためにできる限り大きな表面領域を提供することであり、サイズや組織において程よく均一で、したがって栽培媒体として土や土壌との混和性が確実なものとなる最終製品の培養土を得ることである。これを達成する1つの方法は、スラッジを50mm未満、好ましくは30mm未満、さらに好ましくは20mm未満の平均サイズにシュレッドすることである。それに続いてシュレッドされたスラッジに水が加えられ、スラリーの混合物を生成する。1つの実施例において、シュレッドされたスラッジは水と混ぜられて、濃度が約10%から約20%の乾物を含有する未処理のスラリー/スラッジを生成する。シュレディングは、スラッジが消化タンクに導入される前ならばいつでも行われて良いが、好ましくはスクリーニングの後に行われる。この目的で、二段階・粗‐細・低スピードシュレッダー並びにサイズが大きすぎる材料の選別とリサイクルを行う単一段階シュレッダーのような、通常のシュレディング装置のいずれを用いても良い。
【0039】
消化装置への導入に先立って、培養された細菌を未処理のスラッジに加えることによって、嫌気性の細菌を未処理のスラッジに導入しても良い。代替として、未処理のスラッジを成熟したスラッジと混ぜ合わせて、消化タンクの排出口を出たところで混合スラッジを生成する。前者に対して後者の利点は、成熟したスラッジには、消化タンク内の条件に既に適合しており、それゆえに未処理のスラッジを効率的に消化するに違いない消化タンクに自生する細菌を含んでいるということである。混合スラッジが、移送パイプを介して消化タンクの上部領域に運ばれることで、混合スラッジは、消化タンクにおいて嫌気性消化を受ける。一実施例において、未処理のスラッジ約1部に対して消化されたスラッジ9部という割合で、未処理のスラッジは消化されたスラッジと混合される。
【0040】
消化タンクから排出された成熟したスラッジは、培養土化されてさらに分解され、乾燥して扱いやすい培養土となる。培養土化するプロセスには、消化されたスラッジを広げて乾かし、または空気吹き込み装置において消化されたスラッジを乾燥させることが含まれている。好ましくは、培養土化することには、消化されたスラッジに空気を吹き込み加湿することが含まれている。培養土化するプロセスを改善するために、スラッジの多孔性を増すための空気の吹き込みに先立って、成熟スラッジがウッドチップと混ぜられても良い。
【0041】
培養土にすることに先立って、細菌が豊富な水を回収し、リサイクルするために消化されたスラッジから水を抽出することが可能である。そうすることでまた、消化されたスラッジをより速く乾かすことも可能となる。一実施例において、発酵したスラッジにおける乾燥固形物の含有量が約25%から約30%になるまで脱水が行われる。典型的には、例えばスクリュープレスやその他の同等な装置において、消化されたスラッジを機械的に絞ることで脱水が行われる。
【0042】
本発明のこれらの観点および利点は、以下の記述、図面、および発明を制限しない例を参照してより完全に理解される。
【0043】
本発明を理解し、それが実際にどのように実施されるのかを示すために、添付した図面を参照して、発明を制限しない例のみによって好ましい実施例を以下に記述する。
(好ましい実施例の詳細な説明)
【実施例1】
【0044】
図1は、発明によるデバイスの第一の実施例を示す。この実施例において、デバイス100は、矢印104で示される上部領域と矢印105で示される下部領域とを有する消化タンク102を備える。消化タンク102内に配置されるのは、スラッジの嫌気性消化が行われる反応チャンバー107である。未処理スラッジ流109が、下部領域105に位置する取り入れ口112を介して消化装置に導入され、排出口114を介して消化タンクの外に出る。成熟したスラッジの一部は、排出流116を介して排出され、一方、成熟したスラッジの残りの部分は、リサイクル流118を介してリサイクルされる。リサイクル流118は、取り入れ口112で未処理スラッジ流109と合流し、それによって、成熟スラッジを未処理のスラッジと混ぜ合わせる(以降、混合スラッジとして知られる)。これによって、未処理のスラッジに、それが消化されるのに必要とされる嫌気性の細菌が提供される。混合スラッジは、取り入れ口112を介して消化タンク102に入る。取り入れ口112は、混合スラッジを上部領域104に運ぶ移送パイプ120に接続される。移送パイプ120は、消化タンクの壁101に沿って配置され、少なくともその長さ方向の一部が、反応チャンバー107内に位置するものとなる。移送パイプは、反応チャンバー107を下降する成熟スラッジと接触し、それによって反応チャンバー107の成熟スラッジと移送パイプの温かい混合スラッジとの間での熱の移動が容易となる。これによって消化装置のスラッジは、最適な高温性消化が行われるのに適切な均一で一定の温度に保たれる。消化装置の上部および下部領域の間にほとんど温度差が生じない。
【0045】
混合スラッジは、移送パイプから排出されて反応チャンバー107に入り、消化タンク102を下降し始める。反応チャンバーにおいて、混合スラッジの複雑な生物学的な分子を細菌が分解する。とりわけ、炭素を基本とする物質がメタンに変えられる。反応チャンバーで行われる嫌気性消化、およびその他の複雑なプロセスで放出されるメタンと他のガスは、消化タンクの上部領域へと上昇し、ガス排出口124を介して取り除かれる。理想的な条件の下では、消化タンクの底に達すると、混合スラッジは完全に消化/成熟される。基台122は、中心に向けて傾斜しており、成熟スラッジが排出口114に向かうものとされ、やはりそれは、部分的に排出されるかリサイクルされるかする。
【実施例2】
【0046】
図2は、発明のさらなる実施例を示し、そこではデバイス200が、消化タンク内に配置される第一の移送パイプ220と第二の移送パイプ221とを備える。移送パイプは、各々デバイスの下部領域に位置する取り入れ口212に接続される。スラッジは、取り入れ口112を介して消化装置に入り、排出口214を介して消化タンクの外に出る。成熟したスラッジの一部は、排出流216を介して排出され、一方、成熟したスラッジの残りの部分は、リサイクル流218を介してリサイクルされる。リサイクル流218は、未処理スラッジ流209と合流してスラッジポンプ227へと引き上げられる。反応チャンバーを上昇するスラッジを別にして、スラッジポンプ227もまたミキサーとして働き、そこでは、成熟したスラッジが未処理のスラッジと良く混ぜ合わされて、混合スラッジを生成する。
【0047】
各取り入れ口212における混合スラッジは、移送パイプ220、221を介して、消化タンクの上部領域に位置する分配器231に移送される。分配器は、混合スラッジを反応チャンバー207に均等に分配する複数のノズル234を備える。この実施例において、ガス排出口は、消化タンク202の頂部209の中央から外れて配置される。
【実施例3】
【0048】
図3は、発明の別の実施例を示し、そこでは、消化タンク内で未処理のスラッジと成熟スラッジとの間の混合が行われる。デバイス300は、取り入れ口312と排出口314とを備える。消化タンク302に入る未処理のスラッジは、反応チャンバー307から近付いてくる成熟スラッジと混合領域341で混合され、それによって混合スラッジを生成する。混合スラッジは、傾斜した基台322によって、スクリューポンプ341の吸い込み口337に向かうように仕向けられる。スクリューポンプ341によって混合スラッジがさらに混合され、混合スラッジを熱交換器345へと移送し、そこでは、混合スラッジが加熱され、そして消化タンクへと戻され、そこで混合スラッジは、移送パイプ320を通して消化タンクの上部領域へと届けられる。混合スラッジは、反応チャンバー307で次第に消化される。収集ポイント343が取り入れ口の上に備えられて、いくぶんかの成熟スラッジを排出のための排出口314へと流通させる。
【実施例4】
【0049】
図4は、発明の別の実施例であるデバイス400の断面図を示し、そこでは消化タンク402は、4つの移送パイプ418、419、420、421(この図には示されていない)を備え、その各々が、消化タンク402の内部に載置され、取り入れ口412に接続されている。消化タンク402は、補強されたプラットフォーム451上に据え付けられている。基台422は、中心に向かって傾斜しており、中心では、基台は、水平なプラットフォーム451と約2°の角度を成す。消化タンクの中間近くおよび頂部近くにそれぞれ配置される通路453、455によって、サンプリング・ポイントおよび消化タンク402にはめ込まれたプローブへのアクセスが可能となり、メンテナンスを行うことができるように様々な動作パラメータを測定する。
【実施例5】
【0050】
図5は、デバイス400の側面図を示し、消化タンク402の外側に示されていて、消化タンクへのアクセスを可能とする取り入れ口412、排出口414およびマンホール457の相関的な部分を図示する。複数のテスト・ノズル460、温度制御装置462および圧力制御装置464が、消化タンクの下部領域、中間および上部領域に配置されている。テスト・ノズル460によって、試験的なテストのために、消化タンクから周期的にスラッジを抜き取ることが可能となる。
【0051】
図6は、図4に示される消化タンク402の上面図を示す。マンホール457が、消化タンク402の頂部409に備えられており、移送パイプ420の各々の近くに配置されている。中央ガス排出口424が備えられて、消化の過程で生成されるガスが取り出される。消化タンク内で圧力が高まるのを防止する安全措置として、安全バルブ466が備えられている。圧力が高まると、安全バルブが作動して消化タンク内のガスを放出する。それに続いて発火システムが作動してガスを燃焼させる。温度制御装置462および圧力制御装置464もまた、頂部409に備えられる。
【0052】
図7および図8は、発明の一実施例において用いることのできる選別装置を示す。適切なサイズのスクリーニングができ、入手できる一般の種類の選別装置を用いることができる。
【実施例6】
【0053】
図9は、発明による簡略化されたプロセス・フロー図を示す。未処理スラッジ流509とリサイクル流518が、消化タンク500に入る。未処理スラッジ流509は、消化タンクにおいて嫌気的に消化されるべき未処理のスラッジを含み、一方、リサイクル流518は、生きた嫌気性細菌を含む成熟スラッジを含む。混合によって混合スラッジを生成するとき、成熟スラッジ中の生きた嫌気性細菌が、未処理のスラッジに導入される。混合スラッジは、移送パイプ520を介して消化タンクの上部領域に移送され、そこでは、混合スラッジの嫌気性消化が始められる。混合スラッジは、そこにある未処理のスラッジが嫌気的に消化されて成熟したスラッジを生成するのに充分な時間だけ、消化タンクの反応チャンバー内に留まることが可能である。成熟したスラッジの一部は、排出口514を介して培養土処理のために排出され、一方、成熟したスラッジの残りの部分は、リサイクル流518を介して消化タンクへとリサイクルされる。この実施例において、リサイクル流518と未処理スラッジ流509とは双方とも、消化タンクに入るまでに、熱交換器590を介して高温菌の温度またはその近くまで加熱される。
【実施例7】
【0054】
図10は、発明によるプロセスの別の実施例のプロセス図を示す。そのプロセスは、以下のものを備えるシステムにおいて実施される。すなわち、システムは、発明によるスラッジの嫌気的な消化を行うデバイスと、未処理のスラッジから無機物を取り除くスクリーニング手段と、未処理のスラッジのサイズを低減するシュレディング手段と、消化タンクで生成されるバイオガスを燃焼させて発電するガス発電装置と、燃焼で得られる熱を未処理のスラッジの一部に伝える熱交換機と、バイオガスを蓄積するガス蓄積装置と、消化タンクから放出される成熟スラッジを培養土にする培養土装置と、スラッジから水を取り除く脱水手段と、脱水装置で処理されたスラッジとウッドチップを混ぜ合わせる混合スクリューと、ウッドチップと混ぜ合わされたスラッジを培養土に変える培養土デバイスとを備える。
【0055】
農場、養殖場、食堂街、工場、レストラン等のような様々な収集ポイントから得られる固形有機廃棄物は、耐久性のあるプラスチックの廃棄物収集バッグに詰められる。これらの廃棄物収集バッグは、典型的には100kgまでの固形廃棄物が入れられて、嫌気性消化装置の敷地に運び込まれる。バッグは、ホッパーに入れられ、それは、バッグを自動耐久バッグ開封装置610に送り、それは、バッグを開けて中の有機廃棄物を露呈させる。開封されたバッグとその中身は、一連のコンベアを介して選別装置620に運ばれる。選別装置620は、開封されたプラスチックバッグと無機物を固形有機廃棄物から選別して取り除き、その有機物の含有量を最大化する。そして、選別された有機廃棄物は、有機物貯蔵サイロ630へと運ばれ、さらなる処理を待つ。分離された無機物には、金属、プラスチック、ゴム、砂および紙材が含まれており、無機物蓄積ホッパーへと運ばれ、そこでそれは、大きな容器に排出され、そしてトラックで持ち出されて、リサイクルされるか埋め立て地または焼却工場で処分されるのを待つ。
【0056】
有機廃棄物は、コンベアを介して有機物貯蔵サイロ630から有機物シュレッダー640へと移送され、そしてそのシュレッダーは、有機物スラッジをより小さなサイズ、好ましくは20mm未満にシュレッドする。シュレッドされたスラッジには水が加えられ、乾物の含有量が約10%と約20%の間の均一なスラリー/スラッジが提供される。スラリーは、1つ乃至6つの取り入れ口を通って消化タンク600の底部領域に導入され、そこで未処理のスラリーは「種付け」され、高温菌および成熟したスラッジと混ぜ合わされる。未処理のスラリー/スラッジを、高温の嫌気性消化が行われるのに適した温度(典型的には、約52℃から55℃の範囲)に加熱するために、未処理のスラリー/スラッジが、スクリューポンプ(そこで完全な混合が行われる)に接続されている1つ乃至6つの排出口を通して底部から引き出され、そして熱交換機で約55℃に加熱され、その後、消化装置の上部領域に届けられるように移送パイプへと送り込まれる。熱交換機には、消化装置で生成されたメタンを燃焼して加熱された湯を供給することができる。加熱された混合スラッジは、移送パイプを上っていくので、加熱された未処理のスラリーは、熱を消化装置のスラッジに移動させ、それによってスラッジは最適の処理温度に保たれ、それは、このスラッジは、それが上部から下部に移るときに熱を失うからである。それで加熱された未処理のスラリーは、移送パイプを上るときに成熟スラッジを加熱し、それを約52℃またはその他の温度、好ましくは約52℃と約55℃の間に保つ。混合スラッジが移送パイプから排出されて反応チャンバーに入ると、嫌気性消化が開始される。反応チャンバー内の条件は、嫌気性消化が行われるのに適しており、例えば温度は適当に高く、かつわずかな真空が保たれて酸素ガスの濃度が低く保たれる。
【0057】
消化が進むと、約65%までの純度のメタンガスが生成される。消化タンクは、上部領域に配置されるガス排出口を有し、それを通してメタンガスが集められ、ガス収集装置800で処理される。メタンガスは、真空のもとで取り出され、ガス貯蔵タンク650のようなガス貯蔵装置に貯蔵される。生成される全てのメタンは、ガス発電機で使われて、発電し、これらの発電機からの熱は、消化に先立って未処理のスラッジを加熱するための水を加熱するのに用いられる。ガス発火安全システム660がガス収集装置に組み込まれ、ガスエンジンが運転できないときにメタンガスを消費する。
【0058】
ガス送風機670は、ガス貯蔵部650からガスを吸い、ガス発電機680の噴射装置にガスを送る。ガス発電機680は、熱と電力を生成するためにメタンを燃焼する。電力は、送電線網に接続される変電所に送られ、一方、熱は、さまざまなアプリケーションに用いられ、それには、熱交換機690を介して消化タンクに送るに先立って未処理のスラッジを予め加熱すること、消化タンクを高温菌の消化に必要な温度に保つこと、局部加熱、局部冷却であって、それによって熱を液体乾燥剤の再生に用いること、または約85℃から95℃の範囲の低温加熱を必要とするその他のアプリケーションが含まれる。いくつかの実施例においては、ガス発電機が運転できないときは、燃料にガスまたは油を使うボイラー700および給湯システム710が熱を供給する。冷却システム720は、ガス発電機の過熱を防ぐために含まれている。
【0059】
消化タンク600には、混合スラッジが連続して送り込まれる。未処理のスラッジを消化するのに必要な滞留時間は、およそ16日から21日である。消化されたスラッジは、ここではダイジェステート(成熟したスラッジ)とも称され、連続して排出される。1日300トンという食料廃棄物/レストラン廃棄物の処理速度を達成するために、例えば、内径約12mで内高約28mの消化タンクが用いられる。この例において消化装置は、52℃でかつ0.05バールの圧力で運転される。
【0060】
成熟したスラッジの一部はリサイクルされて(未処理のスラリー/スラッジと混ぜ合わせられ)、一方、残部は培養土ユニット900に入る。一般に、培養土ユニットは、成熟したスラッジから水を取り除いてろ液を乾燥させる脱水ユニットと、構造材料を乾燥したろ液に混ぜる混合デバイスと、乾燥したろ液を培養土化する培養土デバイスとを備える。培養土ユニットは、脱水スクリュープレス730に送られ、遊離水を搾り出し、それによって、乾燥したろ液が約25%から30%の乾燥固形物を含有するようにする。ダイジェステート(成熟したスラッジ)から搾り出される遊離水は、シュレッドした未処理のスラッジとスラリーを形成するのに再利用される。その後、乾燥したろ液は、構造材料との混合を行う混合デバイスに届けられる。
【0061】
構造材料との混合は、乾燥したろ液を容易に培養土にするために行われ、本実施例においては、適量の空気を確実に混和するために、構造材料をろ液に均等に分配するよう設計された混合スクリュー740において混合が行われる。そして、混合されたろ液は、培養土用の建物の床上の山750に積まれる。その山は、建物または培養土のために割り当てられた土地に適した形に整えられる。培養土が容易に空気と混和されるように、例えば2日から3日の間隔で山を動かして再混合する培養土畝反転装置を用いて、規則的な間隔で山がひっくり返される。
【0062】
例えば、土地が乏しい地域や臭いに対して寛容でない地域において、培養土プロセスの速度を速めるために空気に晒された固定堆積培養土作りが行われ、培養土に絶え間なく空気を供給する特別に造られた床を有する閉鎖培養土ユニットにおいて、山が培養土に変えられる。そのような培養土ユニットの床は、空気パイプに接続されている空気混合ノズルを有する。乾燥したろ液に空気が浸透し、一方、水撒き機によって培養土プロセスの温度を制御するのに必要な水分が供給される。培養土ユニットの条件、例えば、温度や湿度は、監視され、水撒き機を介して供給される水の量、および空気混合ノズルが供給する空気の量を変えることによって制御される。
【0063】
約4週間培養土化を行うと、山は、消化されたスラッジから肥料として用いるのに適切な成熟生物培養土に変わる。培養土は、培養土分離装置760において選別され、構造材料を回収するが、それは続いてリサイクルされ、スクリュープレスから新たに来る乾燥したろ液とともに用いられる。選別された培養土は、バルク培養土としてバンカーに貯蔵され、それに続いて袋詰め工場に送られ、そこで25kg用の袋に詰められて、1トンのロットとしてパレット上に載せられる。
【0064】
手短に述べると、本発明により、嫌気的にスラッジを消化するデバイス、プロセスおよびシステムが提供され、それらは、炭素が中立で、廃棄物がゼロで、経済的に持続可能であるという利点を有する。ダイジェステート(成熟したスラッジ)の乾燥で生成される廃水は全て、消化タンクに送られるスラリー/スラッジを形成するのに再利用されているので、廃水が出されることはない。臭いが出る全ての領域は、エアダクトを介しての送風機による吸い出しにさらされていて、臭いが処理されるので、異臭は最小限になる。これに含まれるのは、消化装置に先立って処理される有機廃棄物が腐敗したり、培養土プロセスで生成されたりする不快なガスであり、それらは、有機物洗浄機において取り出され、不純物が取り除かれて処理される。ガス発電機から発するノイズは、工場の外側の境界で55デシベル以下に定められている。培養土を作るのに用いられる構造材料もまた、完全にリサイクルされ、それにより、廃棄物がさらには生成されなくなる。
【0065】
この発明は、好ましい実施例によって説明されているが、以下の特許請求の範囲に記述されるような、この発明の精神および範囲から逸脱することなく、変更および修正を加えても良いことが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】成熟スラッジを含むリサイクル流が、消化タンクの外で未処理スラッジ流と混ぜ合わされる、発明によるデバイスの実施例を示す図である。消化タンク内に一本の移送パイプがあって、混合スラッジを消化タンク内で上方に移送する。
【図2】消化タンク内に2本の移送パイプがある別の実施例を示す図である。
【図3】未処理のスラッジが消化タンク内に導入されて、消化タンク内の混合領域で成熟したスラッジと混ぜ合わされる、発明によるデバイスのさらに別の実施例を示す図である。
【図4】4本の移送パイプがある、発明によるデバイスの一実施例を示す様々な図の1つである。この実施例において、未処理のスラッジが成熟したスラッジと混ぜ合わせられるのは、消化タンク内の混合領域および消化タンク外の混合デバイスにおいてである。
【図5】4本の移送パイプがある、発明によるデバイスの一実施例を示す様々な図の1つである。この実施例において、未処理のスラッジが成熟したスラッジと混ぜ合わせられるのは、消化タンク内の混合領域および消化タンク外の混合デバイスにおいてである。
【図6】4本の移送パイプがある、発明によるデバイスの一実施例を示す様々な図の1つである。この実施例において、未処理のスラッジが成熟したスラッジと混ぜ合わせられるのは、消化タンク内の混合領域および消化タンク外の混合デバイスにおいてである。
【図7】選別機の側面図および斜視図である。
【図8】選別機の側面図および斜視図である。
【図9】発明によるプロセスの簡略化されたフロー図である。
【図10】発明によるシステムに備えられる様々なユニット、並びにそのようなシステムで実施されるプロセスを示す簡略化されたフロー図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部領域と下部領域および、消化タンク内に配置され、未処理のスラッジを成熟したスラッジに変える反応チャンバーを有する消化タンクと、
スラッジを消化タンクに導入する取り入れ口と、
消化タンクの下部領域から消化タンクの上部領域にスラッジを流通させる少なくとも一本の移送パイプであって、消化タンク内に配置され、その長さ方向の少なくとも一部が反応チャンバー内に配置されることで、少なくとも一本の移送パイプが反応チャンバーを通るスラッジと接触し、それによって、少なくとも一本の移送パイプを移動するスラッジから反応チャンバー内のスラッジに熱が移動する結果となる少なくとも一本の移送パイプと、
消化タンクの下部領域に配置され、消化タンクから成熟したスラッジを排出する排出口と
を備える、スラッジを嫌気的に消化するデバイス。
【請求項2】
少なくとも一本の移送パイプは、少なくとも一本の移送パイプを上るスラッジから反応チャンバー内のスラッジに熱が容易に移るように作られている請求項1のデバイス。
【請求項3】
スラッジを、少なくとも一本の移送パイプを通して移動させる作動手段をさらに備える請求項1または2のデバイス。
【請求項4】
作動手段がスクリューポンプを備える請求項3のデバイス。
【請求項5】
少なくとも一本の移送パイプが反応チャンバー内で支持されている請求項1乃至4のいずれかのデバイス。
【請求項6】
さらに複数の移送パイプを備える請求項1乃至5のいずれかのデバイス。
【請求項7】
排出口を通して消化タンクの外に出る成熟したスラッジの一部を、消化タンクに再導入するリサイクル手段をさらに備える請求項1乃至6のいずれかのデバイス。
【請求項8】
リサイクル手段が、取り入れ口と排出口とを接続するリサイクル配管を備える請求項7のデバイス。
【請求項9】
取り入れ口が、消化タンクの下部領域に配置されている請求項1乃至8のいずれかのデバイス。
【請求項10】
取り入れ口が、少なくとも一本の移送パイプと接続されている請求項9のデバイス。
【請求項11】
取り入れ口が、消化タンクの上部領域に配置されている請求項1乃至8のいずれかのデバイス。
【請求項12】
消化タンクが、反応チャンバー内を真空に保つよう作られている請求項1乃至11のいずれかのデバイス。
【請求項13】
反応チャンバーが、スラッジの嫌気性消化が容易に行われるよう作られている請求項1乃至12のいずれかのデバイス。
【請求項14】
未処理のスラッジを成熟したスラッジと混ぜ合わせ、それによって混合スラッジを生成する混合手段をさらに備える請求項1乃至13のいずれかのデバイス。
【請求項15】
混合手段が、消化タンクの下部領域に配置される混合領域を備え、前記混合領域は、反応チャンバーから成熟したスラッジを受け入れ、取り入れ口から未処理のスラッジを受け入れるよう作られている請求項14のデバイス。
【請求項16】
混合手段が、消化タンクの下部領域に配置される取り入れ口を有する少なくとも一つのスクリューポンプをさらに備える請求項15のデバイス。
【請求項17】
スクリューポンプからの混合スラッジを加熱する熱交換機をさらに備える請求項16のデバイス。
【請求項18】
混合デバイスが、複数のスクリューポンプを備える請求項16または17のデバイス。
【請求項19】
消化タンクの上部領域に配置されるガス排出口をさらに備える請求項1乃至18のいずれかのデバイス。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれかで定義されるデバイスに、未処理のスラッジを導入し、
スラリーが嫌気的に消化されるのに充分な時間をかけてスラッジを反応チャンバーに通し、
移送パイプを介して、スラッジの一部を、消化タンクの下部領域から消化タンクの上部領域へと流通させ、
排出口を介して消化されたスラッジを排出する
ステップを備える、スラッジを嫌気的に処理するプロセス。
【請求項21】
デバイスの反応チャンバーが、スラッジの嫌気性消化を行うのに適した微生物を収容する請求項20のプロセス。
【請求項22】
スラッジをスクリーニングして、未処理のスラッジをデバイスに導入するのに先立って無機物を取り除くステップをさらに備える請求項20または21のプロセス。
【請求項23】
スラッジをデバイスに導入するのに先立って未処理のスラッジをシュレッドするステップをさらに備える請求項20乃至22のいずれかのプロセス。
【請求項24】
有機廃棄物が、直径20mm未満のサイズにシュレッドされる請求項23のプロセス。
【請求項25】
シュレッドされた有機廃棄物が水と混ぜ合わされて、約10%から約20%の乾燥固形物を一定して含有する未処理のスラリーを生成する請求項20乃至24のいずれかのプロセス。
【請求項26】
未処理のスラリーが消化されたスラッジと混ぜ合わされて混合スラッジを生成し、消化装置の少なくとも一本の移送パイプを介して、その混合スラッジを消化タンクへと導入する請求項20乃至25のいずれかのプロセス。
【請求項27】
混合スラッジが、消化タンクに導入されるのに先立って加熱される請求項26のプロセス。
【請求項28】
消化されたスラッジ9部に対して未処理のスラリー少なくとも1部の割合で、未処理のスラリーが消化されたスラッジと混ぜ合わされる請求項26または27のプロセス。
【請求項29】
反応チャンバーが、約50℃から約65℃の温度に保たれる請求項20乃至28のいずれかのプロセス。
【請求項30】
消化タンクから排出された成熟したスラッジを培養土に変えるステップをさらに備える請求項20乃至29のいずれかのプロセス。
【請求項31】
培養土を作るステップが、成熟したスラッジに空気を混合し、加湿するステップを備える請求項30のプロセス。
【請求項32】
成熟スラッジを構造材料と混ぜ合わせるステップをさらに備える請求項30または31のプロセス。
【請求項33】
培養土を作るのに先立って、排出された成熟スラッジを脱水するステップをさらに備える請求項30乃至32のいずれかのプロセス。
【請求項34】
前記脱水は、発酵したスラッジにおける固形含有量が約25%から約30%となるまで行われる請求項33のプロセス。
【請求項35】
スラッジを嫌気的に消化するシステムであって、
未処理の廃棄物から有機物を取り除くスクリーニング手段と、
未処理の廃棄物のサイズを低減するシュレディング手段と、
未処理の廃棄物をスラリーに混ぜ込むことと、
請求項1乃至19のいずれかで定義される未処理のスラリーを嫌気的に消化するデバイスと
を備えるシステム。
【請求項36】
スクリーニング手段が、スクリーニングサイズが約150であるロータリー・スクリーンを備える請求項35のシステム。
【請求項37】
スクリーニング手段が、鉄材を取り除く電磁石を備える請求項35または36のシステム。
【請求項38】
前記嫌気性消化で生成されるバイオガスの燃焼で得られるエネルギーを、電気に変える発電機ユニットをさらに備える請求項35乃至37のいずれかのシステム。
【請求項39】
前記燃焼で得られる熱を、消化タンクへと流通される未処理のスラッジの一部に移動する熱交換機ユニットをさらに備える請求項38のプロセス。
【請求項40】
スラッジの消化で生成されるバイオガスを貯蔵するガス貯蔵ユニットをさらに備える請求項35乃至39のいずれかのシステム。
【請求項41】
消化タンクから排出される成熟スラッジを培養土に変える培養土ユニットをさらに備える請求項35乃至39のいずれかのシステム。
【請求項42】
前記培養土ユニットが、
スラッジから水を取り除く脱水ユニットと、
ウッドチップを脱水ユニットで処理されたスラッジと混ぜ合わせる混合スクリューと、
ウッドチップと混ぜ合わされたスラッジを培養土に変える培養土デバイスと
を備える請求項41のシステム。
【請求項1】
上部領域と下部領域および、消化タンク内に配置され、未処理のスラッジを成熟したスラッジに変える反応チャンバーを有する消化タンクと、
スラッジを消化タンクに導入する取り入れ口と、
消化タンクの下部領域から消化タンクの上部領域にスラッジを流通させる少なくとも一本の移送パイプであって、消化タンク内に配置され、その長さ方向の少なくとも一部が反応チャンバー内に配置されることで、少なくとも一本の移送パイプが反応チャンバーを通るスラッジと接触し、それによって、少なくとも一本の移送パイプを移動するスラッジから反応チャンバー内のスラッジに熱が移動する結果となる少なくとも一本の移送パイプと、
消化タンクの下部領域に配置され、消化タンクから成熟したスラッジを排出する排出口と
を備える、スラッジを嫌気的に消化するデバイス。
【請求項2】
少なくとも一本の移送パイプは、少なくとも一本の移送パイプを上るスラッジから反応チャンバー内のスラッジに熱が容易に移るように作られている請求項1のデバイス。
【請求項3】
スラッジを、少なくとも一本の移送パイプを通して移動させる作動手段をさらに備える請求項1または2のデバイス。
【請求項4】
作動手段がスクリューポンプを備える請求項3のデバイス。
【請求項5】
少なくとも一本の移送パイプが反応チャンバー内で支持されている請求項1乃至4のいずれかのデバイス。
【請求項6】
さらに複数の移送パイプを備える請求項1乃至5のいずれかのデバイス。
【請求項7】
排出口を通して消化タンクの外に出る成熟したスラッジの一部を、消化タンクに再導入するリサイクル手段をさらに備える請求項1乃至6のいずれかのデバイス。
【請求項8】
リサイクル手段が、取り入れ口と排出口とを接続するリサイクル配管を備える請求項7のデバイス。
【請求項9】
取り入れ口が、消化タンクの下部領域に配置されている請求項1乃至8のいずれかのデバイス。
【請求項10】
取り入れ口が、少なくとも一本の移送パイプと接続されている請求項9のデバイス。
【請求項11】
取り入れ口が、消化タンクの上部領域に配置されている請求項1乃至8のいずれかのデバイス。
【請求項12】
消化タンクが、反応チャンバー内を真空に保つよう作られている請求項1乃至11のいずれかのデバイス。
【請求項13】
反応チャンバーが、スラッジの嫌気性消化が容易に行われるよう作られている請求項1乃至12のいずれかのデバイス。
【請求項14】
未処理のスラッジを成熟したスラッジと混ぜ合わせ、それによって混合スラッジを生成する混合手段をさらに備える請求項1乃至13のいずれかのデバイス。
【請求項15】
混合手段が、消化タンクの下部領域に配置される混合領域を備え、前記混合領域は、反応チャンバーから成熟したスラッジを受け入れ、取り入れ口から未処理のスラッジを受け入れるよう作られている請求項14のデバイス。
【請求項16】
混合手段が、消化タンクの下部領域に配置される取り入れ口を有する少なくとも一つのスクリューポンプをさらに備える請求項15のデバイス。
【請求項17】
スクリューポンプからの混合スラッジを加熱する熱交換機をさらに備える請求項16のデバイス。
【請求項18】
混合デバイスが、複数のスクリューポンプを備える請求項16または17のデバイス。
【請求項19】
消化タンクの上部領域に配置されるガス排出口をさらに備える請求項1乃至18のいずれかのデバイス。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれかで定義されるデバイスに、未処理のスラッジを導入し、
スラリーが嫌気的に消化されるのに充分な時間をかけてスラッジを反応チャンバーに通し、
移送パイプを介して、スラッジの一部を、消化タンクの下部領域から消化タンクの上部領域へと流通させ、
排出口を介して消化されたスラッジを排出する
ステップを備える、スラッジを嫌気的に処理するプロセス。
【請求項21】
デバイスの反応チャンバーが、スラッジの嫌気性消化を行うのに適した微生物を収容する請求項20のプロセス。
【請求項22】
スラッジをスクリーニングして、未処理のスラッジをデバイスに導入するのに先立って無機物を取り除くステップをさらに備える請求項20または21のプロセス。
【請求項23】
スラッジをデバイスに導入するのに先立って未処理のスラッジをシュレッドするステップをさらに備える請求項20乃至22のいずれかのプロセス。
【請求項24】
有機廃棄物が、直径20mm未満のサイズにシュレッドされる請求項23のプロセス。
【請求項25】
シュレッドされた有機廃棄物が水と混ぜ合わされて、約10%から約20%の乾燥固形物を一定して含有する未処理のスラリーを生成する請求項20乃至24のいずれかのプロセス。
【請求項26】
未処理のスラリーが消化されたスラッジと混ぜ合わされて混合スラッジを生成し、消化装置の少なくとも一本の移送パイプを介して、その混合スラッジを消化タンクへと導入する請求項20乃至25のいずれかのプロセス。
【請求項27】
混合スラッジが、消化タンクに導入されるのに先立って加熱される請求項26のプロセス。
【請求項28】
消化されたスラッジ9部に対して未処理のスラリー少なくとも1部の割合で、未処理のスラリーが消化されたスラッジと混ぜ合わされる請求項26または27のプロセス。
【請求項29】
反応チャンバーが、約50℃から約65℃の温度に保たれる請求項20乃至28のいずれかのプロセス。
【請求項30】
消化タンクから排出された成熟したスラッジを培養土に変えるステップをさらに備える請求項20乃至29のいずれかのプロセス。
【請求項31】
培養土を作るステップが、成熟したスラッジに空気を混合し、加湿するステップを備える請求項30のプロセス。
【請求項32】
成熟スラッジを構造材料と混ぜ合わせるステップをさらに備える請求項30または31のプロセス。
【請求項33】
培養土を作るのに先立って、排出された成熟スラッジを脱水するステップをさらに備える請求項30乃至32のいずれかのプロセス。
【請求項34】
前記脱水は、発酵したスラッジにおける固形含有量が約25%から約30%となるまで行われる請求項33のプロセス。
【請求項35】
スラッジを嫌気的に消化するシステムであって、
未処理の廃棄物から有機物を取り除くスクリーニング手段と、
未処理の廃棄物のサイズを低減するシュレディング手段と、
未処理の廃棄物をスラリーに混ぜ込むことと、
請求項1乃至19のいずれかで定義される未処理のスラリーを嫌気的に消化するデバイスと
を備えるシステム。
【請求項36】
スクリーニング手段が、スクリーニングサイズが約150であるロータリー・スクリーンを備える請求項35のシステム。
【請求項37】
スクリーニング手段が、鉄材を取り除く電磁石を備える請求項35または36のシステム。
【請求項38】
前記嫌気性消化で生成されるバイオガスの燃焼で得られるエネルギーを、電気に変える発電機ユニットをさらに備える請求項35乃至37のいずれかのシステム。
【請求項39】
前記燃焼で得られる熱を、消化タンクへと流通される未処理のスラッジの一部に移動する熱交換機ユニットをさらに備える請求項38のプロセス。
【請求項40】
スラッジの消化で生成されるバイオガスを貯蔵するガス貯蔵ユニットをさらに備える請求項35乃至39のいずれかのシステム。
【請求項41】
消化タンクから排出される成熟スラッジを培養土に変える培養土ユニットをさらに備える請求項35乃至39のいずれかのシステム。
【請求項42】
前記培養土ユニットが、
スラッジから水を取り除く脱水ユニットと、
ウッドチップを脱水ユニットで処理されたスラッジと混ぜ合わせる混合スクリューと、
ウッドチップと混ぜ合わされたスラッジを培養土に変える培養土デバイスと
を備える請求項41のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2009−532193(P2009−532193A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502726(P2009−502726)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際出願番号】PCT/SG2006/000077
【国際公開番号】WO2007/114787
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(508265620)アイユーティー グローバル ピーティーイー エルティーディー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際出願番号】PCT/SG2006/000077
【国際公開番号】WO2007/114787
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(508265620)アイユーティー グローバル ピーティーイー エルティーディー (1)
【Fターム(参考)】
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