説明

スルホンアミド化合物およびその使用

GHS−Rを制御する化合物、例えば式(I)の化合物が記載されている。本発明は、さらに、これらの化合物を含む組成物、およびこの化合物の使用法および製造法に関する。化合物のいくつかの例としては、スルホンアミド化合物(例えば、ヘテロアリールスルホンアミド化合物)、および環状部分を有する他のスルホンアミド化合物が挙げられる。ヘテロアリール化合物の例としては、オキサジアゾール化合物およびトリアゾール化合物が挙げられる。この化合物は、被験体(例えば、哺乳動物、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ)の障害、疾患または症状を調整する治療用途で使用することができる。この化合物としては、有用なGHS−Rアンタゴニストが挙げられる。このアンタゴニストは、例えば、被験体の摂食量を減らすために使用することができる。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
成長ホルモン分泌促進物質受容体(GHS−R)は、成長ホルモン(GH)の放出、代謝および食欲を含む多くの生理学的プロセスを制御する。グレリンは28アミノ酸ペプチドであり、グレリンレセプターとしても知られる成長ホルモン分泌促進物質受容体(GHS−R)の内因性リガンドである。グレリンは、ヒトの摂食に刺激を与えることが知られている。げっ歯類では、グレリンは体重増加および脂肪過多症を誘発する。例えば、非特許文献1を参照。摂食の制御に加えて、グレリンは、特に成長を促進する組織でGHS−Rを活性化させることによってGH分泌に刺激を与えることができる。
【0002】
従って、GHS−R活性を調整する化合物は、GHS−R生理機能に関連する障害を制御するのに少なくとも有用である。
【非特許文献1】Asakawa Gut(2003)52:947
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(概要)
本発明は、特に、GHS−Rを制御するのに有用な化合物および組成物、およびこの化合物の使用法および製造法に関する。化合物のいくつかの例としては、スルホンアミド化合物(例えば、ヘテロアリールスルホンアミド化合物)、および環状部分を有する他のスルホンアミド化合物が挙げられる。ヘテロアリール化合物の例としては、オキサジアゾール化合物およびトリアゾール化合物が挙げられる。この化合物は、被験体(例えば、哺乳動物、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ)の障害、疾患または症状を調整する治療用途で使用することができる。この化合物としては、有用なGHS−Rアンタゴニストが挙げられる。このアンタゴニストは、例えば、被験体の摂食量を減らすために使用することができる。
【0004】
この化合物(立体異性体を含む)は、小さなクラスターで単独で、または構造的に複雑な化合物ライブラリーを与える組み合わせ形態で製造することができる。
【0005】
1つの局面では、本発明は、式(I)の化合物に関する。
【0006】
【化34】

〔式中、
は、水素、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクリル、シクリルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニルであるか、またはRはRまたはRとともに環を形成することができ;これらはそれぞれ場合により1〜4個のRで置換され;
k’は、単結合、O、C(O)、C(O)O、OC(O)、C(O)NR、NRC(O)、S、SO、SO、CR=CRまたはC≡Cであり;
nは0〜6、好ましくは1〜3であり;
は、水素、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであるか;またはRはRとともに環を形成することができ;
は、水素、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであるか、またはRはR、RまたはRとともに環を形成することができ;これらはそれぞれ場合により1〜2個のR6’で置換され;
Aは
【0007】
【化35】

であり;
xおよびyはそれぞれ独立して0〜6であり;
Mは、アリール、ヘテロアリール、シクリルまたはヘテロシクリルであり、これらはそれぞれ場合により1〜4個のRで置換され;
およびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクリルまたはヘテロシクリルであるか、またはRとRとでヘテロ環式環を形成することができるか、またはRとRとでアジド部分を形成することができるか、またはRおよびRのうち一方もしくは両方が独立してR7aおよびR7bのうち一方もしくは両方と結合して、RおよびRが結合している窒素とR7aおよびR7bとの間に1個以上の架橋を形成し、それぞれの架橋は1〜5個の炭素原子を含有するか;またはRおよびRのうち一方もしくは両方が独立してR7aおよびR7bのうち一方もしくは両方と結合して、RおよびRが結合している窒素を含有する1個以上のヘテロ環式環を形成することができるか、またはRおよびRのうち一方もしくは両方が独立してRに結合して環を形成することができるか、またはRおよびRのうち一方もしくは両方が独立してRに結合して環を形成することができ;RおよびRはそれぞれ独立して、1〜5個のハロ、1〜3個のヒドロキシ、1〜3個のアルキル、1〜3個のアルコキシ、1〜3個のオキソ、1〜3個のアミノ、1〜3個のアルキルアミノ、1〜3個のジアルキルアミノ(dialklyamino)、1〜3個のニトリルまたは1〜3個のハロアルキルで場合により置換されており;
Yは、単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであり;これらはそれぞれ場合により1〜4個のR10で置換され;
およびR6’は独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、ハロアルキルチオ、アセチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、オキソ、C(O)OR、OC(O)R、N(R、C(O)N(R、NRC(O)RまたはSRであり;
7aおよびR7bはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクリル、シクリルアルキルまたはヘテロシクリルであるか;またはR7aおよびR7bのうち一方もしくは両方が独立してRおよびRのうち一方もしくは両方と結合して、RおよびRが結合している窒素とR7aおよびR7bとの間に1個以上の架橋を形成し、それぞれの架橋は1〜5個の炭素原子を含有するか;またはR7aおよびR7bのうち一方もしくは両方が独立してRおよびRのうち一方もしくは両方と結合して、RおよびRが結合している窒素を含有する1個以上のヘテロ環式環を形成することができるか、またはR7aおよびR7bのうち一方もしくは両方が独立してRに結合して環を形成することができ;R7aおよびR7bはそれぞれ独立して、1〜5個のハロ、1〜3個のヒドロキシ、1〜3個のアルキル、1〜3個のアルコキシ、1〜3個のアミノ、1〜3個のアルキルアミノ、1〜3個のジアルキルアミノ(dialklyamino)、1〜3個のニトリルまたは1〜3個のハロアルキルで場合により置換されており;
は水素またはC〜Cアルキルであるか、またはRはR、R、R7aまたはR7bと結合して環を形成することができ;
は、ハロ、アルキル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、ハロアルキルチオ、アセチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、オキソ、C(O)OR、OC(O)R、N(R、C(O)N(R、NRC(O)R、SRであり;
各R10は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、シアノ、カルボニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、シクリル、シクリルアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−OR11、−NR1111’、−CF、−SOR12、−SO12、−OC(O)R11、−SONR1212’、−(CH14またはR15であり;これらはそれぞれ場合により1〜3個のR16で置換され;
11およびR11’はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールであり;
12およびR12’はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルチオアルキル、アルコキシアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはシクリル、シクリルアルキルであるか、またはR12とR12’とが環化して−(CHX(CH−を形成することができ;R12およびR12’はそれぞれ独立して、ハロゲン、OR11、アルコキシ、ヘテロシクロアルキル、−NR11C(O)NR1111’、−C(O)NR1111’、−NR11C(O)R11’、−CN、オキソ、−NR11SO11’、−OC(O)R11、−SONR1111’、−SOR13、−S(O)13、−COOHおよび−C(O)OR13からなる群から選択される1〜3個の置換基で場合により置換されていてもよく;
各R13は独立して、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらはそれぞれ場合により−(CHOHで置換されていてもよく;
各R14は独立して、アルコキシ、アルコキシカルボニル、−C(O)NR1212’、−NR1111’、−C(O)R12、−NR11C(O)NR1111’または−N−ヘテロアリールであり;
各R15は独立して、−(CHN(R12)C(O)R12’、−(CHCN、−(CHN(R12)C(O)OR12’、−(CHN(R12)C(O)NR1212’、−(CHN(R12)SO12、−(CHSONR1212’、−(CHC(O)NR1212’、−(CHC(O)OR12、−(CHOC(O)OR12、−(CHOC(O)R12、−(CHOC(O)NR1212’、−(CHN(R12)SONR1212’、−(CHOR12、−(CHOC(O)N(R12)(CHOH、−(CHSOR12、−(CHSO12、−(CHNR1111または−(CHOCHC(O)N(R12)(CHOHであり;
各R16は独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、−(CHNR11C(O)NR1111’、−(CHC(O)NR1111’、−(CHNR11C(O)R11’、−CN、−(CHNR11SO11’、−(CHOC(O)R11、−(CHSONR1111’、−(CHSOR13、−(CHCOOHまたは−(CHC(O)OR13であり;
Xは、CR1111’、O、S、S(O)、S(O)またはNR11であり;
mは1〜6の整数であり;
pは0〜5の整数であり;
qおよびsはそれぞれ独立して1〜3の整数であり;
wは0〜5の整数である。〕
いくつかの実施形態では、式(I)は式(I’):
【0008】
【化36】

を豊富に含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、式(I)は式(I”):
【0010】
【化37】

を豊富に含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、
nが1であり;
k’が単結合またはOであり;
が、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである。
【0012】
いくつかの実施形態では、
nが1であり;
k’がOであり;
がアリールアルキルである。
【0013】
例えば、Rがフェニルメチルであることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、
nが2であり;
k’が単結合であり;
がアリールである。
【0015】
いくつかの実施形態では、RとRとでヘテロ環式環を形成する。ヘテロ環式環は、例えば1〜2個のRで置換されていてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、RとRとで環を形成する。
【0017】
いくつかの実施形態では、
Aが
【0018】
【化38】

7aおよびR7bがHであり;
xが1であり;
yが0または1である。
【0019】
いくつかの実施形態では、
AがCHCHまたはCHCHCHであり;
およびRがそれぞれ独立してアルキルであるか、またはRとRとでヘテロ環式環を形成する。いくつかの実施形態では、R7aおよびR7bがそれぞれHであることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、R7aまたはR7bのうち少なくとも1つとRまたはRのうち少なくとも1つとで、RおよびRが結合している窒素を含むヘテロ環式環を形成する。
【0021】
いくつかの実施形態では、
7aおよびR7bがそれぞれ独立してアルキルであり;
およびRがそれぞれ独立して水素またはアルキルであり;
xおよびyがそれぞれ独立して0または1である。
【0022】
いくつかの実施形態では、
【0023】
【化39】

いくつかの実施形態では、
【0024】
【化40】

いくつかの実施形態では、
【0025】
【化41】

いくつかの実施形態では、
【0026】
【化42】

いくつかの実施形態では、
【0027】
【化43】

いくつかの実施形態では、Yが単環式ヘテロ芳香族部分、例えば窒素を含有するへテロ芳香族部分、例えば窒素を含有する5員環ヘテロ芳香族部分である。
【0028】
いくつかの実施形態では、Yが少なくとも2個のヘテロ原子を含有するヘテロ環部分、例えば少なくとも2個または少なくとも3個のヘテロ原子を含有する5員環ヘテロ環部分である。
【0029】
いくつかの実施形態では、Yが1個のR10で置換されている。R10は、例えば、隣接する鎖炭素にYが結合している点に対して1,3位または1,2位にあることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、R10はアリールまたはヘテロアリール、例えば単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであり、例えば、フェニル、ピリジルまたはチオフェニルである。いくつかの実施形態では、R10は1〜3個のR16で置換される。いくつかの実施形態では、R16は、ハロ、アルキルまたはアルコキシであり、例えば、クロロ、フルオロ、メチルまたはメトキシである。
【0031】
いくつかの実施形態では、R10は、二環式ヘテロアリール、例えば、インドリル、イミダゾリル、ベンゾオキサゾリルまたはベンゾトリアゾリルである。いくつかの実施形態では、R10は1〜3個のR16で置換される。いくつかの実施形態では、R16は、ハロ、アルキルまたはアルコキシであり、例えば、クロロ、フルオロ、メチルまたはメトキシである。
【0032】
いくつかの実施形態では、Yはオキサジアゾールまたはトリアゾールである。
【0033】
別の局面では、本発明は、式(II)の化合物に関する。
【0034】
【化44】

〔式中、
、Q、QおよびQはこれらが結合している炭素と共にヘテロアリール部分を形成し、Q、Q、QおよびQはそれぞれ独立して、S、O、N、CR、CR10、NRまたはNR10である。〕
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は式(II’):
【0035】
【化45】

を豊富に含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は式(II”):
【0037】
【化46】

を豊富に含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、QおよびQがそれぞれ独立して、S、O、NまたはNR10である。
【0039】
いくつかの実施形態では、QおよびQがそれぞれ独立して、S、O、NまたはNR10である。
【0040】
いくつかの実施形態では、QがCRまたはCR10である。
【0041】
いくつかの実施形態では、Qが、S、O、NまたはNR10である。
【0042】
いくつかの実施形態では、QまたはQのうち少なくとも1つがCRまたはCR10である。
【0043】
いくつかの実施形態では、Q、Q、QまたはQのうち少なくとも2つが、S、O、NまたはNR10である。
【0044】
いくつかの実施形態では、Q、QおよびQがそれぞれ独立して、S、O、NまたはNR10である。
【0045】
いくつかの実施形態では、QがNR10である。
【0046】
いくつかの実施形態では、Q、QまたはQのうち1つがCRである。
【0047】
いくつかの実施形態では、QがCR10である。
【0048】
いくつかの実施形態では、QがCRである。
【0049】
いくつかの実施形態では、Q、Q、QおよびQ
【0050】
【化47】

を形成する。
【0051】
いくつかの実施形態では、QがNRである。
【0052】
いくつかの実施形態では、Q、Q、QおよびQ
【0053】
【化48】

を形成する。
【0054】
いくつかの実施形態では、QがNR10である。
【0055】
別の局面では、本発明は式(III)の化合物に関する。
【0056】
【化49】

〔式中、
、Z、Z、ZおよびZでアリール部分またはヘテロアリール部分を形成し、Z、Z、Z、ZおよびZはそれぞれ独立して、N、CR10またはCHである。〕
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物は式(III’):
【0057】
【化50】

を豊富に含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物は式(III”):
【0059】
【化51】

を豊富に含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、Z、Z、Z、ZおよびZのうち1つがNである。
【0061】
いくつかの実施形態では、Z、Z、Z、ZおよびZのうち2つがNである。
【0062】
いくつかの実施形態では、Z、Z、Z、ZおよびZのうち3つがNである。
【0063】
いくつかの実施形態では、ZおよびZがNである。
【0064】
いくつかの実施形態では、ZおよびZがNである。
【0065】
いくつかの実施形態では、ZおよびZがNである。
【0066】
いくつかの実施形態では、Z、ZおよびZのうち2つがNである。
【0067】
いくつかの実施形態では、この化合物は、Yが1個の置換基R10で置換されている式(I)の化合物である。例えば、R10はアリールまたはヘテロアリールであり、3個までの独立したR16で場合により置換されていてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、R10は、アリールまたはヘテロアリール、例えば単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであり、例えば、フェニル、ピリジルまたはチオフェニルである。いくつかの実施形態では、R10は1〜3個のR16で置換されている。いくつかの実施形態では、R16は、ハロ、アルキルまたはアルコキシ、例えば、クロロ、フルオロ、メチルまたはメトキシである。
【0069】
いくつかの実施形態では、R10は、二環式ヘテロアリール、例えば、インドリル、イミダゾリル、ベンゾオキサゾリルまたはベンゾトリアゾリルである。いくつかの実施形態では、R10は1〜3個のR16で置換されている。いくつかの実施形態では、R16は、ハロ、アルキルまたはアルコキシ、例えば、クロロ、フルオロ、メチルまたはメトキシである。
【0070】
いくつかの実施形態では、R10がアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである。いくつかの実施形態では、R10は1〜3個のR16でさらに置換されている。例えば、R16は、ハロ、アルキルまたはアルコキシであることができ、例えば、クロロ、フルオロ、メチルまたはメトキシである。
【0071】
いくつかの実施形態では、R10がR15である。
【0072】
いくつかの実施形態では、Yは、第2のR10、例えばアルキル、ハロまたはアルコキシで置換されている。
【0073】
別の局面では、本発明は、式(IV)の化合物であることを特徴とする。
【0074】
【化52】

〔式中、
は、水素、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクリル、シクリルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニルであるか、またはRはRまたはRとともに環を形成することができ;これらはそれぞれ場合により1〜4個のRで置換され;
k’は、単結合、O、C(O)、C(O)O、OC(O)、C(O)NR、NRC(O)、S、SO、SO、CR=CRまたはC≡Cであり;
nは0〜6、好ましくは1〜3であり;
は、水素、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであり;
A’はヘテロシクリルであり;これらは場合により1〜3個のRで置換され;
Yは、単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであり;これらはそれぞれ場合により1〜4個のR10で置換され;
各Rは独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、ハロアルキルチオ、アセチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、オキソ、C(O)OR、OC(O)R、N(R、C(O)N(R、NRC(O)RまたはSRであり;
は、ハロ、アルキル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、ハロアルキルチオ、アセチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、オキソ、C(O)OR、OC(O)R、N(R、C(O)N(R、NRC(O)R、SRであり;
各R10は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、シアノ、カルボニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、シクリル、シクリルアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−OR11、−NR1111’、−CF、−SO12、−OC(O)R11、−SONR1212’、−(CH14またはR15であり;これらはそれぞれ場合により1〜3個のR16で置換され;
11およびR11’はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールであり;
12およびR12’はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルチオアルキル、アルコキシアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはシクリル、シクリルアルキルであるか、またはR12とR12’とが環化して−(CHX(CH−を形成することができ;R12およびR12’はそれぞれ独立して、ハロゲン、OR11、アルコキシ、ヘテロシクロアルキル、−NR11C(O)NR1111’、−C(O)NR1111’、−NR11C(O)R11’、−CN、オキソ、−NR11SO11’、−OC(O)R11、−SONR1111’、−SOR13、−S(O)13、−COOHおよび−C(O)OR13からなる群から選択される1〜3個の置換基で場合により置換されていてもよく;
各R13は独立して、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらはそれぞれ場合により−(CHOHで置換されていてもよく;
各R14は独立して、アルコキシ、アルコキシカルボニル、−C(O)NR1212’、−NR1111’、−C(O)R12、−NR11C(O)NR1111’または−N−ヘテロアリールであり;
各R15は独立して、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、−CN、−(CHN(R12)C(O)R12’、−(CHCN、−(CHN(R12)C(O)OR12’、−(CHN(R12)C(O)NR1212’、−(CHN(R12)SO12、−(CHSONR1212’、−(CHC(O)NR1212’、−(CHC(O)OR12、−(CHOC(O)OR12、−(CHOC(O)R12、−(CHOC(O)NR1212’、−(CHN(R12)SONR1212’、−(CHOR12、−(CHOC(O)N(R12)(CHOH、−(CHSOR12または−(CHOCHC(O)N(R12)(CHOHであり;
各R16は独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、−(CHNR11C(O)NR1111’、−(CHC(O)NR1111’、−(CHNR11C(O)R11’、−CN、−(CHNR11SO11’、−(CHOC(O)R11、−(CHSONR1111’、−(CHSOR13、−(CHCOOHまたは−(CHC(O)OR13であり;
Xは、CR1111’、O、S、S(O)、S(O)またはNR11であり;
mは1〜6の整数であり;
pは0〜5の整数であり;
qおよびsはそれぞれ独立して1〜3の整数であり;
wは0〜5の整数である。〕
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物は式(IV’):
【0075】
【化53】

を豊富に含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物は式(IV”):
【0077】
【化54】

を豊富に含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、A’が5員環または6員環のヘテロシクリルである。
【0079】
いくつかの実施形態では、5員環または6員環のヘテロシクリルは少なくとも2個の窒素原子を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、
A’が
【0081】
【化55】

である。
【0082】
いくつかの実施形態では、A’が1個のR(例えばN(R)で置換されている。
【0083】
いくつかの実施形態では、
nが1であり;
k’が単結合またはOであり;
が、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである。
【0084】
いくつかの実施形態では、
nが1であり;
k’がOであり;
がアリールアルキルである。
【0085】
例えば、Rはフェニルメチルであることができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、
nが2であり;
k’が単結合であり;
がアリールである。
【0087】
いくつかの実施形態では、Yは、単環式ヘテロ芳香族部分、例えば窒素を含有するヘテロ芳香族部分、例えば窒素を含有する5員環ヘテロ芳香族部分である。
【0088】
いくつかの実施形態では、Yは、少なくとも2個のヘテロ原子を含有するヘテロ環部分、例えば少なくとも2個または3個のヘテロ原子を含有する5員環ヘテロ環部分である。
【0089】
いくつかの実施形態では、Yは1個のR10で置換されている。R10は、隣接する鎖炭素にYが結合している点に対して例えば1,3位または1,2位にあることができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、R10はアリールまたはヘテロアリール、例えば単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであり、例えば、フェニル、ピリジルまたはチオフェニルである。いくつかの実施形態では、R10は1〜3個のR16で置換される。いくつかの実施形態では、R16は、ハロ、アルキルまたはアルコキシであり、例えば、クロロ、フルオロ、メチルまたはメトキシである。
【0091】
いくつかの実施形態では、R10は、二環式ヘテロアリール、例えば、インドリル、イミダゾリル、ベンゾオキサゾリルまたはベンゾトリアゾリルである。いくつかの実施形態では、R10は1〜3個のR16で置換される。いくつかの実施形態では、R16は、ハロ、アルキルまたはアルコキシであり、例えば、クロロ、フルオロ、メチルまたはメトキシである。
【0092】
いくつかの実施形態では、Yはオキサジアゾールまたはトリアゾールである。
【0093】
別の局面では、本発明は、式(V)の化合物に関する。
【0094】
【化56】

〔式中、
、Q、QおよびQはこれらが結合している炭素と共にヘテロアリール部分を形成し、Q、Q、QおよびQはそれぞれ独立して、S、O、N、CR、CR10、NRまたはNR10である。〕
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物は式(V’):
【0095】
【化57】

を豊富に含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物は式(V”):
【0097】
【化58】

を豊富に含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、QおよびQがそれぞれ独立して、S、O、NまたはNR10である。
【0099】
いくつかの実施形態では、QおよびQがそれぞれ独立して、S、O、NまたはNR10である。
【0100】
いくつかの実施形態では、QがCRまたはCR10である。
【0101】
いくつかの実施形態では、Qが、S、O、NまたはNR10である。
【0102】
いくつかの実施形態では、QまたはQのうち少なくとも1つがCRまたはCR10である。
【0103】
いくつかの実施形態では、Q、Q、QまたはQのうち少なくとも2つが、S、O、NまたはNR10である。
【0104】
いくつかの実施形態では、Q、QおよびQがそれぞれ独立して、S、O、NまたはNR10である。
【0105】
いくつかの実施形態では、QがNR10である。
【0106】
いくつかの実施形態では、Q、QまたはQのうち1つがCRである。
【0107】
いくつかの実施形態では、QがCR10である。
【0108】
いくつかの実施形態では、QがCRである。
【0109】
いくつかの実施形態では、Q、Q、QおよびQ
【0110】
【化59】

を形成する。
【0111】
いくつかの実施形態では、QがNRである。
【0112】
いくつかの実施形態では、Q、Q、QおよびQ
【0113】
【化60】

を形成する。
【0114】
いくつかの実施形態では、QがNRである。
【0115】
別の局面では、本発明は式(VI)の化合物であることを特徴とする。
【0116】
【化61】

〔式中、
、Z、Z、ZおよびZでアリール部分またはヘテロアリール部分を形成し、Z、Z、Z、ZおよびZはそれぞれ独立して、N、CR10またはCHである。〕
いくつかの実施形態では、式(VI)の化合物は式(VI’):
【0117】
【化62】

を豊富に含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、式(VI)の化合物は式(VI’):
【0119】
【化63】

を豊富に含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、Z、Z、Z、ZおよびZのうち1つがNである。
【0121】
いくつかの実施形態では、Z、Z、Z、ZおよびZのうち2つがNである。
【0122】
いくつかの実施形態では、Z、Z、Z、ZおよびZのうち3つがNである。
【0123】
いくつかの実施形態では、ZおよびZがNである。
【0124】
いくつかの実施形態では、ZおよびZがNである。
【0125】
いくつかの実施形態では、ZおよびZがNである。
【0126】
いくつかの実施形態では、Z、ZおよびZのうち2つがNである。
【0127】
いくつかの実施形態では、この化合物は、Yが1個の置換基R10で置換されている式(IV)の化合物である。例えば、R10はアリールまたはヘテロアリールであり、3個までの独立したR16で場合により置換されていることができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、R10は、アリールまたはヘテロアリール、例えば単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであり、例えば、フェニル、ピリジルまたはチオフェニルである。いくつかの実施形態では、R10は1〜3個のR16で置換されている。いくつかの実施形態では、R16は、ハロ、アルキルまたはアルコキシ、例えば、クロロ、フルオロ、メチルまたはメトキシである。
【0129】
いくつかの実施形態では、R10は、二環式ヘテロアリール、例えば、インドリル、イミダゾリル、ベンゾオキサゾリルまたはベンゾトリアゾリルである。いくつかの実施形態では、R10は1〜3個のR16で置換されている。いくつかの実施形態では、R16は、ハロ、アルキルまたはアルコキシ、例えば、クロロ、フルオロ、メチルまたはメトキシである。
【0130】
いくつかの実施形態では、R10がR15である。
【0131】
いくつかの実施形態では、Yは、第2のR10、例えばアルキル、ハロまたはアルコキシでさらに置換されている。
【0132】
別の局面では、本発明は、本明細書に記載の任意の式の化合物を含む薬学的に受容可能な塩であることを特徴とする。
【0133】
別の局面では、本発明は、本明細書に記載の任意の式の化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを含む組成物であることを特徴とする。
【0134】
別の局面では、本発明は、本明細書に記載の任意の式の化合物を被験体に投与する工程を含む、メタボリック症候群を処置する方法であることを特徴とする。
【0135】
別の局面では、本発明は、本明細書に記載の任意の式の化合物を被験体に投与する工程を含む、糖尿病を処置する方法であることを特徴とする。
【0136】
別の局面では、本発明は、本明細書に記載の任意の式の化合物を被験体に投与する工程を含む、肥満を処置する方法であることを特徴とする。
【0137】
1つの局面では、本発明は、本明細書に記載の任意の式の構造を有する化合物であることを特徴とし、この化合物はGHS−Rに結合するグレリンと競争する化合物である。
【0138】
別の局面では、本発明は、本明細書に記載の任意の式の構造を有する化合物であることを特徴とし、この化合物は、被験体の食欲を変えるか、または被験体の摂食挙動を変えるのに有効である。
【0139】
別の局面では、本発明は、本明細書に記載の任意の式の構造を有する化合物であることを特徴とし、この化合物は、白色脂肪組織(WAT)でレジスチン、レプチンまたはアジポネチン(adiponetin)mRNAを制御するか、またはインスリン、IGF−1、GH、コルチゾール、トリグリセリド、遊離脂肪酸、コレステロール(例えばVLDLまたはHLDL部分)の濃度(例えば血中濃度)を制御するのに有効である。
【0140】
別の局面では、本発明は、本明細書に記載の任意の式の構造を有する化合物であることを特徴とし、この化合物は、腫瘍細胞(例えば、グレリン感受性の腫瘍性疾患またはGHS−Rアンタゴニスト感受性の腫瘍性疾患の細胞)の成長を阻害するのに有効である。
【0141】
別の局面では、本発明は、表1に列挙された化合物であることを特徴とする。
【0142】
一実施形態では、この化合物は、あるエナンチオマーの濃縮調製物を含む本明細書に記載の立体異性体である。例えば、この化合物は、少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のエナンチオマー過剰率を有する。本明細書で使用される場合、エナンチオマーは、分子構造が互いに鏡像の関係にある一対の化合物のいずれかを指す。一実施形態では、本明細書に開示される化合物の調製物は、選択された立体中心(例えば、式(I)のスルホンアミド窒素に対してα位の炭素に対応する位置)に対応する選択された立体化学(例えばRまたはS)を有する化合物の異性体が豊富である。例示的なR/S配置は、本明細書に記載の例で与えられるもの(例えば、以下の表に記載されるもの)または本明細書に記載の合成スキームの多い方の化合物または少ない方の化合物の配置であることができる。例えば、この化合物は、選択された立体中心の選択された立体化学を有する化合物に対応する純度が少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%である。
【0143】
一実施形態では、本明細書に記載の化合物は、選択された立体中心(本明細書に記載の式、例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)のスルホンアミド窒素に対してα位の炭素に対応する位置)に選択された立体化学(例えばRまたはS)を有する構造の濃縮調製物を含む。
【0144】
例示的なR/S配置は、本明細書に記載の例で与えられるもの(例えば、以下の表に記載されるもの)または本明細書に記載の合成スキームの多い方の化合物または少ない方の化合物の配置であることができる。例えば、この化合物は、選択された立体中心の選択された立体化学を有する化合物に対応する純度が少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%である。
【0145】
「豊富な調製物」は、本明細書で使用される場合、目的の化合物内の1つ、2つ、3つまたはそれ以上の選択された立体中心の選択された立体配置が豊富である。例示的な選択された立体中心およびその例示的な立体配置は、例えば、本明細書に記載される例で与えられるもの、例えば以下の表に記載されるものから選択することができる。豊富なとは、例えば、その調製物が選択された立体中心の選択された立体化学を有する化合物分子が調製物中で少なくとも60%であることを意味する。好ましい実施形態では、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%である。豊富なとは、目的分子の濃度を指し、特定されない限り、プロセス限定を暗示するものではない。
【0146】
一実施形態では、本明細書に開示される化合物の調製物は、本明細書に記載の化合物のジアステレオマーである異性体(目的の異性体)が豊富である。例えば、選択された立体中心(本明細書に記載の式、例えば、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)のスルホンアミド窒素に対してα位の炭素に対応する位置)に対応する選択された立体化学(例えばRまたはS)を有する化合物。例示的なR/S配置は、本明細書に記載の例で与えられるもの(例えば、以下の表に記載されるもの)または本明細書に記載の合成スキームの多い方の化合物または少ない方の化合物の配置であることができる。例えば、この化合物は、選択された立体中心の選択された立体化学を有する化合物に対応する純度が少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%である。ジアステレオマーは、本明細書で使用される場合、2つ以上のキラル中心を有し、この化合物の別の立体異性体の鏡像体ではない化合物の立体異性体を指す。
【0147】
別の実施形態では、本発明は、GHS−R活性を調整する(例えば、アンタゴナイズし、アゴナイズし、または逆向きにアゴナイズする)有機化合物であることを特徴とし、この化合物は、700ダルトン未満の分子量を有し、4個未満のL−またはD−アミノ酸(例えば、その任意の塩)を有する。例えば、この化合物は、特定の実施形態では、金属カチオンに結合するか、または金属カチオンを含む。
【0148】
一実施形態では、この化合物は、[D−Lys−3]−GHRP−6またはH(2)N−D−arg−Pro−Lys−Pro−d−Phe−Gln−d−Trp−Phe−d−Trp−Leu−Leu−NH(2)(L756,867)または[D−Lys−3]−GHRP−6またはL756,867の分子量の2、1.5、1.4、1.2、1.1、0.8、0.6または0.5倍より小さな分子量を有する。
【0149】
別の局面では、本発明は、本明細書に記載の化合物(例えば、表1に列挙された化合物または上述の化合物)と、薬学的に受容可能なキャリアとを含む薬学的組成物であることを特徴とする。
【0150】
別の実施形態では、本発明は、被験体のGHS−R活性を減らす方法であることを特徴とする。この方法は、本明細書に記載の化合物を被験体のGHS−R活性を減らすのに有効な量で被験体に投与する工程を含む。一実施形態では、この被験体は、哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、イヌ、ネコ、レース用哺乳動物、純血種哺乳動物または農業用哺乳動物である。一実施形態では、被験体は過体重または肥満である。
【0151】
一実施形態では、GHS−R活性は、下垂体、脳、脊髄、子宮、脾臓、膵臓、腎臓、副腎、骨格筋、甲状腺、肝臓、視床下部、心臓、肺、膵臓、腸および脂肪組織のうち1つ以上の以下の組織で調整される。
【0152】
別の局面では、本発明は、以下の工程を含む方法であることを特徴とする:被験体が確立された臨床基準(例えば、「NIH Clinical Guidelines on the Identification and Evaluation,and Treatment of Overweight and Obesity in Adults」(1998))を用いて肥満のリスクがあり、インスリン耐性であるか、または過体重であることを同定する工程、および本明細書に記載の化合物を体重を減少させるかまたは体重増加を予防し、脂肪の量を減らし、代謝活性を高め、血中ブドウ糖濃度を下げ、血中インスリン濃度を下げるかまたはインスリン感受性を高めるのに有効な量で被験体に投与する工程。
【0153】
肥満は、被験体のボディーマスインデックス(BMI)によって定義することができ、BMIは、体重の状態を示すツールであり、身長に対する体重の測定値である。(Garrow JS and Webster J. Quetelet’s index(W/H2) as a measure of fatness. International Journal of Obesity 1985;9:147-153を参照)。BMI18.5以下はやせ過ぎであり、BMI18.5〜24.9は正常であり、BMI25.0〜29.9は過体重であり、BMI30.0以上は肥満であるとされている。BMI範囲は、体重が疾患および死に与える影響に基づくものである。(World Health Organization.Physical status:The use and interpretation of anthropometry.Geneva,Switzerland:World Health Organization 1995.WHO Technical Report Seriesを参照)。BMIが高くなるにつれて、ある種の疾患のリスクが高まる。
【0154】
別の局面では、本発明は、過食症および肥満に関連するプラダーウィリ症候群の被験体を処置する方法を特徴とする。プラダーウィリ症候群は、過食症、肥満、低血圧症および軽度精神遅滞を特徴とする染色体15の遺伝子疾患である。(例えば、Growth Hormone & IGF Research 13(2003)322−327;Growth Hormone & IGF Research 14(2004)1−15;The Journal of Clinical Endrocrinology & Metabolism 88(1):174−178;The Journal of Clinical Endrocrinology & Metabolism 88(5):2206−2212;The Journal of Clinical Endrocrinology & Metabolism 88(5):3573−3576;The Journal of Clinical Endrocrinology & Metabolism 87(12):5461−5464を参照)。この方法は、被験体の体重を維持または減少させるのに有効量で、および/または被験体の食欲を低減させ、過食症の二次的症状である行動障害を制御し、これらの個々の極度の肥満に関連する罹患および死亡のリスクを減らすのに有効量で本明細書に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む。肥満に関連する死亡は、II型糖尿病、心疾患および卒中によるものを含む。いくつかの例では、プラダーウィリ症候群に関連する肥満の患者は、例えば、DNAメチル化試験、マイクロサテライト試験、および/または患者の臨床的な表現型検査で同定することができる。
【0155】
別の局面では、本発明は、インスリン関連障害、例えば、糖尿病、網膜症、ニューロパシー、ネフロパシーおよび末梢臓器障害(end organ damage)を処置または予防する方法を特徴とする。この方法は、被験体のインスリン耐性を処置または予防するのに有効量で本明細書に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む。
【0156】
別の局面では、本発明は、以下の工程を含む方法であることを特徴とする:被験体のGHS−R活性を減らすのに有効量で本明細書に記載の化合物を被験体に投与する工程(例えば、アンタゴニストまたは逆アゴニストを投与する工程)。一実施形態では、被験体は、以下からなる群から選択される障害を有すると診断される:癌、糖尿病、神経障害、肥満、加齢性障害、腫瘍性疾患、非腫瘍性疾患、心疾患、代謝異常または皮膚科疾患。
【0157】
例えば、化合物は、経口または非経口で、例えば注射などによって投与される。一実施形態では、化合物は、複数回にわたって(例えば規則的な投与間隔で)投与される。一実施形態では、この方法は、GHまたはIGF−1活性について被験体をモニタリングする工程、GHS−Rによって調整される遺伝子またはタンパク質(例えば、レジスチン、レプチンまたはアジポネクチン)について被験体をモニタリングする工程、またはグレリン、インスリン、レプチンおよび/またはIGF−1の血中濃度または血漿濃度について被験体をモニタリングする工程をさらに含む。
【0158】
別の局面では、本発明は、グレリン濃度(例えば、プラダーウィリ症候群のようなグレリン濃度の増加)または所望の濃度または正常濃度を超えるGHS−Rによるシグナル濃度によって特徴付けられる障害を処置または予防する方法を特徴とする。
【0159】
この方法は、被験体のGHS−Rによるシグナル伝達を弱め、阻害し、または遮蔽するのに有効量で本明細書に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む。
【0160】
別の局面では、本発明は、所望の濃度または正常濃度を超えるグレリン濃度またはGHS−Rによるシグナル濃度によって特徴付けられる障害を処置または予防する方法を特徴とする。この方法は、被験体の以下の1つ以上の組織のGHS−Rによるシグナル伝達を増加させるのに有効量で本明細書に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む:下垂体、脳、脊髄、子宮、脾臓、膵臓、腎臓、副腎、骨格筋、甲状腺、肝臓、小腸および心臓。
【0161】
別の局面では、本発明は、GHS−R感受性の腫瘍性疾患を処置または予防する方法を特徴とする。この方法は、被験体の腫瘍性疾患を改善し(例えば、増殖を阻害し、細胞を殺し、または腫瘍細胞の成長または活性化を低減するかまたは阻害する)のに有効量で本明細書に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む。
【0162】
別の局面では、本発明は、被験体の摂食行動を調整する方法を特徴とする。この方法は、被験体の摂食行動を調整するのに(例えば、被験体の食欲を高めるのに)有効量で本明細書に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む。一実施形態では、化合物は、食事前または食品を摂取可能な予想された時間の前(例えば、少なくとも0.5時間前、1時間前、2時間前、または4時間前)に投与される。関連する局面では、この方法は、被験体の摂食行動を調整するのに(例えば、被験体の食欲を低下させるのに)有効量で本明細書に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む。一実施形態では、化合物は、食事前または食品を摂取可能な予想された時間の前(例えば、少なくとも0.5時間前、1時間前、2時間前、または4時間前)に投与される。
【0163】
別の局面では、本発明は、被験体の腫瘍性疾患を処置または予防する方法を特徴とする。この方法は、以下の工程を含む:腫瘍性疾患がグレリンまたはGHS−RアゴニストまたはGHS−Rアンタゴニストに感受性の細胞によって媒介されるか否かを決定する工程、および本明細書に記載のGHS−Rと相互作用する化合物を選択する工程;およびこの選択された化合物を被験体に投与する工程。
【0164】
別の局面では、本発明は、神経変性障害を処置または予防する方法を特徴とする。この方法は、被験体の神経変性障害を改善するのに有効量で本明細書に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む。
【0165】
別の局面では、本発明は、代謝異常を処置または予防する方法を特徴とする。この方法は、被験体の代謝異常を改善するのに有効量で本明細書に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む。別の局面では、本発明は、心疾患を処置または予防する方法を特徴とする。この方法は、被験体の心疾患を改善するのに有効量で本明細書に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む。
【0166】
別の局面では、本発明は、本明細書に記載の化合物と、この化合物を投与して本明細書に記載の障害(例えば、摂食障害、過剰または望ましくないGHS−R活性を特徴とする代謝異常、心疾患、神経変性障害、および改変されたGH/IGF−1活性と関連する障害)を処置するための指示とを含むキットを特徴とする。
【0167】
別の局面では、本発明は、(1)本明細書に記載の化合物と、(2)GHS−Rによって調整される1つ以上の遺伝子の発現をモニタリングするための1つ以上の試薬(例えば、レジスチン、レプチンまたはアジポネクチン)またはグレリン、インスリン、レプチンおよび/またはIGF−1の血中濃度または血漿濃度について被験体をモニタリングするための1つ以上の試薬とを含むキットを特徴とする。
【0168】
1つの局面では、本発明は、被験体のIGF−1濃度を調整する(例えば、IGF−1濃度を循環させる)方法を特徴とする。この方法は、本明細書に記載の化合物を投与する工程を含む。一実施形態では、本明細書に記載の化合物は、IGF−1濃度を調整する(例えば、IGF−1濃度を上げるかまたは下げる)のに有効量で被験体に投与される。特に、アンタゴニストは、IGF−1濃度を下げるのに有効であると考えられており、アゴニストはIGF−1濃度を高めるのに有用であると考えられている。
【0169】
1つの局面では、本発明は、被験体のインスリン濃度を調整する(例えば、インスリン濃度を循環させる)方法を特徴とする。この方法は、本明細書に記載の化合物を投与する工程を含む。一実施形態では、本明細書に記載の化合物は、インスリン濃度を調整する(例えば、インスリン濃度を上げるかまたは下げる)のに有効量で被験体に投与される。特に、アンタゴニストは、インスリン濃度を下げるのに有効であると考えられており、アゴニストはインスリン濃度を高めるのに有用であると考えられている。
【0170】
1つの局面では、本発明は、被験体のブドウ糖濃度を調整する(例えば、ブドウ糖濃度を循環させる)方法を特徴とする。この方法は、本明細書に記載の化合物を投与する工程を含む。一実施形態では、本明細書に記載の化合物は、ブドウ糖濃度を調整する(例えば、ブドウ糖濃度を上げるかまたは下げる)のに有効量で被験体に投与される。特に、アンタゴニストは、ブドウ糖濃度を下げるのに有効であると考えられており、アゴニストはブドウ糖濃度を高めるのに有用であると考えられている。
【0171】
用語「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素のうち任意の基を指す。用語「アルキル」は、所定の炭素数の直鎖または分枝鎖であってもよい炭化水素鎖を指す。例えば、C〜C10は、この基が1〜10個(上限下限値を含む)の炭素原子を有してもよいことを示す。用語「低級アルキル」はC〜Cアルキル鎖を指す。任意の数字表記がない場合、「アルキル」は1〜10個(上限下限値を含む)の炭素原子を有する鎖(直鎖または分枝)である。用語「アルコキシ」は、−O−アルキル基を指す。用語「アルキレン」は、二価アルキル(すなわち−R−)を指す。用語「アミノアルキル」は、アミノで置換されたアルキルを指す。用語「メルカプト」は−SH基を指す。用語「チオアルコキシ」は−S−アルキル基を指す。
【0172】
用語「アルケニル」は、1個以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖であってもよい炭化水素鎖を指す。アルケニル部分は、所定の数の炭素原子を含有する。例えば、C〜C10は、この基が2〜10個(上限下限値を含む)の炭素原子を有してもよいことを示す。用語「低級アルケニル」はC〜Cアルケニル鎖を指す。任意の数字表記がない場合、「アルケニル」は2〜10個(上限下限値を含む)の炭素原子を有する鎖(直鎖または分枝)である。
【0173】
用語「アルキニル」は、1個以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖であってもよい炭化水素鎖を指す。アルキニル部分は、所定の数の炭素原子を含有する。例えば、C〜C10は、この基が2〜10個(上限下限値を含む)の炭素原子を有してもよいことを示す。用語「低級アルキニル」はC〜Cアルキニル鎖を指す。任意の数字表記がない場合、「アルキニル」は2〜10個(上限下限値を含む)の炭素原子を有する鎖(直鎖または分枝)である。
【0174】
用語「アリール」は、炭素原子6個の単環式芳香族環系、炭素原子10個の二環式芳香族環系、または炭素原子14個の三環式芳香族環系を指し、それぞれの環の0、1、2、3または4個の原子が置換基で置換されていてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。用語「アリールアルキル」または用語「アラルキル」は、アリールで置換されたアルキルを指す。用語「アリールアルケニル」は、アリールで置換されたアルケニルを指す。用語「アリールアルキニル」は、アリールで置換されたアルキニルを指す。用語「アリールアルコキシ」は、アリールで置換されたアルコキシを指す。
【0175】
用語「シクロアルキル」または「シクリル」は、本明細書で使用される場合、3〜12個の炭素原子、好ましくは3〜8個の炭素原子、さらに好ましくは3〜6個の炭素原子を有する飽和および部分的に飽和の環状炭化水素基を含み、シクロアルキル基は場合によって置換されていてもよい。好ましいシクロアルキル基としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。
【0176】
用語「ヘテロアリール」は、5〜8員環単環式芳香族環系、8〜12員環二環式芳香族環系または11〜14員環三環式芳香族環系を指し、単環式の場合は1〜3個のヘテロ原子を有し、二環式の場合は1〜6個のヘテロ原子を有し、または三環式の場合は1〜9個のヘテロ原子を有し、上記ヘテロ原子はO、NまたはSから選択され(例えば、それぞれ単環式、二環式または三環式の場合、炭素原子と、N、OまたはSを1〜3個、1〜6個、1〜9個)、それぞれの環の0、1、2、3または4個の原子が置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリルまたはフラニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニルまたはチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリルなどが挙げられる。用語「ヘテロアリールアルキル」または用語「ヘテロアラルキル」はヘテロアリールで置換されたアルキルを指す。用語「ヘテロアリールアルケニル」はヘテロアリールで置換されたアルケニルを指す。用語「ヘテロアリールアルキニル」はヘテロアリールで置換されたアルキニルを指す。用語「ヘテロアリールアルコキシ」はヘテロアリールで置換されたアルコキシを指す。
【0177】
用語「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクリルアルキル」は、5〜8員環単環式芳香族環系、8〜12員環二環式芳香族環系または11〜14員環三環式芳香族環系を指し、単環式の場合は1〜3個のヘテロ原子を有し、二環式の場合は1〜6個のヘテロ原子を有し、または三環式の場合は1〜9個のヘテロ原子を有し、上記ヘテロ原子はO、NまたはSから選択され(例えば、それぞれ単環式、二環式または三環式の場合、炭素原子と、N、OまたはSを1〜3個、1〜6個、1〜9個)、それぞれの環の0、1、2または3個の原子が置換基で置換されていてもよい。ヘテロシクリル基の例としては、ピペラジニル、ピロリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニルが挙げられ、架橋した環系および縮合環系も含む。用語「ヘテロシクリルアルキル」はヘテロシクリルで置換されたアルキルを指す。
【0178】
用語「スルホニル」は、二重結合で2個の酸素原子に結合した硫黄を指す。「アルキルスルホニル」はスルホニルで置換されたアルキルを指す。用語「アミノ酸」は、アミノ基とカルボキシル基とを含有する分子を指す。適切なアミノ酸としては、限定されないが、ペプチド中に見出される20個の天然に存在するアミノ酸(例えば、A、R、N、C、D、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y、V(1文字省略形で知られている)および有機合成または他の代謝経路によって調製される天然に存在しないアミノ酸のD−異性体およびL−異性体が挙げられる。)
用語「アミノ酸側鎖」は、天然に存在するアミノ酸のα−炭素に結合した20個の基のうちの任意の1個を指す。例えば、アラニンのアミノ酸側鎖はメチルであり、フェニルアラニンのアミノ酸側鎖はフェニルメチルであり、システインのアミノ酸側鎖はチオメチルであり、アスパルテートのアミノ酸側鎖はカルボキシメチルであり、チロシンのアミノ酸側鎖は4−ヒドロキシフェニルメチルであるなど。
【0179】
用語「置換基」は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基の任意の原子で「置換される」基を指す。本明細書に記載の任意の部分は、置換基でさらに置換することができる。適切な置換基としては、限定されないが、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、オキソ、ニトロ、ハロアルキル、アルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルコキシカルボニル、アミド、カルボキシ、アルカンスルホニル、アルキルカルボニルおよびシアノ基が挙げられる。
【0180】
GHS−Rは、GHの分泌を調整することができる。GH自体がIGF−1産生の調整剤である。従って、GHS−R活性を調整する化合物(例えば本明細書に記載の化合物)を使用してGH/IGF−1軸の活性を調整する(例えば、高めるかまたは低下させる)ことができる。例えば、GHS−Rのアゴニストを使用してGH活性および/またはIGF−1活性を高めることができる。GHS−Rのアンタゴニストを使用してGH活性および/またはIGF−1活性を低下させることができる。この適用例は、USSN 10/656,530を参照することによって組み込むことができ、この内容には、本明細書に記載の化合物を例えばGH/IGF−1軸の調整剤として使用可能であることを含んでいる。
【0181】
GH/IGF−1軸は、下流標的として転写因子Forkheadを有する一連の細胞外シグナル伝達成分および細胞内シグナル伝達成分を含む。GH/IGF−1軸の主要成分は、pre−IGF 1、IGF 1およびpost IGF−1成分の3つのカテゴリーに分けることができる。「pre IGF−1成分」としては、GH、GH−R、グレリン、GHS−R、GHRH、GHRH−R、SSTおよびSST−Rが挙げられる。「post−IGF 1成分」としては、IGF−1−Rおよび細胞内シグナル伝達物質(PI(3)キナーゼ、PTENホスファターゼ、PI(3,4)P2、14−3−3タンパク質、およびPI(3,4,5)P3ホスファチジルイノシトールキナーゼ、AKTセリン/スレオニンキナーゼ(例えば、AKT−1、AKT−2またはAKT−3)、またはForkhead転写因子(例えば、FOXO−1、FOXO−3またはFOXO−4)が挙げられる。「成長ホルモン軸シグナル伝達経路成分」は、以下のもののうち1つのタンパク質を指す:(i)成長ホルモン分泌細胞に配置され、成長ホルモン分泌細胞でのGH放出を調整するタンパク質、または(ii)クラス(i)のタンパク質に直接結合するタンパク質。クラス(i)の例示的な成長ホルモン軸シグナル伝達経路成分としては、細胞表面レセプター、例えば、GHS−R、GHRH−RおよびSST−Rが挙げられる。クラス(ii)の例示的な成長ホルモン軸シグナル伝達経路成分としては、GHRH、グレリンおよびSSTが挙げられる。
【0182】
例えば、GHS−R活性を変えることによってGH濃度を調整する化合物は、下流に影響を与えることがある。例えば、この化合物は、IGF−1レセプターシグナル伝達経路エフェクターの濃度または活性を変える(例えば、高めるかまたは低下させる)ことができる。「IGF−1レセプターシグナル伝達経路エフェクター」は、IGF 1に応答してForkhead転写因子によって直接調整されるタンパク質または他の生体物質を指す。例えば、タンパク質をコード化する遺伝子の発現は、Forkhead転写因子(例えば、FOXO−1、FOXO−3aまたはFOXO−4)によって直接調整することができる。例示的なIGF−1レセプターシグナル伝達経路エフェクターとしては、以下のものを挙げることができる:GADD45、PA26、Selenoprotein P、Whip1、サイクリンG2およびNIP3。
【0183】
本明細書で使用される場合、「GH/IGF 1軸の活性」は、GH分泌を刺激し、IGF 1濃度を高めるか、またはIGF 1レセプターシグナル伝達を高める能力に関する軸成分の正味の効果を指す。従って、「GH/IGF 1軸の下方調整」は、1つ以上の成分を減らすように調整する(例えば、GHを減らし、IGF 1を減らし、またはIGF 1レセプターシグナル伝達を減らす)ことを指す。例えば、いくつかの例では、GH濃度は維持されるが、その作用は阻害され、GH濃度を低下させることなくIGF 1濃度が低下する。いくつかの例では、GH濃度およびIGF 1濃度の両方を低下させる。
【0184】
特定のタンパク質の「アンタゴニスト」としては、そのタンパク質濃度で目的成分に直接結合し、または修飾して、例えば、競争的阻害または非競争的阻害、不安定化、破壊、クリアランスなどによって目的成分の活性が低下する化合物が挙げられる。例えば、活性の低下としては、内因性リガンドに応答する能力が低下することが挙げられる。例えば、GHS−Rのアンタゴニストは、GHS−Rがグレリンに応答する能力を低下させることができる。
【0185】
特定のタンパク質の「アゴニスト」としては、そのタンパク質濃度で目的成分に直接結合し、または修飾して、例えば、活性化、安定化、分布の変化などによって目的成分の活性が高まる化合物が挙げられる。
【0186】
特定のタンパク質の「逆アゴニスト」としては、そのタンパク質濃度でタンパク質の常時活性を阻害し、例えばタンパク質の不活性形態に結合し、および/またはタンパク質の不活性形態を安定化することによってネガティブ固有活性を有し、タンパク質の活性構造を形成しないように平衡を移動させる化合物(例えばレセプター)が挙げられる。
【0187】
一般的に、レセプターは活性構造(Ra)および不活性構造(Ri)で存在する。レセプターに影響を与える特定の化合物は、RaとRiとの比率(Ra/Ri)を変えることができる。例えば、全アゴニストはRa/Riの比率を上げ、「最大」に飽和させる効果をもつ。部分アゴニストは、レセプターと結合すると、全アゴニスト(例えば内因性アゴニスト)によって励起される応答よりは低い応答を生じる。従って、部分アゴニストのRa/Riは全アゴニストよりも小さい。しかし、部分アゴニストの効力は、全アゴニストよりも大きいかまたは小さいことがある。
【0188】
GHS−Rをグレリンよりも低レベルでアゴナイズする特定の化合物は、アッセイでアンタゴニストおよびアゴニストとして機能することができる。これらの化合物は、グレリン−レセプター相互作用の全影響を予防するため、グレリンによるGHS−R活性化をアンタゴナイズする。しかし、この化合物は、それ自身でいくらかレセプター活性を活性化する。典型的には、対応する量のグレリンよりは活性化の程度は低い。この化合物は、「GHS−Rの部分アゴニスト」と呼ばれることもある。
【0189】
「正常な」GH濃度の被験体は、ブドウ糖負荷試験を用いて正常な結果に戻る被験体であり、ブドウ糖は消化され、GH血中濃度は、酵素免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)またはポリクローナルイムノアッセイで測定される。この試験の正常な結果は、ブドウ糖を経口摂取して1〜2時間以内にGH濃度が1ng/mL未満であることによって特徴付けられる。しかし、末端肥大症の患者のように被験体のGH濃度が過剰な場合、ブドウ糖消化後に1ng/mLに下がらない。GH濃度は20〜30分ごとに変動し、時間帯、ストレスレベル、運動量などによって変動するので、GH濃度が過剰であるか否かを決定する標準的な手段は、ブドウ糖を投与することである。このアプローチはGHを正規化し、GHの拍動性、年齢、性別または他の因子によってあまり影響を受けない。または確認として、IGF 1濃度は先端巨大症の個人で常に高いので、IGF 1濃度を測定し、年齢および性別に合致した正常コントロールと比較することができる。
【0190】
用語「GH/IGF 1軸活性の指標」は、GH/IGF 1軸の活性の指標となる検出可能な特性を指す。例示的な特性としては、循環するGH濃度、循環するIGF 1濃度、GH変動の頻度、GH変動の大きさ、ブドウ糖に応答するGH濃度、IGF 1レセプターホスホリル化、およびIGF 1レセプター基質ホスホリル化が挙げられる。GHS−R活性を調整する化合物はGH/IGF−1軸活性の1つ以上の指標を帰ることができる。
【0191】
本発明の1つ以上の詳細を添付の図面および以下の記載で説明する。本発明の他の特徴、目的および利点は、以下の記載および図面、および特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0192】
(詳細な説明)
本明細書に記載の化合物を種々の目的(例えば治療目的)で使用することができる。この化合物の多くは、例えば被験体のGHS−R活性をアンタゴナイズし、GHS−R活性を減らすことができる。さらに他の化合物は、例えば被験体のGHS−Rをアゴナイズし、GHS−R活性を高めるように使用することができる。開示された化合物のいくつかは、GHS−R以外の細胞成分の活性を調整することによって有用な生体効果を与える。
【0193】
本発明の代表的な化合物を以下の表1に示す。他の例示的な化合物は「概要」に記載される範囲内の化合物であるか、または本明細書の他の部分に記載される化合物である。
【0194】
【化64】

【0195】
【化65】

【0196】
【化66】

【0197】
【化67】

【0198】
【化68】

【0199】
【化69】

【0200】
【化70】

【0201】
【化71】

*Aは、セルベースアッセイでKi<100nMでアンタゴニスト活性を有する化合物を指す。
【0202】
Bは、セルベースアッセイでKiが100nM〜500nMでアンタゴニスト活性を有する化合物を指す。
【0203】
Cは、セルベースアッセイでKiが500nM〜1000nMでアンタゴニスト活性を有する化合物を指す。
【0204】
Dは、セルベースアッセイでKi≦1000nMでアンタゴニスト活性を有する化合物を指す。
【0205】
Eは他の例示的な化合物を指す。
【0206】
GHS−Rを調整する代表的な化合物としては、以下の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)の化合物が挙げられ、全ての変数は本明細書に記載されるとおりである。
【0207】
【化72】

いくつかの好ましい実施形態では、Yは、本明細書に記載の1個または2個の置換基で置換された5員環ヘテロ芳香族部分である。例示的なY部分を以下に再び示す。
【0208】
【化73】

それぞれの場合には、任意の原子(窒素原子上にある水素を含む)をR10で置換することができる。いくつかの好ましい実施形態では、ヘテロアリール部分は、1個または2個のR10置換基を含む。いくつかの好ましい実施形態では、R10は、アリール、アリールアルキルまたはR15である。2個のR10置換基が含まれる場合、いくつかの実施形態では、1個のR10はR15であり、第2のR10は異なる置換基、例えば、アルキル、アルコキシ、ハロなどである。
【0209】
特定の例では、Rは、フェニル部分のようなアリール基であり、例えば、置換または非置換のアリール部分である。いくつかの例では、Rは、ヘテロアリール部分、例えばインドール部分である。Rがアリールまたはヘテロアリール(または他の親油性部分、例えばアルキル)である多くの場合では、Kは酸素または単結合である。
【0210】
AおよびRおよびRは、GHS−Rとこの化合物の相互作用の種類を変えるために選択することができる。例えば、RおよびRが両方水素であるいくつかの場合では、この化合物はGHS−Rのアゴニストである。RおよびRが両方とも独立してアルキルである他の場合には、この化合物はGHS−Rのアンタゴニストである。
【0211】
本発明の他の局面は、本明細書に記載のいずれかの式を有する化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを含む組成物、または本明細書に記載のいずれかの式を有する化合物と、さらなる治療化合物(例えば、降圧化合物またはコレステロール低下化合物)と、薬学的に受容可能なキャリアとを含む組成物、または、本明細書に記載のいずれかの式を有する化合物と、さらなる治療化合物と、薬学的に受容可能なキャリアとを含む組成物に関する。
【0212】
本発明で想定される置換基および変数の組み合わせは、安定な化合物を生じる組み合わせのみである。用語「安定な」は、本明細書で使用される場合、製造するのに十分な安定性を有し、本明細書に詳細に説明される目的(例えば、被験体に治療的または予防的に投与)のために十分な期間にわたって化合物の一体性を維持する化合物を指す。
【0213】
(グレリンレセプター調整化合物の合成)
本明細書に記載の化合物は、種々の合成技術を用いて製造することができる。
【0214】
いくつかの実施形態では、Y部分、またはY部分に対応する他の環は、以下のスキームAおよびスキームBに示されるようなアミノ酸またはアミノ酸型の出発物質から合成することができる。
【0215】
【化74】

本明細書に記載のスキームでは、全ての変数は本明細書に定義されるとおりであり、PGは窒素保護基である。窒素保護されたアミノ酸をN−ヒドロキシイミドアミド(アミドキシム)部分(シアノ含有部分とヒドロキシルアミンとを反応させることによって調製される)と反応させ、オキサジアゾール含有部分を得る。得られた化合物をさらに操作して、窒素保護基を除去し、得られた部分と活性化スルホン(例えば以下に記載されるような塩化スルホニル)とを反応させることによって式(I)の化合物を合成することができる。
【0216】
【化75】

以下のスキームBは、トリアゾール含有部分の合成を示す。このトリアゾール含有部分をオキサジアゾール含有部分と同様の様式で反応させ、式(I)の化合物を合成することができる。
【0217】
【化76】

種々の様式で、例えば、シアノ含有部分とヒドラジン水和物とを反応させ(中間体のアミドラゾンを合成する)ことによってトリアゾール前駆体部分を調製することができる。
【0218】
他の実施形態では、最初に、以下のスキームCに示されるように活性化スルホン部分(例えば、塩化スルホニル)とアミノ酸部分または保護されたアミノ酸とを反応させることによって式(I)の化合物を調製することができる。
【0219】
【化77】

遊離カルボキシル部分をさらに操作して式(I)の化合物を製造することができる。例えば、遊離カルボキシル部分を上の式(X)または(XI)の化合物と反応させ、上のスキームAおよびBに記載される方法と同様の様式でオキサジアゾールまたはトリアゾールを含有する式(I)の化合物を合成することができる。
【0220】
当業者によって理解されるように、本明細書の式を有する化合物を合成するさらなる方法は、当該技術分野の一般的な技術常識から明らかである。さらに、所望の化合物を得るための代替の順序で種々の合成ステップを行ってもよい。本明細書に記載の化合物を合成するのに有用な合成化学変換および保護機の方法論(保護および脱保護)は当該技術分野で既知であり、例えば、R.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2d.Ed.,John Wiley and Sons(1991);L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);およびL.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)およびその続編に記載される方法が挙げられる。さらに、本明細書に開示される化合物は、固体支持体上で、または固相ペプチド合成を用いて調製することができる。
【0221】
用語「固体支持体」は、化合物が結合し、この化合物の同定、単離、精製または選択的な化学反応を容易にする材料を指す。このような材料は当該技術分野で既知であり、例えば、ビーズ、ペレット、ディスク、ファイバー、ゲルまたは粒子、例えば、セルロースビーズ、多孔性ガラスビーズ、シリカゲル、場合によりジビニルベンゼンで架橋され、場合によりポリエチレングリコールでグラフトされたポリスチレンビーズ、ポリアクリルアミドビーズ、ラテックスビーズ、N,N’−ビス−アクリロイルエチレンジアミンで場合により架橋されたジメチルアクリルアミドビーズ、疎水性ポリマーでコーティングされたガラス粒子、および硬質表面または半硬質表面を有する材料が挙げられる。固体支持体は、場合により官能基、例えば、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシまたはハロ基を有し(Obrecht,D.and Villalgrodo,J.M.,Solid−Supported Combinatorial and Parallel Synthesis of Small−Molecular−Weight Compound Libraries,Pergamon−Elsevier Science Limited(1998)を参照)、例えば、「split and pool」または「parallel」合成技術、固相技術および液相技術、およびコード化技術のような技術で有用なものが挙げられる(例えば、Czarnik,A.W.,Curr.Opin.Chem.Bio.,(1997)1,60を参照)。
【0222】
用語「固相ペプチド」は、樹脂(例えば固体支持体)に化学結合するアミノ酸を指す。樹脂は一般的に市販されている(例えばSigmaAldrich製)。樹脂のいくつかの例としては、Rink−樹脂、Tentagel S RAM、MBHAおよびBHA−樹脂が挙げられる。
【0223】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を含有してもよく、ラセミ体およびラセミ混合物、1個のエナンチオマーおよびエナンチオマー混合物、個々のジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物として得られる。これらの化合物の全ての異性体形態は、本発明に明らかに含まれる。本発明の化合物は、複数の互変異性体形態であらわされてもよく、この例では、本発明は、本明細書に記載の化合物の全ての互変異性体形態を明らかに含む(例えば、環系のアルキル化は、複数部位でアルキル化してもよく、本発明はこのような全ての反応生成物を明らかに含む)。このような化合物の全ての異性体形態は、本発明に明らかに含まれる。本明細書に記載の化合物の全ての結晶形態は、本発明に明らかに含まれる。
【0224】
本明細書に使用される場合、本発明の化合物(本明細書に記載の式を有する化合物を含む)は、薬学的に受容可能な誘導体またはそのプロドラッグを含むと定義される。「薬学的に受容可能な誘導体またはプロドラッグ」は、本発明の化合物の任意の薬学的に受容可能な塩、エステル、エステルの塩、または他の誘導体(例えば、アミドのイミデートエステル)を意味し、受容者に投与すると、本発明の化合物を(直接的または間接的に)提供可能である。特定の好ましい誘導体およびプロドラッグは、この化合物が哺乳動物に投与される(例えば、化合物に経口投与することによって血中に容易に吸収される)と、親種よりも本発明の化合物のバイオアベイラビリティーが高まるか、または親化合物の生体コンパートメント(例えば、脳またはリンパ系)への送達量が高まるものである。好ましいプロドラッグとしては、腸の膜を通って水溶性または活性輸送量が高まる基が本明細書に記載の式を有する構造に付け加えられた基である誘導体が挙げられる。
【0225】
本発明の化合物は、適切な官能基を付け加えることによって改変され、選択的な生物学的性質を高めてもよい。この改変は当該技術分野で既知であり、所与の生体コンパートメント(例えば、脳、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を高め、経口アベイラビリティーを高め、注射投与可能なほど溶解性を高め、代謝を変更し、排出速度を高めるものが挙げられる。
【0226】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩としては、薬学的に受容可能な無機酸および有機酸および塩基から誘導されるものが挙げられる。適切な酸塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ブチル酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が挙げられる。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(例えばナトリウム)塩、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム)塩、アンモニウム塩およびN−(アルキル)4+塩が挙げられる。本発明は、本明細書に開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化物も包含する。四級化によって水溶性または油溶性または分散性の生成物を得てもよい。
【0227】
(化合物の評価)
種々の方法を用いてある化合物がGHS−R活性を調整する能力について評価することができる。評価方法としては、in vitro結合アッセイ、in vitroセルベースシグナル化アッセイおよびin vivo法が挙げられる。この評価方法は、結合活性、またはGHS−Rの下流の活性を評価することができる。例えば、GHS−Rの下流のシグナル化活性、例えば、イノシトールホスフェート産生、Ca2+動員または遺伝子転写(例えば、CREBによって媒介される遺伝子転写)が挙げられる。
【0228】
(結合アッセイ)
一般的に、この化合物を評価してGHS−Rに結合するかどうか、GHS−Rと相互作用する1つ以上の既知の化合物と競争するかどうか、およびこの相互作用の程度を決定することができる。例えば、この化合物を評価して、グレリン、イパモレリン(ipamorelin)、L−692,400またはL−692,492と競争するかどうかを決定することができる。
【0229】
1つの例示的な結合アッセイを以下に示す。GHS−Rを発現するCOS−7細胞を1×10細胞/ウェルの密度で培養し、放射能活性リガンドの約5〜8%の範囲で結合するようにした。例えば、細胞は、GHS−Rをコード化する内因性核酸またはGHS−Rをコード化する外因性核酸を発現することができる。GHS−Rをコード化する外因性核酸でトランスフェクトされた細胞を、例えば、トランスフェクトの2日後に使用することができる。1mM CaCl、5mM MgClおよび0.1%(w/v)ウシ結成アルブミン、40mg/ml バシトラシンを追加した50mM HEPESバッファー(pH7.4)0.5mL中の125I−グレリン25pMを用いて競争的な結合実験を4℃で3時間行う。標識化されていないグレリン1mM存在下での結合として非特異的な結合を決定することができる。氷冷したバッファー0.5mLで細胞を2回洗浄し、溶解バッファー(8M 尿素、2% NP40、3M 酢酸中)0.5〜1mlで溶解した。洗浄し、溶解した後、結合した放射能活性を計測した。例えば、統計的検出力を得るために二重または三重にアッセイを行うことができる。
【0230】
解離定数値および阻害定数値(KおよびK)を以下の式を用いて競争結合実験から概算することができる。
=IC50−LおよびK=IC50/(1+L/K)、ここで、Lは放射性リガンドの濃度である。Bmax値を以下の式を用いて競争結合実験から概算することができる。Bmax=B IC50/[ligand]、ここで、Bは特異的に結合した放射性リガンドである。
【0231】
(セルベース活性アッセイ)
例えば、化合物がGHS−Rの下流の第2のメッセンジャーシグナル伝達成分の蓄積を調整する能力を評価することができる。例えば、哺乳動物の細胞(例えばCos−7細胞)でのGqシグナル伝達の結果としてのイノシトールホスフェート(IP)。他の組織培養細胞、アフリカツメガエル卵母細胞および初代細胞を使用することもできる。
【0232】
ホスファチジルイノシトールターンオーバーアッセイ。トランスフェクション1日後、ウェルあたり10%胎児ウシ血清、2mMグルタミンおよび0.01mg/mlゲンタマイシンを追加した培地1ml中で[H]−myo−イノシトール5μCiとともにCOS−7細胞を24時間インキュベートする。次いで、細胞を140mM NaCl、5mM KCl、1mM MgSO、1mM CaCl、10mMグルコース、0.05%(w/v)ウシ血清を追加したバッファー20mM HEPES(pH7.4)で2回洗浄し、10mM LiClを追加したバッファー0.5mlで37℃で30分間インキュベートする。いくつかのアッセイでは、アデノシンデアミナーゼADA(200U/mg,Boehringer Mannheim,Germany)とともに細胞を1U/mlの濃度で30分間インキュベートすることも有用である。
【0233】
目的の化合物を37℃で45分間インキュベートした後、10%の氷冷した過塩酸で細胞を抽出し、氷上に30分間置く。得られた上澄みをHEPESバッファー中のKOHで中和し、[H]−イノシトールホスフェートをBio−Rad AG 1−X8アニオン交換樹脂で記載されるように精製した。アッセイは、二重、三重などで行なうことができる。
【0234】
他の第2のメッセンジャーアッセイ。評価可能な別の第2のメッセンジャーはCa2+である。Ca2+固定化をカルシウム感受性検出剤(例えばエクオリンタンパク質または染料(例えばFURA−2))を用いて評価することができる。例示的なアッセイでは、GHS−Rを発現する組み換え細胞とエクオリンとを組み合わせてカルシウム固定化を評価する。
【0235】
遺伝子発現アッセイ。HEK293細胞(30000細胞/ウェル)を96ウェルプレートに接種し、これをpFA2−CREBおよびpFR−Lucレポータープラスミド(PathDetectTM CREB trans−Reporting System,Stratagene)およびGHSをコード化する核酸の混合物とともに一次的にトランスフェクトする。トランスフェクション1日後に、細胞をアッセイ体積100μlで5時間、目的の化合物で処理する。処理した後、低濃度で血清中で細胞を培養する(2.5%)。インキュベーション時間後、細胞をPBSで2回洗浄し、100μlルシフェラーゼアッセイ試薬(LucLiteTM、Packard Bioscience)を添加することによってアッセイを終了する。照度計(例えばTopCounterTM(Packard Bioscience))を用いて5秒間蛍光を測定する(例えば、相対発光量(RLU)として)。
【0236】
他の転写ベースアッセイは、GHS−Rを発現する初代細胞(例えば、下垂体、脳、脊髄、子宮、脾臓、膵臓、腎臓、副腎、骨格筋、甲状腺、肝臓、小腸および心臓由来の細胞)で、またはGHS−Rを発現する組み換え細胞で遺伝子を制御するGHS−Rの転写を評価することを含むことができる。任意の方法、例えば、マイクロアレイ分析、NorthernブロッティングまたはRT−PCRでmRNA濃度を評価することができる。GHS−R活性によって直接的または関節的に調整される例示的な遺伝子としては、レプチン、レジスチンおよびアジポネクチンが挙げられる。GHS−R活性は、循環でインスリン、IGF−1およびレプチン濃度に影響を与えることがある。
【0237】
例えば、Prism 3.0ソフトウェア(GraphPad Software,San Diego)を用いて非線形回帰によってIC50値およびEC50値を決定することができる。
【0238】
in vivoアッセイ。例示的なin vivoアッセイとしては、実施例1および以下に記載のファーストリフィーディングアッセイ(fast−refeeding assay)が挙げられる。
【0239】
化合物を投与する前に、マウスの体重を測定し、同程度の体重になるようにグループに分ける。午後6時から一晩食事を抜き、絶食させる(約16時間)。次の日の午前10時に、マウスにビヒクル(例えば、食塩水+酢酸、pH=5)または目的の化合物のいずれかを投与する。次いで、マウスをそれぞれのカゴに戻し、あらかじめ計量しておいた食餌(約90g)をそれぞれのカゴの食餌用ホッパーに入れた。食餌用ホッパーに残った食餌の量を化合物/ビヒクルを投与した30分後、1時間後、2時間後および4時間後に測定する。最終的なマウスの体重を記録する。
【0240】
目的の化合物を他の実験で評価することもできる。例えば、この化合物を痩せたマウスまたは肥満マウスに投与する(例えば、(ob/ob)C57BL/6Jマウス)か、または、他の実験動物に投与することができる。この化合物を腹腔内または脳室内投与することができる。投与した後、この動物を例えば、摂食行動、不安症または1つ以上の生理学的パラメーター(例えば、代謝パラメーター)について評価する。
【0241】
ICV投与。第3の脳室内(ICV)投与について、注射用にそれぞれの薬物を人工脳脊髄液4□lで希釈することができる。ICV注射のために、マウスをナトリウムペントバルビタール(80〜85mg/kg、腹腔内)で麻酔し、実験前の7日間、定位固定装置に入れた。それぞれ頭蓋骨に孔を開け、中心縫合部に対して側面0.9mmと、ブレグマの後部0.9mmとに針を刺した。ICV注射用に24ゲージのカニューレを距離3mm離して一端を傾けて第3の脳室に移植する。
【0242】
胃内容排出評価。目的の化合物を投与した後の食物消費に関する別の試験は胃内容排出評価である。胃内容排出評価の前に、マウスを16時間絶食させる。水は自由に与えている。あらかじめ計量したペレットに絶食マウスを1時間自由に近づけるようにし、目的の化合物を投与する。化合物を投与した後1〜2時間はマウスを再び絶食させる。まだ食べられていないペレットを計量し、食餌摂取量を測定する。化合物を投与した2または3時間後に頸椎脱臼させてマウスを殺す。開腹したらすぐに幽門と噴門とを結紮し、取り出し、乾燥含量を計量する。胃内容排出は、以下の式によって算出する。
【0243】
胃内容排出(%)=(1−(胃から回収した食餌の乾燥含量/食餌摂取重量))×100
不安症試験。地面より50cm高いstandard elevated plus mazeで不安症を評価することができる。4つのアームを長さ27cm×幅6cmで製造することができる。2つの対向するアームを高さ15cmの壁で囲み(クローズドアーム(closed arms))、他のアームには壁がない(オープンアーム(open arms))。化合物をマウスに注射した10分後に、迷路の中央部に囲まれたアームの1方に向けてマウスを置く。5分間の試験時間中に各アームで過ごした累積時間とオープンアームまたはクローズドアームに入った数を記録する。オープンアームで過ごした時間は全エントリー時間の割合(100−open/open+closed)として表され、オープンアームに入った数は全エントリー数の(100−open/全エントリー数)として表される。
【0244】
パラメーター分析。マウスまたは他の動物に試験化合物を与え、1つ以上の生物学的パラメーター(例えば、代謝パラメーター)を分析することができる。マウスでは、処置終了時(例えば、食餌を取り除き、最後の腹腔内注射の8時間後)にエーテル麻酔下で眼窩洞の血液から血清を得る。頸椎脱臼させてマウスを殺す。その後すぐに白色脂肪組織(WAT)および腓腹筋を取り出し計量することによって精巣上体の脂肪体の重量を評価することができる。ブドウ糖オキシダーゼ法によって血中ブドウ糖を測定することができる。酵素イムノアッセイおよび酵素法(Eiken Chemical Co.,Ltd,Tokyo,Japan)によってそれぞれ血清インスリンおよび遊離脂肪酸(FFA)を測定することができる。酵素法(Wako Pure Chemical Industries,Ltd,Tokyo,Japan)によって血清トリグリセリドおよび全コレステロールを測定することができる。
【0245】
mRNA分析。胃、副睾丸脂肪または他の関連組織からRNeasy Mini Kit(Qiagen,Tokyo,Japan)を用いてRNAを単離する。全RNAをホルムアルデヒドで変性させ、1%寒天ゲルで電気泳動させ、Hybond N+膜でブロッティングする。目的の遺伝子について標識化した(例えば、放射能活性的に、化学的に、または蛍光標識した)cDNAプローブでこの膜をハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションシグナルの全強度を濃度測定によって決定することができる。グリセルアルデヒド3−ホスフェートデヒドロゲナーゼmRNA存在度またはアクチンmRNA存在度によってデータを正規化し、コントロールに対する割合として表す。評価可能な例示的な遺伝子としては、グレリン、レプチン、レジスチンおよびアジポネクチンが挙げられる。目的の遺伝子由来の制御領域を有するリポーター構築物を含むトランスジェニック動物を使用すること、またはこのような構築物を有する組み換え細胞を使用することも可能である。
【0246】
本明細書に記載の化合物は、記載されたアッセイの1つ以上で200、100、80、70、60または50nM未満のKを有することができる(アンタゴニストとして)。本明細書に記載の化合物は、記載されたアッセイの1つ以上で20、40、50、100、200、300または500nMを超えるKを有することができる(アゴニストとして)。
【0247】
本明細書に記載の化合物は、例えば、他の細胞表面リポーターと比較して、GHS−Rと特異的に相互作用することもできる。例えば、モチリンレセプターはGHS−Rのホモログである。開示された化合物は、モチリンレセプターと比べると優先的にGHS−Rと相互作用し、その優先度は例えば、少なくとも2、5、10、20、50または100である。別の実施形態では、開示された化合物は、モチリンレセプターとも相互作用し、例えば、モチリンレセプターの活性を変えることもある。
【0248】
一実施形態では、この化合物はGHS−Rの下流の細胞内シグナル伝達活性、例えば、Gqシグナル伝達、ホスホリパーゼCシグナル伝達、および遺伝子転写によるcAMP応答エレメント(CRE)を変えてもよい。
【0249】
この化合物は、任意の障害(例えば、本明細書に記載の障害)に対する治療活性について評価されてもよい。多くの障害についての動物モデルは当該技術分野で周知である。
【0250】
ALS状態に対する化合物の影響を評価するための細胞および動物としては、改変されたSOD遺伝子を有するマウス、例えば、内因性プロモーターによって作動するヒトG93A SOD変異の複製をいくつか有するSOD1−G93Aトランスジェニックマウス、SOD1−G37Rトランスジェニックマウス(Wongら,Neuron,14(6):1105−16(1995));SOD1−G85Rトランスジェニックマウス(Bruijnら,Neuron,18(2):327−38(1997));変異ヒトSOD1を発現するC.elegans株(Oedaら,Hum Mol Genet.,10:2013−23(2001));およびCu/Znスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)中に変異を発現するDrosophilaが挙げられる(Phillipsら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,92:8574−78(1995)およびMcCabe,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,92:8533−34(1995))。
【0251】
アルツハイマー病に対する化合物の影響を評価するための細胞および動物は、例えば、US 6,509,515およびUS 5,387,742;5,877,399;6,358,752;および6,187,992に記載されている。US 6,509,515では、動物は脳組織にある濃度でアミロイド前駆体タンパク質(APP)配列を発現し、この動物は進行性神経疾患を発症する。ポリグルタミンによる凝集を評価するための実験動物モデルはR6/2株のトランスジェニックマウスである(Mangiariniら Cell87:493−506(1996))。筋萎縮に対する試験化合物の影響を評価するためのモデルとしては、例えば、(1)例えば、ラットの中位大腿部の右坐骨神経を切断することによる脱神経から生じる内側腓腹筋肉量の低下、(2)例えば、ラットの右足関節を屈曲部で90°に固定することによる固定から生じる内側腓腹筋肉量の低下、(3)後肢懸垂から生じるラット内側腓腹筋肉量の低下(例えばU.S.2003−0129686を参照)、(4)悪液質サイトカイン、インターロイキン−1(IL−1)で処置することから生じる骨格筋萎縮(R.N.Cooney,S.R.Kimball,T.C.Vary,Shock 7,1−16(1997))および(5)グルココルチコイド、デキサメタゾンで処置することから生じる骨格筋萎縮(A.L.Goldberg,J Biol Chem 244,3223−9(1969))が挙げられる。モデル1、2および3は、神経活性および/または筋肉にくわえられる外的負荷を種々の程度で変えることによって筋萎縮を誘発する。モデル4および5は、これらのパラメーターに直接影響を与えることなく萎縮を誘発する。
【0252】
AMD(加齢黄斑変性症)に対する例示的な実験モデルとしては、レーザーで誘発された滲出型(wet)黄斑変性症を刺激するマウスモデル(Boraら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,100:2679−84(2003);カテプシンDの変異形態を発現し、AMDの「部分的な萎縮」に関連する特徴を生じるトランスジェニックマウス(Rakoczyら,Am.J.Pathol.,161:1515−24(2002));および網膜色素上皮でVEGFを過剰発現してCNVを生じるトランスジェニックマウス(Schwesingerら,Am.J.Pathol.158:1161−72(2001))が挙げられる。
【0253】
パーキンソン病に対する例示的な実験モデルとしては、ドーパミン作動性神経毒である1−メチル−4 フェニル 1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)で処理することによってパーキンソン病になった霊長類(例えば、米国特許出願番号第20030055231号およびWichmannら,Ann.N.Y.Acad.Sci.,991:199−213(2003)、6−ヒドロキシドーパミンによって損傷したラット(例えば、Lab.Anim.Sci.,49:363−71(1999))、およびトランスジェニック無脊椎動物モデル(例えば、Laksoら,J.Neurochem.,86:165−72(2003)およびLink,Mech.Ageing Dev.,122:1639−49(2001))が挙げられる。II型糖尿病に対する例示的な実験モデルとしては、Nkx−2.2またはNkx−6.1をもたないトランスジェニックマウス(US 6,127,598)、Zucker Diabetic Fatty fa/fa(ZDF)ラット(US 6569832)、および自然発生的に肥満が進行し、その後2型糖尿病を高頻度で発症するアカゲザル(Hottaら,Diabetes,50:1126−33(2001)、および優先阻害IGF−Iレセプター(KR−IGF−IR)を有し、2型糖尿病のようなインスリン耐性を有するトランスジェニックマウスが挙げられる。
【0254】
ニューロパシーに対する例示的な実験モデルとしては、ビンクリスチンで誘発されたマウスの感覚運動ニューロパシー(米国特許出願番号第5420112号)またはウサギ(Ogawaら,Neurotoxicology,21:501−11(2000));自律性ニューロパシー研究用のストレプトゾトシン(STZ)による糖尿病ラット(Schmidtら,Am.J.Pathol.,163:21−8(2003));および進行性運動神経障害(pmn)のマウス(Martinら,Genomics,75:9−16(2001))が挙げられる。また、腫瘍性疾患に関しては、数多くの動物または細胞モデルが記載されている。化合物が原発性腫瘍の拡大を制限する能力を評価するための例示的なin vivo系は、Crowleyら,Proc.Natl.Acad.Sci.,90:5021−5025(1993)に記載されている。ヌードマウスに遺伝子操作した腫瘍細胞(PC3)を注射し、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)を発現させる。腫瘍サイズおよび/または転移を減少させる能力について試験される化合物をこの動物に投与し、腫瘍サイズおよび/または転移の成長を測定する。種々の臓器で検出されるCATの濃度は、その化合物が転移を阻害する能力の指標を与え、処置された動物の組織でコントロール動物と比較してCATの検出量が少ないことは、その組織に移動したCAT発現細胞が少なかったか、またはその組織でCAT発現細胞が増殖しなかったことを示す。
【0255】
(化合物およびその処方物の投与)
本明細書に記載の式を有する化合物は、例えば、注射、静脈内、動脈内、皮下(subdermally)、腹腔内、筋肉内、または皮下(subcutaneously)で投与することができ、または経口、口腔、経鼻、経粘膜、局所に、眼用調製物で、または吸入によって投与することができ、投薬量は体重あたり約0.001〜約100mg/kg、例えば0.001〜1mg/kg、1〜100mg/kgまたは0.01〜5mg/kgであり、投薬は4〜120時間ごと、例えば、約6時間、約8時間、約12時間、約24時間、約48時間または約72時間ごと、または特定の化合物の要求に従った時間である。本明細書に記載の方法は、所望の効果または記載の効果(例えば、被験体の食事量の減少)を達成するのに有効量の化合物または化合物組成物を投与することを想定している。典型的には、本発明の薬学的組成物は1日に約1〜約6回投与され、例えば、化合物を食事時間の約1〜約4時間前(例えば、1時間前、2時間前、3時間前または4時間前)に投与することができる。または、この化合物を連続注射で投与することができる。このような投与は、慢性または急性の治療として使用することができる。単一投薬形態を製造するためにキャリア物質と組み合わせることができる有効成分の量は、処置される宿主および特定の投与形態に依存して変動する。典型的な調製物は、約5%〜約95%(w/w)の活性化合物を含有する。または、このような調製物は、約20%〜約80%の活性化合物を含有する。
【0256】
上に引用した量よりも少ない投薬量または多い投薬量が必要になることもある。特定の患者向けの特定の投薬法および処置法は、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、疾患、状態または症状の重篤度および経過、疾患、状態または症状に対する患者の気質、および処置する医師の判断を含む種々の因子に依存する。
【0257】
患者の状態が改善した後に、必要な場合には、本発明の化合物、組成物または組み合わせを持続的に投薬してもよい。その後、症状を見ながら改良された状態が維持できるレベルまで投薬量または投薬頻度、またはその両方を減らしてもよい。しかし、疾患状態の再発に備えて長期間の断続的な処置が必要なこともある。
【0258】
本発明の薬学的組成物は、本明細書に記載の式を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩と、追加の化合物(例えば、ステロイドまたは鎮痛剤を含む)と、任意の薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルとを含む。本発明の代替の組成物は、本明細書に記載の式を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩と、任意の薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルとを含む。本明細書に記載の組成物は、本明細書に記載の化合物と、必要な場合に追加の治療化合物とを疾患または疾患症状(キナーゼによって媒介される障害またはその症状を含む)を調整するのに有効な量で含む。この組成物は、本明細書に記載の1つ以上の化合物と、1つ以上のキャリアと、場合により本明細書に記載の1つ以上の追加の治療化合物とを混合する工程を含む方法によって製造される。
【0259】
用語「薬学的に受容可能なキャリアまたはアジュバント」は、患者に本発明の化合物とともに投与可能であり、化合物の薬理活性を破壊せず、治療量の化合物が送達されるのに十分な投薬量が投与された場合に毒性がないキャリアまたはアジュバントを指す。
【0260】
本発明の薬学的組成物は、任意の受容可能な投薬形態で経口投与されてもよい。任意の受容可能な投薬形態としては、限定されないが、カプセル、錠剤、エマルションおよび水性懸濁液、分散分および溶液が挙げられる。経口用途の錠剤である場合、一般的に使用されるキャリアとしては、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。典型的には、滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム)を使用してもよい。経口用途のカプセルの場合、有用な希釈剤としては、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液および/またはエマルションが経口投与される場合、活性成分を乳化剤および/または懸濁剤とともに油相に懸濁または溶解してもよい。所望な場合、特定の甘味剤および/または香味剤および/または着色剤を添加してもよい。
【0261】
薬学的組成物は、滅菌注射用調製物(例えば、滅菌注射用水性懸濁液または油性懸濁液)の形態であってもよい。この懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤(例えばTween80)および懸濁剤を用いて当該技術分野で既知の技術に従って処方化されてもよい。滅菌注射用調製物は、非毒性の非経口で受容可能な希釈剤または溶媒の滅菌注射用溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液)であってもよい。使用可能な受容可能なビヒクルおよび溶媒は、マンニトール、水、Ringer溶液および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌の固定油は、溶媒または懸濁媒体として従来から使用されている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意のブランドの固定油が使用されてもよい。脂肪酸(例えばオレイン酸およびそのグリセリド誘導体)は、天然の薬学的に受容可能な油(例えばオリーブ油またはヒマシ油)と同様に、特にポリオキシエチル化態様で注射物質の調製に有用である。これらの油溶液または懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤または分散剤またはカルボキシメチルセルロールまたは薬学的に受容可能な投薬形態(例えばエマルションまたは懸濁液)の処方物で一般的に使用される同様の分散剤を含有してもよい。他の一般的に使用される界面活性剤(例えばTweenまたはSpanおよび/または他の同様の乳化剤または薬学的に受容可能な固体、液体または他の投薬形態の製造に一般的に使用されるバイオアベイラビリティーを処方化の目的のために使用してもよい。
【0262】
本発明の薬学的組成物は、直腸投与のための座剤形態で投与されてもよい。これらの組成物は、本発明の化合物と室温では固体だが直腸温度では液体であり、直腸で溶けて活性成分を放出する適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって調製することができる。このような物質としては、限定されないが、ココアバター、蜜ロウおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0263】
本発明の薬学的組成物で使用可能な薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントおよびビヒクルとしては、限定されないが、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化薬物送達系(SEDDS)、例えば、d−α−トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、薬学的投薬形態で使用する界面活性剤、例えばTweenまたは他の同様のポリマー層たちマトリックス、血清蛋白質、例えば、ヒト血清アルブミン、バッファー基質、例えばホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。シクロデキストリン(例えばα−、β−およびγ−シクロデキストリン)は、本明細書に記載の式を有する化合物の送達を高めるために有益に使用することができる。
【0264】
いくつかの場合では、処方物のpHは、処方化された化合物またはその送達形態の安定性を高めるために薬学的に受容可能な酸、塩基またはバッファーで調整してもよい。
【0265】
非経口との用語は、本明細書で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内および頭蓋内への注射技術または注入技術を含む。
【0266】
本発明の薬学的組成物は、経鼻エアロゾルまたは吸入によって投与されてもよい。このような組成物は、薬学製剤分野で周知の技術によって調製され、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを高める吸収促進剤、フッ化炭素、および/または当該技術分野で既知の他の可溶化剤または分散剤を使用する食塩水溶液として調製されてもよい。
【0267】
本発明の組成物が本明細書に記載の式を有する化合物と1つ以上の追加の治療薬剤または予防薬剤との組み合わせを含む場合、この化合物と追加の化合物とは、単一治療法で通常投薬される量の約1〜100%、さらに好ましくは約5〜95%の投薬濃度で存在すべきである。さらに、本明細書に記載の複数の化合物の組み合わせも包含される。追加の化合物は、複数の投薬法の一部分として本発明の化合物とは別個に投与されてもよい。または、これらの化合物は、本発明の化合物とともに1個の組成物中に混合された単一投薬形態の一部分であってもよい。
【0268】
(処置)
本明細書に記載の化合物は、培養物中で細胞に例えばin vitroまたはex vivoで投与することができ、または被験体に例えばin vivoで投与して以下に記載のものを含む種々の障害を処置、予防および/または診断することができる。
【0269】
本明細書で使用される場合、用語「処置する」または「処置」は、障害、障害の1つ以上の症状または障害に対する素因を治療し、治癒し、改善し、軽減し、改変し、治療し、改善し、向上し、または高める(例えば、障害の少なくとも1つの症状を予防するか、または障害の少なくとも1つの症状の発症を遅らせる)目的で、化合物を単独または第2の化合物と組み合わせて被験体(例えば患者)に適用または投与すること、または単離された組織または細胞(例えば、障害(例えば本明細書に記載の障害)、障害の症状、または障害に対する素因を有する披検体(例えば患者)由来の細胞株)に化合物を適用または投与することとして定義される。
【0270】
本明細書で使用される場合、障害を処置するのに有効な化合物の量、すなわち「治療的に有効な量」は、被験体に1回または複数回投与した際に、細胞を処置し、またはこのような処置がされない場合よりも被験体を治療し、改善し、軽減し、または向上するのに有効な化合物の量を指す。
【0271】
本明細書で使用される場合、障害を予防するのに有効な化合物の量、すなわちこの化合物の「予防的に有効な量」は、被験体に1回または複数回投与した際に、障害または障害の症状の発症または再発を予防または遅らせるのに有効な量を指す。
【0272】
本明細書で使用される場合、用語「被験体」は、ヒトおよび非ヒト動物を含むことが意図される。例示的なヒト被験体としては、障害(例えば本明細書に記載の障害)を有するヒト患者または正常な被験体が挙げられる。本発明の用語「非ヒト動物」としては、あらゆる脊椎動物、例えば、非哺乳動物(例えば、ニワトリ、両生類、爬虫類)および哺乳動物(例えば、非ヒト霊長類、家畜および/または農業で有用な動物(例えば、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタなど)が挙げられる。
【0273】
本明細書に記載の多くの化合物を使用して代謝異常を処置または予防することができる。「代謝異常」は、代謝の異常性または機能不全によって特徴付けられる疾患または障害である。代謝異常の1つのカテゴリーは、ブドウ糖代謝またはインスリン代謝の障害である。例えば、被験体は、インスリン耐性であり、例えばインスリン耐性糖尿病であることができる。一実施形態では、本明細書に記載の化合物を使用して被験体のインスリン濃度またはブドウ糖濃度を高めることができる。別の実施形態では、本明細書に記載の化合物を使用して被験体のインスリン濃度またはブドウ糖濃度を変える(例えば高める)ことができる。代謝異常の1つ以上の症状を改善するのに有効な量でこの化合物を用いて処置してもよい。
【0274】
いくつかの例では、本発明は、有効量の本明細書に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む、メタボリック症候群を処置する方法を提供する。
【0275】
メタボリック症候群(例えば、X症候群)は、1人の人間の一連の代謝リスク因子によって特徴付けられる。これらの因子としては、中心性肥満(腹部および腹部周囲に過剰な脂肪組織)、アテローム性脂質異常症(atherogenic dyslipidemia)(血液の脂肪障害−主にトリグリセリドが高く、HDLコレステロールが低く、動脈壁に血小板が蓄積する)、インスリン耐性または耐糖能異常(体内でインスリンまたは血中の糖が正常に使用されない)、血栓形成前の状態(例えば、血中に多量のフィブリノゲンまたはプラスミノゲン活性阻害剤[−1]が存在)、血圧上昇(すなわち高血圧)(130/85mmHg以上)、および炎症前の状態(例えば、血中の高感度C反応性タンパク質の増加)が挙げられる。
【0276】
この症候群の原因は、過体重/肥満、運動不足および遺伝子による因子である。メタボリック症候群の人々は、冠動脈心疾患、動脈壁に血小板が蓄積することによる他の疾患(例えば、卒中および末梢血管の疾患)および2型糖尿病)のリスクが高まる。メタボリック症候群は、インスリン耐性と呼ばれる一般的な代謝異常と密接に関連しており、体内でインスリンを効率よく使用することができない。
【0277】
本明細書に記載の多くの化合物を使用して、例えばヒト被験体(例えば子供または大人の被験体)の肥満を処置または予防することができる。「肥満」は、被験体が30以上のボディーマスインデックスを有する状態を指す。本明細書に記載の多くの化合物を使用して過体重状態を処置または予防することができる。「過体重」は、被験体が25.0以上のボディーマスインデックスを有する状態を指す。ボディーマスインデックス(BMI)および他の定義は、「NIH Clinical Guidelines on the Identification and Evaluation,and Treatment of Overweight and Obesity in Adults」(1998)によるものである。被験体の体重を例えば少なくとも2%、5%、7%、10%、12%、15%、20%、25%、30%、25%、40%、45%、50%または55%変えるのに有効な量でこの化合物を用いて処置してもよい。被験体のボディーマスインデックスを例えば30未満、28未満、27未満、25未満、22未満、20未満または18未満にするのに有効な量でこの化合物を用いて処置してもよい。この化合物を使用して異常または不適切な体重増加、代謝速度、または脂肪蓄積(例えば、拒食症、過食症、肥満、糖尿病または脂質異常症、および脂肪または脂質代謝の障害)を処置または予防することができる。
【0278】
例えば、GHS−Rのアゴニストを使用して食物吸収量を高めるか、または体重減少に関連する障害(例えば、拒食症、過食症など)を処置することができる。GHS−Rのアンタゴニストまたは逆アゴニストを使用して異常または不適切な体重増加、代謝速度、または脂肪蓄積(例えば、肥満、糖尿病、または脂質異常症、および体重増加を生じる脂肪または脂質代謝の障害)を処置または予防することができる。一実施形態では、本明細書に記載の化合物を使用して視床下部の肥満を処置する。例えば、この化合物を視床下部の肥満のリスクがあると同定された被験体または異常な(例えば極度の)ブドウ糖に対するインスリン応答を有する被験体に投与することができる。
【0279】
別の実施形態では、本明細書に記載の化合物(例えば、GHS−Rアンタゴニストまたは逆アゴニスト)を投与してプラダーウィリ症候群(PWS)に関連する肥満を処置することができる。PWSは、肥満に関連する遺伝的障害である(例えば病的な肥満)。一般的に、PWSをわずらう個人は、GH分泌が不足している。一般的な肥満の個人と対照的に、PWSに関連する肥満の個人は、空腹時のグレリン濃度が高く、これが過食症の一因であると考えられる。従って、いくつかの場合では、PWSに関連する肥満の被験体は遺伝子マーカー、GH濃度の決定、空腹時グレリン濃度の決定、注意深い表現型検査、または当該技術分野で既知の他の方法を用いて同定することができる。GHS−Rアンタゴニスト(例えば本明細書に記載の化合物の1つ)を投与して、体脂肪を減らし、体脂肪の増加を予防し、および/またはPWSに関連する肥満の個人の食欲を低下させ、および/または糖尿病、心疾患および卒中のような共存疾患を減らすことができる。
【0280】
本明細書に記載の多くの化合物を使用して神経障害を処置することができる。「神経障害」は、神経細胞または神経支持細胞(例えば、グリア細胞または筋肉細胞)の異常性または機能不全によって特徴付けられる疾患または障害である。この疾患または障害は、中枢神経系および/または末梢神経系に影響を与えることがある。例示的な神経障害としては、ニューロパシー、骨格筋萎縮症および神経変性疾患(例えば、ポリグルタミン凝集によって少なくとも部分的に生じるもの以外の神経変性疾患)が挙げられる。例示的な神経変性疾患としては、以下のものが挙げられる:アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびパーキンソン病。別の種類の神経変性疾患としては、ポリグルタミン凝集によって少なくとも部分的に生じる疾患が挙げられる。この種類の疾患としては、以下のものが挙げられる:ハンチントン病、球脊髄性筋萎縮症(SBMAまたはKennedy病)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、1型脊髄小脳失調(SCA1)、2型脊髄小脳失調(SCA2)、マシャド・ジョセフ病(MJD;SCA3)、6型脊髄小脳失調(SCA6)、7型脊髄小脳失調(SCA7)および12型脊髄小脳失調(SCA12)。神経障害の1つ以上の症状を改善するのに有効な量でこの化合物を用いて処置してもよい。一実施形態では、GHS−Rアンタゴニスト活性を有する化合物を使用して神経障害を処置することができる。
【0281】
本明細書に記載の多くの化合物を使用して被験体の不安症を調整することができる。一実施形態では、例えばGHS−Rアンタゴニスト活性または逆アンタゴニスト活性を有する化合物を使用して不安症を減らすことができる。
【0282】
本明細書に記載の多くの化合物を使用して被験体の記憶維持を調整することができる。一実施形態では、例えばGHS−Rアンタゴニスト活性または逆アンタゴニスト活性を有する化合物を使用して記憶維持を減らすことができる。例えば、記憶維持を減らすことは、外傷ストレスからの回復を助けることがある。一実施形態では、GHS−Rアゴニスト活性を有する化合物を使用して記憶維持を高める。
【0283】
本明細書に記載の多くの化合物を使用して被験体の睡眠、睡眠サイクル(例えばREM睡眠)、または覚醒状態を調整することができる。一実施形態では、GHS−Rアゴニスト活性を有する化合物を使用して、被験体の睡眠を促進するか、または睡眠時無呼吸を処置する。一実施形態では、GHS−Rアゴニスト、逆アゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、本明細書に記載の化合物)を使用して被験体の概日リズムを変える。例えば、1日の特定の時間帯に(例えば規則的に、例えば夕方および/または朝に)化合物を送達して、例えば時差を越えて旅行する前、旅行中、または旅行後に、または概日リズム障害の被験体の概日リズムをリセットすることができる。この化合物は、例えば、GH分泌の拍動性を調整することができる。
【0284】
本明細書に記載の多くの化合物を使用して心疾患を処置することができる。「心疾患」は、心血管系(例えば、心臓、肺または血管)の異常性または機能不全によって特徴付けられる疾患または障害である。例示的な心疾患としては以下のものが挙げられる:不整脈、慢性うっ血性心不全、虚血性脳梗塞、冠動脈疾患および心筋ミオパチー。心疾患の1つ以上の症状を改善するのに有効な量でこの化合物を用いて処置してもよい。一実施形態では、例えばGHS−アンタゴニスト活性または逆アンタゴニスト活性を有する化合物を使用して心疾患を処置することができる。
【0285】
本明細書に記載の多くの化合物を使用して皮膚科疾患または皮膚科の組織状態を処置することができる。「皮膚科疾患」は、皮膚の異常性または機能不全によって特徴付けられる疾患または障害である。「皮膚科の組織状態」は、皮膚機能および/または外観(例えば美的な外観)に関与する皮膚またはその下にある組織(例えば支持組織)を指す。皮膚科疾患または皮膚科の組織状態の1つ以上の症状を改善するのに有効な量でこの化合物を用いて処置してもよい。一実施形態では、GHS−Rアンタゴニスト活性または逆アンタゴニスト活性を有する化合物を使用して皮膚科疾患または皮膚科の組織状態を処置することができる。
【0286】
本明細書に記載の多くの化合物を使用して高齢者の障害を処置することができる。「高齢者の障害」は、本明細書の出願時に100,000人を超える個人のうち選択された集団で、70歳を超える人々の少なくとも70%で発生する疾患または障害である。一実施形態では、高齢者の障害は、癌または心肺障害以外の障害である。好ましい集団はアメリカ合衆国民である。集団は、性別および/または民族によって制限することができる。
【0287】
本明細書に記載の多くの化合物を使用して過剰な成長ホルモン活性によって特徴付けられる障害を処置または予防することができる。例えば、この化合物を使用して被験体のGHレベルを下げることができる。一実施形態では、被験体はヒト、例えば子供(例えば3〜11歳)、未成年(例えば12〜19歳)、若年成人(例えば20〜25歳)または大人である。一実施形態では、GHS−Rアンタゴニスト活性または逆アンタゴニスト活性を有する化合物を使用して成長ホルモン活性によって特徴付けられる障害を処置する。
【0288】
本明細書に記載の多くの化合物を使用して迷走神経緊張を処置または予防することができる。例えば、本明細書に記載の化合物または他のGHS−R調整剤を迷走神経切離術または他の障害を有する被験体に投与し、迷走神経求心性活性または迷走神経遠心性活性を変えることができる。一実施形態では、迷走神経の異常性について被験体をモニタリングし、機能不全が検出された場合、被験体を本明細書に記載の化合物または他のGHS−R調整剤で処置する。
【0289】
特定の実施に関連する例示的な疾患および障害としては以下のものが挙げられる:癌(例えば、乳癌、結腸直腸癌、CCL、CML、前立腺癌)、骨格筋萎縮症、成人発症の糖尿病、糖尿病性ネフロパシー、ニューロパシー(例えば、感覚性ニューロパシー、自律性ニューロパシー、運動神経障害、網膜症)、肥満、骨吸収、神経変性障害(パーキンソン病、ALS、アルツハイマー病、短期間記憶喪失および長期間記憶喪失)およびタンパク質凝集に関連する障害(例えば、ポリグルタミン凝集以外のもの)またはタンパク質の異常な折り畳み(protein misfolding)、加齢黄斑変性症、ベル麻痺、心疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、不整脈、慢性うっ血性心不全、虚血性脳梗塞、冠動脈疾患および心筋ミオパチー)、慢性腎不全、2型糖尿病、腫瘍形成、白内障、老眼、糸球体腎炎、ギラン・バレー症候群、脳出血、関節リウマチ、炎症性大腸炎、多発性硬化症、SLE、クローン病、変形性関節症、肺炎および尿失禁。疾患の症状および診断は医師に周知である。
【0290】
特定の実施形態では、この化合物は臓器の標的組織でGHS−Rに局所的に向かう。GHS−Rは、視床下部、心臓、肺、膵臓、腸、脳(特に弓状核(ARC)で)および脂肪組織で発現する。本明細書で記載の化合物は、上述の組織の1つ以上を標的とすることができる。例えば、この化合物は、肺を標的とする吸入のために処方化することができる。この化合物は、摂取用に処方化することができ、腸を標的として腸への経路のために処方化することができる。他の実施形態では、処置は全身に施され、この化合物は標的組織に広がっていく。
【0291】
障害および化合物に依存して、処置は、上に特定される種類の化合物を使用することに加えて、別の種類の化合物を用いることを含んでもよい。例えば、内因性グレリン濃度が通常よりも全体的に低いかまたは罹患領域で通常より低い被験体では、処置は、GHS−Rアゴニスト活性を有する化合物を用いることを含んでもよい。外因性グレリン濃度通常よりも全体的に高いかまたは罹患領域で通常より高い他の被験体では、処置は、GHS−Rアンタゴニスト活性を有する化合物を用いることを含んでもよい。例えば、動物ベースアッセイで、または被験体をモニタリングすることによって特定の化合物の適切さを評価することができる。
【0292】
本明細書に記載の多くの化合物を使用してエネルギーバランスを制御する生体シグナルの活性を調整することができる。このようなシグナルとしては、ペプチドシグナル、例えば、NPY、AGRP、オレキシン、MCH、ビーコン(例えば、Collierら(2000) Diabetes 49:1766)、メラニン細胞刺激ホルモン(mealoncyte−stimulating hormone)、ニューロメディンU、コルチコトロピン放出因子およびレプチンが挙げられる。例えば、NPYは、食物をそのまま刺激し、代謝速度を低下させる36−アミノ酸ペプチドである。本明細書に記載の多くの化合物を使用してNPY活性を低下させることができる。本明細書に記載の多くの化合物を使用して食欲抑制分子、例えば、ボンベシン、IL−1β、レプチンおよびガストリン放出ペプチドの活性またはアベイラビリティーを高めることができる。従って、この化合物は、胃の迷走神経求心性の放出速度を高めることができる。
【0293】
本願発明者らは、サブスタンスPおよびその誘導体がGHS−R活性を調整することも発見した。特に、本願発明者らは、ファーストリフィードアッセイ(fast refeed assay)でサブスタンスPがマウスの摂食活性を変えることを発見した。従って、サブスタンスPおよびその誘導体を使用して、摂食異常または代謝異常および本明細書に記載の他の障害を調整することができる。
【0294】
本願発明者らは、ヒト組織でのGHS−R発現の観察により、GHS−Rが下垂体細胞、脳、脊髄、子宮、脾臓、膵臓、腎臓、副腎、骨格筋、甲状腺、肝臓、小腸および心臓で発現することを示した。従って、本明細書に記載の化合物を使用して、上述の組織での望ましくないレベルのグレリンまたはグレリンにより媒介されるシグナル伝達活性に関連する疾患および障害を処置することができる。例えば、グレリンまたはグレリンにより媒介されるシグナル伝達活性のレベルが望ましくない程度まで低い場合、GHS−Rアゴニスト活性を有する化合物を処置のために使用することができる。グレリンまたはグレリンにより媒介されるシグナル伝達活性のレベルが望ましくない程度まで高い場合、GHS−Rアンタゴニスト活性を有する化合物を処置のために使用することができる。例えば、所望なグレリン活性のレベルは、組織によって変動する場合がある。グレリンは胃で分泌され、胃または胃周辺では高いが、正常な膵臓組織ではかなり低い。
【0295】
(腫瘍性疾患)
本明細書に記載の多くの化合物を使用して腫瘍性疾患を処置することができる。「腫瘍性疾患」は、細胞が自律的増殖または複製をする能力を有することによって特徴付けられる疾患または障害(例えば、増殖性の細胞成長によって特徴付けられる異常段階または状態)である。例示的な腫瘍性疾患としては以下のものが挙げられる:癌腫、肉腫、転移性障害(例えば、前立腺、結腸、肺、乳房および肝臓から発生した腫瘍)、造血性腫瘍性疾患、例えば、白血病、転移性腫瘍。広範性癌としては、以下のものが挙げられる:乳癌、前立腺癌、直腸癌、肺癌、肝臓癌および膵臓癌。本明細書に記載の化合物は、腫瘍性疾患の少なくとも1つの症状を改善する(例えば、細胞増殖を減らす、腫瘍重量を減らすなど)のに有効量で被験体に投与される。
【0296】
腫瘍性疾患をGHS−Rアゴニストまたはアンタゴニストで処置すべきか否かは新生組織形成の種類に依存する。例えば、Duxburyら(2003)Biochem.Biophys.Res.Comm.309:464−468は、特定の腫瘍性疾患がGHS−Rアンタゴニストによって阻害されることを報告している。これらの障害としては、例えば、GHS−RまたはGHS−R1bを発現する膵臓腺癌および新生組織形成(例えば、前立腺腺癌、膵内分泌腫瘍、成長ホルモン分泌細胞腫瘍および中枢神経系腫瘍)が挙げられる。GHS−Rアンタゴニストによって弱められ、阻害され、または殺される新生組織形成は、本明細書では用語「GHS−Rアンタゴニスト感受性腫瘍性疾患」と呼び、GHS−Rアンタゴニスト活性を有する化合物で処置することができる。
【0297】
Duxburyらは、特定の他の種類の新生組織形成(例えば、乳房、肺および甲状腺の腺癌)が高濃度のグレリン(>10nM)によって阻害され、GHS−Rアゴニスト(例えば、本明細書に記載のGHS−Rアゴニストまたは別の既知のGHS−Rアゴニスト)で処置可能であることも報告している。グレリンまたはGHS−Rアゴニストによって弱められ、阻害され、または殺される新生組織形成は、本明細書では用語「グレリン感受性腫瘍性疾患」と呼び、GHS−Rアゴニスト活性を有する化合物で処置することができる。
【0298】
腫瘍細胞がグレリンアゴニストまたはアンタゴニストに感受性であるか否か(すなわち、腫瘍細胞がグレリン感受性またはGHS−Rアンタゴニスト感受性の腫瘍性疾患であるか否か)は、GHS−Rアゴニスト(例えば、グレリン)またはアンタゴニスト(例えば、D−Lys−GHRP6)存在下の増殖アッセイによって決定することができる。Duxburyらは、例示的な増殖アッセイを開示している。1つのこのようなアッセイでは、細胞を約10細胞/ウェルで96ウェルプレートに接種する。細胞を培地中で3日間培養し、グレリンまたはD−Lys−GHRP6またはコントロール培地と接触させる。次いで、生存能力について細胞をMTTアッセイ(3−(4,5−ジメチルチアゾリル−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム)(Trevigen,Gaithersburg,MD製)を用いて評価する。実行可能な他のアッセイは、浸潤および転移アッセイである。特定の化合物の影響は濃度に依存し、この濃度はアッセイによって変わる場合がある。
【0299】
上述の腫瘍性疾患に加えて、本明細書に記載の化合物を使用して他の新生組織形成および過形成(「腫瘍」を含み、良性、前癌状態または悪性がある)を処置することができる。
【0300】
癌性病変のさらなる例としては、限定されないが、固体腫瘍、軟組織腫瘍および転移性病変が挙げられる。固体腫瘍の例としては、悪性腫瘍、例えば、種々の臓器系(例えば、肺、乳房、リンパ腺、胃腸(例えば結腸)および尿生殖路(例えば、腎臓、尿路上皮細胞)、咽頭、前立腺、卵巣)の肉腫、腺癌、および癌腫、および悪性腫瘍を含む腺癌、例えば、ほとんどの結腸癌、直腸癌、腎細胞癌、肝臓癌、肺の非小細胞癌、小腸の癌などが挙げられる。上述の癌の転移性病変を本発明の方法および組成物を用いて処置または予防することができる。
【0301】
本発明に記載の化合物は、種々の臓器系の悪性腫瘍、例えば、肺、乳房、リンパ腺、胃腸(例えば結腸)および尿生殖路、前立腺、卵巣、咽頭の悪性腫瘍、および悪性腫瘍を含む腺癌、例えば、ほとんどの結腸癌、腎細胞癌、前立腺癌および/または睾丸腫瘍、肺の非小細胞癌、小腸の癌および食道癌がを処置するのに有用である。処置可能な例示的な固体腫瘍としては、以下のものが挙げられる:線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛腫、セミノーマ、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮性腫瘍、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽腫。
【0302】
用語「悪性腫瘍」は当業者には認識されており、上皮組織または内分泌組織の悪性腫瘍を指し、呼吸器系の悪性腫瘍、胃腸系の悪性腫瘍、泌尿生殖器系の悪性腫瘍、睾丸の悪性腫瘍、乳房の悪性腫瘍、前立腺の悪性腫瘍、内分泌系の悪性腫瘍および黒色腫が挙げられる。例示的な悪性腫瘍としては、頚部、肺、前立腺、乳房、頭および頚部、直腸および卵巣の組織から形成されるものが挙げられる。この用語には癌肉腫も含まれ、例えば、悪性腫瘍組織および肉腫変性組織で構成される悪性腫瘍を含む。「腺癌」は、腺組織から誘導された悪性腫瘍または腫瘍細胞が認識可能な腺構造を形成する悪性腫瘍を指す。
【0303】
用語「肉腫」は当業者には認識されており、間葉由来の悪性腫瘍を指す。
【0304】
本方法を使用して造血由来の過形成細胞/腫瘍細胞(例えば、脊髄、リンパまたは赤血球系から生じるもの、またはその前駆細胞)の増殖を阻害することもできる。例えば、本発明は、種々の脊髄の障害の処置も想定している。種々の脊髄の障害としては、限定されないが、急性前骨髄球性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)(Vaickus,L.(1991)Crit Rev.in Oncol./Hemotol.11:267−97にまとめられている)が挙げられる。本方法で処置可能なリンパ性悪性疾患としては、限定されないが、急性リンパ性白血病(ALL)(B細胞性ALLおよびT細胞性ALLを含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、ヘアリー細胞白血病(HLL)およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)が挙げられる。本発明の方法によって想定されている悪性リンパ腫のさらなる形態としては、限定されないが、非ホジキンリンパ腫およびその変形、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGF)およびホジキン病が挙げられる。
【0305】
(GHS−Rのアゴナイジング)
GHS−Rをアゴナイズする化合物を使用して、例えば特定の組織で所望のGHS−R活性または通常のGHS−R活性よりも活性が低い被験体の障害を処置することができる。このような化合物を使用して、1つ以上の障害を以下のように処置することができる:悪液質、消耗、成人の成長ホルモン放出の刺激、癌患者、心不全患者またはAIDS患者、成長ホルモンの不足した患者の処置、グルココルチコイドの異化作用による副作用の予防、骨粗しょう症の処置、免疫系の刺激、傷の治癒促進、骨折の治癒促進、成長遅延の処置、急性または慢性の腎不全または腎機能障害の処置、生理学的な低身長(成長ホルモンが不足した子供を含む)の処置、慢性疾患に関連する低身長の処置、肥満および肥満に関連する成長遅延の処置、プラダーウィリ症候群およびターナー症候群に関連する成長遅延の処置、火傷患者またはその後の消化管手術のような主要な手術の回復促進および入院期間短縮、子宮内発育遅延および骨格形成異常の処置、副腎皮質機能亢進症(hypercortisonism)およびクッシング症候群の処置、末梢性ニューロパシーの処置、骨軟骨異形成症、Noonans症候群、睡眠障害、統合失調症、うつ病、アルツハイマー病、創傷治癒の遅延、および心理社会的な欠乏の処置、肺機能不全および人工呼吸器依存状態の処置、うっ血性心不全の予防または処置、肺機能の改善、全身機能および心臓拡張機能の回復、心筋収縮能の増加、末梢全血管抵抗の減少、体重減少の低減または予防、およびうっ血性心不全後の回復促進、食欲増進、大きな手術の後のタンパク質異化反応の低減、吸収不良症候群の処置、慢性疾患(例えば癌またはAIDS)によるタンパク質損失の低下、TPN(完全非経口栄養法)による患者の体重増加およびタンパク質付着の促進、高インスリン血の処置、胃十二指腸潰瘍の処置、胸腺発生の刺激、長期血液透析の患者の補助療法、免疫抑制患者の処置、抗体応答の向上(例えばワクチン接種後の)、ヒトの全リンパ球数の増加、非回復性の睡眠および筋骨格系疼痛によってあらわれる症状(線維筋肉痛症候群または慢性疲労症候群を含む)の処置、虚弱体質の高齢者の筋力、可動性の向上、皮膚の厚みの維持、代謝恒常性、腎臓の恒常性の維持、骨芽細胞の刺激、骨の再構築および軟骨成長の刺激、うっ血性心不全の予防および処置、心内構造物および/または心筋機能の保護、うっ血性心不全後の哺乳動物の回復向上、眠りの質の向上および/または改善、および睡眠障害の予防および処置、睡眠効率を高め、睡眠維持を高めることによる睡眠の質の向上または改善、気分障害(特にうつ病)の予防および処置、うつ病被験体の気分および主観的幸福の向上、インスリン耐性の低減、免疫系の刺激、術後患者の胃運動性の刺激および促進、およびII型糖尿病のような変性状態に対して二次的な胃不全麻痺の胃運動性の刺激および促進、および成長促進。この化合物を使用してヒトまたは動物(例えば家畜、ペットなど)を処置することができる。
【0306】
(キット)
本明細書に記載の化合物は、キットで提供することができる。キットは、(a)本明細書に記載の化合物を含む組成物と、場合により(b)情報材料とを含む。この情報材料は、本明細書に記載の方法および/または本命最初に記載の方法のための本明細書に記載の化合物の使用に関する説明的な材料、教育的な材料、または他の材料であることができる。
【0307】
キットの情報材料はその形態に限定されない。一実施形態では、情報材料は、化合物の製造、化合物の分子量、濃度、有効期限、バッチまたは製造場所の情報などについての情報を含むことができる。一実施形態では、情報材料は、本明細書に記載の障害を処置するための本明細書に記載の化合物の使用に関する。
【0308】
一実施形態では、情報材料は、本明細書に記載の方法を適切な様式で実施するための本明細書に記載の化合物を投与するための指示、例えば、適切な投薬、投薬形態、または投与態様(例えば、本明細書に記載の投薬、投薬形態、または投与態様)に関する指示を含むことができる。好ましい投薬、投薬形態、または投与態様は非経口であり、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、非経口内(intraparenteral)、頬内、舌下、眼内(intraoccular)および局所投与である。別の実施形態では、情報材料は、本明細書に記載の化合物を適切な被験体(例えば、ヒト、例えば本明細書に記載の障害を有するか、リスクを有するヒト)に投与するための指示を含むことができる。例えば、この材料は、本明細書に記載の化合物をこのような被験体に投与するための指示を含むことができる。
【0309】
このキットの情報材料はその形態に限定されない。多くの場合では、この情報材料(例えば指示)は、印刷した状態(例えば、印刷した文章、図、および/または写真、例えばラベルまたは印刷したシート)で提供される。しかし、情報材料は他のフォーマット(例えば、コンピューター読取可能な材料、ビデオ記録、またはオーディオ記録)で提供されてもよい。別の実施形態では、このキットの情報材料は連絡先(例えば、実際の住所、emailアドレス、ウェブサイトまたは電話番号)であり、このキットのユーザーは、本明細書に記載の化合物および/または本明細書に記載の方法でのこの化合物の使用についてかなりの情報を得ることができる。もちろん、この情報材料は、任意のフォーマットの組み合わせで提供されてもよい。
【0310】
本明細書に記載の化合物に加えて、このキットの組成物は、他の成分、例えば、溶媒またはバッファー、安定剤、保存剤、および/または本明細書に記載の状態または障害を処置するための第2の化合物を含むことができる。または、他の成分を本明細書に記載の化合物とは異なる組成物または容器でキットに含むことができる。この実施形態では、キットは、本明細書に記載の化合物と他の成分とを混合するための指示、または他の成分と共に本明細書に記載の化合物を使用するための指示を含むことができる。
【0311】
本明細書に記載の化合物は任意の形態(例えば、液体、乾燥形態または凍結乾燥形態)で提供することができる。本明細書に記載の化合物が実質的に純粋および/または滅菌であることが好ましい。本明細書に記載の化合物が液体溶液で提供される場合、液体溶液は好ましくは水溶液であり、滅菌水溶液が好ましい。本明細書に記載の化合物が乾燥形態で提供される場合、一般的に適切な溶媒を添加することによって再構築される。溶媒(例えば滅菌水またはバッファー)は、場合によりキット内に提供されていてもよい。
【0312】
キットは、本明細書に記載の化合物を含有する組成物のための1つ以上の容器を備えることができる。いくつかの実施形態では、キットは、組成物および情報材料のための別個の容器、仕切りまたはコンパートメントを備えている。例えば、組成物は瓶、バイアルまたはシリンジに含まれており、情報材料はプラスチックスリーブまたはパケットに備えられていてもよい。他の実施形態では、キットの別個の要素が、1個の分割されていない容器に入っている。例えば、組成物は瓶、バイアルまたはシリンジに含まれており、これに情報材料がラベルの形態で貼り付けられている。いくつかの実施形態では、キットは複数の個々の容器(例えばパック)を備えており、それぞれに本明細書に記載の化合物の1個以上の単位投薬形態(例えば、本明細書に記載の投薬形態)を含有している。例えば、キットは複数のシリンジ、アンプル、ホイルパケットまたはブリスターパックを備えており、それぞれは本明細書に記載の化合物の1個の単位投薬量を含有している。キットの容器は、気密性であり、防水性(例えば水分または蒸発量の変化に対して不浸透性)であり、および/または遮光性であってもよい。
【0313】
キットは、場合により、組成物の投与に適したデバイス、例えば、シリンジ、吸入器、ピペット、ハサミ、計量スプーン、点滴器(例えば、点眼器)、スワブ(例えばコットンスワブまたは木製スワブ)、または任意のこのような送達デバイスを備えている。好ましい実施形態では、デバイスは移植可能な送達デバイスである。
【実施例】
【0314】
(実施例1:N,N−3−ジエチルアミノプロパンスルホニルクロリド塩酸塩(3)の調製)
【0315】
【化78】

ジエチルアミン(10ml、96.78mmol)を1,3−プロパンスルトン(3.94g、32.26mmol)に0℃で攪拌しながらゆっくりと添加した。これを周囲温度まで戻しながら一晩攪拌した。次いで、反応混合物をMeOH(100ml)で希釈し、Ambersep900樹脂(30g、75mmol)を添加し、2時間攪拌した。MeOHの30mlアリコートを用いて焼結ガラス上でこの樹脂を洗浄した(洗浄液は捨てた)。次いで、この樹脂を2M HCl(aq)(50ml)で30分間洗浄し、ろ過した。樹脂を2M HCl(aq)(2×50ml)で洗浄した。合わせた酸性溶液を減圧下で蒸発させ、粗生成物であるN,N−3−ジエチルアミノプロパンスルホン酸塩酸塩(2)を白色固体として得た。
【0316】
(実施例2:(R)−3−(ベンジルオキシ)−2−(3−(ジエチルアミノ)プロピルスルホンアミド)プロパン酸の合成)
塩化チオニル(50ml、685mmol)をN,N−3−ジエチルアミノプロパンスルホン酸塩酸塩(2)に添加し、攪拌しながら還流下で8時間加熱した。溶液を周囲温度まで冷却し、減圧下で蒸発させてN,N−3−ジエチルアミノプロパンスルホニルクロリド塩酸塩(3)を灰色/白色の多く水を含んだ固体(7.9g、92%)として得た。この生成物を窒素雰囲気下で保存した。
【0317】
【化79】

(4の合成)
O−Bn−D−セリン(3g、15.36mmol)をDMF(60mL)に懸濁させた。BSTFA(ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド)(0.75mL、15.36mmol)を懸濁液に添加し、室温で2時間攪拌した。全ての出発物質が溶解した。
【0318】
3−クロロプロパンスルホニルクロリド(2.25mL、18.43mmol)を添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。DMFを減圧下で蒸発させ、酢酸エチルを添加した。所望の4をNaOH(1M)水溶液(70mL)で抽出した。水相をHCl(5M)水溶液でpH1になるまで酸性化した。所望の化合物を酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥し、有機溶媒を減圧下で蒸発させ、暗褐色油状物として4をm=3.8g得た。H NMR(CDCl):2.27(m,2H);2.90−3.23(m,2H);3.58(t,2H);3.77(m,1H);3.90(m,1H);3.31(bs,1H);4.54(s,2H);5.50(bs,1H);7.26−7.36(m,5H)
(5の合成)
4(1.2g、3.58mmol)をTHF(3mL)に溶解し、ジエチルアミン3mLをこの溶液に添加し、密閉した管で90℃で一晩加熱した。THFを減圧下で除去し、酢酸エチルを添加した。次いで、所望の化合物をHO(2×30mL)で抽出した。トルエン存在下、水を減圧下で除去して淡褐色化合物をm=1.1g(収率82%)得た。
【0319】
この油状物をMeOH100mlに溶解し、樹脂Ambersep 900 5gを添加した。この混合物を1時間攪拌し、溶媒を減圧下で除去した。次いで、樹脂をMeOH(20ml)で洗浄し、HCl(2N)で1時間懸濁させた。樹脂をろ過し、ろ液を蒸発させて黄色油状物として5を得た。H NMR(DO):1.04(t,6H);1.84(m,2H);2.47−2.60(m,6H);2.89(t,2H);3.62(m,1H);3.75(m,1H);3.85(m,1H);4.62(s,2H);7.40−7.47(m,5H)
(実施例3:(R)−3−(ジエチルアミノ)−N−(1−(3−置換−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−3−フェニルプロピル)プロパン−1−スルホンアミドおよび(R)−2−(ジエチルアミノ)−N−(1−(3−置換−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−3−フェニルプロピル)エタンスルホンアミドの合成)
【0320】
【化80】

(アミドオキシム調製(2))
EtOH(10ml)中のニトリル(1)およびヒドロキシルアミン50%水溶液(10ml)の懸濁液を還流下(約100℃)で攪拌しながら6時間加熱した。この反応混合物を減圧下で乾燥するまで蒸発させた。次いで、トルエン(10ml)から2回蒸発させ、粗生成物を得た。
【0321】
(オキサジアゾール生成(4))
(i)N−BOC−ホモフェニルアラニン(200mg、0.72mmol)をEtOAc(10ml)に溶解し、0℃まで冷却した。これにCDI(128mg、0.79mmol)を添加し、0℃で15分間攪拌し、周囲温度まで加温しながら2時間攪拌した。アミドオキシム(2、0.79mmol)を添加し、反応混合物を一晩攪拌した。反応混合物を飽和NaHCO(aq)(10ml)および食塩水(10ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、乾燥するまで減圧下で蒸発させた。
(ii)粗中間体(i)をDMF(2ml)に溶解し、CEM Discoverでマイクロ波をあてて180℃で1分間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーでEtOAc/ヘプタン混合物(典型的には1/9)で溶出させて精製した。
【0322】
(スルホンアミド生成(5))
(iii)TFA(DCM中20%、5ml)の溶液をオキサジアゾール(4)に0℃で添加し、30分間攪拌し、周囲温度まで加温した。TLC(EtOAc/ヘプタン、1/1)で反応をモニタリングした。反応は、通常は周囲温度で1時間攪拌すると終了していた。反応混合物を0℃まで冷却し、NaCO(aq)でゆっくりと塩基性にした。有機層を分離し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。
(iv)粗生成物をDCM(10ml)に再び溶解させ、0℃まで冷却した。この溶液にN,N−ジエチルアミノプロピルスルホニルクロリド塩酸塩(1.3eq)、次いでDIPEA(3.0eq)を添加し、周囲温度まで戻しながら一晩攪拌した。反応混合物を食塩水(2×10ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーでMeOH/DCM(典型的には5/95)で溶出させて精製した。
【0323】
(ビニルスルホンアミド生成(6))
(iii)上述のとおり
(v)2−クロロエチルスルホニルクロリドを使用する以外は(5)(iv)のとおり。シリカゲルカラムクロマトグラフィーでEtOAc/ヘプタン(典型的には1/9)で溶出させて精製。
【0324】
(ジエチルアミン添加(7))
(vi)N,N−ジエチルアミン(2ml)を(6)に添加し、周囲温度で一晩攪拌した。これを減圧下で乾燥するまで蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーでMeOH/DCM混合物(典型的には5/95)で溶出させてした。
(N,N−3−ジエチルアミノプロパンスルホニルクロリド塩酸塩10の調製)
【0325】
【化81】

ジエチルアミン(10ml、96.78mmol)を0℃で攪拌しながら1,3−プロパンスルトン(3.94g、32.26mmol)にゆっくりと添加した。周囲温度まで戻しながら一晩攪拌した。反応混合物をMeOH(100ml)で希釈し、Ambersep900樹脂(30g、75mmol)を添加し、2時間攪拌した。MeOHの30mlアリコートを用いて焼結ガラス上でこの樹脂を洗浄した(洗浄液は捨てた)。次いで、この樹脂を2M HCl(aq)(50ml)で30分間洗浄し、ろ過した。樹脂を2M HCl(aq)(2×50ml)で洗浄した。合わせた酸性溶液を減圧下で蒸発させ、粗生成物であるN,N−3−ジエチルアミノプロパンスルホン酸塩酸塩(8)を白色固体として得た。
【0326】
塩化チオニル(50ml、685mmol)をN,N−3−ジエチルアミノプロパンスルホン酸塩酸塩(8)に添加し、攪拌しながら8時間還流下で加熱した。溶液を周囲温度まで冷却し、減圧下で蒸発させてN,N−3−ジエチルアミノプロパンスルホニルクロリド塩酸塩(9)を灰色/白色の多く水を含んだ固体(7.9g、92%)として得た。生成物を窒素雰囲気下で保存した。
【0327】
(実施例4:(R)−tert−ブチル 3−フェニル−1−(3−(ピリジン−2−イル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)プロピルカルバメートの合成)
【0328】
【化82】

2−シアノピリジン(500mg、1.923mmol)およびヒドラジン水和物(252mg、1.923mmol)をEtOH(3ml)に混合した。透明溶液を15℃(冷蔵庫)に18時間放置した(TLCでモニタリング)。エタノールを減圧下で濃縮し、反応混合物をジエチルエーテル(50ml)および水で希釈した。ジエチルエーテル層を分離し、食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、1/5の体積になるまで減圧下で濃縮した。エーテル性溶液を0℃まで冷却し、得られた固体沈殿をろ過によって集め、減圧下で乾燥し、2−ピリジンアミドラゾン(360mg)を得た。
【0329】
【化83】

Boc保護したホモフェニルアラニン(1.1g、3.012mmol)およびTEA(370mg、3.012mmol)の乾燥THF(10ml)溶液に−5℃でクロロギ酸エチル(400mg)を滴下し、反応混合物を同じ温度で30分間攪拌した。TLCによって活性化したエステルが生成していることを確認した。反応が終了した後、混合物をセライトでろ過して(トリエチルアンモニウム塩酸塩を除去し)、ろ液にアミドラゾン(350mg)を添加し、N雰囲気下RTで5時間攪拌した。反応の進行をTLC分析によってモニタリングした。反応が終了した後、水を添加し、酢酸エチルで混合物を抽出した。有機層を水、食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して環化していない中間体(500mg)を得て、これを精製せずに次の段階で使用した。
【0330】
【化84】

環化していない粗中間体(500mg)をキシレン(キシレンの混合物)に入れ、Dean−Stark条件下で還流させ(175℃)6時間加熱した。反応の進行をTLC分析によってモニタリングし、反応が終了した後、キシレンを減圧下で留去し、粗残渣をシリカゲルを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、所望のトリアゾール320mgを得て、これをMSおよびNMRで確認した。
【0331】
(実施例5:(R)−3−(ジエチルアミノ)−N−(1−(3−(4−フルオロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)−3−フェニルプロピル)プロパン−1−スルホンアミドの合成)
【0332】
【化85】

(4−フルオロベンゾチオアミドの合成)
4−フルオロベンゾニトリル(1)(2.5g、20.1mmol)のTHF:水(5ml:15ml)溶液にジエチルジチオホスフェート(2)(10.5g、60.3mmol)を室温で添加し、反応を80℃で8時間続けた。反応の進行をTLC分析によってモニタリングした。反応混合物に水(25ml)を添加し、化合物を酢酸エチル(2×25ml)で抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して粗チオアミド−3(2.8g)を得て、これを精製することなく次の段階で使用した。
【0333】
(メチル 4−フルオロベンズイミドチオエートの合成)
チオアミド(3)(2.8g、18.2mmol)のアセトニトリル(15ml)溶液にヨウ化メチル(11.7ml、90.3mmol)を室温で添加し、反応を80℃で1時間続けた。反応の進行をTLC分析によってモニタリングした。反応混合物から減圧下で溶媒を除去した。得られた粗残渣をジエチルエーテルを用いて結晶化して精製し、チオメチル誘導体−4(2g)を得た。1H NMR−500MHZ(DMSO−D)δ11.62(1H,bm),8.01(2H,m),7.47(2H,m),2.92(3H,s);MS 170(M+,100%)
((R)−tert−ブチル 1−ヒドラジニル−1−オキソ−4−フェニルブタン−2−イルカルバメートの合成)
Boc−HomoPhe−メチルエステル(5)(3g、10.2mmol)をヒドラジン水和物(99%溶液(10ml)に室温で添加し、反応を80℃で3時間続けた。反応の進行をTLC分析によってモニタリングした。反応物を水で希釈し、ジクロロメタン(2×25ml)で抽出した。有機層を水で洗浄し、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して化合物−6(2.8g)を白色固体として得た。1H NMR−200MHZ(CDCl)δ7.61(1H,bs),7.37−7.21(5H,m),5.14(1H,m),4.04(1H,m),3.81(2H,bs),2.67(2H,t,J=5.2Hz),2.21−1.84(2H,m),1.42(9H,s);MS 294(M+,100%),194(M−Boc,75%)
((R)−tert−ブチル 1−(3−(4−フルオロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)−3−フェニルプロピルカルバメートの合成)
化合物−6(2g、6.82mmol)のエタノール(20ml)溶液に化合物−4(2.88g、17.05mmol)、次いでDIPEA(6.5ml、17.05mmol)を0℃で添加し、反応を80℃で5時間続けた。反応の進行をTLC分析によってモニタリングした。反応混合物から減圧下でエタノールを除去し、得られた残渣を水(10ml)および酢酸エチル(25ml)で洗浄した。有機層を分離し、水で洗浄し、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して化合物−7(2.3g)を得た。1H NMR−200MHZ(CDCl)δ12.01(1H,bm),8.06(2H,m),7.28−7.12(7H,m),5.24(1H,m),4.82(1H,m),2.73(2H,t,J=5.2Hz),2.42−2.18(2H,m),1.44(9H,s);MS 396(M+,100%),296(M−Boc,75%)
(3−(ジエチルアミノ)プロパン−1−スルホニルクロリドの合成)
1,3−プロパンスルトン(5g、40.98mmol)のジクロロメタン(20ml)溶液にジエチルアミン(15ml、204.9mmol)を10℃で滴下し、反応を1時間続けた。反応の進行をTLC分析によってモニタリングした。反応混合物から減圧下でジクロロメタンを除去し、得られた残渣をジエチルエーテルから結晶化し、スルホン酸化合物を固体として得た(4.9g)。1H NMR−200MHZ(CDCl)δ9.44(1H,bm),3.16(6H,m),2.63(2H,t,J=5.2Hz),1.96(2H,m),1.20(6H,t,J=5.2Hz);MS 195(M+,100%)
上述のようにして得られたスルホン酸(4.9g)を塩化チオニル(40ml)に入れ、反応混合物を80℃で5時間攪拌した。反応の進行をTLC分析によってモニタリングした。過剰の塩化チオニルを減圧下で除去し、得られた残渣をトルエン(3×50ml)を用いて窒素雰囲気下で十分に共沸させた。粗残渣をジエチルエーテル(3×10ml)、次いでヘキサン(3×10ml)で十分に洗浄し、純粋な化合物−Aを得て、これを精製せずに次の反応に使用した。
【0334】
((R)−1−(3−(4−フルオロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)−3−フェニルプロパン−1−アミン塩酸塩の合成)
化合物−7(2.3g、5.808mmol)をメタノール性HCl(20%溶液、20ml)に0℃で添加し、室温で反応を3時間続けた。反応の進行をTLC分析によってモニタリングした。反応混合物から減圧下で溶媒を除去し、得られた固体をジエチルエーテルで十分に洗浄し、化合物−8−HCl(2g)を得た。1H NMR−200MHZ(DMSO−D)δ8.71(1H,bm),8.12(2H,m),7.43−7.16(7H,m),4.42(1H,m),2.65(2H,t,J=5.2Hz),2.22(2H,m);MS 297(M+,80%)
((R)−3−(ジエチルアミノ)−N−(1−(3−(4−フルオロフェニル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)−3−フェニルプロピル)プロパン−1−スルホンアミドの合成)
化合物−8(250mg、0.753mmol)のジクロロメタン(5ml)溶液を0℃まで冷却し、この溶液にトリエチルアミン(0.5ml、4.518mmol)を添加した。反応混合物に化合物−A(240mg、1.129mmol)のジクロロメタン(2.5ml)溶液を滴下し、反応混合物を1時間攪拌した。反応の進行をTLC分析によってモニタリングした。反応混合物をジクロロメタン(20ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水および食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して粗物質を得た。粗残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーでメタノール:ジクロロメタン(4:96)を溶出液として精製した。得られた化合物をジクロロメタンに入れ、水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して純粋な濃褐色化合物を得た(155mg)。1H NMR−200MHz(CDOD)δ8.08(2H,m),7.37−7.16(7H,m),4.63(1H,t,J=5.2Hz),2.98(8H,m),2.35(2H,m),1.95(2H,m),1.05(6H,t,J=5.2Hz);MS 473.8(M+,100%)
本発明の多くの実施形態を記載した。しかし、本発明の精神および範囲を逸脱することなく種々の改変がなされることが理解される。従って、これ以外の実施形態も以下の特許請求項の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物であって、ここで、
は、水素、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクリル、シクリルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニルであるか、またはRはRまたはRとともに環を形成することができ;これらはそれぞれ場合により1〜4個のRで置換され;
k’は、単結合、O、C(O)、C(O)O、OC(O)、C(O)NR、NRC(O)、S、SO、SO、CR=CRまたはC≡Cであり;
nは0〜6、好ましくは1〜3であり;
は、水素、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであるか;またはRはRとともに環を形成することができ;
は、水素、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであるか、またはRはR、RまたはRとともに環を形成することができ;これらはそれぞれ場合により1〜2個のR6’で置換され;
Aは
【化2】

であり;
xおよびyはそれぞれ独立して0〜6であり;
Mは、アリール、ヘテロアリール、シクリルまたはヘテロシクリルであり、これらはそれぞれ場合により1〜4個のRで置換され;
およびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクリルまたはヘテロシクリルであるか、またはRとRとでヘテロ環式環を形成することができるか、またはRとRとでアジド部分を形成することができるか、またはRおよびRのうち一方もしくは両方が独立してR7aおよびR7bのうち一方もしくは両方と結合して、RおよびRが結合している窒素とR7aおよびR7bとの間に1個以上の架橋を形成し、それぞれの架橋は1〜5個の炭素原子を含有するか;またはRおよびRのうち一方もしくは両方が独立してR7aおよびR7bのうち一方もしくは両方と結合して、RおよびRが結合している窒素を含有する1個以上のヘテロ環式環を形成することができるか、またはRおよびRのうち一方もしくは両方が独立してRに結合して環を形成することができるか、またはRおよびRのうち一方もしくは両方が独立してRに結合して環を形成することができ;RおよびRはそれぞれ独立して、1〜5個のハロ、1〜3個のヒドロキシ、1〜3個のアルキル、1〜3個のアルコキシ、1〜3個のオキソ、1〜3個のアミノ、1〜3個のアルキルアミノ、1〜3個のジアルキルアミノ(dialklyamino)、1〜3個のニトリルまたは1〜3個のハロアルキルで場合により置換されており;
Yは、単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであり;これらはそれぞれ場合により1〜4個のR10で置換され;
およびR6’は独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、ハロアルキルチオ、アセチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、オキソ、C(O)OR、OC(O)R、N(R、C(O)N(R、NRC(O)RまたはSRであり;
7aおよびR7bはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクリル、シクリルアルキルまたはヘテロシクリルであるか;またはR7aおよびR7bのうち一方もしくは両方が独立してRおよびRのうち一方もしくは両方と結合して、RおよびRが結合している窒素とR7aおよびR7bとの間に1個以上の架橋を形成し、それぞれの架橋は1〜5個の炭素原子を含有するか;またはR7aおよびR7bのうち一方もしくは両方が独立してRおよびRのうち一方もしくは両方と結合して、RおよびRが結合している窒素を含有する1個以上のヘテロ環式環を形成することができるか、またはR7aおよびR7bのうち一方もしくは両方が独立してRに結合して環を形成することができ;R7aおよびR7bはそれぞれ独立して、1〜5個のハロ、1〜3個のヒドロキシ、1〜3個のアルキル、1〜3個のアルコキシ、1〜3個のアミノ、1〜3個のアルキルアミノ、1〜3個のジアルキルアミノ(dialklyamino)、1〜3個のニトリルまたは1〜3個のハロアルキルで場合により置換されており;
は水素またはC〜Cアルキルであるか、またはRはR、R、R7aまたはR7bと結合して環を形成することができ;
は、ハロ、アルキル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、ハロアルキルチオ、アセチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、オキソ、C(O)OR、OC(O)R、N(R、C(O)N(R、NRC(O)R、SRであり;
各R10は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、シアノ、カルボニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、シクリル、シクリルアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−OR11、−NR1111’、−CF、−SOR12、−SO12、−OC(O)R11、−SONR1212’、−(CH14またはR15であり;これらはそれぞれ場合により1〜3個のR16で独立して置換され;
11およびR11’はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールであり;
12およびR12’はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルチオアルキル、アルコキシアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはシクリル、シクリルアルキルであるか、またはR12とR12’とが環化して−(CHX(CH−を形成することができ;R12およびR12’はそれぞれ独立して、ハロゲン、OR11、アルコキシ、ヘテロシクロアルキル、−NR11C(O)NR1111’、−C(O)NR1111’、−NR11C(O)R11’、−CN、オキソ、−NR11SO11’、−OC(O)R11、−SONR1111’、−SOR13、−S(O)13、−COOHおよび−C(O)OR13からなる群から選択される1〜3個の置換基で場合により置換されていてもよく;
各R13は独立して、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらはそれぞれ場合により−(CHOHで置換されていてもよく;
各R14は独立して、アルコキシ、アルコキシカルボニル、−C(O)NR1212’、−NR1111’、−C(O)R12、−NR11C(O)NR1111’または−N−ヘテロアリールであり;
各R15は独立して、−(CHN(R12)C(O)R12’、−(CHCN、−(CHN(R12)C(O)OR12’、−(CHN(R12)C(O)NR1212’、−(CHN(R12)SO12、−(CHSONR1212’、−(CHC(O)NR1212’、−(CHC(O)OR12、−(CHOC(O)OR12、−(CHOC(O)R12、−(CHOC(O)NR1212’、−(CHN(R12)SONR1212’、−(CHOR12、−(CHOC(O)N(R12)(CHOH、−(CHSOR12、−(CHSO12、−(CHNR1111または−(CHOCHC(O)N(R12)(CHOHであり;
各R16は独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、−(CHNR11C(O)NR1111’、−(CHC(O)NR1111’、−(CHNR11C(O)R11’、−CN、−(CHNR11SO11’、−(CHOC(O)R11、−(CHSONR1111’、−(CHSOR13、−(CHCOOHまたは−(CHC(O)OR13であり;
Xは、CR1111’、O、S、S(O)、S(O)またはNR11であり;
mは1〜6の整数であり;
pは0〜5の整数であり;
qおよびsはそれぞれ独立して1〜3の整数であり;
wは0〜5の整数である、
化合物。
【請求項2】
式(I’):
【化3】

の濃縮調製物を含む、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
式(I”):
【化4】

の濃縮調製物を含む、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
nが1であり;
k’が単結合またはOであり;
が、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
nが1であり;
k’がOであり;
がアリールアルキルである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
がフェニルメチルである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
nが2であり;
k’が単結合であり;
がアリールである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
とRとでヘテロ環式環を形成する、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
前記ヘテロ環式環が1〜2個のRで置換されている、請求項8に記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
とRとで環を形成する、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
Aが
【化5】

である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
Aが
【化6】

である、請求項11に記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
Aが
【化7】

であり;
7aおよびR7bがHであり;
xが1であり;
yが0または1である、請求項12に記載の式(I)の化合物。
【請求項14】
AがCHCHまたはCHCHCHであり;
およびRがそれぞれ独立してアルキルであるか、またはRとRとでヘテロ環式環を形成する、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項15】
7aおよびR7bがそれぞれHである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項16】
7aまたはR7bのうち少なくとも1つとRまたはRのうち少なくとも1つとで、RおよびRが結合している窒素を含むヘテロ環式環を形成する、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項17】
7aおよびR7bがそれぞれ独立してアルキルであり;
およびRがそれぞれ独立して水素またはアルキルであり;
xおよびyがそれぞれ独立して0または1である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項18】
【化8】

、一緒になって
【化9】

請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項19】
【化10】

請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項20】
【化11】

請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項21】
【化12】

請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項22】
【化13】

請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項23】
Yが単環式ヘテロ芳香族部分である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項24】
Yが窒素を含有するへテロ芳香族部分である、請求項23に記載の式(I)の化合物。
【請求項25】
Yが窒素を含有する5員のヘテロ芳香族部分である、請求項24に記載の式(I)の化合物。
【請求項26】
Yが少なくとも2個のヘテロ原子を含有するヘテロ環部分である、請求項24に記載の式(I)の化合物。
【請求項27】
Yが少なくとも2個のヘテロ原子を含有する5員のヘテロ環部分である、請求項26に記載の式(I)の化合物。
【請求項28】
Yが少なくとも3個のヘテロ原子を含有するヘテロ環部分である、請求項27に記載の式(I)の化合物。
【請求項29】
Yが1個のR10で置換されている、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項30】
10が隣接する鎖炭素にYが結合している点に対して1,3位にある、請求項29に記載の式(I)の化合物。
【請求項31】
10が隣接する鎖炭素にYが結合している点に対して1,2位にある、請求項29に記載の式(I)の化合物。
【請求項32】
Yがオキサジアゾールまたはトリアゾールである、請求項28に記載の式(I)の化合物。
【請求項33】
式(II)
【化14】

の請求項1に記載の化合物であって、ここで、
、Q、QおよびQはこれらが結合している炭素と共にヘテロアリール部分を形成し、Q、Q、QおよびQはそれぞれ独立して、S、O、N、CR、CR10、NRまたはNR10である、
化合物。
【請求項34】
式(II’):
【化15】

の濃縮調製物を含む、請求項33に記載の式(II)の化合物。
【請求項35】
式(II”):
【化16】

の濃縮調製物を含む、請求項33に記載の式(II)の化合物。
【請求項36】
およびQがそれぞれ独立して、S、O、NまたはNR10である、請求項33に記載の式(II)の化合物。
【請求項37】
およびQがそれぞれ独立して、S、O、NまたはNR10である、請求項33に記載の式(II)の化合物。
【請求項38】
がCRまたはCR10である、請求項33に記載の式(II)の化合物。
【請求項39】
が、S、O、NまたはNR10である、請求項33に記載の式(II)の化合物。
【請求項40】
またはQのうち少なくとも1つがCRまたはCR10である、請求項33に記載の式(II)の化合物。
【請求項41】
、Q、QまたはQのうち少なくとも2つが、S、O、NまたはNR10である、請求項33に記載の式(II)の化合物。
【請求項42】
、QおよびQがそれぞれ独立して、S、O、NまたはNR10である、請求項33に記載の式(II)の化合物。
【請求項43】
がNR10である、請求項42に記載の式(II)の化合物。
【請求項44】
、QまたはQのうち1つがCRである、請求項42に記載の式(II)の化合物。
【請求項45】
がCR10である、請求項42に記載の式(II)の化合物。
【請求項46】
がCRである、請求項42に記載の式(II)の化合物。
【請求項47】
、Q、QおよびQが一緒になって
【化17】

を形成する、請求項33に記載の式(II)の化合物。
【請求項48】
がNRである、請求項47に記載の式(II)の化合物。
【請求項49】
、Q、QおよびQが一緒になって
【化18】

を形成する、請求項33に記載の式(II)の化合物。
【請求項50】
がNR10である、請求項49に記載の式(II)の化合物。
【請求項51】
式(III)
【化19】

の請求項1に記載の化合物であって、ここで、
、Z、Z、ZおよびZが一緒になってアリール部分またはヘテロアリール部分を形成し、Z、Z、Z、ZおよびZはそれぞれ独立して、N、CR10またはCHである、
化合物。
【請求項52】
式(III’):
【化20】

の濃縮調製物を含む、請求項51に記載の式(III)の化合物。
【請求項53】
式(III’):
【化21】

の濃縮調製物を含む、請求項51に記載の式(III)の化合物。
【請求項54】
、Z、Z、ZおよびZのうち1つがNである、請求項51に記載の式(III)の化合物。
【請求項55】
、Z、Z、ZおよびZのうち2つがNである、請求項51に記載の式(III)の化合物。
【請求項56】
、Z、Z、ZおよびZのうち3つがNである、請求項51に記載の式(III)の化合物。
【請求項57】
およびZがNである、請求項51に記載の式(III)の化合物。
【請求項58】
およびZがNである、請求項51に記載の式(III)の化合物。
【請求項59】
およびZがNである、請求項51に記載の式(III)の化合物。
【請求項60】
、ZおよびZのうち2つがNである、請求項51に記載の式(III)の化合物。
【請求項61】
Yが1個の置換基R10で置換されている、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項62】
10がアリールまたはヘテロアリールであり、3個までの独立したR16で場合により置換されている、請求項61に記載の式(I)の化合物。
【請求項63】
10がアリールまたはヘテロアリールである、請求項61に記載の式(I)の化合物。
【請求項64】
10が単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールである、請求項61に記載の式(I)の化合物。
【請求項65】
10がフェニルまたはピリジルである、請求項61に記載の式(I)の化合物。
【請求項66】
10が1〜3個のR16で置換されている、請求項65に記載の式(I)の化合物。
【請求項67】
16が、ハロ、アルキルまたはアルコキシである、請求項66に記載の式(I)の化合物。
【請求項68】
16が、クロロ、フルオロ、メチルまたはメトキシである、請求項67に記載の式(I)の化合物。
【請求項69】
10が二環式ヘテロアリールである、請求項61に記載の式(I)の化合物。
【請求項70】
10がアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである、請求項61に記載の式(I)の化合物。
【請求項71】
10が1〜3個のR16で置換されている、請求項70に記載の式(I)の化合物。
【請求項72】
16が、ハロ、アルキルまたはアルコキシである、請求項71に記載の式(I)の化合物。
【請求項73】
16が、クロロ、フルオロ、メチルまたはメトキシである、請求項72に記載の式(I)の化合物。
【請求項74】
10がR15である、請求項61に記載の式(I)の化合物。
【請求項75】
Yが第2のR10でさらに置換されている、請求項61に記載の式(I)の化合物。
【請求項76】
前記第2のR10が、アルキル、ハロまたはアルコキシである、請求項75に記載の式(I)の化合物。
【請求項77】
式(I)の請求項1に記載の化合物を含む薬学的に受容可能な塩。
【請求項78】
式(I)の請求項1に記載の化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを含む組成物。
【請求項79】
式(I)の請求項1に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む、メタボリック症候群を処置するための方法。
【請求項80】
式(I)の請求項1に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む、糖尿病を処置するための方法。
【請求項81】
式(I)の請求項1に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む、肥満を処置するための方法。
【請求項82】
式(IV)
【化22】

の化合物であって、ここで、
は、水素、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクリル、シクリルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニルであるか、またはRはRまたはRとともに環を形成することができ;これらはそれぞれ場合により1〜4個のRで置換され;
k’は、単結合、O、C(O)、C(O)O、OC(O)、C(O)NR、NRC(O)、S、SO、SO、CR=CRまたはC≡Cであり;
nは0〜6、好ましくは1〜3であり;
は、水素、C〜Cアルキル、C〜CアルケニルまたはC〜Cアルキニルであり;
A’はヘテロシクリルであり;これらは場合により1〜3個のRで置換され;
Yは、単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであり;これらはそれぞれ場合により1〜4個のR10で置換され;
各Rは独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、ハロアルキルチオ、アセチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、オキソ、C(O)OR、OC(O)R、N(R、C(O)N(R、NRC(O)RまたはSRであり;
は、ハロ、アルキル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、ハロアルキルチオ、アセチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、オキソ、C(O)OR、OC(O)R、N(R、C(O)N(R、NRC(O)R、SRであり;
各R10は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、シアノ、カルボニル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、シクリル、シクリルアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、−OR11、−NR1111’、−CF、−SO12、−OC(O)R11、−SONR1212’、−(CH14またはR15であり;これらはそれぞれ場合により1〜3個のR16で独立して置換され;
11およびR11’はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクリル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールであり;
12およびR12’はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルチオアルキル、アルコキシアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはシクリル、シクリルアルキルであるか、またはR12とR12’とが環化して−(CHX(CH−を形成することができ;R12およびR12’はそれぞれ独立して、ハロゲン、OR11、アルコキシ、ヘテロシクロアルキル、−NR11C(O)NR1111’、−C(O)NR1111’、−NR11C(O)R11’、−CN、オキソ、−NR11SO11’、−OC(O)R11、−SONR1111’、−SOR13、−S(O)13、−COOHおよび−C(O)OR13からなる群から選択される1〜3個の置換基で場合により置換されていてもよく;
各R13は独立して、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらはそれぞれ場合により−(CHOHで置換されていてもよく;
各R14は独立して、アルコキシ、アルコキシカルボニル、−C(O)NR1212’、−NR1111’、−C(O)R12、−NR11C(O)NR1111’または−N−ヘテロアリールであり;
各R15は独立して、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、−CN、−(CHN(R12)C(O)R12’、−(CHCN、−(CHN(R12)C(O)OR12’、−(CHN(R12)C(O)NR1212’、−(CHN(R12)SO12、−(CHSONR1212’、−(CHC(O)NR1212’、−(CHC(O)OR12、−(CHOC(O)OR12、−(CHOC(O)R12、−(CHOC(O)NR1212’、−(CHN(R12)SONR1212’、−(CHOR12、−(CHOC(O)N(R12)(CHOH、−(CHSOR12または−(CHOCHC(O)N(R12)(CHOHであり;
各R16は独立して、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、−(CHNR11C(O)NR1111’、−(CHC(O)NR1111’、−(CHNR11C(O)R11’、−CN、−(CHNR11SO11’、−(CHOC(O)R11、−(CHSONR1111’、−(CHSOR13、−(CHCOOHまたは−(CHC(O)OR13であり;Xは、CR1111’、O、S、S(O)、S(O)またはNR11であり;
mは1〜6の整数であり;
pは0〜5の整数であり;
qおよびsはそれぞれ独立して1〜3の整数であり;
wは0〜5の整数である、
化合物。
【請求項83】
式(IV’):
【化23】

の濃縮調製物を含む、請求項82に記載の式(IV)の化合物。
【請求項84】
式(IV”):
【化24】

の濃縮調製物を含む、請求項82に記載の式(IV)の化合物。
【請求項85】
A’が5員または6員のヘテロシクリルである、請求項82に記載の式(IV)の化合物。
【請求項86】
前記5員または6員のヘテロシクリルが少なくとも2個の窒素原子を含む、請求項85に記載の式(IV)の化合物。
【請求項87】
A’が
【化25】

である、請求項85に記載の式(IV)の化合物。
【請求項88】
A’が1個のRで置換されている、請求項82に記載の式(IV)の化合物。
【請求項89】
がN(Rである、請求項88に記載の式(IV)の化合物。
【請求項90】
nが1であり;
k’が単結合またはOであり;
が、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである、請求項82に記載の式(IV)の化合物。
【請求項91】
nが1であり;
k’がOであり;
がアリールアルキルである、請求項82に記載の式(IV)の化合物。
【請求項92】
がフェニルメチルである、請求項82に記載の式(IV)の化合物。
【請求項93】
nが2であり;
k’が単結合であり;
がアリールである、請求項82に記載の式(IV)の化合物。
【請求項94】
Yが単環式ヘテロ芳香族部分である、請求項82に記載の式(IV)の化合物。
【請求項95】
Yが窒素を含有するへテロ芳香族部分である、請求項94に記載の式(IV)の化合物。
【請求項96】
Yが窒素を含有する5員のヘテロ芳香族部分である、請求項95に記載の式(IV)の化合物。
【請求項97】
Yが少なくとも2個のヘテロ原子を含有するヘテロ環部分である、請求項95に記載の式(IV)の化合物。
【請求項98】
Yが少なくとも2個のヘテロ原子を含有する5員のヘテロ環部分である、請求項97に記載の式(IV)の化合物。
【請求項99】
Yが少なくとも3個のヘテロ原子を含有するヘテロ環部分である、請求項97に記載の式(IV)の化合物。
【請求項100】
Yが1個のR10で置換されている、請求項82に記載の式(IV)の化合物。
【請求項101】
10が隣接する鎖炭素にYが結合している点に対して1,3位にある、請求項100に記載の式(IV)の化合物。
【請求項102】
10が隣接する鎖炭素にYが結合している点に対して1,2位にある、請求項100に記載の式(IV)の化合物。
【請求項103】
Yがオキサジアゾールまたはトリアゾールである、請求項82に記載の式(IV)の化合物。
【請求項104】
式(V)
【化26】

の請求項82に記載の化合物であって、ここで
、Q、QおよびQはこれらが結合している炭素と共にヘテロアリール部分を形成し、Q、Q、QおよびQはそれぞれ独立して、S、O、N、CR、CR10、NRまたはNR10である、
化合物。
【請求項105】
式(V’):
【化27】

の濃縮調製物を含む、請求項82に記載の式(V)の化合物。
【請求項106】
式(V”):
【化28】

の濃縮調製物を含む、請求項82に記載の式(V)の化合物。
【請求項107】
およびQがそれぞれ独立して、S、O、NまたはNR10である、請求項104に記載の式(V)の化合物。
【請求項108】
およびQがそれぞれ独立して、S、O、NまたはNR10である、請求項104に記載の式(V)の化合物。
【請求項109】
がCRまたはCR10である、請求項104に記載の式(V)の化合物。
【請求項110】
が、S、O、NまたはNR10である、請求項104に記載の式(V)の化合物。
【請求項111】
またはQのうち少なくとも1つがCRまたはCR10である、請求項104に記載の式(V)の化合物。
【請求項112】
、Q、QまたはQのうち少なくとも2つが、S、O、NまたはNR10である、請求項104に記載の式(V)の化合物。
【請求項113】
、QおよびQがそれぞれ独立して、S、O、NまたはNR10である、請求項104に記載の式(V)の化合物。
【請求項114】
がNR10である、請求項104に記載の式(V)の化合物。
【請求項115】
、QまたはQのうち1つがCRである、請求項104に記載の式(V)の化合物。
【請求項116】
がCR10である、請求項104に記載の式(V)の化合物。
【請求項117】
がCRである、請求項104に記載の式(V)の化合物。
【請求項118】
、Q、QおよびQが一緒になって
【化29】

を形成する、請求項104に記載の式(V)の化合物。
【請求項119】
がNRである、請求項118に記載の式(V)の化合物。
【請求項120】
、Q、QおよびQが一緒になって
【化30】

を形成する、請求項104に記載の式(V)の化合物。
【請求項121】
がNR10である、請求項120に記載の式(V)の化合物。
【請求項122】
式(VI)
【化31】

の請求項82に記載の化合物であって、ここで、
、Z、Z、ZおよびZが一緒になってアリール部分またはヘテロアリール部分を形成し、Z、Z、Z、ZおよびZはそれぞれ独立して、N、CR10またはCHである、
化合物。
【請求項123】
式(VI’):
【化32】

の濃縮調製物を含む、請求項82に記載の式(VI)の化合物。
【請求項124】
式(VI’):
【化33】

の濃縮調製物を含む、請求項82に記載の式(VI)の化合物。
【請求項125】
、Z、Z、ZおよびZのうち1つがNである、請求項122に記載の式(IV)の化合物。
【請求項126】
、Z、Z、ZおよびZのうち2つがNである、請求項122に記載の式(IV)の化合物。
【請求項127】
、Z、Z、ZおよびZのうち3つがNである、請求項122に記載の式(IV)の化合物。
【請求項128】
およびZがNである、請求項122に記載の式(IV)の化合物。
【請求項129】
およびZがNである、請求項122に記載の式(IV)の化合物。
【請求項130】
およびZがNである、請求項122に記載の式(IV)の化合物。
【請求項131】
、ZおよびZのうち2つがNである、請求項122に記載の式(IV)の化合物。
【請求項132】
Yが1個の置換基R10で置換されている、請求項82に記載の式(IV)の化合物。
【請求項133】
10がアリールまたはヘテロアリールであり、3個までの独立したR16で場合により置換されている、請求項132に記載の式(IV)の化合物。
【請求項134】
10がアリールまたはヘテロアリールである、請求項132に記載の式(IV)の化合物。
【請求項135】
10が単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールである、請求項132に記載の式(IV)の化合物。
【請求項136】
10がフェニルまたはピリジルである、請求項132に記載の式(IV)の化合物。
【請求項137】
10が1〜3個のR16で置換されている、請求項132に記載の式(IV)の化合物。
【請求項138】
16が、ハロ、アルキルまたはアルコキシである、請求項137に記載の式(IV)の化合物。
【請求項139】
16が、クロロ、フルオロ、メチルまたはメトキシである、請求項138に記載の式(IV)の化合物。
【請求項140】
10がアリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルである、請求項132に記載の式(IV)の化合物。
【請求項141】
10が1〜3個のR16で置換されている、請求項140に記載の式(IV)の化合物。
【請求項142】
16が、ハロ、アルキルまたはアルコキシである、請求項141に記載の式(IV)の化合物。
【請求項143】
16が、クロロ、フルオロ、メチルまたはメトキシである、請求項142に記載の式(IV)の化合物。
【請求項144】
10が二環式ヘテロアリールである、請求項132に記載の化合物。
【請求項145】
10がR15である、請求項132に記載の式(IV)の化合物。
【請求項146】
Yが第2のR10でさらに置換されている、請求項132に記載の式(IV)の化合物。
【請求項147】
前記第2のR10が、アルキル、ハロまたはアルコキシである、請求項146に記載の式(IV)の化合物。
【請求項148】
式(IV)の請求項82に記載の化合物を含む薬学的に受容可能な塩。
【請求項149】
式(IV)の請求項82に記載の化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを含む組成物。
【請求項150】
式(IV)の請求項82に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む、メタボリック症候群を処置するための方法。
【請求項151】
式(IV)の請求項82に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む、糖尿病を処置するための方法。
【請求項152】
式(IV)の請求項82に記載の化合物を被験体に投与する工程を含む、肥満を処置するための方法。

【公表番号】特表2008−545801(P2008−545801A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516020(P2008−516020)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/022789
【国際公開番号】WO2006/135860
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(506147445)エリクシアー ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】