説明

セキュリティシステム

【課題】車載カメラを有効に活用して家屋の防犯性を向上させることを可能としたセキュリティシステムを提供する。
【解決手段】車両に搭載され、家庭用電源から電力線を介して充電される電源装置と、前記電源装置から電力供給を受けて、前記家庭用電源を提供する家屋の敷地内の少なくとも一部を撮像する車載撮像手段と、前記電力線を用いて家屋側機器ユニットと通信を行う電力線通信手段とを備え、前記電力線を車両に接続することにより前記電源装置を充電しながら前記車載撮像手段で撮像した画像データを前記電力線通信手段を用いて前記家屋側機器ユニットに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋の防犯対策として設置され、撮像手段で撮像した画像データを用いて家屋の周囲を監視するセキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭での防犯意識の高まりから、屋内外に設置した監視カメラの画像データを用いて、不審者の侵入や異常の監視を行うセキュリティシステムを導入する家庭が増えている。例えば特許文献1(特開2003−333212号公報)には、監視カメラで捕らえた映像信号を家屋内のモニタに表示させたり、通信回線を用いて映像信号を携帯電話に送信して表示させる構成が開示されている。このようなセキュリティシステムでは、防犯性能を高めるために敷地内に複数の監視カメラを設置することも多い。
【0003】
一方、カメラの画像データを用いたセキュリティシステムとして、特許文献2(特開平10−230820号公報)には、車載カメラを利用した車両用監視装置が開示されている。車載カメラは、安全対策として車両周辺の監視や走行補助等を目的として多くの車両に設置されている。そこで、これを利用した技術として特許文献2では、車両のショックセンサが動揺を検出したら車載カメラの映像を離れた場所へ無線通信で送信する構成を提案しており、車両の盗難や無断使用を防止することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−333212号公報
【特許文献2】特開平10−230820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1等に示されるようなセキュリティシステムを家庭に導入し、監視カメラを複数台設置するとコストが増大してしまう。一方、監視カメラを少数台しか設置しないと、敷地内に死角が多く生じて防犯性能が低下してしまうという問題があった。
また、特許文献2に示されるように車載カメラを用いた監視装置においては、車載カメラは車両のバッテリから電力が供給されるため、車両がエンジンを停止して駐車している場合バッテリを使い切ってしまうことが考えられるため、長時間の監視には使用できない。
【0006】
そのため本発明においては、車載カメラを有効に活用して家屋の防犯性を向上させることを可能としたセキュリティシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るセキュリティシステムは、車両に搭載され、家庭用電源から電力線を介して充電される電源装置と、前記電源装置から電力供給を受けて、前記家庭用電源を提供する家屋の敷地内の少なくとも一部を撮像する車載撮像手段と、前記電力線を用いて家屋側機器ユニットと通信を行う電力線通信手段とを備え、前記電力線を車両に接続することにより前記電源装置を充電しながら前記車載撮像手段で撮像した画像データを前記電力線通信手段を用いて前記家屋側機器ユニットに送信することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、車載撮像手段で撮像した画像データを電力線通信手段を用いて家屋側機器ユニットに送信するようにしたため、従来は車両駐車中には利用することがなかった車載撮像手段を、家屋の監視用撮像手段として有効に活用できるようになり、撮像手段設置のコストを抑えることが可能となる。また、家屋側機器ユニットで車載撮像手段からの画像データを監視することで車両側の異常も迅速に検出できるため、家屋周辺のみでなく車両の盗難等も監視することができ、より防犯性に優れたセキュリティシステムを構築することができる。
さらに、電力線通信手段を用いているため、車両の電源装置を充電しながら撮像データを家屋側機器ユニットに送信することができ、車載撮像手段を長時間作動させることが可能で監視性能の信頼性を高くすることができる。
【0009】
また、前記家屋側機器ユニットは、前記家屋の敷地内に設置された監視用撮像手段と、前記車両側から送信された前記画像データ及び前記監視用撮像手段で撮像した画像データを画像処理する家屋側画像処理部と、前記家屋側画像処理部で得られた画像処理データに基づいて家屋の異常状態を判定する異常判定部とを有し、前記異常判定部で異常と判定された場合に警報を出力することが好ましい。
なお、家屋の異常状態とは、不審者の侵入や火災の発生等を含むものである。
【0010】
このように、家屋に設置された監視用撮像手段で撮像された画像データと、車両に搭載された車載撮像手段で撮像された画像データとをともに家屋側機器ユニットで処理する構成としているため、それぞれ別個に装置を設ける場合に比べて装置のコンパクト化及び低廉化が可能となる。また、車載撮像手段により監視用撮像手段の設置数が増加したことと同様となり、監視領域が広がるため防犯性を高めることが可能となる。なお、監視用撮像手段及び車載撮像手段は、それぞれ一又は複数設置されていてもよい。さらに、家屋側画像処理部で画像処理した画像処理データに基づいて家屋(敷地内屋外を含む)の異常状態を判定し、警報を出力する構成とすることにより、家屋内に居ながら屋外や他の部屋および車両周辺の異常状態を迅速に把握することが可能となる。
【0011】
また、前記監視用撮像手段は前記車両の駐車位置を撮像するように配置されているとともに、前記車載撮像手段が複数設置されており、前記家屋側機器ユニットは、前記監視用撮像手段で撮像された画像データに基づいて前記車両の向きを特定する車両向き特定部を有し、前記車両向き特定部で特定された前記車両の向きに応じて、前記複数の車載撮像手段で撮像された画像データから前記家屋側機器ユニットに送信する画像データを選択することが好ましい。
このように、複数の車載撮像手段で撮像された画像データから車両の向きに応じて画像を選択して家屋側機器ユニットに送信することにより、電力線を介して送信するデータ容量を小さくでき、通信速度を上げることが可能となるとともに、必要な画像データのみを家屋側機器ユニットに送信することが可能となる。
【0012】
また、前記監視用撮像手段は前記車両の駐車位置を撮像するように配置されており、前記家屋側機器ユニットは、前記監視用撮像手段で撮像された画像データから前記車両の駐車姿勢を検出し、該駐車姿勢に基づいて前記車載撮像手段の撮像範囲を特定する撮像範囲特定部を有することが好ましい。
このように、監視用撮像手段で車両の駐車位置を撮像し、車両の少なくとも一部が撮像された画像データから車両の駐車姿勢を検出し、これに基づいて車載撮像手段の撮像範囲を特定することにより、家屋に固定されていない車載撮像手段であっても画像データの監視位置を把握することができる。このとき、車載撮像手段が家屋敷地内のどの位置を撮像しているかを表示するようにしてもよい。
【0013】
また、前記車両に搭載され、前記車載撮像手段で撮像された画像のうちあらかじめ設定された一部領域を拡大する車両側画像処理部を有し、前記車両側画像処理部で処理された拡大画像を前記電力線を介して前記家屋側機器ユニットに送信することが好ましい。
これは、車両の駐車場によっては、その周辺環境により車載撮像手段の画像の大部分が駐車場の壁や地面のみしか映らず、防犯用に適用しにくい場合も考えられる。したがって上記したように、車両側画像処理部であらかじめ設定された一部領域を拡大した画像データを、必要に応じて高解像度処理等を施して家屋側機器ユニットに送信することにより、家屋側機器ユニットでは防犯用に適した画像データを取得することができる。
【0014】
さらに、前記車両に搭載され、車両周辺の障害物を検知する障害物検知手段をさらに有し、前記障害物検知手段が障害物を検知した場合に前記車載撮像手段で撮像された画像データを前記家屋側機器ユニットに送信することが好ましい。
このように、画像データによる監視とともに車両に搭載されている障害物検知手段を用いて二重に異常検知を行うことにより、防犯性能をより高めることができる。特に、車両に不審人物等が接近した場合に、敷地内への侵入者として検知できる。
【0015】
さらにまた、前記異常判定部は、前記画像データに基づいて異常が判定された場合に前記電力線を介して前記車両側に警告発信制御信号を送信し、該警告発信制御信号に基づいて前記車両のクラクション若しくはヘッドライトを作動させて警告を発することが好ましい。
このように、異常判定部からの警報発生制御信号に基づいて車両に装備されているクラクションやヘッドライトを作動させることにより、安価な装置構成で不審者等に対して警告を発信することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車載撮像手段で撮像した画像データを電力線通信手段を用いて家屋側機器ユニットに送信するようにしたため、従来は車両駐車中には利用することがなかった車載撮像手段を、家屋の監視用撮像手段として有効に活用できるようになり、撮像手段設置のコストを抑えることが可能となる。また、家屋側機器ユニットで車載撮像手段からの画像データを監視することで車両側の異常も迅速に検出できるため、家屋周辺のみでなく車両の盗難等も監視することができ、より防犯性に優れたセキュリティシステムを構築することができる。
さらに、電力線通信手段を用いているため、車両の電源装置を充電しながら撮像データを家屋側機器ユニットに送信することができ、車載撮像手段を長時間作動させることが可能で監視性能の信頼性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るセキュリティシステムを説明する図で、家屋と車両との関係を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係るセキュリティシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】車載カメラの設置例を示す車両の平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るセキュリティシステムの動作を説明するフローチャートである。
【図5】画像データの表示例を示す図であり、(A)は監視カメラの画像データを分割表示した画面で、(B)は監視カメラと車載カメラの画像データを分割表示した画面である。
【図6】障害物検知手段の設置例を示す車両の平面図である。
【図7】本発明の実施形態を応用したセキュリティシステムの動作を説明するフローチャートである。
【図8】車両の入庫の向きを示す平面図であり、(A)はフロントが家屋側に位置する状態を示し、(B)はバックが家屋側に位置する状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実例に記載されている構成部品の形状等は、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0019】
図1は本発明の実施形態に係るセキュリティシステムを説明する図で、家屋と車両との関係を示す概略図である。
本実施形態は、家屋2の周囲に駐車場5が隣接して配設されており、この駐車場5に駐車した車両1の車載カメラ16a、16bを用いて、家屋2又は家屋2以外の敷地を監視するものである。このとき、家屋2の充電用コンセント32と、車両1のコンセント18とを電力線(充電ケーブル)35で接続し、この電力線35により車両1を充電しながら車載カメラ16a、16bで敷地内の少なくとも一部を撮像し、電力線35を介して電力線通信により画像データを家屋2側に送信して監視する。
【0020】
図2を参照して、本発明の実施形態に係るセキュリティシステムの具体的な構成を説明する。ここで、図2は本発明の実施形態に係るセキュリティシステムの構成を示すブロック図である。
【0021】
セキュリティシステム100は、車両側機器ユニット10として、主に、バッテリ(電源装置)11と、充電制御部12と、通信制御部13と、撮像制御部14と、車両側画像処理部15と、車載カメラ16(16a、16b、…)と、コンセント18とを有する。
一方、家屋側機器ユニット20として、主に、配電盤21と、通信制御部22と、コントローラ23と、家屋側画像処理部24と、異常判定部25と、表示部28と、記録部29と、警報装置31と、監視カメラ30(30a、30b、…)と、コンセント32とを有する。
【0022】
なお、本実施形態に用いられる車両は、プラグイン車又はプラグインハイブリッド車である。
車両側機器ユニット10の各構成要素は以下の通りである。
バッテリ11は、車両の走行用モータに電力を供給して動力を得る。ただし、バッテリ11は、車両の動力だけでなく、車載カメラ16やカーナビなど車内の全ての機器に電力を供給する。
充電制御部12は、コンセント18を介して車両に電源が供給されているか否かを検出するとともに、バッテリ11の電圧(残容量)を検出して検出値に基づき充電を行う。
【0023】
撮像制御部14は、車載カメラ16を動作全般を制御する。該撮像制御部14は、電源の接続を検出したら監視モードとして起動するか若しくは他のモードから監視モードに移行し、車載カメラ16による撮像を開始する。
車両側画像処理部15は、車載カメラ16で撮像した画像データに対して、ノイズリダクションやディストレーション補正などの画像処理を行う。好ましくは、車両側画像処理部15では、車載カメラ16で撮像された画像のうちあらかじめ設定された一部領域を拡大する処理を行う。
【0024】
通信制御部13は、画像処理部15で画像処理された画像データを電力線に重畳して、車両側コンセント18と家屋側コンセント32、電力線35を介して電力線通信により家屋の通信制御部22に送信する。
ここで電力線通信(PCL)とは、電力を送る電力線35に情報信号を乗せて送ることができるので電力線35を通信回線としても利用することができる公知の技術である。電力線通信を実施する電力線通信手段は、主に、コンセント18、32と、通信制御部13、22と、電力線35とからなる。情報送信側の通信制御部では、送信する情報を電力線35に重畳し受信側の通信制御部に送る。受信側の通信制御部では、電力からデジタル情報信号を分波し、画像データや制御信号等の情報を取得する。車両側機器ユニット10から家屋側機器ユニット20への情報送信、家屋側機器ユニット20から車両側機器ユニット10への情報送信の何れも可能である。
【0025】
車載カメラ16は、車両1の周辺画像を取得可能な一又は複数のカメラからなる。図3は車載カメラの設置例を示す車両の平面図であり、撮像方向に応じてフロントビューカメラ16a、バックビューカメラ16b、左サイドビューカメラ16c及び右サイドビューカメラ16dの4種類のカメラから構成されている。好ましくは、車載カメラ16には広域を撮像できる広角レンズが用いられる。なお、図中1Aは車両のフロント側、1Bは車両のバック側を示す。
【0026】
家屋側機器ユニット20の各構成要素は以下の通りである。なお、家屋側機器ユニット20は、既存の家屋専用セキュリティシステムを流用してもよい。
配電盤21は、商用電力系統からの電力が供給され、ここから家屋内の各種電気機器や車両充電用のコンセント32に電力が供給される。
通信制御部22は、画像データやカメラ制御のコマンド等の通信を制御する。
監視カメラ30は、家屋2又は敷地内屋外の画像を取得可能な一又は複数のカメラからなる。
【0027】
コントローラ23は、家屋2の屋内外に設置された監視カメラ30の動作を制御する。監視カメラ30からコントローラ23までは、Ethernet(登録商標)やIEEE1394などのインターフェースを介して画像の転送が行われるようになっている。
家屋側画像処理部24は、車載カメラ16や監視カメラ30で撮像された画像データに対してノイズリダクションや人物の顔認識などの画像処理を行う。
異常判定部25は、画像処理部24で画像処理した画像処理データに基づいて家屋の異常状態を判定する。この異常判定部25は、コントローラ23又は画像処理部24内に組み込まれていてもよい。なお、家屋の異常状態とは、敷地内への不審者の侵入や火災の発生等を含むものである。
【0028】
表示部28は、画像処理部24で画像処理されたデータを、液晶画面などの表示モニタに表示する。
記録部29は、画像処理部24で画像処理したデータを記録する。
警報装置31は、異常判定部25で異常有りと判定されたときに、音や光などで住居者に警報するとともに、不図示の通信回線を介して警備会社などに通報する。
【0029】
次に、図4のフローチャートを参照しながら、本発明の実施形態に係るセキュリティシステムの動作を説明する。
電気自動車(車両)1は、走行によって使用した電力をバッテリ11に充電する必要がある。そこで、車両1を家屋2周囲に隣接した駐車場5に駐車した時、家屋2(又は駐車場5)に設置された充電用コンセント32に接続された電力線35を、車両1のコンセント18に接続する。
【0030】
電力は、屋外の商用電力系統から各家屋2に分配され、配電盤21を経由して充電用コンセント32に供給されている。車両1の充電制御部12は、コンセント18を介して電源が供給されているかを検出するとともに、バッテリ11の電圧を検出し、充電を開始する。
【0031】
車両側機器ユニット10の通信制御部13は、車両1のコンセント18に電力線35が接続された否かを判断する(S11)。コンセント18に電力線35が接続されていない場合、セキュリティシステム100は屋内外の監視カメラ30のみで監視を行う(S12)。一方、コンセント18に電力線35が接続された場合、これをトリガーとして撮像制御部14により車載カメラ16を監視モードで起動する(S13)。
【0032】
そして、車載カメラ16で少なくとも家屋敷地内の一部を撮像範囲として撮像し、撮像した画像データは必要に応じて画像処理部15でノイズリダクションやディストレーション補正等の画像処理を行う。このとき、車載カメラ16で撮像された画像のうちあらかじめ設定された一部領域を拡大する処理を行うことが好ましい。このように、画像処理部15であらかじめ設定された一部領域を拡大した画像データを、必要に応じて高解像度処理等を施して家屋側機器ユニット20に送信することにより、家屋側機器ユニット20では防犯用に適した画像データを取得することができる。なお、車両側機器ユニット10の各種設定、例えば使用する車載カメラ16の選択や画像処理部15における拡大範囲の設定は、家屋側機器ユニット20で行えるようにしてもよい。この場合、コントローラ23に入力手段(図示略)を接続し、この入力手段から各種設定を行うようにする。入力手段は、キーボードであってもよいし、タッチパネルであってもよい。
ここで撮像された画像データは通信制御部13に送られ、さらに画像データは電力線35に重畳され、電力線通信により屋内側機器ユニット20の通信制御部22へ送信される(S14)。
【0033】
一方、屋内側機器ユニット20では、複数の監視カメラ30により屋内外を撮像している。電力線35を介して車載カメラ16の画像データを受信したら、この車載カメラ16の画像データを監視カメラ30の画像データとともに画像処理部24で画像処理する。画像処理は、ノイズリダクションや人物の顔認識などの周知の画像処理の中から適宜、目的に応じた最適な画像処理手法が選択される(S15)。画像処理した画像データは一旦記憶部29に記憶され、適宜表示部28にモニタ表示させることができる(S16)。
【0034】
図5は画像データの表示例を示す図である。図5(A)は監視カメラの画像データを分割表示した画面である。これは、屋内側機器ユニット20が車両側機器ユニット10から画像データを取得できなかった場合や、表示部28への表示設定で監視カメラ30の画像データのみを表示する設定とした場合などである。図5(B)は監視カメラと車載カメラの画像データを分割表示した画面である。これは、屋内側機器ユニット20が車両側機器ユニット10から画像データを取得できた場合で且つ監視カメラ30と車載カメラ16の画像データを表示する設定とした場合である。同図では、右上の枠内が車載カメラ16の画像データであり、他の枠内が監視カメラ30の画像データである。このように、表示部28への表示設定は、前記入力手段(図示略)で行うようにしてもよい。さらに、複数の画像データにおいてその撮像範囲が一部重複する場合には、画像処理部24で画像合成して表示してもよい。
【0035】
次いで、画像処理されたデータに基づいて、異常判定部25にて不審者の侵入等の異常状態の判定を行う(S17)。このように異常判定部25で異常の有無を判定し(S18)、異常有りと判定された場合、警報装置31は音や光などで住居者に警報する(S19)。このとき、通信回線を介して警備会社などの外部システムに通報する構成としてもよい。
【0036】
車両1の充電制御部12が、車両1と電源の接続が断たれたことを検出すると、撮像制御部14は監視モードでの動作から通常の駐車中の状態へ遷移するとともに、コントローラ23は車載カメラ16からの画像データの伝送が止まったことを検出すると、車載カメラ16を監視対象から外す。
【0037】
本実施形態のセキュリティシステム100によれば、車載カメラ16で撮像した画像データを通信制御部13を用いて家屋側機器ユニット20に送信するようにしたため、従来は車両駐車中には利用することがなかった車載カメラ16を、家屋の監視カメラ30の一部として有効に活用でき、カメラ設置コストを抑えることが可能となる。また、家屋側機器ユニット20で車載カメラ16からの画像データを監視することで車両1の異常も迅速に検出できるため、家屋2周辺のみでなく車両1の盗難等も監視することができ、より防犯性に優れたセキュリティシステム100を構築することができる。
さらに、電力線通信手段を用いているため、車両1のバッテリ11を充電しながら撮像データを屋内側機器ユニット20に送信することができ、車載カメラ16を長時間作動させることが可能で監視性能の信頼性を高くすることができる。
【0038】
また、家屋2に設置された監視カメラ30で撮像された画像データと、車両1に搭載された車載カメラ16で撮像された画像データとをともに家屋側機器ユニット20で処理する構成としているため、それぞれ別個に装置を設ける場合に比べて装置のコンパクト化及び低廉化が可能となる。また、車載カメラ16により監視カメラ30の設置数が増加したことと同様となり、監視領域が広がるため防犯性を高めることが可能となる。さらに、家屋側機器ユニット20で画像処理した画像処理データに基づいて家屋2(敷地内屋外を含む)の異常状態を判定し、警報を出力する構成とすることにより、家屋2内に居ながら屋外又は他の部屋および車両周辺の異常状態を迅速に把握することが可能となる。
【0039】
上記した構成に加えて、本実施形態では、撮像制御部14が監視モードに切り替わったとき、車両1が具備する障害物検知手段17を起動し、車両周囲の物体(侵入者を含む)の接近を検知する構成としてもよい。この障害物検知手段17は、例えば超音波センサが用いられ、検知情報は電力線35を介してコントローラ23に送信される。図6は障害物検知手段17の設置例を示す車両1の平面図である。車両1の4隅に障害物検知手段17a〜17dを設置し、車両のほぼ全周にわたって障害物の検知を行うことが好ましい。
このように、画像データによる監視とともに車両に搭載されている障害物検知手段17を用いて二重に異常検知を行うことにより、防犯性能をより高めることができる。特に、車両に不審者が接近した場合に、敷地内への侵入者として検知できる。
【0040】
さらに、夜間や天気の悪い日等のように周囲が暗い場合には、車両1に搭載された照明(図示略)を照射し、これを照明光として車載カメラ16で撮像を行うことが好ましい。このとき、照明は車両に既設のヘッドライト、フォグライト等を用いてもよい。また、車両1は照度センサを具備していることが好ましく、これにより車両周囲の照度を検出し、検出された照度があらかじめ設定されたしきい値以下であり且つ撮像制御部14が監視モードに設定されている場合に照明を照射する。これにより、車載カメラ16によって、より明瞭な画像データを取得することができ、防犯性が向上する。
【0041】
さらにまた、家屋側機器ユニット20の異常判定部25で、画像データ又は障害物検知情報に基づいて異常ありと判定された場合に、電力線35を介して車両側へ警告発信制御信号を送信し、該警告発信制御信号に基づいて前記車両1のクラクション若しくはヘッドライトを作動させて警告を発することが好ましい。
このように、異常判定部25からの警報発生制御信号に基づいて車両に装備されているクラクションやヘッドライトを作動させることにより、安価な装置構成で不審者等に対して警告を発信することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態のセキュリティシステム100は、図2に示すように、家屋側機器ユニット20が、監視カメラ30で撮像された画像データに基づいて車両1の向きを特定する車両向き特定部26を有していてもよい。このとき、監視カメラ30は車両1の駐車位置を撮像するように配置されているとともに、車載カメラ16は複数設置されているものとする。
【0043】
図7を参照して、車両向き特定部26を有するセキュリティシステム100の動作を説明する。ここで、図7は本発明の実施形態を応用したセキュリティシステムの動作を説明するフローチャートである。
セキュリティシステム100が作動しているとき、家屋側機器ユニット20の監視カメラ30により家屋2の屋内外を撮像して監視している(S21)。このとき、監視カメラ30の少なくとも一台のカメラは、駐車場5を撮像するように設置されている。
【0044】
さらに、コントローラ23は、駐車場5を撮像している監視カメラ30a(図1参照)の画像データに基づいて、駐車場5に車両1が入庫しているか否かを判断し(S22)、車両1が入庫していない場合は監視カメラ30による監視を続行する。車両1が入庫している場合には、さらに監視カメラ30aの画像データに基づいて、車両向き特定部26により車両1の入庫の向きを特定する(S23)。これは、図8(A)に示すように、車両1のフロント1Aが家屋2側に向いているとき、監視カメラ30aでは車両1のフロント側画像が撮像される。一方、図8(B)に示すように、車両1のバック1Bが家屋2側に向いているとき、監視カメラ30aでは車両1のバック側画像が撮像される。このようにして撮像された画像データを用いて、車両向き特定部26で特徴抽出、パターン認識等の公知の画像認識手法から適宜選択して画像認識を行うことにより車両1の入庫の向きを特定する。
【0045】
次いで、車両側機器ユニット10の充電制御部12で、車両1に電力線35が接続されているか否かを検出し(S24)、電力線35が接続されていない場合は監視カメラ30による監視を続行する。電力線35が接続されている場合は、車両1の向きに応じて、複数の車載カメラ16a〜16dのうちどのカメラの画像データを家屋側機器ユニット20で取得するかをコントローラ23で選択する(S25)。そして、電力線35を介して、前記選択された車載カメラ16の画像データ要求信号を車両側機器ユニット10側に送信する。
【0046】
車両側機器ユニット10の通信制御部13は、画像データ要求信号に基づいて、前記選択された車載カメラ16の画像データを家屋側機器ユニット20に送信する(S26)。
家屋側機器ユニット20では、受信した画像データを画像処理して適宜表示部28に表示したり(S27)、異常判定部25で異常判定を行ったりする。
このように、複数の車載カメラ16で撮像された画像データから車両1の入庫の向きに応じて画像データを選択して家屋側機器ユニット20に送信することにより、電力線35を介して送信するデータ容量を小さくでき、通信速度を上げることが可能となるとともに、必要な画像データのみを家屋側機器ユニット20に送信することが可能となる。
【0047】
さらに、本実施形態のセキュリティシステム100は、家屋側機器ユニット20が、監視カメラ30で撮像された車両の駐車状態に基づいて車載カメラ16の撮像範囲を特定する撮像範囲特定部27を有していてもよい。
これは、監視カメラ30で車両1の駐車位置を撮像し、車両1の少なくとも一部が撮像された画像データから車両1の駐車姿勢を検出し、これに基づいて車載カメラ16の撮像範囲を特定することにより、家屋2に固定されていない車載カメラ16であっても画像データの監視位置を把握することができる。このとき、画像データとともに、車載カメラ16が家屋敷地内のどの位置を撮像しているかを表示部29に重畳表示してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 車両
2 家屋
10 車両側機器ユニット
11 バッテリ
12 充電制御部
13 車両側通信制御部
14 撮像制御部
15 車両側画像処理部
16、16a、16b、16c、16d 車載カメラ
17 障害物検知手段
20 家屋側機器ユニット
22 家屋側通信制御部
23 コントローラ
24 家屋側画像処理部
25 異常判定部
26 車両向き特定部
27 撮像範囲特定部
30、30a、30b、30c 監視カメラ
31 警報装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、家庭用電源から電力線を介して充電される電源装置と、
前記電源装置から電力供給を受けて、前記家庭用電源を提供する家屋の敷地内の少なくとも一部を撮像する車載撮像手段と、
前記電力線を用いて家屋側機器ユニットと通信を行う電力線通信手段とを備え、
前記電力線を車両に接続することにより前記電源装置を充電しながら前記車載撮像手段で撮像した画像データを前記電力線通信手段を用いて前記家屋側機器ユニットに送信することを特徴とするセキュリティシステム。
【請求項2】
前記家屋側機器ユニットは、
前記家屋の敷地内に設置された監視用撮像手段と、
前記車両側から送信された前記画像データ及び前記監視用撮像手段で撮像した画像データを画像処理する家屋側画像処理部と、
前記家屋側画像処理部で得られた画像処理データに基づいて家屋の異常状態を判定する異常判定部とを有し、
前記異常判定部で異常と判定された場合に警報を出力することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティシステム。
【請求項3】
前記監視用撮像手段は前記車両の駐車位置を撮像するように配置されているとともに、前記車載撮像手段が複数設置されており、
前記家屋側機器ユニットは、前記監視用撮像手段で撮像された画像データに基づいて前記車両の向きを特定する車両向き特定部を有し、前記車両向き特定部で特定された前記車両の向きに応じて、前記複数の車載撮像手段で撮像された画像データから前記家屋側機器ユニットに送信する画像データを選択することを特徴とする請求項2に記載のセキュリティシステム。
【請求項4】
前記監視用撮像手段は前記車両の駐車位置を撮像するように配置されており、
前記家屋側機器ユニットは、前記監視用撮像手段で撮像された画像データから前記車両の駐車姿勢を検出し、該駐車姿勢に基づいて前記車載撮像手段の撮像範囲を特定する撮像範囲特定部を有することを特徴とする請求項2に記載のセキュリティシステム。
【請求項5】
前記車両に搭載され、前記車載撮像手段で撮像された画像のうちあらかじめ設定された一部領域を拡大する車両側画像処理部を有し、前記車両側画像処理部で処理された拡大画像を前記電力線を介して前記家屋側機器ユニットに送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のセキュリティシステム。
【請求項6】
前記車両に搭載され、車両周辺の障害物を検知する障害物検知手段をさらに有し、
前記障害物検知手段が障害物を検知した場合に前記車載撮像手段で撮像された画像データを前記家屋側機器ユニットに送信することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のセキュリティシステム。
【請求項7】
前記異常判定部は、前記画像データに基づいて異常が判定された場合に前記電力線を介して前記車両側に警告発信制御信号を送信し、該警告発信制御信号に基づいて前記車両のクラクション若しくはヘッドライトを作動させて警告を発することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載のセキュリティシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−232877(P2011−232877A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101157(P2010−101157)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】