説明

セキュリティ管理システム、セキュリティ管理装置、及びセキュリティ管理方法

【課題】状況に応じたセキュリティ設定の変更が可能なセキュリティ管理システム、セキュリティ管理装置、及びセキュリティ管理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のセキュリティ管理システムは、対象12に付される無線タグ28と、無線タグと所定の通信周期で通信する無線リーダー24と、無線リーダー24を備えたセキュリティ管理装置11と、から構成され、セキュリティ管理装置11は、無線タグ28と無線リーダー24との通信の状態を監視するとともに通信異常を検出する監視手段26と、監視手段26によって通信異常が検出された場合に警報を発する警報手段27と、無線リーダー24及び監視手段26に電源を供給する電源部23と、通信周期の設定変更が可能な周期変更手段25と、を具備してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信によって物品の盗難や紛失を未然に防ぐためのセキュリティ管理システム、セキュリティ管理装置、及びセキュリティ管理方法に関し、特に、RFID(Radio Frequency Identification)通信を用いたセキュリティ管理システム、セキュリティ管理装置、及びセキュリティ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、物品は盗難や紛失の危険性があるが、USBメモリや携帯電話などの携帯機器等は、特に盗難や紛失の危険性が高い。
従来は、携帯機器等とストラップなどの付属品を物理的に接続し身に付けておくことで紛失を防止していた。しかし、ストラップなどの付属品を外して他の情報機器等に接続して使用した際にそのまま放置してしまった場合や、ストラップなどの付属品で身に付けていたにも関わらず何らかの外的要因により外れてしまった場合に紛失する可能性は十分にあり、その結果、機密情報の流出等の問題が多発している。
また、携帯機器の盗難及び紛失に気付いたときには、紛失した時間や場所を正確に特定できず探し出すことは困難となり、結果として機密情報の流出等セキュリティ上の課題があった。
【0003】
そこで、ICタグやRFIDタグなどを物品に付し、無線通信によって物品の管理を行なうセキュリティ管理システム、セキュリティ管理装置、及びセキュリティ管理方法などが開発されている。
例えば、特許文献1には、無線通信によりICタグを検知するICタグ検知装置、及び当該ICタグ検知装置を備えた携帯電話機が開示されている。
また、特許文献2には、ICタグを用いたセキュリティーシステム及びそのプログラムが開示されている。
また、特許文献3には、アンチコリジョン機能をもったRFIDタグリーダとBluetooth(登録商標)等の無線通信部を備えた携帯情報端末、その携帯情報端末と無線通信する通信ユニット、及び、それら携帯情報端末及び通信ユニットを備えた携行品確認システムが開示されている。
また、特許文献4には、携行品等の物品と共に持ち運ばれ当該物品に付された無線タグに基づいて当該物品の存在を監視する監視装置、及びそれを用いた物品監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−13789号公報
【特許文献2】特開2004−287713号公報
【特許文献3】特開2007−316928号公報
【特許文献4】特開2008−234115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの従来技術では通信周期が固定されており、例えば、移動中などの携帯機器を紛失する確率が高い場合や、当該携帯機器をデスクで使用中などの紛失する確率の低い場合など、状況に応じてセキュリティ設定を変更することは困難であった。そのため、セキュリティ性の向上、電源消費及びバッテリー節約などの面で課題があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、携帯機器とストラップなどの付属品が物理的に離れている場合でもセキュリティ性が高く、電源消費を抑制できるとともに、状況に応じたセキュリティ設定の変更が可能なセキュリティ管理システム、セキュリティ管理装置、及びセキュリティ管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討した結果、セキュリティ管理装置に周期変更手段を備え、周期変更手段によって通信周期の設定変更を可能とすることで、上記課題を解決することを見出した。すなわち、本発明は以下の構成を採用する。
【0008】
本発明のセキュリティ管理システムは、対象に付される無線タグと、前記無線タグと所定の通信周期で通信する無線リーダーと、前記無線リーダーを備えたセキュリティ管理装置と、から構成され、前記セキュリティ管理装置は、前記無線タグと前記無線リーダーとの通信の状態を監視するとともに通信異常を検出する監視手段と、前記監視手段によって通信異常が検出された場合に警報を発する警報手段と、前記無線リーダー及び前記監視手段に電源を供給する電源部と、前記通信周期の設定変更が可能な周期変更手段と、を具備してなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のセキュリティ管理システムにおいては、前記無線タグはRFIDタグであり、前記無線リーダーはRFIDリーダーであることが好ましい。
【0010】
また、本発明のセキュリティ管理システムにおいては、前記RFIDタグはパッシブ型RFIDタグであることが好ましい。
【0011】
また、本発明のセキュリティ管理システムにおいては、前記セキュリティ管理装置は、可搬式情報通信機器であることが好ましい。
【0012】
また、本発明のセキュリティ管理システムにおいては、前記周期変更手段は、前記セキュリティ装置の振動を感知する振動センサーを備え、この振動センサーの検出信号によって周期を変更することが好ましい。
【0013】
また、本発明のセキュリティ管理システムにおいては、前記振動センサーにより、所定以上の振動が検出された場合は周期を短くし、検出されない場合には周期を長くすることが好ましい。
【0014】
また、本発明のセキュリティ管理システムにおいては、前記警報手段は、前記警報としてブザー音、着信音、着信発光、着信振動の少なくともいずれか一つを発することが好ましい。
【0015】
また、本発明のセキュリティ管理システムにおいては、前記無線タグは、可搬式機器に装備されていることが好ましい。
【0016】
本発明のセキュリティ管理装置は、対象に付される無線タグと所定の通信周期で通信する無線リーダーと、前記通信の状態を監視するとともに通信異常を検出する監視手段と、前記監視手段によって通信異常が検出された場合に警報を発する警報手段と、前記無線リーダー及び前記監視手段に電源を供給する電源部と、前記通信周期の設定変更が可能な周期変更手段とを具備してなることを特徴とする。
【0017】
本発明のセキュリティ管理方法は、対象に付される無線タグと、前記無線タグと所定の通信周期で通信する無線リーダーと、前記無線リーダーを備えたセキュリティ管理装置と、から構成されるセキュリティ管理システムのセキュリティ管理方法であって、前記セキュリティ管理装置が、周期変更手段によって前記通信周期を設定するステップと、前記無線タグと前記無線リーダーとの通信状態を監視するステップと、前記通信状態が正常であれば前記通信を継続し、前記通信状態が異常であれば通信異常として検出するステップと、前記通信異常が検出された場合に警報を発するステップと、を具備してなることを特徴とする。
【0018】
また、本発明のセキュリティ管理方法においては、前記通信周期を設定するステップは、振動センサーによって前記セキュリティ装置の振動の有無を感知するステップと、感知された前記振動の有無によって前記通信周期を自動設定するステップと、を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、セキュリティ管理システムにおいて、セキュリティ管理装置が、無線タグと無線リーダーとの通信の状態を監視するとともに通信異常を検出する監視手段と、監視手段によって通信異常が検出された場合に警報を発する警報手段と、前記無線リーダー及び前記監視手段に電源を供給する電源部と、通信周期の設定変更が可能な周期変更手段と、を具備してなることにより、警報によって対象の紛失または盗難の危険性に気付くことができ、それらを未然に防ぐことが可能であるとともに、周期変更手段によって通信周期をユーザーが設定できるため、状況に応じたセキュリティ設定の調整が可能である。そのため、セキュリティ管理の必要性が低いときは通信周期を短くすることで、無線リーダーや監視手段を間欠動作でき、セキュリティ管理装置の電源消費を抑制できバッテリーの節約が可能となる。
【0020】
また、本発明のセキュリティ管理システムによれば、無線タグはRFIDタグであり、無線リーダーはRFIDリーダーであることにより、RFID通信によってセキュリティ管理が行なえるため、従来と比較して情報の更新や追加が簡便である上、複数固体を一括認識することが可能となる。
【0021】
また、本発明のセキュリティ管理システムによれば、RFIDタグはパッシブ型RFIDタグであることにより、タグが付される対象には電源を搭載する必要がないため、対象となる機器や装置等のサイズを縮小・軽量化できるとともに製造コストを削減できる。
【0022】
また、本発明のセキュリティ管理システムによれば、セキュリティ管理装置は、可搬式情報通信機器であることにより、ユーザーが常に携帯することができ、セキュリティ管理が容易となる。
【0023】
また、本発明のセキュリティ管理システムによれば、周期変更手段は、セキュリティ装置の振動を感知する振動センサーを備え、この振動センサーの検出信号によって周期を変更することで、感知された振動の有無によって、セキュリティ管理装置が移動中であるか静止中であるかを判断でき、状況に応じたセキュリティ設定を自動的に行なうことが可能となる。そのため、手動による設定変更の煩わしさもなく、無線リーダー及び監視手段を間欠動作させることができ、電源消費を抑制できバッテリーの節約が可能となる。
【0024】
また、本発明のセキュリティ管理システムによれば、振動センサーにより、所定以上の振動が検出された場合は周期を短くし、検出されない場合には周期を長くすることで、状況に応じたセキュリティ設定を自動的に行なうことができ、手動による設定変更の煩わしさもなく、無線リーダー及び監視手段を間欠動作させることができ、電源消費を抑制できバッテリーの節約が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るセキュリティ管理システムの構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるUSBメモリ管理機器及びUSBメモリ本体部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるUSBメモリ管理機器による処理動作の流れを示すフローチャート図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における携帯電話及びUSBメモリ本体部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第3の実施形態におけるUSBメモリ管理機器及びUSBメモリ本体部の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第3の実施形態におけるUSBメモリ管理機器による処理動作の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明のセキュリティ管理システムは、対象に付される無線タグと、前記無線タグと所定の通信周期で通信する無線リーダーと、前記無線リーダーを備えたセキュリティ管理装置と、から構成され、前記セキュリティ管理装置は、前記無線タグと前記無線リーダーとの通信の状態を監視するとともに通信異常を検出する監視手段と、前記監視手段によって通信異常が検出された場合に警報を発する警報手段と、前記無線リーダー及び前記監視手段に電源を供給する電源部と、前記通信周期の設定変更が可能な周期変更手段と、を具備してなることを特徴とする。
【0027】
《第1の実施形態》
本発明の第1の実施形態であるセキュリティ管理システムについて説明する。
【0028】
「セキュリティ管理システム」
図1は、本発明の第1の実施形態であるセキュリティ管理システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態であるセキュリティ管理システムは、USBメモリ管理機器(セキュリティ管理装置)11が、対象であるUSBメモリ本体部12をRFID通信(通信)によってセキュリティ管理を行なう。
USBメモリ管理機器11は、通信エリア13においてUSBメモリ本体部12と通信が可能である。図中のrは通信可能エリア13の半径を示し、dはUSBメモリ管理機器11とUSBメモリ本体部12間の距離を示す。
【0029】
次に、本発明の第1の実施形態であるセキュリティ管理システムにおける主要な構成要素について詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施形態におけるUSBメモリ管理機器11及びUSBメモリ本体部12の構成を示すブロック図である。
【0030】
「USBメモリ管理機器(セキュリティ管理装置)」
図2に示すように、USBメモリ管理機器11は、USBメモリ本体部12に内蔵されたRFIDタグ(無線タグ)28と所定の通信周期でRFID通信するRFIDリーダー(無線リーダー)24と、RFIDタグ28とRFIDリーダー24間におけるRFID通信の状態を監視するとともに通信異常を検出する通信状態監視部(監視手段)26と、通信状態監視部26によって通信異常が検出された場合にブザー音(警報)を発するブザー回路部(警報手段)27と、RFIDリーダー24及びブザー回路部27に電源を供給する電源部23と、RFID通信の通信周期を設定変更することが可能なタイマー回路部(周期変更手段)25と、から概略構成されている。
【0031】
USBメモリ管理機器11は、特に限定されるものではないが、例えば、USBメモリ本体部12のコネクタに装着するキャップ部及びストラップ部等の付属品にRFIDリーダー24を装備したものであってもよい。あるいは、それらの付属品にUSBメモリ管理機器11を装着してもよい。また、USBメモリ管理機器11には、当該システムの各種動作制御を行なうためのプログラムが組み込まれていてもよい。
【0032】
RFIDリーダー24は、USBメモリ本体部12に内蔵されたRFIDタグ28と所定の通信周期でRFID通信する。なお、このときの通信周期は、タイマー回路部25によって設定される。
【0033】
無線リーダーとしてRFIDリーダーを用いることで、RFID通信によってセキュリティ管理が行なえるため、従来と比較して情報の更新や追加が簡便である上、複数固体を一括認識することが可能であり、USBメモリ本体部12の他にも、複数のRFIDタグをそれぞれ複数の対象に付して、それらの対象のセキュリティ管理を行うことができる。
【0034】
また、RFIDリーダー24の代わりに、その他の無線電波によって通信する無線リーダーを用いてもよい。その場合、USBメモリ本体部12にいては、RFIDタグ28の代わりに、使用される無線電波の種類に対応した無線タグを用いる。
【0035】
タイマー回路部25は、RFIDタグ28とRFIDリーダー24間におけるRFID通信の通信周期を設定変更することが可能である。タイマー回路部25におけるタイマー値の設定は、ユーザーによって適宜設定できるものとする。そのため、状況に応じたセキュリティ設定の調整が可能である。
【0036】
例えば、USBメモリ本体部12を使用中のときは通信周期を長めに設定し、移動中のときは通信周期を短めに設定することができる。例えば、USBメモリ本体部12を使用中のときはタイマー値を1分に設定し、移動中はタイマー値を1秒に設定するなどユーザーが適切に設定変更することにより、RFIDリーダー24及び通信状態監視部26を間欠動作させて、電源消費を抑制できバッテリーの節約が可能となる。
【0037】
このように、状況に応じたセキュリティ設定の変更が可能であることで、セキュリティ管理の必要性が低いときは通信周期を短くすることができ、RFIDリーダー24及び通信状態監視部26を間欠動作させて、電源消費を抑制できバッテリーの節約が可能となる。
【0038】
通信状態監視部26は、RFIDタグ28とRFIDリーダー24間におけるRFID通信の状態を監視するとともに通信異常を検出する。通信状態監視部26は、RFIDタグ28とRFIDリーダー24間におけるRFID通信の状態を常に監視している。そして、RFID通信が可能な状態かどうかを判断する。
【0039】
USBメモリ管理機器11とUSBメモリ本体部12の距離dが通信エリア13内にある場合(d≦r)は、RFID通信が可能な状態であると判断し、継続して通信を行わせ、一定の周期で同様の通信を繰り返す。
一方、USBメモリ管理機器11とUSBメモリ本体部12の距離dが、通信エリア13外となった場合(d>r)は、RFID通信が不可能な状態であると判断し、通信異常として検出してブザー回路部27を作動させる。
【0040】
ブザー回路部27は、通信状態監視部26が通信異常を検出した場合に作動してブザー音を発する。警報としてブザー音が発せられることにより、ユーザーはUSBメモリ本体部12の紛失または盗難の危険性に気付くことができ、それらを未然に防ぐことが可能となる。
【0041】
電源部23は、RFIDリーダー24及びブザー回路部27に電源を供給してこれらを駆動させる。電源部23は、例えば、一般的な電池、バッテリー等を用いればよい。
【0042】
「USBメモリ本体部(対象)」
USBメモリ本体部12は、RFIDタグ28を内蔵している。RFIDタグ28は、USBメモリ管理機器11に備えられたRFIDリーダー24によって所定の通信周期で通信される。なお、このときの通信周期は、USBメモリ管理機器11のタイマー回路部25によって設定されたものである。
【0043】
無線リーダーとしてRFIDタグを用いることで、USBメモリ管理機器11とのRFID通信によってセキュリティ管理が行なえるため、従来と比較して情報の更新や追加が簡便である上、複数固体が一括認識されることが可能であり、このUSBメモリ本体部12の他にも、それぞれにRFIDタグが付された複数の対象がセキュリティ管理されることができる。
【0044】
RFIDタグは、特に限定されるものではないが、電源を必要としないパッシブ型RFIDタグが好ましい。パッシブ型RFIDタグであることで、タグが付される対象には電源を搭載する必要がないため、対象となる機器や装置等のサイズを縮小・軽量化できるとともに製造コストを削減できる。
【0045】
また、RFIDタグ28の代わりに、その他の無線電波によって通信する無線タグを用いてもよい。その場合、USBメモリ管理機器11においては、RFIDリーダー24の代わりに、使用される無線電波の種類に対応した無線リーダーを用いる。
【0046】
「セキュリティ管理方法」
続いて、第1の実施形態であるセキュリティ管理システムおけるセキュリティ管理方法の処理動作について説明する。図3は、本実施形態におけるUSBメモリ管理機器による処理動作の流れを示すフローチャート図である。
【0047】
図3に示すように、USBメモリ管理機器11の電源を投入する(ステップS31)。その後、タイマー回路部25でRFIDの通信周期を設定し(ステップS32)、一定周期のもとにUSBメモリ本体管理機器11に内蔵されているRFIDリーダー24からUSBメモリ本体部12に内蔵されているRFIDタグ28に送信を始め、RFID通信が開始される(ステップS33)。
【0048】
このとき、RFIDタグ28とRFIDリーダー24間におけるRFID通信の通信状態は、通信状態監視部26によって常に監視しているものとする(ステップS34)。次に、ステップS35で、RFID通信が可能な状態かどうかを判断する。
【0049】
ステップS35で、USBメモリ管理機器11とUSBメモリ本体部12の距離dが通信エリア13内にある場合(d≦r)は、RFID通信が可能な状態であると判断し、継続して通信を行い、ステップS33に戻り一定の周期で同様の通信が繰り返される。
【0050】
一方、ステップS35で、USBメモリ管理機器11とUSBメモリ本体部12の距離dが通信エリア13外となった場合(d>r)は、RFID通信が不可能な状態であると判断し、通信異常として検出する。そして、ステップS36に移行してブザー回路部27が作動し、ブザー音を発することにより紛失または盗難を未然に防ぐことが可能となる。
【0051】
ただし、タイマー値の設定はユーザーによって適宜設定できるものとする。例えば、USBメモリ本体部12を使用中のときは通信周期を長めに設定し、移動中のときは通信周期を短めに設定することができる。例えば、USBメモリ本体部12を使用中のときはタイマー値を1分に設定し、移動中はタイマー値を1秒に設定するなどユーザーが適切に設定変更することができる。
【0052】
このように、状況に応じたセキュリティ設定の変更が可能であることで、セキュリティ管理の必要性が低いときは通信周期を短くすることができ、RFIDリーダー24及び通信状態監視部26を間欠動作させて、電源消費を抑制できバッテリーの節約が可能となる。
【0053】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態であるセキュリティ管理システムについて説明する。
【0054】
「セキュリティ管理システム」
本発明に係るセキュリティ管理システムは、例えば、図1の構成図において、USBメモリ管理機器11を、携帯電話機などの可搬式情報通信機器としても同様の効果が得られる。すなわち、携帯電話機などの可搬式情報通信機器をセキュリティ管理装置として用いることができる。そこで、本発明の第2の実施形態では、携帯電話機をセキュリティ管理装置として用いる場合について説明する。
【0055】
図4は、本発明の第2の実施形態における携帯電話機41及びUSBメモリ本体部42の構成を示すブロック図である。図4に示すように、本発明の第2の実施形態であるセキュリティ管理システムは、携帯電話機(セキュリティ管理装置)41が、対象であるUSBメモリ本体部42をRFID通信によってセキュリティ管理を行なう。
【0056】
「携帯電話機(セキュリティ管理装置)」
携帯電話機41は、USBメモリ本体部42に内蔵されたRFIDタグ(無線タグ)48と所定の通信周期でRFID通信するRFIDリーダー(無線リーダー)44と、RFIDタグ48とRFIDリーダー44間におけるRFID通信の状態を監視するとともに、それらの間における通信異常を検出する通信状態監視部(監視手段)46と、通信状態監視部46によって通信異常が検出された場合にブザー音(警報)を発するブザー回路部(警報手段)47と、RFIDリーダー44及びブザー回路部47に電源を供給して駆動させる電源部43と、RFID通信の通信周期を設定変更することが可能なタイマー回路部(周期変更手段)45と、通信状態監視部46で通信異常を検出した際に携帯電話機41の表示部に出力する状態表示部(表示手段)49と、から概略構成されている。
【0057】
携帯電話機41は、通常の送受信機能を搭載する携帯電話機(PHS機も含む)であり、表示部と操作部を備えている。この携帯電話機41は、当該システムを利用するためのアプリケーションプログラムによって各種動作制御を行なうことができる。アプリケーションプログラムは、例えば、インターネット網を介して接続されるWebサイト上からダウンロードするものであってもよいし、携帯電話機41の工場出荷時に携帯電話機41に予め組み込むものであってもよい。
【0058】
また、携帯電話機41と同様に、PDA、ノートPC、又は通信機能付き腕時計など、その他の可搬式情報通信機器を、当該システムのセキュリティ管理装置として用いてもよい。セキュリティ管理装置が可搬式情報通信機器であることにより、ユーザーは常にセキュリティ管理装置を携帯することができ、セキュリティ管理が容易となる。
【0059】
状態表示部49は、携帯電話機41に備えられている液晶などのディスプレイからなる表示部に出力し、RFIDタグ48とRFIDリーダー44間におけるRFID通信の通信状態を表示部に表示させる。
【0060】
電源部43は、RFIDリーダー44及びブザー回路部47に電源を供給してこれらを駆動させる。例えば、携帯電話機41に装備されるバッテリー等を用いることができる。
【0061】
ブザー回路部47は、通信状態監視部46が通信異常を検出した場合に作動してブザー音を発する。警報としてブザー音が発せられることにより、ユーザーはUSBメモリ本体部42の紛失または盗難の危険性に気付くことができ、それらを未然に防ぐことが可能となる。
また、ブザー回路部47の代わりに、着信音、着信発光、着信振動などからなる警報を発するその他の警報手段であってもよい。
【0062】
携帯電話機41におけるその他の構成要素については、第1の実施形態のUSBメモリ管理機器11における構成要素と同様である。
【0063】
「USBメモリ本体部(対象)」
USBメモリ本体部42は、RFIDタグ48を内蔵している。RFIDタグ48は、携帯電話機41に備えられたRFIDリーダー44によって所定の通信周期で通信される。なお、このときの通信周期は、タイマー回路部45によって設定される。
【0064】
無線リーダーとしてRFIDタグを用いることで、携帯電話機41とのRFID通信によってセキュリティ管理が行なわれるため、従来と比較して情報の更新や追加が簡便である上、複数固体が一括認識されることが可能であり、このUSBメモリ本体部42の他にも、それぞれにRFIDタグが付された複数の対象がセキュリティ管理されることができる。
【0065】
RFIDタグは、特に限定されるものではないが、電源を必要としないパッシブ型RFIDタグが好ましい。パッシブ型RFIDタグであることで、タグが付される対象には電源を搭載する必要がないため、対象となる機器や装置等のサイズを縮小・軽量化できるとともに製造コストを削減できる。
【0066】
また、RFIDタグ48の代わりに、その他の無線電波によって通信する無線タグを用いてもよい。その場合、携帯電話機41においては、RFIDリーダー44の代わりに、使用される無線電波の種類に対応した無線リーダーを用いる。
【0067】
「セキュリティ管理方法」
本実施形態のセキュリティ管理システムにおけるセキュリティ管理方法の処理動作については、第1の実施形態で説明した内容と同様であるが、ステップS35で通信異常を検出した場合に、ステップS36でブザー回路47が作動してブザー音を発するともに、状態表示部49が作動して携帯電話機41のディスプレイに通信状態を出力表示するという機能を付加している。
また、ステップS36では、ブザー音の代わりに、着信音、着信発光、着信振動などからなる警報を発してもよい。
【0068】
このように、本実施例形態では、第1の実施形態のセキュリティ管理システムにおけるセキュリティ管理方法の効果に加え、通信異常時にブザー音による通知とディスプレイ表示による通知の2種類の通知が可能であるため、聴覚と視覚両方で紛失したことに気付くことができ、セキュリティ向上の効果が得られる。
【0069】
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態であるセキュリティ管理システムについて説明する。
【0070】
「セキュリティ管理システム」
本発明の第3の実施形態であるセキュリティ管理システムは、第1の実施形態におけるセキュリティ管理システムの構成と同様であるが、USBメモリ管理機器のタイマー回路部が振動センサーを備えている。
図5は、本発明の第3の実施形態におけるUSBメモリ管理機器及びUSBメモリ本体部の構成を示すブロック図である。
【0071】
「USBメモリ管理機器(セキュリティ管理装置)」
図5に示すように、USBメモリ管理機器51は、USBメモリ本体部52に内蔵されたRFIDタグ(無線タグ)58と所定の通信周期でRFID通信するRFIDリーダー(無線リーダー)54と、RFIDタグ58とRFIDリーダー54間におけるRFID通信の状態を監視するとともに通信異常を検出する通信状態監視部(監視手段)56と、通信状態監視部56によって通信異常が検出された場合にブザー音(警報)を発するブザー回路部(警報手段)57と、RFIDリーダー54及びブザー回路部57に電源を供給する電源部53と、RFID通信の通信周期を設定変更することが可能なタイマー回路部(周期変更手段)55と、タイマー回路部55に備えられた振動センサー59と、から概略構成されている。
【0072】
タイマー回路部55は、RFIDタグ58とRFIDリーダー54間におけるRFID通信の通信周期を設定変更することが可能である。
また、タイマー回路部55は、振動センサー59を備え、この振動センサーの検出信号によって周期を変更する。タイマー回路部55におけるタイマー値の設定は、振動センサー59によって感知された振動の有無で決定される。そのため、状況に応じたセキュリティ設定の調整が可能である。
【0073】
振動センサー59は、USBメモリ管理機器51の振動の有無を感知し、周期を変更するための検出信号をタイマー回路に送信する。このようにすることで、感知した振動の有無によって、USBメモリ管理機器51が移動中であるか静止中であるかを判断でき、状況に応じたセキュリティ設定を自動的に行なうことが可能となる。
【0074】
振動センサー59により、所定以上の振動が検出された場合は周期を短くし、検出されない場合には周期を長くすることが好ましい。例えば、USBメモリ本体部52が使用中であると判断したときはタイマー値を1分に設定し、移動中であると判断したときはタイマー値を1秒に設定するなど、ユーザーが適切に設定変更することができるとともに、通信周期の自動設定が可能である。
そのため、手動による設定変更の煩わしさもなく、RFIDリーダー54及び通信状態監視部56を間欠動作させることができ、電源消費を抑制できバッテリーの節約が可能となる。
【0075】
USBメモリ管理機器51におけるその他の構成要素については、第1の実施形態のUSBメモリ管理機器11における構成要素と同様である。
【0076】
「USBメモリ本体部(対象)」
USBメモリ本体部52は、RFIDタグ58を内蔵している。RFIDタグ58は、USBメモリ管理機器51に備えられたRFIDリーダー54によって所定の通信周期で通信される。なお、このときの通信周期は、USBメモリ管理機器51のタイマー回路部55が、振動センサー59によってUSBメモリ管理機器51の振動の有無を感知して、自動設定されたものである。
その他の点については、第1の実施形態におけるUSBメモリ本体部12と同様である。
【0077】
「セキュリティ管理方法」
続いて、第3の実施形態であるセキュリティ管理システムおけるセキュリティ管理方法の処理動作について説明する。図6は、本実施形態におけるUSBメモリ管理機器による処理動作の流れを示すフローチャート図である。
【0078】
図6に示すように、USBメモリ管理機器51の電源を投入する(ステップS61)。その後、タイマー回路部55に備えられた振動センサー59が、USBメモリ管理機器51の振動の有無を感知し(ステップS62)、この振動センサー59の検出信号によって周期を変更する。
【0079】
ステップS62において振動が感知されれば、USBメモリ管理機器51が移動中であると判断し、タイマー間隔が小さくなるようにタイマー値を自動設定する(ステップS63)。ステップS62において振動が感知されなければ、USBメモリ管理機器51が静止中であると判断し、タイマー間隔が大きくなるようにタイマー値を自動設定する(ステップS64)。
【0080】
RFIDの通信周期が設定されると、一定周期のもとにUSBメモリ本体管理機器51に内蔵されているRFIDリーダー54からUSBメモリ本体部52に内蔵されているRFIDタグ58に送信を始め、RFID通信が開始される(ステップS65)。
【0081】
RFID通信が開始されると、RFIDタグ58とRFIDリーダー54間におけるRFID通信の通信状態は、通信状態監視部56によって常に監視しているものとする(ステップS66)。なお、RFID通信が開始後、ステップS62に戻って、再び振動センサー59がUSBメモリ管理機器51の振動の有無を感知し直すことができる。
【0082】
次に、ステップS67で、RFID通信が可能な状態かどうかを判断する。なお、ここでUSBメモリ管理機器51とUSBメモリ本体部52の距離及びこれらが通信可能な通信エリアの半径については、第1の実施形態と同様に、それぞれd及びrを用いる。
【0083】
ステップS67で、USBメモリ管理機器51とUSBメモリ本体部52の距離dが通信エリア内にある場合(d≦r)は、RFID通信が可能な状態であると判断し、継続して通信を行い、ステップS65に戻り一定の周期で同様の通信が繰り返される。
【0084】
一方、ステップS67で、USBメモリ管理機器51とUSBメモリ本体部52の距離dが通信エリア外となった場合(d>r)は、RFID通信が不可能な状態であると判断し、通信異常として検出する。そして、ステップS68に移行してブザー回路部57が作動し、ブザー音を発することにより紛失または盗難を未然に防ぐことが可能となる。
【0085】
なお、タイマー値の設定はユーザーによって適宜設定できるものとする。このとき、ステップ62において、振動センサー59により所定以上の振動が検出された場合は周期を短くし、検出されない場合には周期を長くするように設定することが好ましい。例えば、USBメモリ本体部52が使用中のときは通信周期を長めに設定し、移動中のときは通信周期を短めに設定する。例えば、USBメモリ本体部52を使用中のときはタイマー値を1分に設定し、移動中はタイマー値を1秒に設定するなどユーザーが適切に設定変更することができる。
【0086】
このように、セキュリティ管理の必要性が低いときは通信周期を自動的に短くすることで、手動による設定変更の煩わしさもなく、RFIDリーダー54及び通信状態監視部56を間欠動作させて、電源消費を抑制できバッテリーの節約が可能となる。
【0087】
以上、説明したように、本発明のセキュリティ管理システムによれば、セキュリティ管理装置が、無線タグと無線リーダーとの通信の状態を監視するとともに通信異常を検出する監視手段と、監視手段によって通信異常が検出された場合に警報を発する警報手段と、前記無線リーダー及び前記監視手段に電源を供給する電源部と、通信周期の設定変更が可能な周期変更手段と、を具備してなることにより、警報によって対象の紛失または盗難の危険性に気付くことができ、それらを未然に防ぐことが可能であるとともに、周期変更手段によって通信周期をユーザーが設定できるため、状況に応じたセキュリティ設定の調整が可能である。そのため、セキュリティ管理の必要性が低いときは通信周期を短くすることで、無線リーダーや監視手段を間欠動作でき、セキュリティ管理装置の電源消費を抑制できバッテリーの節約が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明に係るセキュリティ管理システム、セキュリティ管理装置、及びセキュリティ管理方法は、特に携帯電話機などの可搬式機器をセキュリティ管理装置として用いるのに好適であり、各種携帯機器等の盗難や紛失を未然に防ぐために広く利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
11、51・・・USBメモリ管理機器
12、42、52・・・USBメモリ本体部
13・・・通信エリア
23、43、53・・・電源部
24、44、54・・・RFIDリーダー
25、45、55・・・タイマー回路部
26、46、56・・・通信状態監視部
27、47、57・・・ブザー回路部
28、48、58・・・RFIDタグ
41・・・携帯電話
49・・・状態表示部
59・・・振動センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に付される無線タグと、
前記無線タグと所定の通信周期で通信する無線リーダーと、
前記無線リーダーを備えたセキュリティ管理装置と、から構成され、
前記セキュリティ管理装置は、前記無線タグと前記無線リーダーとの通信の状態を監視するとともに通信異常を検出する監視手段と、
前記監視手段によって通信異常が検出された場合に警報を発する警報手段と、
前記無線リーダー及び前記監視手段に電源を供給する電源部と、
前記通信周期の設定変更が可能な周期変更手段と、を具備してなることを特徴とするセキュリティ管理システム。
【請求項2】
前記無線タグはRFIDタグであり、前記無線リーダーはRFIDリーダーであることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティ管理システム。
【請求項3】
前記RFIDタグはパッシブ型RFIDタグであることを特徴とする請求項2に記載のセキュリティ管理システム。
【請求項4】
前記セキュリティ管理装置は、可搬式情報通信機器であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のセキュリティ管理システム。
【請求項5】
前記周期変更手段は、前記セキュリティ装置の振動を感知する振動センサーを備え、この振動センサーの検出信号によって周期を変更することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のセキュリティ管理システム。
【請求項6】
前記振動センサーにより、所定以上の振動が検出された場合は周期を短くし、検出されない場合には周期を長くすることを特徴とする請求項5に記載のセキュリティ管理システム。
【請求項7】
前記警報手段は、前記警報としてブザー音、着信音、着信発光、着信振動の少なくともいずれか一つを発することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のセキュリティ管理システム。
【請求項8】
前記無線タグは、可搬式機器に装備されていることを特徴とする請求項1〜7に記載のセキュリティ管理装置。
【請求項9】
対象に付される無線タグと所定の通信周期で無線通信する無線リーダーと、
前記通信の状態を監視するとともに通信異常を検出する監視手段と、
前記監視手段によって通信異常が検出された場合に警報を発する警報手段と、
前記無線リーダー及び前記監視手段に電源を供給する電源部と、
前記通信周期の設定変更が可能な周期変更手段とを具備してなることを特徴とするセキュリティ管理装置。
【請求項10】
対象に付される無線タグと、前記無線タグと所定の通信周期で通信する無線リーダーと、前記無線リーダーを備えたセキュリティ管理装置と、から構成されるセキュリティ管理システムのセキュリティ管理方法であって、
前記セキュリティ管理装置が、
周期変更手段によって前記通信周期を設定するステップと、
前記無線タグと前記無線リーダーとの通信状態を監視するステップと、
前記通信状態が正常であれば前記通信を継続し、前記通信状態が異常であれば通信異常として検出するステップと、
前記通信異常が検出された場合に警報を発するステップと、を具備してなることを特徴とするセキュリティ管理方法。
【請求項11】
前記通信周期を設定するステップは、
振動センサーによって前記セキュリティ装置の振動を感知するステップと、
感知された前記振動の有無によって前記通信周期を自動設定するステップと、を含むことを特徴とする請求項10に記載のセキュリティ管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−224932(P2010−224932A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72266(P2009−72266)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】