説明

セキュリティ装置、セキュリティシステム及びセキュリティプログラム

【課題】より簡単に、コンピュータ等の電子機器のセキュリティ性を強化する。
【解決手段】PC2の使用時に着座する椅子1に着座している使用者の離席を検知する圧力センサ15を設け、使用者の離籍を検知すると、PC2の利用制限を開始する。また、PC2の使用時に着座する椅子1に使用者が着座した際に、椅子にかかる圧力の分布データを予め記憶し、使用者が椅子1に着座した際に作成した圧力分布データと一致するデータが記憶されているかを判定し、一致するデータが記憶されている場合、PC2の利用制限を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のセキュリティを向上させるセキュリティ装置、セキュリティシステム及びセキュリティプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータには、様々な機密データ等が保存されている。このため、コンピュータの利用権限のない第三者が無断で使用し、機密データ等を持ち出さないようにするために、セキュリティを強化する必要がある。例えば、使用者がコンピュータを使用し一時的に席を離れるような場合、コンピュータをロックし、第三者が勝手に使用できないようにする必要がある。特許文献1には、業務を行った人がログオンした人と同一人であるかの判定ができるようにしたコンピュータの本人認証装置が開示されている。具体的には、ログオン時、利用者が指紋入力装置に指を置いて、指紋データを入力し、これが登録指紋データと一致するとログオンとなる。この特許文献1により、第三者が無断でコンピュータを使用したりすることを防ぐことができるようになる場合がある。
【0003】
【特許文献1】特開2005−085226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1は、コンピュータから離れたり使用再開したりする度に指紋を登録したり照合したりする必要があり、使用者等にとっては手間のかかる操作となる場合がある。また、地震や火災、その他急を要するような場合、コンピュータから離れる際に上記のような操作を怠ってしまう可能性が高く、そのような場合、特許文献1のような装置では、コンピュータの情報を確実に保護できない場合がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、より簡単に、コンピュータ等の電子機器のセキュリティ性を強化することができるセキュリティ装置、セキュリティシステム及びセキュリティプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、電子機器の使用時に着座する座部に使用者が着座した際に、座部にかかる圧力の分布データを予め記憶するデータ記憶手段と、座部に着座している使用者の離席を検知する離席検知手段と、座部に使用者が着座した際に、座部にかかる圧力を検知し、圧力の分布データを作成するデータ作成手段と、所定誤差の範囲内で、作成した分布データとデータ記憶手段に記憶される分布データとが一致であるか、不一致であるかを判定するデータ判定手段と、離席検知手段が使用者の離席を検知すると、電子機器の利用制限を開始し、データ判定手段による判定の結果、作成した分布データとデータ記憶手段に記憶される分布データとが一致すると、利用制限を解除する利用制限実行手段とを備えていることを特徴としている。
【0007】
この構成によると、使用者の着座状況に応じて、電子機器の利用制限を行うようになっている。具体的には、使用者が離席すると電子機器の利用制限を開始し、座部に使用者が着座することで作成される、座部にかかる圧力の分布データと所定誤差の範囲で一致する分布データが記憶されていれば、電子機器の利用制限を解除する。これにより、電子機器のセキュリティ性を強化できる場合がある。
【0008】
例えば電子機器がPC(Personal Computer)の場合、使用者がPCを使用中に一時的に席を離れた場合、第三者によりPCを操作され、PC内の機密データ等が持ち出されてしまうおそれがある。このため、使用者が座部に着座していない場合に、PCの利用を制限することで、第三者によるPCの使用を防止できる場合がある。また、座部に着座しただけでなく、座部にかかる圧力の分布データが予め記憶された分布データと一致した場合に、PCの利用制限を解除することで、第三者が座部に着座しただけでは、第三者は利用権限がないと判断することができ、PC内のデータ等を守ることができる場合がある。
【0009】
さらに、使用者が着座した際に座部にかかる圧力を電子機器の利用制御を解除する鍵とすることで、使用者が解除用の鍵を常備したり、解除のための操作を行ったりする必要が特になく、使用者の手間を省くことができる場合がある。
【0010】
また、本発明の利用制限実行手段は、データ判定手段による判定結果が不一致である場合に、利用制限を解除するために、使用者に認証行為を実施させ、認証行為が適正であると判断すると利用制限を解除することを特徴としている。
【0011】
この構成によると、座部にかかる圧力の分布データが予め記憶された分布データと不一致である場合に、使用者に認証行為を実施させるようになっている。これにより、例えば、服装等の関係で座部にかかる圧力が異なってしまう場合であっても、使用者に認証行為を実施させることで、使用者が、利用権限があるのに電子機器を使用できないといった不都合を防ぐことができる場合がある。
【0012】
別の観点において、本発明は、電子機器と有線又は無線によりデータ通信可能に接続するサーバ装置と、電子機器又はサーバ装置の少なくとも一方とデータ通信可能に接続し、電子機器の使用時に着座する座部とを備えたセキュリティシステムであって、座部は、座部に着座している使用者の離席を検知する離席検知手段と、使用者が着座することで座部にかかる圧力を検知する圧力検知手段とを有し、電子機器又はサーバ装置の何れか一方は、座部に使用者が着座した際に、座部にかかる圧力の分布データを予め記憶するデータ記憶手段と、圧力検知手段検知した圧力に基づいて、圧力の分布データを作成するデータ作成手段と、所定誤差の範囲内で、作成した分布データとデータ記憶手段に記憶される分布データとが一致であるか、不一致であるかを判定するデータ判定手段と、離席検知手段が使用者の離席を検知すると、電子機器の利用制限を開始し、データ判定手段による判定の結果、作成した分布データとデータ記憶手段に記憶される分布データとが一致すると、利用制限を除する利用制限実行手段とを有していることを特徴としている。
【0013】
この構成によると、使用者の着座状況に応じて、電子機器の利用制限を行うようになっている。具体的には、使用者が離席すると電子機器の利用制限を開始し、座部に使用者が着座することで作成される、座部にかかる圧力の分布データと所定誤差の範囲で一致する分布データが記憶されていれば、電子機器の利用制限を解除する。これにより、電子機器のセキュリティ性を強化できる場合がある。
【0014】
さらに、別の観点において、本発明のセキュリティプログラムは、電子機器の使用時に座部に着座している使用者の離席を検知する離席検知手段と、使用者が着座することで座部にかかる圧力を検知する圧力検知手段とを備えたセキュリティ装置を制御するコンピュータを、座部に使用者が着座した際に、座部にかかる圧力の分布データを予め記憶するデータ記憶手段と、圧力検知手段検知した圧力に基づいて、圧力の分布データを作成するデータ作成手段と、所定誤差の範囲内で、作成した分布データとデータ記憶手段に記憶される分布データとが一致であるか、不一致であるかを判定するデータ判定手段と、離席検知手段が使用者の離席を検知すると、電子機器の利用制限を開始し、データ判定手段による判定の結果、作成した分布データとデータ記憶手段に記憶される分布データとが一致すると、利用制限を解除する利用制限実行手段として機能させることを特徴としている。
【0015】
この構成によると、使用者の着座状況に応じて、電子機器の利用制限を行うようになっている。具体的には、使用者が離席すると電子機器の利用制限を開始し、座部に使用者が着座することで作成される、座部にかかる圧力の分布データと所定誤差の範囲で一致する分布データが記憶されていれば、電子機器の利用制限を解除する。これにより、電子機器のセキュリティ性を強化できる場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
本実施の形態のセキュリティ装置は、図1に示すように、PC(Personal Computer)2が載置された机5と対向して配置され、PC2を使用する際に座る椅子1等に用いられる。なお、本実施の形態の椅子1は、床に固定されたものとして説明するが、キャスタがついた移動式の椅子であってもよいし、座椅子であってもよい。
【0018】
椅子1は、PC2の使用者の尻部を支える座部11と、座部11の後端縁から略垂直上方に延びる背もたれ12と、座部11の底面の略中央に設けられ、座部11及び背もたれ12を支持する支持部13とを有している。座部11の内部には、使用者が着座することで付与される圧力を検知する圧力センサ15が設けられている。支持部13は、回転軸を有し、使用者が座りやすいように座部11及び背もたれ12を水平に回転できるようになっている。また、支持部13は、内部に空間を有しており、この空間には制御装置16が設けられている。制御装置16は、上記の圧力センサ15からの信号を入力し、図示しない信号線又は無線により、PC2とデータ通信可能に接続されている。
【0019】
制御装置16は、図2に示すように、制御部17と、通信部18と、記憶部19と、電源部20とを有している。通信部18は、PC2とデータ通信可能にする。記憶部19は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等であり、PC2の利用が許可されている使用者に関する情報、具体的には、各使用者に割り当てられたID番号及び使用者毎の後述の分布データを関連付けて記憶している。電源部20は、制御部17に電力を供給する。制御部17は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等からなるマイクロコンピュータであり、後述の図4に示すフローチャート等を実行する。
【0020】
具体的には、制御部17は、圧力センサ15からの信号の有無によって、椅子1に着座者がいるか否かを判断するようになっている。そして、椅子1に着座者がいないと判断した場合、PC2に、利用制限の開始を指示する利用制限開始信号を送信する。なお、利用制限開始信号を受信したPC2は、図3(a)に示す画面を表示して、PCをロックし利用できないよう制御する。これにより、PC2の使用者が一時的に席を離れる場合に、特に操作をすることなく、第三者によりPC2が無断で使用されるおそれを無くすことができる場合がある。
【0021】
また、制御部17は、座部11に設けられた圧力センサ15から信号が入力されると、それに基づいて座部11に掛かる圧力の分布データ(以下、圧力分布データという)を作成し、作成した圧力分布データと一致するデータが記憶部19に記憶されているかを判定する。そして、判定結果に応じて、PC2の利用制限の解除を指令する利用制限解除信号や、着座者のID番号を確認するように指令する確認信号等をPC2に送信する。確認信号を受信したPC2は、図3(b)に示す、着座者にID番号を入力させる画面を表示する。
【0022】
なお、圧力分布データとは、使用者が着座した際の座部11の圧力状態を示すデータである。具体的には、座部11の奥行き方向(背もたれ12の方向)と、それに垂直な幅方向とを複数の領域に細分化し、どの領域にどれだけの圧力が付与されているかを示すデータである。使用者によって、体重、座り方等がそれぞれ異なるため、座部11のどの領域にどれだけの圧力が掛かるのかが異なるようになる。即ち、圧力分布データも異なる。そこで、PC2の利用が許可された使用者の圧力の分布データを予め記憶部19に格納しておき、使用者が椅子1に着座した際に作成される圧力分布データと一致するデータが、記憶部19に記憶されているかを判定することで、着座者がPC2の利用が許可された使用者であるか否かを判定することができる場合がある。なお、本実施の形態では、作成した圧力分布データと記憶部19に記憶されているデータとが一致しているか否かの判定する場合、完全一致でなくてもよく、所定誤差の範囲内であれば一致と判定する。
【0023】
さらに、制御部17は、図3(b)に示す画面に従って着座者が入力したID番号をPC2から受信すると、受信したID番号が記憶部19に格納されているか否かを判定し、格納されていれば、PC2に利用制限解除信号を送信する。即ち、ID番号による着座者の確認を行うことで、体型の変化や服装等により必ずしも毎回同じでない圧力の分布データが記憶部19に格納されるデータと一致しない場合であっても、着座者をPC2の利用が許可された使用者であると判断することができる場合がある。
【0024】
なお、予め記憶部19に入力する圧力分布データは、後述のPC2から操作画面に従って入力できるようにしてもよいし、椅子1にボタン等を設けて入力できるようにしてもよい。また、利用権限の無い第三者によって無断で圧力分布データが入力されないようにセキュリティを向上させるために、記憶部19を着脱可能にして、管理者のみが操作可能な別のPC等で入力するようにしてもよい。
【0025】
PC2は、一般的なノート型のパソコンであり、キーボード21、ディスプレイ22、I/O23、CPU24、ROM25、RAM26及び通信部27を有している。CPU24は、各種コマンドに従って演算処理を行う中央演算処理装置である。I/O23は、モジュールとして分離されたキーボード21及びディスプレイ22等とCPU24とを直接的、間接的に電気的接続する接続部である。ROM25は、一般的なPCの動作や、後述のフローチャートを動作させるための演算プログラムが格納されている不揮発性の読出し専用メモリである。RAM26は、CPU24がプログラムを実行する際に使用するデータの一時記憶用の揮発性の読出し又は書き込みメモリである。通信部27は、上述の制御装置16が有する通信部18と無線又は有線により接続している。尚、PC2は、デスクトップ型のパソコンであってもよい。
【0026】
(制御装置の動作)
次に、椅子1に設けられた制御装置16の動作について説明する。なお、本実施の形態は、PC2の使用中、即ち、椅子1に着座している状態における制御装置16の動作について説明する。
【0027】
まず、図4の動作処理ルーチンにおいて、PC2を使用している使用者が椅子1を立ったか否かを判定する(A1)。即ち、圧力センサ15から信号が遮断されたか否かを判定する。使用者が椅子1を立っていない場合(A1:NO)、A1を繰り返す。使用者が椅子を立った場合(A1:YES)、第三者がPC2を使用できないようにPC2に利用制限開始信号を送信する(A2)。次に、椅子1への着座を検知したか否かを判定する(A3)。つまり、圧力センサ15から信号が入力されたか否かを判定する。着座を検知していない場合(A3:NO)、A3を繰り返す。着座を検知した場合(A3:YES)、圧力センサ15からの信号に基づいて、椅子1に着座した着座者の圧力分布データを作成する(A4)。そして、作成した圧力分布データと一致するデータが記憶部19に格納されているかを判定する(A5)。
【0028】
作成した圧力分布データと一致するデータが記憶部19に格納されている場合(A5:YES)、椅子1に着座した着座者は、PC2の使用を許可された使用者であると判断し、PC2が使用できるように利用制限解除信号をPC2に送信する(A9)。そして、A1に戻る。一方、作成した圧力分布データと一致するデータが記憶部19に格納されていない場合(A5:NO)、着座者は、PC2の使用を許可された使用者でない可能性が高いと判断し、続いて、着座者のID番号を確認するために、PC2に確認信号を送信する(A6)。PC2のディスプレイ22には、図3(b)の画面が表示され、着座者にID番号を入力させる。そして、PC2から着座者が入力したID番号を受信し、ID番号が記憶部19に格納されているか否かを判定する(A7)。格納されていない場合(A7:NO)、再度確認信号を送信する(A6)。格納されている場合(A7:YES)、着座者はPC2の使用を許可された使用者であると判断し、記憶部19に格納されている、入力されたID番号に対応する圧力分布データに、A4において作成した圧力分布データを上書き保存することで最新の圧力分布データを格納し、データを更新する(A8)。そして、利用制限解除信号をPC2に送信し(A9)、A1に戻る。
【0029】
(PCの動作)
次に、PC2の動作について説明する。本実施の形態のPC2は、一般的なPCの動作以外に、図5に示す処理ルーチンを実行する。
【0030】
まず、利用制限開始信号を制御装置16から受信したか否かを判定する(B1)。受信していない場合(B1:NO)、受信するまで待機する。利用制限開始信号を受信した場合(B1:YES)、図3(a)に示す画面を表示し、PCをロックする(B2)。次に、確認信号を受信したか否かを判定する(B3)。確認信号を受信していない場合(B3:NO)、B6に移行し、利用制限解除信号を受信したか否かを判定する。また、確認信号を受信した場合(B3:YES)、図3(b)に示す画面を表示し(B4)、着座者がID番号を入力したら、そのID番号を制御装置16に送信する(B5)。そして、利用制限解除信号を受信したか否かを判定する(B6)。利用制限解除信号を受信していない場合(B6:NO)、B3に戻る。利用制限解除信号を受信した場合(B6:YES)、ロックを解除し、PCを使用可能状態にする(B7)。そして、B1に戻り、上記動作を繰り返す。
【0031】
(本実施の形態の概要)
以上のように、本実施の形態は、電子機器(PC2)の使用時に着座する座部(椅子1)に使用者が着座した際に、座部にかかる圧力の分布データを予め記憶するデータ記憶手段(記憶部19)と、座部に着座している使用者の離席を検知する離席検知手段(圧力センサ15)と、座部に使用者が着座した際に、座部にかかる圧力を検知し、圧力の分布データを作成するデータ作成手段(制御部17)と、所定誤差の範囲内で、作成した分布データとデータ記憶手段に記憶される分布データとが一致であるか、不一致であるかを判定するデータ判定手段(制御部17)と、離席検知手段が使用者の離席を検知すると、電子機器の利用制限を開始し、データ判定手段による判定の結果、作成した分布データとデータ記憶手段に記憶される分布データとが一致すると、利用制限を解除する利用制限実行手段(制御部17、通信部18)とを備えた構成となっている。
【0032】
この構成によると、使用者の着座状況に応じて、電子機器の利用制限を行うようになっている。具体的には、使用者が離席すると電子機器の利用制限を開始し、座部に使用者が着座することで作成される、座部にかかる圧力の分布データと所定誤差の範囲で一致する分布データが記憶されていれば、電子機器の利用制限を解除する。これにより、電子機器のセキュリティ性を強化できる場合がある。
【0033】
例えば電子機器がPC(Personal Computer)の場合、使用者がPCを使用中に一時的に席を離れた場合、第三者によりPCを操作され、PC内の機密データ等が持ち出されてしまうおそれがある。このため、使用者が座部に着座していない場合に、PCの利用を制限することで、第三者によるPCの使用を防止できる場合がある。また、座部に着座しただけでなく、座部にかかる圧力の分布データが予め記憶された分布データと一致した場合に、PCの利用制限を解除することで、第三者が座部に着座しただけでは、第三者は利用権限がないと判断することができ、PC内のデータ等を守ることができる場合がある。
【0034】
さらに、使用者が着座した際に座部にかかる圧力を電子機器の利用制御を解除する鍵とすることで、使用者が解除用の鍵を常備したり、解除のための操作を行ったりする必要が特になく、使用者の手間を省くことができる場合がある。
【0035】
また、本実施の形態の利用制限実行手段は、データ判定手段による判定結果が不一致である場合に、利用制限を解除するために、使用者に認証行為(ID番号の入力)を実施させ、認証行為が適正であると判断すると利用制限を解除する構成となっている。
【0036】
この構成によると、座部にかかる圧力の分布データが予め記憶された分布データと不一致である場合に、使用者に認証行為を実施させるようになっている。これにより、例えば、服装等の関係で座部にかかる圧力が異なってしまう場合であっても、使用者に認証行為を実施させることで、使用者が、利用権限があるのに電子機器を使用できないといった不都合を防ぐことができる場合がある。
【0037】
また、本実施の形態は、電子機器の使用時に座部に着座している使用者の離席を検知する離席検知手段と、使用者が着座することで座部にかかる圧力を検知する圧力検知手段とを備えたセキュリティ装置を制御するコンピュータを、座部に使用者が着座した際に、座部にかかる圧力の分布データを予め記憶するデータ記憶手段と、圧力検知手段検知した圧力に基づいて、圧力の分布データを作成するデータ作成手段と、所定誤差の範囲内で、作成した分布データとデータ記憶手段に記憶される分布データとが一致であるか、不一致であるかを判定するデータ判定手段と、離席検知手段が使用者の離席を検知すると、電子機器の利用制限を開始し、データ判定手段による判定の結果、作成した分布データとデータ記憶手段に記憶される分布データとが一致すると、利用制限を解除する利用制限実行手段として機能させることを特徴としているセキュリティプログラムである。
【0038】
この構成によると、使用者の着座状況に応じて、電子機器の利用制限を行うようになっている。具体的には、使用者が離席すると電子機器の利用制限を開始し、座部に使用者が着座することで作成される、座部にかかる圧力の分布データと所定誤差の範囲で一致する分布データが記憶されていれば、電子機器の利用制限を解除する。これにより、電子機器のセキュリティ性を強化できる場合がある。
【0039】
(本実施の形態の変形例)
なお、本実施の形態では、使用者が椅子1に着座し、PC2を使用している際に離席した場合について説明しているが、PC2の使用開始時から椅子1の着座者を確認するようにしてもよい。具体的には、椅子1に着座した際に作成した分布データが記憶部19に格納されていない場合、着座者は利用権限がないと判断し、PC2の電源が入らないように制御してもよい。また、椅子1に着座した際に作成される圧力分布データが記憶部19に記憶されていない場合に、PCの使用が許可されているか否かの認証行為として、着座者にID番号を入力させているが、パスワードを入力させるようにしてもよいし、指紋により認証するようにしてもよい。指紋により認証の場合、キーボード22による入力を禁止するように制御して、適当に入力されたID番号が偶然一致してしまうようなおそれを低減できるようにしてもよい。さらに、本実施の形態では、制御部17において、着座者が入力したID番号が記憶部19に記憶されているか否かを判定しているが、PC2において判定するようにしてもよい。
【0040】
また、本実施の形態では、セキュリティ装置を椅子1に設けているが、例えば、座布団等のように、椅子に載置できるシート等に圧力センサ15を設け、USB(Universal Serial Bus)等によりPCと接続し、PCにおいて、着座者のPCの利用権限を確認するようにしてもよい。この場合、使用するPCに制御装置16からの信号に応じてPCをロックしたり解除したりするプログラムをインストールするだけで、椅子等の配置場所に関係なくPC等の電子機器のセキュリティを向上できる場合がある。
【0041】
また、本実施の形態は、電子機器としてPCを用いて説明しているが、これに限定されることはなく、例えば、パチンコ機やパチスロ機等の遊技機であってもよい。この場合、例えば、遊技者が席を離れると、遊技を開始することができなくなるようにすることで、勝手に遊技を引き継いで、不正に利益を得ようとする第三者の不正行為を防止できる場合がある。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施の形態では、椅子3と、PC2と、PC2とデータ通信可能に接続するサーバ装置4とを有するネットワークシステムについて説明する。第1の実施形態では、椅子1に設けられた制御装置17が、椅子1に着座した着座者がPC2の使用を許可された使用者であるか否かを判定しているが、本実施の形態では、PC2及びサーバ装置4がかかる判定を行なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第1の実施形態と同様の部材等については、第1の実施の形態と同じ符号を用いて説明は省略する。
【0043】
椅子3の座部11内に圧力センサ15が設けられており、図7に示すように、図示しない信号によりPC2に接続されている。PC2は、圧力センサ15からの信号に基づいて、椅子3の着座者を検知し、椅子3に着座者が居ない場合には、図3(a)の画面を表示すると共にPC2をロックし、第三者によって無断で使用されないようにする。また、椅子3に着座者を検知した場合、圧力分布データを作成すると共に、サーバ装置4に作成したデータを送信する。そして、サーバ装置4からの送信される信号に基づいて、ロックを解除したり、図3(b)に示す画面を表示したりする。なお、PC2は、HDD等の記憶部28を有しており、各使用者のID番号が格納されている。そして、図3(b)の画面に従って入力されたID番号が記憶部28に格納されていれば、ロックを解除するようになっている。
【0044】
サーバ装置4は、制御部41と、通信部42と、記憶部43とを有している。通信部42は、PC2とデータ通信可能に接続する。記憶部43は、第1の実施形態で説明した圧力分布データを記憶する。制御部41は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータであり、後述の図8に示すフローチャート等を実行する。具体的には、PC2から送信された圧力分布データと一致するデータが記憶部43に格納されているかを判定し、判定結果に応じて、PC2に利用制限解除信号や確認信号を送信する。
【0045】
(PCの動作)
次に、PC2の動作について説明する。図8の処理ルーチンにおいて、まず、PC2を使用している使用者が椅子3を立ったか否かを判定する(C1)。即ち、圧力センサ15から信号が遮断されたか否かを判定する。使用者が椅子3を立っていない場合(C1:NO)、C1を繰り返す。使用者が椅子3を立った場合(C1:YES)、図3(a)に示す画面を表示し、PCをロックする(C2)。次に、椅子1への着座を検知したか否かを判定する(C3)。つまり、圧力センサ15から信号が入力されたか否かを判定する。着座を検知していない場合(C3:NO)、C3を繰り返す。着座を検知した場合(C3:YES)、圧力センサ15からの信号に基づいて、椅子1に着座した着座者の圧力分布データを作成し、サーバ装置4に送信する(C4)。そして、サーバ装置4から確認信号を受信したか否かを判定する(C5)。確認信号を受信していない場合(C5:NO)、続いて、利用制限解除信号を受信したか否かを判定する(C8)。利用制限解除信号を受信した場合(C8:YES)、C9に移行し、利用制限解除信号を受信していない場合(C8:NO)、C5に戻る。
【0046】
また、確認信号を受信した場合(C5:YES)、図3(b)に示す画面を表示し(C6)、着座者がID番号を入力したら、そのID番号がROM25に格納されているか否かを判定する(C7)。格納されていない場合(C7:NO)、C6に戻る。格納されている場合(C7:YES)、ロックを解除し、PCを使用可能状態にする(C9)。そして、C1に戻り、上記動作を繰り返す。
【0047】
(サーバ装置の動作)
次に、サーバ装置4の動作について説明する。図9の処理ルーチンにおいて、まず、PC2から圧力分布データを受信したか否かを判定する(D1)。受信していない場合(D1:NO)、受信するまでD1を繰り返す。受信した場合(D1:YES)、受信した圧力分布データが記憶部43に格納されているか否かを判定する(D2)。格納されている場合(D2:YES)、PC2に利用制限解除信号を送信する(D4)。その後、D1に戻る。格納されていない場合(D2:NO)、確認信号をPC2に送信する(D3)。その後、D1に戻る。
【0048】
(本実施の形態の概要)
以上、本実施の形態は、電子機器(PC2)と有線又は無線によりデータ通信可能に接続するサーバ装置(サーバ装置4)と、電子機器又はサーバ装置の少なくとも一方とデータ通信可能に接続し、電子機器の使用時に着座する座部(椅子3)とを備えたセキュリティシステム(ネットワークシステム)であって、座部は、座部に着座している使用者の離席を検知する離席検知手段(圧力センサ15)と、使用者が着座することで座部にかかる圧力を検知する圧力検知手段(圧力センサ15)とを有し、電子機器又はサーバ装置の何れか一方は、座部に使用者が着座した際に、座部にかかる圧力の分布データを予め記憶するデータ記憶手段(サーバ装置4の記憶部43)と、圧力検知手段検知した圧力に基づいて、圧力の分布データを作成するデータ作成手段(PC2のCPU24)と、所定誤差の範囲内で、作成した分布データとデータ記憶手段に記憶される分布データとが一致であるか、不一致であるかを判定するデータ判定手段(サーバ装置4の制御部41)と、離席検知手段が使用者の離席を検知すると、電子機器の利用制限を開始し、データ判定手段による判定の結果、作成した分布データとデータ記憶手段に記憶される分布データとが一致すると、利用制限を除する利用制限実行手段(PC2のCPU24)とを有した構成となっている。
【0049】
この構成によると、使用者の着座状況に応じて、電子機器の利用制限を行うようになっている。具体的には、使用者が離席すると電子機器の利用制限を開始し、座部に使用者が着座することで作成される、座部にかかる圧力の分布データと所定誤差の範囲で一致する分布データが記憶されていれば、電子機器の利用制限を解除する。これにより、電子機器のセキュリティ性を強化できる場合がある。
【0050】
(本実施の形態の変形例)
なお、本実施の形態では、PCの利用が許可された各使用者に対応する圧力分布データをサーバ装置4の記憶部43に格納しているが、PCの記憶部28に格納し、PCにおいて、作成した圧力分布データと一致するデータが記憶部28に格納されているかを判定するようにしてもよい。即ち、PC2又はサーバ装置4の少なくとも何れか一方が、データ記憶手段、データ作成手段、データ判定手段、利用制限実行手段を有していればよい。また、圧力センサ15は、サーバ装置4に接続されていてもよく、圧力センサ15と、PC2又はサーバ装置4との接続は、有線接続であっても無線接続であってもよい。その他、第1の実施形態やその変形例等を適宜組み合わせてもよい。
【0051】
本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の趣旨と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1実施形態のセキュリティ装置を備えた椅子及びPCを示す図。
【図2】図1の椅子及びPCの電気的構成を示すブロック図。
【図3】(a)PCのロック時に表示する画面。(b)ID番号を確認させる画面。
【図4】制御装置の動作処理ルーチンのフローチャートを示す図。
【図5】PCの動作処理ルーチンのフローチャートを示す図。
【図6】第2実施形態のセキュリティ装置を備えた椅子及びPC、サーバ装置を示す図。
【図7】図6の椅子及びPC、サーバ装置の電気的構成を示す図。
【図8】PCの動作処理ルーチンのフローチャートを示す図。
【図9】サーバ装置の動作処理ルーチンのフローチャートを示す図。
【符号の説明】
【0053】
1 椅子
2 PC
11 座部
12 背もたれ
13 支持部
15 圧力センサ
16 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の使用時に着座する座部に使用者が着座した際に、前記座部にかかる圧力の分布データを予め記憶するデータ記憶手段と、
前記座部に着座している使用者の離席を検知する離席検知手段と、
前記座部に使用者が着座した際に、前記座部にかかる圧力を検知し、圧力の分布データを作成するデータ作成手段と、
所定誤差の範囲内で、作成した前記分布データと前記データ記憶手段に記憶される分布データとが一致であるか、不一致であるかを判定するデータ判定手段と、
前記離席検知手段が前記使用者の離席を検知すると、前記電子機器の利用制限を開始し、前記データ判定手段による判定の結果、作成した前記分布データと前記データ記憶手段に記憶される分布データとが一致すると、前記利用制限を解除する利用制限実行手段と
を備えていることを特徴とするセキュリティ装置。
【請求項2】
前記利用制限実行手段は、
前記データ判定手段による判定結果が不一致である場合に、前記利用制限を解除するために、前記使用者に認証行為を実施させ、前記認証行為が適正であると判断すると前記利用制限を解除することを特徴とする請求項1に記載のセキュリティ装置。
【請求項3】
電子機器と有線又は無線によりデータ通信可能に接続するサーバ装置と、
前記電子機器又は前記サーバ装置の少なくとも一方とデータ通信可能に接続し、前記電子機器の使用時に着座する座部と
を備えたセキュリティシステムであって、
前記座部は、
前記座部に着座している使用者の離席を検知する離席検知手段と、
前記使用者が着座することで前記座部にかかる圧力を検知する圧力検知手段と
を有し、
前記電子機器又は前記サーバ装置の何れか一方は、
前記座部に前記使用者が着座した際に、前記座部にかかる圧力の分布データを予め記憶するデータ記憶手段と、
前記圧力検知手段検知した圧力に基づいて、圧力の分布データを作成するデータ作成手段と、
所定誤差の範囲内で、作成した前記分布データと前記データ記憶手段に記憶される分布データとが一致であるか、不一致であるかを判定するデータ判定手段と、
前記離席検知手段が前記使用者の離席を検知すると、前記電子機器の利用制限を開始し、前記データ判定手段による判定の結果、作成した前記分布データと前記データ記憶手段に記憶される分布データとが一致すると、前記利用制限を解除する利用制限実行手段と
を有していることを特徴とするセキュリティシステム。
【請求項4】
電子機器の使用時に座部に着座している使用者の離席を検知する離席検知手段と、前記使用者が着座することで前記座部にかかる圧力を検知する圧力検知手段とを備えたセキュリティ装置を制御するコンピュータを、
前記座部に前記使用者が着座した際に、前記座部にかかる圧力の分布データを予め記憶するデータ記憶手段と、
前記圧力検知手段検知した圧力に基づいて、圧力の分布データを作成するデータ作成手段と、
所定誤差の範囲内で、作成した前記分布データと前記データ記憶手段に記憶される分布データとが一致であるか、不一致であるかを判定するデータ判定手段と、
前記離席検知手段が前記使用者の離席を検知すると、前記電子機器の利用制限を開始し、前記データ判定手段による判定の結果、作成した前記分布データと前記データ記憶手段に記憶される分布データとが一致すると、前記利用制限を解除する利用制限実行手段と
して機能させることを特徴とするセキュリティプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−179422(P2007−179422A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379057(P2005−379057)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】