説明

セキュリティ装置およびプログラム

【課題】高齢者や幼児でも簡単にパスワード入力できるセキュリティ装置を実現する。
【解決手段】ユーザが光電センサ16に対して掌をかざす入力操作を行うと、その光電センサ16により検出される掌までの位置が所定距離未満であると遠近度を「近」として取得し、一方、掌までの位置が所定距離以上であれば遠近度を「遠」として取得する。こうした入力操作をn回繰り返し行って取得されるn個の遠近度について、「近」を「1」、「遠」を「0」とする二値化によりnビットデータの入力パスワードに変換し、変換した入力パスワードと、RAM12のパスワード情報記憶エリアに予め登録されるセキュリィティロック解除用のパスワード情報とが一致するか否かを判断する。変換された入力パスワードのデータとセキュリィティロック解除用のパスワード情報とが一致すると、セキュリティロックを解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器にセキュリティ機能を提供するセキュリティ装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
他人に不用意に個人情報を知られたり、不正使用されたりしないようにするセキュリティ機能を備える電子機器が知られている。例えば特許文献1に開示の電子機器(情報端末)では、使用者に対してパスワード入力を要求し、この要求に応じて入力されるパスワードと、予め機器側に記憶されるパスワードとが一致するか否かを判定し、一致しなかったときには機器本体の電源をオフにすると共に、不正使用を示す情報を記録するパスワード入力方式のセキュリティ機能が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−110840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示のパスワード入力方式では、キーボードやキースイッチなどを用いてパスワードを入力する必要がある為、キー操作に不慣れな高齢者やキー操作が覚束ない幼児には使い勝手が悪いという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、高齢者や幼児でも簡単にパスワードを入力することができるセキュリティ装置およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ユーザが機器に対して身体の一部をかざす入力操作に応じて、機器から身体の一部までの離間距離を検出する検出手段と、前記入力操作が行われる毎に、前記検出手段により検出される離間距離に対応した遠近度を取得する取得手段と、複数回の入力操作に対応して前記取得手段により取得された複数個の遠近度を入力パスワード情報に変換するパスワード変換手段と、前記パスワード変換手段により変換された入力パスワード情報と、予め記憶されたセキュリィティロック解除用のパスワード情報とが一致するか否かを判別し、一致した場合にセキュリティロックを解除する解除手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、高齢者や幼児でも簡単にパスワードを入力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の一形態によるセキュリティ装置を備えた画像表示装置100の外観を示す外観図である。
【図2】画像表示装置100の構成を示すブロック図である。
【図3】光電センサ16と掌との遠近度の関係を説明するための図である。
【図4】セキュリティ処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
A.構成
図1は、実施の一形態によるセキュリティ装置を備えた画像表示装置100の外観を示す外観図である。この図に示す画像表示装置100は、デジタルフォトフレームと呼ばれ、カラー液晶パネルを含む表示部14を額縁状フレームFにより支持固定する外観を有する。額縁状フレームFの上辺部には、ユーザがかざす掌の位置を検出する光電センサ16と、人体を検知する赤外線センサ17とが設けられる。
【0010】
次に、図2を参照して上記外観を有する画像表示装置100の構成を説明する。図2は実施の一形態によるセキュリティ装置を備えた画像処理装置100の構成を示すブロック図である。この図において、CPU10は、操作部13が発生する各種スイッチイベントに応じて装置各部を制御する。本発明の要旨に係わるCPU10の特徴的な処理動作(後述のセキュリティ処理)については追って詳述する。
【0011】
ROM11には、CPU10にロードされる各種の制御プログラムや制御データが記憶される。各種の制御プログラムとは、後述のセキュリティ処理を含む。RAM12は、CPU10の処理に用いられる各種レジスタ・フラグデータが一時記憶されるワークエリアの他、パスワード情報記憶エリアを備える。このパスワード情報記憶エリアには、ユーザ操作により予め設定されるセキュリィティロック解除用のパスワード情報が登録される。
【0012】
操作部13は、額縁状フレームFの側面や背面側に配設される各種操作スイッチ(不図示)を有し、ユーザ操作されるスイッチ種に対応したスイッチイベントを発生する。スイッチイベントはCPU10に取り込まれる。表示部14は、カラー液晶パネル等から構成され、画像処理部15から供給されるビデオ再生信号を画面表示する。画像処理部15は、CPU10の制御の下に、記録媒体I/O部18を介して外部記録媒体から読み出した画像データをビデオ再生信号に変換して出力する。
【0013】
光電センサ16は、信号光(赤外光)を発光する発光素子と、検出対象から反射される信号光のスポット位置を受光検出する位置検出素子(一次元PSD)とを備え、公知の光学的三角測距原理に基づき図3に図示するように、ユーザがかざす掌までの位置(離間距離)を検出する。本実施形態では、光電センサ16の検出出力に基づきユーザがかざす掌の位置を、「近」又は「遠」の遠近度として取得する。すなわち、図3(a)に図示するように、光電センサ16により検出される掌までの離間距離が所定距離未満であれば、CPU10が遠近度を「近」として取得し、一方、掌までの離間距離が所定距離以上ならば、CPU10が遠近度を「遠」として取得する。
【0014】
赤外線センサ17は、周知の焦電型から構成され、センサ視野内に人体が入った場合に、背景と人体の表面温度との温度差に対応した人体検知信号を発生する。赤外線センサ17から出力される人体検知信号は人体検知データに変換されてCPU10に供給される。記録媒体I/O部18は、CPU10の制御の下に、SDカード/SDHCカードなどの外部記録媒体に対して画像データを入出力する。
【0015】
B.動作
次に、図4を参照して上記構成による実施形態の動作を説明する。以下では、CPU10が実行するセキュリティ処理の動作について述べる。先ずステップS1では、赤外線センサ17の出力に基づき人体検知したか否か、つまり画像表示装置100を使おうとするユーザの有無を判断する。使おうとするユーザを検知しなければ、判断結果は「NO」となり、本処理を終えるが、使おうとするユーザを検知すると、判断結果が「YES」となり、ステップS2に進む。
【0016】
ステップS2では、パスワードの入力をユーザに促す為に「センサに掌をかざしてください」という操作ガイドを文字表示するパスワード入力画面を表示部14に表示する。次いで、ステップS3では、光電センサ16が検出出力を発生したか否か、つまり操作ガイドに従ってユーザが掌をセンサにかざしたかどうかを判断する。掌がかざされなければ、判断結果は「NO」になり、上記ステップS2に処理を戻して操作ガイドを継続する。そして、操作ガイドに従い、ユーザが掌をセンサにかざすと、上記ステップS3の判断結果は「YES」になり、ステップS4に進む。
【0017】
ステップS4〜S7では、入力回数を表すポインタiを「1」から「n」までステップ数「1」ずつ増加させる毎に、ステップS5〜S6の処理を繰り返すループ処理を実行する。すなわち、ステップS5では、i番目の入力操作の案内表示を表示部14に表示し、続くステップS6では、光電センサ16の検出出力に基づきユーザがかざす掌の位置を、「近」又は「遠」の遠近度として取得する。すなわち、図3に図示するように、光電センサ16により検出される掌までの離間距離が所定距離未満であると、遠近度を「近」として取得し、一方、掌までの離間距離が所定距離以上ならば、遠近度を「遠」として取得する。
【0018】
そして、上述のステップS5〜S6の処理を、n回繰り返すことによってn個の遠近度が取得されると、ステップS8に進み、取得されたn個の遠近度を入力パスワードに変換する。具体的には、例えば上述したステップS5〜S6の処理を4回繰り返して4個の遠近度「近,遠,遠,近」が取得されたとする。そして、取得された4個の遠近度「近,遠,遠,近」の内、「近」を「1」、「遠」を「0」とする二値化により「1,0,0,1」なる4ビットデータの入力パスワードに変換される。
【0019】
次いで、ステップS9では、上記ステップS8にて変換された入力パスワードのデータが、RAM12のパスワード情報記憶エリアに予め登録されるセキュリィティロック解除用のパスワード情報と一致するか否かを判断する。変換された入力パスワードのデータとセキュリィティロック解除用のパスワード情報とが一致しなければ、判断結果は「NO」になり、ステップS10に進み、パスワード誤入力を表示部14に画面表示した後、前述のステップS4に処理を戻してパスワード入力をやり直しさせる。
【0020】
一方、変換された入力パスワードのデータとセキュリィティロック解除用のパスワード情報とが一致すると、上記ステップS9の判断結果が「YES」になり、ステップS11に進み、セキュリティロックを解除して本処理を終える。なお、セキュリティロックを解除して本処理を終えると、例えば図示されていないメインルーチンが起動されて画像表示装置100(デジタルフォトフレーム)の全ての機能が実行可能になる。
【0021】
以上のように、本実施形態では、ユーザが光電センサ16に対して掌をかざす入力操作を行うと、その光電センサ16により検出される掌までの離間距離が所定距離未満であると遠近度を「近」として取得し、一方、掌までの離間距離が所定距離以上であれば遠近度を「遠」として取得する。こうした入力操作をn回繰り返し行って取得されるn個の遠近度について、「近」を「1」、「遠」を「0」とする二値化によりnビットデータの入力パスワードに変換し、変換した入力パスワードと、RAM12のパスワード情報記憶エリアに予め登録されるセキュリィティロック解除用のパスワード情報とが一致するか否かを判断する。変換された入力パスワードのデータとセキュリィティロック解除用のパスワード情報とが一致すると、セキュリティロックを解除するので、従来のように、キーボードやキースイッチなどを用いてパスワードを入力する必要が無くなり、キー操作に不慣れな高齢者やキー操作が覚束ない幼児でも簡単にパスワード入力することが可能になる。
【0022】
なお、上述した実施形態では、光電センサ16により検出される掌までの位置が所定距離未満であると遠近度を「近」として取得し、一方、掌までの位置が所定距離以上であれば遠近度を「遠」として取得するようにしたが、これに限らず、光電センサ16により検出される掌までの位置が第1の距離未満の場合に遠近度を「近」、掌までの位置が第1の距離以上で第2の距離未満の場合に接近度を「中」、掌までの位置が第2の距離以上の場合に遠近度を「遠」とする3段階の遠近度を定義するようにしてもよい。そして、3段階の遠近度について、「近」を「0」、「中」を「1」、「遠」を「2」とする三進法のnビットデータの入力パスワードに変換することも可能である。
【0023】
以上、本発明の実施の一形態について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下では、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された各発明について付記する。
【0024】
(付記)
[請求項1]
ユーザが機器に対して身体の一部をかざす入力操作に応じて、機器から身体の一部までの離間距離を検出する検出手段と、
前記入力操作が行われる毎に、前記検出手段により検出される離間距離に対応した遠近度を取得する取得手段と、
複数回の入力操作に対応して前記取得手段により取得された複数個の遠近度を入力パスワード情報に変換するパスワード変換手段と、
前記パスワード変換手段により変換された入力パスワード情報と、予め記憶されたセキュリィティロック解除用のパスワード情報とが一致するか否かを判別し、一致した場合にセキュリティロックを解除する解除手段と
を具備することを特徴とするセキュリティ装置。
【0025】
[請求項2]
機器を使用とする人の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段が機器を使用とする人を検知した場合に、機器に対して身体の一部をかざす入力操作を行うように案内表示する案内表示手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1記載のセキュリティ装置。
【0026】
[請求項3]
コンピュータに、
ユーザが機器に対して身体の一部をかざす入力操作に応じて、機器から身体の一部までの離間距離を検出する検出ステップと、
前記入力操作が行われる毎に、前記検出ステップにて検出される離間距離に対応した遠近度を取得する取得ステップと、
複数回の入力操作に対応して前記取得ステップにて取得された複数個の遠近度を入力パスワード情報に変換するパスワード変換ステップと、
前記パスワード変換ステップにより変換された入力パスワード情報と、予め記憶されたセキュリィティロック解除用のパスワード情報とが一致するか否かを判別し、一致した場合にセキュリティロックを解除する解除ステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0027】
10 CPU
11 ROM
12 RAM
13 操作部
14 表示部
15 画像処理部
16 光電センサ
17 赤外線センサ
18 記録媒体I/O部
100 画像表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが機器に対して身体の一部をかざす入力操作に応じて、機器から身体の一部までの離間距離を検出する検出手段と、
前記入力操作が行われる毎に、前記検出手段により検出される離間距離に対応した遠近度を取得する取得手段と、
複数回の入力操作に対応して前記取得手段により取得された複数個の遠近度を入力パスワード情報に変換するパスワード変換手段と、
前記パスワード変換手段により変換された入力パスワード情報と、予め記憶されたセキュリィティロック解除用のパスワード情報とが一致するか否かを判別し、一致した場合にセキュリティロックを解除する解除手段と
を具備することを特徴とするセキュリティ装置。
【請求項2】
機器を使用とする人の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段が機器を使用とする人を検知した場合に、機器に対して身体の一部をかざす入力操作を行うように案内表示する案内表示手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1記載のセキュリティ装置。
【請求項3】
コンピュータに、
ユーザが機器に対して身体の一部をかざす入力操作に応じて、機器から身体の一部までの離間距離を検出する検出ステップと、
前記入力操作が行われる毎に、前記検出ステップにて検出される離間距離に対応した遠近度を取得する取得ステップと、
複数回の入力操作に対応して前記取得ステップにて取得された複数個の遠近度を入力パスワード情報に変換するパスワード変換ステップと、
前記パスワード変換ステップにより変換された入力パスワード情報と、予め記憶されたセキュリィティロック解除用のパスワード情報とが一致するか否かを判別し、一致した場合にセキュリティロックを解除する解除ステップと
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−243110(P2012−243110A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112978(P2011−112978)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】