説明

セットおよびラッチ電極を備えたMEMSスイッチ

【課題】光干渉MEMSディスプレイ素子を備えている光干渉変調器ディスプレイを提供する。
【解決手段】第一の電極702と可動物質714の間にかけられた電圧でMEMSデバイスが電気的に動作される。第一の電極から離れているラッチ電極730a、730bによってデバイスが動作状態に維持されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2004年9月27日に出願した「統合MEMS電気スイッチを備えた光干渉変調器アレイ」と題する米国仮出願60/613,501号に対する優先権を請求する。それは、参照によってそのままここに組込まれる。
【0002】
本発明の分野は微小電気機械システム(MEMS)に関する。
【背景技術】
【0003】
微小電気機械システム(MEMS)はマイクロメカニカル素子とアクチュエーターと電子機器とを含んでいる。マイクロメカニカル素子は、基板および/または堆積物質層の一部をエッチング除去するか層を追加して電気デバイスや電気機械デバイスを形成する堆積およびまたはエッチング、ほかのマイクロマシーニングプロセスを用いて作製しうる。MEMSデバイスの一つのタイプは光干渉変調器と呼ばれる。ここに使用する光干渉変調器や光干渉光変調器との用語は、光干渉の法則を使用して光を選択的に吸収および/または反射するデバイスを指す。ある実施形態では、光干渉変調器は一対の伝導プレートを備えていてもよく、その一方または両方は、全体または一部が透明および/または反射的であってもよく、適当な電気信号の印加に対して相対運動可能であってもよい。特定の実施形態では、一方のプレートが基板上に堆積された静止層を備えていてもよく、他方のプレートが空隙によって静止層から離れた金属膜を備えていてもよい。ここに詳細に説明するように、一方のプレートの他方に対する位置は、光干渉変調器への入射光の光干渉を変化させることができる。そのようなデバイスは広範囲の用途を有しており、既存製品を改善してまだ開発されていない新製品を作り出すのにそれらの特徴を利用できるようにこれらのタイプのデバイスの特性を利用および/または修正する技術分野にとって有益であろう。
【発明の概要】
【0004】
本発明のシステム、方法およびデバイスのおのおのはいくつかの観点を有する。それらの単一の一つが単独でその好ましい性質の原因でない。本発明の要旨を制限することなく、そのより顕著な特徴を今簡潔に論じる。この議論を考慮した後、特に「発明を実施するための形態」と題する章を読んだ後、本発明の特徴がどのようにほかの表示装置に対して利点を提供するかが理解できよう。
【0005】
一実施形態では、本発明は、基板によって支持された少なくとも二つの支持ポストを持つ基板を備えたMEMSデバイスを含んでいる。デバイスはまた、基板によって支持され支持ポスト間に配置された少なくとも二つの電気的分離電極を含んでいる。デバイスはさらに、支持ポストによって基板の上方に支持された可動電極と、可動電極の位置に応じて選択可能に連結可能な少なくとも二つのスイッチ端子をさらに含んでいる。
【0006】
別の実施形態では、本発明は、MEMSスイッチを動作させる方法を含んでいる。その方法は、第一の電極と第二の電極との間に第一の電圧を印加することにより可動素子を第一位置から第二の位置に移動させることによりスイッチ動作を制御することを含んでいる。その方法はまた、第一の電極と第三の電極との間に第二の電圧を印加することにより可動素子を第二の位置に維持することを含んでいる。
【0007】
別の実施形態では、MEMSスイッチは、第一と第二の位置の間で移動可能な第一の電極と、可動電極の位置に基づいて選択可能に連結可能なスイッチ端子とを含んでいる。そのスイッチはまた、可動電極を第一の位置から第二に位置に移動させるための手段と、可動電極を第二の位置に維持するための手段とを含んでいる。維持するための手段は、移動させるための手段から別々に制御可能である。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、MEMSスイッチを作る方法を備えている。その方法は、基板上の一対の支持ポストの間に少なくとも第一と第二の電気的分離電極を形成することと、スイッチ端子を形成することと、前記支持ポスト上に可動電極を形成することとを含んでいる。
【0009】
別の実施形態では、ディスプレーシステムは、MEMSディスプレイ素子のアレイアレイに接続された一つ以上のMEMSスイッチを備えている。MEMSスイッチの少なくとも一つは、基板と、基板によって支持された少なくとも二つの支持ポストと、前記基板に支持され支持ポスト間に配置された少なくとも二つの電気的分離電極とを備えている。可動電極は支持ポストによって基板の上方に支持されており、また、可動電極の位置に応じて選択可能に連結可能な少なくとも二つのスイッチ端子が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第一の光干渉変調器の可動反射層が弛緩位置にあり、第二の光干渉変調器の可動反射層が動作位置にある光干渉変調器ディスプレイの一実施形態の一部を描く等角投影図である。
【図2】3×3光干渉変調器ディスプレイを組み込んだ電子デバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。
【図3】図1の光干渉変調器の一つの代表的な実施形態における可動ミラー位置対印加電圧の図である。
【図4】光干渉変調器ディスプレイを駆動するのに使用しうる1セットの行および列電圧を示している。
【図5A】図2の3×3光干渉変調器ディスプレイにフレーム表示データを書くために使用されうる行列信号のための一つの代表的なタイミング図を示している。
【図5B】図2の3×3光干渉変調器ディスプレイにフレーム表示データを書くために使用されうる行列信号のための一つの代表的なタイミング図を示している。
【図6A】複数の光干渉変調器からなる視覚ディスプレイデバイスの実施形態を示すシステムブロック図である。
【図6B】複数の光干渉変調器からなる視覚ディスプレイデバイスの実施形態を示すシステムブロック図である。
【図7A】図1のデバイスの断面図である。
【図7B】光干渉変調器の代替実施形態の断面図である。
【図7C】光干渉変調器の別の代替実施形態の断面図である。
【図7D】光干渉変調器のまた別の代替実施形態の断面図である。
【図7E】光干渉変調器の追加の代替実施形態の断面図である。
【図8A】MEMSスイッチ実施形態の断面である。
【図8B】図8Aのスイッチ実施形態の平面図である。
【図9】別のMEMSスイッチ実施形態の断面である。
【図10】別のMEMSスイッチ実施形態の断面である。
【図11】図10のスイッチ実施形態の模式/ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
続く詳細な説明は、本発明のある特定の実施形態に向けられている。しかしながら、本発明は多くの異なる手法で具体化することができる。この説明では、同様の部材は同様の符号で示す参照符号を図面に付す。続く説明から明らかように、実施形態は、動画(たとえばビデオ)か静止画(たとえばスチル画像)かを問わず、さらに文字か絵かを問わず、画像を表示するように構成されたあらゆるデバイスにおいて実施しうる。特に、実施形態は、これに限定されないが、移動電話や無線デバイス、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ハンドヘルドまたは携帯型コンピューター、GPSレシーバー/ナビゲーター、カメラ、MP3プレーヤー、カムコーダー、ゲーム機、腕時計、時計、計算機、テレビジョンモニター、フラットパネルディスプレイ、コンピューターモニター、自動ディスプレイ(たとえば走行記録計ディスプレイその他)、コックピットのコントロールやディスプレイ、カメラ視のディスプレイ(たとえば乗り物の背面カメラのディスプレイ)、電子写真、電子の広告板や標識、プロジェクター、建築物、パッケージング、美的構造物(たとえば一つの宝石の画像)など、いろいろな電子デバイスにおいて実施しうるか関連しうることが予想される。ここに説明したものと同様の構造体のMEMSデバイスは電子スイッチデバイスなどの非ディスプレイ用途において使用することもできる。
【0012】
光干渉MEMSディスプレイ素子を備えている一つの光干渉変調器ディスプレイ実施形態を図1に示す。これらのデバイスでは、画素は明暗状態のいずれかにある。明(「オン」または「開放」)状態では、ディスプレイ素子は、入射可視光の大部分をユーザーへ反射する。暗(「オフ」または「閉鎖」)状態では、ディスプレイ素子は、入射可視光をユーザーへほとんど反射しない。実施形態によっては、「オン」状態と「オフ」状態の光反射特性は逆であってもよい。MEMS画素は、白黒に加えてカラー表示を考慮し、特定の色で主に反射するように構成することが可能である。
【0013】
図1は、視覚ディスプレイの一連の画素中の二つの隣接画素を描いた等角投影図であり、各画素はMEMS光干渉変調器を備えている。いくつかの実施形態では、光干渉変調器ディスプレイは、これらの光干渉変調器の行/列アレイを備えている。各光干渉変調器は、互いに可変かつ制御可能な距離に位置する一対の反射層を含んでおり、少なくとも一つの可変次元をもつ共振光学キャビティを形成している。一実施形態では、一方の反射層が二つの位置の間で移動されうる。第一の位置(ここでは弛緩位置と呼ぶ)では、可動反射層は、固定部分反射層から比較的大きな距離に位置している。第二の位置(ここでは動作位置と呼ぶ)では、可動反射層は、固定部分反射層に隣接し密接して位置している。二つの層から反射する入射光は、可動反射層の位置に応じて強め合ってまたは弱め合って干渉し、各画素について全体反射状態または非反射状態のいずれかを作り出す。
【0014】
図1の画素アレイの図示部分は二つの隣接する光干渉変調器12aと12bを含んでいる。左側の光干渉変調器12aでは、可動反射層14aは光学スタック16aからの所定距離の弛緩位置に図示されており、光学スタック16aは部分的反射層を含んでいる。右側の光干渉変調器12bでは、可動反射層14bは光学スタック16bに隣接する動作位置に図示されている。
【0015】
光学スタック16aと16b(光学スタック16と総称する)は、ここに参照するように、典型的にはいくつかの融合層からなり、それらは、インジウムスズ酸化物(ITO)などの電極層、クロムなどの部分的反射層、透明誘電体を含みうる。したがって、光学スタック16は、電気的に伝導性で、部分的に透明で、部分的に反射的であり、たとえば透明基板20上に上記の層の一つ以上を堆積することにより作られうる。部分的反射層は、さまざまな金属、半導体および誘電体などの部分的に反射的であるいろいろな物質から形成することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、光学スタックの層は平行ストリップにパターニングされ、後述するようにディスプレイデバイス中の行電極を形成しうる。可動反射層14a,14bは、ポスト18の上面およびポスト18間に堆積された介在犠牲物質の上に堆積された(行電極16a,16bに直交する)一つまたは複数の堆積金属層の一連の平行ストリップとして形成してもよい。犠牲物質をエッチング除去すると、可動反射層14a,14bが光学スタック16a,16bから規定間隙19だけ離れる。アルミニウムなどの高伝導反射物質を反射層14に使用してもよく、これらのストリップがディスプレイデバイスの列電極を形成してもよい。
【0017】
印加電圧がないとき、図1の画素12aに示すように、可動反射層14aと光学スタック16aの間にキャビティ19が残り、可動反射層14aは機械的弛緩状態にある。しかしながら、選択した行と列に電位差を印加すると、対応する画素の行電極と列電極の交差により形成されたコンデンサーがチャージされ、静電力が電極同士を引き寄せる。電圧が十分に高ければ、可動反射層14が変形し、光学スタック16に押し付けられる。図1の右側の画素12bに示されるように、光学スタック16内の(この図には示していない)誘電体層が短絡するのを防止するとともに層14と層16の間の分離距離を制御しうる。その振る舞いは印加電位差の極性にかかわらず同じである。このように、反射対非反射画素状態を制御することができる行/列動作は、従来のLCDやほかのディスプレイ技術で使用される行/列動作に多くの点で類似している。
【0018】
図2〜5は、表示用途の光干渉変調器のアレイを使用するための一つの代表的なプロセスとシステムを示している。
【0019】
図2は、本発明の観点を組み込んでよい電子デバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。この代表的な実施形態では、電子デバイスは、ARMやPentium(登録商標)、Pentium II(登録商標)、Pentium III(登録商標)、Pentium IV(登録商標)、Pentium(登録商標) Pro、8051、MIPS(登録商標)、Power PC(登録商標)、ALPHA(登録商標)などの任意の汎用シングルまたはマルチチップマイクロプロセッサー、またはデジタルシグナルプロセッサーやマイクロコントローラー、プログラマブルゲートアレイなどの任意の専用マイクロプロセッサーであってもよいプロセッサー21を含んでいる。この分野で一般に行なわれているように、プロセッサー21は一つ以上のソフトウェアモジュールを実行するように構成されうる。オペレーティングシステムを実行することに加えて、プロセッサーは、ウェブブラウザや電話アプリケーション、電子メールプログラム、ほかのソフトウェアアプリケーションを含め、一つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成されてもよい。
【0020】
一実施形態では、プロセッサー21もアレイドライバー22と通信するように構成されている。一実施形態では、アレイドライバー22は、ディスプレイアレイすなわちパネル30に信号を供給する行ドライバー回路24と列ドライバー回路26を含んでいる。図1に示したアレイの断面は図2の1−1線によって示されている。MEMS光干渉変調器については、行/列動作プロトコルは、図3に示したデバイスのヒステリシス特性を利用してよい。可動層を弛緩状態から動作状態まで変形させるにはたとえば10ボルトの電位差を必要としてよい。しかしながら、電圧がその値から低下するとき、電圧が10ボルト未満に降下する際、可動層はその状態を維持する。図3の代表的な実施形態では、電圧が2ボルト未満の降下するまで可動層は完全に弛緩しない。したがって、デバイスが弛緩または動作状態で安定している印加電圧の窓が存在する電圧の範囲(図3に示した例では約3〜7V)がある。ここでは、これを「ヒステリシス窓」または「安定窓」と呼ぶ。図3のヒステリシス特性を有するディスプレイアレイは、行ストロービングのあいだ、ストローブされた行中の動作されるべき画素が約10ボルトの電圧差にさらされ、弛緩されるべき画素が0ボルト近くの電圧差にさらされるように、行/列動作プロトコルを設計することが可能である。ストローブの後、画素は、行ストローブによっておかれた状態のままであるように、約5ボルトの定常状態電圧差にさらされる。書き込み後、各画素は、この例の3−7ボルトの「安定窓」内の電位差にある。この特徴は、図1に示した画素設計を同じ印加電圧状態の下で動作または弛緩の事前状態のいずれかに安定にする。光干渉変調器の各画素は、動作状態であれ弛緩状態であれ、実質的に固定反射層と可動反射層によって形成されるコンデンサーであるので、この安定状態は、ほとんど消費電力を伴わないヒステリシス窓内の電圧で保持することができる。印加電位が固定されていれば、実質的に電流は画素に流れ込まない。
【0021】
代表的アプリケーションでは、表示フレームは、第一行中の動作画素の所望のセットにしたがって列電極のセットをアサートすることにより作成してよい。次に行パルスを行1電極に印加し、アサートされた列線に対応する画素を動作させる。次に列電極のアサートされたセットを変更し、第二行中の動作画素の所望のセットに対応させる。次にパルスを行2電極に印加し、行2中の適当な画素をアサートされた列電極にしたがって動作させる。行1画素は行2パルスに影響されず、行1パルスのあいだに設定された状態のままである。これを一連の行の完全にわたり順次に繰り返してフレームを生成してよい。一般に、フレームは、毎秒所望のフレーム数でこのプロセスを絶えず繰り返すことにより、新しい表示データでリフレッシュおよび/またはアップデートされる。表示フレームを生成するために画素アレイの行電極と列電極を駆動するための種々いろいろなプロトコルもまた周知であり、これは本発明と共に使用してよい。
【0022】
図4と5Aと5Bは、図2の3×3アレイに表示フレームを生成するための一つの可能な動作プロトコルを示している。図4は、図3のヒステリシス曲線を示す画素に使用してよい列と行の電圧レベルの可能なセットを示している。図4の実施形態において、画素を動作させることは、適切な列を−Vbiasに、適切な行を+ΔVにセットすることを含んでおり、それらは、それぞれ、−5ボルトと+5ボルトに一致していてもよい、
画素を弛緩させることは、適切な列を+Vbiasに、適切な行を同じ+ΔVにセットして、画素を横切ってゼロボルト電位差を生成することより実施する。行電圧がゼロボルトに保持される行では、画素は、列が+Vbiasか−Vbiasかにかかわらず、それらがもとあった状態で安定している。また図4に示すように、上述したほかに逆極性の電圧を使用することができること、たとえば、画素を動作させることが適切な列を+Vbiasに、適切な行を−ΔVにセットすることを含みうることもわかるであろう。本実施形態では、画素を解放することは、適切な列を−Vbiasに、適切な行を−ΔVにセットして、画素を横切ってゼロボルト電位差を生産することにより実施する。
【0023】
図5Bは、図5Aに示したディスプレイ配列をもたらす図2の3×3アレイに印加する一連の行と列の信号を示しているタイミング図であり、ここで動作画素は非反射である。図5Aに示したフレームを書き込む前に、画素は任意の状態であってもよく、この例では、すべての行が0ボルト、すべての列が+5ボルトにある。これらの印加電圧では、すべての画素はそれらの既存の動作状態または弛緩状態で安定している。
【0024】
図5Aのフレーム中では、画素(1,1)と(1,2)、(2,2)、(3,2)、(3,3)が動作される。これを実施するため、行1の「線時間」のあいだ、列1と列2は−5ボルトにセットし、列3は+5ボルトにセットする。これは任意の画素の状態を変更しない。なぜなら、すべての画素は3〜7ボルトの安定窓にあるままであるからである。次に行1を、0から5ボルトまで上がってゼロに戻るパルスでストローブする。これは(1,1)と(1,2)画素を動作させ、(1,3)画素を弛緩させる。アレイ中のほかの画素は影響されない。行2を望むようにセットするため、列2を−5ボルトにセットし、列1と列3を+5ボルトにセットする。次に行2に印加した同じストローブは、画素(2,2)を動作させ、画素(2,1)と(2,3)を弛緩させる。再び、アレイ中のほかの画素は影響されない。列2と列3を−5ボルトに、列1を+5ボルトにセットすることにより行3を同様にセットする。行3のストローブは図5Aに示すように行3の画素をセットする。フレームを書き込んだ後、行電位はゼロになり、列電位は+5または−5ボルトの一方のままとなることが可能であり、ディスプレイは次に図5Aの配列で安定する。多数すなわち何百もの行と列に対して同じ手順を使用することが可能であることがわかるであろう。行と列の動作を実施するのに使用される電圧のタイミングとシーケンスとレベルは、上に概説した一般的な原理の範囲内で広く変えることが可能であり、上述の例は代表的なだけであり、任意の動作電圧方法もここに説明したシステムと方法で使用することが可能である。
【0025】
図6Aと6Bは、ディスプレイデバイス40の実施形態を示すシステムブロック図である。ディスプレイデバイス40はたとえば携帯(移動)電話とすることができる。しかしながら、ディスプレイデバイス40またはそれの少しの変形の同じコンポーネントは、テレビやポータブルメディアプレイヤーなどのさまざまなタイプのディスプレイデバイスの例ともなる。
【0026】
ディスプレイデバイス40は、ハウジング41とディスプレイ30とアンテナ43とスピーカー45と入力デバイス48とマイクロホン46とを含んでいる。ハウジング41は一般に、射出成形と真空成形を含む、当業者に周知ないろいろな製造プロセスのいずれかから形成される。さらに、ハウジング41は、これらに限定されないが、プラスチックや金属、ガラス、ゴム、陶器、またはそれらの組み合わせを含む、いろいろな物質のいずれかから作られうる。一実施形態では、ハウジング41は、異なる色のまたは異なるロゴや絵や記号を有しているほかの着脱部と交換されてよい(図示しない)着脱部を含んでいる。
【0027】
代表的なディスプレイデバイス40のディスプレイ30は、ここに説明するように、双安定ディスプレイを含むいろいろなディスプレイのいずれかであってもよい。ほかの実施形態では、ディスプレイ30は、当業者に周知なように、プラズマやEL、OLED、STN LCD、上述したTFT LCDなどのフラットパネルディスプレイ、またはCRTやほかのチューブデバイスなどの非フラットパネルディスプレイを含んでいる。しかしながら、本実施形態を説明する目的のため、ディスプレイ30は、ここに説明するように、光干渉変調器ディスプレイを含んでいる。
【0028】
代表的なディスプレイデバイス40の一実施形態のコンポーネントを図6Bに概略的に示す。図示の代表的なディスプレイデバイス40はハウジング41を含んでおり、その中に少なくとも部分的に囲まれた追加コンポーネントを含むことができる。たとえば、一実施形態では、代表的なディスプレイデバイス40は、トランシーバー47に接続されるアンテナ43を含むネットワークインターフェース27を含んでいる。トランシーバー47はプロセッサー21に連結されており、それはコンディショニングハードウェア52に連結されている。コンディショニングハードウェア52は信号を整える(たとえば信号をフィルター処理する)ように構成されうる。コンディショニングハードウェア52はスピーカー45とマイクロホン46に連結されている。プロセッサー21も入力デバイス48とドライバーコントローラー29に連結されている。ドライバーコントローラー29はフレームバッファ28とアレイドライバー22に接続され、これはさらにディスプレイアレイ30に接続されている。電源50は、特定の代表的なディスプレイデバイス40設計によって必要とされるすべてのコンポーネントにパワーを供給する。
【0029】
ネットワークインターフェース27は、代表的なディスプレイデバイス40がネットワーク上の一つ以上のデバイスと通信できるように、アンテナ43とトランシーバー47を含んでいる。一実施形態では、ネットワークインターフェース27はまたいくつかの処理容量を有し、プロセッサー21の要件を取り除いてもよい。アンテナ43は、信号の送受信用の当業者に周知の任意のアンテナである。一実施形態では、アンテナは、IEEE 802.11規格によりIEEE 802.11(a)や(b)や(g)を含むRF信号を送受信する。別の実施形態では、アンテナはBLUETOOTH(登録商標)規格によりRF信号を送受信する。携帯電話の場合、アンテナは、無線セル電話ネットワーク内で通信するために使用されるCDMAやGSM(登録商標)、AMPS、ほかの既知信号を受信するように設計されている。トランシーバー47はアンテナ43から受信した信号を、それらがプロセッサー21によって受信されさらに操作されうるように前処理する。トランシーバー47はまたプロセッサー21から受信した信号を、それらがアンテナ43を介して代表的なディスプレイデバイス40から送信されうるように処理する。
【0030】
代替実施形態では、トランシーバー47はレシーバーと交換することが可能である。また別の代替実施形態では、ネットワークインターフェース27は像源と取り替えることが可能であり、像源はプロセッサー21に送る画像データを記憶または生成することができる。たとえば、像源は、画像データを収容したデジタルビデオディスク(DVD)やハードディスクドライブ、または画像データを生成するソフトウェアモジュールとすることができる。
【0031】
プロセッサー21は一般に、代表的なディスプレイデバイス40の動作全体を制御する。プロセッサー21は、ネットワークインターフェース27や像源からの圧縮画像データなどのデータを受信し、そのデータを行画像データに、または行画像データへ容易に処理されるフォーマットに処理する。次にプロセッサー21は処理したデータを記憶のためにドライバーコントローラー29またはフレームバッファ28へ送る。生データは、典型的には画像内の各場所における画像特性を識別する情報を指す。たとえば、そのような画像特性は、色と彩度とグレースケールレベルを含みうる。
【0032】
一実施形態では、プロセッサー21は、マイクロコントローラーまたはCPU、論理演算装置を含み、代表的なディスプレイデバイス40の動作を制御する。コンディショニングハードウェア52は、スピーカー45に信号を送信するために、またマイクロホン46から信号を受信するために、一般に増幅器とフィルターを含んでいる。コンディショニングハードウェア52は代表的なディスプレイデバイス40内のディスクリートコンポーネントであってもよく、またはプロセッサー21やほかのコンポーネント内に組み込まれていてもよい。
【0033】
ドライバーコントローラー29は、プロセッサー21によって生成された行画像データをプロセッサー21から直接またはフレームバッファ28からとり、アレイドライバー22への高速伝送に適切な行画像データに再フォーマットする。具体的には、ドライバーコントローラー29は行画像データを、ラスター状フォーマットを有するデータ流れに再フォーマットし、それは、ディスプレイアレイ30を横切って走査するのに適した時間順序を有している。次にドライバーコントローラー29はフォーマットした情報をアレイドライバー22に送る。LCDコントローラーなどのドライバーコントローラー29はしばしばスタンドアロンの集積回路(IC)としてシステムプロセッサー21に付随されるが、そのようなコントローラーは多くの手法によって実現されてよい。それらはハードウェアとしてプロセッサー21に埋め込まれても、ソフトとしてプロセッサー21に埋め込まれても、アレイドライバー22にハードウェアに完全に集積されてもよい。
【0034】
典型的には、アレイドライバー22はドライバーコントローラー29からフォーマットされた情報を受信し、ビデオデータを、ディスプレイのx−yマトリックスの画素から来る何百もの時には何千ものリードに毎秒何度も印加される波形の並列セットに再フォーマットする。
【0035】
一実施形態では、ドライバーコントローラー29とアレイドライバー22とディスプレイアレイ30は、ここに説明したディスプレイのどのタイプにも適切である。たとえば、一実施形態では、ドライバーコントローラー29は、従来のディスプレイコントローラーや双安定ディスプレイコントローラー(たとえば光干渉変調器コントローラー)である。別の実施形態では、アレイドライバー22は、従来のドライバーや双安定ディスプレイドライバー(たとえば光干渉変調器ディスプレイ)である。一実施形態では、ドライバーコントローラー29はアレイドライバー22に集積されている。そのような実施形態は、携帯電話、時計、ほかの小面積ディスプレイなどの高集積システムに共通している。また別の実施形態では、ディスプレイアレイ30は、典型的なディスプレイアレイや双安定ディスプレイアレイ(たとえば光干渉変調器のアレイを含むディスプレイ)である。
【0036】
入力デバイス48は、ユーザーが代表的なディスプレイデバイス40の動作を制御するのを可能にする。一実施形態では、入力デバイス48は、QWERTYキーボードや電話キーパッドなどのキーパッドや、ボタン、スイッチ、タッチセンシティブスクリーン、感圧または感熱膜を含んでいる。一実施形態では、マイクロホン46は代表的なディスプレイデバイス40用の入力デバイスである。マイクロホン46を使用してデバイスにデータを入力するとき、代表的なディスプレイデバイス40の動作を制御するためにユーザーがボイスコマンドを与えてもよい。
【0037】
この分野で周知なように、電源50はいろいろなエネルギー蓄積装置を含みうる。たとえば、一実施形態では、電源50は、ニッケル−カドミウム電池やリチウムイオン電池などの充電式電池である。別の実施形態では、電源50は、再生可能エネルギー源とコンデンサー、プラスチック太陽電池と太陽電池ペイントを含む太陽電池である。別の実施形態では、電源50は壁付コンセントからパワーを受け取るように構成される。
【0038】
いくつかの実施においては、上述したように、電子ディスプレイシステムのいくつかの場所に配置することが可能であるドライバーコントローラーに、制御プログラム化が存在する。いくつかのケースでは、制御プログラム化はアレイドライバー22に存在する。たくさんのハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントおよびさまざまな構成に対して上述した最適化が実現されてよいことは当業者であればわかるであろう。
【0039】
上述した原理にしたがって動作する光干渉変調器の構造の詳細は広く変更されてよい。たとえば、図7A〜7Eは、可動反射層14をその支持構造の5つの異なる実施形態を示している。図7Aは図1の実施形態の断面図であり、金属物質14のストリップが直交して延びている支持体18上に堆積されている。図7Bでは、可動反射層14がつなぎ32によってコーナーだけで支持体に取り付けられている。図7Cでは、可動反射層14が変形可能層34からつるされており、変形可能層34は可撓性金属で構成されうる。変形可能層34は、直接または間接的に、変形可能層34の周囲の周りの基板20に連結している。これらの接続はここでは支持ポストと呼ぶ。図7Dに示した実施形態は、その上に変形可能層34が横たわる支持ポストプラグ42を有している。図7A〜7Cのように、可動反射層14はキャビティの上につるされるが、変形可能層34は、変形可能層34と光学スタック16の間の穴を満たすことにより、支持ポストを形成しない。むしろ、支持ポスト18は平坦化物質で作られ、それは支持ポストプラグ42を形成するために使用される。図7Eに示す実施形態は、図7Dに示した実施形態に基づくが、図示しない追加の実施形態と同様に、図7A〜7Cに示した実施形態のいずれに適用してもよい。図7Eに示した実施形態では、金属またはほかの伝導物質の追加層がバス構造44を形成するために使用された。これは信号を光干渉変調器の背面に沿って転送するのを可能にし、さもなければ基板20上に形成されなければならないであろう多くの電極を取り除く。
【0040】
図7に示した実施形態では、光干渉変調器は直視型デバイスとして機能し、画像は透明基板20の正面側つまり変調器が配置される側の反対側から見られる。これらの実施形態では、変形可能層34を含め、反射層14は、基板20に対向する反射層の側にある光干渉変調器の部分を光学的に遮へいする。これは、遮へい領域が像品質に悪影響を与えずに構成され動作されることを可能にする。そのような遮へいは、図7Eのバス構造44を可能にし、それは、アドレシングおよびそのアドレシングに起因する動作など、変調器の電気機械の特性から変調器の光学的性質を分離する能力を提供する。この分離可能な変調器アーキテクチャは、変調器の電気機械的観点と光学的観点のために使用される構造設計と物質が互い独立に選択され機能することを可能にする。さらに、図7C〜7Eに示した実施形態は、機械的特性からの反射層14の光学的特性の非干渉を得るという追加の利点を有し、それは変形可能層34によって実現される。これは、反射層14に使用する構造設計と物質を光学的特性に対して最適化し、また変形可能層34に使用する構造設計と物質を所望の機械的特性に対して最適化すること可能にする。
【0041】
いくつかの変更をくわえることで、光干渉変調器の基本構造はMEMSスイッチとして使用することができる。光干渉変調器と同じ基本構造から作られたMEMSスイッチは、光干渉変調器アレイを備えたロジックおよびスイッチ機能の集積化を容易にする。光干渉素子の製造に似ていない手法で製造されたスイッチや、ガラス基板に堆積されたシリコン薄膜を使用して製造されたさらに従来の電子スイッチなど、ほかのタイプのスイッチが集積されうることが可能である。しかしながら、光干渉変調器ベースMEMSスイッチの製造は、光干渉変調器を製造するのに使用されるのと同じ多くの処理ステップを使用して行なわれうるので、これらのMEMSスイッチは、たとえばディスプレイに使用される光干渉変調器のアレイと同じ基板上に低費用で集積されうる。
【0042】
たとえば、一実施形態では、MEMSスイッチと光干渉変調器は同じプロセスを使用して製造されうる。ただし、製造プロセス中に光干渉変調器および/またはMEMSスイッチに追加ステップが行なわれうる。たとえば、MEMSスイッチに端子を追加する堆積とエッチングのステップは光干渉変調器の製造には不必要である。そのような実施形態では、電極などを形成するためのステップなどの、いくつかの共通のステップが行なわれよう。MEMSスイッチ端子が次に形成されよう。これらのステップが、光干渉変調器とMEMSスイッチの両方に必要なより多くのステップに続いた後に、それにより、複合光干渉変調器・MEMSスイッチアレイが提供されよう。また別の実施形態では、光干渉変調器を製造するために使用されるのと同じプロセスが、MEMSスイッチを製造するのに使用される。光干渉変調器を基板上に最初に製造し、その基板上へのMEMSスイッチの製造がそれに続いてもよい。同様に、MEMSスイッチを基板上に最初に製造し、その基板上への光干渉変調器の製造がそれに続いてもよい。いずれの場合も、MEMSスイッチが光干渉変調器と同じ多くの構造を備えているので、製造プロセスは大きな変更を必要としない。
【0043】
一実施形態では、これらのMEMSスイッチ群を使用して論理ブロックを形成することができ、それらは任意の目的に使用されうる。MEMSスイッチを備えているこれらの論理ブロックは一緒に配置されて、外部付加コンポーネントに一般的に見られる論理的および電気的な機能を提供し、それによりコンポーネントのコストを節約しうる。たとえば、MEMSスイッチは、たとえば、低漏れトランジスター、シフトレジスター、デマルチプレクサーの容量など、さまざまな方法への使用のために配置されてもよい。光干渉変調器のコンテキストでは、上記のMEMSスイッチは、たとえば、行ドライバーまたは列ドライバーとともに使用されうる。好都合なことに、上に説明したMEMSスイッチは、ガラスやガラスウェハー、シリコンウェハー、プラスチック基板などのさまざまな基板上に製造されうる。
【0044】
図8AはMEMSスイッチ700の断面側面図である。図8AのMEMSスイッチ700は、図7Aの光干渉変調器と同様のつぶれうるキャビティ特徴を有する。MEMSスイッチ700は、二つの端子706と、絶縁層710と、伝導性ストリップ708とをさらに含んでいる。MEMSスイッチ700は、二つの端子706の間に選択的な電気的接触を提供する構造体である。特に、端子706が電気的接触にあるときにMEMSスイッチ700は閉鎖と見なされ、端子706が電気的接触にないときにMEMSスイッチは開放と見なされる。機械的弛緩状態では、端子706は電気的接触になく、したがってMEMSスイッチ700は開放である。図8Aに示されるように、MEMSスイッチ700は、可動物質714と、伝導性ストリップ708と、可動物質714と伝導性ストリップ708との間の絶縁層710とを備えている。基板720は、電極702と、電極702上の絶縁層704とを支持している。二つの端子706は、ある距離だけ離れて、絶縁層704の上におよび/またはそれを通って堆積されている。端子706は、絶縁層704および/または電極702を介してviasを使用する他のほかの回路類に連結しうる。絶縁層704と可動物質714は、キャビティ707を規定するため、支持体718によって機械的に分離されている。光干渉変調器に関して上述したように、可動物質714は変形可能であり、可動物質714と電極702の間に電圧差が印加されたときに可動物質714が基板720に向かって変形されうる。これは、図7Aの反射物質14と基板20と電極16に類似し、また図1の反射層14aと14bと透明基材20と反射層16aと16bに類似している。可動物質714はその上に絶縁体710を有していてよく、それはその上に伝導性ストリップ708を有している。伝導性ストリップ708は、上述したように印加電位差によって可動物質714が基板720に向かってたわんだときに、伝導性ストリップ708が端子706の両方に接触して、端子706が電気的接触にあるようにするとともにMEMSスイッチ700が閉鎖となるようにするように整列されている。この実施形態では、端子706と可動物質714の間の接触が可動物質714と電極702の間に印加された電圧差を邪魔しないように、伝導性ストリップ708は絶縁体710によって可動物質714から電気的に分離されている。いくつかの実施形態では、そのような分離は必要でなく、伝導性ストリップ708と絶縁体710は必要ではなく、可動物質714それ自体が二つの端子706をつなぐ伝導体として機能することができる。可動物質714と電極702の間に印加された電圧が(上述した)あるレベル以下に低下したとき、可動物質714は機械的弛緩状態に戻り、MEMSスイッチ700は開放になる。
【0045】
図8BはMEMSスイッチ700の平面図である。支持体718と伝導性ストリップ708と端子706が可動物質714を通して見たように示されている。伝導性ストリップ708は可動物質714よりも非常に小さくてよい。これは、可動物質714と電極702の間の起電力が伝導性ストリップ708と電極702の間の起電力より大きいことを確実にするためである。なぜなら、いったんストリップが電極に接触すれば、ストリップ上のポテンシャルが可動物質上のポテンシャルと異なりうるからである。
【0046】
図9は、別の実施形態のMEMSスイッチ800の断面側面図である。MEMSスイッチ800は、図7Cの光干渉変調器と同様の構造的特徴を有している。それはまた、図8AのMEMSスイッチ700と同様のMEMSスイッチ機能および特徴を有している。
【0047】
図10は、以下に詳しく説明する「ラッチ」電極730a,730bの基板上への追加を除いて、図8のスイッチと同様の別のMEMSスイッチの断面側面図である。図10には、可動物質714が下方に変形して端子706にくっついた動作位置にあるスイッチが示されている。
【0048】
動作では、比較的低い電圧が最初に電極730a,730bに印加され、電極730a,730bと可動物質714との間に電圧差を作り出す。この設計の有利な実施形態では、この電圧差は、可動物質714を弛緩状態から動作状態へ変形させるに十分な大きさではないが、いったん可動物質が動作状態におかれたならば、それをその状態に維持するのに十分である。続いて、可動物質が電極702に向かってつぶれるようにするには十分な大きさである電圧差を可動物質714と電極702との間に作り出す電極702に電圧が印加される。この印加電圧によってデバイスが動作された後、電極702上の電圧が除去されうる。可動物質714と電極730a,730bの接近のため、たとえ、ラッチ電極730a,730bに印加された電圧が完全弛緩初期状態からデバイスを動作させるほど十分に高くなくても、続いて可動物質714は、電極730a,730bと可動物質714との間の電圧差によってつぶれた位置に維持されうる。一実施形態では、電極730a,730bに印加される電圧は1〜10ボルトの範囲にあり、一方、電極702に印加される電圧は5〜15ボルトの範囲にある。セット電圧の後にラッチ電圧を印加することもできることがわかるであろう。図10に示されたさまざまな要素の位置を広く変えることもできることもわかるであろう。たとえば、支持ポストとラッチ電極の間にスイッチ端子706を配置することもできる。ラッチ電極は、支持ポストに向かっておよび/またはその下方にさらに延びていてもよい。さらに、一つだけのまたは二つよりも多くのラッチ電極を設けることもできる。重要な特徴は、ラッチ機能を提供する位置にラッチ電極が配置されるということである。図10の、実施形態では、可動物質が角を形成し基板に最初に接触する点の下に配置されたラッチ電極の少なくとも一部を有することが有利である。
【0049】
図11は、このスイッチ実施形態の模式/ブロック図を示している。SET信号が電極702に印加され、LATCH信号が電極730Aと730bに印加される。LATCH信号はSET信号より低電圧であってよい。いったんLATCHがアサートされれば、SET信号をアサートしてスイッチを閉じることができる。SET信号をデアサートすることは、LATCH信号がまた除去されない限り、デバイスを弛緩させず、スイッチを開放にしない。この設計では、共通のLATCH信号をアサートするとともに個々の中央電極に送られるSET信号の定められた一群を使用することによって望まれ、その後にスイッチ状態を変えない範囲においてSET信号を任意の値にすることができるようにスイッチの一群を構成することができる。すべてのSETおよびLATCH信号をデアサートすることによって、群全体を同時にクリアすることができる。
【0050】
上記の詳細な説明は、さまざまな実施形態に適用されるような新規な特徴を示し説明し指摘しているが、例示したデバイスまたはプロセスの形と詳細に対するさまざまな省略と置換と変更が本発明の要旨から逸脱しない範囲において当業者によってなされてもよいことが理解されるであろう。認められるように、ここに述べた特徴と利点のすべてを提供しないが、いくつかの特徴がほかから分けて使用または実行されうる形で本発明が具体化されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板によって支持された少なくとも二つの支持ポストと、
前記基板によって支持され前記支持ポスト間に配置された少なくとも二つの電気的分離電極と、
前記支持ポストによって前記基板の上方に支持された可動電極と、
可動電極の位置に応じて選択可能に連結可能な少なくとも二つのスイッチ端子とを備えているMEMSデバイス。
【請求項2】
前記電極の一つが、前記少なくとも二つの支持ポスト間の中央領域に置かれている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項3】
前記電極の少なくとも一つが、前記中央領域と前記支持ポストの一つとの間で配置されている、請求項2のMEMSデバイス。
【請求項4】
前記電極の少なくとも一つが、前記スイッチ端子の一つと前記支持ポストの一つとの間に配置されている、請求項2のMEMSデバイス。
【請求項5】
前記デバイスの中央領域内の第一の電極と、前記第一の電極の一方の側にあり前記第一の電極から電気的に分離された少なくとも一つの第二の電極とを備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項6】
前記スイッチ端子が前記基板によって支持されている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項7】
前記可動電極が前記基板の近傍に配置されるときに前記スイッチ端子が連結される、請求項4のMEMSデバイス。
【請求項8】
MEMSディスプレイ素子のアレイと、
前記アレイに接続された一つ以上のMEMSスイッチとを備え、前記MEMSスイッチの少なくとも一つが、
基板と、
前記基板によって支持された少なくとも二つの支持ポストと、
前記基板によって支持され前記支持ポスト間に配置された少なくとも二つの電気的分離電極と、
前記支持ポストによって前記基板の上方に支持された可動電極と、
可動電極の位置に応じて選択可能に連結可能な少なくとも二つのスイッチ端子とを備えている、ディスプレーシステム。
【請求項9】
前記アレイに接続されたドライバー回路をさらに備えている請求項8のディスプレーシステム。
【請求項10】
前記ディスプレイと電気的通信状態にあるプロセッサーで、画像データを処理するように構成された前記プロセッサーと、
前記プロセッサーと電気的通信状態にあるメモリーデバイスとをさらに備えている請求項8のディスプレーシステム。
【請求項11】
前記ドライバー回路が、前記ディスプレイに少なくとも一つの信号を送るように構成されている、請求項9のデバイス。
【請求項12】
前記ドライバー回路に前記画像データの少なくとも一部を送るように構成されたコントローラーをさらに備えている請求項11のデバイス。
【請求項13】
前記プロセッサーに前記画像データを送るように構成された像源モジュールをさらに備えている請求項10のデバイス。
【請求項14】
前記像源モジュールが、レシーバーとトランシーバーとトランスミッターの少なくとも一つを備えている、請求項13のデバイス。
【請求項15】
入力データを受け取り前記プロセッサーに前記入力データを通信するように構成された入力装置をさらに備えている請求項10のデバイス。
【請求項16】
第一の電極と第二の電極との間に第一の電圧を印加することにより可動素子を第一の位置から第二の位置に移動させることによりスイッチ動作を制御することと、
前記第一の電極と第三の電極との間に第二の電圧を印加することにより前記可動素子を前記第二の位置に維持することとを備えている、MEMSスイッチを動作させる方法。
【請求項17】
第二の電圧が前記第一の電圧より小さい、請求項16の方法。
【請求項18】
第一と第二の位置の間で移動可能な第一の電極と、
前記第一の電極の位置に基づいて選択可能に連結可能なスイッチ端子と、
前記可動電極を前記第一位置から前記第二位置に移動させるための手段と、
前記可動電極を前記第二位置に維持するための手段とを備え、前記維持するための手段が前記移動させるための手段から別々に制御可能である、MEMSスイッチ。
【請求項19】
前記移動手段が第一の電極を備えている、請求項18のMEMSスイッチ。
【請求項20】
前記維持する手段が第二の電極を備えている、請求項18または19のMEMSスイッチ。
【請求項21】
基板上の一対の支持ポストの間に少なくとも第一と第二の電気的分離電極を形成することと、
スイッチ端子を形成することと、
前記支持ポスト上に可動電極を形成することとを備えている、MEMSスイッチを作る方法。
【請求項22】
前記第一の電極を前記MEMSスイッチの中央領域に形成することを備えている請求項21の方法。
【請求項23】
前記中央領域と前記支持ポストとの間に少なくとも一つの第二の電極を形成することを備え、前記少なくとも一つの第二の電極が前記第一の電極から電気的に分離されている、請求項22の方法。
【請求項24】
請求項21の方法で作られたMEMSスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−33260(P2013−33260A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−189028(P2012−189028)
【出願日】平成24年8月29日(2012.8.29)
【分割の表示】特願2008−541133(P2008−541133)の分割
【原出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(506109856)クゥアルコム・メムス・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (27)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM MEMS Technologies, Inc.
【住所又は居所原語表記】5775 Morehouse Drive, San Diego, CA 92121−1714,U.S.A.
【Fターム(参考)】