説明

セメントミルク製造装置

【目的】 半たわみ性舗装を行うのに従来、ミキサーをトラックに積んで施工現場では更に給水タンク車を用いて2台の車を用いていた。作業性が悪い。
【構成】 荷台1aの最後尾にミキサー3、中間に上面が作業台となる水タンク2、前側に集塵機7、発電機10を配備した。ポンプで水タンク2の水を計量タンク6へ送る。支持手段5はトラック1の傾きの拘らず、一定姿勢に計量タンク6を保ち、正確な計量をする。ミキサー3は底板が平で、セメントミルクの排出は排出口3aを下にして傾けて排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は開粒度アスファルト混合物の空隙に特殊セメントを水で混練したセメントミルクを充填する半たわみ性舗装において用いられるセメントミルク製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、交叉点の停止線付近は自動車の発進停止のため格別に舗装の寿命が短くなる。そこで、アスファルト舗装に比較して剛性とたわみ性の向上した舗装として半たわみ性舗装が登場している。
【0003】
この半たわみ性舗装において用いられるセメントミルク製造装置はトラックにのせたミキサーと、水の計量タンクと半たわみ性舗装用として開発された特殊セメント入りの袋と、給水車と、を用いて、給水車のホース先を移動して計量タンクを介してミキサーに給水し、トラックを施工場所に近づけて特殊セメント入りの袋を破袋して、ミキサーに入れ、ミキサーで水と特殊セメント(以下、セメントという)とを混練し、その後、トラックを施工場所まで移動し、ミキサーからセメントミルクを排出散布している。
【特許文献1】特開2003−094424
【特許文献2】特開2000−185315
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように従来の技術でミキサーと計量タンクをトラックに積載して給水車と共に移動可能とした場合には、車輌が2台必要で交叉点で施工する場合に場所を取りすぎる。作業者の安全を計りつつ、2台の車輌が移動するので施工場所に追従するのに時間がかかる。また、施工場所の関係で速硬性の特殊セメントが用いられるので、舗装作業終了後においてもすぐに水でミキサー及びその回りを洗浄するがその際も給水車が同伴しなければならない。
【0005】
この発明は1台の車輌でセメントミルクの供給が可能なセメントミルク製造装置を提供することを目的とする。
【0006】
トラックに積載されている従来の計量タンクは定置式のものであるため、トラックの位置によりトラックが傾くと計量した水量が所定量とは異なり、セメントと水の混合比が変わってしまう。半たわみ性舗装に用いられるセメントは通常のセメントに比べて水との混合比が正確であることを要求される。
【0007】
この発明は車輌が傾いても正確に水量を計測可能な計量タンクを備えたセメントミルク製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
従来のモルタルミキサーは攪拌槽が円錐形の底部を有するものは底部中心に排出口を有する。そこで、攪拌槽にセメントと水を入れても攪拌槽の底部の中心部は攪拌手段が働かず、混練後に攪拌槽の底部の中心部にあるセメントは排出口から粉体のまま排出されてしまうことがある。
【0009】
一方、底板が平板の攪拌槽を有するモルタルミキサーでは攪拌槽の円筒形周壁の直径をわたる両側の外部で、該直径を中心として傾動可能として混練後は攪拌槽を転倒状態まで傾動してモルタルを排出している。
【0010】
攪拌槽を転倒状態まで傾動すると攪拌槽の移動軌跡としての空間が大きくなる。即ち、場所がいる。また転倒状態までの攪拌槽を傾動すると、ミキサーと施工面間でセメントミルクを搬送するホースの流入側を如何にすべきかという課題が生ずる。
【0011】
この発明は水とセメントとの混練がむらなく行われると共に出来上がったセメントミルクを排出する排出ホースとミキサーとを常時連結可能なミキサーを提供することを目的とする。
【0012】
半たわみ性舗装に用いられるセメントミルクの製造装置はミキサーの稼動をくり返し乍作業を行う。そして、ミキサーには粉体のセメントを投入するため、投入時にセメント粉が舞い上がり、作業者及びミキサー周辺にセメント粉が降りかかる。
【0013】
本発明は作業環境の改善された半たわみ舗装に用いられるセメントミルクの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本出願に係る第1の発明は半たわみ性舗装に用いられるセメントミルクを製造する装置において、
a.外部から供給される水を受け入れる給水口を有し、扁平で上面が作業台となった蓋を有する水タンクと、
b.水タンクから給送された水を計量し、計量した水をミキサーに供給する計量タンクと、
c.車輌の最後尾に配設されて、計量タンクで計量した水と、半たわみ性舗装用セメントと、を供給されて混錬を行うミキサーと、
d.水タンクの水を計量タンクに給送するためのポンプ装置と、
e.ミキサー、ポンプ装置を駆動するための電力を供給する発電機と、
f.水タンク、計量タンク、ミキサー、ポンプ装置及び発電機を担持搬送する車輌と、
を有し、車輌上において、最後尾にミキサーを配備し、ミキサーの前に水タンクを配備したことを特徴とするセメントミルク製造装置である。
【0015】
本出願に係る第2の発明は水タンクはほぼ車輌の荷台の幅と同幅で、中空直方体のタンク本体と、作業台となっているタンク蓋と、車輌の走行による水タンクの空気導入口からの水のはね出しを防止して外気を導入するはね出し防止弁と、を有することを特徴とする第1の発明に記載のセメントミルク製造装置である。
【0016】
本出願に係る第3の発明は計量タンクは水槽と、水槽内部の水を計量する計量手段と、水槽の姿勢を常に一定姿勢とする姿勢制御手段とを有し、車輌の姿勢にかかわらず計量タンク内の水量が正確に示されることを特徴とする第1又は第2の発明に記載のセメントミルク製造装置である。
【0017】
本出願に係る第4の発明は水槽の姿勢を常に一定姿勢とする姿勢制御手段はミキサーの上方に設けられた水槽の支持部材と、支持部材に水槽を自在に支持する自在継手と、を有することを特徴とする第3の発明に記載のセメントミルク製造装置である。
【0018】
本出願に係る第5の発明はミキサーはほぼ平らな底板を有する攪拌槽と、底板に沿って移動する攪拌羽根を有する水と半たわみ性舗装用セメントとを混錬する攪拌手段と、底板近くの周壁又は周壁近くの底板に設けられたセメントミルクの排出口と、底板をほぼ水平に保つ位置と、排出口が下位に来る底板が傾いた位置とを取るように攪拌槽を傾動可能に支持する支持手段と、を有することを特徴とする第1から第3の何れか1つの発明に記載のセメントミルク製造装置である。
【0019】
本出願に係る第6の発明は攪拌槽の支持手段は、排出口の近くで攪拌槽の底板側の縁付近を回動可能に支持するヒンジと、ヒンジから横方向に離れた位置で底板側の縁付近を下降した位置と上昇した位置とをとるように設けられた昇降手段と、を有することを特徴とする第5の発明に記載のセメントミルク製造装置である。
【0020】
本出願に係る第7の発明はミキサーは攪拌槽と、攪拌槽内の水とセメントを攪拌する攪拌手段とを有し、攪拌槽はその上部の前側にセメントの投入口と、上面に開口を有する密閉槽であって、密閉槽の上面の開口を蔽うフードと、集塵機と、フードと集塵機の吸込口を連通する吸塵ダクトを有することを特徴とする第1から第6の何れか1つの発明に記載のセメントミルク製造装置である。
【発明の効果】
【0021】
この発明の第1の発明によれば、車軸上において、水の計量タンクを設け、車輌の最後尾にミキサーを配備し、ミキサーの前に水タンクを配備し、この水タンクは扁平で上面が作業台となった蓋を有するので、作業台上にセメントを置いて、水タンクに水を入れて、作業現場に行けばよいので、車輌1台ですむ。従って従来、給水タンク車を随行させていたようにミキサーを積載した車と車輌2台で走行する必要がない。そして作業現場においては1台の車輌上で水の供給、セメントの供給、水の計量、水とセメントの混練が行われてセメントミルクが製造できる。1台で施工現場での移動を行うので安全の確保が容易である。水タンクは扁平なので車両の重心を低く抑えることができ、作業台の位置も低いので、セメントの積込み、作業台上での作業が容易である。そして、作業現場で、作業の給水のため、及び作業終了後におけるミキサー及びミキサー回りの洗浄をするのに給水タンク車を同伴しておく必要がなくなる。
【0022】
本出願に係る第2の発明は第1の発明において、車輌の荷台の幅と同幅で、中空直方体のタンク本体と、作業台となっているタンク蓋とを有する扁平な水タンクでは車輌が走行するとき、空気導入口からの水はねが著しくなるので、水のはね出しを防止して外気を導入するはね出し防止弁を設けた。そこで車輌が走行して空気導入口からの水はねにより、水タンクの水が減少してしまうことが防止できる。
【0023】
本出願に係る第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、計量タンクは姿勢制御手段を有するので、車輌が傾いても常に正確な計量を行える。このことは、特に厳格なセメント比を要求される半たわみ性舗装用のセメントを用いたセメントミルクの性能確保に有効である。
【0024】
本出願に係る第4の発明によれば第3の発明において、姿勢制御手段が支持部材から自在継手で水槽を支持しているので、水槽に水を入れるのみで格別な操作をすることなく水槽の姿勢がより安定する。そして、センサ類とアクチュエータを使用する姿勢制御手段ではないので点検、保守が容易で故障がない。
【0025】
本出願に係る第5の発明によれば、第1から第4の何れか1つの発明において、ミキサーはほぼ平らな底板を有する攪拌槽と、底板に沿って移動する攪拌羽根を有する水と半たわみ性舗装用セメントとを混錬する攪拌手段と、底板近くの周壁又は周壁近くの底板に設けられたセメントミルクの排出口と、底板をほぼ水平に保つ位置と、排出口が下位に来る底板が傾いた位置とを取るように攪拌槽を傾動可能に支持する支持手段と、を有することにより、攪拌槽中の水とセメントはむらなく均一に攪拌される。そして、支持手段で攪拌槽を傾けるだけでセメントミルクを排出できるので、ミキサーの設置空間が小さくてよい。
【0026】
本出願の第6の発明によれば、第4の発明において、支持手段が底板の側の縁付近で回動可能に支持するヒンジと、ヒンジから横方向に離れた位置で底板側の縁付近を下降した位置と上昇した位置とをとるように設けられた昇降手段と、を有するので、昇降手段を操作するだけで攪拌槽を傾けることができ、昇降手段で攪拌槽の縁側をわずかな高さを上下するだけですむので操作性がよい。
【0027】
本出願に係る第7の発明によれば、第1から第6の何れか1つの発明において、攪拌槽を投入口と、上面に開口を有する密閉槽として、上面の開口を蔽うフードと集塵機を吸塵ダクトでつないであるので、集塵機が吸込みを始めると、投入口から攪拌槽内へ外気が流入し、攪拌槽中で舞い上るセメントが投入口から外部へ散布されない。従って、作業者の衛生、作業環境が良好に保たれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図面を用いてこの発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0029】
半たわみ性舗装に用いられるセメントミルクを製造する装置において、
a.外部から供給される水を受け入れる給水口2aを有し、扁平で上面が作業台となったタンク蓋2Bを有する水タンク2と、
b.水タンク2から給送された水を計量し、計量した水をミキサー3に供給する計量タンク6と、
c.車輌例えばトラック1の最後尾に配設されて、計量タンク6で計量した水と、半たわみ性舗装用セメントと、を供給されて混錬を行うミキサー3と、
d.水タンク2の水を計量タンク6に給送するためのポンプ11と配管等、弁類からなるポンプ装置と、
e.ミキサー3、ポンプ装置を駆動するための電力を供給する発電機10と、
f.水タンク2、計量タンク6、ミキサー3、ポンプ装置及び発電機10を担持搬送する車輌としてトラック1と、
を有し、トラック1上において、最後尾にミキサー3を配備し、ミキサー3の前に水タンク2を配備した全体構成を有するセメントミルクの製造装置である。
【0030】
水タンク2はほぼトラック1の荷台1aの幅と同幅で、中空直方体のタンク本体2Aと、作業台となっているタンク蓋2Bと、トラック1の走行による水タンク2の空気導入口としての開口2eからの水のはね出しを防止して外気を導入するはね出し防止弁12と、を有する。
【0031】
計量タンク6は水槽6aと、水槽6a内部の水を計量する計量手段としての目盛6c付の水量計6bと、水槽6aの姿勢を常に一定姿勢とする姿勢制御手段とを有し、トラック1の姿勢にかかわらず計量タンク6a内の水量が正確に示される。
【0032】
水槽6aの姿勢を常に一定姿勢とする姿勢制御手段はミキサー3の上方に設けられた水槽6aの支持部材としての枠体15と、枠体15の上枠15aに水槽6aを自在に支持する自在継手としてのユニバーサルジョイント16と、を有する。
【0033】
ミキサー3はほぼ平らな底板3dを有する攪拌槽3bと、底板3dに沿って移動する攪拌羽根3hを有する水と半たわみ性舗装用セメントとを混錬する攪拌手段3eと、底板3d近くの周壁又は周壁近くの底板に設けられたセメントミルクの排出口3aと、底板3dをほぼ水平に保つ位置と、排出口3aが下位に来る底板3dが傾いた位置とを取るように攪拌槽3bを傾動可能に支持する支持手段4と、を有する。
【0034】
攪拌槽3bの支持手段4は、排出口3aの近くで攪拌槽3bの底板3d側の縁付近を回動可能に支持するヒンジ4aと、ヒンジ4aから横方向に離れた位置で底板3d側の縁付近を下降した位置と上昇した位置とをとるように設けられた昇降手段4bと、を有する。
【0035】
ミキサー3は攪拌槽3bと、攪拌槽3b内の水とセメントを攪拌する攪拌手段3eとを有し、攪拌槽3bはその上部の前側にセメントの投入口3nと、上面に開口3qを有する密閉した攪拌槽3bであって、攪拌槽3bの上面の開口3qを蔽うフード8と、集塵機7と、フード8と集塵機7の吸込口を連通する吸塵ダクト9を有する。
【実施例1】
【0036】
図1は半たわみ性舗装装置に用いられるセメントミルクを製造する装置の側面図である。
【0037】
(全体構成)
搬送車輌例えばトラック1の荷台1a上には給水口2aと排水口2b(図7参照)を有する水タンク2と、水タンク2中の水を用いて水とセメントを混練する攪拌手段例えばミキサー3と、ミキサー3が正立した位置(図3参照)とミキサー3の排出口3a側が下方になるように傾動した位置(図4参照)を取ることができるミキサー3の支持手段4と、ミキサー3へ供給するための水を水タンク2から給水され、給水された水を計量する計量タンクであって姿勢を一定にするための支持手段5に支持された計量タンク6と、集塵機7と、集塵機7からミキサー3の上部に設けたフード8に連通する吸塵ダクト9と、フード8とを有する集塵手段と、水タンク2の水を計量タンク6へ給送するためのポンプ11(図7参照)及び配管(弁類を有するポンプ装置)と、ディーゼル発電機(以下単に発電機と称する)10とが搭載されている。
【0038】
次に配管を除く各部材の配備についてのべる。トラック1のキャブ1b側を前方と呼ぶこととする。
【0039】
ミキサー3は荷台1aの最後尾に設ける。これは、ミキサー3で混練したセメントミルクはトラック1の後方へ配管を介して排出するためである。ミキサー3のすぐ前方には水タンク2が荷台1a上に配備される。水タンク2はタンク蓋2Bが水タンク2の上面にある。タンク蓋2Bは広く、荷台1aの面積の約2分の1の方形平面となっている。これによって、作業者はタンク蓋2B上に乗ることができ、タンク蓋2B上に置かれたセメントをミキサー3へ投入したり、計量タンク6への給水を制御操作したりする作業性が良好となっている。また、タンク蓋2B上の作業者は水タンク2のすぐ前方において荷台1a上に置かれる集塵機7、発電機10を容易に操作できる。従って、このセメントミルク製造装置は操作性がすぐれたものとなっている。タンク蓋2Bは荷台1aからの高さが低い位置にあるから、作業者は感覚からして高所にいる感覚がしないので気分的に楽である。
【0040】
(水タンク)
図1に示すように水タンク2は荷台1aの中央部でトラック1の車幅近くまである幅を有する。即ち、荷台の幅とほぼ同幅である。水タンク2は扁平な中空直方体の鋼板製である。水タンク2は容器状の本体2Aの上部に平板のタンク蓋2Bを有する。このタンク蓋2Bは作業台を兼ねており、作業者が乗ると共にセメント袋を搭載する。
【0041】
図7に示すように水タンク2の本体2Aは内部が複数の仕切り壁2cで仕切られているが、仕切り壁2cの下部は仕切り壁2cの両側の隔室2dが連通するように開口している。この隔壁2dはトラック1の移動時に水タンク2内で水が横方向ヘ急激に移動することを防止している。隔壁2cは図示のトラック1の幅方向に設けると共にトラック1の進行方向にも設けて碁盤目のように配設するのが望ましい。この仕切り壁2cがあるため、トラック1の揺動に際しても水タンク2内の水の移動が抑制される。
【0042】
水タンク2は密閉タンクであるが水タンク2から水をポンプ11で汲み上げるために大気と連通する必要がある。そこで、図7に示すようにタンク蓋2Bには水タンク2の内外を連通する空気導入口として開口2eを設け、この開口2eに逆止弁となっている水はね出し防止弁12を設けてある。
【0043】
図7に示すように水はね出し防止弁12は弁座12aに球弁12bが着座すると開口2eは閉じ球弁12bが弁座12aから下方へ離れると開口2eは開くようになっている。なお、球弁12bが下降して着座したときは着座部は切り込みがあり、水タンク2の内部への空気の導入は邪げられない。従って、ポンプ11が水タンク2内の水を汲み上げている際は、開口2eを通じて外気が水タンク2内へ進入し得るようになっている。従って、水タンク2内は常に大気圧となっている。トラック1が走行して水タンク2が揺動して水が開口2eより出ようとするとその水で球弁12bは押し上げられて弁座12aに着座する。そこで、水タンク2が揺動しても開口2eから水はねが生ずることを防止できる。
【0044】
水タンク2には水道より水道配管13が配管されている。13aは水道配管13に介装した給水栓である。13bは給水カプラであり、給水時以外は給水カプラ13bから先の水源側ホースが取り外されている。また、水タンク本体2Aの底の排水口2bにはドレン配管14が配管されている。14aはドレン配管14に介装したドレンバルブである。
【0045】
水タンク2中にはポンプ11の吸込管11aが進入している。吸込管11aの下端にはストレーナ11bが設けてある。
【0046】
セメント及び水は共に大量に必要である。そこで、水タンク2の容量を大とすると共にセメントの積載場所を確保し、且つ、ミキサーの混練作業を行う者が作業し易い様に水タンク2は扁平且つタンク蓋2Bを大面積としてある。そして、水タンク2回りに各装置を配設して操作性を向上してある。
【0047】
この水タンク2の容量は本例では2100リットルである。この水タンク2を扁平にしたことにより、トラック1の重心の上昇が抑制され、走行安定性への影響を小さくしている。
【0048】
(計量タンク)
水タンク2から給送された水を計量して、その水をミキサー3に供給する計量タンク6についてのべる。
【0049】
計量タンク6はミキサー3の上方に支持手段5に支持されて配設されている。ミキサー3の上部内側面には水槽6aを支持する支持部材として正面から見て図2に示すように門形、図1、図3、図4に示すように側面から見て倒立したL形の枠体15が設けてある。枠体15はミキサー3の攪拌槽3bに溶接により固定されている。枠体15の上枠15aの中央から自在継手例えば自動車用のユニバーサルジョイント16を介して水槽6aが吊り下げられている。水槽6aは前後方向(トラック1の前後方向に同じ)に扁平で縦長の中空直方体である。このユニバーサルジョイント16により水槽6aを吊り下げる支持手段5は水槽6aの姿勢を常に一定とする姿勢制御手段である。この手段は枠体15からユニバーサルジョイント16を介して水槽6aを吊り下げるのに限られる訳ではないが、枠体15からユニバーサルジョイント16を介して水槽6aを吊り下げるのは、装置が簡便であること、水槽の姿勢を保持するように駆動されるアクチュエータ、水槽の姿勢を検出するセンサー類、センサー類の信号によりアクチュエータを駆動する制御装置を使わないので保守が容易である。安価である等ですぐれている。
【0050】
図2に示すように計量タンク6の水槽6aには内部の水の開水面がタンク蓋2B上に立つ作業者から正面より目視できる水量計6bが設けてある。
【0051】
水量計6bは水槽6aの正面に設けた縦長のスリットを透明ガラスで封止したものであって、常に、水槽6aが一定姿勢を保った状態にあって、垂直方向を向いている。水量計6bには目盛6cが表示してある。ミキサー3には先に水を入れた後にセメントを供給する。
【0052】
図8に示すようにこの表示はセメントミルクを作る水と、セメント袋の関係を示している。例えば、ミキサー3に水量115リットルの水を入れたときに供給するセメントは1袋25kgのセメント袋10袋を開封して供給することを示している。そして、作業者は開水面が115リットルの目盛になるまで水を水槽6aに入れる。ついでこの115リットルの水をミキサー3に入れた後に、ミキサー3にセメント袋10袋分のセメントを投入する。
【0053】
図2、図3に示すように、枠体15には上枠15aに平行して作業者がつかまるつかまりバー(手すり)15b,15cが設けてある。つかまりバー15bは上枠15aの前方に、つかまりバー15cは上枠15aの後方に設けられる。タンク蓋2B上の作業者はつかまりバー15bがあるため、これをつかむことができ、施工現場においてトラック1が位置を変える際に、作業者は安定を保つことができる。同様にトラック1移動時に、ミキサー3後方の荷台1a上の作業者は手すり15cを持って安定を保つことができる。
【0054】
水槽6aが計量された水をミキサー3に供給するために水槽6aの下面には水投入弁6dが取り付けてある。水投入弁6dはその入口が水槽6aの底に連通し、その出口はきわめて可撓性の大きく撓みに対して抵抗力の小さい可撓性のある水供給管17に連結されている。水供給管17はその下端がミキサー3の攪拌槽3bの天板3cに固定されて攪拌槽3b内に連通している。水槽6aへの水を供給する計量用水供給管18の上端が水槽6aの上部に連通して水槽6aに固定されている。該管18の下端は三方切換弁となった計量水入切弁19に連結されている。水供給管17及び計量用水供給管18は可撓性が大きく撓ませる力の弱い可撓管が用いられる。
【0055】
(ミキサー)
トラック1の最後尾で荷台1a上に配設されて、計量タンク6で計量した水と、半たわみ性舗装用セメントとを供給され混練を行うミキサー3について説明する。
【0056】
図3に示すようにミキサー3はほぼ平らな底板3dを有する中空円筒形の攪拌槽3bを有する。攪拌槽3b内にはセメントと水を混練する攪拌手段3eが備えてある。
【0057】
攪拌手段3eは攪拌槽3bの円筒中心に配された竪軸の攪拌軸3fに攪拌羽根3g,3hと、図示されないが攪拌槽3bの内周面に設けた固定羽根とがある。攪拌羽根3g,3hは攪拌軸3fの回りに周方向を等配して放射方向に設けてある。下側の攪拌羽根3hは攪拌槽3bの底板3dに近接して沿っている。攪拌羽根3g,3hの枚数は夫々2〜4程度である。固定羽根は攪拌槽3b中のセメントと水の混合物が回り流れる際に、この流体を下方へ導くようにスパイラル状に設けてある。固定羽根は攪拌槽3bの内周の周方向を2等配して設けてある。
【0058】
攪拌軸3fは天板3c、及び底板3dに設けた図示されない軸受に支持されている。攪拌軸3fの上端は減速機付モータ3iの軸に連結されている。該モータ3iは天板3cに固定されている。天板3cは攪拌槽3bの中空円筒形の部分の後半部分のみにある。この中空円筒形の部分の天板3cで蔽われた残りは、開口3kとなっている。攪拌槽3bの円筒形の周板3jの一部は天板3cの前方の開口3kの両側(トラック1の左右方向)から上方へ延びて上側板3j1をなしている。両側の上側板3j1を結ぶように平板の背板3mが設けられている。背板3mは天板3cの前方の縁から立ち上がっている。従って、上側板3j1と背板3mで囲まれた空間は下方が全面にわたり開口して攪拌槽3bに通じている。上方は全面にわたり開口して開口3qとなっている。開口3qはフード8に蔽われている。上側板3j1と背板3mで囲まれた空間の前方は全面にわたり開口してセメントの投入口3nとなっている。天板3cには前述した水供給管17が連結され、水供給管17を通じて攪拌槽3bに一定量の水が給水される。このように攪拌槽3bの上部は上部が開口3qで上部前面が投入口3nで開放されている以外は密閉槽となっている。この密閉槽である攪拌槽3bの排出口3aには舗装材ガイドチューブ21が連結されている。
【0059】
投入口3nの前には材料仮置台22が設けてある。該仮置き台22は水平方向の枢軸22bで攪拌槽3bに取り付けてある。材料仮置台22の上面22aは投入口3nの下縁と一致している。該仮置台22は竪方向の枢軸22d等で攪拌槽3bに支持されて垂直方向の面を有する板材22cの上縁が仮置き台22の下面に当接して仮置き台22の上面22aが水平を保つ。図3に2点鎖線で示すように仮置き台22は枢軸22bを中心にして上方にはね上げることができる。仮置台22を上方にはね上げることにより昇降手段4bの操作を容易とすると共に、昇降手段4b及び後述するポンプ等の保守点検を容易としている。また、板材22cを枢軸22dを中心に回動して攪拌槽3bに沿わせると、仮置き台22は枢軸22bを中心に回動して垂下させることができる。
【0060】
(ミキサーの支持手段)
図3に示すようにミキサー3の支持手段4は排出口3aの近くで攪拌槽3bの底板3d側の縁付近を回動可能に支持するヒンジ4aと、ヒンジ4aから横方向に離れた位置で底板3d側縁付近を下降した位置と上昇した位置をとるように設けられた昇降手段4bとを有する。
【0061】
ヒンジ4aは中心線が水平でトラック1の進行方向に直交している。ヒンジ4aは図5に示すように攪拌槽3bの中心3b1に関して左右対称の2個所にある。排出口3aがトラック1の荷台1aの後端付近に位置しているため、ヒンジ4aも同じく荷台1aの後端付近にある。ヒンジ4aは荷台1a上に固定した機台4c上に設けてある。
【0062】
図3、図4に示すように、昇降手段4bとしては攪拌槽3bの周板3jに溶接で一体に設けたブラケット3pと機台4cに固設したスタンド4dに端部を夫々枢着した伸縮装置4eにより攪拌槽3bの底板3dが水平な位置と、排出口3aを下にして傾動した位置をとるようにブラケット3pを上下させ得るものである。昇降手段4bは図5で見てヒンジ4a,4aを2等分する位置(攪拌槽3bの中心3b1)で、且つ、図3、図4に示すようにヒンジ4aから横方向に遠く離れている。
【0063】
伸縮装置4eとしては各種のものが選択できる。本例では周板3jに固定されたブラケット3pに一端がピン4e1結合された攪拌槽側ねじ部材4e2と、機台4cに固定されたスタンド4dにピン4e3で結合された機台側ねじ部材4e4と、夫々のねじ部材4e2,4e4に夫々にねじ込まれたクラッチ付ナット4e5,4e6と、クラッチ付ナット4e5,4e6のクラッチ側を一体的に保持している中空円筒形の筒体4e7と、筒体4e7と一体で筒体4e7の外周から半径方向にのびる操作レバー4e8を有する。
【0064】
ここで、攪拌槽側ねじ部材4e2と機台側ねじ部材4e4は夫々おねじで一直線上に配され、ねじのねじれ方向が互に逆である。
【0065】
クラッチ付ナット4e5,4e6は夫々外周に動作方向変換可能な一方向クラッチとこのクラッチの動作方向変換レバー(図示されない)を有する。変換レバーは一体でクラッチ付ナット4e5,4e6の動作方向を同時に切り換えるように設けてある。
【0066】
昇降手段として採用し得る他の方法としてはピン4e1と4e3間をクレビス型の流体圧シリンダで結合してもよい。又、ブラケット3p、スタンド4dの一方にピン4e1と同様のピン結合したナットに一端をねじ込んだおねじ棒の他端を前述のナットが結合されていないブラケット3p、スタンド4dの何れかにピン4e3と同様のピン結合した軸受に軸方向に移動しないように嵌合してもよい(図は省略)。
【0067】
(ミキサーユニット)
上述したように、機台4c上にはミキサー3が支持されている。ミキサー3は枠体15を介して計量タンク6を支持している。機台4c上にはモータ11dと共にポンプ11が据付けてある。また、レリーフ弁24は機台4cに固定してある。従って、機台4cにより、ミキサー3、計量タンク6、ポンプ11、レリーフ弁24は一体のミキサーユニットを構成している。
【0068】
従って、荷台1a上のセメントミルク製造装置の組立は水タンク2、ミキサーユニット、集塵機7、発電機10を配設して、荷台1aに固定し、水関係の配管と、電気配線を行うことで足りる。
【0069】
(ポンプ装置と配管)
水タンク2の水を計量タンク6に給送するためのポンプ装置について説明する。
【0070】
図7は水回路図を示す。ポンプ11はモータ11dによって駆動される。ポンプ11が駆動されていると、ストレーナ11b、吸込管11aを介して水タンク2中の水がポンプ11に吸込まれて増速、昇圧されて吐出口から吐出された水は吐出配管11c中の逆止弁11eを介して三方切換弁である計量水入切弁19の入口ポート19dに到る。計量水入切弁19は出口ポートの1つ19aが計量用水供給管18を介して計量タンク6に通じ、出口ポートの他の1つ19bがホース23aを介して洗浄ガン23に通じ、残りの出口ポート19cはブロックされている。なお、図7では計量水入切弁19は直動弁で模式的に表現してあるが回転弁である。
【0071】
計量タンク6は最大目盛よりも上方の上限水位以上になるとオーバフローした水が排水されるようにオーバフロー排水口6e及びオーバフロー排水口6eから垂下する排水管6fを有する。排水管6fの下端に連結された可撓性の管材で作られた戻り管6gは逆止弁6hを介して水タンク2に連通している。ここで戻り管6gは撓み易く、且つ長さが長い管である。
【0072】
ポンプ11の吐出配管11cから分岐した配管11fはこの配管に介装されたレリーフ弁24を介して水タンク2に連通している。
【0073】
水回路の作用はポンプ11が駆動されると、水タンク2の水はストレーナ11b、吸込管11aを介してポンプ11に吸込まれる。ポンプ11で増速昇圧された水は吐出配管11c及び逆止弁11eを介して流れるが三方切換弁である計量水入切弁19がブロックされていると、レリーフ弁24を介して配管11fから水タンク2へ戻る。
【0074】
作業者が操作して、計量水入切弁19の出口ポート19aが開かれると、吐出配管11cから送られる水は計量水切換弁19、計量用水供給管18を介し計量タンク6へ供給される。計量水入切弁19で出口ポート19bが開かれると吐出配管11cから送られる水は計量水切換弁19、配管23aを通じて洗浄ガン23に到る。洗浄ガン23を開弁すると圧力水が噴出する。洗浄ガン23はこのセメントミルクを製造する装置の各部の清掃に用いられる。
【0075】
(発電機)
発電機10は本例ではディーゼル発電機である。ポンプ11の駆動モータ11d、ミキサーを駆動する減速機付モータ3i、後述の集塵機7、図示されないがトラック1に積載される投光器等に給電する電源として発電機10はキャブ1bのすぐ後の荷台1aのトラック1の進行方向から見て左右の片側に搭載した。これによって、作業者はタンク蓋2B上を歩いて容易に発電機10に近づくことができ、発電機の操作性がよくなる。
【0076】
(集塵装置)
セメントミルクの製造作業では計量タンク6で計量した水をミキサー3に流入する。
【0077】
セメント袋を材料仮置台22上において破袋して投入口3nから水の入っている攪拌槽3b内へ投入する。すると粉体のセメントはあたかも体積が急膨張したかのように煙霧状になり舞い上がり投入口3nから吹き出す。この吹き出したセメントを作業者がかぶり易いし、又、粉体のために投入口3nから吹き出すセメントはトラックの荷台1aの広い範囲に散布される。場合によってはトラック1の周辺にまでセメント粉が降りることも考慮して置く必要がある。
【0078】
そこで、投入口3nを小さくしたり、投入口3nに逆止ダンパを設けることが考えられるが何れも作業性を低下させてしまう。
【0079】
セメントのミキサーへの投入に注意を払ったとしていも、投入口からセメント粉の吹き出しは起こりがちである。そこで作業者はマスクをしてセメント粉の吸い込みを防御している。
【0080】
そこで本発明の実施例では、集塵手段をトラックに搭載することとした。集塵手段は図1に示すように集塵機7と、フード8と、吸塵ダクト9を有する。
【0081】
集塵機7はキャブ1bの直ぐ後で荷台1a上に発電機10と併べて配備してある。この集塵機7はタンク蓋2B上に面する側が正面であり、この正面には図示されないが操作部材のスイッチ、集塵した粉体の取出口等がある。
【0082】
図3に示すようにフード8は攪拌槽3bの最上面に設けた開口3qの縁に下端が接続されて上方へ次第に断面を縮小し、縮小した上端8aは開口しており、曲り管9aの一端に連結されている。曲り管9aの水平方向を向いた他端は可撓管9bの上端が連結されている。可撓管9bの下端は直管9cの一端に結合されている。図1に示すように、直管9cの他端は曲り管9d、可撓管9eを介して集塵機7の吸込口に連結されている。直管9cは水タンク2の側面に沿って水平方向に配設されている。
【0083】
図2に示すように、セメントミルクの材料であるセメントの投入口3nとなる開口の上縁3n1からはエプロン8bがぶら下がっている。エプロン8bは重量のある可撓性シートで、例えば厚手の軟質塩化ビニールシート、ゴムシート等により作られている。エプロン8bは上縁のみが開口3nの上縁3n1に固定されているので、セメント袋の口を開口3nよりも攪拌槽3b内にのぞませても、セメント袋によりエプロン8bが奥斜め上側へ押されるのでセメントの攪拌槽3bへの供給を邪げることはない。エプロン8bで投入口3nの面積を実質的に小さく限定しているので、集塵機7が駆動されて吸塵ダクト9、フード8を介して攪拌槽3b内の気体を吸引するとき、攪拌槽3b内の負圧の程度は大きくなり投入口3nから攪拌槽3bの外へのセメントの散布が抑制される。
【0084】
(安全手すり)
図1、図2に示すように、トラック1の荷台1aの両側上において手すり25が設けられている。手すり25は夫々荷台1aに枢着されたあおり1cに枢着されて平行する同一長さの竪メンバー25aの上端は水平方向の手すり棒25bに枢着されている。図示されないが、竪メンバー25aを固定する掛金が設けられている。この掛金を掛けると、手すり棒25b、竪メンバー25aは不動に固定される。手すり25はこの掛金を外すと図1の紙面に平行な平面上で平行運動ができるリンクとなっているので、竪メンバー25aは下端を中心に揺動して手すり棒25aは荷台1aに向って平行運動して、荷台1a付近に着座して格納される。
【0085】
(作業の全体)
作業開始前にはタンク蓋2B上にはセメント袋が積み上げられている。このとき、積上げ場所は集塵機7、発電機10のある側である。ミキサー3の前においてはタンク蓋2B上に作業者が立てるようにタンク蓋2B上には何も置かれておらず開放されている。
【0086】
水タンク2は給水カプラ13bで商業水道又は自家水道に連結された水道配管13から開かれた給水栓13aを介して給水口2aから給水される。給水は作業準備として予め満水とされるものである。本例ではトラック1の積載量は4tonである。水タンク2の容量は2100リットルである。従って、水だけでトラック1の積載容量の約2分の1を占める。しかし水タンク2は扁平なのでトラック1の重心をいたずらに高くすることがない。また、水タンク2は仕切壁2cで隔室2dを構成してあるのでトラック1の加減速によって生ずる内部での水の移動が抑制される。そこで、施工現場に水源がない場合に施工現場から遠く離れた水源から水道水を補給した後に、遠距離であってもトラック1は安定して走行して施工現場に到達できる。
【0087】
施工現場にトラック1が到達するとトラック1の後部を施工場所に向ける。このとき、舗装材ガイドチューブ21の先端又は根本に設けてある図示されない開閉弁は閉じておく。
【0088】
次にポンプ11を駆動する。モータ11dの図示されないスイッチを投入してポンプ11を駆動する。ポンプ11はストレーナ11b、吸込管11aを通じて水タンク2中の水を汲み上げる。ポンプ11では水を増速、増圧して吐出配管11c、逆止弁11eを介して計量水入切弁19の入口ポート19dに到る。計量水入切弁19の入口ポート19dはブロック位置の出口ポート19cと合致しているので、レリーフ弁24の設定圧までポンプ11の吐出圧力が増大すると吐出配管11c中の加圧水は配管11fをとおりレリーフ弁24から水タンク2へ戻されている。
【0089】
作業者が計量水入切弁19を切り換えて出口ポート19aと入口ポート19dを通じさせると、入口ポート19dから出口ポート19aを通じてポンプ11から吐出管11cを流れる水が計量用水供給管18を通じて水投入弁6dを閉じてある水計量タンク6に流入する。
【0090】
作業者は水計量タンク6への水の供給を水量計6bを見て監視する。該タンク6の開水面が目盛「115リットル−10袋」に一致すると計量水入切弁19をブロックして水の供給を止める。
【0091】
この計量タンク6は計量タンクの支持手段5により吊り下げられている。このため、施工現場が傾斜していて、トラック1が傾いても、計量タンク6は常に一定の姿勢を保っている。例えば、図6に示すように、路面26の高低差のある面26a,26bをトラック1のタイヤ1d,1dが踏んで、水平面27に対してトラック1が角度α傾いたとしても、計量タンク6はユニバーサルジョイント16を中心として揺動し、計量タンク6の中心6iは垂直方向を向く。図6はトラック1が左右に傾いた場合をのべたが、トラック1の傾きの方向にかかわらず、計量タンク6は一定姿勢となるので、目盛6cで計量される水量は表示と実際が一致している。特に、本例のように水量計6bを片寄せて設けてもトラック1の傾きの向き等が計量に影響を与えない。
【0092】
計量タンク6での水の計量が終わると、水投入弁6dを開弁する。計量タンク6内の計量された所定量の水は水投入弁6d、水供給管17を通じて攪拌槽3bに流入する。舗装材ガイドチューブ21に設けてある図示されない開閉弁は閉弁されているので、攪拌槽3bにはセメント袋10袋分を混練するための所定量の水が溜まる。
【0093】
次に集塵機7を駆動する。これによって吸塵ダクト9を通じて攪拌槽3b内の空気は集塵機7に吸入されるので、攪拌槽3b内は負圧となり、材料投入口3nから大気が攪拌槽3b内へ流入する空気流が生ずる。
【0094】
正立して底板3dをほぼ水平になるようにしたミキサー3にセメントを入れる。
【0095】
ミキサーにセメント袋を入れるには、水タンク蓋2B上に搭載してあるセメント袋(重さ25kg)を運んで材料仮置台22上に置く。そして、材料仮置台22上に置いたセメント袋の口側を投入口3nを通じて攪拌槽3bにのぞませ、破袋する。そして、セメント袋の底側を持ち上げると口側は下になり、セメント袋のセメントは攪拌槽3b内へ投入される。
【0096】
このとき、セメント袋により投入口3nが一部閉塞される。そのため、今まで投入口3nから攪拌槽3bへ流入していた投入口3nにおける空気の流速は早まる。そこで、投入口3nからはセメント袋の周りで大気が攪拌槽3b中へ急速度で流入しているので、攪拌槽3bの底部に落下して粉霧となって舞い上がったセメントの粉塵は投入口3nからミキサー3の外部に出ることなく、フード8内を通り吸塵ダクト9に吸込まれて集塵機7に導かれる。集塵機7では例えばフィルター又はサイクロン流のような分離手段でセメントの粉塵と空気を分離し、空気は大気中に放散し、分離されたセメントは図示されない収集容器に集められる。
【0097】
1回のセメントミルクの製造にセメントを250kg用いるとするならば、上記セメント袋を破袋してミキサー3に投入する作業を10回くり返す。
【0098】
次に図示されないミキサー3用のスイッチを入れると、減速機付モータ3iが付勢され、攪拌羽根3g,3h付の攪拌軸3fを有する攪拌手段3eは回転する。これにより、攪拌槽3b中では水とセメントが混練される。この混練は下側の攪拌羽根3hが攪拌軸3fの放射方向に攪拌軸3fから突出し、且つ底板3dに接近しているのでセメントと水はよく混合され、攪拌手段3eの中心部でも底板3d上にセメントのみが残ることはなく、短時間で水とセメントはよく攪拌される。
【0099】
ミキサー3を所定時間運転後に停止するとミキサー内部には均一に混練されたセメントミルクがある。集塵機7は少なくともミキサー3へのセメントの投入時と、ミキサー3の運転時は、運転しておく必要がある。
【0100】
次に、昇降手段4bの図示されない切換レバーをクラッチ動作方向を上昇位置とするように切換える。そして、図3に示すように、ミキサー3が正立位置にある状態から操作レバー4e8の揺動往復をくり返すと、クラッチ付ナット4e5,4e6のナット部分は逐次一方向に回転して、ねじ部材4e2,4e4は互に遠のくので、図4に示すように、ピン4e1,4e3も遠のき、ブラケット3pは上昇し、ミキサー3はヒンジ4aを中心にして排出口3aが下になるように傾く。
【0101】
この状態で舗装材ガイドチューブ21の先又は根本側に設けてある図示されない開閉弁を開くと、攪拌槽3b中のセメントミルクは舗装材ガイドチューブ21をとおり、施工個所に散布される。
【0102】
底板3dが排出口3aを下にして傾いているので、攪拌槽3b内のセメントミルクが少なくなっても最後まで流し易い。
【0103】
上記のミキサー3への計量水供給、セメントの投入、ミキサー3の運転、セメントミルクの排出をくり返して、施工個所においての終業時、セメントミルクの供給が終わると、ミキサー3を清掃する。この清掃は、水計量タンク6からミキサー3への水供給路にある水投入弁6dを開弁したまま、水タンク2→ポンプ11→逆止弁11e→計量水入切弁19→水計量タンク6→ミキサー3とミキサー3の攪拌槽3b内へ水を供給して内部を清掃する。その際、舗装材ガイドチュ−ブ21には最小限の水を流した後は閉止して流さないようにする。また、計量水入切弁19を切り換えて洗浄ガン23に送水し、洗浄ガン23を用いて攪拌槽3b内に噴射し、攪拌手段3eを清掃する。しかる後、ポンプ11、集塵機7を停止した後にディーゼル発電機10を停止する。その後、ガイドチューブ21を荷台1aに収納した後に、トラック1を走行して出発した工場等の排水可能な場所に移動し、ガイドチューブ21を通じてミキサー3内の洗浄に使用した水を排水する。
【産業上の利用分野】
【0104】
実施例は水タンクを平たく低く大きくしてトラックの荷台中央に配備し、トラックの進行方向の最後尾に水タンクに隣接してミキサーと計量タンクを配備したため、セメントを水タンク上に大量に置くことができ、なお且つ作業者の作業面積が充分取れるので作業性が高い。
【0105】
水タンクはトラックの荷台の幅とほぼ同幅であり、トラックの左右何れの側からも乗り降りができる。そして、はね出し防止弁があるため、水タンクは密閉可能でトラック走行時の水はねがない。
【0106】
計量タンクはトラックの姿勢にかかわらず水槽が大地に対して常に一定の姿勢をとるので計量が正確に行われる。計量タンクの姿勢を常に一定とする手段は水槽を自在継手で吊り下げるようにした場合は簡単で動作が早く正確な計量ができる。
【0107】
ミキサーは底板が平らで、底板が水平な位置と、排水口が下位に来て傾いた位置と、をとるように支持手段で支持されているので、セメントと水の混練が均一に行われる。そして、セメントミルクの排出が残りなく行われる。その際、攪拌槽を傾けるだけなので、モルタルミキサーのように攪拌槽を転倒させないので、ミキサーの設置空間が小さく、トラックに配備するのに適している。
【0108】
攪拌槽の支持手段はヒンジと昇降手段であるから構成が簡単である。
【0109】
ミキサーは攪拌槽を密閉槽として上面開口を蔽うフードと、上部の前面にセメントの投入口を設けてフードと集塵機を吸塵ダクトで結合してあるから、セメントの投入口から攪拌槽に吸込まれる空気流が生ずるので、攪拌槽に投入されたセメント粉塵が投入口から舞い上がらず、作業環境の向上に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】セメントミルクを製造する装置の側面図である。
【図2】タンク蓋上から見るミキサー、計量タンクの正面図である。
【図3】計量タンク、ミキサー、ポンプ装置の左側面図である。
【図4】計量タンク、ミキサー、 ポンプ装置の右側面図である。
【図5】セメントミルクを製造する装置の背面図である。
【図6】計量タンクの作用を示す背面図である。
【図7】水回路図である。
【図8】計量タンクの正面図である。
【符号の説明】
【0111】
1…トラック 1a…荷台 1b…キャブ 1c…あおり 1d…タイヤ
2…水タンク 2A…本体 2a…給水口 2B…タンク蓋 2b…排水口 2c…仕切り壁 2d…隔室 2e…開口
3…ミキサー 3a…排出口 3b…攪拌槽 3b1…中心 3c…天板 3d…底板 3e…攪拌手段 3f…攪拌軸 3g…攪拌羽根 3h…攪拌羽根 3i…減速機付モータ 3j…周板 3j1…上側板 3j2…後側板 3k…開口 3m…背板 3n…材料投入口 3n1…上縁 3p…ブラケット 3q…開口
4…ミキサーの支持手段 4a…ヒンジ 4b…昇降手段 4c…機台 4d…スタンド 4e…伸縮装置 4e1…ピン 4e2…攪拌槽側ねじ部材 4e3…ピン 4e4…機台側ねじ部材 4e5,4e6…クラッチ付きナット 4e7…筒体 4e8…操作レバー
5…計量タンクの支持手段
6…水計量タンク 6a…水槽 6b…水量計 6c…目盛 6d…水投入弁 6e…オーバフロー排水口 6f…排水管 6g…戻り管 6h…逆止弁 6i…中心
7…集塵機
8…フード 8a…上端 8b…エプロン
9…吸塵ダクト 9a…曲り管 9b…可撓管 9c…直管 9d…曲り管 9e…可撓管
10…ディーゼル発電機
11…ポンプ 11a…吸込管 11b…ストレーナ 11c…吐出配管 11d…モータ 11e…逆止弁 11f…配管
12…水はね出し防止弁 12a…弁座 12b…球弁
13…水道配管 13a…給水栓 13b…給水カプラ
14…ドレン配管 14a…ドレンパルプ
15…枠体 15a…上枠 15b,15c…つかまりバー
16…ユニバーサルジョイント
17…水供給管
18…計量用水供給管
19…計量水入切弁 19a…出口ポート 19b…出口ポート 19c…出口ポート 19d…入口ポート
21…舗装材ガイドチューブ
22…材料仮置台 22a…上面 22b…枢軸 22c…板材 22d…枢軸
23…洗浄ガン 23a…ホース
24…レリーフ弁
25…手すり 25a…堅メンバー 25b…手すり棒
26…路面 26a,26b…面
27…水平面
α…角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半たわみ性舗装に用いられるセメントミルクを製造する装置において、
a.外部から供給される水を受け入れる給水口を有し、扁平で上面が作業台となった蓋を有する水タンクと、
b.水タンクから給送された水を計量し、計量した水をミキサーに供給する計量タンクと、
c.車輌の最後尾に配設されて、計量タンクで計量した水と、半たわみ性舗装用セメントとを供給されて混錬を行うミキサーと、
d.水タンクの水を計量タンクに給送するためのポンプ装置と、
e.ミキサー、ポンプ装置を駆動するための電力を供給する発電機と、
f.水タンク、計量タンク、ミキサー、ポンプ装置及び発電機を担持搬送する車輌と、
を有し、車輌上において、最後尾にミキサーを配備し、ミキサーの前に水タンクを配備したことを特徴とするセメントミルク製造装置。
【請求項2】
水タンクはほぼ車輌の荷台の幅と同幅で、中空直方体のタンク本体と、作業台となっているタンク蓋と、車輌の走行による水タンクの空気導入口からの水のはね出しを防止して外気を導入するはね出し防止弁と、を有することを特徴とする請求項1に記載のセメントミルク製造装置。
【請求項3】
計量タンクは水槽と、水槽内部の水を計量する計量手段と、水槽の姿勢を常に一定姿勢とする姿勢制御手段とを有し、車輌の姿勢にかかわらず計量タンク内の水量が正確に示されることを特徴とする請求項1又は2に記載のセメントミルク製造装置。
【請求項4】
水槽の姿勢を常に一定姿勢とする姿勢制御手段はミキサーの上方に設けられた水槽の支持部材と、支持部材に水槽を自在に支持する自在継手と、を有することを特徴とする請求項3に記載のセメントミルク製造装置。
【請求項5】
ミキサーはほぼ平らな底板を有する攪拌槽と、底板に沿って移動する攪拌羽根を有する水と半たわみ性舗装用セメントとを混錬する攪拌手段と、底板近くの周壁又は周壁近くの底板に設けられたセメントミルクの排出口と、底板をほぼ水平に保つ位置と、排出口が下位に来る底板が傾いた位置とを取るように攪拌槽を傾動可能に支持する支持手段と、を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1つに記載のセメントミルク製造装置。
【請求項6】
攪拌槽の支持手段は、排出口の近くで攪拌槽の底板側の縁付近を回動可能に支持するヒンジと、ヒンジから横方向に離れた位置で底板側の縁付近を下降した位置と上昇した位置とをとるように設けられた昇降手段と、を有することを特徴とする請求項5に記載のセメントミルク製造装置。
【請求項7】
ミキサーは攪拌槽と、攪拌槽内の水とセメントを攪拌する攪拌手段とを有し、攪拌槽はその上部の前側にセメントの投入口と、上面に開口を有する密閉槽であって、密閉槽の上面の開口を蔽うフードと、集塵機と、フードと集塵機の吸込口を連通する吸塵ダクトを有することを特徴とする請求項1から6の何れか1つに記載のセメントミルク製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−175715(P2006−175715A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371126(P2004−371126)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(593147243)有限会社きくや機械産業 (1)
【Fターム(参考)】