説明

セラミックディーゼル排気フィルタ

無機不織繊維フィルタエレメントの使用を取り入れた、改良された効率的で再生可能な排気放出物フィルタ及びフィルタシステムが提供される。フィルタは、フィルタエレメントの混交した性質を介して、微視的増大部を含むフィルタエレメントに付与された面積増大部により、排気汚染物質及び粒子を捕獲できる。フィルタは、寿命が改善され、フィルタエレメントが高温に耐えられるため、より高いパーセンテージで捕獲粒子を燃焼できる。フィルタエレメントは、不織繊維ブロックから形成され、不織繊維ブロックは、フィルタ基礎部へと機械加工又は成形される。フィルタエレメントは、複数のコーティング及び触媒を付与可能であり、絶縁体及びケーシングにより包被できる。改良された排気放出物フィルタは、ディーゼルエンジン排気にとって特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、著作権保護の対象となる資料を含む。著作権所有者は、米国特許商標局のファイル又は記録として存在する限り、本特許開示のファクシミリによる複製に異議を唱えないが、それ以外の場合には、あらゆる権利を留保する。
【0002】
本発明は、排気放出物濾過の分野に関する。特に、本発明は、エンジンの排気放出物を濾過するシステム及び/又は装置に関する。
【背景技術】
【0003】
世界中の道路上の何百万台もの自動車は、大気汚染の実質的な源を意味する。汚染を最小限に抑えるため、多数の国々では、車両が発生させてよい汚染の量を制限する清浄な空気に関する法律を制定している。こうした汚染を低減するために自動車製造業者が採用している一方法は、車両の排気ガスを処理して一部の汚染物質を低減する触媒コンバータの使用である。理論上、車両は、燃焼室内の空気中の全ての酸素を使用して、全ての燃料を燃焼させるような空気燃料混合比で設計される。しかしながら、理想的な空気燃料混合は、運転中に変化する。通常の自動車エンジンの主な排出物には、窒素ガスと、二酸化炭素と、水蒸気とが含まれる。上記の排出物は、比較的良性のものである。しかしながら、燃焼プロセスは、決して完全ではなく、少量の更に有害な排出物も生成される。こうした有害な排出物は、EPAが「基準汚染物質」として特定した六種類の主要汚染物質の一部となる。
【0004】
六種類の基準汚染物質は、(1)オゾンと、(2)揮発性有機化合物(VOC)と、(3)二酸化窒素(NO2)と、(4)一酸化炭素(CO)と、(5)粒子状物質(PM)と、(6)二酸化硫黄(SO2)とを含む。オゾンは、汚染物質の化学反応によって形成され、VOC及びNOxを含む。加えて、地表面のオゾンは、スモッグの主成分となる。VOC(揮発性有機化合物)は、燃焼中の燃料(ガソリン、油、木材、石炭、天然ガス、その他)、溶媒、塗料、接着剤、及び職場又は家庭で使用されるその他の製品から放出される。自動車は、VOC汚染物質量の大きな原因となっている。VOCは、更に、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、及びメチルクロロホルムといった化学物質を含む。二酸化窒素(NO2 )は、NOx 汚染物質の一つであり、スモッグ形成化学物質である。
NO2 は、ガソリン、天然ガス、石炭、油、及びその他の燃焼によって形成される。自動車は、NO2 汚染物質量の大きな原因となっている。一酸化炭素(CO)は、ガソリン、天然ガス、石炭、油、及びその他の燃焼によって形成され、自動車は、CO汚染物質量の大きな原因となっている。粒子状物質(PM)−10は、粉塵、煙、及び煤である場合があり、木材、ディーゼル、及びその他の燃料の燃焼によって形成される可能性がある。工場と、耕作及び焼き畑等の農業活動と、未舗装道路の使用とは、PM汚染物質量の原因となる。最後に、二酸化硫黄(SO2)は、油、特に米国東部からの高硫黄炭の燃焼と、工業プロセス(紙、金属)とにより形成される。
【0005】
触媒コンバータでは、基準汚染物質の量を低減するエンジン排気の濾過を強化又は支援するために触媒を使用する場合が多い。代表的な触媒コンバータは、異なる二種類の触媒、即ち、還元触媒と酸化触媒とを使用する。殆どの触媒フィルタは、白金、ロジウム、又はパラジウムといった金属触媒によるコーティング又は含浸を行ったセラミック構造で構成される。触媒排気フィルタの裏側にある考え方は、触媒のコストの高さから、必要となる触媒の量を最少化する一方で、触媒の最大表面積を排気流に晒す構造を形成することである。
【0006】
図1に見られるように、従来技術の触媒コンバータ100は、還元触媒102と酸化触媒104とを含む。排気は、触媒コンバータ100に入る際に、濾過され、還元触媒102に晒される。還元触媒102は、通常、白金又はロジウムを使用して、排出物内の窒素酸化物を害の少ない物質へ変換するのを助ける。窒素酸化物分子は、瞬間的に窒素原子を保持して酸素をO2 の形態で解放する触媒に接触する。窒素原子は、触媒に取り付いた他の窒素原子と結合し、N2 を形成する。
【0007】
排気は、次に、未燃焼の炭化水素及び一酸化炭素を更に燃焼させる酸化触媒104によって処理される(酸化触媒は、一酸化炭素(CO)及び炭化水素と、排気ガス中に残存する酸素との反応を助長する)。コンバータの一次構造は、小さな細管を有する多孔性ハニカムである。図2は、ハニカム触媒構造を組み込んだセラミック排気フィルタの例を示している。
【0008】
ディーゼルエンジン(圧縮のみで燃料に点火する)は、有毒ガスに加えて多数の有害な粒子を含有する排気放出物のため、最近、世界全体で注視されている。製造業者の反応は、公知の触媒コンバータ技術をディーゼルエンジンに応用することであり、恐らくは、一つの解決策があらゆるタイプの化石燃料汚染に有効であると想定している。残念なことに、排出基準に関する規制は、従来の触媒コンバータ技術の物理的及び経済的限界を超えてしまっている。ディーゼル排出物は、特に、発生する粒子状物質の量が多いことにおいて、ガソリン排出物とは異なる。こうした理由から、排気放出物の捕獲、燃焼、及び酸化のための既存の技術は、求められる高いディーゼルエンジン排出基準に適合しない。
【0009】
こうした新たなディーゼルエンジン排出基準を満たすために開発された商用の解決策は、二つの実現可能なグループ、即ち、(1)ハニカム構成を備えた従来のモノリシック触媒コンバータと、(2)無機繊維カートリッジとに分類される。未燃焼炭化水素の排気放出物の形態をとる粒子状物質は、捕獲し、完全に燃焼させる或いは燃やす必要がある。この捕獲は、退出する排出物の経路に多孔性の隔壁を置き、表面張力を介して粒子状物質を隔壁に接着又は粘着させることで達成される。更に、多孔性隔壁によって、付随するガスは、可能な限り制限されずに、微細孔を通過できる。隔壁は、飛んでいる昆虫を捕らえるために張られたクモの巣に例えられる。
【0010】
粒子状物質を捕獲した後、粒子は、酸化環境において粒子温度を上昇させることで、完全に燃焼させる或いは燃やす必要がある。粒子の燃焼は、退出排気の既存の温度を利用することで、及び/又は補助的な熱源を提供することで達成できる。公知の問題は、燃焼を達成するのに必要な温度が更に粒子状物質を一定の長さの時間に渡って隔壁表面上に滞在させる必要があることである。こうした期間は、滞在時間と呼ばれる。
【0011】
図2は、粒子状物質(煤質量)を様々な温度で燃焼させる或いは燃やすのに必要な滞在時間のグラフを提供する。図2で確認されるように、0.9煤質量を有する煤質量を600度(ケルビン)で燃焼させる或いは燃やすための滞在時間は、1200度での滞在時間よりも遙かに長い。滞在時間が長くなると、許容されるスループット体積は小さくなり、多くの粒子が蓄積されて隔壁の微細孔を目詰まりさせるリスクが大きくなる。目詰まりは、セラミック材料が融点まで過熱し、これにより隔壁微細孔を遮断する、或いは詰まらせる結果としても生じる可能性がある。目詰まり、閉塞、又は飽和を防止するために、より多くの表面積が必要となる。使用可能な解決策では、温度が(1)最低の滞在時間を提供し、(2)熱的な損害に対して最も安全であり、(3)最小限の量の補助エネルギを使用し、(4)安価で製造できるものを考慮する必要がある。温度の上昇には、付加的なエネルギが必要となる。更に、特定の量のエネルギ源は、材料と接触することで、熱伝導率を介して、伝導され、引き出され、或いは運び去られる。様々な物質の化学的性質によって、熱伝導率のレベルが決定される。追加として、フィルタ媒体の熱伝導率は、排気放出物フィルタの効率性を決定する。フィルタの固体部分が熱を伝導しない、或いは運び去らない場合、生成された熱エネルギの多くが後方反射され、微細孔空間に残留することから、低い熱伝導率が好適となる。熱伝導率が低ければ、熱の損失は低くなる。低い熱損失の結果として、触媒変換にとって望ましい温度範囲を得るのに必要なエネルギは少なくなり、エネルギ効率は高くなる。
【0012】
あらゆる材料は何らかのレベルの熱伝導率を有するため、この作用を最小限に抑えることが好ましい。伝導率の最小化は、より低い伝導率を有する材料を選択すること、或いは少ない材料を使用することで達成できる。
【0013】
図2と共に以前に説明したように、高い温度によって、粒子状物質を短い滞在時間で燃焼させることが可能となるため、加熱の増加が好ましい。フィルタを燃焼室又はエンジンの近くへ移動させるか、或いは補助熱源を追加することで、加熱の増加を提供できる。しかしながら、従来の触媒コンバータのフィルタエレメントは、こうした位置に存在する高温と振動衝撃とに耐えられない。加えて、従来のフィルタエレメントに応用される一部の触媒は、高温(即ち、500℃超)では効率的に機能せず、或いは機能を停止する場合もある。したがって、必要なものは、燃焼室の近く等、極めて高い温度内(即ち、500℃超)に配置可能で、振動による劣化に対する耐性が高く、依然として同じ又は増大された粒子状物質燃焼効果を有するフィルタエレメントである。触媒なしで、同じ粒子状物質燃焼効果を達成する能力は、更に、触媒及びコーティングコストの大幅な節約を提供する。
【0014】
更に、フィルタに付与される酸化触媒コーティングの追加は、より低い妥当な温度での同じ燃焼及び酸化効果を提供できる。以前に述べたように、白金、パラジウム、又はロジウム等の金属酸化触媒が好適である。結果的には、触媒コーティングが炭化水素燃焼温度範囲を低下させ、フィルタとエンジンとの間で、より柔軟かつ妥当な距離が可能となる。
【0015】
改良された排気放出システムを提供するのに必要な特徴には、質量が最小で表面積が最大のフィルタが含まれる。主要な特徴を直接的に左右し決定する追加的な特徴は、熱伝導率と、熱膨張と、熱衝撃と、振動衝撃と、許容応力と、多孔性と、透過性と、重量と、製造コストと、製造の容易さと、耐久性と、その他とである。
【0016】
図3で確認されるように、こうした触媒コンバータの表面積を増加させるために、ハニカム構成302又は構造が、セラミックフィルタエレメント300内部に形成される。ハニカム構造302は、押し出し作用に平行な主軸線を備えた長いチューブを形成する押し出しプロセスを使用して形成される。こうしたチューブの開口部は、流入する排気流に向かう。排出物がチューブに入ると、粒子は、チューブの内部隔壁に沿って堆積する。ハニカム構成302は、表面積を実質的に増加させ、より多くの粒子が少ない体積に堆積するのを可能にする。
【0017】
内燃機関放出物フィルタ市場において、自動車又はガソリンエンジン用触媒コンバータは、支配的な技術である。既存の触媒コンバータ技術は、主に、コーディエライト(2MgO−2Al23−5SiO2)又は炭化ケイ素(SiC)といった高温セラミックに基づいている。こうしたセラミックは、通常、押し出しによってスラリからハニカムパターンとなり、その後、熱硬化により硬質の押し出し形態となる。コーディエライト又は炭化ケイ素には、物理的な制限が存在する。追加として、押し出しプロセスを継続的に精緻化し、0.6乃至1.0mmから0.2乃至0.4mmの更に薄い隔壁を製造することで、質量が低減されてきた。三十年間に渡る精緻化により、押し出しプロセスは、経済的な触媒の応用について、物理的限界に近いものを達成している。
【0018】
コーディエライトは、自動車業界の触媒コンバータの歴史の大部分を通して使用されてきたもので、自動車汚染規制の初期段階では上手く機能した。しかしながら、世界全体で制定された新たな更に厳しい規制では、現在の構成のコーディエライトは、十分な排出物制御を提供できない。ハニカム隔壁は、経済的な押し出しにおいて可能な限り薄くなっている。化学的には、セラミック密度は、60%超から40パーセンタイルの低さまで減少された。こうしたフィルタによって、ディーゼルエンジンが生成する増大した粒子体積に対応するには、フィルタサイズを増加させる必要があり、車両重量、製造コスト、及び運用コストが増える。コーディエライトフィルタによって捕獲される粒子のパーセンテージは約73%だが、目詰まりによって時間と共に継続的に低下する。フィルタ寿命の始めに、セラミックは100%清浄だが、捕獲されない残り27%の粒子は、隔壁に蓄積され、最終的に、フィルタは機能できなくなる。フィルタの故障には約100,000マイルを要し、製造業者が推奨するフィルタ交換スケジュールと一致する。
【0019】
一部の事例では、炭化ケイ素が優れた耐熱性を有することから、コーディエライトは、炭化ケイ素に置き換えられている。圧縮点火エンジンの排気温度は、スパーク点火のものより高くなる可能性があり、したがって、より高い動作温度のため、ディーゼルエンジンにはコーディエライトより炭化ケイ素が好適となる。コーディエライトは、約1,400℃で分解を始めるが、炭化ケイ素は、約2,000℃までの温度に耐えられる。しかしながら、炭化ケイ素は、熱膨張が大きく、コストが高い。炭化ケイ素は、更に、コーディエライトより重く、重量の追加は、車両性能にとって不利益となる。炭化ケイ素触媒コンバータは、無機繊維の追加によって、多孔性が増すように化学的に修飾できる。結果的には、約80%という粒子濾過における僅かな改良が生じ、これにより、フィルタ交換が必要となるまでのフィルタ寿命が約120,000マイルとなる。
【0020】
コーディエライト及び炭化ケイ素は、共に、振動及び熱衝撃に対する耐性が低い。そのため、排気管材料の高熱伝導特性による放射冷却によって温度が低下する前の原位置での高温を利用するのに最善な位置であるエンジン排気マニホルドに直に隣接した位置又はマニホルド内部には、こうしたフィルタを置くことができない。排気マニホルド近く又は内部に存在するエンジンの振動及び温度の急速な変化により、フィルタ材料は疲労し、フィルタの寿命が劇的に短くなり、フィルタの故障が発生する。
【0021】
フィルタを作成するのに使用される押し出しプロセスも、使用されるフィルタの形状を、押し出しの主軸線に沿って形成される円筒に近い形の本体に限定する。形状の制限は、以前の排出基準では問題にならなかった。しかしながら、ゼロに近い排出性能に到達するフィルタを設計する必要性から、非線形及び/又は非円筒形のフィルタ設計及び車両との一体化が求められる場合がある。
【0022】
無機繊維カートリッジは、化石燃料エネルギプラントフィルタシステムから発展した。エネルギプラント、特に石炭燃焼プラントは、大量の粒子状物質を発生させる。粒子は、一方の端部を密閉して無機繊維層で包んだ一連のチューブに、排出物を通過させることで除去される。こうした包被チューブは、カートリッジと呼ばれる。場合によって、包被チューブは、蝋燭との見た目の類似性から、キャンドルフィルタと呼ばれる。小さな空間で構成するための要件が存在しない静止した開放された環境にあり、熱に対する安全性が重要な要件ではない時、こうしたフィルタは、有効である。
【0023】
カートリッジの基本的な機能は、排気放出物を、一方の端部が閉鎖された一連のチューブ内へ向けることである。各チューブには穴を開けてあり、チューブの外部は、無機繊維の層で覆われている。無機繊維は、チューブの周囲で、巻き付け糸又は織物形態の繊維によって、チューブの外側に固定される。巻き付けた繊維材料は、無機結合剤により固定及び硬質化し、その後、熱硬化させる。
【0024】
いくつかのカートリッジを、主軸線が互いに平行になる状態で一群として配置する。重ねたものの主軸線は、排気放出ガス流に対して垂直に配置して、ガスをチューブの内側に通過させ、その後、繊維の覆いを介して排気として退出させる。大きなキャンドルフィルタを車両用排気カートリッジ構成に縮小するには、多数の課題が存在する。第一に、こうしたフィルタカートリッジの形成は、非常に労働集約的であり、構築及び設置に費用がかかる。第二に、移動環境での振動衝撃に対する不耐性により、各カートリッジのプレート、チューブ、ネジ、及び取り付けブラケットといった部品の様々な相互作用の全てから、経時的な疲労が生じ得る。追加として、フィルタ組立体内でのカートリッジ同士の相互作用が、疲労及び故障を発生させる。第三に、最終製品は、以前として相対的に大きく、縮小に対する明確な制限を有する。第四に、表面積は、本質的に従来の触媒コンバータ以下となる。第五に、重量は、様々な部品の全てにより重くなる。最後に、捕獲及び燃焼される粒子の量と、必要な滞在時間とは、濾過及び性能における大きな改良を提供しない。全体として、エンジン排気濾過のために無機繊維カートリッジを使用するシステムは、非常に複雑で込み入っており、自動車において経済的に成功させることができない。しかしながら、無機繊維の使用は、確かに肯定的な特性を有している。例えば、繊維の熱膨張及び熱伝導性は非常に低い。加えて、燃焼に使用される質量の量も良好である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
したがって、必要なものは、高いレベルの熱及び振動に耐えることが可能なフィルタにおいて、低い熱膨張及び熱伝導性を備え、大量の表面積を提供するように成形又は形成できる経済的な多孔性物質を提供する改良された排気フィルタである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
したがって、本発明は、従来型フィルタの制限及び不都合による問題点の一つ以上を実質的に克服する改良されたセラミック排気フィルタを対象とする。
【0027】
本発明は、高熱に耐えることが可能な低密度化合物を利用して、低い熱膨張及び熱伝導性と、粒子が接着し得る高いレベルの表面積とを備えた、改良された排気フィルタを提供し、これらの全てのより、エンジンの排気に存在する有害な副産物の極めて効率的な物理的濾過及び触媒変換のために、多数の形状及び設計で整形又は押し出し可能なフィルタが生じる。
【0028】
本発明の付加的な特徴及び利点は、以下の説明に記載され、部分的には説明から明白となり、或いは、本発明の実践により確認し得る。本発明の目的及びその他の利点は、記載の説明及びその請求項と添付図面とにおいて特に指摘した構造によって実現及び達成されるであろう。
【0029】
上記及びその他の利点を達成するために、実施及び広範に説明されるような本発明の目的に従って、本発明の一態様では、複数の不織無機繊維を備えるフィルタ基礎部と、当該フィルタ基礎部内に形成された少なくとも一つの区域と、当該フィルタ基礎部の内側部分に付与された少なくとも一つの面積増大部とを備えるエンジン排気フィルタエレメントが提供される。複数の不織無機繊維は、アルミナ−ボリア−シリカ繊維を含んでよい。複数の不織無機繊維は、アルミナ−ジルコニア繊維を含んでよい。複数の不織無機繊維は、アルミナ酸化物繊維を含んでよい。複数の不織無機繊維は、シリカ酸化物繊維を含んでよい。エンジン排気フィルタエレメントは、当該エンジン排気フィルタエレメントの外面に付与されたコーティング又は触媒を有してよい。触媒は、白金、パラジウム、又はロジウムに基づいてよい。エンジン排気フィルタエレメントは、一つ又は一つ以上の加熱素子を含んでよい。加熱素子(群)は、当該フィルタ基礎部内で一体化してよく、或いは当該フィルタ基礎部に外部から付与してよい。フィルタエレメントは、それぞれ異なる密度を有する複数の区域を備えてよい。フィルタエレメントは、少なくとも一つの面積増大部を有してよく、表面積増大部は、微視的増大部にしてよい。微視的増大部は、当該フィルタ基礎部内の複数のナノチューブの形態にしてよい。フィルタエレメントは、少なくとも一つの絶縁層で包被してよく、ケーシング内に収容してよい。
【0030】
本発明の別の態様では、少なくとも一つのスラリ溶液を形成するために複数の無機不織繊維をコロイド溶液に混合するステップと、繊維ブロックを形成するために少なくとも一つのスラリ溶液を鋳型に吸い込むステップと、当該繊維ブロックを硬化させるステップと、当該繊維ブロックをフィルタ基礎部へと機械加工するステップと、当該フィルタ基礎部の内側部分に微視的増大部を付与するステップとを含む、エンジン排気フィルタエレメントを作成する方法が提供される。追加ステップは、当該フィルタエレメントの外面にコーティングを付与するステップ及び/又は当該フィルタエレメントに触媒を付与するステップを含んでよい。加熱素子は、フィルタエレメントに挿入又は付与してよい。繊維ブランクは、無酸素室において形成してよく、繊維ブランク形成中には水素又は窒素に晒してもよい。フィルタエレメントの作成は、スラリの配合に結合剤を追加するステップと、約500℃の温度で繊維ブランクを硬化させるステップと、約1000℃の温度で繊維ブランクを硬化させるステップとを含んでよい。方法は、硬化後のブランクを急冷するステップを含んでよい。追加として、表面積増大部は、微視的増大部を含むフィルタエレメント上又はフィルタエレメント内に形成してよい。追加ステップは、当該少なくとも一つの面積増大部を形成するために当該フィルタ基礎部の当該内側部分を突き通すステップ、或いは当該少なくとも一つの面積増大部を形成するために当該フィルタ基礎部の内側部分をドリル加工するステップを含んでよい。
【0031】
本発明の別の態様では、エンジン排気に接続するための入口端部及び出口端部を有するケーシングと、複数の不織無機繊維を備えるフィルタ基礎部と共に当該ケーシング内に収容されたフィルタリングエレメントと、当該フィルタ基礎部内に形成された少なくとも一つの区域と、当該フィルタ基礎部の内側部分に付与された少なくとも一つの面積増大部とを備える、エンジン排気フィルタシステムが提供される。エンジン排気フィルタシステムは、アルミナ−ボリア−シリカ繊維、アルミナ−ジルコニア繊維、アルミナ酸化物繊維、又はシリカ酸化物繊維を含む複数の不織無機繊維を備えてよい。エンジン排気フィルタシステムは、エンジン排気フィルタエレメントの外面に付与された一つ以上のコーティング又は触媒を含んでよい。触媒は、白金、パラジウム、又はロジウムに基づいてよい。エンジン排気フィルタシステムは、フィルタ基礎部内で一体化されるか、或いは外部から付与された、少なくとも一つの加熱素子を含んでよい。フィルタエレメントは、それぞれ異なる密度を有する二つ以上の区域を備えてよく、フィルタエレメントに付与された表面積増大部を有してよい。表面積増大部は、微視的にしてよく、フィルタ基礎部内の複数のナノチューブにしてよい。フィルタエレメント及び/又はフィルタシステムデバイスは、ディーゼル又はガソリン駆動エンジンにおいて使用してよい。
【0032】
上記の全般的説明及び以下の詳細な説明は、両方とも例示的かつ説明的なものであり、請求される本発明の更なる説明を提供することを意図していると理解されたい。
【0033】
添付図面は、本発明の更なる理解を提供するために含まれるものであり、本明細書に組み込まれ、その一部を構成しており、本発明の原理を明らかにする役割を果たす説明と共に、本発明の実施形態を例示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、本発明の好適な実施形態を詳細に参照し、その例は、添付図面に例示されている。
【0035】
本発明は、エンジン用の排気放出システムに関し、ディーゼルエンジンにおいて特に有用である。本発明は、以前の触媒コンバータの特徴を利用し、こうした特徴を改良する新たな第三のカテゴリの触媒コンバータとして説明できる排気放出システムを提供する。本発明は、従来の触媒コンバータ及び無機繊維カートリッジの両方からの特徴を使用する一方で、その制限を改良し、能力を拡張し、新たな性能の機会を提供する。
【0036】
セラミックの押し出し、或いは穿孔チューブの糸又は繊維による包被を行うのではなく、本発明のフィルタの基礎部は、一般的なゾル−ゲルプロセスによって作成する。これは、最初に、ゾルブランク又はブランクを形成するフィルタ鋳型に、十分に混合した無機繊維及びコロイド溶液のゾルを(真空又は重力引き込みにより)引き入れることで達成される。
【0037】
好適な実施形態において、無機繊維の成分は、ガラス繊維と、アルミナ繊維と、アルミナホウケイ酸繊維とを含む三種類の原料で構成される。ガラス繊維は、約50乃至90(%)の無機繊維混合物を含み、アルミナ繊維は、約5乃至50(%)の無機繊維を含み、アルミナホウケイ酸繊維は、約10乃至25(%)の無機繊維混合物を含む。無機繊維混合物及びブランクは、約華氏3632度の融点を有する。
【0038】
フィルタ鋳型は、円筒、ブロック、ピラミッド、球形、自由形状、又は考え得る他の任意の対称又は非対称形状等、任意の形態にできる。ゾルブランクの密度は、このプロセス中に、必要に応じて、化学的及び物理的に変更できることに留意されたい。
【0039】
複数(二つ以上)のスラリ配合を注入又は混合し、引き込み(複数回)の真空速度を変化させることで、一部の領域が他の領域より高密度であるブランク、及び/又は化学変化により異なる物理特性を有するブランクが提供される。異なるスラリ配合及び成形手法を使用することで、ブランクは層状にできる。加えて、ブランクはケーキの層のような平行な平面層のみに限定されず、ブランクは、いくつかの例として、水平、角度付き、ピラミッド型、及び自由形状の層により形成できる。
【0040】
フィルタブランクは、更に、以前に作成した異なる密度又は化学的性質の一つ又は複数のゾルブランクを、鋳型内の任意の位置で、硬化済み又は未硬化の任意の構成において、別のゾルブランクの内側又は内部に配置することで形成できる。こうしたコアは、ゾルブランク内に手作業で配置可能であり、或いはコア内へ注入可能である。結果として、密度の低い又は高いコア又は複数のコアが生じる。こうしたコア及びブランクの形状又は形態は、コアの層化の組み合わせと同様に制限されない。これにより、コア内のコアの中にあるコア等が作成できる。プロセスは、必要に応じて無制限の回数で反復可能であり、無制限の形状で、独自の数のブランクの組み合わせが生じる。
【0041】
したがって、ブランクの形状及びサイズを変更できるだけでなく、密度、層、他のブランクとの組み合わせ、及び無制限の組み合わせ数を変化させることもできる。成形中にスラリの配合又は真空を変化させることで、ブランクは、異なる化学組成及び密度を有する段階的な又は異なる層を有することが可能である。ブランクは、必要に応じてそれぞれ独自の形状、位置、及び物理特性を有する一つ又は複数の区域を有することが可能である。区域は、強度、熱又は電気伝導率、触媒接着能力、熱膨張、振動及び熱衝撃、重量、多孔性及び透過性、消音、又は他の任意の好適な特性を変化させる必要に応じて、変化できる。組み合わせは、現在の既存の技術の制限と比較して、無制限である。
【0042】
ゾルブランクは、形成又は鋳造後、含有する可能性のある水を全て除去するのに十分な長さでオーブン乾燥する。次に、乾燥ブランクをゾル−ゲル結合剤、好ましくはアルミナゾル−ゲル結合剤に浸漬し、ブランクが結合剤溶液をブランク内に「吸い込む」(吸い上げる)際に、様々な温度で数日間置く。次に、浸漬ブランクを、アンモニアガスを充填したチャンバ(大きなプラスチック袋)に入れる。窒素及び水素ガスを、アンモニアガスと共に導入してもよい。実際には、無酸素の還元環境が維持される限り、任意のガスを導入してよい。好ましくは、ガスは、浸漬ゾルブランクがゲルブランクとして形成されるまで、ガスを一定流量で提供する。この時点で、ガスを止め、ゲルブランクを外気に晒してガスを逃がす。
【0043】
その後、外気オーブンにおいて中温乃至低温でゲルブランクを熱硬化させ、一部の残存液体を除去する。次に、ゲルブランクを高温で熱硬化させ、温度は、望ましい温度に達するまで、数時間に渡って増分的に上昇させる。最高温度を達成及び維持した後、ゲルブランクを急冷する。結果として、硬質無機繊維ブランクが生じる。ここでも、ブランクを熱硬化させるプロセスは、使用する温度、硬化させる時間の長さ、急冷の温度及び時間、温度の増分的上昇、増分的温度上昇のタイミングにおいて変更可能であり、これらを全て変更して、密度及びその他の上記物理特性を変化させる別の方法を提供できる。
【0044】
ブランクの組成は、化学、熱、及び振動衝撃に対する弾力性が高いが、硬度は非常に低い。この低い硬度により、工具の抵抗又は摩耗が殆どない、或いは最小限の量である、機械加工が可能となる。最終的なブランクは、低い硬度を有する或いは軟らかいという事実にかかわらず、非常に耐久性が高い。モース硬度計において、ブランクは、通常、0.5乃至1.0(或いはヌープ硬度計で1乃至22)であり、タルクが1(1乃至22ヌープ硬度)で最も軟らかく、ダイヤモンドが10で最も硬い(8,000乃至8,500ヌープ)。例えば、炭化ケイ素は、モース硬度8.5(又は2,000ヌープ)である。ブランク材料は、非常に軟らかいため、機械加工、彫刻、又は成形が容易である。他の公知の物質との関係において、ブランクは、スタイロフォーム又はバルサ材にように軟らかく、楽に機械加工又は彫刻できる。未加工ブロックの形態のブランクは、容易に切断又は鋸引きして予備成形形状にすることが可能であり、その後、ヤスリ掛け、旋削、又は機械加工により、最終的な望ましい形状の予備成形物にできる。予備成型物は、殆ど労力をかけずに、成形、ヤスリ掛け、旋盤、又は機械加工が可能であり、無制限の成形能力を提供する。機械加工は、旋盤上での円筒の旋削から、鍵穴鋸、帯鋸、又は糸鋸による成形のための鋸引き、表面の成形又は平滑化のためのヤスリ掛け、又は他の固体材料において一般に使用される他の任意の機械加工の範囲にすることができる。ブランク及び予備成型物は、機械加工金属、木材、又はプラスチックと同様の精度により、非常に厳格な許容誤差で機械加工できる。ブランクの外側の機械加工性及び基礎部の再機械加工は、可能性において無制限である。
【0045】
ブランクの内側も、同様に機械加工が容易である。排気入口及び出口チューブの挿入は、ブランクにロッドを突き刺す程度の容易なものとなる。突き刺しプロセスは、最低限の力を要し、従来の作成技術に比べて実質的なコスト削減を意味する。突き刺しプロセスは、スタイロフォームのコップに鉛筆を押し通すのと同様に単純である。チューブは、ボール盤、水ドリル、空気ドリル、或いは他の任意の方法でドリル加工できる。チューブの直径は、微視的なものにしてよく、必要な場合は、ナノメートル(1メートルの百万分の一)未満でもよい。チューブを突き刺すことが可能であるため、チューブの形状は、平行チューブに限定されない。チューブは、円錐形、又は非対称にすることもできる。加えて、チューブは、直線状に限定されない。チューブは、螺旋状、曲線状、角状にすることが可能であり、或いは、各チューブ内の方向、配向性、及び/又は直径を不規則にすること若しくは変化させることも可能である。チューブは、レーザにより切断する時、砂時計の形状にできる。チューブの構成は、チューブを彫る技術によってのみ制限される。
【0046】
現在、表面増大部をドリル加工又は作成する好適な方法は、必要に応じて粒子より小さな直径で毎秒2000個もの穴を切り開けることが可能なパルスレーザを利用することである。チューブのドリル加工又は表面増大部の作成のための別の正確な方法は、機械工場で一般的なCNC(コンピュータ数値制御)ドリル加工である。CNCドリル加工は、遙かに低速であり、一日に数千個のフィルタを作成する必要がある大量製造環境では経済的に実行不可能である。レーザドリル加工は、ダイオードポンプ固体レーザドリル加工(DPSSL)、化学レーザ(CO2等)、電子ビームドリル加工(EBドリル加工)、又は電極ドリル機(EDM)を含め、様々なレーザ又は高度なドリル加工技術を使用してもよい。
【0047】
基礎部の外面は、更に、コーディエライト又はムライト或いは激しい外部衝撃から基礎部を保護する粉末の他の任意の組み合わせと上記の無機繊維との任意の組み合わせの液体硬化溶液によるブラシング、浸漬、又は吹き付けによって、固めることができる。好ましくは、外面コーティングは、その後、熱硬化させる。
【0048】
基礎部を最終的な寸法に成形した後、米国特許第5,244,852号及び米国特許第5,272,125号(両教示内容は参照により全体を本明細書に組み込む)において開示されるパラジウム−白金に基づく触媒を付与する方法等、公知の手法及び方法を使用して、一つ以上の触媒を付与してよい。加えて、触媒は、貴金属、貴金属の組み合わせに限定されず、或いは酸化触媒のみに限定されない。任意の触媒コーティングを付与できる。トラック及び自動車製造業界の企業全体では、様々な触媒の組み合わせ及び調製を利用している。Ford、GM、トヨタ等の製造業者は、各車両用に独自の触媒製法を有する。これは、各車両が無数の重量及びエンジン性能の要求を有するためである。製造業者は、車両が販売又は認可される場所(即ち、カナダ、米国、カリフォルニア、メキシコ)に応じて、同じ車両用に異なる触媒製法を有する。この理由から、殆どの製造業者は、触媒コーティングの付与に自社で対処する。
【0049】
追加コーティング(非触媒)を付与することもできる。こうした追加又は補助コーティング又はベニヤは、ブラシング、吹き付け、吸い込み、又は他の任意の一般的方法により付与できる。コーティング、ベニヤ、又はウォッシュコートは、触媒の接着を助ける。
【0050】
追加として、一部の触媒は、熱源として使用可能な場合がある。しかしながら、殆どの貴金属に基づく触媒コーティングは、連続的ではなく、表面に付与される触媒の塊又は断片に最も類似する。触媒全体に電流を通すには、触媒を修飾したもの、或いは追加のコーティング又は触媒が必要となる。修飾触媒は、付与された時に薄膜を形成し、電流を通過させて、触媒が熱源として機能するのを可能にする第二の金属を含むか、或いは添加される可能性が高い。
【0051】
図4で確認されるように、本発明のフィルタ基礎部400が図示されている。フィルタ基礎部400は、外壁402にハードコーティング404を有する。図4に示した試料では、ハードコーティングは、微細に粉砕したコーディエライト及び無機繊維で構成される。フィルタ基礎部400上には、更に粉末を塗布し、上記のような通常のゾル−ゲル方法で硬化させている。ハードコーティングは、寸法を変化させることなく、フィルタ基礎部を保護及び絶縁する。
【0052】
補助加熱素子をフィルタ基礎部又は排気濾過システムに付与してもよい。図2と共に以前に説明したように、高温によって、滞在時間、又は捕獲粒子を燃焼させるのに必要な時間は低減される。捕獲粒子の燃焼又は「引火」を素早く実行できることで、目詰まり及び融解の影響を受けにくい、より清浄で効率的なフィルタが提供される。従来又は公知のフィルタエレメントは補助加熱の使用を妨害又は制限する公知の(融解)温度限界を有するが、本発明のフィルタエレメントは、高温加熱素子の利用を可能にする遙かに高い融点(3632°F又は2000℃)を有する。したがって、補助加熱素子のフィルタエレメントへの挿入は、捕獲粒子の素早い燃焼又は「引火」を発生させる加熱の増大を提供可能であり、これにより目詰まりの可能性の少ない、より効率的なフィルタが生じる。
【0053】
本発明のフィルタエレメントに対する補助加熱素子の追加又は挿入は、基礎部の低い硬度のため、簡単なプロセスとなる。補助加熱素子は、基礎部に押し込むことが可能であり、或いは、フィルタエレメント内に素子をしっかりと配置又は位置決めするために穴を切り開けることができる。補助加熱素子は、繊維ブランクの作成中に追加してもよい。補助ヒータは、触媒コーティングを付与する前又は後に追加してもよい。
【0054】
補助熱源を利用する場合、電気エネルギ源が必要となる可能性が最も高い。制御メカニズムを使用して、ヒータの起動を自動化できる。制御メカニズムは、濾過メカニズムのガス流入側での温度(燃焼するのに低すぎる)及び気圧(目詰まりにより増加する内圧)の条件の変化によって始動できる。両方の条件が最適な燃焼温度範囲に達した後、制御メカニズムは、ヒータへの電気の流れを低下又は停止させ、これにより、エネルギとヒータ自体の摩耗とを節減する。制御メカニズムは、機械的又は電子的な構成にできる。
【0055】
基礎部の外側では、ガス流の流入又は流出の経路ではない位置において、バッティングと呼ばれる絶縁層を追加してよい。バッティングは、二つの機能を果たす。バッティングの第一の機能は、外側へ放射しようとする極高温となり得る内部温度による損傷から、基礎部の外側の環境を保護する絶縁層を提供することである。バッティングの第二の機能は、ハードケーシング及び付随する濾過組立体から相対的に軟らかい基礎部へ伝達される何らかの激しい外的振動衝撃からの保護を提供することである。バッティングは、更に、ある程度の熱のフィルタの基礎部分への後方反射を提供する。バッティングは、設置後に静止状態を維持するが、保護及び絶縁にとって十分な軟らかさ及び柔軟性を保持する、織物、マット、又は他の任意の一般的な構成のように構成された無機繊維の任意の組み合わせにより作成できる。
【0056】
コーティング済み又は未コーティングの基礎部と、必要な場合の補助ヒータと、バッティングとは、耐久性のあるケーシング内にしっかりと設置される。ケーシングは、排気ガスの流入及び流出を提供する開口部を備えるべきである。二つの開口部を除き、ケーシングは、気密シールを有するべきである。開口部は、既存の排気システムにしっかりと取り付け可能であると同時に、気密接続を提供できるような形で構成される。適切な取り付け後、全てのエンジン排気は、フィルタの基礎部分の通過を強制される。修正された排気マニホルド内にフィルタが配置される場合、ケーシングは、実際には排気マニホルドにしてよい。
【0057】
フィルタ組立体は、ディーゼルエンジンを含むあらゆるエンジンにモジュール方式で適合する点において、機能的に柔軟である。これには、排他的又は限定的ではなく、自動車、トラック、及びバスのエンジンと、機関車と、商用及び娯楽用船舶と、車両以外の用途と、トラクタと、農業用電源と、建築と、補助電源とが含まれる。
【0058】
図5において確認されるように、本発明は、改良された排気放出物濾過システム500を提供する。濾過システムは、耐久性のある耐熱性のケーシング502を備えてよい。ケーシング502は、吸気口504及び排気ポート506を有する。改良されたフィルタ510は、一つ又は複数の区域512、514を有してよい。改良されたフィルタ510は、一つ以上のバッティング/絶縁層515に包被又は封入されてよい。バッティング層515は、エンジン及び移動環境の振動衝撃から基礎部510を保護し、フィルタ基礎部510内の熱の温度から外部環境を絶縁するために、フィルタ基礎部510に付与してよい。
【0059】
補助熱源は、必要な場合、フィルタ基礎部の内側又は外側に配置可能な、コーティング基礎部に付加的な熱を提供する手段として、含めてもよい。補助熱源は、電源と、電源を調整する手段とを必要とする場合がある。
【0060】
フィルタ510は、細断及び/又は不織無機繊維及び結合剤の剛体構成を形成することで作成された大きなブランクから生じる。繊維ブランクは、フィルタ基礎部510にとって望ましい外部寸法に機械加工又は加工される。フィルタ基礎部の内部は、その後、望ましい表面積増大構成を提供するために機械加工又は加工される。耐久性のある無機硬化コーティング511を、ブラシング、吹き付け、浸漬、又は他の任意の一般的な付与方法によってフィルタ基礎部510に付与してよい。加えて、フィルタ基礎部510は、ブラシング、吹き付け、浸漬、又は他の任意の一般的な付与方法によって付与された酸化又は還元触媒を含んでよい。
【0061】
フィルタ基礎部510と、付与したコーティング511、触媒515、及び任意の加熱素子とは、外部環境の物理的損傷から排気濾過システム500を保護できる耐久性のある耐熱性ケーシング502内に組み込むこと、又は封入することが可能である。ケーシング端部504、506は、エンジン排気パイプ、マニホルド、又はエンジンブロック内に取り付けること、或いは存在することが可能である。本発明のシステムは、更に、排気ガスをコーティング基礎部及び熱源に通過させる、補助ファンのような手段を利用してよい。
【0062】
本発明は、内燃排気ガス流から粒子状物質及びガス状汚染物質を除去する排出物排気システムを提供する。上記のように。フィルタ基礎部は、無機繊維ブランクから機械加工又は形成される。繊維ブランクは、主に、細断繊維を含んでよい或いは備えてよい独自の低密度無機繊維で構成される。細断繊維は、均一な長さと、ランダムな長さと、短繊維と、長繊維と、一種類の繊維と、複数の種類の繊維と、任意の組み合わせとにしてよい。低密度無機繊維は、任意の組成の不織又は細断無機繊維にしてよい。無機繊維は、以下の一つ以上を含んでよい(但し、限定されない):(1)アルミナ−ボリア−シリカ、(2)アルミナ−ジルコニア、(3)アルミナ酸化物、又は(4)シリカ酸化物。無機繊維は、二次的な強化用微量元素、成分、又は許容可能な不純物を含有してよい。微量元素は、Cu、Mg、Mn、La、Ce、Zn、Zr、Ce、Laの任意の組み合わせにしてよい。微量元素は、付与された際の触媒の接着のための触媒作用と、付与された際の触媒の分散及び性質又は均一性と、フィルタ基礎部の引張強度とにおいて、効率を高めることが明らかとなっている。
【0063】
先に指摘したように、排出物排気システム又はフィルタ基礎部自体には、フィルタ基礎部を加熱するのに使用される外部熱源を付与してよい。フィルタ基礎部には、更に、改善プロセスを早めるのに使用される酸化触媒を供給してもよい。
【0064】
無機繊維ブランクは、一般的な化学工学又はセラミックプロセスである修正されたゾル−ゲルプロセスを使用して形成される。無機繊維ブランクは、更に、圧力を負の値まで低減する「圧搾鋳造」加圧プロセス又は真空プロセスを利用してもよい。真空プロセスによって、無機繊維ブランクは、強度を維持しながら超低密度で形成又は製造できる。無機繊維ブランクの形成に使用される加圧又は真空プロセスと合わせたゾル−ゲルプロセスは、粒子の濾過にとって極めて有益な例外的に低い密度を発生させるのを助ける。
【0065】
無機繊維ブランクは、加圧段階で無酸素大気を利用するチャンバ内で形成してよい。無酸素大気は、金属酸化を最小化し、繊維結合を独自の形で強化する環境を形成する。窒素又は水素ガスの付加的な露出又は使用は、超低密度を達成するために使用してよい。水素ガスは揮発性であるため、窒素ガスが好適なガスとなる。無機繊維ブランクは、ブランクの強度及び伝導率を変更するために、単一又は複数の結合剤プロセスを利用してもよい。結合剤を数回供給することで、強度は増加するが、細孔の空間を減少又は目詰まりさせる場合もある。結合剤は、このゾル−ゲルプロセスにとって最も一般的な結合剤であるSiO2又はAl23組成を有する酸化物結合剤にしてよい。酸化物結合剤は、更に、ガラス構成、結晶構成、又は他の何らかの無機結合剤にしてもよい。無機繊維ブランクは、任意の場所で、500℃前後で硬化させてよい。好適な実施形態では、結合剤のゲル化後、無機繊維ブランクは、ブランクを約四時間に渡って約200°Fまで加熱し、その後、五時間の期間に渡って温度を約600°Fまでゆっくりと上昇させることで硬化させる。加熱後、温度を急速に低下させることで、繊維ブランクを急冷する。
【0066】
硬化プロセスは、多数の変数を有し、こうした変数は、繊維ブランクをどのくらいの強度、多孔性、又は透過性にしたいかに応じて調整できる。硬化プロセスも、高温に対するブランクの耐性の度合いを決定するために変更できる。硬化プロセスでは、複数の硬化付与剤を使用可能であり、加熱及び冷却の間隔及びアプローチを変更できる。無機繊維ブランクは、更に、無機繊維ブランクの急冷又は焼き戻しのために急速に冷却できる。
【0067】
繊維ブランクは、硬化後、必要な形状でフィルタ基礎部を作成又は形成するために、必要に応じて、機械加工、ドリルによる穴開け、成形、及び/又は構成を実行できる。本質的に、無機繊維ブランクは、所望の形状又はサイズに機械加工される。所望の形状又はサイズが達成された後、フィルタ基礎部には、微視的表面積増大部を付与できる。微視的表面積増大部は、フィルタ基礎部に穴のパターンを突き通す又はドリル加工する等の手法を使用して付与できる。上記のように、表面増大部をドリル加工又は形成する現在の方法は、パルスレーザ、CNCドリル加工、DPSSL、EBドリル加工、又はEDMの使用を含む。パルスレーザは、必要に応じて粒子より小さな直径で毎秒2000個もの穴を切り開けることが可能である。
【0068】
図6において確認されるように、こうした微視的表面増大部は、ナノチューブ、mμチューブ、μチューブ、ナノチャネル、mμチャネル、μチャネル、又はその他の微視的入口及び出口チューブを組み込むことを含む。微視的入口及び出口チューブ又はチャネルのサイズについては、使用されるドリル加工手法が要因となる。ハイエンドレーザドリル加工デバイスの使用により、好適な50乃至100μmの直径範囲でチャネル及びチューブをドリル加工できる。微視的表面増大部によって、フィルタエレメントは、従来の排気フィルタ又は触媒コンバータでは達成されなかった微視的レベルで汚染物質及び粒子を処理できる。排気汚染物質及び粒子を微視的レベルで処理することにより、大幅に改善された添加速度とフィルタの再生とが提供され、更に、改善された粒子のパーセンテージが大幅に増加する。
【0069】
フィルタ基礎部は、無機合成繊維ブランクの形成中に鋳造された一般的な出口及び入口チューブを備えてよい。入口及び出口チューブは、フィルタ基礎部用の未硬化無機繊維内に挿入される有機スペーサを使用して形成してよい。出口チューブは、汚染物のためのものではなく、媒介ガスをフィルタの外へ出し、エンジン出力又は排気ガス流を(間接的に)維持する手段である点に留意することが重要である。入口及び出口チューブは、挿入スペーサが硬化プロセス中に分解又は溶解する場合、硬化段階中に形成してもよい。入口及び出口チューブは、フィルタ基礎部の形成後に作成してもよい。好適な実施形態において、入口及び出口チューブは、フィルタ基礎部の形成後に作成される。入口及び出口チューブは、フィルタ基礎部にドリル又は突き刺しにより形成してよく、こうしたチューブは、平行又は非平行構成、直線又は非直線構成にしてよく、円筒、円錐、楕円、湾曲、正方形、円形、砂時計形、又は考え得る他の任意の形状にしてよい。
【0070】
図7は、フィルタエレメント700に付与可能な入口702及び出口704空間の縦面図を提供する。図7では、全ての入口702及び出口704空間が互いに平行で、円錐形状であることが明らかとなる。円錐設計の使用により、排気ガス及び粒子は、不織無機繊維フィルタエレメント自体での濾過を強制され、結果として捕獲粒子のパーセンテージは更に高くなる。
【0071】
以下では、本発明のフィルタエレメントの製造及び設計の二つの例示的実施形態を提供する。第一の例は、ディーゼルエンジン用排気フィルタデバイスとしての使用に理想的である。第二の例は、ガソリンエンジン用排気フィルタデバイスとしての使用に理想的である。
【0072】
実施例1:ディーゼルエンジン
基礎部:基礎部又は繊維ブランクは、アルミナ強化熱障壁調製物を使用して形成される。アルミナ強化調製物は、様々な密度で形成可能であり、番号で区別できる。番号は、材料1立方フィートの重量又は「pcf」を表す。一例として、8は低密度と考えられ、25は高密度と考えられる。アルミナ強化調製物は、2乃至50の「pcf」範囲で変更できるが、好ましくは、本発明では8乃至25となる。この例示的実施形態において、低密度アルミナ強化調製物は、粒子を捕獲する表面積を増やす低密度として使用される。
【0073】
繊維ブランクは、通常、約13’’×13’’×5’’のブロックとして産出又は形成する。繊維ブランクから、ダイヤモンドチップ又は炭化タングステン帯鋸を使用して、直径6インチで高さ5インチの円柱又は楕円柱予備成形物をブランクから切り取る。この予備成型物を、旋盤(直円柱)又はベルト研削機により、正確な許容範囲まで更に機械加工し、基礎部を形成する。基礎部は軟らかいため、機械加工は、軟材を機械加工するのと同様に単純かつ容易である。
【0074】
チューブ:基礎部は、繊維ブロックから切り取り、機械加工した後、ドリル加工のためにドリル加工メカニズムに挿入される。基礎部でのドリルによる穴開けは、粒子の捕獲にとって重要な基礎部の表面積を増加させる。円柱及び排気放出流の主軸線に平行に、複数のチューブを基礎部にドリル加工する。基礎部にドリル加工されるチューブの直径サイズは、幅を持たせることができる。しかしながら、チューブ直径が小さければ、より多くのチューブを基礎部に設置できる。多くのチューブを基礎部に設置できれば、表面積は大きくなる。
【0075】
ディーゼルエンジンの大部分の粒子のサイズはPM10又はPM2.5であると考えられるため、チューブは、粒子が入る上で十分に大きくするべきであり、但し、ドリル加工チューブの内壁に粒子が接触して取り付く上で十分に小さくするべきである。加えて、アルミナ強化合成マトリクスセラミックは、90%の多孔性を有しており、即ち、基礎部を通過するガスのために大量の空間が存在することを意味する。この高い多孔性も、粒子が堆積する付加的な表面積を提供する。
【0076】
このディーゼル用の例示的実施形態では、基礎部には、直径0.04インチの穴が0.06インチ毎の間隔でフィルタ全体に渡ってドリル加工される。こうしたチューブは、従来のコーディエライトチューブより小さく、結果として、アルミナ強化合成マトリクスセラミック自体の大量の微細孔空間に存在する表面積を考慮に入れることなく、表面積の大幅な増加が生じる。図7に図示したように、チューブには、平行な「ブラインド」チューブ、或いは出口穴のないチューブが組み込まれる。ブラインドチューブは、退出前にガスを隔壁又はフィルタエレメント自体に通過させる。
【0077】
この例示的実施形態では、均一性を維持するためにコンピュータで制御されたCNCドリルを使用して穴を開ける。ドリル加工プロセスは、粉塵が空気で運ばれ、OSHA有害物質となるのを防止し、及び/又はドリルのベアリングに入り込み、これを破損させるのを防止するために、継続的な水シャワの下で実行される。ドリル加工済みの基礎部は、オーブン乾燥し、任意の触媒の付与の前に、微細孔空間に存在し得る水又はその他の液体の除去又は焼き取りを行う。焼き時間は重要ではなく、水の完全な蒸発は、単純に基礎部の重量を量ることで決定できる。いくつかの異なる間隔でフィルタエレメントを加熱した後、重量は安定し、フィルタエレメント又は基礎部では、任意の触媒又はコーティングの準備が整う。
【0078】
触媒:ここで、ドリル加工済み基礎部では、触媒のコーティングの準備が整う。通常、ドリル加工済み基礎部はトラック製造業者へ送られ、トラック製造業者は、基礎部を貴金属塩の溶解した独自の溶液中に置き、その後、フィルタエレメントを熱硬化させる。ウォッシュコート及び触媒を付与する方法及び方式は、当業者に知られており、米国特許第5,244,852号及び第5,272,125号において開示されている。
【0079】
キャニング:全ての触媒及びコーティングを付与した後、フィルタエレメントは、ハウジング内にキャニング又は収容される。フィルタエレメントは、ハウジングに収容する前に、絶縁又はバッティング層で包被してよい。ハウジングは、通常、金属で作成される。排気フィルタシステムは、その後、排気マニホルドの下流で、従来の位置に配置される。
【0080】
実施例2:ガソリンエンジン
基礎部:ここでも、このガソリンエンジン用例示的実施形態のために、基礎部は、同じアルミナ強化熱障壁調製物を使用して形成される。アルミナ強化合成マトリクスセラミックの「pcf」範囲は、2乃至50にできるが、好ましくは、8乃至25となる。この例示的なガソリンエンジン用実施形態では、低密度だが強度のある繊維ブランクを提供することから、低濃度アルミナ強化合成マトリクスセラミック8が使用される。
【0081】
ここでも、繊維ブランクは、通常、約13’’×13’’×5’’のブロックとして産出され、直径6インチで高さ5インチの円柱又は楕円柱予備成形物が繊維ブランクから切り取られる。切り取りは、ダイヤモンドチップ又は炭化タングステン帯鋸を使用して実行され、フィルタエレメントは、旋盤又はベルト研削機により、正確な許容範囲まで機械加工される。
【0082】
チューブ:基礎部を切り取り、最終寸法まで研削した後、フィルタエレメントでは、チューブの切り開け又はドリル加工が行われる。ガソリンエンジン用の例示的実施形態では、チューブ又は穴は、ダイオードパルス固体レーザ(DPSSL)を使用して切り開ける。DPSSLにより、毎分2,000穴の速度で表面積増大部、チューブ、又は穴を切り開け可能となる。結果として生じるチューブは、約100ナノメータ又はミクロン(ミリメートルの千分の一)の直径を有する。多数のナノチューブの結果としてフィルタエレメントの表面積が大幅に増加しているため、フィルタは、従来のフィルタのように厚くする必要はない。加えて、切り出された一つの繊維ブランクから複数のフィルタエレメントを作成可能であり、付与される任意のコーティング又は触媒の必要量が低減されるため、本発明の薄く小さいフィルタエレメントは、製造のコストが少ない。
【0083】
加えて、アルミナ強化合成マトリクスセラミックは90%が空気であるため、排出物が通過する信じられない量の微細孔空間が手に入る。この信じられない量の付加的表面積が、既にドリル加工済みのチューブに追加され、小さなスペース内に大量の表面積が提供される。図6において確認されるように、アルミナ強化合成マトリクスセラミックフィルタエレメント600の操作電子顕微鏡(SEM)画像は、微細孔空間606の直径の粒子状物質604に対する適合性が非常に高いことを示している。チューブの効率を高めるために、レーザドリル加工は、平行な円柱ではなく円錐形状又はブラインドホールをドリル加工するようにプログラムできる。レーザは、更に、(砂時計のように)最上部に小さく入って、広がるようにプログラム可能であり、或いは動き回って、非平行開口部、ランダム開口部又は通路、及び段階付き又は捻れ形のパターンを形成するようにプログラムできる。
【0084】
追加として、フィルタエレメントの長さを短く形成することで、排気は、殆ど苦もなく流動できる。フィルタを介した移動の長さは背圧を増加させるため、短いフィルタエレメントは背圧を減少させ、排気ガスはフィルタシステムを介して楽に移動し、濾過機能が増大する。この背圧の減少の結果として、エンジンの動作の効率が増し、これは優れた燃費効率と高い出力とを意味する。
【0085】
キャニング:フィルタエレメント自体はサイズが低減されているため、ハウジングもサイズが低減され、排気パイプラインにおける小さな膨らみとして認知される可能性が高い。或いは、排気マニホルドとテールパイプとの間の小さな容器にできる。
【0086】
位置:この例示的なガソリンエンジン用実施形態の排気フィルタデバイスは、その後、排気マニホルドの端部に設置し、粒子の燃焼を助けるために、既存のエンジンの熱を最大限に使用する。コーディエライト又は炭化ケイ素で構成される従来の触媒コンバータは、この位置では融解又は破砕するが、本発明は融解又は破砕しない。このガソリンエンジン用の例示的実施形態において、排気濾過システムは、排気の高温を使用して粒子を燃焼させるために可能な限り排気マニホルドに接近して位置した未処理のフィルタエレメントで始まる。更に下流では、殆どの触媒にとって、より好ましい温度となり、第二及び第三の段階のフィルタを追加して、NOx及びその他の有毒ガスを害の少ない排気へ変換する。
【0087】
上記の二つの例示的実施形態は、フィルタエレメント形状が従来型フィルタの標準的フィルタ形状に類似するように、標準及び慣例的キャニング形状を使用した、本発明の技術の応用である。しかしながら、図8及び9において確認されるように、本発明の独自の特徴により、フィルタエレメントの形状及び設計は、独自の設計及び解決策を提供できる。図8において確認されるように、排気フィルタシステム800は、ワイヤメッシュ熱源804に組み合わせたフィルタエレメント802を含む。フィルタエレメント802及びワイヤメッシュ熱源804は、排気流に対して角度を成して、排気ケーシング806に挿入される。角度の結果として、ワイヤメッシュ熱源804はフィルタエレメント802の後方及び下方に配置されるため、フィルタエレメント802は、より効率的に加熱可能であり、熱が上昇するという公知の原理を均一に利用できる。以前に説明したように、より均一及び効率的な加熱により、フィルタエレメント802は、粒子の燃焼又は引火を更に完全に実行可能となり、より清浄な排気が生じる。図9は、図8に関連して説明及び解説したフィルタエレメント902及びワイヤメッシュ熱源904の正面図を示している。確認できるように、フィルタエレメント902及びワイヤメッシュ熱源904は、角度を成してケーシングに取り付けられるように楕円形の形状となっている。ケーシングの形状と、フィルタエレメント902の形状と、熱源904のタイプと、角度とは、意図する排気システム用途の要件及び制限に合わせて修正できる。
【0088】
補助熱源
以前に開示したものに対する別の構成又は例示的実施形態として、フィルタエレメントには、触媒の付与後に基礎部に追加される一連の電気加熱ロッドを追加できる。加熱素子は、効果プロセスが何らかの電気接触に損害を与えないように、触媒の後で付与される。加熱素子又はロッドは、各エッジから約四分の一インチ離して配置され、或いは望ましい任意の距離で配置される。ワイヤメッシュ構成、或いは本明細書で説明した他の加熱素子、即ち、ガス流方向に対して垂直に配置され、繊維ブランクの形成中に設置されるものを使用することも可能である。電気接触は、Nextel繊維又は類似するものによって保護できる。加熱素子は、エンジンの始動前に予熱器として起動可能であり、排気温度が補助加熱素子により達成される温度を上回るまで、不完全又は完全な動作状態で、動作を維持する。
【0089】
フィルタ基礎部に付与された補助熱源の使用は、フィルタ基礎部内の温度を上昇させ、及び/又は付加的な熱をフィルタ基礎部全体に均一に分布させて効率を高めるのに有用となり得る。補助熱源は、抵抗電気加熱素子を備えてよい。加熱素子は、フィルタ基礎部の形成後、或いはゾル−ゲルプロセス中に挿入可能なロッド構成を有してよい。フィルタ基礎部には一つ以上の加熱素子を付与可能であり、加熱素子は、同時又は個別に加熱可能であり、更には、周期的に、パターンに従って、或いはランダムに、連続して加熱できる。加熱素子は、フィルタ基礎部の形成中又は形成後に挿入可能なワイヤメッシュ構成の形態にできる。フィルタは、単一のワイヤメッシュ又は複数のワイヤメッシュ加熱素子を利用可能であり、こうした加熱素子は、同時又は個別に加熱できる。追加として、メッシュ加熱素子は、周期的に、パターンに従って、或いはランダムに、連続して加熱できる。加熱素子は、更に、形成中又は形成後に挿入されるロッド、渦状、又は螺旋状の構成を利用してもよい。フィルタ基礎部は、周期的な、パターン化した、或いはランダムな連続の使用を含め、同時又は個別に加熱し得る、一つ以上の渦状又は螺旋状加熱素子を組み込んでよい。最後に、フィルタ基礎部は、上記のいずれかの加熱素子の組み合わせを組み込んでもよい。
【0090】
上記の抵抗電気加熱素子に加えて、補助熱源は、赤外線又はマイクロ波加熱素子を使用してもよい。様々な熱源を、フィルタ基礎部自体の内部で実施してよく、或いは、外部の加熱素子としてフィルタ基礎部を加熱するために利用してよい。ここでも、様々な熱源は、独立して、或いは他の加熱素子又は熱源のいずれかと組み合わせて付与してよい。
【0091】
フィルタ基礎部は、車両輸送で遭遇する通常の衝撃からフィルタ基礎部を保護するのに十分な耐久性を備えたケーシングにおいて収容される。こうしたケーシングは、ステンレス鋼、スチール、又はその他の合金等の一般的な金属ケーシングを含んでよい。材料は、セラミックに基づくケーシングを含め、非金属にしてもよい。フィルタ基礎部は、ケーシングに収容する前に、絶縁体又はバッティングに封入してもよい。本発明は、更に遮熱材を組み込んでもよい。
【0092】
フィルタ基礎部の入口及び出口チューブは、酸化触媒でコーティングしてよい。触媒は、放射プロセスを迅速化する場合があり、結果として、全体として遙かに短い時間で排気を処理するシステムが生じる。触媒は、白金、パラジウム、又はロジウムに基づくものを含む貴金属触媒及びその他にしてよい。触媒は、フィルタ基礎部の表面に直接的に付与してよい。触媒の付与は、吹き付けによって行ってよく、フィルタ基礎部を溶液に浸漬することで付与してよく、或いはフィルタ基礎部自体に注入してよい。酸化触媒の使用は、より低い温度での粒子状物質の発火を促進する。加えて、触媒は、フィルタ基礎部自体の内部で補足的なヒータとして使用することもできる。
【0093】
排気フィルタシステムは、エンジン自体の排気マニホルド内部での一体化を含め、エンジン排気経路に一体化できる。フィルタ基礎部は、熱及び振動に対する耐久性が非常に高いため、エンジンブロックから退出したエンジン排気に直接隣接して配置できる。高熱及び増加した振動応力に耐えるフィルタ基礎部の独自の能力により、本発明の配置は、エンジンに大幅に接近させることができる。接近した配置は、こうした高熱又は振動応力に耐えられない従来の排気フィルタ又は触媒コンバータを上回る利点を提供する。
【0094】
以上、本発明について詳細にその特定の実施形態を参照して説明してきたが、当業者には、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び変形を為し得ることは明らかであろう。したがって、本発明は、本発明の変形例及びバリエーションが付記した特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に入る限り、これを対象とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図面において、
【図1】代表的な触媒コンバータの縦断面図
【図2】様々な温度で粒子状物質を燃やすのに必要な滞在時間のグラフ表示
【図3】ハニカム構造を組み込んだ代表的なセラミック排気フィルタの断面図
【図4】本発明の排気フィルタの縦面図
【図5】本発明の改良された排気フィルタシステムの断面図
【図6】本発明のフィルタエレメントを形成可能な円錐形入口及び出口チューブの縦断面図
【図7】本発明のフィルタエレメントを形成可能な表面積増大部と入口及び出口チューブとの微細図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の不織無機繊維を備えるフィルタ基礎部と、
当該フィルタ基礎部内に形成された少なくとも一つの区域と、
当該フィルタ基礎部の内側部分に付与された少なくとも一つの面積増大部と、
を備えるエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項2】
当該複数の不織無機繊維は、少なくともアルミナ−ボリア−シリカ繊維を含む、請求項1記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項3】
当該複数の不織無機繊維は、少なくともアルミナ−ジルコニア繊維を含む、請求項1記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項4】
当該複数の不織無機繊維は、少なくともアルミナ酸化物繊維を含む、請求項1記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項5】
当該複数の不織無機繊維は、少なくともシリカ酸化物繊維を含む、請求項1記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項6】
更に、当該エンジン排気フィルタエレメントの外面に付与されたコーティングを備える、請求項1記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項7】
更に、当該エンジン排気フィルタエレメントに付与された触媒を備える、請求項1記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項8】
当該触媒は、白金に基づく、請求項7記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項9】
当該触媒は、パラジウムに基づく、請求項7記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項10】
当該触媒は、ロジウムに基づく、請求項7記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項11】
更に少なくとも一つの加熱素子を備える、請求項1記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項12】
当該少なくとも一つの加熱素子は、当該フィルタ基礎部内で一体化される、請求項11記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項13】
当該少なくとも一つの加熱素子は、当該フィルタ基礎部に外部から付与される、請求項11記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項14】
当該少なくとも一つの区域は、それぞれ異なる密度を有する複数の区域を備える、請求項1記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項15】
当該少なくとも一つの面積増大部は、微視的増大部である、請求項1記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項16】
当該微視的増大部は、当該フィルタ基礎部内の複数のナノチューブを形成する、請求項15記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項17】
当該フィルタは、少なくとも一つの絶縁層により包被される、請求項1記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項18】
当該フィルタは、ケーシング内に収容される、請求項1記載のエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項19】
複数の不織無機繊維を備えるフィルタ基礎部と、
当該フィルタ基礎部内に形成された少なくとも一つの区域と、
当該フィルタ基礎部の内側部分に付与された少なくとも一つの面積増大部と、
当該エンジン排気フィルタエレメントの外面に付与されたコーティングと、
当該エンジン排気フィルタエレメントに付与された触媒と、
を備えるエンジン排気フィルタエレメント。
【請求項20】
少なくとも一つのスラリ溶液を形成するために複数の無機不織繊維をコロイド溶液に混合するステップと、
繊維ブロックを形成するために当該少なくとも一つのスラリ溶液を鋳型に吸い込むステップと、
当該繊維ブロックを硬化させるステップと、
当該繊維ブロックをフィルタ基礎部へと機械加工するステップと、
当該フィルタ基礎部の内側部分に微視的増大部を付与するステップと、
を備える、エンジン排気フィルタエレメントを作成する方法。
【請求項21】
更に、当該フィルタエレメントの外面にコーティングを付与するステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
更に、当該フィルタエレメントに触媒を付与するステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項23】
更に、当該フィルタエレメントに加熱素子を付与するステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項24】
更に、当該繊維ブランクを無酸素室において形成するステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項25】
更に、当該繊維ブランクの当該形成中に当該繊維ブランクを水素に晒すステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項26】
更に、当該繊維ブランクの当該形成中に当該繊維ブランクを窒素に晒すステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項27】
更に、当該スラリの配合に結合剤を追加するステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項28】
更に、約500℃の温度で当該繊維ブランクを硬化させるステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項29】
更に、約1000℃の温度で当該繊維ブランクを硬化させるステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項30】
更に、当該硬化後の当該繊維ブランクを急冷するステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項31】
更に、当該面積増大部を微視的レベルで形成するステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項32】
更に、当該少なくとも一つの面積増大部を形成するために当該フィルタ基礎部の当該内側部分を突き通すステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項33】
更に、当該少なくとも一つの面積増大部を形成するために当該フィルタ基礎部の当該内側部分をドリル加工するステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項34】
少なくとも一つのスラリ溶液を形成するために複数の無機不織繊維をコロイド溶液に混合するステップと、
当該スラリの配合に結合剤を付与するステップと、
繊維ブロックを形成するために当該少なくとも一つのスラリ溶液を鋳型に吸い込むステップと、
当該繊維ブランクを無酸素室において形成するステップと
当該繊維ブランクを当該形成中に水素に晒すステップと、
500℃を上回る温度で当該繊維ブロックを焼いた後、当該繊維ブランクを急冷することで、当該繊維ブロックを硬化させるステップと、
当該繊維ブロックをフィルタ基礎部へと機械加工するステップと、
当該フィルタ基礎部の内側部分に面積増大部を付与するステップと、
を備える、エンジン排気フィルタエレメントを作成する方法。
【請求項35】
エンジン排気に接続するための入口端部及び出口端部を有するケーシングと、
当該ケーシング内に収容されたフィルタリングエレメントにして、
複数の不織無機繊維を備えるフィルタ基礎部、
当該フィルタ基礎部内に形成された少なくとも一つの区域、及び
当該フィルタ基礎部の内側部分に付与された少なくとも一つの面積増大部を備えるフィルタリングエレメントと、
を備える、エンジン排気フィルタシステム。
【請求項36】
当該複数の不織無機繊維は、少なくともアルミナ−ボリア−シリカ繊維を含む、請求項35記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項37】
当該複数の不織無機繊維は、少なくともアルミナ−ジルコニア繊維を含む、請求項35記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項38】
当該複数の不織無機繊維は、少なくともアルミナ酸化物繊維を含む、請求項35記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項39】
当該複数の不織無機繊維は、少なくともシリカ酸化物繊維を含む、請求項35記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項40】
更に、当該エンジン排気フィルタエレメントの外面に付与されたコーティングを備える、請求項35記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項41】
更に、当該エンジン排気フィルタエレメントに付与された触媒を備える、請求項35記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項42】
当該触媒は、白金に基づく、請求項41記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項43】
当該触媒は、パラジウムに基づく、請求項41記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項44】
当該触媒は、ロジウムに基づく、請求項41記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項45】
更に少なくとも一つの加熱素子を備える、請求項35記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項46】
当該少なくとも一つの加熱素子は、当該フィルタ基礎部内で一体化される、請求項45記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項47】
当該少なくとも一つの加熱素子は、当該フィルタ基礎部に外部から付与される、請求項45記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項48】
当該少なくとも一つの区域は、それぞれ異なる密度を有する複数の区域を備える、請求項35記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項49】
当該少なくとも一つの面積増大部は、微視的増大部である、請求項35記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項50】
当該微視的増大部は、当該フィルタ基礎部内の複数のナノチューブを形成する、請求項49記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項51】
当該フィルタは、少なくとも一つの絶縁層により包被される、請求項35記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項52】
当該エンジン排気フィルタシステムは、ディーゼルエンジンにおいて使用される、請求項35記載のエンジン排気フィルタシステム。
【請求項53】
当該エンジン排気フィルタシステムは、ガソリンエンジンにおいて使用される、請求項35記載のエンジン排気フィルタシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−503702(P2006−503702A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548290(P2004−548290)
【出願日】平成15年7月30日(2003.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2003/023796
【国際公開番号】WO2004/039477
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(505158426)ジーイーオー2 テクノロジーズ,インク. (1)
【Fターム(参考)】