説明

セラミック基板の製造方法

【課題】製造過程で基板の表面に浮き出たガラスによって、該表面に形成した位置合わせマークの画像処理による位置情報の認識が支障なく行えるようにしたセラミック基板の製造方法を提供する。
【解決手段】ガラスを含むセラミックからなり、且つ表面2および裏面を有し、かかる表面2および裏面の少なくとも一方に位置合わせマーク8が形成されたセラミック基板1において、上記位置合わせマーク8および該マーク8周辺のセラミック部sに対し、水(液体)およびアルミナ粒子などの研磨材からなるスラリを高圧空気と共に噴射して、上記位置合わせマーク8の表面とセラミック部sの表面とおいて、例えば、これらの表面に浮き出したガラスを低減するなどの改質を行う表面改質工程を含む、セラミック基板1の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック基板の製造過程において、該基板の表面に浮き出たガラスによって、該表面に形成した位置合わせマーク付近に対する画像処理を用いた位置情報の認識に支障が生じないようにしたセラミック基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガラス−セラミックなど低温焼成セラミックのからなるセラミック基板では、製造過程、具体的には焼成時において、セラミック基板の表面に形成された導体パターンから浮き出たガラスにより、該導体パターンに対するメッキ性が低下するおそれがある。これを防ぐため、上記導体パターンの表面に対し、アルミナなどの研磨材と水との混合液を高圧で吹き付けるウエットブラスト処理を施すようにした低温焼成セラミック基板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、前記のようにセラミック基板の表面に導電性ペーストにより予め形成された位置合わせマークは、前記のような導体パターンにウエットブラスト処理を施しても、焼成時にセラミック基板の表面に浮き出たガラスによって、CCDカメラによる撮像を基にした2値化処理後における位置情報の認識を行うことができない場合がある。その結果、例えば、上記セラミック基板の表面に対する電子部品の実装が、該表面における所定の位置に正確に行えない場合が生じる、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4089902号公報(第1〜7頁、図1,2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、製造過程で基板の表面にガラスが浮き出し得るセラミック基板であって、該基板の表面に予め形成した位置合わせマークの画像処理による位置情報の認識が支障なく行えるようにしたセラミック基板の製造方法を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、研磨材と水などの液体とからなるスラリを高圧エアと共に、焼成されたセラミック基板の位置合わせマークを含む表面に対して噴射する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明によるセラミック基板の製造方法(請求項1)は、ガラスを含むセラミックからなり、且つ表面および裏面を有し、かかる表面および裏面の少なくとも一方に位置合わせマークが形成されたセラミック基板において、上記位置合わせマークおよび該マーク周辺のセラミック部に対し、液体および研磨材からなるスラリを高圧空気と共に噴射して、上記位置合わせマークの表面と上記セラミック部の表面とを改質する表面改質工程を含む、ことを特徴とする。
尚、本発明の対象となるセラミック基板には、複数のセラミック基板を縦横に併有する多数個取り用のセラミック基板集合体も含まれている。
【0007】
これによれば、研磨材と水などの液体とからなるスラリを高圧エアと共に、焼成されたセラミック基板の位置合わせマーク付近の表面に対して噴射するので、該位置合わせマークの表面とセラミック部の表面とに対して、比較的均一な圧力を伴って研磨材と水などの液体とが衝突する。その結果、セラミック部の表面と例えばAgなどの導体からなる位置合わせマークの表面とから、焼成時に浮き出ていたガラスを比較的均一に除去ないし低減もしくは変形できるか、あるいはCCDカメラによる撮像および得られた画像の2値化処理後における位置情報の認識に支障を来さない表面状態(表面粗さなど)にする表面改質が容易に行える。従って、上記2値化処理によって得られた画像(位置)情報を基にした位置決めを正確に行えるので、例えば、セラミック基板の表面における所定の位置にSAWフィルタ、水晶振動子、あるいはICチップなどの電子部品を精度良く実装したり、あるいは、多数個取り基板を個々のセラミック基板に精度良く分割することなどが可能となる。
【0008】
尚、前記ガラス成分を含むセラミックは、例えば、ガラス−セラミックなどの低温焼成セラミック(LTCC)のほか、焼成後のセラミック基板の表面にガラスが浮き出すおそれがある高温焼成セラミック(HTCC)も含む。
また、前記位置合わせマークは、例えば、多数個取り用のグリーンシートを焼成したセラミック基板(集合体)の表面において、パッドなどの表面配線が形成される製品領域の外側(例えば、耳部の四隅の欠くコーナ付近)に、導電性ペーストを平面視が円形や角形などのパターンで印刷するか、当該セラミック基板(集合体)を構成するセラミックとは異なる明度および色彩のセラミック粉とガラスとを含むペーストを印刷することにより形成されたものである。
但し、単一のセラミック基板の表面に形成する表面配線の一部(例えば、一部のパッド)、あるいは、多数個取り用のセラミック基板集合体の基板部ごとの表面に形成する表面配線の一部を、位置合わせマークと兼用する形態としても良い。
更に、前記位置合わせマークは、前記セラミック基板の表面に形成される導体パターンと同じ金属を含むか、あるいは前記セラミック基板とは異なる種類で且つ色彩が明確に異なるガラスを含むセラミックによって形成されている。
また、前記位置合わせマーク周辺のセラミック部は、2値化処理の際に該マークと共に同じ画像に撮像されるような当該マークに隣接するセラミック基板の前記表面である。
【0009】
更に、前記液体は、純水を含む水のほか、クーラントなどの潤滑油も含む。
加えて、前記研磨材には、平均粒径が例えば10μm以下と比較的小さいアルミナ、ムライト、あるいはジルコニアなどのセラミック粉末が用いられる。
また、前記スラリを含む高圧空気の噴射は、断面円形である複数のノズル孔から円錐形状で且つこれらが直線状並んだ配置から噴射するか、あるいは、スリット形状のノズル孔から断面が膜状で且つ直線状に噴射する形態が例示される。後者のスリット形状のノズル孔から噴射する場合には、前記セラミック基板の表面に対する噴射圧を比較的均一化することが可能となる。
更に、前記表面改質工程の前には、複数のグリーンシートを作成する工程、該グリーンシートに貫通したビアホールにビア導体を形成し、且つ該グリーンシートの少なくとも表面に配線パターンおよび位置合わせ用マークを印刷にて形成する工程、複数のグリーンシートを積層し且つ圧着する工程、および得られたグリーンシート積層体を焼成する工程が行われる。
加えて、前記表面改質工程の後には、焼成により得られたセラミック積層体の表面や裏面に形成された導体パターンにメッキを施す工程、前記表面に形成した複数のパッド上にSAWフィルタ、水晶振動子、あるいはICなどの電子部品を実装する工程、および多数個取りの場合には、個々のセラミック基板に個片化する工程が行われる。上記メッキは、電解メッキでも無電解メッキでも良い。
【0010】
また、本発明には、前記表面改質工程は、前記マークの表面およびセラミック部の表面に浮き出たガラスを除去し、または低減するか、あるいは該ガラスを変形させるものである、セラミック基板の製造方法(請求項2)も含まれる。
これによれば、前記位置合わせマークの表面およびその周辺のセラミック部の表面に浮き出たガラスを除去するか、あるいは撮像された画像の2値化が可能な程度に上記ガラスを薄く低減するか、該ガラスの表層側の表面粗さなどを変更できる。従って、前記マークおよびセラミック部の表面ごとにおけるガラスの浮き出しの程度に応じて、最適な表面改質を行うことができる。
尚、前記表面改質工程は、主に多数個取り用のセラミック基板の集合体に対して行うほか、単一のセラミック基板に対して行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用した実施例および比較例の多数個取り用のセラミック基板(集合体)を示す平面図。
【図2】本発明が適用される異なる形態のセラミック基板を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
(グリーンシートの作成工程)
予め、約50重量部のアルミナ粉末と、約50重量部のガラス粉末とを混合したものに対し、溶剤およびバインダ樹脂を適量ずつ配合して混練し、得られたセラミックスラリをドクターブレード法によってシート状に薄く引き延ばし、最後に乾燥することによって、多数個取り用である比較的大きい複数枚のグリーンシート(図示せず)を作成した。
尚、上記ガラス粉末は、ホウケイ酸系ガラスからなり、上記溶剤は、例えば、トルエン、エタノール、あるいはキシレンの何れかを用いた。
【0013】
(導体および位置合わせマークの形成工程)
次に、前記複数枚のグリーンシートにおける所定の位置に、パンチおよび受け型を用いた打ち抜き加工を行って得られた複数のビアホールに対し、Ag粉末を含む導電性ペーストを負圧を利用して充填することで、ビアホールごとの内側にビア導体(導体)を形成した。更に、上記グリーンシートの表面および裏面における少なくとも一方にマスキングをした上で、上記同様の導電性ペーストを、所定パターンに倣って印刷することにより、パッドや外部接続端子を含む表面配線(導体)、内部配線(導体)、および位置合わせマークを形成した。
尚、上記表面配線や内部配線は、縦横に隣接して位置する複数のセラミック基板となる製品領域に形成され、上記位置合わせマークは、かかる製品領域の外側に位置する耳部(捨て代)における四隅のコーナ付近ごとに形成した。
【0014】
(グリーンシート積層体の形成工程)
次いで、前記グリーンシートを積層し且つこれらの厚み方向に沿って圧着することにより、グリーンシート積層体を形成した。この際、製品領域におけるセラミック基板部分では、表面配線と内部配線とがビア導体を介して互いに導通可能とされた。
【0015】
(グリーンシート積層体の焼成工程)
引き続いて、得られた上記グリーンシート積層体を焼成炉(図示せず)に挿入し、300〜400℃に加熱して、バインダ樹脂を分解もしくは燃焼させる脱バインダ処理を行った後、800〜1000℃に加熱して保持する焼成工程を行った。その結果、図1で例示するように、表面2における境界8により区分された製品領域3内のセラミック基板部分4ごとに複数のパッド(表面配線)7や内部配線(図示せず)が同時に焼成され、耳部6の四隅に4個の位置合わせマーク8が同時に焼成されたセラミック積層体(セラミック基板集合体)1が得られた。
また、上記焼成に伴って、該セラミック積層体1におけるセラミック部sの表面および裏面、更には、表面配線7や位置合わせマーク8の表面や該マーク周辺のセラミック部sの表面には、部分的にガラス(ガラスフリット)が浮き出ることがある。このうち、表面配線7や位置合わせマーク8の表面に浮き出たガラスは、前記アルミナとガラスとを主成分とする本セラミック積層体(セラミック基板)1に対する上記マークの密着性を高めるため、前記導電性ペーストに含まれていたガラスである。
【0016】
(セラミック積層体の表面改質工程)
更に、前記セラミック積層体1において、耳部6の各コーナ付近ごとに位置合わせマーク8が形成され、且つ製品領域3のセラミック基板部分4ごとに表面配線7が形成された表面(上記マーク8の表面とその周辺に位置するセラミック部sの表面とを含む)2に対し、水(液体)およびアルミナ粒子(研磨材)からなるスラリを高圧(圧縮)エアと共に噴射した。上記アルミナ粒子は、高圧エアが併用されているため、平均粒径が10μm以下の比較的微細で且つ均一なものを使用することができた。この際、上記スラリと高圧エアとの混合物は、断面が円形である複数のノズル孔を送り方向と直角にして直線状に並べるか、あるいは断面がスリット状である単一のノズル孔から、上記表面2に対して噴射された。
【0017】
尚、断面が円形のノズル孔の場合、該ノズル孔を有する複数のノズルを送り方向と直角方向に沿って直線状にして走査した。一方、断面がスリット状のノズル孔の場合、該ノズル孔を有する単一の細長いノズルを幅方向に沿って走査した。
その結果、上記マーク8が形成された耳部6と、該耳部6に囲まれた製品領域3とからなる前記セラミック積層体1の表面2に浮き出ていたガラスを、ほぼ全量が除去できたか、または比較的均一な厚みに薄く低減できたか、当該ガラスにおける表層側を緩やかな凹凸面などに変形したか、あるいは該ガラス部を変形する、いわゆる表面改質を行うことができた。
そのため、後述するように、前記マーク8付近を撮像して2値化処理した後で、例えば、該マーク8の表面とその周辺のセラミック部sの表面との明度差に基づく、これらの位置情報の認識を確実に行うことが可能となった。
尚、以上のような表面改質工程は、前記セラミック積層体(セラミック基板)1の裏面側に対して行うことも可能である。
【0018】
(メッキ工程)
次に、前記表面改質の後で、前記セラミック積層体1に対して無電解Niメッキを行うことにより、前記表面配線や位置合わせマークの表面に、厚みが1〜8μmのNiメッキ膜を被覆した。引き続いて、無電解Auメッキを行うことにより、上記Niメッキ膜の上に更に厚みが約0.05〜1μm程度のAuメッキ膜を被覆した。この場合、前記表面改質工程で、前記マーク8の表面からガラスがほぼ全量除去されていた場合には、上記Niメッキ膜およびAuメッキ膜を所定の厚みで被覆することができた。
【0019】
(電子部品の実装工程)
次いで、前記NiおよびAuメッキ膜が被覆された表面配線7の上に、図示ないハンダを介してSAWフィルタあるいはICチップなどの電子部品を実装した。
この際、前記耳部6の各コーナ付近ごとに位置し且つ前記Auメッキ膜などが緻密に被覆された位置合わせマーク8とその周辺のセラミック部sとを、CCDカメラで撮像し、得られた画像を2値化処理することにより、製品領域3におけるセラミック基板部分4ごとの表面に位置するパッドなどの上記表面配線7の位置を正確に認識することができた。その結果、前記ハンダの配設およびSAWフィルタなどの電子部品の実装を精度良く行うことができた。
【0020】
(個片化工程)
そして、前記電子部品が実装された製品領域3内のセラミック基板部分4ごとに、これらの境界5に沿って分割する切断加工、あるいは前記境界5に沿って表面および裏面の少なくとも一方に予め形成されていた分割溝に沿って剪断加工することによって、複数個のセラミック基板4に分割された。
以上の各工程によって、電子部品が表面に実装されたセラミック基板4を複数個同時に得ることができた。
【実施例】
【0021】
以下において、本発明の具体的な実施例を比較例と対比して説明する。
前述したグリーンシートの作成工程、導体および位置合わせマークの形成工程、グリーンシート積層体の形成工程、およびグリーンシート積層体の焼成工程を経ることによって、図1の平面図に示すように、多数個取り用のセラミック積層体(セラミック基板集合体)1を20個製作した。
かかるセラミック積層体1は、重量部でほぼ1:1のアルミナとガラスとからなり、厚みが1mmであり且つ一辺が95mmの正方形からなる表面2および裏面(図示せず)を有し、図1中の破線で示す境界5に囲まれた複数のセラミック基板部分4を縦横に隣接して有する製品領域3と、その周囲を囲む四角枠形の耳部6とを備えている。尚、図1中の符号sは、表面2のセラミック部を示す。
上記セラミック基板部分4は、追って境界5に沿って分割された際に、製品のセラミック基板となるものであり、その表面の中央部には、Agとガラスとからなる複数のパッド(表面配線)7が形成されている。
また、図1に示すように、耳部6の各コーナ付近には、Agとガラスとからなり、平面視が直径600μmの円形を呈する複数の位置合わせマーク8が合計4個形成されている。
【0022】
以上のようなセラミック基板(4)の集合体である20個のセラミック積層体1を、10個ずつの2グループに分け、一方のグループに対しては、表1の左側に示す本発明の実施例による表面改質工程を施した。更に、他方のグループに対しては、表1の右側に示す比較例による表面改質工程を施した。この際、実施例では、幅が1mmのスリット孔を有する細長いノズルを用いて、ブラスト媒体とエアとを噴射した。一方、比較例では、内径が1〜3.5mmの楕円形孔を有するノズルを複数個並列に用いて、研磨材と水とを噴射した。
前記表面改質およびメッキ工程を実施したセラミック積層体1において、各グループのセラミック積層体1ごとにおける4つの位置合わせマーク8と、これらの周辺に位置するセラミック部sとをCCDカメラにより撮像し、得られた画像を各マーク8とこれに隣接するセラミック部sとの明度差を基準とした2値化処理を行った。かかる2値化処理後における各位置合わせマーク8の読み取りが4個全てについて行えたか否かを調べ、それらの結果についても表1中に示した。
【0023】
【表1】

尚、表1中に示す研磨材の濃度は、実施例および比較例共に、アルミナと水との合計体積に対するアルミナの体積率を示す。
【0024】
表1によれば、実施例の表面改質工程を施されたセラミック積層体1は、10個における4箇所ずつの位置合わせマーク8全ての位置の認識を行うことができた。一方、比較例の表面改質工程を施されたセラミック積層体1は、10個における4個ずつの位置合わせマーク8全ての位置の認識を行うことができなかった。
以上のような結果は、実施例の表面改質工程では、水と比較的微細なアルミナ粒子(研磨材)とからなるスラリを、高圧エアと共に前記位置合わせマーク8付近の表面2に対して噴射したので、比較的均一な衝突圧力を上記マーク8やその付近のセラミック部sの表面に浮き出ていたガラスが受ける結果、該ガラスを除去あるいは変形するなどの表面改質されたことにより、2値化処理後において全てのマーク8の位置の認識を行うことができた、と推測される。更に、スリット状のノズル孔から上記スラリと高圧エアとを噴射したことも、前記結果に貢献したもの、と推測される。
一方、比較例の表面改質工程では、比較的大径のアルミナ粒子を高圧水と共に前記位置合わせマーク8付近の表面2に対して噴射したので、楕円形のノズル孔を複数個用いたことも相まって、大きなバラツキの衝突圧力を上記マーク8やその付近のセラミック部sの表面に浮き出ていたガラスが受けて、該ガラスを除去ないし変形させる表面改質がランダムとなった結果、2値化処理の後において全てのセラミック積層体1において、少なくとも1箇所の前記マーク8の位置を認識することができなかった、ものと推測される。
【0025】
図2は、本発明が適用される単一のセラミック基板10を示す平面図である。
該セラミック基板10は、ガラスを約50重量部含むアルミナなどのセラミックからなり、図2に示すように、平面視が正方形の表面12および裏面(図示せず)を有し、該表面12には、複数のパッド13が格子状に配置されている。このうち、四隅のパッド14は、位置合わせマークを兼ねるものである。
尚、セラミック基板10は、複数のセラミック層間に内部配線(図示せず)を有し、各セラミック層には、上記パッド13と内部配線とを接続するビア導体(図示せず)が形成されている。
以上のようなセラミック基板10についても、本発明による前記表面改質処理を施すことで、4個の位置合わせマークを兼ねるパッド14と、その周辺のセラミック部sとを、例えばCCDカメラで撮像し、得られた画像を2値化処理した後において、明度差などを基準として上記マークを兼ねるパッド14の位置を確実に認識することができる。
【0026】
本発明は、前述した形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の対象となるセラミック基板は、低温焼成セラミックからなるものに限らず、ガラスを含み焼成時に該ガラスが表面に浮き出し得るものであれば、例えば高温焼成セラミックからなるものであっても良い。
また、位置合わせマークは、多数個取り用のセラミック基板集合体における個々のセラミック基板部分ごとの表面における一部のパッドを兼用させた形態とすることもできる。
更に、位置合わせマークは、単一のセラミック基板の表面、あるいは多数個取り用のセラミック基板集合体の表面において、少なくとも2個、あるいは3個を形成した形態としたり、あるいは5個以上を適所に形成した形態とした形態としも良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、製造過程で基板の表面に浮き出たガラスによって、該表面に予め形成した位置合わせマークの2値化処理後における位置の認識が支障なく行えるセラミック基板の製造方法を確実に提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0028】
1,10…セラミック積層体(セラミック基板集合体)/セラミック基板
2,12…表面
8,14…位置合わせマーク
s…………セラミック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスを含むセラミックからなり、且つ表面および裏面を有し、かかる表面および裏面の少なくとも一方に位置合わせマークが形成されたセラミック基板において、上記位置合わせマークおよび該マーク周辺のセラミック部に対し、液体および研磨材からなるスラリを高圧空気と共に噴射して、上記位置合わせマークの表面と上記セラミック部の表面とを改質する表面改質工程を含む、
ことを特徴とするセラミック基板の製造方法。
【請求項2】
前記表面改質工程は、前記マークの表面およびセラミック部の表面に浮き出たガラスを除去し、または低減するか、あるいは該ガラスを変形させるものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のセラミック基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−21195(P2013−21195A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154388(P2011−154388)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】