説明

セリンプロテアーゼ阻害剤としての式(I)の化合物

本発明は、式(I)


〔置換基は請求項1に定義のとおりである〕
の化合物;該化合物を含む組成物および薬剤として、特にセリンプロテアーゼ阻害剤としてのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、特に新規フェニルプロピルアミン誘導体、およびその組成物および薬剤としてのその使用に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IVおよびジペプチジルペプチダーゼ−IIのようなジペプチジルペプチダーゼを含むセリンプロテアーゼの阻害剤であって、セリンペプチダーゼが関与するヒト疾患の予防、その進行の遅延または処置のための化合物に関する。
【0003】
特に本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害剤(DPP−IV阻害剤)であって、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の処置または予防に有用な化合物に関する。
【0004】
本発明はまた、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびにジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の予防または処置におけるこれらの化合物および組成物の使用に関する。
【0005】
より具体的には、本発明の化合物は、次の一般式(I)
【化1】

〔式中、
mは0、1、2、3、4または5であり;
pは0または1であり;
は各々独立して、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ;シクロアルキルから選択され;
Tは所望により置換されたアリール、所望により置換されたアルキル、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、COO−アルキル、アリールオキシから選択される〕
を有し、その薬学的に許容される塩およびN−オキシドを含む;
ただし1−(3−アミノ−4−フェニル−ブチル)−ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステルを除く。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
「アルキル」は、直鎖または分枝鎖アルキル基を意味し、好ましくは直鎖または分枝鎖C1−8アルキルを意味し、特に好ましくは、直鎖または分枝鎖C1−6アルキル;例えば、メチル、エチル、n−もしくはiso−プロピル、n−、iso−、sec−もしくはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシルを意味し、特に好ましいものは、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピルおよびtert−ブチルである。用語アルキルはまた、「アルカンジイル」も含み、これは該分子と2個の異なる炭素原子で結合した直鎖または分枝鎖アルカンジイル基を意味する。アルキルは、1個以上の置換基、好ましくは1〜3個の置換基で所望により置換されている。置換基は好ましくは、フッ素、ヒドロキシル、シアノ、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノ、(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、(C−C)−アルコキシカルボニルアミノ、または(C−C)−アルキルカルボニルアミノである。フルオロアルキル、例えばCF、CHF、CHF、CHCHF−、CHCF−が特に好ましい。
【0007】
「アルカンジイル」は好ましくは、直鎖または分枝鎖C1−12アルカンジイルを意味し、特に好ましくは直鎖または分枝鎖C1−6アルカンジイル;例えばメタンジイル(−CH−)、1,2−エタンジイル(−CH−CH−)、1,1−エタンジイル((−CH(CH)−)、1,1−、1,2−、1,3−プロパンジイルおよび1,1−、1,2−、1,3−、1,4−ブタンジイルを意味し、特に好ましいものはメタンジイル、1,1−エタンジイル、1,2−エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイルである。
【0008】
「シクロアルキル」は、所望により置換された、3〜6個の炭素原子を有する飽和脂環式基を意味する。当該基は多環式環系であってもよい。該用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのような基を意味する。該基は、同一または異なって、フッ素、ヒドロキシル、シアノ、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノ、(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、(C−C)−アルコキシカルボニルアミノ、または(C−C)−アルキルカルボニルアミノなどから選択される1個以上の置換基で所望により置換されていてもよい。
【0009】
「アルコキシ」、「アルコキシアルキル」、「アルコキシカルボニル」、「アルコキシカルボニルアルキル」および「ハロゲンアルキル」などの各アルキル部分は、特に線形、飽和度、好ましいサイズおよび所望による置換に関して、上記「アルキル」の定義に記載したものと同じ意味を有する。
【0010】
「アリール」は、芳香族性炭化水素基、好ましくはC6−10芳香族性炭化水素基;例えばフェニル、ナフチル、特にフェニルを意味する。アリールは、好ましくはフェニル、ナフチルまたは5〜10員ヘテロアリール、より好ましくはフェニルまたは5〜6員ヘテロアリールである。アリールは所望により置換されており、好ましくは非置換、モノ置換、ジ置換またはトリ置換されている。置換基は、好ましくはハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、カルボキサミド、ヒドロキシル、アミノ、(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、(C−C)−アルキル、(C−C)−ハロアルキル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−ハロアルコキシ、(C−C)−アルコキシカルボニル、(C−C)−アルカンスルホニル、(C−C)−アルキル−カルボニル、(C−C)−アルコキシカルボニルアミノまたは(C−C)−アルキルカルボニルアミノである。
【0011】
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味し、好ましくはフルオロ、クロロまたはブロモを意味し、特に好ましくはフルオロを意味する。
【0012】
塩は好ましくは生理的に許容される塩であり、適用可能であるとき、酸または塩基の付加によって生じる。
【0013】
本発明の1つの態様において、式(II)
【化2】

〔式中、
nおよびmは各々独立して0、1、2、3、4または5であり;
pは0または1であり;
は各々独立して、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ;シクロアルキルから選択され;
は各々独立して、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、COO−アルキル、アリールオキシから選択される;
ここでnは2以上であり、2個のR置換基が一体となって、5または6員環を形成してもよい〕
の化合物、ならびにその薬学的に許容される塩およびN−オキシドを提供する。
【0014】
pは好ましくは1である。
は好ましくは、独立してハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、COO−アルキル、アリールオキシから選択される。
は好ましくは、独立して−CFまたは−O−CFから選択される。
nは好ましくは1または2である。
【0015】
本発明の1つの態様において、式(III)
【化3】

〔式中、
およびmは上記定義のとおりであり;
Aは
【化4】

【化5】

【化6】

から選択される〕
の化合物を提供する。
【0016】
化合物のある群において、mが3である。
化合物の別の群において、nが1、2または3である。
【0017】
本発明の第2の態様において、式(IV)
【化7】

〔式中、
1A、R1BおよびR1Cは各々独立して、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ;シクロアルキルから選択され;
、nおよびpは上記定義のとおりである〕
の化合物を提供する。
pは好ましくは1である。
【0018】
本発明の第3の態様において、式(V)
【化8】

〔式中、A、R1A、R1BおよびR1Cは上記定義のとおりである〕
の化合物を提供する。
好ましくは、R1A、R1BおよびR1Cは、各々独立してフッ素、アルキルまたはハロアルキルから選択される。
特に好ましくは、R1A、R1BおよびR1Cすべてフルオロである。
【0019】
式(I)〜(V)の化合物は、遊離形、塩形、または双性イオン形として存在している。本明細書において、特別の定めのない限り、「式(I)〜(IV)の化合物」のような用語は、何れかの形態、例えば遊離塩基形または酸付加塩形の化合物を含むものと理解される。治療的用途に好ましくないが、例えば遊離形の式(I)〜(V)の化合物を単離または精製するために使用することができる塩、例えばピクリン酸塩または過塩素酸塩も含む。治療的用途のためには、薬学的に許容される塩または遊離化合物のみが使用され(医薬製剤の形態で適用可能であるとき)、したがってこれが好ましい。塩は好ましくは生理的に許容される塩であり、適用可能であるとき、酸または塩基の付加によって生じる。
【0020】
式(I)〜(V)の化合物は多様な互変異性体の形態で存在していてもよい。例えば、式(I)〜(V)の化合物は、ケト−エノール互変異性を示し得る。本明細書において、1個の可能な互変異性体の図は、別の可能な互変異性体も同様に含む。式(I)〜(V)の化合物の互変異性体も、本発明に含まれる。
【0021】
式(I)〜(V)の化合物は、多様な双性イオンの形態で存在していてもよい。例えば、式(I)〜(V)の化合物はプロトン化アミノ基および脱プロトン化カルボキシ基を示し得る。
【0022】
式(I)〜(V)の化合物は、光学活性な形態、または光学異性体の混合物の形態、例えばラセミ混合物またはジアステレオマー混合物の形態で存在していてもよい。特に、不斉炭素原子(複数であってもよい)が式(I)〜(V)の化合物およびそれらの塩に存在してもよい。すべての光学異性体およびそれらの混合物、例えばラセミ混合物が本発明に含まれる。
【0023】
1個以上の官能基、例えばカルボキシ、ヒドロキシ、アミノまたはメルカプトは、出発物質において保護基で保護される必要があり得る。
【0024】
本明細書における保護基の使用、例えば精製目的での塩の形成、および異性体の合成に関して、次のことが適用され得る:
保護基:上記反応工程において、1個以上の官能基、例えばカルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、またはメルカプトを、出発物質において保護基で保護する必要があり得る。使用する保護基は前駆体中に既に存在していてもよく、望ましくない2次的反応、例えばアシル化、エーテル化、エステル化、酸化、加溶媒分解および同様の反応から該官能基を保護する。保護基の特徴は、典型的には加溶媒分解、還元、光分解または例えば生理的な条件と同様の条件下で酵素切断によって、それらが容易に(すなわち、望ましくない2次的反応の発生なしに)除去されること、そして最終生成物には存在しないことである。本明細書に記載の反応においてどの保護基が好適であるかは、当業者に既知であるかまたは、容易に確立され得る。かかる保護基による官能基の保護、保護基それ自体、およびその除去反応は、例えば標準的な参考書、例えばJ. F. W. McOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London and New York 1973, in T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, Third edition, Wiley, New York 1999, in “The Peptides”; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981, in “Methoden der organischen Chemie” (Methods of organic chemistry), Houben Weyl, 4th edition, Volume 15/I, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974, in H.-D. Jakubke and H. Jescheit, “Aminosaeuren, Peptide, Proteine” (Amino acids, peptides, proteins), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982, and in Jochen Lehmann, “Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate” (Chemistry of carbohydrates: Monosaccharides and derivatives), Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974に記載されている。
【0025】
酸付加塩は、遊離塩基から既知の方法で製造することができ、また遊離塩基を酸付加塩から既知の方法で製造することもできる。光学的に純粋な形態の式(I)の化合物は、対応するラセミ体から周知の方法、例えばキラルマトリックスのHPLC、あるいはキラルおよび光学的に純粋な対イオン(couterion)との塩の形成とその後の結晶化またはクロマトグラフィーによって、得ることができる。あるいは、光学的に純粋な出発物質を用いてもよい。
【0026】
光学的に純粋な形態の式(I)〜(IV)の化合物は、対応するラセミ体から周知の方法、例えばキラルマトリックスのHPLC、あるいはキラルおよび光学的に純粋な対イオン(couterion)との塩の形成とその後の結晶化またはクロマトグラフィーによって、得ることができる。あるいは、光学的に純粋な出発物質を用いてもよい。立体異性体混合物、例えばジアステレオマー混合物は、自体公知の方法で、好適な分離方法によって対応する異性体に分離することができる。ジアステレオマー混合物は、例えば分画結晶化、クロマトグラフィー、溶媒分配および同様の方法によって、個々のジアステレオマーに分離することができる。この分離は、出発化合物のレベルで、または式(I)の化合物自体において実施することができる。エナンチオマーは、ジアステレオマー塩の形成によって、例えばエナンチオマー純粋なキラル酸との塩形成によって、またはクロマトグラフィーによって、例えばキラルリガンドのクロマトグラフ基質を用いたHPLCによって、分離することができる。
【0027】
合成
式(I)の化合物は、次の一般スキームを用いて合成することができる:
【化9】

【0028】
同様に、式(II)の化合物についてまた、上記反応スキームを適用することができる:
【化10】

【0029】
より具体的な合成は、次の反応スキームである:
【化11】

【0030】
酸(a)の対応するアルコール(b)への還元は、標準的な方法、例えば活性化混合無水物の水素化ホウ素ナトリウム還元を用いるか、またはボラン−THF錯体を用いて実施することができる。
【0031】
アルコールの対応するアルデヒド(c)への酸化は、典型的には塩化オキサリルとDMSOを用いるSwern酸化手順によって実施することができる。
【0032】
次いで、アルデヒドは、環状2級アミン(ピペリジンまたはピロリジン)による還元的アミノ化に付される。還元的アミノ化の標準的な条件は、例えばトリアセトキシホウ化水素ナトリウムを適用することができる。
【0033】
得られたN−BOC保護生成物(d)は、例えば酸性条件を用いて、脱保護する。典型的にはHCl、HBr、リン酸または有機酸、例えばシュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酢酸またはトリフルオロ酢酸との塩のような塩を形成することができる。
【0034】
ラセミ体は、本明細書に記載のとおり、標準的な方法(クロマトグラフィー、ジアステレオマー塩、またはジアステレオトピック誘導体化)を用いて分離することができる。
【0035】
実施例1:
a)[(R)−3−ヒドロキシ−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化12】

(R)−3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−(2,4,5−トリフルオロ−フェニル)−酪酸(2.5g、7.5mmol)のジクロロメタン(DCM)溶液に、トリエチルアミン(1.1ml)およびクロロギ酸エチル(0.78ml、8.2mmol)を0℃で加え、該溶液を室温で15分間撹拌し、濾過し、これを水素化ホウ素ナトリウム(424mg、11.2mmol)の水(3.5ml)溶液に、0℃で加える。該反応混合物を30分間撹拌し、室温に温め(2時間撹拌)、1M HClでpH3に酸性化して、酢酸エチルで抽出する。ショートクロマトグラフィー(Flashmaster)後、[(R)−3−ヒドロキシ−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル、(1.5g、収率62%)をオフホワイト色粉末として得た。
スペクトル:
MS (pos): 320 (M+1), 264 (M+1-tBu)
1H-NMR (d6-DMSO): 1.26 (s, 9H, tBu); 1.54 (m, 2H, CH2-CH2OH); 2.51 および 2.65-2.84 (m, 2H, CH2-ベンジル); 3.39 (m, 2H, CH2-OH); 3.71 (m, 1H, CH-N); 4.39 (m, 1H, OH); 6.67 (d, 1H, NH); 7.28 (m, 1H, 芳香族性 HC-ortho); 7.44 (m, 1H, 芳香族性 HC-meta).
【0036】
b)[(R)−3−オキソ−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化13】

塩化オキサリル(0.674ml、7.06mmol)のDCM(15ml)溶液に、DMSO(0.67ml、9.4mmol)を−78℃で滴下した。15分後、アルコール[(R)−3−ヒドロキシ−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル、(1.5g、4.7mmol)を加えた。45分後、−78℃でトリエチルアミン(3.27ml、23.5mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。水で反応をクエンチし、DCMで抽出し、NaHSO水溶液およびNaHCO水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、蒸発させた。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン−AcOEt、6:4)によって、[(R)−3−オキソ−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(1.2g、収率:80%)を黄色固体として得た。
スペクトル:
MS (neg): 316 (M-1)
1H-NMR (d6-DMSO): 1.26 (s, 9H, tBu); 2.50-2.53 および 2.54-2.63 (m, 2H, CH2-CHO); 2.54-2.63 および 2.70-2.94 (m, 2H, CH2-ベンジル); 4.16 (m, 1H, CH-N); 6.89 (d, 1H, NH); 7.31 (m, 1H, 芳香族性 HC-ortho); 7.47 (m, 1H, 芳香族性 HC-meta); 9.56 (s, 1H, CHO).
【0037】
c)[(R)−3−(3−フェニル−ピペリジン−1−イル)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【化14】

ジクロロエチレン(7.5ml)中の[(R)−3−オキソ−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.6g、1.89mmol)と市販の3−フェニル−ピペリジン(458mg、2.84mmol)にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.06g、4.75mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。酢酸エチルと水で抽出して後処理した。有機層を乾燥させ、蒸発させ、生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(DCM)で精製した。[(R)−3−(3−フェニル−ピペリジン−1−イル)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.77g、1.66mmol、88%)を白色固体として得た。
スペクトル:
MS (pos): 463 (M+1)
1H-NMR (d6-DMSO): 1.25 (s, 9H, tBu); 1.33-1.46 (m, 1H, CH2-ピペリジン); 1.46-1.56 (m, 1H, CH2-ピペリジン); 1.58 (m, 2H, N(BOC)-CH2CH2-N(ピペリジン)); 1.64-1.72 (m, 1H, CH2-ピペリジン); 1.74-1.82 (m, 1H, CH2-ピペリジン); 1.83-1.97 (m, 2H, CH2-ピペリジン); 2.29 (m, 2H, CH2N(ピペリジン)); 2.50-2.55 (m, 1H, CH2-ベンジル); 2.66 (m, 1H, CH-ピペリジン-フェニル); 2.72-2.78 (m, 1H, CH2-ベンジル); 2.77-2.85 (m, 2H, CH2-ピペリジン); 3.64 (m, 1H, CH-NHBOC); 6.73 (d, 1H, NH-BOC); 7.07-7.37 (m, 6H, フェニルの芳香族性プロトンとフルオロ-aromatの HC-ortho); 7.44 (m, 1H, フルオロ-aromat HC-meta)).
【0038】
d)(R)−3−(3−フェニル−ピペリジン−1−イル)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピルアミン
【化15】

[(R)−3−(3−フェニル−ピペリジン−1−イル)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.77g、1.66mmol)をジオキサン(5ml)に溶解させ、4M水性塩酸(5ml)で5時間処理した。溶媒を蒸発させて、(R)−3−(3−フェニル−ピペリジン−1−イル)−1−(2,4,5−トリフルオロ−ベンジル)−プロピルアミンのジヒドロクロライド塩(730mg、1.66mmol、99%)を直接得て、白色粉末として凍結乾燥させた。
スペクトル:
MS (pos): 363 (M+1)
1H-NMR (d6-DMSO): (HCl塩として) 1.64-1.72 (m, 1H, CH2-ピペリジン); 1.85-1.91 (m, 1H, CH2-ピペリジン); 1.91-2.02 (m, 2H, CH2-ピペリジン); 2.02-2.11 (m, 2H, NH-CH2CH2-N(ピペリジン)); 2.88-2.94 (m, 2H, CH2-ベンジル); 2.93-2.97 (m, 1H, CH2-ピペリジン); 3.00-3.11 および 3.16-3.46 (m, 2H, CH2-ピペリジン); 3.16-3.23 (m, 1H, CH-ピペリジン, ベンジル); 3.23-3.31 (m, 2H, CH2N(ピペリジン)); 3.47-3.50 (m, 1H, CH2-ピペリジン); 3.59 (m, 1H, CH-NH2); 7.26-7.27 (m, 2H, フェニル (ortho)); 7.26-7.29 (m, 1H, フェニル(para)); 7.36 (m, 2H, フェニル(meta));
7.56 (m, 1H, フルオロ-aromat HC-meta); 7.66 (m, 1H, フルオロ-aromat HC-ortho); 8.36 (s br, 1H, NH3); 10.76 (s br, 1H, NH-ピペリジン).
【0039】
ライブラリー作製
上記反応を用いて、下記誘導体を製造することができる。
1. N−Boc保護アルデヒド(i)の還元的アミノ化
2. 最終生成物を得るための脱保護、実施例(ii)参照
【化16】

【0040】
反応は、平行配列として実施することができ、生成物は塩、例えば二塩酸塩として単離することができる。
【0041】
下記表は、上記方法で製造した化合物のライブラリーである:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0042】
HPLC−MS系の説明:
Micromass ZMD MS検出装置を備えたAgilent 1100 LCクロマトグラフシステム。A(5%アセトニトリルと0.05%トリフルオロ酢酸を含む水)とB(0.045%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル)からなる2成分グラジエントを移動相として用い、固定相としてWaters X TerraTM C-18カラム(30×3mm、粒度2.5mm)を用いた。
【0043】
下記溶離プロファイルを適用する:10%Bから95%Bの直線グラジエントで1.5分、流速0.6ml/分、次いで95%Bの定組成溶離で0.5分、流速0.7ml/分、次いで95%Bの定組成溶離で0.5分、流速0.8ml/分、次いで95%Bから10%Bの直線グラジエントで0.2分、流速0.8ml/分、次いで10%Bの定組成溶離で0.2分、流速0.7ml/分。
【0044】
生物学的試験
化合物をスクリーニングするために、組換えヒトDPP−4の合成蛍光基質(H−Ala−Pro)2−Rh110を切断する活性を、アッセイによって測定する。384ウェルプレート中で反応を実施する。化合物のアッセイバッファー溶液をヒト組換えDPP−4とプレインキュベートし、基質を加えて反応を開始させる。Tecan Ultraplateリーダーを用いて蛍光強度を測定して、反応生成物を定量する。試験した各化合物濃度について、阻害率を計算する。
【0045】
IC50および/または阻害値の%の測定のため、室温で384ウェルプレート中、TECAN Ultraプレートリーダーを用いてアッセイを実施する。合計アッセイ体積は30μlである。試験化合物を90%(v/v)DMSO/水に溶解させ、0.05%(w/v)CHAPS含有水で所望のアッセイ濃度の3倍に希釈する。アッセイのため、各ウェルに10μl水/CHAPS(±試験化合物)を加え、次いで10μl hDPP4溶液(1.5×アッセイバッファー、すなわち37.5mM Tris/HCl、pH7.4、210mM NaCl、15mM KClおよび0.05%(w/v)CHAPSで希釈した)を加える。Bradford法によって測定した酵素濃度によると、最終アッセイ濃度はhDPP4について10pMである。室温で1時間プレインキュベートした後、基質溶液(1.5×アッセイバッファーで基質を希釈し、最終基質濃度10μMとする)10μlを加えて反応を開始させる。該化合物の酵素活性に対する効果は線形回帰曲線(linear progression curve)から得られ、2個の測定値から決定される。最初の1個は基質添加後直接得て(t=0分)、2個目は1時間後に得る(t=60分)。見かけの阻害定数、IC50は、阻害率対阻害剤濃度のプロットから、比線形回帰分析ソフトウェア(XLfit, Vers. 4.0; ID Business Solution Ltd., Guildford, Surrey, UK)を用いて計算する。
【0046】
【表7】

【0047】
使用
本発明は、セリンペプチダーゼが関与するヒト疾患の予防、その進行の遅延または処置のための使用であって、ジペプチジルペプチダーゼ−IVおよびジペプチジルペプチダーゼ−IIのようなジペプチジルペプチダーゼを含むセリンプロテアーゼの阻害剤としての、本明細書に記載の化合物の使用に関する。
【0048】
特に、本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害剤としての、本明細書に記載の化合物の使用に関する。これらの化合物は、自己免疫性疾患、例えば多発性硬化症、神経障害、認知症、神経変性疾患、気分障害、他の精神状態、糖尿病、特にII型糖尿病およびそれに関連する状態、関節炎、肥満、骨粗鬆症および耐糖能異常状態を含むが、これらに限定されないヒト疾患に有用であり得る。
【0049】
DPP−IV酵素は体液(血液および脳脊髄液)中で循環する可溶化形態として、または細胞表面タンパク質(いわゆるT細胞活性化マーカーまたはCD26)として存在し、広汎な生物学的機能に関与している。DPP−IVは多くの免疫制御ペプチド、内分泌系ペプチドおよび神経ペプチドを切断することができる。これは、該ペプチダーゼがヒトおよび他の種の多様な疾患プロセスにおける重要な役割を有することを示唆している。
【0050】
DPP−IV阻害剤の効果は、結果として神経ペプチドのような基質の切断を予防するDPP−IV酵素活性の直接の阻害と、CD26/DPP−IVを発現するTリンパ球の活性化の阻止による間接的な効果の両方を含む。
【0051】
したがって、本発明の化合物は、例えばDPPのようなセリンプロテアーゼに関連する疾患、障害および状態の予防または処置に有用である。
【0052】
本発明の化合物は、次のような障害の処置に有用である:
・ 神経系(NS)および非NS自己免疫疾患、免疫学的障害および/または炎症性疾患、例えば多発性硬化症、炎症性腸疾患およびリウマチ性関節炎、グレーブス病、橋本甲状腺炎、移植。
【0053】
・ 神経変性および神経障害、例えば認知症、認知障害、例えば認知および/または学習障害、短期または長期記憶障害状態、および学習障害状態、脳インスリン耐性、脳の異常なグルコース利用および/または代謝、および/またはDPP−IVおよび/またはDPP−II酵素のポリペプチド基質レベルの変化によって特徴付けられる他の神経系疾患。さらなる例は、慢性神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症および急性神経変性疾患、例えば卒中および脊髄損傷である。
【0054】
・ 精神疾患、例えば不安神経症、鬱病、統合失調症、他の気分障害、およびDPP−IIおよび/またはDPP−4/CD26が関与しており、そして/または神経ペプチド、ホルモンを含むこれらの酵素の基質レベルの変化が生じる他の神経系疾患。
【0055】
・ II型糖尿病を含む糖尿病(多様なDPP−IV阻害剤が糖尿病の動物モデルと糖尿病を有する患者の臨床試験の両方で有利な効果を示した)、ならびに糖尿病と直接または間接的に関係した代謝および他の状態、例えば高血糖、低耐糖能、インシュリン耐性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、例えばクローン病および潰瘍性大腸炎、他の炎症性状態、膵炎、肥満、ニューロパシー、神経障害、神経変性疾患、精神疾患、網膜症、ネフロパシー、シンドロームX、卵巣アンドロゲン過剰(多嚢胞性卵巣症候群)、ならびにインスリン耐性が関与し、そして/またはDPP−IVおよび/またはDPP−II酵素の内因性基質が分解される他の障害。
【0056】
・ 他の適用
・ 良性前立腺肥大
・ 精子運動性/男性不妊
・ 歯肉炎
・ 骨粗鬆症:GIPレセプターが骨芽細胞に存在する。
・ 疼痛
・ 喘息
・ 肥満
・ 成長ホルモン欠損症
・ 腸管障害
・ HIV感染またはAIDS
・ 造血
・ 腫瘍浸潤および転移
・ 皮膚障害
・ 神経性炎症
・ 心不全
・ アテローム性動脈硬化症
・ 高血圧
【0057】
対象化合物は、かかる阻害を必要とする哺乳類のような患者におけるジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素を阻害する方法であって、有効量の該化合物を投与することを含む方法において有用である。
【0058】
本発明はさらに、ヒトおよび動物におけるジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害用医薬の製造のための方法であって、本発明の化合物と医薬担体または希釈剤を組み合わせることを含む方法に関する。
【0059】
本発明はまた、式(I)の化合物を含む組成物に関する。
【0060】
用語「組成物」は、本明細書において使用するとき、特定の成分を特定の量で含む生成物、ならびに特定の量の特定の成分の組合せに直接的にまたは間接的に由来する何れかの生成物を含むことを意図する。医薬組成物に関して、当該用語は、有効成分と、担体として作用する不活性成分を含む生成物、ならびに何れか2種以上の成分の組合せ、圧縮もしくは凝集、または1種以上の成分の反応もしくは相互作用の他のタイプに直接または間接的に由来する何れかの生成物を含むことを意図する。
【0061】
したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と薬学的に許容される担体を組み合わせて製造する何れかの組成物を含む。「薬学的に許容される」とは、担体、希釈剤または賦形剤が、該製剤の他の成分に適合性であり、受容者に有害ではないことを意味する。
【0062】
本発明の活性剤は、何れかの常套の経路、特に経腸的に、好ましくは経口的に、例えば錠剤またはカプセル剤の形態で、または非経腸的に、例えば注射液または懸濁液の形態で投与することができる。
【0063】
本発明の化合物はまた、他の薬剤と組み合わせた「組合せ製剤」であってもよい。本発明の化合物は単独で、または1種以上のさらなる薬剤の全身共投与または局所共投与との組合せで投与することができる。かかる薬剤には、非定型抗精神病薬、例えばクロザピン、オランザピン、リスペリドン、定型抗精神病薬、例えばハロペリドール、抗てんかん剤、向知性薬、免疫抑制剤、成長因子、保存剤、心室壁透過性向上因子、幹細胞マイトジェン、生存因子、グリア系列予防剤、抗アポトーシス剤、抗ストレス医薬、神経保護剤および抗ピロゲン剤ならびに:神経障害、情動障害および注意障害の処置、神経/精神障害の処置、眼障害、特に近視の処置、疼痛、特に神経因性疼痛の処置、認知症の処置、急性脳病変の処置に好適な他の薬剤、抗糖尿病薬、低脂血症薬、抗肥満剤または食欲制御剤、抗高血圧剤、HDL増加剤、コレステロール吸収調節剤、Apo−A1アナログおよびその模倣薬、トロンビン阻害剤、アルドステロン阻害剤、血小板凝集の阻害剤、エストロゲン、テストステロン、選択的エストロゲン受容体調節剤、選択的アンドロゲン受容体調節剤、化学療法剤、および5−HTまたは5−HT受容体調節剤が含まれる。
【0064】
用語「組合せ製剤」は、本明細書において使用するとき、特に上記定義の第1の有効成分と第2の有効成分を独立して、または異なる量の成分を含む異なる固定された組合せ剤の使用によって、すなわち同時または異なる時点で投与することができるという意味における「パーツのキット」と定義される。パーツのキットのパーツは、例えば同時にまたは時間を違えて、すなわち異なる時点で、そして等しいまたは異なる時間間隔で任意のパーツのキットのパーツを投与することができる。極めて好ましくは、時間間隔は、パーツの組合せ使用において処置される疾患に対する効果が何れかの有効成分のみの使用によって得られる効果よりも大きいように選択される。組合せ製剤において投与される有効成分2に対する組合せ有効成分1の総重量比は、処置する患者下位集団のニーズまたは患者の具体的な疾患、年齢、性別、体重等のためであり得る1人の患者の異なるニーズに従うために、変化し得る。好ましくは、少なくとも1つの有利な効果、例えば第1および第2有効成分の効果の相互上昇、特に相乗効果、例えば相加効果以上、付加的効果、低下した副作用、第1および第2有効成分の何れかまたは両方の非有効用量での組合せ治療効果、および特に第1および第2有効成分の強い相乗効果が存在する。
【0065】
本方法の記載において、有効成分についての記載は、薬学的に許容される塩も含むことを意味すると理解される。これらの有効成分が例えば少なくとも1個の塩基性中心を有するとき、酸付加塩を形成し得る。対応する酸付加塩はまた、所望により、さらなる塩基性中心が存在するように形成することもできる。酸性基(例えばCOOH)を有する有効成分は、塩基との塩を形成してもよい。有効成分またはその薬学的に許容される塩は、水和物の形態で使用してもよく、あるいは結晶化に使用する他の溶媒を含んでいてもよい。
【0066】
特に、治療上有効量の組合せ剤の有効成分は、同時または逐次的に、何れかの順序で投与することができ、そして該成分は別個に、または固定された組合せ剤として投与してもよい。例えば、本発明の疾患の処置方法は、(i)遊離形または薬学的に許容される塩形の第1の有効成分を投与し、(ii)遊離形または薬学的に許容される塩形の第2の有効成分を同時または逐次的に、何れかの順序で、共同的に治療上有効量、好ましくは相乗効果量、例えば本明細書に記載の量に対応する1日用量で投与することを含んでいてもよい。組合せ剤の個々の有効成分は、治療コース中に別個に異なる時点で、または別個もしくは組合せ形態で同時に投与することができる。さらに、投与なる用語はまた、インビボで有効成分に変換される、有効成分のプロドラッグの使用を含む。したがって本発明は、同時または別の処置のすべてのかかるレジメンを含むと理解され、そして用語「投与」はそのように理解される。
【0067】
本発明の医薬組成物は、自体公知の方法で製造することができ、ヒトを含む哺乳類(温血動物)への経腸、例えば経口または直腸、および非経腸投与に好適なものであって、治療上有効量の少なくとも1種の薬理学的有効成分を単独で、または1種以上の薬学的に許容される、特に経腸または非経腸適用に適した担体を含むものである。本発明の投与形態の好ましい投与経路は、経口である。
【0068】
本新規医薬組成物は、例えば約10%〜約100%、好ましくは約20%〜約60%の有効成分を含む。経腸または非経腸投与のための組合せ医薬製剤は、例えば糖衣錠、錠剤、カプセル剤または座薬、さらにはアンプルのような単位投与形態のものである。特別の定めのない限り、これらは自体公知の方法、例えば常套の混合、造粒、糖衣、溶解または凍結乾燥手段によって製造される。必要な有効量は複数の単位投与形態の投与によって達成することができるため、各投与形態の個々の用量に含まれる有効成分または複数の有効成分の単位含有量は、それ自体が有効量を構成する必要がないことは理解される。
【0069】
経口投与用組成物の製造において、通常の医薬媒体の何れか、例えば、水、グリコール、油またはアルコール;または経口固体製剤、例えば粉末、カプセル剤および錠剤の場合、担体、例えばデンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などを使用することができる。投与が容易であるため、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口投与単位形態である。その場合、明白に固体医薬担体を使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
mは0、1、2、3、4または5であり;
pは0または1であり;
は各々独立して、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ;シクロアルキルから選択され;
Tは所望により置換されたアリール、所望により置換されたアルキル、水素、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、COO−アルキル、アリールオキシから選択される〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはN−オキシド;
ただし、1−(3−アミノ−4−フェニル−ブチル)−ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステルは除く。
【請求項2】
Tが置換アリールである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
pが1である、請求項1または2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
式(II)
【化2】

〔式中、
nおよびmは各々独立して、0、1、2、3、4または5であり;
pは0または1であり;
は各々独立して、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ;シクロアルキルから選択され;
は各々独立して、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、COO−アルキル、アリールオキシから選択され;
ここでnは2以上であり、2個のR置換基が一体となって5または6員環を形成してもよい〕
を有する、請求項1〜3の何れかに記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくはN−オキシド。
【請求項5】
式(III)
【化3】

〔式中、Aは
【化4】

【化5】

【化6】

から選択される〕
を有する、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
がハロゲンである、請求項1〜5の何れかに記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
mが3である、請求項1〜6の何れかに記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
医薬としての、請求項1〜7の何れかに記載の式(I)の化合物または1−(3−アミノ−4−フェニル−ブチル)−ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステルの使用。
【請求項9】
請求項1〜7の何れかに記載の式(I)の化合物または1−(3−アミノ−4−フェニル−ブチル)−ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステルと、1種以上の薬学的に許容される希釈剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項10】
請求項1〜7の何れかに記載の式(I)の化合物または1−(3−アミノ−4−フェニル−ブチル)−ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステルと、1種以上の共薬剤、例えば第2の薬剤を含む、医薬組合せ剤。
【請求項11】
セリンプロテアーゼ障害の処置用医薬の製造における、請求項1〜7の何れかに記載の式(I)の化合物または1−(3−アミノ−4−フェニル−ブチル)−ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステルの使用。
【請求項12】
障害がDPP関連障害である、請求項11の使用。
【請求項13】
自己免疫性疾患、免疫学的障害、炎症性疾患、神経変性および神経障害、精神疾患、糖尿病、疼痛または皮膚障害の処置用医薬の製造における、請求項1〜7の何れかに記載の式(I)の化合物または1−(3−アミノ−4−フェニル−ブチル)−ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステルの使用。
【請求項14】
対象におけるセリンプロテアーゼ関連疾患を調節する方法であって、治療上有効量の請求項1〜7の何れかに記載の式(I)の化合物または1−(3−アミノ−4−フェニル−ブチル)−ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステルを含む組成物を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2010−519275(P2010−519275A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550702(P2009−550702)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052058
【国際公開番号】WO2008/101953
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】