説明

セルロース体フィルム、光学補償シート、偏光板、液晶表示装置

【課題】膜厚方向のレターデーションが負の発現性を有し、更に透水性や含水率の低いセルロース体フィルム、並びにこれを用いた光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】下記数式(1)により算出される分極率異方性の値Δαが異なる2つ以上の置換基を有するセルロース体であって、分極率異方性の値Δαが最小の置換基をA、分極率異方性の値Δαが最大の置換基をBとしたとき、置換基A及び置換基Bの置換度が下記関係式(A1)を満たすセルロース体フィルム。


(式中、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、αxは最大の成分であり、αyは二番目に大きい成分であり、αzは最小の成分である。)


(ここで、DSB2、DSB3、及びDSB6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Bの置換度を表す。)


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記数式(1)により算出される分極率異方性の値Δαが異なる2つ以上の置換基を有するセルロース体を含有するセルロース体フィルムであって、前記セルロース体における分極率異方性の値Δαが最小の置換基をA、分極率異方性の値Δαが最大の置換基をBとしたとき、置換基A及び置換基Bの置換度が下記関係式(A1)を満たすことを特徴とするセルロース体フィルム。
【数1】

(式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。)
【数2】

(ここで、DSB2、DSB3、及びDSB6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Bの置換度を表す。)
【請求項2】
フィルムの膜厚方向のレターデーションRthが負であることを特徴とする請求項1記載のセルロース体フィルム。
【請求項3】
前記置換基A及び前記置換基Bの合計置換度が下記関係式(A2)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロース体フィルム。
【数3】

(ここで、DSA2、DSA3、及びDSA6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Aの置換度を表し、DSB2、DSB3、及びDSB6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Bの置換度を表す。)
【請求項4】
前記置換基A及び前記置換基Bの合計置換度が下記関係式(A3)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
【数4】

(ここで、DSA2、DSA3、及びDSA6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Aの置換度を表し、DSB2、DSB3、及びDSB6はそれぞれ、セルロースの構成単位であるβ−グルコース環の2位、3位、及び6位における前記置換基Bの置換度を表す。)
【請求項5】
前記置換基Bの分極率異方性の値が2.5×10-24cm3以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
【請求項6】
前記の分極率異方性の値が2.5×10-24cm3以上である置換基Bが芳香族アシル基であることを特徴とする請求項5に記載のセルロース体フィルム。
【請求項7】
オクタノール−水分配係数(logP値)が1.0〜10.0であるレターデーション調節剤を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
【請求項8】
フィルムの25℃80%RHにおける平衡含水率が3.0%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
【請求項9】
フィルムの搬送方向、及び/又はこれと垂直な方向に1%以上100%以下延伸されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
【請求項10】
下記数式(11−1)を満たすレターデーション調節剤を少なくとも1種含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム。
【数5】

Rth(a):当該レターデーション調節剤を、アセチル置換度2.86のセルロースアセテートに対してa質量%含有させた、膜厚80μmのセルロースアセテートフィルムの波長589nmにおけるRth(nm)
Rth(0):当該レターデーション調節剤を含有しないアセチル置換度2.86のセルロースアセテートのみからなる膜厚80μmのフィルムの波長589nmにおけるRth(nm)
a:セルロースアセテート100質量部に対する当該レターデーション調節剤の質量部
【請求項11】
前記レターデーション調節剤が、下記一般式(1)〜(19)のいずれかで表される化合物のうち少なくとも1種であることを特徴とする請求項10記載のセルロース体フィルム。
【化1】

(一般式(1)中、R11〜R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20の脂肪族基を表し、該脂肪族基は置換基を有していてもよい。R11〜R13は互いに連結して環を形成してもよい。)
【化2】

(一般式(2)及び(3)中、Zは炭素原子、酸素原子、硫黄原子または−NR25−を表し、R25は水素原子またはアルキル基を表す。Zを含んで構成される5または6員環は置換基を有していても良い。Y21、Y22はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20の、エステル基、アルコキシカルボニル基、アミド基またはカルバモイル基を表し、Y21、Y22は互いに連結して環を形成してもよい。mは1〜5の整数を表し、nは1〜6の整数を表す。)
【化3】

(一般式(4)〜(12)中、Y31〜Y70はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20の、エステル基、アルコキシカルボニル基、アミド基もしくはカルバモイル基、またはヒドロキシ基を表し、V31〜V43はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜20の脂肪族基を表す。L31〜L80はそれぞれ独立に、構成する原子数が0〜40であって、かつ、炭素原子数0〜20の2価の飽和の連結基を表す。ここで、L31〜L80を構成する原子数が0であるということはL31〜L80が単結合を表すことを意味する。V31〜V43およびL31〜L80は、さらに置換基を有していてもよい。)
【化4】

(一般式(13)中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。R1、R2およびR3の炭素原子数の総和は10以上であり、各々、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。)
【化5】

(一般式(14)中、R4およびR5は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。R4およびR5の炭素原子数の総和は10以上であり、各々、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。)
【化6】

(一般式(15)中、R1は置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表し、R2は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。L1は2価〜6価の連結基を表し、nはL1の価数に応じた2〜6の整数を表す。)
【化7】

(一般式(16)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表す。Xは下記の(連結基群1)から選ばれる1つ以上の基から形成される2価の連結基を表す。Yは水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。
(連結基群1)単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。)、アルキレン基またはアリーレン基を表す。)
【化8】

(一般式(17)中、Q1、Q2およびQ3はそれぞれ独立に5または6員環を表す。XはB、C−R(Rは水素原子または置換基を表す。)、N、P、P=Oを表す。)
【化9】

(一般式(18)中、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。)
【化10】

(一般式(19)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す。X1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、単結合、−CO−および−NR5−(R5は置換若しくは無置換の脂肪族基または置換若しくは無置換の芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。a、b、cおよびdは0以上の整数であり、a+b+c+dは2以上である。Q1は(a+b+c+d)価の有機基を表す。)
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムを含むことを特徴とする光学補償シート。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のセルロース体フィルム上に光学異方性層を有することを特徴とする光学補償シート。
【請求項14】
偏光膜およびその両側に配置された二枚の透明保護膜からなる偏光板であって、透明保護膜の少なくとも一方が、請求項12または13に記載の光学補償シートであることを特徴とする偏光板。
【請求項15】
液晶セルおよびその両側に配置された2枚の偏光板からなる液晶表示装置であって、少なくとも1枚の偏光板が請求項14記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項16】
表示モードがIPSモードであることを特徴とする請求項15記載の液晶表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−297554(P2007−297554A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128452(P2006−128452)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】