説明

セルロース基材用増白剤を含む洗濯ケア組成物

本発明は、セルロース基材用増白剤を含む、液体及び/又は粉末洗濯洗剤配合物並びにすすぎ時添加布地柔軟剤(RAFS)組成物を包含するが、これらに限定されない洗濯ケア組成物に関する。この増白剤は少なくとも2種の成分、即ち、少なくとも1種の発色団成分及び少なくとも1種のポリマー性成分からなる。好適な発色団成分は一般に、紫外線に曝露されると、青、赤、スミレ色又は紫色の蛍光を発し又は吸光してこれらと同一の色調を反射することができる。増白剤は、約17MPa0.5以下のハンセン溶解度パラメータの分散項値を有することにより、更に特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース基材用の新規増白剤に関する。この増白剤は、少なくとも2種の成分、即ち、少なくとも1種の発色団成分及び少なくとも1種のポリマー性成分からなる。好適な発色団成分は一般に、紫外線に曝露されると、青、赤、スミレ色又は紫色の蛍光を発し、あるいは吸光してこれらと同一の色調を反射することができる。この増白剤は、約17MPa0.5以下のハンセン溶解度パラメータの分散項値を有することにより、更に特徴付けられる。これらの増白剤は、液体及び/又は粉末洗濯洗剤配合物並びにすすぎ時添加布地柔軟剤(RAFS)組成物を包含するがこれらに限定されない洗濯ケア組成物での使用に理想的であり得る。
【背景技術】
【0002】
光学的光沢剤又は青味付け剤のいずれかの増白剤の、布地用途での使用が先行技術で周知である。布地基材は、年を経るにつれて、光、空気、汚れ及び基材に含まれる繊維の自然劣化により、色落ち又は黄変する傾向がある。したがって、増白剤の目的は一般に、これらの布地基材を視覚的に明るくして、基材の色落ち及び黄変の影響を弱めることである。典型的には、増白剤は洗濯洗剤、柔軟仕上げ剤又はすすぎ補助剤に見い出すことができ、したがって洗濯プロセスの間に布地基材に適用される。しかしながら、増白剤は、布地基材に望ましくないシミを生じずに、処理される布地基材を明るくするように機能することが重要である。
【0003】
特にセルロース基材は、光、空気及び/又は汚れに曝された後で、黄色相を示す傾向を有する。この黄変を通常の洗濯手順により元に戻すことは多くの場合難しい。結果として、セルロース基材が経年劣化により示す黄変を取り除くことができる、改良された増白剤に対して必要性が存在している。このような改良された増白剤を使用することにより、衣料品、食卓用リネンなどのような布地基材の耐用期間が引き伸ばされる場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、約17MPa0.5以下のハンセン溶解度パラメータ(Hansen Solubility Parameter)を有する化合物であって、セルロース基材の黄変を中和するために紫外線に曝露されると、青、赤、スミレ色、紫又はこれらの組み合わせの範囲の波長で発光する(あるいは吸光して同一の色調を作り出す)化合物を利用しながら、米国特許第4,137,243号、同第5,039,782号及び米国特許出願公開第2005/0288206号に優る利点を提供する。これらの化合物は、セルロース基材用の増白剤として理想的に作用し、洗濯プロセスの間に消費者が使用するための洗濯洗剤配合物に組み込むことができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、セルロース基材用の新規増白剤に関する。この増白剤は、少なくとも2種の成分、即ち、少なくとも1種の発色団成分及び少なくとも1種のポリマー性成分からなる。好適な発色団成分は一般に、紫外線に曝露されると、青、赤、スミレ色又は紫色の蛍光を発し、あるいは吸光してこれらと同一の色調を反射することができる。増白剤は、約17MPa0.5以下のハンセン溶解度パラメータの分散項値を有することにより、更に特徴付けられる。本発明はまた、このような増白剤を含む液体及び/又は粉末洗濯洗剤配合物並びにすすぎ時添加布地柔軟剤(RAFS)組成物を包含するが、これらに限定されない洗濯ケア組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】1回のすすぎサイクル後の様々な増白剤に関して、CIELabのb値と対比した、ハンセン溶解度パラメータの分散項値のグラフ表示。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用するとき、「セルロース基材」は、重量でセルロースが少なくとも大部分を占めて含まれる、あらゆる基材を包含することが意図される。セルロースは、木材、綿、リネン、黄麻及び麻布に見出すことができる。セルロース基材は、粉末、繊維及びパルプの形態並びに、粉末、繊維及びパルプから形成される物品の形態であってもよい。セルロース繊維には、綿、レーヨン(再生セルロース)、アセテート(酢酸セルロース)、トリアセテート(三酢酸セルロース)及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。セルロース繊維から形成される物品には、織物などの布地物品が挙げられる。パルプから形成される物品には、紙が挙げられる。
【0008】
本明細書で使用するとき、用語「洗濯ケア組成物」は、特に指示のない限り、粒状、粉末、液体、ゲル、ペースト、バーの形態及び/若しくはフレークタイプの、洗浄剤並びに/又は布地処理組成物を包含する。
【0009】
本明細書で使用するとき、用語「布地処理組成物」は、特に指示のない限り、布地柔軟化組成物、布地増強(enhancing)組成物、布地フレッシュニング組成物及びこれらの組み合わせを包含する。このような組成物はすすぎ時添加型の組成物であってもよいが、そうである必要はない。
【0010】
本明細書で使用するとき、「the」、「a」及び「an」を包含する冠詞は、特許請求の範囲で使用されるときには、請求又は記載されるものの1以上を意味するものと理解される。
【0011】
本明細書で使用するとき、「包含する/挙げられる(include)」、「包含する/挙げられる(includes)」及び「包含している/挙げられている/などの(including)」という言葉は、限定することを意図しない。
【0012】
本出願人らの発明のパラメータの各値を求めるためには、本出願の試験方法の項で開示する試験方法を用いるべきである。
【0013】
特に記載のない限り、成分又は組成物の濃度は全て、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0014】
百分率及び比率は全て、特に指示がない限り、重量で計算されている。百分率及び比率は全て、特に指示がない限り、組成物全体を基準にして計算されている。
【0015】
本明細書を通じての所与のあらゆる最大数値限定は、より小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように、より小さい全ての数値限定を含むと理解されるべきである。本明細書を通じて記載されているあらゆる最小数値限定には、それよりも大きいあらゆる数値限定が、あたかもこうしたそれよりも大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように包含される。本明細書全体を通じて記載されているあらゆる数値範囲には、こうしたより広い数値範囲内に入る、それよりも狭いあらゆる数値範囲が、あたかもこうしたそれよりも狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように包含される。
【0016】
引用される全ての文書は、関連部分において本明細書に参照により組み込まれるが、いかなる文書の引用も、それが本発明に関して先行技術であるということの承認として解釈すべきではない。
【0017】
本発明の増白剤は、発色団成分及びポリマー性成分を含む、染料、顔料又はポリマー性着色剤であってもよい。発色団成分は、光に曝露すると、青、赤、スミレ色、紫又はこれらの組み合わせの範囲の波長を放出あるいは吸収することにより特徴付けられる。発色団成分は、好ましくは水中で約520ナノメートル〜約640ナノメートル、より好ましくは水中で約570ナノメートル〜約610ナノメートルの吸光スペクトル値を示す。発色団成分は、好ましくは、約400ナノメートル〜約480ナノメートルの発光スペクトル値を示す。
【0018】
好適なポリマー性成分の例は、複数の繰返し単位を有するポリオキシアルキレン鎖を包含する。ポリマー性成分は、好ましくは2個〜約20個の繰返し単位、より好ましくは2個〜約10個、更には約4個〜約6個の繰返し単位を有するポリオキシアルキレン鎖を包含する。ポリオキシアルキレン鎖の非限定例には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシドールオキシド、ブチレンオキシド及びこれらの混合物が挙げられる。
【0019】
本発明の増白剤は以下の構造:
【化1】

により特徴付けられ、式中、R及びR
a)[(CHCR’HO)(CHCR”HO)H]
(式中、R’はH、CH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0〜5である)、
b)R=アルキル、アリール又はアリールアルキル、かつR=[(CHCR’HO)(CHCR”HO)H]
(式中、R’はH、CH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦10であり、y≧1であり、z=0〜5である)、
c)R=[CHCH(OR)CHOR]、かつR=[CHCH(OR)CHOR
(式中、RはH、(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、z=0〜10であり、
は(C〜C16)アルキル、アリール基及びこれらの混合物からなる群から選択される)並びに、
d)R1及びR2はスチレンオキシド、グリシジルメチルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル及びグリシジルヘキサデシルエーテルのアミノ付加生成物、から独立して選択することができ、さらに、1〜10個のアルキレンオキシド単位を付加するもの、から独立して選択することができる。
【0020】
本発明の好ましい増白剤は以下の構造:
【化2】

により特徴付けられ、式中、R’はH、CH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0〜5である。
【0021】
本発明の増白剤の別の特徴は、セルロース材に対する親和性である。親和性はハンセン溶解度パラメータの分散力項を使用することから定量的に測定することができる。ハンセン溶解度パラメータは分散力項(δ)、水素結合項(δ)及び極性項(δ)を包含する3項測定システムである。ハンセン溶解度パラメータ「δ」は全ての凝集結合を破断するのに必要とされるエネルギーである総凝集エネルギーが、下式に:
δ=δ+δ+δ。(1)
に従う分散力(d)、分子双極子力(p)及び水素結合力(h)の組み合わせであるという事実から引き出されている。
【0022】
分散力は非極性分子間の弱い引力である。これらの力の絶対値は分子の分極率に依存し、分散ハンセン溶解度パラメータδは他の全ての特性がほぼ等しいならば、典型的には分子の体積(及びサイズ)が増加するにつれて増加する。パラメータ「δ」は分子の極性が増加するにつれて増加する。
【0023】
ハンセン(Hansen)により実験的に得られた溶媒についてアランF.M.バートン(Barton, Allan F.M.)「溶解度パラメータ及び他のパラメータのハンドブック(the Handbook of Solubility Parameters and Other Parameters)」(CRC出版(CRC Press)、1983年)に公開されている値に基づく、非公開の独占所有権であるアルゴリズムを使用するChemSWの分子モデリング・プロ・バージョン6.1.9(Molecular Modeling Pro v.6.1.9)ソフトウェアパッケージにより、ハンセン溶解度パラメータを25℃で計算する。本明細書で報告しているハンセン溶解度パラメータの全ての値は、MPa0.5(メガパスカルの平方根)単位での表記である。ハンセンは元々、ポリマー溶液のために溶媒の溶解度パラメータを測定した。ハンセン溶解度パラメータ計算法は、生物学的材料の溶解度、顔料、充填剤及び繊維の特性解析などの広範囲の用途への応用に成功してきている一方で、これまでポリマー性着色剤に応用されて来なかった。
【0024】
したがって、本発明の有効な増白剤に関して、ハンセン溶解度パラメータの分散力項δは約17以下であることが好ましく、より好ましくは約15以下である。ハンセン溶解度パラメータの分散力項は約12〜約17であることもまた望ましく、より好ましくは約12〜約15である。
【0025】
セルロース材に対する増白剤の親和性はハンセン溶解度分散項パラメータと非常に密接に相関するが、本発明はδの使用に限定されない。δと直接的に又は間接的に関連する他の分子記述子、例えば、分極率、旋回半径、モル体積及び溶媒露出面積にマッピングされている部分的な原子電荷に基づくジュール記述子などもまた考慮される。しかしながら、親和性の、これらの記述子との単変量相関の適合度は、δとの場合ほど良好ではなかった。
【0026】
理論に束縛されるものではないが、セルロース基材に対する増白剤の親和性は、互いに非常に近接している電気的に中性の分子の間に存在する引力であるファンデルワールス力に帰することができると考えられている。セルロース基材が多孔質領域からなるならば、増白剤又はその一部は、孔の直径と対比した分子直径に依存して、物理的にセルロースの孔に引っ掛かることができることもまた自明とされる。この物理的捕捉により、一定程度の耐性をもたらして、洗浄又はすすぎにかけてもセルロース基材から容易に増白剤を取り除かれないように守ることができる。
【0027】
本明細書に記載されている増白剤は、洗濯洗剤及び布地ケア組成物を包含するがこれらに限定されない洗濯ケア組成物に組み込んでもよい。このような組成物は1種以上の上記増白剤及び洗濯ケア成分を含む。様々な適用技術を使用して、増白剤をセルロース基材に添加することができる。セルロース含有布地基材に適用するために、増白剤は好ましくは洗濯洗剤に添加剤として包含される。したがって、セルロース含有布地基材への適用が実際に生じるのは、消費者が洗濯洗剤を洗濯機に加えたときである。同様に、RAFS組成物は典型的にはすすぎサイクルで加えられ、これは典型的な洗濯プロセスでは洗剤溶液が使用されて、すすぎ溶液に置き換えられた後である。セルロース性紙基材に適用するために、増白剤は最終紙製品の形成に先立って、紙パルプ混合物に加えてもよい。
【0028】
洗濯洗剤を包含する洗濯ケア組成物は、ゲル形態を包含する、固体又は液体形態を包含することができる。洗濯洗剤組成物には望ましい洗浄特性を与えるのに十分な量の界面活性剤が含まれる。
【0029】
増白剤は洗濯洗剤組成物中に組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、より好ましくは組成物の約0.0001重量%〜約5重量%、更に好ましくは約0.0001重量%〜約1重量%の量で存在することができる。
【0030】
洗濯洗剤組成物は望ましい洗浄特性を与えるのに十分な量の界面活性剤を含む。1つの実施形態では、洗濯洗剤組成物は約5重量%〜約90重量%の界面活性剤、より具体的には約5重量%〜約70重量%の界面活性剤、更により具体的には約5重量%〜約40重量%の界面活性剤を含む。界面活性剤にはアニオン性、非イオン性、カチオン性、双性イオン性及び/又は両性界面活性剤が含まれていてもよい。より具体的な実施形態では、洗剤組成物にはアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤又はこれらの混合物が含まれている。
【0031】
本明細書で有用な好適なアニオン性界面活性剤には、液体洗剤製品で典型的に用いられる任意の種類の従来のアニオン性界面活性剤も含めることができる。これらには、アルキルベンゼンスルホン酸及びそれらの塩、並びに、アルコキシル化又は非アルコキシル化アルキルサルフェート物質が挙げられる。
【0032】
代表的なアニオン性界面活性剤はC10〜16アルキルベンゼンスルホン酸、好ましくはC11〜14アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩である。好ましくはアルキル基は線状であり、そのような線状アルキルベンゼンスルホネートは「LAS」として既知である。アルキルベンゼンスルホネート、特にLASは当該技術分野において周知である。このような界面活性剤及びこれらの調製は、例えば、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に記載されている。特に好ましいものは、アルキル基の炭素原子の平均数が約11〜14の線状直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びカリウムである。ナトリウムC11〜C14、例えば、C12、LASはそのような界面活性剤の具体的な例である。
【0033】
別の代表的な種類のアニオン性界面活性剤には、エトキシル化アルキルサルフェート界面活性剤が挙げられる。このような物質はアルキルエーテルサルフェート又はアルキルポリエトキシレートサルフェートとしても既知であり、次式:R’−O−(CO)−SOM、に対応するものであり、式中、R’はC〜C20アルキル基であり、nは約1〜20であり、Mは塩生成カチオンである。具体的な実施形態では、R’はC10〜C18アルキルであり、nは約1〜15であり、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム又はアルカノールアンモニウムである。より具体的な実施形態では、R’はC12〜C16であり、nは約1〜6であり、Mはナトリウムである。
【0034】
アルキルエーテルサルフェートは一般に、種々のR’鎖長及び種々のエトキシル化度を含む混合物の形態で使用される。しばしばそのような混合物はまた、必然的にいくつかの非エトキシル化アルキルサルフェート物質、即ち、上記エトキシル化アルキルサルフェート式で、式中、n=0である界面活性剤も含有することになる。非エトキシル化アルキルサルフェートも本発明の組成物に別途加え、存在してよいいずれかのアニオン性界面活性剤成分として又は成分中で使用されてもよい。非アルコキシル化、例えば非エトキシル化、アルキルエーテルサルフェート界面活性剤の具体例は、高級C〜C20脂肪族アルコールの硫酸化により製造されるものである。従来の第一級アルキルサルフェート界面活性剤は一般式:ROSO−Mを有し、式中、Rは典型的には線状C〜C20ヒドロカルビル基であり、直鎖又は分枝鎖であってもよく、Mは水溶性化カチオンである。具体的な実施形態では、RはC10〜C15アルキルであり、Mはアルカリ金属であり、より具体的には、RはC12〜C14であり、Mはナトリウムである。
【0035】
本明細書で有用なアニオン性界面活性剤の具体的な非限定例には、a)C11〜C18アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、b)C10〜C20第一級分枝鎖及びランダムアルキルサルフェート(AS)、c)式(I)及び(II)を有するC10〜C18第二級(2,3)アルキルサルフェート(ただし、式(I)及び(II)中のMは水素又は電荷的中性を与えるカチオンであり、全てのM単位は界面活性剤に関するものであっても補助剤成分に関するものであっても、当業者によって単離された形態又は化合物が使用されている系の相対的pHに応じて水素原子又はカチオンのいずれかであることができ、好ましいカチオンの非限定例には、ナトリウム、カリウム、アンモニウム及びこれらの混合物が挙げられ、xは少なくとも約7、好ましくは少なくとも約9の整数であり、yは少なくとも8、好ましくは少なくとも約9の整数である)、d)C10〜C18アルキルアルコキシサルフェート(AExS)(式中、好ましくはxは1〜30である)、e)好ましくは1〜5個のエトキシ単位を含む、C10〜C18アルキルアルコキシカルボキシレート、f)米国特許第6,020,303号及び同第6,060,443号で議論されているような中鎖分枝状アルキルサルフェート、g)米国特許第6,008,181号及び同第6,020,303号で議論されているような中鎖分枝状アルキルアルコキシサルフェート、h)PCT国際公開特許第99/05243号、同第99/05242号、同第99/05244号、同第99/05082号、同第99/05084号、同第99/05241号、同第99/07656号、同第00/23549号及び同第00/23548号で議論されているような修飾アルキルベンゼンスルホネート(MLAS)、i)メチルエステルスルホネート(MES)並びにj)α−オレフィンスルホネート(AOS)、が挙げられる。
【0036】
本明細書で有用な好適な非イオン性界面活性剤は、液体洗剤製品で通常使用される従来の非イオン性界面活性剤のいかなる種類をも含むことができる。これらとしては、アルコキシル化脂肪族アルコール及びアミンオキシド界面活性剤が挙げられる。通常液体である非イオン性界面活性剤は、本明細書の液体洗剤製品に用いるのに好ましい。
【0037】
本明細書に用いるのに適した非イオン性界面活性剤としてはアルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤が挙げられる。アルコールアルコキシレートは一般式:R(C2mO)OH(式中、RはC〜C16アルキル基であり、mは2〜4であり、nは約2〜12の範囲である)に従う物質である。Rは第一級又は第二級であってもよく、好ましくは約9〜15個の炭素原子、より好ましくは約10〜14個の炭素原子を含むアルキル基である。1つの実施形態では、アルコキシル化脂肪族アルコールはまた、分子当り約2〜12個のエチレンオキシド部分、より好ましくは分子当り約3〜10個のエチレンオキシド部分を含有するエトキシル化物質である。
【0038】
本明細書の液体洗剤組成物に有用なアルコキシル化脂肪族アルコール物質はしばしば約3〜17の範囲の親水性−親油性バランス(HLB)を有するであろう。より好ましくは、この物質のHLBは、約6〜15、最も好ましくは約8〜15の範囲となる。アルコキシル化脂肪族アルコール非イオン性界面活性剤類は、シェル・ケミカル社(Shell Chemical Company)により商標名ネオドール(Neodol)及びドバノール(Dobanol)で市販されている。
【0039】
本明細書で有用な別の種類の適した非イオン性界面活性剤は、アミンオキシド界面活性剤を含む。アミンオキシドはしばしば当該技術分野において「半極性」非イオン性物質と呼ばれる物質である。アミンオキシドは式:R(EO)(PO)(BO)N(O)(CHR’)2・qHOを有する。この式中、Rは飽和又は不飽和、直鎖また分枝鎖であり得る比較的長鎖の炭化水素部分であり、8〜20個の炭素原子を、好ましくは10〜16個の炭素原子を含有でき、より好ましくはC12〜C16の第一級アルキルである。R’は短鎖部分で、好ましくは水素、メチル及び−CHOHから選択される。x+y+zが0と異なる場合、EOはエチレンオキシ、POはプロピレンオキシ及びBOはブチレンオキシである。アミンオキシド界面活性剤はC12〜14アルキルジメチルアミンオキシドにより例示される。
【0040】
非イオン性界面活性剤の非限定例には、a)シェル(Shell)からのネオドール(NEODOL)(登録商標)非イオン性界面活性剤などのC12〜C18アルキルエトキシレート、b)C〜C12アルキルフェノールアルコキシレート(ただし、アルコキシレート単位はエチレンオキシ及びプロピレンオキシ単位の混合物である)、c)BASFからのプルロニック(Pluronic)(登録商標)などのエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーを有するC12〜C18アルコール及びC〜C12アルキルフェノール縮合体、d)米国特許第6,150,322号で議論されているようなC14〜C22中鎖分枝状アルコール、BA、e)米国特許第6,153,577号、同第6,020,303号及び同第6,093,856号で議論されているようなC14〜C22中鎖分枝状アルキルアルコキシレート、BAE(ただし、xは1〜30である)、f)米国特許第4,565,647号(レナード(Llenado)、1986年1月26日発行)で議論されているようなアルキル多糖、具体的には米国特許第4,483,780号及び同第4,483,779号で議論されているようなアルキルポリグリコシド、g)米国特許第5,332,528号、PCT国際公開特許第92/06162号、同第93/19146号、同第93/19038号及び同第94/09099号で議論されているようなポリヒドロキシ脂肪酸アミド並びにh)米国特許第6,482,994号及びPCT国際公開特許第01/42,408号で議論されているようなエーテル末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0041】
本明細書の洗濯洗剤組成物において、洗浄性界面活性剤成分は、アニオン性及び非イオン性界面活性剤物質の組み合わせを含んでいてよい。この場合、アニオン性と非イオン性との重量比は、典型的には10:90〜90:10、より典型的には30:70〜70:30の範囲である。
【0042】
カチオン性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、これらの非限定例には26個までの炭素原子を有することができる第四級アンモニウム界面活性剤が挙げられる。追加の例にはa)米国特許第6,136,769号で議論されているようなアルコキシレート第四級アンモニウム(AQA)界面活性剤、b)米国特許第6,004,922号で議論されているようなジメチルヒドロキシエチル第四級アンモニウム、c)PCT国際公開特許第98/35002号、同第98/35003号、同第98/35004、同第98/35005号及び同第98/35006号で議論されているようなポリアミンカチオン性界面活性剤、d)米国特許第4,228,042号、同第4,239,660号、同第4,260、529号及び同第6,022,844号で議論されているようなカチオン性エステル界面活性剤並びにe)米国特許第6,221,825号及びPCT国際公開特許第00/47708号で議論されているようなアミノ界面活性剤、具体的にはアミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0043】
双極性界面活性剤の非限定例には、第二級及び第三級アミンの誘導体、複素環式第二級及び第三級アミンの誘導体又は第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物若しくは第三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。双極性界面活性剤の例については、米国特許第3,929,678号(ラフリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)、19段38行〜22段48行を参照して、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタイン、C〜C18(好ましくはC12〜C18)アミンオキシド並びにスルホ及びヒドロキシベタインを包含するベタイン、例えば、アルキル基がC〜C18、好ましくはC10〜C14であることができるN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホネートが挙げられる。
【0044】
両性界面活性剤の非限定例には、第二級若しくは第三級アミンの脂肪族誘導体又は複素環式第二級及び第三級アミンの脂肪族誘導体が挙げられ、脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができる。脂肪族置換基のうちの1つは、少なくとも約8個の炭素原子、典型的には約8〜約18個の炭素原子を含み、少なくとも1つが、アニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含む。両性界面活性剤の例については、米国特許第3,929,678号(ラフリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)の19段18行〜35行を参照のこと。
【0045】
上述のように、組成物は粒子若しくはフレークなどからなるこれに限定されない錠剤形態か又は粒子状形態かのいずれかの固体の形態であってよく、組成物は液体の形態であってもよい。液体洗剤組成物は水性非界面活性液体キャリアを含む。一般に、本明細書の組成物中に使用される水性非界面活性液体キャリアの量は、組成物成分を可溶化し、懸濁し又は分散するのに有効である。例えば、組成物は約5重量%から約90重量%、より具体的には約10重量%から約70重量%及び更により具体的には約20重量%から約70重量%の水性非界面活性液体キャリアを含んでよい。
【0046】
最もコスト的に有効な種類の水性非界面活性液体キャリアは言うまでもなく水自体である。したがって、水性非界面活性液体担体成分は一般に、完全にではないとしても、大部分が水からなるであろう。従来からそのようなアルカノール、ジオール、他のポリオール、エーテル及びアミンなどの他の種類の水相溶性液体が共溶媒又は安定剤として液体洗剤組成物に添加されているが、本発明の目的のため、そのような水相溶性液体の利用は組成物コストを抑制するため最小限にされるべきである。それゆえに、本明細書における液体洗剤組成物の水性液体キャリア成分には一般に組成物の重量で約5%〜約90%、より好ましくは約20%〜約70%が含まれる。
【0047】
洗剤組成物はまた漂白剤を含有してもよい。好適な漂白剤には、例えば、「カーク・オスマー工業百科事典(Kirk Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology)」(第4版、1992年、ジョン・ワイリー&サンズ社(John Wiley & Sons)、第4巻、271〜300頁)「漂白剤(概説)(Bleaching Agents(Survey))」(本明細書に組み込まれている)に詳細に記載されているような過酸化水素供給源が挙げられる。これらの過酸化水素供給源には、様々な形態の過ホウ酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウムが挙げられ、様々にコーティングされ、変性された形態のこれらの化合物を包含する。
【0048】
本明細書で使用するのに好ましい過酸化水素供給源は、過酸化水素自体などの任意の便利な供給源であることができる。例えば、過ホウ酸塩(例:過ホウ酸ナトリウム(あらゆる水和物であるが、好ましくは一水和物若しくは四水和物)、炭酸ナトリウム過酸化水素化物若しくは相当する過炭酸塩、ピロリン酸ナトリウム過酸化水素化物、尿素過酸化水素化物又は過酸化ナトリウムが本明細書で使用されることができる。過硫酸塩漂白剤(例えば、デュポン社(DuPont)製のオキソン(OXONE))などの有効酸素の供給源も有用である。過ホウ酸ナトリウム一水和物及び過炭酸ナトリウムが特に好ましい。任意の便利な過酸化水素供給源の混合物を使用することもできる。
【0049】
好適な過炭酸塩漂白剤は、約500マイクロメートル〜約1,000マイクロメートルの範囲の平均粒子サイズを有する乾燥粒子を含み、上記粒子の約10重量%以下は約200マイクロメートルよりも小さく、上記粒子の約10重量%以下は約1,250マイクロメートルよりも大きい。所望により、過炭酸塩はケイ酸塩、ホウ酸塩又は水溶性界面活性剤でコーティングされることができる。過炭酸塩はFMC社(FMC)、ソルベイ社(Solvay)及び東海電化(Tokai Denka)などの様々な市販の供給元から入手できる。
【0050】
本発明の組成物は漂白剤として塩素タイプの漂白性材料も含んでよい。このような剤は当該技術分野において周知であり、例えば、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(「NaDCC」)が挙げられる。しかしながら、塩素タイプ漂白剤は酵素を含む組成物に対してあまり好ましくない。
【0051】
(a)漂白活性化剤−好ましくは、組成物中の過酸素漂白剤成分は活性化剤(過酸前駆体)と共に配合される。活性化剤は組成物の約0.01重量%から、好ましくは約0.5重量%から、より好ましくは約1重量%からの濃度で存在し、約15重量%まで、好ましくは約10重量%まで、より好ましくは約8重量%までの濃度で存在する。本明細書で使用する漂白活性化剤は過酸化水素と併せて使用するとき、供給源が漂白剤活性化剤に相当する過酸のその場での生成を導く任意の化合物である。活性化剤の様々な非限定例が、米国特許第5,576,282号、同第4,915,854号及び同第4,412,934号に記載されている。本明細書で有用な他の典型的な漂白剤及び活性化剤については、米国特許第4,634,551号も参照のこと。
【0052】
好ましい活性化剤はテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、ベンゾイルカプロラクタム(BzCL)、4−ニトロベンゾイルカプロラクタム、3−クロロベンゾイルカプロラクタム、ベンゾイルオキシベンゼンスルホネート(BOBS)、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)、フェニルベンゾエート(PhBz)、デカノイルオキシベンゼンスルホネート(C10−OBS)、ベンゾイルバレロラクタム(BZVL)、オクタノイルオキシベンゼンスルホネート(C−OBS)、過加水分解可能な(perhydrolyzable)エステル及びこれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくはベンゾイルカプロラクタム及びベンゾイルバレロラクタムである。約8〜約11のpH範囲にある、特に好ましい漂白活性化剤はOBS又はVL脱離基を有するものから選択される。
【0053】
好ましい疎水性漂白活性化剤には、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS);4−[N−(ノナノイル)アミノヘキサノイルオキシ]−ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(NACA−OBS)(米国特許第5,523,434号に記載されているものの例);ドデカノイルオキシベンゼンスルホネート(LOBS又はC12−OBS);10−ウンデセノイルオキシベンゼンスルホネート(10位に不飽和を有するUDOBS又はC11−OBS);デカノイルオキシ安息香酸、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
好ましい漂白活性化剤は米国特許第5,998,350号(バーンズ(Burns)ら)、同第5,698,504号(クリスティー(Christie)ら)、同第5,695,679号(クリスティーら)、同第5,686,401号(ワイリー(Willey)ら)、同第5,686,014号(ハートショーン(Hartshorn)ら)、同第5,405,412号(ワイリーら)、同第5,405,413号(ワイリーら)、同第5,130,045号(ミッチェル(Mitchel)ら)及び同第4,412,934号(チャン(Chung)ら)並びに同時係属中の特許出願第08/064,564号に記載されているものであり、これらは全て参照により本明細書に組み込まれている。
【0055】
本発明における、有効酸素(AvO)としての過酸素供給源と漂白活性化剤とのモル比は一般的に、少なくとも1:1から、好ましくは約20:1から、より好ましくは約10:1からであり、約1:1まで、好ましくは約3:1までである。
【0056】
第四級の置換された漂白活性化剤も包含されてよい。本洗濯組成物は、好ましくは第四級の置換された漂白活性化剤(QSBA)又は第四級の置換された過酸(QSP、好ましくは第四級の置換された過カルボン酸又は第四級の置換されたペルオキシイミド酸)を含み、好ましくは前者を含む。好ましいQSBA構造は米国特許第5,686,015号(ワイリー(Willey)ら)、同第5,654,421号(テイラー(Taylor)ら)、同第5,460,747号(ゴセリンク(Gosselink)ら)、同第5,584,888号(ミラクル(Miracle)ら)及び同第5,578,136号(テイラーら)に更に記載されており、これらは全て参照により本明細書に組み込まれている。
【0057】
極めて好ましい本明細書で有用な漂白活性化剤は、それぞれが本明細書で先に引用されている米国特許第5,698,504号、同第5,695,679号及び同第5,686,014号に記載されているように、アミド置換されている。このような漂白活性化剤の好ましい例には、(6−オクタンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、(6−ノナンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、(6−デカンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート及びこれらの混合物が挙げられる。
【0058】
他の有用な活性化剤は、それぞれが本明細書で先に引用されている米国特許第5,698,504号、同第5,695,679号及び同第5,686,014号並びに米国特許第4,966,723号(ホッジ(Hodge)ら)に開示されている。これらの活性化剤は、−C(O)OC(R)=N−部分が1、2位に結合されているC環などのベンゾオキサジン型活性化剤を包含する。
【0059】
アセトニトリル及び/又はアンモニウムニトリル並びに他の第四級窒素含有ニトリルなどのニトリルは、本明細書で有用な別の部類の活性化剤である。このようなニトリル漂白活性化剤の非限定例は、米国特許第6,133,216号、同第3,986,972号、同第6,063,750号、同第6,017,464号、同第5,958,289号、同第5,877,315号、同第5,741,437号、同第5,739,327号、同第5,004,558号及び欧州特許第790244号、同第775127号、同第1017773号、同第1017776号並びにPCT国際公開特許第99/14302号、同第99/14296号、同第96/40661号に記載されており、これらは全て参照により本明細書に組み込まれている。
【0060】
活性化剤及び正確な適用に依存して、使用時に約6〜約13、好ましくは約9.0〜約10.5のpHを有する漂白剤系から、良好な漂白結果を得ることができる。典型的には、電子求引性部分を有する活性化剤をほぼ中性又は準中性(sub-neutral)のpH範囲で使用する。このようなpHを保持するために、アルカリ及び緩衝剤を使用することができる。
【0061】
それぞれが本明細書で先に引用されている米国特許5,698,504号、同第5,695,679号及び同第5,686,014号に記載されているようなアシルラクタム活性化剤、特にアシルカプロラクタム(例えば、PCT国際公開特許第94−28102 A号を参照のこと)及びアシルバレロラクタム(参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,503,639号(ワイリー(Willey)ら)を参照のこと)は本明細書で非常に有用である。
【0062】
(b)有機過酸化物、特にジアシルペルオキシド−これらは、「カーク・オスマー工業百科事典(Kirk Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology)」(1982年、ジョン・ワイリー&サンズ社(John Wiley & Sons)、第17巻、27〜90頁、特に63〜72頁)に広範に説明されており、これらは全て参照により本明細書に組み込まれている。ジアシルペルオキシドを使用するならば、これは好ましくは色ケアなどの布地ケアへの悪影響を最小限に抑えるものである。
【0063】
(c)金属含有漂白触媒−本発明の組成物及び方法はまた所望により金属含有漂白触媒、特にマンガン及びコバルト含有漂白触媒を包含することができる。
【0064】
金属含有漂白触媒の1つの種類は、限定された漂白触媒活性の遷移金属カチオン(例えば、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン又はマンガンのカチオン)、漂白触媒活性をほとんど又は全く有さない補助金属カチオン(例えば、亜鉛又はアルミニウムのカチオン)並びに触媒金属及び補助金属のカチオンに対して限定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びこれらの水溶性の塩を含む触媒系である。このような触媒は米国特許第4,430,243号(ブラグ(Bragg))に開示されている。
【0065】
マンガン金属錯体−所望される場合、本明細書の組成物は、マンガン化合物により触媒することができる。このような化合物及び使用濃度は当該技術分野において周知であり、例えば、米国特許第5,576,282号、同第5,246,621号、同第5,244,594号、同第5,194,416号及び同第5,114,606号並びに欧州特許出願公開第549,271 A号、同第549,272 A1号、同第544,440 A2号及び同第544,490 A1号に開示されているマンガン系触媒が挙げられる。これらの触媒の好ましい例には、MnIV(u−O)(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン)(PF、MnIII(u−O)(u−OAc)(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン)(ClO、MnIV(u−O)(1,4,7−トリアザシクロノナン)(ClO、MnIIIMnIV(u−O)(u−OAc)2−(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン)(ClO、MnIV(1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン)−(OCH(PF)及びこれらの混合物が挙げられる。他の金属系漂白触媒には、米国特許第4,430,243号及び同第5,114,611号に開示されているものが挙げられる。漂白効果を高めるために様々な錯体配位子と共にマンガンを使用することも、以下の米国特許第4,728,455号、同第5,284,944号、同第5,246,612号、同第5,256,779号、同第5,280,117号、同第5,274,147号、同第5,153,161号及び同第5,227084号で報告されている。
【0066】
コバルト金属錯体−本明細書で有用なコバルト漂白触媒は既知であり、例えば、米国特許第5,597,936号、同第5,595,967号及び同第5,703,030号並びにM.L.トーブ(Tobe, M. L.)「繊維金属錯体の塩基加水分解(Base Hydrolysis of Transition-Metal Complexes)」(「アドバンシズ・イン・インオーガニック・アンド・バイオインオーガニック・メカニズムズ(Adv. Inorg. Bioinorg. Mech.)」1983年、2巻、1〜194頁)に記載されている。本明細書で有用な最も好ましいコバルト漂白触媒は式[Co(NHOAc]Tを有するコバルトペンタアミン酢酸塩であり、式中、「OAc」はアセテート部分を表し、「T」はアニオンであり、特にコバルトペンタアミンアセテートクロライド、[Co(NHOAc]Cl;並びに、[Co(NHOAc](OAc);[Co(NHOAc](PF;[Co(NHOAc](SO);[Co(NHOAc](BF;及び[Co(NHOAc](NO(本明細書では「PAC」)である。
【0067】
これらのコバルト触媒は例えば、米国特許第6,302,921号、同第6,287,580号、同第6,140,294号、同第5,597,936号、同第5,595,967号及び同第5,703,030号;並びに、トーブ(Tobe)論文及びそれに引用された参照;並びに米国特許第4,810,410号、「ジャーナル・オブ・ケミカル・エデュケーション(J. Chem. Ed.)」(1989年)66巻(12号)1043〜45頁;W.L.ジョリー(Jolly, W.L.)「無機化合物の合成及び特性解析(The Synthesis and Characterization of Inorganic Compounds)」(プレンティス−ホール社(Prentice-Hall)、1970年)461〜3頁;「インオーガニック・ケミストリー(Inorg. Chem.)」(1979年)18巻1497〜1502頁;「インオーガニック・ケミストリー」(1982年)21巻2881〜2885頁;「インオーガニック・ケミストリー」(1979年)18巻2023〜2025頁;「無機分析(Inorg. Synthesis)」(1960年)173〜176頁;並びに「ジャーナル・オブ・フィジカル・ケミストリー(Journal of Physical Chemistry)」(1952年)56巻22〜25頁、に教示されているもののような既知の手順により容易に調製される。
【0068】
大多環状剛性配位子(Macropolycyclic Rigid Ligand)の遷移金属錯体−本明細書の組成物はまた、大多環状剛性配位子の遷移金属錯体を漂白触媒として好適に包含してもよい。使用量は触媒として有効な量であり、好適には1ppb以上であり、例えば約99.9%まで、より典型的には約0.001ppm以上、好ましくは約0.05ppm〜約500ppmである(ただし、「ppb」は重量による10億分の1を示し、「ppm」は重量による100万分の1を示す)。
【0069】
本発明での使用に好適である、大環状剛性配位子の遷移金属漂白触媒は広くは本明細書における定義と一致する既知の化合物を包含することができ、並びに、より好ましくは本発明の洗濯及び洗濯用途のために明示的に設計されている新規化合物のいずれも包含することができ、以下:
ジクロロ−5,12−ジメチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)
ジクロロ−5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)
ジアクオ−5,12−ジメチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)
ヘキサフルオロホスフェート
ジアクオ−5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)ヘキサフルオロホスフェート
アクオ−ヒドロキシ−5,12−ジメチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン
マンガン(III)ヘキサフルオロホスフェート
ジアクオ−5,12−ジメチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)
テトラフルオロボレート
ジクロロ−5,12−ジメチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン
マンガン(III)ヘキサフルオロホスフェート
ジクロロ−5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(III)
ヘキサフルオロホスフェート
ジクロロ−5,12−ジ−n−ブチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン
マンガン(II)
ジクロロ−5,12−ジベンジル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンマンガン(II)
ジクロロ−5−n−ブチル−12−メチル−1,5,8,12−テトラアザ−ビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン
マンガン(II)
ジクロロ−5−n−オクチル−12−メチル−1,5,8,12−テトラアザ−ビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン
マンガン(II)
ジクロロ−5−n−ブチル−12−メチル−1,5,8,12−テトラアザ−ビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン
マンガン(II)
のいずれかにより非限定的に明示される。
【0070】
実用的な事柄として、限定するためではないが、本明細書の組成物及び方法は親油性流体及び漂白剤系を含む組成物中に少なくとも1億分の1のオーダーで活性漂白触媒種を提供するように調整することができ、好ましくは約0.01ppm〜約25ppm、より好ましくは約0.05ppm〜約10ppm、最も好ましくは約0.1ppm〜約5ppmまでの漂白触媒種を親油性流体及び漂白剤系を含む組成物中に提供する。
【0071】
(d)漂白増強化合物−本明細書の組成物は1種以上の漂白増強化合物を含んでもよい。漂白増強化合物は低温での適用で増強された漂白効果を提供する。漂白増強剤は従来の過酸素漂白剤供給源と併せて、漂白効果の増強をもたらすように作用する。これは通常、ジオキシラン、オキサジリジン又はオキサジリジニウムなどの活性酸素移動剤をその場で形成することにより達成される。あるいは、予め形成されているジオキシラン、オキサジリジン及びオキサジリジニウムを使用してもよい。
【0072】
本発明に従って使用するのに適した漂白増強化合物には、カチオン性イミン、双性イオン性イミン、陰イオン性イミン及び/又は約+3〜約−3の正味電荷を有するポリイオン性イミン並びにこれらの混合物がある。本発明のこれらイミン漂白増強化合物にはこれらの一般構造:
【化3】

のものが挙げられ、式中、R〜Rは水素又はフェニルラジカル、アリールラジカル、複素環ラジカル、アルキルラジカル及びシクロアルキルラジカルからなる群から選択される非置換又は置換型ラジカルであってもよい。
【0073】
好ましい漂白増強化合物には、双性イオン性漂白増強剤があり、米国特許第5,576,282号及び第5,718,614号に記載されている。他の漂白増強化合物には、米国特許第5,360,569号、同第5,422,066号、同第5,478,357号、同第5,370,826号、同第5,482,515号及び同第5,550,256号並びにPCT国際公開特許第95/13351号、同第95/13352号及び同第95/13353号に記載されているカチオン性漂白増強剤が挙げられる。
【0074】
過酸素供給源は当該技術分野において周知であり、本発明に採用される過酸素供給源は、過酸素化合物、並びに、消費者使用条件下で有効量の過酸素をその場で供給する化合物などのこれらの周知の供給源のいずれかを含むことができる。過酸素供給源は過酸化水素供給源、過酸化水素供給源と漂白活性化剤との反応による過酸アニオンのその場での形成、予め形成されている過酸化合物又は好適な過酸素供給源の混合物を包含することができる。もちろん、当業者であれば、過酸素の他の供給源を本発明の範囲から逸脱することなく採用することができることを認識するであろう。漂白増強化合物は存在する場合、好ましくは本発明の漂白剤系中に過酸素供給源と併せて採用される。
【0075】
(e)予め形成されている過酸−予め形成されている過酸も漂白剤として好適である。本明細書で使用されるような予め形成されている過酸は、安定であると共に、消費者使用条件下で有効量の過酸又は過酸アニオンを供給する、いずれかの便利な化合物である。予め形成されている過酸化合物は、過カルボン酸及び塩、過炭酸及び塩、過イミド酸及び塩、ペルオキシ一硫酸及び塩並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。これらの化合物の例は、米国特許第5,576,282号(ミラクル(Miracle)ら)に記載されている。
【0076】
好適な有機過カルボン酸の1つの部類は一般式:
【化4】

を有し、式中、Rは1〜22個の炭素原子を含有するアルキレン若しくは置換アルキレン基又はフェニレン若しくは置換フェニレン基であり、Yは水素、ハロゲン、アルキル、アリール、−C(O)OH又は−C(O)OOHである。
【0077】
本発明での使用に好適な有機ペルオキシ酸は、1又は2個のいずれかのペルオキシ基を含有することができ、脂肪族又は芳香族のいずれかであることができる。有機過カルボン酸が脂肪族である場合、非置換過酸は一般式:
【化5】

を有し、式中、Yは例えば、H、CH、CHCl、C(O)OH又はC(O)OOHであることができ、nは0〜20の整数である。有機過カルボン酸が芳香族である場合、非置換過酸は一般式:
【化6】

を有し、式中、Yは例えば、水素、アルキル、アルキルハロゲン、ハロゲン、C(O)OH又はC(O)OOHであることができる。
【0078】
本明細書で有用である典型的なモノペルオキシ酸には、
(i)ペルオキシ安息香酸及び環置換ペルオキシ安息香酸、例えば、ペルオキシ−a−ナフトエ酸、モノペルオキシフタル酸(マグネシウム塩六水和物)及びo−カルボキシベンズアミドペルオキシヘキサノン酸(ナトリウム塩)、
(ii)脂肪族、置換脂肪族及びアリールアルキルモノペルオキシ酸、例えば、ペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、N−ノナノイルアミノペルオキシカプロン酸(NAPCA)、N,N−(3−オクチルスクシノイル)アミノペルオキシカプロン酸(SAPA)及びN,N−フタロイルアミノペルオキシカプロン酸(PAP)、
(iii)アミドペルオキシ酸、例えば、ペルオキシコハク酸(NAPSA)又はペルオキシアジピン酸(NAPAA)のいずれかのモノノニルアミドのようなアルキル及びアリールペルオキシ酸、が挙げられる。
【0079】
本明細書で有用である典型的なジペルオキシ酸には、
(i)1,12−ジペルオキシドデカン二酸、
(ii)1,9−ジペルオキシアゼライン酸、
(iii)ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシセバシン酸及びジペルオキシイソフタル酸、
(iv)2−デシルジペルオキシブタン−1,4−二酸、
(v)4,4’−スルホニルビスペルオキシ安息香酸次のようなアルキルジペルオキシ酸及びアリールジペルオキシ酸、が挙げられる。
【0080】
このような漂白剤は、米国特許第4,483,781号(ハートマン(Hartman))及び同第4,634,551号(バーンズ(Burns)ら)、欧州特許出願第0,133,354号(バンクス(Banks)ら)並びに米国特許第4,412,934号(チャン(Chung)ら)に開示されている。供給源にはまた、米国特許第4,634,551号(バーンズ(Burns)ら)に記載されているような6−ノニルアミノ−6−オキソペルオキシカプロン酸が挙げられる。例えば、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール社(E.I. DuPont de Nemours)により商業的に製造されているオキソン(OXONE)などの過硫酸塩化合物もペルオキシ一硫酸の好適な供給源として採用することができる。PAPは、例えば、米国特許5,487,818号、同第5,310,934号、同第5,246,620号、同第5,279,757号及び同第5,132,431号に開示されている。
【0081】
(f)光漂白剤−本発明の処理組成物での使用に好適な光漂白剤には、米国特許第4,217,105号及び同第5,916,481号に記載されている光漂白剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
(g)酵素漂白剤−酵素系を漂白剤として使用してもよい。過酸化水素もまた存在してもよく、これは、洗浄及び/若しくはすすぎプロセスの開始時又は間に過酸化水素を発生することができる酵素系(即ち、酵素及び基質)を加えることによる。このような酵素系は、欧州特許出願第91202655.6号(1991年10月9日出願)に開示されている。
【0083】
本発明の組成物及び方法は、オゾン及び二酸化塩素などのような代替的な漂白系を利用してもよい。オゾンを用いる漂白は、約20〜約300g/mのオゾン量を有するオゾン含有気体を、布地に接触する溶液の中に導入することにより達成することができる。溶液中の「気体:液体」の比は、約1:2.5〜約1:6に維持するべきである。米国特許第5,346,588号は従来の漂白系の代替物としてのオゾンの利用に関するプロセスを記載しており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
本発明の洗剤組成物は、任意の数の追加的な任意成分を包含してもよい。これらには、非色味づけ染料(non-tinting dye)、洗浄性ビルダー、酵素、酵素安定剤(プロピレングリコール、ホウ酸及び/又はホウ砂など)、泡抑制剤、汚れ懸濁剤、汚れ放出剤、他の布地ケア有益剤、pH調整剤、キレート化剤、スメクタイト粘土、溶媒、向水性物質及び相安定剤、構造剤、移染抑制剤、乳白剤、光学的光沢剤、香料及び着色剤などの従来の洗濯洗剤組成物成分が挙げられる。種々の任意の洗剤組成物成分は、本明細書の組成物中に存在する場合、それらの望ましい寄与を組成物又は洗濯操作にもたらすため、慣習的に使用されている濃度で利用されるべきである。しばしば、このような任意の洗剤組成物成分の総量は、本組成物の約0.01重量%〜約50重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約30重量%の範囲であることができる。
【0085】
液体洗剤組成物は界面活性剤、増白剤及びいくつかの任意の他の成分の、水溶液、均一分散液又は懸濁液の形態であり、そのいくつかは通常固形形態であってもよく、非イオン性の液体アルコールエトキシレート、水性液体キャリア及び任意の他の通常液体の任意成分などの通常液体の組成物成分と組み合わされている。このような溶液、分散液又は懸濁液は、一応相安定で、典型的には約0.1Pa.s(100cps)〜0.6Pa.s(600cps)、より好ましくは約0.15Pa.s(150cps)〜0.4Pa.s(400cps)の範囲の粘度を有する。本発明の目的のためには、粘度は#21スピンドルを使用したブルックフィールド(Brookfield)LVDV−II+の粘度計で測定する。
【0086】
本明細書の液体洗剤組成物は、任意の都合のよい順番でそれらの組成物を組み合わせて、生じた成分の組み合わせを混合することにより、例えば撹拌することにより調製でき、相安定液体洗剤組成物を形成する。そのような組成物を調製する好ましい方法において、例えば非イオン性界面活性剤、非界面活性液体キャリア及び他の任意の液体成分の少なくとも主要部分、好ましくは実質的に全てを包含し、この液体を組み合わせたものに剪断力撹拌を与えることにより完全に混合される液体成分で液体マトリックスが形成される。例えば、機械的撹拌器での高速撹拌を用いるのが有用である場合もある。剪断力撹拌が維持される間に、実質的に任意のアニオン性界面活性剤及び固体形態成分の全てを加えることができる。混合物の撹拌を継続し及び必要ならその時点で増大し、液相内に不溶性固相粒子状物質の溶液又は均一分散体を形成することができる。固形形態の物質のいくらか又は全てがこの撹拌混合物に添加された後、包含されるべき任意の酵素物質の粒子、例えば酵素プリル、が組み込まれる。以上で記載した組成物調製法の変形として、1つ以上の固形成分を撹拌混合物に1つ以上の液体成分の微量成分部分と予混合した粒子の溶液又はスラリーとして添加してよい。全ての組成物成分が加えられた後、混合物の撹拌は、必要な粘度及び相安定度特性を有する組成物を形成するために十分な時間継続される。しばしば、これには約30分〜60分の間の撹拌を伴う。
【0087】
液体洗剤組成物を形成するための代替的な実施形態では、増白剤をまず1種以上の液体成分と組み合わせて増白剤プレミックスを形成し、この増白剤プレミックスは、相当な部分、例えば50重量%を超える、より具体的には70重量%を超える、更に具体的には90重量%を超える洗濯洗剤組成物の残部成分を含有する組成物配合物に添加される。例えば、上述した方法において、増白剤プレミックスと酵素成分の両方を成分添加の最終段階で添加する。更なる実施形態では、増白剤を洗剤組成物に添加される前にカプセル封入し、このカプセル封入された増白剤を構造化液体(structured liquid)中で懸濁し、この懸濁液は、洗濯洗剤組成物の残部成分の相当な部分を含有する組成物配合物に添加される。
【0088】
これより前に注記したように、洗剤組成物は固形形態でよい。好適な固形形態には、錠剤形態及び粒子状形態、例えば粒状粒子又はフレークが挙げられる。そのような固形形態の洗剤組成物を形成する種々の技術は当該技術分野において周知であり、かつ本明細書で使用されてもよい。1つの実施形態では、例えば、組成物が粒状粒子の形態である場合、増白剤は粒子状形態で提供され、これは所望により洗濯洗剤組成物の追加的ではあるが全てではない成分を包含する。増白剤粒子は、洗濯洗剤組成物の残部成分を含有する1種以上の追加的な粒子と組み合わされる。更に、増白剤は、所望により洗濯洗剤組成物の追加的ではあるが全てではない成分を包含し、カプセル封入された形態で提供されてもよく、増白剤カプセル封入物は洗濯洗剤組成物の成分の相当な残部を含有する粒子と組み合わされる。
【0089】
前述のように調製された本発明の組成物は、布地の洗濯に使用される水性洗浄溶液を形成するために使用できる。一般に、こうした水性洗濯溶液を形成するため、水、好ましくは従来の布地洗濯自動洗濯機中の水に、そのような組成物の有効量を加える。次に、このように形成されている水性洗浄溶液を、好ましくは撹拌下で、それにより洗濯すべき布地と接触させる。水性洗濯溶液を形成するため水に添加された本明細書の液体洗剤組成物の有効量には、水性洗浄溶液中で500〜7,000ppmの組成物を形成するのに十分な量が含まれてよい。より好ましくは、本明細書において1,000〜3,000ppmの洗剤組成物が水性洗浄溶液中に与えられるであろう。
【0090】
布地ケア組成物/すすぎ時添加布地柔軟化組成物
別の具体的な実施形態では、本発明の増白剤は、布地ケア組成物に包含されてもよい。布地ケア組成物は、少なくとも1種の増白剤及びすすぎ時添加布地柔軟化組成物(「RAFS」、すすぎ時添加コンディショニング組成物としても既知)からなってもよい。典型的なすすぎ時添加柔軟化組成物の例は、米国特許仮出願第60/687582号(2004年10月8日出願)に見出すことができる。本発明のすすぎ時添加布地柔軟化組成物は(a)布地柔軟化活性剤及び(b)チアゾリウム染料を含んでもよい。すすぎ時添加布地柔軟化組成物は、約1重量%〜約90重量%のFSA、より好ましくは約5重量%〜約50重量%のFSAを含んでもよい。増白剤は、すすぎ時添加布地柔軟化組成物中に約0.5ppb〜約50ppm、より好ましくは約0.5ppm〜約30ppmの量で存在してもよい。
【0091】
本発明の1つの実施形態では、布地柔軟化活性物質(以後「FSA」という)はすすぎ工程において布地を柔軟化するのに好適な第四級アンモニウム化合物である。1つの実施形態では、FSAは、脂肪酸とアミノアルコールとの反応生成物から形成され、これはモノ−、ジ−及び1つの実施形態でのトリエステル化合物を生じる。別の実施形態では、FSAは、モノアルキル(monoalky)第四級アンモニウム化合物、ジアミド第四級化合物及びジエステル第四級アンモニウム化合物又はこれらの組み合わせなどであるがこれらに限定されない、1種以上の柔軟剤第四級アンモニウム化合物を含む。
【0092】
本発明の一態様では、FSAは、ジエステル第四級アンモニウム(以後、「DQA」と称す)化合物組成物を含む。本発明の特定の実施形態では、DQA化合物の組成物はまた、ジアミドFSA類及び混合アミド及びエステル連鎖、並びに、前述のジエステル連鎖を有するFSAの種類も包含し、これらの全てを本明細書ではDQAと称する。
【0093】
本CFSCにおけるFSAとして好適な第1のタイプのDQA(「DQA(1)」)は、式:
{R4−m−N−[(CH−Y−R}X
を含む化合物を包含し、式中、各R置換基は水素、短鎖C〜C、好ましくはC〜Cアルキル又はヒドロキシアルキル基、例えば、メチル(最も好ましい)、エチル、プロピル、ヒドロキシエチルなど、ポリ(C2〜3アルコキシ)、好ましくはポリエトキシ、基、ベンジル又はこれらの混合物のいずれかであり、各mは2又は3であり、各nは1〜約4、好ましくは2であり、各Yは−O−(O)C−、−C(O)−O−、−NR−C(O)−又は−C(O)−NR−であり、各Yは同じであっても又は異なってもよく、各R中の炭素の合計(Yが−O−(O)C−又は−NR−C(O)−のときはプラス1)は、C12〜C22、好ましくはC14〜C20であり、各Rはヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル基であり、Rは、不飽和又は飽和及び分枝鎖又は直鎖であってよく、好ましくは直鎖であり、各Rは同じであっても又は異なってもよく、好ましくはこれらは同じであり、Xはいずれかの柔軟剤適合性アニオン、好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン又は硝酸イオンであり、より好ましくは塩化物イオン又はメチル硫酸イオンとすることができ、より好ましくは塩化物イオン又はメチル硫酸イオンである。好ましいDQA化合物は、典型的には、MDEA(メチルジエタノールアミン)及びTEA(トリエタノールアミン)などのアルカノールアミン類を脂肪酸と反応させることによって製造される。典型的にこのような反応から得られるいくつかの材料には、N,N−ジ(アシル−オキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド又はN,N−ジ(アシル−オキシエチル)−N,N−メチルヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェートが挙げられ、アシル基は、動物性脂肪、不飽和及び多不飽和の脂肪酸、例えば、タロウ、硬化タロウ、オレイン酸及び/又は部分硬化脂肪酸から誘導され、植物油類及び/又は部分硬化植物油、例えば、キャノーラ油、ベニバナ油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、コーン油、大豆油、トール油、米糠油、パーム油などからも誘導される。
【0094】
好適な脂肪酸の非限定例は、米国特許第5,759,990号、4段45〜66行に列挙されている。1つの実施形態では、FSAはDQA(1)又はDQAに加えて、他の活性物質を含む。更に別の実施形態では、FSAはDQA(1)又はDQAのみを含み、任意のその他の第四級アンモニウム化合物若しくはその他の活性物質を含まないか又は実質的にそれを含まない。更に別の実施形態では、FSAは、DQAを製造するために使用される前駆体アミンを含む。
【0095】
本発明の別の態様では、FSAは、式:
[R4−m−N(+)−R]A
を含むDTTMACとして認定された化合物を含み、式中、各mは2又は3であり、各RはC〜C22、好ましくはC14〜C20の(しかし、約C12未満であるのは1つ以下であり、他は少なくとも約16である)ヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル置換基、好ましくはC10〜C20アルキル又はアルケニル(「アルキレン」と称されることもある、多不飽和アルキルを包含する不飽和アルキル)、最も好ましくはC12〜C18アルキル又はアルケニルで、分枝又は非分枝である。1つの実施形態では、FSAのヨウ素価(IV)は約1〜70であり、各RはH又は短鎖C〜C、好ましくはC〜Cアルキル又はヒドロキシアルキル基、例えばメチル(最も好ましい)、エチル、プロピル及びヒドロキシエチルなど、ベンジル又は(RO)2〜4Hであり、各RはC1〜6アルキレン基であり、Aは柔軟剤適合性アニオン、好ましくはクロライド、ブロマイド、メチルサルフェート、エチルサルフェート、サルフェート、ホスフェート又はニトレートであり、より好ましくはクロライド又はメチルサルフェートである。
【0096】
これらのFSAの例としては、ジアルキルジメチルアンモニウム塩及びジアルキレンジメチルアンモニウム塩、例えばジタロウジメチルアンモニウム及びジタロウジメチルアンモニウムメチルサルフェートが挙げられる。本発明で使用可能な市販のジアルキレンジメチルアンモニウム塩の例は、ジ−水素添加タロウジメチルアンモニウムクロライド及びジタロウジメチルアンモニウムクロライド(それぞれ、アドゲン(Adogen)(登録商標)442及びアドゲン(登録商標)470の商標名でデグッサ(Degussa)から入手可能)である。1つの実施形態では、FSAはDTTMACに加えて他の活性物質を含む。更に別の実施形態では、FSAはDTTMACの化合物のみを含み、かついずれの他の第四級アンモニウム化合物又は他の活性物質も含まないか又は本質的に含まない。
【0097】
1つの実施形態では、FSAは、米国特許出願公開第2004/0204337 A1号(コロナ(Corona)ら、2004年10月14日公開、パラグラフ30〜79)に記載されたFSAを含む。別の実施形態では、FSAは、米国特許出願公開第2004/0229769 A1号(スミス(Smith)ら、2005年11月18日公開、パラグラフ26〜31)又は米国特許第6,494,920号(第1段、51行以下参照)に記載されているものであり、詳細には「エステルクワット」又は第四級化脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩である。
【0098】
1つの実施形態では、FSAはジタロウオイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ジ水素添加タロウオイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ジタロウジメチルアンモニウムクロライド、ジタロウオイルオキシエチルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ジ水素添加タロウオイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ジ水素添加タロウオイルオキシエチルジメチルアンモニウムクロライド又はこれらの組み合わせの少なくとも1つから選択される。
【0099】
1つの実施形態では、FSAはまた、アミド含有化合物の組成物を包含してもよい。ジアミドを含む化合物の例としては、メチル−ビス(タロウアミドエチル)−2−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート(デグサ(Degussa)から商標名バリソフト(Varisoft)110及びバリソフト222で入手可能)を挙げてよいがそれらに限定されない。アミドエステル含有化合物の例には、N−[3−(ステアロイルアミノ)プロピル]−N−[2−(ステアロイルオキシ)エトキシ)エチル)]−N−メチルアミンがある。本発明の別の具体的な実施形態は、カチオンデンプンを更に含む、すすぎ時添加布地柔軟化組成物を提供する。カチオンデンプンは、米国特許出願公開第2004/0204337 A1号に開示されている。1つの実施形態では、すすぎ時添加布地柔軟化組成物は、布地柔軟化組成物の約0.1重量%〜約7重量%のカチオンデンプンを含む。1つの実施形態では、カチオンデンプンはナショナル・スターチ(National Starch)からのHCP401である。
【0100】
好適な洗濯ケア成分
本発明の目的には必須ではないが、以下に例示される洗濯ケア成分の非限定的なリストは、洗濯ケア組成物における使用に好適であり、例えば、性能を補助若しくは向上させるために、洗浄する基材の処理のために又は香料、着色剤及び染料などを用いる場合のように組成物の審美性を改変するために、本発明の特定の実施形態に望ましくは組み込んでもよい。このような成分がいずれかの特定の実施形態に関して先に列挙された成分に追加されることが理解される。このような補助剤の総量は、洗濯ケア組成物の約0.1重量%〜約50重量%又は更には約1重量%〜約30重量%の範囲であってよい。
【0101】
これらの追加的成分の明確な性質及びそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態及び使用されるべき作業の性質によって決まる。好適な洗濯ケア成分には、ポリマー、例えばカチオン性ポリマー、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒作用性物質、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、光沢剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、柔軟仕上げ剤、キャリア、向水性物質、加工助剤及び/又は顔料が挙げられるが、これらに限定されない。下記の開示に加え、このような他の補助剤の好適な例及び使用濃度は、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812 B1号及び同第6,326,348 B1号に記載されており、これらは参照により組み込まれる。
【0102】
上述のように、洗濯ケア成分は、本出願人らの洗浄及び洗濯ケア組成物には必須ではない。したがって、本出願人らの組成物の特定の実施形態は、以下の補助物質:漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、光沢剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、柔軟剤、キャリア、向水性物質、加工助剤及び/又は顔料の1種以上を含有しない。しかしながら、1種以上の補助剤が存在するとき、1種以上の補助剤は、以下に詳細に記載されるように存在してもよい。
【0103】
界面活性剤−本発明による組成物は、界面活性剤又は界面活性剤系を含むことができ、界面活性剤は、非イオン性及び/若しくはアニオン性及び/若しくはカチオン性界面活性剤並びに/又は両性及び/若しくは双極性及び/若しくは半極性非イオン性界面活性剤から選択できる。界面活性剤は、典型的には、洗浄組成物の約0.1重量%から、約1重量%から又は更には約5重量%から、洗浄組成物の約99.9重量%まで、約80重量%まで、約35重量%まで又は更には約30重量%までの濃度で存在する。
【0104】
ビルダー−本発明の組成物は、1種以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を含むことができる。存在する場合、組成物は、典型的に、少なくとも約1重量%のビルダー又は約5重量%若しくは10重量%から約80重量%まで、50重量%まで又は更には30重量%までのビルダーを含む。ビルダーとしては、ポリホスフェートの、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属炭酸塩、アルミノシリケートビルダー、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸及びカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸の種々のアルカリ金属、アンモニウム及び置換アンモニウム塩、並びに、メリット酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸及びこれらの可溶性塩のようなポリカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
キレート化剤−本明細書の組成物はまた、任意で1種以上の銅、鉄及び/又はマンガンのキレート化剤を含有してもよい。使用される場合、キレート化剤は、一般に本明細書の組成物の約0.1重量%〜約15重量%又は更には本明細書の組成物の約3.0重量%〜約15重量%を構成する。
【0106】
移染防止剤−本発明の組成物は1種以上の移染防止剤も包含してよい。好適なポリマー移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の組成物中に存在する場合、移染防止剤は、洗浄組成物の約0.0001重量%から、約0.01重量%から、約0.05重量%から、洗浄組成物の約10重量%まで、約2重量%まで又は更には約1重量%までの濃度で存在する。
【0107】
分散剤−本発明の組成物は分散剤も含むことができる。好適な水溶性有機物質は、ホモポリマー又はコポリマーの酸又はこれらの塩であり、それらのうちのポリカルボン酸は、互いに2個を超えない炭素原子によって離間されている少なくとも2個のカルボキシル基を含んでよい。
【0108】
酵素−組成物は、洗浄性能効果及び/又は布地ケア効果を提供する1種以上の洗浄性酵素を含むことができる。適した酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ及びアミラーゼ又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ及び/又はセルラーゼのような従来の適用可能な酵素をアミラーゼと組み合わせた混液である。
【0109】
酵素安定剤−組成物、例えば洗剤において使用するための酵素は、種々の技術によって安定化することができる。本明細書で採用される酵素は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に供給する、最終組成物中のカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源の存在によって安定化させることができる。
【0110】
触媒金属錯体−本出願人らの組成物は、触媒金属錯体を包含してもよい。金属含有漂白触媒の1つの種類は銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン又はマンガンのカチオンのような、限定された漂白触媒活性の遷移金属カチオン、亜鉛又はアルミニウムのカチオンのような、漂白触媒活性をほとんど又は全く有さない補助金属カチオン並びに触媒金属及び補助金属のカチオンに対して規定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤(sequestrate)、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びこれらの水溶性塩を含む触媒系である。このような触媒は、米国特許第4,430,243号に開示される。
【0111】
必要に応じて、本明細書の組成物は、マンガン化合物を用いて触媒され得る。このような化合物及び使用濃度は当該技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,576,282号に開示されるマンガン系触媒が挙げられる。
【0112】
本明細書において有用なコバルト漂白触媒は既知であり、例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号に記載されている。このようなコバルト触媒は、既知の手順、例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号において教示されているような手順によって容易に調製される。
【0113】
また本明細書の組成物は、マクロ多環式の剛性配位子(「MRL」と省略される)の遷移金属錯体を適切に包含してもよい。実用的な事柄として、限定するためではないが、本明細書の組成物及び洗浄方法は、水性洗浄媒体において少なくとも1億分の1のオーダーの有益剤MRL種を提供するように調整することができ、MRLを洗浄溶液中に約0.005ppm〜約25ppm、約0.05ppm〜約10ppm又は更には約0.1ppm〜約5ppmに設定できる。
【0114】
当該遷移金属漂白剤触媒中の好ましい遷移金属としては、マンガン、鉄及びクロムが挙げられる。本明細書における好ましいMRLは、架橋した特定の種類の超剛性配位子、例えば、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンである。
【0115】
好適な遷移金属MRLは、既知の手順、例えば、PCT国際公開特許第00/32601号及び米国特許第6,225,464号で教示されているような手順によって容易に製造される。
【実施例】
【0116】
本発明の新規増白剤を更に例示するために、以下の実施例を提供するが、これらは添付の「特許請求の範囲」に定義されているような発明を限定するものとして解釈されるべきではない。事実、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく本発明に様々な修正及び変更を実施できることは当業者には自明であろう。これらの実施例に与えられている全ての部及び百分率は、他に指示がない限り重量による。本明細書で報告しているハンセン溶解度パラメータの全ての値は、MPa0.5単位での表記である。
【0117】
試料調製及び試験方法
A.試料調製
3グラムの粉末状洗濯洗剤(AATCC粉末洗濯洗剤)及び500mLの室温の水を含有する溶液に0.5グラムの増白剤(セルロース基材の重量に基づいて0.1重量%)を加えることにより、各試料を調製する。等量の色単位を保障するために吸光度について各着色剤荷重を補正する。次に、配合物を50グラムのセルロース粉末(アルドリッチ(Aldrich)から入手可能)と組み合わせて、この混合物を10分間にわたって撹拌する。次に、混合物を濾過して、液体からセルロース粒子を分離し、セルロース粒子を風乾させておく。前述したように、グレタグ・マクベス・カラー・アイ(Gretag Macbeth Color Eye)7000A分光分析装置を使用して、色に関してセルロース粒子と液体の両方を測定する。
【0118】
次に、500mLの水道水を収容する容器内にセルロース粒子を置き、10分間にわたって撹拌する。混合物を濾過して、液体からセルロース粒子を分離し、セルロース粒子を再び風乾させておく。グレタグ・マクベス・カラー・アイ(Gretag Macbeth Color Eye)7000A分光分析装置を使用して、色に関してセルロース粒子と液体の両方を再び測定する。未処理のセルロース粒子を含有する(増白剤を加えていない)対照試料も準備する。
【0119】
表1A及び1Bに示されている増白剤を本明細書に記載しているように調製し、種々のパラメータについて試験する。米国特許第4,912,203号(クルーガー(Kluger)ら)に開示されている手順に従って、全てのスミレ色着色剤を合成する。エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドを下記ではこれらの典型的な表記である「EO」、[PO」及び[BO」によりそれぞれ示すことに留意されたい。表1A及び1Bの増白剤のポリマー性成分の平均長さ及び組成を次式により得る:(ブロック1+ブロック2+ブロック3)/(鎖の本数)。例えば、バイオレットチオフェン_5EO(Violet thiophene-5EO)の平均的な構造は、窒素上に2本の鎖を有するチオフェン発色団からなり、1本は3EOに相当し、1本は2EOに相当する。鎖キャップ(Chain caps)は全てのポリマー性成分上に存在する。
【表1】

(a)EO基を末端OH基に付加する。
【表2】

(a)EO基を末端OH基に付加する。
【0120】
B.白色度の計算:CIELabのb値並びにガンツ(Ganz)及びCIE白色度指数
白色度指数(「WI」)は、色測定の3つの構成要素−色相、彩度及び明度−を包含すると共に標準白色値の指標にもなる式により計算される色の適性評価である。いくつかの白色度式を使用してセルロース系基材の白色度を測定することができる。2つの一般的な式が、ガンツ白色度指数(Ganz Whiteness Index)及びCIE白色度(CIE Whiteness)である。ガンツ白色度指数は次式により表わされる:WI=(D×Y)+(P×x)+(Q×y)+C、式中、Y、x及びyは比色分析値であり、D、P、Q及びCは、式パラメータである。CIE白色度は次式により表わされる:WI=Y−(800×x)−(1700×y)+813.7、式中、Y、x及びyは比色分析値である。更なる情報が、ロルフ・グリーサー(Rolf Griesser)(チバガイギー社(Ciba-Geigy Ltd))「白色度及び色味(Whiteness and Tint)」(1993年6月)という刊行物から入手できる。
【0121】
分光分析装置を使用して試料を測定することによって得られる一連の測定値−L、a及びb−を使用して、物品の表面色を数量化してもよい。この試験に使用される装置は、グレタグ・マクベス・カラー・アイ(Gretag Macbeth Color Eye)7000A分光分析装置である。使用されるソフトウェアプログラムは、「カラー・アイマッチ(Color imatch)」である。「L」は試料中の白色又は黒色の量の測定値であり、より高い「L」値はより明るい色の試料であることを示す。試料中の赤色又は緑色の量の測定値は、「a」値で測定される。試料中の青色又は黄色の量の測定値は、「b」値で測定され、より低い(より負である)b値は、試料中により多くの青色があることを示す。
【0122】
基材の相対色に関する更に別の測定は、DE CMCである。DE CMCは、全均一色空間についての総合的な色差の測定であり、DE CMCは色と参照色(この場合、純白の基準)との間の差異の絶対値を表す。DE CMC値が高いほど、色の差異がよりはっきりと現れてくる。換言すれば、より小さなDE CMC値は、白により近い色を表す。グレタグ・マクベス・カラー・アイ(Gretag Macbeth Color Eye)7000A分光分析装置は、各試料について波長及び反射率データに基づいて、DE CMC値を計算する。
【0123】
C.分子特性の計算
マテリアル・スタジオ分子モデリング(Material Studio molecular modeling)ソフトウェア(アクセルリス社(Accelrys, Inc.)から入手可能)により、本発明の増白剤それぞれの平均的な構造を導出する。半経験的普遍力場(semi-empirical Universal forcefield)及び電荷平衡法(Qeq)電荷配置システムを使用するフォーサイト(Forcite)モジュールにより、各構造の形状を最適化する。平均N=N結合距離1.25オングストロームと対比して、ジアゾ着色剤のN=N結合は約1.270〜1.275オングストロームと計算される。これらの値は、ガウシアン(Gaussian)98ソフトウェアパッケージ及びB3LYP/6−311G法によりジフェニルジアゾ染料について計算されている、ジャン−ナ リュウ(Liu, Jun-na)ら(ジャン−ナ リュウ(Liu, Jun-na)、ジ−ロン チェン(Chen, Zhi-rong)及びシェン−フェン ユアン(Yuan, Shen-feng)「浙江大学学報科学版(Journal of Zhejiang University Science)」(6B(6)、2005年、584〜589頁)により報告されているもの、即ち、約1.3オングストロームよりもわずかに短い。
【0124】
全構造の形状最適化後に、様々な記述子を計算する。記述子は、以下の範疇:1.構造、2.機能、3.エネルギー、4.トポロジカル、5.空間及び6.熱力学、に分類することができる。
【0125】
発色団上のEO基及びPO基の総数、ハンセン溶解度パラメータ(溶解度_パラメータ(Solubility-parameter)及び親水性−親油性バランス値(MW_HLB)を除き、全ての記述子をマテリアル・スタジオソフトウェア(Material Studio software)のQSARモジュールにより計算する。後者の2つのパラメータをChemSWの分子モデリングプロ(Molecular Modeling Pro)ソフトウェアにより計算する。セルロース基材に対する増白剤の親和性の潜在的予測因子として、記述子をスクリーニングする。表2は、本発明の増白剤の特性を示すために使用される試験パラメータの一部を要約している。
【表3】

【0126】
試験結果
試験1:CIELabのb値及びガンツ(Ganz)白色度指数により測定される白色度試験
CIELabのb値及びガンツ(Ganz)白色度指数(「ガンツWI」)値を測定するために、実施例1〜17を白色度について試験する。試験結果を表3に示す。より低い(より負の)CIELabのb値及び、より高いガンツWI値は、処理済セルロース粒子によって、より大きな青味付け又は増白効果が発現していることを示す。
【表4】

【0127】
試験結果は、5個のエチレンオキシド繰返し単位を含有する実施例2及び、1個のグリシドール単位を含有する実施例12がこれらの試験条件下で最良に機能することを示す。データは、CIELabのb値とガンツWI値との間に比較的線形相関があることを明らかにしている。全てのデータ点に適合する線形回帰は、R=0.988の回帰値を有する。
【0128】
試験2:CIELabのb値及びハンセン溶解度パラメータの分散項値の測定
CIELabのb値及びハンセン溶解度パラメータの分散項値を測定するために、実施例1〜17を試験する。実施例1〜14がバイオレットチオフェン発色団を含有する一方で、実施例15〜17がトリフェニルメタン着色剤を含有することに留意されたい。ハンセン溶解度パラメータの分散項値のみを測定するために、実施例18〜25を試験する。
【0129】
試験結果を表4に示す。より大きな負のCIELabのb値は、処理済セルロース粒子によって、より大きな青味付け又は増白効果が発現していることを示す。「N/A」は、データが入手できないことを示す。
【表5】

【0130】
この試験結果は、青味付けパラメータ、CIELabのb値とハンセン溶解度パラメータの分散項値との間に比較的線形相関があることを明らかにしている。色値bは、δが減少するにつれて、線形に減少する(即ち、青味付け効果が増加する)。
【0131】
線形回帰は全てのデータ点に適合し、R=0.763の回帰値を有する。回帰線は以下の等式を有する:
b_青味付け=0.9704×δ−22.468 (2)
試験3:ハンセン溶解度パラメータの分散項値に基づくCIELabのb値の予測
ハンセン溶解度パラメータの分散項値に基づくモデルをトレーニングするために、実施例1〜10及び15〜17をまず使用する。1回のすすぎサイクル後に得られる分散項値を利用する下記の等式3を使用して、これらの実施例についてCIELabのb値を計算する:
b_青味付け=1.0014×δ−23.02 (3)
この等式は等式2に非常に似ており、全ての実施例を使用して引き出されている。等式3により表されているモデルは、実施例11〜14についても有効である。等式3を使用して、実施例11〜14の分子のCIELabのb値について、これらの分子を合成して増白効果を試験する前に予測を得る。等式3から得られるCIELabのb予測値を、グレタグ・マクベス・カラー・アイ(Gretag Macbeth Color Eye)7000A分光分析装置から先に得られている測定値と比較する。b測定色値とb予測色値との間の百分率差も求める。
【0132】
比較例1及び2についても分散項値及びCIELabのb予測値を測定する。比較例1は、米国特許第4,127,243号(ファーマー(Farmer))の実施例IIIに開示されている青色ポリマーアントラキノン染料である。比較例2は、米国特許出願公開第2005/0288206号(サドロースキー(Sadlowski)ら)の表2に開示されているベーシックバイオレット(Basic Violet)3である。
【0133】
試験結果を表5及び図1に示す。「N/A」は、データが入手できないことを示す。
【表6】

【0134】
モデルがポリマー鎖末端キャップの効果を例証できることを検証するために、実施例11(バイオレットチオフェン_5EO_COCH3)及び実施例12(バイオレットチオフェン_グリシドール)を合成して試験する。実施例12は4個のヒドロキシル基を有する一方、EO及びPO末端基を有する増白剤は2個のヒドロキシル基しか有さない。実施例11は、実施例12とほぼ同一のサイズを有するが、アセテートキャップはOH基よりも低い極性である。
【0135】
図1は、データのグラフ表示を示す。図1では、用語「バイオレットチオフェン」は「バイオレット」として示され、「トリフェニルメタン」は「TPM」として示されている。データ点は、CIELabのb測定色値を表す。実線は、予測データである等式3を表す。色値bとδとの間の線形相関は、分子が小さいほど、セルロース粉末上への付着が強くなることを示唆する。増白剤化合物のサイズは、増白剤化合物がセルロース粉末の孔の中へ接近及び拡散する能力に影響を与えることができる。加えて、より大きな極性のキャップを分子鎖上に有する増白剤又は、より多くの極性末端基を有する増白剤は、より大きな青味付け効果を示した。計算はまた、トリフェニルメタン含有増白剤が好ましい増白剤であることを示す。
【0136】
例示的な洗剤配合物
配合物1a〜1l:液体洗剤配合物
表6A及び6Bは、本発明の増白剤を少なくとも1種包含する液体洗剤配合物の例を提供する。表6A中に配合物1a〜1fとして及び、表6Bに1g〜1lとして、配合物を示す。
【表7】

【表8】

配合物1a〜lに関する脚注:
ジエチレントリアミン五酢酸、ナトリウム塩
ジエチレントリアミンペンタキス(pentakis)メチレンホスホン酸、ナトリウム塩
エチレンジアミン四酢酸、ナトリウム塩
配合色調節のために使用される非色味づけ染料(non-tinting dye)
ポリビニルアルコールフィルム中に単位用量としてパッケージされたコンパクト配合物
10を超える色相効率及び30〜85%の洗浄除去率を有するアルコキシル化アントラキノン着色剤
10を超える色相効率及び30〜85%の洗浄除去率を有するアルコキシル化チオフェン着色剤
10を超える色相効率及び30〜85%の洗浄除去率を有するアルコキシル化トリフェニルメタン着色剤
アキュゾール(Acusol)OP301
配合物2a〜2e:粒状洗剤配合物
表7は、本発明の増白剤を少なくとも1種包含する粉状洗剤配合物の例を提供する。表7中に配合物2a〜2eとして配合物を示す。
【表9】

【0137】
例示的な布地ケア組成物
配合物3a〜3d:液体布地ケア組成物
表8は、本発明の増白剤を少なくとも1種包含する液体布地ケア組成物の例を提供する。表8中に配合物3a〜3dとして組成物を示す。
【表10】

N,N−ジ(タロウオイルオキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド。
25%〜95%のアミロース及び0.02〜0.09の置換度を含有し、かつ50〜84の値を有する水流動性として測定される粘度を有する、普通のメイズスターチ又はポテトスターチをベースにするカチオンデンプン。
米国特許第5,574,179号、第15欄、1〜5行目に記載の式を有する、エチレンオキサイドとテレフタレートとのコポリマーであって、式中、各Xはメチルであり、各nは40であり、uは4であり、各Rは本質的に1,4−フェニレン部分であり、各Rは、本質的にエチレン、1,2−プロピレン部分又はそれらの混合物である。
ジエチレントリアミン五酢酸。
ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas Co.)から入手可能なカトン(KATHON)(登録商標)CG。
DC2310の商標名でダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)から入手可能なシリコーン消泡剤。
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から入手可能な4,4’−ビス−(2−スルホスチリル)ビフェニル二ナトリウム。
アクゾ・ノベル(Akzo Nobel)から入手可能なココメチルエトキシル化[15]アンモニウムクロライド。
【0138】
したがって、本発明は、チオフェン又はトリフェニルメタン着色剤を含む少なくとも1種の発色団成分と、少なくとも1種のポリマー性成分とを含むセルロース基材用増白剤を提供し、この増白剤は約17MPa0.5以下のハンセン溶解度パラメータの分散項値を有する。このような増白剤を含有する洗濯洗剤もまた本明細書において考慮される。
【0139】
本発明の増白剤は、チオフェン着色剤を含む少なくとも1種の発色団成分と、少なくとも1種のポリマー性成分とを含むセルロース基材用増白剤を包含し、この増白剤は以下の構造:
【化7】

により特徴付けられ、式中、R及びRは、
a)[(CHCR’HO)(CHCR”HO)H]
(式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0〜5である)、
b)R=アルキル、アリール又はアリールアルキル及び、R=[(CHCR’HO)(CHCR”HO)H]
(式中、R’は、H、CH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦10であり、y≧1であり、z=0〜5である)、
c)R=[CHCH(OR)CHOR]及び、R=[CHCH(OR)CHOR
(式中、Rは、H、(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、z=0〜10であり、
は、(C〜C16)アルキル、アリール基及びこれらの混合物からなる群から選択される)並びに
d)R1及びR2は、スチレンオキシド、グリシジルメチルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル及びグリシジルヘキサデシルエーテルのアミノ付加生成物、から独立して選択することができ、さらに、1〜10個のアルキレンオキシド単位を付加するもの、から独立して選択することができる。
【0140】
本発明の潜在的に好ましい増白剤は、チオフェン着色剤を含む少なくとも1種の発色団成分と、少なくとも1種のポリマー性成分とを含むセルロース基材用増白剤を包含し、この増白剤は以下:
【化8】

の構造により特徴付けられ、式中、R’はH、CH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0〜5である。
【0141】
更に、本発明は、CIELabのb色値(「b」)及びハンセン溶解度パラメータの分散項値(「δ」)により特徴付けられる増白剤を提供し、「b」及び「δ」は以下の等式に従って互いにほぼ線形相関を示す:b=1.00(δ)−23。このような増白剤を含有する洗濯洗剤もまた本明細書において考慮される。
【0142】
それゆえに、増白剤として理想的に適する発色団含有化合物の選択を補助するために、予測モデルを採用することは、本発明の利点であると考えられる。本明細書に提供されている試験結果は、増白剤化合物のサイズにより及びその鎖キャップ官能基により、増白剤のセルロース粉末上への付着を少なくとも部分的に調整することができることを教示する傾向を有する。試験結果はまた、より大きな分子はセルロース粉末の孔の中に拡散するにはあまりに嵩高であることがあり、これは複数回の洗浄及び/又はすすぎサイクルの後に増白効果を減じる恐れがあることも示唆する。
【0143】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることは当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるこのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯ケア成分及び増白剤を含む洗濯ケア組成物であって、前記増白剤が
(a)チオフェン着色剤を含む少なくとも1種の発色団成分と、
(b)少なくとも1種のポリマー性成分と、を含み、
前記増白剤が以下の構造:
【化1】

により特徴付けられ、式中、R及びRは、
a)[(CHCR’HO)(CHCR”HO)H]
(式中、R’はH、CH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0〜5である)、
b)R=アルキル、アリール又はアリールアルキル、かつR=[(CHCR’HO)(CHCR”HO)H]
(式中、R’はH、CH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦10であり、y≧1であり、z=0〜5である)、
c)R=[CHCH(OR)CHOR]、かつR=[CHCH(OR)CHOR
(式中、RはH、(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、z=0〜10であり、
は(C〜C16)アルキル、アリール基及びこれらの混合物からなる群から選択される)並びに
d)R1及びR2はスチレンオキシド、グリシジルメチルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル及びグリシジルヘキサデシルエーテルのアミノ付加生成物から独立して選択することができ、さらに、1〜10個のアルキレンオキシド単位を付加するもの、から独立して選択することができる、洗濯ケア組成物。
【請求項2】
前記増白剤が2〜20個の繰返し単位を有するポリオキシアルキレン鎖を含む、請求項1に記載の洗濯ケア組成物。
【請求項3】
前記増白剤が少なくとも2個のヒドロキシル基を含み、好ましくは前記少なくとも2個のヒドロキシル基が第一級ヒドロキシル部分である、請求項1又は2に記載の洗濯ケア組成物。
【請求項4】
前記増白剤がアルコキシル化チオフェンポリマー性着色剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗濯ケア組成物。
【請求項5】
前記増白剤が17MPa0.5以下、好ましくは12〜17MPa0.5のハンセン溶解度パラメータの分散項値を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の洗濯ケア組成物。
【請求項6】
前記増白剤の発色団が水中で520ナノメートル〜640ナノメートルの吸光スペクトルを示す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の洗濯ケア組成物。
【請求項7】
前記増白剤の発色団が水中で400ナノメートル〜480ナノメートルの発光スペクトルを示す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の洗濯ケア組成物。
【請求項8】
洗濯ケア成分及び増白剤を含む洗濯ケア組成物であって、前記増白剤が
(a)チオフェン又はトリフェニルメタン着色剤を含む少なくとも1種の発色団成分と、
(b)少なくとも1種のポリマー性成分と、を含み、前記増白剤が17MPa0.5以下、好ましくは12〜17MPa0.5のハンセン溶解度パラメータの分散項値を有する、洗濯ケア組成物。
【請求項9】
前記増白剤が2〜20個の繰返し単位を有するポリオキシアルキレン鎖を含む、請求項8に記載の洗濯ケア組成物。
【請求項10】
前記増白剤が少なくとも2個のヒドロキシル基を含み、好ましくは前記少なくとも2個のヒドロキシル基が第一級ヒドロキシル部分である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の洗濯ケア組成物。
【請求項11】
前記増白剤がアルコキシル化トリフェニルメタンポリマー性着色剤を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の洗濯ケア組成物。
【請求項12】
前記増白剤がアルコキシル化チオフェンポリマー性着色剤を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の洗濯ケア組成物。
【請求項13】
前記増白剤の発色団が水中で520ナノメートル〜640ナノメートルの吸光スペクトルを示す、請求項8〜12のいずれか一項に記載の洗濯ケア組成物。
【請求項14】
前記増白剤の発色団が水中で400ナノメートル〜480ナノメートルの発光スペクトルを示す、請求項8〜12のいずれか一項に記載の洗濯ケア組成物。
【請求項15】
洗濯ケア成分及び増白剤を含む洗濯ケア組成物であって、前記増白剤が、
(a)チオフェン着色剤を含む少なくとも1種の発色団成分と、
(b)少なくとも1種のポリマー性成分と、を含み、
前記増白剤が以下の構造:
【化2】

により特徴付けられ、式中、R’はH、CH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、R”はH、CHO(CHCHO)H及びこれらの混合物からなる群から選択され、x+y≦5であり、y≧1であり、z=0〜5である、洗濯ケア組成物。
【請求項16】
前記増白剤が2〜20個の繰返し単位、好ましくは4〜6個の繰返し単位を有するポリオキシアルキレン鎖を含む、請求項15に記載の洗濯ケア組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2010−515838(P2010−515838A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545246(P2009−545246)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050192
【国際公開番号】WO2008/087497
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】