説明

センサにより検出されたオブジェクトとマップマッチングする方法

例えばGPSにより車両の位置に対して校正される車両のセンサにより車両の近傍にある少なくとも1つのオブジェクトを検出し且つオブジェクトに関する特性を推定し、車両の位置及び向きの推定値、並びにセンサの測定値の位置及び向きの推定値から検知したオブジェクトの位置を推定し、位置に対して地図又は画像データベースのオブジェクトを抽出するために、オブジェクトについての情報を検索可能なデータベースを、車両の位置又は推定され検知したオブジェクトの位置により問合せ、比較論理を用いて、検出されたオブジェクトを抽出されたオブジェクトと比較し、そのような比較が成功した場合には、車両のGPS位置の調整、データベースの抽出されたオブジェクトに対する位置情報の調整、又はナビゲーションユニットのディスプレイ上への図形画像としてデータベースにおいて表される抽出されたオブジェクトの表示を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、デジタル地図、全地球測位システム及び車両ナビゲーションに関し、特に、センサにより検出されたオブジェクトとマップマッチングするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数年以内に、ナビゲーションシステム、電子地図(本明細書においてデジタル地図とも呼ばれる)及び全地球測位デバイスは、種々のナビゲーション機能を提供するために益々採用されるようになってきている。そのようなナビゲーション機能の例は、車両の全体的な位置及び向きを判定すること、目的地及び住所を見つけること、最適なルートを計算すること、並びに企業一覧又は職業別電話帳へのアクセスを含むリアルタイム運転案内を提供することを含む。
【0003】
一般に、ナビゲーションシステムは、運転ナビゲーションシステム内で各道路のほぼ中央に沿うセンターラインを含む一連の線分として道路網、河川、建物及び他の人工の地理的特徴を表現する。移動中の車両の場所は、地図上において、そのセンターラインに近接して又はセンターラインに関して特定される。
【0004】
米国特許第4,796,191号公報において説明されるような初期のいくつかのナビゲーションシステムは、「推測航法」機能と共に主に相対位置判定センサに依存し、車両の現在の場所及び方向を推定する。しかし、この技術は、少量の位置誤差を累積する傾向がある。その誤差は、「マップマッチング」アルゴリムにより部分的に修正可能である。マップマッチングアルゴリズムは、地図の道路網の最適な点が実際に見つけられる場合にはそのような点を見つけるために、車両のコンピュータにより計算される推測された位置を道路のデジタル地図と比較する。システムは、地図上のより正確だと考えられる「更新位置」と一致するように車両の推測された位置を更新する。
【0005】
他の形式のナビゲーションシステムは、位置更新データを提供し且つ位置誤差を減少するためにビーコン(例えば、電子道路標識とも呼ばれる場合がある無線標識)を採用した。設置費用が高いことを含むいくつかの理由のために、電子道路標識は非常に低い密度で離間されていることが多かった。これは、別のビーコン又は電子道路標識に直面し且つそれが位置を確認するために使用される前に誤差が受け入れ不可能なレベルまで累積することが多いことを意味する。従って、ビーコンを使用する場合でも、マップマッチング等の技術は、依然として累積した誤差を除去するか又は少なくとも大幅に減少する必要があった。
【0006】
マップマッチング技術は、運転者の現在の場所、向き、近郊、目的地、ルートに関する有意義な「実世界」情報、あるいは特定の移動に沿って直面する目的地に関する情報を提供する際に有用であることを証明している。米国特許第4,796,191号公報で開示された形式のマップマッチングは「推論によるもの」と考えられるだろう。すなわち、開示されたアルゴリズムは、車両の推測された(又は推定された)軌跡を地図に符号化された道路網とマッチングしようとする。車両は、道路網の直接測定値を有さない。ナビゲーションシステムは、単に車両の位置及び方向を推定し、それらの推定値を既知の道路区分の位置及び方向と比較しようとする。一般に、そのようなマップマッチング技術は多次元であり、多くのパラメータを考慮に入れる。道路と推定位置との間の距離及び道路と推定された車両の方向との間の方向の差分が最も重要である。地図は、各道路区分に付けられた絶対座標を更に含むことができる。一般的な推測航法システムは、運転者に地図上で車両の場所を識別させることにより処理を起動してもよい。これにより、推測された位置が絶対座標に関して提供される。次の推測された判定(すなわち、徐々に長くなる距離及び方向の測定値)は、新しい絶対座標の集合を算出し且つ新しい又は現在の推測位置と算出された推測位置の近傍に位置付けられると識別された地図中の道路区分とを比較するために使用される。処理は、車両が移動するのに伴って繰り返される。現在の推測位置の位置誤差の推定値は、位置自体と共に算出される。この誤差推定値は、特定の確率で車両がいる可能性がある空間領域を規定する。判定された車両の位置が道路区分の計算された距離閾値内であり、推定された方向が道路区分情報から算出された方向の計算済み方向差分閾値内である場合、車両が道路のその区分にいることがある確率で推論される。これにより、ナビゲーションシステムは、任意の累積した誤差を除去するために任意の必要な修正を行なえる。
【0007】
手頃な値段の全地球測位システム(GPS)衛星受信機ハードウェアを導入することにより、GPS受信機はナビゲーションシステムに追加され、衛星信号を受信し且つその信号を使用して車両の絶対位置を直接算出できる。しかし、GPSの利点を使用する場合でも、受信したGPS信号内及び地図内の誤差を除去するため及び運転者が地図上のどこにいるかを運転者に更に正確に示すために、一般にマップマッチングが使用される。衛星技術はグローバル又はマクロスケールで非常に正確であるが、小さな位置誤差はローカル又はマイクロスケールで依然として存在する。これは、主に、GPS受信機が断続的な信号受信又は低品質な信号受信又は信号歪みを体験するためであり、また、道路のセンターライン表現及びGPS受信機からの測定位置の双方が数m内程度の精度である可能性があるためである。より高性能なシステムは、推測航法及びGPSの組合せを使用して位置判定誤差を低減するが、この組合せを使用しても、依然として数m以上の誤差が発生する可能性がある。
【0008】
いくつかの例において、適度な距離にわたり利点を提供するために慣性センサが追加可能であるが、より長い距離にわたっては、慣性センサを含むシステムであっても誤差を累積する。
【0009】
しかし、車両のナビゲーションデバイスは、時間と共に徐々に改善されており、より正確になり、機能豊富になり、安価になり且つ普及してきている一方で、それらのデバイスは益々増加する自動車業界の要望に依然として追いついていない。特に、将来の応用では、より高い位置精度及びより詳細で正確な機能豊富な地図を必要とすると予想される。本発明の実施形態は、この分野に対処するように設計される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,796,191号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第60/891,019号公報
【特許文献3】米国特許第6,047,234号公報
【特許文献4】米国特許第6,671,615号公報
【特許文献5】米国特許第6,836,724号公報
【特許文献6】PCT特許出願第PCT_6,011,206号
【特許文献7】PCT特許出願第PCT_6,011,865号
【特許文献8】PCT特許出願第6,132,522号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Huttenlocher: Husdorff−Based Image Comparison(http://www.cs.cornell.edu/vision/hausdorff/hausmatch.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の実施形態は、ダイレクトセンサ及びオブジェクトマッチング技術を提供することにより上述の問題に対処する。ダイレクトセンサ及びオブジェクトマッチング技術は、運転者が通過したオブジェクトの曖昧さをなくし、検索された情報が参照する1つのオブジェクトを正確に明確にするために使用される。この技術により、ナビゲーションシステムは、ユーザが注意することなく位置推定値を改善できる(すなわち、位置推定値の精度を向上できる)。
【課題を解決するための手段】
【0013】
シーンマッチングを使用する一実施形態によると、(a)センサにより収集されたデータ又は生データから1つ以上のシーンを抽出し、(b)地図により提供されたバージョン又は格納されたバージョンの生データから対応するシーンを構築し、(c)車両の位置のより正確な推定値を容易に提供するために2つのシーンを比較するシステムが提供される。
【0014】
車両/オブジェクト位置マッチングを使用する一実施形態によると、(a)センサにより収集されたデータ又は生データから生オブジェクトデータを抽出し、(b)地図により提供されたバージョン又は格納されたバージョンの生データからの地図中に保持された対応する生オブジェクトデータと抽出したデータとを比較し、(c)車両の位置のより正確な推定値を容易に提供するためにオブジェクトデータの2つの基準を比較するシステムが提供される。
【0015】
オブジェクト特徴付けを使用する一実施形態によると、(a)センサにより収集されたデータ又は生データから生オブジェクトデータを抽出し、(b)それらの生オブジェクトから特性を抽出し、(c)車両の位置のより正確な推定値を容易に提供するために地図に格納される特性と抽出した特性とを比較するシステムが提供される。
【0016】
いくつかの実施形態において、自動車のカメラ又はセンサは、車両の近傍の画像を動的にリアルタイムに生成するために使用される。ダイレクトセンサ/オブジェクトマッチング技術を使用して、地図及びオブジェクト情報は、地図データベースから検索され、運転者により閲覧するためにそれらの画像上に重ね合わされる。これは、地図データ及び画像データの位置合わせが正確であるように向き又はプラットフォームを正確に規定することを含む。位置合わせが達成されると、画像は、任意の画像中のオブジェクトに関してデータベースから検索された情報により更に改善される。システムは、向きを直接測定するために高精度のシステムを使用する等の更に費用のかかる他の解決策の必要性を低減する。いくつかの実施形態において、ナビゲーションシステムが近傍のオブジェクトに対してセンサによりマッチングされると、それらのオブジェクトは、運転者が道路を運転する時に運転者を助けるアイコンとして地図ディスプレイ上に正確に表示されてもよい。例えば、停止標識、街灯又は郵便ポストの画像(又はアイコン表現)は、運転者の実際の視点又は観点から正確な位置及び向きで運転者のディスプレイ上に配置される。これらの手がかりとなるオブジェクトは、運転者に自身の正確な位置及び向きを指示するために使用される。いくつかの実施形態において、手がかりとなるオブジェクトは、システムが運転者に明確で実際的な指示を与える目的でマーカとしても使用されてもよい(例えば、「停止標識のところで、右折してCalifornia Streetへ入ってください;目的地は、郵便ポストを4m過ぎたところです」)。
【0017】
いくつかの実施形態において、ナビゲーションシステムが近傍のオブジェクトに対してセンサによりマッチングされると、地図データベースにおいて収集される記号情報等の追加の詳細が表示される。そのような情報は、標識を読み取り且つ自身の環境を理解する運転者の能力を向上するために使用され、標識が運転者にとって読み取るにはまだ遠すぎる場合又は標識が天候又は他の交通により遮られる場合に特に使用される情報である。
【0018】
いくつかの実施形態において、位置及び案内情報は、ヘッドアップディスプレイ(HUD)を使用して運転者の正面の窓又はフロントガラスに投影される。これにより、システムにより提供された正確な位置及び向き情報は、投影ディスプレイを走行する道路と正確に位置合わせされた状態に保持するために使用可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施形態に従って実世界オブジェクトの選択と共に車両ナビゲーション座標系を示す図である。
【図2】車両ナビゲーションシステムの一実施形態を示す図である。
【図3】一実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及びシーンマッチングを使用するマップマッチングを示す図である。
【図4】一実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及びシーンマッチングを使用するマップマッチングの方法を示すフローチャートである。
【図5】別の実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及び車両/オブジェクト位置マッチングを使用するマップマッチングを示す図である。
【図6】一実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及び車両/オブジェクト位置マッチングを使用するマップマッチングの方法を示すフローチャートである。
【図7】別の実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及びオブジェクトの特徴付けを使用するマップマッチングを示す図である。
【図8】一実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及びオブジェクトの特徴付けを使用するマップマッチングの方法を示すフローチャートである。
【図9】別の実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及びセンサ増強を使用するマップマッチングを示す図である。
【図10】一実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及びセンサ増強を使用するマップマッチングの方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書において、センサにより検出されたオブジェクトとマップマッチングするシステム及び方法を説明する。ダイレクトセンサ及びオブジェクトマッチング技術は、運転者が通過したオブジェクトの曖昧さをなくすために使用される。その技術により、ナビゲーションシステムは、位置推定値を改善できる(すなわち、位置推定値の精度を向上できる)。
【0021】
将来のナビゲーション関連の応用例に対しては、GPS又は慣性センサと組み合わされる場合でも道路の中央に対するマップマッチングでは不十分である可能性があると理解される。各方向に2つの走行車線及び両側に駐車車両の車線を含む一般的な車道は、約20mの幅である。道路のセンターラインは、実質的に幅をゼロにして道路を理想的に単純化したものである。推論を用いたマップマッチングは、一般に、車両が位置する道路の特定の車線の位置を容易に特定できないか又は車両が道路に沿う場所を高精度(例えば、5mより高精度)で容易に特定できない。今日の消費者レベルのGPS技術は、種々の誤差要因を有する可能性があるが、全体の位置精度に関して非GPS技術とほぼ同一の結果を与える。
【0022】
地図データベースに格納された情報内及び車両のリアルタイムの位置判定のために取り込まれ且つ使用された情報内ではるかに高いレベルの絶対精度を要求するいくつかのシステムが提案されている。例えば一般的な各車線の幅が約3mであることを考慮すると、デジタル地図又は地図データベースがメートルより小さい絶対精度レベルを有するように構成される場合、並びに双方の車線情報が符号化され且つリアルタイム車両位置システムがメートルより小さい精度レベルで提供される場合、デバイス又は車両は、現在自身が占有している車線を適度な確実性で判定できる。そのような方法は、種々の信号及びWAAS等の技術を導入した。しかし、メートルの絶対精度で地図を生成するには非常に費用がかかり且つ時間もかかる。また、その方法は、その地図中の全ての特徴の位置に対して例えば95%の非常に高い信頼率を有する。同様のレベルの絶対精度、ロバスト性及び信頼度で情報を収集できるロバスト性の高い自動車に基づくリアルタイム位置判定システムを生成するには、非常に高い費用がかかる。
【0023】
他のシステムは、区間マッチングに基づいてオブジェクト情報を検索することを提案する。しかし、そのようなシステムは、特定の道路区間又はブロック区間に対する関係に基づいて自身のメモリからオブジェクトのみを検索する。その時点で、その区間に関連する全てのオブジェクトからの情報は検索され、運転者が使用できるようになる。しかし、依然として、種々のオブジェクトの情報を区別することは運転者次第である。
【0024】
更に他のシステムは、位置推定値を改善するために、プローブデータに基づいてオブジェクトの場所を収集し且つ地図内でそれらのオブジェクトの場所を使用することを提案する。しかし、そのようなシステムは、そのようなシステムを実世界で実際に動作させる方法に関する実際的な解決策を提供しない。
【0025】
ナビゲーションシステムの人気が勢いを増し、基礎となる技術がより高い性能及び費用の減少に関して改善されたため、基礎となる地図データベースへの投資は利用可能なコンテンツ(車載及び車外の双方)を豊富にし、より要求の高いエンドユーザアプリケーションが登場し始めた。例えば企業及び諸官庁は、改善された幹線道路の安全性に対するナビゲーションデバイス及び車両制御機能(例えば、自動運転又は衝突回避において使用される)の使用方法を模索している。これらの多くの進歩した概念を実現するために、より高いレベルのシステム性能が要求される。
【0026】
一実施形態によると、本発明者は、車両の次の世代のナビゲーション機能が車両の近傍のオブジェクトを検出及び測定するために電子センサ及び他のセンサを含むことを予想している。これらのセンサの例は、カメラ(ビデオカメラ及びスチルカメラを含む)、種々の設計パラメータを使用して種々の波長で動作するレーダ、レーザスキャナ、並びに電波方式認識(RFID)及び近接又は無線通信デバイス等の技術と共に使用する種々の他の受信機及びセンサを含む。
【0027】
アプリケーションは、センサがオブジェクトに関して直接測定又は検知するより多くのことを認識することが益々有利になってきている。例えばアプリケーションは、特定の道路標識に書かれていること又は隣接する他のオブジェクトに対するその道路標識の場所を認識する必要があるだろう。これをサポートするために、基礎となるデータベースにそのようなオブジェクトに関するより多くの情報を格納し且つその情報をより知的に使用することが必要とされる。
【0028】
1つの方法は、オブジェクトが空間座標により参照されるか又は道路及び道路属性等の地図データベースに格納された他のオブジェクトに関係して参照される必要がある場合が多いため、電子地図、デジタル地図又はデジタル地図データベースの一部であるオブジェクト情報、あるいはそのようなデータベースにリンクされたオブジェクト情報を格納することである。米国特許第6,047,234号公報、第6,671,615号公報及び第6,836,724号公報において、運転者の体験を向上するためにそのような追加されたオブジェクト情報を使用してもよいアプリケーションの種類の例が説明される。
【0029】
しかし、上述の技術の多くは、道路区分と関連付けられる一般的な属性としてオブジェクトデータを格納する。この特定の方法の欠点は、地図データベースにおけるオブジェクトの高精度な配置の欠如、データベース中の他のオブジェクトに対するオブジェクトの位置の高精度な位置情報の欠如、そのようなオブジェクトの位置を能動的に特定するために車載又は車外センサデータを利用する手段の欠如を含む。これらの技術は、オブジェクト検出センサの支援なしで、車両の位置判定機能が識別した道路区分に沿うか又は近傍にある地図データベース中のオブジェクトに対して車両が通過したオブジェクトを不正確にマッチングさせることのみができる。従来の消費者ナビゲーション技術では、検知したオブジェクトをデータベース中の対応するオブジェクトに正確に且つ一意にマッチングさせるために地図データに加えてセンサの位置測定値を使用する手段が欠如している。
【0030】
いくつかのシステムにおいて、可能性として推測航法及び慣性ナビゲーションセンサ及び推論を用いたマップマッチングを使用して、位置判定の大部分がGPSにより達成される。車両の位置判定の絶対位置及び地図に格納されたようなオブジェクトの位置が大きな誤差(多くの例において10mを上回る)の影響を受けるため、並びに例えば一般的な主要な道路区分又は交差点におけるオブジェクト密度が相対的に近接する範囲内で10個以上のオブジェクトを含む可能性があるため、現在のシステムでは、運転者又はアプリケーションが興味のあるオブジェクトを正確に解決するのが困難である。一般にシステムは、どのオブジェクトが車載センサから可視であるかの概念、あるいはより正確な位置又は向き情報を取得するために又はオブジェクト及びその近傍に関する更なる情報を取得するために検出したオブジェクトをオブジェクトのデータベースにマッチングさせる方法の概念により設計されていない。
【0031】
本明細書において参考として取り入れられる同時係属米国特許出願公開第60/891,019号の「SYSTEM AND METHOD FOR VEHICLE NAVIGATION AND PILOTING INCLUDING ABSOLUTE AND RELATIVE COORDINATES」において、絶対位置及び相対位置(この地図において表現される他の近傍のオブジェクトに対する)の双方を有するオブジェクトを地図データベースに格納する技術が説明される。本明細書で説明するシステム及び方法は、車載センサの将来の使用をサポートし、地図オブジェクトに対する検知したオブジェクトの一意のマッチングを支援する属性を地図データベースに格納すること(あるいは、必要に応じて局所化されたオブジェクト情報を動的に受信すること)を可能にする。米国特許出願公開第60/891,019号では、ロバスト性を有するオブジェクトマッチングアルゴリズムの必要性が識別され、センサにより検出され且つ測定されたオブジェクトを地図中のそれらオブジェクトの表現に対してマッチングする技術が説明される。本発明の実施形態は、直接検知したオブジェクトのマップマッチングを実行する向上された方法を規定する問題にも対処する。
【0032】
図1は、一実施形態に従って実世界のオブジェクトの選択と共に車両ナビゲーション座標系を示す図である。図1に示すように、車両100は、1つ以上の縁石、道路標示、オブジェクト及び道路の設置物を含む車道102、この例では縁石104、車線及び/又は道路標示105(車線分離標又は道路のセンターライン、橋及び陸橋等の特徴を含むことができる)、ガードレール108、郵便ポスト101、出口標識103、道路標識(停止標識等)106及び他の道路のオブジェクト110又は建造物を含む車道102を走行する。それらの道路標示及びオブジェクトの全て、あるいは道路標示及びオブジェクトのうち選択されたものは、システムにより解釈可能なシーン107として考えられる。シーンが本明細書において図1に示すように道路標示及びオブジェクトと共に一例として提供され、多くの他のシーン、並びに種々の道路標示及びオブジェクトが本発明の実施形態により考えられ且つ使用されることは明らかである。
【0033】
道路網、車両及びオブジェクトは座標系118に関して考慮されてもよく、x方向又はx軸120、y方向又はy軸122及びz方向又はz軸124の配置、向き及び動きを含む。一実施形態によると、車両の地図データベースは、従来の道路網及び道路属性に加えてそれらのオブジェクトを格納するために使用される。停止標識、路傍の標識、街灯、信号機、橋、建物、あるいは車線標示又は道路の縁石等のオブジェクトは、眼で容易に見え且つ識別できる物理的なオブジェクトである。本発明の実施形態によると、それらのオブジェクトの一部又は全ては、車両上又は車両内に搭載されるレーダ、レーザ、スキャン式レーザ、カメラ又はRFID受信機等のセンサにより検知される(128)。これらのデバイスは、オブジェクトを検知でき、多くの場合は、車両の場所及び向きに対するオブジェクトの相対的な距離及び方向を測定できる。いくつかの実施形態によると、センサは、オブジェクトのサイズ又は寸法、密度、色、反射率又は他の特性等のオブジェクトに関する他の情報を抽出できる。
【0034】
いくつかの実現例において、システム及び/又はセンサは、車両のソフトウェア及びマイクロプロセッサに埋め込まれるか又は接続され、車両が移動するのに伴って車両がリアルタイムでセンサ出力のオブジェクトを識別できるようにする。図2は、車両ナビゲーションシステムの一実施形態を示す図である。図2に示すように、システムは、自動車、トラック、バス又は任意の他の移動する車両等の車両に配置されるナビゲーションシステム140を含む。別の実施形態は、船舶、航空、ハンドヘルドナビゲーションデバイス、並びに他の動作及び用途において使用するように同様に設計可能である。ナビゲーションシステムは、複数のオブジェクト情報を含むデジタル地図又は地図データベース142を含む。あるいは、この地図データベースの一部又は全てが必要に応じてデバイスと通信される格納された車外部分及び選択された部分であってもよい。一実施形態によると、オブジェクトレコードの一部又は全てがオブジェクトの絶対位置及び/又は相対位置に関する情報(又はオブジェクトから得られる生センササンプル)を含む。ナビゲーションシステムは、測位センササブシステム162を更に含む。一実施形態によると、測位センササブシステムは、オブジェクト特徴付け論理168、シーンマッチング論理170、並びに1つ以上の絶対測位論理168及び/又は相対測位論理174の組合せを含む。一実施形態によると、絶対測位論理は、例えばGPS又はGalileo受信機を含む絶対測位センサ164からデータを取得する。このデータは、車両の絶対位置に関する初期推定値を取得するために使用可能である。一実施形態によると、相対測位論理は、例えばレーダ、レーザ、光(可視)、RFID又は無線センサを含む相対測位センサからデータを取得する。このデータは、オブジェクトと比較して車両の相対位置又は方位に関する推定値を取得するために使用可能である。オブジェクトは、システムに既知であってもよく(この場合、デジタル地図はそのオブジェクトに対するレコードを含む)、あるいは未知であってもよい(この場合、デジタル地図はレコードを含まない)。特定の実現例に依存して、測位センササブシステムは、絶対測位論理及び相対測位論理のうちの一方を含むことができるか、あるいは双方の形式の測位論理を含むことができる。
【0035】
ナビゲーションシステムは、ナビゲーション論理148を更に含む。一実施形態によると、ナビゲーション論理は、図2に示すような複数の追加の構成要素を含む。一部の構成要素がオプションであり、他の構成要素が必要に応じて追加されてもよいことは明らかになるだろう。ナビゲーション論理の中心は、車両位置判定論理150及び/又はオブジェクトを用いたマップマッチング論理154である。一実施形態によると、車両位置判定論理は、センサ及び他の構成要素の各々から入力を受信し、デジタル地図、他の車両及び他のオブジェクトの座標系に対する車両の正確な位置(及び要望に応じて方位)を計算する。車両フィードバックインタフェース156は、車両の位置に関する情報を受信する。この情報は、運転者により使用されるか、あるいは車両により自動的に使用される。一実施形態によると、情報は運転者フィードバックに使用される(この場合、情報は運転者のナビゲーションディスプレイ146にも供給される)。この情報は、位置及び向きフィードバック、並びに詳細なルート案内を含むことができる。
【0036】
いくつかの実施形態によると、車両の近傍のオブジェクトは、システム及び/又は運転者により使用できるように、実際に処理され、解析され且つ特徴付けられる。別の実施形態によると、オブジェクトの特性に関する情報は、センサデータから抽出される必要もなく、また完全に「理解」される必要もない。これらの実施形態において、センサから返される生データのみがオブジェクト又はシーンマッチングに使用される。それら技術の1つ以上を使用するいくつかの種々の実施形態を以下に説明する。
【0037】
シーンマッチング
シーンマッチングを使用する一実施形態によると、(a)センサにより収集されたデータ又は生データから1つ以上のシーンを抽出し、(b)地図により提供されたバージョン又は格納されたバージョンの生データから対応するシーンを構築し、(c)車両の位置のより正確な推定値を容易に提供するために2つのシーンを比較するシステムが提供される。
【0038】
本実施形態の利点は、実現例が相対的に容易に実現され且つ本質的に客観的であることを含む。地図データベースに更なるオブジェクトのカテゴリを追加することは、基礎となるシーンマッチング処理に影響を及ぼさず、その処理を変更することもない。これにより、地図の顧客は、新しい地図のコンテンツが利用可能になるとすぐに利益を得られる。顧客は、アプリケーションプラットフォームの挙動を変更する必要がない。一般に、本実施形態は、より大きい記憶容量及び処理能力を実現することを要求してもよい。
【0039】
図3は、一実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及びシーンマッチングを使用するマップマッチングを示す図である。本実施形態によると、車載ナビゲーションシステムは、任意の特定のオブジェクトを抽出するためにセンサデータを処理する必要はない。センサは、現在検知している空間の2次元(2D)又は3次元(3D)シーンを構築する。検知したシーンは、地図データベースから検索されるように、対応する地図別の2D又は3Dシーン、あるいは一連のシーンと比較される。シーンマッチングは、車両とオブジェクトとの間で適切なマッチングを行なうために使用され、この情報は位置判定及びナビゲーションのために使用される。
【0040】
一実施形態によると、同時係属米国特許出願公開第60/891,019号において更に説明されるように、車両の車載ナビゲーションシステムは、初期段階において、位置の絶対測定値のみを有してもよい。あるいは、米国特許出願公開第60/891,019号において説明された技術を適用してからある期間後には、車両はいくつかの又は多くのオブジェクトに対してマッチングされていてもよく、それらのオブジェクトは、車両の位置及び向きの推定値を改善し、適切な相対座標空間において車両の位置及び向きを規定し、また可能性として絶対座標に基づいてその推定値を改善する。この場合、車両は少なくとも局所相対座標においてより正確な位置及び向きの推定値を有してもよい。いずれの場合においても、本明細書において等確率等高線(CEP)と呼ばれる位置精度の推定値が導出される。
【0041】
いずれの場合においても、ナビゲーションシステムは、現在の推定場所を地図上に配置できる(絶対座標又は相対座標を使用して)。改善されていない絶対位置の場合、CEPは適度に大きくてもよい(10mである可能性がある)。相対位置又は改善された絶対位置の場合、CEPは比例して小さくなる(1mである可能性がある)。ナビゲーションシステムは、現在の方向を推定でき、センサにより構築されるシーンの位置及び方向を規定できる。
【0042】
いくつかの実施形態によると、ナビゲーションシステムにより閲覧されたシーンは、本明細書のいくつかの実施形態において車両空間オブジェクトデータ(VSOD)と呼ばれるレーダデータの2次元投影として又はレーダの3次元リターンマトリクスとして生成される。他の実施形態によると、シーンは、カメラから撮影された画像又はレーザスキャナにより構築された反射マトリクスを含むことができる。更にシーンは、可視光カメラにより収集された画像によりカラー化されたレーダ又はレーザスキャンマトリクスの組み合わせであってもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、解釈されるシーンは、マッチングするオブジェクトが見つけられる可能性が高い領域又は範囲として規定される関心領域(ROI)に限定される。例えばレーザスキャナをセンサとして使用すると、シーンは車載センサからある特定の距離又は特定の高さを表すある特定の角度に限定される。他の実施形態において、ROIは、例えばスキャナから1〜10mの距離、並びに地面及びROIの至近距離の境界における5mの高さにそれぞれ対応する水平面を基準とした−30°と+30°との間の角度に限定される。このROIの境界は、例えば歩道に沿うオブジェクト又は道路の路肩に沿うオブジェクトの全てを取り込むように規定及び調整されてもよい。車両が移動するのに伴い、ROIは、ナビゲーションシステムが最も関心のある領域に焦点を当てることを可能にし、解析する必要があるシーンの複雑さを軽減し且つ同様にそのシーンをマッチングするための計算の必要性を低減する。
【0044】
図3に更に示すように、いくつかの実施形態によると、レーザスキャナ反射クラスタは、地図データベースのオブジェクトから構成されるような3Dシーン上に重ね合わされる。図3に示す例において、車両100が車道を走行し、関心領域180を評価するためにセンサ172を使用する一方で、車両100はデータのクラスタとして検知したオブジェクト182を含むシーン1072を知覚できる。図3に示すように、クラスタは、一実施形態によると約1°であり且つ約5mの距離のところで9cmの正方形の解像度又はボックスを結果として与えるレーザスキャナの解像度に対応する複数のボックスとして閲覧及び表現される。この例においては道路標識であるレーザスキャンクラスタを生成したオブジェクトは、図3においてクラスタ解像度セルの背後に示される。車両ナビゲーションシステムでは、そのオブジェクトは、システムによる潜在的なマッチングのためにROIの任意の他のオブジェクトと共にシーン107として考えられる。
【0045】
一実施形態によると、複数のオブジェクトの各々は、生センサデータ(又はその圧縮バージョン)として地図データベース142に格納される。シーンのオブジェクト184に対する情報は、ナビゲーションシステムにより地図データベースから検索される。図3に示す例は、この例においてはセンサデータの「背後」にある別の道路標識184又は複数のボックスとして、格納された生センサデータ及びオブジェクトの描画を示す。従って、図3は、一般的な3D座標系において計算されるように、オブジェクトシーン194の地図バージョン及び同一のオブジェクトシーン192のリアルタイムセンサバージョンを表す。図3に示すように、オブジェクトシーン192のリアルタイムセンサバージョンは、場合によっては、近傍のオブジェクトからの信号、地図データベース195内のまだ認識されていないオブジェクト(可能性として、物理的なシーンに最近設置され且つ地図に更新されていないオブジェクト)からの信号、並びに不定期なランダムノイズ197を含むシーン内の他のオブジェクトからの外部信号又はノイズを含むことができる。一実施形態によると、初期のクリーンアップは、それらの追加の信号及びノイズを低減するために実行される。2つのシーンは、ナビゲーションシステムによりマッチングされる(170)。結果として得られる情報は、測位センササブシステム162に再び渡される。
【0046】
一実施形態によると、地図データベースは2D空間及び/又は3D空間において規定されたオブジェクトを含む。道路標識等のオブジェクトは、例えば標識の種類、並びに絶対座標及び/又は相対座標での3D座標を記述すると考えられる。地図データは、標識の色、標識柱の種類、標識の言葉又はその向き等の特性を更に含むことができる。更にそのオブジェクトに対する地図データは、例えばレーザスキャナ及び/又はレーダからの生センサ出力の集合を含むことができる。オブジェクトデータは、オブジェクトの画像等の2D表現を更に含むことができる。シーンに見られるように個々のオブジェクトの正確な場所は、シーン内のそれらの場所に関する属性として地図データベースに含まれる。これらの属性は、元のマッピング/データ収集動作中に収集及び処理され、手動又は自動オブジェクト認識技術に基づいてもよい。このステップ中に使用されるいくつかの追加の技術は、同時係属PCT特許出願第PCT_6,011,206号及び第PCT_6,011,865号において開示され、それらの出願の各々は、本明細書において参考として取り入れられる。
【0047】
システムが車両中のセンサの種類、車両のセンサの場所(例えば、センサの地上の高さ、並びに車両の前方中央及びレベルに対するセンサの向き)、並びに車両の場所及び向きの推定値を認識している場合、システムは、車両のセンサにより取り込まれたシーンを複製する地図に含まれるオブジェクトのシーンを算出できる。2つのソースからのシーン(オブジェクトを含む)は、比較又はマッチングの目的で同一の座標参照系に配置される。例えばVSODを利用する実施形態において、車両のセンサにより取り込まれたデータは、車両に対するセンサの位置/向きの既知の関係に加えて車両の場所及び向きの推定値を使用して地図データの座標に配置される。これは車両のシーンである。同時に、地図空間オブジェクトデータ(MSOD)は、地図中のオブジェクト、並びに車両からの位置及び向きの推定値から構成される。これは地図のシーンである。2つのデータソースは、地図データベース、並びに車両及びそのセンサにより含まれた情報に基づいて可能な限り最適に双方のオブジェクトを位置付けるシーンを生成する。追加の誤差がない場合、それらの2つのシーンは、重ね合わされると完全に一致すべきである。
【0048】
車両が採用するセンサに依存して、シーンは、レーダリターンのマトリクス、あるいはレーザの反射又はカラー画素として生成される。一実施形態によると、特徴は、2つのソースから受信されたデータを可能な限り類似するようにするために含まれる。縮尺又は変形は、これを実行するために含まれる。一実施形態によると、ナビゲーションシステムは、2つのシーンにおける生データを数学的に相関できる。例えばシーンが2D「画像」として構成される(且つ本明細書において画像という用語がそのような生データをレーダクラスタ及び無線周波数信号として更に含むように漠然と使用される)場合、2つのシーンバージョン(車両及び地図)は2次元で相関される。シーンが3D「画像」として構成される場合、2つのシーンバージョンは3次元で相関される。図3に示す例を再度考慮すると、図示される2つのシーンが正確に一致しないこと、すなわち検知された位置及び地図別の位置が正確に一致しないことが分かる。これは、車両の位置及び向きの推定値又は地図中のデータに誤差があるためである。この例において、地図のオブジェクトは、依然として車両により検知されたオブジェクトを中心とするCEP内にある。相関は、シーンの3つの座標、すなわちx座標、y座標及びz座標に対して実行され、最適な適合度及び実際には適合レベル、すなわちシーン間の類似レベルが見つけられる。
【0049】
一般に、システムの実行中、設計者は相関関数において使用する最適な範囲及び増分を選択する。例えば車両の地上の推定値が大きく変更される可能性が低いため、z方向又は垂直方向の相関の範囲は、一般に小さいその次元のCEPの距離を含む範囲を有するべきである。y次元(道路/車両の方向と平行)の相関の範囲は、CEPのy成分の距離を含む範囲を有するべきである。同様に、x次元(道路の方向に直交する)の相関の範囲は、CEPのx成分の距離を含む範囲を有するべきである。適切で正確な範囲が種々の実現例に対して判定される。相関に使用された増分距離は、一般に、(a)センサの解像度及び(b)地図データベースに維持されたデータの解像度と関連付けられる。
【0050】
一実施形態によると、シーンは、生センサ解像度点の単純な描写であってもよい。例えばバイナリデータセットは、センサリターンを含む全ての解像度セルに値1を配置し、他の全ての場所に値0を配置する。この例において、相関は単純なバイナリ相関になる。例えば3D空間の任意の遅れに対して、双方のシーンにおいて1であるセルの数をカウントし、双方のシーンにおける1の平均数により正規化される。相関関数のピークを見つけるための探索が行なわれ、2つのシーンが一致すると考えられるのに十分なほど類似するかを判定するために、そのピークは閾値に対してテストされる。相関関数の最大値におけるx遅れ、y遅れ、z遅れは、座標空間における2つの位置推定値間の差分を表す。一実施形態によると、差分は2D、3D及び6自由度のベクトルにより相関の出力として表される。この差分は、車両の位置の誤差を判定し且つ必要に応じてその誤差を修正するためにナビゲーションシステムにより使用される。
【0051】
尚、地図とセンサとの間の不一致は、位置の誤差ではなく向きの誤差の結果である可能性がある。これは大きな誤差要因であると予想されないが、いくつかの実施形態によると、地図のシーンは可能な向きの誤差を一括するために生成される。同様に、システムは、位置を判定する際の誤差の結果として得られた縮尺誤差に合わせて調整するように設計される。
【0052】
上述したように、シーンの相関の一例は、特定のx、y、z位置におけるセンサリターンの有無を示すために0及び1を使用する。本発明の実施形態は、車両に搭載されたカメラにより収集され且つ車両及びスキャナに対して場所が参照されるカラー画像データによりスキャン式レーザデータをカラー化することにより開発されるように、センサからのリターン強度値又は色値等の他の値を使用するように更に拡張される。例えばサイズ、平均レーダ断面、反射率、平均色及び検出した属性である任意の相関の信頼性を更にテストするために、他のテスト方法が相関関数外で適用される。
【0053】
一実施形態によると、センサから受信された画像が処理され、局所最適化又は最小化技術が適用される。極小値探索技術の一例は、Huttenlocher: Husdorff−Based Image Comparison(http://www.cs.cornell.edu/vision/hausdorff/hausmatch.html)において説明される。これは、本明細書において参考として取り入れられる。この方法において、生センサ点はエッジ検出手段により処理され、線又はポリゴンを生成する。あるいは3Dデータセットの場合は、オブジェクトの面を検出するために面検出手段が使用される。そのような検出は、デバイス自体の内部に提供される(例えば、面上の点を規定するレーザスキャナ及び/又はレーダにより出力される面の幾何学的形状データを使用して)。同一の処理が検知されたデータ及び地図データの双方に適用される。いくつかの実施形態によると、計算時間を短縮するために、このように地図データは既に格納されていてもよい。ハウスドルフ距離が算出され、極小値探索が実行される。結果は、十分に高いレベルで一致したかを判定するために、閾値と比較されるか又は相関される。この処理は、計算効率が良く、縮尺及び向きの誤差に対して適切なロバスト性を示す。処理は、ある特定の量のシーンの誤差を許容できる。
【0054】
図4は、一実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及びシーンマッチングを使用するマップマッチングの方法を示すフローチャートである。図4に示すように、ステップ200において、システムは、GPS、推論、マップマッチング、INS又は同様の測位センサ、あるいはそれらの組合せを使用して(初期)位置及び方向情報を見つける。ステップ202において、車載車両センサは、本明細書においてはオブジェクト、道路標示及び他の特徴を含む周囲のシーンの画像を走査又は生成するために使用される。ステップ204において、システムは、周囲のシーンの走査済画像を格納されたシーンの署名と比較する。これらは、デジタル地図データベース又は他の手段により提供される。いくつかの実施形態によると、システムは、センサデータ「生」出力のクラスタを相関し、相関関数が最大値に達して一致を十分に認識できるかをテストするために閾値を使用する。ステップ206において、車両の位置及び方向は、いくつかの実施形態では相関関数の最大値を判定する遅れ(2次元又は3次元)に基づく算出を含む走査/署名相関を使用してデジタル地図における既知の場所と比較して判定される。ステップ208において、更新された位置情報は、車両、システム及び/又は運転者に報告される。
【0055】
車両/オブジェクト位置マッチング
車両/オブジェクト位置マッチングを使用する一実施形態によると、(a)センサにより収集されたデータ又は生データから生オブジェクトデータを抽出し、(b)地図により提供されたバージョン又は格納されたバージョンの生データからの地図中に保持された対応する生オブジェクトデータと抽出したデータとを比較し、(c)車両の位置のより正確な推定値を容易に提供するためにオブジェクトデータの2つの基準を比較するシステムが提供される。
【0056】
本実施形態の利点は、実現例が客観的であり、他のオブジェクト比較技術を容易に組み込めることである。本実施形態は、上述のシーンマッチングより少ない処理能力を必要とする可能性がある。しかし、抽出は地図中に格納されるカテゴリに依存する。新しいカテゴリが導入される場合、地図の顧客は自身のアプリケーションプラットフォームをそれに従って更新する必要がある。一般に、地図の顧客及び地図プロバイダは、使用される格納されたカテゴリを事前に決定すべきである。本実施形態は、より大きな記憶容量を必要とする可能性がある。
【0057】
図5は、別の実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及び車両/オブジェクト位置マッチングを使用するマップマッチングを示す図である。一実施形態によると、上述したシーンマッチング及び相関関数は、オブジェクトの抽出及びハウスドルフ距離計算等の画像処理アルゴリズムと置換される。画像処理アルゴリズムは、マッチングするオブジェクトを判定するための最小値を見つけるために探索される。そのような実施形態は、最初に生センサデータからオブジェクトを抽出する必要がある。そのような計算は、画像処理の技術において周知であり、より少ない計算量で複雑なシーンにおいてオブジェクト又はシーンを一致させるのに有用である。従って、これらの計算技術は、リアルタイムナビゲーションシステムにおいて使用される。
【0058】
図5に示す例により示されるように、いくつかの実施形態によると、レーザスキャナ及び/又はカメラ等のセンサデータから抽出されたオブジェクトは、地図データベース中のオブジェクトから構成されるような3Dオブジェクトシーンに重ね合わされる。車両100は、車道を移動し、関心領域(ROI)180を評価するためにセンサ172を使用する一方で、データのクラスタとして検知したオブジェクト182を含むシーン107を知覚できる。図3を考慮して上述したように、クラスタはレーザスキャナ又は他の検知デバイスの解像度に対応する複数のボックスとして閲覧及び表現される。この例においては道路標識であるレーザスキャンクラスタを生成したオブジェクトは、図5においてクラスタ解像度セルの背後に示される。一実施形態によると、オブジェクトはポリゴン又は単純な3D固体オブジェクトとして検出又は抽出される。複数のオブジェクトの各々は、生センサデータ(又はその圧縮バージョン)として又はオブジェクト184に対する情報を含むポリゴンとして地図データベース142に格納される。センサから受信された画像は処理され(210)、局所最適化又は最小化技術212が適用される。極小値探索技術の一例は、上述のハウスドルフ技術である。上述したように、この方法において、生センサ点はエッジ検出手段により処理され、線又はポリゴンを生成するか、あるいは3Dデータセットの場合は、オブジェクトの面を検出するために面検出手段が使用される。そのような検出は、デバイス自体の内部に提供される(例えば、面上の点を規定するレーザスキャナ及び/又はレーダにより出力された面の幾何学的形状データを使用して)。同一の処理が検知されたデータ216及び地図データ214の双方に適用される。いくつかの実施形態によると、計算時間を短縮するために、このように地図データは既に格納されていてもよい。ハウスドルフ距離が計算され、極小値探索が実行される。結果は、十分に高いレベルで一致したかを判定するために閾値と比較されるか又は相関される(220)。この処理は、計算効率が良く、縮尺及び向きの誤差に対して適切なロバスト性を示す。処理は、ある特定の量のシーンのノイズを許容できる。結果として得られる情報は、車両及び/又は運転者が更に使用できるように、測位センササブシステム162又は車両フィードバックインタフェース146に戻される。
【0059】
いくつかの実施形態によると、ハウスドルフ技術は、データベースの点の閾値距離内にある物点の一部を判定するために使用され、閾値に対してテストされる。そのような実施形態は、x方向及びz方向の座標シフト、並びにy方向のシフト(誤差)に関連する変倍係数を算出するために使用される。
【0060】
尚、ハウスドルフ距離技術は、画像及びオブジェクトマッチングの技術に精通しているユーザに周知の多くのアルゴリズムのうちの1つである。他の実施形態によると、種々のアルゴリズムが当面のマッチング問題に適切に適用される。
【0061】
上記例は、単一のオブジェクトのみが車両のセンサにより検知されるように地図において存在するか又は考慮される単純な例を説明した。実世界において、オブジェクトの密度は、複数のオブジェクトが相対的に近接して(例えば、1〜3m離間して)存在するような密度であってもよい。これらの状況において、ハウスドルフ技術等の最適化及び最小化技術が特に使用される。そのような状況において、詳細な相関関数及び/又はハウスドルフ距離計算はオブジェクトの全ての特徴(センサにより受信されるような)をマッチングさせるのに十分なほどの感度を有する。従って、オブジェクトの集合が不正確にマッチングされる可能性は低い。例えば複数のオブジェクトの間隔がほぼ同一であるが、詳細な相関は、相関のピークを明確に識別し、例えば郵便ポストを街灯と誤って相関することもなく、街灯を停止標識と誤って相関することもない。
【0062】
上述の方法は、ある特定の誤差の影響を受ける。一般に、位置又は向きの任意の誤差は、車両とシーンの地図バージョンとの間のx、y、z座標の単なるシフトより複雑になる。向きの誤差は遠近感の差分を導入する可能性があり、場所の誤差は縮尺(サイズ)の誤差をもたらす可能性がある。その双方の結果として、相関関数の全体的なピークが低下する。車両が適切な(小さい)CEP及び妥当な向きの推定値を有する場合、これは、一般に車両が1つ以上の先行するオブジェクトマッチングを行なう場合に当てはまり、それらの誤差はマッチング性能に大きく影響を及ぼさない。更にいくつかの実施形態によると、シーンの集合は、それらの誤差を一括するように構成され、各々に対して実行された相関又は選択されたマッチングアルゴリズムは、そのような不一致を適度に許容してもよい。任意の特定の実現例の必要性に依存して、設計者は、種々の性能基準に基づいて追加の計算費用とより適切な相関/マッチング性能との間の妥協点を判定できる。上記任意の説明において、相関/マッチングの結果が最小閾値を超えない場合、このセンサシーンに対してマップマッチングは失敗する。これは、位置/向きが大きすぎる誤差を有するため及び/又はCEPが小さすぎる値に誤って算出されるために起こる可能性がある。更にこれは、地図取得中に存在しなかった車両のシーンにおいて可視である一時的なオブジェクトが多すぎる場合に起こる可能性がある。歩行者、駐車車両、建築設備等の項目は、動的にシーンを変更する。また、収集されたオブジェクトの数及び分布対本当のシーンを構成し且つセンサにより検出されるオブジェクトの数及び分布は相関性能に影響を及ぼす。多すぎるオブジェクトの収集は不必要であり、これにより費用が増加し且つプロセッサの負荷も増加する。これに対して、存在するオブジェクトのうち収集するオブジェクトが少なすぎると、システムは、相関ノイズが多すぎるため信頼性の高いマッチングを行なえない。地図に格納されるオブジェクトの密度及び種類は、センサ及び所望の性能レベルに依存する工学パラメータである。マッチング関数は、車両により検知された全てのオブジェクトが地図中に存在するわけではないことを考慮すべきである。
【0063】
一実施形態によると、地図が大きくなりすぎず且つ大きすぎるデータセットにならない十分な数のオブジェクトを格納することを保証するために使用される方法の1つは、取り込まれるオブジェクトの現実性の自己相関シミュレーションを実行し、その一方で関心アプリケーションに対する適切な相関を達成するために収集されたオブジェクトの十分な部分集合を地図にポピュレートすることである。そのようなシミュレーションは、車両の可能な各位置及びオブジェクト、並びに/あるいはノイズシミュレーションに対して行なわれる。
【0064】
相関/画像処理閾値を超える場合、最大値は、構成された種々の地図のシーンに対して実行される種々の相関/画像処理から算出される。相関/画像処理により、地図の既知のオブジェクトは車両のシーンにおける特定のシーンのオブジェクトとマッチングされる。車両のセンサがレーダ又はレーザスキャナ等のセンサにより相対位置を測定できるセンサである場合、車両に対する全6自由度がデータベース中のオブジェクトの精度(相対的及び絶対的)及びセンサに関連する誤差に対して判定される。個々のセンサクラスタリターン又は車両のシーンにおける抽出されたオブジェクトポリゴンとマッチングされる個々のオブジェクト生データクラスタ又は抽出されたオブジェクトポリゴンをテストすることにより、システムは、シーン相関処理が結果として正確なマッチングを与えたことを確認するために多くの妥当性チェックを行なえる。結果は、将来の応用により必要とされるより高い精度を可能にする。別の実施形態によると、シーンマッチング及び6自由度の推定により、道路地図がリアルタイム画像(PCT特許出願第6,132,522号において説明されるリアルタイム画像等)と高精度で重ね合わされること又は次の道路と位置合わせすることを意図する経路のHUD表示において描画を調整することが可能になる。これらの実施形態の場合、出力は特に向き成分に影響されやすく、一般に向き成分は推論に基づく形式のマップマッチングを使用して利用できない。
【0065】
いくつかの実施形態によると、オブジェクトマッチングは、一連の段階で実行されてもよい。車線標示又は縁石等の線形オブジェクトは、検出され且つデータベース中の類似するオブジェクトと比較される。そのような線形特徴は、一方向(車線標示に対して直交方向、すなわち移動方向に対して直交方向)に車両の場所を特定し易くできるという特性を有する。そのようなオブジェクトマッチングは、上記図1に示すy方向に対して(すなわち、車両の方向とほぼ同一である車線標示に直交する方向又は道路の方向に直交する方向に対して)車両の場所を正確に判定してもよい。このマッチングは、y方向のCEPを減少し、その結果、低品質のy測定に関連する縮尺誤差を含む他のシーンの誤差を低減する。これにより、y軸の相関計算が低減される。特定の実施形態に依存して、これらのステップは、単一のセンサ、あるいは別個のセンサ又は別個のROIにより使用可能にされる。
【0066】
図6は、一実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及び車両/オブジェクト位置マッチングを使用するマップマッチングの方法を示すフローチャートである。図6に示すように、ステップ230において、システムは、GPS、推論、マップマッチング、INS又は同様の測位センサを使用して(初期)位置及び方向情報を見つける。ステップ232において、システムは周囲のシーンの画像を走査又は作成するために車載車両センサを使用する。ステップ234において、システムは、エッジ検出、面検出、ポリゴン選択及びオブジェクトを抽出するための他の技術を使用してシーンの複雑さを軽減するために画像処理技術を使用する。ステップ236において、システムはオブジェクトの選択及びシーン内のオブジェクトのマッチングを行なうために画像処理を使用する。ステップ238において、システムは、更新された車両位置情報を計算し且つ車両及び/又は運転者に報告するために一致したオブジェクトを使用する。
【0067】
オブジェクトの特徴付け
オブジェクトの特徴付けを使用する一実施形態によると、(a)センサにより収集されたデータ又は生データから生オブジェクトデータを抽出し、(b)それらの生オブジェクトから特性を抽出し、(c)車両の位置のより正確な推定値を容易に提供するために地図に格納される特性とそれらの特性とを比較するシステムが提供される。
【0068】
本実施形態の利点は、実施形態がより小さい処理能力及びより少ない記憶容量を必要とすることを含む。新しい特性が徐々に導入されることにより、地図プロバイダはより頻繁に地図データを再配布する必要がある。正常に抽出することは、地図に格納されるカテゴリに依存する。新しいカテゴリが導入される場合、地図の顧客は自身のアプリケーションプラットフォームの特性を変更する必要がある。一般に、地図の顧客及び地図プロバイダは使用される格納されたカテゴリを事前に決定すべきである。
【0069】
図7は、別の実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及びオブジェクトの特徴付けを使用するマップマッチングを示す図である。図7に示すように、本実施形態によると、車両は生センサデータを処理し、オブジェクト246を抽出し、少なくとも場所、並びに可能性としてサイズ、特定の寸法、色、反射率及びレーダ断面等の他の属性を有する既知のオブジェクト244と抽出したオブジェクトとをマッチングするためにオブジェクト特徴付けマッチング論理168を使用する。当業者には周知であるように、多くの種々のオブジェクト識別/抽出アルゴリズムが使用される。高性能のオブジェクト抽出は計算費用が高いが、この問題は、新しいアルゴリズム及び専用プロセッサが開発されるのに伴って小さな問題になってきている。
【0070】
上述の実施形態と同様に、ある初期段階において、車両は位置の不正確な絶対測定値のみを有する可能性がある。あるいは、同時係属発明又はセンサにより向上された他の形式の位置判定を適用してからある期間後には、車両は、適切な相対座標空間において車両の位置/向きを規定した多くではないがいくつかのオブジェクト又はオブジェクトのシーンに対してマッチングされていてもよい。これにより、可能性として車両の絶対座標推定値も改善されていてもよい。この場合、マッチングの結果は、少なくとも相対座標及び可能性として絶対座標のより正確な位置及び向き推定値であってもよい。
【0071】
いずれの場合においても、ナビゲーションシステムは、地図の座標空間に現在の推定場所を配置でき(絶対座標又は相対座標を使用して)、位置精度の推定値は導出され且つCEPで具体化される。改善されていない絶対位置の場合、CEPは適度に大きくてもよく(例えば、10m)、相対位置の場合、CEPは比例して小さくなる(例えば、1m)。いずれの場合においても、CEPは地図座標に対して算出され、多角形内点アルゴリズム又は単純な距離アルゴリズムは、そのCEP内にあり且つセンサにより検出された1つ又は複数のオブジェクトに対して潜在的な一致するものである地図のオブジェクトを判定するために採用される。これは、2D又は3D空間において実行されてもよい。
【0072】
例えば車両が適度に混雑する交差点に近づいており、センサがある範囲及び方位でオブジェクトを検出し、位置推定値と組み合わされる場合に歩道の曲がり角において検出したオブジェクトのCEPを置く場合、CEP内に1つのオブジェクトのみが存在する時は、マッチングは既に達成されている可能性がある。検証の目的で、オブジェクトの特徴付けマッチングが実行されてもよい。
【0073】
種々の実施形態によると、各センサは、固有のオブジェクトの特徴付け機能を有してもよい。例えばレーザスキャナは、ある特定の解像度でのオブジェクトの形状、そのサイズ、平坦さ及び反射率を測定できる。カメラは、形状、サイズ及び色に関連する情報を取り込んでもよい。カメラは、オブジェクトまでの相対的に不正確な距離推定値のみを提供する可能性があるが、複数の角度から同一のオブジェクト見ることにより又は複数のカメラを有することによりオブジェクトまでの正確な距離推定値を算出するのに十分な情報を取り込んでもよい。レーダは、可能性として密度を測定してもよく、あるいは少なくともレーダサイズ又は断面を提供し且つその解像度に依存して形状を識別できてもよい。
【0074】
一実施形態によると、オブジェクトには「コーナ反射器」等を含むレーダ反射増強装置が装着される。これらの安価で小さいデバイスは、検出性を向上するか又は検出される範囲を拡大するようにオブジェクトに装着可能である。これらのデバイスは、検知したオブジェクトのより大きな署名内に強力な点のようなオブジェクトを作成することにより空間拡張されたオブジェクトの場所を正確に特定できる。従って、センサに依存して、オブジェクトのマッチングを検証するために使用されるオブジェクトのいくつかの特徴付け特徴が存在してもよい。
【0075】
当業者は、センサデータを地図データとマッチングさせるために上述の特性を使用する追加の方法を構成できる。特定の一実施形態によると、レーザスキャナ情報(距離及びθ−プラットフォームの水平線に対する対頂角)は、回転レーザからコヒーレント光を透過し、入射する第1のオブジェクトから反射する光を受け入れることにより測定され、以下のアルゴリズムに従ってデータベース中のオブジェクトとマッチングするために使用される。
【0076】
・オブジェクト{距離,θ,値}からセンサリターンを受け取る。
【0077】
・センサの基本解像度セルより大きいオブジェクトの場合、任意の適切な技術によりリターンの集合を集約する。レーザスキャナデータに対する集約の例は、例えばランダムサンプルコンセンサス(RANSAC)アルゴリズム等のアルゴリズムを使用することによる出力メッシュ生成及び更なる面(ポリゴン)生成を含む。その一例は、本明細書に参考として取り入れられるPCT特許出願第6,011,865号において説明される。画像に対する集約の例はベクトル化を含み、出力は同一の色の画素を含むポリゴンである。
【0078】
・集約したセンサ測定値から、オブジェクトの中心を算出する(重心の計算又は他の推定技術を使用して)。
【0079】
・センサにより測定されたオブジェクトの中心に対する算出した距離及び角度+車両プラットフォームに対するセンサの位置及び向き情報+車両の推定位置(絶対座標又は相対座標)、並びにオブジェクトが地図データベースにより使用される空間座標系内になるように算出される場所を特定するためのセンサ位置精度(CEP)及び車両の位置の組合せ推定精度を使用する。CEPは、オブジェクトの場所の不確かさを表す面積(2D)又は体積(3D)である。あるいは、オブジェクトの中心を使用するのではなく、地面と接触する時のオブジェクトの推定場所を使用できる。
【0080】
・CEPにより規定される面積又は体積内で推定地図座標を中心とする地図内の全てのオブジェクトを検索する。面積又は体積は、設計が3Dマッチングに対するものか又は2Dマッチングに対するものかを示す関数である。
【0081】
・検索した地図のオブジェクト毎に、(i)検知したオブジェクトの推定位置からその検索したオブジェクトの中心までの測定距離Diを算出し、各距離をオブジェクトIDと共に格納する。
【0082】
・利用可能である場合は、検索したオブジェクト毎に、検知したオブジェクトの測定された形状(高さ、幅、奥行き等の組合せ)を格納された各検索オブジェクトの形状と比較する。形状特性係数C1を算出する。複雑な形状の代わりに、高さ、幅及び奥行きが別個に比較されてもよい。そのような形状特性は、物理的運動量計算、Blair Bliss係数、Danielson係数、Haralick係数又は任意の他の適切な特性等の任意の種々の利用可能な方法に従って測定される。
【0083】
・利用可能である場合は、検索オブジェクト毎に、測定された平坦性を格納された平坦性の測定値又は分類=標識オブジェクト等のオブジェクトの種類の分類と比較する。利用可能である場合は、平坦性特性係数C2を算出する。平坦なオブジェクトの平面の向きが測定される場合、それも特性となる。
【0084】
・利用可能である場合は、検索オブジェクト毎に、測定された反射率を格納されたオブジェクトの反射率の測定値と比較する。反射率特性係数C3を算出する。
【0085】
・利用可能である場合は、検索オブジェクト毎に、センサにより検出されたオブジェクトと関連する色を地図に含まれるオブジェクトと関連する色と比較する。色特性係数C4を算出する。そのような1つの比較の方法はハウスドルフ距離であり、距離はユークリッド距離ではなく淡色距離である。
【0086】
・利用可能である場合は、検索オブジェクト毎に、任意の他の測定特性を地図データベース中のオブジェクトに対して格納されたその特性の類似する測定値と比較する。特性係数Ciを算出する。一実施形態によると、全ての係数は0〜1の正数に正規化される。
【0087】
・ロバスト性を有するマッチングに対する各特性の判定された影響の受けやすさの好適な重み付けWiに従って利用可能な特性の計算係数Ciを重み付けする。
【0088】
・重み付きスコアを合計し、受け入れ閾値を超える全ての重み付きスコアを正規化及び選択する。すなわち:
正規化重み付きスコア=(Wi*Ci)の合計/(Wi)の合計<>閾値
・閾値を超えるオブジェクトが存在しない場合、現在の測定値の集合に対するオブジェクトマップマッチングを拒否する。
【0089】
・1つのオブジェクトが存在する場合、これをセンサによりマッチングされたオブジェクトとして受け入れる。例えば車両の位置及び向きを更新/改善するための情報を要求するアプリケーションに従ってそのオブジェクトの座標、特性及び属性を渡す。
【0090】
・2つ以上のオブジェクトが存在する場合、重み付きスコアに従ってそれらのオブジェクトをランク付けする。最大の重み付きスコアが2番目に大きい重みスコアよりマッチング距離に関して閾値を上回るだけ近接する場合、センサによりマッチングされたオブジェクトとして最近接するものを選択し、それ以外の場合、現在の測定値の集合に対するオブジェクトマップマッチングを拒否する。
【0091】
マッチングアルゴリズムに影響を及ぼすためにそのような特性情報を利用する多くの方法が存在することは、当業者には理解されるだろう。
【0092】
上述のアルゴリズムは、マッチング誤差が殆ど起きないようにする厳密なテストを提供する。一実施形態によると、オブジェクトは、多くのマッチングテストが拒否されるような密度で地図データベースに格納され、マッチングの頻度は、依然として相対座標空間において正確な場所及び向きを保持するのに十分である。
【0093】
2つ以上のオブジェクトが検知され且つ2つ以上のオブジェクトがCEPにある場合、上記アルゴリズムのより複雑なバージョンが使用されてもよい。検知された各オブジェクトは、上述したように比較される。更に、検知されたオブジェクトの対は、それらのオブジェクトの間の測定された関係を表す(例えば、1つの対は4°の相対方位差で2m離間されてもよい)。この追加された関係は、状況の曖昧さをなくすために上述の重み付けアルゴリズムにおいて比較される特性として使用可能である。1つのオブジェクト又はオブジェクトの集合がマッチングされると、それらの特性及び属性は要求する機能に渡される。
【0094】
2つ以上のオブジェクトが検知されるがそれらのオブジェクトが分解されない場合、検知され且つ分解されないオブジェクトは単一の複雑なオブジェクトとして考えられてもよい。地図データベース中の収集されたオブジェクトは、異なるセンサ毎に又は種々のパラメータを有する種々のセンサ毎に分解されるか又は分解されないオブジェクトとして特徴付けられる。
【0095】
一般に、車載アプリケーションをサポートすると考えられるセンサは、多くのセンサ解像度セルがオブジェクトからの応答を含むような解像度を有するべきである。上述の実施形態において、オブジェクトの特定の特性は、この多くの解像度セルから抽出される。例えばオブジェクトの位置は、拡張オブジェクトの平均又は重心測定値、あるいはオブジェクトが地面に接触する場所により規定される。
【0096】
図8は、一実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及びオブジェクトの特徴付けを使用するマップマッチングの方法を示すフローチャートである。図8に示すように、ステップ250において、システムは、GPS、推論、マップマッチング、INS又は同様の測位センサを使用して(初期)位置及び方向情報を見つける。ステップ252において、車載車両センサは、周囲のシーンの画像を走査するために使用される。ステップ254において、システムはシーン(又は関心領域ROI)からオブジェクトを抽出する。ステップ256において、オブジェクトはセンサデータを使用して特徴付けられる。ステップ258において、システムは検知されたオブジェクトの位置を地図データベースの位置と比較する。システムは、オブジェクトの特徴付けを比較できる。ステップ260において、位置が一致すること及び比較がある特定の閾値を満たすことをシステムが判定した場合、システムはオブジェクトに対して一致を判定する。ステップ262において、位置情報が更新され且つ/又は運転者フィードバックが提供される。
オブジェクトIDセンサ増強
図9は、別の実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及びセンサ増強を使用するマップマッチングを示す図である。上述した実施形態において、一般にオブジェクトは、支援なしのセンサ測定値に基づいてナビゲーションシステムにより検出及び評価された。一実施形態によると、センサ測定値は、増強デバイスにより支援又は増強される。増強は、例えばレーダ又はレーザ反射器の使用を含むことができる。この例において、増強デバイスは、オブジェクトの特定の場所からのリターンを人工的に明るくするレーザ反射器であってもよい。そのような明るいスポットの存在が取り込まれ且つ地図データベースに格納され、マッチング処理において支援するために、並びに位置及び向きを測定するための局所化された適切に規定された点になることを支援するために後で使用される。そのようなコーナ反射器等は、レーダ及びレーザ技術において周知である。
【0097】
別の実施形態によると、システムはRFIDタグ等のIDタグ270を使用できる。そのようなデバイスは、適切な受信機により容易に検出され且つ識別子又はIDを生成するように復号化される識別コードを送信する。IDはルックアップされるか、あるいは地図データベース内にあるか又は地図データベース又は他の空間表現と関連付けられるID272のテーブルと比較される。IDは、特定のオブジェクトと関連付けられるか、あるいはオブジェクト274の種類又は分類(例えば、停止標識、郵便ポスト又は道路の曲がり角)と関連付けられる。一般に、停止標識等の標識の間隔及び車両の位置推定値の精度は、どの検知されたオブジェクトがどのRFIDタグと関連付けられるかに関する不確かさ又は曖昧さを回避するのに十分である。このように、オブジェクト識別機276又はマッチングアルゴリズムは、検知したオブジェクトを地図の適切な地図オブジェクトと明確にマッチングさせるある特定の高速な手段を含むことができる。
【0098】
別の実施形態によると、システムは例えば反射器とのRFID技術の組合せを使用できる。RFIDが反射器と同一の場所に配置される場合、これは、正の識別文字としての役割を果たすことができる。更にRFIDは、反射器(又は他のセンサ)が車載センサ、例えばスキャン式レーザにより照明される場合にのみ、固有の識別コード又は追加のフラグを同報通信するように制御される。これは、デバイスがトランスポンダとして動作することを可能にし、信号の受信とRFIDタグの受信との間の高精度な時間相関を生成する。この正のIDマッチングは、任意のそのようなマッチングの信頼度及び位置精度の双方を向上するため、上述の空間マッチング技術のいくつかを向上する(且つ不必要にする可能性もなる)。この技術は、特にオブジェクトが密集している状況又はRFIDタグの高密度電磁界において有用である。
【0099】
別の実施形態によると、バーコード、セマコード(2次元バーコードの形態)又は同様のコード及び識別デバイスが光検知デバイス及び他の検知デバイスにより読み取られるのに十分なサイズでオブジェクトの上に配置される。カメラ又はビデオ画像等のセンサリターンは、そのようなコードを検出し且つ読み取り、それらのコードを格納された地図データと比較するために処理される。高精度でロバスト性のあるマッチングは、このように実行される。
【0100】
図10は、一実施形態に従ってセンサにより検出されたオブジェクトの特徴付け及びセンサ増強を使用するマップマッチングの方法を示すフローチャートである。図10に示すように、ステップ280において、システムは、GPS、推論、マップマッチング、INS又は同様の測位センサを使用して(初期)位置及び方向情報を見つける。ステップ282において、システムは周囲のシーンの画像を走査するために車載車両センサを使用する。ステップ284において、システムは、更なる識別のためにシーンから1つ以上のオブジェクトを選択する。ステップ286において、システムは、それらのオブジェクトに対するオブジェクトIDを判定し、その情報を使用して格納されたオブジェクトID(地図データベース等の)と比較し且つ正確なオブジェクトIDを提供する。ステップ288において、システムは更新された位置情報に対して、運転者フィードバックを提供するために識別されたオブジェクトを使用できる。
【0101】
追加の特徴
上記図に示すシーンが作成される多くの可能なシーンのうちの一部のみを表すことは明らかである。x−z相関はそれら2次元で最適な一致を見つけるように設計される。しかし、ナビゲーションシステムの位置及び向き推定値の任意の他の座標において誤差がある場合、シーンは可能な限り相関しない。種々の実施形態によると、追加の特徴及びデータがこの誤差を減少し且つ相関を改善するために使用される。
【0102】
例えば、車両の方向を考慮する。自動車は名目上は道路に平行な方向を向くが、車線を変更する可能性があるため、方向は厳密には道路の方向でない。車両のナビゲーションシステムは、道路、並びにGPS及びINSセンサのような慣性センサに基づいて方向を推定する。しかし、依然として車両の現実の瞬間的な方向対車両の推定方向には数度の誤差がある可能性がある。センサが車両に固定して搭載されるため、車両の方向からセンサの方向(指示方向)に回転する場合に導入される誤差は殆どない。依然として方向誤差の組合せ推定値は存在する。地図データからのシーンの算出は、ある特定のオブジェクトの構成の下では方向誤差の影響を受け易い。現在の実施形態の場合、他のシーンは推定方向を一括する種々の方向で地図のオブジェクトから算出される。これらの種々の方向のシーンは、上述のように各々が車両のシーンと相関され、最大相関を見つける。方向のシーンの選択又は範囲及び方向のシーンの増分(例えば、方向の1°毎に1つのシーン)は、実現されるシステムの設計者に任される。
【0103】
車両の縦揺れを考慮する。殆どの場合、車両の縦揺れは路面に平行である。すなわち、道路と同一の傾きである。オブジェクトの地図データベースは、道路の縦揺れに対してオブジェクトを格納できるか、あるいは縦揺れ(傾き)を直接格納できる。車両の傾きからの縦揺れの偏差が存在する可能性がある。例えば加速及び減速は、隆起及び窪みと同様に自動車の縦揺れを変化させる。ここでも、それらの縦揺れの変化は測定され、縦揺れの誤差が数度であると仮定すべきである。地図データからのシーンの算出は、ある特定のオブジェクトの構成の下では縦揺れの誤差の影響を受け易い。現在の実施形態の場合、他のシーンは推定縦揺れを一括する種々の縦揺れで地図のオブジェクトから算出される。これらの種々の縦揺れのシーンは、それぞれ車両のシーンと相関され、最大相関を見つける。ここでも、縦揺れのシーンの選択又は範囲及び縦揺れのシーンの増分(縦揺れの1°毎に1つのシーン)は実現されるシステムの設計者に任される。最大相関は、車両の縦揺れの推定値を修正するためにフィードバックを提供する。
【0104】
車両の横揺れを考慮する。殆どの場合、車両の横揺れは路面に平行する。すなわち、車両は運転者側にも同乗者側にも傾いておらず、一直線に且つ水平に進んでいる。しかし、一部の道路上には明らかに盛り上がった部分がある。従って、道路は平坦でも水平でもなく、自動車は例えば1つの外側の車線をその盛り上がり部分の頂点から離れる方向に走行している場合に水平位置から数度の横揺れを体験する。地図は、道路に関する横揺れ情報を属性として含んでもよい。更に隆起及び窪み等によるものと同様に車両の実際の横揺れの偏差が存在する可能性がある。ここでも、それらの全ての横揺れの変化が測定されるが、横揺れには数度の誤差が起こる可能性があることを仮定すべきである。地図データからのシーンの算出は、ある特定のオブジェクトの構成の下では横揺れ誤差の影響を受け易い。現在の実施形態の場合、他のシーンは推定横揺れを一括する種々の横揺れで地図オブジェクトから算出される。これらの種々の横揺れのシーンの各々は車両のシーンと相関され、最大相関を見つける。ここでも、横揺れのシーンの選択又は範囲及び横揺れのシーンの増分(例えば、横揺れの1°毎に1つのシーン)は実現されるシステムの設計者に任される。最大相関は、車両の横揺れの推定値を修正するためにフィードバックを提供できる。
【0105】
車両のy位置、すなわち移動方向に直交する車両の位置を考慮する。これは、殆どの場合、車両がいる車線の基準又は道路のセンターラインからの車両の変位の基準である。更にこれは、車両がいる車線を判定するための基本的な測定値である。従来の推論によるマップマッチングは、この推定を行なう方法を有していなかった。車両が道路に一致すると判定された場合、車両は道路のセンターライン上に又はセンターラインからある算出された距離のところに配置され、それ以上精細な推定は行なえなかった。これは、自動車がいる車線の知識を必要とするアプリケーションにとっては全く十分でない。
【0106】
車両のy位置は、車両がいる車線に依存して変動する。車両の位置の判定は、絶対位置を推定するが、その影響を受け易い次元に大きな誤差を有する可能性がある。y次元の誤差は、CEPにより推定され且つ結果的に数mになると仮定されるべきである。一般にy位置の誤差は、結果としてシーンの縮尺変化をもたらす。従って、例えばy位置が歩道により近い場合、歩道にあるオブジェクトはより大きく且つより離れて見え、逆にy位置が道路のセンターラインにより近い場合、歩道のオブジェクトはより小さく且つより近接して見える。上述したように、地図データからのシーンの算出は、シーンが例えば現在の実施形態のように相対座標で生成される場合、車両のy位置の影響を受け易い。(シーンが絶対座標で生成される場合、サイズは縮尺に依存しない。)現在の実施形態の場合、他のシーンは、推定y位置を一括する種々のy位置で地図オブジェクトから算出される。ここでも、y位置のシーンの範囲の選択及びy位置のシーンの増分(例えば、y位置の1m毎に1つのシーン)は、実現されるシステムの設計者に任される。最大相関は、車両のy位置の推定値を修正するためにフィードバックを提供でき、結果として車両がいる車線の推定を改善できる。
【0107】
上述したように、これらの種々のシーンはそれぞれ車両のシーンと相関され、最大相関を見つける。この処理を簡略化する1つの方法は、センサの測定値から平均の建物の距離の測定値を算出することである。これがシーンに対してほぼ一定であり且つ建物が地図データベースに取り込まれる場合、y位置の適切な推定値はその測定値から導出可能である。
【0108】
所定のオブジェクトは、点クラスタ又は検知した点セルCl(x,y,z)の集合により特徴付けられてもよい。これらの生点セルは、測定されるセンサ毎に地図データベースに格納されてもよい。例えばオブジェクトから反射する各レーザスキャナ点は、dl及びthetalにより特徴付けられる。車両の場所及びプラットフォームパラメータを使用して、それらは相対座標(x,y,z)又は絶対座標(緯度,経度,高さ)、あるいは他のそのような従来の座標系の点の集合に変換される。色又は輝度等の他のデータは、関係するセンサに依存してxyzセル毎に格納されてもよい。データベースは、同一のオブジェクトに対して、種々のセンサに対する種々のクラスタ情報を格納してもよい。
【0109】
車両がオブジェクトを通過し、車両のセンサがオブジェクトを走査する場合、同一のパラメータを有する点の集合を取得する(可能性として種々の解像度で)。
【0110】
ここでも、重心の計算が行なわれ、CEPの場所が地図内で見つけられる。CEP内の全てのオブジェクトが検索されるが、この場合、生センサデータ(生点クラスタ)等の追加の情報は、少なくともその時点で車両において有効であると認識されるセンサに対して検索される。
【0111】
生クラスタデータの2つの集合は、共通の解像度サイズ(当該技術において共通)に正規化される。検知されたオブジェクト及び検索された各オブジェクトからの3次元クラスタ点を使用して、相関関数が適用される。開始相関点は、生センサの重心が候補オブジェクトの重心に一致する場所である。相関結果は重み付けされ、アルゴリズムにおいて別の特性として考慮に入れる。
【0112】
本発明は、コンピュータ技術における当業者には明らかとなるように、本開示の教示に従ってプログラムされた従来の汎用又は専用デジタルコンピュータ又はマイクロプロセッサを使用して好都合に実現されてもよい。適切なソフトウェアコーディングは、ソフトウェア技術における当業者には明らかとなるように、本開示の教示に基づいて熟練したプログラマにより容易に準備される。ナビゲーションシステムと共に使用する適切なセンサの選択及びプログラミングは、当業者により容易に準備される。更に本発明は、当業者には容易に明らかになるように、特定用途向け集積回路、センサ及び電子機器回路を準備することにより、あるいは従来のコンポーネント回路の適切なネットワークを相互接続することにより実現されてもよい。
【0113】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の任意の処理を実行するようにコンピュータをプログラムするために使用される命令を格納した1つ(又は複数)の記憶媒体であるコンピュータプログラム製品を含む。記憶媒体は、フロッピーディスク、光ディスク、DVD、CD ROM、マイクロドライブ及び光磁気ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュメモリ素子、磁気又は光カード、ナノシステム(分子メモリICを含む)、あるいは命令及び/又はデータを格納するのに適切な任意の種類の媒体又はデバイスを含む任意の種類のディスクを含むことができるがそれらに限定されない。本発明は、任意の1つのコンピュータ可読媒体に格納され、汎用/専用コンピュータ又はマイクロプロセッサのハードウェアを制御し且つコンピュータ又はマイクロプロセッサが本発明の結果を利用してユーザ又は他の機構と対話することを可能にするソフトウェアを含む。そのようなソフトウェアは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム及びユーザアプリケーションを含んでもよいがそれらに限定されない。最終的に、そのようなコンピュータ可読媒体は上述のように本発明を実行するソフトウェアを更に含む。ソフトウェアモジュールは、汎用/専用コンピュータ又はマイクロプロセッサのプログラミング(ソフトウェア)に含まれる。
【0114】
本発明の上記説明は、例示及び説明の目的で提供された。上記説明は、完全なものであることを意図せず且つ本発明を開示した厳密な形態に限定することを意図しない。多くの変更及び変形が当業者には明らかとなるだろう。特に、本発明が位置判定の改善に関して主に説明されたが、それは組み合わされたマップマッチングの多くの応用例のうちの1つにすぎない。例えば、道路の交差点及び横断歩道の場所は、識別された標識からのある距離として正確に判定されるため、更に正確な方向転換指示が与えられるか又は横断歩道の警告が与えられる。別の例の場合、道路に対して横方向(車線に対して)の車両の場所が正確に判定され、恐らくは次の方向転換のため又は交通のためにどの車線にいるべきかを案内する。追加の例として、マッチングは車両において収集されたリアルタイム画像における地図の特徴を性格に登録するために使用される。更に別の例において、本発明の実施形態は、運転者が標識の正確な場所及びそれらの内容を認識できるようにアイコン又は他の視覚/音声に関する改善を提供するために使用される。更に、多くの実施形態が相対座標の使用について説明するが、システムの実施形態は絶対座標を利用する環境においても使用可能であることが明らかである。実施形態は、本発明の原理及びその実際的な応用例を最もよく説明するために選択及び説明された。それにより、当業者は考えられる特定の用途に適する種々の変形例と共に種々の実施形態に対して本発明を理解できるだろう。本発明の範囲は、以下の請求の範囲及びそれらの等価物により特定されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS、あるいは他の位置判定技術及び/又は向き判定技術を用いて車両の位置及び向きに対して校正される前記車両のセンサを用いて、前記車両の近傍にある複数のオブジェクトのうち少なくとも1つのオブジェクトを検出し且つ前記オブジェクトに関する特性を推定する工程と、
前記車両の位置及び向きの推定値、並びに前記センサの測定値の少なくとも一部から、前記検出したオブジェクトの位置を推定する工程と、
前記位置に対して地図又は画像のデータベースに表された少なくとも1つのオブジェクトを抽出するために、複数のオブジェクトのうち1つ以上のオブジェクトについての情報を検索可能な前記データベースに、車両の位置又は推定され検出されたオブジェクトの位置により問い合わせる工程と、
比較論理を用いて、前記検出したオブジェクトを前記抽出したオブジェクトと比較する工程とを備え、
そのような比較が所定の程度だけ成功した場合に、
前記車両の前記GPSにより判定された位置又は向き、あるいは前記他の技術により判定された位置又は向きの調整と、
前記データベースに現れるような前記抽出したオブジェクトに対する位置情報の調整と、
現在の車両の位置の近郊を表し同時に表示されている地図データに関して、適切な位置において、ナビゲーションユニットのグラフィカルディスプレイ上へのアイコン又は他の図形画像として、前記データベースにおいて表され抽出したオブジェクトを図形表示する図形表示とのうち1つ以上を実行することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記位置の推定値の精度推定値と共に前記車両の位置及び向きを推定する工程と、
前記推定されたオブジェクトの位置を中心とする前記精度推定値内の任意のオブジェクトに対するオブジェクトデータを前記地図データベースから検索する工程と
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記比較論理は、前記オブジェクトのサイズ、形状、高さ、可視色、平面度及び反射率のうちの1つ以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記抽出したオブジェクトの集合が1つのみのオブジェクトである場合に、前記オブジェクトは、その比較関数が閾値テストを通過した場合にマッチングされることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
CEP内にオブジェクトがない場合に、マッチングは行なわれないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記抽出したオブジェクトの集合が2つ以上である場合に、前記オブジェクトは、そのスコアが最適であり且つ前記閾値を超える場合にマッチングされ、そのスコアは、次に最適なスコアの第2の閾値より良いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
オブジェクト毎に前記地図データベースに格納された前記特性は、2つ以上のセンサの種類からの特性を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記推定された精度は、前記車両の現在の位置精度及び基礎となる前記センサの精度の組合せであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記精度推定値は、2D空間又は3D空間のうちの一つにおいて規定されることを特徴とする請求項2又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記オブジェクトの特性は前記オブジェクトの点クラスタであり、可能な前記比較の1つは、前記検出されたオブジェクトの点クラスタと前記抽出されたオブジェクトの点クラスタとの間の相関関数であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
地図データベースは、種々のセンサに対する点クラスタを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記相関は、検出したオブジェクト及び抽出されたオブジェクトの重心を中心に行なわれることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
オブジェクトの検出された特性の1つは、オブジェクトにリンクされるRFIDの受信であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
コーナ反射器が前記センサにより照明される場合にRFIDが同報通信されるように、前記オブジェクトにはトランスポンダにリンクされる前記反射器が提供されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記道路網及び地図の他の要素が自動車において収集されたリアルタイムカメラ画像上に重ね合わされ且つ運転者に示されるように、車両において収集された画像と前記道路網との間の校正手段として用いられることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記比較論理は、好ましくはハウスドルフ距離の算出を用いる画像マッチング技術を含むことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2011−511281(P2011−511281A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544687(P2010−544687)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050957
【国際公開番号】WO2009/098154
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(507388889)テレ アトラス ノース アメリカ インコーポレイテッド (23)
【出願人】(509097563)テレ アトラス ベスローテン フエンノートシャップ (23)
【氏名又は名称原語表記】Tele Atlas B.V.
【Fターム(参考)】