説明

センサモジュール及びそれを用いた角度検出装置

【課題】 特に、完全停止状態及びアイドリング状態等の基本状態において、磁気抵抗素子を構成するピン層の固定磁化方向を適正化することで、回転角度の検出精度を向上させることが可能な角度検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 エンジンを切った完全停止状態、及びエンジンはかけているが自動車を停止させているアイドリング状態(これらを基本状態という)では、スロットルバルブシャフト4の軸心Oと交差する外部磁界Hの方向から、複数個の磁気抵抗効果素子G1〜G8のピン層の磁化方向をすべて45度傾ける。これにより前記基本状態にて各ピン層の磁化が前記外部磁界Hにより揺らぐ現象を抑制でき、検出精度に優れたスロットルポジションセンサを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスロットルポジションセンサ等に用いられるセンサモジュールに係り、特にアイドリング状態等の基本状態において、磁気抵抗素子を構成するピン層の固定磁化方向を適正化することで回転角度の検出精度を向上させることが可能なセンサモジュール及びそれを用いた角度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1,2には、いずれもスロットルポジションセンサに関する発明が開示されている。特許文献1では、回転体の回転角度を検出する素子としてホール素子を用いている。一方、特許文献2では、強磁性磁気抵抗素子を用いている。なお特許文献2は、前記強磁性磁気抵抗素子の構造について詳しく説明してしない。
【0003】
特許文献1,2はいずれも非接触式のスロットルポジションセンサであるため、接触式のスロットルポジションセンサのように摺動する部分がなく耐久性等を向上させることができると期待されている。
【特許文献1】特許第2546096号公報
【特許文献2】特開平5―322510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで非接触式のスロットルポジションセンサを用いた場合、磁気抵抗効果素子等の回転角度検出素子と対向する回転体側には、前記回転角度検出素子に対し回転磁界を付与するための磁石が取り付けられている。
【0005】
自動車等の電子式燃料噴射装置の一部として用いられるスロットルポジションセンサは、運転者がアクセルペダルを踏むと、それに連動してスロットルバルブが開き、シリンダーへの流入空気の量が増加する。また前記スロットルバルブと連動したスロットルポジションセンサで前記スロットルバルブの開閉角度を検出し、この開閉角度を示すデータを制御装置に送る。そして、前記制御装置はこのデータを含む多数のデータを分析してフィードバックすることにより、常に適正な空気量がシリンダーに送り込まれるようにスロットルバルブの開閉角度の調節を行っている。
【0006】
上記のように運転者がアクセルペダルを踏んでいるときは、自動車を走らせている間であり、前記アクセルペダルを踏んでいる時間は、一日の中でさほど長いわけでない。すなわち、ほとんどは自動車のエンジンを切った状態(完全停止状態)か、エンジンは掛けているが、自動車を停止させている状態(アイドリング状態)の前記アクセルペダルを踏んでいない時間である。そして、前記完全停止状態及びアイドリング状態(以下、この2つの状態を基本状態と呼ぶ)では、前記スロットルバルブは閉じた状態になっているが、かかる基本状態であっても前記回転角度検出素子には前記磁石からの外部磁界が掛かりつづけている。
【0007】
前記回転角度検出素子として、例えば、反強磁性層、ピン層、非磁性材料層、フリー層の4層構造を基本構造とし、ピン層の固定磁化と、フリー層の変動磁化との関係で電気抵抗が変化するスピンバルブ型薄膜素子を使用した場合、常に、前記ピン層とフリー層に前記基本状態であっても前記外部磁界がかかり続けることになる。このとき、前記ピン層の磁化は前記外部磁界の影響を受けて揺らいだりしてはいけないが、長い時間、同じ方向から外部磁界がかかり続けるため、前記ピン層の磁化が前記外部磁界により揺らぎ、前記ピン層の磁化が前記外部磁界の方向に倣うという現象が生じやすくなっていた。そしてこのような現象は特に高温下で使用されることで顕著に発生した。これは前記反強磁性層とピン層間で生じる交換結合磁界が小さくなることで前記ピン層の固定磁化強度が低下するためである。このようにピン層の磁化方向が揺らぐことで、前記スロットルポジションセンサにおける回転角度の検出精度が低下するといった問題があった。
【0008】
また特許文献1,2では共に、前記回転角度検出素子は複数個、設けられる。前記回転角度検出素子が1個であると、出力電圧が小さすぎたり、あるいは波形歪みにより正確な角度検出を行い難いため、前記回転角度検出素子を複数個設けることで、検出精度を高めることが行われている。しかし、このように複数個、前記回転角度検出素子が設けられている場合、すべてのピン層に対し同じように前記外部磁界の影響を低減させる必要性があった。
【0009】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するものであり、特に、完全停止状態及びアイドリング状態等の基本状態において、磁気抵抗素子を構成するピン層の固定磁化方向を適正化することで、回転角度の検出精度を向上させることが可能な角度検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、駆動軸と一緒に回転し、磁石が取り付けられた回転体の回転角度を検出するための磁気抵抗素子を少なくとも2つ以上備えたセンサモジュールであって、
前記磁気抵抗素子は、少なくとも磁化方向が一方向に固定されるピン層と、前記ピン層に非磁性材料層を介して対向し前記磁石からの外部磁界を受けて磁化方向が変動するフリー層とを有し、
基本状態では、各ピン層の磁化方向は、前記駆動軸の軸心と交差する前記外部磁界の方向に対し45度傾いていることを特徴とするものである。
【0011】
基本状態とは、通常、時間的にもっとも長い姿勢状態をいう。そして本発明では、このような基本状態で、複数の磁気抵抗効果素子の各ピン層の磁化方向と、前記磁石からの外部磁界方向とを45度ずらすことで、すべてのピン層において前記外部磁界の影響を一律に弱くでき、前記ピン層の磁化が前記外部磁界の影響を受けて揺らぐ現象をすべてのピン層において同じように抑制でき、検出精度を従来よりも向上させることが可能になる。
【0012】
また本発明では、SIN信号を生成するための第1の磁気抵抗効果素子と、COS信号を生成するための第2の磁気抵抗効果素子と、を有し、前記第1の磁気抵抗効果素子のピン層の磁化方向は、前記第2の磁気抵抗効果素子のピン層の磁化方向と直交していることが好ましい。これにより、より検出精度を向上させることができる。
【0013】
また、前記センサモジュールには、さらに前記磁石が装備されている構成であってもよい。
【0014】
また本発明における角度検出装置は、上記したセンサモジュール(磁石の装備なし)と、前記磁石及び回転体とを有し、あるいは上記したセンサモジュール(磁石の装備あり)と前記回転体とを有してなることを特徴とするものである。
【0015】
また、前記角度検出装置は車載用として用いられ、前記基本状態とは、エンジンを切った状態とアイドリング状態をいう。
【0016】
また、前記角度検出装置は、例えば、スロットルバルブの開閉角度を検出するためのスロットルポジションセンサであり、あるいは、アクセルペダルのアクセル量を前記回転体の回転角度から検出するためのアクセルポジションセンサである。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、基本状態で、複数の磁気抵抗効果素子の各ピン層の磁化方向が、前記磁石からの外部磁界方向に対し45度傾く関係にすることで、すべてのピン層において前記外部磁界の影響を一律に弱くでき、前記ピン層の磁化が前記外部磁界の影響を受けて揺らぐ現象をすべてのピン層において同じように抑制でき、検出精度を従来よりも向上させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本実施の形態のスロットルポジションセンサを備えた車載用センサを説明するための概略構成図(部分断面図)、図2は、基本状態における磁石と磁気抵抗効果素子との関係を示す前記スロットルポジションセンサの部分平面図、図3は、図2におけるスロットルポジションセンサの構成を示すブロック構成図、図4aは、図2と異なる形態であり、基本状態における磁石と磁気抵抗効果素子との関係を示す前記スロットルポジションセンサの部分平面図、図4bは、図4aに示すスロットルポジションセンサのブロック構成図、図5は、本実施の形態のアクセルポジションセンサを備えたアクセルモジュールの部分側面図、である。なお図2,図4aの平面図では、スロットルポジションセンサ10を構成する回転板20、取付板18等を図面上除き、磁石24と、磁気抵抗効果素子が取り付けられた基板21との配置関係のみを真上から図示している。
【0019】
図中においてZ1―Z2方向とは高さ方向をさす。X1―X2方向は幅方向、Y1―Y2方向は長さ方向を指し、一つの方向は残り2つの方向に対して直交する関係を持っている。
【0020】
図1に示す車載用センサ1は、スロットルバルブ3を除いて、Z1―Z2方向及びX1―X2方向の2方向からなる面と平行な面方向から切断した断面図で示される。なお前記スロットルバルブ3及びアクセル5は部分側面図で示される。
【0021】
前記車載用センサ1は、スロットルバルブ3、吸気通路2、スロットルポジションセンサ10を有して構成される。前記車載用センサ1は、電子式燃料噴射装置の一部を構成する。
【0022】
図1に示すように、前記車載用センサ1には、図示しない吸気口とエンジンとの間の吸気通路2内に円盤状のスロットルバルブ3が設けられている。前記スロットルバルブ3はエンジンに流入する空気の流量の調整を行うものである。
【0023】
前記スロットルバルブ3は、駆動軸(スロットルバルブシャフト)4に対し回転自在に支持されている。前記スロットルバルブ3の直径は吸気通路2よりもわずかに小さく形成されている。スロットルバルブ3の面が空気の流入方向(図示矢印方向)に対して平行な姿勢にあるときがスロットルバルブ3としては全開の状態であり、前記空気の流入方向に対して垂直な姿勢にあるときがスロットルバルブ3としては全閉の状態である。
【0024】
前記スロットルバルブシャフトの一方の端部(図示Z1方向の端部)には、図示しないリンク部材が設けられており、前記リンク部材と、アクセル5のレバー部6とが図示しないワイヤにより繋がっている。また前記スロットルバルブシャフトの他方の端部(図示Z2方向の端部)には図示しない付勢部材が取り付けられており、前記スロットルバルブシャフトは、前記スロットルバルブ3を閉じる方向に、前記付勢部材により付勢されている。前記アクセル5のアクセルペダル7を踏むと、これに連動してワイヤーが前記付勢部材の付勢方向に抗して引かれ、前記スロットルバルブシャフトが回転し、スロットルバルブ3を開かせることが可能とされている。
【0025】
前記スロットルポジションセンサ10には、例えば円盤状の回転板20が設けられ、前記回転板20の上面の中心には前記スロットルバルブシャフト4を挿入するための貫通孔20aが設けられている。前記回転板20が前記スロットルバルブシャフト4に取り付けられているので、前記スロットルバルブシャフト4が回転することで、前記回転板20も一緒に回転する。また前記スロットルバルブシャフト4にはギア等で構成される駆動部19から駆動力が与えられるようになっている。前記スロットルポジションセンサ10には、前記回転板20と高さ方向(図示Z1―Z2方向)にて相対向する位置に基板(固定部材)21が設けられ、前記基板21の表面21aには、磁気抵抗効果素子G1〜G8が設けられている(センサモジュール)。前記基板21の平面形状は図2aに示すように、例えば四角形状であり、前記基板21の裏面21bには、前記磁気抵抗効果素子からの電圧変化から前記スロットルバルブ3の開閉角度を演算するCPUやメモリ等の半導体装置(図示しない)が実装されている。
【0026】
図1に示すように前記基板21は前記スロットルポジションセンサ10の外枠を構成する下側筐体10b内に設けられる。前記下側筐体10bは凹部形状で形成され前記凹部内の表面に前記基板21が取り付けられる。前記下側筐体10bには、前記下側筐体10b内に装備された前記基板21の上方(図示Z1方向)に、前記回転板20を取り付けるための板状の取付板18が設けられ、前記取付板18に設けられた貫通孔に前記回転板20の取付部20dが取り付けられ、前記回転板20が前記取付板18に回転自在に支持される。前記取付板18に形成された前記貫通孔の中心は、前記スロットルバルブシャフト4の軸心Oと高さ方向(図示Z1―Z2方向)にて一致している。上記のように磁気抵抗効果素子を有する基板21を備えた下側筐体10bは、前記スロットルポジションセンサ10の外枠を構成する上側筐体10aに係合される。
【0027】
図1に示すように、前記回転板20と前記基板21は高さ方向(図示Z方向)にて相対向し、前記回転板20と前記基板21との間は所定距離離されている。図1に示すように前記回転板20の外周にはリング形状の磁石24が取り付けられている。前記磁石24は例えば図2に示すように平面(X―Y平面)から見るとリング形状である。前記磁石24は、リング形状であることに限定されない。例えば長方形等、中空形状以外の形状であってもよく、例えば前記回転板20の下面(前記基板21との対向面)に前記磁石24が取り付けられていてもよい。前記磁石24は複数設けられてもよい。
【0028】
図2に示すように、前記回転板20と高さ方向(図示Z方向)にて対向する位置にある基板21の表面21aには8つの磁気抵抗効果素子G1〜G8が設けられている。
【0029】
前記磁気抵抗効果素子G1〜G8は、スピンバルブ型薄膜素子と呼ばれる構造であり、基本膜構成は、反強磁性層、ピン層、非磁性材料層、及びフリー層が積層された構成である。前記反強磁性層は、IrMn合金あるいはPtMn合金等の反強磁性材料で形成される。前記ピン層は、CoFe合金等の強磁性材料で形成される。前記非磁性材料層はCu等の非磁性材料で形成される。前記フリー層はNiFe合金等の軟磁性材料で形成される。前記反強磁性層とピン層は接して形成され、熱処理により前記反強磁性層とピン層との界面に交換結合磁界(Hex)が生じ、前記ピン層の磁化が所定方向に固定される。
【0030】
図2に示すように、磁気抵抗効果素子G1,G4のピン層は図示X2方向に、磁気抵抗効果素子G2,G3のピン層は図示X1方向に、磁気抵抗効果素子G5,G8のピン層は図示Y1方向に、磁気抵抗効果素子G6,G7のピン層は図示Y2方向に、それぞれ磁化固定されている。前記フリー層の磁化は図示しないバイアス層からのバイアス磁界により一方向に揃えられる。各磁気抵抗効果素子G1〜G8のフリー層の磁化は各磁気抵抗効果素子G1〜G8の各ピン層の磁化方向と直交する方向に揃えられる。前記フリー層の磁化は前記ピン層ほど強く磁化されておらず、したがって外部磁界の影響を受けて容易に磁化変動できるようになっている。また前記スピンバルブ型薄膜素子G1〜G8には主に、ピン層、非磁性材料層、及びフリー層の3層に電流を流すための電極層も形成されている。また前記磁気抵抗効果素子G1〜G8は、前記反強磁性層が形成されていないスピンバルブ型薄膜素子であってもよい。このようなスピンバルブ型薄膜素子は、前記ピン層自体の一軸異方性によってピン層の磁化が固定される。上記のスピンバルブ型薄膜素子の構成は特に一例であって上記以外の構成で形成されたスピンバルブ型薄膜素子であっても当然よい。
【0031】
図3に示すように、スロットルポジションセンサ10は、センサ部11と前記センサ部11から出力される出力信号の処理を行う信号処理部12を有している。なお、図3に示す一点鎖線の左側がセンサ部11を示し、右側が信号処理部12を示している。
【0032】
各磁気抵抗効果素子G1〜G8は、磁気抵抗効果素子G1〜G4が第1の磁気抵抗効果素子として群A1(以下、第1の磁気抵抗効果素子群A1と称する)を形成し、第1のブリッジ回路WB1を構成している。また、磁気抵抗効果素子G5〜G8が第2の磁気抵抗効果素子として群A2(以下、第2の磁気抵抗効果素子群A2と称する)を形成し、第2のブリッジ回路WB2を構成している。前記第1のブリッジ回路WB1は、前記磁気抵抗効果素子G1と磁気抵抗効果素子G2とを直列に接続した回路と、前記磁気抵抗効果素子G3と磁気抵抗効果素子G4とを直列に接続した回路とが、並列に接続されて形成されている。同様に第2のブリッジ回路WB2は前記磁気抵抗効果素子G5と磁気抵抗効果素子G6とを直列に接続した回路と、前記磁気抵抗効果素子G7と磁気抵抗効果素子G8とを直列に接続した回路とが、並列に接続されて形成されている。
【0033】
そして、前記並列に接続された第1のブリッジ回路WB1と第2のブリッジ回路WB2の一方の端部が電源Vccに接続され、他方の端部がグランドGNDに接地されている。
【0034】
運転者が前記アクセルペダル7を踏み、前記スロットルバルブ4が開くと、前記回転体20が回転し、これにより前記磁石24からの回転磁界により各磁気抵抗効果素子G1〜G8を形成するフリー層の磁化の向きが変化させられる。これにより前記各磁気抵抗効果素子G1〜G8の抵抗値が、前記フリー層の磁化の向きと前記ピン層の磁化の向きとのなす角に応じて変化する。よって、前記第1のブリッジ回路WB1を構成する磁気抵抗効果素子G1と磁気抵抗効果素子G2との接続部と、磁気抵抗効果素子G3と磁気抵抗効果素子G4との接続部とから互いの位相が180度異なる正弦波状の2つの信号が出力される。同時に前記第2のブリッジ回路を構成する磁気抵抗効果素子G5と磁気抵抗効果素子G6との接続部と、磁気抵抗効果素子G7と磁気抵抗効果素子G8との接続部とからも互いの位相が180度異なる正弦波状の2つの信号が出力される。
【0035】
このとき、磁気抵抗効果素子G1〜G4のピン層の磁化方向と、磁気抵抗効果素子G5〜G8のピン層の磁化方向は直交関係にあるため、前記第1のブリッジ回路WB1から出力される2つの信号を+sin信号,−sin信号とすると、前記第2のブリッジ回路WB2から出力される2つの信号は+cos信号,−cos信号となる。
【0036】
この実施の形態に示すように、前記第1のブリッジ回路WB1の磁気抵抗効果素子G3と磁気抵抗効果素子G4の接続部から出力される正弦波状の信号を+sin信号とすると、前記磁気抵抗効果素子G1と磁気抵抗効果素子G2の接続部からは−sin信号が出力される。また前記第2のブリッジ回路WB2の前記磁気抵抗効果素子G5と磁気抵抗効果素子G6の接続部からは+cos信号が出力され、前記磁気抵抗効果素子G7と磁気抵抗効果素子G8の接続部からは−cos信号が出力される。
【0037】
信号処理部12は、主として制御手段15と、第1の信号変換手段12Aおよび第2の信号変換手段12Bと、信号調整手段13と、第1の関数演算手段14とを有している。
【0038】
前記制御手段15はCPUやメモリ手段などの半導体装置を備えており、前記信号調整手段13、第1の関数演算手段14などにおける一連の信号処理を統括する機能を有している。前記第1の信号変換手段12Aは、前記第1のブリッジ回路WB1から出力される前記2種類の+sin信号と−sin信号との差をとってSIN信号を生成するとともに、増幅後の信号をA/D変換してデジタルデータに変換する機能を有している。同様に前記第2の信号変換手段12Bは、前記第1のブリッジ回路WB1から出力される前記2種類の+cos信号と−cos信号との差をとってCOS信号を生成するとともに、増幅後の信号をA/D変換してデジタルデータ信号に変換する機能を有している。
【0039】
ここで、例えばA1,A2,B1およびB2を振幅係数、a1,a2,b1およびb2をオフセット係数とし、前記+sin信号を+A1・sinθ+a1、前記−sin信号を−A2・sinθ−a2、前記+cos信号を+B1・cosθ+b1、前記−cos信号を−B2・cosθ−b2で表わすと、前記第1の信号変換手段12Aで生成される前記SIN信号は、(+A1・sinθ+a1)−(−A2・sinθ−a2)=(A1+A2)・sinθ+(a1+a2)となる。同様に前記第2の信号変換手段12Bで生成されるCOS信号は、(+B1・cosθ+b1)−(−B2・cosθ−b2)=(B1+B2)・cosθ+(b1+b2)となる。
【0040】
前記信号調整手段13は、前記SIN信号とCOS信号のオフセット調整や利得調整を行い、両信号の振幅方向の基準(0点)と量(振幅量)とを一致させる機能を有している。すなわち、上記の例でいえば、利得調整とはA1+A2=B1+B2とすることにより、前記SIN信号とCOS信号の振幅係数を同じ値にすることを意味し、オフセット調整とはa1+a2=b1+b2=0として原点位置(0点)からの振幅の基準のずれを無くすことを意味している。
【0041】
前記第1の関数演算手段14は、sin,cos,tan,tan−1=arctan,sinh,cosh,exp,logなどの関数値の計算を行うソフトウェア、例えば周知のCORDIC(Coordinate Rotation Digital Computer)アルゴリズムを用いた数値計算ソフトウェアを搭載しており、ここでは前記SIN信号のデジタルデータを前記COS信号のデジタルデータで除して正接値(tan=SIN信号/COS信号)を計算するTAN処理と、前記TAN処理で求めた値から逆正接値(arctan(SIN信号/COS信号))を計算して回転板20の回転角度φを求めるATAN処理とを有している。
【0042】
図2は前記スロットルポジションセンサ10の基本状態における前記磁石24の着磁方向を示している。図2に示すように前記磁石24の図示斜め左上側がN極、図示斜め右下側がS極となっており、外部磁界Hは、図示X1方向及び図示Y2方向の双方に対して45度傾いた方向に生じている。
【0043】
上記したように、磁気抵抗効果素子G1〜G8の各ピン層は、図示X1―X2方向と平行な方向か、あるいは図示Y1―Y2方向と平行な方向に磁化固定されているので、基本状態では、各ピン層の磁化方向と前記外部磁界Hの方向は45度の関係にある。
【0044】
まず「基本状態」について説明する。この実施の形態でいう「基本状態」とは、自動車のエンジンを切った状態(完全停止状態)及び、エンジンは掛けているが、自動車を停止させている状態(アイドリング状態)の双方を意味している。この双方の状態は、運転者が前記アクセルペダル7を踏み込んでいないため、前記スロットルバルブ4が閉じた状態となっている。ここで、通常、前記アイドリング状態からアクセルペダル7を踏み込んだとき、それに連動してスムーズに前記スロットルバルブ4を開かせるために、上記した完全停止状態及びアイドリング状態であっても、若干、前記スロットルバルブ4は開いた状態になっているため、厳密に言えば完全に閉じた状態ではないが、この実施の形態では、前記完全停止状態及びアイドリング状態における前記スロットルバルブ4の状態を「閉じた状態」と表現している。また、前記完全停止状態とアイドリング状態におけるスロットルバルブ4の状態が異なる状態にあるとき、例えば前記完全停止状態におけるスロットルバルブ4の開閉角度より、前記アイドリング状態におけるスロットルバルブ4の開閉角度のほうが大きい等の違いがあるときは、前記完全停止状態か前記アイドリング状態のどちらか一方を、前記基本状態と定めるか、あるいは、前記完全停止状態におけるスロットルバルブ4の開閉角度と、前記アイドリング状態におけるスロットルバルブ4の開閉角度の中間の開閉角度を基本状態と定めることもできる。
【0045】
次に、外部磁界Hについて考察する。図2に示すように、磁石24のN極、S極、及び前記スロットルバルブシャフト4の軸心Oは、X2方向とY1方向からそれぞれ45度傾いたライン上にあるため、ちょうど前記軸心Oと交差する外部磁界H(あるいは磁力線と表現してもよい)は、X2方向とY1方向からそれぞれ45度傾いた直線方向に向けて生じている。ところで磁石24から生じるあらゆる外部磁界の方向を考えると、前記外部磁界の方向は場所によって異なる。例えば図2に示す軸心Oと交差しない外部磁界(軸心OからY1―Y2方向に離れた位置等で生じる外部磁界)は、曲線的に生じ、前記X2方向とY1方向からそれぞれ45度傾いた直線方向を向いていない。本実施の形態では、基本状態において、各ピン層の磁化方向と前記外部磁界Hの方向とを45度ずらすというものであるが、上記のように前記外部磁界の方向は場所によって直線的であったり曲線的であったり一律ではないから、前記磁石24及び磁気抵抗効果素子G1〜G8を真上から見たときに、前記スロットルバルブシャフト4の軸心Oと交差する直線状の外部磁界Hを基本状態における基準方向とし、基本状態にて、前記基準方向の外部磁界Hの方向と前記ピン層22の磁化方向とを45度ずらす。あるいは前記磁石24のN極、軸心O、前記磁石24のS極を通る直線方向と前記ピン層22の磁化方向とを45度ずらすと定義しても同じことである。
【0046】
なお、ピン層の磁化が図示X1―X2方向と平行な方向に固定されている磁気抵抗効果素子G1〜G4と、ピン層の磁化が図示Y1―Y2方向と平行な方向に固定されている磁気抵抗効果素子G5〜G8とが、前記軸心Oを対称軸として点対称関係にあることが好ましい。前記磁気抵抗効果素子G1と磁気抵抗効果素子G8は軸心Oを対称軸として点対称の関係にあり、前記磁気抵抗効果素子G1と磁気抵抗効果素子G8は軸心Oを対称軸として点対称の関係にあり、前記磁気抵抗効果素子G2と磁気抵抗効果素子G6は軸心Oを対称軸として点対称の関係にあり、前記磁気抵抗効果素子G3と磁気抵抗効果素子G7は軸心Oを対称軸として点対称の関係にあり、前記磁気抵抗効果素子G4と磁気抵抗効果素子G5は軸心Oを対称軸として点対称の関係にある。これにより前記第1磁気抵抗効果素子群A1及び第2磁気抵抗効果素子群A2に対する外部磁界Hの影響をほぼ同じようにできる。
【0047】
以上のように、基本状態にて、各ピン層の磁化方向Aを前記外部磁界Hの方向から45度傾く関係にすることで、各ピン層に対する前記外部磁界Hを影響を同じように、弱めることができ、前記ピン層の固定磁化が前記外部磁界Hによって揺らぐ現象を適切に抑制でき、よって本実施の形態では、前記スロットルポジションセンサ10の検出精度を精度良く保つことができる。
【0048】
ところで図2の実施の形態では各ピン層の磁化方向は、外部磁界Hの方向と同じではないから、基本状態において、各ピン層の磁化が前記外部磁界Hの影響を受けて若干揺らぐ可能性はある。しかし、例えば、前記外部磁界Hに対し直交する方向にピン層の磁化を向けた場合は、前記ピン層に対する前記外部磁界Hの影響が最も強く、ピン層の磁化が外部磁界Hの方向にならされて、所定の方向から90度まで傾く危険性があった。また、図2に示す実施の形態では、磁気抵抗効果素子G1〜G8は複数個存在し、しかもすべてのピン層が同じ方向に磁化されていないから、すべてのピン層の磁化方向と同一方向に外部磁界Hが及ぶように磁化制御はできない。一方、例えば前記外部磁界HをX1―X2方向と平行な方向に及ぼすと、磁気抵抗効果素子G1〜G4のピン層は所定の磁化方向を適切に保てるが、磁気抵抗効果素子G5〜G8のピン層の磁化方向は、前記外部磁界Hの方向緒と直交する関係となるため、前記磁気抵抗効果素子G5〜G8のピン層の磁化は、外部磁界Hの方向にならされ、Y1―Y2方向からX1―X2方向へ傾く可能性が強くなる。そして、上記したように、第1磁気抵抗効果素子郡A1を構成する4つの磁気抵抗効果素子G1〜G4により第1のブリッジ回路WB1を形成し、前記第1のブリッジ回路WB1から出力信号(+sin信号、―sin信号)を取り出し、第2磁気抵抗効果素子郡A2を構成する4つの磁気抵抗効果素子G5〜G8により第2のブリッジ回路WB2を形成し、前記第2のブリッジ回路WB2から出力信号(+COS信号、―COS信号)を取り出した場合、+COS信号、―COS信号は、+sin信号、―sin信号に比べて波形歪(誤差信号)が大きく重畳してしまい、これにより正確に前記スロットルバルブ4の開閉角度を検出できない。これに対し、図2の実施の形態のようにすべてのピン層の磁化方向が前記外部磁界Hの方向から45度傾いている場合、ある特定のピン層だけが非常に強く外部磁界Hの影響を受けて前記外部磁界H方向にならされる現象を回避でき、すべてのピン層に対して、同じように外部磁界Hの影響を弱めることができる。このためピン層の磁化が、前記外部磁界Hにより揺らぐ現象を適切に抑制でき、したがって精度良く前記スロットルバルブ4の開閉角度を検出できる。
【0049】
図4aは図2とは別の実施の形態である。図4aでは、前記基板21上に2つの磁気抵抗効果素子40,41が設けられている。前記磁気抵抗効果素40,41の素子構造は図2の磁気抵抗効果素子G1〜G8と変わるところがないので、そちらを参照されたい。
【0050】
前記磁気抵抗効果素子40のピン層の磁化方向Dは、図示X2方向に向いており、前記磁気抵抗効果素子41のピン層の磁化方向Eは、図示X1方向に向いており、前記ピン層の磁化方向D,Eは反平行状態となっている。
【0051】
図4aにおける磁気抵抗効果素子40,41は、図2と同様に、基本状態にて、前記ピン層の磁化方向D,Eが前記磁石24から生じる外部磁界Hの方向に対し45度傾いている。このため、前記磁気抵抗効果素子40,41の各ピン層に対する前記外部磁界Hを影響を同じように弱めることができ、前記ピン層の磁化が磁石24からの外部磁界の影響を受けて揺らぐといった現象を適切に抑制できる。図4bに示すように、前記磁気抵抗効果素子40,41は直列接続されており、例えば電源Vccが前記磁気抵抗効果素子41と、グランドGNDが前記磁気抵抗効果素子40と接続されている。前記磁気抵抗効果素子40と前記磁気抵抗効果素子41との接続部から電圧が出力され、前記電圧値を基に前記半導体装置23で構成される制御部にて、前記スロットルバルブ4の開閉角度が検出される。
【0052】
運転者が前記アクセルペダル7を踏み、前記スロットルバルブ4が開くと、前記回転体20が回転し、これにより前記磁石24からの回転する外部磁界により前記磁気抵抗効果素子40,41のフリー層の磁化方向が変動し、前記磁気抵抗効果素子40,41の前記ピン層の固定磁化方向と前記フリー層の磁化方向との関係に基づき、抵抗値が変化する。これにより前記磁気抵抗効果素子40と前記磁気抵抗効果素子41との接続部から出力される電圧値が変動し、前記制御にて前記電圧変化を基に、前記スロットルバルブ4の開閉角度が検出される。図4bでは、前記磁気抵抗効果素子40,41のピン層の磁化方向D,Eが逆向きなので、磁気抵抗効果素子40の抵抗変化と、磁気抵抗効果素子41の抵抗変化は、逆位相となる(位相が180°異なる)ので、前記磁気抵抗効果素子40の抵抗値が最小となったとき、前記磁気抵抗効果素子41の抵抗値は最大となり、前記磁気抵抗効果素子40の抵抗値が最大となったとき、前記磁気抵抗効果素子41の抵抗値は最小なる関係となっている。このため磁気抵抗効果素子を一つだけ設ける場合に比べて、大きい抵抗変化を得ることができ、前記制御部にて、精度良く、前記スロットルバルブ4の開閉角度を検出することが可能である。
【0053】
なお図4aに示すように、前記軸心Oから前記磁気抵抗効果素子40までの距離L1、及び前記軸心Oから前記磁気抵抗効果素子41までの距離L2が同じであることが好ましい。また、前記磁気抵抗効果素子40の幅方向(図示X1―X2方向)の中心線と長さ方向(図示Y1―Y2方向)の中心線とが交わる前記磁気抵抗効果素子40の中心Fと、前記磁気抵抗効果素子41の幅方向の中心線と長さ方向の中心線とが交わる前記磁気抵抗効果素子41の中心Gとが基本状態において前記軸心Oを対称軸として点対称であることが好ましい。これにより、前記磁気抵抗効果素子40,41に対する外部磁界の影響を同じにでき、検出精度を向上させることができる。
【0054】
ところで本実施の形態におけるスロットルポジションセンサ10は、図1に示すように、基板21、磁気抵抗効果素子、磁石24、回転板20等これらの部品をすべて備えたものとして構成される。ここで、前記スロットルバルブシャフト4を、前記スロットルポジションセンサ10の一構成部品とするか否かは任意である。また、前記磁気抵抗効果素子を有する基板21、さらには前記基板21を備えた下側筐体10bをセンサモジュールとして製造し販売するとき、前記センサモジュールに磁石24をセットして販売するか否かは任意である。前記センサモジュールに磁石24をセットで販売しない場合、前記センサモジュールを購入したセットメーカーが、実際に前記センサモジュールを前記スロットルポジションセンサ10に用いるとき、後で前記スロットルポジションセンサ10内に磁石24を取り付けることになる。このとき基本状態にて前記磁石24から生じる外部磁界Hと前記磁気抵抗効果素子のピン層の磁化方向とが45度傾く関係になるように前記磁石24の取り付けを行うことが必要である。このときピン層の磁化方向を見ることはできないため、磁石24の取り付け方(どちら側にN極,S極を置くか等)を予め表示等しておき、たとえば前記センサモジュールの目に見える位置に「N極側」、「S極側」と明記しておく等の表示をしておくことがよい。
【0055】
また前記スロットルポジションセンサ10の構造が、アクセル5のレバー6の前記アクセルペダル7と逆側の端部に、アクセルポジションセンサ50として用いられてもよい(図5)。前記アクセルポジションセンサ50は、運転者が前記アクセルペダル7を踏んだときのアクセル量を検出するためのものであり、前記アクセルペダルを踏み、前記レバー6が押されると、前記アクセルポジションセンサ50に設けられている回転体が回転する。このとき図1の場合と同じように、前記磁石24からの外部磁界Hが回転磁場となり、磁気抵抗効果素子を構成するフリー層の磁化方向が前記回転磁場により変動する。前記フリー磁性層の磁化方向と前記固定磁性層の固定磁化方向に基づく抵抗変化を電圧変化として捉え、これにより前記回転体がどの程度回転したかを検出し、ひいては、そこから前記アクセルペダル7のアクセル量を検出する。前記アクセルポジションセンサ50における基本状態とは、前記スロットルポジションセンサ10における基本状態と変わらない。すなわち前記アクセルポジションセンサ50における基本状態とは、自動車のエンジンを切った状態(完全停止状態)及び、エンジンは掛けているが、自動車を停止させている状態(アイドリング状態)の双方を意味している。この双方の状態では、運転者が前記アクセルペダル7を踏み込んでいない(ペダル7に足は載せているかもしれない)。そして図2,図4で説明したように図5における実施の形態でも、前記基本状態において、複数個の磁気抵抗効果素子のすべてのピン層の磁化方向を外部磁界Hの方向から45度傾く関係にすることで、各ピン層の磁化が、基本状態にて、前記外部磁界Hの影響を受けて揺らぐ現象を適切に低減でき、検出精度に優れた前記アクセルポジションセンサ50を提供することが可能になる。
【0056】
本実施の形態におけるスロットルポジションセンサ10と同じ構造を成す角度検出装置は、前記スロットルポジションセンサ10及びアクセルポジションセンサ50以外の形態として使用されてもよい。特に車載用として使用する場合は、前記基本状態とは、前記完全停止状態及びアイドリング状態をさす。また前記角度検出装置が車載用以外の用途として使用される場合、前記基本状態とは、通常、時間的にもっとも長い姿勢状態として定義される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施の形態のスロットルポジションセンサを備えた車載用センサを説明するための概略構成図(部分断面図)、
【図2】基本状態における磁石と磁気抵抗効果素子との関係を示す前記スロットルポジションセンサの部分平面図、
【図3】図2におけるスロットルポジションセンサの構成を示すブロック構成図、
【図4a】図2と異なる形態であり、基本状態における磁石と磁気抵抗効果素子との関係を示す前記スロットルポジションセンサの部分平面図、
【図4b】図4aに示すスロットルポジションセンサのブロック構成図、
【図5】本実施の形態のアクセルポジションセンサを備えたアクセルモジュールの部分側面図、
【符号の説明】
【0058】
1 車載用センサ
3 スロットルバルブ
4 スロットルバルブシャフト
5 アクセル
7 アクセルペダル
10 スロットルポジションセンサ
20 回転板
21 基板
40、41、G1〜G8 磁気抵抗効果素子
24 磁石
50 アクセルポジションセンサ
O 軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸と一緒に回転し、磁石が取り付けられた回転体の回転角度を検出するための磁気抵抗素子を少なくとも2つ以上備えたセンサモジュールであって、
前記磁気抵抗素子は、少なくとも磁化方向が一方向に固定されるピン層と、前記ピン層に非磁性材料層を介して対向し前記磁石からの外部磁界を受けて磁化方向が変動するフリー層とを有し、
基本状態では、各ピン層の磁化方向は、前記駆動軸の軸心と交差する前記外部磁界の方向に対し45度傾いていることを特徴とするセンサモジュール。
【請求項2】
SIN信号を生成するための第1の磁気抵抗効果素子と、COS信号を生成するための第2の磁気抵抗効果素子と、を有し、前記第1の磁気抵抗効果素子のピン層の磁化方向は、前記第2の磁気抵抗効果素子のピン層の磁化方向と直交している請求項1機記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記センサモジュールには、さらに前記磁石が装備されている請求項1または2に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
請求項1または2に記載されたセンサモジュールと、前記磁石及び回転体とを有し、あるいは請求項3に記載されたセンサモジュールと前記回転体とを有してなることを特徴とする角度検出装置。
【請求項5】
前記角度検出装置は車載用として用いられ、前記基本状態とは、エンジンを切った状態とアイドリング状態をいう請求項4記載の角度検出装置。
【請求項6】
前記角度検出装置は、スロットルバルブの開閉角度を検出するためのスロットルポジションセンサである請求項4記載の角度検出装置。
【請求項7】
前記角度検出装置は、アクセルペダルのアクセル量を前記回転体の回転角度から検出するためのアクセルポジションセンサである請求項4記載の角度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−317203(P2006−317203A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138012(P2005−138012)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】